説明

ドライアイ症候群の処置のための組成物および方法

本発明は、ドライアイ症候群または慢性のドライアイの症状を処置または軽減するための組成物、医薬および方法を提供する。より具体的には、本発明の実施形態は、トコフェロールまたはトコトリエノール点眼薬からなる医薬を提供する。ドライアイの症状を有する患者の眼にトコフェロールまたはトコトリエノール点眼薬を1回局所投与することにより症状が少なくとも1日軽減される。特に、該点眼薬は、α−トコフェリルアセテート;α−トコフェリルアセテートおよび0.5%の水性成分;またはα−トコフェリルアセテート、約2.5%のトコフェロール乳化剤および約20%〜約30%の水性添加剤からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、本明細書の一部を構成する米国特許出願第61/104,110号(出願日:2008年10月9日)の優先権を主張する。
【0002】
本発明はドライアイ症候群の症状を軽減するための化合物および方法に関する。特に、本発明は、ドライアイの症状の持続的軽減をもたらすビタミンE点眼薬に関する。
【背景技術】
【0003】
ドライアイ症候群、または慢性ドライアイ(CDE)とは、眼の潤滑および水分が慢性的に不足している状態である。その結果は、軽微で継続した刺激から眼の前眼部組織の眼炎症の範囲にまで及ぶ。症状としては、眼が持続的に乾燥し、掻き傷、充血、焼けるような痛み、ある人は異物感:眼に何かあるように感じる。CDEでは、どちらか片方の眼が涙を十分に産生できないか、産生した涙があまりにも早く蒸発する。ドライアイが涙の水溶性内容物の産生を過剰に刺激するため、ドライアイの結果として眼が潤むこともある。涙は、外側の油性の液層;中間の水溶性の涙層;そして内側の粘液またはムチン層の3つの層からなる。各層は眼の異なる部分によって産生され(例えば、涙腺は涙層を産生する)、これら供給源のいずれかの問題がドライアイを引き起こしうる。
【0004】
CDEの原因はいくつか存在する。自然の加齢現象(特に閉経中)の一部として;様々な投薬(抗ヒスタミン薬、抗鬱薬、特定の血圧の治療薬、パーキンソン治療薬および避妊ピル等)の副作用として;コンタクトレンズの装着;喫煙;あるいは乾燥した、埃っぽいまたは風の強い気候が原因で、起こり得る。エアコンまたはドライヒーティングシステムもまた眼を乾燥させる。不十分なまばたきも原因であり、これはコンピュータスクリーンをじっと見る必要のある職業に多い。他の原因として、瞼が完全に閉じない、眼瞼疾患および涙を産生する腺の異常がある。眼瞼の美容整形手術(眼瞼形成術)後に眼瞼が完全に閉じないことと関連してドライアイを訴える場合もある。CDEの危険因子としては、ホルモンの変化(加齢または閉経に関係する)、医学的状態(例:糖尿病)や自己免疫疾患(例:シェーグレン症候群)が挙げられる。
【0005】
CDEは、(原因によって)回復できないこともある継続的な状態であるが、付随する、乾燥、掻き傷および焼けるような痛みには対処することができる。潤滑点眼薬である人工涙は乾燥、引っ掻かれるような感覚は軽減できる。レスタシス(登録商標)点眼薬(ヒマシ油ベースに0.05%のシクロスポリンを含有)もまた眼の涙産生を助ける。レスタシス(登録商標)点眼薬は、1日2回、約12時間の間隔をおいて症状のある眼に点眼する。これらの点眼薬は使用する前に十分に混合しなければならず、点眼薬は乳白色の外観をしている。
【0006】
多くの人がドライアイを人工涙ではなく通常の点眼薬で治療しようとしているが、これは恐らく、通常の点眼薬が人工涙よりも安価であり(一般にジェネリックのシクロスポリン含有点眼薬の5分の1のコストしかかからない)処方箋を必要としないからであろう。これらの点眼薬は充血を一時的に軽減することはできるが、充血の原因(乾燥、周囲の炎症または他の何らかの問題)を処置するものではない。さらに、眼の血管を収縮させることにより充血を減少させる一般的な点眼薬の処方における血管収縮剤は、その効果が時間とともに減少し、同じ効果を達成するためにますます必要になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、CDEを処置するための、高価でなく、有効で、長期間有効な医薬が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、CDE(ドライアイ症候群)の症状を軽減またはCDEを治療するための化合物、医薬および方法を適用する。本発明は、本明細書において、安全で、長期間有効で比較的安価な、現行のCDE治療に代わる手段を提供する。
【0009】
本発明の一実施形態によれば、CDEの処置のための点眼薬として使用するための、トコフェロールまたはトコトリエノールを含んでなる医薬を提供する。具体的な実施形態ではトコフェロールはα−トコフェリルアセテートである。
【0010】
本発明のさらなる実施形態によれば、CDEの患者の眼にトコフェロールまたはトコトリエノールの点眼薬を点眼することを含んでなる、CDEを処置する方法を提供する。具体的な実施形態では、トコフェロールはα−トコフェリルアセテートである。別の実施形態では、本方法は、少なくとも1日(例えば約4日ないし約7日)、CDEの症状の軽減をもたらす。
【0011】
さらなる実施形態では、CDEを処置するための、トコフェロールまたはトコトリエノール、さらに、少量(例えば、約0.5%)の吸収される等浸透圧水溶液を含有する医薬を提供する。具体的な態様では、トコフェロールまたはトコトリエノールは、生理食塩水等の水溶液と混合し、局所用の点眼薬として製剤化する。
【0012】
さらなる実施形態は、トコフェロールおよびトコフェロール乳化剤(TPGS等)(ポリエチレングリコール1000[PEG1000]でエステル化したα−トコフェリルコハク酸)から構成される。TPGSはトコフェロール製剤(dl−α トコフェリルアセテート等)で使用し、水溶性成分を約0.5%(wt)を超えて増大させることができる。例えば、水溶性成分とα−トコフェリルアセテート(EA)の安定な混合物は、乳化剤として約2.5%にて添加したTPGSとともに、約1:2〜1:4(水溶性成分:EA)の範囲の比率で調製することができる。これらのエマルジョンは安定であり、点眼薬を含む局所製剤として適当である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】就寝前に眼にα−トコフェリルアセテートの点眼薬を適用した人の記載した日数後の主観快適性を示す棒グラフである。主観快適性を1〜10のスケールで示す;1は非常にヒリヒリして右眼にむくみを感じ、10は非常に快適で点眼薬なしと比べて許容できる。
【図2】1日目にウサギにα−トコフェリルアセテート(3.6mg、3.9mg、5.4mgまたは6.0mg)を1滴投与した後の、7日間でのウサギの涙におけるα−トコフェリルアセテートのレベルを示すグラフである。
【図3】9日目にトコフェロール/水エマルジョンからの水の蒸発(%)を示す棒グラフである。蒸発した水の百分率で示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な記載
本発明が本明細書に記載した具体的な方法論、プロトコルおよび試薬等に限定されず変更が可能であることは当然理解されなければならない。本発明において用いる用語は、単に具体的な実施形態を記述することを目的とするものであって、特許請求の範囲のみによって定義される本発明の範囲について限定することを意図しているのではない。
【0015】
本明細書および特許請求の範囲において用いるように、文脈上明らかにそうでないと示していなければ、単数形は複数形を包含しその逆も同様である。実施例に記載した以外の、あるいは特に記載しなければ、本明細書において用いる成分または反応条件の量を表現するすべての数字は、すべての場合において「約」なる語によって修飾されているものと理解される。
【0016】
記載したすべての特許およびその他の刊行物は、例えば、本発明と関連して用いることができる、そのような刊行物に記載された方法論を記載および開示することを目的として、本明細書の一部を構成する。これらの刊行物は、単に、本願の出願日前のそれらの開示を提供するものである。この点において、先行発明のためにまたは他の何らかの理由のために、本発発明者がそのような開示に先行することができないということの了解として解釈してはならない。これら文献の内容に関する日付または表示に関するすべての記述は、本出願人が入手可能な情報に基づいており、これら文献の日付または内容の正確性に関して自認するものではない。
【0017】
特に記載しない限り、本明細書において使用するすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野における当業者が一般に理解している意味と同じ意味である。知られている方法、装置および材料を本発明の実施および試験に用いることができるが、そういう意味において、その方法、装置および材料は本明細書に記載される。
【0018】
本発明はCDEまたはドライアイ症候群を処置するための組成物および方法を提供する。本明細書において、本発明は、従来のCDE治療と比較して、安全で、長時間有効で比較的安価な代替物を提供する。
【0019】
本発明の一実施形態は、ドライアイの処置のための局所用医薬の主成分としてトコフェロールまたはトコトリエノールを提供する。別の実施形態では、CDEの処置のための点眼薬は、少なくとも約70%のトコフェロールまたはトコトリエノールを含有する。例えば、点眼薬は、約70%〜少なくとも100%のトコフェロールまたはトコトリエノールを含有する。あるいは、点眼薬は約99.5%のトコフェロールまたはトコトリエノールを含有する。さらなる実施形態では、ビタミンE等の、トコフェロールまたはトコトリエノールの点眼薬の投与は患者の眼に行い、症状の緩和を少なくとも1日もたらす。
【0020】
トコフェロール類またはトコトリエノール類は、最も単純なトコフェロール、6−ヒドロキシ−2−メチル−フィチルクロマンの誘導体である。トコフェロール類はまた、ビタミンEとして一般に呼ばれている天然または合成化合物のファミリーとして知られている。α−トコフェロールは、このクラスの化合物の最も一般的で活性な形態である。このクラスの他の化合物には、β−、γ−およびδ−トコフェロール、α−トコフェリルアセテート等のα−トコフェロール誘導体が挙げられる。有用なトコトリエノール類としては、d−δ−トコトリエノール、およびd−β−、d−γ−トコトリエノールおよびそれらのエステルが挙げられる。本発明のトコフェロールおよびトコトリエノールとしては、トコフェロール、トコトリエノールおよびそれらのエステルの、d、l、dl異性体が包含される。特に、水溶性の低いトコフェロールおよびそれらのエステル、特にα−トコフェリルアセテート、は、視覚に影響を及ぼすことなく、1回の適用で1週間まで薬剤の持続的放出がもたらされる局所用点眼製剤において薬剤を送達するための製剤における賦形剤として使用されてきた。即ち、本発明のトコフェロールとしては、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、トコフェロール異性体およびそれらのエステル、およびα−トコフェリルアセテート等のトコフェリル異性体アセテートが挙げられる。本発明において有用なトコフェリルエステルとしては、dl−α−トコフェリルアセテート等の、C1〜C4直鎖および分岐鎖の脂肪族カルボン酸とのトコフェリルおよびトコトリエニルエステルが挙げられる。
【0021】
トコフェロールおよびトコトリエノールは合成化学反応により製造することができ、またはこれらをパーム油等の天然の供給源から得ることができる。この点に関して、生物学的に再生可能で認証された生物資源から得ることができる。トコフェロールおよびトコトリエノールは、例えば、Sigma-Aldrich Corp. (St. Louis, MO)、MP Biomedicals (Solon, OH)または富士化学工業(富山県中新川郡)から商業的に入手可能である。完全に合成したdl−トコフェロールまたはdl−トコフェリルアセテートは、DSM (Heerlen, Netherlands)またはBASF Corp. (Ludwigshafen am Rhein, Germany)から入手可能である。さらに、メチル基を付加して、一般的な天然のβ−、γ−およびδ−トコフェロール異性体をα体に変換してd−α−トコフェロールを得ることにより製造される半合成の「天然源」ビタミンEが、Archer Daniels Midland Co. (Decatur, IL), and Cargill, Inc. (Wayzata, MN)から入手可能である。
【0022】
トコフェロールは他の薬剤の送達のための点眼製剤の成分として、またはCDEの処置のための製剤におけるいくつかの他の成分と組み合わせて用いられているが、トコフェロールはCDEの軽減に、それ自体としては用いられていない。さらに、ビタミンEは化学的に誘発された白内障の予防に関して研究されているものの(Nagata et al., 15(4) J. Ocul. Pharmacol. Ther. 345-50 (1999); Kojima et al., 43 Invest. Ophthalmol. Visual Sci. 43:1116-20 (2002))、ビタミンEが単独の医薬成分であるCDEの処置のための点眼薬は商業的に開発さされていない。さらに、CDEの持続的処置のためのトコフェロールの開発はされていない。より具体的には、例えば、ビタミンEの解析および一日5回を毎日9週間の処置を用いた白内障。Nagata et al., 1999。
【0023】
さらに、本発明の簡素な点眼薬製剤は、さらなる活性成分および/または添加剤によって引き起こされる副作用がない。このアプローチはまた、原価、品質管理および品質保証の面で比較的費用がかからない。
【0024】
本発明の方法および組成物は、ドライアイの症状の長時間持続する軽減をもたらす。例えば、α−トコフェリルアセテート1滴を患者の片眼に点眼すると、軽減が少なくとも約1日乃至少なくとも約4日もたらされる。本発明の医薬を用いたドライアイの症状の軽減は1日、一週間、数週間持続し得る。例えば、本発明の医薬を用いたドライアイ症状の軽減は、少なくとも1日、少なくとも数日、少なくとも1週間、少なくとも2週間または少なくとも3週間持続する。
【0025】
理論に束縛されることなく、本発明の点眼薬製剤を眼に投与すると、その点眼薬中のトコフェロールが水および涙中に存在する他の等張水性溶液を吸収し、これが、水性成分の吸収と水性成分の眼表面への放出の両方を行ってドライアイの症状を緩和するリザーバとして作用する。例えば、トコフェリルアセテートは水性成分を約0.5%吸収することができ、必要な場合には涙を提供する潤滑ビークルとして作用し得る。このようにして、水性成分は、点眼後に吸収されるin vivo涙と、トコフェロール点眼製剤に添加される水または生理食塩水等の水性添加剤成分を包含する。本発明の一実施形態では、点眼薬は99.5%トコフェロールまたはトコトリエノール(例えば、α−トコフェリルアセテート)である。
【0026】
さらに、トコフェロール製剤の水性成分は、TPGS(ポリエチレングリコール1000[PEG1000]でエステル化したα−トコフェリルサクシネート)等のさらなるトコフェロール乳化剤、FDA認可の親油性α−トコフェロールの使用により約0.5%を超える量まで増加することができる。TPGSをトコフェロール製剤(dl−α−トコフェリルアセテート等)に使用して水性成分を約0.5%(wt)を超える量まで増加させることができる。例えば、乳化剤としてTPGSを約2.5%で添加し、生理食塩水およびα−トコフェリルアセテート(EA)の安定な混合物を約1:2〜1:4(生理食塩水:EA)の範囲の比率で製造し得る。同様に、TPGSを乳化剤として約2.5%で添加し、生理食塩水およびα−トコフェリルアセテート(EA)を安定な製剤中で約1:2〜1:4(生理食塩水:EA)の範囲の比率で製造し得る。したがって、これらの製剤は約70%〜約80%EAを含有してなる。これらのエマルジョンは安定であり、点眼薬を含め局所用製剤として適当である。
【実施例】
【0027】
実施例1.α−トコフェニルアセテートの局所適用
ボランティア1名の右眼にα−トコフェリルアセテート1滴(約5μL)を点眼した、別のボランティアには両眼それぞれに点眼した。彼らはアウトドアのライフスタイルに活動的な人たちであり、それぞれドライアイに伴う症状がある。刺激や眼のかすみは報告されなかった。いずれのボランティアも、この間α−トコフェリルアセテートの反復適用なしで数日間ドライアイの症状が軽減されたと報告した。どちらのボランティアもドライアイの症状の軽減が少なくとも1日持続したと報告した。一方のボランティアは、少なくとも7日間軽減が持続したと報告した。
【0028】
実施例2.コンタクトレンズ装着者におけるCDE症状の軽減
女性ボランティア(53歳)は、夜にα−トコフェリルアセテートを片眼または両眼に点眼し、図1に示すように、刺激と快適性について1〜10(最大の刺激「1」、最大の快適性「10」)のスケールを用いて報告した。1〜5日目は、右眼だけに点眼した。再度点眼するまで5日間快適であった。この人は、毎日は点眼しなかったが、比較的楽にコンタクトレンズの装着が可能であった(30〜38日)。
【0029】
実施例3.α−トコフェリルアセテートを1滴投与したウサギの涙中のα−トコフェリルアセテートの持続的放出
それぞれ体重が4.5kg〜5.0kgの4羽の成熟したニュージーランドホワイト(NZW)ラビット(雌2羽、雄2羽)を本実施例に用いた。α−トコフェリルアセテート(各3.6mg、3.9mg、5.4mg)を各動物の片眼に注入した。涙のサンプルを毎日濾紙で回収し、秤量し、MeOH300μLで抽出し、LC/MS/MSによりトコフェリルアセテート(EA)について分析した。7日間での検出された涙のEAレベルは、15μg/mL〜36μg/mLの範囲で、平均は26μg/mL(26,000ng/mL)であった。図2参照。ウサギの眼の円蓋部(cul-de-sac)におけるEAの検出可能なレベルが7日間を超えて持続し得る。
【0030】
実施例4.トコフェロール/水エマルジョンからの水の蒸発
α−トコフェリルアセテート(EA)、d−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000サクシネート(TPGS)および水の混合物を、表1に示す比率で調製し、秤量し、20mL容のガラス製バイアルに入れた。バイアル#1〜#6にそれぞれキャップをし、2分間音波処理して安定なエマルジョンを得た。次いで、#1〜#8のバイアルはキャップせずに周囲の条件下で9日間放置した。#1〜#6のバイアルはすべて安定であった。次いで、すべてのバイアルを秤量し、喪失した(水)重量を測定した。EAのみを含有するバイアル#8は重量の損失はなく、水を含有する他のバイアルは水の蒸発により重量の損失を示した。結果を図3に示す。
【表1】

【0031】
別の試験では、α−トコフェリルアセテート(EA)中に持続して安定に吸収される水または生理食塩水の濃度を試験した。同体積の水または0.9%生理食塩水をEAとともに、密閉したバイアルに30℃にて静置した。30℃にて空気中に開口し、得られたEA+吸収された水性物質のサンプルを何回か採取し、一定の重量になるまで蒸発による水の損失により水分量を分析した。30℃で密閉したバイアル中の水または生理食塩水に対するEAの12時間の暴露後、EA中に吸収された水溶液の量が最大に達した。得られた値は、水の吸収0.3%、生理食塩水の吸収0.6%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも約70%のトコフェロールまたはトコトリエノールを含有してなる、ドライアイの症状の軽減のための点眼薬であって、該点眼薬の1回の投与でドライアイの症状が少なくとも約1日軽減される点眼薬。
【請求項2】
実質的にトコフェロールまたはトコトリエノールからなる、ドライアイの症状の軽減のための点眼薬であって、該点眼薬の1回の投与でドライアイの症状が少なくとも約1日軽減される点眼薬。
【請求項3】
前記トコフェロールまたはトコトリエノールが、C1〜C4直鎖または分岐鎖の脂肪族カルボン酸との、トコフェリルおよびトコトリエニルエステル、およびトコフェロール、トコトリエノールおよびそのエステルのd、l、dl異性体からなる群から選択される請求項1または2記載の点眼薬。
【請求項4】
前記トコフェリルがα−トコフェリルアセテートである、請求項1〜3のいずれかに記載の点眼薬。
【請求項5】
前記点眼薬がさらに水性成分からなる、請求項1〜4のいずれかに記載の点眼薬。
【請求項6】
前記水性成分が前記点眼薬の約0.5%である、請求項5記載の点眼薬。
【請求項7】
前記水性成分が前記点眼薬の約0.5%を超え、前記点眼薬がさらに乳化剤を含有する、請求項5または6記載の点眼薬。
【請求項8】
前記乳化剤が、d−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000サクシネート(TPGS)である、請求項7記載の点眼薬。
【請求項9】
水性成分:トコフェロールの比率が約1:2〜約1:4であり、約2.5%で乳化剤を添加して調製される、請求項7または8記載の点眼薬。
【請求項10】
ヒトにおけるドライアイの症状を処置するための医薬としての請求項1〜9のいずれかに記載の点眼薬の使用。
【請求項11】
少なくとも約70%のトコフェロールまたはトコトリエノールを含有してなる点眼薬をドライアイの症状を有する患者の眼に局所投与することを含んでなる、ドライアイ症候群の症状を軽減する方法であって、該点眼剤の1回の投与でドライアイの症状が少なくとも1日軽減される方法。
【請求項12】
前記トコフェロールまたはトコトリエノールがα−トコフェリルアセテートである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記トコフェロールまたはトコトリエノール点眼薬がさらに約0.5%の水性成分からなる、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記水性成分が前記点眼薬の約0.5%を超え、前記点眼薬がさらに乳化剤を含有する、請求項11または12に記載の方法。
【請求項15】
前記乳化剤が、d−α−トコフェリルポリエチレングリコール1000サクシネート(TPGS)である、請求項14記載の点眼薬。
【請求項16】
前記点眼薬が、水性成分:トコフェロールの比率が約1:2〜約1:4であり、約2.5%で乳化剤を添加して調製される、請求項14または15記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−505244(P2012−505244A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531214(P2011−531214)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/060200
【国際公開番号】WO2010/042843
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(507103226)ラムズコア, インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】