説明

ドライタッチ湿気硬化組成物およびそれから製造された製品

シーラントおよび接着剤として有用なドライタッチの湿気硬化の組成物であり、反応性変性メチレンジイソシアネートポリマー成分を含み、このポリマーの約8重量%から約18重量%のイソシアネート官能基を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、ドライタッチ形態(ドライな触感タイプ)の硬化性接着剤およびシーラント組成物に関する。より具体的には、本発明は、変性メチレンジイソシアネートプレポリマーを組み込んだドライタッチの接着剤およびシーラント組成物に関し、特にネジ固定およびシーリング用途に有用であり、ドライタッチのテープおよびガスケットなどの様々な製品形態を含む湿気硬化組成物を提供する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の簡単な説明)
ナット/ボルト組立品のようなネジ式機械的締結具の使用において、そのような締結具の構成部品をネジ締めでかみ合わせる場合、その部品を固定および/またはシールする目的で、ネジ締めでかみ合わせるその表面の1つ以上にネジ固定組成物と呼ばれる接着剤/シーラント組成物を塗布するのは普通のことである。
【0003】
当該技術分野において公知であるネジ固定組成物は、共反応性接着剤システムを含む。この種のネジ固定システムについては、2種以上の成分が混合された後、得られた組成物を締結具のネジかみ合わせ表面(単数または複数)に塗布して、その表面上でネジ固定組成物中の成分が反応して硬化する。そのような共反応性システムの例としては、エポキシ樹脂接着剤組成物が挙げられる。
【0004】
液体接着剤組成物はシーリングおよびネジ固定用途で長く使用されてきて、組立品製造、さらには機械、道具などのメンテナンスにおいて標準的な部材になった。これらの用途で通常使用される液体接着剤組成物の内には、嫌気組成物がある。これらの1パート組成物は優れたネジ固定およびシーラント特性を提供し、それが空気の非存在下で硬化する部品間に配置されるまで安定している。さらに、これらの組成物はボトル中に保存の間、長い期間安定している。
【0005】
従来の液体嫌気性ネジ固定剤、同じように従来の非流動性、チクソ性嫌気ベースのネジ固定剤の使用には、付随するいくつかの他の欠点がある。1つの追加の欠点は、そのような組成物が大きな間隔全体を硬化することができないことである。別の欠点は、それらの嫌気的性質が故に、部品に塗布されて空気に曝されたままの接着剤部分は硬化しないことである。例えば、ナットおよびボルト組立品上の空気に曝されている外側接着ラインは、確実に硬化するための追加の添加物および硬化手段が取られない場合、液体を維持したままである。その結果、外側接着ラインでの液体組成物は移動する傾向がありうる。従来の非流動性組成物では、それらの非流動性は組成物のチクソ性および/またはレオロジー特性によって決まるあが、これらの組成物は温度が充分に高いと流れる。さらに、非硬化材料は、環境との相互作用でそのような組成物から容易に抽出される可能性がある。組成物からのそうした成分の浸出は、周囲に対する汚染問題および有害な状況を引き起こしうる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
表面に依存せずネジ固定用途に特に有用な反応性組成物であって、先行技術の組成物の欠点を克服する組成物を提供することは、反応性ネジ固定剤およびシーラントの分野で著しく役立ち、顕著な進歩であろう。また、コスト効率が良く、ドライタッチの塗布するのが容易である組成物を提供して、従来のネジ固定組成物に付随する欠点を克服することが要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、対になってかみ合いが可能な構造用部品、例えば、ネジ固定またはボルト/ナット組立品の接着剤による固定のためにもしくは保持用途のために有用な組成物に関係し、それによって構造用部品は最終の接合状態でかみ合わせられたとき接着剤で接合され、シールされる。本発明は、反応性接着剤/シーラント組成物に幅広く関係し、対になってかみ合わせられるネジ式機械的締結具の表面をネジ固定するために、または対になってかみ合わせられる他の構造部品を接着剤で接合するために特に実用性を有する。より具体的には、約8%から18%のNOC含量を有する変性メチレンジイソシアネートポリマー(変性MDI)を使用する湿気硬化組成物は、室温で48−72時間の硬化時間内で改善された分離/プリベイル強度(break/prevail強度)、さらには高い温度(120°F)で、改善された分離/プリベイル強度を有するドライタッチのシーラントおよび接着剤を作り出すことが見いだされた。
【0008】
1つの実施形態では、対になったネジ付き部品を硬化する方法が提供され、以下のステップ:(a)(i)湿気硬化性ポリマーであって、このポリマーの約8重量%から18重量%、より望ましくは約16重量%から18重量%のNCO含量を有する湿気硬化性ポリマー、(ii)湿気硬化触媒、および(iii)強化フィラーを含む、組成物を提供するステップ;(b)前記組成物をネジ付き部品に塗布するステップ;(c)ネジ付き部品を別のネジ付き部品と対にするステップ;および(d)前記組成物を湿気硬化させるステップを含む。湿気硬化性ポリマーは、ポリエステルおよび/またはポリエーテル単位、例えば、ポリエステルまたはポリエーテル骨格で変性されたMDIポリマーであることが望ましい。
【0009】
別の実施形態では、湿気硬化性ネジ固定組成物が提供され、前記組成物は、(a)ポリエステルまたはポリエーテル変性メチレンジイソシアネートポリマーであって、約30重量%から約95重量%の量で存在し、このポリマーの約8重量%から18重量%、より望ましくは約16重量%から18重量%のNCO含量を有する変性メチレンジイソシアネートポリマー、(b)湿気硬化触媒、および(c)強化フィラーを含み、ここで、前記組成物は約4から約8時間の硬化後、少なくとも約100/10インチ−ポンドの分離/プリベイル強度を与える。
【0010】
他の実施形態では、ネジ付き組立品が提供され、このネジ付き組立品は、(a)オスのネジ付き部品がメスのネジ付き部品と対になった組立品、(b)(i)湿気硬化性変性MDIポリマーであって、この変性ポリマーの約8重量%から18重量%、より望ましくは約16重量%から18重量%のNCO含量を有する変性MDIポリマー、(ii)湿気硬化触媒、および(iii)強化フィラーを含む、ネジ固定組成物を含む。
【0011】
本発明のシーラント組成物は、対に合わされた部品の接着ラインの「内側」および「外側」両方を硬化するのに特に有効であることが示された。用語、接着ライン「内側」は、空気に曝されない対領域、用語、接着ライン「外側」は、対に合わされた接合内ではない領域を意味する。本発明の組成物は、表面非反応性、ドライタッチ性、水および溶媒への非抽出性があり、および約0.05nmから約10.0nmの大きな間隔全体を硬化する[cure through gap(CTG)]能力を提供するという、特に有利な特性を有することが示されてきた。これらおよび他の利点は、本発明を実施する当業者には理解されると考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(発明の詳細な説明)
本発明は、対になってかみ合わせられるネジ式機械的締結具の表面をネジ固定するために、または対になってかみ合わせられる他の構造部品を接着剤で接合するために特に実用性を有する反応性接着剤/シーラント組成物に幅広く関する。本発明の組成物は、湿気硬化性変性(MDI)ポリマー(またはプレポリマー)であって、一般に、このポリマーの約8重量%から18重量%のNCO含量を有するポリマー、湿気硬化触媒および強化フィラーを含む。ある実施形態では、NCO含量は、MDIが生成される反応からの残存する量である。ある実施形態では、湿気硬化性ポリマーはポリエステル変性MDIである。そのようなポリマーは、ポリエステル/ウレタン骨格を有する硬化されたポリマーを与えることができる。ポリマーが、反応し残存NCO含量を含み、かつドライタッチの湿気硬化を可能にする限りにおいて、様々な骨格がポリマー中に存在してよい。本組成物は、室温、4〜72時間の硬化時間内で約90/10から約300/10インチ−ポンド(in−lbs)の範囲の分離/プリベイル特性を与えることが望ましい。
【0013】
ある実施形態では、変性MDIはポリエーテル変性MDIである。そのようなポリマーは、ポリエーテル/ウレタン骨格を有する硬化ポリマーを与えることができる。ネジ固定用途で使用される場合、本組成物は部品間の領域、ならびに空気に曝されている接着ライン領域(すなわち、部品間には閉じ込められていない)で硬化されるという利点を有する。これは従来の嫌気ネジ固定組成物に優る明確な利点であり、従来組成物は、本来、接着ライン外側(すなわち、空気への暴露)の硬化が阻害される。適したネジ固定用途は、ナットとボルト間の接続、歯車、止め輪、または他の嵌合可能な部品が挙げられる。ネジ固定組成物に関して本明細書に記載されているが、本発明の組成物は、また様々な他の方法、例えば、パッチングおよび/またはシーリングにおいても役立つ。さらに、独立型ガスケットのような部品も本組成物から作製されてよく、次いで後の使用のために硬化させることができる。
【0014】
本明細書で用いる場合、用語「硬化」または「硬化する」は、材料の状態、状況、および/または構造の変化、ならびに部分的なおよび完全な硬化を意味する。
【0015】
用語「活性表面」は、中に鉄または銅イオンを有するスチールのような基体または部品を示し、それらの表面に塗布された接着剤の硬化に前記イオンは役立つ。
【0016】
用語「非活性表面」は、表面に塗布された接着剤の硬化に役立つ金属イオンがない基体、例えば、亜鉛、ステンレススチールまたはプラスチックを示す。
【0017】
ドライタッチとは、タックフリーを意味する。組成物がタックフリー、ドライタッチ特性を有するかどうかを決定するための試験では、組成物の硬化表面はタルク粉でまぶされる。表面の光沢が損なわれることなく軽く擦ってタルク粉末を除去することができる場合は、表面はタックフリーまたはドライタッチであると考えられる。
【0018】
用語、湿気硬化性「ポリマー」および「プレポリマー」は、湿気によって硬化されうるポリマーを意味するために互換的に使用されてよい。湿気硬化性ポリマーは、それが硬化性ポリマーの約8重量%から18重量%の範囲の残存NCO含量を有し、および接着ライン外側(すなわち、空気への暴露)でドライタッチ硬化を可能にする限りにおいては、様々なポリマー反復基または骨格を有してよい。例えば、ポリマー骨格は、ポリエステル、ポリエーテルまたはポリエステル/ポリエーテルコポリマーから形成されてよい。あるいは、骨格は、ポリウレタン、ポリ尿素またはポリウレタン/ポリ尿素コポリマーから形成されてよい。また、ポリウレタン、ポリエステルおよびポリエーテルの様々なコポリマーが採用されてよい。
【0019】
湿気硬化性ポリマーは、ポリエステル/ポリウレタンポリマー、または変性ジイソシアネートイソシアネートとアルコールとの反応で形成されたポリエーテル/ポリウレタンであることが望ましく、それらには充分な量の過剰NCO基が存在し、そのことによって、最初に存在する全NCO基の約8%から約18%、より望ましくは約16%から18%が未反応のままで残って湿気硬化に利用される。より具体的には、有用な変性ジイソシアネートとしてはポリエステルまたはポリエーテル単位を有する変性メチレンジイソシアネート(MDI)が挙げられる。変性MDIは接着ライン外側で所望の硬化特性およびドライタッチ特性を与えることが見いだされたが、一方、他のジイソシアネート、例えば、変性トルエンジイソシアネート(TDI)および変性ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)は適切な硬化およびドライタッチ特性を生みださない。
【0020】
有用な湿気硬化性ポリウレタンの例としては、−[O−CONH−X−NH−COOR−のような反復単位を有する化合物が挙げられ、ここでXは、脂肪族または芳香族のヒドロカルビルまたはヘテロヒドロカルビルの二価基または鎖であり、nは1から25の整数である。Rは、アルケニルまたはアリーレニル基である。また、この式を有するポリウレタンは、先に議論された残存NCO含量を含むことが望ましい。
【0021】
1つの特に有用な湿気硬化性ポリマーは、Rubinate 9511MDIの登録商標でHuntsman Corporation(Houston、Texas)から販売されているプレポリマーである。この材料は、2.4の平均NCO官能価を有し、プレポリマーの約16重量%の残存NCO含量を有する変性ジフェニルメタンジイソシアネートプレポリマーとして製造業者によって記載されている。
【0022】
他の有用な湿気硬化性ポリマーとしては、Suprase 9568MDIの登録商標でHuntsman Corporation(Houston、Texas)から販売されている低粘度MDIプレポリマーが挙げられる。この材料は変性ジフェニルメタンジイソシアネートとして製造業者によって記載されており、それは2.4の平均NCO官能価を有する。他の有用な湿気硬化性ポリマーとしては、Desmodure E−23A、Rubinate 1234、Rubinate 9234およびRubinate 9272の商品名で販売されているものが挙げられる。
【0023】
プレポリマー骨格材料は、スピンドル#20を使用して室温で測定される、25℃(室温)で約1000から約4000センチポアズ(cP)の粘度を有することが好ましく、室温で約500から約25,000cPの粘度を有することが最も好ましい。プレポリマー骨格材料は、望ましくは約2から約2.5、最も望ましくは約2.4の官能価を有する。さらに、プレポリマー骨格は約100から約400、望ましくは約250から約270の範囲にある当量を有することが望ましい。
【0024】
本発明の組成物は湿気硬化性ポリマー上に残存イソシアネート基を含む。様々なイソシアネートが、過剰のイソシアネート基を有する湿気硬化性ポリマーの製造で採用されてよい。残存NCO基は骨格の形成で使用された特定のイソシアネート化合物の結果であってよい。例えば、存在するポリウレタン基またはセグメントを有する場合、そのような骨格はアルコール化合物とイソシアネート化合物との反応で形成されてよい。そのような場合、残存NCO基は過剰の化学量論量のイソシアネート化合物に由来し、それによって未反応NCOは形成されたポリウレタン骨格上に残ってよい。あるいは、イソシアネート基は特定の骨格にペンダントまたは末端基として付加されてよい。
【0025】
残存NCO基を有するポリウレタン骨格を形成するのに使用される有用なポリイソシアネートの例としては、ポリマー状ポリイソシアネート、例えば、一般構造:
NCO−OCR−R−CH(R−CH)n−R−NCO
に一致するものが挙げられ、ここでRは、出現ごとに同じであっても、または異なっていてもよく、ハイドロカルビル基またはヘテロハイドロカルビル基であってよく、ここでヘテロ基は、酸素、窒素または硫黄原子を含んでいてよく、nは1−20である。
【0026】
本発明の残存イソシアネートを有する湿気硬化ポリウレタンまたはポリ尿素ポリマーは、また、イソシアネートと、多官能アルコール、ポリアミン、ポリチオール、およびそれらの組合せから選択される少なくとも1種の化合物との反応生成物から形成されてよい。
【0027】
湿気硬化性ポリマーを形成するのに有用なポリイソシアネートの例としては、式:
OCN−X−NCO
に対応するものが挙げられ、ここでXは、置換または未置換C1−20炭化水素二価の基またはヘテロ炭化水素二価の基であり、ここでヘテロ原子は、O、NまたはSであってよい。Xは、アルキレンまたはアリーレン基であることが望ましい。
【0028】
湿気硬化ポリマーを形成するのに有用なイソシアネートとしては、メチレンジイソシアネート、例えば、4,4’−メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)および4,4’−ジフェニレンメタンジイソシアネートが挙げられる。変性トルエンジイソシアネートおよび変性ヘキサメチレンジイソシアネートは、典型的には、本発明の組成物において、必須のNCO含量を有することなく、および/またはドライタッチ硬化生成物を生成しないことが見いだされた。
【0029】
湿気硬化性ポリマーを形成するのに有用な、なお別の反応体としては、末端の第1級および第2級アミン基を含有するポリアミンまたは多価アルコール、例えば、グリセロール、エチレングリコール、ビスフェノール−A、4,4’−ジヒドロキシ−フェニルジメチルメタン−置換ビスフェノール−Aなどのようなアルカン、シクロアルカン、アルケンおよびシクロアルケンポリオールと、過剰量の上に記載した任意のイソシアネートとを反応させることによって得られるものが挙げられる。
【0030】
湿気硬化性ポリマーを形成するのに有用なアルコールとしては、3から7つのエチレンオキシド反復単位を有し、エーテルまたはエステルで停止された1つの末端を有するポリエチルグリコールエーテル、ポリエーテルアルコール、ポリエステルアルコール、ならびにポリブタジエンをベースとするアルコールが挙げられるが、これらに限定されない。1つの特に有用なアルコールは、1,4−ブタンジオールである。追加の有用なアルコールとしては、ひまし油、グリセリン、ポリエチレングリコール、エーテルジオール、エチレングリコール、カプロラクトンポリオールおよびそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
本発明の接着剤組成物は、室温で湿気の存在下で硬化することができる。本明細書で記載された組成物は、塗布後、約4から約8時間で充分に硬化される。さらに、本明細書で記載された組成物は、約48から約72時間後に完全に硬化され、ネジ式接続の寿命全体に渡って有効なシールを維持するのに充分安定である。硬化された組成物は、組成物がその上に接着されて硬化される特定の材料に依存して、100/10から300/100の分離/プリベイル強度(インチ・ポンド)を有することが望ましい。
【0032】
本明細書で記載された1パート湿気硬化性組成物は、表面非感受性であり、従って様々な表面に接着して硬化されることができる。例えば、本組成物は金属基体、例えば、スチール、ステンレススチール、亜鉛、重クロム酸塩、カドミウム、鉄などに接着されてよく、またはプラスチックまたはポリマー基体に接着されてよい。
【0033】
本発明の組成物は、必須のNCO含量を含む湿気硬化ポリマー成分を含み、このポリマーは、全組成物の約30から約95重量%の量で存在する。
【0034】
さらに、本明細書で記載された組成物は強化フィラーを含む。そのようなフィラーは、炭酸カルシウム、有機錫および亜鉛化合物、酸価アルミニウム、水和化アルミナおよびシリカなどを含めて、強化をもたらすことができる広く様々な材料から選択されてよい。他の強化特性は、炭素、ガラス、ケブラーおよびナノ有機または無機強化材料を添加することによって達成される。そのような強化フィラーは任意の有用な量で存在してよく、組成物の約5から約50重量%、望ましくは約10%から約30重量%の量で存在することが望ましい。
【0035】
本発明の組成物は、さらに様々な追加の成分、例えば、粘度改質剤、顔料および着色剤、可塑剤、安定剤、湿気捕捉剤、および他の添加物を、それらの意図された目的を達成するための適した量で含んでいてよい。本組成物は、他の添加物、例えば、潜在性アミン、例えば、市販品で入手可能な製品HardenerOZ[Bayer Material Science(Pittsburgh、PA)によって販売されているポリウレタンビスオキサゾリンをベースとする潜在性脂肪族ポリアミノアルコール]を含んでいてよい。潜在性アミンは、組成物の約0.1から約10重量%、望ましくは約0.1から約1.0重量%の量で存在してよい。
【0036】
本明細書で記載された組成物は、組成物の約0.1から約10.0重量%の量で存在する1種以上の「湿気捕捉剤」を含んでいてよい。そのような湿気捕捉剤としては、アルカリ金属、ケイ酸塩、そのようなケイ酸塩から形成された分子状シロールが挙げられる。また、実用的に重要なのは、加水分解反応によって水を除去することができるオルト−エステル材料である。
【0037】
本明細書で記載された組成物は、追加的に1種以上の湿気硬化触媒を含んでいてよい。有用な湿気硬化触媒としては、典型的には、チタン、錫、ジルコニウム、およびそれらの組合せから選択される金属塩が挙げられる。適した湿気硬化触媒としては、チタン酸塩、例えば、テトライソプロピルオルトチタネートおよびテトラブトキシオルトチタネート、ならびに金属カルボキシレート、例えば、ジブチル錫ラウレートおよびジブチル錫ジオクトエートを含めて、有機−金属触媒が挙げられる。
【0038】
非限定的な湿気硬化触媒の例としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫マレエート、ジアルキル錫ヘキソエート、ジオクチル錫ジラウレート、鉄オクタノエート、亜鉛オクタノエート、鉛オクタノエート、コバルトナフテネート、テトラプロピルチタネートおよびテトラブチルチタネートが挙げられる。他の有用な湿気硬化触媒、例えば、米国特許第4,111,890号公報に開示されたものも採用されてよく、参照により本明細書に組み込まれる。湿気硬化触媒が存在する場合、それは硬化を生じさせるのに充分な任意の量、望ましくは組成物の約0.1から約10重量%の量で組み入れてよい。
【0039】
他の有用な添加物としてはp−トルエンスルホニルイソシアネート(触媒)、さらにはBYK−500の名前で販売(BYK Chemie、Germany)されている市販品で入手可能な添加物が挙げられる。
【0040】
本明細書で記載された組成物は、様々な対になる部品を接着および/またはシールするために使用されてよい。1つの方法において、前記の組成物が製造される。接続される2つの部品が提供され、その部品の1つが他の部品とかみ合って接続を形成するように設計されている。製造された組成物は部品の少なくとも1つに塗布され、その組成物は、接着ライン内側または接着ライン外側のいずれか一方、もしくは両方であってもよい領域上に少なくとも部分的に塗布される。次いで2つの領域は共に対にされて組成物を湿気硬化させる。ある実施形態では、2つより多い部品が共に接続されてよい。ある実施形態では、部品はネジが付けられ、オスのネジ付き部品およびメスのネジ付き部品を含み、それらは対となって接続されるように設計されている。これらの実施形態では、組成物はオス部品またはメス部品のいずれか一方、もしくは両方に塗布されてよい。
【0041】
本組成物は、任意の所望の時間硬化させることができ、ある実施形態では、組成物は約4から約8時間で硬化強度の進行が始まる。ある実施形態では、組成物は24時間硬化させ、他の実施形態では、組成物は48から72時間硬化させられる。組成物は望ましくはほぼ室温で硬化されるが、しかし組成物はそれより高い温度またはそれより低い温度で硬化させることができる。硬化すると組成物は、対になった部品の空気に曝されている領域(すなわち、接着ライン外側)でドライタッチになる。
【0042】
上で議論されたように、硬化された組成物は、望ましくは活性表面上でこれまでのネジ固定組成物に匹敵するかまたはより高い分離/プリベイル強度を有し、非活性表面上ではより高い強度を有する。硬化された組成物は、室温で24時間の硬化後、少なくとも約100/10in−lbの分離/プリベイル強度を有することが望ましい。組成物が塗布された後、ネジ付き部品は接続され、組成物は硬化させられ、得られた組立品は優れた強度を示しそしてネジ付き部品(単数または複数)に作用する高レベルの力の行使によってのみ分離されうる。接着ラインの領域またはその外側の領域は、硬化されたときドライタッチである。
【0043】
本明細書で記載された組成物は、下記の非限定的な実施例によってさらに理解されうる。
【実施例】
【0044】
<実施例1>
本発明のネジ固定組成物A−Dを製造し、2種の市販品で入手可能なネジ固定組成物と比較した。これらの組成物の各々を、スチール(ステンレススチールおよび亜鉛ナットおよびボルト)に関して、表にリストされた様々な条件下で試験した。比較データを下に示す。
【0045】
【表1】

【0046】
ステンレススチール、亜鉛およびプラスチックを含めて様々な材料から作製されたナットおよびボルトに組成物を塗布し、それらの異なった基体表面上での硬化能力およびネジ固定強度を与える能力(基体感受性)を試験した。比較の嫌気製品は表面反応性であり、基体の種類によって、例えば、鉄または銅イオン(スチール)を含有する基体は、ステンレススチール、亜鉛またはプラスチック表面とは対照的に、硬化させる能力および強度を進行させる能力に影響を及ぼすことを意味する。嫌気組成物は、硬化に対してはレドックス反応に依存し、従って、鉄または銅を含有する表面でより機能する。本発明の組成物は、硬化機構に対しては基体に依存せず、それ自体は基体非感受性(基体に鈍感)である。
【0047】
すべての組成物を、接着ラインでドライタッチであるかどうかについて試験した。市販品で入手可能な嫌気ネジ固定組成物(組成物1および2)はどれも接着ラインでドライタッチでなかった。本発明の組成物は接着ラインでドライタッチである。
【0048】
ナットおよびボルト組立品の分離/プリベイル試験を実施し、試験の結果を表1に説明する。本発明の組成物は、スチールに関する試験の場合、市販品の入手可能な嫌気製品の結果より高いまたは同じのいずれかを示した。しかしながら、ステンレススチールおよび亜鉛(非活性表面)に関する試験の場合、本発明の組成物は表に示すように著しく高い分離/プリベイル強度を示した。さらに、121℃および150℃で2週間加熱老化した場合も、市販品で入手可能な嫌気製品と比較して、同じ基体に関する分離/プリベイル強度は著しく高かった。市販品のネジ固定剤と比較して、分離/プリベイル強度は121℃および150℃で劇的に高く(約50%)、49℃、95%RHで老化した試料は同様に高く、加熱老化による強度の損失を示さなかった。
【0049】
<実施例2>
各々、脚注に記載したポリマー骨格、および表2に特定したNCO含量範囲を有する異なった分子量の湿気硬化性ポリマーのシリーズを評価した。これらのポリマーを使用して、この一般組成(全組成物の重量%)に一致する組成物を作製した:
湿気硬化性ポリマー30−95%
潜在性アミン 0.5−10%
強化フィラー 5−50.0%
湿気捕捉剤 0.1−10%
【0050】
【表2】

【0051】
上で見ることができるように、変性MDIポリマーを含有し、湿気硬化に利用できる約8%から18%のNCO含量を有する本発明の組成物は、接着ラインでまたはその外側でドライタッチ特性および高い分離/プリベイル強度を有することをデータは指示した。そのような本発明の組成物は、8%から18%の残存NCO含量を有する湿気硬化ポリマーを使用していない配合物と比較して、より望ましいネジ固定およびシーラント性能を提供した。さらに、このNCO範囲外の組成物は劣った強度か、劣った反応性(硬化されない)のいずれか一方、またはその両方を示した。例えば、組成物C、FおよびGは、8%から18%の範囲のNCO含量を与ない変性ジイソシアネートプレポリマーから作製した結果、適切な強度を与えるための充分な湿気硬化をもたらさなかった。この表が示すように変性MDIから作製され、8%から18%のNCO含量を有するポリマーおよびプレポリマーは試験基体上で良好に機能し、硬化した時点で空気中でドライタッチであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対になったネジ付き部品を硬化する方法であって、
(a)(i)湿気硬化性変性メチレンジイソシアネート(MDI)ポリマーであって、前記ポリマーの約8重量%から18重量%の残存NCO含量を有するポリマー、
(ii)湿気硬化性触媒、および
(iii)強化フィラー
を含む組成物を提供するステップ、
(b)前記組成物をネジ付き部品に塗布するステップ、
(c)前記ネジ付き部品を他のネジ付き部品と合わせて対にするステップ、および
(d)前記組成物を湿気硬化させるステップ、
を含む方法。
【請求項2】
前記湿気硬化性ポリマーが、約16重量%から約18重量%のNCO含量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記湿気硬化性ポリマーが、ポリエステル変性MDIである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記湿気硬化性ポリマーが、ポリエーテル変性MDIである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記湿気硬化性ポリマーが、前記全組成物の約30重量%から約95重量%の量で存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記分離/プリベイル値が、室温で48時間の硬化後、少なくとも90/10in−lbである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物が、対になったネジ付き部品の空気に曝された領域でドライタッチである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記組成物が、 室温で約1000から約4000cpsの粘度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
湿気硬化性ネジ固定組成物であって、
(a)ポリエステルまたはポリエーテルポリマーであって、前記ポリマーの約16重量%から約18重量%の残存NCO含量を有するポリマー、
(b)湿気硬化触媒、および
(c)強化フィラーを含み、
ここで前記組成物は、120℃、4から8時間の硬化で100/10in−lbの分離/プリベイル強度を提供する、組成物。
【請求項10】
少なくとも100/10の前記分離/プリベイル強度が、室温で24時間の硬化後に達成される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記ポリマーが、前記全ポリマーの約30重量%から約95重量%の量で存在する、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
ポリマーが、室温で約1000から約3000cpsの範囲の粘度を有する、請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
(a)メスのネジ付き部品と対になったオスのネジ付き部品組立品、
(b)(i)湿気硬化性変性メチレンジイソシアネートプレポリマーであって、前記ポリマーの約8重量%から約18重量%の残存NCO含量を有するポリマー、
(ii)湿気硬化触媒、および
(iii)強化フィラー
を含むネジ固定組成物
を含む、ネジ付き組立品。

【公表番号】特表2012−504180(P2012−504180A)
【公表日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−529294(P2011−529294)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/058517
【国際公開番号】WO2010/039622
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(500538520)ヘンケル コーポレイション (99)
【氏名又は名称原語表記】HENKEL CORPORATION
【Fターム(参考)】