説明

ドライブレコーダ及びそのデータ読出装置

【課題】 本発明は、プライバシー機能を高めたドライブレコーダの提供を目的とする。
【解決手段】 車両に搭載されて車両に関する各種の車両データをメータ5やECU6,7から取得して記録するダイアグレコーダ1が有するハードディスク1dと、車両から脱着可能で携行可能なメモリカード3とを備え、前記車両データが生じたときの車両位置情報として車両ユーザが任意で決めた基準点に対する相対位置情報をハードディスク1dに記録し、前記基準点の絶対位置情報をメモリカード3に記録することを特徴とするドライブレコーダ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に関する各種の車両データを記録するドライブレコーダ及びそのデータ読出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両内の診断対象装置が動作しているときにその動作状態を示す診断用の情報を定期的に収集し、その収集した診断用の情報を解析して診断対象装置の動作状態を診断する車両用診断装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この車両用診断装置は、収集された診断用情報をカーナビゲーション装置の記憶装置に蓄積し、蓄積された診断用情報の解析により得られた診断対象装置の診断結果をカーナビゲーション装置の表示装置に表示させるようにしている。
【特許文献1】特開2004−9878号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、修理工場や車両メーカー等が記憶装置に蓄積された情報を後から解析しやすいようにするため、上述の従来技術のような動作状態を記憶可能なドライブレコーダが、カーナビゲーション装置の機能を用いて取得された緯度や経度のGPS(Global Positioning System)データや時刻等とともに診断対象装置の動作状態を記憶できるようにしたり、GPSデータや時刻等とともに診断結果を表示装置に表示できるようにしたりすることがある。
【0004】
しかしながら、緯度や経度の絶対座標や時刻を記憶装置に記憶させたり、表示装置に表示させたりすると、車両ユーザの過去の行動を第三者が特定しやすくなってしまい、プライバシーが保たれないおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、プライバシー機能を高めたドライブレコーダの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一局面によれば、
車両に搭載されて車両に関する各種の車両データを記録する第1の記憶手段と、
車両から脱着可能な第2の記憶手段とを備え、
前記車両データが生じたときの車両位置情報として所定の基準点に対する相対位置情報を前記第1の記憶手段に記録し、前記基準点の絶対位置情報を前記第2の記憶手段に記録することを特徴とするドライブレコーダが提供される。ここで、前記第2の記憶手段は、車外に備えてもよく、例えば、データを一括管理するデータセンサでもよい。前記車両データには、例えば、故障診断用情報が挙げられる。
【0007】
本局面では、車両に搭載される第1の記憶手段には車両位置の特定が可能となる絶対位置の情報を記録せずに所定の基準点に対する相対位置の情報を記録し、車両から脱着可能な第2の記憶手段には第1の記憶手段には記録されないその所定の基準点の位置情報を記録する。したがって、車両から第2の記憶手段を取り外すことにより第2の記憶手段に記録された絶対位置情報を第三者が利用できない状態にすることによって、車両ユーザが過去に行動した位置を第1の記憶手段に記録された位置情報をもとに第三者が特定することはできなくなる。
【0008】
また、前記基準点は、基準点を指定するユーザからの指示情報に基づいて決められることが好適である。これにより、車両ユーザが任意に決めた基準点の位置情報が記録可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、プライバシー機能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。図1は、本発明のドライブレコーダを適用したシステム構成の一例を示す図である。本システムは、ダイアグレコーダ1、メモリカードリーダ/ライタ2(以下、「リーダライタ2」という)、メモリカード3、データ読出装置100を有している。
【0011】
ダイアグレコーダ1は、車両に搭載されて車両に関する各種の車両データを所定の周期で取得し記録する車載装置である。例えば、車載機器の動作状態や故障状態等を示す車両データを記録しておくことによって、後に車両の動作解析や故障解析をする際にその記録された車両データを有効活用できる。すなわち、故障診断用情報(ダイアグ情報)である。故障診断用情報には、例えば、各車載機器の故障内容を示すダイアグコード、各車載機器が持つRAMのRAM値、車速センサや加速度センサ等の車載センサによるセンサ値、車外の画像データが挙げられる。
【0012】
ダイアグレコーダ1は、通常、車両に搭載された状態のまま車両データを記録することになるが、動作解析や故障解析をする際には車両から取り外しできるように取り付けられている。
【0013】
ダイアグレコーダ1は、車両バス9から車両データを取得可能にする接続インターフェースである入力部1a、演算・制御を行う中央処理演算装置(CPU)を有する処理部1b、揮発性メモリ1c(以下、「RAM1c」という)、書き込み・消去可能な不揮発性メモリ1d(以下、「ハードディスク(HD)1d」という)を有している。処理部1bによる処理動作によってダイアグレコーダ1が全体として動作する。なお、詳細は後述するが、RAM1cにはメモリカード3に記録された絶対位置情報が転記され、HD1dには処理部1bによって処理されたデータが記録される。
【0014】
ダイアグレコーダ1が接続される車両バス9には、ナビゲーションシステム4(以下、「ナビ4」という)、メータ5、複数の電子制御ユニット6,7(以下、「ECU6,7」という)が接続されている。
【0015】
ナビ4は、GPS受信機によるGPS衛星からの受信情報に基づいて、車両位置を特定できる装置である。ナビ4は、車両バス9を介して、ダイアグレコーダ1に車両位置情報を提供する。車両位置情報は、GPSデータにより求められた絶対位置情報であって、例えば、緯度と経度からなる絶対位置座標により規定される。
【0016】
ナビ4は表示装置4aを有している。表示装置4aは、ユーザと車載機器との情報のやり取り行うことができるユーザインターフェースである。表示装置4aは、車両位置や地図情報等のナビゲーション情報をユーザに提供する一方で、ナビゲーションメニューを表示してユーザからのメニュー選択や指示内容をタッチスイッチ等で受け付け、各車載機器にナビ4を介してユーザからの受け付け内容に応じた制御信号を送信する。なお、符号4aの装置は、ユーザインターフェースという意味で、ナビ4が有する表示装置に限らず、ナビ4と独立した表示装置や、スピーカ等の音声情報を提供する装置や、ユーザの指示情報を音声で受け付ける音声認識装置や、ユーザの指示情報を文字入力で受け付ける文字認識装置でもよい。
【0017】
メータ5は、車両バス8につながるECU6,7から車両データを取得し、保存する構成を有している。メータ5は、乗員に車両データ(その一部を挙げるならば、ダイアグコード、車速情報、エンジン回転数情報、水温情報、油温情報、燃料情報等がある)を知らせるためである。メータ1は、車両バス9を介して、ダイアグレコーダ1に車両データを提供する。
【0018】
ECU7,8には、エンジンECU、ブレーキECU、車間制御ECU等が挙げられるが、ECUの制御対象は特に限定しない。ECU6,7は、車両バス9を介して、ダイアグレコーダ1に車両データを直接送信してもよい。
【0019】
メモリカード3は、リーダライタ2を介して車両に脱着可能に接続される書き込み・消去可能な不揮発性メモリである。リーダライタ2は、ダイアグレコーダ1の記録情報を読み込んでメモリカード3に書き込み可能にし、メモリカード3の記録情報を読み込んでダイアグレコーダ1に書き込み可能にする。メモリカード3は携行可能な形態であり、メモリカード3に車両データ等の情報を記録して持ち運びが可能である。
【0020】
本発明のメモリカード3には、詳細は後述するが、車両位置を特定するための所定の基準点の絶対位置情報(例えば、GPSデータにより求められた絶対位置情報)が記録される。ユーザは自宅等の任意の地点を基準点として決定することができる。絶対位置情報をメモリカード3に記録するか否かについては、また、基準点をどの地点に指定するかについては、表示装置4a等のユーザインターフェースを介したユーザからの指示情報に基づいて行われる。例えば、記録すべき基準点を「現在地点」とする指示情報の場合には、メモリカード3には現在地点に対応する絶対位置情報(例えば、絶対位置座標)が記録される。あるいは、予め登録された複数の基準点の候補がユーザに提示されて、その候補の中からユーザが選択した地点の絶対位置情報がメモリカード3に記録されるようにしてもよい。
【0021】
データ読出装置100は、メモリカードスロット101を介して、車両から取り外されたメモリカード3に記録された車両データや車両位置情報等の情報を読み出すことができる。メモリカード3から読み出された車両データや車両位置情報等の情報は、所定のデジタルデータ形式に変換されてデータ読出装置100に備えられた書き込み・消去可能なハードディスク102に記憶される。また、データ読出装置100は、ハードディスク102に記憶されたそれらの情報に基づく故障解析を行うことができる。故障解析結果はデータ読出装置100の画面上に表示されるようにしてもよい。すなわち、データ読出装置100には、コンピュータをデータ読出装置として機能させるための故障解析プログラムがインストールされている。
【0022】
それでは、本発明のドライブレコーダを適用したシステムの動作例について、図を参照しながら説明する。
【0023】
図2は、ダイアグレコーダ1が車両位置を特定するための所定の基準点の絶対位置情報をメモリカード3に記録する前処理を示すフローである。ユーザがナビゲーションシステム4の表示装置4a上で基準点の絶対位置情報の登録をするメニューを呼び出すと、絶対位置情報登録モードが立ち上がる(ステップ102)。ダイアグレコーダ1は、メモリカード3がリーダライタ2に挿入(接続)されているか否かの挿入チェックを行う(ステップ104)。メモリカード3が挿入されていなければ、メモリカード3の挿入をユーザに促すメッセージを表示装置4aに表示し(ステップ106)、挿入されればステップ104に戻る(ステップ108)。ダイアグレコーダ1は、メモリカード3内に基準点の絶対位置情報が記憶されているか否かを確認する(ステップ110)。基準点の絶対位置情報がメモリカード3内に記録されていない場合には、基準点の絶対位置の入力をユーザに促すメッセージが表示装置4aに表示される(ステップ112)。基準点の絶対位置情報を記録すべきことを指示するユーザからの指示情報が入力された場合(ステップ114)、ダイアグレコーダ1は、入力された絶対位置情報をメモリカード3に記録する(ステップ116)。
【0024】
一方、基準点の絶対位置情報がメモリカード3内に既に記録されている場合には、メモリカード3から基準点の絶対位置情報が読み取られ(ステップ118)、表示装置4aに基準点の絶対位置が表示される(ステップ120)。基準点の絶対位置の変更要求のユーザ指示情報が入力された場合(ステップ122;Yes)、ダイアグレコーダ1は、その変更された絶対位置情報をメモリカード3に記録する(ステップ114,116)。
【0025】
次に、ダイアグレコーダ1が車両データや車両位置情報等を記録する動作について説明する。図3は、ダイアグレコーダ1が車両データ等を記録するフローである。所定の車両データ記録開始条件が成立した場合(例えば、イグニッションONかつ車両データ記録許可フラグON)、ダイアグレコーダ1は、RAM1c上に基準点の絶対位置情報があるか否かを確認する(ステップ202)。RAM1c上に基準点の絶対位置情報がなければ、ダイアグレコーダ1は、リーダライタ2に対しメモリカード3に記録された基準点の絶対位置情報の送信を要求する(ステップ204)。一方、RAM1c上に基準点の絶対位置情報があれば、ステップ204はスキップされる。
【0026】
メモリカード3に基準点の絶対位置情報がある場合には(ステップ206;Yes)、ダイアグレコーダ1は、メモリカード3に記録された基準点の絶対位置情報をRAM1cに転記する(ステップ208)。一方、メモリカード3に基準点の絶対位置情報がない場合には(ステップ206;No)、ダイアグレコーダ1は、予め設定された基準点の絶対位置情報のデフォルト値をRAM1cに記録する(ステップ210)。
【0027】
そして、ダイアグレコーダ1は、所定の取り込みタイミングで、メータ5からダイアグコード等の車両データを受け付け(ステップ216)、また、ECU7,8が持つRAMのRAM値等の車両データを受け付け(ステップ218)、さらには、それらの車両データが生じたときのGPSデータにより求められる絶対時刻をナビ4から受け付ける(ステップ220)。なお、メータ5やECU7,8からの車両データにその車両データが生じたときの絶対時刻が含まれている場合には、ステップ220は不要である。
【0028】
さらに、ダイアグレコーダ1は、ナビ4からの絶対時刻及びメータ5やECU7,8からの車両データを受け付けるとともに、その車両データが生じたときの車両の絶対位置情報をナビ4から受け付ける(ステップ212)。ダイアグレコーダ1は、ステップ208若しくは210でRAM1cに記録された基準点の絶対位置情報とステップ212で受け付けた車両の絶対位置情報との関係に基づいて、RAM1cに記録された絶対位置情報に係る基準点に対する車両の相対位置を演算する(ステップ214)。ダイアグレコーダ1は、ステップ214で演算された車両の相対位置情報とステップ216で受け付けたダイアグコードとステップ218で受け付けたRAM値とステップ220で受け付けた絶対時刻からなる配列データを生成し(ステップ222)、HD1dにその配列データを記録する(ステップ224)。配列データの組み合わせは、仕様等に応じて設定されればよい。イグニッションスイッチによる電源OFFがされるまで、ステップ212〜ステップ226はタイマーによる所定の周期で繰り返される(ステップ226)。イグニッションスイッチによる電源OFFを検知したダイアグレコーダ1は、RAM1cをクリアする(ステップ228)。これにより、ダイアグレコーダ1内にステップ208もしくは210において一時的にRAM1cに記録された基準点の絶対位置情報は完全に消去され、ダイアグレコーダ1内には基準点の絶対位置情報が一切記憶されていない状態となる。
【0029】
次に、ダイアグレコーダ1により記録された車両データや車両位置情報等を回収するときの動作について説明する。図4は、ダイアグレコーダ1が車両データ等の回収時に行う動作を示すフローである。操作者がナビ4の表示装置4a上で車両データ等の読み取りをするメニューを呼び出すと、データ読取モードが立ち上がる(ステップ302)。ダイアグレコーダ1は、メモリカード3がリーダライタ2に接続されているか否かの挿入チェックを行う(ステップ304)。メモリカード3の挿入が確認されれば、ダイアグレコーダ1は、リーダライタ2に対しメモリカード3に記録された基準点の絶対位置情報の送信を要求する(ステップ306)。メモリカード3に基準点の絶対位置情報がある場合には(ステップ308;Yes)、ダイアグレコーダ1は、メモリカード3に記録された基準点の絶対位置情報をRAM1cに転記する(ステップ310)。転記が完了すると、ダイアグレコーダ1は、これまで接続していたユーザ用メモリカードをディーラー用メモリカードに差し替えるよう操作者に要求する(ステップ312)。差し替えられたことを確認したダイアグレコーダ1は、図3のステップ224でHD1dに記録された配列データ(以下、「HD情報」という)と図4のステップ310でRAM1cに記録された基準点の絶対位置情報を差し替えられたディーラー用メモリカードにリーダライタ2を介して転送する(ステップ314)。転送が完了した場合(ステップ322)、ダイアグレコーダ1は、まだHD1d内にあるHD情報を初期化(消去)するか否かの確認メッセージを表示装置4aに表示させる(ステップ324)。HD情報を消去すべきことを指示するユーザからの指示情報が入力された場合には、HD1d内のHD情報は消去され(ステップ326)、フローは終了する。消去不要の指示情報が入力された場合には、HD1d内のHD情報は消去されずに、フローは終了する。
【0030】
一方、メモリカード3の挿入が確認されない(ステップ304;No)、もしくは、メモリカード3に基準点の絶対位置情報がない場合には(ステップ308;No)、ダイアグレコーダ1は、RAM1cをクリアして(ステップ316)、これまで接続していたユーザ用メモリカードをディーラー用メモリカードに差し替えるよう操作者に要求する(ステップ318)。つまり、車両ユーザがディーラー用メモリカードへの基準点の絶対位置情報の登録を拒否した場合等である。差し替えられたことを確認したダイアグレコーダ1は、図3のステップ224でHD1dに記録されたHD情報のみを差し替えられたディーラー用メモリカードにリーダライタ2を介して転送する(ステップ320)。転送が完了した場合には(ステップ322)、上述と同様に、ステップ324及び326が実行され、フローは終了する。
【0031】
次に、ダイアグレコーダ1から回収されディーラー用メモリカードに記録された車両データを読み出すときの動作について説明する。図5は、データ読取装置100がディーラー用メモリカードから車両データを読み出すときに行う動作を示すフローである。動作解析や故障解析を行う等の操作者からの車両データの読出し要求操作を受け付けたデータ読出装置100は(ステップ402)、ディーラー用メモリカードにHD情報と基準点の絶対位置情報が記録されているか否かを確認する(ステップ404)。ディーラー用メモリカードに基準点の絶対位置情報がある場合には、データ読出装置100は、操作者により設定された車両データの検索条件情報に基づいて車両データの検索を実行する(ステップ406)。例えば、日時範囲、ダイアグコード種類、RAM値、絶対位置情報の場所が検索条件として設定され、その条件に該当する車両データが検索される。そして、データ読出装置100は、HD情報に含まれた各車両データの車両の相対位置情報を基準点の絶対位置情報に基づいて各車両データが生じたときの車両の絶対位置情報に変換し(ステップ408)、検索条件に一致する情報を表示する(ステップ410)。例えば、操作者により選択された情報(例えば、絶対位置、ダイアグ情報、車両情報、時刻)が表示される。再検索すべきことを指示する操作者からの指示情報がある場合には(ステップ412;No)、ステップ406に戻って同様に処理され、再検索すべきことを指示する操作者からの指示情報がない場合には、フローは終了する。
【0032】
一方、ディーラー用メモリカードに基準点の絶対位置情報がある場合には(ステップ404;No)、ステップ406と同様に、データ読出装置100は、操作者により設定された車両データの検索条件情報に基づいて車両データの検索を実行する(ステップ414)。そして、データ読出装置100は、検索条件に一致するデータを表示する(ステップ416)。このとき、ダイアグ情報、車両情報、時刻等が表示されるが、基準点の絶対位置情報が読み出されていないため、データ読出装置100は、各車両データが生じたときの車両の絶対位置情報に変換することができず、各車両データが生じたときの車両の相対位置が表示されることになる。再検索すべきことを指示する操作者からの指示情報がある場合には(ステップ418;No)、ステップ414に戻って同様に処理され、再検索すべきことを指示する操作者からの指示情報がない場合には、フローは終了する。
【0033】
このように、ユーザがユーザ用メモリカードに記録された基準点の絶対位置情報をディーラー用メモリカードに記録するか否かを任意で選択することができるので、ディーラー用メモリカードに基準点の絶対位置情報を記録しないようにすれば、第三者であるディーラー等の操作者が、ダイアグレコーダ1やディーラー用メモリカードに記録された情報をもとに車両ユーザが過去に行動した位置を特定できなくなる。すなわち、プライバシー機能を高めることができる。
【0034】
また、プライバシー機能を高めるだけではなく、絶対位置情報ではなく相対位置情報を記録することによって、位置を特定するための精度は変わらずに記憶容量の節約をすることができる。つまり、車両データ毎の絶対位置を記録する場合、その位置の詳細な特定が必要なときには、はじめから詳細な精度の絶対位置座標を記録しておく必要がある。一方、車両データ毎の相対位置を記録する場合、ある基準点に対する相対位置が把握できればよいので、詳細な精度の相対位置を車両データ毎に記録しておく必要はなくなる。
【0035】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0036】
基準点の絶対位置情報は、メモリカードから取得するのではなく、車載の通信手段で車外の所定のデータセンタから取得するようにしてもよい。図6は、本発明のドライブレコーダを適用したシステム構成の第2例を示す図である。メモリカード3に基準点の絶対位置情報を記録するのではなく、データセンタ200の個人記録フォルダ201に基準点の絶対位置情報を記録する。つまり、データセンタ200が、基準点の絶対位置情報を他のユーザの情報と一緒に管理する。データセンタ200への基準点の絶対位置情報の登録やデータセンタ200からの基準点の絶対位置情報の呼び出しは、車載通信手段10を介して行われる。
【0037】
また、データセンタ200への基準点の絶対位置情報の登録やデータセンタ200からの基準点の絶対位置情報の呼び出しをする際には個人認証が行われことが好ましく、通信時には暗号化が行われることがさらに好ましい。これにより、基準点の絶対位置情報の漏洩を防止することができる。
【0038】
ディーラー等が車両データの解析をする際に基準点の絶対位置情報が必要な場合には、車両ユーザが基準点の絶対位置情報を書いた電子チケット204を発行して、仮パスワードをディーラーに伝える。ディーラーは、そのチケットとパスワードを使ってデータセンタ200に接続することで、必要情報のみ入手をすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明のドライブレコーダを適用したシステム構成の一例を示す図である。
【図2】ダイアグレコーダ1が車両位置を特定するための所定の基準点の絶対位置情報をメモリカード3に記録する前処理を示すフローである。
【図3】ダイアグレコーダ1が車両データ等を記録するフローである。
【図4】ダイアグレコーダ1が車両データ等の回収時に行う動作を示すフローである。
【図5】データ読取装置100がディーラー用メモリカードから車両データを読み出すときに行う動作を示すフローである。
【図6】本発明のドライブレコーダを適用したシステム構成の第2例を示す図である。
【符号の説明】
【0040】
1 ダイアグレコーダ
1c RAM
1d ハードディスク
2 メモリカードリード/ライタ
3 メモリカード
4 ナビ
4a 表示装置
5 メータ
6,7 ECU
10 車載通信手段
100 データ読出装置
200 データセンタ
300 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されて車両に関する各種の車両データを記録する第1の記憶手段と、
車両から脱着可能な第2の記憶手段とを備え、
前記車両データが生じたときの車両位置情報として所定の基準点に対する相対位置情報を前記第1の記憶手段に記録し、前記基準点の絶対位置情報を前記第2の記憶手段に記録することを特徴とするドライブレコーダ。
【請求項2】
車両に搭載されて車両に関する各種の車両データを記録する第1の記憶手段と、
車外の第2の記憶手段とを備え、
前記車両データが生じたときの車両位置情報として所定の基準点に対する相対位置情報を前記第1の記憶手段に記録し、前記基準点の絶対位置情報を前記第2の記憶手段に記録することを特徴とするドライブレコーダ。
【請求項3】
前記基準点は、基準点を指定するユーザからの指示情報に基づいて決められる、請求項1または2記載のドライブレコーダ。
【請求項4】
前記車両データは故障診断用情報である、請求項1または2記載のドライブレコーダ。
【請求項5】
請求項1に記載のドライブレコーダのデータ読出装置であって、
車両から取り外された前記第2の記憶手段に記録された前記絶対位置情報を読み出すデータ読出装置。
【請求項6】
請求項2に記載のドライブレコーダのデータ読出装置であって、
通信を介して前記第2の記憶手段に記録された前記絶対位置情報を読み出すデータ読出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−4378(P2007−4378A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−182263(P2005−182263)
【出願日】平成17年6月22日(2005.6.22)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】