説明

ドライブレコーダ

【課題】路面状態に依ることなく、適切なトリガ判定を行うことが可能なドライブレコーダを提供する。
【解決手段】車両の加速度データについて時間的に異なる2系統の第1、第2移動平均値を算出し、これらの差分値または絶対差分値と所定のスレッショルド値との比較結果に応じてトリガ信号を生成するトリガ判定回路を有する。前記第1、第2移動平均値は、オーバーラップした加速度データを含みつつ、互いに隣接する時間帯を演算対象として算出された値である構成にするとよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交通事故発生時や危険運転時などに車両の運転状況データ(映像データや走行データなど)を記録するドライブレコーダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、交通事故の抑制や事後解析に貢献し得る手段として、車両にドライブレコーダを搭載するケースが増えてきている。なお、ドライブレコーダに関連する従来技術の一例としては、特許文献1を挙げることができる。
【0003】
また、ドライブレコーダのトリガ判定(運転状況データの不揮発記憶動作や運転者への警告動作を行うべき特定の運転挙動が生じたか否かの判定)については、各社が様々な工夫を凝らしている。なお、ドライブレコーダのトリガ判定に関連する従来技術の一例としては、特許文献2を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−52230号公報
【特許文献2】国際公開第07/058357号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
確かに、上記従来のドライブレコーダを車両に搭載しておけば、自責の交通事故や危険運転が記録されてしまうことを嫌い、運転者は常に安全運転を心掛けるようになるので、交通事故の抑制に寄与することが可能となる。また、万一、過失責任のない運転者が交通事故に巻き込まれてしまった場合には、ドライブレコーダに記録された運転状況データを事後解析することにより、運転者の正当性を立証することも可能となる。
【0006】
ところで、上記従来のドライブレコーダは、一般的に、時々刻々と変化する車両の加速度データG(t)について、単位時間内(時刻(t−α)〜時刻t)における最大値Gmax(t)から最小値Gmin(t)を差し引いた差分値X(t)(=Gmax(t)−Gmin(t))、若しくは、その絶対値|X(t)|を逐次算出し、これを所定のスレッショルド値Xthと比較することで、上記のトリガ判定を行う構成とされていた(例えば、図11A及び図11Bを参照)。
【0007】
しかしながら、このようなトリガ判定アルゴリズムでは、路面状態(路面の凹凸など)に起因する加速度変化にも過敏に反応してしまうため、例えば、踏切を横断する程度でもトリガが掛かり、不要な運転状況データの不揮発記憶動作や運転者への警告動作を発動してしまう場合があった。このようなトリガの誤判定が続くと、運転者は、自身の危険な運転挙動(急発進、急ハンドル、急ブレーキなど)によって警告が発せられたのか、トリガの誤判定によって警告が発せられたのかが不明なままとなり、運転中に頻繁に発せられる警告に慣れてしまうため、本来の安全運転促進効果が損なわれるという課題があった。
【0008】
なお、特許文献2には、運転挙動の検知データ(加速度データを含む)におけるパルス波形の波高とパルス幅の組み合わせに基づいて、そのうち特定の挙動データおよびこの特定挙動データと誤検知される疑似挙動データを判別し、判別された特定挙動データのみを記録媒体に記憶させる誤検知低減処理部を備えた運転挙動記録装置が開示されている。
【0009】
しかしながら、このような従来技術では、波高とパルス幅という2つのパラメータをそれぞれ少なくとも1つずつ(好ましくは複数ずつ)のスレッショルド値と比較しなければならないため、トリガ判定処理が複雑となる上、例えば、車両を加速させている途中で、路面の凹凸による振動を受けた場合には、パルス波形の波高とパルス幅が共に所定のスレッショルド値を超えてしまうため、トリガの誤判定を生じるという課題があった。
【0010】
本発明は、上記の問題点に鑑み、路面状態に依ることなく、適切なトリガ判定を行うことが可能なドライブレコーダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明に係るドライブレコーダは、車両の加速度データについて時間的に異なる2系統の第1、第2移動平均値を算出し、これらの差分値または絶対差分値と所定のスレッショルド値との比較結果に応じてトリガ信号を生成するトリガ判定回路を有する構成(第1の構成)とされている。
【0012】
なお、上記第1の構成から成るドライブレコーダにおいて、前記第1、第2移動平均値は、オーバーラップした加速度データを含みつつ、互いに隣接する時間帯を演算対象として算出された値である構成(第2の構成)にするとよい。
【0013】
また、上記第1または第2の構成から成るドライブレコーダにおいて、前記トリガ判定回路は、前記加速度データを格納するレジスタと;前記レジスタに格納された前記加速度データに基づいて、前記第1、第2移動平均値を算出する平均化処理部と;前記平均化処理部で算出された前記第1、第2移動平均値に基づいて、これらの差分値または絶対差分値を算出する減算処理部と;前記減算処理部で算出された前記第1、第2移動平均値の差分値または絶対差分値と、所定のスレッショルド値とを比較して前記トリガ信号を生成する閾値比較部と;を含む構成(第3の構成)にするとよい。
【0014】
また、上記第1または第2の構成から成るドライブレコーダは、所定のトリガ判定用プログラムを読み込んで実行することにより、前記トリガ判定回路として機能するマイコンを有する構成(第4の構成)にするとよい。
【0015】
また、上記第2〜第4いずれかの構成から成るドライブレコーダにおいて、前記オーバーラップした加速度データは0〜数サンプル分である構成(第5の構成)にするとよい。
【0016】
また、上記第1〜第5いずれかの構成から成るドライブレコーダにおいて、前記第1、第2移動平均値を算出する時間幅は、それぞれ任意に設定可能である構成(第6の構成)にするとよい。
【0017】
また、上記第1〜第6いずれかの構成から成るドライブレコーダにおいて、前記第1、第2移動平均値を算出する時間幅は、それぞれ、0.3〜0.5秒である構成(第7の構成)にするとよい。
【0018】
また、上記第1〜第7いずれかの構成から成るドライブレコーダは、前記トリガ信号に基づいて車両の運転状況データを不揮発的に記憶するか否かを決定する制御部を有する構成(第8の構成)にするとよい。
【0019】
また、上記第1〜第7いずれかの構成から成るドライブレコーダは、前記トリガ信号に基づいて運転者への注意喚起を行うか否かを決定する制御部を有する構成(第9の構成)にするとよい。
【0020】
また、本発明に係るトリガ判定用プログラムは、上記第4の構成から成るドライブレコーダを構成する前記マイコンに読み込まれて実行され、当該マイコンを、前記加速度データを格納するレジスタ;前記レジスタに格納された前記加速度データに基づいて、前記第1、第2移動平均値を算出する平均化処理部;前記平均化処理部で算出された前記第1、第2移動平均値に基づいて、これらの差分値または絶対差分値を算出する減算処理部;及び、前記減算処理部で算出された前記第1、第2移動平均値の差分値または絶対差分値と所定のスレッショルド値とを比較して前記トリガ信号を生成する閾値比較部;として機能させる構成(第10の構成)とされている。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係るドライブレコーダであれば、路面状態に依ることなく、適切なトリガ判定を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るドライブレコーダを用いた交通情報システムの一実施形態を示すブロック図
【図2】ドライブレコーダ(条件付格納仕様)で実行される動作のフローチャート
【図3】ドライブレコーダ(常時格納仕様)で実行される動作のフローチャート
【図4】交通事故に関する情報の共有サービスを説明するための模式図
【図5】運転状況の一例を示すタイムチャート
【図6】運転状況データの一例を示すテーブル
【図7】不揮発的に格納された運転状況データの上書禁止操作を示すフローチャート
【図8】本発明に係るドライブレコーダのシステムブロック図
【図9】バスインタフェイス回路の一構成例(シリアル入出力)を示す回路図
【図10】インタフェイス電圧VDD1、VDD2の設定範囲を示す図
【図11A】加速度データG(t)を示すタイムチャート
【図11B】絶対差分値|X(t)|を示すタイムチャート
【図11C】移動平均値Y1(t)、Y2(t)を示すタイムチャート
【図11D】絶対移動平均差分値|Y(t)|を示すタイムチャート
【図12】移動平均値Y1(t)、Y2(t)の算出手法を説明するための模式図
【図13】移動平均期間の設定根拠を説明するためのタイムチャート
【図14】トリガ判定回路の一構成例を示すブロック図
【図15】トリガ判定動作を説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0023】
(ドライブレコーダを用いた交通情報システム)
図1は、本発明に係るドライブレコーダを用いた交通情報システムの一実施形態を示すブロック図である。
【0024】
図1に示すように、本実施形態の交通情報システムは、ドライブレコーダ1と、携帯電話端末2と、電子制御ユニット3(以下、ECU[Electric Control Unit]3と呼ぶ)と、車載センサ4と、携帯電話回線5と、サーバ6と、を有して成る。
【0025】
ドライブレコーダ1は、交通事故発生時や危険運転時などに車両の運転状況データ(映像データや走行データなど)を記録する手段である。なお、ドライブレコーダ1の構成及び動作については、後ほど詳細に説明する。
【0026】
携帯電話端末2は、車両の運転者(または同乗者)によって車室内に持ち込まれるものであり、携帯電話回線5を介して無線による通話や通信を行う基本的な機能のほかに、ドライブレコーダ1との間で有線または無線による相互通信を行う付加機能を備えている。なお、ドライブレコーダ1と携帯電話端末2との連携動作については後ほど詳述する。
【0027】
ECU3は、車両に搭載されて車両各部の動作を制御する手段であり、ECU3からドライブレコーダ1には、車両の運転状況データを構成する要素として、車両各部の動作状態データ(ランプ類(ヘッドランプ、テールランプ、ウィンカランプ、ハザードランプなど)の点灯状態データ、ドアロックの開閉状態データ、サイドミラーの開閉状態データ、ワイパーの駆動状態データ、パワーウィンドウの駆動状態データ、エアバックの駆動状態データ、ABS[Antilock Brake System]の駆動状態データなど)が伝達される。
【0028】
車載センサ4は、車両に搭載されて車両各部や車両周辺の状況を検出する手段であり、車両の前後/左右方向に生じる加速度を検出する加速度センサ、車両の鉛直軸周りの回転速度(車両の自転速度)を検出するヨーレートセンサ、車両の走行速度を検出する車速センサ、車輪(タイヤ)の回転速度を検出する車輪速センサ、ステアリングの操舵角を検出する操舵角センサ、ステアリングの操舵トルクを検出する操舵トルクセンサ、ブレーキペダルの踏み込み度合いを検出するブレーキペダルセンサ、車両各部の油圧を検出する油圧センサ、タイヤの空気圧を検出する空気圧センサ、車外気温や車内気温を検出する温度センサ、周囲の明るさを検出する照度センサ、路面状態を検出する路面センサ、車両前後の車間距離を検出する車間距離センサ、車両周辺の障害物を検出する障害物センサ(コーナセンサ)、及び、車両に生じた衝突を検出する衝突センサなどを挙げることができる。なお、車載センサ4からドライブレコーダ1には、車両の運転状況データを構成する要素として、上記の各種検出データが伝達される。
【0029】
携帯電話回線5は、携帯電話端末2が接続される公衆回線であり、通信事業者によって提供される。
【0030】
サーバ6は、携帯電話回線5を介して携帯電話端末2との間で通信を行う手段であり、警察や保険会社などに設置される。
【0031】
(ドライブレコーダの構成及び動作)
次に、ドライブレコーダ1の構成及び動作について詳述する。図1に示したように、ドライブレコーダ1は、制御部101と、撮像部102と、GPS[Global Positioning System]受信部103と、加速度センサ104と、インタフェイス部105と、リアルタイムクロック106(以下、RTC[Real Time Clock]106と呼ぶ)と、記憶部107と、通信部108と、操作部109と、警告部110と、を有して成る。
【0032】
制御部101は、ドライブレコーダ1を構成する上記の各機能部102〜110を統括的に制御する手段であり、CPU[Central Processing Unit]のほかに、ROM[Read Only Memory]やRAM[Random Access Memory]などの記憶手段(いずれも不図示)を有して成る。上記のROMは、CPUによって実行されるプログラムなどの格納領域として使用される。また、上記のRAMは、CPUの作業領域として使用されるほか、車両の運転状況データを所定時間分(数秒〜数分)だけ一時的に格納しておくバッファ領域としても使用される。なお、制御部101の動作については、後ほど詳細に説明する。
【0033】
撮像部102は、車両周辺(少なくとも車両の前方)を常に動画撮影するカメラ部と、得られた映像データに所定の画像処理(アナログ/デジタル変換処理、ノイズ除去処理、色補正処理、画像圧縮処理など)を施して制御部101に出力する画像処理部と、を有して成る(いずれも図示せず)。なお、カメラ部を構成する光電変換素子としては、CCD[Charge Coupled Devices]やCMOS[Complementary Metal Oxide Semiconductor]を用いればよい。また、撮像部102は、車両前方の様子を適切に動画撮影することが可能であって、かつ、運転者の視界を妨げることのない位置(バックミラーの裏面など)に取り付けることが望ましい。このように、車両の運転状況データを構成する要素として、車両周辺を動画撮影した映像データを含めることにより、交通事故の原因究明を迅速かつ適切に行うことが可能となる。
【0034】
なお、本実施形態では、車両周辺を常に動画撮影する構成を例に挙げたが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、例えば、所定のインターバルで間欠的に動画撮影、ないしは、静止画撮影を行う構成としても構わない。このような構成とすることにより、制御部101に搭載されるRAMや記憶部107の記憶容量を抑えることが可能となる。
【0035】
GPS受信部103は、GPS衛星からの衛星信号を利用して車両の現在位置(緯度、経度、高度)を示す車両位置データを制御部101に出力する手段である。このように、車両の運転状況データを構成する要素として、車両位置データを含めることにより、交通事故の発生に至る走行経路を事後解析することが可能となる。
【0036】
加速度センサ104は、互いに直交する3軸方向(X軸方向(=車両の進行方向)、Y軸方向(=車両の左右方向)、Z軸方向(=車両の上下方向))の加速度を各々検出し、これを加速度データとして制御部101に出力する手段である。なお、加速度データの検出方式としては、ピエゾ抵抗方式や静電容量方式を用いることができる。このように、車両の運転状況データを構成する要素として、車両の加速度を示す加速度データを含めることにより、交通事故時に生じた車両の衝撃を事後解析することが可能となる。
【0037】
インタフェイス部105は、車両に搭載されたECU3から入力される車両各部の動作状態データや車載センサ4から入力される各種の検出データを制御部101に出力する手段である。このように、車両の運転状況データを構成する要素として、ドライブレコーダ1本体で得られる情報だけでなく、ドライブレコーダ1の外部(ECU3や車載センサ4など、車両自体に搭載されている既存の装備)で得られる情報を含めることにより、ドライブレコーダ1の大型化やコストアップを招くことなく、多くの運転状況データを収集することが可能となる。
【0038】
RTC106は、日付と時刻に関する時刻データを生成して制御部101に出力する手段である。このように、車両の運転状況データを構成する要素として、日付と時刻を含めることにより、交通事故の発生に至る時間経過を事後解析することが可能となる。
【0039】
上記したように、本実施形態のドライブレコーダ1において、撮像部102、GPS受信部103、加速度センサ104、インタフェイス部105、並びに、RTC106は、いずれも、車両の運転状況データを時系列的に収集するデータ収集部として機能する。ただし、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、例えば、ドライブレコーダ1本体に搭載したGPS受信部103や加速度センサ104をドライブレコーダ1に外部接続しても構わないし、逆に、ドライブレコーダ1の外部に設けられた車載センサ4の一部をドライブレコーダ1本体に組み込んでも構わない。
【0040】
記憶部107は、所定のトリガ条件(詳細は後述)が満足されたときに、制御部101でバッファされている運転状況データを不揮発的に格納する手段であり、フラッシュメモリやEEPROM[Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory]などの半導体メモリ、若しくは、ハードディスクドライブなど大容量記憶デバイスを用いることができる。なお、記憶部107は、運転状況データの可搬性を優先してドライブレコーダ1に着脱可能な構成としてもよいし、逆に、運転状況データの改竄防止を優先して着脱不能な構成としてもよい。また、記憶部107に格納される運転状況データの内容についても、上記に限定されるものではなく、事後解析の充実を優先して制御部101に入力されるデータを全て格納する構成としてもよいし、逆に、記憶部107の容量縮小を優先して制御部101に入力されるデータの一部のみを格納する構成としてもよい。また、運転状況データの不正コピー等を防止すべく、記憶部107は、上述の運転状況データを暗号化して格納する構成としてもよい。
【0041】
通信部108は、携帯電話端末2との間で有線または無線による相互通信を行う手段である。なお、ドライブレコーダ1と携帯電話端末2との間を有線接続する場合には、USB通信ポートやUART[Universal Asynchronous Receiver Transmitter]通信ポートなどを用いればよい。また、ドライブレコーダ1と携帯電話端末2との間を無線接続する場合には、赤外線通信ポート(IrDA[Infrared Data Association]通信ポート)やワイヤレスLAN[Local Area Network]通信ポート(Wi−Fi通信ポート)、またはBluetooth(登録商標)通信ポートなどを用いればよい。すなわち、通信部108は、携帯電話端末2に搭載されている汎用の通信ポートを介して、携帯電話端末2との相互通信を行う構成とされている。このような構成であれば、携帯電話端末2側にハードウェアの追加や変更を要求することなく、ドライブレコーダ1と携帯電話端末2との相互通信を実現することが可能となる。
【0042】
操作部109は、ユーザ操作を受け付ける手段であり、ボタンやスイッチ、タッチパネルなどを用いて構成される。
【0043】
警告部110は、制御部101からの指示に基づき、運転者に対して危険な運転を控えるように警告を発する手段である。なお、上記の警告については、音声や映像(若しくはその組み合わせ)によって行えばよい。このような警告を発する構成であれば、運転者は常に安全運転を心掛けるようになるので、交通事故の抑制に寄与することが可能となる。なお、制御部101は、車両の急発進、急ハンドル、急ブレーキ、急シフトチェンジ、夜間の無灯火、方向指示器の操作を伴わない車線変更、蛇行、周囲の車両や建造物との急接近などを検知したときに、警告部110に対して上記の警告を発するように指示を送る。また、警告部110は、交通事故に関する情報の共有サービスを提供する際に、運転者への注意喚起手段としても用いられるが、これについては後述する。
【0044】
(運転状況データの格納動作)
次に、制御部101による運転状況データの格納動作について詳細に説明する。制御部101は、加速度センサ104で検出された車両の加速度が所定の閾値を超えたとき(車両に対して所定の閾値を超える衝撃が加わったとき)や、操作部104で所定のユーザ操作(交通事故通報ボタンの押下など)が受け付けられたとき、通信部108を介して携帯電話端末2からの要求を受け付けたとき、若しくは、警告部110による警告が必要と判定されたときに、所定のトリガ条件(不揮発格納条件)が満足されたと判定し、記憶部107を制御して運転状況データを格納する。ここで、記憶部107に格納される運転状況データは、上記のトリガ条件が満足されたタイミング前後の所定期間(数秒間〜数分間)に、制御部101のRAMで一時格納される運転状況データである。
【0045】
このように、ドライブレコーダ1を車両に搭載しておけば、自責の交通事故や危険運転が記録されてしまうことを嫌い、運転者は常に安全運転を心掛けるようになるので、交通事故の抑制に寄与することが可能となる。また、万一、過失責任のない運転者が交通事故に巻き込まれてしまった場合には、ドライブレコーダ1に記録された運転状況データを事後解析することにより、運転者の正当性を立証することも可能となる。
【0046】
(ドライブレコーダと携帯電話端末との連携動作)
次に、制御部101によるドライブレコーダ1と携帯電話端末2との連携動作について詳細に説明する。
【0047】
先にも述べた通り、本実施形態のドライブレコーダ1は、携帯電話端末2との間で有線または無線による相互通信を行う通信部108を有して成り、制御部101は、通信部108を制御することにより、携帯電話端末2との間で、先述の運転状況データやドライブレコーダ1の動作設定を行うための動作設定データ(例えば、現在の運転状況データに基づいて交通事故や危険運転が生じたか否かを判定するためのトリガ条件や、制御部101で実行されるファームウェア)を送受信する構成とされている。
【0048】
このような構成とすることにより、パーソナルコンピュータに比べて圧倒的に普及率の高い携帯電話端末2を用いて、ドライブレコーダ1に記録された運転状況データの閲覧や動作設定の確認/変更を行うことができるので、ユーザにとって利便性の高いドライブレコーダ1を提供することが可能となる。
【0049】
例えば、運転者が交通事故に遭遇した場合、運転者は、自身の携帯電話端末2を用いてドライブレコーダ1に記憶された運転状況データを遅滞なく閲覧することができるので、警察や保険会社に対して迅速かつ正確に現在の状況を通報することが可能となる。
【0050】
また、相手方の存在する交通事故に巻き込まれた場合であっても、ドライブレコーダ1に記録された運転状況データをその場で閲覧しながら、双方の過失割合を示談交渉することができるので、相手方の一方的な主張に言い負かされて不利を余儀なくされる心配がなくなる。また、過失割合の大きい相手方にとっては、不当な賠償請求が困難となるので、交通マナーの向上や、当たり屋による偽装交通事故の抑制に貢献することも可能となる。
【0051】
また、本実施形態のドライブレコーダ1において、制御部101は、上述のトリガ条件が満足されたと判定した際に、記憶部107を制御して運転状況データを格納するとともに、通信部108を制御して携帯電話端末2に運転状況データを自動送信する構成とされている。このような構成とすることにより、運転者の操作を何ら要することなく、ドライブレコーダ1に記録された運転状況データが自動的に携帯電話端末2へと送られるので、その閲覧を容易に行うことが可能となる。
【0052】
また、本実施形態の携帯電話端末2は、ドライブレコーダ1から運転状況データを受信したときに、これを携帯電話回線5経由で所定のサーバ6に転送する転送機能部(図示せず)を有して成る構成とされている。このような構成とすることにより、交通事故が生じたときには、携帯電話端末2が自ら警察や保険会社に交通事故の状況を通報する形となるので、運転者が意識不明の重体や茫然自失の状態に陥っている場合であっても、その通報を遅滞なく完了することが可能となる。また、運転状況データの改竄防止にも繋がる。
【0053】
また、本実施形態の携帯電話端末2は、所定のユーザ操作を受け付けたときに、ドライブレコーダ1に運転状況データの送信を要求する送信要求機能部(図示せず)を有して成る構成とされている。このような構成とすることにより、携帯電話端末2をあたかもドライブレコーダ1のリモートコントローラのように用いることが可能となる。
【0054】
また、本実施形態の携帯電話端末2は、サーバ6からの要求に応じて、ドライブレコーダ1に運転状況データの送信を要求する送信要求機能部(図示せず)を有して成る構成とされている。
【0055】
例えば、ある地点で交通事故が生じたことを認識したサーバ6は、事故現場近傍の基地局エリア内に存在する不特定多数の携帯電話端末2に対して、事故発生時刻と事故現場の位置情報を送信するとともに、各々に連携するドライブレコーダ1で記録された運転状況データを転送するように要求する。この転送要求を受け取った携帯電話端末2は、ドライブレコーダ1に運転状況データの送信を要求し、ドライブレコーダ1から受信した運転状況データを携帯電話回線5経由でサーバ6に転送する。
【0056】
このような交通情報システムを構築すれば、サーバ6の情報収集能力を高めて、交通事故の事後解析をより正確に実施することが可能となる。
【0057】
ただし、携帯電話端末2の転送機能部は、上記の転送に先立ち、運転状況データに含まれる時刻データ及び車両位置データと、サーバ6から受信した事故発生時刻及び事故現場の位置情報とを解析し、交通事故の事後解析に際してドライブレコーダ1に記録された運転状況データが有用である可能性が高いと判定した場合、言い換えれば、ドライブレコーダ1に交通事故の様子が記録されている可能性が高いと判定した場合に限り、これをサーバ6に転送する構成としておくことが望ましい。このような構成とすることにより、携帯電話回線5の不必要な通信トラフィックを削減するとともに、交通事故の事後解析を円滑化することが可能となる。
【0058】
また、携帯電話端末2の送信要求機能部や転送機能部は、ドライブレコーダ1との連携や上記交通情報システムの構築にのみ必要となる特殊な機能部である。そこで、これらの機能部を実現する手段としては、これに必要なハードウェアを追加するのではなく、携帯電話端末2に所定のプログラムをインストールし、これを実行する演算処理部(不図示)をソフトウェア的に送信要求機能部や転送機能部として機能させることが望ましい。このような構成とすることにより、携帯電話端末2側にハードウェアの追加や変更を要求することなく、ドライブレコーダ1と携帯電話端末2との連携や上記交通システムの構築を実現することが可能となる。
【0059】
(運転状況データの格納動作に関する変形例)
なお、上述したドライブレコーダ1は、トリガ条件が満たされたときに、運転状況データが記憶部107へ不揮発的に格納される仕様(以下、便宜的に「条件付格納仕様」と称する)といえる。また、条件付格納仕様のドライブレコーダ1において実行される動作の概要は、図2のフローチャートに示す通りとなる。
【0060】
すなわちドライブレコーダ1は、運転状況データを収集してバッファ(制御部101のRAM等)へ一時的に格納する動作(ステップS11)、トリガ条件が満足されたかを監視する動作(ステップS12)、および携帯電話端末2から運転状況データの送信要求があったかを監視する動作(ステップS13)を、継続的に実行する。
【0061】
そして、ドライブレコーダ1は、トリガ条件が満足された場合には(ステップS12のY)、バッファに格納されている運転状況データを記憶部107へ不揮発的に格納するとともに(ステップS14)、運転状況データを携帯電話端末2へ送信する(ステップS15)。また、ドライブレコーダ1は、携帯電話端末2から運転状況データの送信要求があった場合には(ステップS13のY)、運転状況データを携帯電話端末2へ送信する(ステップS15)。当該送信がなされた後は、ステップS11の処理に戻る。
【0062】
以上に説明した「条件付格納仕様」のドライブレコーダ1によれば、運転状況データを効率よく(トリガ条件が満たされたときにだけ)、記憶部107へ格納することが可能である。そのため、運転状況データの記録のための処理負担や、記憶部107の記憶容量の増大を極力抑えることが可能である。
【0063】
一方、ドライブレコーダ1の仕様を、運転状況データが記憶部107に(つまり不揮発的に)常時継続的に格納される仕様(以下、便宜的に「常時格納仕様」と称する)とすれば、何らかの原因による運転状況データの記録漏れを、極力防止することが可能である。そのため、ドライブレコーダ1が「条件付格納仕様」である場合に比べて、事故原因などに関する事後解析がより容易となる。
【0064】
例えば、人や自転車などが車両にごく軽く接触したときには、その時に車両が受ける衝撃が小さ過ぎて、トリガ条件が満たされない(加速度センサの検出値が所定閾値を越えない)可能性がある。この場合、条件付格納仕様のドライブレコーダ1によれば、当該接触が発生した時点での運転状況データが記憶部107には格納されない。そのため、通常、当該運転状況データを事後的に確認することは難しくなる。
【0065】
しかしながら、常時格納仕様のドライブレコーダ1によれば、当該接触が発生した時点での運転状況データも記憶部107に格納されるため、当該運転状況データを事後的に確認することが可能となる。その結果、当該運転状況データを事故原因などの事後解析に役立てることが可能となる。なお、例えば各種センサの故障等が発生した場合には、トリガ条件の判定に異常が生じる(よって、実質的にはトリガ条件が満たされていても、トリガ条件が満たされたと判定されなくなる)可能性も否めない。このような事態となっても、常時格納仕様のドライブレコーダ1によれば、運転状況データの記録漏れを未然に防ぐことが可能である。
【0066】
ドライブレコーダ1を常時格納仕様とする場合には、運転状況データが常時継続的に収集されて、バッファ(制御部101のRAM等)へ一時的に格納されるようにするとともに、トリガ条件が満足されたか否かに関わらず、一時的に格納された運転状況データの全てが、記憶部107に転送されて格納されるようにすれば良い。また、ドライブレコーダ1を常時格納仕様とするにあたり、常時継続的に収集された運転状況データが、バッファを介さずに、記憶部107へ直接格納されるようにしても構わない。いずれのようにしても、ドライブレコーダ1の動作中において(例えば、ドライブレコーダ1の電源スイッチがオンの状態において)、運転状況データは常時継続的に収集された上で、記憶部107へ不揮発的に格納される。
【0067】
なお、運転状況データの記憶部107への格納処理においては、例えば記憶部107における運転状況データの格納領域が飽和した段階で、最も古いデータの格納領域に、新たなデータが上書きされるようになっていても良い。このようにすれば、運転状況データの格納領域の不足が回避されるとともに、重要度の高い新たなデータを、優先的に残すことが可能となる。
【0068】
また、常時格納仕様のドライブレコーダ1では、運転状況データの記憶部107への格納動作は、基本的に常時継続的に実行されることになるが、念のために当該動作を停止させる手段(例えば、動作を停止させるためのスイッチ)が設けられていても構わない。また、一部の種類の運転状況データのみが記憶部107へ常時格納されるようにしても構わない。
【0069】
例えば、各運転状況データのうち、撮像部102によって取得された映像データのみが記憶部107へ常時継続的に格納されるようにし、他の運転状況データについては、トリガ条件が満たされた場合にだけ記憶部107へ格納されるようにしても構わない。このような構成によれば、トリガ条件が満たされなかった場合等における、映像の撮り逃しが防止されるとともに、記憶部107へのデータ格納に係る処理負担の増大等を極力抑えることが可能となる。
【0070】
なお、撮像部102は、車両周辺の映像データの代わりに、或いは車両周辺の映像データに加えて、車両の内部の映像データを取得するようになっていても良い。このようにすれば、車両内部の映像データを記憶部107に格納させることが可能となる。その結果、例えば、タクシーの車内において運転手と客の間でトラブルが発生したような場合であっても、この状況を事後的に確認することが可能となる。また、撮像部102においては、車両の内部や外部に複数のカメラ部(撮像装置)が設置されるようにし、車両の周辺や内部の映像が、様々な位置や角度から取得可能となっていても良い。
【0071】
また、常時格納仕様のドライブレコーダ1において実行される動作の概要は、図3のフローチャートに示す通りとなる。
【0072】
すなわち、ドライブレコーダ1は、運転状況データを収集して記憶部107へ不揮発的に格納する動作(ステップS21)、トリガ条件が満足されたかを監視する動作(ステップS22)、および携帯電話端末2から運転状況データの送信要求があったかを監視する動作(ステップS23)を、継続的に実行する。
【0073】
そして、ドライブレコーダ1は、トリガ条件が満足された場合(ステップS22のY)や、携帯電話端末2から運転状況データの送信要求があった場合(ステップS23のY)には、運転状況データを携帯電話端末2へ送信する(ステップS24)。当該送信がなされた後は、ステップS21の処理に戻る。
【0074】
なお、ドライブレコーダ1の仕様は、例えば、ユーザの指示(操作部109の操作等)に応じて、条件付格納仕様と常時格納仕様のいずれにも設定可能(切替可能)となっていても構わない。このようにすれば、ドライブレコーダ1の利便性をより向上させることが可能である。また、ドライブレコーダ1において扱われる運転状況データとしては、以上までに具体的に示したものの他、運転に関わる状況(例えば、車両が運転されているか否か、どのように運転されているか等)を示す種々のデータを採用することが可能である。
【0075】
以上に説明した通り、常時格納仕様のドライブレコーダ1は、車両の運転状況データを収集して不揮発的に格納する機能部(データ収集格納部)と、携帯電話端末2との間で、有線または無線による相互通信を行う機能部(通信部)と、これらの各機能部を統括的に制御する機能部(制御部)と、を有して成り、制御部は、携帯電話端末2との間で運転状況データや動作設定データを送受信するように、通信部を制御するとともに、運転状況データを常時継続的に収集して格納するように、データ収集格納部を制御する。
【0076】
そのため、当該ドライブレコーダ1によれば、携帯電話端末2を用いて、運転状況データの閲覧や動作設定の確認/変更を行い得るようにすることが容易となるため、このようにして、ユーザにとっての利便性を向上させ得るものとなっている。また、運転状況データは常時継続的に収集されて不揮発的に格納されるから、運転状況データの記録漏れを極力回避することが可能となっている。
【0077】
(交通事故に関する情報の共有サービス)
次に、サーバ6を主体とした交通事故に関する情報の共有サービスについて、図4を参照しながら詳述する。図4に示したように、上記機能を主体的に実現するサーバ6は、通信部61と、情報管理部62と、情報解析部63と、情報格納部64と、を有して成る。
【0078】
通信部61は、携帯電話回線5を介して携帯電話端末2との通信を行うとともに、その他の回線7(専用回線やインターネットなど)を介して交通センターサーバ8、警察サーバ9、及び、保険会社サーバ10との通信を行う。
【0079】
情報管理部62は、交通事故を起こした車両に搭載されているドライブレコーダ1から携帯電話端末2を介して転送されてくる運転状況データや、この運転状況データを解析して生成される交通事故データ(交通事故の発生地点や発生時刻など)、及び、複数の交通事故データを累積的に解析して生成される交通事故累積データ(交通事故の多発地点や多発時間帯など)を管理(取得、解析、格納、送信を含む)する。
【0080】
情報解析部63は、交通事故を起こした車両に搭載されているドライブレコーダ1から携帯電話端末2を介して転送されてくる運転状況データを解析して、上記の交通事故データを生成する。また、情報解析部63は、複数の交通事故データを累積的に解析して、上記の交通事故累積データを生成する。
【0081】
情報格納部64は、上記の運転状況データ、交通事故データ、及び、交通事故累積データを不揮発的に格納する。
【0082】
なお、サーバ6は、交通センターサーバ8、警察サーバ9、及び、保険会社サーバ10と連携して、交通事故に関する情報(上記の運転状況データ、交通事故データ、及び、交通事故累積データを含む)を相互に利用可能な構成とすることが望ましい。このような構成とすることにより、交通事故に関する情報の充実化(把握している交通事故の母数増)やサーバ能力の分散化を実現することが可能となる。
【0083】
上記構成から成るサーバ6は、携帯電話端末2からの要求に応じて、最新の交通事故累積データを送信する。携帯電話端末2は、サーバ6からの受信内容をドライブレコーダ1に転送する。このとき、ドライブレコーダ1と携帯電話端末2との通信が不可能な場合には、携帯電話端末2の不揮発性記憶部にサーバ6からの受信内容が一旦格納され、ドライブレコーダ1との通信が可能となったときに、改めて携帯電話端末2から最新の交通事故累積データがドライブレコーダ1に転送される。
【0084】
携帯電話端末2からの転送を受けたドライブレコーダ1において、制御部101は、記憶部107に格納されている古い交通事故累積データを更新し、以後、最新の交通事故累積データに基づいて、運転者に対する注意喚起を行うように警告部110を制御する。例えば、交通事故累積データとして、事故多発地点に関する情報が含まれている場合には、その事故多発地点に近付いている車両の運転者に対して注意喚起が行われる。この注意喚起としては、事故多発地点である旨を音声で報知してもよいし、或いは、車両に別途搭載されているカーナビゲーションシステムのモニタを流用し、地図画面に事故多発地点を示すマーキング(アイコン表示など)を行ってもよい。
【0085】
なお、交通事故累積データには、事故多発地点に関する情報のほかにも、事故多発時間帯や事故原因などの付随情報を含めておくことが望ましい。例えば、ある事故多発地点の付随情報として、「出会い頭の衝突が多い」というフラグが立てられていた場合には、上記の注意喚起として、周囲の安全確認を徹底すべきである旨の警告を事前に行うことが可能となり、また、「カーブでの速度超過によるセンターラインオーバー」というフラグが立てられていた場合には、上記の注意喚起として、カーブ進入時は十分に減速すべきである旨の警告を事前に行うことが可能となる。ただし、このような付随情報を含めるためには、交通事故を起こした車両に搭載されているドライブレコーダ1からの運転状況データを解析するだけでは不十分であることが多いため、先にも述べたように、交通センターサーバ8、警察サーバ9、及び、保険会社サーバ10と連携して、交通事故に関する情報を相互に利用可能な構成としておくことが望ましい。
【0086】
このように、サーバ6を主体として、交通事故に関する情報の共有サービスを提供する交通情報システムであれば、交通事故を未然に防止する手段として、ドライブレコーダ1を積極的に活用することができるので、ドライブレコーダ購入のインセンティブとなり、延いては、交通安全の促進に大きく寄与することが可能となる。
【0087】
なお、上記では、携帯電話端末2からの要求に応じて、サーバ6から最新の交通事故累積データを送信する構成を例に挙げて説明を行ったが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、例えば、交通事故に関する情報の共有サービス提供先として事前登録されている携帯電話端末2に対して、サーバ6から定期的(例えば毎月1回)に最新の交通事故累積データを送信する構成としてもよい。このような構成であれば、ドライブレコーダ1に格納されている交通事故累積データを常に最新の内容に維持することが可能となる。
【0088】
また、上記では、携帯電話端末2に対して交通事故累積データを送信する構成を例に挙げて説明を行ったが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、例えば、交通事故を起こした車両からサーバ6に運転状況データが転送された時点で、事故発生地点近傍の基地局エリア内に存在する不特定多数の携帯電話端末2に対して、上記の運転状況データのうち、少なくとも事故発生地点の位置情報を速やかに送信する構成としてもよい。このような構成とすることにより、事故発生地点に近付いている車両の運転者は、自車の進路上で交通事故が発生したことをほぼリアルタイムに知ることができるので、迂回ルートを探索するなどして、交通渋滞や二次的な交通事故を未然に回避することが可能となる。
【0089】
(燃費向上運転の判定サービス)
次に、サーバ6を主体とした燃費向上運転の判定サービスについて、図5と図6を参照しながら詳述する。図5は、運転状況の一例を示すタイムチャートであり、横軸は時間、縦軸は車両の速度を表している。また、図6は、図5の運転状況下で記録される運転状況データの一例を示すデータテーブルであり、特に、燃費向上運転の判定サービスに必要なパラメータ(図6では、日時(ti)、車両の位置(P(ti)、速度V(ti)、加速度A(ti)、及び、エンジンの回転数R(ti)、ただし、i=0〜14)が記載されている。
【0090】
なお、図6に記載されている一連のパラメータについては、ドライブレコーダ1が先述の「条件付格納仕様」であるか「常時格納仕様」であるかに依ることなく、エンジンが始動されてから停止されるまでの間(すなわち、ドライブレコーダ1が駆動されている間)に収集された全ての計測値が破棄されることなく不揮発性の記憶部107に格納される。一方、交通事故の事後解析に必要な運転状況データについては、先述したように、事故発生タイミングの前後数秒〜数分間に収集されたデータのみが不揮発性の記憶部107に格納され、それよりも古いデータは順次破棄される。このように、運転状況データのうち、燃費向上運転の判定サービスに必要なパラメータについては、その計測値を長期間(例えば24時間)にわたって保持しなければならないが、燃費向上運転の判定サービスに必要なパラメータには、撮像部102で収集される撮像データが含まれていないため、記憶部107の記憶容量を不要に圧迫する心配はない。
【0091】
時刻t0においてエンジンが始動されると、ドライブレコーダ1による運転状況データの収集及び格納が開始される。なお、運転状況データを収集する時間間隔は、分析精度とデータ容量とのバランスを考えて、適切な値(例えば0.5秒毎)に設定すればよい。時刻t0〜時刻t1は、アイドリング期間である。時刻t1〜時刻t2は、加速走行期間である。時刻t2〜時刻t3は、定速走行期間である。時刻t3〜時刻t4は、減速走行期間である。そして、時刻t4においてエンジンが停止されると、ドライブレコーダ1による運転状況の収集及び格納が終了される。
【0092】
時刻t5において再びエンジンが始動されると、ドライブレコーダ1による運転状況データの収集及び格納が再開される。時刻t5〜時刻t6は、アイドリング期間である。時刻t6〜t7は、加速走行期間である。時刻t7〜時刻t8は、定速走行期間である。時刻t8〜t10は、加速走行期間である。時刻t10〜時刻t11は、定速走行期間である。時刻t11〜時刻t14は、減速走行期間である。そして、時刻t14においてエンジンが停止されると、ドライブレコーダ1による運転状況の収集及び格納が終了される。
【0093】
その後、運転者が携帯電話端末2を用いて運転状況データの転送操作を行うと、記憶部107に格納されている運転状況データが携帯電話端末2経由でサーバ6に転送される。サーバ6では、携帯電話端末2から受信した運転状況データの解析が行われ、運転内容の燃費向上性に関する判定処理が行われた後に、その判定結果が携帯電話端末2に送信される。なお、上記の判定結果は、電子メールの本文に記載してもよいし、或いは、判定結果が記載されているURL[Uniform Resource Locator]を通知してもよい。
【0094】
上記した燃費向上性に関する判定について、より具体的に説明する。不必要に燃料を浪費する運転操作の一例としては、速度の上げ過ぎ、急激な加速、急激な減速、及び、回転数の上げ過ぎ(空ぶかしを含む)など(以下、これらをまとめて「非効率運転」と呼ぶ)を挙げることができる。そこで、サーバ6は、1回の走行時間(図5及び図6では、時刻t0時刻t4と時刻t5〜時刻t14との合算時間)のうち、上記の非効率運転を行っている時間が占める割合を算出し、その算出値に基づいて、運転者に対する燃費向上運転の啓発や提案を行う構成とされている。
【0095】
すなわち、サーバ6では、燃費向上性に関する判定に際して、速度V(ti)が所定の上限値Vthを上回っていないか、加速度A(ti)が所定の上限値Ath+を上回っていないか、加速度A(ti)が所定の下限値Ath−を下回っていないか、及び、回転数R(ti)が所定の上限値Rthを上回っていないかがチェックされ、上記に該当した判定項目が一つでもあれば、その時刻tiに非効率運転が行われていたと判定される。
【0096】
図5及び図6に例示した運転状況に即して具体的に説明する。ただし、説明を簡単とするため、以下の説明では、回転数R(ti)を不問とし、速度V(ti)と加速度A(ti)に基づいて、燃費向上性に関する判定を行うものとする。
【0097】
速度超過の判定に関しては、速度V(t9)〜速度V(t12)が所定の上限値Vthを上回っていると判定され、時刻t9〜時刻t12が非効率運転期間(速度超過期間)としてカウントされる。また、急加速の判定に関しては、加速度A(t6)〜加速度A(t7)が所定の上限値Ath+を上回っていると判定され、時刻t6〜時刻t7が非効率運転期間(急加速期間)としてカウントされる。また、急減速の判定に関しては、加速度A(t11)〜加速度A(t13)が所定の下限値Ath−を下回っていると判定され、時刻t11〜時刻t13が非効率運転期間(急減速期間)としてカウントされる。ただし、時刻t11〜時刻t12は、速度超過期間であり、かつ、急減速期間であるため、重複したカウントが行われることはない。
【0098】
上記判定処理の終了後、サーバ6では、運転者に通知すべき判定結果のデータ作成が行われる。なお、判定結果の通知内容としては、例えば、1回の走行に占める非効率運転の割合に基づいて燃費向上運転の達成度を点数表示してもよいし、或いは、運転内容の内訳(例えば、燃費向上運転期間:A%、アイドリング期間:B%、非効率運転期間C%(速度超過期間:a%、急加速期間:b%、急減速期間:c%))を表示してもよい。また、今回の走行中で最も燃費の悪化を招いたと思われる運転操作(例えば速度超過)を指摘して、これを改めるようにアドバイスを表示することも有効である。なお、当然のことながら、サーバ6から受信した燃費向上運転の判定結果を運転者に報知するための手段としては、携帯電話端末2に搭載されている表示部(液晶表示パネルなど)を流用すればよい。
【0099】
このように、サーバ6を主体として、燃費向上運転の判定サービスを提供する交通情報システムであれば、運転者が燃費向上運転を習得・実践・継続するための補助的手段として、ドライブレコーダ1を積極的に活用することができるので、ドライブレコーダ購入のインセンティブとなり、延いては、環境保全の促進に大きく寄与することが可能となる。
【0100】
また、運転状況データの詳細な解析をドライブレコーダ1側ではなくサーバ6側で行う構成であれば、ドライブレコーダ1の情報処理能力を不要に高める必要がないので、装置の大型化やコストアップを招かずに済む。
【0101】
なお、サーバ6は燃費向上運転の判定結果を累積的に格納しておく構成とすればよい。このような構成とすることにより、1回の走行毎に燃費向上運転の達成度を前回走行時と比較したり、或いは、燃費向上運転の達成度を所定の集計期間に亘って平均化するなどして、より継続的な分析を行うことができるようになるので、燃費向上運転の技量がどのように推移しているかを報知し、運転者のモチベーションを高めることが可能となる。
【0102】
また、図5及び図6の例示においては、時刻t0〜時刻t1、及び、時刻t5〜時刻t6がいずれもアイドリング期間であり、速度V(ti)及び加速度A(ti)は共にゼロ値であるため、上記の判断項目に照らせば、これらの期間が非効率運転期間としてカウントされることはない。ただし、アイドリング期間が長過ぎる場合には、不必要に燃料を浪費することになるため、これを非効率運転として判定するように、燃費向上性に関する判定のアルゴリズムを適宜変更しても構わない。
【0103】
また、上記では、説明を簡単にするために、回転数R(ti)を不問としたほか、その他の判定項目についても特段の言及は行わなかったが、燃費向上性に関する判定をより詳しく行うためには、例えば、速度V(ti)の揺らぎ(加速/減速の繰り返し)が生じているか否かを判定項目に加えることが望ましい。
【0104】
また、速度V(ti)の上限値Vth、加速度A(ti)の上限値Ath+及び下限値Ath−、並びに、回転数R(ti)の上限値Rthについては、平地走行時と坂道走行時との違い、ないしは、一般道走行時と高速道走行時との違いなど、走行状態を考慮に入れて適宜調整することが望ましい。このような閾値の調整を行う場合には、ドライブレコーダ1からサーバ6に転送される運転状況データとして、車両の位置P(ti)に関する情報を含めておく必要がある。
【0105】
また、上記では、ドライブレコーダ1で収集される運転状況データのうち、燃費向上運転の判定サービスに必要なパラメータとして、日時(ti)、車両の位置(P(ti)、速度V(ti)、加速度A(ti)、及び、エンジンの回転数R(ti)を選定し、これらのパラメータを時刻t0〜時刻t4、及び、時刻t5〜時刻t14にわたって継続的に計測・格納した上で、その格納内容を全てドライブレコーダ1からサーバ6に転送する構成を例に挙げて説明を行ったが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、記憶部107の容量削減や携帯電話端末2の通信データ削減(延いては通信費用の削減)を優先するのであれば、図6中のハッチング部分で示したように、エンジンの始動時と停止時、及び、非効率運転時にのみ、上記のパラメータを記憶部107に格納し、その格納内容をサーバ6に転送する構成にするとよい。このような構成を採用する場合には、ドライブレコーダ1側で非効率運転の判定(速度超過判定、急加速判定、急減速判定、回転数超過判定など)を行わねばならないが、そのためには各パラメータと所定の閾値を比較すれば足りるので、ドライブレコーダ1の情報処理能力を不必要に高める必要はない。
【0106】
(運転状況データの上書き禁止操作)
次に、記憶部107で不揮発的に格納された運転状況データの上書き禁止操作について詳細に説明する。
【0107】
本実施形態のドライブレコーダ1では、記憶部107の容量に応じて、不揮発的に記憶しておける運転状況データのファイル数に上限値(例えば、センサトリガによる記憶ファイル数10件と、マニュアル操作トリガによる記憶ファイル数10件)があり、不揮発的に記憶されている運転状況データのファイル数が上限値に達した後、さらに新たな運転状況データのファイルを不揮発的に記憶する場合には、最も古い運転状況データのファイルが上書きされる。この点については、従前のドライブレコーダと同様である。
【0108】
ただし、本実施形態のドライブレコーダ1では、不揮発的に記憶された運転状況データの各ファイル毎に、「上書許可属性」と「上書禁止属性」のいずれかを付与することが可能とされている。なお、記憶部107へ不揮発的に記憶された運転状況データの各ファイルには、デフォルト属性として「上書許可属性」が付与される。従って、意図的に「上書禁止属性」を付与しない限り、その運転状況データは、いずれ新たなファイルに上書きされて利用することができなくなる。一方、意図的に「上書禁止属性」が付与されたファイルについては、新たなファイルによる上書き対象から除外されるため、そのファイルが記憶部107に格納されている最も古いファイルであったとしても、新たなファイルによって上書きされることはないので、ユーザがそのファイルを意図的に削除しない限り、いつでも運転状況データの内容を確認することが可能となる。
【0109】
例えば、自動車の運転中に軽微な接触事故が発生したため、念のためにマニュアル操作で運転状況データを不揮発的に記憶したが、その時点では、自己にも相手にも特段の問題がない様子であったため、不揮発的に記憶された運転状況データを確認して交渉することはしなかったものの、後日、自車の破損を発見したので相手に補償を求めたくなった場合や、逆に、相手から補償を求められる場合もあり得る。このような場合、事故発生時点で念のために格納しておいた運転状況データのファイルに「上書禁止属性」を付与しておけば、以後、その格納ファイルが上書きによって消失することはないので、後日、必要に応じて事故発生時の運転状況データを確認することが可能となり、延いては、相手との間で適切な交渉を行うことが可能となる。
【0110】
図7は、不揮発的に格納された運転状況データの上書禁止操作を示すフローチャートである。
【0111】
まず、ステップS31では、先に説明した所定のトリガ条件が満足されたか否かの判定が行われる。ここで、所定のトリガ条件が満足されたと判定された場合(例えば、車両に過大な衝撃が生じた場合や、ユーザによる運転状況データのマニュアル格納操作が行われた場合)には、フローが続くステップS32に進められる。一方、所定のトリガ条件が満足されたと判定されなかった場合には、フローがステップS31に戻されて、上記のトリガ条件判定処理が継続される。
【0112】
ステップS31において、所定のトリガ条件が満足されたと判定された場合、ステップS32では、その時点で収集されている運転状況データが記憶部107へ不揮発的に格納される。このとき、運転状況データの格納ファイルには、デフォルト属性として「上書許可属性」が付与される。なお、「上書許可属性」については、必ずしも積極的にそのような専用のフラグを設けておく必要はなく、「上書禁止属性」が付与されていないことをもって、「上書き許可属性」が付与されていると見なすことができる。
【0113】
続くステップS33では、上書き禁止操作の受付けに関するメッセージの報知が行われる。この報知としては、例えば、「ただいま、運転状況データを格納しました。この格納ファイルの上書きを禁止したい場合には、本体の上書き禁止ボタンを押して下さい。」といった音声アナウンスを行うマイクを設けてもよいし、或いは、上書き禁止操作の受付タイミングである旨を報知するためのランプを設けておき、これを点灯ないし点滅させる構成としてもよい。このような報知を行う構成であれば、ユーザは、運転状況データが不揮発的に格納された時点で遅滞なく、その格納ファイルに「上書禁止属性」を付与するか否かを判断することが可能となる。
【0114】
ただし、ステップS33におけるメッセージの報知は、必ずしも必須のステップではなく、例えば、運転状況データの格納処理中に点灯ないし点滅されるランプがドライブレコーダ1に設けられている場合には、その点灯ないし点滅をもって上記の報知に代えてもよいし、或いは、全く上記の報知を行わなくても構わない。このような構成とすることにより、ドライブレコーダ1の本体には、何ら構成要素を追加せずに済む。
【0115】
続くステップS34では、ユーザが上書き禁止操作を行ったか否かの判定が行われる。ここで、ユーザが上書き禁止操作を行ったと判定された場合には、フローがステップS35に進められる。一方、ユーザが上書き禁止操作を行ったと判定されなかった場合には、フローがステップS36に進められる。
【0116】
なお、上記の上書き禁止操作としては、例えば、上書き禁止操作専用ボタンの押下を検出してもよいし、或いは、運転状況データの格納処理中におけるマニュアル格納用ボタンの押下を検出してもよい。
【0117】
後者の構成について、例えば、車両に過大な衝撃が生じたり、或いは、ユーザがマニュアル格納用ボタンを押下すると、ステップS31において、所定のトリガ条件が満足されたと判定され、ステップS32において、その時点で収集されている運転状況データが記憶部107に格納されるが、その格納処理が行われている最中に、ステップS34において、ユーザがマニュアル格納用ボタンを押下したことが検出された場合には、これを上書き禁止操作として認識すればよい。このような構成とすることにより、ドライブレコーダ1の本体には、何ら構成要素を追加することなく、制御部101を動作させるためのソフトウェアを一部書き換えるだけで、上書き禁止操作を受け付けることが可能となる。
【0118】
ステップS34において、ユーザが上書き禁止操作を行ったと判定された場合、ステップS35では、記憶部107に格納された運転状況データのファイルに「上書禁止属性」が付与されて、一連のフローが終了される。このような「上書禁止属性」が付与されたファイルについては、新たなファイルによる上書き対象から除外されるため、ユーザがそのファイルを意図的に削除しない限り、いつでも運転状況データの内容を確認することが可能となる。
【0119】
一方、ステップS34において、ユーザが上書き禁止操作を行ったと判定されなかった場合、ステップS36では上書き禁止操作の受付終了条件が満足されたか否かの判定が行われる。ここで、所定の受付終了条件が満足されたと判定された場合には、記憶部107に格納された運転状況データのファイルに「上書禁止属性」が付与されることなく、デフォルト属性である「上書許可属性」が付与されたまま一連のフローが終了される。一方、所定の受付終了条件が満足されたと判定されなかった場合には、フローがステップS34に戻されて、ユーザによる上書き禁止操作の有無判定が継続される。
【0120】
なお、上記の受付終了条件としては、例えば、ステップS31とは別に、所定のトリガ条件が満足されたか否か、すなわち、別の運転状況データを不揮発的に格納する必要が生じたか否かを検出すればよい。この場合、一の運転状況データが不揮発的に格納されてから、別の運転状況データを不揮発的に格納する必要が生じるまでは、直近の運転状況データに「上書禁止属性」を付与することが可能である。
【0121】
また、上記の受付終了条件としては、例えば、ステップS31でトリガ条件が満足されてから所定時間(例えば数分〜数時間)が経過したか否かを検出してもよい。この場合、一の運転状況データが不揮発的に格納されてから、所定時間が経過するまでは、その運転状況データに「上書禁止属性」を付与することが可能である。
【0122】
また、上記の受付終了条件としては、例えば、ドライブレコーダ1への電力供給が遮断されたか否かを検出してもよい。この場合、一の運転状況データが不揮発的に格納されてから、ドライブレコーダ1への電力供給が遮断されるまで、一般には、車両が停止されてイグニッションキーがオフとされるまでは、その運転状況データに「上書禁止属性」を付与することが可能である。
【0123】
また、上記の受付終了条件としては、例えば、ステップS32における記憶部107への格納処理が完了したか否かを検出してもよい。この場合、一の運転状況データに「上書禁止属性」を付与することができるタイミングは、記憶部107への格納処理中に限定される。なお、この受付終了条件を採用する場合には、運転状況データの格納処理中に点灯されるランプをドライブレコーダ1に設けておき、当該ランプの点灯をもってステップS33におけるメッセージの報知とすることが望ましい。
【0124】
なお、運転状況データに「上書き禁止属性」を付与するタイミングについては、記録画像を再生するときでも構わない。
【0125】
(ドライブレコーダのシステム構成)
図8は、本発明に係るドライブレコーダのシステムブロック図である。本構成例のドライブレコーダは、交通事故発生時や危険運転時などに車両の運転状況データ(映像データや走行データなど)を記録する手段として用いられるものであり、画像音声処理LSI200と、カメラ201と、リアルタイムクロック202(以下では、RTC[Real Time Clock]202と呼ぶ)と、EEPROM203と、加速度センサ204と、GPS[Global Positioning System]モジュール205と、スピーカ206と、マイク207と、オーディオコーデック208と、基本プログラム格納メモリ209と、テレビモニタ210と、SDカード211と、拡張プログラム格納メモリ212と、オプションカメラ213と、画像処理IC214と、IrDA[Infrared Data Association]コントローラIC215と、IrDAモジュール216と、を有して成る。
【0126】
また、本構成例のドライブレコーダは、その電源系として、降圧レギュレータ(電源IC)220と、ダイオード221〜223と、抵抗224と、二次電池225と、降圧レギュレータ(LDO[Low DropOut]レギュレータ)230〜232と、を有して成る。
【0127】
画像音声処理LSI200は、ドライブレコーダ全体の動作を統括的に制御するためのコントローラである。なお、画像音声処理LSI200には、車両に搭載されているECU[Electric Control Unit](不図示)から車両各部の動作状態データ(ランプ類(ヘッドランプ、テールランプ、ウィンカランプ、ハザードランプなど)の点灯状態データ、ドアロックの開閉状態データ、サイドミラーの開閉状態データ、ワイパーの駆動状態データ、パワーウィンドウの駆動状態データ、エアバックの駆動状態データ、ABS[Antilock Brake System]の駆動状態データなど)が伝達される。
【0128】
また、車両には、車両各部や車両周辺の状況を検出する種々の車載センサ(不図示)が搭載されており、画像処理LSI200には、これらの車載センサで得られる各種検出データも伝達される。なお、車載センサの一例としては、車両の前後/左右方向に生じる加速度を検出する加速度センサ、車両の鉛直軸周りの回転速度(車両の自転速度)を検出するヨーレートセンサ、車両の走行速度を検出する車速センサ、車輪(タイヤ)の回転速度を検出する車輪速センサ、ステアリングの操舵角を検出する操舵角センサ、ステアリングの操舵トルクを検出する操舵トルクセンサ、ブレーキペダルの踏み込み度合いを検出するブレーキペダルセンサ、車両各部の油圧を検出する油圧センサ、タイヤの空気圧を検出する空気圧センサ、車外気温や車内気温を検出する温度センサ、周囲の明るさを検出する照度センサ、路面状態を検出する路面センサ、車両前後の車間距離を検出する車間距離センサ、車両周辺の障害物を検出する障害物センサ(コーナセンサ)、及び、車両に生じた衝突を検出する衝突センサなどを挙げることができる。
【0129】
カメラ201は、車両周辺(主に車両前方)を撮影する外部デバイス(2.8V駆動)であり、2線式シリアルバスI2C#1を介して、画像音声処理LSI200と接続されている。カメラ201を構成する光電変換素子としては、CCD[Charge Coupled Devices]やCMOS[Complementary Metal Oxide Semiconductor]を用いればよい。カメラ201は、車両前方の様子を適切に動画撮影することが可能であって、かつ、運転者の視界を妨げることのない位置(バックミラーの裏面など)に取り付けることが望ましい。カメラ201で生成される撮像データは、専用のデータバスを介して画像音声処理LSI200に出力される。このように、車両の運転状況データを構成する要素として、車両周辺を動画撮影した映像データを含めることにより、交通事故の原因究明を迅速かつ適切に行うことが可能となる。
【0130】
RTC202は、日付と時刻に関する時刻データを生成して画像音声処理LSI200に出力する外部デバイス(3.3V駆動)であり、2線式シリアルバスI2C#2を介して、画像音声処理LSI200と接続されている。このように、車両の運転状況データを構成する要素として、日付と時刻を含めることにより、交通事故の発生に至る時間経過を事後解析することが可能となる。
【0131】
EEPROM203は、所定のトリガ条件が満足されたときに、画像音声処理LSI200でバッファされている運転状況データを不揮発的に格納する外部デバイス(3.3V駆動)であり、2線式シリアルバスI2C#2を介して、画像音声処理LSI200と接続されている。
【0132】
例えば、画像音声処理LSI200は、加速度センサ204で検出された車両の加速度変化が所定の閾値を超えたとき(車両に対して所定の閾値を超える衝撃が加わったとき)に、所定のトリガ条件が満足されたと判定し、EEPROM203へのアクセスを行い、運転状況データを格納する。ここで、EEPROM203に格納される運転状況データは上記のトリガ条件が満足されたタイミング前後の所定期間(数秒間〜数分間)に、画像音声処理LSI200で一時格納される運転状況データである。
【0133】
2線式シリアルバスI2C#1は、抵抗R1を介して、第1インタフェイス電圧VDD1(2.8V)の印加端にプルアップされており、2線式シリアルバスI2C#2は、抵抗R2を介して、第2インタフェイス電圧VDD2(3.3V)の印加端にプルアップされている。
【0134】
このように、画像音声処理LSI200は、接続する外部デバイスの電源電圧に合わせて2系統のシリアルバスを有している。ただし、画像音声処理LSI200の内部において、2線式シリアルバスI2C#1、I2C#2は1系統として取り扱われる。このような構成とすることにより、電源電圧の異なる複数の外部デバイスを接続する場合であっても、各々の電源電圧に基づいて適切なグループ分けを行い、各グループ(上記では、2.8V駆動のグループと3.3V駆動のグループ)を別系統のシリアルバスに接続することにより、ハイレベル電圧の差に起因する電力浪費やノイズ耐性劣化を防ぐことが可能となる。また、上記した構成を採用することにより、画像音声処理LSI200の設計(部品選定、外部デバイスを動作保証範囲内のインタフェイス電圧で使いこなすための電源周りの安定化など)や、PCBの設計、品質評価の負担を低減することも可能となる。
【0135】
なお、画像音声処理LSI200は、装置外部に接続された2系統の2線式シリアルバスI2C#1、I2C#2を装置内部で同一のバスとして取り扱うためのバスインタフェイス回路を内蔵しているが、その構成及び動作については、後ほど詳細に説明する。
【0136】
加速度センサ204は、互いに直交する3軸方向(X軸方向(=車両の進行方向)、Y軸方向(=車両の左右方向)、Z軸方向(=車両の上下方向))の加速度を各々検出し、これを加速度データとして画像音声処理LSI200に出力する手段である。なお、加速度データの検出方式としては、ピエゾ抵抗方式や静電容量方式を用いることができる。このように、車両の運転状況データを構成する要素として、車両の加速度を示す加速度データを含めることにより、交通事故時に生じた車両の衝撃を事後解析することができる。
【0137】
GPSモジュール205は、GPS衛星からの衛星信号を利用して車両の現在位置(緯度、経度、高度)を検出し、これを車両位置データとして画像音声処理LSI200に出力する手段である。なお、画像音声処理LSI200とGPSモジュール205の間は、UART[Universal Asynchronous Receiver Transmitter]通信ポートを介して有線で接続されている。このように、車両の運転状況データを構成する要素として、車両位置データを含めることにより、交通事故の発生に至る走行経路を事後解析することができる。
【0138】
スピーカ206及びマイク207は、オーディオコーデック208を介して、画像音声処理LSI200に接続されている。スピーカ206は、例えば、画像音声処理LSI200からの指示に基づいて、運転者に危険な運転を控えるように警告を発する手段として用いられる。なお、上記の警告については、スピーカ206による音声のほか、テレビモニタ210による映像(若しくはそれらの組み合わせ)によって行えばよい。このような警告を発する構成であれば、運転者は常に安全運転を心掛けるようになるので、交通事故の抑制に寄与することができる。なお、画像音声処理LSI200は、車両の急発進、急ハンドル、急ブレーキ、急シフトチェンジ、夜間の無灯火、方向指示器の操作を伴わない車線変更、蛇行、周囲の車両や建造物との急接近などを検知したときに、スピーカ206やテレビモニタ210に対して上記の警告を発するように指示を送る。マイク207は、例えば、運転者からの音声指示を受け取る手段として用いられる。
【0139】
基本プログラム格納メモリ209は、画像音声処理LSI200の基本動作を実現するためのプログラムやデータを格納する手段であり、例えば、フラッシュメモリ(2Mbit)などを用いることができる。
【0140】
テレビモニタ210は、例えば、カメラ201で得られる車両の周辺映像や、テレビジョン放送の番組映像、或いは、カーナビゲーションシステムの地図情報を表示するための手段であり、液晶ディスプレイなどを用いることができる。
【0141】
SDメモリ211は、ドライブレコーダに着脱可能な外部メモリであり、例えば、EEPROM203に格納されている運転状況データを持ち出したり、画像音声処理LSI200の動作プログラムを書き換えたりする際に用いられる。
【0142】
拡張プログラム格納メモリ212、オプションカメラ213、画像処理IC214、IrDAコントローラIC215、及び、IrDAモジュール216は、いずれも、ドライブレコーダの機能を拡張するためのオプションデバイスであり、いずれもオプションデバイス接続用のパラレルバスを介して、画像音声処理LSI200に接続されている。
【0143】
拡張プログラム格納メモリ212は、基本プログラム格納メモリ209に格納しきれなかったプログラムやデータを格納する手段であり、例えば、フラッシュメモリ(2Mbyte)を用いることができる。オプションカメラ213は、カメラ201とは別視点(例えば車両後方)の映像を取得するための手段である。画像処理IC214は、オプションカメラ213で得られた映像データに所定の画像処理(アナログ/デジタル変換処理、ノイズ除去処理、色補正処理、画像圧縮処理など)を施して画像音声処理LSI200に出力する手段である。IrDAコントローラIC215及びIrDAモジュール216は、携帯電話端末やリモートコントローラとの赤外線通信を行う手段である。
【0144】
降圧レギュレータ220は、入力電圧V1(例えば12Vまたは24V)を降圧して出力電圧V2(例えば5.0V)を生成する電源ICである。
【0145】
ダイオード221のアノードは、降圧レギュレータ220の出力端に接続されている。ダイオード221のカソードは、抵抗224を介して二次電池225の正極に接続されている。ダイオード222のアノードは、降圧レギュレータ220の出力端に接続されている。ダイオード222のカソードは、降圧レギュレータ230〜232の入力端に接続されている。ダイオード223のアノードは、二次電池225の正極に接続されている。ダイオード223のカソードは、降圧レギュレータ230〜232の入力端に接続されている。二次電池225は、ダイオード221及び抵抗224を介する充電経路により、出力電圧V2によって充電され、ダイオード223を介する放電経路により、正極から電池電圧V3が引き出される。降圧レギュレータ230〜232には、出力電圧V2と電池電圧V3のいずれか高い方が供給される。
【0146】
降圧レギュレータ230〜232は、それぞれ内部電圧VDD0(例えば1.5V)、第1インタフェイス電圧VDD1(例えば2.8V)、及び、第2インタフェイス電圧VDD2(例えば3.3V)を生成し、これらをドライブレコーダの各部に供給する。
【0147】
上記構成から成るドライブレコーダを車両に搭載しておけば、自責の交通事故や危険運転が記録されてしまうことを嫌い、運転者は常に安全運転を心掛けるようになるので、交通事故の抑制に寄与することが可能となる。また、万一、過失責任のない運転者が交通事故に巻き込まれてしまった場合には、ドライブレコーダに記録された運転状況データを事後解析することにより、運転者の正当性を立証することも可能となる。
【0148】
図9は、バスインタフェイス回路の一構成例(シリアル入出力)を示す回路図である。本図に示すように、画像音声処理LSI200は、コントローラ300と、バスインタフェイス回路400と、を有して成る。
【0149】
バスインタフェイス回路400は、装置外部に接続された2系統の2線式シリアルバスI2C#1、I2C#2を装置内部で同一のバスとして取り扱うための双方向バスマルチプレクサであり、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ401と、Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ402と、レベルシフタ411〜413と、レベルシフタ421〜423と、論理積演算器430と、を有して成る。
【0150】
トランジスタ401のドレインは、2線式シリアルバスI2C#1のデータ線に接続されており、抵抗R1を介して、第1インタフェイス電圧VDD1の印加端にプルアップされている。トランジスタ401のソースは、接地端に接続されている。トランジスタ402のドレインは、2線式シリアルバスI2C#2のデータ線に接続されており、抵抗R2を介して、第2インタフェイス電圧VDD2の印加端にプルアップされている。トランジスタ402のソースは、接地端に接続されている。すなわち、2線式シリアルバスI2C#1、I2C#2は、各々に接続される外部デバイスの電源電圧に適合したインタフェイス電圧が与えられている。
【0151】
トランジスタ401がオンのとき、2線式シリアルバスI2C#1のデータ線は、ローレベル(接地電圧GND)となる。トランジスタ401がオフのとき、2線式シリアルバスI2C#1のデータ線は、ハイレベル(第1インタフェイス電圧VDD1)となる。トランジスタ402がオンのとき、2線式シリアルバスI2C#2のデータ線は、ローレベル(接地電圧GND)となる。トランジスタ402がオフのとき、2線式シリアルバスI2C#2のデータ線は、ハイレベル(第2インタフェイス電圧VDD2)となる。
【0152】
レベルシフタ411の入力端は、2線式シリアルバスI2C#1のデータ線に接続されている。レベルシフタ411の出力端は、論理積演算器430の第1入力端に接続されている。レベルシフタ421の入力端は、2線式シリアルバスI2C#2のデータ線に接続されている。レベルシフタ421の出力端は、論理積演算器430の第2入力端に接続されている。論理積演算器430の出力端は、コントローラ300のデータ信号入力端に接続されている。
【0153】
レベルシフタ411は、第1インタフェイス電圧VDD1と接地電圧GNDとの間でスイングされるパルス信号を内部電圧VDD0と接地電圧GNDとの間でスイングされるパルス信号にレベルシフトして出力する。レベルシフタ421は、第2インタフェイス電圧VDD2と接地電圧GNDとの間でスイングされるパルス信号を内部電圧VDD0と接地電圧GNDとの間でスイングされるパルス信号にレベルシフトして出力する。論理積演算器430は、レベルシフタ411、421から各々入力されるパルス信号の論理積演算を行うことによって、内部電圧VDD0と接地電圧GNDとの間でスイングされる論理積信号を生成し、これをコントローラ300への入力データ信号INとして送出する。
【0154】
レベルシフタ412、422の入力端は、いずれもコントローラ300のデータ信号出力端に接続されている。レベルシフタ412の出力端は、トランジスタ401のゲートに接続されている。レベルシフタ422の出力端は、トランジスタ402のゲートに接続されている。
【0155】
レベルシフタ412は、内部電圧VDD0と接地電圧GNDとの間でスイングされるコントローラ300からの出力データ信号OUTを第1インタフェイス電圧VDD1と接地電圧GNDとの間でスイングされるパルス信号にレベルシフトして出力する。レベルシフタ422は、内部電圧VDD0と接地電圧GNDとの間でスイングされるコントローラ300からの出力データ信号OUTを第2インタフェイス電圧VDD2と接地電圧GNDとの間でスイングされるパルス信号にレベルシフトして出力する。
【0156】
レベルシフタ413、423の入力端は、いずれもコントローラ300のクロック信号出力端に接続されている。レベルシフタ413の出力端は、2線式シリアルバスI2C#1のクロック線に接続されている。レベルシフタ423の出力端は、2線式シリアルバスI2C#2のクロック線に接続されている。
【0157】
レベルシフタ413は、内部電圧VDD0と接地電圧GNDとの間でスイングされるコントローラ300からのクロック信号CLKを第1インタフェイス電圧VDD1と接地電圧GNDとの間でスイングされるパルス信号にレベルシフトして出力する。レベルシフタ423は、内部電圧VDD0と接地電圧GNDとの間でスイングされるコントローラ300からのクロック信号CLKを第2インタフェイス電圧VDD2と接地電圧GNDとの間でスイングされるパルス信号にレベルシフトして出力する。
【0158】
上記したように、バスインタフェイス回路400は、コントローラ300から出力される単一の出力データ信号OUTを分配して2線式シリアルバスI2C#1、I2C#2の各データ線に伝達する信号分配機能部(トランジスタ401、402、及び、レベルシフタ412、422)と、同じく、コントローラ300から出力される単一のクロック信号CLKを分配して2線式シリアルバスI2C#1、I2C#2の各クロック線に伝達する信号分配機能部(レベルシフタ413、423)と、を有して成る。
【0159】
また、バスインタフェイス回路400は、2線式シリアルバスI2C#1、I2C#2から各々入力される複数の入力信号を結合してコントローラ300への入力データ信号INを生成する信号結合機能部(レベルシフタ411、421及び論理積演算器430)を有して成る。
【0160】
また、バスインタフェイス回路400は、コントローラ300と2線式シリアルバスI2C#1、I2C#2との間で信号の受け渡しを行う際、コントローラ300に与えられている内部電圧VDD0と2線式シリアルバスI2C#1、I2C#2に各々与えられているインタフェイス電圧VDD1、VDD2との間で、信号の電圧レベルを変換するレベルシフト機能部(レベルシフタ411〜413、421〜423)を有して成る。
【0161】
このように、画像音声処理LSI200は、接続する外部デバイスの電源電圧に合わせて2系統のシリアルバスを有している。ただし、画像音声処理LSI100の内部において、2線式シリアルバスI2C#1、I2C#2は1系統として取り扱われる。このような構成とすることにより、電源電圧の異なる複数の外部デバイスを接続する場合であっても、各々の電源電圧に基づいて適切なグループ分けを行い、各グループ(上記では、2.8V駆動のグループと3.3V駆動のグループ)を別系統のシリアルバスに接続することにより、ハイレベル電圧の差に起因する電力浪費やノイズ耐性劣化を防ぐことが可能となる。従って、上記構成を採用することにより、例えば、従来モジュール(3.3V系)と最新モジュール(2.8V系)とを同一のバスに接続して使用することが可能となる。また、上記構成を採用することにより、画像音声処理LSI200の設計(部品選定、外部デバイスを動作保証範囲内のインタフェイス電圧で使いこなすための電源周りの安定化など)や、PCBの設計、品質評価の負担を低減することも可能となる。
【0162】
図10は、インタフェイス電圧VDD1、VDD2の設定範囲を示す図である。本図に示したように、カメラ201、RTC202、及び、EEPROM203のそれぞれでインタフェイス電圧の推奨範囲(動作保証範囲)が異なっている場合であっても、インタフェイス電圧VDD1の設定可能範囲、及び、インタフェイス電圧VDD2の設定可能範囲を大幅に広げることが可能となる。また、電圧変換インタフェイスIC(レベルシフタIC)を別途設ける必要がなく、コストアップやセット規模の増大を招くおそれもない。
【0163】
なお、コントローラ300は、2線式シリアルバスI2C#1、I2C#2に各々接続される外部デバイス(カメラ201、RTC202、及び、EEPROM203)のアドレス制御またはチップセレクト制御を行う構成とされている。このように、バスに接続されている複数の外部デバイスは、コントローラ300を主体として各々の信号出力動作が調停されているので、2系統の信号を結合させるときに支障が生じることはない。
【0164】
(トリガ判定アルゴリズム)
次に、本発明に係るドライブレコーダのトリガ判定(運転状況データの不揮発記憶動作や運転者への警告動作を行うべき特定の運転挙動が生じたか否かの判定)について、詳細な説明を行う。
【0165】
図11Aは、任意のサンプリングステップ(例えば1/15秒)で実測された加速度データG(t)を時系列的にグラフ化したタイムチャートである。なお、本図の加速度データG(t)については、車両のX軸方向(前後方向)、Y軸方向(左右方向)、及び、Z軸方向(上下方向)いずれの加速度データであると考えてもよいが、以下では、図11Aの加速度データG(t)がX軸方向の加速度データであって、車両走行中に急ブレーキが踏まれた状況を仮定して説明を行う。
【0166】
図11Bは、先の図11Aに示された加速度データG(t)について、単位時間内(時刻(t−α)〜時刻t、例えばα=1秒)における最大値Gmax(t)から最小値Gmin(t)を差し引いた差分値X(t)(=Gmax(t)−Gmin(t))を逐次算出し、その絶対値である絶対差分値|X(t)|を所定のスレッショルド値Xthと比較することで、上記のトリガ判定を行う様子が描写されたタイムチャートである。先にも述べた通り、従来のドライブレコーダでは、上記の絶対差分値|X(t)|に基づくトリガ判定アルゴリズムが一般に採用されていたが、図11Bでも示されているように、このトリガ判定アルゴリズムでは、路面状態(路面の凹凸など)に起因する加速度変化にも過敏に反応してしまい、不要な運転状況データの不揮発記憶動作や運転者への警告動作を発動してしまう場合があった。
【0167】
そこで、本発明に係るドライブレコーダは、上記の絶対差分値|X(t)|に基づくトリガ判定ではなく、先の図11Aに示した加速度データG(t)について、時間的に異なる2系統の移動平均値Y1(t)、Y2(t)を生成した上で、これらの差分値Y(t)(=Y1(t)−Y2(t))を逐次算出し、その絶対値である絶対移動平均差分値|Y(t)|を所定のスレッショルド値Ythと比較することで、上記のトリガ判定を行う構成とされている。
【0168】
図11Cは、移動平均値Y1(t)、Y2(t)を時系列的にグラフ化したタイムチャートであり、図11Dは、絶対移動平均差分値|Y(t)|を時系列的にグラフ化したタイムチャートである。
【0169】
図11Cを見れば分かるように、加速度データG(t)の移動平均化処理により、路面状態に起因する加速度変化を鈍らせることが可能であるが、運転挙動(急ブレーキ)に伴う加速度変化のピークも出づらくなるので、移動平均値Y1(t)、Y2(t)と所定のスレッショルド値とを単純に比較しても、適切なトリガ判定を行えない場合がある。
【0170】
そこで、図11Dに示すように、2系統の移動平均値Y1(t)、Y2(t)から絶対移動平均差分値|Y(t)|を算出することにより、路面状態に起因する加速度変化をフィルタリングした上で、さらに、急峻な運転挙動(危険挙動)のみを浮き上がらせることができる。従って、上記の絶対移動平均差分値|Y(t)|と所定のスレッショルド値Ythを比較することにより、適切なトリガ判定を行うことが可能となる。
【0171】
また、上記のトリガ判定アルゴリズムを採用すれば、車両の加速度値とスレッショルド値を直接的に比較する従来構成と異なり、ドライブレコーダ本体の設置状態(傾き)や加速度センサの絶対値バラツキに依存しないトリガ判定が可能となり、複雑なキャリブレーションが不要となる。
【0172】
図12は、移動平均値Y1(t)、Y2(t)の算出手法を説明するための模式図である。現在時刻(現在カウント)をtとした場合、移動平均値Y1(t)は、加速度データG(t)〜G(t−4)までの5サンプルを平均化した値(={G(t)+G(t−1)+G(t−2)+G(t−3)+G(t−4)}/5)とされており、一方の移動平均値Y2(t)は、加速度データG(t−4)〜G(t−8)までの5サンプルを平均化した値(={G(t−4)+G(t−5)+G(t−6)+G(t−7)+G(t−8)}/5)とされている。
【0173】
すなわち、移動平均値Y1(t)、Y2(t)は、互いに1サンプル分のオーバーラップデータ(図12では、加速度データG(t−4))を含みつつ、互いに隣接する時間帯を演算対象として算出された値である。なお、オーバーラップデータのサンプリング数(オーバーラップ期間)については、移動平均化処理のサンプリング数(移動平均期間)との関係を鑑みつつ任意に設定すればよく、0〜数サンプル分が望ましい。
【0174】
図13は、一般的な乗用車における移動平均期間の設定根拠を説明するためのタイムチャートであり、車両走行中に実測される3軸(X軸、Y軸、Z軸)方向の加速度データを時系列的にグラフ化したものである。本図に示すように、路面の凹凸に起因する加速度変化は、振動のような挙動を示しており、その周期については、車両の速度やサスペンション性能、ないしは、路面の状態に依ることなく、ほぼ0.3〜0.5秒の範囲内に収まっていることが実測データから判明している。そこで、上記の周期(0.3〜0.5秒)を考慮した移動平均期間を設定すれば、路面の凹凸に起因する加速度変化を適切にフィルタリングすることが可能であると考えられる。
【0175】
図14は、上記で説明したトリガ判定アルゴリズムをハードウェア的に実現するトリガ判定回路の一構成例を示すブロック図である。本構成例のトリガ判定回路500は、FIFO[First-In First-Out]レジスタ501と、第1平均化処理部502と、第2平均化処理部503と、減算処理部504と、閾値比較部505と、論理和演算器506と、を有する。
【0176】
FIFOレジスタ501は、加速度センサから入力されるデジタル形式の加速度データを順次格納する。例えば、移動平均化処理のサンプリング数(移動平均期間)を「5」とし、オーバーラップデータのサンプリング数(オーバーラップ期間)を「1」とした場合には、9サンプル分の加速度データG(t−8)〜G(t)がFIFOレジスタ501に格納される。
【0177】
第1平均化処理部502は、FIFOレジスタ501に格納された9サンプル分の加速度データのうち、最新4サンプル分の加速度データG(t−3)〜G(t)の総和(=G(t−3)+G(t−2)+G(t−1)+G(t))を演算し、これを移動平均化処理のサンプリング数(=5)で除すことにより、移動平均値Y1’(t)を算出する。
【0178】
第2平均化処理部503は、FIFOレジスタ501に格納されている9サンプル分の加速度データのうち、最古4サンプル分の加速度データG(t−8)〜G(t−5)の総和(=G(t−8)+G(t−7)+G(t−6)+G(t−5))を演算し、これを移動平均化処理のサンプリング数(=5)で除すことにより、移動平均値Y2’(t)を算出する。
【0179】
なお、第1平均化処理部502及び第2平均化処理部503では、オーバーラップ期間の加速度データG(t−4)が演算対象に含められていない。その理由は、仮に加速度データG(t−4)を演算対象に含めて、先述の移動平均値Y1(t)、Y2(t)を算出したとしても、後段の減算処理部504において移動平均差分値Y(t)を算出する際には、オーバーラップ期間の加速度データG(t−4)が減算処理によってキャンセルされるため、これを予め演算対象から除いておく方が回路規模縮小の点で有利だからである。
【0180】
減算処理部504は、移動平均値Y1’(t)から移動平均値Y2’(t)を減ずることにより、移動平均差分値Y(t)(=Y1’(t)−Y2’(t))を算出する。
【0181】
閾値比較部505は、移動平均差分値Y(t)と、正側スレッショルド値Yth_P及び負側スレッショルド値Yth_Mとを各々比較することにより、正側トリガ信号PTRIG及び負側トリガ信号MTRIGを生成する。なお、移動平均差分値Y(t)が正側スレッショルド値Yth_Pよりも高ければ、正側トリガ信号PTRIGがハイレベルとされ、負側トリガ信号MTRIGがローレベルとされる。また、移動平均差分値Y(t)が正側スレッショルド値Yth_Pよりも低く、負側スレッショルド値Yth_Mよりも高ければ、正側トリガ信号PTRIG及び負側トリガ信号MTRIGがいずれもローレベルとされる。また、移動平均差分値Y(t)が負側スレッショルド値Yth_Mよりも低ければ、正側トリガ信号PTRIGがローレベルとされ、負側トリガ信号MTRIGがハイレベルとされる。
【0182】
論理和演算器506は、正側トリガ信号PTRIGと負側トリガ信号MTRIGとの論理和演算を行い、トリガ信号TRIGを生成する。従って、トリガ信号TRIGは、正側トリガ信号PTRIGと負側トリガ信号MTRIGの少なくとも一方がハイレベルであればハイレベルとなり、両方がローレベルであるときにのみローレベルとなる。
【0183】
なお、本構成例のトリガ判定回路500では、移動平均差分値Y(t)と正負2種類のスレッショルド値Yth_P、Yth_Mとを比較する構成を例に挙げたが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、先出の図11Dで示したように、絶対移動平均差分値|Y(t)|と1つのスレッショルド値Ythとを比較する構成としてもよい。その場合、減算処理部504に絶対値演算処理機能が必要となる一方、負側スレッショルド値Yth_Mや論理和演算器506は不要となる。
【0184】
図15は、上記で説明したトリガ判定アルゴリズムをマイコン等によってソフトウェア的に実現する際のトリガ判定動作を説明するためのフローチャートである。なお、本フローチャートの説明に際しては、前提条件として、移動平均化処理のサンプリング数(移動平均期間)を「m」とし、オーバーラップデータのサンプリング数(オーバーラップ期間)を「n」とする。また、FIFOレジスタの格納値は、新しいものから順番に、FIFO[0]〜FIFO[(2m−n)−1]と表すことにする。
【0185】
フローがスタートすると、ステップS101では、加速度センサから入力されるデジタル形式の加速度データがFIFOレジスタに順次格納され、続くステップS102では、FIFOレジスタが満杯になったか否かの判定が行われる。ここで、ノー判定が下された場合には、フローがステップS101に戻されて、加速度データの格納が継続される。
【0186】
ステップS102でイエス判定が下された場合、ステップS103では、移動平均値Y1’、Y2’の算出処理が行われる。なお、移動平均値Y1’は、FIFOレジスタに格納された(2m−n)サンプル分の加速度データのうち、最新(m−n)サンプル分の加速度データの総和(=FIFO[(m−n)−1]+FIFO[(m−n)−2]+…+FIFO[1]+FIFO[0])を移動平均化処理のサンプリング数(=m)で除した値となる。また、移動平均値Y2’は、FIFOレジスタに格納された(2m−n)サンプル分の加速度データのうち、最古(m−n)サンプル分の加速度データの総和(=FIFO[(2m−n)−1]+FIFO[(2m−n)−2]+…+FIFO[m+1]+FIFO[m])を移動平均化処理のサンプリング数(=m)で除した値となる。
【0187】
ステップS103において、移動平均値Y1’、Y2’が算出されると、続くステップS104では、移動平均差分値Y(=Y1’−Y2’)の算出処理が行われた後、フローがステップS105に進められる。
【0188】
ステップS105では、移動平均差分値Yが負側スレッショルド値Yth_Mよりも低いか否かの判定が行われる。ここで、イエス判定が下された場合には、ステップS106にて、負側トリガ信号MTRIGがハイレベルとされた後、フローがステップS108に進められる。一方、ノー判定が下された場合には、ステップS107にて、負側トリガ信号MTRIGがローレベルとされた後、フローがステップS108に進められる。
【0189】
ステップS108では、移動平均差分値Yが正側スレッショルド値Yth_Pよりも高いか否かの判定が行われる。ここで、イエス判定が下された場合には、ステップS109にて、正側トリガ信号PTRIGがハイレベルとされた後、フローがステップS111に進められる。一方、ノー判定が下された場合には、ステップS110にて、正側トリガ信号PTRIGがローレベルとされた後、フローがステップS111に進められる。
【0190】
ステップS111では、正側トリガ信号PTRIGと負側トリガ信号MTRIGとの論理和演算処理により、トリガ信号TRIGが生成されて、上記一連の処理が完了される。
【0191】
なお、図15のフローチャートでは、移動平均差分値Yと正負2種類のスレッショルド値Yth_P、Yth_Mを比較する構成を例に挙げたが、本発明の構成はこれに限定されるものではなく、先出の図11Dで示したように、絶対移動平均差分値|Y|と1つのスレッショルド値Ythとを比較する構成としてもよい。その場合、ステップS104の後に絶対値処理ステップが必要となる一方、ステップS105〜S107は不要となる。
【0192】
また、マイコンを用いて上記のトリガ判定動作を実行する場合には、マイコンに読み込まれて実行され、当該マイコンを図14のFIFOレジスタ501、第1平均化処理部502、第2平均化処理部503、減算処理部504、及び、閾値比較部505として機能させるトリガ判定用プログラムを用意しておけばよい。
【0193】
また、上記実施形態では、X軸方向の加速度データを演算対象として、本発明に係るトリガ判定アルゴリズムの説明を行ったが、Y軸方向やZ軸方向の加速度データを演算対象としてもよいことは言うまでもなく、演算対象とする加速度データの軸数も任意である。
【0194】
また、本発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0195】
本発明は、ドライブレコーダの検出精度を高める上で有用な技術である。
【符号の説明】
【0196】
1 ドライブレコーダ
2 携帯電話端末
3 電子制御ユニット(ECU)
4 車載センサ
5 携帯電話回線
6 サーバ
7 回線
8 交通センターサーバ
9 警察サーバ
10 保険会社サーバ
61 通信部
62 情報管理部
63 情報解析部
64 情報格納部
101 制御部
102 撮像部
103 GPS受信部
104 加速度センサ
105 インタフェイス部
106 リアルタイムクロック(RTC)
107 記憶部
108 通信部
109 操作部
110 警告部
200 画像音声処理LSI
201 カメラ(CAM)
202 リアルタイムクロック(RTC)
203 EEPROM(E2P)
204 加速度センサ(Gセンサ)
205 GPSモジュール
206 スピーカ
207 マイク
208 オーディオコーデック
209 基本プログラム格納メモリ
210 テレビモニタ
211 SDカード
212 拡張プログラム格納メモリ
213 オプションカメラ
214 画像処理IC
215 IrDAコントローラIC
216 IrDAモジュール
220 降圧レギュレータ(電源IC)
221〜223 ダイオード
224 抵抗
225 二次電池
230、231、232 降圧レギュレータ(LDO)
300 制御部(CTRL)
400 バスインタフェイス回路(双方向バスマルチプレクサ)
401、402 Nチャネル型MOS電界効果トランジスタ
411〜413 レベルシフタ(VDD0/VDD1)
421〜423 レベルシフタ(VDD0/VDD2)
430 論理積演算器
I2C#1、I2C#2 2線式シリアルバス
R1、R2 抵抗
V1 入力電圧
V2 出力電圧
V3 電池電圧
VDD0 内部電圧
VDD1 第1インタフェイス電圧
VDD2 第2インタフェイス電圧
500 トリガ判定回路
501 FIFOレジスタ
502 第1平均化処理部
503 第2平均化処理部
504 減算処理部
505 閾値比較部
506 論理和演算器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の加速度データについて時間的に異なる2系統の第1、第2移動平均値を算出し、これらの差分値または絶対差分値と所定のスレッショルド値との比較結果に応じてトリガ信号を生成するトリガ判定回路を有することを特徴とするドライブレコーダ。
【請求項2】
前記第1、第2移動平均値は、オーバーラップした加速度データを含みつつ、互いに隣接する時間帯を演算対象として算出された値であることを特徴とする請求項1に記載のドライブレコーダ。
【請求項3】
前記トリガ判定回路は、
前記加速度データを格納するレジスタと;
前記レジスタに格納された前記加速度データに基づいて、前記第1、第2移動平均値を算出する平均化処理部と;
前記平均化処理部で算出された前記第1、第2移動平均値に基づいて、これらの差分値または絶対差分値を算出する減算処理部と;
前記減算処理部で算出された前記第1、第2移動平均値の差分値または絶対差分値と、所定のスレッショルド値とを比較して前記トリガ信号を生成する閾値比較部と;
を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のドライブレコーダ。
【請求項4】
所定のトリガ判定用プログラムを読み込んで実行することにより、前記トリガ判定回路として機能するマイコンを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のドライブレコーダ。
【請求項5】
前記オーバーラップした加速度データは、0〜数サンプル分であることを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれかに記載のドライブレコーダ。
【請求項6】
前記第1、第2移動平均値を算出する時間幅は、それぞれ、任意に設定可能であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載のドライブレコーダ。
【請求項7】
前記第1、第2移動平均値を算出する時間幅は、それぞれ、0.3〜0.5秒であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載のドライブレコーダ。
【請求項8】
前記トリガ信号に基づいて車両の運転状況データを不揮発的に記憶するか否かを決定する制御部を有することを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載のドライブレコーダ。
【請求項9】
前記トリガ信号に基づいて運転者への注意喚起を行うか否かを決定する制御部を有することを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載のドライブレコーダ。
【請求項10】
請求項4に記載のドライブレコーダを構成する前記マイコンに読み込まれて実行され、
当該マイコンを、
前記加速度データを格納するレジスタ;
前記レジスタに格納された前記加速度データに基づいて、前記第1、第2移動平均値を算出する平均化処理部;
前記平均化処理部で算出された前記第1、第2移動平均値に基づいて、これらの差分値または絶対差分値を算出する減算処理部;及び、
前記減算処理部で算出された前記第1、第2移動平均値の差分値または絶対差分値と、所定のスレッショルド値とを比較して前記トリガ信号を生成する閾値比較部;
として機能させることを特徴とするトリガ判定用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−227701(P2011−227701A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96837(P2010−96837)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】