説明

ドラムユニット及びこれを搭載した画像形成装置

【課題】クリーニングローラの硬度を経時的に増加させないドラムユニット及びこれを搭載した画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナー像の形成に用いられる回転部材(18,21)と、回転部材の表面(70)を研磨摺擦するクリーニングローラ(54,22)とを具備するドラムユニット(17)であって、クリーニングローラは、ユニットに回転自在に支持されたシャフト(56)と、シャフトの周壁(57)に複数立設されており、その各々の根元部分(60)が分散して周壁を埋める繊維状のブラシ片(58)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナー像を媒体に出力するドラムユニット及びこれを搭載した画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置では電子写真方式が用いられており、帯電器が感光体ドラムを予め帯電し、露光器がドラムの画像形成面に光を照射すると、この画像形成面には静電潜像が形成される。また、現像器はトナーを担持しており、現像バイアス電圧を印加すると、このトナーが励起して静電潜像に付着してトナー像が形成される。そして、このトナー像が用紙に転写及び定着される。
【0003】
ここで、画像形成装置で次回のトナー像を用紙に転写するためには、前回の転写後に画像形成面を清掃し、残留したトナーを画像形成面から除去する必要がある。
具体的には、感光体ドラムの回転方向で視て媒体との転写位置の下流側には、クリーニングローラなどが設けられており、当該ローラが画像形成面を研磨摺擦すると、残留したトナーが画像形成面から除去可能になる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−139044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術では、クリーニングローラの摺擦研磨力が次第に高くなり、感光体ドラムの寿命が短くなるとの問題がある。
なぜならば、当該技術のローラは繊維状のブラシ片からなり、この各ブラシ片の根元部分を束ねた集合体が細長い基布に複数植えられ、この基布がシャフトに対して螺旋状に巻き付けられている。そして、巻き付けによって隣接する基布の境目では摺擦研磨のムラが生ずるし、また、この集合体の各根元部分には大きな間隙が形成されているからである。
【0006】
より詳しくは、各根元部分の間に形成された大きな間隙には、画像形成面から掻き取られた塊状の残留トナーや、用紙の紙粉などが入り込み易くなり、これら塊状のトナー等が当該間隙に堆積すると、仮に繊維状のブラシ片をクリーニングローラに用いたとしても、当該ローラの硬度が、このブラシ片を有しない例えばウレタンゴム製のクリーニングローラの摺擦研磨力に略等しい硬度にまで高くなり、これでは画像形成面の摩耗が促進されるからである。
【0007】
このように、上記従来の技術では、クリーニングローラの摺擦研磨力を変化させない点については格別な配慮がなされていない。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消し、クリーニングローラの硬度を経時的に増加させないドラムユニット及びこれを搭載した画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための第1の発明は、トナー像の形成に用いられる回転部材と、回転部材の表面を研磨摺擦するクリーニングローラとを具備するドラムユニットであって、クリーニングローラは、ユニットに回転自在に支持されたシャフトと、シャフトの周壁に複数立設されており、その各々の根元部分が分散して周壁を埋める繊維状のブラシ片とを備える。
【0009】
第1の発明によれば、ドラムユニットは、回転部材及びクリーニングローラを具備する。この回転部材はトナー像の形成に用いられる一方、クリーニングローラは回転部材の表面を研磨摺擦する。
ここで、このクリーニングローラは、ドラムユニットに回転自在に支持されるシャフト、及び繊維状のブラシ片からなり、このブラシ片は、シャフトの周壁に複数立設され、その各々の根元部分が周壁に対して束ではなく、塊状の残留トナーを入り込ませない程度の一定の間隔で散らばっており、周壁を埋めている。
【0010】
よって、塊状の残留トナーはブラシ片の根元部分に堆積されないので、クリーニングローラの硬度をその未使用時と略同等の硬度に維持可能になる。この結果、従来に比してクリーニングローラの摺擦研磨力が変化せず、このクリーニングローラの長寿命化に寄与する。
また、螺旋状に巻かれた基布も用いていないため、従来に比して摺擦研磨のムラも防止可能になる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明の構成において、回転部材は、その駆動によって表面にトナー像を形成する感光体ドラムであり、クリーニングローラは、残留トナーを有した表面を研磨摺擦することを特徴とする。
第2の発明によれば、第1の発明の作用に加えてさらに、例えば紙粉の多い用紙、タルクや重炭酸カルシウムを多く含んだ用紙を用いると、感光体ドラムの表面が劣化し易くなる。しかし、摺擦研磨力の変化しないクリーニングローラを用いていることから、これら紙粉等を除去して感光体ドラムの表面の劣化を防止しつつ、この表面の損傷も回避できる。したがって、感光体ドラムの長寿命化にも寄与する。
【0012】
第3の発明は、第2の発明の構成において、ブラシ片の根元部分の間隔が、0.3mm以下であることを特徴とする。
第3の発明によれば、第2の発明の作用に加えてさらに、ブラシ片の根元部分の間隔を0.3mm以下にすれば、塊状の残留トナーがブラシ片の根元部分に全く入り込まないため、クリーニングローラの硬度をその未使用時と略同等の硬度により一層確実に維持できる。
【0013】
第4の発明は、第3の発明の構成において、感光体ドラムの表面を研磨摺擦するブラシ片の先端部分の間隔が、根元部分の間隔と同じであることを特徴とする。
第4の発明によれば、第3の発明の作用に加えてさらに、各ブラシ片の間隔が、その根元部分から先端部分に亘って均一であり、これらブラシ片がシャフトに対して真直ぐに立設されているので、感光体ドラムの表面を均一に研磨摺擦できる。
【0014】
第5の発明は、第2から第4の発明の構成において、感光体ドラムは、その表面に有機系の層を有した感光体ドラムであることを特徴とする。
第5の発明によれば、第2から第4の発明の作用に加えてさらに、有機系の層を有した感光体ドラムの表面は特に削られ易く、クリーニングローラの硬度の経時的な増加は、当該ドラムに大きな影響を及ぼすとの懸念があるが、上記構成のクリーニングローラによれば、この感光体ドラムの特性を長期間に亘って維持可能になり、特に顕著な効果を奏する。
【0015】
第6の発明は、第1から第5の発明の構成において、回転部材とクリーニングローラとの回転比が非整数倍の関係にあることを特徴とする。
第6の発明によれば、第1から第5の発明の作用に加えてさらに、回転部材とクリーニングローラとの回転比が非整数倍の関係にあれば、回転部材に対するクリーニングローラの接触位置が常に変わることから、回転部材の表面に対して研磨摺擦のムラをより一層確実に無くすことができる。
【0016】
第7の発明は、第1から第6の発明のドラムユニットを搭載した画像形成装置ことを特徴とする。
第7の発明によれば、第1から第6の発明の作用に加えてさらに、上述したドラムユニットを搭載すれば、良好な画像形成が長期間に亘って行われるため、画像形成装置の信頼性向上に寄与する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、トナーをブラシ片の根元部分に堆積させないため、クリーニングローラの硬度をその未使用時と略同等の硬度に維持できるドラムユニット及びこれを搭載した画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施例における画像形成装置の概略構成図である。
【図2】図1のドラムユニット周辺の拡大図である。
【図3】図2のクリーニングローラの斜視図である。
【図4】図3のIV−IV線から視た矢視断面図である。
【図5】図4のクリーニングローラの使用状態を示す図である。
【図6】他の実施例におけるドラムユニット周辺の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1には、画像形成装置の一例であるモノクロ印刷するプリンタ1の構造が概略的に示されている。同図に示された断面はプリンタ1の左側面からみたものである。このため、プリンタ1の前面は同図中の右側に、背面は左側にそれぞれ位置する。
【0020】
同図に示されるように、プリンタ1の装置本体2の内部下方には、給紙カセット4が配置されている。このカセット4の内部には、枚葉の用紙Pが積層された状態で収納される。そして、この用紙Pは、同図においてカセット4の右上方に向けて送出され、送出された用紙Pは、装置本体2の内部で背面側へ向けて反転され、そのまま背面側に向けて搬送される。
【0021】
また、このカセット4は、同図において右方向に向けて引き出し可能に構成されており、この引き出した状態にて、カセット4内に新たな用紙Pを補充したり、用紙Pを別の種類の用紙に入れ替え可能となる。
装置本体2の内部には、カセット4からの用紙搬送方向でみて下流側にフィードローラ10、給紙側の用紙搬送路12、レジストローラ14、画像形成部16が順番に配置されている。
【0022】
画像形成部16には、感光体ドラム(回転部材)18を有したドラムユニット17が備えられている。このドラム18は回転自在に設置され、図示しない駆動モータによって同図の時計回りに駆動する。また、本実施例のドラム18は、その表面に有機系の層を有したOPCドラムである。
そして、このドラム18の周囲の適宜位置には、帯電器20、露光器15、現像器24、転写部30やクリーニング部50がそれぞれ設けられている。
【0023】
この帯電器20はドラムユニット17の上部に位置し、ドラム18の画像形成面(表面)70を一様に帯電させる(図2)。露光器15はユニット17の上方に配置されており、レーザ光Lをドラム18に向けて照射する(図1)。また、現像器24はユニット17の右方に配置され、図2に示される如く、現像ローラ25を有している。この現像ローラ25は図示しない駆動モータによって同図の反時計回りに駆動する。
【0024】
さらに、転写部30はユニット17の下方に配置され、転写ローラ31を備えており、このローラ31はドラム18に対して下方から圧接可能に構成されている。
そして、これらドラム18と転写ローラ31とは、トナーコンテナ23及び現像器24から供給されたトナーを用い、トナー像を用紙Pに転写するための転写ニップ部を形成させる。
【0025】
再び図1に戻り、用紙搬送方向でみて転写部30の下流側には、定着部32、排紙側の用紙搬送路34及び排紙トレイ36が順番に配置されている。
この用紙搬送路34は、定着部32の下流から装置本体2の背面に沿って上方へ延びており、さらに、装置本体2の上部位置にて前面側へ屈曲している。そして、用紙Pの片面にのみ印刷する場合には、定着部32を通過した用紙Pは排出ローラ35を介してトレイ36に排出され、高さ方向に積層される。このトレイ36に積層された印刷済みの用紙Pは、外部から容易に取り出し可能である。
【0026】
一方、本実施例では、カセット4と転写部30や定着部32との間に両面印刷用の用紙搬送路38が形成されている。この用紙搬送路38は、装置本体2の背面に沿う位置にて用紙搬送路34の途中から分岐して下方に向かい、続いて、プリンタ1の前面に向けて屈曲して水平方向に延び、レジストローラ14の上流側、例えばローラ8,10の間に連結し、用紙搬送路12に合流している。用紙搬送路38内の用紙Pは搬送ローラ40によって用紙搬送路12に向けて搬送される。
【0027】
ここで、本実施例のドラムユニット17はクリーニング部50を備えている。
詳しくは、図2に示されるように、このクリーニング部50は、感光体ドラム18の回転方向で視て転写部30の下流側に設けられ、クリーニングブレード52、クリーニングローラ54、フリッカー62や送りローラ64を有する。
クリーニングローラ54は、図示しない駆動モータによって同図の時計回りに駆動し、トナー像が転写された後の画像形成面70をカウンタ方向で摺擦研磨する。
【0028】
これにより、このクリーニングローラ54は、画像形成面70の有機系の層に付着する残留トナー、用紙Pから出る紙粉、用紙Pに含まれるタルクや重炭酸カルシウムなどを除去する。なお、これらドラム18とローラ54との回転比は例えば0.9倍や1.1倍の如く非整数倍に設定されている。
また、フリッカー62はローラ54の上方から当該ローラ54の表面に接触しており、ドラム18からローラ54に移動した残留トナーなどを掻き取っている。
【0029】
クリーニングブレード52は、ドラム18の回転方向で視てローラ54の下流側に設けられており、画像形成面70に少量ながらも付着した残留トナーなどを掻き取っている。
これら画像形成面70やクリーニングローラ54の表面から掻き取られたトナーは、図2の時計回りに駆動する送りローラ64を介して図示しない回収容器に集められる。
【0030】
ところで、本実施例のクリーニングローラ54は、所定厚みのウレタンゴム層ではなく、繊維状のブラシ片で構成され、研磨摺擦力を変化させない工夫が施されている。
具体的には、図3,4に示されるように、本実施例のクリーニングローラ54は、ユニット17のハウジングに回転自在に支持された金属製のシャフト56を有し、ブラシ片58がシャフト56よりも大径の周壁57に直に立設される。
【0031】
より詳しくは、このブラシ片58は、例えば長さ3mmで直径30〜50μm(1μm=1×10−6m)のナイロン樹脂でそれぞれ構成され、1本のシャフト56に対し、約7万〜10万本程のブラシ片58が周壁57に接着されている。
これら隣り合うブラシ片58の根元部分60の間隔は、できる限り均一で狭い間隔、例えば約0.2mm〜0.3mmの範囲である。また、隣り合うブラシ片58の先端部分59の間隔についても根元部分60の間隔と同じであり、各ブラシ片58は、シャフト56の回転軸線に対して略垂直方向に向けて延びている。
【0032】
当該構成のクリーニングローラ54は、その周壁57に接着剤を塗布したシャフト56を準備しておき、このシャフト56を接地した状態で電界中に配置する。この電界は、ブラシ片58の根元部分60が周壁57に向かう方向に発生しており、ブラシ片58は、その各々の根元部分60が上記間隔で分散(散開)し、周壁57を埋める。
【0033】
これにより、ブラシ片58の先端部分59には、図5に黒い点で示された約8μm(1μm=1×10−6m)程度の単体の残留トナーは付着し得るが、これら残留トナーの塊は根元部分60に入り込む余地がない。そして、当該塊状の残留トナーは先端部分59に付着した後、フリッカー62で除去され、送りローラ64を介して上記回収容器に向かう。
【0034】
上記ドラムユニット17を搭載したプリンタ1が印刷を行う際は、カセット4からローラ8により用紙Pが1枚ずつ分離して送出される。送出された用紙Pは、用紙搬送路12を通ってレジストローラ14に到達する。このローラ14は、用紙Pの斜め送りを矯正しつつ、画像形成部16で形成されるトナー画像との画像転写タイミングを計りながら、用紙Pを所定の給紙タイミングにて転写部30へと送出する。
【0035】
一方、感光体ドラム18に対しては、まず、イレーサランプ19が点灯し(図2)、帯電器20がドラム18の画像形成面70を帯電する。次いで、露光器15が画像形成面70にレーザ光Lを照射すると、画像形成面70には静電潜像が形成される。
そして、現像ローラ25の表面に現像バイアス電圧を印加すると、コンテナ23からのトナーは、ドラム18に印加された帯電電圧との電位差によって画像形成面70に付着する。これにより、この画像形成面70には、静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0036】
ドラム18と転写ローラ31との間を用紙Pが通過すると、画像形成面70に形成されたトナー像は、上記ニップ部で用紙Pに転写される。その後、画像形成面70に残留したトナーはクリーニング部50で除去される。
用紙Pは未定着トナー像を担持した状態で定着部32に向けて送られ、この定着部32にて所定の温度に達した熱ローラで加熱及び加圧され、トナー像が定着される。次いで、定着部32から送出された用紙Pは排紙トレイ36に排出される。
【0037】
この片面印刷に対し、両面印刷を行う場合には、定着部32から排出された用紙Pは、このトレイ36に排出される直前にてその搬送方向が切り替えられる。つまり、片面に印刷された用紙Pは装置本体2内に引き戻され、用紙搬送路38、レジストローラ14を介して転写部30に向けて再び送られる。これにより、用紙Pの未だ印刷がされていない方の面にトナー像が転写される。
【0038】
ところで、上述した繊維状のブラシ片を有したクリーニングローラは、帯電器20にも適用可能である。
詳しくは、図6に示された感光体ドラム18の周囲にも、上記実施例と同様に、帯電器20、現像ローラ25、転写ローラ31や、クリーニングローラ54がそれぞれ設けられているが、この例の帯電器20は、ドラム18に接する帯電ローラ(回転部材)21、及びクリーニングローラ22から構成されている。
【0039】
このクリーニングローラ22は、その先端部分が帯電ローラ21の表面を研磨摺擦可能な繊維状のブラシ片であり、上記実施例と同様に、その各々の根元部分がシャフトの周壁に直に立設され、この周壁を埋めている。
以上のように、本実施例によれば、ドラムユニット17は、トナー像の形成に用いられる感光体ドラム18を研磨摺擦するクリーニングローラ54(帯電ローラ21を研磨摺擦するクリーニングローラ22も該当する。以下同じ)を具備する。
【0040】
ここで、このクリーニングローラ54(22)は、ドラムユニット17に回転自在に支持されるシャフト56、及び繊維状のブラシ片58からなり、このブラシ片58は、シャフト56の周壁57に接着層を介して直に複数立設され、その各々の根元部分60が周壁57に対して束ではなく、塊状の残留トナーを入り込ませない程度の一定の間隔で散らばっており、周壁57を埋めている。
【0041】
よって、塊状の残留トナーはブラシ片58の根元部分60に堆積されないので、クリーニングローラ54(22)の硬度が経時的に増加せず、その未使用時と略同等の硬度に維持可能になる。この結果、ブラシ片の根元部分が束になって基布に植えられていた従来に比して、クリーニングローラ54(22)の摺擦研磨力が次第に高くならず、性能一定のローラ54(22)を長期間に亘って使用でき、このローラ54(22)の長寿命化に寄与する。さらに、上述した螺旋状に巻かれた基布も用いていないため、摺擦研磨のムラも防止可能になる。
【0042】
また、例えば紙粉の多い用紙、タルクや重炭酸カルシウムを多く含んだ用紙を用いると、これらが付着することにより、感光体ドラム18の画像形成面70が劣化し易くなる。しかし、摺擦研磨力が高くならないクリーニングローラ54を用いていることから、これら紙粉等を除去して画像形成面70の劣化を防止しつつ、画像形成面70の損傷も回避できる。したがって、感光体ドラム18の長寿命化にも寄与する。
【0043】
さらに、ブラシ片58の根元部分60の間隔を0.3mm以下にすれば、塊状の残留トナーが根元部分60にほとんど入り込まないため、クリーニングローラ54(22)の硬度をその未使用時と略同等の硬度により一層確実に維持できる。
さらにまた、各ブラシ片58の間隔が、その根元部分60から先端部分59に亘って均一であり、これらブラシ片58がシャフト56の軸線に対して真直ぐに立設されているので、画像形成面70や帯電ローラ21の表面を均一に研磨摺擦できる。
【0044】
また、OPCドラムの表面は特に削られ易く、クリーニングローラの硬度の経時的な増加は、当該ドラムに大きな影響を及ぼすとの懸念があるが、上記構成のクリーニングローラ54によれば、当該表面の膜が削られ難くなる。この結果、このドラムの特性を長期間に亘って維持可能になり、特に顕著な効果を奏する。
【0045】
さらに、感光体ドラム18とクリーニングローラ54との回転比や、帯電ローラ21とクリーニングローラ22との回転比が非整数倍の関係にあれば、感光体ドラム18や帯電ローラ21に対するクリーニングローラ54,22の接触位置が常に変わることから、画像形成面70やローラ21の表面に対して研磨摺擦のムラをより一層確実に無くすことができる。
【0046】
さらにまた、上述したドラムユニット17を搭載すれば、良好な画像形成が長期間に亘って行われるため、プリンタ1の信頼性向上に寄与する。
本発明は、上記実施例に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。
例えば、上記実施例では、周壁57はシャフト56よりも大径で構成されているが、上述した繊維状のブラシ片を所望本数で立設できる限り、略同一径などで構成されていても良い。
【0047】
また、この実施例では画像形成装置としてプリンタに具現化した例を示している。しかし、本発明の画像形成装置は、複合機、複写機やファクシミリ等にも当然に適用可能である。
そして、これらいずれの場合にも上記と同様に、クリーニングローラの硬度を経時的に増加させないとの効果を奏する。
【符号の説明】
【0048】
1 プリンタ(画像形成装置)
17 ドラムユニット
18 感光体ドラム(回転部材)
20 帯電器
21 帯電ローラ(回転部材)
22 クリーニングローラ
50 クリーニング部
54 クリーニングローラ
56 シャフト
57 周壁
58 ブラシ片
59 先端部分
60 根元部分
70 画像形成面(表面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像の形成に用いられる回転部材と、該回転部材の表面を研磨摺擦するクリーニングローラとを具備するドラムユニットであって、
該クリーニングローラは、
前記ユニットに回転自在に支持されたシャフトと、
該シャフトの周壁に複数立設されており、その各々の根元部分が分散して前記周壁を埋める繊維状のブラシ片と
を備えることを特徴とするドラムユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のドラムユニットであって、
前記回転部材は、その駆動によって前記表面に前記トナー像を形成する感光体ドラムであり、
前記クリーニングローラは、残留トナーを有した前記表面を研磨摺擦することを特徴とするドラムユニット。
【請求項3】
請求項2に記載のドラムユニットであって、
前記ブラシ片の根元部分の間隔が、0.3mm以下であることを特徴とするドラムユニット。
【請求項4】
請求項3記載のドラムユニットであって、
前記感光体ドラムの表面を研磨摺擦する前記ブラシ片の先端部分の間隔が、前記根元部分の間隔と同じであることを特徴とするドラムユニット。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか一項に記載のドラムユニットであって、
前記感光体ドラムは、その表面に有機系の層を有した感光体ドラムであることを特徴とするドラムユニット。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載のドラムユニットであって、
前記回転部材と前記クリーニングローラとの回転比が非整数倍の関係にあることを特徴とするドラムユニット。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のドラムユニットを搭載したことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−256744(P2010−256744A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−108771(P2009−108771)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】