ドラム式洗濯機
【課題】効果的に泡を生成し、ドラム内の衣類に効率的に洗剤を拡散できるドラム式洗濯機を提供する。
【解決手段】泡発生装置28は、ドラム式洗濯機の循環経路15に介装され、主にエアポンプ27、泡発生タンク29および気泡発生器32から構成され、泡発生タンク29の中間部および上部に水入口部30および水出口部31が設けられている。
【解決手段】泡発生装置28は、ドラム式洗濯機の循環経路15に介装され、主にエアポンプ27、泡発生タンク29および気泡発生器32から構成され、泡発生タンク29の中間部および上部に水入口部30および水出口部31が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回動自在なドラム内に洗濯物を投入し、洗い、すすぎ、脱水などの各行程を逐次制御して洗濯を行うドラム式洗濯機に係り、特に泡を発生する機能を有するドラム式洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
ドラム式洗濯機においては、洗い時に洗剤を早期に水に溶解し衣類に素早く浸透させることで効果的な洗濯が行える。洗剤を溶解させた洗剤液を泡状にすることは、その体積を増大でき、衣類全体に洗剤を拡散させるのに有効な手段である。
洗濯機にいわゆる泡発生装置を用いる例は、例えば特許文献1や特許文献2に開示されている。特許文献1には、泡生成用のタンク構造を循環流路中に設け、空気の導入により泡を生成する手段が開示されている。特許文献2には、ドラムの高速回転により泡を生成し、ドラム前面よりドラム内の衣類に泡を導入する手段が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−7224号公報
【特許文献2】特許3812517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の例は、洗い水を循環ポンプにより流路中を循環させ、その途中で空気を導入するもので、水の流量に対して相当量の空気の導入が必要で、流路中での泡の消滅頻度も高く、洗濯槽内へ導入する際、効果的に早期に泡を衣類に拡散することが困難であった。
特許文献2の例は、ドラムを回転させることで、このドラムと水受け槽との隙間で泡を生成し、このドラム前面より泡をドラム内の衣類に付与するものである。この場合、ドラムと水槽間に泡の過剰な発生があり、衣類に作用する泡の割合が低く、洗い行程のたたき洗いの衝撃力に対して泡がクッションとして作用し、洗浄作用を妨げる場合があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、効果的に泡を生成し、ドラム内の衣類に効率的に洗剤を拡散できるドラム式洗濯機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に係るドラム式洗濯機は、貯水が可能で下部に水循環用水取出口を備えた水槽と、この水槽の内部に回転自在に設けられたドラムと、このドラムを回転駆動する駆動モータと、循環ポンプを備え、その駆動により前記水取出口から取出した前記水槽内の水を水戻口を介して前記ドラム内に戻す循環経路と、この循環経路に介装され、泡を発生させるためのエアポンプを備えた泡発生装置と、前記駆動モータ、循環ポンプ及びエアポンプ等を駆動して洗濯運転を制御する制御手段とを備え、前記泡発生装置は、泡発生部と、この泡発生部に前記循環経路の水取出し側の水を導入する水入口部と、前記泡発生部に前記水入口部より下方に位置して設けられ、前記エアポンプからの空気を導入して泡を発生させる空気導入部と、前記水入口部よりも上方に位置して設けられ、前記泡発生部からの泡を水とともに前記循環経路の水戻し側に供給する水出口部とを有することを特徴とする。
【0007】
請求項1の発明では、上記泡発生部において、上記循環経路内の洗濯水は上記水入口部より底部に貯留され、上記空気導入部より導入される空気により泡が発生する。当該泡は上方へ浮かび上記水出口部より吐出される。このように、上記泡発生部は、効率よく内部に洗濯水を導入し、効果的に泡を発生し外部に泡を吐出することができ、効率的に洗剤をドラム内に拡散することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、効果的に泡を生成し、ドラム内の衣類に効率的に洗剤を拡散できるドラム式洗濯機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るドラム式洗濯機の泡発生装置の全体斜視図
【図2】ドラム式洗濯機全体の概略構成を示した縦断面図
【図3】気泡発生器の分解斜視図(a)、および全体斜視図(b)
【図4】電気的構成を示すブロック図
【図5】洗い行程を示すフローチャート(その1)
【図6】洗い行程を示すフローチャート(その2)
【図7】泡排出処理を示すフローチャート
【図8】洗い行程の概略を示すタイムチャート
【図9】すすぎ行程の概略を示すタイムチャート
【図10】本発明の第2の実施形態に係るドラム式洗濯機の図8相当図
【図11】本発明の第3の実施形態に係る図1相当図
【図12】泡発生装置の要部の拡大斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る乾燥機能付きのドラム式洗濯機について図1ないし図9を参照して説明する。図2の縦断面図は、乾燥機能付きのドラム式洗濯機全体の概略構成を示したもので、外郭を形成する筐体1の内部に、横軸円筒状をなす水槽2を適宜の弾性支持装置3を介して弾性支持している。この水槽2は、実質的に無孔状をなして貯水可能で且つ後述する排水弁4を介して外部に排水可能としていて、前面側を大きく開口した構成としている。該水槽2の下部には水循環用の水取出口2aが形成されている。
【0011】
この水槽2の内部には横軸周りたる具体的には傾斜軸周りに回転可能な円筒状のドラム5(回転槽に相当)が設けられており、該ドラム5は、周壁に多数の透孔5aを有し、水槽2と同様に前面側を大きく開口した構成である。さらにこのドラム5は、これを回転可能に支持するドラム軸6を介して前記水槽2の背部に取付固定されたドラム用モータ(駆動モータ)7により回転駆動されるようになっている。このドラム用モータ7はブラシレスモータから構成されており、後述する制御装置24(制御手段)により回転速度が可変制御できるものである。
このようなドラム5や水槽2の前面開口部に対向して、上記筐体1の前面には洗濯物(図示せず)を出し入れするための投入口8が形成されるとともに、該投入口8を開閉するドア9が回動可能に取り付けられている。
【0012】
上記水槽2内に貯留された洗濯水や飛散した水飛沫などが水槽2外に漏れないように、該水槽2の前面開口部と上記投入口8間に亘り水封する屈曲自在なベローズ10を設けていて、これは上記ドア9の閉鎖状態にあるとき、その裏面側に接触して投入口8から機外への水の漏洩も防止している。
【0013】
そして、本実施形態では乾燥機能としての温風供給手段11および熱交換器12を備えていて、これら温風供給手段11および熱交換器12は、上記水槽2の上下部に連通した循環ダクト13の途中部位に形成されている。具体的には、循環ダクト13の経路中の上流側から上記熱交換器12および温風供給手段11たる送風ファン機構11aおよびヒータ装置11bを順次配設してなる。
【0014】
一方、上記熱交換器12としては、内部に水冷による除湿機能を活用した構成からなり、所謂湿気を含んだ暖気を冷やして水分を凝縮させ排出可能としたもので、これにより常に除湿した乾いた空気を上記ヒータ装置11bで効率良く加熱温風化して、循環ダクト13を経て水槽2およびドラム5内に供給可能としている。
【0015】
また、筐体1の内底部から前面側上部にかけての部位には、循環ポンプ14を途中部に備えた循環経路15が設けられている。この循環経路15は、循環ポンプ14と吸水管路15aと吐出管路15bとから構成されており、吸水管路15aの一端部は上記循環ポンプ14の吸水側に接続され、他端部は上記水槽2の水取出口2aに接続されている。また吐出管路15bの一端部は、循環ポンプ14の吐出側に接続され、他端部の開口部は後述する泡発生装置28の泡発生タンク29の水入口部30に接続されている。なお、循環ポンプ14の下部は、排水弁4を介して排水ホース(図示せず)に連通されている。
【0016】
循環経路15内の洗濯水等の水は、泡発生装置28内に一時的に貯留され、泡発生装置28の水出口部31に接続されている水戻口16からドラム5内に吐出される。水戻口16は、ドラム内の上部に臨む位置に配置されている。なお、上記循環ポンプ14は水槽2より下方の部位に配設されている。
一方、上記熱交換器12にも同様のチューブ19を介して、圧力センサからなる泡センサ20を設けている。この泡センサ20は、水槽2内に多量の泡が発生し、やがては熱交換器12内に侵入することに基づく空気圧変動を検知するものである。
【0017】
なお、水槽2の上部には、2つの水出口を備えた給水手段である給水弁21が設けられており、一方の水出口は給水管路22を介して水槽2の上部に連結されて洗濯水を供給する給水手段として機能し、また他方の水出口は注水管路23を介して熱交換器12の上部に連通され水冷手段用の冷水として供給可能としている。
【0018】
上記給水管路22の途中部には洗剤ケース22aが介装されている。給水弁21により水道水の給水制御を行い、給水弁21に連なる給水管路22を介して洗剤ケース22aへ水が供給される。洗剤ケース22a内の洗剤は、この水により溶かされ洗濯水として洗剤投入口22bから水槽2内へ投入される。
【0019】
次に、泡発生装置28について、主に図1および3を参照して説明する。泡発生装置28は、主に、エアポンプ27、泡発生タンク29および気泡発生器(空気導入部)32を備える。
【0020】
エアポンプ27は泡発生部としての泡発生タンク29の上面に備えられ、エアポンプ27より吐出される空気はパイプ33を介して気泡発生器32に送り込まれる。泡発生タンク29は円筒形状をしており、その内底部には、気泡が横方向に噴出するように気泡発生器32が配設されている。泡発生タンク29の周壁の上下方向中間部には水入口部30が設けられており、水入口部30には吐出管路15bの端部が連通されている。泡発生タンク29の周壁の上端部には水出口部31が設けられており、水出口部31は水戻口16を有している。泡発生タンク29の底壁には水抜き孔34が設けられており、この水抜き孔34には下方へ伸びる水排出管35が接続されており、この水排出管35は吸水管路15aに連通されている。所定量の泡が生成されるまでの時間、泡発生タンク29に洗濯水が残るように、水排出管35の太さ寸法は水入口部30より細く設定されている。
【0021】
気泡発生器32は、図3(a)に示すように、主に、セラミックスなどの多孔質材36とこの多孔質材36を収納するケース37からなる。ケース37は、多孔質材36を収納する収納部37aと、エアポンプ27から吐出される空気を気泡発生器32に送り込むパイプ33が接続される接続部37bとからなる。図3(b)に示すように、ケース37の収納部37aに多孔質材36を収納することにより気泡発生器32は形成される。気泡発生器32は、例えば、直径が1〜100マイクロメートルの気泡の発生が可能である。
【0022】
図4には、電気的概略構成が示されている。この図4において、制御手段としての制御装置24は、CPU、ROM、RAM、各種駆動回路などを含んで構成されており、入力側に、操作部25、水位センサ18、泡センサ20、回転センサ26が接続されている。また、該制御装置24の出力側には、負荷としての、表示部17、給水弁21、ドラム用モータ7、循環ポンプ14、排水弁4、エアポンプ27が接続されている。制御装置24は、筐体1前方下部に内蔵されている。
操作部25は、筐体1上部前面に設けられており、運転開始スイッチや、各種設定スイッチなどを含んで構成されている。回転センサ26は、ドラム用モータ7の回転速度を検知するものである。表示部17は、操作部25とともに筐体1上部前面に設けられている。
【0023】
さて、本実施形態の作用(制御装置24の制御内容)について、図5ないし図7を参照して説明する。制御装置24は、周知のように、給水、洗い(洗剤洗い)、排水、脱水(中間脱水)からなる洗い行程と、給水、すすぎ、排水を複数回繰り返すすすぎ行程と、脱水(最終脱水)行程と、乾燥行程とを順次実行するように制御装置24の出力側の上記負荷を駆動制御するようになっている。
【0024】
すなわち、図5に示すように、電源スイッチの投入後、操作部25の運転コース設定スイッチを操作して例えば「標準洗濯コース」を選択し、スタートスイッチを操作すると(スタート)、ステップS1で示すように、泡検知フラグがON状態か否かの判断が行われる。泡検知フラグは、後述するように、泡センサ20が先回の洗い行程中の泡の発生量が所定量を超えた場合にONされる。
【0025】
先回の洗い行程中の洗い時の泡の発生量が所定量を超え、泡検知フラグがONされた場合(S1:YES)、今回の洗い行程中の洗いのエアポンプの運転時間(tap)はステップS2で100秒に設定される。先回の洗い行程中の泡の発生量が所定値以下で、泡検知フラグがOFFの場合(S1:NO)、今回の洗い行程中のエアポンプの運転時間(tap)はステップS3で200秒に設定される。
【0026】
次にステップS4において、ドラム5に投入された洗濯物の重量検知が行われる。この重量検知はドラム用モータ7に予め決められた一定電圧を一定時間供給し、その間のドラム5の回転速度を測定して検出する。ドラム5の回転速度は、回転センサ26を用いて測定する。洗濯物の重量が検知されると、その検知重量に応じた洗い用水位の設定が行われる。例えば検知重量が重いほど、図2中、C、BまたはAに示すように、洗い用水位は高くなるように設定される。
【0027】
次に、洗い行程がスタートする。ステップS5からステップS7において、水槽2の所定水位まで給水を行う。ステップS5では、給水弁21の一方の水出口(給水管路22側)が開かれ、水道水が水槽2内に供給される。このとき洗剤ケース22a内に予め投入されている洗剤が、該水道水と共に水槽2内に供給される。給水が開始されると、ドラム用モータ7が起動され、ドラム5を、例えば45rpmの回転速度の正転20秒、2秒停止、反転20秒のサイクルで回転させる(ステップS6)。水槽2内に供給される水道水量は、水位センサ18によって検出され、ステップS7で水が水槽2内の所定水位に達したか否かが判断され、水が水槽2内の所定水位に達するまでステップS5からステップS7は繰り返される。そして、洗濯物の検知重量に応じて設定された洗い用水位(例えば、A、BまたはC)になると、ステップS6Aとなり、給水弁21は閉じられる。ステップS6AはステップS6と同じである。
【0028】
次に、ステップS8にて循環ポンプ14を駆動(オン)して、洗濯水を水槽2内および循環経路15内を循環させる。具体的には、水槽2内の洗濯水を水取出口2aから吸入し吸水管路15aを介して循環ポンプ14内に導入する。そして循環ポンプ14から吐出された洗濯水は吐出管路15bおよび泡発生装置28を介して水戻口16から水槽2内に吐出される。循環ポンプ14の駆動時間T1(図8参照)は、例えば90秒である。このように、洗濯水を水槽2内および循環経路15内を循環させることにより、洗剤を十分に洗濯水に溶け込ませることができる。
【0029】
次に、ステップS9に移行する。ステップS9では、泡発生装置28のエアポンプ27を駆動(オン)して泡をドラム5内に導入し、洗剤を洗濯物に拡散させる。具体的には、図8のタイムチャートに示す。図8(a)は洗い行程の洗い時の循環ポンプ14のオン(縦軸)を示し、(b)は洗い時のエアポンプ27のオン(縦軸)を示す。図8(c)は洗い時のドラム5の正転、逆転(縦軸)を示し、(d)は泡センサ20の出力する泡検知値(縦軸)を示している。横軸は時間を示す。循環ポンプ14の停止と同時に泡発生装置28のエアポンプ27の駆動をスタートさせる。エアポンプ27の駆動中、循環ポンプ14は断続駆動を行い、T2(例えば45秒)停止後T3(例えば10秒)駆動というサイクルを3〜4回繰り返す(一定時間T4)。
【0030】
泡発生装置28の泡発生タンク29内では、エアポンプ27の駆動により泡が生成される。生成された泡は、循環ポンプ14の断続駆動における10秒間駆動により洗濯水と共にドラム5内上部に吐出される。循環ポンプ14の駆動中は、ドラム用モータ7の駆動を停止しドラム5は静止する。ドラム5内に泡が吐出されている最中に、ドラム5が回転していると泡が弾き飛ばされ、洗剤が洗濯物に効率よく拡散しないからである。また、循環ポンプ14の駆動中に、ドラム5は完全に停止しなくてもよく、ドラム5が所定値以下の低速で揺動正逆回転していてもよい。ドラム5内に泡が吐出されている最中、洗濯物が適度に揺動していたほうが効率よく泡を拡散できるからである。
【0031】
次に、ステップS10に移行し、洗い行程時間が例えば15分経過したか否かの判断を行う。なお、ステップS5において、図示しない洗い行程タイマーの計時を開始する。洗い行程タイマーが計時を開始して15分経過した場合は(S10:YES)、ドラム用モータ7の駆動を止めドラム5の回転を停止させ、洗い行程は終了する。洗い行程タイマーが15分経過していない場合は(S10:NO)、次ステップS11に移行する。
【0032】
ステップS11では、水槽2内に多量の泡が発生し、圧力センサからなる泡センサ20が泡に基づく空気圧変動を検知し、泡が所定量を超えたか否かを検知する。泡が所定量を超えていない場合(S11:NO)、ステップS10に戻り再びそれ以降の処理を行う。泡が検出所定値を超えた場合(図8参照、S11:YES)、次ステップS12に移行する。
【0033】
ステップS12では、ドラム5の回転速度を減速する。具体的には、現時点でのドラム5の回転速度が、例えば45rpmであるのを30rpmまで減速する(図8参照)。水槽2内の泡が所定量を超えた場合、水槽2とドラム5との間に滞留する泡による粘性が、ドラム用モータ7の過剰な負荷となるのを防止するためである。次にステップS13に移行して、制御装置24に配設された図示しないEEPROMに泡検知フラグがONしたことを記憶し、ステップS10に戻り再びそれ以降の処理を行う。
【0034】
以上の処理を経て洗い行程の洗いが終了し、図6に示すステップS15以降の排水に移行する。
ステップS15、S16では、排水弁4が開かれ洗濯水が排水される。水位センサ18が水槽2内の水位が0と検知するまで(S16:NO)、排水が続行される。水位センサ18により水位が0と検知された場合(S16:YES)、次ステップS17に移行する。
【0035】
ステップS17からS20では、ドラム5を一方向に高速度で回転させ、ドラム5の回転速度が900rpmになるまで回転速度を加速させる。具体的には、ステップS17においてドラム用モータ7を駆動しドラム5を回転させる(脱水)。ステップS18では、回転センサ26によりドラム5の回転速度を検知し、ドラム5の回転速度が900rpmに達したか否かを判断する。ドラム5の回転速度が900rpmに達していない場合(S18:NO)、ステップS19にてドラム5の回転速度を上昇させる。ドラム5の回転速度が900rpmに達した場合(S18:YES)、ステップS21に移行してドラム5の回転を5分間継続した後、ドラム5の回転を停止して洗い行程の脱水を終了し、次行程であるすすぎ行程に進む。
【0036】
ステップS20では、回転センサ26によりドラム5の回転速度の上昇が毎分50rpm以下か否かを判断する。ドラム5の回転速度の上昇が毎分50rpmより大きい場合(S20:NO)、ステップS18に戻りドラム5の回転速度が900rpmになるまで、ステップS19にてドラム用モータ7はドラム5の回転速度を上昇させる。ドラム5の回転速度の上昇が毎分50rpm以下の場合(S20:YES)、ステップS22においてドラム用モータ7の駆動を停止させドラム5の回転を止める。
ステップS23では、泡が過剰に発生しドラム5の泡による負荷が所定値以上と判断して泡検知フラグをONとしてEEPROMに記録する。次回の洗濯運転の洗い行程時にエアポンプ27の駆動時間を短くして泡の発生量を抑制するためである(S1、S2)。
【0037】
次にステップS24にて泡排出を行う。具体的には、図7のサブルーチンで示すように、ステップS25からS27において、ドラム5を回転させながら所定水位になるまで水槽2へ給水を行い、過剰に発生した泡を洗い流す。すなわち、ステップS25にて給水弁21を開いて水槽2へ給水を開始し、ドラム用モータ7を駆動しドラム5を回転させる(ステップS26)。ステップS27にて水位センサ18により水槽2内の水が所定水位に達したか否かを判断する。水槽2内の水が所定水位に達していない場合(S27:NO)、ステップS25に戻り、ステップS25以降の処理を再び行う。水槽2内の水が所定水位に達した場合(S27:YES)、ステップS15以降の処理を行い、次行程であるすすぎ行程へ進む。
【0038】
以上のようにして、洗い行程の洗いにおいて泡発生装置28で発生させた泡をドラム5内に投入して、ドラム内の衣類に洗剤を拡散する(ステップS9)。さらに、使用者の使用態様、例えば、使用者が使用する洗剤の種類や量によっては、洗い行程の洗いまたは脱水の最中に泡が過剰に発生するような場合があるが、上記泡検知フラグのON状態を上記EEPROMに記憶させることによって、次回の洗濯運転の洗い行程での泡の発生を抑制することが可能となる。
【0039】
洗い行程の脱水終了後(ステップS21)、すすぎ行程へ移行する。すすぎ行程では、図9に示すように、ドラム5を、例えば45rpmの回転速度の正転20秒、2秒停止、反転20秒のサイクルで回転させ、循環ポンプ14は連続運転させる。すすぎ時の所定期間T5において、循環ポンプ14を駆動しながらエアポンプ27を連続駆動する。
【0040】
以上のように本実施形態では、泡発生装置28は、泡発生タンク29と、この泡発生タンク29に循環経路15の水取出し側の水を導入する水入口部30と、泡発生タンク29に水入口部30より下方に位置して設けられ、エアポンプ27からの空気を導入して泡を発生させる気泡発生器(空気導入部)32と、水入口部30よりも上方に位置して設けられ、泡発生タンク29からの泡を水とともに循環経路15の水戻し側に供給する水出口部31とを有する。
【0041】
このため、気泡発生器32に空気を導入すると、水入口部30上端から水出口部31に至る空間に泡が発生し蓄積し、さらに泡が発生した場合には水出口部31から徐々に泡が放出される。ここで水入口部30から水出口部31に所定の空間があることと、泡発生タンク29底面から水入口部30までの間に所定量の洗濯液があることで、洗濯水より泡のほうが比重が小さく、泡発生装置28は泡を効果的に発生させることができる。
【0042】
さらに、泡発生タンク29の底部に循環経路15の水取出し側に連通する水抜き孔34が形成されている。
このため、泡発生タンク29に貯まったままの洗濯水は、水抜き孔34から循環経路15を介して排水されるため、上記乾燥機能付きのドラム式洗濯機が、長時間使用されない場合でも内部での上記洗濯水の腐食を防止することができる。
さらに、循環経路15の水戻口16はドラム5内の上部に臨む位置に配置されている。
このため、水戻口16から洗濯水と共に吐出される泡を確実にドラム5内に投入し、泡を洗濯物に付着させることができる。
【0043】
さらに、制御装置(制御手段)24は、洗濯運転の洗いの初期において、所定時間循環ポンプ14を連続駆動した後、一定時間エアポンプ27を連続駆動するとともに循環ポンプ14を断続駆動し、その一定時間中の循環ポンプ14の駆動時にはドラム5の回転速度を所定値以下に制御する。
【0044】
このため、洗濯水を水槽2内および循環経路15内を循環させることにより、洗剤を十分に洗濯水に溶け込ませることができる。さらに、循環ポンプ14の駆動中は、ドラム用モータ7の駆動を停止しドラム5は静止状態にあるため、ドラム5内に泡が吐出されている最中に、泡は弾き飛ばされることはなく洗濯物に効率よく拡散させることができる。また、循環ポンプ14の駆動中にドラム5を低速で揺動正逆回転させると、ドラム5内に泡が吐出されている最中は、洗濯物が適度に揺動し効率よく泡を拡散させることができる。
【0045】
さらに、水槽2内に発生する泡の量を検出する泡センサ(泡検出手段)20を備え、制御装置(制御手段)24は、泡センサ20が所定量以上の泡を検出したときには、次回の洗濯運転の洗い時におけるエアポンプ27の駆動時間を短く制御する。
このため、使用者が使用する洗剤の種類や量によっては、洗い行程の最中に泡が過剰に発生するような場合があるが、次回の洗濯運転の洗い行程での泡の発生を抑制することができる。
【0046】
さらに、制御装置(制御手段)24は、洗濯運転の脱水時において、ドラム5の負荷が所定値以上と判断したときには、次回の洗濯運転の洗い時におけるエアポンプ5の駆動時間を短く制御する。
このため、次回の洗濯運転の洗い行程時に泡の発生量を抑制することができ、使用者が使用する洗剤の種類や量によって、適宜、洗い行程時の泡の発生量を調節することができる。
【0047】
さらに、制御装置(制御手段)24は、洗濯運転のすすぎ時の所定期間において、循環ポンプ14を駆動しながらエアポンプ27を駆動するように制御する。
このため、すすぎ時に気泡発生器32から気泡を生成することによって、気泡発生器32の多孔質材36のリントや洗剤などのつまりを解消することができる。
【0048】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態につき、主に図10を参照して説明する。図10は第1の実施形態に係る図8に相当するタイムチャートである。なお、上記第1の実施形態と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。本実施形態は、泡センサ20が泡検出所定値を検知した後の、制御装置24(図4参照)によるドラム5およびエアポンプ27の制御方法で第1の実施形態と異なる。
【0049】
本実施形態では、泡センサ20が、泡が所定量を超えたと判断した場合(図5参照、S11:YES)、泡センサ20の泡が所定量を超えたと判断した時点でエアポンプ27の駆動を停止する。エアポンプ27の駆動を停止することで、泡発生装置28(図1参照)が泡の発生を停止する。このことにより、ドラム5内の泡は、上記所定量より増えることはない。なお、第1の実施形態では、泡センサ20が、泡が所定量を超えたと判断した場合(S11:YES)、ドラム5の回転速度を減速したが(S12)、本実施形態ではドラム5の回転速度の変更はしない。
【0050】
以上のように本実施形態では、制御装置(制御手段)24は、泡センサ20が所定量以上の泡を検出したときには、エアポンプ27を停止するように制御する。
このため、洗い行程での泡の過剰な発生を抑制しつつ、ドラム5の回転速度を落とすことのない効率的な洗いを行うことができる。このような場合に、泡発生装置28からの泡の発生において、泡を泡センサ20で検知し、泡の所定量の発生を検知した場合には、エアポンプ27を停止し泡発生装置28への空気導入を停止するものである。
【0051】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態につき、図11、12を参照して説明する。図11は第3の実施形態に係る泡発生装置40の全体斜視図であり、図12は泡発生装置40の主要部である泡発生容器41と気泡発生器32の拡大斜視図である。なお、上記第1の実施形態と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。なお、説明の便宜上、図2、8をも参照する。本実施形態は、泡発生装置40の構成が第1の実施形態に係る泡発生装置28の構成と異なる。
【0052】
本実施形態に係る泡発生装置40は、主に、貯水タンク42、エアポンプ27、泡発生部としての泡発生容器41および気泡発生器32を備える。貯水タンク42の内部にカップ状の泡発生容器41を配設し、洗濯水の貯留部を2重管構造とし、泡発生容器41の内部に空気導入部となる気泡発生器32を配設している。
【0053】
具体的には、貯水タンク42の内部底面にはカップ状の泡発生容器41が開口部を上にして配設されている。該開口部は泡発生容器41の水入口部43を構成する。泡発生容器41の底部には気泡発生器32がその開口部を上向きにして立設状態で配設されている。泡発生容器41の周壁底部には水抜き孔44が有り、泡発生容器41内の水を少量ずつ貯水タンク42に流出させるために設けられている。気泡発生器32が泡を生成している期間中、泡発生容器41内に洗濯水が泡生成に支障無く残るように、水抜き孔44は小径に設定されている。
【0054】
貯水タンク42の上面にはエアポンプ27が配設されており、エアポンプ27から吐出される空気がパイプ33を介して気泡発生器32のケース37接続部37bに導入される。貯水タンク42の周壁の上下方向上端部には水出口部31となる開口穴が設けられており、水出口部31は水戻口16を有している。貯水タンク42の周壁の上下方向下端部には給排水口45となる開口穴が設けられており、給排水口45には吐出管路15bが連結されており、給排水口45は循環ポンプ14と連通している。
【0055】
以上のように、泡発生装置40は、この下部に循環経路15(図2参照)の水取出し側に給排水口(水導入口部)45を介して連通する貯水タンク42を備え、この貯水タンク42内に上面が開口して水入口部43とし且つ側壁下部に水抜き孔44を有するカップ状の泡発生容器41が設けられている。この泡発生容器41内には気泡発生器(空気導入部)32が配置され、貯水タンク42の上部に水出口部31が設けられている。
【0056】
上記泡発生装置40の構成により、循環ポンプ14から吐出され吐出管路15bを介して給排水口45から導入された洗濯水は、貯水タンク42内を埋めていき、水位が泡発生容器41の水入口部43まで達した時点で、泡発生容器41内に洗濯水が満たされる。さらに給排水口45から洗濯水を導入して、洗濯水の水位が循環ポンプ14の上端まで達した後、水出口部31から洗濯水を排出し、水戻口16より洗濯水をドラム内へ投入する。
【0057】
循環ポンプ14を停止させた場合には、給排水口45から洗濯水が循環ポンプ14側に戻り、貯水タンク42内の洗濯水の水位が下がり、泡発生容器41内にのみ洗濯水が残る。泡発生容器41の水抜き孔44から徐々に排水された洗濯水は給排水口45、吐出管路15bを介して循環ポンプ14側に戻り、十分な時間の経過後には貯水タンク42内の洗濯水は無くなり、上記ドラム式洗濯機の不使用時に、その内部に残った洗濯水が腐食するといった不具合はない。
【0058】
さらに、貯水タンク42内の泡発生容器41にのみ洗濯水が残っている状態で気泡発生器32が泡を生成するため、貯水タンク42内の大容積の空間に泡を貯めることができ、泡発生装置40は効率よく泡を発生することができる。
さらに、洗い行程の洗い時の初期に、エアポンプ27の駆動中、循環ポンプ14は断続駆動を行い、図8に示す、T2(例えば45秒)停止後T3(例えば10秒)駆動というサイクルを7回程度繰り返すことにより、ドラム5内に十分な泡を供給することができる。
【符号の説明】
【0059】
図面中、2は水槽、2aは水取出口、4は排水弁、5はドラム、7はドラム用モータ(駆動モータ)、14は循環ポンプ、15は循環経路、16は水戻口、20は泡センサ(泡検出手段)、24は制御装置(制御手段)、27はエアポンプ、28は泡発生装置、29は泡発生タンク(泡発生部)、30は水入口部、31は水出口部、32は気泡発生器(空気導入部)、34は水抜き孔、40は泡発生装置、41は泡発生容器(泡発生部)、42は貯水タンク、43は水入口部、44は水抜き孔、45は給排水口(水導入口部)である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、回動自在なドラム内に洗濯物を投入し、洗い、すすぎ、脱水などの各行程を逐次制御して洗濯を行うドラム式洗濯機に係り、特に泡を発生する機能を有するドラム式洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
ドラム式洗濯機においては、洗い時に洗剤を早期に水に溶解し衣類に素早く浸透させることで効果的な洗濯が行える。洗剤を溶解させた洗剤液を泡状にすることは、その体積を増大でき、衣類全体に洗剤を拡散させるのに有効な手段である。
洗濯機にいわゆる泡発生装置を用いる例は、例えば特許文献1や特許文献2に開示されている。特許文献1には、泡生成用のタンク構造を循環流路中に設け、空気の導入により泡を生成する手段が開示されている。特許文献2には、ドラムの高速回転により泡を生成し、ドラム前面よりドラム内の衣類に泡を導入する手段が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−7224号公報
【特許文献2】特許3812517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の例は、洗い水を循環ポンプにより流路中を循環させ、その途中で空気を導入するもので、水の流量に対して相当量の空気の導入が必要で、流路中での泡の消滅頻度も高く、洗濯槽内へ導入する際、効果的に早期に泡を衣類に拡散することが困難であった。
特許文献2の例は、ドラムを回転させることで、このドラムと水受け槽との隙間で泡を生成し、このドラム前面より泡をドラム内の衣類に付与するものである。この場合、ドラムと水槽間に泡の過剰な発生があり、衣類に作用する泡の割合が低く、洗い行程のたたき洗いの衝撃力に対して泡がクッションとして作用し、洗浄作用を妨げる場合があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、効果的に泡を生成し、ドラム内の衣類に効率的に洗剤を拡散できるドラム式洗濯機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に係るドラム式洗濯機は、貯水が可能で下部に水循環用水取出口を備えた水槽と、この水槽の内部に回転自在に設けられたドラムと、このドラムを回転駆動する駆動モータと、循環ポンプを備え、その駆動により前記水取出口から取出した前記水槽内の水を水戻口を介して前記ドラム内に戻す循環経路と、この循環経路に介装され、泡を発生させるためのエアポンプを備えた泡発生装置と、前記駆動モータ、循環ポンプ及びエアポンプ等を駆動して洗濯運転を制御する制御手段とを備え、前記泡発生装置は、泡発生部と、この泡発生部に前記循環経路の水取出し側の水を導入する水入口部と、前記泡発生部に前記水入口部より下方に位置して設けられ、前記エアポンプからの空気を導入して泡を発生させる空気導入部と、前記水入口部よりも上方に位置して設けられ、前記泡発生部からの泡を水とともに前記循環経路の水戻し側に供給する水出口部とを有することを特徴とする。
【0007】
請求項1の発明では、上記泡発生部において、上記循環経路内の洗濯水は上記水入口部より底部に貯留され、上記空気導入部より導入される空気により泡が発生する。当該泡は上方へ浮かび上記水出口部より吐出される。このように、上記泡発生部は、効率よく内部に洗濯水を導入し、効果的に泡を発生し外部に泡を吐出することができ、効率的に洗剤をドラム内に拡散することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、効果的に泡を生成し、ドラム内の衣類に効率的に洗剤を拡散できるドラム式洗濯機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るドラム式洗濯機の泡発生装置の全体斜視図
【図2】ドラム式洗濯機全体の概略構成を示した縦断面図
【図3】気泡発生器の分解斜視図(a)、および全体斜視図(b)
【図4】電気的構成を示すブロック図
【図5】洗い行程を示すフローチャート(その1)
【図6】洗い行程を示すフローチャート(その2)
【図7】泡排出処理を示すフローチャート
【図8】洗い行程の概略を示すタイムチャート
【図9】すすぎ行程の概略を示すタイムチャート
【図10】本発明の第2の実施形態に係るドラム式洗濯機の図8相当図
【図11】本発明の第3の実施形態に係る図1相当図
【図12】泡発生装置の要部の拡大斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る乾燥機能付きのドラム式洗濯機について図1ないし図9を参照して説明する。図2の縦断面図は、乾燥機能付きのドラム式洗濯機全体の概略構成を示したもので、外郭を形成する筐体1の内部に、横軸円筒状をなす水槽2を適宜の弾性支持装置3を介して弾性支持している。この水槽2は、実質的に無孔状をなして貯水可能で且つ後述する排水弁4を介して外部に排水可能としていて、前面側を大きく開口した構成としている。該水槽2の下部には水循環用の水取出口2aが形成されている。
【0011】
この水槽2の内部には横軸周りたる具体的には傾斜軸周りに回転可能な円筒状のドラム5(回転槽に相当)が設けられており、該ドラム5は、周壁に多数の透孔5aを有し、水槽2と同様に前面側を大きく開口した構成である。さらにこのドラム5は、これを回転可能に支持するドラム軸6を介して前記水槽2の背部に取付固定されたドラム用モータ(駆動モータ)7により回転駆動されるようになっている。このドラム用モータ7はブラシレスモータから構成されており、後述する制御装置24(制御手段)により回転速度が可変制御できるものである。
このようなドラム5や水槽2の前面開口部に対向して、上記筐体1の前面には洗濯物(図示せず)を出し入れするための投入口8が形成されるとともに、該投入口8を開閉するドア9が回動可能に取り付けられている。
【0012】
上記水槽2内に貯留された洗濯水や飛散した水飛沫などが水槽2外に漏れないように、該水槽2の前面開口部と上記投入口8間に亘り水封する屈曲自在なベローズ10を設けていて、これは上記ドア9の閉鎖状態にあるとき、その裏面側に接触して投入口8から機外への水の漏洩も防止している。
【0013】
そして、本実施形態では乾燥機能としての温風供給手段11および熱交換器12を備えていて、これら温風供給手段11および熱交換器12は、上記水槽2の上下部に連通した循環ダクト13の途中部位に形成されている。具体的には、循環ダクト13の経路中の上流側から上記熱交換器12および温風供給手段11たる送風ファン機構11aおよびヒータ装置11bを順次配設してなる。
【0014】
一方、上記熱交換器12としては、内部に水冷による除湿機能を活用した構成からなり、所謂湿気を含んだ暖気を冷やして水分を凝縮させ排出可能としたもので、これにより常に除湿した乾いた空気を上記ヒータ装置11bで効率良く加熱温風化して、循環ダクト13を経て水槽2およびドラム5内に供給可能としている。
【0015】
また、筐体1の内底部から前面側上部にかけての部位には、循環ポンプ14を途中部に備えた循環経路15が設けられている。この循環経路15は、循環ポンプ14と吸水管路15aと吐出管路15bとから構成されており、吸水管路15aの一端部は上記循環ポンプ14の吸水側に接続され、他端部は上記水槽2の水取出口2aに接続されている。また吐出管路15bの一端部は、循環ポンプ14の吐出側に接続され、他端部の開口部は後述する泡発生装置28の泡発生タンク29の水入口部30に接続されている。なお、循環ポンプ14の下部は、排水弁4を介して排水ホース(図示せず)に連通されている。
【0016】
循環経路15内の洗濯水等の水は、泡発生装置28内に一時的に貯留され、泡発生装置28の水出口部31に接続されている水戻口16からドラム5内に吐出される。水戻口16は、ドラム内の上部に臨む位置に配置されている。なお、上記循環ポンプ14は水槽2より下方の部位に配設されている。
一方、上記熱交換器12にも同様のチューブ19を介して、圧力センサからなる泡センサ20を設けている。この泡センサ20は、水槽2内に多量の泡が発生し、やがては熱交換器12内に侵入することに基づく空気圧変動を検知するものである。
【0017】
なお、水槽2の上部には、2つの水出口を備えた給水手段である給水弁21が設けられており、一方の水出口は給水管路22を介して水槽2の上部に連結されて洗濯水を供給する給水手段として機能し、また他方の水出口は注水管路23を介して熱交換器12の上部に連通され水冷手段用の冷水として供給可能としている。
【0018】
上記給水管路22の途中部には洗剤ケース22aが介装されている。給水弁21により水道水の給水制御を行い、給水弁21に連なる給水管路22を介して洗剤ケース22aへ水が供給される。洗剤ケース22a内の洗剤は、この水により溶かされ洗濯水として洗剤投入口22bから水槽2内へ投入される。
【0019】
次に、泡発生装置28について、主に図1および3を参照して説明する。泡発生装置28は、主に、エアポンプ27、泡発生タンク29および気泡発生器(空気導入部)32を備える。
【0020】
エアポンプ27は泡発生部としての泡発生タンク29の上面に備えられ、エアポンプ27より吐出される空気はパイプ33を介して気泡発生器32に送り込まれる。泡発生タンク29は円筒形状をしており、その内底部には、気泡が横方向に噴出するように気泡発生器32が配設されている。泡発生タンク29の周壁の上下方向中間部には水入口部30が設けられており、水入口部30には吐出管路15bの端部が連通されている。泡発生タンク29の周壁の上端部には水出口部31が設けられており、水出口部31は水戻口16を有している。泡発生タンク29の底壁には水抜き孔34が設けられており、この水抜き孔34には下方へ伸びる水排出管35が接続されており、この水排出管35は吸水管路15aに連通されている。所定量の泡が生成されるまでの時間、泡発生タンク29に洗濯水が残るように、水排出管35の太さ寸法は水入口部30より細く設定されている。
【0021】
気泡発生器32は、図3(a)に示すように、主に、セラミックスなどの多孔質材36とこの多孔質材36を収納するケース37からなる。ケース37は、多孔質材36を収納する収納部37aと、エアポンプ27から吐出される空気を気泡発生器32に送り込むパイプ33が接続される接続部37bとからなる。図3(b)に示すように、ケース37の収納部37aに多孔質材36を収納することにより気泡発生器32は形成される。気泡発生器32は、例えば、直径が1〜100マイクロメートルの気泡の発生が可能である。
【0022】
図4には、電気的概略構成が示されている。この図4において、制御手段としての制御装置24は、CPU、ROM、RAM、各種駆動回路などを含んで構成されており、入力側に、操作部25、水位センサ18、泡センサ20、回転センサ26が接続されている。また、該制御装置24の出力側には、負荷としての、表示部17、給水弁21、ドラム用モータ7、循環ポンプ14、排水弁4、エアポンプ27が接続されている。制御装置24は、筐体1前方下部に内蔵されている。
操作部25は、筐体1上部前面に設けられており、運転開始スイッチや、各種設定スイッチなどを含んで構成されている。回転センサ26は、ドラム用モータ7の回転速度を検知するものである。表示部17は、操作部25とともに筐体1上部前面に設けられている。
【0023】
さて、本実施形態の作用(制御装置24の制御内容)について、図5ないし図7を参照して説明する。制御装置24は、周知のように、給水、洗い(洗剤洗い)、排水、脱水(中間脱水)からなる洗い行程と、給水、すすぎ、排水を複数回繰り返すすすぎ行程と、脱水(最終脱水)行程と、乾燥行程とを順次実行するように制御装置24の出力側の上記負荷を駆動制御するようになっている。
【0024】
すなわち、図5に示すように、電源スイッチの投入後、操作部25の運転コース設定スイッチを操作して例えば「標準洗濯コース」を選択し、スタートスイッチを操作すると(スタート)、ステップS1で示すように、泡検知フラグがON状態か否かの判断が行われる。泡検知フラグは、後述するように、泡センサ20が先回の洗い行程中の泡の発生量が所定量を超えた場合にONされる。
【0025】
先回の洗い行程中の洗い時の泡の発生量が所定量を超え、泡検知フラグがONされた場合(S1:YES)、今回の洗い行程中の洗いのエアポンプの運転時間(tap)はステップS2で100秒に設定される。先回の洗い行程中の泡の発生量が所定値以下で、泡検知フラグがOFFの場合(S1:NO)、今回の洗い行程中のエアポンプの運転時間(tap)はステップS3で200秒に設定される。
【0026】
次にステップS4において、ドラム5に投入された洗濯物の重量検知が行われる。この重量検知はドラム用モータ7に予め決められた一定電圧を一定時間供給し、その間のドラム5の回転速度を測定して検出する。ドラム5の回転速度は、回転センサ26を用いて測定する。洗濯物の重量が検知されると、その検知重量に応じた洗い用水位の設定が行われる。例えば検知重量が重いほど、図2中、C、BまたはAに示すように、洗い用水位は高くなるように設定される。
【0027】
次に、洗い行程がスタートする。ステップS5からステップS7において、水槽2の所定水位まで給水を行う。ステップS5では、給水弁21の一方の水出口(給水管路22側)が開かれ、水道水が水槽2内に供給される。このとき洗剤ケース22a内に予め投入されている洗剤が、該水道水と共に水槽2内に供給される。給水が開始されると、ドラム用モータ7が起動され、ドラム5を、例えば45rpmの回転速度の正転20秒、2秒停止、反転20秒のサイクルで回転させる(ステップS6)。水槽2内に供給される水道水量は、水位センサ18によって検出され、ステップS7で水が水槽2内の所定水位に達したか否かが判断され、水が水槽2内の所定水位に達するまでステップS5からステップS7は繰り返される。そして、洗濯物の検知重量に応じて設定された洗い用水位(例えば、A、BまたはC)になると、ステップS6Aとなり、給水弁21は閉じられる。ステップS6AはステップS6と同じである。
【0028】
次に、ステップS8にて循環ポンプ14を駆動(オン)して、洗濯水を水槽2内および循環経路15内を循環させる。具体的には、水槽2内の洗濯水を水取出口2aから吸入し吸水管路15aを介して循環ポンプ14内に導入する。そして循環ポンプ14から吐出された洗濯水は吐出管路15bおよび泡発生装置28を介して水戻口16から水槽2内に吐出される。循環ポンプ14の駆動時間T1(図8参照)は、例えば90秒である。このように、洗濯水を水槽2内および循環経路15内を循環させることにより、洗剤を十分に洗濯水に溶け込ませることができる。
【0029】
次に、ステップS9に移行する。ステップS9では、泡発生装置28のエアポンプ27を駆動(オン)して泡をドラム5内に導入し、洗剤を洗濯物に拡散させる。具体的には、図8のタイムチャートに示す。図8(a)は洗い行程の洗い時の循環ポンプ14のオン(縦軸)を示し、(b)は洗い時のエアポンプ27のオン(縦軸)を示す。図8(c)は洗い時のドラム5の正転、逆転(縦軸)を示し、(d)は泡センサ20の出力する泡検知値(縦軸)を示している。横軸は時間を示す。循環ポンプ14の停止と同時に泡発生装置28のエアポンプ27の駆動をスタートさせる。エアポンプ27の駆動中、循環ポンプ14は断続駆動を行い、T2(例えば45秒)停止後T3(例えば10秒)駆動というサイクルを3〜4回繰り返す(一定時間T4)。
【0030】
泡発生装置28の泡発生タンク29内では、エアポンプ27の駆動により泡が生成される。生成された泡は、循環ポンプ14の断続駆動における10秒間駆動により洗濯水と共にドラム5内上部に吐出される。循環ポンプ14の駆動中は、ドラム用モータ7の駆動を停止しドラム5は静止する。ドラム5内に泡が吐出されている最中に、ドラム5が回転していると泡が弾き飛ばされ、洗剤が洗濯物に効率よく拡散しないからである。また、循環ポンプ14の駆動中に、ドラム5は完全に停止しなくてもよく、ドラム5が所定値以下の低速で揺動正逆回転していてもよい。ドラム5内に泡が吐出されている最中、洗濯物が適度に揺動していたほうが効率よく泡を拡散できるからである。
【0031】
次に、ステップS10に移行し、洗い行程時間が例えば15分経過したか否かの判断を行う。なお、ステップS5において、図示しない洗い行程タイマーの計時を開始する。洗い行程タイマーが計時を開始して15分経過した場合は(S10:YES)、ドラム用モータ7の駆動を止めドラム5の回転を停止させ、洗い行程は終了する。洗い行程タイマーが15分経過していない場合は(S10:NO)、次ステップS11に移行する。
【0032】
ステップS11では、水槽2内に多量の泡が発生し、圧力センサからなる泡センサ20が泡に基づく空気圧変動を検知し、泡が所定量を超えたか否かを検知する。泡が所定量を超えていない場合(S11:NO)、ステップS10に戻り再びそれ以降の処理を行う。泡が検出所定値を超えた場合(図8参照、S11:YES)、次ステップS12に移行する。
【0033】
ステップS12では、ドラム5の回転速度を減速する。具体的には、現時点でのドラム5の回転速度が、例えば45rpmであるのを30rpmまで減速する(図8参照)。水槽2内の泡が所定量を超えた場合、水槽2とドラム5との間に滞留する泡による粘性が、ドラム用モータ7の過剰な負荷となるのを防止するためである。次にステップS13に移行して、制御装置24に配設された図示しないEEPROMに泡検知フラグがONしたことを記憶し、ステップS10に戻り再びそれ以降の処理を行う。
【0034】
以上の処理を経て洗い行程の洗いが終了し、図6に示すステップS15以降の排水に移行する。
ステップS15、S16では、排水弁4が開かれ洗濯水が排水される。水位センサ18が水槽2内の水位が0と検知するまで(S16:NO)、排水が続行される。水位センサ18により水位が0と検知された場合(S16:YES)、次ステップS17に移行する。
【0035】
ステップS17からS20では、ドラム5を一方向に高速度で回転させ、ドラム5の回転速度が900rpmになるまで回転速度を加速させる。具体的には、ステップS17においてドラム用モータ7を駆動しドラム5を回転させる(脱水)。ステップS18では、回転センサ26によりドラム5の回転速度を検知し、ドラム5の回転速度が900rpmに達したか否かを判断する。ドラム5の回転速度が900rpmに達していない場合(S18:NO)、ステップS19にてドラム5の回転速度を上昇させる。ドラム5の回転速度が900rpmに達した場合(S18:YES)、ステップS21に移行してドラム5の回転を5分間継続した後、ドラム5の回転を停止して洗い行程の脱水を終了し、次行程であるすすぎ行程に進む。
【0036】
ステップS20では、回転センサ26によりドラム5の回転速度の上昇が毎分50rpm以下か否かを判断する。ドラム5の回転速度の上昇が毎分50rpmより大きい場合(S20:NO)、ステップS18に戻りドラム5の回転速度が900rpmになるまで、ステップS19にてドラム用モータ7はドラム5の回転速度を上昇させる。ドラム5の回転速度の上昇が毎分50rpm以下の場合(S20:YES)、ステップS22においてドラム用モータ7の駆動を停止させドラム5の回転を止める。
ステップS23では、泡が過剰に発生しドラム5の泡による負荷が所定値以上と判断して泡検知フラグをONとしてEEPROMに記録する。次回の洗濯運転の洗い行程時にエアポンプ27の駆動時間を短くして泡の発生量を抑制するためである(S1、S2)。
【0037】
次にステップS24にて泡排出を行う。具体的には、図7のサブルーチンで示すように、ステップS25からS27において、ドラム5を回転させながら所定水位になるまで水槽2へ給水を行い、過剰に発生した泡を洗い流す。すなわち、ステップS25にて給水弁21を開いて水槽2へ給水を開始し、ドラム用モータ7を駆動しドラム5を回転させる(ステップS26)。ステップS27にて水位センサ18により水槽2内の水が所定水位に達したか否かを判断する。水槽2内の水が所定水位に達していない場合(S27:NO)、ステップS25に戻り、ステップS25以降の処理を再び行う。水槽2内の水が所定水位に達した場合(S27:YES)、ステップS15以降の処理を行い、次行程であるすすぎ行程へ進む。
【0038】
以上のようにして、洗い行程の洗いにおいて泡発生装置28で発生させた泡をドラム5内に投入して、ドラム内の衣類に洗剤を拡散する(ステップS9)。さらに、使用者の使用態様、例えば、使用者が使用する洗剤の種類や量によっては、洗い行程の洗いまたは脱水の最中に泡が過剰に発生するような場合があるが、上記泡検知フラグのON状態を上記EEPROMに記憶させることによって、次回の洗濯運転の洗い行程での泡の発生を抑制することが可能となる。
【0039】
洗い行程の脱水終了後(ステップS21)、すすぎ行程へ移行する。すすぎ行程では、図9に示すように、ドラム5を、例えば45rpmの回転速度の正転20秒、2秒停止、反転20秒のサイクルで回転させ、循環ポンプ14は連続運転させる。すすぎ時の所定期間T5において、循環ポンプ14を駆動しながらエアポンプ27を連続駆動する。
【0040】
以上のように本実施形態では、泡発生装置28は、泡発生タンク29と、この泡発生タンク29に循環経路15の水取出し側の水を導入する水入口部30と、泡発生タンク29に水入口部30より下方に位置して設けられ、エアポンプ27からの空気を導入して泡を発生させる気泡発生器(空気導入部)32と、水入口部30よりも上方に位置して設けられ、泡発生タンク29からの泡を水とともに循環経路15の水戻し側に供給する水出口部31とを有する。
【0041】
このため、気泡発生器32に空気を導入すると、水入口部30上端から水出口部31に至る空間に泡が発生し蓄積し、さらに泡が発生した場合には水出口部31から徐々に泡が放出される。ここで水入口部30から水出口部31に所定の空間があることと、泡発生タンク29底面から水入口部30までの間に所定量の洗濯液があることで、洗濯水より泡のほうが比重が小さく、泡発生装置28は泡を効果的に発生させることができる。
【0042】
さらに、泡発生タンク29の底部に循環経路15の水取出し側に連通する水抜き孔34が形成されている。
このため、泡発生タンク29に貯まったままの洗濯水は、水抜き孔34から循環経路15を介して排水されるため、上記乾燥機能付きのドラム式洗濯機が、長時間使用されない場合でも内部での上記洗濯水の腐食を防止することができる。
さらに、循環経路15の水戻口16はドラム5内の上部に臨む位置に配置されている。
このため、水戻口16から洗濯水と共に吐出される泡を確実にドラム5内に投入し、泡を洗濯物に付着させることができる。
【0043】
さらに、制御装置(制御手段)24は、洗濯運転の洗いの初期において、所定時間循環ポンプ14を連続駆動した後、一定時間エアポンプ27を連続駆動するとともに循環ポンプ14を断続駆動し、その一定時間中の循環ポンプ14の駆動時にはドラム5の回転速度を所定値以下に制御する。
【0044】
このため、洗濯水を水槽2内および循環経路15内を循環させることにより、洗剤を十分に洗濯水に溶け込ませることができる。さらに、循環ポンプ14の駆動中は、ドラム用モータ7の駆動を停止しドラム5は静止状態にあるため、ドラム5内に泡が吐出されている最中に、泡は弾き飛ばされることはなく洗濯物に効率よく拡散させることができる。また、循環ポンプ14の駆動中にドラム5を低速で揺動正逆回転させると、ドラム5内に泡が吐出されている最中は、洗濯物が適度に揺動し効率よく泡を拡散させることができる。
【0045】
さらに、水槽2内に発生する泡の量を検出する泡センサ(泡検出手段)20を備え、制御装置(制御手段)24は、泡センサ20が所定量以上の泡を検出したときには、次回の洗濯運転の洗い時におけるエアポンプ27の駆動時間を短く制御する。
このため、使用者が使用する洗剤の種類や量によっては、洗い行程の最中に泡が過剰に発生するような場合があるが、次回の洗濯運転の洗い行程での泡の発生を抑制することができる。
【0046】
さらに、制御装置(制御手段)24は、洗濯運転の脱水時において、ドラム5の負荷が所定値以上と判断したときには、次回の洗濯運転の洗い時におけるエアポンプ5の駆動時間を短く制御する。
このため、次回の洗濯運転の洗い行程時に泡の発生量を抑制することができ、使用者が使用する洗剤の種類や量によって、適宜、洗い行程時の泡の発生量を調節することができる。
【0047】
さらに、制御装置(制御手段)24は、洗濯運転のすすぎ時の所定期間において、循環ポンプ14を駆動しながらエアポンプ27を駆動するように制御する。
このため、すすぎ時に気泡発生器32から気泡を生成することによって、気泡発生器32の多孔質材36のリントや洗剤などのつまりを解消することができる。
【0048】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態につき、主に図10を参照して説明する。図10は第1の実施形態に係る図8に相当するタイムチャートである。なお、上記第1の実施形態と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。本実施形態は、泡センサ20が泡検出所定値を検知した後の、制御装置24(図4参照)によるドラム5およびエアポンプ27の制御方法で第1の実施形態と異なる。
【0049】
本実施形態では、泡センサ20が、泡が所定量を超えたと判断した場合(図5参照、S11:YES)、泡センサ20の泡が所定量を超えたと判断した時点でエアポンプ27の駆動を停止する。エアポンプ27の駆動を停止することで、泡発生装置28(図1参照)が泡の発生を停止する。このことにより、ドラム5内の泡は、上記所定量より増えることはない。なお、第1の実施形態では、泡センサ20が、泡が所定量を超えたと判断した場合(S11:YES)、ドラム5の回転速度を減速したが(S12)、本実施形態ではドラム5の回転速度の変更はしない。
【0050】
以上のように本実施形態では、制御装置(制御手段)24は、泡センサ20が所定量以上の泡を検出したときには、エアポンプ27を停止するように制御する。
このため、洗い行程での泡の過剰な発生を抑制しつつ、ドラム5の回転速度を落とすことのない効率的な洗いを行うことができる。このような場合に、泡発生装置28からの泡の発生において、泡を泡センサ20で検知し、泡の所定量の発生を検知した場合には、エアポンプ27を停止し泡発生装置28への空気導入を停止するものである。
【0051】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態につき、図11、12を参照して説明する。図11は第3の実施形態に係る泡発生装置40の全体斜視図であり、図12は泡発生装置40の主要部である泡発生容器41と気泡発生器32の拡大斜視図である。なお、上記第1の実施形態と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。なお、説明の便宜上、図2、8をも参照する。本実施形態は、泡発生装置40の構成が第1の実施形態に係る泡発生装置28の構成と異なる。
【0052】
本実施形態に係る泡発生装置40は、主に、貯水タンク42、エアポンプ27、泡発生部としての泡発生容器41および気泡発生器32を備える。貯水タンク42の内部にカップ状の泡発生容器41を配設し、洗濯水の貯留部を2重管構造とし、泡発生容器41の内部に空気導入部となる気泡発生器32を配設している。
【0053】
具体的には、貯水タンク42の内部底面にはカップ状の泡発生容器41が開口部を上にして配設されている。該開口部は泡発生容器41の水入口部43を構成する。泡発生容器41の底部には気泡発生器32がその開口部を上向きにして立設状態で配設されている。泡発生容器41の周壁底部には水抜き孔44が有り、泡発生容器41内の水を少量ずつ貯水タンク42に流出させるために設けられている。気泡発生器32が泡を生成している期間中、泡発生容器41内に洗濯水が泡生成に支障無く残るように、水抜き孔44は小径に設定されている。
【0054】
貯水タンク42の上面にはエアポンプ27が配設されており、エアポンプ27から吐出される空気がパイプ33を介して気泡発生器32のケース37接続部37bに導入される。貯水タンク42の周壁の上下方向上端部には水出口部31となる開口穴が設けられており、水出口部31は水戻口16を有している。貯水タンク42の周壁の上下方向下端部には給排水口45となる開口穴が設けられており、給排水口45には吐出管路15bが連結されており、給排水口45は循環ポンプ14と連通している。
【0055】
以上のように、泡発生装置40は、この下部に循環経路15(図2参照)の水取出し側に給排水口(水導入口部)45を介して連通する貯水タンク42を備え、この貯水タンク42内に上面が開口して水入口部43とし且つ側壁下部に水抜き孔44を有するカップ状の泡発生容器41が設けられている。この泡発生容器41内には気泡発生器(空気導入部)32が配置され、貯水タンク42の上部に水出口部31が設けられている。
【0056】
上記泡発生装置40の構成により、循環ポンプ14から吐出され吐出管路15bを介して給排水口45から導入された洗濯水は、貯水タンク42内を埋めていき、水位が泡発生容器41の水入口部43まで達した時点で、泡発生容器41内に洗濯水が満たされる。さらに給排水口45から洗濯水を導入して、洗濯水の水位が循環ポンプ14の上端まで達した後、水出口部31から洗濯水を排出し、水戻口16より洗濯水をドラム内へ投入する。
【0057】
循環ポンプ14を停止させた場合には、給排水口45から洗濯水が循環ポンプ14側に戻り、貯水タンク42内の洗濯水の水位が下がり、泡発生容器41内にのみ洗濯水が残る。泡発生容器41の水抜き孔44から徐々に排水された洗濯水は給排水口45、吐出管路15bを介して循環ポンプ14側に戻り、十分な時間の経過後には貯水タンク42内の洗濯水は無くなり、上記ドラム式洗濯機の不使用時に、その内部に残った洗濯水が腐食するといった不具合はない。
【0058】
さらに、貯水タンク42内の泡発生容器41にのみ洗濯水が残っている状態で気泡発生器32が泡を生成するため、貯水タンク42内の大容積の空間に泡を貯めることができ、泡発生装置40は効率よく泡を発生することができる。
さらに、洗い行程の洗い時の初期に、エアポンプ27の駆動中、循環ポンプ14は断続駆動を行い、図8に示す、T2(例えば45秒)停止後T3(例えば10秒)駆動というサイクルを7回程度繰り返すことにより、ドラム5内に十分な泡を供給することができる。
【符号の説明】
【0059】
図面中、2は水槽、2aは水取出口、4は排水弁、5はドラム、7はドラム用モータ(駆動モータ)、14は循環ポンプ、15は循環経路、16は水戻口、20は泡センサ(泡検出手段)、24は制御装置(制御手段)、27はエアポンプ、28は泡発生装置、29は泡発生タンク(泡発生部)、30は水入口部、31は水出口部、32は気泡発生器(空気導入部)、34は水抜き孔、40は泡発生装置、41は泡発生容器(泡発生部)、42は貯水タンク、43は水入口部、44は水抜き孔、45は給排水口(水導入口部)である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯水が可能で下部に水循環用水取出口を備えた水槽と、
この水槽の内部に回転自在に設けられたドラムと、
このドラムを回転駆動する駆動モータと、
循環ポンプを備え、その駆動により前記水取出口から取出した前記水槽内の水を水戻口を介して前記ドラム内に戻す循環経路と、
この循環経路に介装され、泡を発生させるためのエアポンプを備えた泡発生装置と、
前記駆動モータ、循環ポンプ及びエアポンプ等を駆動して洗濯運転を制御する制御手段とを備え、
前記泡発生装置は、泡発生部と、この泡発生部に前記循環経路の水取出し側の水を導入する水入口部と、前記泡発生部に前記水入口部より下方に位置して設けられ、前記エアポンプからの空気を導入して泡を発生させる空気導入部と、前記水入口部よりも上方に位置して設けられ、前記泡発生部からの泡を水とともに前記循環経路の水戻し側に供給する水出口部とを有することを特徴とするドラム式洗濯機。
【請求項2】
泡発生部の底部に循環経路の水取出し側に連通する水抜き孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のドラム式洗濯機。
【請求項3】
泡発生装置は、下部が循環経路の水取出し側に水導入口部を介して連通する貯水タンクを備え、この貯水タンク内に上面が開口して水入口部とし且つ側壁下部に水抜き孔を有するカップ状の泡発生部としての泡発生容器が設けられ、この泡発生容器内に空気導入部が配置され、前記貯水タンクの上部に水出口部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のドラム式洗濯機。
【請求項4】
循環経路の水戻口は、ドラム内の上部に臨む位置に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のドラム式洗濯機。
【請求項5】
制御手段は、洗濯運転の洗いの初期において、所定時間循環ポンプを連続駆動した後、一定時間エアポンプを連続駆動するとともに循環ポンプを断続駆動し、その一定時間中の循環ポンプの駆動時にはドラムの回転速度を所定値以下に制御することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のドラム式洗濯機。
【請求項6】
水槽内に発生する泡の量を検出する泡検出手段を備え、
制御手段は、前記泡検出手段が所定量以上の泡を検出したときには、エアポンプを停止するように制御することを特徴とする請求項5に記載のドラム式洗濯機。
【請求項7】
水槽内に発生する泡の量を検出する泡検出手段を備え、
制御手段は、前記泡検出手段が所定量以上の泡を検出したときには、次回の洗濯運転の洗い時におけるエアポンプの駆動時間を短く制御することを特徴とする請求項5に記載のドラム式洗濯機。
【請求項8】
制御手段は、洗濯運転の脱水時において、ドラムの負荷が所定値以上と判断したときには、次回の洗濯運転の洗い時におけるエアポンプの駆動時間を短く制御することを特徴とする請求項5に記載のドラム式洗濯機。
【請求項9】
制御手段は、洗濯運転のすすぎ時の所定期間において、循環ポンプを駆動しながらエアポンプを駆動するように制御することを特徴とする請求項5ないし8のいずれかに記載のドラム式洗濯機。
【請求項1】
貯水が可能で下部に水循環用水取出口を備えた水槽と、
この水槽の内部に回転自在に設けられたドラムと、
このドラムを回転駆動する駆動モータと、
循環ポンプを備え、その駆動により前記水取出口から取出した前記水槽内の水を水戻口を介して前記ドラム内に戻す循環経路と、
この循環経路に介装され、泡を発生させるためのエアポンプを備えた泡発生装置と、
前記駆動モータ、循環ポンプ及びエアポンプ等を駆動して洗濯運転を制御する制御手段とを備え、
前記泡発生装置は、泡発生部と、この泡発生部に前記循環経路の水取出し側の水を導入する水入口部と、前記泡発生部に前記水入口部より下方に位置して設けられ、前記エアポンプからの空気を導入して泡を発生させる空気導入部と、前記水入口部よりも上方に位置して設けられ、前記泡発生部からの泡を水とともに前記循環経路の水戻し側に供給する水出口部とを有することを特徴とするドラム式洗濯機。
【請求項2】
泡発生部の底部に循環経路の水取出し側に連通する水抜き孔が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のドラム式洗濯機。
【請求項3】
泡発生装置は、下部が循環経路の水取出し側に水導入口部を介して連通する貯水タンクを備え、この貯水タンク内に上面が開口して水入口部とし且つ側壁下部に水抜き孔を有するカップ状の泡発生部としての泡発生容器が設けられ、この泡発生容器内に空気導入部が配置され、前記貯水タンクの上部に水出口部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のドラム式洗濯機。
【請求項4】
循環経路の水戻口は、ドラム内の上部に臨む位置に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のドラム式洗濯機。
【請求項5】
制御手段は、洗濯運転の洗いの初期において、所定時間循環ポンプを連続駆動した後、一定時間エアポンプを連続駆動するとともに循環ポンプを断続駆動し、その一定時間中の循環ポンプの駆動時にはドラムの回転速度を所定値以下に制御することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のドラム式洗濯機。
【請求項6】
水槽内に発生する泡の量を検出する泡検出手段を備え、
制御手段は、前記泡検出手段が所定量以上の泡を検出したときには、エアポンプを停止するように制御することを特徴とする請求項5に記載のドラム式洗濯機。
【請求項7】
水槽内に発生する泡の量を検出する泡検出手段を備え、
制御手段は、前記泡検出手段が所定量以上の泡を検出したときには、次回の洗濯運転の洗い時におけるエアポンプの駆動時間を短く制御することを特徴とする請求項5に記載のドラム式洗濯機。
【請求項8】
制御手段は、洗濯運転の脱水時において、ドラムの負荷が所定値以上と判断したときには、次回の洗濯運転の洗い時におけるエアポンプの駆動時間を短く制御することを特徴とする請求項5に記載のドラム式洗濯機。
【請求項9】
制御手段は、洗濯運転のすすぎ時の所定期間において、循環ポンプを駆動しながらエアポンプを駆動するように制御することを特徴とする請求項5ないし8のいずれかに記載のドラム式洗濯機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−172547(P2010−172547A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−19738(P2009−19738)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.EEPROM
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.EEPROM
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】
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