説明

ドリップバッグ

【課題】コーヒーカップへ置くタイプのドリップバッグを提供する。
【解決手段】ドリップバッグ1の一対の第1係止片25はその上側の側片部19と、一対の連続部22、26を介して連続しており、一対の第1係止片25の間の折り曲げ部17がフィルター3側に押されると、フィルター3の開口が大きく開きながら、一対の係止片25はそれぞれ引き起こされる。また、一対の第2係止片27もそれぞれ連動して引き起こされる。そして、第1係止片25どうしの間の折り曲げ部17は谷折り状態に変わる。谷折り状態に変わった後は、指を離しても上記した立体状態は維持される。従って、コーヒーカップに上からそのまま置ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レギュラーコーヒー等の抽出に用いるドリップバッグに係り、詳しくは、濾紙や不織布等からなる袋状のフィルターと、このフィルターを支持するホルダーを備え、使用時にはそのホルダーをコーヒーカップの開口縁に置く「サイドフックタイプ」のドリップバッグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばコーヒー抽出用のドリップバッグでは、フィルターは二つ折りされヒートシール等の手法で周縁をシールされて扁平な矩形状の袋体として形成されており、そのフィルターの中にカップ一杯相当分のコーヒー粉が充填されている。ホルダーは厚紙等により形成され、中央部分はフィルターの一側辺に沿わせた状態で折り曲げられている。折り曲げ部の両側は対称になっており、一対の側片部はフィルターの外面に貼り付けられており、一対の係止片は一対の側片部から引き起こし可能に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−242847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
而して、特許文献1に示す従来のドリップバッグは、係止片を広げカップの開口縁に頼ってそれに引っ掛けるようにして係止していたため、係止させ難く、しかもカップの開口縁の面積が小さいとホルダーの一対の側片部どうしの間隔が狭まってフィルターの開口も小さくなってしまう。
【0005】
また、この種のドリップバッグでは、上述のようにコーヒー粉等の被抽出物が扁平な袋状体のフィルターに充填されているため、容積率が大きい。このため、開口の際またはその後に切り離す辺を傾けたりすると、フィルターからコーヒー粉等の充填物がこぼれ易い。
【0006】
本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、1つの簡単な操作により、係止片が十分に引き起こされてフィルターの開口面積が十分な大きさになると共に、その状態を安定的に維持できるドリップバッグを提供することを、その目的とする。このドリップバッグによれば、カップの開口縁に引っ掛けるのではなく置いて使用できるので、上記したような係止し難さもなければ、使用するカップによってフィルターの開口が小さくなるようなこともない。
また、本発明は、ユーザーによるフィルター開口操作(切り離し操作)時の持ち方が正常でなくてもフィルターからの充填物のこぼれを防止でき、使用勝手性を向上させることができるドリップバッグの提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1の発明は、内部に被抽出物が充填された袋状のフィルターと、前記フィルターの側面に固着されたホルダーとを有し、前記ホルダーは前記フィルターの一側辺に沿って折られた折り曲げ部を連結部としてフィルターの両側面に沿って延びる一対の側片部と、前記一対の側片部からそれぞれ引き起こし可能に設けられた2組の一対の係止片を備えたドリップバッグであって、折り曲げ部側の一対の係止片はその上側の一対の側片部と、前記折り曲げ部から離れた一対の連続部を介してそれぞれ連続しており、前記1組の一対の係止片の間の折り曲げ部は、前記フィルター側に押されると、山折り状態から谷折り状態に変わることを特徴とするドリップバッグである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載したドリップバッグにおいて、上側の一対の側片部には連続部付近から折り曲げ部側に近づくように外縁に向かって伸びるハの字状の一対の切れ目が形成されていることを特徴とするドリップバッグである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載したドリップバッグにおいて、折り曲げ部側の一対の係止片の連続部と前記折り曲げ部の間の上縁は僅かに傾斜しており、前記折り曲げ部側に向かうほど下がっていることを特徴とするドリップバッグである。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1から3のいずれかに記載したドリップバッグにおいて、上側の一対の側片部は上縁付近でフィルターに固着されていることを特徴とするドリップバッグである。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1から4のいずれかに記載したドリップバッグにおいて、フィルターが矩形状をなし、注湯時に下方に位置する角部と対角線上の反対側に位置する角部が切り離し可能になっており、前記角部を挟む二辺を引き裂いて開口するようにしたことを特徴とするドリップバッグである。
【発明の効果】
【0012】
本発明のドリップバッグによれば、カップの開口縁に引っ掛けるのではなく置いて使用できる。また、本発明のドリップバッグによれば、ユーザーによるフィルター開口操作(切り離し操作)時の持ち方が正常でなくてもフィルターからの充填物のこぼれを防止でき、使用勝手性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係るドリップバッグの側面図である。
【図2】ホルダーを展開した平面図である。
【図3】折り曲げ部の要部拡大図である。
【図4】ドリップバッグの上方角部を切り離した状態を示す図である。
【図5】切り離し後にシール部分を剥がしてフィルターを全部開口した状態を示す図である。
【図6】係止片が引き起こされた状態のドリップバッグの斜視図である。
【図7】図6におけるA−A線での概要断面図である。
【図8】ドリップバッグをコーヒーカップに設置した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態に係るドリップバッグを図面にしたがって説明する。ここでは、ドリップコーヒーを抽出するためのドリップバッグを例示する。
図1は、ドリップバッグ1をその一側面側から見た図である。ドリップバッグ1は、濾紙や不織布等からなる袋状のフィルター3と、このフィルター3を保持しながらコーヒーカップの開口縁に置いて係止させるためのホルダー5とを有している。符号4はホルダー5がフィルター3に固着される部位を示す。
フィルター3は、矩形のシート材が二つ折りされ、重ね合わされた三辺(上辺、左辺、下辺)の周縁がヒートシール等の手段でシールされており、矩形状の扁平な袋状をなしている。
【0015】
ホルダー5は厚紙やコート紙等で形成されており、フィルター3の折り曲げ辺である一側辺7に沿って折り曲げられ、フィルター3の両側面(外面)に固着部位4で固着されてフィルター3と一体化されている。
ホルダー5におけるフィルター3の対角線上の角部(図中左上方角部)9上に重ね合わされた部分は切り離し部11として略三角形に形成されており、ミシン目13に沿ってその余の部分から切り離し可能になっている。
【0016】
ホルダー5は、図2、図3に示すように、ミシン目15が形成された上下方向に延びる折り曲げ部17と、該折り曲げ部17を連結部としてフィルター3の両側面に沿って延びる一対の側片部19A、19Bを有している。折り曲げ部17がフィルター3の一側辺7に沿って山状に折り曲げられている。
【0017】
各側片部19について左右の対称性を示す符号A、Bを略して説明すると、各側片部19のうち、切れ目21、連続部22、切れ目24、連続部26、及び切れ目31で囲まれた部分が第1係止片25になっている。切れ目21Aと切れ目21Bは折り曲げ部17で連続しており、切れ目31Aと切れ目31Bも折り曲げ部17で連続している。切れ目31から切れ目21の直線状部分、即ち第1係止片25の上縁にかけては略水平になっているが、切れ目31は僅かに傾斜した斜線になっており、折り曲げ部17に近づくほど下がっている。このように、第1係止片25はその余の側片部19と連続部22、26でのみ連続している。
また、第1係止片25A、Bは折り曲げ部17を連結部として左右に伸び出ている。
【0018】
また、図2に示すように、各側片部19のうち、切れ目21の外方から下方に伸びる切れ目23とホルダー5の外縁で囲まれた部分が第2係止片27になっている。この第2係止片27A、27Bも、折り曲げ部17側を連結部として左右両側に伸び出ている。
【0019】
その余の側片部19のうち、第1係止片25の上側に位置し、上縁がフィルター3に固着されている領域を、上部固着領域29とする。また、第1係止片25の下側に位置し、下縁がフィルター3に固着されている領域を、下部固着領域35とする。
上部固着領域29には、連続部22付近から折り曲げ部17側に近づくように、上縁に向かって伸びるハの字状の一対の切れ目33が形成されている。
【0020】
図4及び図5に基づいてフィルター3の開口動作を説明する。
図4に示すように、ドリップバッグ1をドリップコーヒーが滴下する角部37を下にして持った状態で、上述したように、角部37の対角線上の反対側に位置する角部9を切り離し部11と共にミシン目13に沿って切り離す。
切り離した後、図5に示すように、角部9を挟む二辺のシール部分を引き剥がして開口する。
以上はユーザーがドリップバッグ1を正常に持って開口した場合であるが、ユーザーによっては切り離し部11の位置を意識しないで開口する場合がある。この場合でも本実施形態に係るドリップバッグ1はコーヒー粉47のこぼれを防止することができる。
【0021】
すなわち、図4の左側に仮想線で示すように、一辺39を直立させた状態で、切り離し部11を切り離しても、一辺39の下方領域39aはその時点ではまだハッチングで示すようにシールされており且つ下方領域39aの高さは充填物の上端と同等以上に設定されているので、コーヒー粉47がこぼれることはない。
同様に、図4の右側に仮想線で示すように、一辺43を直立させた状態で、切り離し部11を切り離しても、一辺43の下方領域43aはその時点ではまだハッチングで示すようにシールされているので、コーヒー粉47がこぼれることはない。
このような場合、切り離し後にユーザーはこぼれ易い状態であることを認識し、図4に実線で示す正常な位置に直してシールを引き剥がすことになる。
【0022】
従来においては、フィルター3の上辺あるいは上辺及びこれに隣接する辺の一部に亘る範囲が切り離し動作と同時に全部開口されるので、ユーザーの持ち方によってはコーヒー粉47がこぼれ、テーブルや室内を汚す原因ともなっていたが、本実施形態に係るドリップバッグ1では上記のようにユーザーの持ち方の良否にかかわらず、こぼれを防止でき、余計な注意を払うことなくフィルター3の開口動作を行うことができる。
【0023】
フィルター3の開口動作が完了したら、図6及び図7に示すように、ドリップバッグ1の図6における左側上端部を左手で持ち、右手の指で、上部固着領域29から第1係止片25にかけて折り曲げ部17を押して第1係止片25をフィルター3側に押し込む。
すると、フィルター3の開口が開きながら、第1係止片25A、25Bはそれぞれ引き起こされる。また、第2係止片27A、27Bもそれぞれ連動して引き起こされる。フィルター3の開口は拡がって円錐状の容器形状になる。
切れ目31が斜線になっており、しかも上部固着領域29は上縁でのみ固着されているので、第1係止片25をフィルター3側に押し込み易くなっている。
【0024】
そして、第1係止片25Aと第1係止片25Bの折り曲げ部17は僅かではあるが谷折り状態に変わる。谷折り状態に変わった後は、右手の指を離しても上記した立体状態は維持される。したがって、上部固着領域29を掴んで、一対の第1係止片25と一対の第2係止片27をコーヒーカップ45の開口縁上に置く。これで設置が完了する
切れ目33があるので、第1係止片25はコーヒーカップ45の開口縁に対して垂直な状態になるように引き起こされる。
【0025】
図8は、図6に示すドリップバッグ1をコーヒーカップ45にそのまま上から置いた状態を示している。
図面上表示されないが、コーヒーカップ45の図中奥側には一対の第2係止片27が置かれており、4点支持によってドリップバッグ1は安定に支持されている。
第1係止片25、第2係止片27とも、その下端がコーヒーカップ45の開口縁上に置かれているだけなので、別の開口縁の小さいコーヒーカップにおいても、ドリップバッグ1の立体形状はそのまま維持される。
また、第1係止片25はコーヒーカップ45の水平な開口縁上に垂直に立っているので、薄いシートで形成されていても十分なフィルター3の支持強度を有している。
【0026】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
上記実施形態では、ドリップコーヒー用のドリップバッグを例示したが、紅茶やハーブティーなどのドリップバッグとしても同様に実施することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 ドリップバッグ
3 フィルター
5 ホルダー
9 角部
17 折り曲げ部
19A、19B 一対の側片部
21A、21B 切れ目
22A、22B 連続部
24A、24B 切れ目
25A、25B 第1係止片
26A、26B 連続部
27A、27B 第2係止片
29 上部固着領域
31A、31B 切れ目
33A、33B 切れ目
45 コーヒーカップ
47 被抽出物としてのコーヒー粉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に被抽出物が充填された袋状のフィルターと、前記フィルターの側面に固着されたホルダーとを有し、前記ホルダーは前記フィルターの一側辺に沿って折られた折り曲げ部を連結部としてフィルターの両側面に沿って延びる一対の側片部と、前記一対の側片部からそれぞれ引き起こし可能に設けられた2組の一対の係止片を備えたドリップバッグであって、
折り曲げ部側の一対の係止片はその上側の一対の側片部と、前記折り曲げ部から離れた一対の連続部を介してそれぞれ連続しており、前記1組の一対の係止片の間の折り曲げ部は、前記フィルター側に押されると、山折り状態から谷折り状態に変わることを特徴とするドリップバッグ。
【請求項2】
請求項1に記載したドリップバッグにおいて、
上側の一対の側片部には連続部付近から折り曲げ部側に近づくように外縁に向かって伸びるハの字状の一対の切れ目が形成されていることを特徴とするドリップバッグ。
【請求項3】
請求項1または2に記載したドリップバッグにおいて、
折り曲げ部側の一対の係止片の連続部と前記折り曲げ部の間の上縁は僅かに傾斜しており、前記折り曲げ部側に向かうほど下がっていることを特徴とするドリップバッグ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載したドリップバッグにおいて、
上側の一対の側片部は上縁付近でフィルターに固着されていることを特徴とするドリップバッグ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載したドリップバッグにおいて、
フィルターが矩形状をなし、注湯時に下方に位置する角部と対角線上の反対側に位置する角部が切り離し可能になっており、前記角部を挟む二辺を引き裂いて開口するようにしたことを特徴とするドリップバッグ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−78536(P2011−78536A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−232748(P2009−232748)
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【出願人】(391024744)不双産業株式会社 (25)
【Fターム(参考)】