説明

ドルゾルアミド塩酸塩の非晶質および結晶質の形態およびそれらを製造する方法

本発明は、ドルゾルアミド塩酸塩の非晶質形態、非晶質ドルゾルアミド塩酸塩を製造する方法、非晶質ドルゾルアミドHClから形態IIを製造する方法、ドルゾルアミド塩酸塩の結晶形態、形態IV、形態IVを製造する方法、および非晶質ドルゾルアミド塩酸塩、ドルゾルアミド塩酸塩形態IIおよびドルゾルアミド塩酸塩形態IVの医薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、非晶質ドルゾルアミド(Dorzolamide)塩酸塩、ドルゾルアミド塩酸塩形態IV、それらの製造方法、およびそれらを含んでなる医薬組成物に関する。さらに、本発明は、結晶質ドルゾルアミド塩酸塩形態IIの新規な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
ドルゾルアミド塩酸塩は式Iの構造を有する。
【化1】

【0003】
ドルゾルアミド塩酸塩は、化学的に5,6-ジヒドロ-4-(S)-エチルアミノ-6-(S)-メチル-4H-チエノ-[2,3-b]チオピラン-2-スルホンアミド-7,7-ジオキシド塩酸塩として知られており、眼の高血圧症の治療に局所的に有効なカルボニックアンヒドラーゼ抑制剤である。ドルゾルアミド塩酸塩は、名称 「Cosopt」 および 「Trusopt」 で市販されており、点眼剤として提供され、局所的に眼に使用するために処方される。TrusoptはTrusopt 2%として供給される。Cosoptはマレイン酸チモロールと組合わせてドルゾルアミド塩酸塩として供給される。
【0004】
初期の推奨される投与量は、影響を受けた眼において1滴1日3回 (Trusopt) または影響を受けた眼において1滴1日2回 (Cosopt) である。
【0005】
ANALYTICAL PROFILES OF DRUG SUBSTANCES AND EXCIPIENTS、vol. 26、pp. 283-371、1999、Academic Pressには、形態Iおよび形態IIと識別される、ドルゾルアミド塩酸塩の2つの結晶形態が開示されている。第3 の多形体の形態である形態IIIは、国際特許出願No. WO 2004/089957に報告されている。また、WO 2004/016620には、形態IIに等しい無水形態Aおよび一水和物の形態Bが報告されている。
【0006】
本発明は、ドルゾルアミド塩酸塩の固体状態の物理的性質に関する。ドルゾルアミド塩酸塩が固体状態で得られる条件を調節することによって、これらの性質に影響を与えることができる。固体状態の物理的性質には、例えば、微粉砕した固体の流動性が含まれる。流動性は、薬学的製品に加工される間における、この物質の取扱い易さに影響を与える。粉末にされた化合物の粒子は互いに容易に流動しないとき、処方の専門家は錠剤またはカプセル剤の処方物の開発においてその事実を考慮しなくてはならず、これはグリダント、例えば、二酸化ケイ素、タルク、デンプンまたは三塩基性リン酸カルシウムの使用を必要とすることがある。
【0007】
薬学的化合物の他の重要な固体状態の性質は、水性流体中の溶解速度である。患者の胃液中の活性成分の溶解速度は、経口投与された活性成分が患者の血流に到達できる速度に対して上限を付与するので、治療結果を有することができる。溶解速度は、また、シロップ、エリキシル剤および他の液状薬剤の処方において考慮される1つの課題である。ある化合物の固体状態は、また、その化合物の圧縮に対する挙動および貯蔵安定性に影響を与えることがある。
【0008】
これらの実際の物理的特性は、単位格子における分子のコンフォメーションおよび向きにより影響を受け、これらは物質の特定の多形性を規定する。多形性形態は、非晶質物質または他の多形性形態の熱的挙動と異なる熱的挙動を生ずることがある。熱的挙動は、実験室において、毛管融点、熱重量測定分析 (TGA) および示差走査熱量測定 (DSC) のような技術により測定され、そしてある多形性形態を他のそれと区別するために使用できる。特定の多形性形態は、また、分光学的性質を区別することができる。分光学的性質は、粉末X線結晶学、固体状態13C NMR分光測定および赤外分光測定により検出可能である。
【0009】
本発明は、また、ドルゾルアミド塩酸塩の溶媒和物に関する。物質が溶液から結晶化するとき、物質は結晶格子中に規則的間隔で溶媒分子を捕捉することがある。溶媒和は、また、固体状態の実用的物理的性質、例えば、流動性および溶解速度に影響を与える。
【0010】
多形体または溶媒和物を形成できる、薬学的化合物の最も重要な物理的性質の1つは、水溶液中の溶解性、特に患者の胃液中の溶解性である。他の重要な性質は、粉末状または粒状の形態が流れる傾向として、および錠剤に圧縮するとき、この形態の結晶が互いに接着するかどうかを決定する表面性質として、薬学的投与形態にこの形態を加工する容易さに関係する。
【0011】
薬学的に有効な化合物の新しい多形性形態および溶媒和物の発見は、薬学的製品の性能特性を改良する新しい機会を提供する。それは処方科学者が、例えば、目標とする放出構造または他の必要な特性をもつ薬物の薬学的投与形態を設計するために利用可能な、物質のレパートリーを拡大する。
ドルゾルアミド塩酸塩の新しい多形体およびこれらのドルゾルアミド塩酸塩形態を製造する方法が必要とされている。
【発明の開示】
【0012】
発明の要約
1つの態様において、本発明はドルゾルアミド塩酸塩の非晶質形態に関する。
他の態様において、本発明は、約40℃以下の温度、約40%より低い相対湿度において、少なくとも約3月間、結晶形態に自発的に転化しないドルゾルアミドの非晶質形態に関する。
【0013】
他の態様において、本発明は、水、メタノール、エタノールおよびそれらの混合物から選択される溶媒中のドルゾルアミド塩酸塩の溶液を噴霧乾燥することによって、ドルゾルアミド塩酸塩の非晶質形態を製造する方法を提供する。
他の態様において、本発明は、非晶質ドルゾルアミドHClを約40%より高い相対湿度に暴露し、次いでドルゾルアミドHCl形態IIを回収することを含んでなる、ドルゾルアミドHCl形態IIを製造する方法を提供する。
【0014】
1つの態様において、本発明は、約8.5°、11.4°、15.9°および18.7°± 0.2°2θにピークを有するX線粉末回折パターン、約3275、1620、1305および1144 cm-1にピークを有するFT-IRスペクトル、および約174℃および約278℃〜約281℃の範囲に2つ吸熱のピークを有するDSCサーモグラムにより特徴づけられるドルゾルアミド塩酸塩の結晶形態に関する。
【0015】
他の態様において、本発明は、ドルゾルアミド塩酸塩およびN,N-ジメチルアセトアミドを含んでなる溶液からドルゾルアミドHCl形態IVを沈殿させることによって、ドルゾルアミドHCl形態IVを製造する方法に関する。この方法は、ドルゾルアミド塩酸塩をN,N-ジメチルアセトアミド中に溶解し、この溶液をスラリーが形成するまで冷却し、そして結晶形態を回収することを含んでなる。
【0016】
本発明は、ドルゾルアミド塩酸塩の形態IVまたは非晶質形態と、少なくとも1種の薬学上許容される賦形剤とを含んでなる医薬組成物に関する。
本発明は、本発明の方法により製造された形態II、形態IVまたは非晶質形態のドルゾルアミド塩酸塩と、少なくとも1種の薬学上許容される賦形剤とを含んでなる医薬処方物に関する。
【0017】
さらに、本発明は、ドルゾルアミド塩酸塩の形態IVまたは非晶質形態を少なくとも1種の薬学上許容される賦形剤と組合わせることを含んでなる、医薬処方物を製造する方法に関する。
さらに、本発明は、本発明の方法により製造された形態II、形態IVまたは非晶質形態のドルゾルアミド塩酸塩を少なくとも1種の薬学上許容される賦形剤と組合わせることを含んでなる、医薬処方物を製造する方法に関する。
【0018】
さらに、本発明は、医薬組成物を製造するためのドルゾルアミド塩酸塩の形態IVまたは非晶質形態の使用に関する。
医薬組成物を製造するための本発明の方法により製造された形態II、形態IVまたは非晶質形態のドルゾルアミド塩酸塩の使用に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
発明の詳細な説明
1つの態様において、本発明は、ドルゾルアミド塩酸塩の非晶質形態に関する。ドルゾルアミド塩酸塩の非晶質形態は、非晶質ドルゾルアミドHClが結晶形態からのXRDピークを含まないことを示す、X線粉末回折パターンを有する。さらに、ドルゾルアミド塩酸塩の非晶質形態は、約130℃〜約180℃に発熱ピークおよび約284℃に吸熱ピークをもつDSCサーモグラムにより特徴づけることができる。さらに、ドルゾルアミド塩酸塩の非晶質形態は、170℃までに約3%の減量および約230℃において鋭い減量を示すTGAサーモグラムにより特徴づけることができる。170℃までに約3%の減量を示すTGAは、カールフィッシャー滴定の結果に対応する。
【0020】
適当なPXRD、DSCおよびTGAの図面は、それぞれ図1、図2および図3に対応する。さらに、ドルゾルアミド塩酸塩の非晶質形態は、この物質が約10〜約20 μmまでの大きさを有する不規則の形態の粒子を含んでなることを証明する顕微鏡分析により特徴づけることができる。ドルゾルアミドHCl粒子の非偏光顕微鏡写真は図4に示されている。好ましくは、ドルゾルアミド塩酸塩の非晶質形態は、約10%より少ない、より好ましくは約5%より少ない、より好ましくは約2%より少ない、より好ましくは約1%より少ない、最も好ましくは約0.2%より少ないドルゾルアミド塩酸塩の結晶形態を含有する。
【0021】
他の態様において、本発明は、表1に記載するように、約40℃以下の温度、約40%より低い相対湿度において、約2月より短い期間の間、結晶形態に自発的に転化しないドルゾルアミドの非晶質形態に関する。この表中の結果は図12に示されている。
【0022】
【表1】

【0023】
他の態様において、本発明は、水、メタノール、エタノールおよびそれらの混合物から選択される溶媒中にドルゾルアミド塩酸塩を溶解し、そしてこの溶液を噴霧乾燥して非晶質ドルゾルアミド塩酸塩を得る工程を含んでなる、ドルゾルアミド塩酸塩の非晶質形態を製造する方法を提供する。
【0024】
噴霧乾燥は、概括的に言えば、液体混合物を小滴に破壊 (噴霧化) し、そして溶媒をこの混合物から急速に除去することを含むプロセスを意味する。典型的な噴霧乾燥装置において、強い推進力は溶媒を小滴から蒸発させ、これは乾燥用ガスを供給することによって提供することができる。噴霧乾燥の方法および装置は下記の文献に記載されている: Perry’s Chemical Engineer’s Handbook、pp. 20-54〜20-57 (第6版 1984) 。
【0025】
非限定的例として、典型的な噴霧乾燥装置は、乾燥チャンバー、溶媒含有供給物を乾燥用チャンバー中に噴霧化する噴霧化手段、乾燥用チャンバー中に流れて噴霧化された溶媒含有供給物から溶媒を除去する乾燥用ガス源、乾燥生成物のための出口、および乾燥用チャンバーから下流に位置する生成物収集手段を含んでなる。このような装置の例は、ニロ (Niro) PSD-1、PSD-2およびPSD-4型 (Niro A/S、デンマーク、セボーグ) である。典型的には、生成物収集手段は乾燥装置に接続されたサイクロンを含む。サイクロンにおいて、噴霧乾燥間に製造された粒子は乾燥用ガスおよび蒸発した溶媒から分離され、粒子の収集を可能とする。また、フィルターを使用して、噴霧乾燥により製造された粒子を分離し、収集する。本発明のプロセスは、上に記載した、このような乾燥装置に限定されない。
【0026】
噴霧乾燥は本発明のプロセスにおいて慣用法で実行することができる (例えば、下記の文献を参照のこと: Remington: The Science and Practice of Pharmacy、第19版、vol. II、pp. 1627、引用することによって本明細書の一部とされる) 。本発明において使用する乾燥用ガスは任意の適当なガスであることができるが、不活性ガス、例えば、窒素、窒素に富んだ空気およびアルゴンは好ましい。窒素ガスは本発明のプロセスにおける使用に特に好ましい乾燥用ガスである。噴霧乾燥により製造されたドルゾルアミド塩酸塩生成物は、この分野において普通に使用されている技術により回収できる。
【0027】
好ましくは、溶液は約10〜約100 g/lのドルゾルアミド塩酸塩濃度を有する。好ましくは、溶液は攪拌する。好ましくは、溶液は約10〜約60分間攪拌する。好ましくは、溶液は濾過し、好ましくはG3またはG4ガラス濾過器に通して減圧下に濾過する。必要に応じて、次いで濾過した溶液を水で希釈して、約0.5〜約10 m/m%の濃度のドルゾルアミド溶液を形成する。好ましくは、溶液は約110℃〜約130℃の入口温度、より好ましくは約120℃〜約125℃の入口温度で噴霧乾燥する。好ましくは、溶液は約40℃〜約60℃の出口温度、より好ましくは約53℃〜約60℃の出口温度で噴霧乾燥する。好ましくは、噴霧乾燥間の空気速度は約600 l/時である。好ましくは、噴霧乾燥間の溶液の供給気速度は、約90分間、約225〜375 ml/時である。好ましくは、乾燥プロセスは、ドルゾルアミド塩酸塩の初期重量に基づいて、少なくとも約50重量%の収率を生ずる。
【0028】
他の態様において、本発明は、非晶質ドルゾルアミドHClを約25℃より高い温度において約40%より高い増加した相対湿度に、約5日間以上暴露し、次いでドルゾルアミドHCl形態IIを回収することを含んでなる、ドルゾルアミドHCl形態IIを製造する方法を提供する。好ましくは、増加した相対湿度は少なくとも約60%、より好ましくは約80%、最も好ましくは約100%である。0〜100%の範囲の相対湿度に5日間暴露した後における、最初に非晶質のドルゾルアミドHCl試料のX線回折パターンは図5に示されている。図5中の上部のX線回折パターンの暴露のための相対湿度は0%であり、上部から第2 について20%であり、上部から第3 について40%であり、上部から第4 について60%であり、上部から第5 について80%であり、そして下部について100%である。
【0029】
特定の態様において、ドルゾルアミドHCl形態IIを製造する方法は、非晶質ドルゾルアミドHClの試料を、好ましくは約160℃の温度に約15分間加熱することを含んでなる。約160℃の温度に約15分間加熱する前後における非晶質ドルゾルアミドHClの初期試料についてのX線回折パターンは、図6に示されている。図6の下部のX線回折パターンは加熱前の試料のそれであり、図1に描写する、非晶質ドルゾルアミドHClのそれに対応する。図6中の上部のX線回折パターンは加熱後の試料のそれであり、ドルゾルアミドHCl形態IIのそれである。
【0030】
1つの態様において、本発明は、結晶質ドルゾルアミド塩酸塩アセトアミド溶媒和物に関する。好ましくは、ドルゾルアミド塩酸塩アセトアミド溶媒和物はドルゾルアミド塩酸塩およびN,N-ジメチルアセトアミドを約1:1で含有する。
【0031】
1つの態様において、本発明は、約8.5°、11.4°、15.9°および18.7°± 0.2°2θにピークを有するX線粉末回折パターン、約3275、1620、1305および1144 cm-1に赤外線ピークを有するFT-IRスペクトル、および約174℃および約278℃〜約281℃の範囲に2つの吸熱ピークを有するDSCサーモグラムにより特徴づけられる、形態IVとして表示する、ドルゾルアミド塩酸塩の結晶形態に関する。この結晶形態は、約12.3°、16.6°、17.1°、18.1°、20.7°および21.0°± 0.2°2θにピークを有するX線粉末回折パターンによりさらに特徴づけることができる。
【0032】
結晶形態は、約2669、1405、1343、1317、1273、1172、1040、1025、988、930、782、721および684 cm-1にピークを有するFT-IRスペクトルよりさらに特徴づけることができる。結晶形態は、カールフィッシャー滴定の結果に対応する130℃までに約0.2%の減量を示すTGAサーモグラムによりさらに特徴づけることができる。また、TGAサーモグラムは、約1:1のドルゾルアミド塩酸塩/N,N-ジメチルアセトアミド溶媒和物の理論的比に対応する、約19.2%の鋭い減量段階を示す。すなわち、ドルゾルアミド塩酸塩の結晶形態IVは、約1:1の比のN,N-ジメチルアセトアミド溶媒和物である。また、ドルゾルアミドHCl形態IVのTGA曲線は280℃において鋭い減量を示す。適当なPXRD、FT-IR、DSCおよびTGAの図面は、図7、図8、図9および図10に対応する。
【0033】
ドルゾルアミドHClの形態IVの顕微鏡分析において、結晶は細い棒の形態を有することが決定された。観測された最大結晶長さは約200 μmであった。ドルゾルアミド塩酸塩の単結晶の形態および粒子サイズは、偏光顕微鏡を使用して分析した。結晶質ドルゾルアミドHCl粒子の非偏光顕微鏡写真は図11に示されている。
【0034】
他の態様において、本発明は、ドルゾルアミド塩酸塩およびN,N-ジメチルアセトアミドを含んでなる溶液からドルゾルアミドHCl形態IVを沈殿させることによって、ドルゾルアミドHCl形態IVを製造する方法を提供する。この方法は、ドルゾルアミド塩酸塩をN,N-ジメチルアセトアミド中に溶解して溶液を形成し、この溶液をスラリーが形成するまで冷却し、そして結晶形態を回収することを含んでなる。さらに、溶液はC1-C6アルコール、C2-C8アルキルケトンおよびそれらの混合物から成る群から選択される有機溶媒を含んでなることができる。好ましくは、有機溶媒はエタノール、アセトン、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノールおよびt-ブタノールから成る群から選択される。
【0035】
より好ましくは、有機溶媒はエタノール、アセトン、2-プロパノールまたはそれらの混合物である。好ましくは、溶液を攪拌する。好ましくは、溶液は約55℃〜約170℃の温度、より好ましくは約55℃〜約65℃の温度に維持する。溶液は、好ましくは攪拌により、維持する。好ましくは、溶液は約-25℃〜約25℃の温度に冷却する。より好ましくは、溶液は約-10℃〜約10℃の温度に冷却する。好ましくは、回収工程はスラリーを濾過し、それを、好ましくは減圧下に、乾燥して、ドルゾルアミドHCl形態IVを得ることを含んでなる。好ましくは、得られたドルゾルアミド塩酸塩形態IVは約19〜約19.8重量%、より好ましくは約19.8重量%のアセトアミド溶媒和物を含有する。
【0036】
本発明は、ドルゾルアミド塩酸塩の形態IVまたは非晶質形態と、少なくとも1種の薬学上許容される賦形剤とを含んでなる医薬組成物に関する。
本発明は、本発明の方法により製造された形態II、形態IVまたは非晶質形態のドルゾルアミド塩酸塩と、少なくとも1種の薬学上許容される賦形剤とを含んでなる医薬組成物に関する。
【0037】
本発明は、本発明の方法により製造された形態II、形態IVまたは非晶質形態のドルゾルアミド塩酸塩を少なくとも1種の薬学上許容される賦形剤と組合わることを含んでなる医薬組成物を製造する方法に関する。
本発明は、ドルゾルアミド塩酸の塩形態IVまたは非晶質形態を少なくとも1種の薬学上許容される賦形剤と組合わることを含んでなる医薬組成物を製造する方法に関する。
【0038】
さらに、本発明は、医薬組成物を製造するためのドルゾルアミド塩酸塩の形態IVまたは非晶質形態の使用に関する。
さらに、本発明は、医薬組成物を製造するための本発明の方法により製造された形態II、形態IVまたは非晶質形態のドルゾルアミド塩酸塩の使用に関する。
【0039】
本発明の医薬組成物の投与方法は、患者の年齢、性別および症候に依存して種々の製剤において使用できる。医薬組成物は、例えば、錠剤、丸剤、粉剤、液体、懸濁液、乳濁液、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、注射製剤 (溶液および懸濁液) およびその他として投与できる。
【0040】
本発明の医薬組成物は、必要に応じて他の形態のドルゾルアミド塩酸塩および/または他の活性成分と混合することができる。さらに、本発明の医薬組成物は、不活性成分、例えば、希釈剤、担体、充填剤、増量剤、結合剤、崩壊剤、崩壊抑制剤、吸収促進剤、湿潤剤、滑剤、グリダント、表面活性剤、香味剤およびその他を含有することができる。
【0041】
希釈剤は固体状医薬組成物の容積を増加し、医薬組成物含有薬学的投与形態の患者および看護人による取扱いを容易にする。固体状組成物のための希釈剤は、例えば、微結晶質セルロース (例えば、Avicel(商標)) 、微小セルロース、ラクトース、デンプン、予備糊化デンプン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、糖、デキシトレート、デキストリン、デキシトロース、二塩基性リン酸カルシウム二水和物、三塩基性リン酸カルシウム、カオリン、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、マンニトール、ポリメチルアクリレート (例えば、Eudragit(商標)) 、塩化カリウム、セルロース粉末、塩化ナトリウム、ソルビトールまたはタルクである。
【0042】
医薬組成物において使用する担体は下記を包含するが、これらに限定されない: ラクトース、白砂糖、塩化ナトリウム、グルコース、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶質セルロースまたはサリチル酸。
【0043】
結合剤は圧縮後の活性成分と他の賦形剤との結合を促進する。固体状医薬組成物のための結合剤は、例えば、アカシアゴム、アルギン酸、カルボマー (例えば、カルボポル) 、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、グアーゴム、水素化植物油、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース (例えば、Klucel(商標)) 、ヒドロキシプロピルメチルセルロース (例えば、Methocel(商標)) 、液状グルコース、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、マルトデキストリン、メチルセルロース、ポリメタクリレート、ポピドン (例えば、Kollidon(商標)、Plasdone(商標)) 、予備糊化デンプン、アルギン酸ナトリウムまたはデンプンである。
【0044】
崩壊剤は溶解を増加させる。崩壊剤は、例えば、アルギン酸、カルシウムカルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース (例えば、Ac-Di-Sol(商標)、Primellose(商標)) 、コロイド状二酸化ケイ素、ナトリウムクロスカルメロース、クロスポビドン (例えば、Kollidon(商標)、Polyplasdone(商標)) 、グアーゴム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、メチルセルロース、微結晶質セルロース、ポラクリリンカリウム、セルロース粉末、予備糊化デンプン、アルギン酸ナトリウム、グリコール酸ナトリウム澱粉 (例えば、Explotab(商標)) およびデンプンである。
【0045】
崩壊抑制剤は下記を包含するが、これらに限定されない: 白砂糖、ステアリン、ココナツバター、水素化油およびその他。
吸収促進剤は下記を包含するが、これらに限定されない: 第四級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウムおよびその他。
【0046】
湿潤剤は下記を包含するが、これらに限定されない: グリセリン、デンプンおよびその他。使用する吸着剤は下記を包含するが、これらに限定されない: デンプン、ラクトース、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸およびその他。
【0047】
滑剤を組成物に添加して接着を減少し、錠剤化中のパンチまたはダイから生成物の解放を容易にする。滑剤は、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、グリセリルモノステアラート、グリセリルパルミトステアラート、水素化ヒマシ油、水素化植物油、鉱油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸、タルクおよびステアリン酸亜鉛である。
【0048】
グリダントを添加して非圧縮固体状組成物の流動性を改良し、そして投与の確度を改良する。グリダントとして機能できる賦形剤は、例えば、コロイド状二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウム、セルロース粉末、デンプン、タルクおよび三塩基性リン酸カルシウムである。
【0049】
香味剤および香味増強剤は、投与形態を患者に対していっそう味のよいものとする。本発明の組成物に添加できる薬学的製品のために普通の香味剤および香味増強剤は、例えば、マルトール、バニリン、エチルバニリン、メントール、クエン酸、フマル酸、エチルマルトールおよび酒石酸である。
【0050】
錠剤は普通に知られている被覆物質でさらに被覆することができ、このような例は、例えば、糖被覆錠剤、ゼラチン薄膜被覆錠剤、腸溶剤皮被覆錠剤、薄膜被覆錠剤、二重層状化錠剤および多層状化錠剤である。カプセル剤は、例えば、ゼラチンから作られた外殻で被覆することができ、必要に応じて可塑剤、例えば、グリセリンおよびソルビトール、および不透明剤または着色剤を含有することができる。
【0051】
固体状および液状の組成物は、また、薬学上許容される着色剤で着色して、それらの外観を改良し、および/または製品および単位投与レベルの患者の識別を促進することができる。
本発明の液状医薬組成物において、形態II、形態IVまたは非晶質のいずれかのドルゾルアミド塩酸塩および任意の他の固体状成分を液状担体、例えば、水、植物油、アルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはグリセリン中に溶解または懸濁する。
【0052】
液体医薬組成物は、乳化剤を含有して、液状担体中に不溶性である活性成分または他の賦形剤を、組成物全体を通じて均一に分散させることができる。本発明の液状組成物において有効である乳化剤は、例えば、ゼラチン、卵黄、カゼイン、コレステロール、アカシアゴム、トラガカント、ツノマタ、ペクチン、メチルセルロース、カルボマー、セトステアリルアルコールおよびセチルアルコールである。
【0053】
本発明の液状医薬組成物は、また、粘度増強剤を含有して、製品の口当たりを改良しおよび/または胃腸管の内層を被覆することができる。このような物質は、例えば、アカシアゴム、アルギン酸、ベントナイト、カルボマー、カルシウムまたはナトリウムカルボキシメチルセルロース、セトステアリルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ゼラチン、グアーゴム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリビニルアルコール、ポピドン、プロピレンカーボネート、アルギン酸ポリプロピレングリコール、アルギン酸ナトリウム、グリコール酸ナトリウム澱粉、デンプン、トラガカントおよびキサンタンゴムである。
【0054】
甘味剤、例えば、ソルビトール、サッカリン、ナトリウムサッカリン、スクロース、アスパルテーム、フルクトース、マンニトールおよび転化糖を添加して味覚を改良することができる。
保存剤およびキレート化剤、例えば、アルコール、安息香酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソールおよびエチレンジアミン四酢酸を安全なレベルで添加して貯蔵安定性を改良することができる。
【0055】
本発明による液状組成物は、また、緩衝剤、例えば、グルコン酸、乳酸、クエン酸または酢酸、グルコン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムまたは酢酸ナトリウムを含有することができる。
経験を積んだ処方科学者は、この分野において知られている標準手順および参照研究にかんがみて、容易に賦形剤を選択し、その使用量を決定できる。
【0056】
錠剤化またはカプセル充填のための組成物は、湿式造粒により製造できる。湿式造粒において、粉末状の活性成分および賦形剤の一部分またはすべてをブレンドし、次いで液体、典型的には、水の存在下にさらに混合し、これにより粉末を粒体に凝集させる。粒体を篩がけおよび/または微粉砕し、乾燥し、次いで必要な粒度に篩がけおよび/または微粉砕する。次いで、粒体を錠剤化するか、あるいは他の賦形剤、例えば、グリダントおよび/または滑剤を添加した後、錠剤化することができる。
【0057】
錠剤化する組成物は、乾式配合により好都合に製造することができる。例えば、活性成分および賦形剤の配合した組成物をスラッグまたはシートに圧縮し、次いで微粉砕して圧縮された粒体にすることができる。引き続いて、圧縮された粒体を錠剤に圧縮することができる。
【0058】
乾式造粒に対する別法として、配合した組成物を直接圧縮技術に従い圧縮された投与形態に直接圧縮することができる。直接圧縮は、粒体を伴わない、いっそう均一な錠剤を生成する。直接圧縮に特に十分に適した賦形剤は、微結晶質セルロース、噴霧乾燥したラクトース、リン酸二ナトリウム二水和物およびコロイド状シリカである。直接圧縮錠剤化における、これらおよび他の賦形剤の適切な使用は、特に直接圧縮錠剤化の処方の課題において経験および技量をもつ当業者に知られている。
【0059】
本発明のカプセル充填物は、錠剤化を参照して記載した、任意の前述の配合物および粒体を含んでなることができ、それらは最終の錠剤化工程にかけない。
【0060】
医薬組成物を丸剤の形態に造形するとき、この分野において使用されている任意の既知の賦形剤を使用することができる。例えば、担体は下記を包含するが、これらに限定されない: ラクトース、デンプン、ココナツバター、硬化植物油、カオリン、タルク、およびその他。使用する結合剤は下記を包含するが、これらに限定されない: アラビアゴム粉末、トラガカントゴム粉末、ゼラチン、エタノールおよびその他。使用する崩壊剤は下記を包含するが、これらに限定されない: 寒天、コンブおよびその他。
【0061】
医薬組成物を坐剤の形態に造形する目的で、この分野において普通に知られている賦形剤を使用できる。例えば、賦形剤は下記を包含するが、これらに限定されない: ポリエチレングリコール、ココナツバター、高級アルコール、高級アルコールのエステル、ゼラチン、半合成グリセリドおよびその他。
【0062】
注射可能な医薬組成物を製造するとき、溶液および懸濁液を滅菌し、好ましくは血液に対して等張とする。例えば、注射製剤において、この分野において普通に知られている担体を使用することができる。例えば、注射可能な製剤のための担体は下記を包含するが、これらに限定されない: 水、エチルアルコール、ポリプロピレングリコール、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、およびポリオキシエチレンソルビタンの脂肪酸エステル。当業者は、わずかの実験を実施するか、あるいはまったくしないで、注射可能な製剤を等張化するために必要な塩化ナトリウム、グルコースまたはグリセリンの量を容易に決定できる。追加の成分、例えば、溶解剤、緩衝剤および鎮痛剤を添加することができる。必要に応じて、着色剤、保存剤、香料、調味料、甘味剤、および他の薬剤を精神分裂病の治療の間に必要な製剤に添加することもできる。
【0063】
本発明に従いコレステロールを減少するために医薬組成物中に含有される形態II、形態IVまたは非晶質のドルゾルアミド塩酸塩の量は特別に制限されない; しかしながら、投与量は症状を治療し、軽減し、または減少するために十分であるべきである。
【0064】
ある種の好ましい態様を参照して本発明を説明したが、明細書を考慮して他の態様は当業者にとって明らかであろう。本発明の方法および組成物を詳細に説明する下記の実施例を参照して、本発明はさらに規定される。当業者にとって明らかなように、本発明の範囲から逸脱しないで、材料および方法の両方に対して多数の変更を行うことができる。
【0065】
実験方法
ペルティアー (Peltier) 検出器および丸いゼロバックグラウンド石英板をもつ、丸い標準アルミニウム試料ホルダーを有するARL X線粉末回折計X’ TRA-030は、XRD分析に好都合に使用される。走査パラメーターは次の通りである: 約3°/分の速度における実質的に連続的な走査について、範囲は好ましくは約2°〜約40°2θである。実験の差、例えば、インストルメンテーション、試料の調製およびその他のために、ピーク位置の確度は ± 0.2°であると定義される。
【0066】
約4000〜400 cm-1の範囲において、約16走査で好ましくは約4 cm-1の分解能でパーキン-エルマー・スペクトラム (Perkin-Elmer Spectrum) 1000を使用して、本発明のドルゾルアミド塩酸塩の非晶質形態の試料のFT-IRスペクトログラムが好都合に得られる。スペクトルを記録するとき、バックグラウンドとして空のセルを使用して、ヌジョール・ムル (Nujol mull) 中で試料は好都合に分析される。
【0067】
メトラー・トレド (Mettler Toledo) DSC 882e/700を使用して、示差走査熱量測定 (DSC) は好都合に実施される。約10℃/分の加熱速度で、試料重量は約3〜約5 mgであることが好ましい。使用するるつぼ中の孔の数は好ましくは3であり、窒素 (N2) 流の流速は好ましくは約40 ml/分であり、走査範囲は好ましくは約30℃〜約250℃であり、そして加熱速度は好ましくは約10℃/分である。
【0068】
メトラー・トレド (Mettler Toledo) TGA/SDTA 851eを使用して、熱重量測定分析 (TGA) は好都合に実施される。試料重量は好ましくは約7〜約15 mgであり、約30℃〜約250℃の走査範囲にわたる約50 ml/分の流速のN2流中で、加熱速度は好ましくは約10℃/分である。
【0069】
単結晶の形態および粒度は、並列ニコルプリズムをもつ偏光顕微鏡を使用して好都合に分析される。
ブチ・ミニ噴霧乾燥器 (Buechi Mini Spray dryer) B-290を使用して、噴霧乾燥を実行した。ノズルの直径は0.7 mmであった。
【実施例】
【0070】
ある種の好ましい態様を参照して本発明を説明したが、明細書を考慮して他の態様は当業者にとって明らかであろう。本発明の方法および組成物を詳細に説明する下記の実施例を参照して、本発明はさらに規定される。当業者にとって明らかなように、本発明の範囲から逸脱しないで、材料および方法の両方に対して多数の変更を行うことができる。
【0071】
実施例1.非晶質ドルゾルアミド塩酸塩の製造
15 gのドルゾルアミド塩酸塩固体を300 mlの水中に溶解する。15分後、この溶液を濾過し、次いで100 mlの水で希釈し、7.5 m/m%のドルゾルアミド溶液を形成する。生ずる溶液をブチ噴霧乾燥器(Buechi Spray Dryer) 191型中に供給し、下記の乾燥パラメーターを使用して乾燥する: 約120℃〜約125℃の入口温度、約53℃〜約60℃の出口温度、約600 l/時の空気速度、約225〜約375 ml/時の供給速度、約90分間。この乾式プロセスは7.8 gの乾燥された物質を生成し、これをサイクロン収集器中に回収する。XRD分析において、この生成物は非晶質形態のドルゾルアミド塩酸塩であることが証明される。
【0072】
実施例2.非晶質ドルゾルアミド塩酸塩に対する相対湿度の変化の効果
ヒドロスコピシティー (hydorscopicity) チャンバー中で室温において5日間、0、20、40、60、80および100%の1つの相対湿度 (RH) に、非晶質ドルゾルアミド塩酸塩の1系列の200 mgの試料の各々を暴露する。試料の乾燥減量 (LOD) を暴露前後のTGAにより測定し、そして得られた値を相対湿度値に対してプロットする。さらに、各試料の結晶形態を暴露前後のXRDにより測定する。結果を表1中に要約し、そして相対湿度の異なる値におけるドルゾルアミドHClの試料の平衡水分をまた記載する。
【0073】
結果は図5に図解するXRDパターンにより支持され、XRDパターンはドルゾルアミドHClが0%、20%および40%の相対湿度において非晶質であり、そして60%、80%および100%の相対湿度において形態IIに転換することを示す。
【0074】
実施例3.ドルゾルアミド塩酸塩の形態IIの製造
炉内においてデシケーター中に配置した開口ガラスびん中で非晶質ドルゾルアミドHClのいくつかの200 mgの試料を約160℃の温度に約15分間暴露し、温室に冷却する。冷却後、試料をXRDにより分析する。ドルゾルアミドHClの非晶質形態の暴露により、この物質は結晶質、無水の形態IIに変化した。
【0075】
実施例4.ドルゾルアミド塩酸塩の形態IVの製造
2 gのドルゾルアミド塩酸塩および4 mlのN,N-ジメチルアセトアミドを還流温度において一緒に攪拌した。次いで生ずる溶液を温室に冷却し、6時間熟成し、スラリーを形成した。このスラリーを濾過し、減圧下に50℃において乾燥して1.56 gのドルゾルアミド塩酸塩形態IVが得られた。
【0076】
実施例5.ドルゾルアミド塩酸塩の形態IVの製造
2 gのドルゾルアミド塩酸塩および10 mlのN,N-ジメチルアセトアミドを60℃において一緒に攪拌し、生ずる溶液に20 mlの乾燥エタノールを添加した。この溶液を-20℃に冷却し、20時間熟成し、スラリーを形成した。このスラリーを濾過し、減圧下に50℃において乾燥して1.82 gのドルゾルアミド塩酸塩形態IVが得られた。
【0077】
実施例6.ドルゾルアミド塩酸塩の形態IVの製造
2 gのドルゾルアミド塩酸塩および10 mlのN,N-ジメチルアセトアミドを60℃において一緒に攪拌し、生ずる溶液に40 mlの乾燥エタノールを添加した。この溶液を-20℃に冷却し、20時間熟成し、スラリーを形成した。このスラリーを濾過し、減圧下に50℃において乾燥して1.90 gのドルゾルアミド塩酸塩形態IVが得られた。
【0078】
実施例7.ドルゾルアミド塩酸塩の形態IVの製造
2 gのドルゾルアミド塩酸塩および10 mlのN,N-ジメチルアセトアミドを還流温度において一緒に攪拌し、生ずる溶液に40 mlのアセトンを添加した。この溶液を温室に冷却し、10時間熟成し、スラリーを形成した。このスラリーを濾過し、減圧下に50℃において乾燥して2.09 gのドルゾルアミド塩酸塩形態IVが得られた。
【0079】
本明細書に開示する本発明を十分に計算して前述の目的は満足されることが明らかであるが、多数の変更および態様を当業者は案出することができることが理解されるであろう。したがって、すべてのこのような変更は本発明の真の趣旨および範囲内にはいるので、添付された特許請求の範囲をカバーすることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は、ドルゾルアミドHClの非晶質形態からの特性X線粉末回折パターンを図解する。
【図2】図2は、ドルゾルアミドHClの非晶質形態からの特性DSC曲線を図解する。
【図3】図3は、ドルゾルアミドHClの非晶質形態からの特性TGA曲線を図解する。
【図4】図4は、非晶質ドルゾルアミドHCl結晶の非偏光顕微鏡写真である。
【図5】図5は、0〜100%の相対湿度に対して5日間暴露した後における最初に非晶質のドルゾルアミドHCl試料のX線回折パターンを図解する。
【図6】図6は、加熱前後における最初に非晶質のドルゾルアミドHClのX線回折である。
【図7】図7は、ドルゾルアミド塩酸塩の結晶形態IVの特性X線粉末回折パターンを図解する。
【図8】図8は、ドルゾルアミド塩酸塩の結晶形態IVの特性FT-IRスペクトルを図解する。
【図9】図9は、ドルゾルアミド塩酸塩の結晶形態IVの特性DSC曲線を図解する。
【図10】図10は、ドルゾルアミド塩酸塩の結晶形態IVのTGAサーモグラムスペクトルを図解する。
【図11】図11は、ドルゾルアミド塩酸塩形態IV結晶の非偏光顕微鏡写真である。
【図12】図12は、異なる相対湿度における非晶質ドルゾルアミドHClの平衡水分を図解する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドルゾルアミド(Dorzolamide)塩酸塩の非晶質形態。
【請求項2】
図1に実質的に描写するPXRDパターンを有する、請求項1に記載の非晶質形態。
【請求項3】
約130℃〜約180℃に発熱ピークおよび約284℃に吸熱ピークを有するDSCサーモグラムを有する、請求項1に記載の非晶質形態。
【請求項4】
図2に実質的に描写するDSCサーモグラムを有する、請求項3に記載の非晶質形態。
【請求項5】
170℃までに約3%の減量および約230℃において鋭い減量を示すTGAを有する、請求項1に記載の非晶質形態。
【請求項6】
図3に実質的に描写するTGAサーモグラムを有する、請求項5に記載の非晶質形態。
【請求項7】
不規則の形態を有する、請求項1に記載の非晶質形態。
【請求項8】
約10〜約20 μmまでの大きさを有する粒子の不規則の形態である、請求項7に記載の非晶質形態。
【請求項9】
図4に実質的に描写するドルゾルアミドHClの粒子の非偏光顕微鏡写真を有する、請求項7に記載の非晶質形態。
【請求項10】
ドルゾルアミド塩酸塩の約10%より少ない結晶形態を含有する、請求項1に記載の非晶質形態。
【請求項11】
ドルゾルアミド塩酸塩の約5%より少ない結晶形態を含有する、請求項10に記載の非晶質形態。
【請求項12】
ドルゾルアミド塩酸塩の約2%より少ない結晶形態を含有する、請求項11に記載の非晶質形態。
【請求項13】
ドルゾルアミド塩酸塩の約1%より少ない結晶形態を含有する、請求項12に記載の非晶質形態。
【請求項14】
ドルゾルアミド塩酸塩の約0.2%より少ない結晶形態を含有する、請求項13に記載の非晶質形態。
【請求項15】
約40℃以下の温度、約40%より低い相対湿度において、少なくとも約3月間、結晶形態に自発的に転化しないドルゾルアミドの非晶質形態。
【請求項16】
水、メタノール、エタノールおよびそれらの混合物から選択される溶媒中のドルゾルアミド塩酸塩の溶液を噴霧乾燥する、請求項1に記載のドルゾルアミド塩酸塩の非晶質形態を製造する方法。
【請求項17】
溶液が約10〜約100 g/lのドルゾルアミド塩酸塩濃度を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
溶液を約10〜約60分間攪拌する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
溶液を濾過する、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
濾過した溶液を水で希釈して、約0.5〜約10 m/m%の濃度のドルゾルアミド溶液を形成する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
溶液を約110℃〜約130℃の入口温度で噴霧乾燥する、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
溶液を約120℃〜約125℃の入口温度で噴霧乾燥する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
溶液を約40℃〜約60℃の出口温度で噴霧乾燥する、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
溶液を約53℃〜約60℃の出口温度で噴霧乾燥する、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
噴霧乾燥間の空気速度が約600 l/時である、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
非晶質ドルゾルアミドHClを約25℃より高い温度において約40%より高い増加した相対湿度に、約5日間以上暴露し、次いでドルゾルアミドHCl形態IIを回収することを含んでなる、ドルゾルアミドHCl形態IIを製造する方法。
【請求項27】
増加した相対湿度が少なくとも約60%である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
増加した相対湿度が少なくとも約80%である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
増加した相対湿度が少なくとも約100%である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
結晶質ドルゾルアミド塩酸塩アセトアミド溶媒和物。
【請求項31】
ドルゾルアミド塩酸塩およびN,N-ジメチルアセトアミドを約1:1で含有する、請求項30に記載の結晶質ドルゾルアミド塩酸塩アセトアミド溶媒和物。
【請求項32】
約8.5°、11.4°、15.9°および18.7°± 0.2°2θにピークを有するX線粉末回折パターン、約3275、1620、1305および1144 cm-1にピークを有するFT-IRスペクトル、および約174℃および約278℃〜約281℃の範囲に2つの吸熱ピークを有するDSCサーモグラムにより特徴づけられるドルゾルアミド塩酸塩の結晶形態。
【請求項33】
約8.5°、11.4°、15.9°および18.7°± 0.2°2θにピークを有するX線粉末回折パターンにより特徴づけられる、請求項32に記載の結晶形態。
【請求項34】
結晶形態が約12.3°、16.6°、17.1°、18.1°、20.7°および21.0°± 0.2°2θにピークを有するX線粉末回折パターンによりさらに特徴づけられる、請求項33に記載の結晶形態。
【請求項35】
図7に実質的に描写するXRDパターンを有する、請求項34に記載の結晶形態。
【請求項36】
約3275、1620、1305および1144 cm-1にピークを有するFT-IRスペクトルにより特徴づけられる、請求項32に記載の結晶形態。
【請求項37】
約2669、1405、1343、1317、1273、1172、1040、1025、988、930、782、721および684 cm-1にピークを有するFT-IRスペクトルよりさらに特徴づけられる、請求項36に記載の結晶形態。
【請求項38】
図8に実質的に描写するFT-IRスペクトルを有する、請求項37に記載の結晶形態。
【請求項39】
約174℃および約278℃〜約281℃の範囲に2つの吸熱ピークを有するDSCサーモグラムにより特徴づけられる、請求項32に記載の結晶形態。
【請求項40】
図9に実質的に描写するDSCサーモグラムを有する、請求項39に記載の結晶形態。
【請求項41】
結晶形態がアセトアミド溶媒和物である、請求項32に記載の結晶形態。
【請求項42】
ドルゾルアミド塩酸塩およびN,N-ジメチルアセトアミドを約1:1で含有する、請求項41に記載の結晶形態。
【請求項43】
結晶形態が130℃までに約0.2%の小さい減量を有するTGAサーモグラムよりさらに特徴づけられる、請求項32に記載の結晶形態。
【請求項44】
図10に実質的に描写するTGAサーモグラムを有する、結晶形態。
【請求項45】
約200 μmの最大結晶長さを有する、請求項32に記載の結晶形態。
【請求項46】
図11に実質的に描写するドルゾルアミドHCl粒子の非偏光顕微鏡写真を有する、請求項45に記載の結晶形態。
【請求項47】
ドルゾルアミド塩酸塩をN,N-ジメチルアセトアミド中に溶解して溶液を形成し、この溶液をスラリーが形成するまで冷却し、そして結晶形態を回収することを含んでなる、請求項32に記載のドルゾルアミドHClから結晶を製造する方法。
【請求項48】
溶液がC1-C6アルコール、C2-C8アルキルケトンおよびそれらの混合物から成る群から選択される有機溶媒をさらに含んでなる、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
有機溶媒がエタノール、アセトン、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノールおよびt-ブタノールから成る群から選択される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
有機溶媒がエタノール、アセトン、2-プロパノールまたはそれらの混合物である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
溶液を約55℃〜約170℃の温度に維持する、請求項47に記載の方法。
【請求項52】
溶液を約55℃〜約65℃の温度に維持する、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
溶液を約-25℃〜約25℃の温度に冷却する、請求項47に記載の方法。
【請求項54】
溶液を約-10℃〜約10℃の温度に冷却する、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
回収工程がスラリーを濾過し、それを乾燥することを含んでなる、請求項47に記載の方法。
【請求項56】
回収したドルゾルアミド塩酸塩形態が約19〜約19.8重量%のアセトアミド溶媒和物を含有する、請求項47に記載の方法。
【請求項57】
回収したドルゾルアミド塩酸塩形態が約19.8重量%のアセトアミド溶媒和物を含有する、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
請求項1および32のいずれかに記載のドルゾルアミド塩酸塩と、少なくとも1種の薬学上許容される賦形剤とを含んでなる医薬組成物。
【請求項59】
請求項1および32のいずれかに記載のドルゾルアミド塩酸塩を少なくとも1種の薬学上許容される賦形剤と組合わせることを含んでなる、医薬処方物を製造する方法。
【請求項60】
医薬組成物を製造するための請求項1および32のいずれかに記載のドルゾルアミド塩酸塩の使用。
【請求項61】
請求項16、26および47のいずれかに記載の方法により製造されたドルゾルアミド塩酸塩と、少なくとも1種の薬学上許容される賦形剤とを含んでなる医薬組成物。
【請求項62】
請求項16、26および47のいずれかに記載の方法により製造されたドルゾルアミド塩酸塩を少なくとも1種の薬学上許容される賦形剤と組合わせることを含んでなる、医薬処方物を製造する方法。
【請求項63】
医薬組成物を製造するための請求項16、26および47のいずれかに記載の方法により製造されたドルゾルアミド塩酸塩の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2008−526780(P2008−526780A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−549735(P2007−549735)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/001756
【国際公開番号】WO2006/078731
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(501309071)テバ ジョジセルジャール ザ−トケルエン ムケド レ−スベニュタ−ルシャシャ−グ (30)
【Fターム(参考)】