説明

ドレン処理装置

【課題】水排出路中の水の凍結予防の対策が講じられたドレン処理装置を提供する。
【解決手段】水を加熱する熱源機30とは別体とされるドレン処理装置10が、熱源機30からドレンとして排出される水を貯える貯水部11と、熱源機30からドレンとして排出される水を貯水部11に流入させる水流入路12と、貯水部11に貯えている水を外部に排出させる水排出路13と、貯水部11から水排出路13への水の排出状態を調節する排出ポンプ14と、排出ポンプ14の動作を制御する制御部15とを備え、制御部15は、水排出路13の中の水が凍結する可能性が高い間、排出ポンプ14を動作させて貯水部11に貯えられている水を連続的又は断続的に水排出路13に流す凍結予防運転を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源機からドレンとして排出される水を処理するドレン処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料を燃焼する燃焼器を備えた熱源機において水を加熱するとき、顕熱回収式の熱交換器と潜熱回収式の熱交換器とを併用することで熱回収効率の向上を図る手法が提案されている。但し、潜熱回収式の熱交換器では、燃焼排ガスの潜熱が水に回収されるのに伴って凝縮水、即ちドレンが発生するため、そのドレンを処理するためのドレン処理装置が必要になる。例えば、特許文献1に記載の熱源機では、ドレンとして排出される水を中和器で中和したのちに貯水部に貯え、その貯水部で貯えた水を浴室の洗い場へ排出するというドレン処理を行っている。つまり、特許文献1に記載のドレン処理装置では、貯水部に貯えている水を排出する水排出路を浴室に引き入れて、浴室で発生する排水と共にドレンを処理している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−138527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のドレン処理装置では、貯水部に貯えている水を排出する水排出路を浴室に引き入れる構成となっているが、その水排出路を浴室に引き込むことができず、単独で屋外に排出しなければならない場合もある。その場合、冬季において水排出路中の水が凍結する可能性がある。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、水排出路中の水の凍結予防の対策が講じられたドレン処理装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明に係るドレン処理装置の特徴構成は、
前記熱源機とは別体とされ、
水を加熱する熱源機からドレンとして排出される水を貯える貯水部と、
前記熱源機からドレンとして排出される水を前記貯水部に流入させる水流入路と、
前記貯水部に貯えている水を外部に排出させる水排出路と、
前記貯水部から前記水排出路への水の排出状態を調節する排出ポンプと、
前記排出ポンプの動作を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記水排出路中の水が凍結する可能性が高い間、前記排出ポンプを動作させて前記貯水部に貯えられている水を連続的又は断続的に前記水排出路に流す凍結予防運転を行う点にある。
【0007】
上記特徴構成によれば、制御部が、水排出路中の水が凍結する可能性が高い間、水排出路の中の水を連続的に又は断続的に流動させることで、水排出路の中の水の凍結を予防できる。加えて、既存の貯水部に貯えられている水を利用して水排出路の中の水の凍結を予防できるので、装置コストの上昇を抑制できる。更に、水排出路の中に水を流すことは水排出路が当然備えている機能であるので、水排出路が屋外を長い距離にわたって引き回されるとしても、水排出路の全体に水を流して凍結予防を行うことは容易である。
更に、このドレン処理装置は、ドレンの回収は必要とするが従来ドレンが垂れ流しとされていたような熱源機に対して独立に設置できる。また、ドレン処理を所望の排水路を用いて行えるので、例えば、本特徴構成のような凍結予防を行っていなければ冬季の朝方などに凍結の可能性があるマンションのベランダ等にドレンを排水することもできる。
従って、水排出路中の水の凍結予防の対策が講じられたドレン処理装置を提供できる。
【0008】
本発明に係るドレン処理装置の別の特徴構成は、前記制御部は、現時点から所定時間後までの間で前記水排出路中の水が凍結する可能性が高くなるか否かを予測して、前記所定時間後までの間で凍結の可能性が高くならない場合には前記貯水部に水を貯えない排水モードで前記排出ポンプの動作制御を行い、及び、前記所定時間後までの間で凍結の可能性が高くなる場合には前記貯水部に水を貯える貯水モードで前記排出ポンプの動作制御を行う点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、制御部が、現時点から所定時間後までの間で水排出路中の水が凍結する可能性が高くなるか否かに応じて排水モードと貯水モードとを切り替えて排出ポンプの動作制御を行う。つまり、排水モードで排出ポンプの動作制御を行うと、貯水部には水がほとんど貯えられないので、熱源機からドレンを受け入れる空き容量を貯水部に大きく確保しておくことができる。また、貯水モードで排出ポンプの動作制御を行うと、貯水部にはより多くの水が貯まるようになるので、実際に水排出路中の水が凍結する可能性が高くなったとき、より多くの水を水排出路に流して確実に水排出路の中の水の凍結を予防できる。
【0010】
本発明に係るドレン処理装置の更に別の特徴構成は、
前記貯水部に補充可能な、前記ドレンとは別の水が流通する水補充路を備え、
前記制御部は、前記水補充路を介して前記貯水部に流入させた水を用いて前記凍結予防運転を行う点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、凍結予防運転で使用する水を水補充路を介して貯水部に適宜補充できる。その結果、水排出路中の水が凍結する可能性が高いと判定した時点で貯水部に水が貯えられていなくても、水補充路から水を補充した上で凍結予防運転において水排出路に水を流すことができる。
【0012】
本発明に係るドレン処理装置の更に別の特徴構成は、前記水補充路は、前記熱源機が加熱した若しくは加熱対象とする水が流れる流路に接続される点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、貯水部へは、熱源機が加熱した若しくは加熱対象とする水が流れる流路から水補充路を介して水を補充できる。つまり、熱源機と貯水部との間を水補充路で接続するという簡単な構成で、熱源機の内部に存在している水を得て、その水を貯水部へ補充できる。また、加熱後の水を貯水部に補充した上で上記凍結予防処理に使用すると、水排出路を温めることができるため、凍結予防の効果をより高めることができる。
【0014】
本発明に係るドレン処理装置の更に別の特徴構成は、
雰囲気温度を検出する温度センサを備え、
前記制御部は、前記水排出路中の水が凍結する可能性を、前記温度センサの検出結果を参照して判断する点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、制御部は、温度センサの検出結果を参照して、水排出路中の水が凍結する可能性を容易に判断できる。また、制御部は、現在だけでなく将来における水排出路中の水が凍結する可能性についても判断できる。例えば、制御部は、現時点での温度センサの検出結果を参照して、現時点において水排出路中の水が凍結する可能性を判断でき、及び、過去から現時点に至る温度センサの検出結果の推移を参照して、将来の温度センサの検出結果を予測することで現時点から所定時間後までの間での水排出路中の水が凍結する可能性を予測することもできる。
【0016】
本発明に係るドレン処理装置の更に別の特徴構成は、前記熱源機からドレンとして排出される水を、前記水流入路の勾配を利用して前記貯水部に流入させる点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、ポンプなどの動力を利用しなくても、熱源機からドレンとして排出される水を貯水部へ自然に流入させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1実施形態のドレン処理装置及び熱源機の構成を示す図である。
【図2】第1実施形態のドレン処理装置の凍結予防処理のフローチャートである。
【図3】第2実施形態のドレン処理装置及び熱源機の構成を示す図である。
【図4】第2実施形態のドレン処理装置の凍結予防処理のフローチャートである。
【図5】第3実施形態のドレン処理装置の凍結予防処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施形態>
以下に図面を参照して第1実施形態のドレン処理装置について説明する。図1は、第1実施形態のドレン処理装置及び熱源機の構成を示す図である。
熱源機30は、加熱対象としての水を加熱して湯水を外部へ供給する装置である。熱源機30は、燃焼室34の内部に燃焼器33と顕熱回収式熱交換器32と潜熱回収式熱交換器31とを備える。燃焼器33には、ブロア37によって空気が供給され、ガス供給路39及び弁40を介して燃料ガスが供給される。燃焼器33で燃料ガスの燃焼が行われると、発生する高温の燃焼排ガスは先ず顕熱回収式熱交換器32に供給され、その後、潜熱回収式熱交換器31へ供給される。潜熱回収式熱交換器31で潜熱が回収された後の燃焼排ガスは排気口35から燃焼室34の外部に排出される。
【0020】
水循環路38には、熱源機30が加熱した若しくは加熱対象とする水が流れる。熱源機30の外部から供給される低温の水は、水循環路38を通って潜熱回収式熱交換器31を通過し、その後、顕熱回収式熱交換器32を通過した後、高温の湯水として熱源機30の外部に排出される。つまり、顕熱回収式熱交換器32において燃焼排ガスの顕熱が水循環路38を流れる水によって回収され、その後、潜熱回収式熱交換器31において燃焼排ガスの潜熱が水循環路38を流れる水によって回収される。
【0021】
潜熱回収式熱交換器31において燃焼器33の燃焼排ガスから潜熱を回収するときに、その燃焼排ガス中の水蒸気が凝縮して酸性の凝縮水(即ち、ドレン)が生じる。このドレンは、燃焼室34内の潜熱回収式熱交換器31の下方に設けられるドレンパン46によって集められる。ドレンパン46によって集められたドレンは、ドレンパン46に接続されるドレン回収路47を通って、燃焼室34の外部に取り出される。
【0022】
ドレン回収路47を流通するドレンは、熱源機30が備える中和器36に流入して中和される。中和器36には例えば炭酸カルシウムのような中和剤が入れられている。中和器36において中和されたドレンは、中和水排出路41を通って熱源機30の外部に排出される。
【0023】
図1に示すように、熱源機30が備える上記ガス供給路39は継手部45を備え、その継手部45を介して熱源機30の外部の配管と接続可能である。同様に、上記水循環路38は、水が熱源機30の外部から流入する部位と湯水が熱源機30の外部に流出する部位とに継手部43、44を備える。中和水排出路41は、中和器36で中和された水が熱源機30の外部に流出する部位に継手部42を備える。
【0024】
次に、ドレン処理装置10の構成を説明する。
ドレン処理装置10は、熱源機30とは別体とされる装置である。このドレン処理装置10は、熱源機30からドレンとして排出される水を貯える貯水部11と、熱源機30からドレンとして排出される水を貯水部11に流入させる水流入路12と、貯水部11に貯えている水を外部に排出させる水排出路13と、貯水部11から水排出路13への水の排出状態を調節する排出ポンプ14と、排出ポンプ14の動作を制御する制御部15とを備える。
本実施形態において、制御部15は、後述する水補充運転及び凍結予防運転を行っている期間以外は、貯水部11における水位が後述する下限水位未満になるまで(下側水位センサ22がオフ状態になるまで)排出ポンプ14を作動させる。つまり、制御部15は、貯水部11には水を貯えないような制御を通常行っている。
【0025】
水流入路12は、熱源機30の中和水排出路41に対して配管1を介して接続されている。配管1も、熱源機30からドレンとして排出される水を貯水部11に流入させる水流入路12の一部として機能する。配管1と中和水排出路41との間の接続は継手部42によって行われ、配管と水流入路12との間の接続は継手部17によって行われる。水流入路12は貯水部11の上部に接続される。
【0026】
ドレン処理装置10は、熱源機30の下方に設置される。従って、熱源機30からドレンとして排出される水は、上記配管1を加えた水流入路12の勾配を利用してドレン処理装置10の貯水部11へ自然に流入する。
【0027】
水排出路13は、貯水部11の下部に接続される。水排出路13の途中には排出ポンプ14が設けられている。水排出路13とドレン処理装置10の外部の配管3との間の接続は継手部20によって行われる。配管3も、貯水部11に貯えている水を外部に排出させる水排出路13の一部として機能する。
【0028】
本実施形態のドレン処理装置10は、貯水部11に補充可能な、上記ドレンとは別の水が流通する水補充路24を備える。水補充路24は、熱源機30の継手部(例えば分岐継手)44から分岐した配管2に接続されている。配管2と水補充路24との間の接続は継手部19によって行われる。配管2も、貯水部11に補充可能な、上記ドレンとは別の水が流通する水補充路24の一部として機能する。水補充路24は貯水部11の上部に接続される。水補充路24の途中には流路を開閉する弁18が設けられている。弁18の開閉は制御部15が制御する。以上のように、本実施形態において、水補充路24に流入するのは、熱源機30が加熱した後の水である。
【0029】
貯水部11は、貯水量を検出に利用可能な上側水位センサ21と下側水位センサ22とを有する。上側水位センサ21及び下側水位センサ22は制御部15に接続されている。制御部15は、貯水部11に貯えられている水の量が上限水位以上になると(即ち、上側水位センサ21の下端部と水とが接触すると)上側水位センサ21のオン状態を検出し、水の量が上限水位未満になると(即ち、上側水位センサ21の下端部が水と接触しなくなると)上側水位センサ21のオフ状態を検出する。同様に、制御部15は、貯水部11に貯えられている水の量が下限水位以上になると(即ち、下側水位センサ22の下端部と水とが接触すると)、下側水位センサ22のオン状態を検出し、水の量が下限水位未満になると(即ち、下側水位センサ22の下端部が水と接触しなくなると)下側水位センサ22のオフ状態を検出する。
【0030】
従って、制御部15は、上側水位センサ21及び下側水位センサ22の両方がオフ状態のとき貯水部11における水位は下限水位未満であると判定し、上側水位センサ21がオフ状態且つ下側水位センサ22がオン状態のとき貯水部11における水位は下限水位以上且つ上限水位未満であると判定し、上側水位センサ21及び下側水位センサ22の両方がオン状態のとき貯水部11における水位は上限水位以上であると判定する。
【0031】
ドレン処理装置10は、雰囲気温度を検出する温度センサ16を備える。温度センサ16の検出結果は通信線(図示せず)などを介して制御部15に伝達される。また、制御部15は、温度センサ16の検出結果を記憶するメモリ(図示せず)を備えている。
【0032】
熱源機30の電力供給系統とドレン処理装置10の電力供給系統とは電力線4を介して接続されている。例えば、熱源機30に対して100Vの交流電力が供給されている場合、ドレン処理装置10にも電力線4を介して100Vの交流電力を供給できる。或いは、熱源機30に供給される100Vの交流電力が熱源機30において所定電圧の直流電力に変換されている場合、ドレン処理装置10に対して電力線4を介してその直流電力を供給できる。また、電力線4を通信回線として利用して、熱源機30とドレン処理装置10との間の情報通信を行うこともできる。
【0033】
次に、制御部15が行う凍結予防運転について説明する。この凍結予防運転は、制御部15が行う、水排出路13の中の水が凍結する可能性が高い間、排出ポンプ14を動作させて貯水部11に貯えられている水を連続的又は断続的に水排出路13に流す運転である。
図2は、制御部が行うドレン処理装置の凍結予防処理のフローチャートである。
工程100において制御部15は、現在の雰囲気温度は凍結危険温度であるか否か(即ち、水排出路13の中の水が凍結する可能性が高いか否か)を判定する。本実施形態において、制御部15は、水排出路13の中の水が凍結する可能性を、温度センサ16の検出結果を参照して判断する。具体的には、制御部15は、温度センサ16によって検出される雰囲気温度が凍結危険温度(例えば、5℃)未満になると、水排出路13の中の水が凍結する可能性が高いと判定する。
【0034】
制御部15は、工程100において現在の雰囲気温度が凍結危険温度以上であると判定した場合(即ち、水排出路13の中の水が凍結する可能性が高くないと判定した場合)、リターンに移行して、工程100の判定を再度行う。
これに対して、制御部15は、工程100において現在の雰囲気温度が凍結危険温度未満であると判定した場合(即ち、水排出路13の中の水が凍結する可能性が高いと判定した場合)、工程102に移行して貯水部11に水があるか否かを判定する。例えば、貯水部11に下限水位以上の水がある場合、その水を後述する凍結予防運転に使用できる。しかし、貯水部11に下限水位以上の水がない場合、凍結予防運転を実施することはできない。そこで、制御部15は、貯水部11に下限水位以上の水がある場合、工程102において「Yes」と判定して、次の工程104(凍結予防運転)に移行する。これに対して、制御部15は、貯水部11に下限水位以上の水がない場合、工程102において「No」と判定して、工程106(水補充運転)に移行する。
【0035】
工程106において制御部15は、貯水部11に水を補充する。具体的には、制御部15は、下側水位センサ22がオン状態になるまで、或いは、下側水位センサ22がオン状態になってから所定時間経過するまで、水補充路24の開閉を行う弁18を開放する。弁18を開放すると、熱源機30の水循環路38の内部に存在している水はその給水圧により、配管2を加えた水補充路24を介してドレン処理装置10の貯水部11へ流入する。よって、制御部15が、下側水位センサ22がオン状態になるまで弁18を開放した場合、貯水部11には下限水位付近まで水が補充され、或いは、下側水位センサ22がオン状態になってから所定時間経過するまで弁18を開放した場合、貯水部11には下限水位よりもある程度多いレベルにまで水が補充される。
【0036】
工程104において制御部15は、貯水部11に下限水位以上の水がある状態で、排出ポンプ14を動作させて貯水部11に貯えられている水を連続的又は断続的に水排出路13に流す凍結予防運転を行う。
【0037】
以下の表1は、水排出路13へ連続的に水を流した場合、どのような条件であれば水排出路13の中の水の凍結を予防できたのかを説明する実験例である。実験に用いた水排出路13は、呼び径が2A及び外径が3.85mmの樹脂製配管である。表1から分かるように、制御部15が、連続的に通水するときの通水量が60g/分となるように排出ポンプ14の運転を制御すれば、雰囲気温度が−20℃という低温であっても、以下に示す実験期間にわたって水排出路13の水の凍結を防止できた。
【0038】
【表1】

【0039】
以下の表2に示すのは、どれだけの流量の水を断続的に流せば、水排出路13の中の水の凍結を予防できたのかを説明する実験例である。表2から分かるように、制御部15が、以下の通水間隔及び通水条件を満足するように排出ポンプ14の運転を制御すれば、水排出路13の凍結を防止できた。
【表2】

【0040】
以上のように、本実施形態のドレン処理装置10では、制御部15が、水排出路13の中の水が凍結する可能性が高い間、水排出路13の中の水を連続的に又は断続的に流動させることで、水排出路13の中の水の凍結を予防できる。加えて、既存の貯水部11に貯えられている水を利用して水排出路13の中の水の凍結を予防できるので、装置コストの上昇を抑制できる。更に、水排出路13の中に水を流すことは水排出路13が当然備えている機能であるので、水排出路13が屋外を長い距離にわたって引き回されるとしても、水排出路13の全体に水を流して凍結予防を行うことは容易である。
【0041】
<第2実施形態>
第2実施形態のドレン処理装置は、水補充路を備えていない点で第1実施形態のドレン処理装置と異なっている。以下に第2実施形態のドレン処理装置について説明するが、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0042】
図3は、第2実施形態のドレン処理装置及び熱源機の構成を示す図である。図示するように、ドレン処理装置50は、第1実施形態で説明した水補充路24を備えていない。それに伴って、第1実施形態で説明した配管2、継手部19及び弁18も設置されていない。つまり、第2実施形態のドレン処理装置50では、貯水部11に貯えられる水は熱源機30で発生したドレンのみとなる。そのため、水排出路13の凍結防止運転が行われる前に、貯水部11には所定量以上の水を貯えておく必要がある。
【0043】
本実施形態において、貯水部11は、第1実施形態と同様の上側水位センサ21及び下側水位センサ22に加えて、中間水位センサ23を有する。中間水位センサ23の下端部は、上側水位センサ21の下端部と下側水位センサ22の下端部との間に位置している。制御部15は、貯水部11に貯えられている水の量が上限水位と下限水位との間の所定水位以上になると(即ち、中間水位センサ23の下端部と水とが接触すると)、中間水位センサ23のオン状態を検出する。
後述するように、制御部15は、必要に応じて、中間水位センサ23を用いて貯水部11に貯えられている水の量が上限水位と下限水位との間の所定水位(図中では「中間水位」と記載するが、上限水位と下限水位との間のどの位置にあってもよく中間位置である必要はない)以上になるような貯水モードで貯水を行う。
【0044】
図4は、制御部が行うドレン処理装置の凍結予防処理のフローチャートである。
工程100において制御部15は、現在の雰囲気温度は凍結危険温度であるか否か(即ち、水排出路13の中の水が凍結する可能性が高いか否か)を判定する。本実施形態でも、制御部15は、水排出路13の中の水が凍結する可能性を、温度センサ16の検出結果を参照して判断する。
制御部15は、工程100において現在の雰囲気温度が凍結危険温度以上であると判定した場合(即ち、水排出路13の中の水が凍結する可能性が高くないと判定した場合)、工程108に移行して、現時点から所定時間後までの間で凍結の可能性が高いか否かを判定する。例えば、制御部15は、メモリ(図示せず)に記憶している現時点までの過去の雰囲気温度の推移から、所定時間後までの間で雰囲気温度が凍結危険温度未満になるか否かを判定できる。
【0045】
そして、制御部15は、現時点から所定時間後までの間で雰囲気温度が凍結危険温度未満になる可能性が高いと判定した場合には、工程110に移行して貯水モードでの運転制御を行う。具体的には、工程110において制御部15は、排出ポンプ14の動作を停止させておくことで、貯水部11に水が貯えられるようにする。尚、制御部15は、貯水部11に貯えられている水の量が上限水位以上となった場合には、水の量が上限水位と下限水位との間の上記所定水位未満になるまで(即ち、上側水位センサ21がオフ状態になり且つ中間水位センサ23がオフ状態になるまで)排出ポンプ14を動作させる。
これに対して、制御部15は、現時点から所定時間後までの間で雰囲気温度が凍結危険温度未満になる可能性が高くないと判定した場合には、工程112に移行して排水モードでの運転制御を行う。具体的には、制御部15は、排水モードが設定されている間、貯水部11に貯えられている水の量が下限水位未満となるまで(即ち、下側水位センサ22がオフ状態になるまで)排出ポンプ14を作動させる。
【0046】
以上のような貯水モードでの運転制御を行った後、工程100において制御部15が、実際に雰囲気温度が凍結危険温度未満となったと判定した場合、工程104に移行して、排出ポンプ14を動作させて貯水部11に貯えられている水を連続的又は断続的に水排出路13に流す凍結予防運転を行う。その結果、第1実施形態で説明したのと同様に、水排出路13の中の水の凍結が防止される。
【0047】
以上のように、ドレン処理装置50が、第1実施形態で例示したような水補充路24を備えないとしても、予め貯水部11に水を貯えておくことで、水排出路13の中の水が凍結する可能性が高いとき、確実に凍結予防運転を行うことができる。
【0048】
<第3実施形態>
第3実施形態のドレン処理装置は、装置構成は図1に示した第1実施形態のドレン処理装置と同じであるが、制御部による運転制御の内容が第1実施形態のドレン処理装置と異なっている。以下に第3実施形態のドレン処理装置について説明するが、第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0049】
図5は、制御部が行うドレン処理装置の凍結予防処理のフローチャートである。本実施形態のドレン処理装置10は、後述するように、事前に貯水部11に水を貯えておくことができ、且つ、貯水部11に水を貯えていなくても水を補充できることを特徴としている。
工程100において制御部15は、現在の雰囲気温度は凍結危険温度であるか否か(即ち、水排出路13の中の水が凍結する可能性が高いか否か)を判定する。本実施形態において、制御部15は、水排出路13の中の水が凍結する可能性を、温度センサ16の検出結果を参照して判断する。制御部15は、工程100において現在の雰囲気温度が凍結危険温度以上であると判定した場合(即ち、水排出路13の中の水が凍結する可能性が高くないと判定した場合)、工程108に移行して、現時点から所定時間後までの間で凍結の可能性が高いか否かを判定する。
【0050】
そして、制御部15は、現時点から所定時間後までの間で雰囲気温度が凍結危険温度未満になると判定した場合には、工程110に移行して貯水モードでの運転制御を行う。具体的には、工程110において制御部15は、排出ポンプ14の動作を停止させておくことで、貯水部11に貯えられている水の量を増加させる。尚、制御部15は、貯水部11に貯えられている水の量が上限水位以上となった場合には、水の量が上限水位と下限水位との間の上記所定水位未満になるまで(即ち、上側水位センサ21がオフ状態になり且つ中間水位センサ23がオフ状態になるまで)排出ポンプ14を動作させる。
これに対して、制御部15は、現時点から所定時間後までの間で雰囲気温度が凍結危険温度未満にならないと判定した場合には、工程112に移行して排水モードでの運転制御を行う。具体的には、制御部15は、常時、貯水部11に貯えられている水の量が下限水位未満となるまで(即ち、下側水位センサ22がオフ状態になるまで)排出ポンプ14を作動させる。
【0051】
制御部15は、工程100において現在の雰囲気温度が凍結危険温度未満であると判定した場合(即ち、水排出路13の中の水が凍結する可能性が高いと判定した場合)、工程102に移行して貯水部11に水があるか否かを判定する。例えば、制御部15は、貯水部11に下限水位以上の水がある場合、工程102において「Yes」と判定して、次の工程104に移行する。これに対して、制御部15は、貯水部11に下限水位以上の水がない場合、工程102において「No」と判定して、工程106に移行する。
工程106において制御部15は、貯水部11に水を補充する。具体的には、制御部15は、工程102及び工程106を繰り返しながら、下側水位センサ22がオン状態となり且つ中間水位センサ23がオン状態になるまで弁18を開放して、熱源機30の水循環路38から水補充路24へ水を流入させることで貯水部11に水を補充する。
【0052】
工程104において制御部15は、貯水部11に下限水位以上の水がある状態で、排出ポンプ14を動作させて貯水部11に貯えられている水を連続的又は断続的に水排出路13に流す凍結予防運転を行う。
【0053】
以上のように、予め貯水部11に水を貯えておくことで、水排出路13の中の水が凍結する可能性が高いとき、確実に凍結予防運転を行うことができる。更に、凍結予防運転を行うために水が必要になったとき、予め貯水部11に水が貯えられていなかったとしても、水補充路24を介して水を貯水部11に流入させた上で凍結予防運転を行うことができる。
【0054】
<別実施形態>
<1>
上記実施形態では、水補充路24が、熱源機30の継手部44から分岐した配管2に接続されている例(即ち、熱源機30が加熱した後の水が水補充路24に供給される例)を説明したが、他の部位に水補充路24を接続してもよい。例えば、水補充路24を継手部43から分岐した配管に接続してもよい。この場合、熱源機30が加熱対象とする水(即ち、加熱前の水)が水補充路24に供給されることになる。
【0055】
<2>
上記実施形態では、制御部15がドレン処理装置10、50に搭載される例を説明したが、制御部15が他の装置に搭載されていてもよい。例えば、制御部15が、熱源機30に搭載(或いは、熱源機30の制御部(図示せず)と兼用)されていてもよい。制御部15が熱源機30に搭載されていても、熱源機30とドレン処理装置10、50とを接続する電力線4を介して情報通信を行えば、熱源機30に搭載されている制御部15からドレン処理装置10、50の運転制御を行える。
【0056】
<3>
上記実施形態では、制御部15が、水排出路13の中の水が凍結する可能性を温度センサ16の検出結果を参照して判断する例を説明したが、水排出路13の中の水が凍結する可能性を他の手法によって判断するように改変してもよい。例えば、ドレン処理装置10、50が、外部装置から通信ネットワークを介して現在の気象情報や将来の気象予報情報を入手し、制御部15が、それら気象情報や気象予報情報から、現時点又は所定時間後までの間に水排出路13の中の水が凍結する可能性を判断してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、ドレン処理装置から排出される水の凍結予防のために利用できる。
【符号の説明】
【0058】
1 配管(水流入路)
2 配管(水補充路)
3 配管(水排出路)
10、50 ドレン処理装置
11 貯水部
12 水流入路
13 水排出路
14 排出ポンプ
15 制御部
16 温度センサ
24 水補充路
30 熱源機
31 潜熱回収式熱交換器
32 顕熱回収式熱交換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を加熱する熱源機からドレンとして排出される水を貯える貯水部と、
前記熱源機からドレンとして排出される水を前記貯水部に流入させる水流入路と、
前記貯水部に貯えている水を外部に排出させる水排出路と、
前記貯水部から前記水排出路への水の排出状態を調節する排出ポンプと、
前記排出ポンプの動作を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記水排出路中の水が凍結する可能性が高い間、前記排出ポンプを動作させて前記貯水部に貯えられている水を連続的又は断続的に前記水排出路に流す凍結予防運転を行う、前記熱源機とは別体とされるドレン処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、現時点から所定時間後までの間で前記水排出路中の水が凍結する可能性が高くなるか否かを予測して、前記所定時間後までの間で凍結の可能性が高くならない場合には前記貯水部に水を貯えない排水モードで前記排出ポンプの動作制御を行い、及び、前記所定時間後までの間で凍結の可能性が高くなる場合には前記貯水部に水を貯える貯水モードで前記排出ポンプの動作制御を行う請求項1に記載のドレン処理装置。
【請求項3】
前記貯水部に補充可能な、前記ドレンとは別の水が流通する水補充路を備え、
前記制御部は、前記水補充路を介して前記貯水部に流入させた水を用いて前記凍結予防運転を行う請求項1又は2に記載のドレン処理装置。
【請求項4】
前記水補充路は、前記熱源機が加熱した若しくは加熱対象とする水が流れる流路に接続される請求項3に記載のドレン処理装置。
【請求項5】
雰囲気温度を検出する温度センサを備え、
前記制御部は、前記水排出路中の水が凍結する可能性を、前記温度センサの検出結果を参照して判断する請求項1〜4の何れか一項に記載のドレン処理装置。
【請求項6】
前記熱源機からドレンとして排出される水を、前記水流入路の勾配を利用して前記貯水部に流入させる請求項1〜5の何れか一項に記載のドレン処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−112593(P2012−112593A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262696(P2010−262696)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】