説明

ドレン回収処理装置

【課題】一部に圧縮空気を含むドレンからドレンを簡単にまた効率的に回収処理することができるドレン回収処理装置を提供する。
【解決手段】上部にフィルタ19を有し、ドレン排出口24を底部に有する縦長の箱体11と、該箱体11の側面に設けられた一部に圧縮空気を含むドレンを導入するドレン導入口13と、該箱体内に取付けられたドレンを衝突させるドレン衝突棒28と、該箱体内に取付けられた中央に小さな開口部31を有する仕切板32と、該開口部31の上部に取付けられた衝突板29と、加熱手段42を有し、該箱体11から排出されるドレンを受入れ濃縮処理するドレン処理槽40と、を含み、該箱体11内を気体を流通させたときの圧力損失が、ドレン排出口24側に気体を流通させるよりもフィルタ19側に気体を流通させる方が小さくなるように流路を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気圧縮機から排出される一部に圧縮空気を含むドレンを回収し処理するドレン回収処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気圧縮機は、工場、プラント設備などにおいて作業用空気、計装用空気を供給するため数多く使用されている。空気圧縮機では、圧縮過程において空気中の水分が凝縮し、さらにこれに空気圧縮機で使用される潤滑油などが含まれ、これらはドレントラップを介してドレンとして系外に排出される。ドレンは、油分を含むので、これを直接、下水道などに放流することができないため油分を除去し、きれいになった水のみが放流される。このドレンに含まれる油分を除去する方法は、種々の方法が開発提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
例えば特許文献1では、油水分離の方法として一般的に用いられる比重差による浮上分離、活性炭や吸着材による吸着方法などの方法には、各々課題を有するとし、電解処理手段及び吸着処理手段を有機的に組合わせてこれらを解決する技術が提案されている。
【特許文献1】特開2003−260307号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術は、帯電した油粒子を含むドレン水を、余分なフロックを発生させない程度に電解して油粒子の反発力を除去し、さらに微細な気泡を吹き込むことにより油粒子を最適な大きさに凝集させ、吸着材に吸着させるとするものであり、有用な方法と思われるが、多く工程を必要とし簡単に実施できる方法とは言えない。またこれを実現する処理システムも多くの機器を必要とし、安価に実施できるとは言えない。工場、プラントによっては、油分を完全に除去することができなくても、油分を含むドレンの量を安価に又簡単な方法で減少させたいと言う要望もある。
【0005】
また空気圧縮機から排出される油分を含むドレンの処理については、油分の除去のほか、空気圧縮機から排出されるドレンをいかに効率的に回収するかと言う課題もある。空気圧縮機から排出されるドレンは、圧縮空気を一部含み排出されるため排出速度も速く、また圧縮空気も瞬時に膨張するため、空気とドレンとをいかに簡単にまた効率的に分離させるかがポイントとなる。圧縮空気とドレンとの分離がうまく行われないと、油分を含むドレン又はミストが大気に放出されることとなる。回収したドレンについては、油分を除去する方法が種々検討されていることは上記の通りであるが、空気圧縮機から排出されるドレンを簡単にまた効率的に回収する方法は、十分に検討されているとは言えない。
【0006】
本発明の目的は、一部に圧縮空気を含むドレンからドレンを簡単にまた効率的に回収処理することができるドレン回収処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、空気圧縮機から排出される一部に圧縮空気を含むドレンを回収し処理するドレン回収処理装置であって、
上部が開口し、ドレン排出口を底部に有する縦長の箱体と、
該箱体上部を覆うように取付けられたフィルタと、
該箱体の側面に設けられた一部に圧縮空気を含むドレンを導入するドレン導入口と、
該ドレン導入口近傍であり、該箱体内にドレン導入方向と直交するように取付けられたドレンを衝突させるドレン衝突棒と、
該箱体内に取付けられた中央に小さな開口部を有する中央が下方に傾斜した仕切板と、
該開口部と一定の距離を有し、該開口部を上昇する一部に圧縮空気を含むドレンを衝突させる該開口部の上部に取付けられた衝突板と、
該箱体の外部下方に位置し、該箱体から排出されるドレンを受入れ濃縮処理するドレン処理槽と、
ドレンを加熱する該ドレン処理槽に取付けられた加熱手段と、を含み、
該箱体内に形成される流路は、ドレン導入口から気体を導入し、該箱体内を気体を流通させたときの圧力損失が、前記ドレン排出口側に気体を流通させるよりも前記フィルタ側に気体を流通させる方が小さいように形成されていることを特徴とするドレン回収処理装置である。
【0008】
また本発明は、前記仕切板は、前記箱体内の上下方向に複数段取付けられ、
前記衝突板は、各仕切板の開口部の上部にそれぞれ取付けられ、
前記箱体は、さらに箱体内に前記仕切板よりも下方に位置し、ドレンを前記ドレン排出口に導く傾斜板を備えることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、前記ドレン導入口は、複数のドレン導入口が略水平に設けられ、前記ドレン衝突棒は、複数のドレン導入口と同一平面上に設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明のドレン回収処理装置は、空気圧縮機から排出される一部に圧縮空気を含むドレンを回収し処理するドレン回収処理装置であって、側面にドレン導入口を有し、箱体内にドレン衝突棒と、箱体内に取付けられた中央に小さな開口部を有する中央が下方に傾斜した仕切板と、開口部と一定の距離を有し、開口部を上昇する一部に圧縮空気を含むドレンを衝突させる開口部の上部に取付けられた衝突板と、を有するので、導入された圧縮空気とドレンとを簡単に又効率的に分離することができる。箱体内の圧縮空気が通る流路が拡大縮小するので、導入された圧縮空気の圧力を効率的に低減させることができる。また、箱体の上部には、フィルタを備えるので、ドレンの液滴又はミストが大気中に飛散することを防止することができる。またドレン導入口から気体を導入し、箱体内を気体を流通させたときの圧力損失は、ドレン排出口側に気体を流通させるよりもフィルタ側に気体を流通させる方が小さいので、導入された圧縮空気の大半は、箱体上部から排出される。この結果、ドレン排出口を常時開放していても、ドレンを飛散させることなくドレン処理槽に導くことができる。また、ドレン処理槽は、加熱手段を備えるので、ドレンに含まれる油を濃縮して回収することができる。
【0011】
また本発明によれば、仕切板は、箱体内の上下方向に複数段取付けられ、衝突板は、各仕切板の開口部の上部にそれぞれ取付けられているので、ドレン発生量が多い場合であっても、フィルタをドレンで目詰まりさせることなく、また箱体内の圧力を大きく上昇させることなく効率的にドレンを回収することができる。また、箱体は、さらに箱体内に仕切板よりも下方に位置し、ドレンをドレン排出口に導く傾斜板を備えるので、ドレンを効率的に回収しドレン処理槽に導くことができる。
【0012】
また本発明のよれば、ドレン導入口は、複数のドレン導入口が略水平に設けられ、ドレン衝突棒は、複数のドレン導入口と同一平面上に設けられるので、複数台の空気圧縮機から排出されるドレンを効率的に回収処理することが可能となる。空気圧縮機から排出されるドレンは、間欠的に排出されるので、一台の空気圧縮機のドレンを処理可能な大きさの装置で、複数台の空気圧縮機から排出されるドレンを処理することが可能であり効率的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明の実施の一形態としてのドレン回収処理装置1の外観図である。図2は、図1に示す切断面線II−IIから見た図である。図3は、図1に示すドレン回収処理装置1の衝突板29aを斜め上から見た斜視図である。図2中に示す太線は、圧縮空気、ドレンの流れを示す。ドレン回収処理装置1は、空気圧縮機(図示を省略)から排出される圧縮空気を一部に含むドレンを回収し、処理する装置であって、ドレンを分離回収する回収部2と、回収したドレンを濃縮する処理部3とからなる。回収部2は、空気圧縮機から排出される圧縮空気を一部に含むドレンを受入れ、圧縮空気とドレンとを分離し、ドレンは回収し、圧縮空気は圧力を低下させ大気中に放出する。
【0014】
回収部2は、横断面形状が正方形の縦長の箱体11を有し、箱体11の側面に図示を省略した2台の空気圧縮機から排出される圧縮空気を一部に含むドレンを導入するドレン導入口13(13a、13b)を備える。このドレン導入口13に空気圧縮機のドレントラップ(図示を省略)と連絡するドレン導入管15(15a、15b)を接続し、ドレンを受入れる。このドレンは水のほか油も含んでおり、この油の多くは乳化している。本実施形態では、2台の空気圧縮機から各々排出されるドレンを処理するため、2本のドレン導入管15a、15bが取付けられている。なお、箱体11の形状は、横断面形状が正方形のものに限定されるものではなく、矩形、円であってもよい。
【0015】
箱体11は、上部17が開口し、この開口部を覆うようにフィルタ19が取付けられている。フィルタ19は、箱体11の上部にヒンジ20を介して開閉可能に取付けられた蓋21の下方に着脱可能に取付けられ、蓋21を開けることで簡単にフィルタ19を取外すことができる。蓋21は、箱体11の上部と一定の距離を有するように取付けられているので、フィルタ19を通過した圧縮空気は、箱体11と蓋21との間から外部に排出される。フィルタ19は、圧縮空気を一部に含むドレンを箱体11に受入れたとき発生するドレンの液滴又はミストを除去するためのものであり、液滴又はミストには水分のほか油分が含まれるので、耐油性の材料からなることが必要である。さらに箱体11は底部に、逆錐体23を有し、逆錐体23の中心部には、ドレンを排出するためのドレン排出口24が設けられている。このドレン排出口24に、バルブ25を備える配管26を取付け、ドレンを処理部3に導く。
【0016】
また箱体11の内部には、棒状の衝突棒28、正面視が山型の形状を有する衝突板29(29a、29b)、圧縮空気の流路を形成しドレンを回収するための断面がV字型で中央部に小さな開口部31(31a、31b)を有する仕切板32(32a、32b)、ドンレをドレン排出口24に導く傾斜板34(34a、34b)を有する。棒状の衝突棒28は、断面形状が円であり、箱体11に略水平に取付られ、その取付位置は、ドレン導入口13の近傍であって、供給されるドレンの流れ方向に直交するように取付られる。仕切板32は、衝突棒28よりに高い位置に、上下方向に2段取付けられている。仕切板32は、断面がV字型であって、箱体11の横断面を覆うように取付けられる。このため、箱体11に供給された圧縮空気、ドレンは、仕切板32の中央部に設けられた開口部31を流路とする。
【0017】
また、仕切板32の開口部31の上には、開口部31と一定の距離を置いて山型の衝突板29(29a、29b)が取付けられている。山型の衝突板29は、四隅に支持棒(図示を省略)を取付け、これを仕切板32に取付けることで固定する。傾斜板34は、衝突棒28により低い位置に2枚、取付け高さを変え、対向するように取付けられている。傾斜板34の先端は、箱体11の縦中心線によりも飛び出しているので、2枚の傾斜板34a、34bの先端部には、小さな流路が形成される。仕切板32、仕切板32の開口部31、開口部31の上部に取付けられた衝突板29、及びフィルタ19で形成されるドレン導入口13からフィルタ19を通過させるまでの流路の抵抗と、傾斜板34、ドレン排出口24、及びドレン排出口24に取付けられたバルブ25を備える配管26で形成されるドレン導入口13から配管26出口まで流路の抵抗とでは、後者の方が大きくなるように流路が形成されている。このためドレン導入口13から圧縮空気を一部に含むドレンを箱体11に導入すると、導入された圧縮空気の大半は、箱体上部17から排出される。
【0018】
処理部3は、回収部2で回収されたドレンを受入れ濃縮する処理槽40と、処理槽40の外壁41に取付けられたヒータ42、ヒータ42の温度を検出する温度検出器44を主に構成される。処理槽40は、上部が開放された底板46を有する円筒容器で、底板46の中心部に濃縮したドレンを排出するバルブ47が取付けられた濃縮液回収ノズル48を備える。また上部に受入れたドレン量が多い場合にこれを回収するオーバーフローノズル50を有する。処理槽40の下部には、ドレンを加熱するためのヒータ42が取付けられている。ヒータ42は、処理槽40内のドレンを加熱し、ドレンを構成する水を蒸発させる役目を担うので、少なくともドレンを100℃以上に加熱可能な能力を有することが望ましく、バンドヒータを好適に使用することができる。ヒータ42は、誤ってドレンが掛かる場合もあるため、防水性、耐油性であることが望ましい。
【0019】
ヒータ42と処理槽40の外壁41が接触する部分には、温度検出器44が取付けられ、制御盤52内に設けられた温度調節器(図示を省略)と協調し、ヒータ42の温度を一定に制御する。また処理槽40の外壁41及びヒータ42を覆うように保温材53が取付けられている。さらに処理槽40の上部には、処理槽40内の液位を検出するレベル計54が装着されている。このレベル計54は、図示を省略した警報器に接続し、処理槽40内のドレンレベルが所定の高さ以上となると警報を発する。なお、自己温度制御形のヒータやスライダックを備えるような場合は、温度検出器44、温度調節器(図示を省略)は必ずしも必要でないことは、周知のところである。またレベル54計も予めドレン量が分かっているような場合には、必ずしも必要ではない。箱体11は、支持架台5で支持固定され、処理槽40は、箱体11の下方であって、支持架台5の下部に設けられた台座6の上に載置されている。
【0020】
上記のように構成されるドレン回収処理装置1に、図示を省略した空気圧縮機から圧縮空気を一部含むドレンがドレン導入管15a、15bを介して、ドレン導入口13a、13bから箱体11に供給されると、圧縮空気を一部含むドレンは、慣性力により棒状体28に衝突するとともに、箱体11内で急激に膨張し圧力を低下させる。棒状体28に衝突し、一部ドレンの分離したドレン及び圧縮空気の大半は、仕切板32aに穿設された開口部31aを通り上昇する。これは、棒状体28の下方の圧力損失が、棒状体28の上方の圧力損失よりも大きいことによる。
【0021】
仕切板32aに穿設された開口部31aの上部には山型の衝突板29aが取付けられているので、流路は、この部分でほぼ直角に曲がる。このため開口部31aを上昇する圧縮空気は、衝突板29aに衝突しながら流れ方向を大きく変える。圧縮空気とともに開口部を上昇するドレンの液滴、ミストは、慣性力が大きくそのまま衝突板29aに衝突する。このためドレンの一部は、ここで圧縮空気と分離する。さらに仕切板31aと山型の衝突板29aとで形成される流路を通過した圧縮空気は、二つの仕切板32a、32bで形成される大きな流路に入るので、急激に圧力、速度を低下させる。これにより圧縮空気に同伴するドレンの液敵、ミストが圧縮空気と分離する。同様に第二の仕切板32bを通過する際、圧縮空気の流速は極端に速くなり、高速の状態で衝突板29bに衝突する。これらにより圧縮空気に含まれるドレンは、ほとんどいない状態となる。微量のミストは、フィルタ19で捕集されミストが除去された空気が箱体11の上部から排出される。
【0022】
一方、圧縮空気から分離したドレンは、仕切板32a、32bを流下し、棒状体28に衝突し速度を低下させた一部のドレンともに、傾斜板34a、34b上に落下する。傾斜板34a、34b上に集められたドレンは、さらにドレン排出口24に、取付けられた配管26を介して処理槽40に導かれる。処理槽40は、上部が開放し、ヒータ42で加熱されるので、処理槽40に導かれたドレンは、水分を蒸発させ量を減少させる。濃縮されたドレンは、濃縮液回収ノズル48から取り出し、産業廃棄物として処理する。
【0023】
上記の通り、本実施形態に示すドレン回収処理装置1は、衝突棒28及び複数の衝突板29a、29bを有するともに、仕切板32a、32b及び衝突板29a、29bを用いて圧縮空気が通る流路を拡大縮小させるので、衝突、及び急激な流速変化が起こり供給された圧縮空気からドレンを効率的に分離することができる。また、同時に圧力も効率的に低下させることができる。箱体11の上部には、フィルタ19を備えるので、ドレンミストが大気中に飛散することを防止できる。また、ドレンをドレン排出口24に導く傾斜板34を備えるので、ドレンを効率的に回収しドレン処理槽40に導くことができる。
【0024】
空気圧縮機から導入されるドレンには、一部圧縮空気を含むので、箱体内の流路を適正に設計しないと、ドレン排出口24からドレンとともに、圧縮空気も噴出してしまう。圧縮空気は、箱体内で膨張し高速となるため、ドレン排出口24からドレンとともに圧縮空気が噴出すると、ドレンが周囲に飛び散ってしまう。これを防止するためには、空気圧縮機からドレンが排出されない時間帯に、ドレン排出口24を開け、ドレンを排出すればよいが、制御装置などが必要となりコストアップになる。これに対して本発明では、ドレン導入口13からフィルタ19を通過させるまでの流路の抵抗と、ドレン導入口13からバルブ25を備える配管26出口まで流路の抵抗とでは、後者の方が大きくなるように流路の開口面積が形成されているので、ドレン導入口13から導入された圧縮空気の大半は、箱体上部17から排出される。これにより、ドレン排出口24を常時開放していても、ドレンを飛散させることなくドレン処理槽40に導くことができる。
【0025】
気流に含まれるミストを除去するために使用されるミストセパレータにも、本実施形態に示すような慣性集じんが利用されるが、一般に使用される慣性集じんを利用したミストセパレータと、本実施形態に示すドレン回収処理装置1の回収部2とは考え方を大きく異にする。一般に使用される慣性集じんを利用したミストセパレータは、流通系で使用されることが多いため、圧力損失が問題となる。しかし空気圧縮機から排出される圧縮空気を一部含むドレンは高圧で、しかも連続的に排出されるものではなく間欠的に排出される。このため、圧縮空気からドレンを効率的に分離回収するに際しては、いかに圧力を効果的に減少させるかが重要となる。この点で流路の方向を急激に変化させるとともに、流路を拡大縮小させる方法は、装置をコンパクト化する上で効果的である。
【0026】
また本実施形態にように複数のドレン導入口13a、13bを設けることで、複数台の空気圧縮機から排出されるドレンを効率的に回収処理することが可能となる。空気圧縮機から排出されるドレンは、間欠的に排出されるので、一台の空気圧縮機のドレンを処理可能な大きさの装置で、複数台の空気圧縮機から排出されるドレンを処理することが可能であり効率的である。この際、複数のドレン導入口13a、13bを水平に設け、衝突棒28と、複数のドレン導入口13a、13bと同一平面上に設けることで、導入された全てのドレンが衝突棒28に衝突するので、ドレンの分離を効果的に行うことができる。
【0027】
本実施形態では、仕切板32、衝突板29、傾斜板34をそれぞれ2つ設ける例を示したけれども、仕切板32などの数がこれに限定されないことは言うまでもない。空気圧縮機から排出されるドレンの量、頻度などにより適宜変更すればよい。ドレン導入量が多い場合であっては、仕切板32及び衝突板29の設置数を多くすることでフィルタ19の負荷を低減させることができる。これによりフィルタ19をドレンで目詰まりさせることなく、また箱体11内の圧力を大きく上昇させることなく効率的にドレンを回収することができる。またドレン導入口も2つに限定されるものではなく、空気圧縮機から排出されるドレンの量、頻度などに応じて3つ以上設けてもよい。さらに、衝突棒28の断面形状も円に限定されるものではなく、三角、四角であってもよい。衝突棒28は、板状体であってもよいけれども、抵抗が大きく、ドレン導入口13付近の箱体内の圧力が極端に高くならないことが、箱体11の耐圧性を低く抑える点から好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の一形態としてのドレン回収処理装置1の外観図である。
【図2】図1に示す切断面線II−IIから見た図である。
【図3】図1に示すドレン回収処理装置1の衝突板29aを斜め上から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
1 ドレン回収処理装置
11 箱体
13 ドレン導入口
17 箱体の上部
19 フィルタ
24 ドレン排出口
28 衝突棒
29 衝突板
31 仕切板の開口部
32 仕切板
34 傾斜板
40 ドレン処理槽
42 ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気圧縮機から排出される一部に圧縮空気を含むドレンを回収し処理するドレン回収処理装置であって、
上部が開口し、ドレン排出口を底部に有する縦長の箱体と、
該箱体上部を覆うように取付けられたフィルタと、
該箱体の側面に設けられた一部に圧縮空気を含むドレンを導入するドレン導入口と、
該ドレン導入口近傍であり、該箱体内にドレン導入方向と直交するように取付けられたドレンを衝突させるドレン衝突棒と、
該箱体内に取付けられた中央に小さな開口部を有する中央が下方に傾斜した仕切板と、
該開口部と一定の距離を有し、該開口部を上昇する一部に圧縮空気を含むドレンを衝突させる該開口部の上部に取付けられた衝突板と、
該箱体の外部下方に位置し、該箱体から排出されるドレンを受入れ濃縮処理するドレン処理槽と、
ドレンを加熱する該ドレン処理槽に取付けられた加熱手段と、を含み、
該箱体内に形成される流路は、ドレン導入口から気体を導入し、該箱体内を気体を流通させたときの圧力損失が、前記ドレン排出口側に気体を流通させるよりも前記フィルタ側に気体を流通させる方が小さいように形成されていることを特徴とするドレン回収処理装置。
【請求項2】
前記仕切板は、前記箱体内の上下方向に複数段取付けられ、
前記衝突板は、各仕切板の開口部の上部にそれぞれ取付けられ、
前記箱体は、さらに箱体内に前記仕切板よりも下方に位置し、ドレンを前記ドレン排出口に導く傾斜板を備えることを特徴とする請求項1に記載のドレン回収処理装置。
【請求項3】
前記ドレン導入口は、複数のドレン導入口が略水平に設けられ、前記ドレン衝突棒は、複数のドレン導入口と同一平面上に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載のドレン回収処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−285251(P2007−285251A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−115583(P2006−115583)
【出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】