説明

ナスニン等を含有する食品及びその製造方法。

【課題】 ナスの果皮から、ナスニンをはじめとするアントシアニン類色素の抽出はpH2.5未満、温度5℃未満で行ない時間を要している。pH2.5〜4未満で抽出する色素は減色、変質し易く不安定である。果皮に含有するポリフェノ−ルオキシダーゼも原因している。ナスの果皮から色素を効率よく抽出して安定させ、美味しくて健康効果のあるナスニンをはじめとするアントシアニン類を含有する食品を提供することを目的としている。
【解決手段】 ナスの果皮背面を削り加工し、果皮を温度5〜80℃の抽出液に浸漬して、ナスニンをはじめとするアントシアニン類の色素を抽出する抽出方法及びナスニンをはじめとするアントシアニン類の色素にシソ抽出液を混合することにある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ナスの果皮から抽出して、つくる食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ナスの果皮から抽出して、つくるナスニン等を含有する食品は市場にない。ナスニンは、ナスの果皮だけに含まれており、強い抗酸化作用を持ち、ストレスなどによって体内に発生し、ガンや生活習慣病のもとになる活性酸素を抑制する作用があり、悪玉コレステロールの酸化を防ぎ、血管をきれいにして血栓や動脈硬化を予防、改善する働きがある。
【0003】
特許文献1には、文中に、ナスニンの調製(ナスの果皮からナスニンの抽出、精製)について記載されている。
【0004】
特許文献2には、茄子果皮と冬瓜果皮のセットを必須とする、ダイエット食品が記載されている。
【0005】
先に出願した、特許文献3には、ナスの果皮に含まれるナスニンをはじめとするアントシアニン類が紫外線や可視光線などの光に弱いので、紫外線照射残存率の高い乾燥と効果的保存方法で、薬効のある色素成分であるナスニンの有効な摂取方法として、水溶性であることに着目し、果皮を乾燥粉末化して茶とする製造方法を記載している。
【0006】
先に出願した、特許文献4には、ナスの果皮の処理、保存方法。とナスの果皮をpH2.5以下になるよう酸を加えた水溶液に浸漬してナスニン等色素の抽出とナスニンの製造方法を記載している。
【0007】
【特許文献1】特開2002−322055広報、
【特許文献2】特開平11−75756広報
【特許文献3】特開2004−254685広報
【特許文献4】特開2005−304466広報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ナスの生産地で需要を越える生産量や規格外等で良質のナスを廃棄、見切り処分されている実態がある。ナスの有効利用と同時に付加価値の高い製品にすることを目指し、先に出願したが更に進める。ナスの果皮に含まれているナスニン等の色素含有物質には、抗酸化作用、抗ガン作用、血管新生抑制作用等のあることは近年証明されている。しかし、ナスニン等の色素抽出については、これまであまり研究されていないようである。特許文献1、デルフィニジン化合物を含有する制癌剤。の文中に、ナスニンの調製について、ナスの果皮を5%酢酸水溶液(pH2.5)4℃で1週間浸漬して、ナスニン等色素の抽出をすると記載されている。浸漬が長時間で、低温のため色素の回収率がわるい。
また、特許文献4で、ナスの果皮をpH2.5以下になるよう、酸を加えた水溶液でナスニン等の色素を抽出し、安定させる方法を記載したが、活用範囲の広いpH2.5〜4未満では、ナスの果皮をpH2.5〜4未満の酸を加えた水溶液に浸漬して、ナスニン等の色素を抽出した色素は減色、変質して不安定である。また、色素の抽出時に、ナスの果皮に含有する、ポリフェノールオキシダ−ゼにより褐変減色して、ナスニン等の色素が減少、変質する。以上の問題を解決して、ナスの果皮から、ナスニンをはじめとするアントシアニン類を含有する、美味しくて健康効果のある食品を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため本発明は従来、特許文献1の文中に、ナスニンの調製について、ナスの果皮を5%酢酸水溶液(pH2.5)4℃で1週間浸漬して、ナスニン等色素の抽出をすると記載されている。浸漬が1週間と長くて、4℃で低温のため色素の回収率がわるい。4℃の低温で抽出すると記載されているが、紫色素の熱安定性は、50℃で1時間浸漬して抽出すれば色素保持率は90%であることに着目。また、色素の抽出時に、ナスの果皮に含有する、ポリフェノールオキシダ−ゼにより褐変減色して、ナスニン等色素が減少、変質する問題も、ナスの果皮背面を削り加工すると共に、果皮のポリフェノールオキシダ−ゼを熱変成により破壊し、活性を失わせてから、果皮を温度5〜80℃の抽出液に浸漬して、ナスニンをはじめとするアントシアニン類の色素を抽出することを特徴とする抽出方法で解決できる。ナスの果皮背面を薄く削り加工する効果は、果皮に含有するポリフェノールオキシダーゼによる色素の減少、変質を軽減する。果皮の容量が減少し、作業の効率がよくなる。果皮が薄いと、果皮に抽出液を早く浸透させ色素を早く抽出できる。抽出液に果皮の浮遊物がなくなり、浮遊物に色素が付着しない。ナスの果皮独特の味と臭いを軽減する。また、果皮のポリフェノールオキシダ−ゼ(酵素)を熱変成により破壊し、活性を失わせてから、果皮を抽出液に浸漬することで、抽出液のポリフェノールオキシダ−ゼによる色素の減少、変質を防止できる。果皮を薄く削り加工すること。果皮を5〜80℃の抽出液で色素を抽出することで、従来、果皮を1週間浸漬しての色素の抽出が、1時間30分以内の浸濆で色素を抽出できて、ナスニンをはじめとするアントシアニン類の色素保持率の高い抽出、回収ができる。
【0010】
特許文献4で、ナスの果皮をpH2.5以下になるよう、酸を加えた水溶液でナスニンをはじめとするアントシアニン類の色素を安定させる方法を記載したが、活用範囲の広いpH2.5〜4未満では、ナスの果皮をpH2.5〜4未満の酸を加えた水溶液に浸漬して、ナスニン等の色素を抽出した色素は減色、変質して不安定である。これを解決するには、食用酸と食塩を加えた水溶液にナスの果皮を浸漬して、ナスニンをはじめとするアントシアニン類の色素を抽出することを特徴とする抽出方法にある。食塩を加えての色素の抽出と安定効果は、食塩に含まれているマグネシュウムイオン、カリウムイオンがナスニンをはじめとするアントシアニン類と結合して安定なメタロアントシアニンを生成するためである。ナスの果皮は皮付き果実、剥いたもの、乾燥、粉末化したものも含む。食用酸は限定しないがクエン酸、レモン果汁、梅酢、リンゴ酸、乳酸,ビタミンC等にする。食塩は限定しないがミネラル分の多い自然海塩とする。ただし、ナスの果皮から抽出した、ナスニンをはじめとするアントシアニン類色素の水溶液に、食用酸と食塩を加えると色素は褐変、変質する。故に、食用酸と食塩を加えた抽出液にナスの果皮を浸漬して、ナスニンをはじめとするアントシアニン類の色素を抽出することにある。
【0011】
美味しくて健康効果のあるナスニンをはじめとするアントシアニン類の色素を抽出する方法は、シソ抽出液にナスの果皮を浸漬して、ナスニンをはじめとするアントシアニン類の色素を抽出することを特徴とする抽出方法にある。シソはpH3.2の酸性であり、色素の抽出と安定に効果がある。他にも深色効果、ハーブ効果、抗酸化効果、栄養が豊富で、爽快な香りのペリルアルデヒドを含んでおり、ナス独特の臭いを消して爽快な香りにする効果があり、ロズマリン酸、α−リノリン酸が含まれて、古くから健康効果は認められている。また、シソによる色素の安定はシソに含まれている鉄の鉄イオンがナスニンを含むアントシアニン類と結合して安定なメタロアントシアニンを生成するからである。シソ抽出液は、食用酸を加えた水溶液にシソを浸漬して抽出したpH2.5〜4の抽出液である。シソ抽出液に食塩を加えれば更によい。シソは赤シソ、青シソ、乾燥、粉末化したものも含む。ナスの果皮は、皮付き果実、剥いたもの、乾燥、粉末化したものも含む、食用酸は限定しないがクエン酸、レモン果汁、梅酢、リンゴ酸、乳酸、ビタミンC等にする。
【0012】
ナスの果皮とシソ抽出液の効果は、ナスの果皮から抽出した、ナスニンをはじめとするアントシアニン類の色素に、シソ抽出液を混合することを特徴とする食品にある。
【0013】
食用酸(クエン酸、リンゴ酸)と食塩の両方を含有して、健康効果があり美味しい、梅肉を水溶液に加えて梅肉抽出液をつくり、ナスの果皮を浸濆して、色素の抽出をして、安定をさせる方法は、梅肉抽出液にナスの果皮を浸漬して、ナスニンをはじめとするアントシアニン類の色素を抽出することを特徴とする抽出方法にある。梅肉抽出液にシソ抽出液を加えれば更によい。梅肉は乾燥梅肉、梅肉ペースト、梅酢等で梅肉から抽出したものも含む。ナスの果皮は皮付き果実、剥いたもの、乾燥、粉末化したものも含む、食塩は限定しないがミネラル分の多い自然海塩とする。
【0014】
ジャム類の製造は、ナスの果皮に含まれるナスニンをはじめとするアントシアニン類を含有することを特徴とするジャム類の製造方法にある。ナスの果皮と梅肉を材料としてジャム類を製造することで、梅肉のクエン酸がナスニンをはじめとするアントシアニン類の色素を安定させると共に梅肉のペクチン効果でジャム類ができる。ジャム類を乾燥及び生乾燥して粉状にすることで、溶解して飲食できる、ジュース、ゼリー、デザート、スープ、ふりかけ等の食品にも応用できるジャム類の製造ができる。
【0015】
健康効果のある、アルコール飲料は、ナスニンをはじめとするアントシアニン類の色素にシソ抽出液を混合し、更にアルコール類を混合することを特徴とするアルコール飲料。梅抽出液を加えると更によい。アルコール飲料は、清酒、焼酎、ワイン,果実酒等のリキュールで特に梅酒とナスニンをはじめとするアントシアニン類の組み合わせがよい。
【発明の効果】
【0016】
ナスの生産地で、需要を越える生産量や規格外等で廃棄、見切り処分されているナスを有効利用して、ナスニンをはじめとするアントシアニン類を含有する、ジュース、紅茶、コーヒー、アルコール飲料等の健康飲料及びナスニンをはじめとするアントシアニン類を含有する、梅酢エキス、醤油、ジャム、デザート、ゼリー等の健康食品ができる。水に溶かしたヒアルロン酸にナスニンを組み合わせて美白作用のある化粧品ができる。
【0017】
ナスの果皮背面を薄く削り加工する効果は、果皮に含有するポリフェノールオキシダーゼによる色素の減少、変質を軽減する。果皮の容量が減少し、作業の効率がよくなる。
果皮が薄いと、果皮に抽出液を早く浸透させ色素を早く抽出できる。抽出液に果皮の浮遊物がなくなり浮遊物に色素が付着しない、ナスの果皮独特の味と臭いを軽減する効果がある。また、果皮のポリフェノールオキシダ−ゼ(酵素)を熱変成により破壊し、活性を失わせてから果皮を抽出液に浸漬することで、抽出液のポリフェノールオキシダ−ゼによる色素の減色、変質を防止できる。果皮を薄く削り加工すること。果皮を5〜80℃の抽出液で色素を抽出することで、従来、果皮を1週間浸漬しての色素の抽出が、1時間30分以内の浸漬で色素を抽出できて、ナスニンをはじめとするアントシアニン類の色素保持率の高い抽出、回収ができる。
【0018】
ナスニンをはじめとするアントシアニン類の色素にシソ抽出液を混合して、色素の減色、変質を防ぎ安定させ、美味しくて健康効果のあるナスニンをはじめとするアントシアニン類を含有する食品ができる。ナスニンをはじめとするアントシアニン類の色素にシソ抽出液を混合し、更にアルコール類を混合することを特徴とするアルコール飲料ができる。
【0019】
活用効果の広いpH2.5〜4未満の水溶液でナスニンをはじめとするアントシアニン類の色素を減色、変質させなことで、水溶液の色素を使用して、デザート、ゼリー、ヨーグルト、スープ、ケーキ、ドレッシングソース、清酒、焼酎等食品の着色料に使用できる。また、糸、繊維類の着色にも使用できる。
【0020】
ナスニンをはじめとするアントシアニン類を含有するジャム類を乾燥、生乾燥で、粉状にすることでジュース、ゼリー、デザート、スープ、ふりかけ等の食品ができる。
ナスの果皮と梅肉をジャム類の材料として製造する効果は、梅肉にクエン酸とリンゴ酸が含まれていることで、ナスニンをはじめとするアントシアニン類の色素の減色、変質を防止する。梅肉にジャムの製造に不可欠なペクチンを含有していること。
【0021】
ナスの果実(皮付き)を抽出液に浸漬して、ナスニンをはじめとするアントシアニン類を抽出することで、抽出済みのナスの果実(皮付き)を漬物、焼きナス等の加工に利用できる。規格外等で廃棄、見切り処分されているナスを100%有効利用できる。
【0022】
ナスニンの精製にも本発明の{請求項1}の抽出方法を適用する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の最良の形態を図1により具体的に説明する。美味しくて健康効果のあるナスニンをはじめとするアントシアニン類の色素を含有する食品は、シソ抽出液(7)にナス(1)の果皮(4)を浸漬して、ナスニンをはじめとするアントシアニン類の色素を抽出することを特徴とする抽出方法にある。新鮮なナス(1)を水洗いする前処理工程。を経て、果皮(4)を剥き取る皮剥き工程。剥き取りした果皮(4)を鮮度保持液に浸漬した後、果皮(4)の背面を薄く削り加工する。次に、果皮(4)のポリフェノールオキシダーゼ(酵素)を熱変成により2分間で破壊して活性を失わせるナス(1)の果皮(4)抽出前工程。
【0024】
液容器(6)を用いて、(−)イオン水に食用酸(レモン果汁)(2)5〜30重量%を加えた水溶液に食塩(自然海塩)(3)0.01〜0.8重量%を加え、pH2.5〜3.2の水溶液をつくる。新鮮なシソの葉(8)を水洗いと灰汁だしをする前処理工程を経て、シソの葉(8)10〜50重量%を液容器(6)内のpH2.5〜3.2の水溶液に浸漬し、70〜80℃を3〜10分間保持してシソの葉(8)を煮出し、赤紫色の液を抽出し、抽出済みのシソの葉(8)に残る液を液容器(6)内に絞りだして(絞り滓は廃棄する)抽出液を30℃に冷却、濾過してシソ抽出液(7)pH2.5〜3.2をつくる。
【0025】
抽出前工程を済ませた、ナス(1)の果皮(4)5〜50重量%を液容器(6)内のシソ抽出液(7)に浸漬して、温度30〜35℃を1時間20分保持し、濃い紫色のナスニンをはじめとするアントシアニン類の色素を、色素保持率90%以上で抽出する。
果皮(4)抽出滓を取り除き、抽出液をストレーナーで濾過して、シソの葉(8)の爽快な香りと深色効果で奇麗な色で、食用酸(レモン果汁)(2)による酸味のあるpH2.5〜4未満のナスニンをはじめとするアントシアニン類を含有した抽出液(9)をつくる。
【0026】
ナスニンをはじめとするアントシアニン類を含有した抽出液(9)をハチミツで甘味の調整と、殺菌処理をして、射光を防いだ容器に充填し、密封する製品工程。を経て、甘味と酸味があり、美味しくて健康効果のある、ナスニンをはじめとするアントシアニン類を含有するナスニン食品を製造する。抽出液はpHが4未満であるから、容器殺菌も規格基準に基づけば65℃で10分加熱又はこれと同等以上の効力を有する方法であればよい。シソの葉(8)、食用酸(レモン果汁)(2)及びハチミツの健康効果は知られている。
ナスの果肉(5)は食品加工にして利用する。
【0027】
ナス(1)の果皮(4)からナスニンをはじめとするアントシアニン類の色素の抽出は、シソの葉(8)と食用酸(2)と食塩(自然海塩)(3)の作用による。シソ抽出液(7)が色素を安定させて退色、変質を抑えるのは、シソの葉(8)に含まれている鉄の鉄イオンと食塩(自然海塩)(3)に含まれているマグネシュウムイオン、カリウムイオンがナスニンをはじめとするアントシアニン類と結合して安定なメタロアントシアニンを生成するためである。また、シソの葉(8)とナス(1)の果皮(4)の両アントシアニンのアントシアニジンが芳香環同士で疎水的相互作用による自己会合を起こし、ナスニンをはじめとするアントシアニン類の色素を一層安定させていると考えられる。ナス(1)の果皮(4)にもシソニンが含まれており、シソの葉(8)との相性もよい。シソ抽出液(7)の深色効果はシソの葉(8)に含まれるフラボン類やロズマリン酸などのコピグメント化合物との異分子間スタッキングによるコピメンテーションが関係している。
【0028】
シソの葉(8)はpH3.2の酸性であり、色素の抽出及び安定効果があり、深色効果、ハーブ効果、抗酸化効果、栄養が豊富で、爽快な香りのペリルアルデヒドを含んでおり、ナス独特の臭いを消して爽快な香りにする効果がある。ロズマリン酸、α−リノリン酸が含まれて、古くから健康効果は認められている。シソの葉(8)の量は1〜50重量%が好適で、1重量%以下では効果がない。50重量%以上でもよい。
シソ抽出液(7)の効果は、食用酸(2)を加えた水溶液にナス(1)の果皮(4)を浸漬して、抽出したナスニンをはじめとするアントシアニン類の色素にシソ抽出液(7)を混合しても効果がある。また、シソ抽出液(7)にナス(皮付き)(1)を浸漬して、ナスニンをはじめとするアントシアニン類の色素を抽出することもできる。
【0029】
食塩(3)はミネラル分の豊富な自然海塩(3)とする。食塩(自然海塩)(3)と食用酸(2)、シソの葉(8)の作用で、色素を抽出して安定させる。自然海塩(3)を飽和塩水にして使用すると0.01重量%、で効果がある。食塩(自然海塩)(3)の量は0.01〜0.8重量%が好適で、0.01重量%以下では効果が無い。0.8重量%以上は健康効果に適さない。
【実施例】
【実施例1】
【0030】
新鮮なナス500gを水洗いし、果皮90gを剥き取る。そして、果皮を鮮度保持液(3%トレハロース水溶液)に浸漬した後、果皮の背面を薄く削り加工して果皮38gをつくり、加工した果皮のポリフェノールオキシダ−ゼ(酵素)を蒸気の熱変成により2分間で破壊、活性を失わせる果皮の抽出前処理をする。容器を用いて(−)イオン水500ccに食用酸(レモン果汁)50cc、食塩(自然海塩)0.5gを加えた抽出液(pH2.8)に、抽出前処理をした果皮38gを浸漬して、約35℃を1時間10分保持、ナスニンをはじめとするアントシアニン類の色素を抽出した。脱色した果皮(抽出済み)を取り出し、抽出液を冷却しフィルターで濾過し、殺菌処理して、ハチミツを加えて食味の調整をして550cc(pH3.2)の飲料をつくり、射光を防いだ容器に充填し、密封する。ナスニンをはじめとするアントシアニン類を含有する、甘味と酸味のある美味しくて健康効果のある飲料を製造した。冷蔵庫に6ヶ月間保管し退色、変質していないことを確認した。
【実施例2】
【0031】
新鮮なシソの葉100gを水洗いして、灰汁だしをする。容器を用いて(−)イオン水1000ccにレモン果汁100ccを加えた水溶液(pH2.8)に食塩(自然海塩)0.05重量%を加え、pH2.8の水溶液をつくる。その水溶液に、シソの葉100gを浸漬し、約80℃を5分間保持して煮出し、赤紫色のシソ抽出液を抽出する。抽出済みのシソの葉残留液を容器内に絞り、滓を廃棄する。抽出液を30℃に冷却、濾過して、シソ抽出液1100cc(pH3.3)をつくる。新鮮なナス500gを水洗いし、果皮90gを剥き取る。そして、果皮を鮮度保持液(3%トレハロース水溶液)に浸漬した後、果皮の背面を薄く削り加工した果皮38gをつくり、加工した果皮のポリフェノールオキシダ−ゼ(酵素)を蒸気の熱変成により2分間で破壊、活性を失わせる果皮の抽出前処理をする。容器を用いて(−)イオン水500ccに食用酸(レモン果汁)50cc、食塩(自然海塩)0.5gを加えた抽出液(pH2.8)に、抽出前処理をした果皮38gを浸漬して、約35℃を1時間10分保持、ナスニンをはじめとするアントシアニン類の色素を抽出した。脱色した果皮抽出滓を取り除き、抽出液を10℃に冷却し、紫色の抽出液550ccをつくる。前記、シソ抽出液1100ccとナスニンをはじめとするアントシアニン類を含有した紫色の抽出液550ccを涅合して、フィルターで濾過し、殺菌処理して、ハチミツを加えて食味の調整をして1700cc(pH3.3)の飲料をつくり、射光を防いだ容器に充填し、密封する。ナスニンをはじめとするアントシアニン類を含有する、甘味と酸味の、美味しくて健康効果のある飲料を製造した。冷蔵庫に6ヶ月間保管し退色、変質していないことを確認した
【実施例3】
【0032】
新鮮なナス300gを水洗いし、果皮54gを剥き取る。そして、果皮を鮮度保持液(3%トレハロース水溶液)に浸漬した後、果皮の背面を薄く削り加工した果皮23gをつくり、加工した果皮のポリフェノールオキシダ−ゼ(酵素)を蒸気の熱変成により2分間で破壊、活性を失わる果皮の抽出前処理をする。容器を用いて(−)イオン水400ccに食用酸(乾燥梅肉)5g、食塩(自然海塩)2gを加えた抽出液(pH2.9)に、抽出前処理をした果皮23gを浸漬して、約35℃を1時間20分保持、食用酸(乾燥梅肉)と食塩(自然海塩)の作用でナスニンをはじめとするアントシアニン類の色素を抽出した。脱色した果皮抽出滓を取り除き、紫色の抽出液をフィルターで濾過し、殺菌処理、ハチミツを加えて食味の調整をして400cc(pH3)の飲料をつくり、射光を防いだ容器に充填し、密封する。ナスニンをはじめとするアントシアニン類を含有する、甘味と酸味の、美味しくて健康効果のある飲料を製造した。冷蔵庫に2ヶ月間保管し減色、変質していないことを確認した。
【実施例4】
【0033】
容器を用いて温水200ccに食用酸(梅肉粉末)2gと食塩(自然海塩)1gを加えた薄いピンク色の抽出液(pH3.6)に、ティーバックに入れたナスの果皮粉末2gを浸漬して、ナスニンをはじめとするアントシアニン類を1分以内に抽出させた。ティーバックを取り出して、紫色のナスニンをはじめとするアントシアニン類を含有する飲料をコップに入れて、温度15℃の場所に24時間置いて減色、変質していないことを確認した。逆に、容器の温水200ccにティーバッグに入れたナスの果皮粉末2gを浸漬して、ナスニンをはじめとするアントシアニン類を1分以内に抽出させた紫色の水溶液に、食用酸(梅肉粉末)2g、食塩(自然海塩)1gを浸漬すると瞬時に茶褐色に変色した。
故に食用酸と食塩を加えた抽出液にナスの果皮を浸漬して、ナスニンをはじめとするアントシアニン類を抽出することで色素が安定することを確認した。
【実施例5】
【0034】
新鮮なナス200gを水洗いしてから、ナスの果皮20gを剥き取る。そして、ナスの果皮をみじん切りにして溶解しやすくする。鍋を用いて(−)イオン水60ccに梅肉1個から種を抜いてペースト状にした梅肉20g、食塩1gを含有した梅肉水溶液をつくり、みじん切りにしたナスの果皮を浸漬して、砂糖40gを混ぜ合わせ、甘みを調節して加熱、中火で変色しない程度に、液状のナスの果皮かき混ぜながら煮る。弱火で10分間とろりと馴染ませてから射光を防いだ容器に詰めて、ナスニンをはじめとするアントシアニン類を含有するジャム類を製造した。射光を防いだ容器で冷蔵庫に1ヶ月間保管をして、ジャム類を取り出して、200ccのお湯に溶解して奇麗な紫色のジュースをつくり、8時間経過して減色、変質していないことを確認した。
【産業上の利用可能性】
【0035】
ナスの果皮に含まれているナスニンをはじめとするアントシアニン類の色素には抗酸化作用、抗ガン作用、血管新生抑制作用等のあることは近年証明されている。ナスニンを構成しているデルフェニジンは過酸化脂質の生成阻害がアントシアニン系の中では最も強い。ナスニンは消化管から吸収されるので生体内での活性作用が期待されることから研究が進むにつれて本発明の利用可能性は十分にある。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】は本発明の、ナスニンをはじめとするアントシアニン類を含む食品及びその製造方法の系統図である。
【符号の説明】
1)ナス 2)食用酸 3)食塩 4)果皮
5)ナスの果肉 6)液容器 7)シソ抽出液 8)シソの葉
9)ナスニンをはじめとするアントシアニン類を含有した抽出液

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナスの果皮背面を削り加工すると共に、果皮のポリフェノールオキシダ−ゼを熱変成により破壊し、活性を失わせから、果皮を温度5〜80℃の抽出液に浸漬して、ナスニンをはじめとするアントシアニン類の色素を抽出することを特徴とする抽出方法。
【請求項2】
食用酸と食塩を加えた水溶液にナスの果皮を浸漬して、ナスニンをはじめとするアントシアニン類の色素を抽出することを特徴とする抽出方法。
【請求項3】
シソ抽出液にナスの果皮を浸漬して、ナスニンをはじめとするアントシアニン類の色素を抽出することを特徴とする抽出方法。
【請求項4】
ナスニンをはじめとするアントシアニン類の色素に、シソ抽出液を混合することを特徴とする食品。
【請求項5】
梅肉抽出液にナスの果皮を浸漬して、ナスニンをはじめとするアントシアニン類の色素を抽出することを特徴とする抽出方法。
【請求項6】
ナスの果皮に含まれるナスニンをはじめとするアントシアニン類を含有することを特徴とするジャム類の製造方法。
【請求項7】
ナスニンをはじめとするアントシアニン類の色素にシソ抽出液を混合し、更にアルコール類を混合することを特徴とするアルコール飲料。

【図1】
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【公開番号】特開2007−191683(P2007−191683A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−256459(P2006−256459)
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【出願人】(596002206)
【Fターム(参考)】