説明

ナノコンポジットおよびその製造方法

【課題】ナノ粒子を分散媒体中に分散させたナノコンポジットであって、ナノ粒子の分散媒体中へ分散性が極めて優れ、ナノコンポジット中におけるナノ粒子の高濃度化が可能である、ナノコンポジットを提供すること。また、そのようなナノコンポジットを製造し得る方法を提供する。
【解決手段】ナノコンポジットは、ナノ粒子を分散媒体中に分散させたナノコンポジットであって、該ナノ粒子は粒径1nm〜1μmの粒子(A)の表面に厚み0.1〜10nmの表面改質層(B)を有し、該表面改質層(B)は該粒子(A)に対して60重量%以下の量である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ粒子を分散媒体中に分散させたナノコンポジットおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粒子が分散媒体中に分散した組成物の中で、粒子径がナノオーダー(数nm〜数百nm)であるようなナノ粒子が分散媒体中に分散した組成物はナノコンポジットと呼ばれている。ナノコンポジットは、光学材料、遮光材料、高強度材料、高耐熱性材料、難燃性材料、カラーフィルターなどに使用されている。
【0003】
ナノ粒子は、粒子サイズが非常に小さく、比表面積が大きい。このため、ナノ粒子の表面状態、例えば、表面の官能基や表面の吸着水などの存在が、ナノコンポジット化の際のナノ粒子の分散媒体中への分散状態に大きな影響を与える。そこで、ナノ粒子を分散媒体中に均一に分散させるために、ナノ粒子の表面状態を適切に制御する必要がある。
【0004】
ナノ粒子の表面を改質する方法がいくつか提案されている(例えば、特許文献1〜2参照)。しかし、これまでに提案されている方法で表面を改質したナノ粒子では、分散媒体中への均一で高濃度での分散性が十分でないという欠点があった。このため、例えば、得られたナノコンポジットをフィルム化した場合に透明性に劣るという問題や、ナノ粒子を高濃度で含むナノコンポジットを得ることが困難であるという問題が生じる。
【特許文献1】特表2003−512498号公報
【特許文献2】特開2004−194148号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、ナノ粒子を分散媒体中に分散させたナノコンポジットであって、ナノ粒子の分散媒体中へ分散性が極めて優れ、ナノコンポジット中におけるナノ粒子の高濃度化が可能である、ナノコンポジットを提供することにある。また、そのようなナノコンポジットを製造し得る方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、特定の粒径を有する粒子の表面に、該粒子に対して特定の割合以下の量の表面改質層を特定の厚みで有するナノ粒子を用いれば、ナノ粒子の分散媒体中へ分散性が極めて優れ、ナノコンポジット中におけるナノ粒子の高濃度化が可能である、ナノコンポジットが得られることを見出した。
【0007】
また、上記のようなナノコンポジットは、特定の粒径を有する粒子と表面改質剤と沸点30℃以上100℃未満の有機溶剤と沸点100℃以上200℃未満の有機溶剤の混合物の解砕混合処理を行う工程と、180℃以下で該沸点30℃以上100℃未満の有機溶剤(C)の脱溶剤処理を行う工程とを含む製造方法によって製造できることを見出した。
【0008】
本発明のナノコンポジットは、
ナノ粒子を分散媒体中に分散させたナノコンポジットであって、
該ナノ粒子は粒径1nm〜1μmの粒子(A)の表面に厚み0.1〜10nmの表面改質層(B)を有し、該表面改質層(B)は該粒子(A)に対して60重量%以下の量である。
【0009】
好ましい実施形態においては、上記粒子(A)は、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属窒素酸化物、金属硼化物、金属珪化物、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂から選ばれる少なくとも1種である。
【0010】
好ましい実施形態においては、上記表面改質層(B)は、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、メトキシ基を有する金属有機化合物、エトキシ基を有する金属有機化合物、有機樹脂から選ばれる少なくとも1種の表面改質剤から形成される。
【0011】
好ましい実施形態においては、上記分散媒体は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、有機溶剤から選ばれる少なくとも1種である。
【0012】
好ましい実施形態においては、上記表面改質層(B)を形成する表面改質剤と上記分散媒体との溶解度パラメーターSP値の差の絶対値が2以下である。
【0013】
本発明のナノコンポジットの製造方法は、
ナノ粒子を分散媒体中に分散させたナノコンポジットの製造方法であって、
該ナノ粒子は粒径1nm〜1μmの粒子(A)の表面に厚み0.1〜10nmの表面改質層(B)を有し、該表面改質層(B)は該粒子(A)に対して60重量%以下の量であり、
粒径1nm〜1μmの粒子(A)と表面改質剤と沸点30℃以上100℃未満の有機溶剤(C)と沸点100℃以上200℃未満の有機溶剤(D)を含む混合物の解砕混合処理を行う工程と、180℃以下で該有機溶剤(C)の脱溶剤処理を行う工程とを含む。
【0014】
好ましい実施形態においては、上記粒子(A)は、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属窒素酸化物、金属硼化物、金属珪化物、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂から選ばれる少なくとも1種である。
【0015】
好ましい実施形態においては、上記表面改質剤は、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、メトキシ基を有する金属有機化合物、エトキシ基を有する金属有機化合物、有機樹脂から選ばれる少なくとも1種である。
【0016】
好ましい実施形態においては、上記分散媒体は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、有機溶剤から選ばれる少なくとも1種である。
【0017】
好ましい実施形態においては、上記表面改質剤と上記分散媒体との溶解度パラメーターSP値の差の絶対値が2以下である。
【0018】
好ましい実施形態においては、上記解砕混合処理は、遊星ミル、ビーズミル、湿式ジェットミルから選ばれる少なくとも1種により行われる。
【0019】
好ましい実施形態においては、上記ナノ粒子中に上記有機溶剤(D)が0.1〜50重量%含まれる。
【0020】
好ましい実施形態においては、上記180℃以下で該有機溶剤(C)の脱溶剤処理を行う工程によって得られる粒子のFT−IRスペクトルが、該工程を行う前の粒子のFT−IRスペクトルと比べて、OH伸縮振動を示す3300cm−1の吸収ピーク強度が20%以上小さく、または、C−O−C伸縮振動を示す吸収ピーク波数が5〜20cm−1小さい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ナノ粒子を分散媒体中に分散させたナノコンポジットであって、ナノ粒子の分散媒体中へ分散性が極めて優れ、ナノコンポジット中におけるナノ粒子の高濃度化が可能である、ナノコンポジットを提供することができる。
本発明によれば、ナノ粒子と分散媒体の組合せの選択肢が拡がり、例えば、親水性のナノ粒子を非極性媒体中にも高濃度で分散したナノコンポジットを提供可能である。
また、そのようなナノコンポジットを製造し得る方法を提供することができる。本発明によれば、ナノ粒子を分散媒体中に十分に均一に分散させることができるので、非常に透明性の高いナノコンポジットや、ナノ粒子が高濃度で含まれるナノコンポジットを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
〔1.ナノ粒子〕
本発明におけるナノ粒子は、粒子(A)の表面に表面改質層(B)を有する。表面改質層(B)は、粒子(A)の表面に均一に層を形成していても良いし、不均一に層を形成していても良い。また、表面改質層(B)は、実質的に粒子(A)の表面全体を覆っていても良いし、粒子(A)の表面を部分的に覆っていても良い。
【0023】
粒子(A)の粒径は1nm〜1μmであり、好ましくは5nm〜500nmであり、より好ましくは10nm〜250nmであり、さらに好ましくは10nm〜150nmである。粒子(A)の粒径が1nmよりも小さいと、粒径が小さすぎるために、ナノコンポジット化の際、ナノ粒子の分散媒体中への分散状態に悪影響を与えるおそれがある。粒子(A)の粒径が1μmよりも大きいと、粒径が大きすぎるために、ナノコンポジットを形成できないおそれがある。
【0024】
粒子(A)としては、任意の適切な粒子を採用し得る。好ましくは、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属窒素酸化物、金属硼化物、金属珪化物、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂から選ばれる少なくとも1種である。本発明の効果をより一層に発揮させるために、より好ましくは、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化イットリウム、酸化亜鉛、酸化銀、チタン酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウムなどの金属酸化物である。粒子(A)は、1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0025】
表面改質層(B)の厚みは0.1〜10nmであり、好ましくは0.1〜8nm、さらに好ましくは0.1〜5nm、特に好ましくは0.2〜4nmである。表面改質層(B)の厚みが0.1nmよりも小さいと、表面改質の効果が発現できないおそれがある。表面改質層(B)の厚みが10nmよりも大きいと、ナノコンポジット化の際、ナノ粒子の分散媒体中への分散状態に悪影響を与えるおそれがある。なお、粒子(A)の粒径が100nm以下の場合には表面改質層(B)の厚みは0.1〜2nm以下がより好ましく、粒子(A)の粒径が100nmより大きい場合には表面改質層(B)の厚みは2〜10nmがより好ましい。
【0026】
表面改質層(B)は粒子(A)に対して60重量%以下の量であり、好ましくは1〜60重量%、より好ましくは2〜50重量%、さらに好ましくは2〜45重量%、特に好ましくは2〜30重量%である。表面改質層(B)の量が粒子(A)に対して60重量%よりも大きいと、ナノコンポジット化の際、ナノ粒子の分散媒体中への分散状態に悪影響を与えるおそれがある。
【0027】
表面改質層(B)は、任意の適切な表面改質剤から形成され得る。好ましくは、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、メトキシ基を有する金属有機化合物、エトキシ基を有する金属有機化合物、有機樹脂から選ばれる少なくとも1種の表面改質剤から形成される。表面改質層(B)は、1種の表面改質剤のみから形成されていても良いし、2種以上の表面改質剤から形成されていても良い。
【0028】
本発明におけるナノ粒子は、上記粒子(A)の表面に上記表面改質層(B)を有することにより、該ナノ粒子の分散媒体中へ分散性が極めて優れたものとなり、ナノコンポジットとしたときに、ナノコンポジット中におけるナノ粒子の高濃度化が可能となる。
【0029】
〔2.ナノコンポジット〕
本発明のナノコンポジットは、ナノ粒子を分散媒体中に分散させたものである。
【0030】
分散媒体としては、任意の適切な分散媒体を採用し得る。好ましくは、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、有機溶剤から選ばれる少なくとも1種である。本発明の効果をより一層に発揮させるために、より好ましくは、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂から選ばれる少なくとも1種である。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、極性ビニル樹脂、セルロース誘導体などが挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂、ポリウレタンなどが挙げられる。分散媒体は、1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0031】
本発明のナノコンポジット中におけるナノ粒子の含有割合は、好ましくは0.001〜80重量%、より好ましくは0.01〜70重量%、さらに好ましくは0.1〜60重量%、特に好ましくは0.5〜50重量%である。本発明のナノコンポジット中におけるナノ粒子の含有割合が0.001重量%より少ないと、ナノ粒子を配合したことによる効果が十分に発揮できないおそれがある。本発明のナノコンポジット中におけるナノ粒子の含有割合が80重量%より多いと、ナノコンポジットを形成することが困難となるおそれがある。
【0032】
本発明のナノコンポジットは、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な添加剤が含まれていても良い。添加剤としては、例えば、分散剤、着色剤、防腐剤、保湿剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、香料、分散媒体以外のポリマーなどが挙げられる。
【0033】
本発明のナノコンポジットは、表面改質層(B)を形成する表面改質剤と分散媒体との溶解度パラメーターSP値の差の絶対値が、好ましくは2以下であり、より好ましくは1.5以下であり、さらに好ましくは1.0以下である。表面改質層(B)を形成する表面改質剤と分散媒体との溶解度パラメーターSP値の差の絶対値が2以下であれば、表面改質された粒子の分散媒体への相溶性が向上し、最終的に得られるナノ粒子の分散媒体中へ分散性が極めて優れたものとすることが可能となる。ここで、SP値の単位は(cal/cm1/2である。
【0034】
本発明のナノコンポジットの形態は、任意の適切な形態が採用されうる。例えば、分散液の形態でも良いし、フィルムの形態でも良い。
【0035】
〔3.ナノコンポジットの製造方法〕
本発明のナノコンポジットの製造方法は、粒径1nm〜1μmの粒子(A)と表面改質剤と沸点30℃以上100℃未満の有機溶剤(C)と沸点100℃以上200℃未満の有機溶剤(D)を含む混合物の解砕混合処理を行う工程(「表面改質処理工程」と称する場合がある)を含む。
【0036】
表面改質処理工程において用いる粒子(A)としては、上記〔1.ナノ粒子〕の項目での説明が援用される。
【0037】
表面改質処理工程において用いる表面改質剤としては、任意の適切な表面改質剤を採用し得る。好ましくは、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、メトキシ基を有する金属有機化合物、エトキシ基を有する金属有機化合物、有機樹脂から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。表面改質剤は、1種のみを用いても良いし、2種以上を用いても良い。
【0038】
表面改質処理工程において用いる有機溶剤(C)としては、沸点30℃以上100℃未満の有機溶剤であれば、任意の適切な有機溶剤を採用し得る。具体的には、例えば、アセトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、メチルエチルケトンなどが挙げられる。
【0039】
表面改質処理工程において用いる有機溶剤(D)としては、沸点100℃以上200℃未満の有機溶剤であれば、任意の適切な有機溶剤を採用し得る。具体的には、例えば、トルエン、キシレン、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールメチルエーテルなどが挙げられる。
【0040】
表面改質処理工程においては、上記の粒子(A)、表面改質剤、有機溶剤(C)、および有機溶剤(D)を含む混合物の解砕混合処理を行う。該混合物には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な添加剤が含まれていても良い。
【0041】
表面改質処理工程における解砕混合処理は、任意の適切な方法を採用し得る。好ましくは、遊星ミル、ビーズミル、湿式ジェットミルから選ばれる少なくとも1種により行われる。
【0042】
表面改質処理工程により、粒子(A)の表面に表面改質層(B)が形成される。
【0043】
表面改質処理工程により、粒子(A)の表面には表面改質層(B)が形成されるとともに、有機溶剤(C)、有機溶剤(D)が残存し得る。
【0044】
表面改質処理工程が行われたことは、任意の適切な測定方法によって確認し得る。例えば、FT−IRスペクトルに有意差が生じることによって確認できる。
【0045】
本発明のナノコンポジットの製造方法は、180℃以下で有機溶剤(C)の脱溶剤処理を行う工程(「非水化処理工程」と称する場合がある)を含む。非水化処理工程における脱溶剤処理の方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。例えば、真空脱気が挙げられる。脱溶剤処理の温度は、好ましくは30〜180℃、より好ましくは50〜150℃、さらに好ましくは80〜150℃、特に好ましくは100〜150℃である。
【0046】
非水化処理工程によって有機溶剤(C)の脱溶剤処理を行うことで、有機溶剤(C)とともに、粒子(A)の表面に存在する吸着水や生成水(例えば、表面処理剤と粒子(A)表面の水酸基との脱水縮合によって生成した水)が除去され、粒子(A)の表面に官能基(例えば、水酸基)がある場合には該官能基も除去され得る。このような作用によって、表面改質層(B)と粒子(A)との結合が極めて強固なものとなる。さらに、非水化処理工程は180℃以下という比較的低温で行うので、表面改質された粒子(A)どうしの凝集を抑制できる。
【0047】
上記のような非水化処理工程によって、表面改質層(B)と粒子(A)との結合が極めて強固なナノ粒子が得られ得る。さらに、上記のような非水化処理工程によって、非水化処理工程前に粒子(A)表面に存在していた吸着水、生成水、官能基が除去され得る。したがって、ナノ粒子の分散媒体中へ分散性が極めて優れたものとなり、ナノコンポジットとしたときに、ナノコンポジット中におけるナノ粒子の高濃度化が可能となる。
【0048】
非水化処理工程によって得られるナノ粒子中には、有機溶剤(D)が、好ましくは0.1〜50重量%、より好ましくは0.1〜30重量%、さらに好ましくは0.1〜20重量%、特に好ましくは0.1〜10重量%含まれる。非水化処理工程によって得られるナノ粒子中に有機溶剤(D)が上記の範囲の量で含まれることにより、ナノ粒子の分散媒体中へ分散性が一層極めて優れたものとなり、ナノコンポジットとしたときに、ナノコンポジット中におけるナノ粒子の高濃度化が一層可能となる。
【0049】
非水化処理工程が行われたことは、任意の適切な測定方法によって確認し得る。例えば、FT−IRによりスペクトルに有意差が生じることによって確認できる。具体的には、例えば、非水化処理工程によって得られる粒子のFT−IRスペクトルが、該工程を行う前の粒子のFT−IRスペクトルと比べて、OH伸縮振動を示す3300cm−1の吸収ピーク強度が20%以上小さく、または、C−O−C伸縮振動を示す吸収ピーク波数が5〜20cm−1小さいことが観察され得る。
【0050】
本発明のナノコンポジットの製造方法においては、上記非水化処理工程を行った後、好ましくは、得られたナノ粒子を分散媒体に分散させる工程(「ナノ分散処理工程」と称する場合がある)を含む。
【0051】
ナノ分散処理工程においては、非水化処理工程によって得られたナノ粒子、分散媒体を含む混合物を分散処理する。該混合物には、任意の適切な添加剤が含まれていても良い。効率的な分散処理を行う等のために、該混合物に分散剤や分散溶媒が含まれていることが好ましい。
【0052】
ナノ分散処理工程において用いる分散媒体としては、上記〔2.ナノコンポジット〕の項目での説明が援用される。
【0053】
ナノ分散処理工程において用いる分散媒体と表面改質処理工程において用いる表面改質剤との溶解度パラメーターSP値の差の絶対値は、好ましくは2以下であり、より好ましくは1.5以下であり、さらに好ましくは1.0以下である。表面改質剤と分散媒体との溶解度パラメーターSP値の差の絶対値が2以下であれば、表面改質された粒子の分散媒体への相溶性が向上し、最終的に得られるナノ粒子の分散媒体中へ分散性が極めて優れたものとすることが可能となる。ここで、SP値の単位は(cal/cm1/2である。
【0054】
ナノ分散処理工程において用い得る分散溶媒としては、任意の適切な溶剤が採用され得る。例えば、上記〔3.ナノコンポジットの製造方法〕の項目で説明した有機溶剤(C)や有機溶剤(D)が挙げられる。
【0055】
ナノ分散処理工程における分散処理の方法としては、任意の適切な分散方法が採用され得る。例えば、ホモジナイザー、湿式ジェットミルなどを用いた分散処理が挙げられる。
【0056】
ナノ分散処理工程によって、好ましくは透明な、ナノ粒子の分散液が得られる。
【0057】
ナノ分散処理工程によって得られる上記分散液を、本発明にいうナノコンポジットとしても良いし、さらに脱溶剤処理を行う工程(「脱溶剤処理工程」と称する場合がある)を行ってから、本発明にいうナノコンポジットとしても良い。
【0058】
脱溶剤処理工程においては、好ましくは、ナノ分散処理工程において用いる分散溶媒や、ナノ分散処理工程によって得られる分散液(ナノコンポジット)中に残存し得る有機溶剤(D)が除去され得る。
【0059】
脱溶剤処理工程における脱溶剤処理の方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。例えば、ナノ分散処理工程によって得られる分散液(ナノコンポジット)を基板(例えば、ガラス基板)上にキャストし、キャスト膜から上記分散溶媒や有機溶剤(D)を除去する方法などが挙げられる。
【0060】
〔4.ナノコンポジットの用途〕
本発明のナノコンポジット、あるいは、本発明の製造方法で得られるナノコンポジットは、任意の適切な用途に用いられ得る。例えば、光学的用途、電気的用途、化学的用途、機械的用途、熱的用途などが挙げられる。
【0061】
光学的用途としては、例えば、屈折率調整材料、低反射材料、UV吸収材料、IR反射材料、光散乱材料、FPD用材料、有機光感光体、高機能顔料などが挙げられる。
【0062】
電気的用途としては、導電性材料、絶縁性材料(High−k、Low−k、High−Q)、イオン導電性材料、センサー・アクチュエータ、電池材料、電気的・磁気的機能材料などが挙げられる。
【0063】
化学的用途としては、印刷用材料、インク、触媒、医薬品、食品、生体活性材料、ナノカプセル化材料、バリア性材料などが挙げられる。
【0064】
機械的用途としては、高硬度化材料、高ヤング率化材料、高密着性材料、成膜性材料、耐摩擦摩耗性材料などが挙げられる。
【0065】
熱的用途としては、耐熱性材料、低熱膨張性材料、難燃性材料、熱伝導性材料などが挙げられる。
【実施例】
【0066】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例には限定されない。なお、特に示さない限り、実施例中の部およびパーセントは重量基準である。
【0067】
〔実施例1〕
(1)材料
a)ナノ粒子:日本アエロジル製「Aerosil200」(平均粒径12nm、BET200m/g)のSiOナノ粒子
b)分散媒体:日本ゼオン製「Zeonex480R」のシクロオレフィン樹脂(SP値8.3)
c)表面改質剤:味の素ファインテクノ製「KR TTS」(チタネートカップリング剤、密度0.95、SP値8.1)
d)分散溶媒:ナカライティスク製のシクロヘキサン(沸点80.7℃、SP値8.2)
e)有機溶剤(C)(沸点30℃以上100℃未満の有機溶剤):ナカライティスク製のシクロヘキサン(沸点80.7℃)
f)有機溶剤(D)(沸点100℃以上200℃未満の有機溶剤):ナカライティスク製のキシレン(沸点140℃、SP値8.8)
ここで、SP値の単位は(cal/cm1/2
【0068】
(2)表面改質処理工程
Aerosil200のSiOナノ粒子を2.01g、KR TTSのチタネートカップリング剤を1.02g、キシレンを1.07g、アセトンを17.2g、をガラス容器に入れ、日本精機製作所の超音波ホモジナイザーで1分間のホモジナイザー処理を3回行った。引き続き、ジーナス社製の湿式ジェットミルを用いて解砕混合処理を行った。チタネートカップリング剤の表面改質層の厚みは2.6nmであった。表面改質処理工程における粒子の状態変化の概略を図1に示す。
【0069】
(3)非水化処理工程
表面改質処理工程で得られた粒子を100℃〜120℃に加熱し、真空脱気することにより、粒子表面にあるOH基および吸着水を除去した。この非水化処理後、粒子に含有するキシレンは8重量%であった。非水化処理工程における粒子の状態変化の概略を図1に示す。
【0070】
(4)ナノ分散処理工程
非水化処理工程で得られたナノ粒子(SiO:62重量%、カップリング剤:31重量%、キシレン:8重量%)を1.07g、シクロオレフィンポリマーを1.23g、シクロヘキサンを23.6g、調合した。これを日本精機製作所の超音波ホモジナイザーで1分間、予備分散処理した。引き続き、ジーナス社製の湿式ジェットミルを用いて分散処理した。下記の組成を持つ、ナノ粒子の分散性が非常に優れた透明な分散液が得られた。
(分散液の組成)
SiO:2.5重量%
Zeonex480R:4.7重量%
カップリング剤:1.3重量%
シクロヘキサン:91.1重量%
キシレン:0.3重量%
【0071】
(5)脱溶剤処理工程
ナノ分散処理工程で得られた分散液をガラス基板上にキャスト後、シクロヘキサン雰囲気中にて、キャスト膜から徐々にシクロヘキサンを除去し、厚み150μmの透明なフィルムを作製した。得られたフィルムは、該フィルム中に約30重量%のSiO粒子を含有していても、白濁せずに透明であった。
(フィルムの組成)
SiO:29.8重量%
Zeonex480R:55.4重量%
カップリング剤:14.9重量%
【0072】
〔実施例2〕
(1)材料
a)ナノ粒子:日清製粉製「ZrO2−UFP」(平均粒径8nm、BET142m/g)のZrOナノ粒子
b)分散媒体:日本ゼオン製「Zeonex480R」のシクロオレフィン樹脂(SP値8.3)
c)表面改質剤:味の素ファインテクノ製「KR TTS」(チタネートカップリング剤、密度0.95、SP値8.1)
d)分散溶媒:ナカライティスク製のシクロヘキサン(沸点80.7℃、SP値8.2)
e)有機溶剤(C)(沸点30℃以上100℃未満の有機溶剤):ナカライティスク製のシクロヘキサン(沸点80.7℃)
f)有機溶剤(D)(沸点100℃以上200℃未満の有機溶剤):ナカライティスク製のキシレン(沸点140℃、SP値8.8)
ここで、SP値の単位は(cal/cm1/2
【0073】
(2)表面改質処理工程
ZrO2−UFPのZrOナノ粒子を2.21g、KR TTSのチタネートカップリング剤を1.03g、キシレンを1.1g、アセトンを17.9g、をガラス容器に入れ、日本精機製作所の超音波ホモジナイザーで1分間のホモジナイザー処理を3回行った。引き続き、ジーナス社製の湿式ジェットミルを用いて解砕混合処理を行った。チタネートカップリング剤の表面改質層の厚みは3.4nmであった。
【0074】
(3)非水化処理工程
表面改質処理工程で得られた粒子を100℃〜120℃に加熱し、真空脱気することにより、粒子表面にあるOH基および吸着水を除去した。この非水化処理後、粒子に含有するキシレンは0.4重量%であった。
【0075】
(4)ナノ分散処理工程
非水化処理工程で得られたナノ粒子(ZrO:68.0重量%、カップリング剤:31.6重量%、キシレン:0.4重量%)を1.5g、シクロオレフィンポリマーを1.26g、シクロヘキサンを23.7g、調合した。これを日本精機製作所の超音波ホモジナイザーで1分間、予備分散処理した。引き続き、ジーナス社製の湿式ジェットミルを用いて分散処理した。ナノ粒子の分散性が非常に優れた透明な分散液が得られた。
【0076】
〔実施例3〕
(1)材料
a)ナノ粒子:戸田工業製「BTO30」(平均粒径30nm、BET31m/g)のBaTiOナノ粒子
b)分散媒体:日本ゼオン製「Zeonex480R」のシクロオレフィン樹脂(SP値8.3)
c)表面改質剤:味の素ファインテクノ製「KR TTS」(チタネートカップリング剤、密度0.95、SP値8.1)
d)分散溶媒:ナカライティスク製のシクロヘキサン(沸点80.7℃、SP値8.2)
e)有機溶剤(C)(沸点30℃以上100℃未満の有機溶剤):ナカライティスク製のシクロヘキサン(沸点80.7℃)
f)有機溶剤(D)(沸点100℃以上200℃未満の有機溶剤):ナカライティスク製のキシレン(沸点140℃、SP値8.8)
ここで、SP値の単位は(cal/cm1/2
【0077】
(2)表面改質処理工程
BTO30のBaTiOナノ粒子を2.01g、KR TTSのチタネートカップリング剤を0.16g、キシレンを1.0g、アセトンを9.5g、をガラス容器に入れ、日本精機製作所の超音波ホモジナイザーで1分間のホモジナイザー処理を3回行った。引き続き、ジーナス社製の湿式ジェットミルを用いて解砕混合処理を行った。チタネートカップリング剤の表面改質層の厚みは2.7nmであった。
【0078】
(3)非水化処理工程
表面改質処理工程で得られた粒子を100℃〜120℃に加熱し、真空脱気することにより、粒子表面にあるOH基および吸着水を除去した。この非水化処理後、粒子に含有するキシレンは4重量%であった。
【0079】
(4)ナノ分散処理工程
非水化処理工程で得られたナノ粒子(BaTiO:89.0重量%、カップリング剤:7重量%、キシレン:4重量%)を1.0g、シクロオレフィンポリマーを1.22g、シクロヘキサンを23.8g、調合した。これを日本精機製作所の超音波ホモジナイザーで1分間、予備分散処理した。引き続き、ジーナス社製の湿式ジェットミルを用いて分散処理した。ナノ粒子の分散性が非常に優れた透明な分散液が得られた。
【0080】
〔実施例4〕
(1)材料
a)ナノ粒子:戸田工業製「BTO30」(平均粒径30nm、BET31m/g)のBaTiOナノ粒子
b)分散媒体:JER製「エピコート828」のビスフェノールAエポキシ樹脂(硬化剤ジシアンジアミドDICY7を5%添加したもの)(SP値10.6)
c)表面改質剤:JER製「エピコート828」のビスフェノールAエポキシ樹脂(密度1.2、SP値8.1)
d)分散溶媒:ナカライティスク製のアセトン(沸点56.1℃、SP値9.8)
e)有機溶剤(C)(沸点30℃以上100℃未満の有機溶剤):
ナカライティスク製のアセトン(沸点56.1℃、SP値9.8)
f)有機溶剤(D)(沸点100℃以上200℃未満の有機溶剤):ナカライティスク製のPGME(沸点120℃、SP値10.6)
ここで、SP値の単位は(cal/cm1/2
【0081】
(2)表面改質処理工程
BTO30のBaTiOナノ粒子を10g、エピコート828を0.31g、PGMEを1.02g、アセトンを12.6g、をガラス容器に入れ、フリチュジャパン社製の遊星ミルを用いて60分間、解砕混合処理を行った。ビスフェノールAエポキシ樹脂の表面改質層の厚みは0.2nmであった。
【0082】
(3)非水化処理工程
表面改質処理工程で得られた粒子を80℃に加熱し、真空脱気することにより、粒子表面にあるOH基および吸着水を除去した。この非水化処理後、粒子に含有するPGMEは8.85重量%であった。
【0083】
(4)ナノ分散処理工程
非水化処理工程で得られたナノ粒子(BaTiO:88.5重量%、ビスフェノールAエポキシ樹脂:2.65重量%、PGME:8.85重量%)を2.0g、エピコート828(硬化剤ジシアンジアミドDICY7を5%添加したもの)を2.0g、PGMEを10g、アセトンを20g、分散剤(第一工業製薬社製「A212C」)を0.14g、調合した。これを日本精機製作所の超音波ホモジナイザーで1分間、予備分散処理した。引き続き、ジーナス社製の湿式ジェットミルを用いて分散処理した。下記の組成を持つ、ナノ粒子の分散性が非常に優れた透明な分散液が得られた。
(分散液の組成)
BaTiO:5.2重量%
ビスフェノールAエポキシ樹脂:6.0重量%
PGME:29.8重量%
アセトン:58.6重量%
分散剤:0.4重量%
【0084】
(5)薄膜形成
シリコンウェーハーにPt電極を形成した基板に、非水化処理工程で得られた分散液を2000rpmの回転数でスピンコートした。100℃×10分で乾燥後、180℃×2分の加熱を行った。この処理をさらに2回繰り返した後、180℃×60分の熱硬化を行った。この時の膜厚みは0.5μmであった。さらに、3×4mmの穴が空いたメタルマスクを用いて、Auの真空蒸着をした。出来上がった誘電率測定用のデバイスをインピーダンス測定した。その結果、1kHzで比誘電率21の結果が得られた。
【0085】
〔実施例5〕
(1)材料
a)ナノ粒子:戸田工業製「BTO30」(平均粒径30nm、BET31m/g)のBaTiOナノ粒子
b)分散媒体:JER製「エピコート828」のビスフェノールAエポキシ樹脂(硬化剤ジシアンジアミドDICY7を5%添加したもの)(SP値10.6)
c)表面改質剤:JER製「エピコート828」のビスフェノールAエポキシ樹脂(密度1.2、SP値8.1)
d)分散溶媒:ナカライティスク製のアセトン(沸点56.1℃、SP値9.8)
e)有機溶剤(C)(沸点30℃以上100℃未満の有機溶剤):
ナカライティスク製のアセトン(沸点56.1℃、SP値9.8)
f)有機溶剤(D)(沸点100℃以上200℃未満の有機溶剤):ナカライティスク製のキシレン(沸点140℃、SP値8.8)
ここで、SP値の単位は(cal/cm1/2
【0086】
(2)表面改質処理工程
BTO30のBaTiOナノ粒子を2.5g、エピコート828を0.14g、キシレンを2g、アセトンを25g、をガラス容器に入れ、フリチュジャパン社製の遊星ミルを用いて60分間、解砕混合処理を行った。ビスフェノールAエポキシ樹脂の表面改質層の厚みは1.5nmであった。
【0087】
(3)非水化処理工程
表面改質処理工程で得られた粒子を50℃×60分間、または、120℃×10分間で、真空脱気することにより、粒子表面にあるOH基および吸着水を除去した。50℃×60分間の真空脱気により得られたナノ粒子をナノ粒子(5−1)、120℃×10分間の真空脱気により得られたナノ粒子をナノ粒子(5−2)とする。
【0088】
(4)FTIR測定
ナノ粒子(5−1)およびナノ粒子(5−2)のFT−IRを測定した。結果を図2に示す。
【0089】
〔比較例1〕
実施例5において表面改質処理工程を行わずに得られた粒子を50℃×60分間、真空脱気することにより、粒子表面にあるOH基および吸着水を除去した。得られたナノ粒子をナノ粒子(5−3)とする。
【0090】
(4)FTIR測定
ナノ粒子(5−3)のFT−IRを測定した。また、エピコート828およびBTO30のFT−IRを測定した。結果を図2に示す。
【0091】
〔FT−IRの評価〕
図2を見ると、非水化処理工程の温度が高くなるほど水に対応するピークが小さくなっていることが判る(3300〜3400cm−1付近)。また、ナノ粒子(5−2)とナノ粒子(5−3)のFT−IRスペクトルを比較すると、OH伸縮振動を示す3300cm−1の吸収ピーク強度が20%以上小さく、または、C−O−C伸縮振動を示す吸収ピーク波数が5〜20cm−1小さいことが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明のナノコンポジット、あるいは、本発明の製造方法で得られるナノコンポジットは、例えば、光学材料(高屈折率、透明性)、遮光材料(特定波長カット、高透明性)、高強度材料、高耐熱性材料、難燃性材料、カラーフィルターなどに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】表面改質処理工程および非水化処理工程における粒子の状態変化の概略図である。
【図2】ナノ粒子のFT−IRスペクトル図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ粒子を分散媒体中に分散させたナノコンポジットであって、
該ナノ粒子は粒径1nm〜1μmの粒子(A)の表面に厚み0.1〜10nmの表面改質層(B)を有し、該表面改質層(B)は該粒子(A)に対して60重量%以下の量である、
ナノコンポジット。
【請求項2】
前記粒子(A)は、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属窒素酸化物、金属硼化物、金属珪化物、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のナノコンポジット。
【請求項3】
前記表面改質層(B)は、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、メトキシ基を有する金属有機化合物、エトキシ基を有する金属有機化合物、有機樹脂から選ばれる少なくとも1種の表面改質剤から形成される、請求項1または2に記載のナノコンポジット。
【請求項4】
前記分散媒体は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、有機溶剤から選ばれる少なくとも1種である、請求項1から3までのいずれかに記載のナノコンポジット。
【請求項5】
前記表面改質層(B)を形成する表面改質剤と前記分散媒体との溶解度パラメーターSP値の差の絶対値が2以下である、請求項1から4までのいずれかに記載のナノコンポジット。
【請求項6】
ナノ粒子を分散媒体中に分散させたナノコンポジットの製造方法であって、
該ナノ粒子は粒径1nm〜1μmの粒子(A)の表面に厚み0.1〜10nmの表面改質層(B)を有し、該表面改質層(B)は該粒子(A)に対して60重量%以下の量であり、
粒径1nm〜1μmの粒子(A)と表面改質剤と沸点30℃以上100℃未満の有機溶剤(C)と沸点100℃以上200℃未満の有機溶剤(D)を含む混合物の解砕混合処理を行う工程と、180℃以下で該有機溶剤(C)の脱溶剤処理を行う工程とを含む、
ナノコンポジットの製造方法。
【請求項7】
前記粒子(A)は、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属窒素酸化物、金属硼化物、金属珪化物、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂から選ばれる少なくとも1種である、請求項6に記載のナノコンポジットの製造方法。
【請求項8】
前記表面改質剤は、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤、メトキシ基を有する金属有機化合物、エトキシ基を有する金属有機化合物、有機樹脂から選ばれる少なくとも1種である、請求項6または7に記載のナノコンポジットの製造方法。
【請求項9】
前記分散媒体は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、有機溶剤から選ばれる少なくとも1種である、請求項6から8までのいずれかに記載のナノコンポジットの製造方法。
【請求項10】
前記表面改質剤と前記分散媒体との溶解度パラメーターSP値の差の絶対値が2以下である、請求項6から9までのいずれかに記載のナノコンポジットの製造方法。
【請求項11】
前記解砕混合処理は、遊星ミル、ビーズミル、湿式ジェットミルから選ばれる少なくとも1種により行われる、請求項6から10までのいずれかに記載のナノコンポジットの製造方法。
【請求項12】
前記ナノ粒子中に前記有機溶剤(D)が0.1〜50重量%含まれる、請求項6から11までのいずれかに記載のナノコンポジットの製造方法。
【請求項13】
前記180℃以下で該有機溶剤(C)の脱溶剤処理を行う工程によって得られる粒子のFT−IRスペクトルが、該工程を行う前の粒子のFT−IRスペクトルと比べて、OH伸縮振動を示す3300cm−1の吸収ピーク強度が20%以上小さく、または、C−O−C伸縮振動を示す吸収ピーク波数が5〜20cm−1小さい、請求項6から12までのいずれかに記載のナノコンポジットの製造方法。


【図2】
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【図1】
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【公開番号】特開2008−56873(P2008−56873A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−238746(P2006−238746)
【出願日】平成18年9月4日(2006.9.4)
【出願人】(591167430)株式会社KRI (211)
【Fターム(参考)】