説明

ナノテクノロジーによる無電源表示スクリーンの作製方法

本発明は一種ナノ複合材料及び作製方法とその作製プロセスで作製できた無電源表示スクリーンに関する。このナノ複合材料は主体材料と添加剤を含む。主体材料はメタクリル酸メチル、スチレン、ポリスチレン、添加剤は増光剤、プラスチック性可塑剤、増色剤、誘発剤及び型抜き剤、製造過程は主体材料を混合し重合反応をさせ割合に基づいてプラスチック性増加剤、誘発剤及び型抜き剤を加え、その後真空引きあるいは超音波排気して、増光剤、増色剤を加え再び排気した後に重合反応をさせ型を抜いて試料を取り出す。
本発明で作製したスクリーンはイメージ色が明るく透明性が高く視角は180°に達し、高輝度、高色再現性、高コントラスト、視角が大きく光の均一性は良く、曲げることができ、軽く、切断でき、寸法が極端に大きい後方投影プロジェクタスクリーンを作製でき、各種表示スクリーンへ応用でき、イメージの不連続の欠点がなくコストが低く応用範囲が広い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナノ複合材料及び作製方法とその作製プロセスで作製できた無電源表示スクリーンに関する特許である。この表示スクリーンはプロジェクターテレビや大型工程スクリーンなどへの応用ができる。
【背景技術】
【0002】
表示機及び表示スクリーンの大型化に伴い、表示スクリーンの特性の要求も厳しくなった。特許出願番号z101115478.0であり、名称が「高輝度視角が自由にできるナノ光材料の作製方法」の特許及び特許公開番号がCN126987Cであり、名称が「高輝度視角が自由できるナノ材料スクリーンの作製方法」の特許において、ナノ材料プロジェクタースクリーンの作製方法について、説明した。
【特許文献1】CN126987C
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、欠点は、作られたスクリーンに見られるスポットである。これは「光スポット効果」と呼ばれ、すなわち、スクリーンの中心に輝度が高く、明るい領域が存在し、この領域は「光スポット」と呼ばれる。光スポットは観察角度によって、変化する。したがって、スクリーンの明るさの均一性が低下になり、光の視角が小さくなったため、フェミリ鏡を使用しないと高性能表示スクリーンへの応用に満足できない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1.ナノ複合材料の提供。
2.ナノ複合材料の作製方法の提供。
3.ナノ複合材料から作製された無電源表示スクリーンの提供。
本発明の実施方法はナノ複合材料と関連する。その組成は下記に表れる。
(a)主体材料及び組成の重量比:
メタクリル酸メチル:10〜100%
スチレン:0〜90%
ポリスチレン:0〜10%
(b)増光剤及び組成の重量比:
SiO:0.01〜6%
TiO:0.1〜5%
Al:0〜6%
上記の三種類材料は其の一種あるいは混合して、使用すること。
(c)プラスチック性増加剤は主体材料の重量比の25〜45%である。
(d)増色剤は主体材料の重量比の0.01〜0.5%である。
(e)誘発剤は主体材料の重量比の0.01〜2%である。
(f)型抜き剤は主体材料の重量比の0.5〜2%である。
其の中、プラスチック性増加剤はフタル酸ジブチルあるいはメタクリル酸であり、あるいは、両種類の混合物を使用すること。
上記の増色剤はカーボンナノチューブ、結晶カーボン及び触媒の一つとしてそれらの混合物を使用すること。
上記の誘発剤は過酸化ベンゾイルである。
上記型抜き剤はステアリン酸である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本発明の実施方法は、上記のナノ複合材料の作製方法と関連がある。この作製方法は以下のプロセスを含む。
(1)主体材料を混合する。70〜90°Cの温度下で重合反応をさせる。要求される重量比のプラスチック性増加剤と誘発剤を加え、40°C以下まで、冷却する。また、要求される重量比の型抜き剤を加え、真空引きあるいは超音波排気を20〜50分行う。
(2)要求される重量比の増光剤と増色剤を上記の主体材料に加え、超音波によって、均一に混合した後に金型に入れ、30〜50°Cの水槽において、排気する。
(3)金型を60〜105°Cまで加熱し、2〜10時間に重合反応をさせる。
【0006】
本発明の本発明のもうひとつ実施方法は、上記のナノ複合材料から作製された無電源表示スクリーンに関連する。
本発明において、メタクリル酸メチルとスチレンの重合体を使い、ナノスケールの無機粒子と均一に混合させた後に、重合反応により、高輝度・高コントラスト・高均一性の大型テレビ及び工程用スクリーンを作製する。また、必要に応じて、厚さの0.5〜10ミリあるいはさらに厚いものの作製ができる。150インチのスクリーンが作製できた。また、つづり合わせがなく、任意の大きさの寸法のスクリーンの作製もできる。フェミリ鏡を使用しなくでもスクリーンの使用ができる。スクリーンにおいて、光の均一性が80%以上に達している。輝度は10以内の任意値になっている。可視角は160°〜180°である。観察角度からの影響がない。垂直方向になっても明るさはまだ非常に均一である。スクリーン材料の屈折率が大幅に向上させられ、1.496〜1.58の間に変化する。
【0007】
本方法で作られた表示スクリーンは色が明るい、透明性が高く、視角は180°な大きい物に達している。また、高輝度、高色再現性、高コントラスト、視角が大きく、光の均一性は良く、斑(むら)を消すことができる。曲げることができ、軽く、切断ができ、寸法が極端に大きい後方投影プロジェクタースクリーンの作製ができる。各種表示スクリーン(例えば、液晶プロジェクター、LCOSプロジェクター)への応用ができる。360°の範囲でイメージが見られ、超大きいサイズの工程スクリーンの作製もできる。また、イメージの不連続の欠点がなく、コストが低く、応用範囲が広い。大型高解像度テレビ(HDTV)に適用する。特にスクリーンの寸法は50インチより大きい場合には特性/値段比が高い。高解像度プロジェクター及び映写機(例えば、EVD)と一緒に使用するとスクリーンに細かくイメージが現れ、近くに見てもスクリーンに明るいスポットはない。イメージが安定し、ホームシアター用大きいスクリーンに対して、近くに見ても違和感がなく、小さい部屋での使用にも適切である。さらにコストが低いため、一般家庭の購入も可能になる。家での使用、音楽ホール、会議ホール、マーケット、空港、展示館、レストラン、広告板、教育機関(教室等)、中央制御室用スクリーン、大きい寸法大型監視機及び指揮ホールなどへの応用ができる。
【実施例1】
【0008】
主体材料であるメタクリル酸メチルは97.5重量%とスチレンは2.5重量%の重合液を70°Cにおいて、21時間に重合反応をさせる。プラスチック性増加剤であるフタル酸ジブチル(主体材料の25重量%)とメタクリル酸(主体材料の2重量%)と誘発剤である過酸化ベンゾイル(主体材料の2.0重量%)と型抜き剤であるステアリン酸(主体材料の2重量%)を加え、超音波排気を20分間に行い、増光剤であるナノ粒子と非極性粒子SiO(主体材料の0.01重量%)及びTiO(主体材料の0.3重量%)と増色剤であるカーボンナノチューブ(主体材料の0.2重量%)を加え、超音波によって混合し、100°Cにおいて、3時間に重合反応をさせる。型抜いた後に厚さが1〜5ミリの板材が得られる。透過率は92%であり、可視角は30°より大きい。
【実施例2】
【0009】
主体材料であるメタクリル酸メチルは50重量%とスチレンは50重量%の重合液を70°Cにおいて、25時間に重合反応をさせる。プラスチック性増加剤であるフタル酸ジブチル(主体材料の30重量%)と誘発剤である過酸化ベンゾイル(主体材料の1重量%)と型抜き剤であるステアリン酸(主体材料の0.5重量%)を加え、超音波排気を行い、増光剤であるナノ粒子SiO(主体材料の0.9重量%)、Al(主体材料の3重量%)及びTiO(主体材料の0.9重量%)と増色剤であるカーボンナノチューブ(主体材料の0.5重量%)を加え、超音波によって混合し、85°Cにおいて、4時間に重合反応をさせる。型抜いた後に板材が得られる。透過率は81%であり、可視角は100°より大きい。
【実施例3】
【0010】
主体材料であるメタクリル酸メチルは30重量%とスチレンは70重量%の重合液を90°Cにおいて、25時間に重合反応をさせる。プラスチック性増加剤であるフタル酸ジブチル(主体材料の35重量%)と誘発剤である過酸化ベンゾイル(主体材料の0.05重量%)と型抜き剤であるステアリン酸(主体材料の1重量%)を加え、超音波排気を20分間に行い、増光剤であるナノ粒子SiO(主体材料の1.7重量%)、Al(主体材料の5重量%)及びTiO(主体材料の2.0重量%)と増色剤である結晶カーボン(主体材料の0.5重量%)を加え、超音波によって20分間に混合し、金型に入れ、100°Cにおいて、6時間に重合反応をさせる。冷却して型抜いた後に板材が得られる。透過率は90%であり、可視角は120°より大きい。
【実施例4】
【0011】
主体材料であるメタクリル酸メチルは40重量%とスチレンは60重量%の溶液を80°Cにおいて、30時間に重合反応をさせる。プラスチック性増加剤であるフタル酸ジブチル(主体材料の35重量%)と誘発剤である過酸化ベンゾイル(主体材料の0.01重量%)と型抜き剤であるステアリン酸(主体材料の1.5重量%)と増光剤であるナノ粒子SiO(主体材料の1.5重量%)、Al(主体材料の0.1重量%)及びTiO(主体材料の5重量%)と増色剤である色母(主体材料の0.1重量%)を加え、超音波によって50分間に混合し、金型に入れ、105°Cにおいて、10時間に重合反応をさせる。冷却して型抜いた後に板材が得られる。透過率は90%であり、可視角は140°より大きい。
【実施例5】
【0012】
主体材料である90重量%のメタクリル酸メチルを90°Cまで加熱し、10重量%のポリスチレンを加え、予備に重合反応をさせた後に、プラスチック性増加剤であるフタル酸ジブチル(主体材料の38重量%)と誘発剤である過酸化ベンゾイル(主体材料の0.05重量%)と型抜き剤であるステアリン酸(主体材料の2.0重量%)と増光剤であるナノ粒子SiO(主体材料の0.5重量%)、Al(主体材料の0.3重量%)及びTiO(主体材料の1.7重量%)を加え、超音波によって50分間に混合し、金型に入れ、100°Cにおいて、5時間に重合反応をさせる。冷却して型抜いた後に板材が得られる。透過率は90%であり、可視角は160°より大きい。均一性が85%より大きい。
【実施例6】
【0013】
主体材料であるメタクリル酸メチルは40重量%とスチレンは57重量%の重合液を90°Cまで加熱し、3重量%のポリスチレンを加え、90°Cにおいて、30時間に重合反応をさせる。超音波排気を20分間に行った後に、プラスチック性増加剤であるフタル酸ジブチル(主体材料の35重量%)と誘発剤である過酸化ベンゾイル(主体材料の0.01重量%)と型抜き剤であるステアリン酸(主体材料の1.5重量%)を加え、増光剤であるナノ粒子SiO(主体材料の4重量%)、Al(主体材料の0.1重量%)及びTiO(主体材料の5重量%)を加え、超音波によって50分間に混合し、金型に入れ、105°Cにおいて、4時間に重合反応をさせる。冷却して型抜いた後に板材が得られる。透過率は94%であり、可視角は180°より大きい。均一性が85%より大きい。イメージ色が明るく、表面硬度が高い。100インチのスクリーンを作ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一種ナノ複合材料であって、下記の組成を有する。
(a)主体材料及び組成の重量比:
メタクリル酸メチル:10〜100%
スチレン:0〜90%
ポリスチレン:0〜10%
(b) 増光剤及び組成の重量比:
SiO:0.01〜6%
TiO:0.1〜5%
Al:0〜6%
上記の三種類材料は其の一種あるいは混合して、使用すること。
(c)プラスチック性増加剤は主体材料の重量比の25〜45%である。
(d)増色剤は主体材料の重量比の0.01〜0.5%である。
(e)誘発剤は主体材料の重量比の0.01〜2%である。
(f)型抜き剤は主体材料の重量比の0.5〜2%である。
【請求項2】
請求項1記載のナノ複合材料において、プラスチック性増加剤はフタル酸ジブチル、あるいは、メタクリル酸であり、あるいは、両種類の混合物を使用すること。
【請求項3】
請求項1記載のナノ複合材料において、増色剤はカーボンナノチューブ、結晶カーボン及び触媒の一つとしてそれらの混合物を使用すること。
【請求項4】
請求項1記載のナノ複合材料において、誘発剤は過酸化ベンゾイルである。
【請求項5】
請求項1記載のナノ複合材料において、型抜き剤はステアリン酸である。
【請求項6】
請求項1〜5記載のナノ複合材料の作製方法であって、以下のプロセスを含む。
(1)主体材料を混合する。70〜90°Cの温度下で重合反応をさせる。要求される重量比のプラスチック性増加剤と誘発剤を加え、40°C以下まで冷却する。また、要求される重量比の型抜き剤を加え、真空引きあるいは超音波排気を20〜50分に行う。
(2)要求される重量比の増光剤と増色剤を上記の主体材料に加え、超音波によって、均一に混合した後に金型に入れ、30〜50°Cの水槽において、排気する。
(3)金型を60〜105°Cまで加熱し、2〜10時間に重合反応をさせる。
【請求項7】
請求項1〜5に記載のナノ複合材料から作製された無電源表示スクリーン。

【公表番号】特表2008−542454(P2008−542454A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512678(P2008−512678)
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【国際出願番号】PCT/CN2006/001119
【国際公開番号】WO2006/125400
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(507387929)
【Fターム(参考)】