説明

ナノファイバーウェブにおける微粒子

本発明は、微粒子を含む不織布ウェブを形成する方法に関する。この不織布ウェブを形成する方法は、一般に、溶融フィブリル化プロセスから繊維を形成し、微粒子を含有する少なくとも1つの流体流を形成し、前記繊維を前記微粒子と混合して繊維−微粒子混合物を形成し、この混合物を表面上に堆積させてウェブを形成する工程を含む。不織布ウェブは、ウェブ中に微粒子を捕捉している。不織布ウェブは、1ミクロン未満の直径を有する相当数のナノファイバーを有する層を含んでいてもよい。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不織布ウェブを含む物品に関する。より詳細には、本発明は、微粒子を含有するナノファイバーウェブに関する。
【背景技術】
【0002】
ナノファイバーを含有する不織布から製造される物品の必要性が増し続けている。また、不織布ウェブを含む物品における追加の機能的な微粒子の必要性も増し続けている。ナノファイバーウェブは、その大きい表面積、小さい孔径、及び他の特性のために所望されている。ナノファイバーはまた、一般にはマイクロ繊維又は極細繊維と呼ばれ、典型的には、1000ナノメートル又は1ミクロン未満の範囲の直径を有する。ナノファイバーは、様々な方法によって、様々な材料から製造することができる。
【0003】
不織布ウェブ内に微粒子を分散することに関する危険性は、取り扱い又は使用中に微粒子が落ちることである。ウェブ内での微粒子の保持は、更に微細な繊維により改善される。故に、微粒子を含有させるべく、不織布ウェブにおいてナノファイバーを使用することが望ましい。ナノファイバー不織布ウェブを作成するために幾つかの方法が用いられてきたが、それらの方法の各々には欠点があり、費用効率的なナノファイバーを製造することは困難であった。故に、機能的な微粒子を有するか、又は有さないナノファイバーを含有する衛生物品及び他の使い捨て消費者製品は市場に出ていない。
【0004】
ナノファイバーを製造する方法としては、メルトブロー、溶融フィルムフィブリル化、フィルムフィブリル化、電気紡糸、及び溶液紡糸が挙げられる。ナノファイバーを製造する他の方法としては、より大きな直径を有する2成分繊維を、海島型、セグメント化パイ又は他の配置に紡糸するものが挙げられ、ここでこの繊維を更に加工し、ナノファイバーを得る。
【0005】
メルトブローは、かかる繊維及び追加の微粒子を含有する微細繊維及びウェブを製造する通常使用されている方法である。後者は、一般に「コフォーム」と呼ばれる。微粒子を微細繊維とコフォームする例は、キンバリー−クラーク社(Kimberly-Clark Corp.)に譲渡された米国特許第4,100,324号、同第4,784,892号及び同第4,818,464号に見られる。典型的なメルトブロー繊維の直径は、上述の方法で使用されるように、例えば、1.5〜10ミクロンの範囲である。微粒子は繊維によって機械的に捕捉されて保持されているが、取り扱い中の微粒子の損失を防止するために微粒子の大きさが制限される。故に、不織布ウェブにおいて微細な微粒子を効果的に含有するナノファイバーを使用することが望ましい。
【0006】
メルトブローは、ナノファイバーなどの、より小さい直径を有する繊維を作成するために使用することができるが、そのプロセスに多大な変更を加えなければならない。一般に、再設計されたノズル及びダイが必要となる。これらの例は、米国特許第5,679,379号及び同第6,114,017号(ファブリカンテ(Fabbricante)ら、米国特許第5,260,003号及び同第5,114,631号(ネイセン(Nyssen)ら)及び米国特許出願番号2002/0117782(ヘインズ(Haynes)ら)が挙げられる。これらの方法は、比較的高い圧力、温度、及び速度を利用して、小さい繊維直径を達成する。上述の方法は、ナノファイバーと、微粒子とを有するウェブを作成するためには使用されていない。
【0007】
微細繊維ウェブから微粒子の損失を最小限に抑えるための試みがなされてきた。1つのかかる方法の例は、キンバリー−クラーク・ワールドワイド(Kimberly-Clark Worldwide)に譲渡された米国特許第6,494,974号(リデル(Riddell))が挙げられる。微粒子の損失の減少は、メルトブロー繊維の温度に近い温度まで微粒子を加熱し、次いで加熱した微粒子流をメルトブロー繊維上に衝突させ、それにより微粒子が繊維の表面を貫通して埋め込まれることによって達成される。かかる方法の欠点は、微粒子が熱安定性でなければならず、これら微粒子を加熱する余分なエネルギーが必要とされることである。
【0008】
不織布ウェブに微粒子を配合する他の方法は、エアレイイング及びスパンボンディングである。これらの方法は、比較的大きな直径、典型的には10ミクロンよりも大きい繊維直径を有する繊維を利用して不織布ウェブを作成する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、ナノファイバーと、微粒子とを含有するウェブを提供することである。また、本発明の目的は、微粒子を含有する低費用のナノファイバーウェブを製造することである。また、本発明の目的は、溶融フィルムフィブリル化により、微粒子及び繊維を含むウェブを形成する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、微粒子を含む不織布ウェブを形成する方法に関する。この不織布ウェブを形成する方法は、一般に、溶融フィブリル化プロセスから繊維を形成し、微粒子を含有する少なくとも1つの流体流を形成し、前記繊維を前記微粒子と混合して繊維−微粒子混合物を形成し、この混合物を表面上に堆積させてウェブを形成する工程を含む。典型的には、繊維は躍動中に微粒子と接触する。好ましくは、繊維を形成するための溶融フィブリル化プロセスは溶融フィルムフィブリル化プロセスである。溶融フィルムフィブリル化プロセスは、一般に、ポリマー溶融物を提供し、中央の流体流を利用して細長い中空のポリマーフィルムチューブを形成し、空気を用いてその中空のチューブから多数のナノファイバーを形成する工程を含む。
【0011】
不織布ウェブは、ウェブ中に微粒子を捕捉している。不織布ウェブは、1ミクロン未満の直径を有する相当数のナノファイバーを有する層を含んでいてもよい。層は、繊維直径分布の2以上の多数部(pluralities)を含んでもよく、この場合少なくとも1つの多数部は、約1ミクロン未満の平均繊維直径を有する。
【0012】
微粒子は、ウェブ内に含有される任意の物質であり得る。一般的な微粒子は、予成形された繊維、顆粒、粉末、パウダー、球体、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される。微粒子は、典型的には、約0.1ミクロン〜約5ミリメートル、好ましくは約1ミクロン〜約1000ミクロン、及びより好ましくは約5〜約100ミクロンの直径を有する。好ましい微粒子は、パルプを含む予成形された繊維である。別の好ましい微粒子は、吸収性ゲル材料である。パルプ及び吸収性ゲル材料はいずれも、吸収性ウェブを作成するのに望ましい微粒子である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、繊維から製造された物品に関する。繊維は、1以上の熱可塑性ポリマーから製造される。本発明に好適な熱可塑性ポリマーの非限定例としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリウレタン、生分解性ポリマー、例えばデンプン組成物、PHA、PLA及びこれらの組み合わせが挙げられる。ホモポリマー、コポリマー、及びそれらのブレンドは、本明細書の範囲内に含まれる。最も好ましいポリマーは、ポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリエチレン、ナイロン、及びポリエチレンテレフタレートである。
【0014】
好適な熱可塑性ポリマーとしては、溶融紡糸に好適ないずれかのポリマーが挙げられる。ポリマーのレオロジー的特性は、ポリマーがフィルムを形成することができるようなものでなければならない。ポリマーの融解温度は、一般に約25℃〜400℃である。本発明のポリマーは、それらがダイ内に存在する時、毎分約400デシグラム未満のメルトフローレートを有し得る。メルトフローレートは、ASTM法D−1238を用いて測定される。好ましくは、メルトフローレートは毎分約300デシグラム未満、より好ましくは毎分約200デシグラム未満、最も好ましくは毎分約100デシグラム未満であってもよい。メルトフローレートに関して最も好ましい範囲は、毎分約1デシグラム〜毎分約100デシグラムである。一般に、メルトフローレートが低くなるにつれて、より好ましくなる。故に、毎分約50デシグラム未満及び毎分約30デシグラム未満のメルトフローレートを有するポリマーも利用される。
【0015】
所望により、繊維に他の特性を提供するためにポリマーが追加の物質を含有していてもよい。これら任意の物質は、典型的には、溶融ポリマーに添加され、溶融フィブリル化形成繊維と混合される粒子ではない。これら任意の物質は、とりわけ弾性、強度、熱及び/又は化学的安定性、外観、吸収性、臭気吸収性、表面特性、及び印刷性のような、得られた繊維の物理的特性を変更できる。好適な親水性溶融添加剤を添加してもよい。任意物質は、ポリマー組成物全体の50%までで存在できる。
【0016】
繊維は、単繊維又は2成分繊維のような多成分繊維であってもよい。繊維は、鞘−芯もしくは並列配置、又はその他の好適な幾何学的配置を有してもよい。繊維を製造した後、繊維をウェブに形成する前に処理又はコーティングしてもよい。さらに、ウェブを製造した後、ウェブを処理してもよい。所望により、添加剤をポリマー樹脂に混合してもよく、これらの添加剤を繊維が形成された後に繊維表面に移動させてもよい。表面に移動した添加剤は、熱のような外部エネルギーを利用して硬化させなければならない場合があり、又は表面上の添加剤は、別の構成成分と化学的に反応させなければならない場合があり、又は繊維が製造される間もしくは添加剤と共に樹脂を使用して繊維を製造した後に追加の構成成分をプロセスに添加できるように、硬化は、別の構成成分の存在下で触媒作用を及ぼされなければならない場合がある。好適な処理としては、親水性又は疎水性処理が挙げられる。疎水性処理の例は、ポリジメチルシロキサンである。特定の処理は、ウェブの用途、ポリマーの種類、及びその他の要因に左右される。
【0017】
微粒子は、繊維と混合され、好ましくは溶融フィブリル化プロセスによって形成される。微粒子は、ウェブ内に含有されることができる任意の物質であり得る。微粒子又は微粒子の構成成分が利用されてもよい。微粒子は、予成形された繊維、顆粒、粉末、パウダー、球体、及びこれらの組み合わせから成る群から選択され得る。好適な微粒子の例は、キンバリー−クラーク・ワールドワイド社(Kimberly-Clark Worldwide,Inc.)に譲渡された米国特許第6,494,974号(リデル(Riddell))にも見ることができる。
【0018】
本明細書で使用する時、予成形された繊維という用語は、微粒子、即ち繊維について記載される時にいつでも使用される。繊維という用語は、それ自体では、予成形された繊維を意味しない。予成形された繊維は、木材パルプ、セルロース、バイオプロテインのような天然物質、レーヨン、リオセル、デンプン、ポリエステル、ポリオレフィン及びポリアミドのような非熱可塑性又は熱可塑性ポリマーから構成されてもよい。好ましい微粒子は、パルプ又は別の天然物質を含む予成形された繊維である。他の好ましい微粒子は、重炭酸ナトリウム、活性炭、炭酸カルシウム、カプセル化融和物(accords)又は香料、シクロデキストリン、抗菌剤、二酸化チタン、鉱物、顔料、粉末洗剤、ワックス、超吸収性ポリマー又はこれらの組み合わせである。超吸収性ポリマー微粒子の非限定例としては、加水分解された架橋ポリアクリルアミド、ポリアクリレート、アクリルポリマーのポリマー又はそれらのコポリマーが挙げられる。好適な臭気制御微粒子としては、活性チャコール又は活性炭、重曹、キチン、脱臭物質、例えば粘土、珪藻土、ゼオライト、及び過マンガン酸カリウムと活性アルミナとの錯体、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
微粒子は、典型的には、約0.1ミクロン〜約5ミリメートル、好ましくは約1ミクロン〜約1000ミクロン、及びより好ましくは約5〜約100ミクロンの直径を有する。
【0019】
本発明のナノファイバーを作成する方法は、繊維を微粒子と組み合わせるのに好適ないずれかの溶融フィブリル化プロセスである。溶融フィブリル化プロセスは、単一相ポリマー溶融物を利用して繊維を形成するプロセスとして定義される。単一相は、分散液を含んでもよいが、溶液又は電界紡糸に使用されるもののような溶媒ベースの溶融物を含まない。典型的な単一工程の溶融フィブリル化プロセスとしては、典型的な紡糸/延伸プロセスにおけるメルトブローイング、溶融フィルムフィブリル化、スパンボンディング、溶融紡糸、及びこれらの組み合わせが挙げられる。このプロセスは、まず繊維を作成し、次いで分裂させるか、又は繊維を固化させた後に一部を溶解してより小さい直径を有する繊維(例えば、セグメント化パイ又は海島型)を作成する2つの工程を有するプロセスを包含してもよい。
【0020】
好ましくは、溶融フィルムフィブリル化プロセスが使用される。このプロセスは、一般に、ポリマー溶融物を提供し、中央の流体流を利用して細長い中空のポリマーフィルムチューブを形成し、次いで空気を用いてその中空のチューブから多数のナノファイバーを形成する工程を含む。好適な方法は、例えば、米国特許第4,536,361号(トロビン(Torobin))並びに米国特許第6,382,526号及び同第5,520,425号(レネカー(Reneker))に記載されている。溶融フィルムフィブリル化方法は、異なる処理条件を利用することができる。より詳細には、レネカー(Reneker)の方法は、ポリマーを環状のカラムに供給し、ガスジェット空間が形成される環状カラムの出口にてフィルム又はチューブを形成する工程を含む。次いでガスカラムは、ポリマーチューブの内部周囲に圧力を与える。ポリマーチューブがガスジェット空間を出たときに、中央のガスが膨張することでナノファイバーを含む多数の小さな繊維に吹き分けられる。
【0021】
溶融フィルムフィブリル化方法は、更に図1に例証される。この好ましい実施形態は、繊維17を形成するオリフィス7aを備えたノズル7を例証する。このプロセスは、より詳細には、ポリマー組成物2を溶融し、それをオリフィス7aを通して押出し成形する工程を包含する。ノズル7内に含有される繊維化流体10は、細長い中空のフィルムチューブ12の形成を助ける。薄くなった壁又は弱くなった部分が中空のチューブ12に形成されることがあり、ナノファイバー17を含む繊維をより容易かつ制御可能に形成できるようになる。弱くなった部分は、繊維化流体又は中央の流体ジェットチューブの外側表面上にあるノッチ又は突出部に由来するか、又はポリマー押出オリフィス7aの内側表面上にあってもよい。細長い中空フィルムチューブ12は、飛沫同伴流体14のような別の流体流に供され得る。この飛沫同伴流体14又は繊維化流体10又は別の流体流は、振動又は変動圧力場を誘導し、ナノファイバー17を含む多数の繊維の形成を助ける。飛沫同伴流体14は、横断方向ジェット13から出ることができる。有利ならば、形成された繊維17に冷却又は加熱流体19を提供するノズル18を使用してもよい。
【0022】
ポリマー2は、典型的には、液体を形成して容易に流動するまで加熱される。溶融ポリマー2は、約0℃〜約400℃、好ましくは約10℃〜約300℃、より好ましくは約20℃〜約220℃の温度であってもよい。ポリマー2の温度は、ポリマー又はポリマー組成物の融点に左右される。ポリマー2の温度は、その融点より高くても約50℃であり、好ましくはその融点より高くても25℃であり、より好ましくはその融点より高くても15℃であり、その融点又は融解範囲ちょうどであるか、又はそれを超える。融点又は融解範囲は、ISO3146法により測定される。溶融ポリマー2は、通常は、約1Pa・s〜約1000Pa・s、典型的には約2Pa・s〜約200Pa・s、より一般的には約4Pa・s〜約100Pa・sの粘度を有する。これらの粘度は、毎秒約100〜約100,000の範囲の剪断速度にわたって与えられる。溶融ポリマー2は、およそ雰囲気圧力又はわずかに高い圧力である。
【0023】
細長い中空ポリマーチューブは、中空領域を有する、円形、楕円形、不規則な形状、又は他のいずれかの形状であることができる。場合によっては、細長い中空のポリマーチューブは、形成直後に潰れることがある。潰れたチューブの場合、フィブリル化を補助するためにチューブに薄くなった壁又は弱くなった部分を有するのが好ましい場合がある。繊維化流体10の非限定例は、窒素のような気体又はより好ましくは空気である。繊維化流体10は、溶融ポリマー2の温度に近い温度であり得る。繊維化流体10の温度は、ポリマー2の流動と中空チューブ9の形成とを助けるために溶融ポリマー2より高い温度であってもよい。あるいは、繊維化流体10の温度は、ナノファイバー17の形成及び固化を補助するために溶融ポリマー2の温度未満であることができる。好ましくは繊維化流体10の温度は、ポリマー融点未満、好ましくはポリマー融点より低くても50℃、より好ましくはポリマー融点より低くても100℃、又は室温ちょうどである。繊維化流体10の圧力は、繊維17をフィブリル化するのに十分であり、オリフィス7aから押出されたときの溶融ポリマーの圧力をわずかに超えることができる。
【0024】
繊維化流体10は、毎秒約500メートル未満の速度を有していてもよい。好ましくは、繊維化流体速度は、毎秒約100メートル未満、より好ましくは毎秒約60メートル未満、最も好ましくは毎秒約10〜約50メートルである。繊維化流体は、振動していてもよく、又は安定した流れであってもよい。この繊維化流体は、細長い中空のポリマーフィルムチューブの形成を助けるために存在することが重要であるが、この流れの中の流体量は非常に小さくてもよい。
【0025】
ポリマー2の処理量は、使用される特定ポリマー、ノズル設計、並びにポリマーの温度及び圧力に主に左右される。ポリマー2の処理量は、1つのオリフィスにつき毎分約1グラムよりも多い。好ましくは、ポリマー処理量は、1つのオリフィスにつき毎分約10グラムよりも多く、より好ましくは1つのオリフィスにつき毎分約20グラムよりも多く、最も好ましくは1つのオリフィスにつき毎分約30グラムよりも多い。一度にいくつかのオリフィス7aを作動させる可能性があることで、製造処理量全体が更に増大する。圧力、温度及び速度に伴った処理量は、ダイオリフィスの出口7aにて測定される。
【0026】
繊維のフィブリル化及び固化は、繊維及び流体がオリフィス7aを出る前に生じてもよい。細長い中空のチューブがオリフィス7aを出たら、繊維が形成される。一般に、繊維の形成はオリフィス7aを出た直後に生じる。多数の繊維を形成するためには1以上の流体流が使用される。流体流は、中央の流体流10、飛沫同伴流体14、又は他のいずれかの流体流であることができる。飛沫同伴流体14は、振動又は変動圧力場を誘導するために使用でき、多数のナノファイバー17の形成を助ける。図1に示すように、飛沫同伴流体14は横断方向ジェット13により提供されてもよく、この横断方向ジェット13は、飛沫同伴流体14の流れを、中空の細長いチューブ12及びナノファイバー17の形成領域の全体及びその周りに方向付けるように配置される。飛沫同伴流体14は、低速度であることができ、音波又は超音波速度のような高速度であることができる。低速度の飛沫同伴流体14は、典型的には毎秒約1〜約100メートル、好ましくは毎秒約3〜約50メートルの速度を有する。飛沫同伴流体14の温度は、上記の繊維化流体10と同一であることができ、室温、又はより高温、又は室温未満の温度であることができる。
【0027】
追加の流体流、クエンチ又は加熱流体19も使用できる。この追加の流体流19は、流体がナノファイバー17に方向付けられて、繊維を冷却又は加熱するように配置される。流体がクエンチ流体として使用される場合、それは、約−20℃〜約100℃、好ましくは約10℃〜40℃の温度である。流体が加熱流体として使用される場合、それは、約40℃〜約400℃、典型的には約100℃〜約250℃の温度である。
【0028】
微粒子は、1以上の上述の流体流に存在してもよい。流体流は、中空チューブを形成する繊維化流体10、飛沫同伴流体14及び/又は冷却若しくは加熱流体19として記載される。これら流体流のそれぞれは、全て繊維の形成に寄与するので、繊維化流体流であると考えられるが、これら流体流は、明確にするために、繊維化流体流10、飛沫同伴流体流14及び加熱/冷却流体流19と称される。微粒子は、これら流体流のいずれか、又はこれら流体流の組み合わせのいずれかに包含されてもよい。典型的には、微粒子は、繊維化流体流10に包含される。どの流体流に微粒子が添加されるかについての決定は粒子により左右される。即ち、微粒子が熱安定性であるかどうか、及び粒子の大きさ;どのように微粒子が繊維と結合されるべきか(例えば、交絡されるのか、埋め込まれるのか);どのように多くの微粒子が添加されるか;並びに微粒子を含有するウェブの製造に関連する他の要因などに左右される。微粒子は、とりわけ、使用される流体流、温度、及び微粒子に応じて繊維内に埋め込まれてもよい。あるいは、微粒子は、繊維と交絡されてもよく、この場合、特に微粒子は予成形された繊維である。微粒子、プロセス及び他の変数に応じて、微粒子は捕捉されていてもよく、これには、微粒子がウェブ内において埋め込まれる、交絡される、又は他のいずれかの配置で保持されるものが含まれる。
【0029】
微粒子を含有する流体流が繊維と接触すると、繊維及び微粒子の混合物が形成される。この繊維及び微粒子の混合物は、ウェブが形成される前に形成される。混合物が表面上に堆積されると、ウェブが形成される。微粒子は、躍動中に繊維と接触し、混ざるのが好ましい。
【0030】
微粒子を有する繊維は、コレクター上に載置され、ウェブを形成する。コレクターは、典型的にはコンベヤーベルト又はドラムである。コレクターは好ましくは多孔質であり、吸引によって繊維がコレクター上に載置されるのを助けるために真空を適用してもよい。オリフィスからコレクターまでの距離は、一般にダイ・ツー・コレクターディスタンス(DCD)と呼ばれ、所望のウェブ特性のために最適化され得る。ウェブに使用されるDCDを2以上利用するか、製造中にDCDを変化させるか、又は異なるビームに異なるDCDを付与するのが望ましい場合もある。DCDを変化させることによって、異なる均一性をもったウェブを形成させることが望ましい場合もある。
【0031】
細長い中空のフィルムチューブを形成した後、チューブ又は繊維は、別の方法としてナノファイバーの形成をさらに促進する追加のプロセスに供されてもよい。なおも単一工程プロセスであると考えられるように、さらなる処理は、細長い中空のポリマーフィルムチューブの形成直後で、ナノファイバーが固化される前に行われる。追加の処理は、1以上のラバル(Laval)ノズルを利用して、音波及び/又は超音波域にガス速度を上げることもできる。ポリマー溶融物がこうした高速ガス速度に曝されると、多数の微細な繊維にバーストする。ラバルノズルの例は、ネイセン(Nyssen)らの米国特許第5,075,161号に記載されており、そこにはポリフェニレンスルフィド溶融物を微細なフィラメントにバーストさせる方法が開示されている。ラバルノズルは、細長い中空のポリマーフィルムチューブが製造されるときに、紡糸ノズルの直後に配置されてもよい。あるいは、ラバルノズルは、繊維径をさらに小さくするためにナノファイバーが形成された直後に配置されることもできる。ポリマー溶融物流と本質的に平行に流れ、音波又は超音波速度に到達するガス状の媒体にポリマー溶融物流を押出すことにより、ポリマー溶融物流を延伸し、融解温度未満に冷却することによってポリマー繊維を製造できる。この同時変形及び冷却によって、有限長さの無定形微細繊維又は超極細繊維が生じる。高速繊維バーストは、繊維の表面酸化を最小にする。紡糸速度、融解温度、及びラバルノズルの位置は、微細フィラメントの熱酸化がその表面にて部分的にのみ生じるように適切に設定される。
【0032】
様々なプロセス及びプロセスの組み合わせを使用して本発明のウェブを製造できる。PCT国際公開特許WO04/020722(ソデマン(Sodemann)ら)に開示されるような溶融繊維バーストは、単一ラインにおいて2つの別個のビームにて本発明の溶融フィルムフィブリル化と組み合わせることができる。様々な態様の溶融繊維バーストは、溶融フィルムフィブリル化に導入されて、例えば異なる強度及び直径の繊維を製造して、所望の特性の組み合わせを提供できる。あるいは、溶融フィルムフィブリル化の態様は、中空の細長いチューブを利用して繊維を形成することによって処理速度を増加させるために、他の溶融フィブリル化プロセスに含まれることができる。例えば、本発明の溶融フィルムフィブリル化プロセスは、繊維の引き出しを助けるためにラバルノズルを含むように変更されることができる。引き出しは、さらなる細分化を助けることができ、繊維の強度を増大できる。これは、応力誘導による結晶化が4000m/分越える速度で生じるポリエステルのような高Tgポリマーに関して特に好ましい場合がある。
【0033】
本発明の繊維は、不織布ウェブを製造するために使用される。ウェブは、不織布複合体全体として定義される。ウェブは、1又はいくつかの層を有していてもよい。層は、別個の繊維載置又は形成工程で製造されるウェブ又はウェブの一部である。
【0034】
本発明のウェブは、1ミクロン未満の直径を有する相当数のナノファイバーを有する1以上の層を含んでもよい。相当数とは、少なくとも約25%として定義される。相当数の繊維は、層中の繊維の総数の少なくとも約35%、少なくとも約50%、又は75%を越えることができる。ウェブは、約1ミクロン未満の直径を有する繊維100%であることができる。ウェブの繊維直径は、走査型電子顕微鏡を用いて、約500倍を超える倍率、及び約10,000倍までの倍率にて、必要により視覚分析を行って測定され得る。相当数の繊維が1ミクロン未満の直径を有するかについて決定するために、少なくとも約100本の繊維、好ましくはそれ以上の繊維を測定すべきである。この測定は、層全体の様々な領域で行われるべきであり、統計学的に有意である十分なサンプリングが好ましい。
【0035】
相当数の繊維が約1ミクロン未満の直径を有する場合、残りの大きい直径を有する繊維の繊維直径は、いずれの範囲の繊維直径であってもよい。通常は、より大きい繊維直径は、1ミクロンをちょうど越え、約10ミクロンまでである。
【0036】
好ましくは、層中の相当数の繊維は、約900ナノメートル未満、より好ましくは約100ナノメートル〜約900ナノファイバーの繊維直径を有する。繊維は、700ナノメートル未満の直径、及び約300〜約900ナノメートルの直径を有していてもよい。好ましい直径は、ウェブの所望の用途に左右される。プロセス及び製品利益のために、相当数の繊維が約1ミクロン未満の直径を有し、相当数の繊維が約1ミクロンを越える直径を有することが、一部用途では望ましい場合もある。より大きい繊維はナノファイバーを捕捉して、不動化してもよい。これによって、ナノファイバーの凝集(clumping)又はロープ化の量を低減するのを助けることができ、外れた空気流によってナノファイバーが運び去られるのを防ぐ。
【0037】
本発明のウェブ中のナノファイバーの層は、1を超えるポリマーを含有してもよい。異なるオリフィスに異なるポリマー又はポリマーブレンドを使用して、異なる繊維直径及び異なるポリマー組成を有するウェブの層を製造してもよい。
【0038】
様々な繊維直径を有する単一層の不織布を製造するのが望ましい場合がある。あるいは、各層が異なる繊維直径を有する多層の不織布ウェブを製造するのが望ましい場合もある。溶融フィルムフィブリル化プロセスは、小さい及び大きい直径の繊維の両方を製造して様々なウェブを製造するために変更できる。より小さい繊維直径は、1ミクロン未満の直径を有する相当数の繊維を有するものとしてみなされる。より大きい直径の繊維は、メルトブロー範囲(通常は3〜5ミクロン)からスパンボンド(通常は約15ミクロン)までの繊維、又は1ミクロンを越えるいずれかの範囲の繊維直径の繊維を含む。例えば、1つの層は、1ミクロン未満の平均繊維直径を有するように製造されることができ、別の層は約5ミクロンの平均繊維直径を有するように製造されることができる。この種類の構造は、従来からSMSウェブが使用されるところに使用されてもよい。別の例は、多層のナノファイバーウェブを製造することであり、各層は、例えば0.4ミクロンの平均繊維直径を有する1つの層及び0.8ミクロンの平均繊維直径を有する別の層のように区別できる平均繊維直径を有する。種々の繊維直径を有するウェブは、同一の設備を用いて同一ラインにて製造できる。これは、同一の設備及び構成要素を使用できるので安価な方法である。操作コスト及び設備コストが両方とも抑えられる。また所望により、同一ポリマーを使用して異なる繊維直径を製造することもできる。
【0039】
いくつかの層のウェブを形成するのが望ましい場合もある。ナノファイバーの層は、1、2、又はそれ以上の層と組み合わせてもよい。スパンボンド−ナノファイバー−スパンボンドウェブは、1つの例である。複合ウェブ全体の坪量は、約5gsm〜約100、好ましくは約10〜約100gsm、より好ましくは約10gsm〜約50gsmの範囲である。バリア層として使用するためには、複合ウェブ全体の坪量は、約10gsm〜約30gsmであってもよい。ナノファイバー層だけの坪量は、約0.5gsm〜約30gsm、好ましくは約1gsm〜約15gsmである。
【0040】
不織布を製造した後、それを後処理に供してもよい。後処理の非限定例としては、固体状態形成、圧密化、積層、表面コーティング、コロナ及びプラズマ処理、染色、並びに印刷が挙げられる。固体状態形成の非限定例としては、噛み合うロールを用いるプロセス、例えば米国特許第5,518,801号にあり、後続の特許文献中では「構造的弾性様フィルム(Structural Elastic-like Film)」の略語である「SELF」ウェブと呼ばれるようなもの、テクスチャー加工(texturing)、延伸、穿孔、積層、局所変形(local straining)、微小クレープ加工、ハイドロフォーミング、及び真空形成が挙げられる。圧密化の非限定例としては、熱接着、空気通過接着、接着剤接着、及び水流交絡が挙げられる。
【0041】
本発明の物品は、上述の不織布ウェブを含有する。ウェブは拭き取り用品のような物品全体を構成してもよく、又はウェブはおむつのような物品の1つの構成要素を構成してもよい。好ましい物品としては、衛生物品、例えば、おむつ、トレーニングパンツ、成人失禁パッド、婦人用ケアパッド及びパンティライナーのような月経用製品、タンポン、パーソナルクレンジング物品、パーソナルケア物品、並びに赤ちゃん用拭き取り用品、顔用拭き取り用品、身体用拭き取り用品、及び婦人用拭き取り用品のようなパーソナルケア拭き取り用品が挙げられる。パーソナルケア物品としては、創傷包帯、活性物質送達ラップ又は貼付剤のような物品、及び身体、特に皮膚に適用される他の物質が挙げられる。他の物品としては、空気及び水のような流体用フィルター、自動車、無菌室、表面洗浄、食物、及び他の用途のための工業用拭き取り用品;油、水、アルコール、有機及び無機液体のような流体用吸収性材料などが挙げられる。そのウェブから効果を得る他の製品としては、パーソナルフィルター又はマスク、例えば手術用マスクが挙げられる。ウェブのその他の医学的用途としては、手術着、創傷包帯、及び医学用バリアが挙げられる。
【0042】
おむつにおいて、ウェブはバリア層として、又は臭気若しくは液体吸収性微粒子を有する外側カバーとして使用されてもよい。ウェブはまた、高バリアカフとして使用されて、快適さ及びフィット感が所望される薄くて狭いクロッチおむつの漏れ発生割合を低くすることができる。吸収性微粒子を含有するウェブは、ローションの取り扱い性の向上及び液体の勾配の低下を可能にする拭き取り用品で使用されてもよい。ウェブはまた、微粒子又は微粒子の構成成分を制御して放出させることができる。この放出は、液体、ローション、抗菌剤、香料又は他の物質のような活性物質の放出であり得る。ナノファイバー及び液体吸収性微粒子の表面積が大きいので、ウェブは、拭き取り用品又は婦人用ケア製品パッド、おむつ、トレーニングパンツ、もしくは成人用失禁具のコアの吸収性材料として使用できる。ウェブは、流体の分配及び保持を更に向上できる。吸収性ウェブに添加された微粒子は、吸収性を向上させるための天然若しくは人工の吸収性繊維、及び/又は超吸収性ポリマーを包含してもよく、又はウェブの特定層が異なる特性を有していてもよい。不織布ウェブはまた、物品で所望されるようなウェブの不透明性又は色を変更し得る微粒子を捕捉することもできる。所望の不透明性又は色のために好ましい微粒子としては、顔料、二酸化チタン、無機又は有機結晶類が挙げられる。一般に、不織布ウェブは、おむつで使用するためにスパンボンド層と組み合わせられる。1つのスパンボンド層があるか、又は本発明のウェブの各々の側にスパンボンド層があってもよい。
【0043】
おむつ又はその他の使い捨て吸収性製品において、本発明の不織布ウェブは、バリア層として利用されてもよい。バリア層は、使い捨て吸収性製品の吸収性コアと外側層との間に配置されてもよい。吸収性コアは、体液の獲得、移送、分配、及び貯蔵のような流体処理特性に主として関与する物品の構成要素である。吸収性コアは、通常は、液体透過性身体側内側層と、蒸気透過性の液体不透過性外側カバーとの間に配置される。バックシート又は外側カバーとしても知られる外側層は、使い捨て製品の外側に配置される。おむつの場合、外側層はユーザーの衣類又は衣服と接触する。バリア層は、別の方法として、又は同様に吸収性コアと内側層との間に配置されてもよい。トップシートとしても知られる内側層は、ユーザーの皮膚に最も近い側に配置される。内側層はユーザーの皮膚に接触してもよく、又はユーザーの皮膚と接触する別個のトップシートと接触してもよい。バリア層は吸収性であってもよい。不織布ウェブは、吸収性コアのまわりの層を構成してもよく、流体の分配又は処理を助けてもよい。不織布ウェブは、コアに隣接して配置されてもよい流体分配層であってもよい。バリア層は、最も好ましくは対流空気流量と吸収性バリア特性とのバランスをとる。対流空気流量特性は、吸収性物品と着用者の皮膚との間の空間内の相対湿度を低減するのに有効である。液体吸収性と液体バリア特性との組み合わせが、湿潤通過の問題に対する防御性を提供し、吸収性物品が衝撃及び/又は持続圧力下にある場合に特に有益である。バリア層のさらなる記載及び効果は、PCT国際公開特許WO01/97731に見出すことができる。
【0044】
ウェブは乾燥又はウェットタイプの衛生拭き取り用品を製造するために使用されてもよい。ウェブは、拭き取り用品に使用されて、ローション処理性を改善し、液体勾配を低減できる。ウェブは、部分的なバリアを提供してもよく、部分的又は完全に液体不透過性であってもよい。ウェブはまた、物質又は薬品のような活性物質の送達を制御できる。送達される物質は、液体、ローション、酵素、触媒、活性物質、又は他の物質、例えば皮膚軟化剤、界面活性剤、湿潤剤、研磨剤(polishes)、オイル、有機及び無機溶媒、ペースト、ゲル、顔料、又は染料であることができる。ウェブは、流体の分配及び/又は保持を向上できる。さらに、吸収体用途のためのウェブは、吸収性を向上させるための粒子もしくは吸収体もしくは天然繊維を添加して製造されてもよく、又はウェブの特定層が異なる特性を有していてもよい。繊維は、低密度又は多孔質繊維となるように製造されてもよい。繊維は、膨張剤(inflatent)又は発泡剤を用いて製造されてもよい。
【0045】
ナノファイバーの表面積が大きいので、ナノファイバーを含有するウェブは、拭き取り用品又は婦人用ケア製品パッド、おむつ、トレーニングパンツ、もしくは成人用失禁具のコアの吸収性材料として使用してもよい。表面積が高いので洗浄性も向上し、衛生洗浄拭き取り用品に使用できる。ウェブは、流体の分配及び/又は保持を向上できる。さらに、吸収体用途のためのウェブは、吸収性を向上させるための粒子もしくは吸収体もしくは天然繊維を添加して製造されてもよく、又はウェブの特定層が異なる特性を有していてもよい。
【0046】
ウェブはまた、不透明さが所望される物品に使用されてもよい。小さい繊維直径及び均一性によって結果として不透明さが増す場合があり;又は顔料をポリマー溶融物もしくはウェブに添加してもよい。ウェブはまた、より長い繊維又はウェブ中の繊維の交絡から生じるリンティングが少ない場合がある。本発明のナノファイバーウェブの引張り強度は、同様の繊維直径及び同様の坪量を有する他のプロセスから製造されたウェブの引張り強度よりも大きくできる。本発明のウェブは柔軟であり、同一性能を有する他のウェブより柔らかくできる。
【0047】
繊維直径は、走査型電子顕微鏡(SEM)及び画像分析ソフトウェアを用いて測定されることができる。500〜10,000の倍率は、測定のために繊維が好適に大きくなるように選択される。SEM画像における繊維直径の自動サンプリングのための画像分析ソフトウェアを利用可能であるが、より手動の手順を用いることもできる。一般に、ランダムに選択された繊維の末端を探し、次いで繊維の反対の末端までの幅(その個所にて繊維方向に対して垂直)に沿って測定される。目盛りのある、較正された画像分析ツールは、mm又はマイクロメートル(μm)単位で実際に計測するための測定基準を提供する。いくつかの繊維は、SEMにてウェブのサンプル全体にわたってランダムに選択される。通常は、ウェブからいくつかのサンプルを切断し、この様式で試験し、少なくとも約100回の測定を行い、全てのデータを統計学的分析用に記録する。結果をデニール単位で記録すべき場合、次の計算が必要になる。デニール単位の直径=断面積×密度×9000m×1000g/kg。断面積は、π×直径2/4。例えばPPの密度は、910kg/m3として考慮できる。デシテックス(dtex)を得るためには、9000mを10,000mに置き換える。
【0048】
坪量は、包括的な(compendial)方法ASTM D 756、ISO536及びEDANA ERT−40.3−90と一致して測定できる。坪量は、単位面積あたりの質量として定義され、好ましい単位は1平方メートルあたりのグラム(gsm)である。必要な機器は、サンプルを切断するためのはさみ又はダイカッター、及びはかりのような正確な計量装置である。サンプルは1層あたり100cm2の総面積に、±0.5%の正確さと精度で切断される。はかり又はてんびんは、0.001gの感度で計測可能となるように較正され、適用された荷重の0.25%の範囲内の正確さを有する必要がある。サンプルは、23℃(±2℃)、約50%の相対湿度にて、2時間、平衡に達するように調整される。切断されたサンプルを計量する際、ほぼ0.001gまで化学てんびんにて総面積1000cm2=0.1m2となるようにサンプル領域から10プライを用い、重さを記録する。(1mmより厚いサンプルに関しては、1プライだけを計量するのが好ましいが、留意すべきである。)重さをサンプル面積(試験される全ての層)で割ることによって坪量を計算し、gsm単位で坪量を得る。全てのデータを統計学的分析のために記録する。
【0049】
ウェブの均一性は、いくつかの方法によって測定できる。均一性の測定基準の例としては、孔直径の低い変動係数、坪量、空気透過率、及び/又は不透明度である。均一性はまた、繊維束もしくはロープ化、又は目に見えるホール、又はその他のこうした欠点がないことを必要とする。均一性は、ノズル・ツー・コレクターディスタンスを縮めるなどのプロセスの変更によって制御できる。この距離を縮めることで、繊維束化又はロープ化が低減し、より均一なウェブを提供できる。
【0050】
孔直径は、当業者に既知の方法によって測定できる。平均孔直径は、好ましくは約15ミクロン未満、より好ましくは約10ミクロン未満、最も好ましくは約5ミクロン未満である。均一ウェブに関する所望の変動係数は、20%未満、好ましくは約15%未満、より好ましくは約10%以下である。ロープ化がないことは、ウェブの測定領域における繊維ロープ又は繊維束の数を数えることによって測定できる。ホールがないことも、ウェブの測定領域における特定の閾値を超える直径を有するホールの数によって測定される。ホールは、それらが裸眼で目に見えるかどうか、又は直径が100ミクロンを越えるかどうかを考慮してもよい。
【0051】
引用されるすべての文献は、その関連部分において本明細書に引用して援用される。いずれの文献の引用もそれが本発明に関連する先行技術であることの容認として解釈されるべきではない。
【0052】
本発明の特定の実施形態について説明し記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、その他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明である。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】溶融フィルムフィブリル化プロセスにおいて利用されるノズル及び空気流の図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不織布ウェブを形成する方法であって、
a.溶融フィルムフィブリル化プロセスから繊維を形成する工程、
b.微粒子を含有する少なくとも1つの流体流を形成する工程、
c.前記繊維を前記微粒子と混合し、繊維−微粒子混合物を形成する工程、
d.前記混合物を表面上に堆積させて、ウェブを形成する工程を含む不織布ウェブを形成する方法。
【請求項2】
前記繊維は、1ミクロン未満の直径を有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
請求項1に従って製造された不織布ウェブを含む物品。
【請求項4】
相当数の1ミクロン未満の直径を有するナノファイバーと、微粒子とを有する層を含む不織布ウェブであって、前記微粒子は前記不織布ウェブの前記層内に捕捉されている不織布ウェブ。
【請求項5】
前記微粒子は、予成形された繊維、顆粒、粉末、パウダー、球体及びこれらの組み合わせから成る群から選択される請求項4に記載の不織布ウェブ。
【請求項6】
前記微粒子は、約0.1ミクロン〜約5ミリメートルの直径を有する請求項4に記載の不織布。
【請求項7】
前記微粒子は、パルプを含む予成形された繊維である請求項4に記載の不織布。
【請求項8】
前記微粒子は、吸収性ゲル材料である請求項4に記載の不織布。
【請求項9】
請求項4に記載の不織布ウェブを含む物品。
【請求項10】
前記層は、1ミクロン未満の直径を有するナノファイバーを少なくとも35%含む請求項4に記載の不織布ウェブ。


【図1】
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【公表番号】特表2007−528944(P2007−528944A)
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518753(P2006−518753)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/021128
【国際公開番号】WO2005/005704
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】