説明

ナノフィラーのダイヤモンドライクコーティング

本発明は、ホストマトリックス、例えば雲母と、このホストマトリックス中に挿入されたHTC材料とを有する、高熱伝導性の(HTC)紙を提供する。このHTC材料は、少なくとも1種のナノフィラーと、このホストマトリックス上の直接のダイヤモンドライクコーティングと、このナノフィラー上のダイヤモンドライクコーティングとから構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国暫定60/580023号(スミスら(Smith,et al.)により2004年6月15日にされた出願)に基づき優先権を主張し、これは参照をもって開示されたものとする。本出願は更に、スミスらにより出願された米国特許出願「高熱伝導性のコーティングを有する布」に関し、これも参照をもって開示されたものとする。
【0002】
本発明の技術分野
本発明の技術分野は、電気絶縁に使用される紙の熱伝導率の増大に関する。
【0003】
本発明の背景技術
家庭電化製品を任意の形で使用する場合、導体を電気的に絶縁することが必要となる。このサイズを連続的に減らすために押圧し、かつ全ての電気電子系を合理化する場合、これに対応して、より良好でよりコンパクトな絶縁体及び絶縁系を見出すことが必要となる。
【0004】
良好な電気絶縁体は、それらのまさにその性質により良好な熱絶縁体でもあることが多いが、このことは不所望である。熱絶縁挙動は、特に空冷式の電気装置及び電気部品にとって、これらの部品並びに装置全体の効率及び耐久性を減らす。最大の電気絶縁特性と、最小の熱絶縁特性とを有する電気絶縁系を製造することが望まれる。
【0005】
多くの要因が電気絶縁技術に関係するが、この分野においては、絶縁体の他の所望の物理的特性を減らすことなく、特に熱を移動させる能力から利益が得られる。慣用の材料と比べて熱伝導率が大きいが、電気絶縁性及び他の性能要因、例えば構造的な結合性も兼ね備えた改善された電気絶縁材料が必要とされている。
【0006】
電気絶縁性はしばしばテープの形で現れるが、これはそれ自体種々の層を有する。これらの類型のテープに共通することは、界面で繊維層に結合した紙層であることであり、これらの層には両方とも樹脂が含浸されていることが多い。この紙層は、電気を高度に絶縁する材料、例えば雲母から構成されている。雲母テープの改善には、触媒させた雲母テープが含まれ、これは米国特許6103882号に教示されている。この紙の熱伝導率が、テープとしての使用とは別個にか又は関連して改善されれば、次いで電気系に顕著な改善が見られると考えられる。従来技術の他の問題点も存在し、これらのいくつかは更に閲覧すれば明らかになる。
【0007】
本発明の概要
上記記載を鑑みると、高熱伝導性の(HTC)材料を絶縁紙のホストマトリックス上及び/又はその中に挿入することにより、とりわけ絶縁紙の熱伝導率を促進する本発明と合致する方法及び装置である。本発明にかかるHTC材料は、種々の類型、例えばナノフィラー又は表面コーティングであってよく、かつナノフィラー及び表面コーティングは両方ともそれ自体種々の下位のグループをそれぞれ有する。このHTC材料は、種々の段階で紙に添加することができ、例えば紙がその原料若しくは基材である段階、紙が成形されている段階又は紙が成形された後の段階で添加することができる。雲母は電気抵抗が大きいので、絶縁紙のための特定の種類の基材になる。
【0008】
この絶縁紙は、独立しているか又は他の材料と組み合わせて絶縁テープを形成してよい。これらの他の材料は、一般的には、繊維裏地、例えばガラス及び樹脂含浸物を有する。これらの他の材料にHTC材料を挿入して、複合HTC材料テープ製品を製造してもよい。
【0009】
本発明のこれらの又は他の対象、特徴及び利点は、特定の実施態様により提供され、一実施態様においては本発明はホストマトリックス、例えば雲母と、このホストマトリックス中に挿入されたHTC材料とを有するHTC紙を提供する。このHTC材料は、少なくとも1種のナノフィラーと、ホストマトリックス上の直接のダイヤモンドライクコーティングと、ナノフィラー上のダイヤモンドライクコーティングとから構成される。
【0010】
特定の実施態様においては、このHTC材料は、HTC紙の0.1〜65容量%を構成し、更なる特定の実施態様においては、このHTC材料は、HTC紙の1〜25容量%を構成する。HTC紙の電気抵抗は、約1012〜1016オームcmであり、かつこの紙の樹脂含浸後の熱伝導率は0.5W/mKよりも大きい。
【0011】
別の実施態様においては、本発明は、HTC材料が挿入された雲母紙層と、ガラス繊維裏地層と、この雲母紙層とガラス繊維裏地層との界面とを有する電気絶縁テープを提供する。樹脂は、雲母紙層及びガラス繊維裏地層を介して含浸させる。このHTC材料は、少なくとも1種のナノフィラーと、ホストマトリックス上の直接のダイヤモンドライクコーティングと、ナノフィラー上のダイヤモンドライクコーティングとから構成され、かつ雲母紙の1〜25容量%を構成する。
【0012】
更なる別の実施態様においては、本発明は、基材を得ること、及びHTC材料をこの基材上に挿入することを含み、このHTC材料はナノフィラーを有しており、このナノフィラーを含有する溶剤をこの基材上に少なくとも1回導入し、次いでこの溶剤を蒸発させ、そしてこのナノフィラーを乾燥粉末としてこの基材に添加し、その際、この乾燥粉末はポリマーを含有し、次いでこの乾燥粉末をこの基材上で溶融させることにより、このナノフィラーを基材上に挿入する、HTC紙を製造する方法を提供する。次いでこの基材から紙製品を製造する。このナノフィラーは、例えばDLCにより表面コーティングされていてよく、かつHTC紙を組み合わせてHTC電気絶縁テープを得てよい。
【0013】
別の実施態様においては、本方法は、基材、例えば雲母を得ること、及びHTC材料をこの基材上に挿入することを含む、HTC紙を製造する方法を含む。次いでこの基材から紙製品を得て、その際、HTC材料は表面コーティング、例えばDLCを有しており、これをこの基材上に蒸着により分散させる。
【0014】
別の実施態様は、基材を得ること、及びこの基材を製紙用スラリー中に導入することを含む、HTC紙を製造する方法を提供する。HTC材料はこの製紙用スラリーに添加して、こうしてHTC材料がこの基材上に挿入され、そしてこのスラリーを製紙工程に流通させる。この点で、この基材をそれ自体に良好に結合させることを可能にするポリマーがしばしば存在する。このHTC材料はナノフィラーを有しており、このナノフィラーは、スラリーを溶剤として使用して基材中に挿入する。
【0015】
別の実施態様においては、成形された電気絶縁紙製品であるホストマトリックスを得ること、及びHTC材料をこのホストマトリックス上に挿入することを含む、HTC紙を製造する方法を提供する。このHTC材料は、この基材中に挿入し、こうしてこのHTCがこの紙を構成する材料に結合する。このHTC材料がナノフィラーである場合、このナノフィラーと溶剤とを混合し、その際、この溶剤をホストマトリックス上に含浸させ、そしてこの溶剤を蒸発させることによりこれらの材料を添加する。HTC材料がDLCである場合、この材料はホストマトリックスに蒸着により添加する。
【0016】
次いで、この紙を組み合わせてHTC電気絶縁テープを得てよい。このHTC材料は、この紙を組み合わせてテープを得る前に、全て又は一部で添加することができるか、又はこのHTC材料は、この紙を組み合わせてテープを得た後に、全て又は一部で添加することができる。
【0017】
本発明の他の実施態様も存在し、それは詳細な説明を更に閲覧すれば明らかになる。
【0018】
本発明の詳細な説明
本発明は、高熱伝導性(HTC)材料を、紙の絶縁に使用される基材、例えば電気絶縁テープに使用される類型の基材中にか又はその上への導入を提供する。絶縁テープは、ホストマトリックス、例えば雲母を有することが多く、これを紙に成形して、次いでこの紙をしばしば樹脂又は促進剤若しくはこれらの両方で含浸させる。テープに使用される紙を、含浸させる前又は後に、それを引張強さの大きい裏地、例えばガラス又はポリマー皮膜に添加する。絶縁テープのホストマトリックスは、極めて良好な電気絶縁体として作用するが、熱もまた良好に絶縁し、これは不所望な副作用である。
【0019】
従って、基材の熱伝導率を増大させることが望まれる。ここで使用されているとおり、基材は、絶縁紙が形成されるホスト材料である一方で、マトリックスは、この基材から製造されたより完全な紙成分である。これらの2つの語は、本発明を説明するにあたってはある程度は共通して使用することができる。熱伝導率の増大は、電気的特性、例えば損失係数か又は基材の物理的特性、例えば引張強さ及び付着特性を顕著に妨害することなく達せられることが望ましい。これらの物理的特性は、幾つかの実施態様、例えば表面コーティングを用いる態様においても改善することができる。更に、実施態様によっては、HTC材料の添加によりホストマトリックスの電気抵抗も増大させることができる。
【0020】
このHTC材料は、基材か又はマトリックスに、1つ以上の絶縁紙の種々の製造段階で添加することができる。絶縁紙の製造には特有の段階が存在する。本発明の目的のために、これらを3つの段階に分けることができる。原料段階、スラリー段階、そして紙製品段階である。例えば、雲母紙は、雲母として開始し、それを薄片に変換し、次いで小薄片に変換し、次いでそれを液体と合してスラリーを得て、次いでこれを機械に流通させて雲母紙を製造する。
【0021】
電気絶縁に一般的に使用される標準的な雲母(白雲母、金雲母)の他に、黒雲母並びに幾つかの他の雲母様アルミノシリケート材料、例えばカオリナイト、ハロイサイト、モンモリロナイト及び緑泥石も使用してもよい。モンモリロナイトは、その構造内にHTC材料、例えば金属陽イオン、有機化合物並びにモノマー及びポリマーが容易に挿入されうる格子を有し、これにより絶縁耐力が大きい複合材料が得られる。
【0022】
HTC材料は、任意の又は全ての製造段階で添加することができる。これらのそれぞれの段階は、HTC材料を添加できる複数の下位の段階を含むことは勿論である。HTC材料を種々の段階で施与する工程は、これらの種々の段階でのホストマトリックスの物理的特性の差異の原因にならなければならない。例えば、HTC材料をルースな雲母薄片又は雲母小薄片に添加することは、これらの材料をスラリー中の雲母又は紙製品に添加することとは異なる。HTC材料は、仕上絶縁テープの他の構成部分、例えば裏地中にか又は中間層の結合樹脂中に存在していてもよい。
【0023】
絶縁紙を製造する方法は、熱処理、化学処理及び機械処理を別個に又は連動させて組み合わせてパルプを製造し、次いでこれを紙を構成するシートに変形させる。HTC材料は、原料段階に乾燥形で添加するか若しくは液体又は他の媒質に含有させて添加することの何れかを行うことができる。このHTC材料は、基材、例えば乾燥雲母小薄片に添加し、そして混合して、例えばこの基材中での均質分布を形成させる。HTC材料を基材に運搬する液体媒質を除去するために、加熱のような方法を使用してよい。
【0024】
HTC材料は、スラリー段階でこれらを液体担体中で凝集形か又は非凝集形で懸濁液に添加することによりマトリックス中に導入する。このHTC材料の凝結は、この段階では一般的には好ましいものではないが、凝結構造の性質によってはそれを使用してよい場合もある。界面活性剤、化学的表面処理剤又はpH調節を使用して、これらの粒子が凝結しないこと又はこれらの粒子が特定の経路で凝結しないことを確保してよい。このHTCがそれ自体ある程度整列しているか又は外力により整列させることができるのであれば、次いで混合による完全な分散は必要でなくてよい。
【0025】
このスラリー段階においては、このフィラーは粉末として添加するか又は液相中で懸濁液として添加することの何れかを行ってよい。この液体は、この技術に使用される種々の類型であってよいが、一般的には水である。水それ自体は脱イオン化、脱塩化されていてよいか又はそのpH値を調節する添加剤を有していてよい。
【0026】
このHTC材料を紙製品中に添加するために、このフィラーを好適な溶剤に導入して懸濁液として添加してよい。この例は、一般的な有機溶剤、例えばヘキサン、トルエン、メチルエチルケトン等である。これと同様に、HTC材料が液体中で非凝結の懸濁液として均一に分布することが望まれている。この粒度分布は、ホストマトリックス中のボイドサイズ分布に関して所望の目的を実現するように選択してよい。このHTC材料のサイズ分布及び形状分布は、熱伝導率及び他の物理的特性に作用させるために利用してよく、かつかかる成分の異なる密接な充填挙動か又はこれらの異なった凝結か又は自己集合の挙動を使用して、これを実現してよい。
【0027】
スラリー段階又は紙製品段階では、溶剤は、後に含浸される樹脂の反応を促進させるために使用してよい1種以上の促進剤、例えばナフテン酸亜鉛及び他の金属塩若しくは有機金属化合物を含有してもよい。HTC材料は、この促進剤と一緒に共通の溶剤に添加するか又は促進剤に添加してよい。
【0028】
本発明は、HTC材料をホストマトリックス、又は基材、例えば雲母及びポリエステル上に挿入する。他の基材成分には、ガラス薄片、及びポリイミドのKapton(R)、又はポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレートのMylar(R)が含まれる。このHTC材料は任意の及び全種の外部及び内部表面に施与することができる。薄片は、一般的な第1の段階の基材であるが、幾つかの類型の基材材料は、種々の物理的構成か又は多層又は連続層であってよい複合材料の紙をしうる物理的構成の組合せも使用してよい。
【0029】
HTC材料の語は、ホストマトリックスの熱伝導率を増大させる粒子を意味する。一実施態様においては、これらの粒子は約1〜1000nmの寸法を有するナノフィラーである。このナノフィラーは、球状、小板状であってよいか又はアスペクト比が大きくてよく、例えばホイスカ、棒状又はナノチューブ状、及びこれらに関連する集合形、例えば凝結体、小繊維の樹状、綱状、束状及び網状並びにその他の形である。更に、HTC材料は、ホストマトリックスに施与することができるコーティング、例えばダイヤモンドライクコーティング(DLC)及び種々の金属酸化物、窒化物、炭化物及びこれらの化学量論的及び非化学量論的な混合組合物をも意味する。以下に説明するとおり、HTC材料を組み合わせることが可能であり、これは例えばナノ、メソ若しくはマイクロの球状体又は棒状体の組合せ、あるいはナノ、メソ又はマイクロ粒状体上のDLC又は金属酸化物コーティングである。ダイヤモンドライクコーティングとは異なる種々の形のダイヤモンドナノフィラーが存在しうることに着目することも重要である。多くの紙絶縁体が同様に樹脂で含浸されるので、これらの実施態様の目的は、HTC材料が含浸後にマトリックスの熱伝導率を増大させることである。これらの粒子を含浸後に、ホストマトリックス粒子の表面上に熱伝導性の網目を形成させることにより、又は含浸用樹脂を用いるか若しくはこれらの両方を組み合わせて熱伝導率の増大をもたらすことができるこの含浸用樹脂は、絶縁紙に挿入されたHTC材料と一緒にか又はこれとは別個に作用しうるそれ自体のHTC材料を有してもよい。
【0030】
従って、このHTC材料は、更にナノ、メソ及びマイクロ無機HTC材料、例えばシリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、炭化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、酸化亜鉛及びダイヤモンド並びに高熱伝導率を与えるその他の材料を有する。これらの材料は、種々の結晶学的及び形態学的な形を示し、かつこれらはホストマトリックスと一緒に直接処理するか又は担体液体として作用する溶剤を介する処理の何れかを行ってよい。溶剤は、HTC材料を例えば紙製品段階でマトリックス中に添加する際の好ましい運搬系であってよい。
【0031】
一実施態様においては、HTC材料は樹状体であり、かつ別の実施態様においてはこれらの材料は、規定のサイズ又は形状を有するナノ又はマイクロ無機フィラー、例えばアスペクト比(横の平均寸法と縦の平均寸法との比)が3ないし100か又はそれ以上、特に10〜50の範囲のアスペクト比が大きい粒子である。
【0032】
一実施態様においては、所望の形状及びサイズ分布を有するナノ、メソ及びマイクロ無機フィラーの表面コーティング及び選択された表面特性並びにフィラーのバルク特性は互いに相補的である。これによって、より良好なホストマトリックスのパーコレーション及び独立した相互接続特性を別個に制御する一方で、必要な増量特性を維持することが可能になる。
【0033】
形状に関しては、本発明は、自然な棒状体及び小板状体に向かう形状を利用してホストマトリックスのパーコレーションを高め、その際、棒状体が最も好ましい実施態様であり、これには例えば自然に形成された材料の他に合成して加工された材料が含まれる。棒状体は、平均アスペクト比が約5以上、好ましい実施態様では10以上、特に好ましい実施態様では100以下の粒子と定義される。一実施態様においては、この棒状体の軸方向長さは、約10nm〜100ミクロンの範囲内である。小さい棒状体は、溶剤を使用して仕上ホストマトリックスに添加する際にホストマトリックスを良好にパーコレートさせる。
【0034】
マイクロ粒子は、球状、楕円状及び盤状の形状を形成することが多く、これらは所定の条件下で均一に分布させる能力を減らし、そして凝結した糸状構造をもたらし、これがパーコレーションが生ずる濃度を減らすことがある。パーコレーションを増大させることにより、基材の熱特性を増大させることができ、又は代替的に、基材に添加するのに必要なHTC材料の量を減らすことができる。また、パーコレーションを高めると、避けられるべき凝集ではなく、基材中でのHTC材料の均一な分布がもたらされ、これによってより均一な生成物が得られ、この生成物は不所望な界面、不完全な粒子の濡れ及びマイクロボイドの形成がほとんど見られない。同様に、大きいアスペクト比の粒子から形成された、凝結した糸状又は樹状構造によれば、顆粒状(緻密な)凝結物又は凝集物と比べて熱伝導率が増大する。
【0035】
一実施態様においては、デンドリマーは、有機−無機界面とデンドリマーのコア−シェル構造とが分離していない別々の有機−デンドリマー複合材料を有する。デンドリマーは、中心のコアを基礎とする3次元ナノスケールのコアシェル構造のクラスの1つである。このコアは、有機又は無機材料に基づくものであってよい。このデンドリマーは、中心のコアを基礎とすることにより、同心のシェルを順次添加することで形成される。このシェルは、分枝した分子基を有しており、かつそれぞれの分枝したシェルは世代と称される。一般的に、使用される世代数は1〜10であり、かつ外側のシェル中の分子基の数は世代に伴って指数関数的に増加する。この分子基の組成物は、正確に合成することができ、かつ外側の基は反応性の官能基であってよい。デンドリマーは、ホストマトリックスと結合でき、かつ互いに結合できる。従って、デンドリマーはホストにHTC材料として添加することができる。
【0036】
一般的に、デンドリマーが大きければ大きいほど、フォノンの移動要素として機能する能力が増大する。しかしながら、この材料を浸透させる能力及びその潜在的なパーコレーションは、そのサイズにより悪影響を受けることがあり、従って構造と必要な特性との均衡を達成するために最適なサイズが求められている。他のHTC材料と同様に、デンドリマーに溶剤を添加して、基材、例えば雲母又はガラステープの含浸を促進することができる。多くの実施態様においては、デンドリマーを種々の異なる分子基を有する種々の世代で使用する。
【0037】
市販の有機デンドリマーポリマーは、例えばポリアミド−アミンデンドリマー(PAMAM)及びポリプロピレン−イミンデンドリマー(PPI)及び、PAMAM内部構造とオルガノケイ素外部構造とを有するデンドリマーであるPAMAM−OSである。PAMAM及びPPIは、Aldrich ChemicalTM社から、PAMAM−OSはDow−CorningTMから入手する。
【0038】
同様の必要性が、一緒に又は基材と反応させてよい無機−有機デンドリマーについても存在する。この場合、このデンドリマー表面は、反応性の官能基を含有してよく、これらはデンドリマー−デンドリマー、デンドリマー−有機、デンドリマー−ハイブリッド及びデンドリマー−HTCマトリックス反応を生じさせる上記に規定した基と同様の基である。この場合、デンドリマーは無機コア及び有機シェルを有するか、若しくは逆であり、その際、重要な有機又は無機反応基か又はリガンドの何れかを含有する。従って、一般的なゾルゲル化学分野において関連する反応基と同様の無機反応に関与しうる反応性基、例えばヒドロキシル、シラノール、ビニル−シラン、エポキシ−シラン、及びその他の基をも含有する無機シェルを有する有機コアを有することも可能である。
【0039】
これらの分子基は、互いにか又は基材との反応するそれらの能力に基づいて選択することができる。しかしながら、他の実施態様においては、このデンドリマーのコア構造は、その熱伝導率を促進する能力に基づいて選択し;例えば以下に説明するとおり金属酸化物を選択する。
【0040】
別の実施態様においては、本発明は、有機−無機複合材料を基礎とする新規の電気絶縁材料を提供する。この熱伝導率は、他の絶縁特性、例えば誘電特性(誘電率、誘電損)、電気伝導率、絶縁耐力及び電圧耐久性、熱安定性、引張弾性率、曲げ弾性率、衝撃強さ及び耐熱性に加えて、他の要因、例えば粘弾性特性及び熱膨張率、並びに絶縁性全体に悪影響を与えることなく、最適化する。有機相及び無機相は、特性と性能との適切な均衡を実現するように構築かつ選択される。
【0041】
マイクロ及びナノHTC粒子を、それらの所望の形状、例えば棒状及び小板状に自己凝結する能力に基づいて選択してよい。粒子は、それらの自然に自己集合する能力に基づいて選択してよいが、この工程は外力、例えば電場、磁場、音波、超音波、pH制御、界面活性剤の使用及び粒子の粒子表面の電荷状態、例えば電荷分布の変化に影響を与える他の方法により増幅してよい。特定の実施態様においては、表面コーティングの例となる粒子、例えば窒化ホウ素、窒化アルミニウム、ダイヤモンドを自己集合させて所望の形状を製造する。この態様においては、所望の棒形状を高熱伝導性の材料から最初に製造することができるか又はホストマトリックス中に導入する間に集合させることができる。
【0042】
多くの実施態様においては、HTC材料のサイズ及び形状は同じ使用の範囲内で変動する。広範なサイズ及び形状を同じ製品中に使用する。種々の長い及びより短い変動可能なアスペクト比のHTC材料により、ホストマトリックスの熱伝導率が増大し、かつ物理的特性及び性能が向上する。しかしながら、観察することが望ましい一側面は、粒子の長さは、これが設計によらない限り基材/絶縁層の間の架橋を生じさせるほど長くないことである。また、種々の形状及び長さは、より均一な容量の装填及び充填密度を提供することによりHTC材料のパーコレーション安定性を改善し、これによってより均一なマトリックスが得られる。一実施態様においては、サイズ及び形状を混合する場合、長い粒子はより棒形状である一方で、小さい粒子は球状、小板状又は円板状、更には立方体である。例えば、HTC材料を含有するマトリックスは、約0.1容量%ほどの少ないHTC材料から65容量%ほどの多いHTC材料を、特に好ましくは約1〜25容量%から始まる範囲で含有することができる。
【0043】
関連する実施態様においては、このHTC材料は、規定のサイズ及び形状分布を有してよい。この両方の場合、フィラー粒子の濃度及び相対濃度は、構造的に安定した熱伝導率が増大した別個の2相の複合材料を達成するために、容量装填を有するか又は有しないで高熱伝導率を与えるバルクの接続(又はいわゆるパーコレーション)構造を達することを可能にするように選択する。別の関連した実施態様においては、このHTC材料の配向により、熱伝導率が増大する。更なる別の実施態様においては、このHTC材料の表面コーティングによりフォノンの移動が増大する。これらの実施態様は、他の実施態様とは独立させるか又は関連付けて統合してよい。例えば、デンドリマーを、他の類型の高度な構造化材料、例えば熱硬化性材料及び熱可塑性材料と合する。これらの材料はホストマトリックス中で均一に分布し、こうしてHTC材料がフォノン散乱を減らし、かつフォノンのためのマイクロスケールの橋を提供してHTC材料間の良好な熱伝導性の界面を生じさせる。高度な構造化材料は単一方向に沿って熱伝導率が増大するように整列させて、局所的な又はバルク異方性電気絶縁材料を製造する。別の実施態様においては、HTCは、低熱伝導性のフィラーを、高熱伝導性の金属酸化物、炭化物又は窒化物及び混合系で表面コーティングして、それらを規定のバルク特性を有するフィラーに物理的又は化学的に結合させることにより達せられ、その際、かかる結合は、化学蒸着及び物理蒸着のような方法及びプラズマ処理によっても達せられる。
【0044】
表面官能基の添加は、例えばヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシド、シラン及びビニル基の添加であり、これらはホストマトリックスとの化学反応に有効である。これらの官能基は、無機フィラーの表面上に自然に存在してよいか又は湿式化学法、非平衡プラズマ蒸着、例えばプラズマ重合、化学蒸着及び物理蒸着、スパッタイオンプレーティング、及び電子イオンビーム蒸発法を使用して施与してよい。
【0045】
有機表面コーティング及び無機表面コーティング、例えば金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物及び混合系を設けることができ、これは、選択された粒子サイズ及び形状分布と組み合わせると、絶縁系のバルク熱伝導率及び電気伝導率を制御しつつ規定のパーコレーション構造を提供するが、この粒子の誘電率をこの系の誘電率を制御するように選択してよい。
【0046】
反応性の表面官能基は、無機コーティングに固有の表面の基から形成されていてよいか又は付加的な有機コーティングの施与により達せられてよく、これらは両方ともホストマトリックスとの化学反応に有効なヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシド、シラン、ビニル及びその他の基である。これらの単一又は複数の表面コーティング及び表面官能基は、湿式化学法、非平衡プラズマ法、例えばプラズマ重合及び化学蒸着及び物理蒸着、スパッタイオンプレーティング及び電子イオンビーム蒸発法を使用して施与してよい。
【0047】
ダイヤモンドライクコーティング(DLC)は、硬度が大きく、摩擦が小さく、化学的に不活性であり、かつ電気絶縁のための大きい電気抵抗(〜1013オームcm)と、大きい熱伝導率(>1000W/mK)とを組み合わせることができる。DLCを製造するには、幾つかの方法、例えばプラズマアシスト化学蒸着(PACVD)、物理蒸着(PVD)及びイオンビーム蒸着(IBD)がある。一般的に、このDLCの厚さは1ミクロン未満であり、かつ非晶質炭素及び炭化水素からなり、これはsp2及びsp3混成結合をもたらす。この結合比は、方法のパラメータ、例えばガスとDC電圧との比を変動させることにより変動させて、特性変化を得ることができる。この結合比は、例えばラマン分光分析により直接測定することができる。
【0048】
比較的大きい面積を、完全に迅速にコーティングすることができる。例えば、PICVDの低圧非平衡法を使用すれば、20〜100nmのコーティングを、ガラスクロス表面に、1sqftの面積を数分で適切に施与することができる。例えば、コーティングパラメータを制御又は最適化してコーティング中の応力を減らすために、このDLCを基材に直接施与するか又は他のコーティングを有する基材に施与することができる。このDLCは、連続的であるか又はその範囲内で間隙を有していてよい。間隙は、例えば、含浸させた樹脂をより良好に結合させる際に有利であり得る。
【0049】
熱伝導率においては、構造要素の長さのスケールを、熱移動を担うフォノンの分布よりも短いか又はそれに相応することを確保することによりフォノンの移動が増大し、かつフォノンの散乱が減る。大きいHTC粒子状材料は、それだけでフォノンの移動を実際に増大させることができるが、小さいHTC材料は、ホストマトリックスの性質を変え、これによりフォノンの散乱の変化に作用させることができる。このことは、マトリックスが高熱伝導率を示すこと、かつ粒子サイズがこの作用を持続するのに十分であることを確保すること、更にフォノン散乱の減らすのに必要な長さのスケールを満たすことが公知であるナノ粒子を使用することにより更に支援してよい。より高度に配列した構造、例えば、短期及び長期の周期性並びにマトリックスから形成されていてよい梯子構造及び規則的な網構造の両方を有する反応させたデンドリマー格子の選択を考慮することも必要である。
【0050】
DLCを、ナノ、メソ、マイクロ及びこれより大きい寸法の粒子に施与することにより、高熱伝導性の粒子のサイズ及び形状を設計することが可能になり、従って自然に生ずるか又は生じさせたパーコレーション作用から利益を得ることができる。一例においては、DLCを施与してガラス繊維又は多くの繊維の表面を準連続的にコーティングする。コーティング前のこの繊維表面は、このコーティングから所望の特性を促進するように選択する。次いでこの繊維を、機械的又は他の手段により粉砕して、所望の寸法分布のDLCコーティングされた短い棒状体を得る。別の例においては、DLCコーティングを、表面と厚さとの比が大きい薄片形状の粒子、例えば雲母小薄片及びBN粒子に施与する。
【0051】
多結晶質又は単結晶質のナノ粒子状形においては、これらの粒子は、担体粒子、例えばシリカの表面と結合する。シリカそれ自体は強度の熱伝導材料ではないが、それに表面コーティングを添加すれば大きい熱伝導を示すようになり得る。
【0052】
しかしながら、シリカ及び他のかかる材料は、利益特性、例えば上述のとおり、容易に棒形状粒子に成形されるという特性を有する。この態様においては、種々のHTC特性を組み合わせて1つの製品を得ることができる。これらのコーティングは、後の樹脂含浸及び絶縁テープのガラス成分に適用してもよい。
【0053】
更に、流体流の場並びに電場及び磁場を、このHTC材料に適用してこれらを分布させてよい。棒状及び小板状の形状は、交流電界又は静電場を使用することにより、マイクロスケールで整列させることができる。これは、種々の熱特性を種々の方向で有する材料をもたらす。電場の生成は、種々の公知技術、例えば電極を絶縁導体に接続することにより、又は材料の中央又は絶縁系において導体を使用することにより達成してよい。
【0054】
別の実施態様においては、本発明は、有機−無機複合材料を基礎とする新規の電気絶縁系を提供する。種々の無機成分と有機成分との界面は、化学的及び物理的に均質になるように製造して、種々の相の高程度の物理的連続性を確保し、かつ機械的強度を示す、高電圧及び低電圧の両方の適用に際して使われる電気絶縁系の操作の間に故障しにくい界面を提供する。かかる材料高電圧及び低電圧の電気絶縁の状況に適用を有して、そこでは、界面結合の増大が、電力定格の増大、絶縁系の電圧応力の向上、絶縁厚の減少に関して利点を与え、かつ高度の熱移動を実現する。
【0055】
特定の実施態様では、種々の表面処理剤、ナノ、メソ及びマイクロ無機フィラーを使用して、無機表面をマトリックスに対して適合化できるか又はホストマトリックスとの化学反応を生じさせる種々の表面官能基を導入する。これらの表面官能基は、例えばヒドロキシル、カルボキシル、アミン、エポキシド、シラン及びビニル基であり、これらはホスト有機マトリックスとの化学反応に有効である。これらの官能基は、湿式化学法、非平衡プラズマ法、化学蒸着及び物理蒸着、スパッタイオンプレーティング及び電子イオンビーム蒸発法を使用して施与してよい。
【0056】
一実施態様においては、本発明は、ホストマトリックス、例えば雲母と、このホストマトリックス中に挿入されたHTC材料とを有するHTC紙を提供する。このHTC材料は、少なくとも1種のナノフィラーと、ホストマトリックス上の直接のダイヤモンドライクコーティングと、ナノフィラー上のダイヤモンドライクコーティングとから構成される。
【0057】
特定の実施態様においては、このHTC材料は、HTC紙の0.1〜65容量%を構成し、更なる特定の実施態様においては、このHTC材料はHTC紙の1〜25容量%を構成する。このHTC紙の電気抵抗は、約1012〜1016オームcmであり、かつこの紙の樹脂含浸後の熱伝導率は0.5W/mKよりも大きい。
【0058】
他の特定の実施態様においては、このナノフィラーは5より大きいアスペクト比を有し、かつデンドリマーを含有してもよい。これらを組み合わせてHTC電気絶縁テープを得てよく、かつこのテープの他の成分もHTC材料を含有してよい。
【0059】
別の実施態様においては、本発明は、HTC材料が挿入された雲母紙層と、ガラス繊維裏地層と、この雲母紙層とこのガラス繊維裏地層との界面とを有する電気絶縁テープを提供する。樹脂は、雲母紙層及びガラス繊維裏地層を介して含浸させる。このHTC材料は、少なくとも1種のナノフィラーと、ホストマトリックス上の直接のダイヤモンドライクコーティングと、ナノフィラー上のダイヤモンドライクコーティングとから構成され、かつ1〜25容量%の雲母紙を有する。
【0060】
更なる別の実施態様においては、本発明は、基材を得ること、及びHTC材料をこの基材上に挿入することを含み、このHTC材料はナノフィラーを有しており、このナノフィラーを含有する溶剤をこの基材上に少なくとも1回導入し、次いでこの溶剤を蒸発させ、そしてこのナノフィラーを乾燥粉末としてこの基材に添加し、その際、この乾燥粉末はポリマーを含有し、次いでこの乾燥粉末をこの基材上で溶融させることにより、このナノフィラーをこの基材上に挿入する、HTC紙を製造する方法を提供する。次いでこの基材から紙製品を製造する。このナノフィラーは、例えばDLCによりコーティングされた表面であってよく、かつHTC紙を組み合わせてHTC電気絶縁テープを得てよい。
【0061】
別の実施態様においては、本方法は、基材、例えば雲母を得ること、及びHTC材料をこの基材上に挿入することを含む、HTC紙を製造する方法を含む。次いで、この基材から紙製品を得て、その際、HTC材料は表面コーティング、例えばDLCを有しており、これをこの基材上に蒸着により分散させる。
【0062】
別の実施態様は、基材を得ること、及びこの基材を製紙用スラリー中に導入することを含む、HTC紙を製造する方法を提供する。HTC材料は、この製紙用スラリーに添加して、HTC材料をこの基材上に挿入し、かつこのスラリーを製紙工程に流通させる。この点で、この基材をそれ自体に良好に結合させることを可能にするポリマーがしばしば存在する。このHTC材料はナノフィラーを有しており、このナノフィラーはスラリーを溶剤として使用して基材中に挿入させる。
【0063】
別の実施態様においては、成形された電気絶縁性の紙製品であるホストマトリックスを得ること、及びHTC材料をこのホストマトリックス上に挿入することを含む、HTC紙を製造する方法を提供する。このHTC材料は、このHTCがこの紙を構成する材料に結合するようにこの基材中に挿入する。このHTC材料がナノフィラーである場合、このナノフィラーと溶剤とを混合し、その際、この溶剤をホストマトリックス上に含浸させ、そしてこの溶剤を蒸発させることによりこれらの材料を添加する。HTC材料がDLCであれば、この材料はホストマトリックスに蒸着により添加する。
【0064】
次いで、この紙を組み合わせてHTC電気絶縁テープを得てよい。このHTC材料は、この紙を組み合わせてテープを得る前に、その全て又は一部を添加することができ、又はこのHTC材料は、この紙を組み合わせてテープを得た後に、その全て又は一部で添加することができる。
【0065】
本発明を主に電気工業での使用について説明してきたが、本発明は他の領域にも同等に適用可能である。熱移動の増大を必要とする工業は、同等に本発明から利益を得ると考えられる。例えば、油及びガス工業を含めたエネルギー工業である。本発明の他の目的は、成分密度を高める必要性の拡大が、局所領域及び広範な領域において熱を効率的に除去する要求に導くパワーエレクトロニクス、プリント回路板、慣用の電子製品、及び集積回路を含む。
【0066】
本発明の特定の実施態様を詳細に説明したが、本発明は当業者により認識され、当業者は本開示の全ての教示を鑑みてこれらの詳細に対する種々の変更及び代替を行うことができる。従って、開示した特定の構成は、説明に用いるにすぎないことを意味し、本発明の範囲を限定するものではなく、それは付属の特許請求の範囲の十分な幅及びその任意かつ全ての等価物を与えられるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホストマトリックスと;
前記ホストマトリックス中に挿入された高熱伝導性の材料とを有し:
前記高熱伝導性の材料は、少なくとも1種のナノフィラーと、前記ホストマトリックス上の直接のダイヤモンドライクコーティングと、前記ナノフィラー上のダイヤモンドライクコーティングとから構成された高熱伝導性の紙。
【請求項2】
前記ホストマトリックスが雲母である、請求項1に記載の高熱伝導性の紙。
【請求項3】
前記高熱伝導性の材料が、前記高熱伝導性の紙の0.1〜65容量%を構成する、請求項1に記載の高熱伝導性の紙。
【請求項4】
前記高熱伝導性の材料が、前記高熱伝導性の紙の1〜25容量%を構成する、請求項3に記載の高熱伝導性の紙。
【請求項5】
前記高熱伝導性の紙の電気抵抗が約1012〜1016オームcmであり、かつ熱伝導率が少なくとも500〜1200W/mKである、請求項1に記載の高熱伝導性の紙。
【請求項6】
前記ナノフィラーが5より大きいアスペクト比を有する、請求項1に記載の高熱伝導性の紙。
【請求項7】
前記ナノフィラーがデンドリマーを有する、請求項1に記載の高熱伝導性の紙。
【請求項8】
前記高熱伝導性の紙の組み合わせで高熱伝導性の電気絶縁テープが得られる、請求項1に記載の高熱伝導性の紙。
【請求項9】
高熱伝導性の材料が挿入された雲母紙層と;
ガラス繊維裏地層と;
前記雲母紙層と前記ガラス繊維裏地層の界面と;
前記雲母紙層及び前記ガラス繊維裏地層中に含浸された樹脂とを有し:
前記高熱伝導性の材料は、少なくとも1種のナノフィラーと、前記ホストマトリックス上の直接のダイヤモンドライクコーティングと、前記ナノフィラー上のダイヤモンドライクコーティングとから構成されており;
前記高熱伝導性の材料は前記雲母紙の1〜25容量%を構成する、電気絶縁テープ。
【請求項10】
基材を得ること;
高熱伝導性の材料を前記基材上に挿入すること;
前記基材から紙製品を製造することを含み:
前記高熱伝導性の材料はナノフィラーを有し、前記ナノフィラーを含有する溶剤を前記基材中に少なくとも1回導入し、次いで前記溶剤を蒸発させ、そして前記ナノフィラーを乾燥粉末として前記基材に添加し、その際、前記乾燥粉末はポリマーを含有し、次いで前記乾燥粉末を前記基材上で溶融させることにより、このナノフィラーを前記基材中に挿入する、高熱伝導性の紙を製造する方法。
【請求項11】
前記ナノフィラーがDLCを有する、請求項10に記載の高熱伝導性の紙を製造する方法。
【請求項12】
前記高熱伝導性の紙を組み合わせて高熱伝導性の電気絶縁テープを得る、請求項10に記載の高熱伝導性の紙を製造する方法。
【請求項13】
基材を得ること;
高熱伝導性の材料を前記基材上に挿入すること;及び
前記基材から紙製品を製造することを含み:
前記高熱伝導性の材料が表面コーティングを有しており、この表面コーティングを前記基材上に蒸着により分散させる、高熱伝導性の紙を製造する方法。
【請求項14】
前記表面コーティングがDLCである、請求項13に記載の高熱伝導性の紙を製造する方法。
【請求項15】
基材を得ること;
前記基材を製紙用スラリー中に導入すること;
高熱伝導性の材料を前記製紙用スラリーに添加し、こうして前記高熱伝導性の材料を前記基材中に挿入すること;及び
前記スラリーを製紙工程に流通させることを含み:
前記高熱伝導性の材料はナノフィラーを有しており、このナノフィラーを、このスラリーを溶剤として使用することにより前記基材中に挿入する、高熱伝導性の紙を製造する方法。
【請求項16】
ホストマトリックスを得ること;及び
高熱伝導性の材料を前記ホストマトリックス上に導入することを含み:
前記ホストマトリックスは成形紙であり、かつ高熱伝導性の材料の導入により前記成形紙の熱伝導率が増大する、高熱伝導性の紙を製造する方法。
【請求項17】
前記高熱伝導性の材料はナノフィラーを有し、前記ナノフィラーと溶剤とを混合し、前記溶剤を前記ホストマトリックス上に含浸させ、そして前記溶剤を蒸発させることにより前記ナノフィラーを前記基材中に挿入する、請求項16に記載の高熱伝導性の紙を製造する方法。
【請求項18】
前記高熱伝導性の材料が表面DLCを有し、この表面DLCを前記ホストマトリックスに蒸着により添加する、請求項16に記載の高熱伝導性の紙を製造する方法。
【請求項19】
前記高熱伝導性の紙を組み合わせて高熱伝導性の電気絶縁テープを得る、請求項16に記載の高熱伝導性の紙を製造する方法。
【請求項20】
少なくとも数種の前記高熱伝導性の材料を挿入する前に、前記高熱伝導性の紙を組み合わせて高熱伝導性の電気絶縁テープを得る、請求項19に記載の高熱伝導性の紙を製造する方法。

【公表番号】特表2008−502816(P2008−502816A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−516578(P2007−516578)
【出願日】平成17年6月13日(2005.6.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/020562
【国際公開番号】WO2006/002014
【国際公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【出願人】(505428721)シーメンス パワー ジェネレーション インコーポレイテッド (17)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Power Generation Inc.
【住所又は居所原語表記】4400Alafaya Trail,Orlando,Florida 32826,USA
【Fターム(参考)】