説明

ナノ粒子を含有するサイズ剤でコートされたガラスストランド

本発明は、25から90%の少なくとも1種のフィルム形成剤;3から25%の少なくとも1種のカップリング剤;および2から18%のナノ粒子を質量%単位で含むサイジング組成物でコートされたガラスストランドに関する。本発明はまた、前記ストランドをコートできるサイジング組成物、これを得る方法およびこのようなストランドを組込むコンポジットに関する。本発明のガラスストランドは高い耐湿潤エージング性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機物質および/または無機物質の補強を意図する、ナノ粒子、特にクレー、ベーマイトまたはシリカのナノ粒子を含有するサイズ剤でコートされたガラスストランドに関する。
【0002】
本発明はまた、前記のストランドをコートするために用いるサイジング組成物、前記の組成物を調製する方法、および前記のストランドを組込むコンポジットに関する。
【背景技術】
【0003】
従来、ガラス補強ストランドは、ベースストランドに集合されるフィラメントを形成し、次いで該ストランドを好適な支持体上に纏めるために、溶融ガラスを充填したブッシングの多数のオリフィスから流れ出る溶融ガス流を、重力下で液体高さに起因する静水圧の効果により機械的に伸長させることによって生成する。
伸長の間、およびこれらをストランドに集合させる前、ガラスフィラメントには、サイジング組成物,一般的には水性組成物を、これらにサイジング部材の上を通過させることによりコートする。
【0004】
幾つかの点でサイズ剤は必須である。
ストランドの製造の間、これはストランドの伸長および巻取りのための部材上の高速でのストランドの摩擦によって生じる摩耗から、潤滑剤としての作用によりフィラメントを保護する。サイズ剤は、フィラメントが結合することを確保することによりストランドに粘着性も付与する。最終的に、これによりストランドは、特に幾つかのベースストランドからの「集合」粗紡の形成に必要な巻直し操作に耐えるのに十分に一体化され、そしてこれにより、これらの操作の間に生じる静電気を排除することも可能にもなる。
【0005】
コンポジットを生成する目的での使用の間、サイズ剤は、補強すべきマトリクスによるストランドの含浸を改善し、そしてこれによりガラスと前記のマトリクスとの接着が促進され、よって、改善された機械特性を有するコンポジットが得られる。更に、サイズ剤はストランドを化学的および環境的な攻撃から保護し、それによりこれらの耐久性の増大を促進する。ストランドのチョップ化が必要な用途において、サイズ剤は、フィラメントが広がって分離するのを防ぎ、オーバーサイズを伴うと、チョップ化の間に発生する静電気を分散させるのに寄与する。
【0006】
種々の形状のガラスストランド(連続の、チョップ化または粉砕されたストランド、マット、メッシュ、織物、ニット等)は、一般的に、種々の種類のマトリクスの効果的な補強,例えば熱可塑性または熱硬化性の有機物質および無機物質,例えばセメントに用いる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明のある目的は、サイズ剤でコートされたガラスストランドの耐摩耗性を、特により良好な条件下でこれらを織ることができるように改善することである。
【0008】
本発明の他の目的は、ポリマー物質,特に熱可塑性もしくは熱硬化性のもの、および/または無機物質の補強用の要素として組込むことが意図されるサイズ剤でコートされたガラスストランドの耐湿潤エージング性を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これらの目的は、本発明に従ってナノ粒子を含むサイジング組成物でコートされたガラスストランドによって実現される。
【0010】
より厳密には、本発明のある主題は、特に水性分散体および/または水性サスペンションおよび/または水性エマルションから得られたサイジング組成物でコートされたガラスストランドであって、
25から90%の少なくとも1種のフィルム形成剤;
3から25%の少なくとも1種のカップリング剤;および
2から18%のナノ粒子;
を質量%単位で含むものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明において、用語「ナノ粒子」は、1から100ナノメートルの間、好ましくは1から50ナノメートルの間で変動できる1つ以上の寸法を有する原子または分子のクラスターから形成される物質の粒子を意味するものと理解される。これらの粒子の形状は幅広く変動でき、例えばこれらは球、チューブ、ウイスカー、フレークまたは小板(platelet)の外観を有することができる。
【0012】
繰り返すが、本発明の内容の範囲内で、用語「ストランド」は、多数のフィラメントの集合体から得られるベースストランド、およびこれらのストランドに由来する生成物、特に粗紡の形状であるこれらのベースストランドの集合体を意味するものと理解すべきである。このような集合体は、幾つかのパッケージからベースストランドを同時に繰出し、次いで、回転する支持体上に巻取られる牽引物(tow)に前記ストランドを集合させることにより得ることができる。これらはまた、フィラメントをブッシングの真下に直接集めて回転支持体上に巻取ることにより得られる集合した粗紡のものと等価のタイター(titer)(または線密度)を有する「ダイレクト」粗紡であることができる。
【0013】
また、本発明に従い、表現「水性サイジング組成物」は、伸長の間フィラメント上に堆積させることができる組成物(該組成物は、少なくとも70質量%、好ましくは75質量%の水を含み、そして、所望の場合に10質量%未満、好ましくは5質量%未満の、サイジング組成物の特定構成成分の溶解を促進する1種以上の本質的に有機の溶媒を含んでもよい、サスペンションまたは分散体の形状である)を意味するものと理解される。主要な場合において、特に揮発性有機化合物(VOCs)の雰囲気中への放出を制限するために組成物は有機溶媒を含まない。
【0014】
本発明のフィルム形成剤は、幾つかの様式で作用する:これは、ナノ粒子をガラスフィラメントに接着させてこれらのナノ粒子が(所望の場合には補強すべき物質とともに)結合することを確保することによってコーティングに機械的な結束を与え;これはフィラメントが結合することを助け、最終的に、これはストランドを任意の機械的ダメージならびに化学的および環境的な攻撃から保護する。
【0015】
フィルム形成剤は、ポリビニルアセテートから選択されるポリマー(ホモポリマーまたはコポリマー、例えばビニルアセテート/エチレンコポリマー)、ポリエステル、エポキシ、ポリアクリル酸(ホモポリマーまたはコポリマー)、ポリウレタン、ポリアミド(ホモポリマーまたはコポリマー、例えばポリアミド/ポリスチレンまたはポリアミド/ポリオキシエチレンブロックコポリマー)、セルロースポリマーおよびこれらの化合物のブレンド物である。ポリビニルアセテート、エポキシ、少なくとも1種のエポキシおよび少なくとも1種のポリエステルを含むブレンド物、ならびにポリウレタンは好ましい。
【0016】
好ましくは、フィルム形成剤の量は、サイジング組成物の50から90質量%を示す。
【0017】
カップリング剤は、サイジング剤がガラスの表面に付着することを確保する。
【0018】
カップリング剤は、加水分解性化合物(特に酸の存在下で),例えば、シラン,例えばγ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)トリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、またはスチリルアミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、シロキサン、チタネート、ジルコネート、およびこれらの化合物の混合物により形成される群に属する酢酸、乳酸またはコハク酸、から選択される。好ましくはシランが選択される。
【0019】
好ましくは、カップリング剤の量は、サイジング組成物の5から18質量%を示す。
【0020】
ナノ粒子はサイズ剤に必須である。これは、ストランドの製造の間(ストランドの構成成分のフィラメントが、これらを導くためおよび集合させるために使用する多数の部材の上を高速で走行するとき)、ならびに特に織りによるその変換の間(ストランドが高い引張力および摩擦力に耐えられなければならないとき)の両者で摩耗効果を低減するためにサイズ剤へのナノ粒子の組込みが高度に有利であることが分かるためである。
【0021】
ナノ粒子の他の利点は、水およびガスのバリア効果に対するこれらの寄与である。これは、ナノ粒子が、ガラス中に入組んだ拡散経路を作ることによって水およびガスの急速な浸透を防ぐ障害物であることに起因し、よってこれをより良好に防御する。防御の程度はサイズ剤中のナノ粒子の量および形状に従って変動する。
【0022】
種々の寸法の粒子が上記の効果を与えることができる。この点で、高アスペクト比(最も長い寸法の最も小さい寸法に対する比)を有するナノ粒子,例えば小板は、これらがフィラメントの表面に対して平行に配向できるため特に好適である。これは、ストランドにより大きな耐湿潤エージング性を与える。
ビーズ等のほぼ球形のナノ粒子もまた選択できる。
【0023】
本発明に係るナノ粒子は、鉱物物質からなり、すなわちこれらは、30質量%超、好ましくは40質量%超、および有利には45質量%超のこのような物質を含む。
好ましくは、ナノ粒子は、クレー、ベーマイトまたはシリカを基にする。
【0024】
本明細書における用語「クレー」は、当業者により許容されるその一般的な定義において解釈すべきであり、すなわちこれは、一般式Al23.SiO2.xH2O(式中、xは水和度である)の水和アルミノシリケートを定義する。このようなクレーは、厚み数ナノメートルの、シート上に存在する水酸基と前記のシート間に存在する水および/またはカチオンとの間で、水素結合またはイオン結合によって結合したアルミノシリケートシートからなる。
【0025】
挙げることができる例としては、マイカ型フィロ珪酸塩,例えばスメクタイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ベントナイト、ノントロナイト、バイデライト、volonskoite、サポナイト、ソーコナイト、マガディアイト(magadiite)、バーミキュライト、マイカ、ケニアイト(kenyaite)、および合成ヘクトライトが挙げられる。
【0026】
好ましくは、クレーは、2/1型フィロ珪酸塩、有利にはスメクタイトから選択される。特に好ましいクレーはモンモリロナイトである。
【0027】
クレーは、焼成クレー、例えば温度少なくとも750℃で熱処理を受けたものであることができる。
【0028】
これらのクレーはまた改質クレー、例えばアンモニウム、ホスホニウム、ピリジニウム、またはイミダゾリウムの塩、好ましくはアンモニウム塩の溶液の存在下でのカチオン交換により改質されたものであることができる。
【0029】
クレーナノ粒子は、一般的に、厚み数ナノメートルで長さが最大1ミクロン、一般的には100ナノメートル未満であることができる小板の形状で存在し、これらの小板は個別の小板または凝集体であることができる。
【0030】
クレーナノ粒子は、クレー(上記のように焼成および/または改質されたものであってもよい)を、クレーシートを分離する機能を有する少なくとも1種の膨張剤の作用に供することによって得ることができる。例えば、膨張剤は、テトラヒドロフランまたはアルコール,例えばエタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールおよびポリエチレングリコール、特に分子量1200未満のものであることができる。
【0031】
用語「ベーマイト」は、アルミナ一水和物に関する。好ましくは、ベーマイトは、水酸化アルミニウムから開始する熱水反応により得られる合成ベーマイトである。
ベーマイトナノ粒子は、ビーズ、ニードル、楕円または小板であることができ、後者の形状が好ましい。
【0032】
シリカは好ましくはアモルファスである。
シリカ粒子は、好ましくはビーズの形状である。有利には、ビーズは直径5から35nmであり、そして好ましくは平均直径が約15から20nmである。
【0033】
有利には、ナノ粒子は、水およびガスの拡散速度を遅くするのに寄与し、そしてこれにより湿潤環境中でのストランドの耐エージング性の増大を促進する作用物質で処理される。好ましくは、このような作用物質は疎水性である。
【0034】
粒子を疎水性にする方法は公知である。
例えば、ナノ粒子を形成して、水および酸の存在下で、式RaXY4-aの化合物と反応させることができ、式中:
Rは、水素原子または1から40個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、前記の基は線状、分岐もしくは環状、飽和もしくは不飽和であることが可能であり、1つ以上のOもしくはNのへテロ原子を含んでもよく、または1つ以上のアミノ基、カルボン酸基、エポキシ基、もしくはアミド基で置換されていてもよく、かつ複数のR基は同一もしくは異なる;
XはSi,ZrまたはTiを表す;
Yは、加水分解性基,例えば1から12個の炭素原子を有するアルコキシであり、1つ以上のヘテロ原子OまたはNまたはハロゲン、好ましくはClを含んでもよく;そして、
aは1、2または3である。
【0035】
好ましくは、上記式を満足する化合物はオルガノシランであり、有利には2つまたは3つのアルコキシ基を含むオルガノシランである。
【0036】
挙げることができる例としては、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−スチリルアミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、tert−ブチルカルバモイルプロピルトリメトキシシラン、およびγ−(ポリアルキレンオキシド)プロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0037】
好ましくは、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−スチリルアミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシランおよびγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランである。
【0038】
グラフト化剤は、初めのナノ粒子の15から75質量%、好ましくは30から70質量%の量で添加する。
【0039】
サイジング組成物中のナノ粒子量は、好ましくは、2.5から15%、および有利には4から14%で変動する。
【0040】
サイズ剤の構造中に必須に加わっている上記の構成成分に加え、1種以上の他の構成成分も存在できる。
よって、フィルム形成剤のガラス転移温度を低下させ、これによりサイズ剤にフレキシブル性を与えかつ乾燥後の収縮を制限する可塑剤を導入することが可能である。
【0041】
サイズ剤は、ナノ粒子の分散を助けて他の構成成分と水との間の親和性を促進する分散剤を含むことができる。
【0042】
分散剤は:
有機化合物、特に:
−任意にハロゲン化された、脂肪族または芳香族のポリアルコキシル化化合物,例えば、好ましくは1から30個のエチレンオキサイド基と0から15個のプロピレンオキサイド基とを含むエトキシル化/プロポキシル化アルキルフェノール、好ましくは1から40個のエチレンオキサイド基および0から20個のプロピレンオキサイド基を含むエトキシル化/プロポキシル化ビスフェノール、エトキシル化/プロポキシル化脂肪族アルコール,好ましくは、8から20個の炭素原子を含み、かつ2から50個のエチレンオキサイド基と20個以下のプロピレンオキサイド基とを含むアルキル鎖、これらのポリアルコキシル化化合物は、ブロックコポリマーまたはランダムコポリマーであることができる、
−ポリアルコキシル化脂肪酸エステル、例えばポリエチレングリコール、好ましくは8から20個の炭素原子を含み、かつ2から50個のエチレンオキサイド基および20個以下のプロピレンオキサイド基を含むアルキル鎖、ならびに
−アミン化合物、例えば任意にアルコキシル化されたアミン、アミンオキサイド、アルキルアミド、ナトリウム、カリウムまたはアンモニウムのサクシネートおよびタウレート、糖誘導体、特にソルビタン、およびナトリウム、カリウムまたはアンモニウムのアルキルスルフェート、任意にアルコキシル化されたもの、アルキルホスフェートおよびエーテルホスフェート;ならびに
無機化合物、例えばシリカ誘導体、これらの化合物は、場合によりこれら自体で、または上記の有機化合物との混合物として使用する;
から選択できる。
【0043】
サイジング組成物が安全性の問題を有することを防止し、かつナノ粒子が不均一に分散することを防止するために、カチオン性またはノニオン性の界面活性剤を用いることが好ましい。
【0044】
好ましくは、分散剤の量は、ナノ粒子の質量の0.01から60%、好ましくは0.25から50%である。
【0045】
組成物の粘度をフィラメントへの適用の条件(この粘度は一般的に5から80mPa・s、好ましくは少なくとも7mPa・sである)に調整することを可能にする粘度調整剤を導入することもまた可能である。本明細書の残り部分で説明するように、この作用物質によれば、ナノ粒子分散体の粘度を、これらの剥離の状態を改善するために高せん断条件下で処理できるようにするために調整することもまた可能になる。
【0046】
粘度調整剤は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、およびポリエチレングリコールから選択される。
【0047】
サイズ剤中の調整剤の量は、好ましくは0.5から25%の間、および有利には1.5から18%の間である。
【0048】
サイズ剤はまた:
0.5から20質量%、好ましくは1.5から15質量%の潤滑剤、例えばミネラルオイル、脂肪酸エステル,例えばイソプロピルパルミテートまたはブチルステアレート、アルキルアミンまたはポリエチレンワックス;
0.25から20質量%、好ましくは0.5から15質量%の錯化剤,例えばEDTA誘導体、没食子酸またはリン酸;ならびに
0.05から3質量%、好ましくは0.1から1.5質量%の消泡剤,例えばシリコーン、ポリオールもしくはベジタブルオイル
を含むことができる。
【0049】
容易に製造できるガラスストランドの生成に寄与する、上記の化合物の全ては、補強剤として使用でき、何らの問題もなくコンポジットの製造の間にレジン中に組込まれ、そしてまた高い耐摩耗性および湿潤環境中での耐エージング性を有する。
【0050】
原則として、サイズ剤の量は、最終ストランドの0.2から5質量%、好ましくは0.35から3質量%を示す。
【0051】
本発明に係るサイジングされたストランドは、任意の種類のガラス、例えばE,C,R,ARおよび、低ボロン量(6%未満)のガラスで形成できる。EおよびARは好ましい。
【0052】
ストランドを構成するガラスフィラメントの直径は、例えば5から30μmで幅広く変動できる。同様に、ストランドの線密度においては幅広いばらつきが生じる可能性があり、これは意図する用途に応じて11から4800texの範囲であることができる。
【0053】
本発明の他の主題は、ガラスフィラメント上に堆積させることができるサイジング組成物である。これは上記の構成成分および水を含む。
【0054】
水性サイジング組成物は:
1.5から15%、好ましくは2.5から10%の少なくとも1種のフィルム形成剤;
0.15から4%、好ましくは0.25から2.5%の少なくとも1種のカップリング剤;
0.1から4%、好ましくは0.15から2%のナノ粒子;
0から2%、好ましくは0.1から1.2%の少なくとも1種の潤滑剤;
0から4%、好ましくは0.05から2%の少なくとも1種の分散剤;および
0から4%、好ましくは0.05から2%の少なくとも1種の粘度調整剤;
を質量%単位で含む。
【0055】
使用される水の量は、2から35%、好ましくは2.5から25%、および更により良好には3から15%で変動する固形分量が得られるように決定する。
【0056】
サイジング組成物の調製は、以下:
a)好ましくは分散剤を含む、ナノ粒子の水中の分散体Dを生成すること;
b)サイズ剤、すなわちフィルム形成剤、カップリング剤および上記の任意の構成成分の他の成分を、エマルションEを形成するために水中に導入すること;ならびに
c)分散体DとエマルションEとをブレンドすること
のように実施する。
【0057】
有利には、工程a)およびc)は、十分に撹拌しながらナノ粒子の沈降の恐れを回避して実施する。
【0058】
シート様材料、すなわちクレーまたはべーマイトを基にしたナノ粒子の分散体は、全て物質の剥離の程度を増大させる目的を有する種々の手法で得ることができる。
【0059】
第一の態様に従い、ナノ粒子は、分散剤を含む水中に導入し、そして混合物を高せん断条件下、例えばUltraturax(登録商標)装置内でおよび/または超音波の作用に供して処理する。
【0060】
目安を示すと、良好なナノ粒子分散体は、混合物を、速度3000から10000rpmで5から30分間運転するUltraturax(登録商標)内で、または電力200Wおよび周波数20kHzで15から120分間超音波で処理することによって得る。
【0061】
好ましくは、上記のフィルム形成剤から選択されるポリマー剤を、混合物に添加する。
【0062】
有利には、処理、特にナノ粒子にせん断力を受けさせる時点の前に粘度調整剤を混合物中に導入する。
【0063】
第2の態様に従い、ナノ粒子は、熱可塑性ポリマー,例えばポリビニルアセテート、ポリアミドおよびポリウレタン、または熱硬化性樹脂,例えばエポキシ、フェノールレジンもしくはアクリルレジン、およびポリウレタンの顆粒と混合し、そして混合物は押出機内に導入する。次いで、本質的に水性の媒体中、当業者に公知の条件下で押出物をエマルション化する。この態様はまた、シリカビーズの形状のナノ粒子に適用され、この場合での好ましいレジンはエポキシレジンまたはアクリルレジンである。
【0064】
前述したように、水性サイジング組成物は、フィラメント上に、これらを1つまたは複数のベースストランドに集合させる前に堆積させる。通常水は、ストランドを集めた後にこれを乾燥させることにより除去する。
【0065】
本発明の他の主題は、少なくとも1種の有機および/または無機の物質と補強ストランドとのコンポジットであり、前記のストランドの全部または一部が、上記したサイジング組成物でコートされたガラスストランドからなる。有機物質は、1種以上の熱可塑性または熱硬化性のポリマーからなることができ、そして無機物質は、例えばセメント質物質であることができる。
【0066】
コンポジット中のガラス量は、一般的に5から60質量%の間である。
【0067】
以下に与える例は本発明を示すがこれを限定するものではない。
これらの例において、ストランドおよびコンポジットの特性は、以下の条件下で評価した。
【0068】
サイジングされたガラスストランドの強熱減量は、ISO1887規格の条件下で測定し、%単位で得た。
【0069】
ストランドの耐摩耗性は、ケーク由来の1kgの300texのストランド、または3kgの非巻取りストランドを1600texの集合粗紡から速度200m/分で回転する一連の4または6バーからなる供給系によって形成することによって形成したファズ(fuzz)(フィブリル形状)の量を測定することによって評価した。
【0070】
ファズの量は、ストランドのmg/100g単位で表す;
ストランドの引張強度は、ISO3341規格の条件下で引張破断力を測定することにより評価し、N/tex単位で表した;
【0071】
レジンが含浸されるストランドの親和性は、以下の条件下で測定した:40mのストランドを長さ30cmに切断し、これを平行にMylar(登録商標)のシート上に置き、20gのレジン(100質量部のエポキシレジン(SP SYSTEMESにより販売されるPRIME(登録商標)20 LV)および25質量部の硬化剤(SP SYSTEMESにより販売されるPRIME(登録商標)20 SLOW HARDENER)からなる)を堆積させ、Mylar(登録商標)のシートを上部に置き、ローラを用いて集合体を圧縮した。
得られたコンポジットシートを2時間105℃で加熱した。
【0072】
コンポジット中のストランドのレジンによる含浸の質は、1=良好な含浸(フィラメントは見えず)から5=乏しい含浸(多数の白色ストランド)に変動する評定に従って目視で評価し;
ストランドの引張強度は、80℃での水蒸気で飽和させたチャンバー中での湿潤エージング処理の後に測定し;
耐湿潤エージング性は、平行のストランドを有するコンポジットシート上で、ISO9291規格の条件下で評価し、用いたレジンは100質量部のエポキシレジン(SP SYSTEMESにより販売されるPRIME(登録商標)20 LV)および26質量部の硬化剤(SP SYSTEMESにより販売されるPRIME(登録商標)10 EXTRASLOW HARDENER)からなる。コンポジットシートから切断したテストピースを、72時間沸水中で処理した。
【0073】
3点曲げにおける強度は、テストピース上で横方向で測定し、そしてガラス量100%についての強度を算出した。応力をMPa単位で表す;
【0074】
疲労試験は、NFT51−120−4規格の条件下で実施した。試料に適用した応力は700MPaであった。最良のサンプルについて得た損傷前のサイクルの最大数およびサイクルの数の平均(5試験試料で算出した)を評価した。
【0075】
例において、以下の原料をサイジング組成物の調製のために用いた:
−フィルム形成剤:
・ポリビニルアセテート,照会番号VINAMUL(登録商標)8828でVinamulにより販売されるもの,固形分量52%:
・ポリビニルアセテート,分子量50000,照会番号VINAMUL(登録商標)8852でVinamulにより販売されるもの,固形分量55%を有する;
・ビスフェノールAエポキシレジン,照会番号EPIREZ(登録商標)3510 W 60でResolutionにより販売されるもの,固形分量60%;
・ビスフェノールAエポキシレジン/1−メトキシ−2−プロパノール混合物,照会番号NEOXIL(登録商標)962DでDSMにより販売されるもの,固形分量40%;
・ビスフェノールAエポキシレジン(30.7質量%),照会番号ARALDITE CY 207でHuntsmanにより販売されるもの,と、ポリエステルレジン(10質量%),照会番号NORSODYNE So56でCray Valleyにより販売されるもの,固形分量64%、との混合物;および
・エポキシレジン,照会番号FILCO(登録商標)310でCOIMにより販売されるもの,固形分量52%;
【0076】
−カップリング剤:
・γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、照会番号SILQUEST(登録商標)A−174NTでGE Siliconesにより販売されるもの,固形分量80%(化合物は、酢酸存在下で前加水分解した);
・γ−アミノプロピルトリエトキシシラン,照会番号SILQUEST(登録商標)A−1100でGE Siliconesにより販売されるもの,固形分量100%;
・シリル化ポリアザミド,照会番号SILQUEST(登録商標)A−1387でGE Siliconesにより販売されるもの,固形分量50%;
・γ−グリシドオキシプロピルトリエトキシシラン,照会番号SILQUEST(登録商標)A−187でGE Siliconesにより販売されるもの,固形分量100%;
【0077】
−ナノ粒子:
・4級アンモニウム塩でイオン交換することにより改質したクレー(モンモリロナイト),照会番号Dellite(登録商標)67GでLaviosa Chimica Minerariaにより販売されるもの,固形分量100%;
・4級アンモニウム塩でイオン交換することにより改質したクレー(モンモリロナイト)(照会番号Dellite(登録商標)67GでLaviosa Chimica Minerariaにより販売される)とビスフェノールAジグリシドールエーテルレジン(照会番号ARALDITE(登録商標)GY 250でHuntsmanにより販売されるもの)とのコンポジット粒子を水性エマルションとして,固形分量50.4%,以後Dellite(登録商標)67G+ARALDITEと称する;
・4級アンモニウム塩でイオン交換することにより改質したクレー(モンモリロナイト)(照会番号Dellite(登録商標)67GでLaviosa Chimica Minerariaにより販売される)の、PEG300とN−スチリルアミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(照会番号SILQUEST A−1128でGE Siliconesにより販売されるもの)との分散体中で処理したもの,固形分量100%,以後Dellite(登録商標)67G+A−1128/PEGと称する;
・4級アンモニウム塩でイオン交換することにより改質したクレー(モンモリロナイト)(照会番号Dellite(登録商標)67GでLaviosa Chimica Minerariaにより販売されるもの)の、PEG300とN−スチリルアミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(照会番号SILQUEST A−1128でGE Siliconesにより販売されるもの)との分散体中で処理したもの,固形分量100%,以後Dellite(登録商標)67G+A−11228/PEGと称する;
・クレー(モンモリロナイト),照会番号Dellite(登録商標)HPSでLaviosa Chimica Minerariaにより販売されるもの,固形分量100%,
・ビスフェノールAエポキシレジン中のシリカビーズ,照会番号NANOPOX(登録商標)でHanse Chemieにより販売されるもの,水性分散体,固形分量56%,
・小板形状のベーマイト:
ベーマイトA:アミノシランにより改質したもの(照会番号SILQUEST A−1100でGE Siliconesにより販売されるもの);ナノ粒子の質量1%,固形分量100%;
ベーマイトB:アミノシランにより改質したもの(照会番号SILQUEST A−1100でGE Siliconesにより販売されるもの);ナノ粒子の質量2%,固形分量100%;
ベーマイトC:メタクリロキシシランにより改質したもの(照会番号SILQUEST A−174でGE Siliconesにより販売されるもの);ナノ粒子の質量1%,固形分量100%;
【0078】
−可塑剤:
・ジプロピレングリコールジベンゾエート/ジエチレングリコールジベンゾエート混合物,照会番号K−FLEX(登録商標)500でEuramにより販売されるもの,固形分量100%;および
・エトキシル化脂肪族アルコール,照会番号SETILON(登録商標)KNでCognisにより販売されるもの,固形分量57%;
【0079】
−粘度調整剤:
・カルボキシメチルセルロース,照会番号BLANOSE(登録商標)7HCでHerculesにより販売されるもの,固形分量100%;
・ヒドロキシエチルセルロース,照会番号NATROSOL(登録商標)250 HBRでAqualonにより販売されるもの,固形分量100%;ならびに
【0080】
−分散剤および潤滑剤:
・ポリアクリレート基により改質したポリエーテル,照会番号TEGO DISPERS(登録商標)750 WでDegussaにより販売されるもの,固形分量40%;
・ポリマー分散剤,照会番号SOLSPERSE(登録商標)27000でAveciaにより販売されるもの,固形分量100%;
・アルキルアミド−アミン,照会番号SODAMINE(登録商標)P 45でArkemaにより販売されるもの,固形分量100%;
・アルキルベンゼン,照会番号TORFIL(登録商標)LA4でLambertiにより販売されるもの,固形分量100%,
・ポリエチレンイミン塩,照会番号EMERY(登録商標)6760でCognisにより販売されるもの,固形分量50%;
・エトキシル化アルコールとグリセロールエステルとの混合物,照会番号TEXLUBE(登録商標)NI/CS2でAchitexにより販売されるもの,固形分量100%;
・ミネラルオイル,照会番号CIRRALUG(登録商標)VT01でPetronaphteにより販売されるもの,固形分量98%;および
・アルキルアミド−アミンアセテート,CATIONIC SOFTENER FLAKES(登録商標)でGoldschmidtにより販売されるもの,固形分量100%;ならびに、
【0081】
−消泡剤:
・ポリエーテル,照会番号TEGO FOAMEX(登録商標)830でDegussaにより販売されるもの,固形分量100%。
【0082】
例1〜7
これらの例は、クレーナノ粒子を含有するサイジング組成物でコートされたベースガラスストランドを示す。
サイジング組成物は、表1(質量パーセント単位)に示す原料を含有する。
【0083】
分散体Dは、以下の条件で調製した:
−均質化まで撹拌(例1);
−1時間の機械攪拌の後、Ultraturax(登録商標)処理を9000rpmで5分間(例2,6および7);ならびに
−構成成分の均質化、超音波処理を30分間、およびUltraturax(登録商標)処理を9000rpmで5分間(例3〜5)。
例7においては、上記条件下での分散前に、クレー粒子を1,4−ブタンジオールに3時間接触させた。
【0084】
サイジング組成物は、単一ストランドに集合させる前に直径13μmのE−ガラスフィラメント上に堆積させ、そしてケーク形状に巻取った。
得られたストランドの特性を表1に示す。
【0085】
表1のサイズ剤は、SMC(シート成形化合物)の生成に適合させた。ファズの量は生成物の使用に対する重要な尺度である。ナノ粒子を含有しない比較例1と比べ、本発明に係る例2〜7のストランドは、大幅により少量であるファズによって与えられるより良好な耐摩耗性を示す。
【0086】
耐摩耗性はサイズ剤中のナノ粒子の量に左右される:例2および3のストランドは、例4〜7よりも少量のファズを有する。
【0087】
【表1】

【0088】
例8〜10
これらの例は、クレーナノ粒子を含有するサイジング組成物でコートされた、集合したガラスストランドを示す。
サイジング組成物は、表2(総量に対する質量%単位)に示す原料を含有する。
【0089】
分散体Dは以下の条件下で処理した:
−1時間の機械攪拌の後、Ultraturax(登録商標)処理を9000rpmで5分間(例8および9);ならびに
−均質化まで撹拌(例10)
【0090】
サイジング組成物は、線密度100texの4本のストランドに集合させる前に直径16μmのE−ガラスフィラメント上に堆積させ、そしてケークとして単一支持体上に巻取った。次いでストランドを4つのケークから押出し、そして(1600texの)単一ストランドに集合させ、これを粗紡の形状に巻取った。
得られたストランドの特性を表2に示す。
【0091】
【表2】

【0092】
追加の集合工程を行った本発明に係る例8および9のストランドの耐摩耗性は、対照ストランド(例10)よりも高かった。
【0093】
例11〜17
これらの例は、クレーまたはシリカのナノ粒子を含有するサイジング組成物でコートされたベースガラスストランドを示す。
サイジング組成物は、表3(総量に対する質量%単位)に示す原料を含有する。
【0094】
分散体Dは、以下の条件下で処理した:
−1時間の機械攪拌の後、Ultraturax(登録商標)処理を5000rpmで5分間(例11〜13);
−1時間の激しい機械攪拌(例14および15);ならびに
−撹拌なし(例17および18)。
【0095】
サイジング組成物は、単一ストランドに集合させる前に直径13μmのE−ガラスフィラメント上に堆積させ、そしてケークとして巻取った。
【0096】
本発明に係る例11〜15のガラスストランドは、対照ストランドと比べて優れた耐摩耗性を示す(例16および17)。対照ストランドは、6バーでの試験において損傷し、そして4バーでの試験における本発明のストランドよりも多量のファズを与えた。
【0097】
例11〜15のストランドの強靭性は、比較例16および17のストランドのものと同等である。強靭性において観測されたばらつきは、ナノ粒子によるストランドの品位の改質に関連する。
【0098】
【表3】

【0099】
例18〜21
これらの例は、ベーマイトナノ粒子を含有するサイジング組成物でコートされた、ベースガラスストランドを示す。
サイジング組成物は、表4(総量に対する質量%)に示す原料を含有した。
【0100】
分散体Dは以下の条件下で調製した:
−撹拌なし(例18);ならびに
−Ultraturax(登録商標)処理を5000rpmで5分間(例19〜21)。
【0101】
分散体はゲルであった。
サイジング組成物は、単一ストランドに集合させる前に直径13μmのE−ガラスフィラメント上に堆積させ、そしてケークとして巻取った。
【0102】
【表4】

【0103】
ナノ粒子をサイジング組成物中に導入することはストランドの性能を低下させず:強靭性は例18の対照ストランドと同等であり、そして耐摩耗性は例20および21が受けることができるよりも大幅に高いことが観察された。
【0104】
コンポジットシートは例18〜20のストランドから生成し(ここでストランドは上記したように平行でエポキシレジンが含浸されたものである)、そしてこれらのコンポジットシートの耐湿潤エージング性を測定した。結果を以下の表5に示す:
【0105】
【表5】

【0106】
本発明に係るストランドは、湿潤エージングおよび疲労性能の顕著な改善を示す。特に例19は、試験試料が損傷する前の、サイクルの最大数における114%の増大およびサイクルの平均数における57%の増大を示す。
【0107】
例22〜27
これらの例は、ベーマイトナノ粒子を含有するサイジング組成物でコートされたベースガラスストランドを示す。
サイジング組成物は、表6(総量に対して質量%単位)に示す原料を含有した。
【0108】
分散体Dは、以下の条件下で処理した:
−20分間の機械攪拌(例22);ならびに
−20分間の機械攪拌の後、Ultraturax(登録商標)処理を5000rpmで30分間(例23〜25)。
【0109】
サイジング組成物は、単一ストランドに集合させる前に直径13μmのE−ガラスフィラメント上に堆積させ、そしてケークとして巻取った。
【0110】
【表6】

【0111】
形成されたファズの量により測定される例23〜25のストランドの耐摩耗性は、同等の強靭性についての比較のために与えられる例22のストランドよりも極めて大幅に大きい。
【0112】
これらのストランドの強度は、初期状態において比較例22と大きさが同一桁であり、そしてエージングの14日後には増大(11から72.7%の範囲の増大を伴う)した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
25から90%の少なくとも1種のフィルム形成剤;
3から25%の少なくとも1種のカップリング剤;および
2から18%のナノ粒子;
を質量%単位で含むサイジング組成物でコートされたガラスストランド。
【請求項2】
フィルム形成剤が、ポリビニルアセテート、ポリエステル、エポキシ、ポリアクリル酸、ポリウレタン、ポリアミド、セルロースポリマー、およびこれらの化合物のブレンド物から選択されることを特徴とする、請求項1に記載のガラスストランド。
【請求項3】
フィルム形成剤が、ポリビニルアセテート、エポキシ、少なくとも1種のエポキシと少なくとも1種のポリエステルとを含むブレンド物、およびポリウレタンから選択されることを特徴とする、請求項2に記載のガラスストランド。
【請求項4】
フィルム形成剤が、サイジング組成物の50〜90質量%を示すことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のガラスストランド。
【請求項5】
カップリング剤が、シラン、シロキサン、チタネート、ジルコネート、およびこれらの化合物の混合物からなる群に属する加水分解性化合物から選択されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のガラスストランド。
【請求項6】
カップリング剤がシランであることを特徴とする、請求項5に記載のガラスストランド。
【請求項7】
カップリング剤が、サイジング組成物の5から18質量%を示すことを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のガラスストランド。
【請求項8】
ナノ粒子が、最大30質量%、好ましくは最大40質量%、そして更により良好には最大45質量%の鉱物物質を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のガラスストランド。
【請求項9】
ナノ粒子が、クレー、ベーマイトまたはシリカを基にすることを特徴とする、請求項8に記載のガラスストランド。
【請求項10】
ナノ粒子が、水の拡散速度を遅くすることを促進する作用物質、好ましくは疎水性作用物質で処理されていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載のガラスストランド。
【請求項11】
作用物質が、式RaXY4-a
式中:
Rは、水素原子または1から40個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、前記基は線状、分岐もしくは環状、飽和もしくは不飽和であることが可能であり、1つ以上のOもしくはNのヘテロ原子を含んでもよく、または1つ以上のアミノ基、カルボン酸基、エポキシ基もしくはアミド基で置換されていてもよく、かつ複数のR基は同一もしくは異なる;
Xは、Si、ZrまたはTiを表す;
Yは、加水分解性基,例えば1から12個の炭素原子を有するアルコキシであり、1つ以上のヘテロ原子OまたはNまたはハロゲン、好ましくはClを含んでもよく;そして
aは1、2または3である
の化合物であることを特徴とする、請求項10に記載のガラスストランド。
【請求項12】
化合物が、オルガノシラン、好ましくは2つまたは3つのアルコキシ基を含むものであることを特徴とする、請求項11に記載のガラスストランド。
【請求項13】
ナノ粒子が、サイジング組成物の2.5から15質量%、好ましくは4から14質量%を示すことを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載のガラスストランド。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載のガラスストランドのための水性サイジング組成物であって、
1.5から15%、好ましくは2.5から10%の少なくとも1種のフィルム形成剤;
0.15から4%、好ましくは0.25から2.5%の少なくとも1種のカップリング剤;
0.1から4%、好ましくは0.15から2%のナノ粒子;
0から2%、好ましくは0.1から1.2%の少なくとも1種の潤滑剤;
0から4%、好ましくは0.05から2%の少なくとも1種の分散剤;および
0から4%、好ましくは0.05から2%の少なくとも1種の粘度調整剤
を含むことを特徴とする、水性サイジング組成物。
【請求項15】
2から35%、好ましくは2.5から25%および更により良好には3から15%で変動する固形分量を有することを特徴とする、請求項14に記載のサイジング組成物。
【請求項16】
請求項14または15に記載のサイジング組成物を調製する方法であって、以下の工程:
a)好ましくは分散剤を含む、ナノ粒子の水中の分散体Dを生成すること;
b)サイズ剤、すなわちフィルム形成剤、カップリング剤および前記の任意の構成成分の他の成分を、エマルションEを形成するために水中に導入すること;ならびに
c)分散体DとエマルションEとをブレンドすること
を含む、方法。
【請求項17】
工程a)における分散を、高せん断条件下、例えばUltraturax(登録商標)装置で、および/または超音波で実施することを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも1種の有機物質および/または無機物質、ならびにガラス補強ストランドを含むコンポジットであって、前記ストランドの全部または一部が請求項1〜13のいずれかに記載のガラスストランドからなることを特徴とするコンポジット。
【請求項19】
5から60質量%のガラスを含むことを特徴とする、請求項18に記載のコンポジット。

【公表番号】特表2009−520672(P2009−520672A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546551(P2008−546551)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【国際出願番号】PCT/FR2006/051374
【国際公開番号】WO2007/074281
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(507392897)
【Fターム(参考)】