説明

ナノ粒子含有層の製造方法及びその製造装置、並びに導電性構造物の製造方法及びその製造装置

【課題】ナノ粒子と分散剤とを含有し、ナノ粒子の分散性が良好な塗布液を用いて形成した均一な塗膜中で、ナノ粒子に吸着した分散剤を分離して分散性を低下させ、ナノ粒子同士の接点を増加させて、乾燥後のナノ粒子含有層中でナノ粒子同士を密に接触させる、簡便で効率のよいナノ粒子含有層の製造方法及びその製造装置、並びに、導電性を有するナノ粒子同士の接点を増加させて導電性ナノ粒子のネットワークを形成し、導電性及び透明性に優れる導電性構造物の製造方法及びその製造装置を提供する。
【解決手段】ナノ粒子30a,30bと、ナノ粒子を分散させる分散剤31と、を少なくとも含むナノ粒子含有塗布液を基材に塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程と、塗膜に音波振動を与える処理、及び塗膜に分散剤に対する貧溶媒を与える処理の少なくともいずれかの処理により塗膜中でナノ粒子を凝集させるナノ粒子凝集工程と、を含むナノ粒子含有層の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ粒子含有層の製造方法及びその製造装置、並びに導電性構造物の製造方法及びその製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノ粒子を含有する塗布液を基材に塗布して塗膜を形成し、該塗膜を乾燥させてナノ粒子含有層を形成する技術は、導電性材料等の各種エレクトロニクス材料の製造や、インク分野等の種々に分野に利用されている。ナノ粒子を均一に塗布するために、塗布液中のナノ粒子の分散性を高める努力がなされており、近年、塗布液中のナノ粒子の分散性を高める方法として、塗布液に分散剤を添加することが必須となってきている。
【0003】
しかし、塗布液を乾燥させてナノ粒子含有層を形成する際には、分散剤による分散効果は、ナノ粒子に分散剤が吸着して得られるため、ナノ粒子同士の接触が阻害された状態である。そのため、乾燥後にナノ粒子同士の接点を増加させたい場合には、逆に不都合が生じる場合がある。
例えば、前記ナノ粒子が導電性ナノ粒子であり、導電層を作製する場合などは、導電性ナノ粒子同士の接点が増加することで導電性ナノ粒子によるネットワークが形成され、好適な導電性を得ることができるため、導電性ナノ粒子同士の接触が分散剤により阻害されると導電性が低くなるという問題がある。
【0004】
この問題に対し、有機保護剤が吸着した金属微粒子の水分散液と、水と相溶せず水より比重の小さい有機溶剤に導電性を有する高分子化合物を溶解した高分子溶液とを混合して水相と有機相とに分離した分離溶液を形成し、これに有機保護剤を溶解する溶解液を添加して、上記分離溶液の液液界面に金属微粒子の凝集体を形成させ、次いで有機溶媒を揮発させることによって上記有機相に含まれる高分子をフィルム化して上記液液界面の金属微粒子凝集体を該フィルムに取り込ませ、該フィルムの液液界面の表層部分に金属微粒子凝集体を含有する高分子フィルムを製造する方法が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、この提案の方法は、分離溶液に更に界面活性剤を添加することや、フィルム化した後に基材にフィルムに取り込ませる操作などが必要であり、操作が煩雑である。更に、液体中で金属微粒子の凝集体を形成させるため、該液体を収容する容器が必要であり、大きいサイズのフィルムを作製するのには不向きであり、量産性に欠けるという問題がある。
【0005】
また、基材上で直接粒子の凝集体を作製する方法としては、水等の第一の溶媒に粒子を分散させた粒子分散液を基材に付与し、この基材を、前記第一の溶媒と相分離し得る有機溶媒等の第二の溶媒中に配置し、前記基材の表面上で形成された、前記第一の溶媒と前記第二の溶媒との液液界面において、前記第一の溶媒が前記第二の溶媒中に拡散することを利用して、該液液界面に粒子を集積させる方法が提案されている(特許文献2参照)。
しかし、この提案の方法は、第一の溶媒と粒子とを分離して粒子を密に配置することはできるものの、第一の溶媒中に分散剤を含む系では、粒子に結合した分散剤を該粒子から分離することができるものではない点で問題である。
【0006】
したがって、ナノ粒子と分散剤とを含有し、該ナノ粒子の分散性が良好な塗布液を用いて形成した均一な塗膜において、該塗膜中で、ナノ粒子に吸着した分散剤を分離して分散性を低下させ、ナノ粒子同士の接点を増加させることができ、乾燥後のナノ粒子含有層中でナノ粒子同士が密に接触でき、簡便で製造効率のよいナノ粒子含有層の製造方法及びその製造装置、並びに、前記ナノ粒子が導電性ナノ粒子であり、該導電性ナノ粒子同士の接点を増加させることで導電性ナノ粒子のネットワークを形成し、導電性及び透明性に優れる導電性構造物の製造方法及びその製造装置の提供が求められているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−16953号公報
【特許文献2】特開2006−159166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、ナノ粒子と分散剤とを含有し、該ナノ粒子の分散性が良好な塗布液を用いて形成した均一な塗膜において、該塗膜中で、ナノ粒子に吸着した分散剤を分離して分散性を低下させ、ナノ粒子同士の接点を増加させることができ、乾燥後のナノ粒子含有層中でナノ粒子同士が密に接触でき、簡便で製造効率のよいナノ粒子含有層の製造方法及びその製造装置、並びに、前記ナノ粒子が導電性ナノ粒子であり、該導電性ナノ粒子同士の接点を増加させることで導電性ナノ粒子のネットワークを形成し、導電性及び透明性に優れる導電性構造物の製造方法及びその製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、以下のような知見を得た。即ち、本発明のナノ粒子含有層の製造方法は、ナノ粒子と、該ナノ粒子を分散させるための分散剤と、を少なくとも含むナノ粒子含有塗布液を基材に塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程と、前記塗膜に音波振動を付与する処理、及び前記塗膜に前記分散剤に対する貧溶媒を付与する処理の少なくともいずれかの処理により前記塗膜中で前記ナノ粒子を凝集させるナノ粒子凝集工程と、を含むことにより、ナノ粒子と分散剤とを含有し、前記ナノ粒子の分散性が良好な塗布液を用いて形成した均一な塗膜において、前記塗膜中で、ナノ粒子に吸着した分散剤を分離して分散性を低下させ、ナノ粒子同士の接点を増加させることができ、乾燥後のナノ粒子含有層中でナノ粒子同士が密に接触でき、簡便で製造効率がよいナノ粒子含有層を製造できること、また、前記ナノ粒子が導電性ナノ粒子である場合、導電性及び透明性に優れる導電性構造物を製造できることを知見し、本発明の完成に至った。
【0010】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> ナノ粒子と、該ナノ粒子を分散させるための分散剤と、を少なくとも含むナノ粒子含有塗布液を基材に塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程と、前記塗膜に音波振動を付与する処理、及び前記塗膜に前記分散剤に対する貧溶媒を付与する処理の少なくともいずれかの処理により前記塗膜中で前記ナノ粒子を凝集させるナノ粒子凝集工程と、を含むことを特徴とするナノ粒子含有層の製造方法である。
<2> 音波振動を付与する処理が、塗膜の塗布面側から、空気を介して前記音波振動を前記塗膜に付与する処理である前記<1>に記載のナノ粒子含有層の製造方法である。
<3> 空気を介して音波振動を塗膜に付与する処理において、該音波振動の周波数が100Hz以上である前記<2>に記載のナノ粒子含有層の製造方法である。
<4> 音波振動を付与する処理が、塗膜の基材側から、該基材及び液体の少なくともいずれかを介して前記音波振動を前記塗膜に付与する処理である前記<1>に記載のナノ粒子含有層の製造方法である。
<5> 基材及び液体の少なくともいずれかを介して音波振動を塗膜に付与する処理において、該音波振動が超音波成分を含む前記<4>に記載のナノ粒子含有層の製造方法である。
<6> 分散剤に対する貧溶媒を付与する処理が、前記貧溶媒を含むミストを塗膜に吹き付ける処理、及び前記塗膜を前記貧溶媒を含むミストが充填されている領域中に配置する処理のいずれかの処理である前記<1>に記載のナノ粒子含有層の製造方法である。
<7> ナノ粒子凝集工程の後、塗膜を乾燥させる乾燥工程を更に含む前記<1>から<6>のいずれかに記載のナノ粒子含有層の製造方法である。
<8> ナノ粒子含有塗布液の25℃における塗膜の粘度が、10mPa・s以下である前記<1>から<7>のいずれかに記載のナノ粒子含有層の製造方法である。
<9> 導電性ナノ粒子と、該導電性ナノ粒子を分散させるための分散剤と、を少なくとも含む導電性ナノ粒子含有塗布液を基材に塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程と、前記塗膜に音波振動を付与する処理、及び前記塗膜に前記分散剤に対する貧溶媒を付与する処理の少なくともいずれかの処理により前記塗膜中で前記導電性ナノ粒子を凝集させる導電性ナノ粒子凝集工程と、前記導電性ナノ粒子を凝集させた塗膜を乾燥させて導電層を形成する乾燥工程と、を含むことを特徴とする導電性構造物の製造方法である。
<10> 導電性ナノ粒子のアスペクト比が、10〜10,000である前記<9>に記載の導電性構造物の製造方法である。
<11> 導電層の表面抵抗値が、0.1Ω/□〜10Ω/□である前記<9>から<10>のいずれかに記載の導電性構造物の製造方法である。
<12> 導電性ナノ粒子が、金属及びカーボンの少なくともいずれかの、ナノ粒子、ナノチューブ、ナノロッド、及びナノホーンの少なくともいずれかである前記<9>から<11>のいずれかに記載の導電性構造物の製造方法である。
<13> ナノ粒子と、該ナノ粒子を分散させるための分散剤と、を少なくとも含むナノ粒子含有塗布液を基材に塗布して塗膜を形成する塗膜形成手段と、前記塗膜に音波振動を付与する音波振動付与体、及び前記塗膜に前記分散剤に対する貧溶媒を付与する貧溶媒付与体の少なくともいずれかにより前記塗膜中で前記ナノ粒子を凝集させるナノ粒子凝集手段と、を有することを特徴とするナノ粒子含有層の製造装置である。
<14> 音波振動付与体が、スピーカー及び超音波発信子のいずれかである前記<13>に記載のナノ粒子含有層の製造装置である。
<15> 導電性ナノ粒子と、該導電性ナノ粒子を分散させるための分散剤と、を少なくとも含む導電性ナノ粒子含有塗布液を基材に塗布して塗膜を形成する塗膜形成手段と、前記塗膜に音波振動を付与する音波振動付与体、及び前記塗膜に前記分散剤に対する貧溶媒を付与する貧溶媒付与体の少なくともいずれかにより前記塗膜中で前記導電性ナノ粒子を凝集させる導電性ナノ粒子凝集手段と、前記導電性ナノ粒子を凝集させた塗膜を乾燥させて導電層を形成する乾燥手段と、を有することを特徴とする導電性構造物の製造装置である。
【0011】
<16> 基材が弾性を有する前記<1>から<8>のいずれかに記載のナノ粒子含有層の製造方法である。
<17> 基材が光透過性を有する前記<1>から<8>及び<16>のいずれかに記載のナノ粒子含有層の製造方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、ナノ粒子と分散剤とを含有し、該ナノ粒子の分散性が良好な塗布液を用いて形成した均一な塗膜において、該塗膜中で、ナノ粒子に吸着した分散剤を分離して分散性を低下させ、ナノ粒子同士の接点を増加させることができ、乾燥後のナノ粒子含有層中でナノ粒子同士が密に接触でき、簡便で製造効率のよいナノ粒子含有層の製造方法及びその製造装置、並びに、前記ナノ粒子が導電性ナノ粒子であり、該導電性ナノ粒子同士の接点を増加させることで導電性ナノ粒子のネットワークを形成し、導電性及び透明性に優れる導電性構造物の製造方法及びその製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】図1Aは、導電性ナノワイヤーを含む塗膜の塗布面の上面図の一例を模式的に示す概略説明図である。
【図1B】図1Bは、図1Aの破線部内を図1Aの矢印方向から見た拡大断面図であり、塗膜形成工程後、導電性ナノ粒子凝集工程前の状態の一例を模式的に示す概略説明図である。
【図1C】図1Cは、図1Bにおいて、導電性ナノ粒子凝集工程を行った後の状態の一例を模式的に示す概略説明図である。
【図2】図2は、本発明の導電性構造物の製造方法及びその製造装置、並びに、本発明のナノ粒子含有層の製造方法及びその製造装置が適用される製造ラインの一例を示す概略図である。
【図3】図3は、本発明の導電性構造物の製造方法及びその製造装置、並びに、本発明のナノ粒子含有層の製造方法及びその製造装置が適用される製造ラインの別の一例を示す概略図である。
【図4A】図4Aは、実施例1におけるスピーカーの配置を説明する図であり、スピーカー及び塗膜を該塗膜の塗布面側から見た上面概略図である。
【図4B】図4Bは、実施例1におけるスピーカーの配置を説明する図であり、図4AのA−A’で示す塗膜の幅方向、かつ塗膜の厚み方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(ナノ粒子含有層の製造方法、ナノ粒子含有層の製造装置、導電性構造物の製造方法、及び導電性構造物の製造装置)
本発明のナノ粒子含有層の製造方法は、少なくとも、塗膜形成工程と、ナノ粒子凝集工程と、を含み、更に乾燥工程を含むことが好ましく、必要に応じて、更にその他の工程を含む。
本発明のナノ粒子層の製造装置は、少なくとも、塗膜形成手段と、ナノ粒子凝集手段と、を有し、更に乾燥手段を有することが好ましく、必要に応じて、更にその他の手段を有する。
前記塗膜形成工程は、前記塗膜形成手段により好適に行うことができ、前記ナノ粒子凝集工程は、前記ナノ粒子凝集手段により好適に行うことができる。
【0015】
本発明の導電性構造物の製造方法は、少なくとも、塗膜形成工程と、導電性ナノ粒子凝集工程と、乾燥工程と、を含み、必要に応じて、更にその他の工程を含む。
本発明の導電性構造物の製造装置は、少なくとも、塗膜形成手段と、導電性ナノ粒子凝集手段と、乾燥手段と、を有し、必要に応じて、更にその他の手段を有する。
前記塗膜形成工程は、前記塗膜形成手段により好適に行うことができ、前記導電性ナノ粒子凝集工程は、前記導電性ナノ粒子凝集手段により好適に行うことができ、前記乾燥工程は、前記乾燥手段により好適に行うことができる。
【0016】
以下、本発明の前記ナノ粒子含有層の製造方法の説明と併せて本発明の前記ナノ粒子含有層の製造装置について詳細に説明する。
なお、本発明の前記ナノ粒子含有層の製造方法及び前記ナノ粒子含有層の製造装置において、ナノ粒子が導電性を有するナノ粒子の場合が、本発明の前記導電性構造物の製造方法及び前記導電性構造物の製造装置に該当する。
そのため、前記ナノ粒子含有層の製造方法及び前記ナノ粒子含有層の製造装置の説明と併せて、本発明の前記導電性構造物の製造方法及び本発明の前記導電性構造物の製造装置についても詳細に説明する。
【0017】
<塗膜形成工程、塗膜形成手段>
前記塗膜形成工程は、ナノ粒子と、該ナノ粒子を分散させるための分散剤と、を少なくとも含むナノ粒子含有塗布液を基材に塗布して塗膜を形成する工程である。前記塗膜形成工程は、前記塗膜形成手段により好適に行われる。
【0018】
<<ナノ粒子含有塗布液>>
前記ナノ粒子含有塗布液は、少なくとも、ナノ粒子と、該ナノ粒子を分散させるための分散剤と、溶媒と、を含有し、必要に応じて、更にその他の成分を含有する。
【0019】
−ナノ粒子−
前記ナノ粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無機ナノ粒子、有機ナノ粒子などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0020】
−−無機ナノ粒子−−
前記無機ナノ粒子を構成する無機材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属、金属酸化物、無機酸化物、半導体などが挙げられる。
前記無機ナノ粒子は、1つの素材の粒子単独でなるものであってもよく、これらの素材が層状に積層されてなる多層粒子であってもよい。
【0021】
前記金属としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記金属は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、合金として用いることも可能であり、金属化合物を用いてもよい。
【0022】
前記金属としては、長周期律表(IUPAC1991)の第4周期、第5周期、及び第6周期からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属が好ましく、第2〜14族から選ばれる少なくとも1種の金属がより好ましく、第2族、第8族、第9族、第10族、第11族、第12族、第13族、及び第14族から選ばれる少なくとも1種の金属が更に好ましく、主成分として含むことが特に好ましい。
【0023】
前記金属としては、具体的には、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンテル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛、又はこれらの合金などが挙げられる。
これらの中でも、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム又はこれらの合金が好ましく、パラジウム、銅、銀、金、白金、錫、又はこれらの合金がより好ましく、銀又は銀を含有する合金が特に好ましい。
【0024】
前記金属酸化物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記金属の酸化物などが挙げられる。
【0025】
前記無機酸化物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、SiO、SnO、ZnO、MgO、CaO、SrO、BaO、Al、ZrO、Nb、V、TiO、Sc、Y、La、Ga、GeO、Ta、HfO、Fe、Fe、SnをドープしたIn(ITO)、SbをドープしたSnO(ATO)、ZnをドープしたIn(IZO)、MgIn、CuAlO、AgInO、13族元素(B、Al、Ga、In、Tl)をドープしたZnO、17族元素(F、Cl、Br、I)をドープしたZnO、1族元素(Li、Na、K、Rb、Cs)をドープしたZnO、15族元素(N、P、As、Sb、Bi)をドープしたZnOなどが挙げられる。
【0026】
前記半導体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Si、Ge、SiC等のIV族半導体、CuCl等のI−VII族半導体、CdS、CdSe、CdTe、ZnS、ZnSe、ZnTe等のII−VI族半導体、GaN、GaP、GaAs、GaSb、AlN、AlP、AlAs、AlSb、InP、InAs、InSb等のIII−V族半導体などが挙げられる。
また、前記半導体は、CdSをコア−CdSeをシェル、CdSeをコア−CdSをシェル、CdSをコア−ZnSをシェル、CdSeをコア−ZnSをシェル、CdSeのナノ結晶をコア−ZnSをシェル、CdSeのナノ結晶をコア−ZnSeをシェル、Siをコア−SiOをシェルとするコア−シェル構造を有する半導体であってもよい。
【0027】
−−有機ナノ粒子−−
前記有機ナノ粒子を構成する有機材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機顔料、有機色素顔料、カーボン、グラファイト、フラーレン、ポリジアセチレン、ポリイミド等の高分子化合物顔料;芳香族炭化水素顔料(例えば、多環芳香族系顔料);脂肪族炭化水素顔料(例えば、配向性を有する芳香族炭化水素若しくは脂肪族炭化水素、又は昇華性を有する芳香族炭化水素若しくは脂肪族炭化水素);(メタ)アクリル系、スチレン系、(メタ)アクリル−スチレン系、フッ素置換(メタ)アクリル系、フッ素置換(メタ)アクリル−スチレン系等の単量体又は(共)重合体などが挙げられる。
【0028】
これらの有機ナノ粒子としては、例えば、特開2006−308880号公報、特開2009−242687号公報などに記載のものを用いることができる。
【0029】
前記ナノ粒子の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、球、ワイヤー、チューブ、ロッド、ホーン、板、薄片、トーラス、中空体、立方体、放射状体などが挙げられる。また、これらの少なくとも1種が2個以上凝集した2次粒子であってもよい。これらの中でも、ワイヤー、チューブ、ロッド、及びホーンの少なくともいずれかが好ましい。
ここで、本発明において、ナノワイヤーは、中実のナノ粒子を意味する。ナノチューブは、中空のナノ粒子を意味する。ナノロッドは、短軸よりも長軸が長い棒状のナノ粒子を意味する。ナノホーンは、前記ナノチューブの一の先端が閉じた角(ホーン)状のナノ粒子を意味する。
【0030】
前記ナノ粒子の粒子径としては、特に制限はなく、ナノ粒子の形状などに応じて適宜選択することができる。
【0031】
−導電性ナノ粒子−
前記導電性ナノ粒子の材料としては、導電性を有していれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記金属及びカーボンの少なくともいずれかであることが好ましい。
これらの中でも、前記導電性ナノ粒子は、金属ナノワイヤー、金属ナノチューブ、及びカーボンナノチューブの少なくともいずれかであることが特に好ましい。
【0032】
−−金属ナノワイヤー−−
前記金属ナノワイヤーは、前記金属又は金属化合物を材料とした中実の導電性ナノ粒子である。
前記金属ナノワイヤーの形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、円柱状、直方体状、断面が多角形となる柱状など任意の形状をとることができるが、高い透明性が必要とされる用途では、円柱状や断面の多角形の角が丸まっている断面形状であることが好ましい。
前記金属ナノワイヤーの断面形状は、基材上に金属ナノワイヤー水分散液を塗布し、断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより調べることができる。
前記金属ナノワイヤーの断面の角とは、断面の各辺を延長し、隣り合う辺から降ろされた垂線と交わる点の周辺部を意味する。また、断面の各辺とは、これらの隣り合う角と角を結んだ直線を意味する。この場合、前記「断面の各辺」の合計長さに対する前記「断面の外周長さ」との割合を鋭利度とした。この鋭利度が75%以下の断面形状を角の丸い断面形状と定義する。前記鋭利度は、60%以下が好ましく、50%以下がより好ましい。前記鋭利度が75%を超えると、該角に電子が局在し、プラズモン吸収が増加するためか、黄色みが残るなどして透明性が悪化してしまうことがある。
【0033】
前記金属ナノワイヤーの平均短軸長さ(平均直径)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50nm以下が好ましく、35nm以下がより好ましく、20nm以下が特に好ましい。なお、平均短軸長さが小さすぎると耐酸化性が悪化し、耐久性が悪くなることがあるため、平均短軸長さは、5nm以上であることが好ましい。前記平均短軸長さが50nmを超えると、金属ナノワイヤー起因の散乱が生じるためか、十分な透明性を得ることができないことがある。
【0034】
前記金属ナノワイヤーの平均長軸長さ(平均長さ)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、30μm以上が特に好ましい。なお、金属ナノワイヤーの平均長軸長さが長すぎると、金属ナノワイヤー製造時に絡まるためか、製造過程で凝集物が生じてしまうことがあるため、前記平均長軸長さは、1mm以下であることが好ましい。前記平均長軸長さが5μm未満であると、密なネットワークを形成することが難しいためか、十分な導電性を得ることができないことがある。
【0035】
ここで、前記金属ナノワイヤーの平均短軸長さ及び平均長軸長さは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)や光学顕微鏡を用い、TEM像や光学顕微鏡像を観察することにより求めることができる。本発明においては、金属ナノワイヤーの平均短軸長さ及び平均長軸長さは、透過型電子顕微鏡(TEM)により300個の金属ナノワイヤーを観察し、その平均値から求めたものである。
【0036】
−−金属ナノチューブ−−
前記金属ナノチューブは、前記金属又は金属化合物を材料とした中空の導電性ナノ粒子である。
前記金属ナノチューブは、単層であってもよく、多層であってもよいが、単層が、導電性に優れる点で好ましい。
【0037】
前記金属ナノチューブの平均厚み(外径と内径との差)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30nm以下が好ましく、20nm以下がより好ましく、10nm以下が更に好ましい。
なお、前記金属ナノチューブの平均厚みが薄すぎると耐酸化性が悪化し、耐久性が悪くなることがあるため、前記平均厚みは、3nm以上であることが好ましい。前記平均厚みが80nmを超えると、金属ナノチューブ起因の散乱が生じることがある。
【0038】
前記金属ナノチューブの平均長軸長さ(平均長さ)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2μm以上が好ましい。
前記金属ナノチューブの中空率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30%〜500%が好ましく、50%〜300%がより好ましく、80%〜200%が特に好ましい。
【0039】
前記金属ナノチューブの平均短軸長さ及び平均長軸長さは、前記金属ナノワイヤーの平均短軸長さ及び平均長軸長さと同様の方法で測定することができる。
【0040】
−−カーボンナノチューブ−−
前記カーボンナノチューブ(CNT)は、グラファイト状炭素原子面(グラフェンシート)が、単層あるいは多層の同軸管状になった導電性ナノ粒子である。単層のCNTは、シングルウォールナノチューブ(SWNT)、多層のCNTは、マルチウォールナノチューブ(MWNT)と呼ばれ、特に、2層のCNTはダブルウォールナノチューブ(DWNT)とも呼ばれる。本発明の導電性ナノ粒子において、前記CNTは、単層であってもよく、多層であってもよいが、単層が、導電性に優れる点で好ましい。
【0041】
前記単層のCNTは、理論上、1/3の金属性のCNTと、2/3の半導体性のCNTとを含むが、金属製のCNTのみを分離することもできる。前記単層のCTNとしては、分離した金属製のCNTのみを用いることが、透明性及び導電性の観点でより好ましい。
前記金属性CNTを分離する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アガロースゲル法、過酸化水素による分解等の既知の方法などが挙げられる。
【0042】
−アスペクト比−
前記ナノ粒子のアスペクト比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10〜10,000が好ましく、20〜2,000がより好ましく、50〜1,000が特に好ましい。前記アスペクト比が、10未満であると、前記ナノ粒子同士の接点を増加させることができず、前記ナノ粒子が導電性ナノ粒子である場合は、該導電性ナノ粒子によるネットワーク形成なされず導電性が十分取れない点で好ましくない。また、前記アスペクト比が、10,000を超えると、ナノ粒子の形成時や塗布時、その後の取り扱いなどにおいて、成膜前にナノ粒子同士が絡まり凝集するため、安定なナノ粒子含有塗布液が得られないことがある。
【0043】
本発明において、前記アスペクト比とは、繊維状の物質(例えば、ワイヤー、チューブ等)の長辺と短辺との比(長軸長さ/短軸長さの比率)である。
前記アスペクト比の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子顕微鏡等により測定する方法などが挙げられる。
前記ナノ粒子のアスペクト比を電子顕微鏡で測定する場合、前記ナノ粒子のアスペクト比が高い場合には、前記ナノ粒子の1つ1つのアスペクト比について正確に測定することは難しいが、電子顕微鏡の1視野で確認できればよい。また、前記ナノ粒子の長軸長さと短軸長さとを各々別に測定することによって、前記ナノ粒子全体のアスペクト比を見積ることができる。
なお、前記ナノ粒子がチューブ状の場合には、前記アスペクト比を算出するための短軸長さとしては、該チューブの外径を用いる。
【0044】
前記ナノ粒子含有塗布液における前記ナノ粒子の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜90質量%が好ましく、3質量%〜70質量%がより好ましい。前記含有量が、1質量%未満であると、後述する乾燥工程における負荷が多大となることがあり、90質量%を超えると、塗布前に、前記ナノ粒子含有塗布液中でナノ粒子の凝集が起こりやすくなることがある。
【0045】
−分散剤−
前記分散剤は、前記ナノ粒子を分散させることができるものであれば、特に制限はなく、公知の分散剤の中から、目的に応じて適宜選択することができる。前記分散剤として使用可能な構造については、例えば、「顔料の事典」(伊藤征司郎編、株式会社朝倉書院発行、2000年)の記載を参照できる。
【0046】
前記分散剤としては、例えば、アミノ基含有化合物、チオール基含有化合物、スルフィド基含有化合物、アミノ酸又はその誘導体、ペプチド化合物、多糖類、高分子化合物、ハロゲン化合物、これらに由来するゲルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0047】
前記アミノ基含有化合物としては、例えば、オレイルアミン、ジブチルアミン、トリプロピルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ピペリジン、エチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ポリアリルアミン、ポリアルキレンアミン等のアルキルアミン類;ピリジン、アニリン、ベンジルアミン等の芳香族基を有するアミン類などが挙げられる。
【0048】
前記チオール基含有化合物としては、例えば、α−チオグリセロール、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン等のアルキルチオール類;チオフェノール、チオナフトール、ベンジルメルカプタン等のアリールチオール類などが挙げられる。
【0049】
前記アミノ酸としては、例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸、システィン酸などが挙げられる。また、前記アミノ酸の誘導体としては、例えば、アミノ酸ポリマーなどが挙げられる。
【0050】
前記ペプチド化合物としては、例えば、システイン残基を含むジペプチド化合物、トリペプチド化合物、テトラペプチド化合物、5以上のアミノ酸残基を含むオリゴペプチド化合物;メタロチオネインやシステイン残基が表面に配置された球状蛋白質などが挙げられる。
【0051】
前記多糖類としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、カラギーナン、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉などが挙げられる。
【0052】
前記高分子化合物としては、例えば、ポリアクリレート、ポリメタクリレート(例えば、ポリ(メチルメタクリレート)等)、ポリアクリル酸、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステルナフタレート、ポリカーボネート等)、フェノール−ホルムアルデヒド又はクレゾール−ホルムアルデヒド(例えば、Novolacs(登録商標)等)等の高度の芳香族性を有するポリマー、ポリスチレン、ポリビニルトルエン、ポリビニルキシレン、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルアミド、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリフェニレン、ポリフェニルエーテル、ポリウレタン(PU)、エポキシ、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、環状オレフィン等)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー(ABS)、セルロース及びその誘導体、シリコン及び他のケイ素含有ポリマー(例えば、ポリシルセスキオキサン及びポリシラン)、塩化ポリビニル(PVC)、ポリアセテート、ポリノルボルネン、合成ゴム(例えば、EPR、SBR、EPDM等)、及びフルオロポリマー(例えば、ポリビニリデンフッ化物、ポリテトラフルオロエチレン(TFE)、ポリヘキサフルオロプロピレン等)、フルオロ−オレフィン、炭化水素オレフィンのコポリマー(例えば、Lumiflon(登録商標)等)、アモルファスフッ化炭素ポリマー又はコポリマー(例えば、旭硝子株式会社製のCYTOP(登録商標)、デュポン社製のテフロン(登録商標)AF等)、ポリエチレンオキサイド、ポリサッカライド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース、及びこれらの共重合体などが挙げられる。
【0053】
前記ハロゲン化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、臭素、塩素、及びヨウ素の少なくともいずれかを含有する化合物が好ましく、例えば、臭化ナトリウム、塩化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化カリウム等のアルカリハライドなどが挙げられる。
【0054】
また、前記ハロゲン化合物の代替としてハロゲン化金属微粒子を使用してもよいし、前記ハロゲン化合物と前記ハロゲン化金属微粒子を共に使用してもよい。
【0055】
これらの分散剤を併用した化合物としては、例えば、アミノ基と臭化物イオンを含むHTAB(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミド)、アミノ基と塩化物イオンを含むHTAC(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムクロライド)、アミノ基と臭化物イオン又は塩化物イオンを含む、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、デシルトリメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジステアリルアンモニウムブロミド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド、ジラウリルジメチルアンモニウムブロミド、ジラウリルジメチルアンモニウムクロリド、ジメチルジパルミチルアンモニウムブロミド、ジメチルジパルミチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。
【0056】
前記分散剤としては、これらの中でも、ゼラチン、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアルキレンアミン、ポリアクリル酸の部分アルキルエステル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン共重合体、HTABが特に好ましい。
【0057】
前記ナノ粒子塗布液中の前記分散剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1質量%〜80質量%が好ましく、0.3質量%〜50質量%がより好ましい。前記分散剤の含有量が、0.1質量%未満であると、ナノ粒子塗布液が分散不良になり該ナノ粒子塗布液中で金属ナノワイヤーの凝集を引き起こす恐れがあり、80質量%を超えると、本来のナノ粒子の機能が発現されないことがある。
【0058】
−溶媒−
前記溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、アミド系溶媒、ニトリル系溶媒などが挙げられる。
【0059】
前記アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール300、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1−エトキシ−2−プロパノール、エタノールアミン、ジエタノールアミン、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−ジメチルアミノイソプロパノールなどが挙げられる。
前記エーテル系溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが挙げられる。
前記エステル系溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなどが挙げられる。
前記ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。
前記アミド系溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。
前記ニトリル系溶媒としては、例えば、アセトニトリル、ブチロニトリルなどが挙げられる。
【0060】
これらの溶媒は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なお、前記ナノ粒子含有塗布液において、2種以上を併用する場合は、溶媒同士が相分離することなく、相溶しているものであることが好ましい。
また、前記ナノ粒子が導電性ナノ粒子である場合は、該導電性ナノ粒子含有塗布液に用いる溶媒としては、主として親水性溶媒が用いられることが好ましく、水が特に好ましい。水以外の溶媒を含有する場合は、水と混和する溶媒を、水に対して80容量%以下の割合で併用することが好ましい。
【0061】
前記水と併用する溶媒としては、沸点が、50℃〜250℃の有機溶媒が好ましく、沸点が55℃〜200℃のアルコール系溶媒がより好ましい。このようなアルコール系溶媒を併用することにより、前記塗膜形成工程での塗り付け良化、後述する乾燥工程での乾燥負荷の低減をすることができる。これらの中でも、前記アルコール系溶媒は、エタノール、エチレングリコールが特に好ましい。
【0062】
−その他の成分−
前記ナノ粒子含有塗布液におけるその他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、腐食防止剤を含むことが好ましく、界面活性剤、重合性化合物、酸化防止剤、硫化防止剤、粘度調整剤、防腐剤等の各種添加剤などを含んでいてもよい。
【0063】
前記腐食防止剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アゾール系化合物が好ましい。
前記アゾール系化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、メルカプトベンゾトリアゾール、メルカプトベンゾテトラゾール、(2−ベンゾチアゾリルチオ)酢酸、3−(2−ベンゾチアゾリルチオ)プロピオン酸、及びこれらのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、並びにアミン塩から選ばれる少なくとも1種などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ナノ粒子含有塗布液が前記腐食防止剤を含有することで、一段と優れた防錆効果を発揮することができる。前記腐食防止剤は、ナノ粒子含有塗布液中に直接添加してもよく、適した溶媒で溶解した状態、又は粉末の状態で添加してもよく、前記ナノ粒子含有層又は前記導電性構造物を形成後に、これを腐食防止剤浴に浸すことで付与してもよい。
【0064】
なお、前記ナノ粒子が前記導電性ナノ粒子である場合、前記導電性ナノ粒子含有塗布液は、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、ハロゲン化物イオン等の無機イオンをなるべく含まないことが好ましい。
【0065】
前記ナノ粒子が前記導電性ナノ粒子である場合、乾燥工程後の導電層における前記導電性ナノ粒子以外の成分の合計含有量X(1種のみの場合は単独の含有量)と、前記導電性ナノ粒子の含有量Yとの質量比(X/Y)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05〜3が好ましく、0.1〜1がより好ましい。前記質量比(X/Y)が、0.05未満であると、導電性ナノ粒子の凝集による導電性や透過率等の光学特性の劣化、導電層の力学強度や基材との密着性の劣化、特にフォトリソグラフィを用いたパターニングで得られるパターンの品質(露光パターンの忠実再現性)の劣化等の問題が生じることがある。また、前記質量比(X/Y)が、3を超えると、導電性ナノ粒子間の接触点数の減少による導電性の低下や、光透過率等の光学特性の劣化が生じることがある。
【0066】
−粘度−
前記ナノ粒子含有塗布液を基材へ塗布した後の、25℃における塗膜の粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ナノ粒子凝集工程の際の塗膜の粘度が、10mPa・s以下が好ましく、1mPa・s〜5mPa・sがより好ましい。前記粘度が、10mPa・sを超えると、塗布後の塗膜中でのナノ粒子の凝集を起こしにくくなることがあり、1mPa・s未満であると、乾燥ムラなどによる膜厚み変動が発生してナノ粒子含有層が本来の機能を果たさなくなることがある。
前記粘度の調整方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、塗膜形成工程とナノ粒子凝集工程との間に予備乾燥を行い、該予備乾燥の時間を適宜調整することにより塗膜中の固形分濃度を調整する方法などが挙げられる。
前記塗膜の粘度は、直接測定することは困難であるため、本発明では、前記ナノ粒子凝集工程の際に、塗膜をスクレーパー等で掻き取って塗膜中の固形分濃度を公知の方法で測定し、別途該固形分濃度に調整された液を用いて粘度を測定することで、塗膜の粘度とする。前記粘度は、回転式粘度計(ビスメトロンVDA−2、芝浦システム社製)等で測定することができる。
【0067】
前記ナノ粒子が前記導電性ナノ粒子である場合、前記導電性ナノ粒子含有塗布液の電気伝導度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0068】
−ナノ粒子含有塗布液の調製方法−
前記ナノ粒子含有塗布液の調製方法としては、特に制限はなく、ナノ粒子の材料や形状などに応じて適宜選択することができる。例えば、前記ナノ粒子が、金属ナノワイヤー、金属ナノチューブ、又はカーボンナノチューブである場合は、以下の方法で調製することができる。
【0069】
−−金属ナノワイヤー−−
前記金属ナノワイヤーの調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記分散剤を含む溶媒中に、金属錯体溶液を添加して加熱しながら調製する方法が好ましい。
また、金属ナノワイヤーの調製方法としては、例えば、特開2009−215594号公報、特開2009−242880号公報、特開2009−299162号公報、特開2010−84173号公報、特開2010−86714号公報などに記載の方法を用いることもできる。
【0070】
前記分散剤を添加する段階としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、予め分散剤を溶媒に添加しておき、該分散剤の存在下で、金属ナノワイヤーの核となる金属粒子を添加してもよいし、溶媒中に金属粒子を調製した後、分散状態の制御のために該分散剤を添加してもよい。
分散剤の添加を2段階以上に分けるときには、その量は、必要とする金属ナノワイヤーの長さにより変更する必要がある。これは核となる金属粒子量の制御による金属ナノワイヤーの長さに起因しているためと考えられる。
また、使用する分散剤の種類によって、得られる金属ナノワイヤーの形状を変化させることもできる。
【0071】
前記金属錯体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、銀錯体が特に好ましい。前記銀錯体の配位子としては、例えば、CN−、SCN−、SO−、チオウレア、アンモニアなどが挙げられる。これらについては、“The Theory of the Photographic Process 4th Edition”Macmillan Publishing、T.H.James著の記載を参照することができる。これらの中でも、銀アンモニア錯体が特に好ましい。
【0072】
前記金属錯体を添加する段階としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記分散剤の後に添加することが好ましい。この順序で添加することで、ワイヤー核を高い確率で形成できるためか、適切な径や長さの金属ナノワイヤーの割合を高める効果がある。
【0073】
前記加熱時の加熱温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、150℃以下が好ましく、20℃〜130℃がより好ましく、30℃〜100℃が更に好ましく、40℃〜90℃が特に好ましい。前記加熱温度が低くなる程、核形成確率が下がり金属ナノワイヤーが長くなりすぎるため、前記加熱温度が20℃未満であると、金属ナノワイヤーが絡みやすく、分散安定性が悪くなることがある。また、前記加熱温度が150℃を超えると、金属ナノワイヤーの断面の角が急峻になり、塗膜評価での透過率が低くなることがある。
必要に応じて、金属ナノワイヤーの形成過程で適宜温度を変更してもよい。金属ナノワイヤーの形成過程での温度変更により、金属ナノワイヤーの核形成の制御や再核発生の抑制、選択成長の促進による単分散性向上の効果を向上させることができる。
【0074】
前記加熱の際には還元剤を添加して行うことが好ましい。前記還元剤の添加の段階は、前記分散剤の添加前であってもよく、添加後であってもよい。
前記還元剤としては、特に制限はなく、通常使用されるものの中から適宜選択することができ、例えば、水素化ホウ素金属塩、水素化アルミニウム塩、アルカノールアミン、脂肪族アミン、ヘテロ環式アミン、芳香族アミン、アラルキルアミン、アルコール、有機酸類、還元糖類、糖アルコール類、亜硫酸ナトリウム、ヒドラジン化合物、デキストリン、ハイドロキノン、ヒドロキシルアミン、クエン酸又はその塩、コハク酸又はその塩、アスコルビン酸又はその塩、エチレングリコール、グルタチオンなどが挙げられる。
【0075】
前記水素化ホウ素金属塩としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウムなどが挙げられる。
前記水素化アルミニウム塩としては、例えば、水素化アルミニウムリチウム、水素化アルミニウムカリウム、水素化アルミニウムセシウム、水素化アルミニウムベリリウム、水素化アルミニウムマグネシウム、水素化アルミニウムカルシウムなどが挙げられる。
前記アルカノールアミンとしては、例えば、ジエチルアミノエタノール、エタノールアミン、プロパノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノプロパノールなどが挙げられる。
前記脂肪族アミンとしては、例えば、プロピルアミン、ブチルアミン、ジプロピレンアミン、エチレンジアミン、トリエチレンペンタミンなどが挙げられる。
前記ヘテロ環式アミンとしては、例えば、ピペリジン、ピロリジン、Nメチルピロリジン、モルホリンなどが挙げられる。
前記芳香族アミンとしては、例えば、アニリン、N−メチルアニリン、トルイジン、アニシジン、フェネチジンなどが挙げられる。
前記アラルキルアミンとしては、例えば、ベンジルアミン、キシレンジアミン、N−メチルベンジルアミンなどが挙げられる。
前記アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどが挙げられる。
前記有機酸類としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、アスコルビン酸又はそれらの塩などが挙げられる。
前記還元糖類としては、例えば、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、スクロース、マルトース、ラフィノース、スタキオースなどが挙げられる。
前記糖アルコール類としては、例えば、ソルビトールなどが挙げられる。
【0076】
これらの中でも、還元糖類、糖アルコール類が好ましく、グルコースが特に好ましい。
前記還元剤の種類によっては、機能として分散剤や溶媒としても働く場合があり、分散剤や溶媒としても同様に好ましく用いることができる。
【0077】
前記金属ナノワイヤーを形成した後、更に脱塩処理を行うことが好ましい。前記脱塩処理としては、特に制限はなく、公知の方法の中から、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、限外ろ過、透析、ゲルろ過、デカンテーション、遠心分離などが挙げられる。
【0078】
−−金属ナノチューブ−−
前記金属ナノチューブの調製方法としては、特に制限はなく、いかなる方法で製造してもよく、例えば、米国出願公開2005/0056118号公報等の公知の方法などを用いることができる。
【0079】
−−カーボンナノチューブ−−
前記カーボンナノチューブの調製方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、二酸化炭素の接触水素還元、アーク放電法、レーザー蒸発法、熱CVD法、プラズマCVD法、気相成長法、一酸化炭素を高温高圧化で鉄触媒と共に反応させて気相で成長させるHiPco法等の公知の手段を用いることができる。
また、これらの方法で得られたカーボンナノチューブは、洗浄、遠心分子、ろ過、酸化、クロマトグラフ等の方法により、副生成物や触媒金属等の残留物を除去することが、高純度化されたカーボンナノチューブを得ることができる点で好ましい。
【0080】
−塗布方法−
基材上に前記ナノ粒子含有塗布液を塗布することで、塗膜を形成することができる。
前記ナノ粒子含有塗布液の塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スピンコート法、キャスト法、ロールコート法、フローコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法、ダイコート法などが挙げられる。
【0081】
<<基材>>
前記基材の形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記形状としては、膜状、シート状、円盤状、カード状などが挙げられる。前記構造としては、例えば、単層構造、積層構造などが挙げられる。前記大きさとしては、用途等に応じて適宜選択することができる。
更に基材にプリント配線を行う場合、該配線箇所に、アスペクト比が1以上の細孔、細溝を有していてもよく、これらの中に、インクジェットプリンター又はディスペンサーにより前記ナノ粒子含有塗布液を吐出することもできる。
【0082】
前記基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、弾性や、光透過性を有するものが好ましく、具体的には、下記(1)〜(3)に記載のものなどが挙げられる。
(1)石英ガラス、無アルカリガラス、結晶化透明ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、サファイア等のガラス
(2)アクリル樹脂(例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等)、塩化ビニル系樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等)、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、トリアセチルセルロース(TAC)、フッ素樹脂、フェノキシ樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ナイロン、スチレン系樹脂、ABS樹脂などの熱可塑性樹脂
(3)エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂
これらの中でも、前記基材は、製造適性、軽量性、可撓性、光学性(偏光性)などの点から、熱可塑性樹脂からなるポリマーフィルムが好ましく、PETフィルム、TACフィルム、PENフィルムが特に好ましい。
【0083】
前記基材の光透過率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。前記光透過率が、80%未満であると、透過率が低く実用上問題となることがある。
なお、本発明では、基材として本発明の目的を妨げない程度に着色したものを用いることもできる。
前記透過率は、例えば、紫外可視分光光度計(UV−2550、株式会社島津製作所製)を用いて測定することができる。
【0084】
前記基材の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、平均厚みで、1μm〜500μmが好ましく、3μm〜400μmがより好ましく、5μm〜300μmが特に好ましい。前記平均厚みが、1μm未満であると、前記塗膜形成工程でのハンドリングの困難さに起因して、歩留まりが低下することがあり、500μmを超えると、ポータブルなアプリケーションにおいては厚みや質量が問題となることがある。
ここで、前記基材の平均厚みは、例えば、ミクロトーム切削で前記ナノ粒子含有層又は導電性構造物の断面を出した後、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察する、あるいは前記ナノ粒子含有層又は導電性構造物をエポキシ樹脂で包埋した後、ミクロトームで作製した切片を、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより測定することができる。
なお、前記平均厚みとは、前記ナノ粒子含有層又は導電性構造物における任意の10箇所以上で測定した厚みの平均値をいう。
【0085】
前記基材は、表面に親水化処理を施し、親水性ポリマーを塗設したものが好ましい。これにより前記ナノ粒子含有塗布液の前記基材への塗布性、及び密着性が良化する。
【0086】
前記親水化処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シランカップリング剤等の薬品処理、機械的粗面化処理、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理などが挙げられる。これらの親水化処理により前記基材表面の表面張力を30dyne/cm以上にすることが好ましい。
【0087】
前記親水性ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゼラチン、ゼラチン誘導体、ガゼイン、寒天、でんぷん、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸共重合体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、デキストランなどが挙げられる。
【0088】
前記親水性ポリマー層の乾燥時の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、平均厚みで、0.001μm〜100μmが好ましく、0.01μm〜20μmがより好ましい。
なお、前記平均厚みとは、前記基材における任意の10箇所以上で測定した厚みの平均値をいい、前記基材の厚みと同様の方法で測定することができる。
【0089】
前記親水性ポリマー層には、硬膜剤を添加して膜強度を高めることが好ましい。前記硬膜剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド等のアルデヒド化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン化合物;ジビニルスルホン等のビニルスルホン化合物;2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン等のトリアジン化合物;米国特許第3,103,437号明細書等に記載のイソシアネート化合物などが挙げられる。
【0090】
前記親水性ポリマー層は、前記親水性ポリマー層に含まれる化合物を水等の溶媒に溶解乃至分散させて塗布液を調製し、得られた塗布液を、スピンコート法、ディップコート法、エクストルージョンコート法、バーコート法、ダイコート法等の塗布法を利用して親水化処理した基材表面に塗布し、乾燥することにより形成することができる。
前記乾燥する際の乾燥温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、120℃以下が好ましく、30℃〜100℃がより好ましく、40℃〜80℃が特に好ましい。
更に、前記基材と前記親水性ポリマー層との間に、密着性の改善を目的として必要により下引き層を形成してもよい。
【0091】
<ナノ粒子凝集工程、ナノ粒子凝集手段>
前記ナノ粒子凝集工程は、前記塗膜形成工程で形成された塗膜に、音波振動を付与する処理、及び前記塗膜に前記分散剤に対する貧溶媒を付与する処理の少なくともいずれかの処理により前記塗膜中で該ナノ粒子を凝集させる工程である。前記ナノ粒子凝集工程は、前記ナノ粒子凝集手段により好適に行われる。
前記ナノ粒子凝集手段は、音波振動付与体及び貧溶媒付与体の少なくともいずれかを含むことが好ましく、必要に応じて、更にその他の部材を含む。
前記塗膜に音波振動を付与する処理は、前記音波振動付与体により好適に行うことができ、前記塗膜に前記分散剤に対する貧溶媒を付与する処理は、前記貧溶媒付与体により好適に行うことができる。
なお、本発明において、「凝集」とは、前記ナノ粒子同士が直接接着することを意味する。
【0092】
<<メカニズム>>
ここで、本発明において、ナノ粒子に吸着した分散剤を分離して塗膜中の該ナノ粒子の分散性を低下させ、ナノ粒子同士の接点を増加させて、乾燥後のナノ粒子含有層中で良好なネットワークを形成させるメカニズムについて説明する。
前記塗膜形成工程で形成された塗膜は、ナノ粒子が均一に分散された状態を安定に維持している。従来のナノ粒子含有層などの製造方法では、この塗膜を乾燥させる際、前記塗膜中の分散剤が影響し、ナノ粒子同士の凝集を阻害して該ナノ粒子同士の接点を増加させることができないため、乾燥後に良好なナノ粒子のネットワークを形成することが難しく、該ナノ粒子が導電性ナノ粒子である場合には、これにより十分な導電性や透明性を得ることができないという問題があった。
一方、本発明の前記ナノ粒子含有層の製造方法では、前記ナノ粒子凝集工程を含むことで、塗膜中でナノ粒子に吸着した分散剤を分離できることで、ナノ粒子同士の接点が増加し、これを乾燥させると、ナノ粒子のネットワークを好適に形成することができる。そのため、該ナノ粒子が導電性ナノ粒子である場合には、得られた導電性構造物は、高い導電性及び透明性が得られる点で有利である。
【0093】
図1A〜Cは、ナノ粒子が導電性ナノワイヤーの場合を例として、導電性ナノワイヤーと、分散剤との様子を模式的に示した概略説明図である。図1Aは、塗膜の塗布面の上面図であり、図1B及び図1Cは、図1Aの破線で囲んだ箇所を矢印方向から見た拡大断面図である。
図1Aにおいて、一見、導電性ナノワイヤー30がネットワークを形成しているように見えるが、重なって見える1つの導電性ナノワイヤー30aと、他の1つの導電性ナノワイヤー30bとの交点(図1Aの破線で囲んだ箇所)を拡大してみると、図1Bのようになっている。図1Bにおいて、金属ナノワイヤー30aは、長軸長さ方向の断面図であり、金属ナノワイヤー30bは、短軸長さ方向の断面図であり、これらに分散剤31が結合している。図1Bに示すように、通常、乾燥前の塗膜中では、分散剤31が、金属ナノワイヤー30a及び金属ナノワイヤー30bのそれぞれの周囲に吸着し、金属ナノワイヤーが分散剤で包まれた状態となっているため、金属ナノワイヤー30aと金属ナノワイヤー30bとは直接接触していない。
この状態の塗膜に前記導電性ナノ粒子凝集手段により前記導電性ナノ粒子凝集工程を行うと、分散剤がマイグレーションにより広がり、図1Cのように、分散剤31が、金属ナノワイヤー30a及び金属ナノワイヤー30bから分離し、金属ナノワイヤー30aと金属ナノワイヤー30bとが接触することができるようになり、導電性ナノワイヤーのネットワークを形成することができる。
【0094】
<<音波振動を付与する処理、音波振動付与体>>
前記音波振動を付与する処理(以下、「音波振動付与処理」と称することがある。)は、前記塗膜に音波振動を付与することにより前記塗膜中で該ナノ粒子を凝集させる処理である。この処理は、前記音波振動付与体により好適に行われる。
前記音波振動付与処理では、音波振動により、ナノ粒子及び分散剤のそれぞれの振動により、該ナノ粒子に吸着していた分散剤が離れ、その結果、ナノ粒子同士の接点を増加させることができる。
【0095】
前記音波振動付与処理は、媒体を介して音波振動を前記塗膜に付与することができ、その媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、空気、液体、固体などが挙げられる。
【0096】
−空気を介して音波振動を付与する処理−
前記空気を介して音波振動を付与する処理において、前記塗膜における音波振動を付与する面としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、該塗膜の前記ナノ粒子含有塗布液の塗布面(塗膜の基材と接している側とは反対の面)側から音波振動を付与することが好ましい。
【0097】
前記空気を介して音波振動を付与する処理において、前記音波振動の進行方向としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記塗布面を基準面とし、該基準面(塗布面と水平方向)を0°としたとき、該塗布面から0°超え90°以下が好ましく、60°〜90°がより好ましく、90°(塗布面に対して垂直な方向)が特に好ましい。
【0098】
前記空気を介して音波振動を付与する処理における前記音波振動の周波数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100Hz以上が好ましく、100Hz〜10,000Hzがより好ましい。前記周波数が、100Hz未満であると、塗膜に十分な音波振動を付与することができないため前記ナノ粒子同士の接点を増加させることができず、該ナノ粒子が導電性ナノ粒子である場合には、前記導電性構造物の導電性が低くなることがある。また、前記周波数が、10,000Hzを超えると、逆に塗膜への振動付与の効率が悪くなり効果が減少することがある。
【0099】
前記空気を介して音波振動を付与する処理における前記音波振動を付与する時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3秒間以上が好ましく、3秒間〜10秒間がより好ましい。前記音波振動を付与する時間が、3秒間未満であると、塗膜に十分な音波振動を付与することができないため前記ナノ粒子同士の接点を増加させることができず、該ナノ粒子が導電性ナノ粒子である場合には、前記導電性構造物の導電性が低くなることがある。また、前記音波振動を付与する時間が、10秒間を超えると、生産に必要な時間が長くかかることや、設備コストが大きくなることなどがある。
【0100】
前記ナノ粒子含有層の製造装置における前記空気を介して音波振動を付与する処理における前記音波振動付与体としては、音波振動を塗膜に付与できるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スピーカーなどが挙げられる。前記スピーカーとしては、具体的には、230SM(BOSE製)などを用いることができる。
【0101】
−液体を介して音波振動を付与する処理−
前記液体を介して音波振動を付与する処理において、前記塗膜における音波振動を付与する面としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、該塗膜の基材側から、基材及び液体の少なくともいずれかを介して音波振動を付与することが好ましい。
【0102】
前記液体を介して音波振動を付与する処理における前記音波振動の周波数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、超音波成分を含むことが好ましい。前記超音波としては、一般に16kHz以上をいい、28kHz以上が好ましく、28kHz〜40kHzがより好ましい。前記周波数が、16kHz未満であると、塗膜に十分な振動を付与することができないため前記ナノ粒子同士の接点を増加させることができず、該ナノ粒子が導電性ナノ粒子である場合には、導電性が低くなることがある。
【0103】
前記液体を介して音波振動を付与する処理における前記音波振動を付与する時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3秒間以上が好ましく、3秒間〜10秒間がより好ましい。前記音波振動を付与する時間が、3秒間未満であると、塗膜に十分な振動を付与することができないため前記ナノ粒子同士の接点を増加させることができず、該ナノ粒子が導電性ナノ粒子である場合には、導電性が低くなることがある。また、前記音波振動を付与する時間が、10秒間を超えると、生産に必要な時間が長くかかることや、設備コストが大きくなることなどがある。
【0104】
前記液体を介して音波振動を付与する処理における前記音波振動付与体としては、音波振動を塗膜に付与できるものであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、超音波発信子などが挙げられる。前記超音波発信子としては、具体的には、NL−300、NL−600、NL−900、NL−1200、NK−1800、NL−2400等のNLシリーズや、振動子ユニット(以上、日本アレックス株式会社製)などを用いることができる。
【0105】
前記液体を介して音波振動を付与する処理において、塗膜の基材側から、該基材及び液体の少なくともいずれかを介して音波振動を付与する方法としては、例えば、水槽内部の底面に超音波発信子等の音波振動付与体を設置し、該水槽を液体で満たし、この水面と、塗膜を有する基材の該基材側(塗膜の基材と接している側)とを接触させ、前記音波振動付与体に電位を付与する方法などが挙げられる。前記ナノ粒子含有塗布液が、前記水槽内の液体と相溶性がないものである場合は、前記基材と共に塗膜を液体に浸漬し、基材側から該基材を介して音波振動を付与すると同時に、塗膜に接している液体を介して該塗膜に音波振動を付与することができる。
前記液体としては、特に制限はなく、前記ナノ粒子含有塗布液中の溶媒などに応じて適宜選択することができ、例えば、水、有機溶媒などが挙げられる。例えば、塗膜自体を水槽中の液体に浸漬する場合であって、該塗膜が主に水溶性溶媒で形成されている場合は、前記水槽中の液体としては、前記水溶性溶媒と相分離するような有機溶媒が好ましい。
【0106】
前記ナノ粒子凝集工程における音波振動付与体の配置、数などとしては、特に制限はなく、前記塗膜の大きさ等に応じて適宜選択することができるが、該塗膜の全面に均一に音波振動を付与できるような配置、数であることが好ましい。
【0107】
また、前記ナノ粒子含有層の製造装置又は前記導電性構造物の製造装置が、前記塗膜を一定の速度で搬送できるベルトを有する場合は、塗膜の幅方向(搬送方向に対して垂直な方向)に音波振動付与体を1つ又は複数配置し、該塗膜を搬送しながらの塗膜の長手方向(搬送方向と同じ方向)に対して順次音波振動を付与してもよい。また、このとき、前記音波振動付与体は、搬送方向に複数配置してもよい。
【0108】
<<貧溶媒を付与する処理、貧溶媒付与体>>
前記塗膜に前記分散剤に対する貧溶媒を付与する処理(以下、「貧溶媒付与処理」と称することがある。)は、前記塗膜に前記分散剤に対する貧溶媒を付与することにより前記塗膜中で前記ナノ粒子を凝集させる処理である。この処理は、前記貧溶媒付与体により好適に行われる。
本発明において、前記分散剤に対する貧溶媒(以下、単に「貧溶媒」と称することがある。)とは、前記分散剤に対する溶解度が小さい溶媒を意味する。
前記貧溶媒付与処理では、前記ナノ粒子含有塗布液からなる塗膜と、該塗膜中の分散剤に対する貧溶媒とが混ざり合い、貧溶媒と塗膜中の分散剤とが接することで、分散剤が貧溶媒から離れるため、ナノ粒子に吸着していた分散剤が該ナノ粒子から離れ、その結果、ナノ粒子同士の接点を増加させると推定している。
【0109】
前記溶解度としては、特に制限はなく、前記分散剤の種類などに応じて適宜選択することができるが、25℃において、貧溶媒100mLに対する分散剤の溶解度が、30質量%以下が好ましく15質量%以下がより好ましい。前記溶解度が30質量%を超えると、塗膜中で金属ナノワイヤーが十分に凝集しないことがある。
【0110】
前記貧溶媒の具体例としては、アルコール系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、パラフィン系溶媒、塩化パラフィン系溶媒、塩化オレフィン系溶媒、塩化芳香族炭化水素系溶媒、直鎖状エーテル系溶媒、環状エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、含窒素化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0111】
前記アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、1−メトキシ−2−プロパノールなどが挙げられる。
前記芳香族炭化水素系溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、メシチレン、テトラリン、キシレンなどが挙げられる。
前記パラフィン系溶媒としては、例えば、シクロヘキサン、ヘプタン、ヘキサン、リグロイン、ペンタン、エチルシクロペンタン、石油エーテル、イソオクタン、イソヘキサン、イソヘプタン、イソペンタン、デカリン、デカン、ドデカン、オクタン、ノナンなどが挙げられる。
前記塩化パラフィン系溶媒としては、例えば、四塩化炭素、クロロホルム、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、塩化メチレン、塩化エチル、塩化ブチル、塩化プロピルなどが挙げられる。
前記塩化芳香族炭化水素系溶媒としては、例えば、1−クロロナフタレン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼンなどが挙げられる。
前記直鎖状エーテル系溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジメトキシメタン、エチルメチルエーテル、ジベンジルエーテル、ジフェニルエーテル、トリグリムなどが挙げられる。
前記環状エーテル系溶媒としては、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフランを挙げることができる。塩化オレフィン系溶媒としては、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレン、1,1−ジクロロエチレン、1,2−ジクロロエチレンなどが挙げられる。
前記ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、アセタール、アセトアルデヒド、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。
前記エステル系溶媒としては、例えば、酢酸エチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、ギ酸メチル、ギ酸ブチル、ギ酸プロピル、ギ酸イソプロピル、酢酸プロピル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸メチル、酪酸エチル、酪酸メチルなどが挙げられる。
前記含窒素化合物としては、例えば、アセトアミド、アセトニトリル、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、エチルアミン、エチレンジアミン、ヒドラジン、ニトロメタン、ピペリジン、プロピルアミン、ピリジン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、トリエチルアミン、アクリロニトリル、アニリン、ジイソプロピルエチルアミン、ジメチルアセトアミド、ジメチルアニリン、N,N−ジメチルホルムアミド、ホルムアミド、N−メチルピロリドン、モルホリン、ニトロベンゼン、キノリンなどが挙げられる。
【0112】
前記分散剤が、例えば、ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミド(HTAB)、グルコースなどである場合は、前記貧溶媒は、エーテル系有機溶剤、ケトン系有機溶剤、アルコール系有機溶剤などが好ましい。
【0113】
前記貧溶媒を付与する際の該貧溶媒の状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、液体状、ミスト状、ディップ状などが挙げられる。これらの中でも、ミスト状が好ましい。
【0114】
前記貧溶媒付与処理としては、前記塗膜に貧溶媒を付与することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記貧溶媒を含むミストを前記塗膜に吹き付ける処理(以下、「ミスト吹付け処理」と称することがある。)、及び前記塗膜を前記貧溶媒を含むミストが充填されている領域中に配置する処理(以下、「ミスト充填処理」と称することがある。)のいずれかの処理が好ましい。
【0115】
−ミスト吹付け処理−
前記ミスト吹付け処理は、前記貧溶媒を含むミストを前記塗膜に吹き付ける処理である。
前記ミスト吹付け処理において、前記ミストを吹き付ける吹付け方向としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記塗布面を基準面とし、該基準面(塗布面と水平方向)を0°としたとき、該塗布面から0°超え90°以下が好ましく、60°〜90°がより好ましく、90°(塗布面に対して垂直な方向)が特に好ましい。
【0116】
前記ミスト吹付け処理における前記ミストの付与量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20g/分間〜100g/分間が好ましく、50g/分間〜80g/分間がより好ましい。前記付与量が、20g/分間未満であると、塗膜に十分な量の貧溶媒を付与することができないため前記ナノ粒子同士の接点を増加させることができず、該ナノ粒子が導電性ナノ粒子である場合には、導電性が低くなることがある。また、前記付与量が、100g/分間を超えても、金属ナノワイヤーの凝集効果はそれ以上上がらないため、コスト的に不利になることがある。
【0117】
前記ミスト吹付け処理において、上記の塗布面における風速としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.2m/秒間〜10m/秒間が好ましく0.5m/秒間〜5m/秒間がより好ましい。前記風速が、0.2m/秒間未満であると、前記ナノ粒子同士の接点を増加させることができず、該ナノ粒子が導電性ナノ粒子である場合には、導電性が低くなることがあり、10m/秒間を超えると、塗布面が荒れて本来の機能が低下することがある。
【0118】
前記ミスト吹付け処理における前記ミストを吹き付ける吹付け時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5秒間以上が好ましく、5秒間〜10秒間がより好ましい。前記吹付け時間が、5秒間未満であると、塗膜に十分な量の貧溶媒を付与することができないため前記ナノ粒子同士の接点を増加させることができず、前記ナノ粒子が前記導電性ナノ粒子である場合には、導電性が低くなることがある。また、前記吹付け時間が、10秒間を超えると、生産に必要な時間が長くかかることや、設備コストが大きくなることなどがある。
【0119】
前記ミスト吹付け処理における前記貧溶媒付与体としては、貧溶媒を含むミストを塗膜に吹き付けることができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スプレー、ノズルなどが挙げられる。
【0120】
−ミスト充填処理−
前記ミスト充填処理は、前記塗膜を、前記貧溶媒を含むミストが充填されている領域中に配置する処理である。前記貧溶媒を含むミストが充填されている領域は、貧溶媒付与体により形成される。
前記ミスト充填処理における前記貧溶媒付与体としては、前記貧溶媒を含むミストを充填することができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記塗膜を配置することができ、かつ、該貧溶媒付与体の内部に一定量の貧溶媒のミストを一定時間充填させておくことができるボックス状の容器などが挙げられる。
【0121】
前記貧溶媒付与体における前記貧溶媒を含むミストの充填率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、60℃で、20体積%以上が好ましく40体積%〜80体積%がより好ましい。前記充填率が、20体積%未満であると、塗膜に十分な量の貧溶媒を付与することができないため、前記ナノ粒子同士の接点を増加させることができず、該ナノ粒子が導電性ナノ粒子である場合には、導電性が低くなることがある。また、前記充填率が、80体積%を超えても、金属ナノワイヤーの凝集効果はそれ以上上がらないため、コスト的に不利になることがある。
【0122】
前記貧溶媒を前記塗膜に付与する時間としては、特に制限はなく、前記貧溶媒の充填率、前記貧溶媒付与体の数、前記塗膜の搬送速度などに応じて適宜選択することができるが、5秒間以上が好ましく、5秒間〜10秒間がより好ましい。
【0123】
前記貧溶媒付与処理を行う際の温度としては、特に制限はなく、貧溶媒の種類などに応じて適宜選択することができるが、20℃〜80℃が好ましく、30℃〜70℃がより好ましい。前記温度が、20℃未満であると、前記貧溶媒がミストの状態を維持できないことがあり、80℃を超えると、貧溶媒の濃度が薄くなり効果が減少する恐れがある。
【0124】
前記ナノ粒子凝集工程における前記貧溶媒付与体の数としては、特に制限はなく、前記塗膜の大きさ等に応じて適宜選択することができるが、該塗膜の全面に均一に音波振動を付与できるような配置、数であることが好ましい。
【0125】
また、前記ナノ粒子含有層の製造装置又は前記導電性構造物の製造装置が、前記塗膜を一定の速度で搬送できるベルトを有する場合は、塗膜の幅方向(搬送方向に対して垂直な方向)に貧溶媒付与体を配置し、該塗膜を搬送しながらの塗膜の長手方向(搬送方向と同じ方向)に対して順次音波振動を付与してもよい。このとき、前記貧溶媒付与体は、搬送方向に複数配置してもよい。
【0126】
なお、前記音波振動付与処理と、前記貧溶媒付与処理とは、1つの処理を単独で行ってもよく、2つの処理を併用してもよいが、2つの処理を併用して行うことが、ナノ粒子同士の接点が増加する点で好ましい。なお、2つの処理を併用する場合は、それぞれの処理を別々に行ってもよく、同時に行ってもよい。
【0127】
<乾燥工程、乾燥手段>
前記乾燥工程は、前記ナノ粒子凝集工程の後、前記塗膜を乾燥させる工程である。前記乾燥工程は、前記乾燥手段により好適に行われる。
前記乾燥手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、送風乾燥手段、加熱乾燥手段、熱風乾燥手段、噴霧乾燥手段、間接加熱乾燥手段、真空減圧乾燥手段などが挙げられる。また、自然乾燥であってもよい。
【0128】
加熱乾燥する場合の温度、時間としては、前記塗膜を乾燥させることができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0129】
本発明の前記ナノ粒子含有層の製造方法において、前記塗膜形成工程、前記ナノ粒子形成工程、前記乾燥工程などは、この順で行うことが好ましい。
各工程は、それぞれ1回行うだけでもよく、複数回行ってもよく、前記ナノ粒子凝集工程のみを複数回行ってもよく、各工程のサイクルを複数回行って積層物を形成してもよい。
前記ナノ粒子凝集工程を複数回行う場合、音波振動付与処理(空気を介して音波振動を付与する処理及び/又は液体を介して音波振動を付与する処理)と、貧溶媒付与処理(ミスト吹付け処理及び/又はミスト充填処理)の順序、組合せ、回数としても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0130】
<<導電性構造物>>
前記導電性構造物の製造方法及び/又はその製造装置によって製造された、導電性構造物は、前記導電性ナノ粒子を含有する導電層と、基材と、を少なくとも有し、必要に応じて、更に親水性ポリマー層、下引き層、その他の層を有する。
【0131】
前記導電層は、前記導電性ナノ粒子を含有する層である。
前記導電層の乾燥後の平均厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1μm〜30μmが好ましく、0.5μm〜10μmがより好ましく、1μm〜5μmが特に好ましい。前記平均厚みが、0.1μm未満であると、導電性の面内分布が不均一になることがあり、30μmを超えると、透過率が低くなり、透明性が損なわれることがある。
前記平均厚みは、導電性ナノ粒子含有塗布液を基材に塗布する際の、該導電性ナノ粒子含有塗布液の塗布量などを変えることで調整することができる。
ここで、前記平均厚みは、例えば、ミクロトーム切削で前記導電性構造物の断面を出した後、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察する、あるいは前記導電性構造物をエポキシ樹脂で包埋した後、ミクロトームで作製した切片を、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより測定することができる。
なお、前記平均厚みとは、前記導電性構造物おける任意の10箇所以上で測定した厚みの平均値をいう。
【0132】
前記導電層中の該導電性ナノ粒子の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01g/m〜30g/mが好ましく、0.01g/m〜10g/mがより好ましく、0.02g/m〜2g/mが特に好ましい。
前記導電性ナノ粒子の含有量が0.01g/m未満であると、導電性に寄与する導電性物質が減少し導電性が低下してしまうことがあり、同時に密なネットワークを形成できないために電圧集中が生じ、耐久性が低下することや、表面抵抗値が高くなることがある。更に、金属ナノワイヤー以外に導電性に大きく寄与しない成分を含む場合、該成分が吸収を持つこともあり好ましくない。特に金属ナノワイヤー以外の成分が金属の場合で、球形等のプラズモン吸収が強い場合には、透明度が悪化してしまうことがある。
また、導電性ナノ粒子の含有量が30g/mを超えると、透過率が低下することがある。
前記導電層における前記導電性ナノ粒子の含有量は、例えば、蛍光X線分析装置(ICP発光分析装置)などにより測定することができる。
【0133】
前記導電層の表面抵抗値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、透明電極などに使用する場合には、0.1Ω/□〜10Ω/□が好ましく、1Ω/□〜200Ω/□がより好ましい。帯電防止などに用いる場合には、10Ω/□〜10Ω/□を用いることが多い。
前記表面抵値抗は、例えば、表面抵抗計(Loresta−GP MCP−T600;三菱化学株式会社製)を用いて測定することができる。
【0134】
なお、前記ナノ粒子含有層の製造方法及び/又はその製造装置で製造されたナノ粒子含有層における、該ナノ粒子含有層の厚み、該ナノ粒子含有層におけるナノ粒子の含有量なども、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記導電層と同じ厚み、含有量などが好ましい。
【0135】
次に、本発明の前記ナノ粒子含有層の製造方法及びその製造装置、並びに、本発明の前記導電性構造物の製造方法及びその製造装置について図面を用いて詳細に説明するが、本発明はこれに限られるものではない。
図2は、本発明の前記ナノ粒子含有層の製造方法及びその製造装置、並びに、本発明の前記導電性構造物の製造方法及びその製造装置が適用される製造ラインの一例を示す概略図である。
ここでは、ナノ粒子含有層の製造を例に示すが、導電性構造物も同様にして製造することができる。
【0136】
図2のナノ粒子含有層の製造ライン10は、塗膜形成手段12、スピーカー1a、超音波発信子1bを有するナノ粒子凝集手段、乾燥手段76などを有する。なお、ピーカー1a及び超音波発信子1bは、前記音波振動付与体である。
【0137】
ナノ粒子含有層の製造ライン10は、送出し機66から基材Wが送り出される。前記基材Wは、好ましくは、親水性ポリマー層や下引き層を有する。基材Wは、ガイドローラ68によってガイドされて除塵機74に送り込まれ、基材Wの表面に付着した塵が取り除かれる。除塵機74の下流には、塗膜形成手段12が設けられており、バックアップローラ11に巻き掛けられた基材Wにナノ粒子含有塗布液が塗布される塗膜が形成される。
塗膜形成手段12の下流には、スピーカー1aが設けられており、図示しない印加手段からスピーカー1aに電位が印加され、塗膜の塗布面側に音波振動(破線矢印で示す)が付与される。次に、液体を満たした水槽2中に設けられた超音波発信子1bに図示しない印加手段から電位が印加され、塗膜の基材側から該基材Wを介して該塗膜に超音波振動(破線矢印で示す)が付与される。これにより、塗膜中のナノ粒子と分散剤と分離し、ナノ粒子同士の接点が増加する。次に、乾燥手段76により該塗膜が乾燥され、ナノ粒子含有層が形成される。そして、この下流に設けられた巻取り機82により、ナノ粒子含有層が形成された基材Wが巻き取られる。
また、ナノ粒子含有層の製造ライン10の略全般に亘って、基材Wを巻き掛けて支持し、基材Wの搬送を可能にるすガイドローラ68が設けられている。このガイドローラ68は、回動自在となっているローラ部材であり、基材Wの幅と略同一の長さを有することが好ましい。
【0138】
図3は、本発明のナノ粒子含有層の製造方法及び製造装置が適用されるナノ粒子含有層の製造ラインの別の一例を示す概略図である。
図3のナノ粒子含有層の製造ライン20は、図2において、ナノ粒子凝集手段を、ノズル3a、ナノ粒子含有塗布液中の分散剤に対する貧溶媒を充填した貧溶媒充填ボックス3bに変えたこと以外は、図2のナノ粒子含有層の製造ライン10と同じである。
【0139】
図2と同様にして、基材Wにナノ粒子含有塗布液が塗布される塗膜が形成された後、塗膜形成手段12の下流に設けられたノズル3aから、該ナノ粒子含有塗布液中の分散剤に対する貧溶媒を含むミスト(破線矢印で示す)が塗膜に吹き付けられ、該塗膜の塗布面側に前記貧溶媒を含むミストが付与される(ミスト吹付け処理)。次に、塗膜は、ナノ粒子含有塗布液中の分散剤に対する貧溶媒を含むミストを充填した貧溶媒充填ボックス3b内を通過し、更に該貧溶媒を含むミストが塗膜の塗布面側から付与される(ミスト充填処理)。これにより、塗膜中のナノ粒子と分散剤と分離し、ナノ粒子同士の接点が増加する。次に、乾燥手段76により該塗膜が乾燥され、図2のナノ粒子含有層の製造ライン10と同様にしてナノ粒子含有層が形成された基材Wが巻き取られる。
【0140】
なお、図2の例では、ナノ粒子凝集手段として、スピーカー1a及び超音波発信子1bを併用する例について、図3の例では、ナノ粒子凝集手段として、ノズル3a及び貧溶媒充填ボックス3bを併用する例について説明したが、これらのナノ粒子凝集手段は、1個単独で使用してもよく、2個以上を併用してもよい。また、これらのナノ粒子凝集手段の順序、数、及び組合せについても、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0141】
<用途>
本発明の前記ナノ粒子含有層の製造方法及びその製造装置は、ナノ粒子と分散剤とを含有し、該ナノ粒子の分散性が良好な塗布液を用いて形成した均一な塗膜において、該塗膜中で、ナノ粒子に吸着した分散剤を分離して分散性を低下させ、ナノ粒子同士の接点を増加させることができ、乾燥後のナノ粒子含有層中でナノ粒子同士が密に接触してナノ粒子のネットワークを形成できる。前記ナノ粒子が前記導電性ナノ粒子である場合は、これにより、導電性及び透明性に優れる導電性構造物を製造することができる。
したがって、本発明のナノ粒子含有層の製造方法及び/又はその製造装置で製造されたナノ粒子含有層、並びに、本発明の導電性構造物の製造方法及び/又はその製造装置で製造された導電性構造物は、各種用途に好適に利用可能である。例えば、ITO代替としての透明導電体、タッチパネル、電子ペーパー、帯電防止材、ディスプレイ用帯電防止、フレキシブルディスプレイ用帯電防止、電磁波シールド、プラズマディスプレイパネル用電磁波シールドフィルム、液晶テレビ用電磁波シールドフィルム、光学フィルタ、導電性ペースト、導電性塗料、導電性塗膜、配線材料等の回路材料、有機又は無機ELディスプレイ用電極、フレキシブルディスプレイ用電極、太陽電池用電極、各種の導電性基板用途などの各種エレクトロニクス材料、その他、触媒、着色剤、インクジェット用インク、カラーフィルタ用色材、フィルタ、化粧料、近赤外線吸収材、偽造防止用インク、電磁波遮蔽膜、表面増強蛍光センサ、表面増強ラマン散乱センサ、生体用マーカー、記録材料、ドラッグデリバリー用薬物担体、バイオセンサ、DNAチップ、検査薬などに幅広く適用される。
【実施例】
【0142】
以下に本発明の実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0143】
(実施例1)
<添加剤の調製>
予め、下記に示す方法で、添加剤A、添加剤G、及び添加剤Hを調製した。なお、前記添加剤G及び前記添加剤Hは、後述する銀ナノワイヤー含有塗布液中の分散剤である。
−添加液Aの調製−
硝酸銀粉末1.53gを純水150mLに溶解した。その後、1Nのアンモニア水を透明になるまで添加した。そして、全量が300mLになるように純水を添加した。
【0144】
−添加液Gの調製−
グルコース粉末1.0gを280mLの純水で溶解して、添加液Gを調製した。
【0145】
−添加液Hの調製−
HTAB(ヘキサデシル−トリメチルアンモニウムブロミド)粉末1.5gを82.5mLの純水で溶解して、添加液Hを調製した。
【0146】
<銀ナノワイヤー水分散液の調製>
純水410mLを三口フラスコ内に入れ、20℃にて攪拌しながら、添加液H 82.5mL及び添加液G 206mLをロートにて添加した(一段目)。次いで、この液に、添加液Aを、流量2.0mL/分間、攪拌回転数800rpmの条件で合計206mL添加した(二段目)。添加剤Aを滴下した後、10分間撹拌し、更に添加剤H 82.5mL添加した。次いで、3℃/分間で内温75℃まで昇温し、5時間、攪拌回転数を200rpmで加熱し、銀ナノワイヤーアンモニア分散液を得た。
次に、限外濾過モジュール(SIP1013、旭化成株式会社製、分画分子量6,000)、マグネットポンプ、及びステンレスカップをシリコンチューブで接続し、限外濾過装置とした。得られた銀ナノワイヤーアンモニア分散液を冷却した後、この限外濾過装置のステンレスカップに入れ、ポンプを稼動させて限外濾過を行った。モジュールからの濾液が50mLになった時点で、ステンレスカップに950mLの蒸留水を加え、洗浄を行った。上記の洗浄を10回繰り返した後、母液の量が50mLになるまで濃縮を行った。
【0147】
得られた銀ナノワイヤー水分散液中の銀ナノワイヤーの平均短軸長さ及び平均長軸長さを以下の方法で測定したところ、平均短軸長さは、17.6nm、平均長軸長さは、36.7μmであった。
【0148】
<<銀ナノワイヤーの平均短軸長さ及び平均長軸長さの測定>>
銀ナノワイヤー水分散液中の銀ナノワイヤーを透過型電子顕微鏡(TEM)(JEM−2000FX、日本電子株式会社製)で観察して短軸長さ及び長軸長さをそれぞれ測定した。300個の銀ナノワイヤーの短軸長さを銀ナノワイヤーの平均短軸長さとし、300個の銀ナノワイヤーの長軸長さを銀ナノワイヤーの平均長軸長さとした。
【0149】
<親水化処理及び下引き層の作製>
市販の二軸延伸熱固定済のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚み:100μm、幅:60cm)に、8W/m・分間のコロナ放電処理を施し親水化処理を行った後、下記組成の下引き層を乾燥厚みが0.8μmになるように塗設した。
[下引き層の組成]
ブチルアクリレート(40質量%)、スチレン(20質量%)、グリシジルアクリレート(40質量%)の共重合体ラテックスにヘキサメチレン−1,6−ビス(エチレンウレア)を0.5質量%含有した。
【0150】
<親水性ポリマー層の作製>
下引き層の表面に8W/m・分間のコロナ放電処理を施して、ヒドロキシエチルセルロースを親水性ポリマー層として乾燥厚みが0.2μmになるように塗設した。
【0151】
<導電性構造物の作製>
−塗膜形成工程−
濃縮した銀ナノワイヤー水分散液に水を加えてに希釈して銀ナノワイヤー含有塗布液を調製した。このときの銀ナノワイヤー含有塗布液を25℃にて回転式粘度計(ビスメトロンVDA−2、芝浦システム社製)で測定した粘度は、5mPa・sであった。
これを塗布銀量が0.02g/mとなるように塗布量を調整し、前記親水性ポリマー層上にダイコート方式にて塗布した。
また、銀ナノワイヤー含有塗布液を塗布後の塗膜の粘度は、5mPa・sであった。
前記塗膜の粘度は、まず、塗膜をスクレーパーで掻き取り、該塗膜中の固形分濃度を測定した。別途、前記塗膜の固形分濃度と同じ固形分濃度に調整した液を用いて、25℃にて回転式粘度計(ビスメトロンVDA−2、芝浦システム社製)で粘度を測定することで、塗膜の粘度とした。
【0152】
−導電性ナノ粒子凝集工程−
フルレンジ対応のスピーカー(230SM、BOSE製)を、該スピーカーからの音波振動の進行方向が、前記塗膜の塗布面(塗膜の基材と接している側とは反対の面)を基準面とし、該基準面(塗布面と水平方向)を0°としたとき、該塗布面から、90°(塗布面に対して垂直な方向、塗膜の厚み方向)となる位置に設置した。スピーカーの配置の概略説明図を図4A及び図4Bに示す。図4Aは、スピーカー及び塗膜を該塗膜の塗布面側から見た上面概略図である。図4Bは、図4AのA−A’で示す塗膜の幅方向、かつ塗膜の厚み方向の断面図である。
スピーカー1aは、基材36上の塗膜35の塗布面(基準面O)から、塗膜35の厚み方向(基準面から90°の方向)に、スピーカー面Sが50cm離れた距離に、音波振動の進行方向Vが塗布面と対向するようにして設置した(図4B参照)。塗膜35の搬送方向(塗膜の長手方向)L、該搬送方向Lと垂直な方向(塗膜の幅方向)Dとしたとき、複数のスピーカー1aは、スピーカー1aの中心間距離が、塗膜の長手方向L及び塗膜の幅方向Dにおいて、それぞれ30cm間隔であり、かつ、中心間距離が等間隔になるように、また塗膜の長手方向に交互になるような千鳥配列で、塗膜の長手方向に計4列、合計10個設置した(図4A参照)。
ファンクションジェネレーター(AFG3011型、テクトロニクス社製)にて、該スピーカーへの入力が約20Wのとなるように調整し、周波数100Hzの音波振動を発生させ、塗膜を5m/分間で搬送しながら、該塗膜に空気を介して音波振動を10秒間付与した。以下、この方法を「スピーカー方式」と称することがある。
【0153】
−乾燥工程−
前記振動付与後の塗膜は、60℃で3分間乾燥させ、導電層を作製した。
【0154】
(実施例2)
実施例1において、塗膜の粘度が5mPa・sのときに導電性ナノ粒子凝集工程を行ったことに変えて、塗膜形成工程にて銀ナノワイヤー水分散液(粘度5mPa・s)を塗布後、導電性ナノ粒子凝集工程に予備乾燥を行い、塗膜の粘度が8mPa・sのときに導電性ナノ粒子凝集工程を行ったこと以外は、実施例1と同様の方法で導電層を作製した。
【0155】
(実施例3)
実施例1において、塗膜の粘度が5mPa・sのときに導電性ナノ粒子凝集工程を行ったことに変えて、塗膜形成工程にて銀ナノワイヤー水分散液(粘度5mPa・s)を塗布後、導電性ナノ粒子凝集工程に予備乾燥を行い、塗膜の粘度が10mPa・sのときに導電性ナノ粒子凝集工程を行ったこと以外は、実施例1と同様の方法で導電層を作製した。
【0156】
(実施例4)
実施例1において、導電性ナノ粒子凝集工程における周波数を100Hzに変えて、500Hzとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で導電層を作製した。
【0157】
(実施例5)
実施例1において、導電性ナノ粒子凝集工程における周波数を100Hzに変えて、1,000Hzとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で導電層を作製した。
【0158】
(実施例6)
実施例1において、導電性ナノ粒子凝集工程における周波数を100Hzに変えて、10,000Hzとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で導電層を作製した。
【0159】
(実施例7)
実施例1において、導電性ナノ粒子凝集工程を、下記に示す方法で行ったこと以外は、実施例1と同様の方法で導電層を作製した。
【0160】
−導電性ナノ粒子凝集工程−
水槽(深さ:40cm、幅:70cm、長さ:50cm)の底面に超音波発信子(NL300、日本アレックス株式会社製)を60cmの幅で設置した。この水槽に水を深さ40cmまで溜め、この水面と、前記塗膜の基材面(塗膜の基材と接している側)とを接触させた。即ち、超音波発信子と、基材との距離は、25cmであった。なお、水槽には、少量の水を常時補給する形として、オーバーフローする水については、周囲に浴槽を設けるなどして回収し、基材に付着した水滴については、必要に応じてエアーブローにて掻き取り乾燥させるなどした。
超音波発信子から28kHzの超音波振動を発生させ、塗膜を5m/分間で搬送しながら、該塗膜に、水及び基材を介して超音波振動を6秒間付与した。以下、この方法を「超音波方式」と称することがある。
【0161】
(実施例8)
実施例7において、超音波振動を6秒間付与したことに変えて、3秒間付与したこと以外は、実施例7と同様の方法で導電層を作製した。
【0162】
(比較例1)
実施例1において、導電性ナノ粒子凝集工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で導電層を作製した。
【0163】
(比較例2)
比較例1において、塗膜形成工程における塗布銀量を0.02g/mとなるようにしたことに変えて、0.08g/mとし、塗膜の粘度を5mPa・sとしたことに変えて、10mPa・sとしたこと以外は、実施例1と同様の方法で導電層を作製した。
【0164】
実施例1〜8及び比較例1〜2で作製した銀ナノワイヤーを含む導電層を有するフィルムを用い、以下の方法で透過率及び表面抵抗値の測定を行った。なお、実施例及び比較例のフィルムは、それぞれ10サンプル作製し、これらの平均値により評価を行った。結果を下記表1に示す。
【0165】
<透過率>
フィルムの400nm〜800nmの透過率を、紫外可視分光光度計(UV−2550、株式会社島津製作所製)を用いて測定し、下記評価基準に基づいて評価した。
[評価基準]
◎:透過率が90%以上で、実用上問題ないレベルである。
○:透過率が80%以上90%未満で、実用上問題ないレベルである。
△:透過率が75%以上80%未満で、実用上問題ないレベルである。
【0166】
<表面抵抗(導電性)>
フィルムの表面抵抗を、低抵抗率計(Loresta−GP MCP−T600、三菱化学株式会社製)を用いて測定し、下記評価基準に基づいて評価した。なお、表面抵抗値が低いことは、導電性が高いことを示す。
[評価基準]
◎:表面抵抗値が100Ω/□未満で、実用上問題ないレベルである。
○:表面抵抗値が750Ω/□未満で、実用上問題ないレベルである。
△:表面抵抗値が1,000Ω/□未満で、実用上問題ないレベルである。
×:表面抵抗値が1,000Ω/□以上で、実用上問題あるレベルである。
【0167】
【表1】

【0168】
(実施例9)
実施例1において、導電性ナノ粒子凝集工程を、下記に示す方法で行ったこと以外は、実施例1と同様の方法で導電層を作製した。
【0169】
−導電性ナノ粒子凝集工程−
2流体方式の円錐型スプレーノズル(霧のいけうち製)を、該ノズルからの吐出方向が、前記塗膜の塗布面(塗膜の基材と接している側とは反対の面)を基準面とし、該基準面(塗布面と水平方向)を0°としたとき、該塗布面から、90°(塗布面に対して垂直な方向、塗膜の厚み方向)となる位置であり、塗膜の塗布面から30cm離れた距離に設置した。このとき、ノズルは、の前記塗膜の搬送方向(塗膜の長手方向)、及び該搬送方向と垂直な方向(塗膜の幅方向)において、20cm間隔で塗膜の幅方向に4個、長手方向に4列、合計16個設置した。
塗膜を5m/分間で搬送しながら、ノズルから塗膜の塗布面に対して、塗膜中の分散剤(グルコース及びHTAB)に対して貧溶媒であるIPA(イソプロピルアルコール)を、25℃にて、付与量20g/分間、風速5m/秒間で5秒間吹き付けた。以下、前記貧溶媒を付与する時間を、「貧溶媒付与時間」と称することがある。
【0170】
(実施例10)
実施例9において、導電性ナノ粒子凝集工程における貧溶媒付与時間を、5秒間に変えて、10秒間としたこと以外は、実施例9と同様の方法で導電層を作製した。
【0171】
(実施例11)
実施例9において、導電性ナノ粒子凝集工程における貧溶媒の付与量を、20g/分間で行ったことに変えて、50g/分間で行ったこと以外は、実施例9と同様の方法で導電層を作製した。
【0172】
(実施例12)
実施例9において、導電性ナノ粒子凝集工程における貧溶媒の付与量を、20g/分間で行ったことに変えて、50g/分間で行い、貧溶媒付与時間を、5秒間に変えて、10秒間としたこと以外は、実施例9と同様の方法で導電層を作製した。
【0173】
(実施例13)
実施例9において、導電性ナノ粒子凝集工程を、下記に示す方法で行ったこと以外は、実施例9と同様の方法で導電層を作製した。
【0174】
−導電性ナノ粒子凝集工程−
貧溶媒充填ボックス(高さ:50cm、幅:70cm、長さ:50cm)中の温度を60℃に設定し、該ボックス内に、前記分散剤(グルコース及びHTAB)に対して貧溶媒であるIPA(イソプロピルアルコール)を、ミスト状にして充填した。このボックス内に、前記塗膜を5m/分間で搬送しながら通過させ、該貧溶媒の付与量50g/分間、貧溶媒付与時間10秒間の条件で、該塗膜に貧溶媒を付与した。
【0175】
(実施例14)
実施例13において、導電性ナノ粒子凝集工程における貧溶媒の付与量を、50g/分間で行ったことに変えて、100g/分間で行い、貧溶媒付与時間を、5秒間に変えて、10秒間としたこと以外は、実施例13と同様の方法で導電層を作製した。
【0176】
(実施例15)
実施例1において、導電性ナノ粒子凝集工程を、下記に示す方法で行ったこと以外は、実施例1と同様の方法で導電層を作製した。
【0177】
−導電性ナノ粒子凝集工程−
実施例1と同様にして、スピーカーを設置した。また、これと同時に実施例9と同様にして、2流体方式の円錐型スプレーノズルを設置した。
塗膜を5m/分間で搬送しながら、実施例1と同様のスピーカー方式で、周波数10,000Hzの音波振動を、空気を介して10秒間付与しつつ、同時に、実施例9と同様の方法で、塗膜中の分散剤(グルコース及びHTAB)に対して貧溶媒であるIPA(イソプロピルアルコール)の付与量を50g/分間、風速5m/秒間で10秒間吹き付けた。
【0178】
(実施例16)
実施例1において、導電性ナノ粒子凝集工程を、下記に示す方法で行ったこと以外は、実施例1と同様の方法で導電層を作製した。
【0179】
−導電性ナノ粒子凝集工程−
実施例1と同様にして、スピーカーを設置した。また、これと同時に実施例13と同様にして、貧溶媒充填ボックスを設置した。
塗膜を5m/分間で搬送しながら、実施例1と同様のスピーカー方式で、周波数10,000Hzの音波振動を、空気を介して10秒間付与しつつ、同時に、実施例13と同様の方法で、塗膜中の分散剤(グルコース及びHTAB)に対して貧溶媒であるIPA(イソプロピルアルコール)を付与量100g/分間で10秒間付与した。
【0180】
(実施例17)
実施例7において、導電性ナノ粒子凝集工程を、下記に示す方法で行ったこと以外は、実施例7と同様の方法で導電層を作製した。
【0181】
−導電性ナノ粒子凝集工程−
実施例7と同様にして、水槽の底面に超音波発信子を設置した。また、これと同時に実施例9と同様にして、2流体方式の円錐型スプレーノズルを設置した。
塗膜を5m/分間で搬送しながら、実施例7と同様の超音波方式で、28kHzの超音波振動を、水及び基材を介して超音波振動を10秒間付与しつつ、同時に、実施例9と同様の方法で、塗膜中の分散剤(グルコース及びHTAB)に対して貧溶媒であるIPA(イソプロピルアルコール)を付与量50g/分間、風速5m/秒間で10秒間吹き付けた。
【0182】
実施例9〜17で作製した銀ナノワイヤーを含む導電層を有するフィルムを用い、実施例1と同様の方法で透過率及び表面抵抗値の測定を行った。なお、実施例9〜17のフィルムは、それぞれ10サンプル作製し、これらの平均値により評価を行った。実施例9〜17の条件を下記表2に、結果を下記表3に示す。
【0183】
【表2】

【0184】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0185】
本発明の前記導電性構造物の製造方法及びその製造装置は、高い導電性と透明性を有している。したがって、本発明の導電性構造物の製造方法及び/又はその製造装置で製造された導電性構造物は、例えば、ITO代替としての透明導電体、タッチパネル、電子ペーパー、帯電防止材、ディスプレイ用帯電防止、フレキシブルディスプレイ用帯電防止、電磁波シールド、プラズマディスプレイパネル用電磁波シールドフィルム、液晶テレビ用電磁波シールドフィルム、光学フィルタ、導電性ペースト、導電性塗料、導電性塗膜、配線材料等の回路材料、有機又は無機ELディスプレイ用電極、フレキシブルディスプレイ用電極、太陽電池用電極、各種の導電性基板用途などの各種エレクトロニクス材料、その他、触媒、着色剤、インクジェット用インク、カラーフィルタ用色材、フィルタ、化粧料、近赤外線吸収材、偽造防止用インク、電磁波遮蔽膜、表面増強蛍光センサ、表面増強ラマン散乱センサ、生体用マーカー、記録材料、ドラッグデリバリー用薬物担体、バイオセンサ、DNAチップ、検査薬などに幅広く適用される。
また、本発明の前記ナノ粒子含有層の製造方法及びその製造装置は、該ナノ粒子含有層中にナノ粒子を均一な状態で配することができるため、ナノ粒子を用いる各種用途に好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0186】
1a スピーカー
1b 超音波発信子
2 水槽
3a ノズル
3b 貧溶媒充填ボックス
10 導電層の製造ライン
11 バックアップローラ
12 塗膜形成手段
20 導電層の製造ライン
30 導電性ナノワイヤー
30a 導電性ナノワイヤー
30b 導電性ナノワイヤー
31 分散剤
35 塗膜
36 基材
66 送出し機
68 ガイドローラ
74 除塵機
76 乾燥手段
82 巻取り機
W 基材
L 搬送方向
D 塗膜の幅
V 音波振動の進行方向
O 基準面
S スピーカー面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノ粒子と、該ナノ粒子を分散させるための分散剤と、を少なくとも含むナノ粒子含有塗布液を基材に塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程と、
前記塗膜に音波振動を付与する処理、及び前記塗膜に前記分散剤に対する貧溶媒を付与する処理の少なくともいずれかの処理により前記塗膜中で前記ナノ粒子を凝集させるナノ粒子凝集工程と、を含むことを特徴とするナノ粒子含有層の製造方法。
【請求項2】
音波振動を付与する処理が、塗膜の塗布面側から、空気を介して前記音波振動を前記塗膜に付与する処理である請求項1に記載のナノ粒子含有層の製造方法。
【請求項3】
空気を介して音波振動を塗膜に付与する処理において、該音波振動の周波数が100Hz以上である請求項2に記載のナノ粒子含有層の製造方法。
【請求項4】
音波振動を付与する処理が、塗膜の基材側から、該基材及び液体の少なくともいずれかを介して前記音波振動を前記塗膜に付与する処理である請求項1に記載のナノ粒子含有層の製造方法。
【請求項5】
基材及び液体の少なくともいずれかを介して音波振動を塗膜に付与する処理において、該音波振動が超音波成分を含む請求項4に記載のナノ粒子含有層の製造方法。
【請求項6】
分散剤に対する貧溶媒を付与する処理が、前記貧溶媒を含むミストを塗膜に吹き付ける処理、及び前記塗膜を前記貧溶媒を含むミストが充填されている領域中に配置する処理のいずれかの処理である請求項1に記載のナノ粒子含有層の製造方法。
【請求項7】
ナノ粒子凝集工程の後、塗膜を乾燥させる乾燥工程を更に含む請求項1から6のいずれかに記載のナノ粒子含有層の製造方法。
【請求項8】
ナノ粒子含有塗布液の25℃における塗膜の粘度が、10mPa・s以下である請求項1から7のいずれかに記載のナノ粒子含有層の製造方法。
【請求項9】
導電性ナノ粒子と、該導電性ナノ粒子を分散させるための分散剤と、を少なくとも含む導電性ナノ粒子含有塗布液を基材に塗布して塗膜を形成する塗膜形成工程と、
前記塗膜に音波振動を付与する処理、及び前記塗膜に前記分散剤に対する貧溶媒を付与する処理の少なくともいずれかの処理により前記塗膜中で前記導電性ナノ粒子を凝集させる導電性ナノ粒子凝集工程と、
前記導電性ナノ粒子を凝集させた塗膜を乾燥させて導電層を形成する乾燥工程と、を含むことを特徴とする導電性構造物の製造方法。
【請求項10】
導電性ナノ粒子のアスペクト比が、10〜10,000である請求項9に記載の導電性構造物の製造方法。
【請求項11】
導電層の表面抵抗値が、0.1Ω/□〜10Ω/□である請求項9から10のいずれかに記載の導電性構造物の製造方法。
【請求項12】
導電性ナノ粒子が、金属及びカーボンの少なくともいずれかの、ナノ粒子、ナノチューブ、ナノロッド、及びナノホーンの少なくともいずれかである請求項9から11のいずれかに記載の導電性構造物の製造方法。
【請求項13】
ナノ粒子と、該ナノ粒子を分散させるための分散剤と、を少なくとも含むナノ粒子含有塗布液を基材に塗布して塗膜を形成する塗膜形成手段と、
前記塗膜に音波振動を付与する音波振動付与体、及び前記塗膜に前記分散剤に対する貧溶媒を付与する貧溶媒付与体の少なくともいずれかにより前記塗膜中で前記ナノ粒子を凝集させるナノ粒子凝集手段と、を有することを特徴とするナノ粒子含有層の製造装置。
【請求項14】
音波振動付与体が、スピーカー及び超音波発信子のいずれかである請求項13に記載のナノ粒子含有層の製造装置。
【請求項15】
導電性ナノ粒子と、該導電性ナノ粒子を分散させるための分散剤と、を少なくとも含む導電性ナノ粒子含有塗布液を基材に塗布して塗膜を形成する塗膜形成手段と、
前記塗膜に音波振動を付与する音波振動付与体、及び前記塗膜に前記分散剤に対する貧溶媒を付与する貧溶媒付与体の少なくともいずれかにより前記塗膜中で前記導電性ナノ粒子を凝集させる導電性ナノ粒子凝集手段と、
前記導電性ナノ粒子を凝集させた塗膜を乾燥させて導電層を形成する乾燥手段と、を有することを特徴とする導電性構造物の製造装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公開番号】特開2012−216411(P2012−216411A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80757(P2011−80757)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】