ナルトレキソンの多型形態
本発明は、ナルトレキソンの新規な非晶質かつ多型の形態(溶媒和物、水和物、無水物および他の結晶性形態ならびにその組み合わせを含む)の発見に関する。これらのナルトレキソンの新規な形態は、これを含有する医薬製剤(徐放性または長期作用性の製剤など)において利点を付与する。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の背景
アルコール依存症は、かなりの罹病率および死亡率を伴う一般的な疾患である。解毒および心理社会的療法が処置の基準を提供し、また、薬物療法も広く認められてきている。経口投与されるナルトレキソン(強力なオピオイド拮抗薬)は、アルコール依存症患者の大量飲酒の再発を低減し、再発が起こったときは消費される飲酒の数を減少し、節制を促進することが示されている。ナルトレキソンは、飲酒欲および幸福感に溢れる量のアルコールの増大の両方を低減することが報告されている。
【0002】
ナルトレキソンは、アルコール依存症の処置における維持剤として有効であることが示されているが、その有用性の大きな制限は、治療に対する指示遵守度が良好でないことであり得る。アルコール中毒の処置において、経口ナルトレキソンは、毎日行なわれなければならない。経口ナルトレキソンをプラセボと比較する臨床試験では、ナルトレキソンで処置した患者の40%より多くは、毎日経口投薬計画に従わなかった。薬物治療に従わなかった患者では、臨床的に有意な飲酒に対する再発は、プラセボ処置患者と類似し、薬物治療に従った患者で観察された割合よりも有意に高かった。
【0003】
種々の薬物の多型体、溶媒和物および塩は、薬物に新規な性質を賦与すると文献に記載されている。これらの多型体は、異なる溶解度、安定性および加工特性を有し得、好機および課題を提示する。
【0004】
発明の概要
本発明は、ナルトレキソンの新規な非晶質かつ多型の形態(溶媒和物、溶媒和物異形態(solvatomorph)、水和物、無水物および他の結晶性形態ならびにその組み合わせを含む)の発見に関する。これらのナルトレキソンの新規な形態は、これを含有する医薬製剤(徐放性または長期作用性の製剤など)において利点を付与する。溶媒和物または溶媒和物異形態は、例えばクラスレートなどの化学量論的および非化学量論的溶媒和物を含み得る。
【0005】
本発明は、粉末X線回折(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)または減衰全反射赤外吸収分光測光法(IR-ATR)により特徴付けられるナルトレキソンの多型形態を提供する。
【0006】
本発明は、有利には、ナルトレキソンエタノレート(ethanolate)、無水ナルトレキソン、ナルトレキソン一水和物、ベンジルアルコール溶媒和物および他のナルトレキソンの多型体(単独または組合せ)を含む、ナルトレキソンの新規な多型体を提供する。
【0007】
別の局面において、本発明は、(i)ナルトレキソン塩基無水物および/または塩酸塩または他の塩などのナルトレキソンを、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、水、メタノール、エタノール、ベンジルアルコール、ジクロロメタン、アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエンおよびヘキサンからなる群より選択される溶媒と混合すること;(ii)混合物を沸点の1〜10℃以内に加熱し、ほぼ飽和した溶液を調製すること;(iii)得られたほぼ飽和した溶液を室温まで冷却し、沈殿物を形成させること;および(iv)沈殿物を回収することを含む、ナルトレキソンの新規な多型形態の作製方法を提供する。
【0008】
本発明のさらなる局面は、本明細書に開示するナルトレキソン形態を含有する医薬組成物を提供する。
【0009】
本発明を、図面を参照しながら、本明細書に示す表および以下の実施例により説明するが、限定するものではない。
【0010】
発明の詳細な説明
研究過程において、出願人らは、驚いたことに、新規なナルトレキソン多型体(溶媒和物、水和物および無水物形態ならびにこれらの組合せを含む)を見出した。さらなる調査により、ナルトレキソン含有微粒子における好ましい性質は、微粒子内に含有されるナルトレキソンの結晶性形態および非結晶性形態によるものであるという認識がもたらされた。出願人らは、結晶性ナルトレキソンの多型形態、例えばナルトレキソンのエタノール溶媒和物形態が、ナルトレキソン含有組成物において、良好ないし優れた性質を有することを認識した。
【0011】
医薬組成物は、投与のために製剤化されると、例えば麻薬またはアルコール中毒および自閉症の処置および予防ならびに他のナルトレキソンを用いる(based)治療において有用である。
【0012】
すべての医薬用化合物および組成物のように、用いられるナルトレキソン形態(1つまたは複数)の化学的および物理的特性は、その商業的開発において重要であり得る。これらの特性としては、(1)モル容積、密度および吸湿性などの充填特性、(2)溶融温度、蒸気圧および溶解度などの熱力学的特性、(3)溶解速度および安定性(周囲条件での、特に湿気に対する安定性および保存条件下での安定性を含む)などの力学的特性、(4)表面積、濡れ性、界面張力および形状などの表面特性、(5)硬度、引っ張り強さ、成形性、取扱い性、流動およびブレンドなどの機械的特性;および(6)濾過特性が挙げられるが、これらに限定されない。これらの特性は、例えば、ナルトレキソンを含有する医薬組成物の加工および保存に影響を及ぼし得る。ナルトレキソンの他の固体形態に対し、これらの特性の1つまたはそれ以上における改善をもたらすナルトレキソンの固体形態が望ましい。
【0013】
本発明の多型体およびそれを含有する組成物は、改善された取扱い易さを提供する形態であるという利点を有する。さらに、目的とする用途に応じて、これらは、改善された化学的および固体状態での安定性を有する。例えば、これらは、長期間にわたって保存した時に安定であり得る。これらは、これまでのようにして調製したナルトレキソンの形態よりも、良好な収率で、高純度で、短い時間で、簡便かつ低コストで調製することができる。
【0014】
1.種々の溶媒中でのナルトレキソンの晶出
一連のナルトレキソン試料を、種々の溶媒からの異なる速度での大量(bulk)薬物物質の晶出により作製した。これらの物質を、粉末X線回折(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)および減衰全反射赤外吸収分光測光法(IR-ATR)により特徴付けた。
【0015】
物質の単離された結晶形態は、しばしば、晶出溶媒の性質および該溶媒から晶出する速度の関数である。以下の一覧表の溶媒は、あらゆる溶媒の種類からの代表を含み、これらからの晶出は、ナルトレキソンに対して特有の結晶形態が得られ得ること(accessible to)を可能にする。
【0016】
【表1】
【0017】
2.新規な形態の同定方法
出願人らは、2つの別々のプロセスを用いてナルトレキソンの実質的に純粋な多型形態を調製した。一方のプロセスでは、出願人は、低速冷却プロセス(「低速」)を用いて結晶性ナルトレキソン多型体を調製した。市販のナルトレキソン塩基無水物(Mallinckrodt)を溶媒に溶解して溶媒系を形成した。得られた溶媒系を、ほぼ飽和した溶液を調製する目的で、沸点の1〜10℃以内に加熱した。次いで、ほぼ飽和した溶液を、1〜2℃/分以下の速度で室温まで冷却した。得られた沈殿物を回収した。
【0018】
第2のプロセスは、高速冷却プロセス(「高速」)であり、この場合、ナルトレキソン塩基無水物(Mallinckrodt)を溶媒に溶解して溶媒系を形成した。得られた溶媒系を、ほぼ飽和した溶液を調製する目的で、沸点の5〜10℃以内に加熱した。次いで、ほぼ飽和した溶液を、できるだけ急速に室温まで冷却した。得られた沈殿物を回収した。
【0019】
以下の表2は、使用した各溶媒、どちらのプロセスを使用したか、および参照する図(実施した3つの分析方法の各々の結果を示す)の一覧である。
【0020】
3.粉末X線回折
ナルトレキソンの種々の結晶性形態のほとんどを、粉末X線回折を用いて解析した。粉末X線回折(XRPD)パターンは、θ/2θ形式の水平測角器を取り付けたRigaku MiniFlex粉末解析システムを用いて得た。X線源は、ニッケルフィルター銅Kα放射(1.54056オングストローム)であった。埋め戻し手順を用いてアルミニウムホルダー内に試料を充填し、50〜6度2θの範囲で、0.5度2θ/分のスキャン速度でスキャンした。各粉末パターンの較正を、44.738および38.472度2θにおけるアルミニウムの特徴的な散乱ピーク(これらのピークはパターン内に見られる)を用いて行なった。他のXRPDを、Bruker D8 Advance XRDまたはSCINTAC X線回折計(#XDS 2000型)を用い、0.02°/工程を用いて1秒間隔で解析した。試料を、2〜40度2θの範囲で、1度2θ/分のスキャン速度でスキャンした。
【0021】
種々の溶媒系からの低速および高速冷却により得られた種々のナルトレキソン沈殿物のXRPD粉末パターンを本明細書において図に示す。本発明のナルトレキソン形態は、本明細書に記載した方法に従って作製したものに限定されない。
【0022】
4.融解/分解温度
ナルトレキソン結晶性形態の融解および/または分解の温度を、示差走査熱量測定(DSC)用いて測定した。ほとんどのDSC測定値は、TA Instruments 2910熱分析システムにおいて得た。ほぼ1〜2mgの試料を、正確にアルミニウムDSC皿内に秤量し、所定の位置にかしめたアルミニウム蓋で覆った。次いで、試料を25〜240℃の範囲で10℃/分の加熱速度で加熱した。
【0023】
【表2】
【0024】
融解/分解温度範囲を、外挿開始から融解/分解吸熱の最大までと規定した。
【0025】
他のDSC測定値を、密閉皿を用いたTA Instruments Q 1000 DSCおよび0℃〜200℃で10℃/分または50℃/分の加熱速度を用いたDSCランプ法により得た。当業者には、DSCを測定する他の適切な手段が認識されよう。
【0026】
種々の溶媒系から低速および高速冷却により得られた種々のナルトレキソン物質のDSC温度記録図を図面に示す。
【0027】
5.赤外吸収分光測光法
解析物の固体状態赤外線(IR)スペクトルを、Buck Scientific M-500型赤外分光計を用い、シングルビーム方式で操作し、減衰全反射率吸収(ATR)検出方式を用いて得た。Pike Technologiesにより商品名 MIRacle(登録商標)で販売されているZnSe結晶単反射水平型ATRサンプリング付属装置に試料を挟んだ。
【0028】
種々の溶媒系から低速および高速冷却により得られた種々のナルトレキソン生成物のIR-ATRスペクトルを図面に示す。
【0029】
ナルトレキソンエタノレート
特に、出願人らは、約9°(2θ)に特性ピークを有する粉末X線回折に特徴付けられるナルトレキソンエタノレートの多型形態を調製した。このピークは、2つの調製プロセスのどちらを用いたかに関係なく現れる。
【0030】
得られた分析は、ナルトレキソンの多型形態が図5Aの粉末X線回折パターンにより特徴付けられ得ることを示した。この多型形態は、図17AのDSCパターンおよび/または図29AのIR-ATRによりさらに特徴付けられ得る。
【0031】
ナルトレキソンのこの多型形態は、図5Bの粉末X線回折パターンにより特徴付けられ得る。この多型形態は、図17BのDSCパターンおよび/または図29BのIR-ATRによりさらに特徴付けられ得る。
【0032】
ナルトレキソンエタノレートの多型形態はまた、図46により特徴付けられ得る。本発明による精製されたナルトレキソンエタノレートは、例えばナルトレキソンベンジルアルコール溶媒和物、ナルトレキソン一水和物および無水ナルトレキソンからなる群より選択される1つ以上のナルトレキソンの多型形態の実質的に非存在下で調製され得る。本明細書で使用する場合、「実質的に非存在」は、上記物質を有さないか、または無視できる(検出可能を含む)量の上記物質を有することを意味することが意図され、これは、上記物質の形成を回避することを意図するプロセスまたは上記物質を除去することを意図するプロセスにより達成され得る。
【0033】
さらに、ナルトレキソンベンジルアルコール溶媒和物が完全に非存在である本発明の多型形態を調製することができ、これは、溶媒系として、または溶媒系においてベンジルアルコールの使用を避けるプロセスを用いることにより達成され得る。別の態様において、多型形態は、ナルトレキソンベンジルアルコール溶媒和物とともに、全結晶性ナルトレキソンの少なくとも約88%または約65重量%未満の量で存在するか、あるいはまた、全結晶性ナルトレキソンの約67.0%、76.3または85.7重量%の量で存在しない。
【0034】
図5A、5Bまたは46のXRPDにより特徴付けられるナルトレキソンのエタノレート形態は、ナルトレキソンベンジルアルコール溶媒和物の存在しない形態の例である。
【0035】
形態が実質的に純粋である本発明の多型形態は、当業者に特に興味深いものである。
【0036】
無水物形態
本発明の他の形態も考えられる。例えば、ナルトレキソンの無水物多型形態を調製した。この形態は、約8°(2θ)に特性ピークを有する粉末X線回折により特徴付けられ得る。
【0037】
例えば、ナルトレキソンのこの多型形態は、図1Aの粉末X線回折パターンにより特徴付けられ得る。加えて、この多型形態は、図13AのDSCパターンによりさらに特徴付けられ得る。なおさらに、この多型形態は、図25AのIR-ATRにより特徴付けられ得る。
【0038】
ナルトレキソンのかかる多型形態は、図1Bの粉末X線回折パターンにより特徴付けられ得る。なおさらに、この多型形態は、図13BのDSCパターンによりさらに特徴付けられ得る。加えて、この多型形態は、図25BのIR-ATRによりさらに特徴付けられ得る。
【0039】
あるいはまた加えて、この多型形態は、図43のXRPDにより特徴付けられ得る。
【0040】
一水和物
出願人らはまた、溶媒として水を使用することにより形成したナルトレキソンの一水和物形態を調製した。ナルトレキソンのこの形態は、約7°(2θ)に特性ピークを有するX線粉末回折により特徴付けられる。ナルトレキソンのこの多型形態は、図3および44の粉末X線回折パターンにより特徴付けられ得る。さらに、約7における多型形態は、図15のDSCパターンにより特徴付けられ得る。加えて、この多型形態は、図27のIR-ATRによりさらに特徴付けられ得る。
【0041】
ベンジルアルコール溶媒和物
出願人らは、ナルトレキソンの別の多型形態を調製し、これは、約5〜6°(2θ)に特性ピークを有する粉末X線回折により特徴付けられ得る。加えて、ナルトレキソンの多型形態は、図6および45の粉末X線回折パターンにより特徴付けられ得る。なおさらに、この多型形態は、図18のDSCパターンにより特徴付けられ得る。また、多型形態は、図30のIR-ATRにより特徴付けられ得る。
【0042】
さらに、ナルトレキソンエタノレートが完全に非存在である本発明の多型形態を調製することができ、これは、溶媒系として、または溶媒系においてエタノールの使用を避けるプロセスを用いることにより達成され得る。別の態様において、この多型形態は、ナルトレキソンエタノレートとともに、全結晶性ナルトレキソンの少なくとも約35%または約13重量%未満の量で存在するか、あるいはまた、全結晶性ナルトレキソンの約33.0%、23.7または14.3重量%の量で存在しない。
【0043】
本明細書に具体的に記載した溶媒和物を含む他の多型体およびこれらの組合せは本発明の一部である。
【0044】
非晶質ナルトレキソン
出願人らはまた、ナルトレキソンの非晶質形態を調製し、これは、図42のDSCパターンにより特徴付けられ得る。非晶質ナルトレキソン形態は、NTX塩基を180〜190℃の炉内にほぼ10分間放置することにより調製した。溶融させた後、これを取り出して室温まで冷却した。次いで、これをスパチュラを用いて小片に破砕し、乳鉢および乳棒を用いて微粉末に磨砕した。粉末X線回折パターンによりこの粉末が非晶質であることを確認した。
【0045】
ナルトレキソンの単離された、および/または実質的に純粋な形態もしくは形態の混合物の作製方法
この形態は、
(i)ナルトレキソン塩基無水物または塩酸塩などの塩などのナルトレキソンを、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、水、メタノール、エタノール、ベンジルアルコール、ジクロロメタン、アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエンおよびヘキサンなどの、溶媒または1つ以上の有機系または水性溶媒を含む溶媒系と混合すること;(ii)溶媒または溶媒系を沸点の約1〜10℃以内に加熱し、ほぼ飽和した溶液を調製すること;(iii)得られたほぼ飽和した溶液を、室温まで1〜2℃/分以下の速度などでゆっくりと冷却し、それにより沈殿物を形成させること;および(iv)沈殿物を回収することを含む方法により調製され得る。この方法は、本明細書において、低速プロセスまたは低速冷却法ともいう。
【0046】
この方法によって調製される物質の例は、図1A、2A、4A、5A、7A、8A、9A、10A、11Aおよび12Aからなる群より選択される粉末X線回折パターンによって特徴付けられ得る。
【0047】
なおさらに、この方法によって調製される沈殿物は、図13A、14A、16A、17A、19A、20A、21A、22A、23Aおよび24Aからなる群より選択されるDSCパターンにより特徴付けられ得る。加えて、この沈殿物は、図25A、26A、28A、29A、31A、32A、33A、34A、35Aおよび36Aからなる群より選択されるIR-ATRにより特徴付けられ得る。
【0048】
あるいはまた、出願人らは、(i)ナルトレキソン塩基無水物を、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、水、メタノール、エタノール、ベンジルアルコール、ジクロロメタン、アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエンおよびヘキサンからなる群より選択される溶媒と混合すること;(ii)溶媒または溶媒系を沸点の約5〜10℃以内に加熱し、ほぼ飽和した溶液を調製すること;(iii)得られたほぼ飽和した溶液を、できるだけ急速などで素早くほぼ室温またはそれ未満に冷却し、それにより沈殿物を形成させること;および(iv)沈殿物を回収することを含む方法により本発明の多型体を調製した。この方法は、本明細書において、高速プロセスまたは高速冷却法ともいう。
【0049】
該高速法により調製される物質は、図1B、2B、3、4B、5B、6、7B、8B、9B、10B、11Bおよび12Bからなる群より選択される粉末X線回折パターンにより特徴付けられ得る。さらに、この方法により調製される沈殿物は、図13B、14B、15、16B、17B、18、19B、20B、21B、22B、23Bおよび24Bからなる群より選択されるDSCパターンにより特徴付けられ得る。加えて、これらは、図25B、26B、27、28B、29B、30、31B、32B、33B、34B、35Bおよび36Bからなる群より選択されるIR-ATRにより特徴付けられ得る。
【0050】
一態様において、該新規な形態は、実施例において以下に記載する、長時間放出製剤(本明細書において製剤Aという)を製剤化するための具体的な方法などの、製剤を作製するためのプロセス中に製造され得る。さらに別の態様において、本発明は、実施例において以下に記載する長時間放出製剤(製剤A)を除外する。
【0051】
多型形態の混合物
出願人らは、2つ以上の形態の混合物および/または結晶性および非結晶性薬物の混合物を含有する組成物が、長時間放出製剤において特別な利点を有することを見出した。したがって、本発明はまた、かかるナルトレキソン生成物の混合物に関する。
【0052】
本発明の一局面において、該ナルトレキソンは、結晶性形態と非結晶性形態との混合物を含む。例えば、ナルトレキソンの結晶化度(crystallinity)の%は、全ナルトレキソンの少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約20%(重量基準)であり得、好ましくは全ナルトレキソンの少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%(重量基準)の量であり得る。一態様において、ナルトレキソンの結晶化度の%は、全ナルトレキソンの約10%〜70%、好ましくは約30%〜50%(重量基準)の量で存在する。別の態様において、結晶化度の%は、全ナルトレキソンの41%、34.3%または35.2%でない。
【0053】
かかる組成物中に存在する結晶性ナルトレキソンは、ナルトレキソンの任意の結晶性形態であり得る。好ましくは、結晶性形態として、ナルトレキソンエタノレート、より好ましくはナルトレキソンエタノレートクラスレートが挙げられる。ナルトレキソンエタノレートは、好ましくは結晶性形態で、少なくとも約40重量%の量で、より好ましくは少なくとも約50重量%の量で、より好ましくは約60重量%の量で存在する。
【0054】
非結晶性ナルトレキソンは、非晶質および/または組成物または組成物マトリックスに対して溶解したナルトレキソンの形態であり得る。非晶質(または遊離非晶質)ナルトレキソンにより、マトリックス中に存在する場合など、非晶質形態が独立した相として存在することを意味する。溶解したナルトレキソンにより、薬物およびマトリックスが単一の相として存在することを意味する。溶解したナルトレキソンの一例としては、高分子長時間放出製剤中に存在するナルトレキソン(ナルトレキソンは高分子マトリックス中に溶解している)が挙げられる。かかる長時間放出デバイスとしては、以下の実施例に記載のものが挙げられる。
【0055】
したがって、本発明の一局面において、ナルトレキソン組成物中の非結晶性ナルトレキソンは、0〜100重量%が溶解した状態であり得、好ましくは少なくとも約20%が溶解、より好ましくは少なくとも約50%が溶解、より好ましくは少なくとも約80%が溶解している。一態様において、実質的にすべての非結晶性形態が溶解したナルトレキソンである。
【0056】
本発明はまた、本明細書に記載した形態の混合物を含む。したがって、本発明は、例えば、ナルトレキソンエタノレート(ナルトレキソンエタノレートクラスレートなど)を、単独で、または本明細書に記載した他の形態の1つ以上との組合せで(非結晶性(非晶質および/または溶解した)ナルトレキソンの存在下、非存在下または実質的に非存在下で)含む。かかる組合せとしては、0〜100重量%の任意の特定の形態を有する組成物が挙げられる。組成物は、好ましくはナルトレキソンエタノレートを含む。ナルトレキソンエタノレートの好ましい量としては、全結晶性生成物の少なくとも約10重量%が挙げられ、好ましくは、全結晶化度の少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%または少なくとも約90重量%が挙げられる。好ましい一態様において、ナルトレキソンエタノレートは約60%の量で存在する。別の態様において、ナルトレキソンエタノレートは約60%の量で存在しない。パーセンテージは、特徴的な相対ピーク強度により求められる結晶化度の割合を表す。
【0057】
さらに別の局面において、結晶性ナルトレキソンに、ナルトレキソンベンジルアルコール溶媒和物、ナルトレキソン一水和物および無水ナルトレキソンからなる群より選択されるナルトレキソンの多型形態が実質的に非存在である、本発明の組成物が調製される。かかる組成物は、好ましくは、ナルトレキソンエタノレートクラスレートなどのナルトレキソンエタノレートを、上記の好ましい量で有する。
【0058】
好ましい混合物は、約50〜70%のナルトレキソンエタノレートおよび残部ナルトレキソンベンジルアルコール溶媒和物を含む。別の混合物は、約10〜15%のナルトレキソン一水和物、約10〜15%のナルトレキソン無水物、約10〜15%のナルトレキソンベンジルアルコール溶媒和物を含み、組成物の残部はナルトレキソンエタノレートである。もちろん、特許請求の範囲に記載の発明は、上記の形態の2つまたは3つにより特徴付けられる混合物、上記の形態の1つ以上を1つ以上の他の形態に置き換えたもの(本明細書に記載した他の形態の1つ以上が挙げられるが、これらに限定されない)、該形態の1つ以上の量を変更したもの、さらなる形態を加えたものを含むナルトレキソン形態の他の混合物もまた含み得る。
【0059】
有用性
本発明は、中毒性の疾患または中枢神経系障害に苦しむ患者の治療のための方法を提供し、ここでこのような疾患状態を、本発明のナルトレキソンの治療有効量を、それを必要とする患者に投与することによって治療し得る。
【0060】
かくして、該組成物が中毒行動を処置するために投与される場合、ナルトレキソンの治療有効量は、好ましくは中毒行動を制御するまたは減らすのに効果的な量である。「制御する」という用語は、中毒性または疾患の他の行動特性の鈍化、阻止、制止、または停止が存在し得る、あらゆるプロセスを言うことが意図され、必ずしもすべての疾患症状の全体の排除を示さない。
【0061】
「治療有効量」という用語は、いくつかのパラメータまたは臨床的症状の改善を生じる量を定めることを、さらに意味する。実際の投薬量は、それぞれの患者で異なる。
【0062】
本明細書で使用される、「被験体」または「患者」は、特定の疾患状態に苦しむ哺乳動物などのヒト(限定されない)を含む、温血動物のことを言う。
【0063】
本明細書に記載される治療で使用される化合物の治療有効量は、慣用技術の使用により、および同様の状況下で得られる結果を観察することにより、当業者としての担当診断医によって容易に決定され得る。治療有効投薬量を決定する際には、限定されないが、哺乳動物の種;その体格、年齢および一般健康状態;関与している特定の疾患;疾患の程度または困難さ(involvement)もしくは重篤度;個々の患者の応答;投与する具体的な化合物、投与の形態、投与する調製物に特有の生物学的利用能、選択した投与計画、併用薬の使用、および他の関連する状況を含むいくつかの因子が担当診断医によって考慮される。
【0064】
投与の好ましい量および形態は、当業者によって決定され得る。製剤調製の当業者は、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences、最新版、Mack Publishing Co.に記載された当該技術分野で公知の製剤技術を用い、選択した化合物の具体的な特徴、処置すべき疾患状態、疾患の病期および他の関連する状況に応じて、投与の適切な形態および様式を容易に選択し得る。
【0065】
医薬組成物は、当該技術分野で公知の技術を用いて製造することができる。典型的には、治療有効量の化合物を、薬学的に許容され得る担体と混合する。
【0066】
本発明の化合物または組成物は、例えば、腸内、経口、頬内、直腸、膣内、皮膚、鼻腔内、気管支、気管内、肺内、非経口、皮下、静脈内、筋内、または腹腔内経路の様々な経路によって、例えば、注射、食物摂取、または吸入によって投与され得る。
【0067】
投与の特に好ましい経路は、1、2、3、4週間以上よりも長い期間などの長期間にわたる、薬物の実質的に連続的な送達などの送達を可能にする、持続放出製剤、長時間放出製剤、または長時間作用製剤を含む。4週間放出が好ましい。
【0068】
経口投与では、組成物は、例えば、カプセル、ピル、錠剤、ロゼンジ、メルト(melts)、粉末などの固体状に、または溶液、懸濁液もしくはエマルジョン中に混合するための形態などに製剤され得る。
【0069】
他の態様では、本発明の化合物は、アカシア、コーンスターチ、またはゼラチンなどの結合剤、片栗粉またはアルギン酸などの崩壊剤、およびステアリン酸またはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤と組み合わせた、ラクト−ス、スクロース、およびコーンスターチなどの従来の錠剤基質によって、錠剤にされ得る。当該技術分野で公知の懸濁剤、甘味剤、調味剤、および保存剤も含み得る、水性または非水性の薬学的に許容され得る溶媒中に活性成分を溶解することによって、液体製剤を調製し得る。
【0070】
非経口投与では、該化合物を、生理学的に許容され得る医薬用担体中に溶解し、溶液または懸濁液として投与し得る。好適な医薬用担体の具体例としては、水、生理食塩水、デキストロース溶液、フルクトース溶液、エタノール、または動物油、野菜油もしくは合成による油を含む。医薬用担体はまた、当該技術分野で公知の保存剤および緩衝溶液を含んでいてもよい。
【0071】
本発明の化合物はまた、局部的に投与され得る。これは、投与すべき化合物の溶液を、好ましくは、エタノールまたはジメチルスルホキシド(DMSO)などの経皮吸収を促進するために知られる溶媒を使用して、他の賦形剤と共にもしくは無しで簡単に調製することによって成し遂げ得る。好ましくは、局部的投与は、容器または多孔質膜型、または固体マトリックス変種のパッチを使用して成し遂げ得る。
【0072】
外科手術の移植では、活性成分は、ポリラクチドおよびポリラクチド−コ−グリコリドなどの、よく知られる生分解性および生腐食性(bioerodible)担体、並びにコラーゲン製剤のいずれかと結合され得る。このような物質は、固体移植片、スポンジ等の形態であり得る。いずれの事象においても、物質の局所の使用では、通常、活性成分は担体または賦形剤中に約1:1000〜1:20,000の重量比で存在するが、この範囲の比に限定されない。
【0073】
好ましくは、該化合物は、長時間放出製剤中に存在する。長時間(徐放性または制御性放出ともいう)調剤は、本明細書に記載するナルトレキソンを取り込むか、または封入するポリマー(好ましくはポリラクチドまたはポリラクチド−コ−グリコリドポリマー)の使用を通して得られ得る。長時間放出製剤は、ポリマー−薬物混合物の噴霧乾燥、エマルジョンを用いる技術、コアセルベーションを用いる技術、フィルムキャスティング、押出し成形を用いる技術、および長時間放出プロフィールを有するポリマー−薬物微粒子を製造するための他のプロセスにより作製し得る。本明細書に記載の新規のナルトレキソンの形態を含めるために使用され得る好適な長時間放出技術の例としては、限定されないが、例えばWrightに対する米国特許第6,264,987号、同第5,654,008号および/または同第5,792,477号などに記載されたMEDISORB(登録商標)技術;例えばHerbertに対する米国特許第6,358,443号に記載されたPROLEASE(登録商標)技術;Southern Reserch Instituteにより、例えば米国特許第6,306,425号に記載された技術;および「徐放性微粒子の調製方法(Method of Preparing Sustained Release Microparticles)」という米国特許出願第 60/441,946号(2003年1月23日出願)、ならびにALZAMER(登録商標)Depot注射技術を含むAlza Corp.により記載された技術があげられる。これらの特許の内容は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0074】
好ましい態様では、長時間放出製剤送達は、薬学的に有用な量のナルトレキソンを患者に、少なくとも1週間、好ましくは少なくとも約2週間、より好ましくは少なくとも約3週間または約4週間以上送達する。
【0075】
1つの好ましい態様では、ナルトレキソンは、デバイスまたは製剤の全重量の少なくとも約5重量%、好ましくは少なくとも約10重量%、より好ましくは少なくとも約30重量%の量で、長時間放出デバイスまたは製剤中に存在する。1つの態様では、理論上の薬物負荷は、持続放出デバイスの合計の重量による35%(または実際の薬物負荷40%、45.8%または26.1%負荷)ではない。しかしながら、好ましい態様では、理論上の薬物負荷は、全ナルトレキソンの35%である。
【0076】
ナルトレキソンの合計量の結晶性の制御は、放出の持続時間において実質的な影響を及ぼすことが発見された。例えば、PLGA微小球中、約9〜12%の間であるナルトレキソン結晶性の合計%によって特徴づけられる、本明細書に記載のPLGA微小球を含む組成物は、約4週間の優れた放出プロフィールを有する。結晶性の%を低くすることは、放出を早めることが出来る。かくして、PLGA微小球中、約4〜9%の間であるナルトレキソン結晶性の合計%によって特徴づけられる、本明細書に記載のPLGA微小球を含む組成物は、約2週間などの4週間より短い、優れた放出プロフィールを有する。同様に、PLGA微小球中、約12%以上であるナルトレキソン結晶性の合計%によって特徴づけられる、本明細書に記載のPLGA微小球を含む組成物は、約8週間などの少なくとも4週間の優れた放出プロフィールを有する。結晶性の%に基づく、放出の持続時間における実質的な影響などは、予想外であった。
【0077】
あるいはまた、ポリマー粒子中にナルトレキソンを組み込む代わりに、調製した微粒子中にこれらの物質を取り込むことは可能である。例えば、コアセルベーション技術、界面重合(例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン−マイクロカプセルおよびポリ−(メチルメタクリル酸)マイクロカプセル)、コロイド状薬物送達システム(例えば、リポゾーム、アルブミン、微粒子、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)またはマイクロエマルジョンシステムが使用され得る。
【0078】
組成物が注射可能な物質(無針(needle-less)注射を含むが、これに限定されない)として使用される場合、従来の注入可能な担体内に製剤化し得る。好適な担体としては、生体適合性溶液および薬学的に許容され得る溶液が挙げられる。
【0079】
長時間放出デバイスを製造するための方法
本発明は、長時間放出デバイスを製造するために好ましい方法を含み、該生じるデバイスは、記載される多型形態の好ましい混合物を含む。
【0080】
ポリマー溶液は、ポリ(ラクチド)−コ−グリコリドポリマーを(ポリマー溶媒中の75:25 DL PLGA (ポリ(ラクチド)−コ−グリコリド)など)を酢酸エチル(EtAc)などの溶液中に溶解して溶液を形成することによって形成し得る。好ましい PLGA ポリマーは、少なくとも約100,000ダルトンの分子量を有するポリマーなどの高分子量ポリマーである。ナルトレキソン溶液は、ベンジルアルコール(BA)を含む上記溶媒の内の1つなどの好適な溶媒中に、ナルトレキソン基質を溶解して溶液を形成することによって形成し得る。エマルジョンの「有機」または「油」相であろう薬物/ポリマー溶液を形成するために、ポリマー溶液およびナルトレキソン溶液を、好ましくは共に混合する。
【0081】
エマルジョン(乳化溶液)の「水性」または「連続」相を調製する。水相は、好ましくは、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)およびEtAcなどのポリマー溶媒を含む。有機相および水相は、通常通り第一スタティックミキサーで混合し得、水中油型エマルジョンを形成する。
【0082】
任意の部分的抽出工程では、該エマルジョンは、第一スタティックミキサーから流出し、第二スタティックミキサー中の流れ込み、ここでエマルジョンは、第二スタティックミキサーに入る一次抽出溶液と混合し得る。主要抽出溶液(EtAc水溶液によって形成し得るなど)は、第二スタティックミキサー中の部分的一次抽出工程の間の乳化の微小滴から溶媒抽出を開始し得る。
【0083】
第一または第二スタティックミキサーの流出物は、主要抽出溶液を含む抽出容器中に流入し得る。溶媒(BAおよびEtAc)は、この主要抽出溶媒中のエマルジョンの有機相から実質的に抽出し、主にポリマーおよび薬物から成る発生期の微粒子中で生じる。一次溶媒抽出工程は、およそ6時間続く。
【0084】
特別注文の振動性篩いを使用して、微粒子を収集し、部分的に窒素抽気によって真空乾燥し得る。収集の後および乾燥の前に、微粒子は、乳化剤(PVA)を取り除く25%エタノール溶液によって濯ぎ、微粒子の冷却乾燥器への移動を促進することによって、収量を高めることが出来る。この工程は、好ましくは低温で、望ましい乾燥水準が得られるまで行う。以下の例の中で見られるように、乾燥の程度(例えば、湿度プローブによって測定されるような)は、最終生成物中で得られる結晶性の程度に影響を与える。例えば、乾燥の少なくとも約8、16、24または40時間の乾燥時間を選択することは、好都合であり得る。例えば、乾燥が、それぞれ40%、70%、95%、または100%完全である場合、少なくとも乾燥中約8時間、16時間、24時間、または40時間の乾燥時間を選択することは、都合がよくあり得る。乾燥は、排出ガスの絶対湿度が、およそ0g/m3に達するとき、乾燥が完了すると考えられる。
【0085】
次いで、微粒子は、第二抽出溶液中で再懸濁し得る。第二溶液は、エタノールなどの多型形態を形成するために望ましい溶媒を含み得る。例えば、少なくとも容量あたり約10%エタノールを、好ましくは少なくとも容量あたり約20%エタノールを含む溶液が使用できる。これは、通常、再スラリーおよび第2溶媒抽出工程と呼び得る。エタノールなどの溶媒は、BAおよびEtAcの更なる抽出を促進し得る。更に、薬物の結晶性は、工程の間に増加する。第二溶媒抽出工程は、およそ2、3、4時間以上、抽出容器中で実行し得る。この工程は、室温で簡便に完成し得る。しかしながら、他の温度も、同様に選択し得る。収集/最終乾燥工程では、特別注文の振動性篩いを使用して、微粒子を収集し、部分的に窒素抽気によって真空乾燥し得る。
【0086】
最終採取工程では、微粒子は、減菌した容器中に移し、保存し、バイアル中に充填するまで、例えば−20℃の冷凍器中に、保存し得る。好ましくは、バイアル中に充填する前に、保存された微粒子を、150ミクロンのスクリーンを通して篩いにかけ、大きすぎる物質をいずれも取り除く。
【実施例】
【0087】
実施例1
続く、溶媒和物は、以下のようにして作製した。その後、上記分析技術、すなわち、粉末X線回析、示差走査熱量計、および赤外減衰全反射率吸収(IR-ATR)検出方式を使用して、得られた沈殿物質を分析した。
【0088】
アセトニトリル[XRPD=図1;DSC=図13;IR-ATR=図25]
この溶媒からの出た結晶化は、無水物形態を生じる、高速および低速冷却して得られる物質について。XRPD粉末パターンにおけるいくらかのばらつきが示されるが、特徴的なピークは、同じ散乱角度で示される。この相は、175℃の最大温度を有するDSC融解転移を特徴とする。
【0089】
ジメチルホルムアミド[XRPD=図2;DSC=図14;IR-ATR=図26]
この溶媒からの結晶化は、DMF溶媒和物を生じ、113℃の最大温度を有するDSC融解転移を特徴とする。高速および低速冷却により得られる物質のXRPD粉末パターンは異なり、高速冷却試料は、低速冷却試料では観察されない更なるピークを含む。低速冷却により得られる物質の脱溶媒和は、溶解吸熱を示すことが出来る形態に再結晶化しなかった非晶質物質を生じる。この特性はDMF溶媒和物に、最もおそらく特有のものである。高速冷却試料は、第二吸熱転移を表し、167℃のDSC融解転移を有し、これは最もおそらく、高速冷却試料中の第二相の存在による。
【0090】
水[XRPD=図3;DSC=図15;IR-ATR=図27]
この溶媒からの結晶化は、水和物を生じ、99℃の最大温度を有するDSC溶媒和転移を大きく特徴とする。この水和物の脱水は、検出可能な再結晶現象を生じ、最大160℃のDSC融解転移を有する無水形態を形成する。融解転移の間、この形態は他の結晶化転移を経て、175℃の最大温度を有するDSC融解転移により特徴付けられる無水物形態を生じる。
【0091】
メタノール[XRPD=図4;DSC=図16;IR-ATR=図28]
この溶媒からの結晶化は、メタノール溶媒和物を生じる。高速および低速冷却により得られる物質のXRPD粉末パターンは異なり、低速冷却試料は高速冷却試料の粉末パターンでは観察されない更なるピークを含む。興味深いことに、この違いは2つの物質のDSC中には持ち越さない。両方の試料は、108℃の最大温度を有するDSC溶媒和転移により特徴づけられ、それぞれ160℃、162℃、および175℃の良規定の融解/結晶化/溶解現象が続いた。
【0092】
エタノール[XRPD=図5;DSC=図17;IR-ATR=図29]
この溶媒からの結晶化は、エタノール溶媒和物を生じる。高速および低速冷却により得られる物質のXRPD粉末パターンは実質的に異なり、高速冷却試料は、低速冷却試料の粉末パターンでは観察されない更なるピークを含む。低速冷却試料のDSCサーモグラムは、120℃の最大温度を有する溶媒和転移により特徴付けられ、次には、それぞれ160℃、161℃、および175℃の融解/結晶化/融解順序が続く。高速冷却試料のDSCはまた、92℃の最大温度を有する顕著な脱溶媒和吸熱を含み、これは、おそらく、結晶化の間に試料中で凝縮した水の存在による。この吸熱の温度は標準の水和物の温度とは異なり、混合された水和物/エタノール多型の製剤を表し得る。
【0093】
ベンジルアルコール[XRPD=図6;DSC=図18;IR-ATR=図30]
この溶媒からの結晶化は、ベンジルアルコール溶媒和物を生じる。この多型は、124℃の最大温度を有するDSC溶媒和転移により大きく特徴付けられる。この水和物の脱水は弱いが検出可能な再結晶化現象を生じ、最大153℃および160℃のDSC融解転移を有する無水形態を形成する。
【0094】
ジクロロメタン[XRPD=図7;DSC=図19;IR-ATR=図31]
この溶媒からの結晶化は、ジクロロメタン溶媒和物を生じる。高速冷却試料の粉末パターンはアセトニトリルから結晶化された2つの無水物質の粉末パターンと強く似ているが、高速および低速冷却により得られる物質のXRPD粉末パターンは完全に異なるようである。低速冷却試料のDSCサーモグラムは、176℃のピーク最大値を有する融解転移によって特徴付けられる。全てのデータの比較は、この無水形態が、アセトニトリルから結晶化された時の無水形態と同じものであることを示す。低速冷却試料のDSCは、90℃の最大温度を有する顕著な脱溶媒和吸熱を含み、これは、おそらく、結晶化の間に試料中で凝縮した水の存在による。この吸熱の温度は、標準の水和物の温度とは異なり、混合された水和物/ジクロロエタン多型の形成を表し得る。水和物の見かけ上の共結晶化は、ジクロロメタンから結晶化された物質の粉末パターンの、2つのセット中で示される相違の由来を表す。
【0095】
アセトン[XRPD=図8;DSC=図20;IR-ATR=図32]
この溶媒からの結晶化は、アセトン溶媒和物を生じる。高速および低速冷却により得られる物質のXRPD粉末パターンは、相対強度(おそらく優先的配向と関連する)中で差異を示すが、散乱角度の全体的なパターンは、該二つの間でいくらか比較できる。該2つの試料のDSCサーモグラムはまたかなり似ており、138℃の最大温度を有する溶媒和転移により特徴づけられ、次には、温度176℃の融解吸熱が続く。大きな融解吸熱(およそ160℃の温度)の前に、弱い融解/再結晶化吸熱が同様に存在する。
【0096】
酢酸エチル[XRPD=図9;DSC=図21;IR-ATR=図33]
この溶媒からの結晶化は、酢酸エチル溶媒和物を生じる。高速および低速冷却により得られる物質のXRPD粉末パターンは実質的に異なる。両方の多型のDSCサーモグラムは、123℃の最大温度を有する溶媒和転移により特徴づけられ、次には、それぞれ161℃、162℃、および176℃の温度の融解/結晶化/融解順序が続く。高速冷却試料のDSCはまた、91℃の最大温度を有する顕著な脱溶媒和吸熱を含み、これは、おそらく、結晶化の間に試料中で凝縮した水の存在による。この吸熱の温度は、標準の水和物の温度とは異なり、混合された水和物/酢酸エチル多型の製剤を表し得る。
【0097】
メチルエチルケトン[XRPD=図10;DSC=図22;IR-ATR=図34]
この溶媒からの結晶化は、無水形態を生じる。高速および低速冷却により得られた試料のXRPD粉末パターンはかなり似ており、それぞれは、アセトニトリルから結晶化された無水物質の粉末パターンと強く似ている。低速冷却試料のDSCサーモグラムは、とても低い温度での吸熱転移を含むが、なお176℃のピーク最大値を有する融解転移によって支配される。高速冷却試料のDSCは、本質的に融解吸熱(最大値176℃)のみから成り立つ。
【0098】
トルエン[XRPD=図11;DSC=図23;IR-ATR=図35]
この溶媒からの結晶化は、トルエン溶媒和物を生じる。高速および低速冷却により得られる物質のXRPD粉末パターンは、おそらく優先的配向と関連する質的相違の有効数字を示す。2つの試料のDSCサーモグラムはまた、かなり似ており、138℃の最大温度を有する脱溶媒和転移により特徴付けられ、次には、温度176℃の融解吸熱が続く。大きな融解吸熱(およそ160℃の温度)の前に、弱い融解/再結晶化吸熱が同様に存在する。
【0099】
ヘキサン[XRPD=図12;DSC=図24;IR-ATR=図36]
この溶媒からの結晶化は、ヘキサン溶媒和物を生じる。高速および低速冷却により得られる物質のXRPD粉末パターンは、お互い強く似ており、ただ相対的強度のいくつかのみが違う。高速冷却の使用によって得られた物質のDSCサーモグラムは114℃の最大温度を有する脱溶媒和転移によってのみ特徴付けられ、これは次にはそれぞれ153℃、158℃、および174℃の温度の融解/結晶化/融解順序が続く。低速冷却試料のDSCはまた、91℃の最大温度を有する顕著な脱溶媒和吸熱を含み、これは、おそらく、結晶化の間に試料中で凝縮した水の存在による。この吸熱の温度は、標準の水和物の温度とは異なり、混合された水和物/酢酸エチル多型の製剤を表し得る。
【0100】
実施例2
ナルトレキソンを含む微粒子の調製
調製例A
ナルトレキソンベース微粒子は、共溶媒抽出プロセスを使用して作製した。理論的バッチサイズは、15〜20グラムであった。ポリマー(MEDISORB(商標登録)7525 DL ポリマー、MEDISORB(商標登録)8515 DL ポリマーおよびMEDISORB(登録商標) 6536DL ポリマー、すべてはAlkermes,Inc.,Blue Ash,Ohioから入手できる)を酢酸エチル中に溶解し、16.7%w/wポリマー溶液を作製した。無水ナルトレキソンベースは、ベンジルアルコール中に溶解して、30.0%w/w溶液を作製した。様々なバッチでは、使用された薬物およびポリマーの量を、30%〜75%の範囲である異なった理論的薬物負荷によって、微粒子を作製するために変更した。周囲のポリマーおよび薬物溶液を、単均一溶液(有機相)を作製するまで、共に混合した。水相は周囲の状態であり、1%w/wポリビニルアルコールおよび酢酸エチルの飽和量を含んだ。これらの2つの溶液は、1/4''インラインミキサーにより正置換ポンプによって3:1(水性:有機性)の比で汲み上げ、エマルジョンを形成した。エマルジョンを、微粒子の理論的グラムあたり抽出溶媒0.5Lの容量で、5〜10℃で蒸留水中に溶解した2.5%w/w酢酸エチルから成り立つ攪拌溶媒抽出溶液に移した。両ポリマーおよび薬物溶媒を、エマルジョン小滴から抽出溶液中に抽出し、微粒子を作製した。初めの抽出プロセスは2〜4時間に及んだ。微粒子を25μm篩い上で収集し、低温(<5℃)25%w/wエタノール溶液で濯いだ。微粒子を、窒素を使用して一晩中(およそ17時間)乾燥冷却した。次いで、微粒子を再スラリー溶液に移し、これは5〜10℃の激しく攪拌する25%w/wエタノール溶液から成り立つ。短い混合時間後(5〜15分)、再スラリー溶液および微粒子は、攪拌する25%w/wエタノール第二抽出溶液(微粒子の理論的グラムあたり第2抽出溶液0.2Lの容量でおよそ25℃)に移した。およそ6時間攪拌した該微粒子は、微粒子からの更なる溶媒除去を引き起こし得た。次いで、微粒子を25μm篩い上で収集し、周囲温度で25%w/wエタノール溶液で濯いだ。周囲の条件下で一晩中(およそ17時間)フード中で乾燥したこれらの微粒子は、篩って塊状の微粒子を取り除き、次いで保存のための冷凍器中に置いた。
【0101】
実施例3
ナルトレキソン微小球の1kgバッチは、以下のようにして調製した。ポリマー溶液を、75:25 DL PLGA(ポリ(ラクチド)−コ−グリコリド)を酢酸エチル(EtAc)中に溶解し、16.7%ポリマーおよび83.3%EtAcの溶液を形成することにより形成した。ナルトレキソン溶液は、ナルトレキソンベースをベンジルアルコール(BA)中に溶解し、30%無水ナルトレキソンベースおよび70%BAの溶液を形成することにより形成した。ポリマー溶液およびナルトレキソン溶液を共に混合し、エマルジョンの「有機」または「油」相であった薬物/ポリマー溶液を形成した。
【0102】
エマルジョン(乳化溶液)の「水性」または「連続」相を、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)およびEtAcを注射用水(WFI)中に溶解することによって調製した。有機相および水相は、第一スタティックミキサーで混合し得、水中油型エマルジョンを形成した。エマルジョンの小滴の大きさは、第一スタティックミキサーによる2つの相の流量を制御することによって決定した。
【0103】
部分的抽出工程では、該エマルジョンは、第一スタティックミキサーから流出し、第二スタティックミキサー中へ流れ込み、ここで該エマルジョンは、第二スタティックミキサーに入る一次抽出溶液と混合する。一次抽出溶液(およそ6℃での2.5%EtAcおよび97.5%WFI)は、第二スタティックミキサー中の部分的一次抽出工程の間に、エマルジョンの微小滴から溶媒抽出を開始した。
【0104】
第二スタティックミキサーの流出物(エマルジョンおよび一次抽出溶液の流れの組み合わせた)を、抽出溶液を含む抽出容器中に流入した。溶媒(BAおよびEtAc)は、この主要抽出工程中のエマルジョンの有機相から更に抽出し、主にポリマーおよび薬物から成る発生期の微粒子中で生じた。一次溶媒抽出工程は、およそ6時間続く。
【0105】
特別注文の振動性篩いを使用して、微粒子を収集し、窒素抽気によって真空乾燥した。収集の後および乾燥の前に、微粒子を、乳化剤(PVA)を取り除く25%エタノール溶液によって濯ぎ、微粒子の乾燥器への移動を促進することによって、収量を高める。
【0106】
溶媒レベルを更に減らすために、25%エタノールおよび再スラリー中の75%WFIの第二抽出工程中で、微粒子を再懸濁した。エタノールはBAおよびEtAcの更なる抽出を促進した。およそ4時間、第二溶媒抽出工程を抽出容器中で行った。収集/最終乾燥工程では、特別注文の篩いを使用して、微粒子を収集し、部分的に窒素抽気によって真空乾燥し得た。
【0107】
最終採取工程では、微粒子を、減菌した容器中に移し、バイアル中に充填するまで、−20℃の冷凍器中に保存した。好ましくは、バイアル中に充填する前に、保存された微粒子を、150ミクロンのスクリーンによって篩いにかけ、大きすぎる物質をいずれも取り除いた。
【0108】
上の方法によって調製した微粒子のいくつかのロットを、種々の期間の間、様々な気温で保存した。下の表3は、冷凍、冷却、室温下で25ヶ月まで保存したときの、それぞれのロットのXRPDによって決定された結晶性のパーセントを表す。それぞれのロットの結果は、時間にわたってそれぞれの区別の結晶性パーセントは一定のままである方法および論証の許容水準以内である。
【0109】
【表3】
【0110】
粉末X線回折
ナルトレキソン微粒子の21ロットは、上の実施例3に記載の過程にしたがって、理論的薬物負荷35%を有する微粒子を調製した。2.5°から40°2−シータの1秒間隔で0.02°/工程を使用するBruker D8 Advance XRDを使用するX線粉末回折(XRPD)によってそれぞれの21ロットを分析した。結晶性パーセントを非晶質ハロー(halo)のAUC減法によって決定し、結晶性AUCの合計AUCに対する比として計算した。結晶性のパーセントは、薬物負荷のパーセントとしてよりむしろ合計微粒子のパーセントとして報告する。ロットはおよそ35%の薬物負荷を含む。それゆえ、10.5%の結晶性は、30%の合計薬物負荷になるように計算する。
【0111】
ナルトレキソンの無水物、一水和物、ベンジルアルコール溶媒和物、およびエタノレート結晶多型形態に対して得られたX線粉末パターンを分析した。表4は、始めにそれぞれの形態を同定するために使用した、およそ2−シータ角度を示す。図39は1ロットに対するX線粉末パターンを含み、4つの形態を同定する。これらのデータは、4つの形態が微粒子中に存在することをはっきりと示す。
【0112】
【表4】
【0113】
表5は、21ロットの結晶性のパーセント(該プロセスにより作製した微粒子の合計重量の)および4つの多型形態のそれぞれの相対的パーセント分布を示す。これらのデータは、4つの多型形態の相対比は、合計結晶性に関わらず一般的に無矛盾であることを論証する。これらのデータは更に、ナルトレキソン薬物負荷の約55%以上が非晶質であることを示す。
【0114】
【表5A】
【0115】
その後、もっと包括的なデータ分析を、2-シータ角度および4多型の試料からVivitrex(登録商標)微小球までのおよびd-間隔を比較するBruker D8 Advance XRD 並びにEVAソフトウェアを使用して行った。この分析は、視覚的に観察された4つの視覚的に明白な同定ピークが、実は2つの多型(ベンジルアルコール溶媒和物およびエタノレート)からの同定ピークの2対であり、これらの多型のみが微小球中で同定可能であったことを明らかにした。上記のロットに加えて更なるロットに対するデータは、表5B中に示す。
【0116】
【表5B−1】
【0117】
【表5B−2】
【0118】
このプロセスは、「第一乾燥」に対する異なる乾燥時間を使用して繰り返した。それぞれの実験についての結晶性のパーセントは、以下の表および図38中で報告した。
【0119】
【表6】
【0120】
本発明の変更および変形は、本発明の前述の詳細な説明から、当業者に明らかである。このような変更および変形は、請求の範囲内に包含されることを意図する。
【0121】
本発明は、好ましい態様を参照して詳細に示し、記載してきたが、添付される特許請求の範囲により包含される本発明の範囲から逸脱することなく形態および細部における種々の変化がなされうることを当業者は理解する。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】図1Aは、アセトニトリル(双極性非プロトン性)から低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。図1Bは、アセトニトリル(双極性非プロトン性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。
【図2】図2Aは、ジメチルホルムアミド(双極性非プロトン性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。図2Bは、ジメチルホルムアミド(双極性非プロトン性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。
【図3】図3は、水(プロトン性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。
【図4】図4Aは、メタノール(プロトン性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。図4Bは、メタノール(プロトン性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。
【図5】図5Aは、エタノール(プロトン性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。図5Bは、エタノール(プロトン性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。
【図6】図6は、ベンジルアルコール(プロトン性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。
【図7】図7Aは、ジクロロメタン(ルイス酸性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。図7Bは、ジクロロメタン(ルイス酸性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。
【図8】図8Aは、アセトン(ルイス塩基性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。図8Bは、アセトン(ルイス塩基性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。
【図9】図9Aは、酢酸エチル(ルイス塩基性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。図9Bは、酢酸エチル(ルイス塩基性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。
【図10】図10Aは、メチルエチルケトン(ルイス塩基性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。図10Bは、メチルエチルケトン(ルイス塩基性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。
【図11】図11Aは、トルエン(芳香族性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。図11Bは、トルエン(芳香族性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。
【図12】図12Aは、ヘキサン(無極性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。図12Bは、ヘキサン(無極性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。
【図13】図13Aは、アセトニトリル(双極性非プロトン性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。図13Bは、アセトニトリル(双極性非プロトン性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。
【図14】図14Aは、ジメチルホルムアミド(双極性非プロトン性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。図14Bは、ジメチルホルムアミド(双極性非プロトン性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。
【図15】図15は、水(プロトン性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。
【図16】図16Aは、メタノール(プロトン性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。図16Bは、メタノール(プロトン性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。
【図17】図17Aは、エタノール(プロトン性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。図17Bは、エタノール(プロトン性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。
【図18】図18は、ベンジルアルコール(プロトン性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。
【図19】図19Aは、ジクロロメタン(ルイス酸性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。図19Bは、ジクロロメタン(ルイス酸性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。
【図20】図20Aは、アセトン(ルイス塩基性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。図20Bは、アセトン(ルイス塩基性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。
【図21】図21Aは、酢酸エチル(ルイス塩基性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。図21Bは、酢酸エチル(ルイス塩基性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。
【図22】図22Aは、メチルエチルケトン(ルイス塩基性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。図22Bは、メチルエチルケトン(ルイス塩基性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。
【図23】図23Aは、トルエン(芳香族性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。図23Bは、トルエン(芳香族性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。
【図24】図24Aは、ヘキサン(無極性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。図24Bは、ヘキサン(無極性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。
【図25】図25Aは、アセトニトリル(双極性非プロトン性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRを示すグラフである。図25Bは、アセトニトリル(双極性非プロトン性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRを示すグラフである。
【図26】図26Aは、ジメチルホルムアミド(双極性非プロトン性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRを示すグラフである。図26Bは、ジメチルホルムアミド(双極性非プロトン性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRを示すグラフである。
【図27】図27は、水(プロトン性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRを示すグラフである。
【図28】図28Aは、メタノール(プロトン性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRである。図28Bは、メタノール(プロトン性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRである。
【図29】図29Aは、エタノール(プロトン性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRである。図29Bは、エタノール(プロトン性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRである。
【図30】図30は、ベンジルアルコール (プロトン性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRである。
【図31】図31Aは、ジクロロメタン(ルイス酸性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRである。図31Bは、ジクロロメタン(ルイス酸性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRである。
【図32】図32Aは、アセトン(ルイス塩基性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRである。図32Bは、アセトン(ルイス塩基性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRである。
【図33】図33Aは、酢酸エチル(ルイス塩基性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRである。図33Bは、酢酸エチル(ルイス塩基性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRである。
【図34】図34Aは、メチルエチルケトン(ルイス塩基性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRである。図34Bは、メチルエチルケトン(ルイス塩基性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRである。
【図35】図35Aは、トルエン(芳香族性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRである。図35Bは、トルエン(芳香族性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRである。
【図36】図36Aは、ヘキサン(無極性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRである。図36Bは、ヘキサン(無極性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRである。
【図37】図37は、ナルトレキソンのエタノレート(クラスレート)形態のDSCである。
【図38】図38は、処理工程の関数としての、本発明のナルトレキソン含有微粒子組成物の結晶化度の2θの大きさを示すグラフである。
【図39】図39は、本発明の代表的な組成物の2θの大きさにおけるXRPDである。
【図40】図40は、表5Aに報告した平均多型体分布を示す棒グラフである。
【図41】図41Aは、インビトロ薬物放出に対する本発明の組成物の結晶化度の割合の効果を示すグラフである。図41Bは、インビボ薬物放出に対する本発明の組成物の結晶化度の割合の効果を示すグラフである。
【図42】図42は、非晶質ナルトレキソンのDSCである。
【図43】図43は、ナルトレキソン塩基無水物のXRPDパターンである。
【図44】図44は、ナルトレキソン一水和物のXRPDパターンである。
【図45】図45は、ナルトレキソンベンジルアルコール溶媒和物のXRPDパターンである。
【図46】図46は、ナルトレキソンエタノレートのXRPDパターンである。
【図47】図47は、制御された室温での微粒子不純物生成に対する結晶化度の効果を示すグラフである。
【図48】図48は、制御された室温での微粒子崩壊に対する結晶化度の効果を示すグラフである。
【図49】図49Aおよび49Bは、インビトロおよびインビボ薬物放出に対する結晶化度の効果を示す。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の背景
アルコール依存症は、かなりの罹病率および死亡率を伴う一般的な疾患である。解毒および心理社会的療法が処置の基準を提供し、また、薬物療法も広く認められてきている。経口投与されるナルトレキソン(強力なオピオイド拮抗薬)は、アルコール依存症患者の大量飲酒の再発を低減し、再発が起こったときは消費される飲酒の数を減少し、節制を促進することが示されている。ナルトレキソンは、飲酒欲および幸福感に溢れる量のアルコールの増大の両方を低減することが報告されている。
【0002】
ナルトレキソンは、アルコール依存症の処置における維持剤として有効であることが示されているが、その有用性の大きな制限は、治療に対する指示遵守度が良好でないことであり得る。アルコール中毒の処置において、経口ナルトレキソンは、毎日行なわれなければならない。経口ナルトレキソンをプラセボと比較する臨床試験では、ナルトレキソンで処置した患者の40%より多くは、毎日経口投薬計画に従わなかった。薬物治療に従わなかった患者では、臨床的に有意な飲酒に対する再発は、プラセボ処置患者と類似し、薬物治療に従った患者で観察された割合よりも有意に高かった。
【0003】
種々の薬物の多型体、溶媒和物および塩は、薬物に新規な性質を賦与すると文献に記載されている。これらの多型体は、異なる溶解度、安定性および加工特性を有し得、好機および課題を提示する。
【0004】
発明の概要
本発明は、ナルトレキソンの新規な非晶質かつ多型の形態(溶媒和物、溶媒和物異形態(solvatomorph)、水和物、無水物および他の結晶性形態ならびにその組み合わせを含む)の発見に関する。これらのナルトレキソンの新規な形態は、これを含有する医薬製剤(徐放性または長期作用性の製剤など)において利点を付与する。溶媒和物または溶媒和物異形態は、例えばクラスレートなどの化学量論的および非化学量論的溶媒和物を含み得る。
【0005】
本発明は、粉末X線回折(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)または減衰全反射赤外吸収分光測光法(IR-ATR)により特徴付けられるナルトレキソンの多型形態を提供する。
【0006】
本発明は、有利には、ナルトレキソンエタノレート(ethanolate)、無水ナルトレキソン、ナルトレキソン一水和物、ベンジルアルコール溶媒和物および他のナルトレキソンの多型体(単独または組合せ)を含む、ナルトレキソンの新規な多型体を提供する。
【0007】
別の局面において、本発明は、(i)ナルトレキソン塩基無水物および/または塩酸塩または他の塩などのナルトレキソンを、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、水、メタノール、エタノール、ベンジルアルコール、ジクロロメタン、アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエンおよびヘキサンからなる群より選択される溶媒と混合すること;(ii)混合物を沸点の1〜10℃以内に加熱し、ほぼ飽和した溶液を調製すること;(iii)得られたほぼ飽和した溶液を室温まで冷却し、沈殿物を形成させること;および(iv)沈殿物を回収することを含む、ナルトレキソンの新規な多型形態の作製方法を提供する。
【0008】
本発明のさらなる局面は、本明細書に開示するナルトレキソン形態を含有する医薬組成物を提供する。
【0009】
本発明を、図面を参照しながら、本明細書に示す表および以下の実施例により説明するが、限定するものではない。
【0010】
発明の詳細な説明
研究過程において、出願人らは、驚いたことに、新規なナルトレキソン多型体(溶媒和物、水和物および無水物形態ならびにこれらの組合せを含む)を見出した。さらなる調査により、ナルトレキソン含有微粒子における好ましい性質は、微粒子内に含有されるナルトレキソンの結晶性形態および非結晶性形態によるものであるという認識がもたらされた。出願人らは、結晶性ナルトレキソンの多型形態、例えばナルトレキソンのエタノール溶媒和物形態が、ナルトレキソン含有組成物において、良好ないし優れた性質を有することを認識した。
【0011】
医薬組成物は、投与のために製剤化されると、例えば麻薬またはアルコール中毒および自閉症の処置および予防ならびに他のナルトレキソンを用いる(based)治療において有用である。
【0012】
すべての医薬用化合物および組成物のように、用いられるナルトレキソン形態(1つまたは複数)の化学的および物理的特性は、その商業的開発において重要であり得る。これらの特性としては、(1)モル容積、密度および吸湿性などの充填特性、(2)溶融温度、蒸気圧および溶解度などの熱力学的特性、(3)溶解速度および安定性(周囲条件での、特に湿気に対する安定性および保存条件下での安定性を含む)などの力学的特性、(4)表面積、濡れ性、界面張力および形状などの表面特性、(5)硬度、引っ張り強さ、成形性、取扱い性、流動およびブレンドなどの機械的特性;および(6)濾過特性が挙げられるが、これらに限定されない。これらの特性は、例えば、ナルトレキソンを含有する医薬組成物の加工および保存に影響を及ぼし得る。ナルトレキソンの他の固体形態に対し、これらの特性の1つまたはそれ以上における改善をもたらすナルトレキソンの固体形態が望ましい。
【0013】
本発明の多型体およびそれを含有する組成物は、改善された取扱い易さを提供する形態であるという利点を有する。さらに、目的とする用途に応じて、これらは、改善された化学的および固体状態での安定性を有する。例えば、これらは、長期間にわたって保存した時に安定であり得る。これらは、これまでのようにして調製したナルトレキソンの形態よりも、良好な収率で、高純度で、短い時間で、簡便かつ低コストで調製することができる。
【0014】
1.種々の溶媒中でのナルトレキソンの晶出
一連のナルトレキソン試料を、種々の溶媒からの異なる速度での大量(bulk)薬物物質の晶出により作製した。これらの物質を、粉末X線回折(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)および減衰全反射赤外吸収分光測光法(IR-ATR)により特徴付けた。
【0015】
物質の単離された結晶形態は、しばしば、晶出溶媒の性質および該溶媒から晶出する速度の関数である。以下の一覧表の溶媒は、あらゆる溶媒の種類からの代表を含み、これらからの晶出は、ナルトレキソンに対して特有の結晶形態が得られ得ること(accessible to)を可能にする。
【0016】
【表1】
【0017】
2.新規な形態の同定方法
出願人らは、2つの別々のプロセスを用いてナルトレキソンの実質的に純粋な多型形態を調製した。一方のプロセスでは、出願人は、低速冷却プロセス(「低速」)を用いて結晶性ナルトレキソン多型体を調製した。市販のナルトレキソン塩基無水物(Mallinckrodt)を溶媒に溶解して溶媒系を形成した。得られた溶媒系を、ほぼ飽和した溶液を調製する目的で、沸点の1〜10℃以内に加熱した。次いで、ほぼ飽和した溶液を、1〜2℃/分以下の速度で室温まで冷却した。得られた沈殿物を回収した。
【0018】
第2のプロセスは、高速冷却プロセス(「高速」)であり、この場合、ナルトレキソン塩基無水物(Mallinckrodt)を溶媒に溶解して溶媒系を形成した。得られた溶媒系を、ほぼ飽和した溶液を調製する目的で、沸点の5〜10℃以内に加熱した。次いで、ほぼ飽和した溶液を、できるだけ急速に室温まで冷却した。得られた沈殿物を回収した。
【0019】
以下の表2は、使用した各溶媒、どちらのプロセスを使用したか、および参照する図(実施した3つの分析方法の各々の結果を示す)の一覧である。
【0020】
3.粉末X線回折
ナルトレキソンの種々の結晶性形態のほとんどを、粉末X線回折を用いて解析した。粉末X線回折(XRPD)パターンは、θ/2θ形式の水平測角器を取り付けたRigaku MiniFlex粉末解析システムを用いて得た。X線源は、ニッケルフィルター銅Kα放射(1.54056オングストローム)であった。埋め戻し手順を用いてアルミニウムホルダー内に試料を充填し、50〜6度2θの範囲で、0.5度2θ/分のスキャン速度でスキャンした。各粉末パターンの較正を、44.738および38.472度2θにおけるアルミニウムの特徴的な散乱ピーク(これらのピークはパターン内に見られる)を用いて行なった。他のXRPDを、Bruker D8 Advance XRDまたはSCINTAC X線回折計(#XDS 2000型)を用い、0.02°/工程を用いて1秒間隔で解析した。試料を、2〜40度2θの範囲で、1度2θ/分のスキャン速度でスキャンした。
【0021】
種々の溶媒系からの低速および高速冷却により得られた種々のナルトレキソン沈殿物のXRPD粉末パターンを本明細書において図に示す。本発明のナルトレキソン形態は、本明細書に記載した方法に従って作製したものに限定されない。
【0022】
4.融解/分解温度
ナルトレキソン結晶性形態の融解および/または分解の温度を、示差走査熱量測定(DSC)用いて測定した。ほとんどのDSC測定値は、TA Instruments 2910熱分析システムにおいて得た。ほぼ1〜2mgの試料を、正確にアルミニウムDSC皿内に秤量し、所定の位置にかしめたアルミニウム蓋で覆った。次いで、試料を25〜240℃の範囲で10℃/分の加熱速度で加熱した。
【0023】
【表2】
【0024】
融解/分解温度範囲を、外挿開始から融解/分解吸熱の最大までと規定した。
【0025】
他のDSC測定値を、密閉皿を用いたTA Instruments Q 1000 DSCおよび0℃〜200℃で10℃/分または50℃/分の加熱速度を用いたDSCランプ法により得た。当業者には、DSCを測定する他の適切な手段が認識されよう。
【0026】
種々の溶媒系から低速および高速冷却により得られた種々のナルトレキソン物質のDSC温度記録図を図面に示す。
【0027】
5.赤外吸収分光測光法
解析物の固体状態赤外線(IR)スペクトルを、Buck Scientific M-500型赤外分光計を用い、シングルビーム方式で操作し、減衰全反射率吸収(ATR)検出方式を用いて得た。Pike Technologiesにより商品名 MIRacle(登録商標)で販売されているZnSe結晶単反射水平型ATRサンプリング付属装置に試料を挟んだ。
【0028】
種々の溶媒系から低速および高速冷却により得られた種々のナルトレキソン生成物のIR-ATRスペクトルを図面に示す。
【0029】
ナルトレキソンエタノレート
特に、出願人らは、約9°(2θ)に特性ピークを有する粉末X線回折に特徴付けられるナルトレキソンエタノレートの多型形態を調製した。このピークは、2つの調製プロセスのどちらを用いたかに関係なく現れる。
【0030】
得られた分析は、ナルトレキソンの多型形態が図5Aの粉末X線回折パターンにより特徴付けられ得ることを示した。この多型形態は、図17AのDSCパターンおよび/または図29AのIR-ATRによりさらに特徴付けられ得る。
【0031】
ナルトレキソンのこの多型形態は、図5Bの粉末X線回折パターンにより特徴付けられ得る。この多型形態は、図17BのDSCパターンおよび/または図29BのIR-ATRによりさらに特徴付けられ得る。
【0032】
ナルトレキソンエタノレートの多型形態はまた、図46により特徴付けられ得る。本発明による精製されたナルトレキソンエタノレートは、例えばナルトレキソンベンジルアルコール溶媒和物、ナルトレキソン一水和物および無水ナルトレキソンからなる群より選択される1つ以上のナルトレキソンの多型形態の実質的に非存在下で調製され得る。本明細書で使用する場合、「実質的に非存在」は、上記物質を有さないか、または無視できる(検出可能を含む)量の上記物質を有することを意味することが意図され、これは、上記物質の形成を回避することを意図するプロセスまたは上記物質を除去することを意図するプロセスにより達成され得る。
【0033】
さらに、ナルトレキソンベンジルアルコール溶媒和物が完全に非存在である本発明の多型形態を調製することができ、これは、溶媒系として、または溶媒系においてベンジルアルコールの使用を避けるプロセスを用いることにより達成され得る。別の態様において、多型形態は、ナルトレキソンベンジルアルコール溶媒和物とともに、全結晶性ナルトレキソンの少なくとも約88%または約65重量%未満の量で存在するか、あるいはまた、全結晶性ナルトレキソンの約67.0%、76.3または85.7重量%の量で存在しない。
【0034】
図5A、5Bまたは46のXRPDにより特徴付けられるナルトレキソンのエタノレート形態は、ナルトレキソンベンジルアルコール溶媒和物の存在しない形態の例である。
【0035】
形態が実質的に純粋である本発明の多型形態は、当業者に特に興味深いものである。
【0036】
無水物形態
本発明の他の形態も考えられる。例えば、ナルトレキソンの無水物多型形態を調製した。この形態は、約8°(2θ)に特性ピークを有する粉末X線回折により特徴付けられ得る。
【0037】
例えば、ナルトレキソンのこの多型形態は、図1Aの粉末X線回折パターンにより特徴付けられ得る。加えて、この多型形態は、図13AのDSCパターンによりさらに特徴付けられ得る。なおさらに、この多型形態は、図25AのIR-ATRにより特徴付けられ得る。
【0038】
ナルトレキソンのかかる多型形態は、図1Bの粉末X線回折パターンにより特徴付けられ得る。なおさらに、この多型形態は、図13BのDSCパターンによりさらに特徴付けられ得る。加えて、この多型形態は、図25BのIR-ATRによりさらに特徴付けられ得る。
【0039】
あるいはまた加えて、この多型形態は、図43のXRPDにより特徴付けられ得る。
【0040】
一水和物
出願人らはまた、溶媒として水を使用することにより形成したナルトレキソンの一水和物形態を調製した。ナルトレキソンのこの形態は、約7°(2θ)に特性ピークを有するX線粉末回折により特徴付けられる。ナルトレキソンのこの多型形態は、図3および44の粉末X線回折パターンにより特徴付けられ得る。さらに、約7における多型形態は、図15のDSCパターンにより特徴付けられ得る。加えて、この多型形態は、図27のIR-ATRによりさらに特徴付けられ得る。
【0041】
ベンジルアルコール溶媒和物
出願人らは、ナルトレキソンの別の多型形態を調製し、これは、約5〜6°(2θ)に特性ピークを有する粉末X線回折により特徴付けられ得る。加えて、ナルトレキソンの多型形態は、図6および45の粉末X線回折パターンにより特徴付けられ得る。なおさらに、この多型形態は、図18のDSCパターンにより特徴付けられ得る。また、多型形態は、図30のIR-ATRにより特徴付けられ得る。
【0042】
さらに、ナルトレキソンエタノレートが完全に非存在である本発明の多型形態を調製することができ、これは、溶媒系として、または溶媒系においてエタノールの使用を避けるプロセスを用いることにより達成され得る。別の態様において、この多型形態は、ナルトレキソンエタノレートとともに、全結晶性ナルトレキソンの少なくとも約35%または約13重量%未満の量で存在するか、あるいはまた、全結晶性ナルトレキソンの約33.0%、23.7または14.3重量%の量で存在しない。
【0043】
本明細書に具体的に記載した溶媒和物を含む他の多型体およびこれらの組合せは本発明の一部である。
【0044】
非晶質ナルトレキソン
出願人らはまた、ナルトレキソンの非晶質形態を調製し、これは、図42のDSCパターンにより特徴付けられ得る。非晶質ナルトレキソン形態は、NTX塩基を180〜190℃の炉内にほぼ10分間放置することにより調製した。溶融させた後、これを取り出して室温まで冷却した。次いで、これをスパチュラを用いて小片に破砕し、乳鉢および乳棒を用いて微粉末に磨砕した。粉末X線回折パターンによりこの粉末が非晶質であることを確認した。
【0045】
ナルトレキソンの単離された、および/または実質的に純粋な形態もしくは形態の混合物の作製方法
この形態は、
(i)ナルトレキソン塩基無水物または塩酸塩などの塩などのナルトレキソンを、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、水、メタノール、エタノール、ベンジルアルコール、ジクロロメタン、アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエンおよびヘキサンなどの、溶媒または1つ以上の有機系または水性溶媒を含む溶媒系と混合すること;(ii)溶媒または溶媒系を沸点の約1〜10℃以内に加熱し、ほぼ飽和した溶液を調製すること;(iii)得られたほぼ飽和した溶液を、室温まで1〜2℃/分以下の速度などでゆっくりと冷却し、それにより沈殿物を形成させること;および(iv)沈殿物を回収することを含む方法により調製され得る。この方法は、本明細書において、低速プロセスまたは低速冷却法ともいう。
【0046】
この方法によって調製される物質の例は、図1A、2A、4A、5A、7A、8A、9A、10A、11Aおよび12Aからなる群より選択される粉末X線回折パターンによって特徴付けられ得る。
【0047】
なおさらに、この方法によって調製される沈殿物は、図13A、14A、16A、17A、19A、20A、21A、22A、23Aおよび24Aからなる群より選択されるDSCパターンにより特徴付けられ得る。加えて、この沈殿物は、図25A、26A、28A、29A、31A、32A、33A、34A、35Aおよび36Aからなる群より選択されるIR-ATRにより特徴付けられ得る。
【0048】
あるいはまた、出願人らは、(i)ナルトレキソン塩基無水物を、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、水、メタノール、エタノール、ベンジルアルコール、ジクロロメタン、アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエンおよびヘキサンからなる群より選択される溶媒と混合すること;(ii)溶媒または溶媒系を沸点の約5〜10℃以内に加熱し、ほぼ飽和した溶液を調製すること;(iii)得られたほぼ飽和した溶液を、できるだけ急速などで素早くほぼ室温またはそれ未満に冷却し、それにより沈殿物を形成させること;および(iv)沈殿物を回収することを含む方法により本発明の多型体を調製した。この方法は、本明細書において、高速プロセスまたは高速冷却法ともいう。
【0049】
該高速法により調製される物質は、図1B、2B、3、4B、5B、6、7B、8B、9B、10B、11Bおよび12Bからなる群より選択される粉末X線回折パターンにより特徴付けられ得る。さらに、この方法により調製される沈殿物は、図13B、14B、15、16B、17B、18、19B、20B、21B、22B、23Bおよび24Bからなる群より選択されるDSCパターンにより特徴付けられ得る。加えて、これらは、図25B、26B、27、28B、29B、30、31B、32B、33B、34B、35Bおよび36Bからなる群より選択されるIR-ATRにより特徴付けられ得る。
【0050】
一態様において、該新規な形態は、実施例において以下に記載する、長時間放出製剤(本明細書において製剤Aという)を製剤化するための具体的な方法などの、製剤を作製するためのプロセス中に製造され得る。さらに別の態様において、本発明は、実施例において以下に記載する長時間放出製剤(製剤A)を除外する。
【0051】
多型形態の混合物
出願人らは、2つ以上の形態の混合物および/または結晶性および非結晶性薬物の混合物を含有する組成物が、長時間放出製剤において特別な利点を有することを見出した。したがって、本発明はまた、かかるナルトレキソン生成物の混合物に関する。
【0052】
本発明の一局面において、該ナルトレキソンは、結晶性形態と非結晶性形態との混合物を含む。例えば、ナルトレキソンの結晶化度(crystallinity)の%は、全ナルトレキソンの少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約20%(重量基準)であり得、好ましくは全ナルトレキソンの少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%(重量基準)の量であり得る。一態様において、ナルトレキソンの結晶化度の%は、全ナルトレキソンの約10%〜70%、好ましくは約30%〜50%(重量基準)の量で存在する。別の態様において、結晶化度の%は、全ナルトレキソンの41%、34.3%または35.2%でない。
【0053】
かかる組成物中に存在する結晶性ナルトレキソンは、ナルトレキソンの任意の結晶性形態であり得る。好ましくは、結晶性形態として、ナルトレキソンエタノレート、より好ましくはナルトレキソンエタノレートクラスレートが挙げられる。ナルトレキソンエタノレートは、好ましくは結晶性形態で、少なくとも約40重量%の量で、より好ましくは少なくとも約50重量%の量で、より好ましくは約60重量%の量で存在する。
【0054】
非結晶性ナルトレキソンは、非晶質および/または組成物または組成物マトリックスに対して溶解したナルトレキソンの形態であり得る。非晶質(または遊離非晶質)ナルトレキソンにより、マトリックス中に存在する場合など、非晶質形態が独立した相として存在することを意味する。溶解したナルトレキソンにより、薬物およびマトリックスが単一の相として存在することを意味する。溶解したナルトレキソンの一例としては、高分子長時間放出製剤中に存在するナルトレキソン(ナルトレキソンは高分子マトリックス中に溶解している)が挙げられる。かかる長時間放出デバイスとしては、以下の実施例に記載のものが挙げられる。
【0055】
したがって、本発明の一局面において、ナルトレキソン組成物中の非結晶性ナルトレキソンは、0〜100重量%が溶解した状態であり得、好ましくは少なくとも約20%が溶解、より好ましくは少なくとも約50%が溶解、より好ましくは少なくとも約80%が溶解している。一態様において、実質的にすべての非結晶性形態が溶解したナルトレキソンである。
【0056】
本発明はまた、本明細書に記載した形態の混合物を含む。したがって、本発明は、例えば、ナルトレキソンエタノレート(ナルトレキソンエタノレートクラスレートなど)を、単独で、または本明細書に記載した他の形態の1つ以上との組合せで(非結晶性(非晶質および/または溶解した)ナルトレキソンの存在下、非存在下または実質的に非存在下で)含む。かかる組合せとしては、0〜100重量%の任意の特定の形態を有する組成物が挙げられる。組成物は、好ましくはナルトレキソンエタノレートを含む。ナルトレキソンエタノレートの好ましい量としては、全結晶性生成物の少なくとも約10重量%が挙げられ、好ましくは、全結晶化度の少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%または少なくとも約90重量%が挙げられる。好ましい一態様において、ナルトレキソンエタノレートは約60%の量で存在する。別の態様において、ナルトレキソンエタノレートは約60%の量で存在しない。パーセンテージは、特徴的な相対ピーク強度により求められる結晶化度の割合を表す。
【0057】
さらに別の局面において、結晶性ナルトレキソンに、ナルトレキソンベンジルアルコール溶媒和物、ナルトレキソン一水和物および無水ナルトレキソンからなる群より選択されるナルトレキソンの多型形態が実質的に非存在である、本発明の組成物が調製される。かかる組成物は、好ましくは、ナルトレキソンエタノレートクラスレートなどのナルトレキソンエタノレートを、上記の好ましい量で有する。
【0058】
好ましい混合物は、約50〜70%のナルトレキソンエタノレートおよび残部ナルトレキソンベンジルアルコール溶媒和物を含む。別の混合物は、約10〜15%のナルトレキソン一水和物、約10〜15%のナルトレキソン無水物、約10〜15%のナルトレキソンベンジルアルコール溶媒和物を含み、組成物の残部はナルトレキソンエタノレートである。もちろん、特許請求の範囲に記載の発明は、上記の形態の2つまたは3つにより特徴付けられる混合物、上記の形態の1つ以上を1つ以上の他の形態に置き換えたもの(本明細書に記載した他の形態の1つ以上が挙げられるが、これらに限定されない)、該形態の1つ以上の量を変更したもの、さらなる形態を加えたものを含むナルトレキソン形態の他の混合物もまた含み得る。
【0059】
有用性
本発明は、中毒性の疾患または中枢神経系障害に苦しむ患者の治療のための方法を提供し、ここでこのような疾患状態を、本発明のナルトレキソンの治療有効量を、それを必要とする患者に投与することによって治療し得る。
【0060】
かくして、該組成物が中毒行動を処置するために投与される場合、ナルトレキソンの治療有効量は、好ましくは中毒行動を制御するまたは減らすのに効果的な量である。「制御する」という用語は、中毒性または疾患の他の行動特性の鈍化、阻止、制止、または停止が存在し得る、あらゆるプロセスを言うことが意図され、必ずしもすべての疾患症状の全体の排除を示さない。
【0061】
「治療有効量」という用語は、いくつかのパラメータまたは臨床的症状の改善を生じる量を定めることを、さらに意味する。実際の投薬量は、それぞれの患者で異なる。
【0062】
本明細書で使用される、「被験体」または「患者」は、特定の疾患状態に苦しむ哺乳動物などのヒト(限定されない)を含む、温血動物のことを言う。
【0063】
本明細書に記載される治療で使用される化合物の治療有効量は、慣用技術の使用により、および同様の状況下で得られる結果を観察することにより、当業者としての担当診断医によって容易に決定され得る。治療有効投薬量を決定する際には、限定されないが、哺乳動物の種;その体格、年齢および一般健康状態;関与している特定の疾患;疾患の程度または困難さ(involvement)もしくは重篤度;個々の患者の応答;投与する具体的な化合物、投与の形態、投与する調製物に特有の生物学的利用能、選択した投与計画、併用薬の使用、および他の関連する状況を含むいくつかの因子が担当診断医によって考慮される。
【0064】
投与の好ましい量および形態は、当業者によって決定され得る。製剤調製の当業者は、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences、最新版、Mack Publishing Co.に記載された当該技術分野で公知の製剤技術を用い、選択した化合物の具体的な特徴、処置すべき疾患状態、疾患の病期および他の関連する状況に応じて、投与の適切な形態および様式を容易に選択し得る。
【0065】
医薬組成物は、当該技術分野で公知の技術を用いて製造することができる。典型的には、治療有効量の化合物を、薬学的に許容され得る担体と混合する。
【0066】
本発明の化合物または組成物は、例えば、腸内、経口、頬内、直腸、膣内、皮膚、鼻腔内、気管支、気管内、肺内、非経口、皮下、静脈内、筋内、または腹腔内経路の様々な経路によって、例えば、注射、食物摂取、または吸入によって投与され得る。
【0067】
投与の特に好ましい経路は、1、2、3、4週間以上よりも長い期間などの長期間にわたる、薬物の実質的に連続的な送達などの送達を可能にする、持続放出製剤、長時間放出製剤、または長時間作用製剤を含む。4週間放出が好ましい。
【0068】
経口投与では、組成物は、例えば、カプセル、ピル、錠剤、ロゼンジ、メルト(melts)、粉末などの固体状に、または溶液、懸濁液もしくはエマルジョン中に混合するための形態などに製剤され得る。
【0069】
他の態様では、本発明の化合物は、アカシア、コーンスターチ、またはゼラチンなどの結合剤、片栗粉またはアルギン酸などの崩壊剤、およびステアリン酸またはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤と組み合わせた、ラクト−ス、スクロース、およびコーンスターチなどの従来の錠剤基質によって、錠剤にされ得る。当該技術分野で公知の懸濁剤、甘味剤、調味剤、および保存剤も含み得る、水性または非水性の薬学的に許容され得る溶媒中に活性成分を溶解することによって、液体製剤を調製し得る。
【0070】
非経口投与では、該化合物を、生理学的に許容され得る医薬用担体中に溶解し、溶液または懸濁液として投与し得る。好適な医薬用担体の具体例としては、水、生理食塩水、デキストロース溶液、フルクトース溶液、エタノール、または動物油、野菜油もしくは合成による油を含む。医薬用担体はまた、当該技術分野で公知の保存剤および緩衝溶液を含んでいてもよい。
【0071】
本発明の化合物はまた、局部的に投与され得る。これは、投与すべき化合物の溶液を、好ましくは、エタノールまたはジメチルスルホキシド(DMSO)などの経皮吸収を促進するために知られる溶媒を使用して、他の賦形剤と共にもしくは無しで簡単に調製することによって成し遂げ得る。好ましくは、局部的投与は、容器または多孔質膜型、または固体マトリックス変種のパッチを使用して成し遂げ得る。
【0072】
外科手術の移植では、活性成分は、ポリラクチドおよびポリラクチド−コ−グリコリドなどの、よく知られる生分解性および生腐食性(bioerodible)担体、並びにコラーゲン製剤のいずれかと結合され得る。このような物質は、固体移植片、スポンジ等の形態であり得る。いずれの事象においても、物質の局所の使用では、通常、活性成分は担体または賦形剤中に約1:1000〜1:20,000の重量比で存在するが、この範囲の比に限定されない。
【0073】
好ましくは、該化合物は、長時間放出製剤中に存在する。長時間(徐放性または制御性放出ともいう)調剤は、本明細書に記載するナルトレキソンを取り込むか、または封入するポリマー(好ましくはポリラクチドまたはポリラクチド−コ−グリコリドポリマー)の使用を通して得られ得る。長時間放出製剤は、ポリマー−薬物混合物の噴霧乾燥、エマルジョンを用いる技術、コアセルベーションを用いる技術、フィルムキャスティング、押出し成形を用いる技術、および長時間放出プロフィールを有するポリマー−薬物微粒子を製造するための他のプロセスにより作製し得る。本明細書に記載の新規のナルトレキソンの形態を含めるために使用され得る好適な長時間放出技術の例としては、限定されないが、例えばWrightに対する米国特許第6,264,987号、同第5,654,008号および/または同第5,792,477号などに記載されたMEDISORB(登録商標)技術;例えばHerbertに対する米国特許第6,358,443号に記載されたPROLEASE(登録商標)技術;Southern Reserch Instituteにより、例えば米国特許第6,306,425号に記載された技術;および「徐放性微粒子の調製方法(Method of Preparing Sustained Release Microparticles)」という米国特許出願第 60/441,946号(2003年1月23日出願)、ならびにALZAMER(登録商標)Depot注射技術を含むAlza Corp.により記載された技術があげられる。これらの特許の内容は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0074】
好ましい態様では、長時間放出製剤送達は、薬学的に有用な量のナルトレキソンを患者に、少なくとも1週間、好ましくは少なくとも約2週間、より好ましくは少なくとも約3週間または約4週間以上送達する。
【0075】
1つの好ましい態様では、ナルトレキソンは、デバイスまたは製剤の全重量の少なくとも約5重量%、好ましくは少なくとも約10重量%、より好ましくは少なくとも約30重量%の量で、長時間放出デバイスまたは製剤中に存在する。1つの態様では、理論上の薬物負荷は、持続放出デバイスの合計の重量による35%(または実際の薬物負荷40%、45.8%または26.1%負荷)ではない。しかしながら、好ましい態様では、理論上の薬物負荷は、全ナルトレキソンの35%である。
【0076】
ナルトレキソンの合計量の結晶性の制御は、放出の持続時間において実質的な影響を及ぼすことが発見された。例えば、PLGA微小球中、約9〜12%の間であるナルトレキソン結晶性の合計%によって特徴づけられる、本明細書に記載のPLGA微小球を含む組成物は、約4週間の優れた放出プロフィールを有する。結晶性の%を低くすることは、放出を早めることが出来る。かくして、PLGA微小球中、約4〜9%の間であるナルトレキソン結晶性の合計%によって特徴づけられる、本明細書に記載のPLGA微小球を含む組成物は、約2週間などの4週間より短い、優れた放出プロフィールを有する。同様に、PLGA微小球中、約12%以上であるナルトレキソン結晶性の合計%によって特徴づけられる、本明細書に記載のPLGA微小球を含む組成物は、約8週間などの少なくとも4週間の優れた放出プロフィールを有する。結晶性の%に基づく、放出の持続時間における実質的な影響などは、予想外であった。
【0077】
あるいはまた、ポリマー粒子中にナルトレキソンを組み込む代わりに、調製した微粒子中にこれらの物質を取り込むことは可能である。例えば、コアセルベーション技術、界面重合(例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチン−マイクロカプセルおよびポリ−(メチルメタクリル酸)マイクロカプセル)、コロイド状薬物送達システム(例えば、リポゾーム、アルブミン、微粒子、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)またはマイクロエマルジョンシステムが使用され得る。
【0078】
組成物が注射可能な物質(無針(needle-less)注射を含むが、これに限定されない)として使用される場合、従来の注入可能な担体内に製剤化し得る。好適な担体としては、生体適合性溶液および薬学的に許容され得る溶液が挙げられる。
【0079】
長時間放出デバイスを製造するための方法
本発明は、長時間放出デバイスを製造するために好ましい方法を含み、該生じるデバイスは、記載される多型形態の好ましい混合物を含む。
【0080】
ポリマー溶液は、ポリ(ラクチド)−コ−グリコリドポリマーを(ポリマー溶媒中の75:25 DL PLGA (ポリ(ラクチド)−コ−グリコリド)など)を酢酸エチル(EtAc)などの溶液中に溶解して溶液を形成することによって形成し得る。好ましい PLGA ポリマーは、少なくとも約100,000ダルトンの分子量を有するポリマーなどの高分子量ポリマーである。ナルトレキソン溶液は、ベンジルアルコール(BA)を含む上記溶媒の内の1つなどの好適な溶媒中に、ナルトレキソン基質を溶解して溶液を形成することによって形成し得る。エマルジョンの「有機」または「油」相であろう薬物/ポリマー溶液を形成するために、ポリマー溶液およびナルトレキソン溶液を、好ましくは共に混合する。
【0081】
エマルジョン(乳化溶液)の「水性」または「連続」相を調製する。水相は、好ましくは、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)およびEtAcなどのポリマー溶媒を含む。有機相および水相は、通常通り第一スタティックミキサーで混合し得、水中油型エマルジョンを形成する。
【0082】
任意の部分的抽出工程では、該エマルジョンは、第一スタティックミキサーから流出し、第二スタティックミキサー中の流れ込み、ここでエマルジョンは、第二スタティックミキサーに入る一次抽出溶液と混合し得る。主要抽出溶液(EtAc水溶液によって形成し得るなど)は、第二スタティックミキサー中の部分的一次抽出工程の間の乳化の微小滴から溶媒抽出を開始し得る。
【0083】
第一または第二スタティックミキサーの流出物は、主要抽出溶液を含む抽出容器中に流入し得る。溶媒(BAおよびEtAc)は、この主要抽出溶媒中のエマルジョンの有機相から実質的に抽出し、主にポリマーおよび薬物から成る発生期の微粒子中で生じる。一次溶媒抽出工程は、およそ6時間続く。
【0084】
特別注文の振動性篩いを使用して、微粒子を収集し、部分的に窒素抽気によって真空乾燥し得る。収集の後および乾燥の前に、微粒子は、乳化剤(PVA)を取り除く25%エタノール溶液によって濯ぎ、微粒子の冷却乾燥器への移動を促進することによって、収量を高めることが出来る。この工程は、好ましくは低温で、望ましい乾燥水準が得られるまで行う。以下の例の中で見られるように、乾燥の程度(例えば、湿度プローブによって測定されるような)は、最終生成物中で得られる結晶性の程度に影響を与える。例えば、乾燥の少なくとも約8、16、24または40時間の乾燥時間を選択することは、好都合であり得る。例えば、乾燥が、それぞれ40%、70%、95%、または100%完全である場合、少なくとも乾燥中約8時間、16時間、24時間、または40時間の乾燥時間を選択することは、都合がよくあり得る。乾燥は、排出ガスの絶対湿度が、およそ0g/m3に達するとき、乾燥が完了すると考えられる。
【0085】
次いで、微粒子は、第二抽出溶液中で再懸濁し得る。第二溶液は、エタノールなどの多型形態を形成するために望ましい溶媒を含み得る。例えば、少なくとも容量あたり約10%エタノールを、好ましくは少なくとも容量あたり約20%エタノールを含む溶液が使用できる。これは、通常、再スラリーおよび第2溶媒抽出工程と呼び得る。エタノールなどの溶媒は、BAおよびEtAcの更なる抽出を促進し得る。更に、薬物の結晶性は、工程の間に増加する。第二溶媒抽出工程は、およそ2、3、4時間以上、抽出容器中で実行し得る。この工程は、室温で簡便に完成し得る。しかしながら、他の温度も、同様に選択し得る。収集/最終乾燥工程では、特別注文の振動性篩いを使用して、微粒子を収集し、部分的に窒素抽気によって真空乾燥し得る。
【0086】
最終採取工程では、微粒子は、減菌した容器中に移し、保存し、バイアル中に充填するまで、例えば−20℃の冷凍器中に、保存し得る。好ましくは、バイアル中に充填する前に、保存された微粒子を、150ミクロンのスクリーンを通して篩いにかけ、大きすぎる物質をいずれも取り除く。
【実施例】
【0087】
実施例1
続く、溶媒和物は、以下のようにして作製した。その後、上記分析技術、すなわち、粉末X線回析、示差走査熱量計、および赤外減衰全反射率吸収(IR-ATR)検出方式を使用して、得られた沈殿物質を分析した。
【0088】
アセトニトリル[XRPD=図1;DSC=図13;IR-ATR=図25]
この溶媒からの出た結晶化は、無水物形態を生じる、高速および低速冷却して得られる物質について。XRPD粉末パターンにおけるいくらかのばらつきが示されるが、特徴的なピークは、同じ散乱角度で示される。この相は、175℃の最大温度を有するDSC融解転移を特徴とする。
【0089】
ジメチルホルムアミド[XRPD=図2;DSC=図14;IR-ATR=図26]
この溶媒からの結晶化は、DMF溶媒和物を生じ、113℃の最大温度を有するDSC融解転移を特徴とする。高速および低速冷却により得られる物質のXRPD粉末パターンは異なり、高速冷却試料は、低速冷却試料では観察されない更なるピークを含む。低速冷却により得られる物質の脱溶媒和は、溶解吸熱を示すことが出来る形態に再結晶化しなかった非晶質物質を生じる。この特性はDMF溶媒和物に、最もおそらく特有のものである。高速冷却試料は、第二吸熱転移を表し、167℃のDSC融解転移を有し、これは最もおそらく、高速冷却試料中の第二相の存在による。
【0090】
水[XRPD=図3;DSC=図15;IR-ATR=図27]
この溶媒からの結晶化は、水和物を生じ、99℃の最大温度を有するDSC溶媒和転移を大きく特徴とする。この水和物の脱水は、検出可能な再結晶現象を生じ、最大160℃のDSC融解転移を有する無水形態を形成する。融解転移の間、この形態は他の結晶化転移を経て、175℃の最大温度を有するDSC融解転移により特徴付けられる無水物形態を生じる。
【0091】
メタノール[XRPD=図4;DSC=図16;IR-ATR=図28]
この溶媒からの結晶化は、メタノール溶媒和物を生じる。高速および低速冷却により得られる物質のXRPD粉末パターンは異なり、低速冷却試料は高速冷却試料の粉末パターンでは観察されない更なるピークを含む。興味深いことに、この違いは2つの物質のDSC中には持ち越さない。両方の試料は、108℃の最大温度を有するDSC溶媒和転移により特徴づけられ、それぞれ160℃、162℃、および175℃の良規定の融解/結晶化/溶解現象が続いた。
【0092】
エタノール[XRPD=図5;DSC=図17;IR-ATR=図29]
この溶媒からの結晶化は、エタノール溶媒和物を生じる。高速および低速冷却により得られる物質のXRPD粉末パターンは実質的に異なり、高速冷却試料は、低速冷却試料の粉末パターンでは観察されない更なるピークを含む。低速冷却試料のDSCサーモグラムは、120℃の最大温度を有する溶媒和転移により特徴付けられ、次には、それぞれ160℃、161℃、および175℃の融解/結晶化/融解順序が続く。高速冷却試料のDSCはまた、92℃の最大温度を有する顕著な脱溶媒和吸熱を含み、これは、おそらく、結晶化の間に試料中で凝縮した水の存在による。この吸熱の温度は標準の水和物の温度とは異なり、混合された水和物/エタノール多型の製剤を表し得る。
【0093】
ベンジルアルコール[XRPD=図6;DSC=図18;IR-ATR=図30]
この溶媒からの結晶化は、ベンジルアルコール溶媒和物を生じる。この多型は、124℃の最大温度を有するDSC溶媒和転移により大きく特徴付けられる。この水和物の脱水は弱いが検出可能な再結晶化現象を生じ、最大153℃および160℃のDSC融解転移を有する無水形態を形成する。
【0094】
ジクロロメタン[XRPD=図7;DSC=図19;IR-ATR=図31]
この溶媒からの結晶化は、ジクロロメタン溶媒和物を生じる。高速冷却試料の粉末パターンはアセトニトリルから結晶化された2つの無水物質の粉末パターンと強く似ているが、高速および低速冷却により得られる物質のXRPD粉末パターンは完全に異なるようである。低速冷却試料のDSCサーモグラムは、176℃のピーク最大値を有する融解転移によって特徴付けられる。全てのデータの比較は、この無水形態が、アセトニトリルから結晶化された時の無水形態と同じものであることを示す。低速冷却試料のDSCは、90℃の最大温度を有する顕著な脱溶媒和吸熱を含み、これは、おそらく、結晶化の間に試料中で凝縮した水の存在による。この吸熱の温度は、標準の水和物の温度とは異なり、混合された水和物/ジクロロエタン多型の形成を表し得る。水和物の見かけ上の共結晶化は、ジクロロメタンから結晶化された物質の粉末パターンの、2つのセット中で示される相違の由来を表す。
【0095】
アセトン[XRPD=図8;DSC=図20;IR-ATR=図32]
この溶媒からの結晶化は、アセトン溶媒和物を生じる。高速および低速冷却により得られる物質のXRPD粉末パターンは、相対強度(おそらく優先的配向と関連する)中で差異を示すが、散乱角度の全体的なパターンは、該二つの間でいくらか比較できる。該2つの試料のDSCサーモグラムはまたかなり似ており、138℃の最大温度を有する溶媒和転移により特徴づけられ、次には、温度176℃の融解吸熱が続く。大きな融解吸熱(およそ160℃の温度)の前に、弱い融解/再結晶化吸熱が同様に存在する。
【0096】
酢酸エチル[XRPD=図9;DSC=図21;IR-ATR=図33]
この溶媒からの結晶化は、酢酸エチル溶媒和物を生じる。高速および低速冷却により得られる物質のXRPD粉末パターンは実質的に異なる。両方の多型のDSCサーモグラムは、123℃の最大温度を有する溶媒和転移により特徴づけられ、次には、それぞれ161℃、162℃、および176℃の温度の融解/結晶化/融解順序が続く。高速冷却試料のDSCはまた、91℃の最大温度を有する顕著な脱溶媒和吸熱を含み、これは、おそらく、結晶化の間に試料中で凝縮した水の存在による。この吸熱の温度は、標準の水和物の温度とは異なり、混合された水和物/酢酸エチル多型の製剤を表し得る。
【0097】
メチルエチルケトン[XRPD=図10;DSC=図22;IR-ATR=図34]
この溶媒からの結晶化は、無水形態を生じる。高速および低速冷却により得られた試料のXRPD粉末パターンはかなり似ており、それぞれは、アセトニトリルから結晶化された無水物質の粉末パターンと強く似ている。低速冷却試料のDSCサーモグラムは、とても低い温度での吸熱転移を含むが、なお176℃のピーク最大値を有する融解転移によって支配される。高速冷却試料のDSCは、本質的に融解吸熱(最大値176℃)のみから成り立つ。
【0098】
トルエン[XRPD=図11;DSC=図23;IR-ATR=図35]
この溶媒からの結晶化は、トルエン溶媒和物を生じる。高速および低速冷却により得られる物質のXRPD粉末パターンは、おそらく優先的配向と関連する質的相違の有効数字を示す。2つの試料のDSCサーモグラムはまた、かなり似ており、138℃の最大温度を有する脱溶媒和転移により特徴付けられ、次には、温度176℃の融解吸熱が続く。大きな融解吸熱(およそ160℃の温度)の前に、弱い融解/再結晶化吸熱が同様に存在する。
【0099】
ヘキサン[XRPD=図12;DSC=図24;IR-ATR=図36]
この溶媒からの結晶化は、ヘキサン溶媒和物を生じる。高速および低速冷却により得られる物質のXRPD粉末パターンは、お互い強く似ており、ただ相対的強度のいくつかのみが違う。高速冷却の使用によって得られた物質のDSCサーモグラムは114℃の最大温度を有する脱溶媒和転移によってのみ特徴付けられ、これは次にはそれぞれ153℃、158℃、および174℃の温度の融解/結晶化/融解順序が続く。低速冷却試料のDSCはまた、91℃の最大温度を有する顕著な脱溶媒和吸熱を含み、これは、おそらく、結晶化の間に試料中で凝縮した水の存在による。この吸熱の温度は、標準の水和物の温度とは異なり、混合された水和物/酢酸エチル多型の製剤を表し得る。
【0100】
実施例2
ナルトレキソンを含む微粒子の調製
調製例A
ナルトレキソンベース微粒子は、共溶媒抽出プロセスを使用して作製した。理論的バッチサイズは、15〜20グラムであった。ポリマー(MEDISORB(商標登録)7525 DL ポリマー、MEDISORB(商標登録)8515 DL ポリマーおよびMEDISORB(登録商標) 6536DL ポリマー、すべてはAlkermes,Inc.,Blue Ash,Ohioから入手できる)を酢酸エチル中に溶解し、16.7%w/wポリマー溶液を作製した。無水ナルトレキソンベースは、ベンジルアルコール中に溶解して、30.0%w/w溶液を作製した。様々なバッチでは、使用された薬物およびポリマーの量を、30%〜75%の範囲である異なった理論的薬物負荷によって、微粒子を作製するために変更した。周囲のポリマーおよび薬物溶液を、単均一溶液(有機相)を作製するまで、共に混合した。水相は周囲の状態であり、1%w/wポリビニルアルコールおよび酢酸エチルの飽和量を含んだ。これらの2つの溶液は、1/4''インラインミキサーにより正置換ポンプによって3:1(水性:有機性)の比で汲み上げ、エマルジョンを形成した。エマルジョンを、微粒子の理論的グラムあたり抽出溶媒0.5Lの容量で、5〜10℃で蒸留水中に溶解した2.5%w/w酢酸エチルから成り立つ攪拌溶媒抽出溶液に移した。両ポリマーおよび薬物溶媒を、エマルジョン小滴から抽出溶液中に抽出し、微粒子を作製した。初めの抽出プロセスは2〜4時間に及んだ。微粒子を25μm篩い上で収集し、低温(<5℃)25%w/wエタノール溶液で濯いだ。微粒子を、窒素を使用して一晩中(およそ17時間)乾燥冷却した。次いで、微粒子を再スラリー溶液に移し、これは5〜10℃の激しく攪拌する25%w/wエタノール溶液から成り立つ。短い混合時間後(5〜15分)、再スラリー溶液および微粒子は、攪拌する25%w/wエタノール第二抽出溶液(微粒子の理論的グラムあたり第2抽出溶液0.2Lの容量でおよそ25℃)に移した。およそ6時間攪拌した該微粒子は、微粒子からの更なる溶媒除去を引き起こし得た。次いで、微粒子を25μm篩い上で収集し、周囲温度で25%w/wエタノール溶液で濯いだ。周囲の条件下で一晩中(およそ17時間)フード中で乾燥したこれらの微粒子は、篩って塊状の微粒子を取り除き、次いで保存のための冷凍器中に置いた。
【0101】
実施例3
ナルトレキソン微小球の1kgバッチは、以下のようにして調製した。ポリマー溶液を、75:25 DL PLGA(ポリ(ラクチド)−コ−グリコリド)を酢酸エチル(EtAc)中に溶解し、16.7%ポリマーおよび83.3%EtAcの溶液を形成することにより形成した。ナルトレキソン溶液は、ナルトレキソンベースをベンジルアルコール(BA)中に溶解し、30%無水ナルトレキソンベースおよび70%BAの溶液を形成することにより形成した。ポリマー溶液およびナルトレキソン溶液を共に混合し、エマルジョンの「有機」または「油」相であった薬物/ポリマー溶液を形成した。
【0102】
エマルジョン(乳化溶液)の「水性」または「連続」相を、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)およびEtAcを注射用水(WFI)中に溶解することによって調製した。有機相および水相は、第一スタティックミキサーで混合し得、水中油型エマルジョンを形成した。エマルジョンの小滴の大きさは、第一スタティックミキサーによる2つの相の流量を制御することによって決定した。
【0103】
部分的抽出工程では、該エマルジョンは、第一スタティックミキサーから流出し、第二スタティックミキサー中へ流れ込み、ここで該エマルジョンは、第二スタティックミキサーに入る一次抽出溶液と混合する。一次抽出溶液(およそ6℃での2.5%EtAcおよび97.5%WFI)は、第二スタティックミキサー中の部分的一次抽出工程の間に、エマルジョンの微小滴から溶媒抽出を開始した。
【0104】
第二スタティックミキサーの流出物(エマルジョンおよび一次抽出溶液の流れの組み合わせた)を、抽出溶液を含む抽出容器中に流入した。溶媒(BAおよびEtAc)は、この主要抽出工程中のエマルジョンの有機相から更に抽出し、主にポリマーおよび薬物から成る発生期の微粒子中で生じた。一次溶媒抽出工程は、およそ6時間続く。
【0105】
特別注文の振動性篩いを使用して、微粒子を収集し、窒素抽気によって真空乾燥した。収集の後および乾燥の前に、微粒子を、乳化剤(PVA)を取り除く25%エタノール溶液によって濯ぎ、微粒子の乾燥器への移動を促進することによって、収量を高める。
【0106】
溶媒レベルを更に減らすために、25%エタノールおよび再スラリー中の75%WFIの第二抽出工程中で、微粒子を再懸濁した。エタノールはBAおよびEtAcの更なる抽出を促進した。およそ4時間、第二溶媒抽出工程を抽出容器中で行った。収集/最終乾燥工程では、特別注文の篩いを使用して、微粒子を収集し、部分的に窒素抽気によって真空乾燥し得た。
【0107】
最終採取工程では、微粒子を、減菌した容器中に移し、バイアル中に充填するまで、−20℃の冷凍器中に保存した。好ましくは、バイアル中に充填する前に、保存された微粒子を、150ミクロンのスクリーンによって篩いにかけ、大きすぎる物質をいずれも取り除いた。
【0108】
上の方法によって調製した微粒子のいくつかのロットを、種々の期間の間、様々な気温で保存した。下の表3は、冷凍、冷却、室温下で25ヶ月まで保存したときの、それぞれのロットのXRPDによって決定された結晶性のパーセントを表す。それぞれのロットの結果は、時間にわたってそれぞれの区別の結晶性パーセントは一定のままである方法および論証の許容水準以内である。
【0109】
【表3】
【0110】
粉末X線回折
ナルトレキソン微粒子の21ロットは、上の実施例3に記載の過程にしたがって、理論的薬物負荷35%を有する微粒子を調製した。2.5°から40°2−シータの1秒間隔で0.02°/工程を使用するBruker D8 Advance XRDを使用するX線粉末回折(XRPD)によってそれぞれの21ロットを分析した。結晶性パーセントを非晶質ハロー(halo)のAUC減法によって決定し、結晶性AUCの合計AUCに対する比として計算した。結晶性のパーセントは、薬物負荷のパーセントとしてよりむしろ合計微粒子のパーセントとして報告する。ロットはおよそ35%の薬物負荷を含む。それゆえ、10.5%の結晶性は、30%の合計薬物負荷になるように計算する。
【0111】
ナルトレキソンの無水物、一水和物、ベンジルアルコール溶媒和物、およびエタノレート結晶多型形態に対して得られたX線粉末パターンを分析した。表4は、始めにそれぞれの形態を同定するために使用した、およそ2−シータ角度を示す。図39は1ロットに対するX線粉末パターンを含み、4つの形態を同定する。これらのデータは、4つの形態が微粒子中に存在することをはっきりと示す。
【0112】
【表4】
【0113】
表5は、21ロットの結晶性のパーセント(該プロセスにより作製した微粒子の合計重量の)および4つの多型形態のそれぞれの相対的パーセント分布を示す。これらのデータは、4つの多型形態の相対比は、合計結晶性に関わらず一般的に無矛盾であることを論証する。これらのデータは更に、ナルトレキソン薬物負荷の約55%以上が非晶質であることを示す。
【0114】
【表5A】
【0115】
その後、もっと包括的なデータ分析を、2-シータ角度および4多型の試料からVivitrex(登録商標)微小球までのおよびd-間隔を比較するBruker D8 Advance XRD 並びにEVAソフトウェアを使用して行った。この分析は、視覚的に観察された4つの視覚的に明白な同定ピークが、実は2つの多型(ベンジルアルコール溶媒和物およびエタノレート)からの同定ピークの2対であり、これらの多型のみが微小球中で同定可能であったことを明らかにした。上記のロットに加えて更なるロットに対するデータは、表5B中に示す。
【0116】
【表5B−1】
【0117】
【表5B−2】
【0118】
このプロセスは、「第一乾燥」に対する異なる乾燥時間を使用して繰り返した。それぞれの実験についての結晶性のパーセントは、以下の表および図38中で報告した。
【0119】
【表6】
【0120】
本発明の変更および変形は、本発明の前述の詳細な説明から、当業者に明らかである。このような変更および変形は、請求の範囲内に包含されることを意図する。
【0121】
本発明は、好ましい態様を参照して詳細に示し、記載してきたが、添付される特許請求の範囲により包含される本発明の範囲から逸脱することなく形態および細部における種々の変化がなされうることを当業者は理解する。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】図1Aは、アセトニトリル(双極性非プロトン性)から低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。図1Bは、アセトニトリル(双極性非プロトン性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。
【図2】図2Aは、ジメチルホルムアミド(双極性非プロトン性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。図2Bは、ジメチルホルムアミド(双極性非プロトン性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。
【図3】図3は、水(プロトン性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。
【図4】図4Aは、メタノール(プロトン性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。図4Bは、メタノール(プロトン性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。
【図5】図5Aは、エタノール(プロトン性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。図5Bは、エタノール(プロトン性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。
【図6】図6は、ベンジルアルコール(プロトン性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。
【図7】図7Aは、ジクロロメタン(ルイス酸性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。図7Bは、ジクロロメタン(ルイス酸性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。
【図8】図8Aは、アセトン(ルイス塩基性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。図8Bは、アセトン(ルイス塩基性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。
【図9】図9Aは、酢酸エチル(ルイス塩基性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。図9Bは、酢酸エチル(ルイス塩基性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。
【図10】図10Aは、メチルエチルケトン(ルイス塩基性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。図10Bは、メチルエチルケトン(ルイス塩基性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。
【図11】図11Aは、トルエン(芳香族性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。図11Bは、トルエン(芳香族性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。
【図12】図12Aは、ヘキサン(無極性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。図12Bは、ヘキサン(無極性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンの粉末X線回折(XRPD)パターンを示すグラフである。
【図13】図13Aは、アセトニトリル(双極性非プロトン性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。図13Bは、アセトニトリル(双極性非プロトン性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。
【図14】図14Aは、ジメチルホルムアミド(双極性非プロトン性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。図14Bは、ジメチルホルムアミド(双極性非プロトン性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。
【図15】図15は、水(プロトン性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。
【図16】図16Aは、メタノール(プロトン性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。図16Bは、メタノール(プロトン性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。
【図17】図17Aは、エタノール(プロトン性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。図17Bは、エタノール(プロトン性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。
【図18】図18は、ベンジルアルコール(プロトン性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。
【図19】図19Aは、ジクロロメタン(ルイス酸性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。図19Bは、ジクロロメタン(ルイス酸性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。
【図20】図20Aは、アセトン(ルイス塩基性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。図20Bは、アセトン(ルイス塩基性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。
【図21】図21Aは、酢酸エチル(ルイス塩基性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。図21Bは、酢酸エチル(ルイス塩基性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。
【図22】図22Aは、メチルエチルケトン(ルイス塩基性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。図22Bは、メチルエチルケトン(ルイス塩基性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。
【図23】図23Aは、トルエン(芳香族性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。図23Bは、トルエン(芳香族性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。
【図24】図24Aは、ヘキサン(無極性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。図24Bは、ヘキサン(無極性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのDSCを示すグラフである。
【図25】図25Aは、アセトニトリル(双極性非プロトン性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRを示すグラフである。図25Bは、アセトニトリル(双極性非プロトン性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRを示すグラフである。
【図26】図26Aは、ジメチルホルムアミド(双極性非プロトン性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRを示すグラフである。図26Bは、ジメチルホルムアミド(双極性非プロトン性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRを示すグラフである。
【図27】図27は、水(プロトン性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRを示すグラフである。
【図28】図28Aは、メタノール(プロトン性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRである。図28Bは、メタノール(プロトン性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRである。
【図29】図29Aは、エタノール(プロトン性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRである。図29Bは、エタノール(プロトン性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRである。
【図30】図30は、ベンジルアルコール (プロトン性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRである。
【図31】図31Aは、ジクロロメタン(ルイス酸性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRである。図31Bは、ジクロロメタン(ルイス酸性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRである。
【図32】図32Aは、アセトン(ルイス塩基性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRである。図32Bは、アセトン(ルイス塩基性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRである。
【図33】図33Aは、酢酸エチル(ルイス塩基性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRである。図33Bは、酢酸エチル(ルイス塩基性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRである。
【図34】図34Aは、メチルエチルケトン(ルイス塩基性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRである。図34Bは、メチルエチルケトン(ルイス塩基性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRである。
【図35】図35Aは、トルエン(芳香族性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRである。図35Bは、トルエン(芳香族性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRである。
【図36】図36Aは、ヘキサン(無極性)を用いて低速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRである。図36Bは、ヘキサン(無極性)を用いて高速冷却により形成された結晶性ナルトレキソンのIR-ATRである。
【図37】図37は、ナルトレキソンのエタノレート(クラスレート)形態のDSCである。
【図38】図38は、処理工程の関数としての、本発明のナルトレキソン含有微粒子組成物の結晶化度の2θの大きさを示すグラフである。
【図39】図39は、本発明の代表的な組成物の2θの大きさにおけるXRPDである。
【図40】図40は、表5Aに報告した平均多型体分布を示す棒グラフである。
【図41】図41Aは、インビトロ薬物放出に対する本発明の組成物の結晶化度の割合の効果を示すグラフである。図41Bは、インビボ薬物放出に対する本発明の組成物の結晶化度の割合の効果を示すグラフである。
【図42】図42は、非晶質ナルトレキソンのDSCである。
【図43】図43は、ナルトレキソン塩基無水物のXRPDパターンである。
【図44】図44は、ナルトレキソン一水和物のXRPDパターンである。
【図45】図45は、ナルトレキソンベンジルアルコール溶媒和物のXRPDパターンである。
【図46】図46は、ナルトレキソンエタノレートのXRPDパターンである。
【図47】図47は、制御された室温での微粒子不純物生成に対する結晶化度の効果を示すグラフである。
【図48】図48は、制御された室温での微粒子崩壊に対する結晶化度の効果を示すグラフである。
【図49】図49Aおよび49Bは、インビトロおよびインビボ薬物放出に対する結晶化度の効果を示す。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
約9°(2θ)に特性ピークを有する粉末X線回折に特徴付けられる、ナルトレキソンエタノレートの多型形態。
【請求項2】
図5Aの粉末X線回折パターンによりさらに特徴付けられる、請求項1記載の多型形態。
【請求項3】
図17AのDSCパターンによりさらに特徴付けられる、請求項1記載の多型形態。
【請求項4】
図29AのIR−ATRによりさらに特徴付けられる、請求項1記載の多型形態。
【請求項5】
図5Bの粉末X線回折パターンによりさらに特徴付けられる、請求項1記載の多型形態。
【請求項6】
図17BのDSCパターンによりさらに特徴付けられる、請求項1記載の多型形態。
【請求項7】
図29BのIR−ATRによりさらに特徴付けられる、請求項1記載の多型形態。
【請求項8】
ナルトレキソンベンジルアルコール溶媒和物、ナルトレキソン一水和物および無水ナルトレキソンからなる群より選択されるナルトレキソンの多型形態が実質的に非存在である、請求項1記載の多型形態。
【請求項9】
ナルトレキソンベンジルアルコール溶媒和物が実質的に非存在である、請求項1記載の多型形態。
【請求項10】
実質的に純粋である、請求項1記載の多型形態。
【請求項11】
1種以上の異なる多型形態および/または非結晶性ナルトレキソンと混合された、請求項1記載の多型形態。
【請求項12】
非結晶性ナルトレキソンが溶解したナルトレキソンである、請求項11記載の多型形態。
【請求項13】
約5〜6°(2θ)に特性ピークを有する粉末X線回折に特徴付けられる、ナルトレキソンベンジルアルコール溶媒和物の多型形態。
【請求項14】
図6の粉末X線回折パターンにより特徴付けられる、請求項13記載の多型形態。
【請求項15】
図18のDSCパターンによりさらに特徴付けられる、請求項13記載の多型形態。
【請求項16】
図30のIR−ATRによりさらに特徴付けられる、請求項13記載の多型形態。
【請求項17】
図2の粉末X線回折パターンにより特徴付けられる、ナルトレキソンジメチルホルムアミド溶媒和物の多型形態。
【請求項18】
図14のDSCパターンによりさらに特徴付けられる、請求項17記載の多型形態。
【請求項19】
図26のIR−ATRによりさらに特徴付けられる、請求項17記載の多型形態。
【請求項20】
図4の粉末X線回折パターンにより特徴付けられる、ナルトレキソンメタノール溶媒和物の多型形態。
【請求項21】
図16のDSCパターンによりさらに特徴付けられる、請求項20記載の多型形態。
【請求項22】
図28のIR−ATRによりさらに特徴付けられる、請求項20記載の多型形態。
【請求項23】
図7の粉末X線回折パターンにより特徴付けられる、ナルトレキソンジクロロメタンの多型形態。
【請求項24】
図19のDSCパターンによりさらに特徴付けられる、請求項23記載の多型形態。
【請求項25】
図31のIR−ATRによりさらに特徴付けられる、請求項23記載の多型形態。
【請求項26】
図8の粉末X線回折パターンにより特徴付けられる、ナルトレキソンアセトン溶媒和物の多型形態。
【請求項27】
図20のDSCパターンによりさらに特徴付けられる、請求項26記載の多型形態。
【請求項28】
図32のIR−ATRによりさらに特徴付けられる、請求項26記載の多型形態。
【請求項29】
図9の粉末X線回折パターンにより特徴付けられる、ナルトレキソン酢酸エチル溶媒和物の多型形態。
【請求項30】
図21のDSCパターンによりさらに特徴付けられる、請求項29記載の多型形態。
【請求項31】
図33のIR−ATRによりさらに特徴付けられる、請求項29記載の多型形態。
【請求項32】
図11の粉末X線回折パターンにより特徴付けられる、ナルトレキソントルエン溶媒和物の多型形態。
【請求項33】
図23のDSCパターンによりさらに特徴付けられる、請求項32記載の多型形態。
【請求項34】
図35のIR−ATRによりさらに特徴付けられる、請求項32記載の多型形態。
【請求項35】
図12の粉末X線回折パターンにより特徴付けられる、ナルトレキソンヘキサン溶媒和物の多型形態。
【請求項36】
図24のDSCパターンによりさらに特徴付けられる、請求項35記載の多型形態。
【請求項37】
図36のIR−ATRによりさらに特徴付けられる、請求項35記載の多型形態。
【請求項38】
(i)ナルトレキソン塩基無水物またはナルトレキソン塩を、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、水、メタノール、エタノール、ベンジルアルコール、ジクロロメタン、アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエンおよびヘキサンならびにその組合せからなる群より選択される溶媒または溶媒系と混合すること;(ii)混合物を加熱し、ほぼ飽和した溶液を調製すること;(iii)ほぼ飽和した溶液を、室温まで1〜2℃/分以下の速度で冷却し、それにより多型形態を形成させること;および(iv)多型形態を回収することを含む、ナルトレキソンの多型形態の作製方法。
【請求項39】
多型形態が、図1A、2A、4A、5A、7A、8A、9A、10A、11Aおよび12Aからなる群より選択される粉末X線回折(2θ)パターンによって特徴付けられる、請求項38記載の方法。
【請求項40】
多型形態が、図13A、14A、16A、17A、19A、20A、21A、22A、23Aおよび24Aからなる群より選択されるDSCパターンにより特徴付けられる、請求項39記載の方法。
【請求項41】
多型形態が、図25A、26A、28A、29A、31A、32A、33A、34A、35Aおよび36Aからなる群より選択されるIR−ATRにより特徴付けられる、請求項39記載の方法。
【請求項42】
(i)ナルトレキソン塩基無水物またはナルトレキソン塩を、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、水、メタノール、エタノール、ベンジルアルコール、ジクロロメタン、アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエンおよびヘキサンならびにその組合せからなる群より選択される溶媒または溶媒系と混合し、混合物を形成すること;(ii)混合物を加熱し、ほぼ飽和した溶液を調製すること;(iii)ほぼ飽和した溶液を、できるだけ急速に室温まで冷却し、それにより多型形態を形成させること;および(iv) 多型形態を回収することを含む、ナルトレキソンの多型形態の作製方法。
【請求項43】
多型形態が、図1B、2B、3、4B、5B、6、7B、8B、9B、10B、11Bおよび12Bからなる群より選択される粉末X線回折パターンにより特徴付けられる、請求項42記載の方法。
【請求項44】
多型形態が、図13B、14B、15、16B、17B、18、19B、20B、21B、22B、23Bおよび24Bからなる群より選択されるDSCパターンにより特徴付けられる、請求項42記載の方法。
【請求項45】
多型形態が、図25B、26B、27、28B、29B、30、31B、32B、33B、34B、35Bおよび36Bからなる群より選択されるIR−ATRにより特徴付けられる、請求項42記載の方法。
【請求項46】
非結晶性状態で約45%未満の結晶化度により特徴付けられるナルトレキソンを少なくとも35重量%含有する組成物。
【請求項47】
全ナルトレキソンの少なくとも約10重量%が結晶性である請求項1記載のナルトレキソンエタノレート含有する組成物。
【請求項48】
ナルトレキソンの少なくとも約20%重量%が結晶性である、請求項47記載の組成物。
【請求項49】
ナルトレキソンの少なくとも約30%重量%が結晶性である、請求項47記載の組成物。
【請求項50】
ナルトレキソンの約30〜70%重量%が結晶性である、請求項47記載の組成物。
【請求項51】
残りのナルトレキソンが非晶質ナルトレキソンを含有する、請求項47記載の組成物。
【請求項52】
残りのナルトレキソンが、溶解したナルトレキソンを含有する、請求項47記載の組成物。
【請求項53】
結晶性ナルトレキソンの少なくとも約40%がナルトレキソンエタノレートである、請求項47記載の組成物。
【請求項54】
結晶性ナルトレキソンには、ナルトレキソンベンジルアルコール溶媒和物、ナルトレキソン一水和物および無水ナルトレキソンからなる群より選択されるナルトレキソンの多型形態が実質的に非存在である、請求項47記載の組成物。
【請求項55】
ナルトレキソンベンジルアルコール溶媒和物、ナルトレキソン一水和物および無水ナルトレキソンからなる群より選択される1つまたは2つの多型形態をさらに含有する、請求項47記載の組成物。
【請求項56】
薬学的に許容され得る担体をさらに含有する、請求項47記載の組成物。
【請求項57】
長時間放出製剤である、請求項56記載の組成物。
【請求項58】
薬学的に許容され得る担体がポリ−ラクチド−コ−グリコリドを含有する、請求項57記載の組成物。
【請求項59】
多型形態が製剤Aではない、請求項56記載の組成物。
【請求項60】
多型形態が、長時間放出製剤の製造プロセス中に作製される、請求項57記載の組成物。
【請求項1】
約9°(2θ)に特性ピークを有する粉末X線回折に特徴付けられる、ナルトレキソンエタノレートの多型形態。
【請求項2】
図5Aの粉末X線回折パターンによりさらに特徴付けられる、請求項1記載の多型形態。
【請求項3】
図17AのDSCパターンによりさらに特徴付けられる、請求項1記載の多型形態。
【請求項4】
図29AのIR−ATRによりさらに特徴付けられる、請求項1記載の多型形態。
【請求項5】
図5Bの粉末X線回折パターンによりさらに特徴付けられる、請求項1記載の多型形態。
【請求項6】
図17BのDSCパターンによりさらに特徴付けられる、請求項1記載の多型形態。
【請求項7】
図29BのIR−ATRによりさらに特徴付けられる、請求項1記載の多型形態。
【請求項8】
ナルトレキソンベンジルアルコール溶媒和物、ナルトレキソン一水和物および無水ナルトレキソンからなる群より選択されるナルトレキソンの多型形態が実質的に非存在である、請求項1記載の多型形態。
【請求項9】
ナルトレキソンベンジルアルコール溶媒和物が実質的に非存在である、請求項1記載の多型形態。
【請求項10】
実質的に純粋である、請求項1記載の多型形態。
【請求項11】
1種以上の異なる多型形態および/または非結晶性ナルトレキソンと混合された、請求項1記載の多型形態。
【請求項12】
非結晶性ナルトレキソンが溶解したナルトレキソンである、請求項11記載の多型形態。
【請求項13】
約5〜6°(2θ)に特性ピークを有する粉末X線回折に特徴付けられる、ナルトレキソンベンジルアルコール溶媒和物の多型形態。
【請求項14】
図6の粉末X線回折パターンにより特徴付けられる、請求項13記載の多型形態。
【請求項15】
図18のDSCパターンによりさらに特徴付けられる、請求項13記載の多型形態。
【請求項16】
図30のIR−ATRによりさらに特徴付けられる、請求項13記載の多型形態。
【請求項17】
図2の粉末X線回折パターンにより特徴付けられる、ナルトレキソンジメチルホルムアミド溶媒和物の多型形態。
【請求項18】
図14のDSCパターンによりさらに特徴付けられる、請求項17記載の多型形態。
【請求項19】
図26のIR−ATRによりさらに特徴付けられる、請求項17記載の多型形態。
【請求項20】
図4の粉末X線回折パターンにより特徴付けられる、ナルトレキソンメタノール溶媒和物の多型形態。
【請求項21】
図16のDSCパターンによりさらに特徴付けられる、請求項20記載の多型形態。
【請求項22】
図28のIR−ATRによりさらに特徴付けられる、請求項20記載の多型形態。
【請求項23】
図7の粉末X線回折パターンにより特徴付けられる、ナルトレキソンジクロロメタンの多型形態。
【請求項24】
図19のDSCパターンによりさらに特徴付けられる、請求項23記載の多型形態。
【請求項25】
図31のIR−ATRによりさらに特徴付けられる、請求項23記載の多型形態。
【請求項26】
図8の粉末X線回折パターンにより特徴付けられる、ナルトレキソンアセトン溶媒和物の多型形態。
【請求項27】
図20のDSCパターンによりさらに特徴付けられる、請求項26記載の多型形態。
【請求項28】
図32のIR−ATRによりさらに特徴付けられる、請求項26記載の多型形態。
【請求項29】
図9の粉末X線回折パターンにより特徴付けられる、ナルトレキソン酢酸エチル溶媒和物の多型形態。
【請求項30】
図21のDSCパターンによりさらに特徴付けられる、請求項29記載の多型形態。
【請求項31】
図33のIR−ATRによりさらに特徴付けられる、請求項29記載の多型形態。
【請求項32】
図11の粉末X線回折パターンにより特徴付けられる、ナルトレキソントルエン溶媒和物の多型形態。
【請求項33】
図23のDSCパターンによりさらに特徴付けられる、請求項32記載の多型形態。
【請求項34】
図35のIR−ATRによりさらに特徴付けられる、請求項32記載の多型形態。
【請求項35】
図12の粉末X線回折パターンにより特徴付けられる、ナルトレキソンヘキサン溶媒和物の多型形態。
【請求項36】
図24のDSCパターンによりさらに特徴付けられる、請求項35記載の多型形態。
【請求項37】
図36のIR−ATRによりさらに特徴付けられる、請求項35記載の多型形態。
【請求項38】
(i)ナルトレキソン塩基無水物またはナルトレキソン塩を、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、水、メタノール、エタノール、ベンジルアルコール、ジクロロメタン、アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエンおよびヘキサンならびにその組合せからなる群より選択される溶媒または溶媒系と混合すること;(ii)混合物を加熱し、ほぼ飽和した溶液を調製すること;(iii)ほぼ飽和した溶液を、室温まで1〜2℃/分以下の速度で冷却し、それにより多型形態を形成させること;および(iv)多型形態を回収することを含む、ナルトレキソンの多型形態の作製方法。
【請求項39】
多型形態が、図1A、2A、4A、5A、7A、8A、9A、10A、11Aおよび12Aからなる群より選択される粉末X線回折(2θ)パターンによって特徴付けられる、請求項38記載の方法。
【請求項40】
多型形態が、図13A、14A、16A、17A、19A、20A、21A、22A、23Aおよび24Aからなる群より選択されるDSCパターンにより特徴付けられる、請求項39記載の方法。
【請求項41】
多型形態が、図25A、26A、28A、29A、31A、32A、33A、34A、35Aおよび36Aからなる群より選択されるIR−ATRにより特徴付けられる、請求項39記載の方法。
【請求項42】
(i)ナルトレキソン塩基無水物またはナルトレキソン塩を、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、水、メタノール、エタノール、ベンジルアルコール、ジクロロメタン、アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、トルエンおよびヘキサンならびにその組合せからなる群より選択される溶媒または溶媒系と混合し、混合物を形成すること;(ii)混合物を加熱し、ほぼ飽和した溶液を調製すること;(iii)ほぼ飽和した溶液を、できるだけ急速に室温まで冷却し、それにより多型形態を形成させること;および(iv) 多型形態を回収することを含む、ナルトレキソンの多型形態の作製方法。
【請求項43】
多型形態が、図1B、2B、3、4B、5B、6、7B、8B、9B、10B、11Bおよび12Bからなる群より選択される粉末X線回折パターンにより特徴付けられる、請求項42記載の方法。
【請求項44】
多型形態が、図13B、14B、15、16B、17B、18、19B、20B、21B、22B、23Bおよび24Bからなる群より選択されるDSCパターンにより特徴付けられる、請求項42記載の方法。
【請求項45】
多型形態が、図25B、26B、27、28B、29B、30、31B、32B、33B、34B、35Bおよび36Bからなる群より選択されるIR−ATRにより特徴付けられる、請求項42記載の方法。
【請求項46】
非結晶性状態で約45%未満の結晶化度により特徴付けられるナルトレキソンを少なくとも35重量%含有する組成物。
【請求項47】
全ナルトレキソンの少なくとも約10重量%が結晶性である請求項1記載のナルトレキソンエタノレート含有する組成物。
【請求項48】
ナルトレキソンの少なくとも約20%重量%が結晶性である、請求項47記載の組成物。
【請求項49】
ナルトレキソンの少なくとも約30%重量%が結晶性である、請求項47記載の組成物。
【請求項50】
ナルトレキソンの約30〜70%重量%が結晶性である、請求項47記載の組成物。
【請求項51】
残りのナルトレキソンが非晶質ナルトレキソンを含有する、請求項47記載の組成物。
【請求項52】
残りのナルトレキソンが、溶解したナルトレキソンを含有する、請求項47記載の組成物。
【請求項53】
結晶性ナルトレキソンの少なくとも約40%がナルトレキソンエタノレートである、請求項47記載の組成物。
【請求項54】
結晶性ナルトレキソンには、ナルトレキソンベンジルアルコール溶媒和物、ナルトレキソン一水和物および無水ナルトレキソンからなる群より選択されるナルトレキソンの多型形態が実質的に非存在である、請求項47記載の組成物。
【請求項55】
ナルトレキソンベンジルアルコール溶媒和物、ナルトレキソン一水和物および無水ナルトレキソンからなる群より選択される1つまたは2つの多型形態をさらに含有する、請求項47記載の組成物。
【請求項56】
薬学的に許容され得る担体をさらに含有する、請求項47記載の組成物。
【請求項57】
長時間放出製剤である、請求項56記載の組成物。
【請求項58】
薬学的に許容され得る担体がポリ−ラクチド−コ−グリコリドを含有する、請求項57記載の組成物。
【請求項59】
多型形態が製剤Aではない、請求項56記載の組成物。
【請求項60】
多型形態が、長時間放出製剤の製造プロセス中に作製される、請求項57記載の組成物。
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図20A】
【図20B】
【図21A】
【図21B】
【図22A】
【図22B】
【図23A】
【図23B】
【図24A】
【図24B】
【図25A】
【図25B】
【図26A】
【図26B】
【図27】
【図28A】
【図28B】
【図29A】
【図29B】
【図30】
【図31A】
【図31B】
【図32A】
【図32B】
【図33A】
【図33B】
【図34A】
【図34B】
【図35A】
【図35B】
【図36A】
【図36B】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41A】
【図41B】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49A】
【図49B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図20A】
【図20B】
【図21A】
【図21B】
【図22A】
【図22B】
【図23A】
【図23B】
【図24A】
【図24B】
【図25A】
【図25B】
【図26A】
【図26B】
【図27】
【図28A】
【図28B】
【図29A】
【図29B】
【図30】
【図31A】
【図31B】
【図32A】
【図32B】
【図33A】
【図33B】
【図34A】
【図34B】
【図35A】
【図35B】
【図36A】
【図36B】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41A】
【図41B】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49A】
【図49B】
【公表番号】特表2007−526217(P2007−526217A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515128(P2006−515128)
【出願日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/017496
【国際公開番号】WO2004/108084
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(506350023)アルカーメス,インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/017496
【国際公開番号】WO2004/108084
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(506350023)アルカーメス,インコーポレイテッド (12)
【Fターム(参考)】
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