説明

ナースコールシステムおよび呼出音制御装置

【課題】電話帳への煩雑な登録作業を行うことなく、携帯用ナースコール親機においても呼出種別に応じて呼出音を区別して出力することができるようにする。
【解決手段】IP携帯電話10において、電話帳記憶部に登録した複数の所定の電話番号に対して異なる呼出音を設定しておく。ナースコール子機から呼び出しが行われたときは、制御機5から出力される呼出信号に含まれる呼出種別に応じた所定の電話番号をIPアダプタ7にて特定し、特定した所定の電話番号を発信元として含む呼出信号をSIPサーバ8からIP携帯電話10に送信することにより、IP携帯電話10において、呼出信号に含まれる所定の電話番号が発信元として認識され、電話帳記憶部を通じて当該発信元の電話番号に対して設定された呼出音が出力されるようにすることで、呼出種別の数と同じだけ所定の電話番号をIP携帯電話10の電話帳に登録するだけで済むようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナースコールシステムおよび呼出音制御装置に関し、特に、患者が呼出ボタンの押下によって看護師を呼び出し、呼び出された看護師が応答のための操作を行うことによって、患者と看護師とが離れた場所から通話を行うことができるように成されたナースコールシステムに用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、病院や介護施設などで使われるナースコールシステムは、患者や被介護者(以下、単に患者という)が医師や看護師、介護師(以下、単に看護師という)のサポートを必要とする際に、患者がナースコール子機の呼出ボタン等を押下することによって看護師を呼び出すことができるように成されたシステムである。
【0003】
多くのナースコールシステムでは、ナースセンタに設置されたナースコール親機への呼び出しを行うが、PBX(Private Branch Exchange)を介して看護師が携帯するPHS(Personal Handyphone System)端末への呼び出しを行うナースコールシステムも提供されている。近年では、SIP(Session Initiation Protocol)サーバを備え、IP(Internet Protocol)電話への呼び出しを行うナースコールシステムも提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
特許文献1に記載のナースコールシステムでは、ナースコール親機および携帯用ナースコール親機(IP電話)に、双方の間でIP通信を可能とするIP送受信回路を設けている。また、ナースコール親機に、ナースコール子機からの呼び出しをIP電話に通知する機能と、ナースコール子機とIP電話との間でIP通信を可能とする機能とを設けている。また、ナースコール親機とIP電話との通信を制御するIP交換機をナースコール親機にLAN接続している。
【0005】
また、特許文献2に記載のナースコールシステムは、室内の患者から呼び出しおよび通話を行うナースコール子機と、ナースコール子機からの呼び出し(呼出元、呼出先、呼出時間等の呼出履歴)を表示し応答通話を行うナースコール親機および携帯用ナースコール親機(IP電話)とで構成する。そして、ナースコール親機およびIP電話を、内線同士を接続するSIPサーバにより相互に接続している。
【0006】
これらの特許文献1,2を含む従来のナースコールシステムでは、患者がナースコール子機の呼出ボタンを押下して呼び出しを行うと、呼び出しが行われたことがナースコール親機や携帯用ナースコール親機(PHS端末またはIP電話)にて報知される。これに応じて看護師は、ナースコール親機のハンドセットや、自身が携帯するPHS端末またはIP電話により応答する。
【0007】
ナースコール親機や携帯用ナースコール親機に対する呼び出しの報知は、モニタ画面への表示と呼出音と鳴動とによって行われる。例えば、ナースコール子機から呼び出しが行われると、ナースコール親機や携帯用ナースコール親機にて呼出音が鳴るとともに、呼び出しを行った患者の氏名、部屋番号などの患者情報がモニタ画面に表示される。患者情報に加えて、一般呼出/緊急呼出/ME呼出などの呼出種別を表示するように成されたシステムも存在する。なお、ME呼出は、ナースコール子機に接続された医療機器(Medical Equipment)において患者の異常を検出したときに行われる呼び出しである。
【0008】
ナースコール子機からの呼び出しがあったときに、ナースコール親機や携帯用ナースコール親機のモニタ画面に呼出種別を表示するナースコールシステムによれば、看護師が呼び出しの緊急度を把握して、緊急度の高い呼び出しに対して迅速に応答するなどの適切な対応をとることができる。
【0009】
ところが、看護師が患者に対する看護中であったり処置の準備中であったりして、モニタ画面の表示をすぐに見ることができない場合がある。また、看護師が携帯用ナースコール親機をポケットに入れて所持している場合などにも、モニタ画面の表示をすぐに見ることができない。この場合、看護師は呼び出しの緊急度を即座に把握することができないという問題があった。
【0010】
なお、ナースコール子機から出力される呼出信号の種別に応じて、ナースコール親機または携帯用ナースコール親機から呼出音を区別して出力できるようにしたナースコールシステムが提案されている(例えば、特許文献3,4参照)。特許文献3に記載のナースコールシステムでは、ナースコール子機から出力される通常呼出信号または試験呼出信号に応じて、ナースコール親機から通常呼出音または試験呼出音を区別して出力できるようにしている。
【0011】
また、特許文献4に記載の呼出システムでは、ナースコール受信機(携帯用ナースコール親機)の電話帳において、呼出種別と子機番号とを組み合わせた電話番号を呼出種別ごとにグループ分けして登録し、各グループ(呼出種別)ごとに鳴動パターン(バイブレーションや呼出音のパターン)を設定するようにしている。この技術によれば、看護師は鳴動パターンにより呼び出しの緊急度を把握することができる。
【0012】
しかしながら、特許文献3のナースコールシステムは、ナースコール親機において呼出種別に応じて呼出音を切り替えるものであり、携帯用ナースコール親機において呼出種別に応じて呼出音を区別して出力することはできない。
【0013】
一方、特許文献4の呼出システムでは、携帯用ナースコール親機においても呼出種別に応じた呼出音を出力することができる。しかし、携帯用ナースコール親機において、ナースコール子機ごとに呼出種別と子機番号とを組み合わせた電話番号を電話帳に登録しなければならない。そのため、ナースコール子機の数が多いときには電話帳へ登録すべき電話番号の数が多くなり、その登録作業が煩雑になるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2010−200021号公報
【特許文献2】特開2010−232758号公報
【特許文献3】特開2007−274415号公報
【特許文献4】特開2010−263294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、PHS端末やIP電話などの携帯用ナースコール親機においても、電話帳への煩雑な登録作業を行うことなく、ナースコール子機からの呼出種別に応じて呼出音を区別して出力することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記した課題を解決するために、本発明のナースコールシステムでは、携帯用ナースコール親機において、電話帳記憶部に記憶されている複数の所定の電話番号に対して異なる呼出音を設定しておく。そして、ナースコール子機から呼び出しが行われたときに、呼出信号に含まれる呼出種別の情報をもとに、当該呼出種別に応じた所定の電話番号を特定し、当該所定の電話番号を発信元として含む呼出信号を携帯用ナースコール親機に供給するようにする。
【発明の効果】
【0017】
上記のように構成した本発明によれば、ナースコール子機から呼出信号が出力されたときに、その呼出信号が、呼出種別から特定された所定の電話番号を発信元として含む呼出信号に変換されて携帯用ナースコール親機に供給される。携帯用ナースコール親機では、電話帳記憶部に記憶された複数の所定の電話番号毎に異なる呼出音が設定されているため、呼出信号に発信元として含まれる所定の電話番号に対して設定された呼出音が出力されることになる。
【0018】
したがって、携帯用ナースコール親機において呼出音を区別して出力するために行う電話帳への登録作業が、呼出種別の数と同じだけ所定の電話番号を登録するだけの作業で良くなる。これにより、電話帳への煩雑な登録作業を行うことなく、携帯用ナースコール親機においてもナースコール子機からの呼出種別に応じて呼出音を区別して出力することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態によるナースコールシステムの全体構成例を示す図である。
【図2】本実施形態によるIPアダプタの機能構成例を示す図である。
【図3】本実施形態によるIP携帯電話の機能構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態によるナースコールシステムの全体構成例を示す図である。図1に示すように、本実施形態のナースコールシステムは、ハンド形子機1、医療機器2、壁埋込形子機3、廊下灯4、制御機5、ナースコール親機6、IPアダプタ7、SIPサーバ8、無線送受信機9およびIP携帯電話10を備えて構成されている。なお、ハンド形子機1、医療機器2および壁埋込形子機3が特許請求の範囲のナースコール子機に相当し、IP携帯電話10が特許請求の範囲の携帯用ナースコール親機に相当する。
【0021】
ハンド形子機1は、各患者のベッド脇に設置され、看護師の一般呼出を指示するための一般呼出ボタン、緊急呼出を指示するための緊急呼出ボタンを備えている。患者が必要に応じて何れかの呼出ボタンを押下すると、ハンド形子機1は、押下された呼出ボタンに対応する呼出種別の情報を含む呼出信号を出力する。例えば、患者が一般呼出ボタンを押下すると、ハンド形子機1は、一般呼出であることを示す呼出種別の情報を含む呼出信号を出力する。
【0022】
医療機器2は、人工呼吸器または心電計などの生体モニタである。医用電子機器2は、患者の状態が異常と判断された場合(例えば、人工呼吸器または心電計などで異常値が測定された場合など)に、ME呼出であることを示す呼出種別の情報を含む呼出信号を出力する。
【0023】
壁埋込形子機3は、病室の各ベッドサイドの壁に埋め込み設置される。この壁埋込形子機3は、ハンド形子機1および医療機器2が接続される接続端子を備えている。また、壁埋込形子機3は、廊下灯4に接続されている。壁埋込形子機3は、ハンド形子機1または医療機器2から呼出信号を受けると、呼出元の識別情報(例えば、壁埋込形子機3の接続端子番号)および呼出種別の情報を含む呼出信号を廊下灯4に出力する。
【0024】
廊下灯4は、各病室に設置される。廊下灯4は、複数の壁埋込形子機3が接続される複数の入力ポートを備え、どの入力ポートから呼出信号を受けたかに応じて、呼出信号の供給元である壁埋込形子機3を示す情報(例えば、ベッド番号)を特定する。そして、廊下灯4は、壁埋込形子機3の接続端子番号およびベッド番号に廊下灯4の識別情報(例えば、部屋番号)を加えて呼出元であるナースコール子機の識別情報を生成し、当該識別情報および呼出種別の情報を含む呼出信号を制御機5に出力する。
【0025】
制御機5は、廊下灯4とナースコール親機6との間に接続され、廊下灯4から供給された呼出信号をナースコール親機6に出力する。また、制御機5にはIPアダプタ7も接続されている。制御機5は、廊下灯4から呼出信号が供給されたときに、その呼出信号に含まれているナースコール子機の識別情報および呼出種別の情報に加えて、呼出先のIP携帯電話10の識別情報を含む呼出信号を生成してIPアダプタ7に出力する。
【0026】
ナースコール親機6は、ナースセンタに設置されている。このナースコール親機6は、壁埋込形子機3を識別するための子機識別情報(部屋番号およびベッド番号)と、その壁埋込形子機3があるベッドを使用している患者の情報(氏名、年齢など)とを対応付けた患者テーブルを図示しないメモリに保持している。また、ナースコール親機6は、上述した子機識別情報と、その子機識別情報に対応する患者の担当看護師が所持するIP携帯電話10の識別情報である電話番号情報とを対応付けた端末テーブルをメモリに保持している。
【0027】
ナースコール親機6は、制御機5から呼出信号を入力すると、看護師の呼び出しを行うべく所定の呼出音をスピーカから出力する。また、呼出信号に含まれるナースコール子機の識別情報に基づき患者テーブルを参照して患者情報を特定し、当該患者情報を部屋番号やベッド番号、呼出種別と共にモニタ画面に表示する。
【0028】
また、ナースコール親機6は、制御機5から呼出信号を入力すると、その呼出信号に含まれるナースコール子機の識別情報に基づき端末テーブルを参照し、担当の看護師が所持するIP携帯電話10の電話番号情報を特定し、当該電話番号情報を制御機5に通知する。この通知を受けた制御機5は、上述のように、呼出元であるナースコール子機の識別情報および呼出種別の情報に加えて、呼出先であるIP携帯電話10の電話番号情報を含む呼出信号を生成してIPアダプタ7に出力する。
【0029】
IPアダプタ7は、本発明の呼出音制御装置に相当するものであり、本発明の呼出信号変換部に相当する機能を備えている。すなわち、IPアダプタ7は、制御機5から呼出信号を入力し、当該呼出信号に含まれる呼出種別に応じた所定の電話番号を特定して、当該特定した所定の電話番号を発信元として含む呼出信号を出力する。
【0030】
具体的には、IPアダプタ7は、呼出種別と所定の電話番号とを対応付けた番号テーブルを図示しないメモリに保持している。IPアダプタ7はこの番号テーブルを利用して、制御機5から入力される呼出信号に含まれるナースコール子機の識別情報を、同じく呼出信号に含まれる呼出種別に応じた所定の電話番号に変換する。そして、当該変換した所定の電話番号と、呼出先のIP携帯電話10の電話番号情報とを含む呼出信号をSIPサーバ8に出力する。
【0031】
図2は、本実施形態によるIPアダプタ7の機能構成例を示す図である。図2に示すように、IPアダプタ7は、その機能構成として、呼出信号入力部7aと、番号テーブル記憶部7bと、電話番号特定部7cと、呼出信号出力部7dとを備えている。呼出信号入力部7aは、呼出元であるナースコール子機の識別情報および呼出種別の情報と、呼出先であるIP携帯電話10の電話番号情報とを含む呼出信号を制御機5から入力する。
【0032】
番号テーブル記憶部7bは、呼出種別と所定の電話番号とを対応付けた番号テーブルを記憶している。電話番号特定部7cは、番号テーブル記憶部7bに記憶されている番号テーブルを参照して、呼出信号入力部7aにより入力された呼出信号に含まれる呼出種別に応じた所定の電話番号を特定する。呼出信号出力部7dは、電話番号特定部7cにより特定された所定の電話番号と、呼出信号入力部7aにより入力された呼出信号に含まれる呼出先のIP携帯電話10の電話番号情報とを含む呼出信号をSIPサーバ8に出力する。
【0033】
SIPサーバ8は、本発明の呼出信号送信部に相当する機能を備えており、IPアダプタ7より出力された呼出信号をIP携帯電話10に送信する。具体的には、SIPサーバ8は、IP携帯電話10と通信するための無線送受信機9に接続されている。SIPサーバ8は、IPアダプタ7から呼出信号を入力すると、無線送受信機9を介して、当該呼出信号に含まれる電話番号情報を利用して呼出先のIP携帯電話10に架電し、当該呼出信号に含まれる所定の電話番号を発信元として担当の看護師の呼び出しを行う。
【0034】
IP携帯電話10は、複数の所定の電話番号を電話帳として記憶する電話帳記憶部を備えている。また、IP携帯電話10は、複数の所定の電話番号に対して異なる呼出音を設定する機能を備えている。IP携帯電話10を所持する看護師は、IP携帯電話10の図示しない操作部を操作して、IPアダプタ7の番号テーブルに記憶されている複数の所定の電話番号を電話帳記憶部に登録するとともに、登録した各電話番号に対して異なる呼出音を設定しておく。
【0035】
IP携帯電話10は、SIPサーバ8から所定の電話番号を発信元とする呼出信号を受信したときに、当該呼出信号に発信元として含まれる所定の電話番号と同じ電話番号を電話帳記憶部から検索し、検索した電話番号に対して設定されている呼出音を出力する。
【0036】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、IP携帯電話10において、電話帳記憶部に複数の所定の電話番号を登録し、各電話番号に対して異なる呼出音を設定しておく。ナースコール子機から呼び出しが行われたときは、IPアダプタ7において、制御機5から出力される呼出信号に含まれる呼出種別の情報をもとに、当該呼出種別に応じた所定の電話番号を特定する。そして、特定した所定の電話番号を発信元として含む呼出信号をSIPサーバ8からIP携帯電話10に送信する。
【0037】
このように構成した本実施形態によれば、ナースコール子機から呼出信号が出力されたときに、その呼出信号が、呼出種別から特定された所定の電話番号を発信元として含む呼出信号に変換されてIP携帯電話10に供給される。これにより、IP携帯電話10では、その呼出信号に含まれる所定の電話番号を発信元として認識し、電話帳記憶部を通じて当該発信元の電話番号に対して設定された呼出音が出力されることになる。したがって、IP携帯電話10において呼出音を区別して出力するために行う電話帳記憶部への登録作業が、呼出種別の数と同じだけ所定の電話番号を登録するだけの作業で良くなる。これにより、電話帳への煩雑な登録作業を行うことなく、IP携帯電話10においても、ナースコール子機からの呼出種別に応じて呼出音を区別して出力することができる。
【0038】
なお、上記実施形態では、制御機5からIPアダプタ7に入力される呼出信号に含まれるナースコール子機の識別情報を呼出種別に応じた所定の電話番号に変換し、変換した所定の電話番号を発信元とみなしてIP携帯電話10への呼び出しを行っている。そのため、本来の呼出元を示すナースコール子機の識別情報がIP携帯電話10に送られず、本来の呼出元をIP携帯電話10にて報知することができない。
【0039】
そこで、IPアダプタ7(呼出信号変換部)は、呼出元であるナースコール子機の識別情報および呼出種別の情報を含む呼出信号を制御機5から入力したときに、呼出種別に応じた所定の電話番号を追加して、当該追加した所定の電話番号と、ナースコール子機の識別情報と、呼出先のIP携帯電話10の電話番号情報とを含む呼出信号をSIPサーバ8に出力するようにしてもよい。この場合、SIPサーバ8は、呼出信号に含まれる電話番号情報を利用して呼出先のIP携帯電話10に架電し、同じく呼出信号に含まれる所定の電話番号を発信元として、ナースコール子機の識別情報を含む呼出信号をIP携帯電話10に送信する。
【0040】
図3は、IPアダプタ7が所定の電話番号を追加して呼出信号を出力するようにした場合におけるIP携帯電話10の機能構成例を示す図である。図3に示すように、IP携帯電話10は、その機能構成として、呼出信号受信部10aと、電話帳記憶部10bと、呼出音設定部10cと、呼出音出力部10dと、患者情報出力部10eとを備えている。
【0041】
呼出信号受信部10aは、ナースコール子機の識別情報を含み、呼出種別に応じた所定の電話番号を発信元としてSIPサーバ8から送信された呼出信号を無線送受信機9を介して受信する。電話帳記憶部10bは、複数の所定の電話番号を電話帳として記憶している。呼出音設定部10cは、看護師が図示しない操作部を操作して、電話帳記憶部10bに記憶されている複数の所定の電話番号に対して設定された呼出音の情報を記憶している。
【0042】
呼出音出力部10dは、呼出信号受信部10aにより受信された呼出信号に含まれる所定の電話番号と同じ電話番号を電話帳記憶部10bから検索するとともに、検索した電話番号に対して呼出音設定部10cにて設定されている呼出音の情報を特定する。そして、特定した呼出音を図示しないスピーカに出力する。
【0043】
患者情報出力部10eは、呼出信号受信部10aにより受信された呼出信号に含まれるナースコール子機の識別情報に基づいて、呼出元であるナースコール子機に対応付けられた患者情報を図示しないモニタ画面に出力する。例えば、患者情報出力部10eは、ナースコール子機の識別情報で示される部屋番号およびベッド番号を患者情報としてモニタ画面に出力する。
【0044】
なお、IPアダプタ7が呼出信号をSIPサーバ8に出力する際に、ナースコール子機の識別情報、呼出種別に応じた所定の電話番号、呼出先のIP携帯電話10の電話番号情報に加えて、呼出種別の情報も含めた呼出信号を出力するようにすれば、患者情報(識別情報で示される部屋番号およびベッド番号)に加えて呼出種別の情報もIP携帯電話10のモニタ画面に出力することができる。
【0045】
また、ナースコール親機6が患者テーブルを参照して特定した患者の氏名等を制御機5が取得し、これも呼出信号に含めてIPアダプタ7およびSIPサーバ8を介してIP携帯電話10に送信するようにすれば、患者情報として患者の氏名等もIP携帯電話10のモニタ画面に出力することができる。あるいは、当該患者情報またはこれに呼出種別の情報を加えて成る画像情報をIPアダプタ7またはSIPサーバ8にて生成し、この画像情報をSIPサーバ8からIP携帯電話10に送信するようにしてもよい。
【0046】
上記実施形態では、携帯用ナースコール親機の例としてIP携帯電話10を用いる例について説明したが、IP携帯電話10の代わりにPHS端末を用いてもよい。この場合、例えばSIPサーバ8の代わりにハンディナースコール主装置および構内交換機(PBX)が用いられ、ハンディナースコール主装置および構内交換機が本発明の呼出信号送信部に相当する機能を備える。また、IPアダプタ7の代わりにPBXアダプタが用いられ、PBXアダプタが本発明の呼出信号変換部に相当する機能を備える。
【0047】
また、上記実施形態では、IPアダプタ7を1つの独立したハードウェアとして備える構成について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、IPアダプタ7が持つ呼出信号変換部の機能を制御機5あるいはSIPサーバ8に内蔵させるようにしてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、呼出種別として一般呼出/緊急呼出/ME呼出の3種類を挙げたが、本発明はこれに限定されない。例えば、ハンド形子機1や医療機器2が壁埋込形子機3から脱落したときに出力される脱落呼出や、オプションとして任意に設定可能なオプション呼出などを含めてもよい。
【0049】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 ハンド形子機
2 医療機器
3 壁埋込形子機
4 廊下灯
5 制御機
6 ナースコール親機
7 IPアダプタ(呼出音制御装置)
7a 呼出信号入力部
7b 番号テーブル記憶部
7c 電話番号特定部
7d 呼出信号出力部
8 SIPサーバ
9 無線送受信機
10 IP携帯電話(携帯用ナースコール親機)
10a 呼出信号受信部
10b 電話帳記憶部
10c 呼出音設定部
10d 呼出音出力部
10e 患者情報出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナースコール子機で呼び出しが行われたことを携帯用ナースコール親機に対して呼出音の出力により報知するように成されたナースコールシステムであって、
上記ナースコール子機の識別情報および呼出種別の情報を含む呼出信号を入力し、上記呼出種別に応じた所定の電話番号を特定して、当該特定した所定の電話番号を発信元として含む呼出信号を出力する呼出信号変換部と、
上記呼出信号変換部より出力された変換後の呼出信号を上記携帯用ナースコール親機に送信する呼出信号送信部とを備え、
上記携帯用ナースコール親機は、複数の所定の電話番号を電話帳として記憶する電話帳記憶部を備え、上記複数の所定の電話番号に対して異なる呼出音が設定されていることを特徴とするナースコールシステム。
【請求項2】
上記携帯用ナースコール親機は、上記呼出信号送信部から送信された呼出信号に含まれる上記所定の電話番号と同じ電話番号を上記電話帳記憶部から検索し、検索した電話番号に対して設定されている呼出音を出力する呼出音出力部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のナースコールシステム。
【請求項3】
上記携帯用ナースコール親機は、上記呼出信号送信部から送信された呼出信号に含まれる上記所定の電話番号と同じ電話番号を上記電話帳記憶部から検索し、検索した電話番号に対して設定されている呼出音を出力する呼出音出力部と、
上記呼出信号送信部から送信された呼出信号に含まれる上記識別情報に基づいて、呼出元である上記ナースコール子機に対応付けられた患者情報をモニタ画面に出力する患者情報出力部とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のナースコールシステム。
【請求項4】
上記呼出信号送信部は、上記呼出信号変換部が入力した呼出信号に含まれる上記識別情報に対応付けられた患者情報を上記携帯用ナースコール親機に送信し、
上記携帯用ナースコール親機は、上記呼出信号送信部から送信された呼出信号に含まれる上記所定の電話番号と同じ電話番号を上記電話帳記憶部から検索し、検索した電話番号に対して設定されている呼出音を出力する呼出音出力部と、
上記呼出信号送信部から送信された上記患者情報をモニタ画面に出力する患者情報出力部とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のナースコールシステム。
【請求項5】
ナースコール子機で呼び出しが行われたことを携帯用ナースコール親機に対して呼出音の出力により報知するように成され、上記携帯用ナースコール親機では電話帳記憶部に記憶されている複数の所定の電話番号に対して異なる呼出音が設定されているナースコールシステムに用いる呼出音制御装置であって、
上記ナースコール子機の呼出種別の情報を含む呼出信号を入力する呼出信号入力部と、
上記呼出信号入力部により入力された呼出信号に含まれる上記呼出種別に応じた所定の電話番号を特定する電話番号特定部と、
上記電話番号特定部により特定された所定の電話番号を発信元として含む呼出信号を出力する呼出信号出力部とを備えたことを特徴とする呼出音制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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