説明

ナースコールシステム

【課題】 ナースコール子機が操作された場合に呼び出しが正常に行われたことを知らせる呼出確認音をできるだけ出力させつつ、患者がナースコール子機の操作をためらうケースを無くすことができる。
【解決手段】 病室Aのベッドaに居る患者がナースコール子機1aを操作すると、病室Aが個室であるため、ナースコール子機1aから呼出確認音が出力される。これにより、呼出確認音を聞いた患者は呼び出しが正常に行われたことを把握できる。一方、病室Bのベッドbに居る患者がナースコール子機1bを操作すると、病室Bが多床室であるため、ナースコール子機1から呼出確認音が出力されない。これにより、ナースコール子機1bを操作した患者は呼出確認音を聞くことができず、呼び出しが正常に行われたことを把握できない。また、何れの場合も、患者が呼び出しを行っても呼出確認音が他の患者に迷惑をかけることはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院や介護施設などで患者や被介護者からの要求に応じて医療従事者や介護者を呼び出すナースコールシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、病院や介護施設(以下、施設とする)では、ナースコールシステムが用いられている。ナースコールシステムは、施設の部屋(例えば、病室など)内の患者や被介護者(以下、単に患者とする)の近辺(例えば、ベッド近傍など)やトイレなどに設置されたナースコール子機および医療従事者や介護者(以下、単に医療従事者とする)の居る部屋(例えば、ナースステーションなど)に設置されたナースコール親機を有線などにより接続して構成されている。また、ナースコール親機によっては、医療従事者が携行している携帯通信端末(例えば、PHS(Personal Handyphone System)やコードレス電話など)を無線によって接続するものも存在する。そして、患者によりナースコール子機が操作されると、ナースコール親機や携帯通信端末(以下、単にナースコール親機とする)は、自装置に設けられた報知部を動作させて、報知用スピーカーから呼び出し音を出力させたり、表示ディスプレイなどに呼び出し表示を行わせたりして、呼び出しを報知している。医療従事者は、呼び出し音を聞いたり、呼び出し表示を見たりして、患者からの呼び出しを把握する。
【0003】
ところで、患者によりナースコール子機が操作されると、操作されたナースコール子機は、患者から医療従事者への呼び出しが正常に行われたことを患者に知らせるための呼出確認音を出力する。これにより、ナースコール子機を操作して呼び出しを行った患者は、ナースコール子機から出力される呼出確認音を聞くことで医療従事者への呼び出しが正常に行われたことを把握することができる。
【0004】
ナースコール子機から出力される呼出確認音は、そのナースコール子機が設置されている病室に居る他の患者(以下、他の患者とする)にも聞こえてしまうことがあった。特に、夜間などの時間帯では、病室に居る患者が寝ていることが多いため、患者がナースコール子機を操作して呼び出しを行うと、ナースコール子機から出力される呼出確認音が病室内の他の患者に迷惑をかけてしまうことがあった。そのため、患者が他の患者に気兼ねしてナースコール子機の操作をためらってしまうという問題があった。
【0005】
このような問題を解決するために、ナースコール子機が操作された時点が日勤時である場合に、操作されたナースコール子機が呼出確認音を出力するようにし、ナースコール子機が操作された時点が夜勤時である場合に、操作されたナースコール子機が呼出確認音を出力しないようにする技術が知られている(例えば、特許文献1など)。
【0006】
ところで、ナースコール子機から出力される呼出確認音が迷惑となる患者は、夜間などの時間帯に寝ている患者だけではない。例えば、音に敏感な患者や昼間に寝ている患者なども、呼出確認音を迷惑と感じることがあった。そのため、夜間などの時間帯以外であっても、患者によっては、他の患者に気兼ねしてナースコール子機の操作をためらってしまうという問題があった。また、ナースコール子機を操作する患者が、呼び出しを行ったことを他の患者に知られたくないという理由でナースコール子機の操作をためらってしまうという問題もあった。このように、ナースコール子機から呼出確認音が出力されることで、患者がナースコール子機の操作をためらうケースが生じてしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−26293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、ナースコール子機が操作された場合に患者から医療従事者への呼び出しが正常に行われたことを患者に知らせるための呼出確認音を、ナースコール子機からできるだけ出力させつつ、患者がナースコール子機の操作をためらうケースを無くすことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明のナースコールシステムでは、ナースコール子機が設置されている病室が個室であるか多床室であるかを示す病室情報を記憶しておき、ナースコール子機が操作された場合に、そのナースコール子機の設置されている病室が個室であればそのナースコール子機から呼出確認音を出力させるようにし、そのナースコール子機の設置されている病室が多床室であればそのナースコール子機から呼出確認音を出力させないようにしている。
【0010】
また、本発明の他の態様では、多床室である病室に、その病室内に居る患者の人数を検出する人数検出装置を設置し、その病室に居る患者の人数が2人以上である場合にのみ、操作されたナースコール子機から呼出確認音を出力させないようにしている。
【発明の効果】
【0011】
上記のように構成した本発明によれば、操作されたナースコール子機の設置されている病室が個室である場合には、他の患者が病室に居ないと判断されて、そのナースコール子機から呼出確認音が出力される。そのため、ナースコール子機を操作して呼び出しを行った患者は、ナースコール子機から出力される呼出確認音を聞くことで医療従事者への呼び出しが正常に行われたことを把握することができる。一方、操作されたナースコール子機の設置されている病室が多床室である場合には、他の患者が病室に居ると判断されて、そのナースコール子機から呼出確認音が出力されない。そのため、ナースコール子機を操作して呼び出しを行った患者は、ナースコール子機から出力される呼出確認音を聞くことができないので、医療従事者への呼び出しが正常に行われたことを把握することができない。これにより、ナースコール子機を操作して呼び出しを行おうとする患者がナースコール子機を操作して呼び出しを行っても、呼出確認音により他の患者に迷惑をかけることはない。従って、ナースコール子機から呼出確認音をできるだけ出力させつつ、患者がナースコール子機の操作をためらうケースを無くすことができる。
【0012】
また、本発明の他の態様によれば、操作されたナースコール子機が設置されている病室が多床室であり、その病室に居る患者の人数が2人以上である場合にのみ、そのナースコール子機から呼出確認音が出力されない。そのため、操作されたナースコール子機の設置されている病室が多床室であっても、その病室内に居る患者の人数が1人である場合には、そのナースコール子機から呼出確認音が出力されるので、病室内に他の患者が居るか否かをより正確に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態によるナースコースシステムの構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態によるナースコールシステムを適用した病室およびナースステーションの状態例を示す図である。
【図3】本実施形態によるナースコールシステムのナースコール親機の記憶部の記憶内容例を示す図である。
【図4】本実施形態によるナースコールシステムの動作を示すフローチャートである。
【図5】本実施形態によるナースコースシステムの変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態によるナースコールシステムの構成例を示すブロック図である。図2は、本実施形態によるナースコールシステムを適用した病室およびナースステーションの状態例を示す図である。図1に示すように、本実施形態によるナースコールシステムは、ナースコール子機1、ナースコール親機10を備えて構成されている。
【0015】
図1において、ナースコール子機1は、一人の患者が使用する個室の病室または複数人の患者が使用する多床室の病室に居る患者の近辺(例えば、ベッド近傍など)に設置されており、患者が医療従事者を呼び出すためのものである。ここで、ナースコール子機1は、伝送線を介してナースコール親機10に接続されている。また、ナースコール子機1は、制御部2、呼出操作部3、呼出確認音出力部4、インターフェース部(以下、I/F部と記載する)5を備えて構成されている。また、図2に示す例では、個室の病室Aのベッドaには、ナースコール子機1aが設置されている。また、多床室の病室Bのベッドbには、ナースコール子機1bが設置されている。また、多床室の病室Bのベッドcには、ナースコール子機1cが設置されている。また、多床室の病室Bのベッドdには、ナースコール子機1dが設置されている。また、多床室の病室Bのベッドeには、ナースコール子機1eが設置されている。
【0016】
ナースコール親機10は、医療従事者の居る部屋(例えば、ナースステーションなど)に設置されており、患者が医療従事者を呼び出したことを報知するために使用される。また、ナースコール親機10は、医療従事者が患者からの呼び出しに対して応答するために使用される。また、ナースコール親機10とナースコール子機1との間には、図示しない制御機と図示しない廊下灯とが設置されている。制御機は、ナースコール子機1とナースコール親機10との間の通信を制御する。また、廊下灯は、自装置に設けた表示灯を点灯または点滅させて患者が医療従事者を呼び出したことを報知する。また、ナースコール親機10が図示しない携帯通信端末(例えば、PHSやコードレス電話など)を無線によって接続している場合、携帯通信端末は患者から医療従事者への呼び出しを報知する。
【0017】
また、ナースコール親機10は、親機用制御部11、親機用インターフェース部(以下、I/F部と記載する)12、記憶部13、報知部14、復旧操作部15を備えて構成されている。
【0018】
ナースコール子機1の制御部2は、CPU(Central Processing Unit)などにより構成されており、ナースコール子機1の各構成要素を後述するように制御する。呼出操作部3は、ボタンなどにより構成されており、患者により医療従事者を呼び出すために操作される。呼出操作部3が操作されると、制御部2は、医療従事者に対して呼び出しを行うための呼出信号を生成する。ここで、呼出信号は、このナースコール子機1を他のナースコール子機1と識別するための子機識別情報を含む。
【0019】
呼出確認音出力部4は、スピーカーなどにより構成されており、呼出操作部3による呼出操作が正常に行われたことを患者に知らせるための呼出確認音を出力する。ここで、呼出確認音出力部4は、後述するI/F部5がナースコール親機10から出力された呼出確認信号を入力すると、呼出確認音を出力する。ここで、呼出確認信号は、呼出操作部3による呼出操作が正常に行われたことを知らせるための信号である。
【0020】
I/F部5は、ナースコール子機1にナースコール親機10を接続しており、制御部2にて生成した呼出信号をナースコール親機10へ出力する。また、I/F部5は、ナースコール親機10から出力された呼出確認信号およびナースコール子機1を呼出操作部3が操作される前の状態に戻すための復旧信号を入力する。
【0021】
ナースコール親機10の親機用制御部11は、CPUなどにより構成されており、ナースコール親機10の各構成要素を後述するように制御する。親機用I/F部12は、ナースコール親機10にナースコール子機1を接続しており、ナースコール子機1から出力された呼出信号を入力する。また、親機用I/F部12は、後述する処理により生成された呼出確認信号および復旧信号をナースコール子機1へ出力する。
【0022】
記憶部13は、メモリなどにより構成されている。また、記憶部13は、ナースコール子機1の子機識別情報およびそのナースコール子機1が設置されている病室が個室であるか多床室であるかを示す病室情報を関連付けて予め記憶している。記憶部13は、図3に示すように、子機識別情報「1a」に対して病室情報「個室」を関連付けて予め記憶している。また、子機識別情報「1b」に対して病室情報「多床室」を関連付けて予め記憶している。また、子機識別情報「1c」に対して病室情報「多床室」を関連付けて予め記憶している。また、子機識別情報「1d」に対して病室情報「多床室」を関連付けて予め記憶している。また、子機識別情報「1e」に対して病室情報「多床室」を関連付けて予め記憶している。
【0023】
報知部14は、患者からの呼び出しを報知するためのものであり、スピーカーや表示灯、表示装置などにより構成されている。ここで、報知部14は、ナースコール子機1から出力された呼出信号に含まれている子機識別情報により、呼び出しが行われたナースコール子機1を特定し、その情報をスピーカーから音声を出力したり、表示灯によって点灯または点滅したり、表示装置によって表示したりして報知を行う。
【0024】
親機用I/F部12がナースコール子機1から出力された呼出信号を入力すると、親機用制御部11は、報知部14を動作させるとともに、記憶部13を参照して、呼出信号に含まれる子機識別情報に関連付けて記憶されている病室情報を取得する。親機用制御部11は、取得した病室情報が個室であることを示すか多床室であることを示すかを判定する。取得した病室情報が個室であることを示すと親機用制御部11にて判断した場合に、親機用制御部11は、呼出信号に含まれていた子機識別情報を含む呼出確認信号を生成する。一方、取得した病室情報が多床室であることを示すと親機用制御部11にて判断した場合に、親機用制御部11は呼出確認信号を生成しない。親機用I/F部12は、親機用制御部11にて呼出確認信号が生成された場合に、生成した呼出確認信号をナースコール子機1へ出力する。
【0025】
復旧操作部15は、ボタンなどにより構成されており、報知部14による報知を停止するために操作される。報知部14による報知が行われている状態で、復旧操作部15が操作されると、制御部11は、報知部14の動作を停止させるとともに、報知部14を報知させる際に親機用I/F部12が入力した呼出信号に含まれていた子機識別情報を含む復旧信号を生成する。
【0026】
このように構成されているナースコールシステムにおいて、図2に示すように個室の病室Aのベッドaに居る患者がナースコール子機1aの呼出操作部3を操作すると、制御部2は、このナースコール子機1aの子機識別情報「1a」を含む呼出信号を生成する。I/F部5は、制御部2にて生成した呼出信号をナースコール親機10へ出力する。この状態で呼出操作部3が続けて操作されても、制御部2は呼出信号を生成しなくなる。
【0027】
親機用I/F部12がナースコール子機1aから出力された呼出信号を入力すると、親機用制御部11は、報知部14を動作させるとともに、記憶部13を参照して(図3)、呼出信号に含まれる子機識別情報「1a」に関連付けて記憶されている病室情報を取得し、その病室情報が「個室」であると判断する。すると、親機用制御部11は、呼出信号に含まれていた子機識別情報「1a」を含む呼出確認信号を生成する。親機用I/F部12は、親機用制御部11にて生成した呼出確認信号を各ナースコール子機1a〜1eへ出力する。
【0028】
ナースコール子機1aでは、I/F部5がこのナースコール子機1aの子機識別情報「1a」を含む呼出確認信号を入力するため、制御部2が呼出確認音出力部4を動作させる。ナースコール親機10では、復旧操作部15が操作されると、親機用制御部11は、報知部14の動作を停止させるとともに、報知部14を動作させる際に親機用I/F部12が入力した呼出信号に含まれていた子機識別情報「1a」を含む復旧信号を生成する。親機用I/F部12は、親機用制御部11にて生成した復旧信号を各ナースコール子機1a〜1eへ出力する。ナースコール子機1aでは、I/F部5がこのナースコール子機1aの子機識別情報「1a」を含む復旧信号を入力するため、制御部2は、呼出信号を再び生成することができるようになり、呼出確認音出力部4の動作を停止させる。
【0029】
一方、多床室の病室Bのベッドbに居る患者がナースコール子機1bの呼出操作部3を操作すると、制御部2は、このナースコール子機1bの子機識別情報「1b」を含む呼出信号を生成する。I/F部5は、制御部2にて生成した呼出信号をナースコール親機10へ出力する。この状態で呼出操作部3が続けて操作されても、制御部2は呼出信号を生成しなくなる。
【0030】
親機用I/F部12がナースコール子機1bから出力された呼出信号を入力すると、親機用制御部11は、報知部14を動作させるとともに、記憶部13を参照して(図3)、呼出信号に含まれる子機識別情報「1b」に関連付けて記憶されている病室情報を取得し、その病室情報が「多床室」であると判断する。すると、親機用制御部11は呼出確認信号を生成しない。そのため、ナースコール子機1bでは、呼出確認音出力部4が動作しない。
【0031】
ナースコール親機10では、復旧操作部15が操作されると、親機用制御部11は、報知部14の動作を停止させるとともに、報知部14を動作させる際に親機用I/F部12が入力した呼出信号に含まれていた子機識別情報「1b」を含む復旧信号を生成する。親機用I/F部12は、親機用制御部11にて生成した復旧信号を各ナースコール子機1a〜1eへ出力する。ナースコール子機1bでは、I/F部5がこのナースコール子機1bの子機識別情報「1b」を含む復旧信号を入力するため、制御部2は、呼出信号を再び生成することができるようになる。
【0032】
次に、本実施形態によるナースコールシステムの動作を説明する。図4は、本実施形態によるナースコールシステムの動作を示すフローチャートである。まず、ナースコール子機1において、制御部2は、呼出操作部3が操作されたか否かを判定する(ステップS1)。呼出操作部3が操作されていないと制御部2にて判断した場合には(ステップS1にてNO)、ステップS1の処理を繰り返す。一方、呼出操作部3が操作されたと制御部2にて判断した場合には(ステップS1にてYES)、制御部2は呼出信号を生成し、I/F部5は制御部2にて生成した呼出信号をナースコール親機10へ出力する(ステップS2)。そして、ステップS7の処理へ移行する。
【0033】
ナースコール親機10では、親機用I/F部12がナースコール子機1から出力された呼出信号を入力したか否かを親機用制御部11にて判定する(ステップS3)。呼出信号を入力していないと親機用制御部11にて判断した場合には(ステップS3にてNO)、ステップS3の処理を繰り返す。一方、呼出信号を入力したと親機用制御部11にて判断した場合には(ステップS3にてYES)、親機用制御部11は、報知部14により報知を行わせるとともに、記憶部13を参照して、呼出信号に含まれる子機識別情報に関連付けて記憶されている病室情報を取得する(ステップS4)。
【0034】
親機用制御部11は、取得した病室情報が個室であるか否かを判定する(ステップS5)。病室情報が個室ではないと親機用制御部11にて判断した場合には(ステップS5にてNO)、ステップS9の処理へ移行する。一方、病室情報が個室であると親機用制御部11にて判断した場合には(ステップS5にてYES)、親機用制御部11は、呼出信号に含まれていた子機識別情報を含む呼出確認信号を生成し、親機用I/F部12は、親機用制御部11にて生成した呼出確認信号をナースコール子機1へ出力する(ステップS6)。
【0035】
ステップS7において、ナースコール子機1では、I/F部5がこのナースコール子機1の子機識別情報を含む呼出確認信号を入力したか否かを制御部2にて判定する。このナースコール子機1の子機識別情報を含む呼出確認信号を入力していないと制御部2にて判断した場合には(ステップS7にてNO)、ステップS11の処理へ移行する。一方、このナースコール子機1の子機識別情報を含む呼出確認信号を入力したと制御部2にて判断した場合には(ステップS7にてYES)、制御部2は呼出確認音出力部4を動作させ、呼出確認音出力部4は呼出確認音を出力する(ステップS8)。そして、ステップS12の処理へ移行する。
【0036】
ステップS9において、ナースコール親機10では、復旧操作部15が操作されたか否かを親機用制御部11にて判定する。復旧操作部15が操作されていないと親機用制御部11にて判断した場合には(ステップS9にてNO)、ステップS9の処理を繰り返す。一方、復旧操作部15が操作されたと親機用制御部11にて判断した場合には(ステップS9にてYES)、親機用制御部11は報知部14の動作を停止させるとともに、報知部14を動作させる際に親機用I/F部12が入力した呼出信号に含まれていた子機識別情報を含む復旧信号を生成し、親機用I/F部12は、親機用制御部11にて生成した復旧信号をナースコール子機1へ出力する(ステップS10)。
【0037】
ステップS11において、ナースコール子機1では、I/F部5がこのナースコール子機1の子機識別情報を含む復旧信号を入力したか否かを制御部2にて判定する。このナースコール子機1の子機識別情報を含む復旧信号を入力していないと制御部2にて判断した場合には(ステップS11にてNO)、ステップS7の処理に戻る。一方、このナースコール子機1の子機識別情報を含む復旧信号を入力したと制御部2にて判断した場合には(ステップS11にてYES)、ステップS14の処理へ移行する。
【0038】
ステップS12において、制御部2は、I/F部5がこのナースコール子機1の子機識別情報を含む復旧信号を入力したか否かを判定する。このナースコール子機1の子機識別情報を含む復旧信号を入力していないと制御部2にて判断した場合には(ステップS12にてNO)、ステップS12の処理を繰り返す。一方、このナースコール子機1の子機識別情報を含む復旧信号を入力したと制御部2にて判断した場合には(ステップS12にてYES)、制御部2は呼出確認音出力部4の動作を停止させ、呼出確認音出力部4は呼出確認音の出力を停止する(ステップS13)。そして、ステップS14の処理へ移行する。ステップS14において、制御部2は、呼出操作部3が操作された際に呼出信号を再び生成することができるようになる。
【0039】
以上、詳しく説明したように、本実施形態のナースコールシステムシステムでは、ナースコール子機1の子機識別情報およびそのナースコール子機1が設置されている病室が個室であるか多床室であるかを示す病室情報を関連付けて予め記憶部13に記憶しておき、ナースコール子機1の呼出操作部3が操作されると、制御部2はこのナースコール子機1の子機識別情報を含む呼出信号を生成し、I/F部4は制御部2が生成した呼出信号をナースコール親機10へ出力する。親機用I/F部12が呼出信号を入力すると、親機用制御部11は報知部14を動作させる。また、親機用制御部11は、記憶部13を参照し、呼出信号に含まれる子機識別情報に関連付けて記憶されている病室情報が個室である場合に、呼出確認信号を生成し、親機用I/F部12は、親機用制御部11が生成した呼出確認信号をナースコール子機1へ出力するようにしている。一方、親機用制御部11は、呼出信号に含まれる子機識別情報に関連付けて記憶されている病室情報が多床室である場合に、呼出確認信号を生成しないようにしている。そして、ナースコール子機1では、このナースコール子機1の子機識別情報を含む呼出確認信号をI/F部5が入力した場合に、制御部2は呼出確認音出力部4を動作させ、呼出確認音を出力させるようにしている。
【0040】
これにより、呼出操作部3が操作されたナースコール子機1の設置されている病室が個室である場合には、他の患者が病室に居ないと判断されて、そのナースコール子機1の呼出確認音出力部4から呼出確認音が出力される。そのため、ナースコール子機1の呼出操作部3を操作して呼び出しを行った患者は、呼出確認音を聞くことで医療従事者への呼び出しが正常に行われたことを把握することができる。一方、呼出操作部3が操作されたナースコール子機1の設置されている病室が多床室である場合には、他の患者が病室に居ると判断されて、そのナースコール子機1の呼出確認音出力部4から呼出確認音が出力されない。そのため、ナースコール子機1の呼出操作部3を操作して呼び出しを行った患者は、呼出確認音を聞くことができないので、医療従事者への呼び出しが正常に行われたことを把握することができない。このことから、ナースコール子機1の呼出操作部3を操作して呼び出しを行おうとする患者がナースコール子機1の呼出操作部3を操作して呼び出しを行っても、呼出確認音により他の患者に迷惑をかけることはない。従って、ナースコール子機1の呼出確認音出力部4から呼出確認音をできるだけ出力させつつ、患者がナースコール子機1の呼出操作部3の操作をためらうケースを無くすことができる。
【0041】
なお、前述した実施形態では、親機用制御部11は、呼出信号を出力したナースコール子機1が設置されている病室が多床室である場合に呼出確認信号を生成していないが、これに限定されない。例えば、呼出信号を出力したナースコール子機1が設置されている病室が多床室であっても、その病室内に居る患者の人数が呼び出しを行った患者1人である場合には、親機用制御部11が呼出確認信号を生成するようにしても良い。
【0042】
具体的には、図5に示すように、本変形例のナースコールシステムは、上述したナースコール子機1およびナースコール親機10に加えて人数検出装置20を備えている。ここで、上述した実施形態と同じ構成要素については、同じ符号を付して説明を一部省略する。
【0043】
人数検出装置20は、多床室の病室のベッド上に居る人を検出するための赤外線センサーやマットセンサーなどを備えて構成されている。また、人数検出装置20は、センサーにより検出されたベッド上の人の数を集計し、この人数検出装置20を他の人数検出装置20と識別するための人数検出装置識別情報とともに、人数情報としてナースコール親機10へ出力する。ここで、人数検出装置20が赤外線センサーを備えている場合には、人数検出装置20は、ベッド上の人体から放射される赤外線の変化を検出することによりベッド上の人を検出する。一方、人数検出装置20がマットセンサーを備えている場合には、人数検出装置20は、ベッド上にかかる荷重を検出することによりベッド上の人を検出する。また、人数検出装置20は、少なくともナースコール子機1の呼出操作部3が操作されたタイミングで病室のベッド上に居る人の数を検出する。
【0044】
親機用I/F部12は、人数検出装置20から出力された人数情報および人数検出装置識別情報を入力する。また、記憶部13は子機識別情報と、病室情報と、その病室情報が多床室である場合に、その子機識別情報により特定されるナースコール子機1が設置されている病室の人数検出装置20の人数検出装置識別情報とを関連付けて予め記憶している。
【0045】
親機用I/F部12がナースコール子機1から出力された呼出信号を入力すると、親機用制御部11は報知部14を動作させるとともに、記憶部13を参照し、呼出信号に含まれる子機識別情報に関連付けて記憶されている人数検出装置識別情報の有無を判定する。そして、人数検出装置識別情報が記憶部13に記憶されている場合に、親機用制御部11は、親機用I/F部12にて入力した人数検出装置識別情報のうち、記憶されていた人数検出装置識別情報と同一の人数検出装置識別情報とともに入力した人数情報の値を判定する。その値が2人以上である場合に、親機用制御部11は呼出確認信号を生成しない。一方、それ以外の場合、すなわち、呼出信号に含まれる子機識別情報に関連付けて人数検出装置識別情報が記憶されていない場合や、人数情報の値が2人未満である場合に、親機用制御部11は、呼出信号に含まれていた子機識別情報を含む呼出確認信号を生成する。
【0046】
これにより、操作されたナースコール子機1が設置されている病室が多床室であり、その病室に居る患者の人数が2人以上である場合にのみ、そのナースコール子機1から呼出確認音が出力されない。そのため、操作されたナースコール子機1の設置されている病室が多床室であっても、その病室内に居る患者の人数が1人である場合には、そのナースコール子機1の呼出確認音出力部4から呼出確認音が出力されるので、病室内に他の患者が居るか否かをより正確に判定することができる。
【0047】
また、前述した変形例では、人数検出装置20は、ベッド上の人を検出しているが、これに限定されない。例えば、人数検出装置20が病室内に居る人を検出するようにしても良い。
【0048】
また、前述した実施形態では、操作されたナースコール子機1が設置されている病室が多床室である場合に、ナースコール子機1は呼出確認音を出力していないが、これに限定されない。例えば、操作されたナースコール子機1が設置されている病室が多床室である場合に、患者から医療従事者への呼び出しが正常に行われたことを患者に知らせるための振動や点灯、点滅、表示をナースコール子機1にて行うようにしても良い。
【0049】
この場合、図示しない呼出確認通知部をナースコール子機1に備える。呼出確認通知部は、振動を発生させるモーターやランプなどの表示灯、表示ディスプレイなどの表示装置により構成されており、患者から医療従事者への呼び出しが正常に行われたことを音を出力せずに患者に知らせるためのものである。I/F部5が呼出信号を出力した状態で、I/F部5がナースコール親機10から出力された呼出確認信号を入力しなかった場合に、制御部2は呼出確認通知部を動作させる。そして、呼出確認通知部は、患者から医療従事者への呼び出しが正常に行われたことをモーターによって振動したり、表示灯によって点灯または点滅したり、表示装置によって表示したりする。これにより、呼出確認音を出力していない状態で振動や点灯、点滅、表示が行われるので、ナースコール子機1を操作して呼び出しを行った患者は、他の患者に迷惑をかけずに、患者から医療従事者への呼び出しが正常に行われたことを把握することができる。
【0050】
その他、ナースコールシステムの構成、処理手順、内容等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の組み合わせにより種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除するようにしても良い。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせるようにしても良い。
【符号の説明】
【0051】
1、1a、1b、1c、1d、1e ナースコール子機
2 制御部
3 呼出操作部
4 呼出確認音出力部
5 インターフェース(I/F)部
10 ナースコール親機
11 親機用制御部
12 親機用インターフェース(I/F)部
13 記憶部
14 報知部
15 復旧操作部
20 人数検出装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者が居る病室に設置され、医療従事者を呼び出すための呼出操作を行うための呼出操作部と、前記呼出操作部が操作された場合に、自装置を他の装置と識別するための子機識別情報を含む呼出信号を生成する制御部と、前記制御部にて生成した呼出信号を出力するとともに、前記呼出操作が正常に行われたことを知らせるための呼出確認信号を入力するインターフェース部と、前記インターフェース部が呼出確認信号を入力した場合に呼出確認音を出力する呼出確認音出力部とを有するナースコール子機と、
前記ナースコール子機が出力した呼出信号を入力するとともに、前記ナースコール子機へ呼出確認信号を出力する親機用インターフェース部と、前記ナースコール子機の子機識別情報および前記ナースコール子機が設置されている病室が個室であるか多床室であるかを示す病室情報とを関連付けて予め記憶する記憶部と、前記患者が医療従事者を呼び出したことを報知する報知部と、前記親機用インターフェース部が呼出信号を入力した場合に、前記報知部を動作させるとともに、前記記憶部を参照して前記親機用インターフェース部が入力した呼出信号に含まれる子機識別情報に関連付けて記憶されている病室情報が個室であることを示すときに、前記呼出確認信号を生成する親機用制御部とを有するナースコール親機と、
を備えたことを特徴とするナースコールシステム。
【請求項2】
前記病室のうち多床室である病室に設置され、前記病室に居る患者の人数を検出して、検出した人数を示す人数情報を出力する人数検出装置を備え、
前記親機用インターフェース部は、前記人数検出装置が出力した人数情報を入力し、
前記親機用制御部は、前記記憶部を参照して前記親機用インターフェース部が入力した呼出信号に含まれる子機識別情報に関連付けて記憶されている病室情報が多床室であることを示す場合に、前記親機用インターフェース部がその病室に設置されている人数検出装置から入力した人数情報の値が2人未満であるときにも前記呼出確認信号を生成することを特徴とする請求項1に記載のナースコールシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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