説明

ニオブ粉末及びタンタル粉末の製造方法

バルブ金属粉末、特にニオブ粉末及びタンタル粉末を、蒸気状の還元金属及び/又はそれらの水素化物を用いて、好ましくは不活性キャリヤーガスの存在で相応するバルブ金属酸化物粉末の還元により、その際に還元を5〜110hPaの還元金属/金属水素化物の蒸気分圧及び1000hPa未満の全圧で実施することにより、製造する方法、及びこうして得ることができる粉末アグロメレート粒子の高い安定性を有するタンタル粉末。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高比表面積のバルブ金属粉末(Ventilmetallpulvern)を、ガス状の還元金属及び/又は金属水素化物を用いて相応する酸化物から製造する方法及びさらに、高比容量の電解質キャパシタ用のアノード材料として適しているタンタル粉末の製造方法に関する。
【0002】
本方法は、蒸気状の還元金属、例えばアルカリ金属、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム及び/又はランタン及び/又はそれらの水素化物、特にマグネシウムを用いるバルブ金属酸化物粉末の還元に基づく。
【0003】
本発明によれば、バルブ金属酸化物としてチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン及び/又はタングステン、好ましくはニオブ及び/又はタンタルの酸化物が使用される。
【0004】
そのような方法は国際公開(WO-A1)第00/67936号パンフレットから公知である。そこに開示された例によれば、タンタル線からなる金網上に多孔質床を形成する微粒状の部分焼結された五酸化タンタルは、金網の下でマグネシウム屑の加熱により発生されるマグネシウム蒸気を用いて、アルゴン保護ガス下に900〜1000℃で金属に還元される。マグネシウム蒸気分圧はこの温度範囲内で約150〜400hPa(=mbar)である。還元時間は2〜12時間である。2〜7m2/gの比表面積を有する金属粉末が得られ、一つの場合(例4)に、13.3m2/gの比表面積が記載されているが、しかしながらこの例の場合に還元期間及び還元生成物の酸素含量の記載が欠落している。比較的高い還元温度に基づいて、これは高い欠陥構造を有する不完全に還元された粉末であると仮定され、前記粉末の場合に還元は、大きな体積収縮に基づく出発酸化物の最初の崩壊後に及び還元温度での引き続く結晶緻密化及び一次構造粗大化(Primaerstrukturvergroeberung)(比表面積の低下)の前に中断された。
【0005】
欧州特許出願公開(EP-A2)第1 302 263号明細書によれば、第一還元段階においてガス状マグネシウムを用いてTaO0.6-0.35への不完全な還元が実施され、その後に第二段階において液状マグネシウムを用いて金属への還元が行われるはずである。第一還元段階後の比表面積についての記載は欠落している。残存酸素が空気流入の際の燃え切りを防止する表面酸素3000μg/m2であるという想定での例の逆算は、TaO0.2について6m2/gの比表面積もしくはTaO0.15について4.5m2/gとなる。"不完全に還元された"としてのキャラクタリゼーションに基づいて、残存酸素の本質部分は体積酸素でありうるので、実際の比表面積はより小さくなる。
【0006】
本発明の課題は、高比表面積のバルブ金属粉末の製造を可能にする方法を記載することであり、その場合にバルブ金属粉末のアグロメレート粒子ができる限り高い安定性を有するべきである。
【0007】
バルブ金属酸化物、特に五酸化タンタルの還元が、還元金属もしくは金属水素化物の低い蒸気圧で及び低いキャリヤーガス圧で、ひいてはまた反応空間中の低い全圧で実施される場合に、酸素含量が燃え切りに対して必要な3000μg/m2の表面不動態化酸素を上回らず、極めて緻密な一次構造及び大きな比表面積を有するバルブ金属粉末が第一還元段階において得られることが目下見出された。
【0008】
本発明の対象は、それに応じて、バルブ金属粉末を、蒸気状の還元金属、例えばアルカリ金属、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム及び/又はランタン及び/又はそれらの水素化物を用いて相応するバルブ金属酸化物粉末を還元することにより製造する方法であり、前記方法は還元を5〜110hPaの還元金属/金属水素化物の蒸気分圧で実施し、かつ還元期間の全部分又は一部分の間の反応空間中の全圧が1000hPa未満であることにより特徴付けられている。
【0009】
還元金属の蒸気圧は好ましくは80hPa未満、特に好ましくは8〜50hPaである。
【0010】
好ましくは還元金属としてマグネシウム及び/又は水素化マグネシウムが使用される。
【0011】
好ましくは不活性キャリヤーガスの存在で還元され、ここでキャリヤーガスの分圧は好ましくは50〜800hPaであり、特に好ましくは600hPa未満、特に好ましくは100〜500hPaである。
【0012】
不活性キャリヤーガスとして、不活性ガス、例えばヘリウム、ネオン、アルゴン又はそれらの混合物が適している。水素の僅かな添加が有利でありうる。キャリヤーガスは、好ましくは反応器中への導入の前又は導入中に反応器温度に予熱されるので、還元金属の蒸気凝縮が回避される。
【0013】
反応空間中の全圧は、還元金属/金属水素化物の蒸気圧及び不活性キャリヤーガスの分圧から構成され、かつ本発明によれば還元中に少なくとも一時的に1000hPa(1bar)未満である。例えば、全圧は還元期間の少なくとも半分の間に、好ましくは還元期間の少なくとも60%の間に1000hPa未満である。
【0014】
好ましくは、還元中の全圧は少なくとも一時的に55〜910hPa、特に好ましくは105〜610hPaである。
【0015】
反応器温度は、還元金属の蒸気圧を調節する温度で又はごく僅かに上回る温度で、しかしながら少なくとも還元がなお十分に迅速に進行する温度で保持される。好ましい還元剤であるマグネシウムが使用される場合には、反応器温度は好ましくは680〜880℃、好ましくは850℃未満、特に好ましくは690〜800℃及びさらに好ましくは760℃未満である。
【0016】
本発明は、好ましくはニオブ粉末又はタンタル粉末の製造に、特に五酸化タンタル粉末をタンタル粉末に又は五酸化ニオブ粉末をニオブ粉末に還元するために、使用される。
【0017】
本発明の対象は、それに応じて、蒸気状の還元金属、例えばアルカリ金属、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム及び/又はランタン及び/又はそれらの水素化物、特にマグネシウムを用いて、好ましくは不活性キャリヤーガス下に五酸化タンタルを還元することによるタンタル粉末の製造方法でもあり、前記方法は、還元を5〜110hPaの還元金属/金属水素化物の蒸気分圧で実施し、かつ還元期間の全部分又は一部分の間の反応空間中の全圧は1000hPa未満であることにより特徴付けられる。
【0018】
好ましくは還元及び還元金属の蒸気の発生は単一の反応器中で行われるので、反応器温度は同時に還元金属の蒸気圧を決定する。
【0019】
五酸化タンタル粉末として好ましくは、ASTM B 822(装置Malvern MasterSizer Sμ)に従い決定されたD10:3〜25μm、D50:15〜80μm及びD90:50〜280μmの粒度分布及びASTM D 3663に従い決定された0.05〜0.5m2/gの表面積(BET)を有する多孔質のスポンジ状粉末が使用される。
【0020】
還元の終了後に、100℃を下回る温度への冷却後の反応器中への制御されたゆっくりとした酸素導入によって粉末粒子表面を酸化することによる得られた金属粉末の不動態化、及び酸及び水を用いる還元金属の形成された酸化物の洗浄が行われる。
【0021】
その場合に、6〜15m2/g、好ましくは8〜14m2/gの比表面積を有するタンタル粉末が、本質的に粒子の既に卓越した機械的安定性を有する出発酸化物の粒度分布の保持下に得られる。不動態化後のタンタル粉末の酸素含量は約3000μg/m2である。
【0022】
本発明は、還元時間を本質的に延長せずに、還元温度を680〜880℃に低下させることを可能にする。0.1〜5μmの一次粒度(球状の一次粒子の場合の直径、非球状の一次粒子の場合の最小寸法)を有する酸化タンタル又は酸化ニオブアグロメレート粉末の使用の場合に、還元時間は6〜12時間、好ましくは9時間までで十分である。とりわけより低い反応温度はエネルギーの少なからぬ節約及び還元の際に必要なプロセス工学的装置の保護をもたらす。
【0023】
好ましくは、使用されるバルブ金属粉末の減少する酸素含量により減少する還元速度及び発熱を補償するために、還元金属の蒸気分圧は還元中にゆっくりと高められる。例えば、マグネシウムの場合に蒸気圧を決定する温度は還元の開始時に700〜750℃の範囲内であってよく、かつ還元の終了までに750〜850℃の範囲内の温度に上昇されることができる。好ましくは、温度は50〜100℃の差だけ上昇される。
【0024】
本方法は、定常ガス圧で、すなわち操作温度でのガス分圧に必要な量の不活性キャリヤーガスを含有する密閉された反応器中で実施されることができる。しかしながら反応器及び還元すべき酸化物の多孔質床は不活性キャリヤーガスにより貫流されることが好ましい。このことは、反応器のある位置で恒常的又は断続的に不活性キャリヤーガスが取り除かれ、かつ相応する圧力調節バルブを介した位置で恒常的又は断続的に不活性キャリヤーガスが反応器に供給され、その際に還元すべき酸化物の床から場所的に離れた還元金属もしくは金属水素化物の蒸発源が、酸化物床を通して不活性キャリヤーガスの流れ方向に対して上流へ配置されていることによって行われることができる。
【0025】
本発明の好ましい一実施態様によれば、還元は不活性キャリヤーガスの減少する分圧で実施され、その場合に最終圧は50〜250hPa、特に好ましくは50〜150hPaである。
【0026】
プロセス工学的な選択肢に従い、反応の開始時にガス圧は常圧を上回り高められることができるので、金属蒸気もしくは水素化物蒸気の最初の拡散速度は、酸化物のなお高い酸素含量に相応して減少される。それにより、発熱による酸化物粉末の最初の加熱は回避される。
【0027】
例えば、不活性キャリヤーガスの圧力は1000〜2000hPa、好ましくは1500hPaまでであってよい。
【0028】
さらに、還元を不活性キャリヤーガスの脈動する分圧で実施することは有利でありうるものであり、その場合に分圧は好ましくは100〜150hPaの振幅を有する50〜500hPaのおおよその平均圧力を振動する。振動周波数は、有利には20〜300s、特に好ましくは30〜120sであってよい。これにより、マグネシウム不含の不活性キャリヤーガスは床の細孔から"外の方へポンプ輸送され"、かつマグネシウム含有の不活性キャリヤーガスは細孔中へ"中の方へポンプ輸送される"。
【0029】
大きな比表面積を有する本発明により得られるタンタル粉末は、脱酸化する一次構造粗大化、アノード構造体へのプレス、アノード体へのアノード構造体の焼結、対電極の形成及び取り付けによる本来公知の方法での200,000〜300,000μFV/gの範囲内の比容量を有する電解質キャパシタの製造に適している。
【0030】
さらに、得られたタンタル粉末が、少なくとも2.5倍だけ、好ましくは少なくとも3倍だけ、特に好ましくは4〜6倍だけ一次構造粗大化にかけられる場合に、60,000〜160,000μFV/gの範囲内の比容量を有するキャパシタの製造に卓越して適していることが見出された、すなわち比表面積は、2.5もしくは3分の1だけ、好ましくは4〜6分の1だけ減少される。一次構造粗大化は、タンタル粉末と前記粉末の酸素含量に関して化学量論的過剰量のマグネシウムとの混合及び加熱により不活性ガス下に実施される。
【0031】
本発明によれば、一次構造粗大化後に、0.15〜0.8μmの平均最小寸法を有する一次構造のアグロメレートからなり、0.9〜6m2/g、好ましくは0.9〜4m2/gの比表面積を有するタンタル粉末が得られ、その場合にアグロメレート粒子は、一次粒子間の安定な焼結橋(Sinterbruecken)に起因される卓越した安定性を有する。
【0032】
粗大化された一次構造を有する本発明によるタンタル粉末は、好ましくはASTM B 822(装置Malvern MasterSizer Sμ)による5〜30μmのD10値、20〜100μmのD50値及び40〜250μmのD90値を有する粒度分布を有するアグロメレートからなり、その場合に粒度分布は酸化物還元されたタンタル粉末の粒度分布に本質的に相当する。
【0033】
特に、粉末アグロメレートが、ASTM B 822(装置Malvern Mastersizer)によりD50値及び超音波処理後のD50値(D50US値)の商として測定された、超音波処理に対する高いアグロメレート安定性を有することが見出された。
【0034】
本発明の対象は、それに応じて、2未満、好ましくは1.5未満の商D50/D50USにより特徴付けられている、超音波処理に対する安定性を有するタンタル粉末でもある。その決定のためには、その都度、測定方法の際のレーザー光線の多重反射を回避するために光弱化が約20%の範囲内になるまでタンタル粉末が湿潤剤Daxad 11 30mgを有する水700ml中に撹拌しながら分散される。ついで懸濁液中のタンタル粉末の濃度は約0.02〜0.05体積%である。ついでD50値はASTM B 822に従い決定される。引き続いてMasterSizer Sμ装置の超音波発生器を用いてさらに撹拌しながら5分間、60Wの超音波出力が導入される。その場合に、アグロメレート粒子の弱い焼結橋は、粒子の衝突により互いに破壊される。超音波のより長い作用期間は、粒子分布のさらなる変化を引き起こさない。引き続いて、新たにASTM B 822によるD50値("D50US"値)は決定される。
【0035】
本発明の対象は、高いアグロメレート安定性を有するそのようなタンタル粉末の製造方法でもあり、前記方法は、第一段階において五酸化タンタルを蒸気状の還元金属を用いて5〜110hPaの蒸気分圧でタンタル金属に還元し、粉末を冷却後に不動態化し、還元金属の付着している酸化物を除去し、引き続いてマグネシウムとの混合及び680〜850℃への加熱によりその一次構造に関して粗大化させることにより特徴付けられている。
【0036】
実施例
例1〜16
A)五酸化タンタルの還元
約0.01μmの平均一次粒度(SEM画像(SEM=走査電子顕微鏡)から視覚により決定)、17.8μmのD10値、34.9μmのD50値及び71.3μmのD90値に相当するASTM B 822(装置Malvern MasterSizer Sμ)により決定された粒度分布及びASTM D 3663により決定された0.14m2/gの比表面積(BET)を有する微粒状の部分焼結された出発五酸化タンタルを使用する。粉末の個々の粒子は高多孔質である。SEM画像からは、前記粒子が、2.4μmの平均直径のほぼ球状の一次粒子の高度に焼結されたアグロメレートからなることが確認可能である。図2は出発五酸化物のSEM画像を示す。
【0037】
出発五酸化タンタルを、1.1倍の化学量論量(五酸化物の酸素含量に対して)のマグネシウムを含有するるつぼの上方へタンタル板で被覆された反応器中でタンタル線からなる網状物(Geflecht)上へ添加する。反応器を、炉を介して加熱する。マグネシウムを含有しているるつぼの下方へガス導入開口部並びに五酸化タンタル床の上方へガス排出開口部が反応器に存在する。炉のガス内圧は、炉壁を貫通する流出管(Stichleitung)を通して測定されることができる。保護ガスとしてゆっくりと炉を流れるアルゴンが使用される。還元温度への加熱の開始前に反応器をアルゴンですすぐ。還元温度の到達の前に、還元のためにアルゴン圧は調節される。反応及び反応器の冷却の終了後に、金属粉末を燃え切りに対して不動態化するために、空気をゆっくりと反応器中へ添加する。形成された酸化マグネシウムを、硫酸及び引き続き中性までの脱ミネラル水での洗浄により除去する。
【0038】
第1表は、冷却及び不動態化後に得られる例1〜16の粉末の還元条件及び性質を示す。"Mastersizer D10、D50、D90"の値は、ASTM B 822により決定されている。右側の欄中に、さらに比表面積に対する還元されたタンタルの酸素含量、すなわち酸素含量[単位:ppm]及びBETにより測定された比表面積からなる商が示されている。約3000ppm/(m2/g)の表面酸素含量が必要である、それというのも他の場合にはタンタル粉末は発火し、かつ周囲空気との接触の際に焼き切れることになるからである。
【0039】
例1〜9を、本質的には一定のアルゴン圧及び一定の反応器温度で実施した。反応器温度はまたその都度マグネシウム蒸気分圧:700℃で8hPa、750℃で19hPa、780℃で29hPa、800℃で39hPa、840℃で68hPa、880℃で110hPaを定義する。
【0040】
図3は例9による生成物のSEM画像を示す。図4は例3による生成物のSEM画像を示す。
【0041】
例10〜13の場合に、700、750、800もしくは850℃の一定の反応器温度で本質的に還元したが、しかしながらまず最初に1.5気圧の高いアルゴン圧で1.5時間及びその後850hPaから100hPaに減少させるアルゴン圧で4.5時間還元した。圧力及び温度の経過は図1に示されている。還元の開始時の高い圧力は、発熱反応の開始時の還元速度の減速を引き起こすので、全体として還元速度の均一化が引き起こされる。
【0042】
例14〜16を、本質的には均一に7時間に亘って700℃から780℃にもしくは720℃から800℃にもしくは730℃から800℃に上昇させる温度で実施した。
【0043】
一次粒度は、全ての試料の場合に、Mastersizer D10、D50及びD90値から確認可能である粒度分布と同じようにほぼ一定のままであった。しかし、還元金属の蒸気分圧に依存している比表面積となった。全ての試料の酸素含量は、本質的には約3000μg/m2(ppm/(m2/g))表面積であった、すなわち酸素含量は必要な酸素含量を殆ど上回らず、それゆえ前記粉末は周囲空気との接触で焼き切れなかった。
【0044】
試料を引き続いて超音波浴中で標準化された処理にかけ、その際にアグロメレートの弱い焼結橋は分解された。超音波処理後の粒度分布の決定により、同様に表中に示されたD10US、D50US及びD90US値が得られた。比D50/D50USは、還元の際に発生した焼結橋の安定性の相対的な尺度とみなされることができる。還元を実施したのがより低い温度であればあるほど、焼結橋が明らかに既に還元後により安定になることが示されている。
【0045】
B)タンタル粉末の脱酸化
例1〜16の粉末をリン酸二水素アンモニウム溶液に浸漬し、乾燥させたので、150ppmのリンドープが生じる。
【0046】
前記粉末を、引き続いてそれらのそれぞれの酸素含量に対して1.2倍の化学量論量のマグネシウムと混合し、アルゴン保護ガス下に700℃もしくは800℃に2時間加熱し、冷却し、不動態化し、酸化マグネシウム不含に洗浄し、かつ300μmメッシュサイズを有するふるいでふるい分けした。得られた粉末の粒度分布(ASTM B 822によるD10、D50及びD90値として、並びに標準化された超音波処理後の相応する値)及び比表面積は第2表に示されている。
【0047】
前記粉末から、5.0g/cm3のプレス密度を有する直径3mm及び長さ3.96mmの寸法のプレス体を製造し、その場合にプレスマトリックス中へ粉末の充填前に接触線として0.2mm厚さのタンタル線を中に入れた。プレス体を1210℃で高真空中で10分間焼結させた。
【0048】
アノード体を、0.1%リン酸中に浸漬し、かつ16Vの形成電圧までの150mAに制限した電流の強さで形成させた。電流の強さの低下後に電圧をさらに1時間保持した。キャパシタ特性の測定のために、18%硫酸からなるカソードを使用した。120Hzの交流電圧で測定した。
【0049】
比容量及び残余電流は第2表に記載されている。
【0050】
【表1】

【0051】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】圧力及び温度の経過を示す図。
【図2】出発五酸化物のSEM画像。
【図3】例9による生成物のSEM画像。
【図4】例3による生成物のSEM画像。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブ金属粉末を、蒸気状の還元金属及び/又はそれらの水素化物を用いる相応するバルブ金属酸化物粉末の還元により製造する方法において、
還元を5〜110hPaの還元金属/金属水素化物の蒸気圧で実施し、かつ還元期間の全部分又は一部分の間の反応空間中の全圧が1000hPa未満であることを特徴とする、バルブ金属粉末の製造方法。
【請求項2】
還元金属の蒸気圧が80hPa未満である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
還元金属の蒸気圧が8〜50hPaである、請求項2記載の方法。
【請求項4】
バルブ金属酸化物としてチタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、モリブデン及び/又はタングステン、好ましくはニオブ及び/又はタンタルの酸化物を使用する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
バルブ金属酸化物として五酸化タンタルを使用する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
還元を不活性キャリヤーガスの存在で実施する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
不活性キャリヤーガスの分圧が50〜800hPa、好ましくは600hPa未満、特に好ましくは100〜500hPaである、請求項6記載の方法。
【請求項8】
還元金属又は水素化物の源が還元すべきバルブ金属酸化物と場所的に離れている、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
ガス状の還元金属としてマグネシウム蒸気を使用する、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
バルブ金属酸化物粉末として五酸化タンタルを使用し、生じるタンタル金属粉末を別の工程においてマグネシウムと混合し、680〜850℃に加熱して、タンタル金属粉末の比表面積を別の処理前のタンタル金属粉末の比表面積の1/3未満に減少させる、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
プレス及び1200〜1250℃での焼結により60,000〜160,000μFV/gの比容量を有するキャパシタが製造可能であるタンタル粉末の製造方法において、五酸化タンタル粉末をマグネシウム蒸気を用いて5〜110hPaの蒸気圧で及び880℃未満の温度で還元して、6〜15m2/gの比表面積を有する金属粉末が生じるので、金属粉末の表面積を引き続いて化学量論的に少し過剰量のマグネシウムとの混合後に680〜850℃の温度で少なくとも3分の1だけ0.9〜4m2/gに減少させることを特徴とする、タンタル粉末の製造方法。
【請求項12】
ASTM B 822によるD50値及び超音波処理後に測定されるD50US値の商として測定されるアグロメレート安定性2未満、好ましくは1.7未満、特に好ましくは1.5未満を有する、0.9〜6m2/gの比表面積を有するタンタル粉末。
【請求項13】
1.5〜2m2/gの比表面積及び1.7未満のアグロメレート安定性値D50/D50USを有する、請求項12記載のタンタル粉末。
【請求項14】
2.7〜3.3m2/gの比表面積及び1.7未満のアグロメレート安定性値D50/D50USを有する、請求項12記載のタンタル粉末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−533854(P2007−533854A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508768(P2007−508768)
【出願日】平成17年4月9日(2005.4.9)
【国際出願番号】PCT/EP2005/003758
【国際公開番号】WO2005/105346
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(506350458)ハー ツェー シュタルク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンデイトゲゼルシヤフト (14)
【氏名又は名称原語表記】H.C. Starck GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Im Schleeke 78−91, D−38642 Goslar, Germany
【出願人】(505348566)スタルク株式会社 (2)
【Fターム(参考)】