説明

ニコチン製剤およびその使用

ニコチンが非種子生物起源のセルロース、特に藻類、細菌、及び/又は真菌由来のセルロース内に吸収、及び/又は該セルロース上に吸着されている、ニコチン含有医薬組成物、並びに治療における該組成物の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニコチンが非種子生物を起源とするセルロース、好ましくは大きな表面積を有する該セルロース内に吸収、及び/又は該セルロース上に吸着されたニコチン送達のための医薬品に関する。本発明のニコチン含有セルロースは、数種の医薬製剤に非常に適した生物学的に利用可能な形態で、安定なニコチンを高率で含有する。本発明はまた、ニコチン含有セルロースマトリクスを製造する方法にも関する。本発明はまた、ニコチンを対象者に送達する方法、及びシステム、並びに該医薬製剤の製造方法も含む。
【背景技術】
【0002】
煙草依存、及びその軽減
近年、喫煙の有害性が認識され、政府機関及び様々な健康団体並びに他の興味ある組織によって、多数のキャンペーン及びプログラムが、喫煙の健康に対する悪影響についての情報を普及させるために行われている。これに加え、及びその有害効果の認識により、喫煙率を低下させるための多数のプログラムが存在している。
【0003】
ニコチンは有機化合物であり、煙草に含まれる主要なアルカロイドである。ニコチンは、紙巻き煙草、葉巻、嗅ぎ煙草及びその他のニコチン含有製品に使用されている煙草中の主な習慣性成分である。しかしながら、ニコチンはまた習慣性の薬物でもあり、喫煙者はある期間禁煙に成功した後、喫煙を再開する傾向が強いという特徴がある。ニコチンは、コーヒーや紅茶由来のカフェインの次に、世界で二番目に多く使用されている薬物である。
【0004】
喫煙の主な問題点は、その健康との多大なる関係である。今日、喫煙関連の疾病は、概算で年に3〜4百万人の死因となっている。米国公衆衛生局長官のThe Health Consequences of Smokingの1988年報告によれば、米国だけで毎年約300,000人の死亡が紙巻き煙草の喫煙関連の疾病によるものと概算されている。事実、過剰な喫煙は、現在、世界中において健康上の主要な問題の一つとして認識されている。喫煙がもたらす悲惨な結果により、医師会及び健康機関の多くは煙草の使用に対して非常に強い措置を講じている。
【0005】
喫煙率は、現在、多数の先進国で低下しているものの、二番目に多く使用されている薬物の排除方法を見出すことは困難である。
【0006】
ヘビースモーカーが実行し得る最良の方法は、喫煙量を減らすか、喫煙を完全に止めることである。しかしながら、喫煙が通常、依存性疾患、又は渇望をもたらすものであるため、殆どの喫煙者にとってこれは経験的に極めて困難である。WHOはその疾病国際分類において、煙草依存症と称する診断を有している。米国精神医学会のような他の団体は、この中毒症状をニコチン依存症と称している。一般には、喫煙を止めることの困難さは、喫煙者がニコチン依存であるという事実から生じるものと認識されている。最も重大な危険因子は、煙草の燃焼中に一酸化炭素、タール生成物、アルデヒド、及びシアン化水素酸のような物質が形成されることである。
【0007】
ニコチンの影響
ニコチンの投与は、満足感を提供し得る。通常の投与方法は、紙巻き煙草、葉巻又はパイプを使用した喫煙である。喫煙は健康上有害であるため、喫煙を止めることを促す、及び/又は、喫煙の代替として使用し得る、ニコチンを快く投与するための代替的な手段を考案することが望ましい。
【0008】
紙巻き煙草を喫煙すると、ニコチンは喫煙者の血液中に迅速に吸収され、吸引から約10秒で脳に到達する。ニコチンの迅速な取り込みにより、消費者は満足感、又は刺激を素早く得ることが出来る。この満足感は紙巻き煙草喫煙中、及びその後しばらく継続する。喫煙の有害性、有毒性、発ガン性、及び習慣性により、紙巻き煙草を喫煙する習慣をなくすために有用な方法、組成物及び器具を模索する努力が開始されている。
【0009】
ニコチンは、植物煙草由来の習慣性を有する有毒なアルカロイドC10142である。ニコチンはまた、殺虫剤としても使用されている。
【0010】
ニコチン代替製品
喫煙量を減少させる方法の一つは、喫煙以外の形態、又は方法でニコチンを付与することである。この要求を満たす数個の製品が開発されている。ニコチン含有製剤は、現在のところ、煙草依存症を治療するために最も広く使用されている手段である。
【0011】
現在知られている製品を用いた喫煙率低下達成の成功率は、比較的低かった。現在の最先端では、行動的アプローチと薬理学的アプローチの両方が行われている。喫煙率を低下させるための行動又は薬理学的アプローチの後、喫煙を止めた喫煙者の80%を越える人が一般に喫煙を再開しており、約1年以内に先の喫煙率にて喫煙の習慣が戻っている。
【0012】
進んで禁煙しようとする人々の補助として数種の方法や形態が存在し、例えばニコチンチューインガム、及びニコチン経皮パッチのようなニコチン代替製品が市販されている。
【0013】
対象者の煙草使用に対する欲望を減退させるための数種の方法及び手段が開示されている。これらは、例えば米国特許第5,810,018号(ニコチンの経口スプレー)、米国特許第5,939,100号(ニコチン含有ミクロスフェア)、及び米国特許第4,967,773号(ニコチン含有ロゼンジ)に記載されているような、対象者にニコチン又はその誘導体を投与する工程を含む。
【0014】
ニコチン含有点鼻薬が報告されている(Russell等、British Medical Journal, Vol. 286, p.683(1983); Jarvis等、Brit. J. of Addiction, Vol. 82, p. 983(1987))。しかしながら、点鼻薬は投与が困難であり、仕事中や、その他の公共の場所で使用する際に不都合である。噴霧により鼻腔内に直接ニコチンを送達するニコチン投与が、米国特許第4,579,858号、独国特許第3241437号及び/又はWO/93 12764号にて公知である。しかしながら、鼻腔用ニコチン製剤の使用は、鼻にて局所刺激を生じ得る。投与の困難性は、投与されるニコチン用量の予測を不可能にする要因ともなる。
【0015】
ニコチンを経皮投与するための皮膚パッチの使用が報告されている(Rose、Pharmacologic Treatment of Tobacco Dependence, (1986) pp. 158-166,Harvard Univ.Press)。今日広く使用されているニコチン含有皮膚パッチは、局所刺激を生じることがあり、またニコチンの吸収が遅く、皮膚の血流により影響を受ける。
また、米国特許第5,167,242号に示唆されている、ニコチン蒸気を取り込むための紙巻き煙草に類似したニコチン吸引器が公知である。
独国特許第3,241,437号には、肺にニコチンを入れるエアゾルが開示されている。
【0016】
例えば米国特許第6,024,097号によるニコチン含有口内スプレーが当技術分野で知られており、同明細書ではニコチン濃度を累進的に減少させる複数のエアゾル分配器を使用することによって、喫煙習慣の放棄を支援する方法が開示されている。エアゾルは口内投与を目的としている。分配器内の液体は、基本的にニコチン及びアルコールからなる。
【0017】
米国特許出願公開第2002/0059939号には、ニコチン含有顆粒を口内に吸引することによる、ニコチン投与のための器具が開示されている。ニコチンはその粒子形態のみが提示されており、とりわけ糖、澱粉及びセルロースから構成されたスフェア中に組み込まれ得る。唯一の実施例は、糖のスフェアに吸着されたニコチン塩に関する。ここで言及されているセルロースは、通常のセルロース、即ち木材由来のセルロースであることを理解するべきである。
【0018】
米国特許第5,254,346号に、ニコチンと、メチルセルロースを含む界面活性剤とを含有し得る経皮パッチが開示されている。
独国特許第1,517,264号には、とりわけニコチンと、木材由来の可燃性セルロースとを含有する煙草代替物が開示されている。この代替物は、煙草の喫煙と同様、燃焼によりニコチンを放出することを意図している。
【0019】
ニコチン剤形
今日まで最も成功している喫煙率を低下させるアプローチの一つは、例えばチューインガム、経皮パッチ、鼻腔内スプレー、吸入器、舌下錠等のニコチン含有剤形に依存しており、これらは喫煙離脱症状を軽減することを意図するものである。これらの成功率は、以前に使用されていた他の方法の約2倍であると報告されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
先行技術及びその問題点
分解せず安定であると同時に、煙草のように燃焼を介してニコチンが放出されない、使用者にとって容易に入手し得るニコチン製剤を提供する必要がある。この必要性は、公知のニコチン製剤で完全には満たすことができない。本発明では、ニコチンの担体として非種子生物起源のセルロースを使用することによって、上記の必要性を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0021】
ニコチンベースの喫煙代替物、及び/又は禁煙補助品として使用される製品は、ニコチンを多数の異なる形態にて含有する。ニコチンの形態は、ニコチンの遊離塩基形、ニコチン塩、ニコチン誘導体、例えばニコチン陽イオン交換体、例えば遊離カルボン酸基を有するポリアクリレート、ニコチン包接錯体、又は任意の非共有結合形のニコチン、澱粉ミクロスフェアに結合したニコチン、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0022】
最も好ましい実施態様は、それ自体若しくは吸着剤上に吸着されているかのいずれかにおけるニコチン遊離塩基形で、若しくは水溶性を有する医薬的に許容される塩として、又は陽イオン交換体との錯体若しくは前記のものとの混合物として、例えばβ−シクロデキストリン等のシクロデキストリン錯体のような包接錯体としてのニコチンを組み込む。
【0023】
主として下の表1に示す酸からなる多数のニコチン塩が周知である。
【表1】

【0024】
本発明にて好ましいニコチン塩は、酒石酸塩、酒石酸水素塩、塩酸塩、酢酸塩及び/又はサリチル酸塩であるが、表1の他の酸の塩を除外するものではない。
例えばニコチン樹脂複合体、ニコチンβ−シクロデキストリン錯体、及び例えばニコチン重酒石酸塩二水和物等の塩等の従来の固体ニコチン種は、全て化学的に安定であり、ニコチンの揮発性が低く、ガム及び錠剤等の剤形で使用されている。
【0025】
周知の薬局方に記載されていないいくつかのニコチン形態は、活性医薬成分として使用されるに先だって、化学的及び物理的に特徴付けられる必要があり、また毒性学的な評価も必要である。
【0026】
本発明によって、容易に生物学的に利用可能な形態を有した高濃度の液体ニコチン遊離塩基、又は他の液体、半固体若しくは固体形態のニコチンは製品からニコチンが迅速に放出され得る化学的に安定で固体の製品に転換される。
【0027】
セルロース内への吸収及び/又は該セルロース上への吸着
本発明は、ニコチンを投与するためのセルロース担体を含む医薬品に関するものである。ニコチン−セルロースマトリクスは、薬物及び他の化学物質と結合する高い能力を有するセルロースを含み、該セルロースに対してニコチンが可逆的に結合することができる。セルロースは非種子生物を起源とする。例えば藻類起源のセルロースのような、非種子生物起源の多孔性の高いセルロース内に吸収、及び/又は該セルロースに吸着されたニコチンは開示されていなかった。セルロースは、水及び唾液にて容易に湿潤されるが、該液体中には溶解しないため、不活性な担体と考えることができる。ニコチン−セルロースマトリクスは、大きい細孔容積(pore volume)を有し、かつ良好な流動性を有することが好ましい。
【0028】
セルロースはいくつかの理由でニコチン担体として利便性が高い。セルロースは、白色かつ無味で、安定性及び生体親和性を有している。セルロースはまた薬物混合物中で良好なコンパクタビリティ(compactability)を示す。微結晶形のセルロースは、多くの錠剤組成物中で賦形剤として広範囲に使用されている。微結晶セルロースは、繊維質植物材料からパルプとして得られたアルファセルロースを鉱酸で処理することによって製造される、精製され、一部脱ポリマー化されたセルロースである。年間約10,000〜30,000トンの微結晶セルロースが、医薬錠剤の製造に使用されている。
【0029】
セルロース材料を獲得するには、少なくとも四種の方法が存在する。工業的に最も重要な方法は、分離プロセスにおいてリグニン及びヘミセルロースを除去するために種子生物からセルロース繊維を単離する工程である。乾燥木材の約1/3がアルファセルロースであり、微結晶セルロースの製造においてはこのようなセルロース材料を使用する。別法としては、藻類、細菌及び真菌を用いてセルロースを生合成させる。
【0030】
本発明のセルロースは、非種子生物を起源とする。本発明に好ましいセルロース担体の一種は、可逆的な吸収、及び/又は吸着メカニズムによってニコチンを結合させる、独特な能力を有する藻であるCladophora種を由来とするセルロースである。Cladophora種由来のセルロース粒子は、種子生物由来のセルロースと比較して多孔性が高く、ウエブ状の構造を有している。ニコチンはCladophora種セルロースのスポンジ状構造内に吸収され、及び/又は該構造上に吸着されることによって安定な形態に転換する。ニコチンは、保護されていない状態で保管された場合、蒸発及び/又は酸化分解による損失を受け易い不安定な化合物である。非種子生物セルロースの独特な構造及び並外れて大きい表面積は、該セルロースから形成された担体が、ニコチンを適切な方法で保護し得ることが示唆される。このセルロースのような多孔質構造内に吸収されることによって、ニコチンの空気との直接的な接触が防止され、その結果酸化に対して安定化する。
【0031】
ニコチンはアミン化合物であり、水溶液中のpKa値は約8.0である。pH=8.0超では非電荷ニコチンが優位に存在し、非電荷形態のニコチンのみが口内又は鼻の粘膜を迅速に浸透し得ることに留意することが重要である。
藻、及び真菌又は細菌を起源とするセルロースは、非種子生物セルロースとは異なる。藻、真菌及び細菌のセルロースの微細な構造は、結晶化度が高く、100m2/gのオーダーの巨大な表面積を有するウエブ状であるが、それに対して種子生物セルロースの固体繊維は、中位の結晶化度で多孔性が低く、表面積は1m2/g未満という特徴を有している。本発明のセルロースは、5m2/gより大きい表面積を有することが好ましい。またセルロース粒子は、約0.01cm3/gより大きい細孔容積を有することが好ましい。
【0032】
Cladophoraセルロース粉末の表面積は大きく(表2参照)、商業使用されている吸着剤の表面積に近く、約100〜1000m2/gのオーダーにある。Chemical Engineers' Handbook, Theory of sorption J.H. Perry, C.H. Chilton及びS.D. Kirkpatrick(Eds) 14th Ed McGrawHill Book Company New York 1963 16-4を参照されたい。
【0033】
非種子生物起源のセルロース内に吸収されることによって、セルロースの量に関して比較的大量のニコチンが、固体でかつ化学的に安定な形態に転換され得る。このニコチンの安定かつ固体の形態は、例えばチューインガム及び錠剤等の多数の剤形を製造する際に有利である。非種子生物起源のセルロースからのニコチンの放出は迅速であり得る。
【0034】
セルロース粒子には、例えば該粒子をニコチンのアルコール溶液と混合した後、アルコールを蒸発させるか、又はニコチンで飽和された空気若しくは不活性ガスから直接ニコチンを吸収することによって、ニコチンが充填される。蒸発によって充填されるニコチンの量は、ニコチン飽和空気から充填される量を凌ぐ。
【0035】
このように形成されたニコチン−セルロースマトリクスは、白色〜灰色の粉末である。このシステムは、所望により着色され、又は適当な着香剤及び甘味料で矯味矯臭されてもよい。このマトリクスは更に、緩衝剤、酸化防止剤、及び/又は保存剤を含有してもよい。添加された緩衝剤はニコチンと共に放出されて、周囲の溶液のpHを中和又は上昇させるものと想定される。
【0036】
ニコチン−セルロースマトリクスにより得られる主な利点は、
−ニコチンが固体かつ化学的に安定な形態で優位に存在すること。
−ニコチンが生物学的に容易に利用可能で、かつイオン化されていない塩基形態で優位に存在すること。
−ニコチンの可逆的結合。
−ニコチンの迅速放出。
−セルロースに結合できるニコチンの割合が大きいこと。
−セルロースは無味無臭であること。
−セルロースは非毒性でかつ無刺激性であること。
−セルロースは全身吸収されないこと。
【0037】
発明の概要
本発明は、ニコチンを非種子生物起源のセルロース内に吸収、及び/又は該セルロース上に吸着させる方法に関する。この方法によりニコチンが安定化される。ニコチン−セルロース混合物からのニコチンの水相への放出は、迅速であり得る。
【0038】
本発明はまた、チューインガム、口内スプレー、鼻腔スプレー、吸入器、舌下錠のような錠剤、ロゼンジ、バッカルサシェ(buccal sachets)、経皮パッチ及び散剤等の適切な剤形から、非種子生物セルロース内に吸収、及び/又は該セルロース上に吸着されたニコチンを送達するためのシステムを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
1.定義
用語「バッカル(buccal)」及び「バッカルに(buccally)」、並びにその等価語は、本願では口腔組織の全部又は任意の部分に関係することを意図する。
用語「結晶化度」及びその等価語は、以下の方法に従って定義される。
Bragg-Brentano型X線回折計(Diffraktometer D5000, Siemens, Germany)を用いてX線スペクトルを得た。CuKアルファ放射線を使用して(λ=1.54Å)、角度2θを10°〜45°間にて設定した。結晶化度指数を
【数1】

(式中、I002は、約22°の2θにおける全ピーク強度であり、Iamは約18°のベースラインにおける強度である)として計算した。Segal, L., Creely, J.J., Martin, A.E.Jr.,及びConrad, C.M., 1959を参照されたい。X線回折計を用いた天然セルロースの結晶化度を測定するための経験的方法については、Textile Res.J., October, 786-794を参照されたい。
【0040】
用語「表面積」、及びその等価語は、以下の方法により定義する。
粉末の比表面積は、N2吸着等温線(ASAP2010,Micrometrics, USA)のBET分析から得られた。これと同一の測定セットよりASAP2010V4ソフトウエアによって粉末の全細孔容積を得た。これらの測定のサンプルの重量は、5〜10m2の総表面を形成するよう選択された。水吸収を分析する際にもBET分析を使用した。水吸着に利用し得る表面積を、Brunauer, B., Emmett, P.H.,及びTeller, E., 1938に記載されている原理に基づいて獲得した。
【0041】
用語「アルファセルロース」、及びその等価物は、Ward K Occurrence of cellulose. In Cellulose and Cellulose Derivatives E Ott(Ed) Interscience Publishers Inc New York 1943, p11の通りに定義する。
「アルファセルロース」とは、マーセル法強度(17.5又は18%)の冷水酸化ナトリウムに不溶な工業的セルロースパルプの部分を意味する。ベータセルロースはそのような溶液に可溶であるが酸性化により沈殿し、その一方、ガンマセルロースは酸性化されても溶液中に残留する。
【0042】
2.非種子生物起源のセルロース
本発明は、非種子生物起源のセルロースに結合したニコチンに関する。このセルロースの高い結晶化度と多孔質のウエブ状構造は、重要なパラーメータであると信じられている。このようなセルロースは、例えば藻類、細菌、及び真菌により分泌される。よく粉砕された表面積の大きい種子生物セルロースの懸濁液を単にスプレードライして同様の特徴を有するセルロースを製造することは不可能である。その場合、セルロースは乾燥中に集塊して、本質的に非多孔性の粒子が得られるものと予想される。物理化学的方法を用いて乾燥中にセルロースの多孔性が保たれたとしても、その構造は不安定であり、湿気のある環境で崩壊する。そのようなセルロースを多湿な環境に晒した場合、表面積が劇的に減少することが分かっている。Matsumoto K., Nakai Y., Yamemochi E, Oguchi T.及びYamamoto K., Effect of pore size on the gaseous adsorption of ethenzamid on porous crystalline cellulose and the physicochemical stability of ethenzamide after storage.
Chem. Pharm. Bull. 46(1998) 314-318を参照されたい。
【0043】
精製手順は、種子生物ベースのセルロースに要する手順と順序が同一である。更にEk R, Gustafsson C, Nutt A, Iversen T及びNystroem C. Cellulose powder from Cladophora species algae. J. Mol. Recog. 11(1998) 263-265を参照されたい。巨大なパルプ及び紙製造工場を見ることによって、そのことが工業的生産の何を意味するところかということの表れは知ることができる。紅藻、褐藻及び緑藻類は、その細胞壁にアルファセルロースを含んでいる。表2に、いくつかの一般的な含有値を示す。緑藻類は、細胞壁に最も大量の(20〜40%)アルファセルロースを含んでいる。褐藻及び紅藻類は、約20%以下のアルファセルロースを含む。Kerger DR, Cell Walls, in The physiology and biochemistry of algae. RA Lewin(Ed.), Academic press, 1962, New Yorkを参照されたい。
【0044】
【表2】

【0045】
藻類はアルギナートの原料である。アルギナートは、褐藻類を採取し、そしてアルカリ抽出することにより製造される。抽出中、アルギナートはアルカリ性の液体に追従する。濾液中の残留物は細胞壁の不溶部分からなる。濾液残留物を精製することにより、アルファセルロースを得ることができる。フィルターケーキ中のセルロース材料の量及び種類は、藻類に依存する。表1を参照されたい。
【0046】
本発明に有用な藻類のセルロースは、表2に記載されている種、及び例えばAnabaena及びNostoc punctiformaeのような藍藻類(Cyanophyta:藍色植物門);
例えばChladophora glomerate、Oocystis、例solitaria及びapiculata、Valonia、例ventricosa、及びChara corallinaのような緑藻類(Chlorophyta:緑色植物門);
例えばVaucheriaのような黄金色藻類(Chrysophyta:黄金色植物門);
例えばCrypthecodinium cohnii、Gonyaulax polyedra、Scrippsiella hexapraecingula、Dinobryon及びPeridiniumのような渦鞭毛藻類(Pyrrophyta:炎色植物門);
例えばLessonia nigrescens、Macrocystis pyrifera、Ascophyllum nodosum及びFucus serratusのような褐藻類(Phaenophyta:褐色植物門)、並びに
例えばErythrocladia subintegraのような紅藻類(Rhodophyta:紅色植物門)から選択された1種又はそれ以上の藻類から得ることが好ましいが、これらに限定されるものではない。
【0047】
例えばAcetobacter xylinumから分泌されるような細菌性セルロースの利点は、植物セルロースに関連するリグニン、ペクチン及びヘミセルロース、並びに他の生物起源の産物を含有しないものが得られる点にある。Klemm D, Schumann D, Udhardt U及びMarsch S, Bacterial synthesized cellulose - artificial blood vessels for microsurgery Prog.polym.Sci. 26(2001) 1561-1603を参照されたい。
【0048】
本発明に有用な細菌起源のセルロースは、
例えばxylinum、pasteurianus、aceti及びacetigenusのような酢酸菌;
アクロモバクター;
アエロバクター;
例えばAgrobacterium tumefaciensのようなアグロバクテリウム;
アルカリゲネス;
Polyspondylium pallidum;
シュードモナス;
Rhizobium leguminosarumのようなリゾビウム;
サルシナ;
Sphaerophilus natans;
Xanthomonas campestris、並びに
Zoogloega
から選択される細菌から得られるセルロースである。
【0049】
本発明に有用な真菌類を由来とするセルロースは、
Achlya bisexualis;
Colletotrichum lindemuthianum;
例えばDictyostelium discoideumのようなDictyostelium;
Microdochium nivale;
Ophiostoma ulmi;
例えばparasitica var. nicotianae及びcactorumのようなPhytophtora;
例えばaphanidermatum、butleri及びultimatumのようなPythium;
例えばparasitica及びmonoicaのようなSaprolegnia
から選択される真菌から得られるセルロースである。
【0050】
3.ニコチン−セルロースマトリクス
混合物の総重量の約50%以下のニコチンが非種子生物起源のセルロース中に吸収、及び/又はセルロース上に吸着される一方、混合物は乾燥粉末の表面に尚残留する。
【0051】
4.吸入器
吸入器、吸入器具、又はその等価物は、ニコチンが充填され、空気が通過することができ、それにより気体形態のニコチンが対象者に送達可能にするリザーバを意味するものとする。
非種子生物起源のセルロースは、ニコチンに結合する高い能力を有し、またニコチンを気体形態にて可逆的に放出する。ニコチンを充填されたセルロース錠剤又はセルロースディスクを圧縮し、流速1000ml/分において、流動抵抗を0.2〜0.6kPaの範囲内に調節することにより、吸入器具で使用するのに適したマトリクスが得られる。使用者がそのような吸入器を一吹き(パフ)すると、ニコチンは器具を介して吸引される空気中に放出される。各パフによって対象者に送達されるニコチンの量は、流動抵抗に依存する。平均量は、8〜10μgニコチン/パフである。ニコチンの取り込みは主としてバッカル領域にて行われる。
【0052】
5.経皮パッチ
経皮パッチ又はその等価物は、パッチを皮膚に固着させ、薬物の既知量を皮膚の既知の領域へ既知の期間内に移送する粘着層を有するパッチを意味するものとする。良く知られている経皮薬物送達システムのタイプは、「粘着マトリクス中に含まれる薬物」タイプであり、支持層、薬物−粘着剤層、及び剥離ライナーから構成される三層形態を特徴とする。薬物−粘着剤層はポリマー材料から形成されており、ポリマー材料に薬物が分散される。他の経皮パッチの構成も当技術分野で知られている。
経皮パッチからのニコチン放出時間は、ポリマーからの薬物分散、及びニコチン−マトリクスからの薬物拡散により制御される。
【0053】
6.錠剤
本発明による錠剤は、ニコチン−セルロースマトリクスから口腔(buccal cavity)にニコチンを送達するロゼンジ、舌下錠、錠剤又はカプセル製剤の任意のものを含む。
好ましい実施態様では、遊離塩基/単位用量としての計算により錠剤1個につき0.5〜6mgのニコチンを含有する。
【0054】
7.チューインガム
本発明によるチューインガム製品は、薬用チューインガムであってもよい。本願にて薬用チューインガムとは、噛むことを意図されるが、飲み込むことを意図されないガムから主として構成される基体を伴う固体又は半固体の単回投与製剤を意味するものとする。このガムは、一種又はそれ以上の活性物質を含有し、該活性成分は噛むことにより放出される。活性成分が唾液中に溶解又は分散した後、口腔を介した経粘膜的取り込みにより薬物が全身に送達される。
好ましい実施形態では、チューインガム製品1個当たりのニコチン遊離塩基量としての計算で、0.5〜6mgのニコチンを含有し得る。
【0055】
8.バッカル小袋
バッカルサシェは、小さいティーバッグと同様の構造を有する薬物器具である。この送達システムは、ニコチンの用量が正確に測定されている「一部包装」小袋として説明することができる。ニコチン−セルロースマトリクスを含有するサシェは、嗅ぎ煙草の使用者が煙草サシェをあてるのと同様の仕方で、唇下に配置されることが好ましい。サシェは、唾液に溶解したり、又は唾液により悪影響を受けたりするものであってはならない。また同時に、サシェは唾液及び水を自由に浸透させ、またニコチン及び製剤中の他の可動成分を抽出することが達成できなければならない。サシェの材料は、織った又は不織の繊維から形成されていてもよい。材料は一般に、ヒートシール可能なティーバッグ紙、又はビスコース繊維製の不織布であり得るが、これらに限定されるものではない。サシェから送達されるニコチンの全身投与量は、嗅ぎ煙草及び噛み煙草の使用者が通常獲得するニコチン投与量と同一の範囲内にあることが好ましい。文献には、嗅ぎ煙草及び噛み煙草の使用者は、平均で各々3.6mg及び4.6mgの単位当り全身ニコチン投与量を獲得すると言及されている。しかしながら、投与される煙草中のニコチンの一部のみが全身に送達及び吸収されることに留意することが重要である。煙草中のニコチン濃度は1〜3%の範囲内にあり得、噛み煙草の一部中の煙草含有量は1gであり得る。湿潤嗅ぎ煙草の対応する量は、各々0.5〜1%、0.5〜1%である。それ故、嗅ぎ煙草又は噛み煙草の一部は、2.5〜30mgのニコチンを含有し得る。従って、本願で説明するセルロースベースの担体システムのサシェの用量も、2.5〜30mgの範囲内のニコチンを含有し得る。送達されるニコチン量は、1〜8mgであることが好ましい。この用量は、サシェの適用後0〜40分の間に放出され、好ましくは0〜20分の間に放出され得る。
上述した送達システムの長所は、ニコチンが濃褐色の嗅ぎ煙草としてではなく、白色又は微灰色のサシェにて送達されることである。それにより歯を黄変させたり、褐色の唾液を形成したり、また口内から使用済みの嗅ぎ煙草を不快に除去することなく、ニコチン送達が提供されることになろう。
【0056】
場合による緩衝剤添加
バッカル送達を目的とする本願の製剤中に、場合により(主としてであるがこれに限定されない)緩衝剤を添加することができる。
口腔から全身循環へのニコチン吸収は、唾液のpHと、約7.8であるニコチンのpKaとに依存している。唾液のpHを6.8と仮定すると、唾液中のニコチンの約10%のみが遊離塩基形である。従って、粘膜を介して優位に吸収される遊離塩基形のニコチンの吸収を促進するには、唾液のpHを上昇させる必要がある。pH8.8では、唾液中のニコチンの約90%が遊離塩基形となる。
【0057】
従って、また本発明によれば、本発明のニコチン含有医薬組成物は、緩衝及び/又はpH調整によってアルカリ化されてもよい。アルカリ化は、生理学的に許容される緩衝物質又は緩衝剤を含むか、又は他の手段により達成できる。他の手段とは、例えば自己緩衝添加剤、及び/又はニコチンのpH調整形態のような、通常緩衝剤として作用し得ない任意の成分によって緩衝することを含めることがを意図する。
【0058】
唾液のpHを上昇させる緩衝及び/又はpH調整によりニコチン取り込みが変化して、例えば唾液が緩衝及び/又はpH調整によりアルカリ化されない場合と比較して、ニコチン取り込み量が上昇する。また、本発明による口腔内ニコチン経粘膜取り込みは、本発明により緩衝及び/又はpH調整されていないニコチンと比較して速いため、より少量のニコチンが嚥下されて胃腸(GI)管に到達すると想定される。GI管に到達したニコチンは初回通過代謝を受け、それにより完全なニコチンの総吸収量が減少する。これは、本発明による緩衝剤と共に投与されなかったニコチンのバイオアベイラビリティは、一般に、緩衝剤と共に投与された場合と比較して低くなることを意味する。
【0059】
緩衝のために、例えばカリウム若しくはナトリウムのようなアルカリ金属又はアンモニウムの、重炭酸塩若しくはセスキ炭酸塩を含む炭酸塩、グリシナート、リン酸塩、グリセロリン酸塩、又はクエン酸塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酸化カルシウム、及びこれらの混合物の群から選択された一種又はそれ以上の緩衝剤を使用することができる。
更なる実施態様では、クエン酸三ナトリウム又はクエン酸三カリウム、及びそれらの混合物が使用され得る。
【0060】
尚更なる実施態様では、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム;及びリン酸三カリウム、リン酸水素二カリウムのような異なるリン酸系;並びに水酸化カルシウム、ナトリウムグリシナート;並びにこれらの混合物が使用され得る。
アルカリ金属の炭酸塩、グリシナート及びリン酸塩が、好ましい緩衝剤である。
pH調整は、ニコチンのpH調整形態、例えばニコチン遊離塩基を用いて実施することもできる。
液体医薬製剤中の一種又は複数の緩衝剤の量は、特定の実施態様においては上記したように唾液のpHを7より高い値に上昇させ、口腔内の唾液のpHを7より高く、例えばpH7〜11に維持するのに十分であることが好ましい。換言すれば、液体医薬製剤は、対象者に投与された際に同対象者の口腔内の液体のpHを約0.3〜4pH単位、好ましくは約0.5〜2.5pH単位で一時的に上昇させるように、緩衝及び/又はpH調整によりアルカリ化される必要がある。pHをそのように上昇させために必要な一種又は複数の緩衝剤の量は、当技術分野によって容易に計算される。
【0061】
ニコチン含有組成物の他の添加剤
本発明のニコチン含有組成物には、他の添加剤を添加することができる。
場合により添加される添加剤は、ビタミンE、即ちトコフェロール、ビタミンC、即ちアスコルビン酸及びその塩、ピロ亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソールを含む酸化防止剤;並びにパラベン、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、ベンジルアルコール、ベータ−フェニルエチルアルコール、塩化セチルピリジニウム、クエン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、酢酸、安息香酸、及びソルビン酸、並びにそれらの塩を含む保存料;並びにEDTAのようなキレート化剤;並びに没食子酸プロピルのような没食子酸エステルからなる群から選択される一種又はそれ以上の安定化添加剤を含む。
【0062】
場合により添加される更なる添加剤は、
−アゾンのような促進剤;
−ビタミンB、C及びEのようなビタミン類;
−フッ化物、特にフッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム及びフッ化第一スズのような無機物;
−亜鉛及びシクロデキストリンのような抗臭剤(anti-odours);
−場合により液化した1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、及び場合により液化した1,1,1,2,3,3,3,−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227)のような噴射剤;
−例えばサッカリン並びにそのナトリウム塩及びカルシウム塩、アスパルテーム、アセスルファーム(甘味料)及びそのカリウム塩、タウマチン、グリチルリチン、スクラロース、ジヒドロカルコン、アリテーム、ミラクリン、モネリン並びにステブシド(stevside)からなる群から選択される一種又はそれ以上の合成甘味剤及び/又は天然糖を含む甘味料;
−ソルビトール、キシリトール、マンニトール及びグリセロールのような多価アルコール;
−グルコース(別名デキストロース)、フルクトース(別名レブロース)及び/又はガラクトースを含む単糖類;
−サッカロース(別名スクロース)、ラクトース(別名乳糖)及びマルトース(別名麦芽糖)を含む二糖類;
−液体グルコースシロップ、例えば主としてデキストロース、マルトース、デキストリン及び水の混合物を含む澱粉加水分解物、デキストロース、レブロース及び水の混合物を含む、インベルターゼにより転化された転化糖シロップ、例えば糖蜜、蜂蜜及び麦芽抽出物のような糖含有率の高いシロップ、並びにそれらの混合物を含む糖混合物;
【0063】
−生又は乾燥した花、芽、葉、茎、果実、種子、果皮、樹皮、又は根の蒸留、溶剤抽出又は冷却圧搾により得られるエッセンシャルオイル、例えばハッカ油、オランダハッカ油、ユーカリ油、冬緑油、ニアウリ油、丁子油、カルダモン油、桂皮油、苦扁桃油、コリアンダー油、キャラウェイ油、ジンジャー油、杜松子油、オレンジ油、橙皮油、レモン油、グレープフルーツ油、マンダリン油、ベルガモット油、タイム油、ウイキョウ油及びローズマリー油からなる群から選択されるような着香剤及び/又は芳香剤;
−エッセンシャルオイルの希釈溶液、又は例えば果実、ベリー、ナッツ、香辛料、ハッカ、煙草、ココア、コーヒー、紅茶、バニラ、甘草、カラメル、タフィー、蜂蜜、ワイン、蒸留酒、及びビール由来の天然起源の風味成分の濃縮物のいずれかを含む、天然着香剤及び芳香剤;
−例えば果実、ベリー、ナッツ、香辛料、ハッカ、煙草、ココア、コーヒー、紅茶、バニラ、甘草、カラメル、タフィー、蜂蜜、ワイン、蒸留酒、及びビール等の天然着香剤と調和するように混合された炭化水素、アルコール、アルデヒド、エステル、ケトン、エーテル、及び酸化物を含む化学物質の混合物からなる合成着香剤及び芳香剤;
−並びにそれらの混合物;
からなる群から選択される一種又はそれ以上の添加剤を含む。
【実施例】
【0064】
実施例1 セルロースの精製
この実施例では、藻類、細菌又は真菌の原料からセルロースを抽出する方法を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。乾燥したCladophora種の藻500gを、酢酸0.5l中でNaClO2180gにより漂白した。この混合物を5lに希釈して、プラスチック袋に流し入れ、60℃の水浴中で3時間保管した。藻をpH紙の着色の指示によって中性(pH〜7)になるまで洗浄して、ろ過した。残留物に0.5MのNaOH 3lを加え、得られた生成物を60℃にて水浴中で一夜保管した。得られたパルプを中性になるまで洗浄し、ろ過して乾燥した。酸加水分解に先だって、乾燥精製された藻をミル内で粉砕した。乾燥精製された藻50gに5%のHClを1l加えて、懸濁液を沸騰するまで加熱した。一旦沸騰したら熱から除去して、スラリーを一夜放置した。その後、セルロースを中性になるまで再び洗浄して、噴霧乾燥した。
数種のセルロース粉末の主な特徴を、下の表3に示す。
【0065】
【表3】

a Brunauer, Emmet及びTeller法による表面積
b 細孔容積は、f 0.9862、g 0.9858及びh 0.9799の相対分圧における窒素充填セルロース粒子の全細孔容積を意味する。
c 商業的に入手可能な微結晶セルロース(AvicelPH102(登録商標))
d Algiflor、Damisco, France。このAlgiflorは、5種の褐藻類、Laminaria digitata、Lessonia nigrescenes、Macrocystis pyrifera、Ascophyllum nodosum、及びFucus serratusの混合物であった。
e Cladophora glomerataはバルト海にて採集し、約25%の乾燥度まで加圧し、室温で乾燥した。
本発明にて興味深い点は、主に、セルロース粒子が約0.01cm3/gより大きい細孔容積を有していることである。
【0066】
実施例2 ニコチン−セルロースマトリクスの製造
この実施例では、藻類セルロースに対してニコチンを添加する二つの方法を説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0067】
実施例2A ロータリーエバポレーション
セルロース粉末をエタノールで洗浄して、ロータリーエバポレーターに入れた。ニコチンのエタノール溶液を加え、セルロース粉末と共に十分に混合した。その後、エタノールを200mbarにて60℃で蒸発させた。セルロースに付着したニコチンの最大量は、ニコチン−セルロースマトリクスの総重量の約50%であった。
【0068】
実施例2B ニコチン飽和空気との接触
浅い開放容器内のセルロース粉末を、60℃で5日間ニコチン蒸気に晒した。セルロースに付着したニコチンの最大量は、ニコチン−セルロースマトリクスの総重量の約20%であった。
ニコチンを藻類セルロースに添加する上述した二つの方法は、他の起源のセルロースにニコチンを添加する際にも有用である。
【0069】
実施例3 吸入器の製造
実施例3A
ニコチン−セルロースマトリクスを圧縮して、1000ml/分の気流速度で0.2〜0.6kPaの流動抵抗を提供する適切なディスク又は錠剤を形成した。多孔性のディスク/錠剤を、吸入器内に配置した。使用者が吸入器を一吹きすると、吸入器具を介して吸引された気流に気体ニコチンが放出された。
これに代わって、ニコチン−セルロースマトリクスを粉末セルロースと混合して圧縮し、1000ml/分の流速で0.2〜0.6kPaの流動抵抗を提供する適切なディスク又は錠剤を形成した。多孔性のディスク/錠剤を吸入器の内に配置した。使用者が吸入器を一吹きすると、吸入器を介して吸引された気流に気体ニコチンが放出された。下の表4に、ディスク又は錠剤の組成を示す。
[表4]ディスク又は錠剤の組成
活性成分
ニコチン−セルロースマトリクス40% 75mg
他の成分
粉末セルロース 100mg
着香剤としてのレボメントール 3mg
【0070】
実施例3B
この実施例は、わずかに、ディスク/錠剤を、小円筒内に配置された2個の透過性ディスク間に配置したニコチン−セルロースマトリクスと代替した以外は、実施例3Aと同様に行った。
【0071】
実施例4 経皮パッチの製造
実施例4A
ニコチン−セルロースマトリクス4.5gを脱塩水40.0g中に懸濁させた。この懸濁液をプロピレングリコール6.0gと共に、下の表5に示すポリビドン90ゲル26.0gに加えて薬物ゲルを得た。この薬物ゲルを、コーティング装置を使用して溶媒キャスト法により、75μmの厚さのポリエステルシート上にて1.0mmの層に形成した。ゲル層を室温で乾燥した。下の表6に示す粘着剤調製物Iを、シリコン処理をしたポリエチレンホイル上に溶媒キャストして、乾燥した後、スチールシリンダを用いてゲル被覆シート上に積層した。
薬物−粘着剤層を剥離ライナーで覆い、シートを使用時までヒートシールしたパウチ内に保管した。
得られた支持層、薬物−粘着剤層、及び剥離ライナーを有するシートは0.5mmの厚さを有し、ニコチン濃度は約1.4mg/cm2であった。
【0072】
[表5] ポリビドン90ゲルの組成及び製造
組成: エタノール99.9% 226g
脱塩水 200g
ポリビドン 125g
製造: エタノール及び水を混合し、ポリビドン90を攪拌下で徐々に加える。
攪拌を更に10分間継続する。その後、ゲルを少なくとも16時間放置
して膨張させる。
【0073】
[表6] 粘着剤調製物Iの組成
ポリイソブチレンオパノール10 1.0g
ポリイソブチレンオパノール50 1.5g
ポリイソブチレンオパノール120 2.0g
ヘキサン 30.0ml
流動パラフィン 5.5g
【0074】
実施例4B
ニコチン−セルロースマトリクス6.0gを、下の表7による粘着剤調製物II68.4gに加えた。次いで、ニコチン2.4gを加えて薬物ゲルを形成した。この薬物ゲルを、コーティング装置を使用して溶媒キャスト法により、75μmの厚さのポリエステルシート上にて0.8mmの層に形成し、ゲル層を室温で乾燥した。上の表6に示した粘着剤調製物Iを、ゲル被覆シート上に積層した。積層は溶媒キャスト法により行い、即ち粘着剤調製物Iをシリコン化ポリエチレンホイル上に溶媒キャストして100μmの層にし、室温で乾燥して、スチールシリンダを用いて乾燥した薬物ゲル層上に加圧した後、ポリエチレンホイルを除去した。
薬物−粘着剤層を剥離ライナーで覆い、シートを使用時までヒートシールしたパウチ内に保管した。
得られた支持層、薬物−粘着剤層、及び剥離ライナーを有するシートは0.29mmの厚さを有し、ニコチン濃度は約2.1mg/cm2であった。
【0075】
[表7] 粘着剤調製物IIの組成
ポリイソブチレンオパノール10 2.0g
ポリイソブチレンオパノール50 1.5g
ポリイソブチレンオパノール120 1.0g
ヘキサン 30.0ml
流動パラフィン 2.0g
【0076】
実施例5 舌下錠の製造
この実施例は、舌下錠について説明するが、本発明はこの説明に限定されるものではない。製造の方法は当技術分野で知られている任意の適切な方法であり得る。舌下錠は、下の表8に示す組成を有することが好ましい。
直接圧縮のために粉末を混合し、該粉末90mgを6mmパンチにて圧縮した。
【0077】
【表4】

【0078】
実施例6 チューインガムの製造
この実施例は、一般とは異なった非被覆チューインガム(コア(core)と称される)の製造について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。コアは被覆することができ、この被膜にニコチンを含有させることができる。
【0079】
目的
本実施例の目的は、本発明によるチューインガム製品に適したコアを提供することである。ニコチンは、Cladophora種のセルロース内に吸収された、及び/又は該セルロース上に吸着された遊離塩基として組み込まれる。
原則
コアは、混合、圧延及び切断工程、又は圧縮工程により形成される。
コアの組成
コアの組成は、下の表9及び表10によるものが好ましい。
【0080】
【表5】

【0081】
【表6】

【0082】
コア製造の方法
I)混合、圧延及び切断
混合、圧延及び切断を従来の方法により行った。二重シグマブレードミキサーを使用してガムベースと製剤の他の成分とを混合した。ガムベースをミキサー中で軟化させた。加熱ジャケットからの熱及び混合を介して、ガムベースを塑性にした。かように軟化されたベースを、液体成分、例えば香料、液体、ソルビトール及びグリセロール、並びに固体材料、例えばいずれかの固体形態を有するニコチン、緩衝剤、甘味料バルク、粉末混合物としての着色料と混合した。ミキサーからの温かい塊を放出させてパンの形態にトラック上のトレーに積み重ね、次の工程が開始される迄、調整領域にて保管した。この手順は、ガムを冷却することを目的としている。
【0083】
その後、圧延及び切断を実施した。ガムを押出成形して厚いシート状にし、これを多数のカレンダーロールセットにより圧延して、正確な厚さにした。通常二セットからなる切断ロールが、シートを正確な寸法に切断した。
次に、シートをトレー上にて調節領域に移送し、ここでシートは冷却されて破断されるに十分な脆性を付与された。調節されたガムシートは、次いでシートを切断機に沿って個々のガム片に分割する回転ドラムである破断機に通過させた。
区分け段階にて、変形ガムは排除された。許容されたガムを金属探知器に通過させた。
【0084】
II)圧縮
通常乾式法である圧縮によって製造されたチューインガム、即ち錠剤ガムを、特別なガムベースから形成した。混合物粒子を正確な寸法に形成するために、造粒の際に高速ミキサーを使用してもよい。次いで、この混合物を打錠装置にて圧縮した。
区分け段階にて、変形ガムは排除された。許容されたガムを金属探知器に通過させた。
【0085】
実施例7 バッカルサシェの製造
適切に織った、又は不織の約15×20mmの寸法を有する半透過性布材料のサシェに、所定量のニコチン−セルロースマトリクスを充填した。下の表11を参照されたい。適切な質量を有する製剤を得るために、サシェに不活性充填剤を加えてもよい。この充填剤は剤形の物理的寸法を大きくするために増量剤として作用する。この充填剤は適切な粒径を有する粉末セルロースであってもよい。サシェは接着又はヒートシールにより密封された。
【0086】
【表7】

【0087】
実施例8 ニコチン、並びにCladophora種セルロース粒子及び微結晶セルロースから調製されるニコチン−セルロースマトリクスの安定性試験
保管条件:25℃及び60%の相対湿度
包装:テフロン(登録商標)裏打ちネジ蓋を有するガラス製広口瓶
分析方法:ニコチン及び関連化合物(即ち、既知の不純物、及び分解生成物)の液体クロマトグラフィーによる測定
【表8】

【0088】
本発明ニコチン−セルロースマトリクス組成物は、例えば喫煙若しくは別様の煙草含有材料の使用に対する衝動を低減するための治療、及び/又は、喫煙することなく喫煙に対する満足感を付与する療法等の治療において有用であり、同治療は、本ニコチン含有医薬組成物を対象者に投与することを含む。
前記治療はまた、喫煙又は他の煙草含有材料の使用に対する衝動を低下させる、及び/又は、喫煙を用いないで喫煙に対する満足感を付与する一つ又はそれ以上の他の方法と組み合わせてもよい。前記一つ又はそれ以上の治療は、チューインガム、鼻腔内スプレー、経皮パッチ、ロゼンジ、錠剤、並びに非経口的手段若しくは方法、皮下手段若しくは方法、静脈内手段若しくは方法、直腸経由の手段若しくは方法、膣経由の手段若しくは方法、及び経粘膜的手段若しくは方法;又は煙草の使用を介した投与のうちから選択され得る。
本発明ニコチン−セルロースマトリクス含有組成物は、煙草又はニコチン中毒、アルツハイマー病、クローン病、パーキンソン病、トゥーレット症候群、潰瘍性大腸炎からなる群から選択される疾病の治療;及び体重管理にも有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非種子生物起源のセルロース内に可逆的に吸収、及び/又は、該セルロース上に可逆的に吸着されたニコチンを含むことを特徴とする、ニコチン含有医薬組成物。
【請求項2】
セルロースの少なくとも一部が、
藍藻類、例えば、Anabaena及びNostoc punctiformae;
緑藻類、例えば、Chladophora glomerata及びrupestris、Chaetomorpha melagonium、Enteromorpha、Ulva lactuca、Oocystis、例えばsolitaria及びapiculata、並びにValonia、例えばventricosa、及びChara corallina;
黄金色藻類、例えば、Vaucheria;
渦鞭毛藻類、例えば、Crypthecodinium cohnii、Gonyaulax polyedra、Scrippsiella hexapraecingula、Dinobryon及びPeridinium;
褐藻類、例えば、Lessonia nigrescens、Macrocystis pyrifera、Ascophyllum nodosum、Fucus serratus、Halidrys siliquosa、Himanthalia lorea、Pelvetia canaliculata、Laminaria digitata、並びに
紅藻類、例えば、Griffithsia flusculosa、Porphyra、Ptilota plumosa、Rhodymenia palmate及びErythrocladia subintegra、
から選択された一種又はそれ以上の藻類から得られることを特徴とする、請求項1に記載のニコチン含有医薬組成物。
【請求項3】
セルロースの少なくとも一部が、
アセトバクター、例えば、xylinum、 pasteurianus、aceti及びacetigenus:
アクロモバクター;
アエロバクター;
アグロバクテリウム、例えば、Agrobacterium tumefaciens;
アルカリゲネス;
Polyspondium pallidum;
シュードモナス;
リゾビウム、例えば、Rhizobium leguminosarum;
サルシナ;
Sphaerofilus natans;
Xanthomonas campestris、並びに
Zoogloega
から選択された細菌から得られることを特徴とする、請求項1に記載のニコチン含有医薬組成物。
【請求項4】
セルロースの少なくとも一部が、
Achlya bisexualis;
Saprolegnia、例えば、parasitica及びmonoica;
Dictyostelium 、例えば、Dictyostelium discoideum;
Phytophtora、例えば、parasitica var. nicotianae及びcactorum;
Microdochium nivale;
Ophiostoma ulmi;
Colletotrichum lindemuthianum;並びに
Pythium、例えば、aphanidermatum、butleri及びultimatum
から選択された真菌から得られることを特徴とする、請求項1に記載のニコチン含有医薬組成物。
【請求項5】
ニコチンが、ニコチン塩、好ましくは酒石酸塩、酒石酸水素塩、塩酸塩、酢酸塩又はサリチル酸塩、ニコチンの遊離塩基形態、ニコチン誘導体、任意のニコチン非共有結合体、及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに一項に記載のニコチン含有医薬組成物。
【請求項6】
生又は乾燥した花、芽、葉、茎、果実、種子、果皮、樹皮、又は根の蒸留、溶剤抽出又は冷却圧搾により得られるエッセンシャルオイル、例えばハッカ油、オランダハッカ油、ユーカリ油、冬緑油、ニアウリ油、丁子油、カルダモン油、桂皮油、苦扁桃油、コリアンダー油、キャラウェイ油、ジンジャー油、杜松子油、オレンジ油、橙皮油、レモン油、グレープフルーツ油、マンダリン油、ベルガモット油、タイム油、ウイキョウ油及びローズマリー油からなる群から選択される着香剤及び/又は芳香剤;エッセンシャルオイルの希釈溶液、又は例えば果実、ベリー、ナッツ、香辛料、ハッカ、煙草、ココア、コーヒー、紅茶、バニラ、甘草、カラメル、タフィー、蜂蜜、ワイン、蒸留酒、及びビール起源の天然起源の風味成分の濃縮物のいずれかを含む天然着香剤及び芳香剤のうちの一種又はそれ以上を更に含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のニコチン含有医薬組成物。
【請求項7】
ビタミンE、即ちトコフェロール、ビタミンC、即ちアスコルビン酸及びその塩、ピロ亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソールを含む酸化防止剤;並びにパラベン、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、ベンジルアルコール、ベータ−フェニルエチルアルコール、塩化セチルピリジニウム、クエン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、酢酸、安息香酸、及びソルビン酸、並びにそれらの塩を含む保存料;並びにEDTAのようなキレート化剤;並びに没食子酸プロピルのような没食子酸エステルからなる群から選択される一種又はそれ以上の安定化添加剤を更に含有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のニコチン含有医薬組成物。
【請求項8】
増粘剤、例えば天然、半合成又は合成ポリマー、例えば澱粉及び澱粉誘導体、セルロース及びセルロース誘導体、ポリエチレングリコール及びその誘導体、ポリアクリレート、並びにポリビニルエステル及びエーテル;
アゾンのような促進剤;
ビタミンB、C及びEのようなビタミン類;
フッ化物、特にフッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、及びフッ化第一スズのような無機物;
亜鉛及びシクロデキストリンのような抗臭剤;
場合により液化した1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、及び場合により液化した1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227)のような噴射剤;
サッカリン並びにそのナトリウム及びカルシウム塩;
アスパルテーム、アセスルファーム及びそのカリウム塩、タウマチン、グリチルリチン、スクラロース、ジヒドロカルコン、アリテーム、ミラクリン、モネリン及びステブシド(stevside)等の人工甘味料からなる群から選択される一種又はそれ以上の合成甘味剤及び/又は天然糖を含む甘味料;
ソルビトール、キシリトール、マンニトール及びグリセロールのような多価アルコール;
グルコース(別名デキストロース)、フルクトース(別名レブロース)及びガラクトースを含む単糖類;
サッカロース(別名スクロース)、ラクトース(別名乳糖)及びマルトース(別名麦芽糖)を含む二糖類;
液体グルコースシロップ、例えば主としてデキストロース、マルトース、デキストリン及び水の混合物を含む澱粉加水分解物、デキストロース、レブロース及び水の混合物を含むインベルターゼにより転化されたスクロースのような転化糖シロップ、例えば糖蜜、蜂蜜及び麦芽抽出物のような糖含有率の高いシロップ;
並びにこれらの混合物を含む糖混合物
からなる群から選択される一種又はそれ以上の添加剤を更に含有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のニコチン含有医薬組成物。
【請求項9】
モノ炭酸塩、重炭酸塩、又はセスキ炭酸塩のような炭酸塩;カリウム若しくはナトリウムのようなアルカリ金属又はアンモニウムのグリシナート、リン酸塩、グリセロリン酸塩、酢酸塩、グルコン酸塩、又はクエン酸塩、並びにそれらの混合物からなる群から選択される一種又はそれ以上の緩衝剤の使用;及び/又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、及び酸化カルシウムからなる群から選択されるpH調整剤の使用;及び/又は少なくとも一部がpH調整形態を有するニコチンの使用により緩衝及び/又はpH調整することによってアルカリ化されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のニコチン含有医薬組成物。
【請求項10】
吸入器具、経皮パッチ、鼻腔内スプレー、口内スプレー、吸入器、又はバッカルサシェ、舌下ロゼンジ等のロゼンジ、錠剤、若しくは散剤のような経口用剤形に含まれることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のニコチン含有医薬組成物。
【請求項11】
セルロースが、ニコチンの蒸気、又はニコチン若しくはニコチン塩のアルコール溶液に晒されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載のニコチン含有医薬組成物の製造方法。
【請求項12】
喫煙、若しくは別様の煙草含有材料の使用に対する衝動を低減する、及び/又は喫煙することなく喫煙による満足感を提供する、又はアルツハイマー病、クローン病、パーキンソン病、トゥーレット症候群、潰瘍性大腸炎を治療する、若しくは体重管理を実現するための方法であって、該方法は対象者に請求項1〜10のいずれか一項に記載のニコチン含有医薬組成物を投与することを含む方法。
【請求項13】
喫煙若しくは別様の煙草含有材料の使用に対する衝動を低減する、及び/又は喫煙することなく喫煙による満足感を提供する、又はアルツハイマー病、クローン病、パーキンソン病、トゥーレット症候群、潰瘍性大腸炎を治療する、若しくは体重管理を実現するための方法であって、請求項12に記載の方法が、喫煙若しくは別様の煙草含有材料の使用に対する衝動を低減する、及び/若しくは喫煙することなく喫煙による満足感を提供する、又はアルツハイマー病、クローン病、パーキンソン病、トゥーレット症候群、潰瘍性大腸炎を治療する、若しくは体重管理を実現するための一種又はそれ以上の他の方法と組み合わせて使用される方法。
【請求項14】
煙草又はニコチン中毒、アルツハイマー病、クローン病、パーキンソン病、トゥーレット症候群、潰瘍性大腸炎からなる群から選択される疾病の治療、及び体重管理に使用される、請求項1〜10のいずれか一項に記載のニコチン含有医薬組成物。
【請求項15】
煙草又はニコチン中毒、アルツハイマー病、クローン病、パーキンソン病、トゥーレット症候群、潰瘍性大腸炎からなる群から選択される疾病の治療、及び体重管理のための請求項1〜10のいずれか一項に記載のニコチン含有医薬組成物の製造における、ニコチン及び非種子生物起源のセルロースの使用。

【公表番号】特表2007−505037(P2007−505037A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525201(P2006−525201)
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【国際出願番号】PCT/IB2004/002787
【国際公開番号】WO2005/023227
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(505275262)ファイザー・ヘルス・アクティエボラーグ (7)
【Fターム(参考)】