説明

ニューロパシーの疼痛を処置するためのニューブラスチンポリペプチドの使用

【課題】触覚異痛症を含むニューロパシーの疼痛の処置、およびニューロパシーに関連する疼痛感受性の損失を減少させるための処置の提供。
【解決手段】ニューブラスチン(NBN)ポリペプチドの使用を包含する。ニューブラスチンポリペプチドを含有する処方物を、1用量あたり、被験体の体重1kgあたり1μg〜30,000μgの間の投薬量で被験体に投与する工程を包含する。ニューロパシーの疼痛は、例えば、ヘルペス後神経痛、糖尿病性ニューロパシー、または坐骨神経痛に関連する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、ニューロパシーの疼痛(触覚異痛を含む)の処置、およびニューロパシーに
関連する疼痛感受性の損失を低減するための処置に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ニューロパシーの疼痛は、慢性疼痛のいくつかの形態、および身体組織ではなく神経の
機能不全から生じる形態を含む疼痛のカテゴリーである。ニューロパシーの疼痛(中枢神
経系または末梢神経系の機能不全に由来する疼痛)はまた、末梢神経もしくは中枢神経系
の領域に対する損傷の結果であり得るか、疾患から生じるか、または特発性であり得る。
ニューロパシーの疼痛の症状としては、灼熱感、刺痛感、電気の感覚、ピンおよび針の感
覚、硬直、四肢のしびれ、身体がねじれる感覚、異痛(通常は無害の皮膚の刺激により誘
発される疼痛)、痛覚過敏(hyperalgesia)(疼痛に対する異常な感受性)
、ならびに痛覚過敏(hyperpathia)(疼痛刺激が止まった後長く続く過剰な
疼痛応答)が挙げられる。
【0003】
ニューロパシーの疼痛のいくつかの一般的な原因は、糖尿病、癌の化学療法、帯状疱疹
感染、変性脊椎疾患に起因する頚部または腰椎根の圧迫、神経叢または神経根の悪性病巣
、神経変性(例えば、切断による)、HIV感染、および中枢疼痛経路(脊髄視床路、視
床、または視床放線を含む)の病変である。ニューロパシーの疼痛のさらなる原因として
は、薬物誘導ニューロパシー、または毒素誘導ニューロパシーが挙げられる。例えば、d
dI、ddCおよびd4Tのような抗ウイルス剤は、一般的に、末梢ニューロパシーを引
き起こし、フェニトイン(抗痙攣薬剤)、イソニアジド(結核用薬剤)、ビンクリスチン
、ビンブラスチン、タキソール、タキソテール(taxotere)およびシスプラチン
(癌化学療法剤)、高用量ビタミン、および葉酸拮抗薬も同様である。
【0004】
ニューロパシーの疼痛の管理のための現在の治療は、多くの患者にとって利益が限られ
ており、そして所望でない副作用または用量を制限する毒性を含む。さらに、現在の治療
は、症候性であり、疾患を改善するものではない。ニューロパシーの疼痛の管理および処
置のための改善された治療(特に、根本的な病理を標的とする治療)の必要性が残ってい
る。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明は、ニューロパシーの疼痛を処置するための改善された方法、触覚異痛を処置す
るための改善された方法、およびニューロパシーに関連する疼痛感受性の損失を低減する
ための改善された方法を提供する。本発明の方法は、ニューブラスチン(neublas
tin)(「NBN」)ポリペプチドを使用し、このニューブラスチンポリペプチドには
、全長ニューブラスチンポリペプチドまたは生物活性な短縮型ニューブラスチンポリペプ
チドが挙げられ、これらには例えば、少なくとも配列番号2、4、5および11〜27が
含まれる。さらに、本発明は、薬学的に受容可能なキャリア中に懸濁されるか、溶解され
るか、または分散される、全長ニューブラスチンポリペプチドまたは短縮ニューブラスチ
ンポリペプチドを含む薬学的組成物を提供する。
【0006】
特定の実施形態において、ニューブラスチンポリペプチドは、配列番号2のAA−80
〜AA140、配列番号2のAA−41〜AA140、配列番号2のAA〜AA140
、配列番号2のAA25〜AA140、配列番号2のAA28〜AA140、配列番号4
のAA−80〜AA144、配列番号4のAA〜AA144、配列番号5のAA〜A
224、または配列番号5のAA81〜AA224のいずれかのポリペプチド;配列番
号2のAA107〜AA140または配列番号2のAA76〜AA140のいずれかに記
載のC末端配列を含み、そしてGDNFファミリーおよびTGF−βスーパーファミリー
の7つのCys残基の特徴を維持している、少なくとも1つのポリペプチド;配列番号1
4、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番
号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24、配列番号25、配
列番号26または配列番号27を含む少なくとも1つのポリペプチド;あるいは上で列挙
した配列に対して70%を超えるアミノ酸相同性を有する、少なくとも1つのポリペプチ
ド配列であり得る。
【0007】
このニューブラスチンポリペプチドは、体内における延長された滞留時間または増加し
た濃度を有するように誘導体部分により改変され得る。ニューブラスチンポリペプチドは
、N−グリコシル化ニューブラスチンポリペプチドであり得る。さらに、このニューブラ
スチンポリペプチドは、1つ以上の部分で誘導体化され得、この部分としては、ポリエチ
レングリコール部分、脂肪族エステル、アミド、N−アシル誘導体、またはO−アシル誘
導体が挙げられるがこれらに限定されない。
【0008】
一実施形態において、本発明は、被験体におけるニューロパシーの疼痛を処置するため
の方法を特徴とし、この方法は、この被験体に、有効量のニューブラスチンポリペプチド
(例えば、配列番号2、4、5および11〜27のいずれか1つを含む)を投与する工程
を、単独で包含するか、または以下からなる群から選択される有効量の痛覚脱失誘導化合
物もまたこの被験体に投与することによる:オピオイド、抗不整脈薬、局所鎮痛薬、局所
麻酔薬、鎮痙薬、抗うつ薬、コルチコステロイド、および非ステロイド性抗炎症薬(NS
AIDS)。好ましい実施形態において、痛覚脱失誘導化合物は、鎮痙薬である。別の好
ましい実施形態において、痛覚脱失誘導化合物は、ガバペンチン(gabapentin
)((1−アミノメチル)シクロヘキサン酢酸)またはプレガバリン(pregabal
in)(S−(+)−4−アミノ−3−(2−メチルプロピル)ブタン酸)である。
【0009】
別の実施形態において、本発明は、被験体における触覚異痛を処置するための方法を特
徴とし、この方法は、有効量のニューブラスチンポリペプチド(例えば、配列番号2、4
、5および11〜27の少なくとも1つを含む)をこの被験体に投与すること単独による
か、または以下からなる群から選択される痛覚脱失誘導化合物の有効量と共に、有効量の
ニューブラスチンポリペプチドをこの被験体に投与することによる:オピオイド、抗不整
脈薬、局所鎮痛薬、局所麻酔薬、鎮痙薬、抗うつ薬、コルチコステロイド、およびNSA
IDS。好ましい実施形態において、この痛覚脱失誘導化合物は、鎮痙薬である。別の好
ましい実施形態において、この痛覚脱失誘導化合物は、ガバペンチン((1−アミノメチ
ル)シクロヘキサン酢酸)またはプレガバリン(S−(+)−4−アミノ−3−(2−メ
チルプロピル)ブタン酸)である。
【0010】
ニューブラスチンポリペプチドは、治療剤に付随して投与され得、この治療剤としては
、抗癌剤または抗ウイルス剤が挙げられるがこれらに限定されない。抗癌剤としては、タ
キソール、タキソテール、シスプラチン、ノコダゾール(nocodazole)、ビン
クリスチン、ビンデシンおよびビンブラスチンが挙げられるが、これらに限定されない。
抗ウイルス剤としては、ddI、DDC、d4T、ホスカネット、ダプソン、メトロニダ
ゾル、およびイソニアジドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0011】
本発明は、被験体においてニューロパシーの疼痛を処置するための方法を包含する。特
定の実施形態において、このニューロパシーの疼痛は、糖尿病性ニューロパシーに関連す
る。別の実施形態において、このニューロパシーの疼痛は、ウイルスによる被験体の感染
に関連し、このウイルスとしては、ヘルペスウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)
、およびパピローマウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。ニューロパシーの
疼痛は、帯状疱疹ウイルスによる感染、または特にヘルペス後神経痛に関連し得る。さら
なる実施形態において、ニューロパシーの疼痛は、坐骨神経痛に関連する。別の実施形態
において、本発明は、ニューロパシーに罹患した被験体における疼痛感受性の損失を調節
するための方法を特徴とする。好ましい実施形態において、このニューロパシーは、糖尿
病性ニューロパシーである。別の好ましい実施形態において、疼痛感受性の損失は、熱疼
痛感受性の損失である。
【0012】
さらなる実施形態において、ニューロパシーの疼痛は、痛覚過敏、幻想痛、熱痛覚過敏
であるか、または外傷に関連する損傷に起因する。さらに、ニューロパシーの疼痛はまた
、以下に関連し得る:遺伝性ニューロパシー(フリートライヒ運動失調、家族性アミロイ
ド多発性ニューロパシー、タンジアー病、ファブリー病が挙げられるが、これらに限定さ
れない)、代謝障害(腎不全および甲状腺機能低下が挙げられるが、これらに限定されな
い)、ビタミン欠乏症(ビタミンB12欠乏症、ビタミンB6欠乏症、およびビタミンE
欠乏症が挙げられるがこれらに限定されない)、中毒性ニューロパシーおよび医原性ニュ
ーロパシー(アルコール症、ビタミンB6中毒、ヘキサカーボン(hexacarbon
)中毒、アミオダロン、クロラムフェニコール、ジスルフィラム、イソニアジド、金、リ
チウム、メトロニダゾル、ミソニダゾル(misonidazole)、ニトロフラント
インが挙げられるがこれらに限定されない)、感染性ニューロパシー(らい病、ライム病
が挙げられるがこれらに限定されない)、自己免疫ニューロパシー(ギヤン−バレー症候
群、慢性炎症性脱髄性多発性ニューロパシー、重要性未定の単一クローン性高ガンマグロ
ブリン血症、および多発性ニューロパシーが挙げられるが、これらに限定されない)、三
叉神経痛、エントラップメント症候群(手根管が挙げられるがこれに限定されない)、外
傷後神経痛、幻肢痛、多発性硬化症の疼痛、複雑性局所疼痛症候群(反射性交感神経性ジ
ストロフィー、カウザルギーが挙げられるがこれらに限定されない)、新形成、脈管炎/
脈管障害性ニューロパシーおよび特発性ニューロパシー。
【0013】
前述の方法は、ニューブラスチンポリペプチドを含有する処方物を、1用量あたり、被
験体の体重1kgあたり1μg〜30,000μgの間の投薬量で被験体に、好ましくは
全身に投与する工程を意図する。代替の実施形態において、この投薬量は、1用量あたり
、被験体の体重1kgあたり10μg〜30,000μgの間;1用量あたり、被験体の
体重1kgあたり10μg〜10,000μgの間;1用量あたり、被験体の体重1kg
あたり25μg〜10,000μgの間;1用量あたり、被験体の体重1kgあたり25
μg〜3,000μgの間;および1用量あたり、被験体の体重1kgあたり50μg〜
3,000μgの間である。
【0014】
前述の方法において使用されるニューブラスチンポリペプチドは、任意の適切な送達系
を介して投与され得、そして好ましくは、静脈内送達、筋内送達、肺内送達、皮下送達、
および腹腔内送達からなる群からの送達系を介して、最も好ましくは筋内送達または皮下
送達を介して投与され得る。前述の方法において使用されるニューブラスチンポリペプチ
ドはまた、髄腔内送達を介して投与され得る。
【0015】
本発明のNBNポリペプチド含有処方物は、時限放出(timed−released
)組成物において投与され得る。
上記に加えて、本発明は、以下の手段を提供する:
(項目1)
被験体におけるニューロパシーの疼痛を処置するための方法であって、該方法は、ニュ
ーブラスチンポリペプチドを含有する処方物を、1用量あたり、該被験体の体重1kgあ
たり1μg〜30,000μgの間の投薬量で該被験体に投与する工程を包含する、方法

(項目2)
前記ニューロパシーの疼痛が、ヘルペス後神経痛、糖尿病性ニューロパシー、または坐
骨神経痛に関連する、項目1に記載の方法。
(項目3)
被験体における触覚異痛症を処置するための方法であって、該方法は、ニューブラスチ
ンポリペプチドを、1用量あたり、該被験体の体重1kgあたり10μg〜30,000
μgの間の投薬量で該被験体に投与する工程を包含する、方法。
(項目4)
前記ニューブラスチンポリペプチドが、静脈内送達、筋肉内送達、肺内送達、皮下送達
、および腹腔内送達からなる群より選択される送達系を使用して投与される、項目1ま
たは3に記載の方法。
(項目5)
前記ニューブラスチンポリペプチドが、筋肉内送達または皮下送達を介して投与される
、項目1または3に記載の方法。
(項目6)
前記投薬量が、1用量あたり、前記被験体の体重1kgあたり10μg〜10,000
μgの間である、項目1または3に記載の方法。
(項目7)
前記投薬量が、1用量あたり、前記被験体の体重1kgあたり25μg〜3,000μ
gの間である、項目1または3に記載の方法。
(項目8)
前記ニューブラスチンポリペプチドのアミノ酸配列が、以下:
(a)配列番号2のAA−80〜AA140、配列番号2のAA−41〜AA140
配列番号2のAA〜AA140、配列番号2のAA25〜AA140、配列番号2のA
28〜AA140、配列番号4のAA−80〜AA144、配列番号4のAA〜AA
144、配列番号5のAA〜AA224、または配列番号5のAA81〜AA224
を含む少なくとも1つのポリペプチド;
(b)配列番号2のAA107〜AA140または配列番号2のAA76〜AA140
のいずれかに記載のC末端配列を含み、そしてGDNFファミリーおよびTGF−βスー
パーファミリーに特有の7つのCys残基を維持している、少なくとも1つのポリペプチ
ド;
(c)配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配
列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24
、配列番号25、配列番号26または配列番号27を含む少なくとも1つのポリペプチド
;および
(d)上記(a)〜(c)の配列のいずれか1つに対して70%を超えるアミノ酸相同
性を有する、少なくとも1つのポリペプチド配列、
からなる群より選択されるポリペプチドを含む、項目1または3に記載の方法。
(項目9)
前記ニューブラスチンポリペプチドが、時限放出組成物において投与される、項目1
または3に記載の方法。
(項目10)
前記ニューブラスチンポリペプチドが、体液中において、延長された滞留時間および/
または増加した濃度を有するように、誘導体部分で改変されている、項目1または3に
記載の方法。
(項目11)
前記誘導体部分が、ポリエチレングリコール部分である、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記誘導体部分が、脂肪族エステル、アミド、N−アシル誘導体、またはO−アシル誘
導体からなる群より選択される、項目10に記載の方法。
(項目13)
被験体においてニューロパシーの疼痛を処置するための方法であって、以下:
(a)該被験体に、有効量のニューブラスチンポリペプチドを投与する工程;ならびに
(b)オピオイド、抗不整脈剤、局所鎮痛薬、局所麻酔薬、鎮痙薬、抗うつ薬、コルチ
コステロイドおよびNSAIDSからなる群より選択される、有効量の痛覚脱失症誘導化
合物を、該被験体に投与する工程、
を包含する、方法。
(項目14)
前記ニューロパシーの疼痛が、ヘルペス後神経痛、糖尿病性ニューロパシー、または坐
骨神経痛に関連する、項目13に記載の方法。
(項目15)
被験体における触覚異痛症を処置するための方法であって、該方法は、以下:
(a)該被験体に、有効量のニューブラスチンポリペプチドを投与する工程;ならびに
(b)オピオイド、抗不整脈剤、局所鎮痛薬、局所麻酔薬、鎮痙薬、抗うつ薬、コルチ
コステロイドおよびNSAIDSからなる群より選択される、有効量の痛覚脱失症誘導化
合物を、該被験体に投与する工程、
を包含する、方法。
(項目16)
(b)における前記痛覚脱失症誘導化合物が、鎮痙薬である、項目13または15に
記載の方法。
(項目17)
(b)における前記痛覚脱失誘導化合物が、ガバペンチン(1−(アミノメチル)シク
ロヘキサン酢酸)またはプレガバリン(S−(+)−4−アミノ−3−(2−メチルプロ
ピル)ブタン酸)である、項目13または15に記載の方法。
(項目18)
前記ニューブラスチンポリペプチドが、静脈内送達、筋肉内送達、肺内送達、皮下送達
、および腹腔内送達からなる群より選択される送達系を使用して投与される、項目13
または15に記載の方法。
(項目19)
前記ニューブラスチンポリペプチドが、筋肉内送達または皮下送達を介して投与される
、項目13または15に記載の方法。
(項目20)
前記ニューブラスチンポリペプチドの投薬量が、1用量あたり、前記被験体の体重1k
gあたり10μg〜10,000μgの間である、項目13または15に記載の方法。
(項目21)
前記ニューブラスチンポリペプチドの投薬量が、1用量あたり、前記被験体の体重1k
gあたり25μg〜3,000μgの間である、項目13または15に記載の方法。
(項目22)
前記ニューブラスチンポリペプチドのアミノ酸配列が、以下:
(a)配列番号2のAA−80〜AA140、配列番号2のAA−41〜AA140
配列番号2のAA〜AA140、配列番号2のAA25〜AA140、配列番号2のA
28〜AA140、配列番号4のAA−80〜AA144、配列番号4のAA〜AA
144、配列番号5のAA〜AA224、または配列番号5のAA81〜AA224
を含む少なくとも1つのポリペプチド;
(b)配列番号2のAA107〜AA140または配列番号2のAA76〜AA140
のいずれかに記載のC末端配列を含み、そしてGDNFファミリーおよびTGF−βスー
パーファミリーに特有の7つのCys残基を維持している、少なくとも1つのポリペプチ
ド;
(c)配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配
列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24
、配列番号25、配列番号26または配列番号27を含む少なくとも1つのポリペプチド
;および
(d)上記(a)〜(c)の配列のいずれか1つに対して70%を超えるアミノ酸相同
性を有する、少なくとも1つのポリペプチド配列、
からなる群より選択されるポリペプチドを含む、項目13または15に記載の方法。
(項目23)
前記ニューブラスチンポリペプチドが、時限放出組成物において投与される、項目1
3または15に記載の方法。
(項目24)
前記ニューブラスチンポリペプチドが、体液中において、延長された滞留時間および/
または増加した濃度を有するように、誘導体部分で改変されている、項目13または1
5に記載の方法。
(項目25)
前記誘導体部分が、ポリエチレングリコール部分である、項目24に記載の方法。
(項目26)
前記誘導体部分が、脂肪族エステル、アミド、N−アシル誘導体、またはO−アシル誘
導体からなる群より選択される、項目24に記載の方法。
(項目27)
前記ニューロパシーの疼痛が、ウイルスによる前記被験体の感染に関連している、請求
項1または13に記載の方法。
(項目28)
前記ウイルスが、ヘルペスウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、パピローマウ
イルスからなる群より選択される、項目27に記載の方法。
(項目29)
前記ニューロパシーの疼痛が、治療剤の投与に関連するニューロパシーの疼痛である、
項目1または13に記載の方法。
(項目30)
前記治療剤が、抗癌剤である、項目29に記載の方法。
(項目31)
前記抗癌剤が、タキソール、タキソテール、シスプラチン、ノコダゾール、ビンクリス
チン、ビンデシン、およびビンブラスチンからなる群より選択される、項目30に記載
の方法。
(項目32)
前記治療剤が、抗ウイルス剤である、項目29に記載の方法。
(項目33)
前記抗ウイルス剤が、ddI、DDC、d4T、ホスカネット、ダプソン、メトロニダ
ゾル、およびイソニアジドからなる群より選択される、項目32に記載の方法。
(項目34)
前記ニューロパシーの疼痛が、外傷に関連する損傷に起因する、項目1または13に
記載の方法。
(項目35)
前記ニューロパシーの疼痛が、異痛症である、項目1または13に記載の方法。
(項目36)
前記ニューロパシーの疼痛が、痛覚過敏の疼痛である、項目1または13に記載の方
法。
(項目37)
前記痛覚過敏の疼痛が、熱痛覚過敏である、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記ニューロパシーの疼痛が、幻想痛である、項目1または13に記載の方法。
(項目39)
前記ニューロパシーの疼痛が、遺伝性ニューロパシー(フリートライヒ運動失調、家族
性アミロイド多発性ニューロパシー、タンジアー病、ファブリー病が挙げられるがこれら
に限定されない)、代謝障害(腎機能不全および甲状腺機能低下症が挙げられるがこれら
に限定されない)、ビタミン欠乏症(ビタミンB12欠乏症、ビタミンB6欠乏症、およ
びビタミンE欠乏症が挙げられるがこれらに限定されない)、中毒性または医原性のニュ
ーロパシー(アルコール症、ビタミンB6中毒、ヘキサカーボン中毒、アミオダロン、ク
ロラムフェニコール、ジスルフィラム、イソニアジド、金、リチウム、メトロニダゾル、
ミソニダゾル、ニトロフラントインが挙げられるがこれらに限定されない)、感染性ニュ
ーロパシー(らい病、ライム病が挙げられるがこれらに限定されない)、自己免疫性ニュ
ーロパシー(ギヤン−バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発性ニューロパシー、重要性未
定の単一クローン性高ガンマグロブリン血症および多発性ニューロパシーが挙げられるが
これらに限定されない)、三叉神経痛、エントラップメント症候群(手根管が挙げられる
がこれに限定されない)、外傷後神経痛、幻肢痛、多発性硬化症の疼痛、複雑局所疼痛症
候群(反射性交感神経性ジストロフィー、カウザルギーが挙げられるがこれらに限定され
ない)、新形成、脈管炎/脈管障害のニューロパシーならびに突発性ニューロパシーに関
連している、項目1または13に記載の方法。
(項目40)
ニューロパシーに罹患した被験体において疼痛感受性の損失を低減するための方法であ
って、該方法は、ニューブラスチンポリペプチドを含有する処方物を、1用量あたり、該
被験体の体重1kgあたり1μg〜30,000μgの間の投薬量で該被験体に投与する
工程を包含する、方法。
(項目41)
前記ニューロパシーが、糖尿病性ニューロパシーである、項目40に記載の方法。
(項目42)
前記疼痛感受性の損失が、熱性疼痛感受性の損失である、項目40に記載の方法。
(項目43)
項目40に記載の方法であって、前記ニューブラスチンポリペプチドが、静脈内送達
、筋肉内送達、肺内送達、皮下送達、および腹腔内送達からなる群より選択される送達系
を使用して投与される、方法。
(項目44)
前記ニューブラスチンポリペプチドが、筋肉内送達または皮下送達を介して投与される
、項目40に記載の方法。
(項目45)
前記投薬量が、1用量あたり、前記被験体の体重1kgあたり10μg〜10,000
μgの間である、項目40に記載の方法。
(項目46)
前記投薬量が、1用量あたり、前記被験体の体重1kgあたり25μg〜3,000μ
gの間である、項目40に記載の方法。
(項目47)
項目40に記載の方法であって、前記ニューブラスチンポリペプチドのアミノ酸配列
が、以下:
(a)配列番号2のAA−80〜AA140、配列番号2のAA−41〜AA140
配列番号2のAA〜AA140、配列番号2のAA25〜AA140、配列番号2のA
28〜AA140、配列番号4のAA−80〜AA144、配列番号4のAA〜AA
144、配列番号5のAA〜AA224、または配列番号5のAA81〜AA224
を含む少なくとも1つのポリペプチド;
(b)配列番号2のAA107〜AA140または配列番号2のAA76〜AA140
のいずれかに記載のC末端配列を含み、そしてGDNFファミリーおよびTGF−βスー
パーファミリーに特有の7つのCys残基を維持している、少なくとも1つのポリペプチ
ド;
(c)配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配
列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24
、配列番号25、配列番号26または配列番号27を含む少なくとも1つのポリペプチド
;および
(d)上記(a)〜(c)の配列に対して70%を超えるアミノ酸相同性を有する、少
なくとも1つのポリペプチド配列、
からなる群より選択されるポリペプチドを含む、方法。
(項目48)
前記ニューブラスチンポリペプチドが、時限放出組成物において投与される、項目4
0に記載の方法。
(項目49)
前記ニューブラスチンポリペプチドが、体液中において、延長された滞留時間および/
または増加した濃度を有するように、誘導体部分で改変されている、項目40に記載の
方法。
(項目50)
前記誘導体部分が、ポリエチレングリコール部分である、項目49に記載の方法。
(項目51)
前記誘導体部分が、脂肪族エステル、アミド、N−アシル誘導体、またはO−アシル誘
導体からなる群より選択される、項目49に記載の方法。
(項目52)
被験体においてニューロパシーの疼痛を処置、予防または遅延させるための方法であっ
て、該方法は、ニューブラスチンポリペプチドを含有する処方物を、1用量あたり、該被
験体の体重1kgあたり1μg〜30,000μgの間の投薬量で該被験体に投与する工
程を包含し、該ニューブラスチンポリペプチドの投与が、予防的である、方法。
(項目53)
前記ニューブラスチンポリペプチドが、静脈内送達、筋肉内送達、肺内送達、皮下送達
、および腹腔内送達からなる群より選択される送達系を使用して投与される、項目52
に記載の方法。
(項目54)
被験体において糖尿病性ニューロパシーを処置するための方法であって、該方法は、ニ
ューブラスチンポリペプチドを含有する処方物を、1用量あたり、該被験体の体重1kg
あたり1μg〜30,000μgの間の投薬量で該被験体に投与する工程を包含する、方
法。
(項目55)
前記ニューブラスチンポリペプチドが、静脈内送達、筋肉内送達、肺内送達、皮下送達
、および腹腔内送達からなる群より選択される送達系を使用して投与される、項目54
に記載の方法。
(項目56)
項目52または54に記載の方法であって、前記ニューブラスチンポリペプチドのア
ミノ酸配列が、以下:
(a)配列番号2のAA−80〜AA140、配列番号2のAA−41〜AA140
配列番号2のAA〜AA140、配列番号2のAA25〜AA140、配列番号2のA
28〜AA140、配列番号4のAA−80〜AA144、配列番号4のAA〜AA
144、配列番号5のAA〜AA224、または配列番号5のAA81〜AA224
を含む少なくとも1つのポリペプチド;
(b)配列番号2のAA107〜AA140または配列番号2のAA76〜AA140
のいずれかに記載のC末端配列を含み、そしてGDNFファミリーおよびTGF−βスー
パーファミリーに特有の7つのCys残基を維持している、少なくとも1つのポリペプチ
ド;
(c)配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配
列番号19、配列番号20、配列番号21、配列番号22、配列番号23、配列番号24
、配列番号25、配列番号26または配列番号27を含む少なくとも1つのポリペプチド
;および
(d)上記(a)〜(c)の配列のいずれか1つに対して70%を超えるアミノ酸相同
性を有する、少なくとも1つのポリペプチド配列、
からなる群より選択されるポリペプチドを含む、方法。
【0016】
他に規定されなければ、本明細書中で使用される全ての技術用語および科学用語は、本
発明が属する技術分野の当業者により一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本明
細書中に記載される方法および材料と類似かまたは等価な方法および材料が、本発明の実
施または試験において使用され得るが、適切な方法および材料は、以下に記載される。本
明細書中に記述される全ての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、その全体が
参考として援用される。矛盾する場合には、定義を含めて本明細書に従う。さらに、材料
、方法、および実施例は、単に例示のみであり、限定を意味しない。
【0017】
本発明の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかと
なる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(発明の詳細な説明)
本発明は、ニューブラスチンポリペプチドを、ニューロパシーの疼痛の危険性のある被
験体またはニューロパシーの疼痛に罹患した被験体に投与することによる、ニューロパシ
ーの疼痛を処置するための方法および組成物、触覚異痛症(tactile allod
ynia)を処置するための方法および組成物、ならびに疼痛感受性の損失を低下させる
ための方法および組成物に関する。
【0019】
ニューブラスチンポリペプチドは、生存を促進し、表現型の分化を維持し、変性を防止
し、再生を促進し、そしてニューロン細胞およびニューロン組織の活性を回復するタンパ
ク質である。あるいは、ニューブラスチン(例えば、WO 00/01815において初
めて記載された)は、「アルテミン(artemin)」(例えば、WO 00/187
99を参照のこと)および「エノビン(enovin)」(例えば、WO 00/040
50を参照のこと)と呼ばれている。ニューブラスチンは、TGF−βスーパーファミリ
ーの遠いメンバーとして分類されており(Massagueら、1994,Trends
in Cell Biology,4:172−178)、そしてGDNF、パーセフ
ィン(persephin)(「PSP」;Milbrandtら、1998,Neur
on 20:245−253(本明細書中で参考として援用される))およびニューツリ
ン(neurturin)(「NTN」;WO 97/08196(本明細書中で参考と
して援用される))を含むファミリー内の、グリア細胞株由来の神経栄養因子リガンドフ
ァミリー(「GDNF」;WO 93/06116(本明細書中で参考として援用される
))のメンバーである。GDNFのサブファミリーのリガンドは、RETレセプターであ
るチロシンキナーゼを介するシグナル伝達を誘導する能力を共通して有する。GDNFサ
ブファミリーのこれらの3つのリガンドは、神経栄養性レセプターのファミリーであるG
FRαレセプターに対する相対的アフィニティーにおいて異なる。ニューブラスチンは、
好ましくは、GFRα3−RET複合体を通じて作用する。Baudetら、Devel
opment,127,4335−44頁(2000);Balohら、Neuron,
21,1291−1302頁(1998);Airaksinenら、Mol.Cell
.Neuroscience,13,313−325頁(1999)。
【0020】
GDNFサブファミリーのメンバーであるニューツリン(配列番号6)、パーセフィン
(配列番号7)およびGDNF(配列番号8)に対するニューブラスチン(配列番号2)
のアミノ酸配列比較を表1に示す。本発明において有用であるニューブラスチンポリペプ
チドは、好ましくは、GDNFサブファミリーフィンガープリント(すなわち、表1の下
線を付したアミノ酸残基)を保持する。
【0021】
【表1】


表1に示されるアミノ酸配列整列から、ニューブラスチンが、TGF−βスーパーファ
ミリー内で保存される位置に7つのシステイン残基を有することが見出され得る。この配
列整列に基づいて、ニューブラスチンは、神経栄養性因子(LGLG−FR(Y/F)C
SGSC−QxCCRP−SAxxCGC、GDNFサブファミリーフィンガープリント
、表1において下線を付す)のGDNFサブファミリーのメンバーであることが示された

【0022】
本明細書中で有用であるニューブラスチンポリペプチドは、プレ−プロ−タンパク質、
プロ−タンパク質、成熟タンパク質、グリコシル化タンパク質、リン酸化タンパク質、短
縮型形態、または任意の他の翻訳後に改変されたタンパク質の形態を含む、任意の生理活
性形態で提供され得る。生理活性ニューブラスチンは、各NBN改変体について二量体化
形態であることが想定される。なぜならば、二量体形成は、活性のために必要とされるか
らである。単量体NBNポリペプチドにおいて活性がほとんどまたは全く観察されない。
生理活性ニューブラスチンポリペプチドは、補因子(例えば、GFRα3またはRET)
の存在下で、GFRα3またはGFRα3とRETとの複合体に結合し、RETの二量体
化およびRETの自己リン酸化を誘導する、二量体化ポリペプチドを含む。従って、本明
細書中で用いられる場合、「ニューブラスチンポリペプチド」は、以下のような、(例え
ば、WO 00/01815に記載されるような)神経栄養活性を保有するポリペプチド
である:
(1.野生型ニューブラスチン)
以下の「野生型」ニューブラスチンアミノ酸(「aa」または「AA」)配列は、本発
明の方法および組成物において有用であるものの例である:
−−配列番号2のAA−80−AA140(「野生型」ヒトプレプロ)、
−−配列番号2のAA−41−AA140(プロヒト)、
−−配列番号2のAA−AA140(成熟140AA(配列番号11);本明細書中
で以下「140NBN」)、
−−配列番号2のAA25−AA140(成熟116AA(配列番号12);本明細書
中で以下「116NBN」)、
−−配列番号2のAA28−AA140(成熟113AA(配列番号13);本明細書
中で以下「113NBN」)、
−−配列番号4のAA−80−AA144(マウスプレプロ)、
−−配列番号4のAA−AA144(マウス成熟−−144AA)、
−−配列番号5のAA−AA224(ラットプレプロ)、
−−配列番号5のAA81−AA224(ラット成熟−−144AA)、
−−配列番号2のAA107−AA140、より好ましくは、配列番号2のAA76
AA140に示されるC末端配列を有し、かつGDNFファミリーおよびTGF−βスー
パーファミリーに特有の7つのCys残基を保持するペプチド。
【0023】
1つの実施形態では、好ましいニューブラスチンポリペプチドは、配列番号2の43位
、70位、74位、107位、108位、136位および138位で保存される(7つの
)システインを含む。これらの7つの保存されたシステイン残基は、3つの単量体内ジス
ルフィド結合(例えば、配列番号2において、システイン残基43−108、70−13
6、および74−138の間を意図する)および1つの単量体間ジスルフィド結合(例え
ば、配列番号2において、システイン残基107−107の間を意図する)(これらは、
伸長したβ鎖領域と共に、TGF−βスーパーファミリーについての保存された構造的モ
チーフを構成する)を形成することが、TGF−βスーパーファミリー内で公知である。
例えば、Daopinら、Proteins 1993,17:176−192を参照の
こと。
【0024】
(2.短縮型ニューブラスチン(「NBN」))
本発明において有用なニューブラスチンポリペプチドはまた、全長ニューブラスチン分
子の短縮型形態を含む。このような短縮型分子において、1つ以上のアミノ酸は、N末端
またはC末端、好ましくは、N末端から欠失されている。短縮型ニューブラスチンポリペ
プチドは、成熟ニューブラスチンポリペプチドを提供し、そしてこの成熟ニューブラスチ
ンポリペプチドを、短縮型ニューブラスチンポリペプチドを生成するのに十分な条件下で
、少なくとも1つのプロテアーゼと接触させることにより得られ得る。好ましくは、少な
くとも1つのプロテアーゼは、エキソプロテアーゼであり、そして成熟ニューブラスチン
ポリペプチドを接触させることは、ジペプチジルペプチダーゼを用いてさらに消化され得
る、エキソペプチダーゼニューブラスチンポリペプチド消化産物の形成を生じる。
【0025】
本明細書中に記載される短縮型ニューブラスチンポリペプチドは、好ましくは、成熟ニ
ューブラスチン配列において保存される7つのシステイン残基を含むポリペプチド配列を
含む。特定の好ましい実施形態では、この短縮型ニューブラスチンポリペプチドは、成熟
113NBNニューブラスチンポリペプチドの少なくとも85のカルボキシ末端アミノ酸
を含む。
【0026】
ニューブラスチンの他の改変体は、短縮型NBN形態を含む。これらの例としては、以
下の(i)〜(xiv)が挙げられる:
(i)本明細書中でNBN112として命名された112AAポリペプチド配列、この配
列は、変異ニューブラスチンポリペプチドのカルボキシ末端の112アミノ酸(例えば、
配列番号2のアミノ酸29〜140(配列番号14))を有する。
(ii)本明細書中でNBN111として命名された111AAポリペプチド配列、この
配列は、変異ニューブラスチンポリペプチドのカルボキシ末端の111アミノ酸(例えば
、配列番号2のアミノ酸30〜140(配列番号15))を有する。
(iii)本明細書中でNBN110として命名された110AAポリペプチド配列、こ
の配列は、変異ニューブラスチンポリペプチドのカルボキシ末端の110アミノ酸(例え
ば、配列番号2のアミノ酸31〜140(配列番号16))を有する。
(iv)本明細書中でNBN109として命名された109AAポリペプチド配列、この
配列は、変異ニューブラスチンポリペプチドのカルボキシ末端の109アミノ酸(例えば
、配列番号2のアミノ酸32〜140(配列番号17))を有する。
(v)本明細書中でNBN108として命名された108AAポリペプチド配列、この配
列は、変異ニューブラスチンポリペプチドのカルボキシ末端の108アミノ酸(例えば、
配列番号2のアミノ酸33〜140(配列番号18))を有する。
(vi)本明細書中でNBN107として命名された107AAポリペプチド配列、この
配列は、変異ニューブラスチンポリペプチドのカルボキシ末端の107アミノ酸(例えば
、配列番号2のアミノ酸34〜140(配列番号19))を有する。
(vii)本明細書中でNBN106として命名された106AAポリペプチド配列、こ
の配列は、変異ニューブラスチンポリペプチドのカルボキシ末端の106アミノ酸(例え
ば、配列番号2のアミノ酸35〜140(配列番号20))を有する。
(viii)本明細書中でNBN105として命名された105AAポリペプチド配列、
この配列は、変異ニューブラスチンポリペプチドのカルボキシ末端の105アミノ酸(例
えば、配列番号2のアミノ酸36〜140(配列番号21))を有する。
(ix)本明細書中でNBN104として命名された104AAポリペプチド配列、この
配列は、変異ニューブラスチンポリペプチドのカルボキシ末端の104アミノ酸(例えば
、配列番号2のアミノ酸37〜140(配列番号22))を有する。
(x)本明細書中でNBN103として命名された103AAポリペプチド配列、この配
列は、変異ニューブラスチンポリペプチドのカルボキシ末端の103アミノ酸(例えば、
配列番号2のアミノ酸38〜140(配列番号23))を有する。
(xi)本明細書中でNBN102として命名された102AAポリペプチド配列、この
配列は、変異ニューブラスチンポリペプチドのカルボキシ末端の102アミノ酸(例えば
、配列番号2のアミノ酸39〜140(配列番号24))を有する。
(xii)本明細書中でNBN101として命名された101AAポリペプチド配列、こ
の配列は、変異ニューブラスチンポリペプチドのカルボキシ末端の101アミノ酸(例え
ば、配列番号2のアミノ酸40〜140(配列番号25))を有する。
(xiii)本明細書中でNBN100として命名された100AAポリペプチド配列、
この配列は、変異ニューブラスチンポリペプチドのカルボキシ末端の100アミノ酸(例
えば、配列番号2のアミノ酸41〜140(配列番号26))を有する。
(xiv)本明細書中でNBN99として命名された99AAポリペプチド配列、この配
列は、変異ニューブラスチンポリペプチドのカルボキシ末端の99アミノ酸(例えば、配
列番号2のアミノ酸42〜140(配列番号27))を有する。
【0027】
本明細書中で開示されるニューブラスチンの短縮型形態(例えば、112AA〜99A
A形態)が神経栄養性活性を有することが、理解される。
【0028】
最も好ましい実施形態において、この短縮型ニューブラスチンポリペプチドは、変異1
13AAニューブラスチンポリペプチドのカルボキシ末端の、アミノ酸99aa、100
aa、101aa、102aa、103aa、104aa、105aa、106aa、1
07aa、108aa、109aa、110aa、111aa、または112aa(すな
わち、それぞれ、NBN99、NBN100、NBN101、NBN102、NBN10
3、NBN104、NBN105、NBN106、NBN107、NBN108、NBN
109、NBN110、NBN111、またはNBN112)である。これらの配列はま
た、配列番号4および5中のカルボキシ末端のそれぞれ99aa、100aa、101a
a、102aa、103aa、104aa、105aa、106aa、107aa、10
8aa、109aa、110aa、111aa、または112aaとして、マウスおよび
ラットのニューブラスチンポリペプチドにおいても見出され得る。短縮NBN形態のこれ
らの最も好ましい例は、本明細書中で神経栄養性活性を有することが示された場合、生理
活性である(「生理活性短縮型ニューブラスチンペプチド」という)。上記のように、N
BN二量体は、活性がNBN単量体ポリペプチドでほとんどから全く観察されない場合、
生理活性のために必要とされる。
【0029】
(3.実質的に類似または同一な変異体ニューブラスチン(「NBN」))
本発明において有用なNBNはまた、上記の種々のプレプロ、プロ、成熟、および短縮
型「ニューブラスチン」ポリペプチドと実質的に類似または同一なアミノ酸配列を有する
、これらのNBNポリペプチドを含む。好ましくは、使用されるニューブラスチンポリペ
プチドは、配列番号2、4、5または11〜27のニューブラスチンポリペプチドに対し
て、少なくとも70%、より好ましくは85%、なおより好ましくは90%、またはなお
さらに好ましくは95%の同一性または類似性を有する。最も好ましくは、使用されるニ
ューブラスチンポリペプチドは、配列番号2、4、5または11〜27のニューブラスチ
ンポリペプチドに対して、少なくとも99%の同一性または類似性を有する。
【0030】
候補ポリペプチドが本発明のニューブラスチンポリペプチドとの相同性を共有する程度
は、2種のアミノ酸配列間の類似性または同一性の程度として決定される。
【0031】
高いレベルの配列同一性は、第一の配列が第二の配列に由来する可能性を示す。アミノ
酸配列の同一性は、2つの整列した配列間で同一のアミノ酸配列を必要とする。従って、
参照配列と70%のアミノ酸同一性を共有する候補配列は、整列後に、候補配列のアミノ
酸の70%が、参照配列中の対応するアミノ酸配列と同一であることを必要とする。同一
性は、コンピューター分析によって決定され、例えば、限定されないが、Clustal
Xコンピューターアライメントプログラム(Thompson JD,Gibson T
J,Plewniak F,Jeanmougin F,およびHiggins DG:
「The ClustalX windows interface:flexible
strategies for multiple sequence alignm
ent aided by quality analysis tools」、Nuc
leic Acids Res.1997,25(24):4876〜82)、および本
明細書中で示唆されるデフォルトパラメーターである。このプログラムを使用して、本発
明のアナログDNA配列によってコードされるポリペプチドの成熟部分は、配列番号2(
ヒトNBN)、配列番号4および5(げっ歯類)、または配列番号11〜27(成熟NB
Nおよび短縮型NBN)のような本明細書中で提供されるアミノ酸配列と、少なくとも7
0%、より好ましくは85%、さらにより好ましくは85%、なおより好ましくは90%
、またはなおさらに好ましくは95%、最も好ましくは少なくとも99%の同一性の程度
を示す。
【0032】
他のアライメントツールは、公知であり、例えば、Needlemanら,J.Mol
.Biol.48:443(1970)に記載されるダイナミックプログラミングアルゴ
リズム、およびAlign Program(DNAstar,Inc.によって製造さ
れる市販のソフトウェアパッケージ)であり、これらの教示は、本明細書中で参考として
援用されている。一旦、候補配列と参照配列との間のアライメントがなされ、かつ、リフ
ァインされると、パーセント相同性スコアが計算される。各配列の個々のアミノ酸配列は
、互いに対するそれらの類似性に従って、連続して比較される。
【0033】
類似性の因子としては、類似のサイズ、形状および電荷が挙げられる。アミノ酸の類似
性を決定する一つの特に好ましい方法は、Dayhoffら,ATLAS OF PRO
TEIN SEQUENCE AND STRUCTURE 345〜352(1978
および補遺)(これは、本明細書中で参考として援用されている)に記載されるPAM
250行列である。類似性スコアは、第一に、整列した一組のアミノ酸類似性スコアの合
計として計算される。挿入および欠失は、パーセント相同性および同一性の目的のために
無視される。従って、ギャップペナルティーは、この計算に使用されない。次いで、生ス
コアは、この生スコアをニューブラスチンポリペプチドの候補化合物および7種のシステ
イン骨格のスコアの相乗平均で除算することにより正規化される。この相乗平均は、これ
らのスコアの積の平方根である。この正規化した生スコアは、パーセント相同性である。
【0034】
上記のように、本発明のニューブラスチンポリペプチドは、改変体ポリペプチドを含む
。本発明の文脈において、用語「改変体ポリペプチド」は、配列番号2(ヒトNBN)、
配列番号4および5(げっ歯類)、または配列番号11〜27(成熟NBNおよび短縮型
NBN)として提供される配列とは1つ以上のアミノ酸位置において異なるアミノ酸配列
を有するポリペプチド(またはタンパク質)を含む。このような改変体ポリペプチドは、
上記のような改変ポリペプチド、ならびに保存的置換、スプライス改変体、アイソフォー
ム、他の種由来のホモログ、および多型を含む。
【0035】
本明細書中で規定される場合、用語「保存的改変体」は、別の生物学的に類似する残基
による、アミノ酸残基の置換を示す。代表的に、上で言及されたような生物学的類似性は
、保存されたアミノ酸による野生型配列の置換を反映する。例えば、特に、置換がポリペ
プチドまたはタンパク質中の残基の総量の10%未満を示す場合、生物学的活性に対して
ほとんど、または全く影響を有さない保存的アミノ酸置換を予想する。好ましくは、保存
的アミン酸置換は、ポリペプチドまたはタンパク質の5%未満、最も好ましくはポリペプ
チドまたはタンパク質の2%未満の変化を示す。例えば、ヒトの113NBNに従って計
算した場合、最も好ましい保存的置換は、野生型成熟アミノ酸配列中で3つのアミノ酸置
換より少ない置換を示す。特に好ましい実施形態において、成熟配列中で単一のアミノ酸
置換が存在する。ここで、置換または交換されたアミノ酸の両方は非環状である。
【0036】
特定の保存的置換の他の例としては、1つの疎水性残基の別の疎水性残基への置換(イ
ソロイシン、バリン、ロイシン、またはメチオニン)、または1つの極性残基の他の極性
残基への置換(例えば、アルギニンのリジンへの置換、グルタミン酸のアスパラギン酸へ
の置換、またはグルタミンのアスパラギンへの置換など)が挙げられ得る。
【0037】
用語、保存的置換はまた、置換されたポリペプチドに対して惹起された抗体がまた非置
換ポリペプチドと免疫反応するという条件で、置換されていない親アミノ酸残基の代わり
の置換アミノ酸残基の使用を含む。
【0038】
この一次アミノ酸配列の改変により、改変されていない対応するポリペプチドと比較し
て実質的に等価な活性を有し、従って、この親タンパク質の機能的アナログであるとみな
され得るタンパク質が生成され得る。このような改変は、例えば、部位特異的変異誘発に
よるように、意図的であり得るか、またはそれらは、自然に生じ得、そしてそれらとして
は、スプライス改変体、アイソフォーム、他の種由来のホモログ、および多型が挙げられ
る。このような機能的アナログもまた、本発明に従って意図される。
【0039】
さらに、一次アミノ酸配列の改変により、親タンパク質の生物学的活性を保持しないタ
ンパク質(ドミナントネガティブ形態などが挙げられる)が生成され得る。ドミナントネ
ガティブタンパク質は、通常このポリペプチドと機能的に相互作用する調節因子(例えば
、上流成分または下流成分)と結合することによるか、そうでなければ調節因子を隔離す
ることにより、野生型タンパク質と干渉し得る。このようなドミナントネガティブ形態も
また、本発明に従って意図される。
【0040】
(4.誘導体または改変NBN)
本発明のポリペプチドとして、キメラポリペプチドまたは切断可能な融合ポリペプチド
(別のポリペプチドが、このポリペプチドまたはそのフラグメントのN末端またはC末端
に融合されている)もまた挙げられる。キメラポリペプチドは、本発明の核酸配列(また
はその一部)に別のポリペプチドをコードする核酸配列(またはその一部)を融合するこ
とにより生成され得る。キメラポリペプチドを生成する技術は、標準的な技術である。こ
のような技術は、通常、同一のリーディングフレームになるように配列を連結すること、
ならびに同一のプロモーターおよびターミネーターの制御下でこの融合されたポリペプチ
ドを発現することを必要とする。
【0041】
ニューブラスチンポリペプチドは、N−グリコシル化されたポリペプチドであり得る。
1つの実施形態において、配列番号2の122位のAsn残基がグリコシル化される。
【0042】
本発明はまた、米国特許第5,434,131号;同第5,565,335号;同第5
,541,087号;および同第5,726,044号(各々が本明細書中に参考として
援用される)に記載されるようなニューブラスチン融合タンパク質(例えばIg−融合体
)、または好ましくは、血清アルブミン融合体を意図する。
【0043】
本発明で有用なニューブラスチンポリペプチドとしては、時限放出組成物ならびに延長
された残留時間および/または体液中での増大した濃度を有するよう誘導体部分(好まし
くは、ポリエチレングリコール部分)で改変されたニューブラスチンポリペプチドが挙げ
られる。さらに、ニューブラスチンポリペプチドは、脂肪族エステル、アミド、N−アシ
ル−誘導体、またはO−アシル誘導体からなる群より選択される部分で誘導体化され得る

【0044】
以下の表2は、ヒト(配列番号2)、マウス(配列番号4)、およびラット(配列番号
5)プレプロ−ニューブラスチンの間のClustal W比較を示す。成熟NBNポリ
ペプチドNBN140、NBN116、NBN113、およびNBN99を、「」で示
す。NBN112〜NBN100のN末端を、連続する「:」記号で示す。以下の表3は
、野生型ヒト、マウス、およびラットニューブラスチンポリペプチド(配列番号2、4、
および5)の間の距離の比較を示す。
【0045】
【表2】

【0046】
【表3】

(ニューブラスチンポリペプチドを生成する方法)
本明細書中で使用されるニューブラスチンポリペプチドは、哺乳動物細胞(好ましくは
、ヒト細胞)またはマウス起源の細胞から単離され得る。最も好ましい実施形態において
、ニューブラスチンポリペプチドは、ヒト心臓組織、ヒト骨格筋、ヒト膵臓、またはヒト
脳組織から(特に、尾状核または視床から)単離され得るか、あるいは以下でより詳細に
記載されるように、哺乳動物起源のDNAから獲得され得る。
【0047】
あるいは、ニューブラスチンポリペプチドは、このようなニューブラスチンポリペプチ
ドをコードするポリヌクレオチドの発現により獲得され得る。このようなポリヌクレオチ
ドとしては、DNA配列、cDNA配列、およびRNA配列が挙げられ、そして当該分野
で利用可能である。例えば、WO00/01815、WO00/04050、およびWO
00/18799を参照のこと(これらは、本明細書中で参考として援用される)。特に
有用なポリヌクレオチドは、配列番号1に示されるDNA配列(ヒトNBN cDNA)
、および配列番号3に示されるDNA配列(マウスNBN cDNA)を有する。さらに
、ヒトNBNのゲノム配列が使用され得る(GenBank登録番号AC005038を
参照のこと)。
【0048】
より詳細には、本発明で有用なニューブラスチンポリペプチドは、ニューブラスチンポ
リペプチドの産生を許容する条件下で、ニューブラスチンポリペプチドをコードする核酸
配列を含有する細胞を培養し、その後、培養培地からニューブラスチンポリペプチドを回
収することにより獲得され得る。ニューブラスチンポリペプチドをコードする核酸配列は
、通常はその細胞に対して内因性の核酸配列であるか、または「産生」細胞に導入された
外来核酸配列であり得る。細胞が、ニューブラスチンポリペプチドを産生する目的で遺伝
子改変されている場合、その細胞は、従来方法または遺伝子活性化により改変され得る。
【0049】
従来方法に従って、ニューブラスチンcDNAまたはゲノムDNA配列を含むDNA分
子は、発現構築物中に含まれ得、そして標準的な方法(リポソーム媒介トランスフェクシ
ョン、ポリブレン媒介トランスフェクション、またはDEAEデキストラン媒介トランス
フェクション、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、マイクロインジェクシ
ョン、あるいは速度駆動微量投射(velocity driven micropro
jectile)(「微粒子銃」))により細胞中に移される。あるいは、ウイルスベク
ターによりDNAを送達する系が使用され得る。遺伝子転移に有用であることが公知のウ
イルスとしては、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス、ヘルペスウイ
ルス、流行性耳下腺炎ウイルス、ポリオウイルス、レトロウイルス、シンドビスウイルス
およびワクシニアウイルス(例えば、カナリアポックスウイルス)、ならびに昆虫細胞(
特に、Sf9昆虫細胞)のバキュロウイルス感染が挙げられる。
【0050】
あるいは、この細胞は、遺伝子活性化(「GA」)アプローチ(例えば、米国特許第5
,733,761号および同第5,750,376号(各々、本明細書中に参考として援
用される)に記載されるようなアプローチ)を用いてニューブラスチンポリペプチドを産
生するよう改変され得る。
【0051】
従って、用語「遺伝子改変される」は、細胞に関して本明細書中で使用する場合、遺伝
子産物および/または遺伝子産物のための内因性コード配列の発現を制御する調節エレメ
ントをコードする核酸分子の導入後に、特定の遺伝子産物を発現する細胞を含むことを意
味する。核酸分子は、遺伝子標的化により導入され得、特定のゲノム部位での核酸分子の
導入を可能にする。
【0052】
1つの実施形態において、ニューブラスチンポリペプチドは、細菌細胞(好ましくは、
E.coli)において産生される。異なる実施形態において、ニューブラスチンポリペ
プチドは、昆虫由来細胞(特に、Sf9)において産生される。
【0053】
別の実施形態において、ニューブラスチンポリペプチドは、例えば、哺乳動物細胞(例
えば、ヒト細胞)、卵母細胞、または酵母細胞において産生され得る。本発明の細胞は、
ヒト胚性腎臓(「HEK」)細胞(例えば、HEK293細胞、BHK21細胞、チャイ
ニーズハムスター卵巣(「CHO」)細胞、Xenopus laevis卵母(「XL
O」)細胞、またはPichia pastoris(酵母))であり得るがこれらに限
定されない。1つの実施形態において、本発明の細胞は、真菌細胞(例えば、繊維状真菌
細胞)である。さらに別の実施形態において、この細胞は、昆虫細胞であり、最も好まし
くは、Sf9細胞である。本発明の別の哺乳動物細胞は、PC12細胞株、HiB5細胞
株、RN33b細胞株、ヒト神経前駆細胞、およびヒト細胞(特に、神経細胞)由来の他
の細胞である。
【0054】
一次細胞または二次細胞の例としては、線維芽細胞、上皮細胞(乳房上皮細胞および腸
上皮細胞を含む)、内皮細胞、血液形成要素(リンパ球および骨髄細胞を含む)、グリア
細胞、肝細胞、ケラチノサイト、筋肉細胞、神経細胞、またはこれらの細胞型の前駆体が
挙げられる。本発明の方法において有用な不死化ヒト細胞株の例としては、以下が挙げら
れるが、これらに限定されない:Bowes黒色腫細胞(ATCC登録番号CRL 96
07)、Daudi細胞(ATCC登録番号CCL 213)、HeLa細胞およびHe
La細胞の誘導体(ATCC登録番号CCL 2、CCL 2.1およびCCL 2.2
)、HL−60細胞(ATCC登録番号 CCL 240)、HT−1080細胞(AT
CC登録番号 CCL121)、Jurkat細胞(ATCC登録番号TIB 152)
、KB癌細胞(ATCC登録番号CCL 17)、K−562白血病細胞(ATCC登録
番号 CCL 243)、MCF−7乳癌細胞(ATCC登録番号BTH 22)、MO
LT−4細胞(ATCC登録番号1582)、Namalwa細胞(ATCC登録番号C
RL 1432)、Raji細胞(ATCC登録番号CCL 86)、RPMI 822
6細胞(ATCC登録番号CCL 155)、U−937細胞(ATCC登録番号CRL
1593)、WI−38VA13亜系統2R4細胞(ATCC登録番号CLL75.1
)、および2780AD卵巣癌細胞(Van der Blickら、Cancer R
es.48:5927−5932,1988)、ならびにヒト細胞と別の種の細胞との融
合により生成されるヘテロハイブリドーマ細胞。二次ヒト線維芽細胞株(例えば、WI−
38(ATCC登録番号CCL 75)およびMRC−5(ATCC登録番号CCL 1
71))もまた、使用され得る。
【0055】
細胞が真核生物細胞である場合、本発明の異種ポリヌクレオチドの組込みは、特に、(
ウイルスベクターを用いる)感染によって、(プラスミドベクターを用いる)トランスフ
ェクションによって、リン酸カルシウム沈降、マイクロインジェクション、エレクトロポ
レーション、リポフェクション、または当該分野で公知の他の物理化学的方法を使用して
、実施され得る。
【0056】
NBNポリペプチドは、産生細胞培養物から、または産生細胞により馴化された培養培
地から、適用可能な場合、標準的なタンパク質精製技術(再折り畳みを含む)を使用して
、単離される。適切な技術は、以下の実施例に記載される。
【0057】
(処置のための被験体)
本発明は、ニューロパシーの疼痛(触覚異痛症を含む)の処置または予防のため、およ
びニューロパシーに関連した疼痛感受性の喪失を減少するために、これらに罹患している
かまたはその危険性のある哺乳動物被験体において使用され得る。ニューロパシーを発症
する危険性およびこのようなニューロパシーに関連する疼痛感受性の喪失の危険性のある
被験体としては、糖尿病を患った被験体、化学療法を受けている被験体、特定の外傷を受
けた被験体、種々の毒物または薬物を摂取した被験体、特定のビタミン不足を被っている
被験体、特定のウイルス病原体に感染している被験体、種々の自己免疫障害および代謝障
害に罹患している被験体、ならびに特定の神経損傷または神経変性を被った被験体が挙げ
られる。哺乳動物被験体としては、ヒツジ、ウマ、イヌ、ネコ、ブタ、ウサギ、モルモッ
ト、ラット、ハムスター、スナネズミおよびマウスが挙げられ、最も好ましいのは、ヒト
である。
【0058】
代表的には、ヒト被験体において、患者は、他の伝統的な疼痛治療に対して抗療性であ
るか、または被験体は、良好な疼痛制御を提供するための他のこのような疼痛治療に対し
て不十分にしか応答しない。
【0059】
一般に、本発明は、予防的処置プロトコルおよび治療的処置プロトコルの両方を特徴と
する。予防的処置において、ニューブラスチンポリペプチドが、ニューロパシーの疼痛ま
たは疼痛感受性の喪失の危険性のある被験体に投与される;このような被験体は、初期の
ニューロパシーを有する被験体であると予想される。このような状況下でのニューブラス
チンを用いる処置は、危険性のある患者を予防的に処置するのに役立つ。
【0060】
治療的処置において、ニューブラスチンポリペプチドを、ニューロパシーの疼痛を被っ
た被験体またはニューロパシーの罹患の結果として疼痛感受性の喪失を被った被験体に投
与される;このような被験体は、後期のニューロパシーを有する被験体であると予想され
る。このような状況下でのニューブラスチンを用いる処置は、ニューロパシーの疼痛を軽
減しそして/または被験体における適切な疼痛感受性を助けるのに役立つ。このような後
期の患者は、自己投薬(例えば、非ステロイド性抗炎症薬、例えば、イブプロフェン)で
始まる多数の治療を受けていたのかもしれない。このような処置は、抗鬱薬(例えば、三
環式抗鬱薬のバンラファキシン(vanlafaxine)、および選択的セロトニン再
取込みインヒビター(特定のメディエータとしては、アミトリプチリン、デシプラミン、
イミプラミンおよびノルトリプチリンが挙げられる))、または鎮痙薬(例えば、ガバペ
ンシン、カルバマゼピン、ラモトリジン、トピラマートおよびフェニトイン)にエスカレ
ートし得る。他の医薬としては、局所鎮痛薬(例えば、カプサイシンおよびリドデルム(
lidoderm))、抗不整脈薬およびオピオイドが挙げられる。重篤なニューロパシ
ーの場合には、手術が行われ得る。研究により、50%より少ない患者しか、局所鎮痛薬
、抗不整脈薬、オピオイドまたは手術に応答しないことが示される。
【0061】
(方法および薬学的組成物)
本発明は、ニューロパシーの疼痛を処置するため、触覚異痛症を処置するため、および
ニューロパシーに関連する疼痛感受性の喪失を減少するための方法を提供する。本発明の
方法は、ニューブラスチンポリペプチド(全長ニューブラスチンポリペプチドまたは生体
活性短縮型ニューブラスチンポリペプチドを含む)を使用する。さらに、本発明は、全長
ニューブラスチンポリペプチドまたは短縮型ニューブラスチンポリペプチドが、薬学的に
受容可能なキャリアに懸濁、溶解または分散された、薬学的組成物を提供する。
【0062】
(1.ニューロパシーの疼痛の処置)
一実施形態において、本発明は、被験体におけるニューロパシーの疼痛を処置するため
の方法を特徴とし、この方法は、有効量のニューブラスチンポリペプチドをこの被験体に
投与する工程を包含する。このニューブラスチンポリペプチドは、単独で投与され得る(
単独治療)か、または組み合わせ治療レジメンの一部として投与され得る。好ましい組み
合わせ治療は、オピオイド、抗不整脈薬、局所鎮痛薬、局所麻酔薬、鎮痙薬、抗鬱薬、コ
ルチコステロイドおよび非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)からなる群から選択さ
れる有効量の痛覚脱失誘導化合物を、被験体に投与する工程を包含する。
【0063】
本発明のニューブラスチンポリペプチドおよびニューブラスチン核酸(および本明細書
中に記載されるこれらのポリオペプチドおよび核酸を含む薬学的組成物)は、末梢性ニュ
ーロパシーに関連する疼痛の処置において使用される。本発明に従って処置され得る末梢
性ニューロパシーには、外傷誘導性ニューロパシー(例えば、身体的損傷または疾患状態
により引き起こされるニューロパシー)、脳への身体的損傷、脊髄への身体的損傷、脳損
傷に関連する発作、および神経変性に関連する神経学的障害)がある。
【0064】
本発明はまた、化学療法誘導性ニューロパシー(例えば、化学療法剤(例えば、タキソ
ールまたはシスプラチン)の送達により引き起こされるニューロパシー);毒素誘導性ニ
ューロパシー、薬物誘導性ニューロパシー、病原体誘導性(例えば、ウイルス誘導性)ニ
ューロパシー、ビタミン不足誘導性ニューロパシー;突発性ニューロパシー;および糖尿
病性ニューロパシーの処置を提供する。例えば、米国特許第5,496,804号および
同第5,916,555号(これらの各々は本明細書中で参考として援用される)を参照
のこと。本発明は、なおさらに、単独ニューロパシー、単独−多発性ニューロパシーおよ
び多発性ニューロパシー(軸索ニューロパシーおよび脱髄性ニューロパシーを含む)を、
本発明のニューブラスチンヌクレオチドおよびニューブラスチンポリペプチドを使用して
処置するために使用され得る。
【0065】
ニューロパシーの疼痛は、以下を含む多数の末梢性ニューロパシーに関連し得る:
(a)外傷誘導性ニューロパシー、
(b)化学療法誘導性ニューロパシー、
(c)毒素誘導性ニューロパシー(アルコール症、ビタミンB6中毒、ヘキサカーボン
(hexacarbon)中毒、アミオダロン、クロラムフェニコール、ジスルフィラム
、イソニアジド、金、リチウム、メトロニダゾル、ミソニダゾル、ニトロフラントインに
より引き起こされるニューロパシーが挙げられるが、これらに限定されない)、
(d)治療薬誘導性ニューロパシーの疼痛を含む薬物誘導性ニューロパシー(例えば、
抗癌剤、特に、タキソール、タキソテール、シスプラチン、ノコダゾール、ビンクリスチ
ン、ビンデシンおよびビンブラスチンからなる群から選択される抗癌剤により引き起こさ
れるニューロパシー;および抗ウイルス薬、特に、ddI、DDC、d4T、ホスカネッ
ト、ダプソン、メトロニダゾルおよびイソニアジドからなる群から選択される抗ウイルス
薬により引き起こされるニューロパシー)、
(e)ビタミン不足誘導性ニューロパシー(ビタミンB12不足、ビタミンB6不足、
およびビタミンE不足が挙げられるが、これらに限定されない)、
(f)突発性ニューロパシー、
(g)糖尿病性ニューロパシー、
(h)病原体誘導性神経損傷、
(i)炎症誘導性神経損傷、
(j)神経変性、
(k)遺伝性ニューロパシー(フリートライヒ運動失調、家族性アミロイドニューロパ
シー、タンジアー病、ファブリー病が挙げられるが、これらに限定されない)、
(l)代謝障害(腎不全および甲状腺機能低下症が挙げられるが、これらに限定されな
い)、
(m)感染およびウイルス性ニューロパシー(らい病、ライム病に関連するニューロパ
シーの疼痛、ウイルス(特に、ヘルペスウイルス(例えば、ヘルペス後神経痛に至り得る
帯状ヘルペス)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)およびパピローマウイルスからなる群
から選択されるウイルス)による感染に関連するニューロパシーの疼痛が挙げられるが、
これらに限定されない)、
(n)自己免疫性ニューロパシー(ギヤン−バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発性ニ
ューロパシー、重要性未定の単一クローン性高ガンマグロブリン血症および多発性ニュー
ロパシーが挙げられるが、これらに限定されない)、
(o)三叉神経痛およびエントラップメント症候群(手根管が挙げられるが、これに限
定されない)、
(p)他のニューロパシーの疼痛症候群(外傷後神経痛、幻想肢痛、多発性硬化症性疼
痛、複雑な局所性疼痛症候群(反射性交感神経性ジストロフィー、カウザルギーが挙げら
れるが、これらに限定されない)、新形成関連疼痛、脈管炎/脈管障害性ニューロパシー
、および坐骨神経痛を含む)。
【0066】
ニューロパシーの疼痛は、異痛症、痛覚過敏疼痛、熱痛覚過敏または幻想痛として現れ
得る。
【0067】
(2.触覚異常の処置)
用語「触覚異常」は、典型的には、通常では無害の皮膚刺激(例えば、触診)によって
疼痛が誘発される被験体における状態をいう。本発明は、被験体における触覚異常を処置
する方法を特徴とする。
【0068】
1つの実施形態において、触覚異常は、有効量のニューブラスチンポリペプチドを単独
でその被験体に投与することによって処置される。
【0069】
第二の実施形態において、触覚異常は、有効量のニューブラスチンポリペプチドを、オ
ピオイド、抗不整脈剤、局所鎮痛薬、局所麻酔薬、鎮痙薬、抗うつ薬、コルチコステロイ
ドおよびNSAIDSからなる群より選択される有効量の痛覚脱失誘導性化合物と組み合
わせてその被験体に投与することによって処置される。好ましい実施形態において、痛覚
脱失誘導性化合物は、鎮痙薬である。別の好ましい実施形態において、痛覚脱失誘導性化
合物は、ガバペンチン((1−アミノメチル)シクロヘキサン酢酸)またはプレガバリン
(S−(+)−4−アミノ−3−(2−メチルプロピル)酪酸)である。
【0070】
(3.痛覚感受性喪失の軽減のための処置)
別の実施形態において、本発明は、ニューロパシーに罹患する被験体における痛覚感受
性喪失を軽減するための方法を特徴とする。好ましい実施形態において、ニューロパシー
は、糖尿病性ニューロパシーである。好ましい実施形態において、痛覚感受性喪失は、熱
性の痛覚感受性の喪失である。本発明は、予防処置および治療処置の両方を企図する。
【0071】
予防処置において、ニューブラスチンポリペプチドは、痛覚感受性損失を発症する危険
性のある被験体に投与される;このような被験体は、初期段階のニューロパシーを有する
被験体であることが予期される。このような環境下におけるニューブラスチンでの処置は
、危険性のある患者を予防的に処置するように働く。
【0072】
治療処置において、ニューブラスチンポリペプチドは、ニューロパシーの苦痛の結果と
して痛覚感受性損失を経験した被験体に投与される;このような被験体は、後期段階のニ
ューロパシーを有する被験体であることが予期される。このような状況下におけるニュー
ブラスチンでの処置は、被験体における適当な痛覚感受性を救うように働く。
【0073】
(4.ウイルス感染およびウイルス関連ニューロパシーの処置)
感染性ニューロパシーおよびウイルス性ニューロパシーの予防処置が、企図される。予
防処置は、ウイルス感染の確定後およびニューロパシーの疼痛の開始前に示される。処置
の間、NBNポリペプチドは、ニューロパシーの疼痛(らい病、ライム病に関連するニュ
ーロパシーの疼痛、ウイルス(特に、ヘルペスウイルス(より特定には、ヘルペス後神経
痛を導き得る帯状ヘルペスウイルス)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、およびパピロ
ーマウイルスからなる群より選択されるウイルス)による感染に関連するニューロパシー
の疼痛を含むが、これらに限定されない)の出現を予防するために投与される。代替の実
施形態において、NBNポリペプチドは、出現した場合、ニューロパシーの疼痛の重篤度
を軽減するために投与される。
【0074】
急性のウイルス感染の症状は、しばしば発疹の出現を含む。他の症状としては、例えば
、身体の罹患した領域における持続性の疼痛の発症が挙げられ、これは、帯状ヘルペス感
染(帯状ヘルペス)の通常の合併症である。ヘルペス後神経痛は、一月以上にわたって持
続し得、そして発疹様症状のいずれもが消失した数ヶ月後に現れ得る。ヘルペス後神経痛
は、非常に重症かつ持続性であり、そして処置に対して非常に耐性であり得る。
【0075】
(5.糖尿病性ニューロパシーの処置)
糖尿病関連ニューロパシーの予防処置が、企図される。糖尿病性ニューロパシーの予防
処置は、糖尿病または糖尿病関連症状の最初の診断の確定後、およびニューロパシーの疼
痛の開始前に、始まる。糖尿病性ニューロパシーの予防処置はまた、被験体が糖尿病また
は糖尿病関連症状の発症の危険性があることを決定する際に始まる。処置の間、NBNポ
リペプチドは、ニューロパシーの疼痛の出現を予防するため、または出現した場合、ニュ
ーロパシーの疼痛の重篤度を軽減するために、投与される。
【0076】
図6Aおよび図6Bにおける結果は、このような処置の必要のあるヒト患者における糖
尿病性ニューロパシーの処置に関連する。実施例6に記載されるように、熱性の痛感鈍麻
の予防、ならびに熱性の痛覚過敏の予防および逆転が、企図される。
【0077】
(6.投薬量)
前述の方法は、1用量当たり1μg/kg〜30,000μg/kg被験体体重の間の
投薬量のニューブラスチンポリペプチドを含む処方物を、被験体に、好ましくは、全身性
に投与することを企図する:好ましくは、この投薬量は、1用量当たり10μg/kg〜
10,000μg/kg被験体体重の間であり;最も好ましくは、1用量当たり25μg
/kg〜3,000μg/kg被験体体重の間である。
【0078】
触覚異常の処置または予防のための種々の投薬レジメンが、企図される。1つの実施形
態において、ニューブラスチンポリペプチドを含む処方物を被験体に投与する方法は、1
用量当たり1μg/kg〜30,000μg/kg被験体体重の間でNBNを投与するこ
とを含む。別の実施形態において、この投薬量は、1用量当たり10μg/kg〜30,
000μg/kg被験体体重の間である。さらなる実施形態において、この投薬量は、1
用量当たり10μg/kg〜10,000μg/kg被験体体重の間である。異なる実施
形態において、この投薬量は、1用量当たり25μg/kg〜10,000μg/kg被
験体体重の間である。なお別の実施形態において、この投薬量は、1用量当たり25μg
/kg〜3,000μg/kg被験体体重の間である。最も好ましい実施形態において、
この投薬量は、1用量当たり50μg/kg〜3,000μg/kg被験体体重の間であ
る。
【0079】
同様に、疼痛感受性喪失を調節するための処置についての種々の投薬スキームが、企図
される。ニューブラスチンポリペプチドを含む処方物を被験体に投与する方法は、1用量
当たり1μg/kg〜30,000μg/kg被験体体重の間でNBNを投与することを
含み;好ましくは、この投薬量は、1用量当たり10μg/kg〜10,000μg/k
g被験体体重の間であり;最も好ましくは、この投薬量は、1用量当たり25μg/kg
〜3,000μg/kg被験体体重の間である。
【0080】
(7.送達)
前述の方法において使用されるニューブラスチンポリペプチドは、任意の適切な送達系
、好ましくは、静脈内送達、筋肉内送達、肺内送達、皮下送達、および腹腔内送達からな
る群より選択される送達系、最も好ましくは、筋肉内送達、静脈内送達または皮下送達を
介して投与され得る。前述の方法において使用されたニューブラスチンポリペプチドはま
た、髄腔内注射送達を介して投与され得る。
【0081】
(8.処方)
本発明はまた、薬学的に受容可能なキャリア中に懸濁、溶解または分散された治療的有
効量のニューブラスチンポリペプチドを含む新規な薬学的組成物を提供する。
【0082】
治療において使用するために、本発明のポリペプチドは、任意の都合よい形態で投与さ
れ得る。好ましい実施形態において、本発明のポリペプチドは、1つ以上のアジュバント
、賦形剤、キャリアおよび/または希釈剤とともに薬学的組成物中に組み込まれ、そして
この薬学的組成物は、当該分野において公知の慣用的な方法を使用して、当業者によって
調製される。処方および投与のための技術についてのさらなる詳細は、REMINGTO
N’S PHARMACEUTICAL SCIENCES(Maack Publis
hing Co.,Easton,PA)の最新版に見出され得る。受容可能な希釈剤、
キャリアおよび賦形剤は、典型的には、レシピエントのホメオスタシス、特に、電解質バ
ランスに悪い影響を与えない。受容可能なキャリアは、生体適合性の塩、不活性な塩また
は生物吸収性の塩、緩衝化剤、オリゴ糖または多糖、ポリマー、粘性改善剤、保存剤など
を含み得る。1つの例示的なキャリアは、正常な生理学的生理食塩水(0.15M Na
Cl(pH7.0〜7.4))を含む。別の例示的なキャリアは、50mM リン酸ナト
リウム、100mM 塩化ナトリウムを含む。
【0083】
(9.レジメン)
本発明のニューブラスチンポリペプチドについての投薬頻度は、医師の技量および臨床
判断の範囲内である。典型的には、投与レジメンは、最適な投与パラメータを達成し得る
臨床試験により確立される。しかし、開業医は、被験体の年齢、健康、体重、性別および
医学的状態に従って、このような投与レジメンを変え得る。投薬頻度はまた、ニューロパ
シーの急性処置と慢性処置との間で異なり得る。さらに、投薬頻度は、その処置が予防的
であるか治療的であるかに依存して変更され得る。
【実施例】
【0084】
(実施例1:ニューブラスチンポリペプチドの発現)
(A.E.coliにおける発現)
細菌における発現および精製について、ラットニューブラスチンをコードするプラスミ
ドを、成熟113アミノ酸NBN配列の開始部位にすぐ隣接するエンテロキナーゼ切断部
位を有するHisタグ化融合タンパク質としてE.coliにおいて発現させた。E.c
oli細胞を、500Lの発酵槽中で増殖させ、そして凍結細胞ペーストを提供した。E
.coli細胞を、Manton Gaulin Press中で溶解させ、そしてラッ
トNBNを不溶性洗浄ペレット画分から回収した。
【0085】
NBNを、グアニジン塩酸塩を用いてペレットから抽出し、再び折り畳んで、そしてエ
ンテロキナーゼを用いてHisタグを除去した。さらなる精製のため、次いで、産物をN
i NTAアガロース(Qiagen)でのクロマトグラフィーにかけ、そしてBake
rbond WP CBXカチオン交換樹脂でのクロマトグラフィーにかけた。
【0086】
得られた産物を、SDS−PAGE、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)、逆相
HPLC、マトリクス支援レーザー脱離/イオン化質量分析法(MALD/IMS)、ペ
プチドマッピングによる分析、KIRA ELISAにおける活性の評価、およびエンド
トキシン含有量の決定を含む広範な特徴付けに供した。SDS−PAGEおよびSECに
よって測定したNBN産物の純度は、95%より高かった。NBN産物は、ダイマーとし
て非還元条件下で移動し、その予期される構造と一致した。この物質のエンドトキシン含
有量は、慣用的に1EU/mg未満である。KIRA ELISAにおけるNBNの比活
性は、約10nMである。産物を、PBS中1mg/mL(pH6.5)で処方した。こ
の物質は凍結液体として供給され得、これは、−70℃で保存される。
【0087】
類似の発現系もまた、ヒトNBNについて構築された。これらの構築物から、ヒトNB
Nは、E.coliにおいて発現された。
【0088】
(B.哺乳動物細胞における発現)
(プラスミドpJC070.14の構築)チャイニーズハムスター卵巣細胞においてニ
ューブラスチンcDNAを発現させるために、ヒトニューブラスチンのプレプロ形態をコ
ードするcDNAフラグメントを、哺乳動物発現ベクターpEAG347に挿入して、プ
ラスミドpJC070.14を作製した。pEAG347は、タンデムSV40初期およ
びアデノウイルス主要後期プロモーター(プラスミドpAD2β由来;Norton a
nd Coffin、Mol.Cell.Biol.5:281(1985))、独特な
NotIクローニング部位、続くSV40後期転写終結およびポリAシグナル(プラスミ
ドpCMVβ由来;MacGregor and Caskey、Nucl.Acids
.Res.17:2365(1989))を含む。さらに、pEAG347は、pUC1
9由来プラスミド骨格およびpSV2dhfr由来dhfr(MTX選択およびトランス
フェクトされたCHO細胞における増幅のため)を含む。
【0089】
プラスミドpJC070.14を、2工程で作製した。第一に、ヒトニューブラスチン
のプレプロ形態をコードするフラグメントを、プラスミドpUbilZ−NBNから、オ
リゴヌクレオチド
【0090】
【数1】

およびPFUポリメラーゼを用いるポリメラーゼ連鎖反応を使用して単離した。このフラ
グメントを、pPCR−Script Amp SK(+)のSrf−1部位にクローン
化して、プラスミドpJC069を作製した。第二工程において、部分Not−1消化を
、プラスミドpJC069において実行して、685bpフラグメント(ニューブラスチ
ン遺伝子を含む)を作製し、これを、プラスミドpEAG347のNot−1部位にクロ
ーン化して、プラスミドpJC070.14を作製した。プラスミドpJC070.14
におけるニューブラスチン遺伝子の転写を、アデノウイルス主要後期プロモーターによっ
て制御する。
【0091】
(ニューブラスチンを発現するCHO細胞株の作製)200μgのpJC070.14
を、制限エンドヌクレアーゼMlu−1を用いる消化によって直鎖化した。このDNAを
、フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1)で抽出し、そし
てエタノールで沈殿させた。直鎖化DNAを、20mM Hepes(pH7.05)、
137mM NaCl、5mM KCl、0.7mM NaHPO、6mMデキスト
ロース(HEBS)中に再懸濁させ、そしてエレクトロポレーション(280Vおよび9
60μF)によって〜4E7 CHO dukx B1(dhfr−)細胞(p23)に
導入した。エレクトロポレーションに続いて、細胞を、10%ウシ胎仔血清(FBS)を
補充されたα+改変イーグル培地(MEM)中の培養物に、2日間、戻した。次いで、細
胞をトリプシン処理し、そして10%透析FBSを補充した、α−MEM(リボ−および
デオキシリボヌクレオシドを欠く)中の100mmディッシュ中に、5日間、再プレート
した(100,000細胞/プレート)。引き続いて、この細胞を、100,000細胞
/100mmプレートの密度にて分け、そして200nMメトトレキサート中で選択した
。耐性コロニーを拾い、そして6ウェルプレートにまでスケールアップし;各クローン由
来の馴化培地を、以下に記載されるニューブラスチンについての特異的アッセイを使用し
てスクリーニングした。最も高いレベルのニューブラスチンを発現する12個のクローン
を、T162フラスコにスケールアップし、そして引き続いて、再アッセイした。これら
のCHO細胞株は、25〜50ng/ml/日の範囲でニューブラスチンを産生した。
【0092】
(ニューブラスチンについての三重複合系アッセイ)ニューブラスチンの存在を、Sa
nicolaら(Proc Natl Acad Sci USA 94:6238(1
997)によって記載される三重複合系アッセイの改変形態を使用して、CHO細胞株上
清の培地において評価した。
【0093】
類似の哺乳動物発現構築物を作製し、そして類似の研究を、ヒトNBNおよびラットN
BNの両方について実行した。ラットにおけるNBN活性のインビボ試験を実行した。ラ
ット研究は、ほとんど排他的に、ラットNBNを用いて実行した。
【0094】
(実施例2:ニューロパシーの疼痛の神経結紮動物モデルにおける全長ニューブラスチ
ンの効力−ニューロパシーの疼痛の予防)
触覚異痛症および熱痛覚過敏に対するニューブラスチンの予防効果を、Chung L
5/L6脊髄神経結紮(「SNL」)モデル(Kim and Chung(1992)
、Pain 50:355−363)において研究した。Spargue−Dawley
雄性ラット(250〜300g)を、4つの群に分けた。第一群のラット(n=7)は、
偽手術を受け、そして皮下注射によってビヒクルを投与された。第二群のラット(n=7
)は、偽手術を受け、そして皮下注射によってラットニューブラスチン(1mg/kg)
を投与された。第三群のラット(n=7)は、脊髄神経結紮を受け、そして皮下注射によ
ってビヒクルを投与された。第四群のラット(n=7)は、脊髄神経結紮を受け、そして
皮下注射によってニューブラスチン(1mg/kg)を投与された。ビヒクルは、5mM
ホスフェートおよび150mM塩化ナトリウム(pH6.5)からなった。ニューブラス
チンまたはビヒクルを、脊髄神経結紮または偽手術の30分前に注射し、次いで、結紮ま
たは手術後(SNL後)、2日目、4日目、7日目、9日目、11日目および14日目に
注射した。Von Frey行動試験(Chaplanら(1994)、J.Neuro
sci.Meth.53:55−63)およびHargreave行動試験(Hargr
eavesら(1998)、Pain 32:77−88)を使用して、触覚応答および
熱応答をそれぞれモニターした。これらの疼痛応答を、ベースラインの応答を確立するた
めに、脊髄神経結紮または偽手術の前にモニターし、次いで、手術後の2週間、毎日モニ
ターした。
【0095】
結果を、平均±平均の標準誤差として、図1および2に示す。ニューブラスチンの皮下
投与(図1および2において下向きの矢印で示される)は、脊髄神経結紮を有するラット
において、両方の型のニューロパシーの疼痛(触覚、図1および熱、図2)のほぼ完全な
正常化を導いた。偽手術ラットにおいて、ニューブラスチンの皮下投与は、触覚(図1)
も熱感受性(図2)も有意に変化させなかった。脊髄神経結紮ラットにおいて、熱感受性
に対するニューブラスチンの効果は、最初に、ニューブラスチン投与の開始3日後に明ら
かになったが、触覚異痛症に対する効果は、最初に、ニューブラスチン投与の開始4〜5
日後に、わずかに遅く明らかになった。熱感受性に対するニューブラスチンの効果は、ニ
ューブラスチン投与の開始約7〜8日後にプラトーに達したが、触覚異痛症に対する効果
は、ニューブラスチン投与の開始約10〜11日後にプラトーに達した。ニューブラスチ
ンの効果は、2〜3日間の投与間隔の間、減少しなかった。実際、5日目および6日目に
測定されるように、4日目および7日目のニューブラスチンの投与間の両方の疼痛行動の
実質的な正常化が存在した。11日目のニューブラスチンの投与後、両方の疼痛行動の残
存している最大正常化は、一定のままであり、これは、ニューロパシーの疼痛に対するニ
ューブラスチンの正常化効果が、少なくとも3日間維持されることを示唆した。
【0096】
(実施例3:短縮型ニューブラスチンポリペプチドを用いるニューロパシーの処置)
触覚異痛症および熱痛覚過敏(2つの末梢ニューロパシー状態)を処置することにおけ
る、成熟ラットニューブラスチンのカルボキシ末端102アミノ酸を含むポリペプチドの
予防効果を、Chung L5/L6脊髄神経結紮(「SNL」)モデルにおいて示す。
【0097】
Sprague−Daley雄性ラット(約250〜300g)を、4つの群に分ける
。第一群のラット(n=6)は、偽手術を受け、そして皮下注射によってビヒクルを投与
される。第二群のラット(n=6)は、偽手術を受け、そして皮下注射によって短縮型ニ
ューブラスチン(1mg/kg)を投与される。第三群のラット(n=6)は、脊髄神経
結紮を受け、そして皮下注射によってビヒクルを投与される。第四群(n=6)は、脊髄
神経結紮を受け、そして皮下注射によって短縮型ニューブラスチン(1mg/kg)を投
与される。ビヒクルは、5mMホスフェートおよび150mM塩化ナトリウム(pH6.
5)を含む。短縮型ニューブラスチンまたはビヒクルを、0日目、2日目、4日目、7日
目、9日目、11日目および14日目に投与する。0日目に、短縮型ニューブラスチンを
、脊髄神経結紮または偽手術の30分前に注射する。疼痛応答を、Chaplanら(1
994)、J.Neurosci.Meth.53:55−63およびHargreav
esら(1998)、Pain 32:77−88に記載される行動試験を使用して決定
する。これらの試験は、触覚応答および熱応答をそれぞれモニターする。これらの疼痛応
答を、ベースラインの応答を確立するために、脊髄神経結紮または偽手術の前にモニター
する。次いで、疼痛応答を、手術後の2週間、毎日モニターする。
【0098】
短縮型ニューブラスチンの皮下投与は、脊髄神経結紮を有するラットにおいて、両方の
型のニューロパシーの疼痛の正常化を導くと期待される。偽手術ラットにおいて、短縮型
ニューブラスチンの皮下投与は、触覚感受性も熱感受性も有意に変化させるとは期待され
ない。熱感受性に対するニューブラスチンの効果は、ニューブラスチンの投与の約3日後
に明らかになると予期されるが、触覚異痛症に対する効果は、わずかに遅く最初に明らか
になると期待される。
【0099】
(実施例4:ニューロパシーの疼痛の神経結紮動物モデルにおけるニューブラスチンの
効力−ニューロパシーの疼痛の逆転)
触覚異痛症および熱痛覚過敏に対するニューブラスチンの逆転効果を、Chung L
5/L6脊髄神経結紮(「SNL」)モデルにおいて研究した。Sprague−Daw
ley雄性ラット(270〜275g)を、4つの群に分けた。第一の群のラット(n=
8)は、偽手術を受け、そして皮下注射によってビヒクルを投与された。第二の群のラッ
ト(n=8)は、偽手術を受け、そしてラットニューブラスチン(1mg/kg)を皮下
注射によって投与された。第三の群のラット(n=8)は、脊髄神経結紮を受け、そして
ビヒクルを皮下注射によって投与された。第四の群のラット(n=8)は、脊髄神経結紮
を受け、そしてラットニューブラスチン(1mg/kg)を皮下注射によって投与された
。このビヒクルは、5mMホスフェートおよび150mM塩化ナトリウム(pH6.5)
からなっていた。Von Frey行動試験(Chaplanら(1994),J.Ne
urosci.Meth.53:55−63)およびHargreave行動試験(Ha
rgreavesら(1988),Pain 32:77−88)を用いて、それぞれ、
触覚応答および熱応答をモニタリングした。これらの疼痛応答を、脊髄神経結紮または偽
手術の前にモニタリングして、ベースライン応答を確立し、次いで、この手術後2週間に
わたって毎日モニタリングした。ニューブラスチンまたはビヒクルを、結紮または手術(
SNL後)後3日目、5日目、7日目、10日目、12日目および14日目に、行動試験
の60分前に注射した。
【0100】
結果を、平均±平均の標準誤差として、図3および図4に示す。両方の型のニューロパ
シーの疼痛行動(触覚異痛症を図3に示し、そして熱痛覚過敏を図4に示す)は、予想さ
れた通り、3日目までに充分に発症した。ニューブラスチンの皮下投与(図3および図4
において下向きの矢印で示す通り)は、脊髄神経結紮したラットにおいて両方の型のニュ
ーロパシーの疼痛(触覚を図3に、そして熱を図4に)のほぼ完全な逆転をもたらし、そ
の結果、触覚応答および熱応答は正常化された。偽手術ラットでは、ニューブラスチンの
皮下投与は、触覚感受性(図3)も熱感受性(図4)も有意には変更しなかった。脊髄神
経結紮したラットでは、熱感受性および触覚異痛症に対するニューブラスチンの効果は、
ニューブラスチン投与の開始の2日後〜3日後に最初に明らかになった。熱感受性および
触覚異痛症に対するニューブラスチンの効果は、ニューブラスチン投与の開始の約7〜8
日後にプラトーに達した。ニューブラスチンの効果は、投与の間の2〜3日の間隔の間減
少しなかった。実際、3日目、5日目、7日目および10日目のニューブラスチンの投与
の間、両方の疼痛行動の実質的な正常化が存在した。
【0101】
(実施例5:ニューロパシーの疼痛のストレプトゾトシン動物モデルにおけるニューブ
ラスチン効力−疼痛感受性の損失の予防)
熱感受性の損失(熱痛感鈍麻)に対するニューブラスチンの予防効果を、糖尿病性ニュ
ーロパシーのストレプトゾトシン(streptozotocin)(「STZ」)モデ
ルにおいて研究した。Sprague−Dawley雌性ラット(250〜275g)を
、4つの群に分け、各々は、10匹の動物からなっていた。1つの群のラットは、STZ
を受けなかった;これらのラットは、ビヒクルを皮下注射によって受けた。3つの群のラ
ットは、STZ(滅菌生理食塩水中50mg/kg)の1回の注射を受け、続いて、血液
サンプルの分光光度アッセイ(spectophotometric assay)によ
って高血糖であることが確認された。3群の高血糖ラットのうち、第一の群は、ビヒクル
を皮下注射によって受け、第二の群は、ラットニューブラスチン(0.1mg/kg)が
皮下注射によって投与され、そして第三の群のラットは、ラットニューブラスチン(1m
g/kg)が皮下注射によって投与された。このビヒクルは、5mMホスフェートおよび
150mM塩化ナトリウム(pH6.5)からなっていた。ニューブラスチンまたはビヒ
クルを、1週間に3回(月曜日、水曜日、金曜日のスケジュール)、8週間にわたって投
与し、そして高血糖のSTZ誘導の時点で開始した。熱応答の潜伏時間を、Calcut
tら(2000),Anesthesiology 93:1271−1278に記載さ
れる通りに8週間後に評価した。手短に述べると、放射熱源を、足の足底表面に適用し、
その結果、その表面温度が20秒間に30℃から38.5℃まで上昇し、そして加熱開始
と足の引っ込めとの間の潜伏時間を測定して、熱応答潜伏を評価した。足の引っ込めの潜
伏時間の増大は、熱感受性の損失(熱痛感鈍麻)を示す。
【0102】
結果を、図5に、平均±平均の標準誤差として示す。予想した通り、STZ後8週間目
には、足の引っ込めの潜伏時間は、正常ラットと比較して、ビヒクル処置STZラット(
STZビヒクル)において増大し、STZ注射によって熱痛感鈍麻が誘導されたことを示
した。ニューブラスチンの投与は、高血糖(STZ)ラットにおける熱応答潜伏時間の増
大を予防した。両方の用量のニューブラスチン(1mg/kgおよび0.1mg/kg)
は、1週間に3回の8週間の投与後に、熱感受性をほぼ完全に正常化した。これらの結果
は、ニューブラスチンが、糖尿病性ニューロパシーのSTZラットモデルにおいて生じる
熱感受性の損失である熱痛感鈍麻を予防することを実証する。
【0103】
(実施例6:ストレプトゾトシンラットにおけるニューブラスチンによる、熱痛感鈍麻
の予防、ならびに熱痛覚過敏の予防および逆転)
ラットNBN113を、実施例1に記載の通りに、E.coliにおいて準備した。熱
感受性の損失(熱痛感鈍麻)に対するニューブラスチンの予防効果、ならびに増大した熱
感受性(熱痛覚過敏)のニューブラスチンによる予防および逆転を、実施例5に記載の通
りに、糖尿病性ニューロパシーのストレプトゾトシン(「STZ」)ラットモデルにおい
て研究した。実施例5に記載の投薬量研究を確認し、そして拡大した。結果を図6Aおよ
び図6Bに示す。
【0104】
図6Aおよび図6Bにおける結果を、平均±平均の標準誤差として示す。予想した通り
、STZ後4週間で、足の引っ込めの潜伏時間は、正常ラットと比較して、ビヒクル処置
STZラットにおいて減少し、熱痛覚過敏がSTZ注射によって誘導されたことを示した
。全ての用量の皮下ニューブラスチン(0.03mg/kgおよび0.1mg/kg)は
、図6Aに示す通り、1週間に3回の4週間にわたる投与後にSTZラットにおいて熱痛
覚過敏を予防した。全ての用量の皮下ニューブラスチン(0.03mg/kgおよび0.
1mg/kg)は、図6Bに示す通り、1週間に3回の8週間にわたる投与後にSTZラ
ットにおいて熱痛感鈍麻を予防した。さらに、図6Bに示す通り、8週間の処置研究(v
eh;0.1mg/kg NBN)のうちの2回目の4週間の間に投与された皮下ニュー
ブラスチン(0.1mg/kg)は、STZ処置後4週間に明らかな熱痛覚過敏を逆転さ
せただけでなく、8週間の時点で、STZラットにおいて熱痛感鈍麻が発症することをも
予防した。これらの結果は、ニューブラスチンが糖尿病性ニューロパシーのSTZラット
モデルにおける熱痛覚過敏を予防および逆転すること、ならびにニューブラスチンが糖尿
病性ニューロパシーのSTZラットモデルにおいて生じる熱感受性の損失(熱痛感鈍麻)
を予防することを実証する。
【0105】
(実施例7:ニューロパシーの疼痛の神経結紮動物モデルにおけるニューブラスチン効
力−ニューロパシーの疼痛の逆転は、用量依存性である)
ラットNBN113を、実施例1に記載の通りに、E.coliにおいて準備した。触
覚異痛症および熱痛覚過敏のNBN113による用量依存性逆転の分析を、実施例4に記
載の通りに、ラットにおいて、0.03mg/kg、0.1mg/kg、0.6mg/k
gおよび2mg/kgのNBN用量を用いて、Chung L5/L6脊髄神経結紮(「
SNL」)動物モデルを用いて行った。図3および4に示す実験結果を確認し、そして拡
大した。結果を、図7および図8に示す。
【0106】
図7および図8における結果を、平均±平均の標準誤差として示す。BLは、ベースラ
イン応答を示す。両方の型のニューロパシーの疼痛行動(触覚異痛症を図7に示し、そし
て熱痛覚過敏を図8に示す)は、予想通り、2日目までに充分に発症した。1週間に3回
(矢印によって示す通り)の2mg/kgニューブラスチン(NBN)の皮下投与は、脊
髄神経結紮をしたラットにおいて、両方の型のニューロパシーの疼痛(触覚を図7に、そ
して熱を図8に)のほぼ完全な逆転をもたらし、その結果、触覚および熱応答が正常化し
た。図7に示す通り、脊髄神経結紮誘導性触覚異痛症のニューブラスチン逆転は、用量応
答性であった。0.1mg/kg s.c.または0.6mg/kg s.c.で投与し
たニューブラスチン(NBN)は、1週間に3回の9(ならびに11)日間の投与後に触
覚異痛症を部分的に逆転させ、一方、2mg/kg s.c.のNBNは、1週間に3回
の7(ならびに9および11)日間の投与後に触覚異痛症を有意に逆転させ、1週間に3
回の9日間および11日間の投与後に触覚異痛症をほぼ完全に逆転させた。さらに、SN
L後14日目の脊髄神経結紮誘導性触覚異痛症の平均逆転はニューブラスチンの皮下用量
が0.1mg/kgから0.6mg/kgへと、そして2mg/kgへと増加するにつれ
て大きかった。0.03mg/kg s.c.のニューブラスチン(NBN)は、1週間
に3回の11日間の投与の間、脊髄神経結紮誘導性触覚異痛症を有意には逆転させなかっ
た。
【0107】
図8に示すように、脊髄神経結紮(SNL)誘導性熱痛覚過敏のニューブラスチン(N
BN)逆転もまた、用量依存性であった。0.1mg/kgのNBN投与は、1週間に3
回の9(ならびに11)日間の投与後に熱痛覚過敏を有意に逆転させ、0.6mg/kg
のNBNは、1週間に3回の7(ならびに9および11)日間の投与後に熱痛覚過敏を有
意に逆転させ、そして2mg/kgのNBNは、1週間に3回の4(ならびに7、9およ
び11)日間の投与後に熱痛覚過敏を有意に逆転させた。さらに、SNL後14日目の脊
髄神経結紮誘導性熱痛覚過敏の平均逆転は、ニューブラスチンの皮下用量が0.1mg/
kgから0.6mg/kgへと、そして2mg/kgへと増加するにつれて大きかった。
0.03mg/kg s.c.のNBNは、1週間に3回の11日間の投与の間、脊髄神
経結紮誘導性熱痛覚過敏を有意には逆転させなかった。
【0108】
(等価物)
特定の実施形態を本明細書中に詳細に開示したが、これは、例示の目的のために例とし
て開示したのであって、添付の特許請求の範囲の範囲に関して限定することを意図するの
ではない。特に、種々の置換、変更および改変は、特許請求の範囲によって定義される本
発明の趣旨および範囲から逸脱することなく本発明に対してなされ得る。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】図1は、L5/L6脊髄神経結紮(spinal nerve ligation)(SNL)を有するラットにおける皮下ニューブラスチン(NBN)による、触覚異痛症のほぼ完全な予防を示す折れ線プロットである。
【図2】図2は、L5/L6脊髄神経結紮(SNL)を有するラットにおける皮下ニューブラスチン(NBN)による、熱痛覚過敏(thermal hyperalgesia)のほぼ完全な予防を示す折れ線プロットである。
【図3】図3は、L5/L6脊髄神経結紮(SNL)を有するラットにおける皮下ニューブラスチン(NBN)による、完全に確立された触覚異痛症のほぼ完全な逆転を示す折れ線プロットである。
【図4】図4は、L5/L6脊髄神経結紮(SNL)を有するラットにおける皮下ニューブラスチン(NBN)による、完全に確立された熱痛覚過敏のほぼ完全な逆転を示す折れ線プロットである。
【図5】図5は、STZ(ストレプトゾトシン)誘導ニューロパシーを有するラットにおける皮下ニューブラスチン(NBN)による、熱痛感鈍麻のほぼ完全な正常化を示す棒グラフである。
【図6】図6Aおよび図6Bは、STZ(ストレプトゾトシン)処置後4週間目(図6A)および8週間目(図6B)での、STZ誘導ニューロパシーを有するラットにおける皮下ニューブラスチン(NBN)による、熱痛覚過敏の予防(図6A)、熱痛感鈍麻の予防(図6B)、および熱痛覚過敏の逆転(図6B)を示すグラフ表示である。
【図7】図7は、L5/L6脊髄神経結紮(SNL)を有するラットにおける皮下ニューブラスチン(NBN)による、完全に確立された触覚異痛症の用量依存ニューブラスチン逆転を示す、折れ線プロットである。
【図8】図8は、L5/L6脊髄神経結紮(SNL)を有するラットにおける皮下ニューブラスチン(NBN)による、完全に確立された熱痛覚過敏の用量依存ニューブラスチン逆転を示す、折れ線プロットである。(配列表)
【表A−1】


【表A−2】


【表A−3】


【表A−4】


【表A−5】


【表A−6】


【表A−7】




【表A−8】


【表A−9】


【表A−10】


【表A−11】


【表A−12】


【表A−13】


【表A−14】


【表A−15】


【表A−16】


【表A−17】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−161515(P2009−161515A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−306855(P2008−306855)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【分割の表示】特願2002−576995(P2002−576995)の分割
【原出願日】平成14年2月28日(2002.2.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
【出願人】(592221528)バイオジェン・アイデック・エムエイ・インコーポレイテッド (224)
【Fターム(参考)】