ニロチニブHCl結晶形
ニロチニブHClの各種結晶形を報告する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年11月5日付出願の米国特許仮出願第61/111,561号;2009年2月26日付出願の第61/155,789号;2009年5月12日付出願の第61/177,454号;2009年7月21日付出願の第61/227,210号;2009年9月9日付出願の第61/240,709号;2009年9月15日付出願の第61/242,514号;2009年9月29日付出願の第61/246,799号;並びに、2009年10月7日付出願の第61/249,376号の利益を主張する。これらの出願は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明はニロチニブHClの各種結晶形に関する。
【背景技術】
【0003】
下記式を有するニロチニブ、4−メチル−N−[3−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−[[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]アミノ]−ベンズアミド:
【化1】
は、薬剤抵抗性の慢性骨髄性白血病(CML)の治療に使用されるチロシンキナーゼ阻害剤であり、特に該疾患が進行し、又はイマチニブを含む他の治療に不耐容である成人患者における、フィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病(CML)の慢性期及び移行期の治療に使用される。ニロチニブは塩酸塩の形態でカプセルとして投与され、Tasigna(登録商標)の名称で米国及び欧州において市販されている。
【0004】
PCT公開WO2007/015870(「WO’870」)及びWO2007/015871(「WO’871」)は、ニロチニブ遊離塩基、ニロチニブ塩酸塩及びニロチニブ硫酸塩の結晶形及び非晶形を含む、幾つかのニロチニブ塩を開示する。これらの結晶形は溶媒和物、無水物又は水和物の何れかの形態で存在する。
【0005】
本発明は、ニロチニブ、4−メチル−N−[3−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−[[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]アミノ]−ベンズアミドの、又はそれらの塩の、又は医薬として好適な賦形剤と組み合せたニロチニブHCl固溶体の固体物理特性に関する。斯かる特性は、4−メチル−N−[3−(4−メチル−1H−イミダゾール−l−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−[[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]アミノ]−ベンズアミド又はそれらの塩、又は医薬として好適な賦形剤と組み合せたニロチニブHCl固溶体を、固体形として得る際の条件を制御することにより、影響を与えることができる。固体物理特性には、例えば粉砕固体の流動性が含まれる。物質の流動性は、その物質を医薬品に加工する際の取り扱い性に影響を及ぼす。粉末化された化合物粒子が相互に流動し難い場合、製剤の専門家は、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、デンプン、又は第三リン酸カルシウム等の流動促進剤の使用を余儀なくされる。
【0006】
医薬化合物の別の重要な固体特性は、水性流体への溶解速度である。患者の胃液に対する活性成分の溶解速度は、経口投与された活性成分が患者の血流に到達する速度に上限を架すため、治療結果に影響を与え得る。溶解速度は、シロップ剤、エリキシル剤、及び他の液状医薬品の製剤においても検討事項となる。化合物の固体形態は、圧密時の挙動や貯蔵安定性にも影響を及ぼし得る。
【0007】
これらの実用上の物理的特性は、物質の具体的な多形相を規定する、単位格子内の分子の立体配座及び配向により影響を受ける。多形相は、非晶質物質や別の多形とは異なる熱挙動を示し得る。熱挙動は、実験室においてキャピラリー融点、熱重量分析(「TGA」)、示差走査熱量測定(「DSC」)等の技術により測定され、ある多形相を他のものから識別するのに使用できる。多形相によっては独自の分光学的特性を示す場合もあり、これは粉末X線結晶学、固体13C NMR分光法、赤外分光法により検出可能である。
【0008】
一般的に、結晶性固体は、非晶形や結晶度の低い形態と比べて、より優れた化学的及び物理的安定性を有する。結晶形は、溶解度、吸湿性、かさ特性、及び/又は流動性についても、優れている場合がある。
【0009】
医薬として有用な化合物の新規な多形相を発見すれば、医薬品のパフォーマンス特性を改善する新たな機会が提供される。これによって、例えば標的化放出プロファイルや他の所望の特性を有する薬物の医薬投与形態を設計するために、製剤科学者が利用可能な物質のレパートリーが広がることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本技術分野では、ニロチニブ塩(特にHCl塩)の新規結晶形やその調製方法についての必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、熱安定性、溶解、貯蔵安定性、形態学、流動性等の特性に優れた、又はこれらの特性が改善された、ニロチニブ一塩酸塩の新規結晶形を提供する。
【0012】
一実施態様において、本発明は、約7.4、8.9及び20.8度2θ±0.2度2θにピークを有すると共に、5.6、10.9、11.1、13.8、14.1、21.5、21.8及び22.4度2θ±0.2度2θを含む群から選択される2以上のピークを更に有する粉末X線回折像により特徴付けられる、本明細書においてニロチニブHClフォームT1と規定される、4−メチル−N−[3−(4−メチルイミダゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−[(4−ピリジン−3−イルピリミジン−2−イル)アミノ]ベンズアミド塩酸塩の結晶形を包含する。
【0013】
別の実施態様において、本発明は、約7.4、8.9及び20.8度2θ±0.2度2θにピークを有すると共に、5.6、10.9、11.1、13.8、14.1、21.5、21.8及び22.4度2θ±0.2度2θからなる群から選択される2以上のピークを更に有する粉末X線回折像;実質的に図1に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT1と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0014】
更に別の実施態様において、本発明は、約5.6、7.4、8.9、10.9及び20.8度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;実質的に図2に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、結晶性ニロチニブHClフォームT1を包含する。
【0015】
一実施態様において、本発明は、約7.4、8.9及び20.8度2θ±0.2度2θにピークを有すると共に、5.6、10.9、11.1、13.8、14.1、21.5、21.8及び22.4度2θ±0.2度2θからなる群から選択される2以上のピークを更に有する粉末X線回折像;実質的に図1に示される粉末X線回折像;ピークを約5.6、7.4、8.9、10.9及び20.8度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図2に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT1と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0016】
別の実施態様において、本発明は、ジメチルスルホキシド(「DMSO」)中のニロチニブHClフォームBをスラリー化し、ニロチニブHClフォームT1を得ることによる、ニロチニブHClフォームT1の調製方法も包含する。
【0017】
更に別の実施態様において、本発明は、約7.1、8.7、11.5、14.0、15.3、16.6、17.4、19.4及び25.5±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;実質的に図3に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT2と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0018】
別の実施態様において、本発明は、約7.0、8.5、11.4、12.1、14.2、17.2、19.2、22.1、23.2及び25.3±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;実質的に図4に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT3と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0019】
一実施態様において、本発明は更に、約5.9、8.8、11.9、15.3、16.6、19.7、20.3、25.4、26.9及び27.4±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;実質的に図5に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT4と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0020】
更に別の実施態様において、本発明は、約7.1、14.0、18.4、20.8、21.5、22.5、24.8、25.4及び27.3±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;実質的に図6に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT5と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0021】
別の実施態様において、本発明は、約7.2、8.8、14.4、22.3、23.4、25.7、26.4、27.7、29.6及び31.5±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;実質的に図7に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT6と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0022】
更に別の実施態様において、本発明は、実質的に図8に示される粉末X線回折像により特徴付けられる、本明細書においてフォームT7と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0023】
一実施態様において、本発明は、約3.8、7.5、18.7、19.9、及び25.4度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;実質的に図8に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT7と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。ニロチニブHClフォームT7は、追加ピークを約8.7、11.4、15.2、19.4及び22.3度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像により更に特徴付けられ得る。
【0024】
一実施態様において、本発明は、実質的に図9に示される粉末X線回折像により特徴付けられる、本明細書においてフォームT8と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0025】
別の実施態様において、本発明は、約6.5、7.4、18.3、23.1及び24.3度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;実質的に図9に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT8と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。ニロチニブHClフォームT8は、約12.1、13.5及び27.2度2θ±0.2度2θに追加ピークを有する粉末X線回折像により更に特徴付けられ得る。
【0026】
別の実施態様において、本発明は、約8.7、9.4、12.2、17.4、18.1、19.4、22.2、24.1、25.1、25.8及び26.2±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;実質的に図10に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT9と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0027】
更に別の実施態様において、本発明は、実質的に図11に示される粉末X線回折像により特徴付けられる、本明細書においてフォームT10と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0028】
一実施態様において、本発明は、約8.9、14.0、21.0、23.8及び25.6度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;実質的に図11に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT10と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。ニロチニブHClフォームT10は、約8.0、15.2、16.9、22.3及び29.0度2θ±0.2度2θに追加ピークを有する粉末X線回折像により更に特徴付けられ得る。
【0029】
一実施態様において、本発明は、約7.4、8.7、17.4、25.3、26.2及び35.1±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;実質的に図12に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT11と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0030】
別の実施態様において、本発明は、ピークを約7.4、9.5、12.3、14.8、15.9、19.4、19.8、22.3、24.3及び25.9±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図13に示される粉末X線回折像:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT12と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0031】
更に別の実施態様において、本発明は、約8.2、12.8、15.7、16.5、21.7及び23.9±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;実質的に図14に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT13と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0032】
一実施態様において、本発明は、約7.5、7.9、8.7、19.4及び25.3度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;実質的に図15に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT14と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。ニロチニブHClフォームT14は、約11.3、13.4及び17.4度2θ±0.2度2θに追加ピークを有する粉末X線回折像により更に特徴付けられ得る。
【0033】
別の実施態様において、本発明は、約6.3、7.3、8.6、12.2及び18.2度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;実質的に図16に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT15と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。ニロチニブHClフォームT15は、約23.0及び24.3度2θ±0.2度2θに追加ピークを有する粉末X線回折像により更に特徴付けられ得る。
【0034】
更に別の実施態様において、本発明は、約8.1、9.0、14.1、18.0及び21.4度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;実質的に図17に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT16と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。ニロチニブHClフォームT16は、約21.1、21.8及び22.1度2θ±0.2度2θに追加ピークを有する粉末X線回折像により更に特徴付けられ得る。
【0035】
一実施態様において、本発明は、実質的に図18に示される粉末X線回折図により特徴づけられる、医薬として好適な賦形剤と組合せたニロチニブHClの固溶体を包含する。
【0036】
別の実施態様において、本発明は、ニロチニブHCl及び好適な賦形剤を、C1−C4アルコール中に溶解すること;並びに、溶媒を除去し、医薬として好適な賦形剤と組合せたニロチニブHClの固溶体を得ること:を含む、医薬として好適な賦形剤と組合せたニロチニブHClの固溶体の調製方法も包含する。
【0037】
更に別の実施態様において、本発明は、C1−C4アルコール中にニロチニブHCl及び医薬として好適な賦形剤を含有する溶液を、出口温度約35℃〜約40℃を使用し、噴霧乾燥する工程を含む、医薬として好適な賦形剤と組合せた、ニロチニブHClの固溶体の調製方法を包含する。好ましくはその入口温度は、60℃〜約70℃である。
【0038】
別の実施態様において、本発明は、ニロチニブHClを、医薬として好適な賦形剤及びC1−C4アルコールと一緒にすること;加熱し、溶液を得ること;並びに、噴霧乾燥すること:を含む方法による、医薬として好適な賦形剤と組合せた、ニロチニブHClの固溶体の調製方法を包含する。
【0039】
別の実施態様において、本発明は、約5.7、9.8、15.0、15.8及び17.3度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;実質的に図19に示される粉末X線回折像;実質的に図20に示される粉末X線回折像;約113.1、133.1、160.9±0.2ppmにシグナルを有する固体13C NMRスペクトル;最低化学シフトを示すシグナルと化学シフト範囲100〜180ppmの別のシグナルとの間に約9.2、29.2及び57.0±0.1ppmの化学シフト差を有する、固体13C NMRスペクトルであり、ここで化学シフト領域100〜180ppm中に最低化学シフトを示す該シグナルは、典型的には約103.9±1ppmであるもの;図21に示される13C NMRスペクトル:図22に示される13C NMRスペクトル;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴づけられる、本明細書においてフォームT17と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。ニロチニブHClフォームT17は、約7.5、11.4、18.6、19.6及び20.7度2θ±0.2度2θ又は約7.6、11.4、18.7、19.7及び20.7度2θ±0.2度2θに追加ピークを有する粉末X線回折像により更に特徴付けられ得る。
【0040】
更に別の実施態様において、本発明は:
a)ニロチニブ基本フォームAを、無水エタノール及びHClと一緒にし、スラリーを得ること;
b)加熱し、溶液を得ること;
c)冷却すること;並びに、
d)乾燥すること:を含む、ニロチニブHClフォームT17の調製方法を包含する。
【0041】
あるいは、ニロチニブHClフォームT17は、ニロチニブ基本フォームAを、無水エタノール及びHClと一緒にし、スラリーを得ることにより調製されることができる。このスラリーは次に十分に加熱され、その中にスラリー内の固形物質の少なくとも一部が溶解されている溶液を形成する。この溶液は次に十分に冷却され、ニロチニブHClを沈殿し、これは次に十分に乾燥され、ニロチニブHClフォームT17を形成する。
【0042】
一実施態様において、本発明は、ニロチニブHCl非晶形を、アセトン又はテトラヒドロフラン(THF)と一緒にし、スラリーを得ること;このスラリーを激しく攪拌すること;及び、このスラリーを乾燥し、ニロチニブHClフォームT17を得ること:を含む、ニロチニブHClフォームT17の別の調製方法を更に含んでいる。
【0043】
別の実施態様において、本発明は、ニロチニブHCl非晶形を、酢酸イソプロピル又は酢酸エチルと一緒にし、スラリーを得ること;このスラリーを激しく攪拌すること;及び、乾燥し、ニロチニブHClフォームT17及びニロチニブHClフォームAの混合物を得ること:を含む、ニロチニブHClフォームT17及びニロチニブHClフォームAの混合物の調製方法を含んでいる。
【0044】
更に別の実施態様において、本発明は、ニロチニブHClフォームA及びT17のニロチニブHClフォーム(for)T17の混合物を、IPA又はアセトニトリルによりスラリー化し、ニロチニブHClフォームT17を得ること:を含む、ニロチニブHClフォームT17の調製方法を提供する。
【0045】
一実施態様において、本発明は、約5.5、7.2、8.7、9.6及び10.9度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;約5.5、7.1、8.7、9.6及び10.9度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;実質的に図23に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT18と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。ニロチニブHClフォームT18は、約14.4、17.0、19.2、21.9及び22.3度2θ±0.2度2θ又は約14.4、17.0、19.2、21.9及び22.4度2θ±0.2度2θに追加ピークを有する粉末X線回折像により更に特徴付けられ得る。
【0046】
一実施態様において、本発明は:
a)ニロチニブ基本フォームAを、無水エタノール及びHClと一緒にし、スラリーを得ること;
b)加熱すること;並びに、
c)冷却し、ニロチニブHClフォームT18を形成すること:を含む、ニロチニブHClフォームT18の調製方法も包含する。
【0047】
更に別の実施態様において、本発明は、ニロチニブHClフォームT18を乾燥することによる、ニロチニブHClフォームT17の調製方法を提供する。
【0048】
一実施態様において、本発明は、エタノール中でニロチニブHClフォームA及びニロチニブHClフォームT17の混合物を、温度約55℃〜約78℃で、スラリー化すること:を含む、ニロチニブHClフォームT18の別の調製方法を提供する。
【0049】
別の実施態様において、本発明は、ニロチニブHClフォームT17を、無水エタノールと一緒にすること;加熱すること;及び、冷却し、ニロチニブHClフォームT18を得ること:を含む、ニロチニブHClフォームT18の追加の調製方法を提供する。
【0050】
別の実施態様において、本発明は、約5.5、7.2、9.2、9.6及び10.9度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;実質的に図24に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT19と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。ニロチニブHClフォームT19は、約14.1、14.9、17.7、18.5及び19.3度2θ±0.2度2θに追加ピークを有する粉末X線回折像により更に特徴付けられ得る。
【0051】
更に別の実施態様において、本発明は、ニロチニブHClフォームBをエタノール中でスラリー化すること;加熱すること;及び、冷却すること:を含む、ニロチニブHClフォームT19の調製方法を提供する。
【0052】
一実施態様において、本発明は、医薬として好適な賦形剤と一緒に組合せたニロチニブHClの固溶体を、並びに/又は先に規定された結晶性フォームT1−T19及び少なくとも1種の追加の医薬として許容し得る賦形剤を、単独で、又は組合せで含有する医薬組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】ニロチニブHClフォームT1の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図2】ニロチニブHClフォームT1の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図3】ニロチニブHClフォームT2の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図4】ニロチニブHClフォームT3の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図5】ニロチニブHClフォームT4の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図6】ニロチニブHClフォームT5の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図7】ニロチニブHClフォームT6の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図8】ニロチニブHClフォームT7の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図9】ニロチニブHClフォームT8の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図10】ニロチニブHClフォームT9の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図11】ニロチニブHClフォームT10の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図12】ニロチニブHClフォームT11の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図13】ニロチニブHClフォームT12の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図14】ニロチニブHClフォームT13の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図15】ニロチニブHClフォームT14の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図16】ニロチニブHClフォームT15の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図17】ニロチニブHClフォームT16の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図18】ヒドロプロピルセルロースと混合されたニロチニブHClの固溶体の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図19】ニロチニブHClフォームT17の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図20】ニロチニブHClフォームT17の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図21】0−200ppm範囲内のニロチニブHClフォームT17の固体13C NMRスペクトルを示す。
【図22】100−200ppm範囲内のニロチニブHClフォームT17の固体13C NMRスペクトルを示す。
【図23】ニロチニブHClフォームT18の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図24】ニロチニブHClフォームT19の特徴的粉末X線回折図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本明細書において使用される用語「室温」又は「周囲温度」とは、温度約15℃〜約30℃、より好ましくは温度約20℃〜約25℃をいう。
【0055】
本明細書において使用される用語「一晩」とは、約13時間〜約24時間、より好ましくは約16時間〜約24時間をいう。
【0056】
本明細書において使用される用語「噴霧乾燥」とは広く、液体混合物の小型液滴への破壊(微粒化)、及びこの混合物からの溶媒の迅速な除去が関与するプロセスをいう。典型的噴霧乾燥装置においては、乾燥用ガスを提供することにより供され得る、液滴から溶媒を蒸発するための強力な駆動力が存在する。噴霧乾燥のプロセス及び装置は、Perryの「Chemical Engineer's Handbook」、20-54頁から20-57頁(第6版、1984年)に記載されており、これは参照により本明細書に組み入れられる。
【0057】
単なる非限定的例として、典型的噴霧乾燥装置は、乾燥チャンバー、溶媒含有供給物を乾燥チャンバーへ微粒化するための微粒化手段、微粒化された溶媒含有供給物から溶媒を除去するための乾燥チャンバーへと流れる乾燥用ガスの供給源、乾燥した生成物のための出口、及び乾燥チャンバーの下流に配置された生成物収集手段を備える。そのような装置の例は、Niro Models PSD-1、PSD-2及びPSD-4(Niro社、Soeborg、デンマーク)、並びにBUCHIモデルB-191ミニスプレードライヤーを含む。製造業者Hosokawa Micron社によるモデルAGM-2M-SDなどの噴霧乾燥のための市販の装置を、使用することができる。
【0058】
本明細書において使用される「入口温度」とは、溶液が噴霧乾燥機に進入する部位の温度であり;「出口温度」とは、ガスが噴霧乾燥機を出る部位の温度である。
【0059】
入口温度又は出口温度は、必要ならば、装置、ガス、又は他の実験パラメータに応じて変動してよい。例えば、出口温度は、アスピレーター速度、大気湿度、入口温度、噴霧空気流量(spray air flow)、供給速度、又は濃度などのパラメータにより左右されることはわかっている。当業者は、望ましい出口温度を得るためにこれらのパラメータをどのように変更すればよいかを知っているであろう。
【0060】
典型的には、前記生成物収集手段は、該乾燥装置に連結されたサイクロンを備える。サイクロンにおいて、噴霧乾燥時に製造された粒子は、乾燥用ガスから分離され、かつ溶媒が蒸発され、これらの粒子を収集することが可能になる。噴霧乾燥により製造された粒子を分離しかつ収集するために、フィルターを使用することもできる。噴霧乾燥は、本発明の方法において従来の様式で行うことができる(例えば、「Remington: The Science and Practice of Pharmacy」、第19版、II巻、1627頁を参照し、これは参照により本明細書に組み入れられる)。本発明において使用される乾燥用ガスは、任意の好適なガスであってよいが、窒素、窒素エンリッチドエア、及びアルゴンなどの不活性ガスが好ましい。窒素ガスは、本発明の方法において使用するのに特に好ましい乾燥用ガスである。
【0061】
本明細書において使用される用語「固溶体」とは、互いに2種の化合物の分布(distribution)時に得られる単独相又はより多い相をいう。
【0062】
本明細書において使用される用語「低下した圧力」とは、約10mbar〜約50mbarの圧力、より好ましくは約20mbar〜約30mbarの圧力をいう。
【0063】
本明細書において使用される用語「無水エタノール」とは、1%(重量/重量百分率)以下の水、好ましくは0.5%以下の水、より好ましくは0.25%以下の水、最も好ましくは0.15%以下の水を有するエタノールをいう。
【0064】
本明細書において使用される用語「スラリー」とは、固体(複数)及び液体(複数)の不均質な混合物をいう。
【0065】
本明細書において使用される用語「無水」とは、水の合計(結合及び非結合)が重量で約2%未満である結晶形をいう。
【0066】
本明細書において使用される用語「純粋」とは、ニロチニブHClフォームAを約10重量/重量%以下有するニロチニブHCl結晶形をいう。好ましい実施態様において、純粋なニロチニブHCl結晶形は、ニロチニブHClの何れか他の結晶形を約10重量/重量%以下含み;すなわち、他の結晶形は約10%を超える量では存在しない。アセトン、THF、酢酸イソプロピル及び酢酸エチルに関連して、本明細書において使用される用語「乾燥」とは、使用前に4A分子篩上で乾燥された、溶媒に関する。
【0067】
本明細書において使用される用語「激しく攪拌」とは、振盪又は攪拌などの混合を増強する任意の手段をいう。
【0068】
PCT公開番号WO2007/015870(「WO’870」)は、結晶フォームA及びBを含む、ニロチニブの結晶形を開示している。フォームAは、約8.5、11.0、11.5、17.2、18.8、19.2、20.8、22.1及び26.0度2θ±0.2度2θから選択された、少なくとも1、より好ましくは少なくとも2、更により好ましくは少なくとも4及び最も好ましくは最大全ての粉末X線回折像により特徴づけられる。フォームBは、約7.2、9.2、11.4、12.0、12.3、14.6、14.8、15.7、17.6、19.2、19.5、20.5、22.0、23.4、23.9、25.0、25.5、25.9、27.0度2θ±0.2度2θから選択された、少なくとも1、より好ましくは少なくとも2、更により好ましくは少なくとも4及び最も好ましくは最大全ての粉末X線回折像により特徴づけられる。
【0069】
本発明は、ニロチニブHClの新規結晶形を提供することにより、当該技術分野における必要性に対処している。
【0070】
本発明は、ピークを約7.4、8.9及び20.8度2θ±0.2度2θに、並びに5.6、10.9、11.1、13.8、14.1、21.5、21.8及び22.4度2θ±0.2度2θからなる群から選択される2以上のピークを更に有する粉末X線回折像;並びに、実質的に図1に示される粉末X線回折像;ピークを約5.6、7.4、8.9、10.9及び20.8度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像;及び、実質的に図2に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT1と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。ニロチニブHClフォームT1は、追加のピークを約11.4、13.8、14.1、21.5及び21.8度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像により更に特徴付けられ得る。
【0071】
任意に、ニロチニブHClフォームT1は、ピークを約7.4、8.9、10.9、20.8及び21.5度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像、又はピークを約7.4、8.9、11.1、13.8及び20.8度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像により特徴付けられる。
【0072】
典型的には、ニロチニブHCl結晶フォームT1は、DMSO溶媒和物である。
【0073】
WO ’870に開示されたように、IPA中に溶解可能ではないニロチニブHClフォームBとは異なり、ニロチニブHClフォームT1は、還流時にIPA中に溶解可能である。
【0074】
本発明は、ニロチニブHClフォームT1を得るために、ジメチルスルホキシド(「DMSO」)中で、ニロチニブHClフォームBをスラリー化することによる、ニロチニブHClフォームT1の調製方法も包含する。
【0075】
好ましくはこのDMSOは、水を含有し、より好ましくはこの水含量は約0.01%〜約0.04%である。
【0076】
好ましくはこの懸濁液は、フォームT1の沈殿が得られるまで、攪拌される。好ましくはこの攪拌は、約350rpm〜約700rpmであり、より好ましくは約700rpmである。好ましくはこの攪拌は、ほぼ室温であり、より好ましくは約25℃である。好ましくはこの攪拌は、約16時間〜約25時間行われ、より好ましくは約24時間行われる。
【0077】
前記沈殿は、更に分離されてよい。この分離は、濾過により行われてよい。好ましくは、濾過は、約0mbar〜約40mbar、好ましくは約3.5mbarなどの減圧下で行われる。
【0078】
本発明は、ピークを約7.1、8.7、11.5、14.0、15.3、16.6、17.4、19.4及び25.5±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図3に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、結晶性ニロチニブHClフォームT2を包含する。
【0079】
本発明は、ニロチニブ基本フォームAを、無水エタノール又はイソプロパノール(IPA)中に懸濁すること;及び、加熱することなく、IPA中に溶解されたHClを添加し、沈殿を得ることによる、ニロチニブHClフォームT2の調製方法も包含する。
【0080】
ニロチニブ基本フォームAは、米国特許第7,169,791号に従い調製することができ、この特許は参照により本明細書に組み入れられる。
【0081】
好ましくは、IPA中のHClは、濃度約19.48%である。
【0082】
このHClの添加後、スラリーが得られる。好ましくはこのスラリーを攪拌し、沈殿を得る。好ましくは、攪拌はほぼ室温である。好ましくは、攪拌は約16時間〜約24時間、より好ましくは約16時間行われる。
【0083】
前記沈殿は、更に分離される。この分離は、濾過により行われてよい。分離された沈殿は、更に洗浄され、かつ乾燥されてよい。好ましくは洗浄は、本プロセスにおいて使用される溶媒と同じ溶媒で行われる。好ましくは洗浄は2回行われる。好ましくは乾燥は真空炉を用いて行われ、より好ましくは乾燥は、温度約50℃〜約60℃であり、最も好ましくは乾燥は、温度約50℃である。好ましくは乾燥は一晩である。
【0084】
本発明は、ピークを約7.0、8.5、11.4、12.1、14.2、17.2、19.2、22.1、23.2及び25.3±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図4に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT3と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0085】
本発明は、ニロチニブ基本フォームAを95%エタノール中に懸濁すること;及び、加熱することなく、IPA中に溶解されたHClを添加し、沈殿を得ることによる、ニロチニブHClフォームT3の調製方法も包含する。
【0086】
好ましくは、IPA中のHClは、濃度約19.48%である。
【0087】
このHClの添加後、スラリーが得られる。好ましくはこのスラリーを攪拌し、沈殿を得る。好ましくは、攪拌はほぼ室温である。好ましくは、攪拌は約16時間〜約24時間、より好ましくは約16時間行われる。
【0088】
前記沈殿は、更に分離されてよい。この分離は、濾過により行われてよい。分離された沈殿は、更に洗浄され、かつ乾燥されてよい。好ましくは、洗浄は95%エタノールで行われる。好ましくは、洗浄は2回行われる。好ましくは、乾燥は真空炉を用いて行われ、より好ましくは、乾燥は温度約50℃〜約60℃であり、最も好ましくは、乾燥は温度約50℃である。好ましくは、乾燥は一晩である。
【0089】
本発明は更に、ピークを約5.9、8.8、11.9、15.3、16.6、19.7、20.3、25.4、26.9及び27.4±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図5に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT4と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0090】
本発明は、ニロチニブ基本フォームAを1−プロパノール中に懸濁すること;及び、IPA中に溶解されたHClを添加し、沈殿を得ることによる、ニロチニブHClフォームT4の調製方法も包含する。
【0091】
好ましくは、IPA中のHClは、濃度約19.48%である。
【0092】
このHClの添加後、スラリーが得られる。好ましくはこのスラリーを攪拌し、沈殿を得る。好ましくは、攪拌はほぼ室温である。好ましくは、攪拌は約16時間〜約24時間、より好ましくは約16時間行われる。
【0093】
前記沈殿は、更に分離されてよい。この分離は、濾過により行われてよい。分離された沈殿は、更に洗浄され、かつ乾燥されてよい。好ましくは洗浄は、1−プロパノールで行われる。好ましくは、洗浄は2回行われる。好ましくは、乾燥は真空炉を用いて行われ、より好ましくは、乾燥は温度約50℃〜約60℃であり、最も好ましくは、乾燥は温度約50℃である。好ましくは、乾燥は一晩行われる。
【0094】
本発明は、ピークを約7.1、14.0、18.4、20.8、21.5、22.5、24.8、25.4及び27.3±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図6に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT5と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0095】
本発明は、ニロチニブ基本フォームAをn−ブタノール中に懸濁すること;及び、IPA中に溶解されたHClを添加し、沈殿を得ることによる、ニロチニブHClフォームT5の調製方法も包含する。
【0096】
好ましくは、IPA中のHClは、濃度約19.48%である。
【0097】
このHClの添加後、スラリーが得られる。好ましくはこのスラリーを攪拌し、沈殿を得る。好ましくは、攪拌はほぼ室温である。好ましくは、攪拌は約16時間〜約24時間、より好ましくは約16時間行われる。
【0098】
前記沈殿は、更に分離される。この分離は、濾過により行われてよい。分離された沈殿は、更に洗浄され、かつ乾燥されてよい。好ましくは、洗浄はn−ブタノールで行われる。好ましくは、洗浄は2回行われる。好ましくは、乾燥は真空炉を用いて行われ、より好ましくは、乾燥は温度約50℃〜約60℃であり、最も好ましくは、乾燥は温度約50℃である。好ましくは、乾燥は一晩行われる。
【0099】
本発明は、ピークを約7.2、8.8、14.4、22.3、23.4、25.7、26.4、27.7、29.6及び31.5±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図7に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT6と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0100】
本発明は更に、ニロチニブ基本フォームAを、2−ブタノール、tert−ブタノール及び2−ペンタノールからなる群から選択される溶媒中に懸濁すること;及び、IPA中に溶解されたHClを添加し、沈殿を得ることによる、ニロチニブHClフォームT6の調製方法を包含する。
【0101】
好ましくは、IPA中のHClは、濃度約19.48%である。
【0102】
このHClの添加後、スラリーが得られる。好ましくはこのスラリーを攪拌し、沈殿を得る。好ましくは、攪拌はほぼ室温である。好ましくは、攪拌は約16時間〜約24時間、より好ましくは約16時間行われる。
【0103】
前記沈殿は、更に分離される。この分離は、濾過により行われてよい。分離された沈殿は、更に洗浄され、かつ乾燥されてよい。好ましくは、洗浄は本プロセスにおいて使用された溶媒と同じ溶媒で行われる。好ましくは、洗浄は2回行われる。好ましくは、乾燥は真空炉を用いて行われ、より好ましくは、乾燥は温度約50℃〜約60℃であり、最も好ましくは乾燥は、温度約50℃である。好ましくは、乾燥は一晩である。
【0104】
本発明は、実質的に図8に示される粉末X線回折像により特徴付けられる、本明細書においてフォームT7と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0105】
あるいは、ニロチニブHClフォームT7は、ピークを約3.8、7.5、18.7、19.9、及び25.4度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図8に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる。ニロチニブHClフォームT7は、追加ピークを約8.7、11.4、15.2、19.4及び22.3度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像により更に特徴付けられ得る。
【0106】
本発明は同じく、ニロチニブHClフォームBをベンジルアルコールと一緒にし、沈殿を得ることを含むプロセスによる、ニロチニブHClフォームT7の調製方法も包含する。
【0107】
ニロチニブHClフォームT7のベンジルアルコールとの組合せは、それから結晶形フォームT7が得られるスラリーを生じる。
【0108】
好ましくは、ニロチニブHClフォームB及びベンジルアルコールの組合せが攪拌される。好ましくは攪拌は、ほぼ周囲温度である。好ましくは攪拌は、約16時間〜約24時間、より好ましくは約24時間行われる。
【0109】
前記沈殿は、更に分離される。この分離は、濾過により行われてよい。好ましくは、濾過は漏斗上で行われる。分離された沈殿は、更に乾燥されてよい。好ましくは、乾燥は温度約50℃〜約60℃であり、より好ましくは、乾燥は温度約50℃である。好ましくは、乾燥は真空下で行われる。好ましくは、乾燥は一晩行われる。
【0110】
本発明は、実質的に図9に示される粉末X線回折像により特徴付けられる、本明細書においてフォームT8と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0111】
あるいは、ニロチニブHClフォームT8は、ピークを約6.5、7.4、18.3、23.1及び24.3度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図9に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる。ニロチニブHClフォームT8は、追加ピークを約12.1、13.5及び27.2度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像により更に特徴付けられ得る。
【0112】
本発明は、ニロチニブHClフォームBを、ジメチルアセトアミド(「DMA」)と一緒にし、沈殿を得ることを含むプロセスによる、ニロチニブHClフォームT8の調製方法も包含する。
【0113】
ニロチニブHClフォームT8のDMAとの組合せは、それから結晶フォームT8が得られるスラリーを生じる。
【0114】
好ましくは、ニロチニブHClフォームB及びDMAの組合せが攪拌される。好ましくは、攪拌はほぼ周囲温度である。好ましくは、攪拌は約16時間〜約24時間、より好ましくは約24時間行われる。
【0115】
前記沈殿は、更に分離される。この分離は、濾過により行われてよい。好ましくは、濾過は漏斗上で行われる。分離された沈殿は、更に乾燥される。好ましくは、乾燥は温度約50℃〜約60℃であり、より好ましくは乾燥は温度約50℃である。好ましくは、乾燥は真空下で行われる。好ましくは、乾燥は一晩行われる。
【0116】
本発明は、ピークを約8.7、9.4、12.2、17.4、18.1、19.4、22.2、24.1、25.1、25.8及び26.2±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図10に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT9と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0117】
本発明は更に、ニロチニブHClフォームBをクロロベンゼンと一緒にし、沈殿を得ることを含むプロセスによる、ニロチニブHClフォームT9の調製方法を包含する。
【0118】
ニロチニブHClフォームT9とクロロベンゼンとの組合せは、それから結晶形T9が得られるスラリーを生じる。
【0119】
好ましくは、ニロチニブHClフォームB及びクロロベンゼンの組合せが攪拌される。好ましくは、攪拌はほぼ周囲温度である。好ましくは、攪拌は約16時間〜約24時間、より好ましくは約24時間行われる。
【0120】
前記沈殿は、更に分離される。この分離は、濾過により行われてよい。好ましくは、濾過は漏斗上で行われる。分離された沈殿は、更に乾燥されてよい。好ましくは、乾燥は温度約50℃〜約60℃であり、より好ましくは乾燥は温度約50℃である。好ましくは、乾燥は真空下で行われる。好ましくは、乾燥は一晩行われる。
【0121】
本発明は、実質的に図11に示される粉末X線回折像により特徴付けられる、本明細書においてフォームT10と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0122】
あるいは、ニロチニブHClフォームT10は、ピークを約8.9、14.0、21.0、23.8及び25.6度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図11に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる。ニロチニブHClフォームT10は、追加ピークを約8.0、15.2、16.9、22.3及び29.0度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像により更に特徴付けられ得る。
【0123】
本発明は更に、ニロチニブHClフォームBを、エチレングリコールと一緒にし、沈殿を得ることを含むプロセスによる、ニロチニブHClフォームT10の調製方法を包含する。
【0124】
ニロチニブHClフォームT10のエチレングリコールとの組合せは、それから結晶フォームT10が得られるスラリーを生じる。
【0125】
好ましくは、ニロチニブHClフォームB及びエチレングリコールの組合せが攪拌される。好ましくは攪拌は、ほぼ周囲温度である。好ましくは攪拌は、約16時間〜約24時間、より好ましくは約24時間行われる。
【0126】
前記沈殿は、更に分離される。この分離は、濾過により行われてよい。好ましくは、濾過は漏斗上で行われる。分離された沈殿は、更に乾燥されてよい。好ましくは、乾燥は温度約50℃〜約60℃であり、より好ましくは乾燥は温度約50℃である。好ましくは、乾燥は真空下で行われる。好ましくは、乾燥は一晩行われる。
【0127】
本発明は、ピークを約7.4、8.7、17.4、25.3、26.2及び35.1±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図12に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT11と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0128】
本発明は、ニロチニブHClフォームBを1−プロパノールと一緒にすること;冷却すること;加熱すること;及び、冷却し、沈殿を得ること:を含む、ニロチニブHClフォームT11の調製方法を更に包含する。
【0129】
好ましくは前記冷却は、温度約−5℃〜約+5℃であり、より好ましくは約0℃である。好ましくは前記加熱は、温度約60℃〜約70℃であり、より好ましくは約65℃である。好ましくは、加熱速度は、約0.1℃/分である。好ましくは加熱工程後の冷却速度は、約0.1℃/分である。好ましくは得られた沈殿は、温度約−5℃〜約+5℃で、好ましくは約0℃で更に維持される。好ましくはこの維持工程は、約1日間〜約5日間かけ、より好ましくは約3日間かける。好ましくはこの維持工程は、攪拌しながら行われる。
【0130】
前記沈殿は、更に分離される。この分離は、濾過により行われてよい。
【0131】
本発明は、ピークを約7.4、9.5、12.3、14.8、15.9、19.4、19.8、22.3、24.3及び25.9±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図13に示される粉末X線回折像:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT12と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0132】
本発明は更に、ニロチニブHClフォームBを乳酸ブチルと一緒にすること;冷却すること;加熱すること;及び、冷却し、沈殿を得ること:を含むプロセスによる、ニロチニブHClフォームT12の調製方法を包含する。
【0133】
ニロチニブHClフォームT12の酢酸ブチルとの組合せは、それから結晶フォームT12が得られるスラリーを生じる。
【0134】
好ましくは前記冷却は、温度約−5℃〜約+5℃であり、より好ましくは約0℃である。好ましくは前記加熱は、温度約70℃〜約80℃であり、より好ましくは約78℃である。好ましくは、加熱速度は、約0.1℃/分である。好ましくは加熱工程後の冷却速度は、約0.1℃/分である。好ましくは得られた沈殿は、温度約0℃で更に維持される。好ましくはこの維持工程は、約2日間かける。
【0135】
前記沈殿は、更に分離される。この分離は、濾過により行われてよい。
【0136】
本発明は、ピークを約8.2、12.8、15.7、16.5、21.7及び23.9±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図14に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT13と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0137】
本発明は更に、ニロチニブHClフォームBを無水エタノールと一緒にすること;温度約−5℃〜約+5℃に冷却すること;加熱すること;及び、冷却し、沈殿を得ること:を含むプロセスによる、ニロチニブHClフォームT13の調製方法を包含する。
【0138】
好ましくは前記冷却は、温度約−5℃〜約+5℃であり、より好ましくは約0℃である。好ましくは前記加熱は、温度約70℃〜約80℃であり、より好ましくは約75℃である。好ましくは、加熱速度は、約2℃/分である。好ましくは、加熱後かつ冷却前に、維持工程が実行される。好ましくはこの維持は、温度約70℃〜約80℃、より好ましくは約75℃である。好ましくはこの維持工程は、約10分間〜約180分間かけ、より好ましくは約90分間である。
【0139】
好ましくは、この加熱後の冷却速度は、約10℃/分である。好ましくは得られる沈殿は、温度約−5℃〜約+5℃で、より好ましくは約0℃で更に維持される。好ましくはこの維持工程は、約5分間〜約180分間かけ、より好ましくは約20分間かける。
【0140】
前記沈殿は、更に分離される。この分離は、濾過により行われてよい。
【0141】
本発明は、ピークを約7.5、7.9、8.7、19.4及び25.3度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図15に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT14と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。ニロチニブHClフォームT14は、追加ピークを約11.3、13.4及び17.4度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像により更に特徴付けられ得る。
【0142】
本発明は、ピークを約6.3、7.3、8.6、12.2及び18.2度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図16に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT15と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。ニロチニブHClフォームT15は、追加ピークを約23.0及び24.3度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像により更に特徴付けられ得る。
【0143】
本発明は、ピークを約8.1、9.0、14.1、18.0及び21.4度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図17に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT16と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。ニロチニブHClフォームT16は、追加ピークを約21.1、21.8及び22.1度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像により更に特徴付けられ得る。
【0144】
本発明は、実質的に図18に示される粉末X線回折図により特徴づけられる、医薬として好適な賦形剤と組合せたニロチニブHClの固溶体を包含する。
【0145】
医薬として好適な賦形剤は、ポリマー又は炭水化物である。賦形剤として使用することができる好適なポリマーの非限定的例は、ポリビニルピロリドン(PVP又はポビドン)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、及びHPMCフタル酸エステルを、単独又は組合せの何れかで含む。結晶化阻害剤として使用される炭水化物の例は、乳糖、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(カルメロースナトリウム)、カルボキシメチルセルロースカルシウム、デキストラン、アカシアゴム、デンプン、β−シクロデキストリン、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロック共重合体、ポリビニルアルコール、及びポリエチレングリコール(PEG)を、単独又は組合せの何れかで含む。好ましくはこの賦形剤は、ヒドロプロピルセルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース及びエチルセルロースからなる群から選択されるポリマーである。
【0146】
本発明は、ニロチニブHCl及び好適な賦形剤を、C1−C4アルコール中に溶解すること;並びに、溶媒を除去し、医薬として好適な賦形剤と組合せた、ニロチニブHClの固溶体を得ること:を含む、医薬として好適な賦形剤と組合せたニロチニブHClの固溶体の調製方法も包含する。
【0147】
好ましくは、前記C1−C4アルコールはメタノールである。
【0148】
本発明は、C1−C4アルコール中にニロチニブHCl及び医薬として好適な賦形剤を含有する溶液を、出口温度約35℃〜約40℃を使用し、噴霧乾燥する工程を含む、医薬として好適な賦形剤と組合せた、ニロチニブHClの固溶体の調製方法も包含する。好ましくは、その入口温度は、約60℃〜約80℃である。
【0149】
好ましくは、前記プロセスは、ニロチニブHClを好適な賦形剤及びC1−C4アルコールと一緒にすること;加熱し、溶液を得ること;及び、噴霧乾燥することを含む。
【0150】
好ましくは、C1−C4アルコールは、メタノールである。
【0151】
好ましくは前記加熱は、温度約60℃〜約80℃であり、より好ましくは温度約70℃である。
【0152】
好ましくは、噴霧乾燥は、加熱工程とほぼ同じ温度で行われる。
【0153】
本発明は、ピークを約5.7、9.8、15.0、15.8及び17.3度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図19に示される粉末X線回折像;実質的に図20に示される粉末X線回折像;シグナルが約113.1、133.1、160.9±0.2ppmにある固体13C NMRスペクトル;最低化学シフトを示すシグナルと化学シフト範囲100〜180ppmの別のシグナルとの間に約9.2、29.2及び57.0±0.1ppmの化学シフト差を有する、固体13C NMRスペクトルであり、ここで化学シフト領域100〜180ppm中に最低化学シフトを示す該シグナルは、典型的には約103.9±1ppmであるもの;図21に示される13C NMRスペクトル:図22に示される13C NMRスペクトル;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴づけられる、本明細書においてフォームT17と規定された、結晶性ニロチニブHClを包含する。ニロチニブHClフォームT17は、追加ピークを約7.5、11.4、18.6、19.6及び20.7度2θ±0.2度2θ又は約7.6、11.4、18.7、19.7及び20.7度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像により更に特徴付けられ得る。
【0154】
典型的には、ニロチニブHCl結晶フォームT17は、無水物であり、かつ加熱時に他の形態へ転換されないが、ニロチニブHClフォームA及びニロチニブHClフォームBなどの、当該技術分野において公知の他の多形は、WO’870に開示されたように他の多形に転換される。
【0155】
本発明は:
a)ニロチニブ基本フォームAを、無水エタノール及びHClと一緒にし、スラリーを得ること;
b)加熱すること;
c)冷却すること;並びに、
d)乾燥すること:を含む、ニロチニブHClフォームT17の調製方法を包含する。
【0156】
好ましくは、このHClは、無水エタノール又は水中に溶解される。HClが無水エタノール中に溶解される場合、該溶液中のHClの濃度は、約14%、約13.3%〜約14.1%、13.26%〜約14.13%、又は約13.77%であることが好ましい。HClが水中に溶解される場合、該溶液中のHClの濃度は、約32%であることが好ましい。
【0157】
好ましくは、加熱は、温度約75℃〜約85℃までであり、より好ましくはほぼ還流温度までである。加熱は、攪拌しながら行われることが好ましい。好ましくは、この攪拌は、約0.5時間〜約4時間、より好ましくは約0.5時間〜約1.5時間行われる。
【0158】
好ましくは、工程bの加熱後及び工程cの冷却の前に、濾過工程が実行される。好ましくはこの濾過は、約20mbar〜約30mbarなどの、減圧下で行われる。
【0159】
任意に、濾過後に、別の無水エタノール部分が、濾液に添加され、反応混合物を形成する。この反応混合物は、加熱されることが好ましい。加熱は、攪拌しながら行われてよい。好ましくは攪拌は、約10分間〜約60分間、より好ましくは約30分間行われる。加熱は典型的には、温度約77℃〜約79℃で行われる。好ましくは加熱は、ほぼ還流温度で行われる。
【0160】
好ましくは、この反応混合物は、加熱しながらシーディング(seed)される。このシーディングは、好ましくはニロチニブHClフォームT17により行われる。典型的にはシーディングは、温度約72℃〜約78℃で行われる。好ましくはシーディングは、温度約76.0℃〜約76.6℃で行われる。好ましくはシーディング工程後に、第二の反応混合物が得られる。この第二の反応混合物は好ましくは、温度約77℃〜約79℃で、より好ましくはほぼ還流温度で、更に維持される。好ましくはこの維持工程は、約15分間〜約75分間、より好ましくは約30分間〜約60分間行われる。
【0161】
好ましくは、工程cの冷却は、温度約10℃〜約0℃、より好ましくは約6℃〜約5℃で行われる。好ましくはこの冷却は、ゆっくり実行され、より好ましくはこの冷却は、約3時間〜約2時間の時間をかけて行われる。任意に冷却しながら又は冷却工程後に、無水エタノールが添加される。
【0162】
任意に、工程cの冷却前に、追加の冷却工程、それに続く加熱工程が行われる。好ましくはこの冷却は、約60℃〜約50℃まで、より好ましくは約55℃までである。典型的には、この冷却はゆっくり行われる。好ましくは冷却は、約2時間〜約3時間かけて行われる。好ましくは加熱は、温度約77℃〜約79℃まで、より好ましくはほぼ還流温度まで行われる。
【0163】
工程cの冷却後、スラリーが得られる。典型的にはこのスラリーは攪拌される。好ましくは、攪拌は、約0℃〜約10℃で、より好ましくは約5℃で行われる。好ましくは、攪拌は約15分間〜ほぼ一晩かけて行われる。
【0164】
典型的には、工程dの乾燥前に、濾過工程が実行され、これに洗浄工程が続く。
【0165】
好ましくは、この洗浄は、無水エタノールにより行われる。
【0166】
好ましくは、乾燥は、ほぼ一晩行われる。好ましくは、乾燥は、温度約60℃〜約80℃、より好ましくは温度約70℃で行われる。好ましくは、乾燥は、真空炉で行われる。
【0167】
好ましくは、ニロチニブHClフォームT17の調製方法は:
ニロチニブ基本フォームAを無水エタノール及びHClと一緒にし、スラリーを得ること;加熱すること;濾過すること;結晶フォームT17をシーディングしながら加熱すること;冷却すること;無水エタノールを添加すること;及び、乾燥すること:を含む。
【0168】
本発明は、ニロチニブHCl非晶形を、乾燥アセトン又は乾燥テトラヒドロフラン(THF)と一緒にし、スラリーを得ること;このスラリーを激しく攪拌すること;及び、乾燥し、ニロチニブHClフォームT17を得ること:を含む、ニロチニブHClフォームT17の別の調製方法を更に含んでいる。
【0169】
アセトン又はTHFは、4A分子篩上で乾燥されることが好ましい。
【0170】
好ましくは、前述の激しい攪拌は、振盪により行われる。好ましくは、激しい攪拌は、約72時間行われる。好ましくは、スラリーを激しく攪拌しながら、その温度を、約15℃から約45℃の間、より好ましくはほぼ周囲温度から約40℃の間をサイクルさせる。典型的には、各サイクルは、約4時間かけて行われる。
【0171】
好ましくは、前記乾燥工程前に、溶媒が除去される。好ましくはこの除去は、典型的にはシリンジの使用による溶媒のデカンテーションにより行われる。
【0172】
好ましくは、この乾燥は、窒素大気下で行われる。好ましくは、乾燥は一晩行われる。
【0173】
本発明は更に、ニロチニブHCl非晶形を、乾燥酢酸イソプロピル又は乾燥酢酸エチルと一緒にし、スラリーを得ること;このスラリーを激しく攪拌すること;及び、乾燥し、ニロチニブHClフォームT17及びニロチニブHClフォームAの混合物を得ること:を含む、ニロチニブHClフォームT17及びニロチニブHClフォームAの混合物の調製方法を含む。
【0174】
この酢酸イソプロピル又は酢酸エチルは、4A分子篩上で乾燥されることが好ましい。
【0175】
好ましくは、この激しい攪拌は、振盪により行われる。好ましくは、激しい攪拌は、約72時間行われる。好ましくは、スラリーを激しく攪拌しながら、その温度を、約15℃から約45℃の間、より好ましくはほぼ周囲温度から約40℃の間をサイクルさせる。典型的には、各サイクルは、約4時間かけて行われる。
【0176】
好ましくは、乾燥工程前に、溶媒が除去される。好ましくはこの除去は、典型的にはシリンジの使用による溶媒のデカンテーションにより行われる。
【0177】
好ましくは、この乾燥は、窒素大気下で行われる。好ましくは、乾燥は一晩行われる。
【0178】
本発明は、ニロチニブHClフォームA及びニロチニブHClフォーム(for)T17の混合物を、IPA又はアセトニトリルによりスラリー化し、ニロチニブHClフォームT17を得ることを含む、ニロチニブHClフォームT17の追加の調製方法を提供する。
【0179】
好ましくは、このスラリー化は、温度約0℃〜約60℃、より好ましくは約20℃〜約60℃、最も好ましくは約40℃で行われる。好ましくは、このスラリー化は、約1日間〜約5日間、より好ましくは約3日間行われる。
【0180】
典型的には、こうして得られたニロチニブフォームT17は、更に分離される。好ましくは、この分離は濾過により行われる。
【0181】
本発明は、ピークを約5.5、7.1、8.7、9.6及び10.9度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像;ピークを約5.5、7.2、8.7、9.6及び10.9度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図23に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT18と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。ニロチニブHClフォームT18は、追加ピークを約14.4、17.0、19.2、21.9及び22.3度2θ±0.2度2θ又は約14.4、17.0、19.2、21.9及び22.4度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像により更に特徴付けられ得る。
【0182】
好ましくは、ニロチニブHClフォームT18は、ピークを約5.5、7.1、8.7、9.6及び10.9度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像、及び実質的に図23に示される粉末X線回折像の組合せにより特徴付けられる。
【0183】
本発明は:
a)ニロチニブ基本フォームAを、無水エタノール及びHClと一緒にし、スラリーを得ること;
b)加熱すること;並びに、
c)冷却し、ニロチニブHClフォームT18を得ること:を含む、ニロチニブHClフォームT18の調製方法も包含する。
【0184】
好ましくは、このHClは、無水エタノール又は水中に溶解される。好ましくは、HClが無水エタノール中に溶解される場合、この溶液中のHClの濃度は、約14%、約13.3%〜約14.1%、約13.26%〜約14.13%、又は約13.77%である。好ましくは、HClが水中に溶解される場合、この溶液中のHClの濃度は、約32%である。
【0185】
好ましくは、工程bの加熱は、温度約75℃〜約85℃までであり、より好ましくはほぼ還流温度までである。加熱は、攪拌しながら行われることが好ましい。好ましくは、この攪拌は、約0.5時間〜約4時間、より好ましくは約0.5時間〜約1.5時間行われる。
【0186】
好ましくは、工程bの加熱後及び工程cの冷却の前に、濾過工程が実行される。好ましくはこの濾過は、減圧下で、より好ましくは約20mbar〜約30mbarで、行われる。
【0187】
好ましくは、濾過工程後及び工程cの冷却前に、加熱工程が実行される。典型的には加熱は、温度約77℃〜約79℃まで行われる。好ましくは加熱は、ほぼ還流温度で行われる。
【0188】
好ましくは、シーディング工程は、加熱しながら実行される。このシーディングは、好ましくはニロチニブHClフォームT17により行われる。典型的にはシーディングは、温度約72℃〜約78℃で行われる。好ましくはシーディングは、温度約76.0℃〜約76.6℃で行われる。好ましくは、シーディング工程後に、反応混合物が得られる。この反応混合物は、好ましくは、温度約77℃〜約79℃で更に維持され、より好ましくはこの維持は、ほぼ還流温度である。好ましくはこの維持工程は、約15分間〜約75分間、より好ましくは約30分間〜約60分間行われる。
【0189】
好ましくは、工程cの冷却は、温度約10℃〜約0℃、より好ましくは約6℃〜約5℃までである。好ましくはこの冷却は、約2時間〜約3時間、より好ましくは約2時間の時間をかけて行われる。任意に冷却しながら又は冷却工程後に、無水エタノールが添加される。
【0190】
工程cの冷却後に、スラリーが得られる。典型的にはこのスラリーは攪拌される。好ましくは、攪拌は、約0℃〜約10℃で、より好ましくは約5℃で行われる。好ましくは、攪拌は、約15分間〜約45分間、より好ましくは約30分間行われる。
【0191】
本方法は、濾過工程及び/又は洗浄工程を更に含んでよい。
【0192】
好ましくは、洗浄は、無水エタノールにより行われる。
【0193】
好ましくは、ニロチニブHClフォームT18の調製方法は:
ニロチニブ基本フォームAを、無水エタノール及びHClと一緒にし、スラリーを得ること;加熱すること;濾過すること;結晶形T17をシーディングしながら、加熱すること;冷却すること;無水エタノールを添加すること;濾過すること;及び、洗浄し、ニロチニブHClフォームT18を得ること:を含む。
【0194】
本発明は、ニロチニブHClフォームT18を乾燥することによる、ニロチニブHClフォームT17の調製方法を提供する。このプロセスのパラメータは、先に説明されている。
【0195】
本発明は、ニロチニブHClフォームA及びニロチニブHClフォームT17の混合物を、無水エタノール中で、温度約55℃〜約78℃でスラリー化すること:を含む、ニロチニブHClフォームT18の別の調製方法を提供する。
【0196】
好ましくは、このスラリー化は、温度約60℃〜約75℃で行われる。好ましくはスラリー化は、約4時間〜約7日間、より好ましくは約3日間かけて行われる。
【0197】
得られたニロチニブHClフォームT18は、更に分離される。好ましくは、この分離は、濾過による。
【0198】
本発明は、ニロチニブHClフォームT17を無水エタノールと一緒にすること;加熱すること;及び、冷却し、ニロチニブHClフォームT18を得ること:を含む、ニロチニブHClフォームT18の追加の調製方法を提供する。
【0199】
任意に、無水エタノールは、含水量約0.01重量%未満である。
【0200】
好ましくは、この加熱は、温度約76℃〜約78℃まで、より好ましくはほぼ還流温度までである。好ましくは加熱は、攪拌しながら行われる。
【0201】
加熱工程後及び冷却の前に、反応混合物が得られる。好ましくは、この反応混合物は、温度約76℃〜約78℃で、より好ましくはほぼ還流温度で維持される。好ましくは、この維持工程は、約10分間〜約30分間行われる。
【0202】
好ましくは、この冷却は、温度約3℃〜約7℃、より好ましくは約5℃まで行われる。好ましくは、冷却は、約2時間〜約3時間の期間、より好ましくは約3時間行われる。
【0203】
冷却後、スラリーが得られる。典型的には、このスラリーは攪拌される。好ましくはこの攪拌は、約3℃〜約7℃で、より好ましくは約5℃で行われる。好ましくはこの攪拌は、約11時間〜約17時間、より好ましくは約12時間行われる。
【0204】
本方法は、濾過工程及び/又は洗浄工程を更に含んでよい。任意に濾過は、窒素環境下で行われる。好ましくは、洗浄は、無水エタノールで行われる。
【0205】
本発明は、ピークを約5.5、7.2、9.2、9.6及び10.9度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図24に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT19と規定される、結晶性ニロチニブHClを更に包含する。ニロチニブHClフォームT19は、追加ピークを約14.1、14.9、17.7、18.5及び19.3度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像により更に特徴付けられ得る。
【0206】
好ましくは、ニロチニブHClフォームT19は、ピークを約5.5、7.2、9.2、9.6及び10.9度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像、及び実質的に図24に示される粉末X線回折像の組合せにより特徴付けられる。
【0207】
本発明は、無水エタノール中にニロチニブHClフォームBをスラリー化すること;温度約55℃〜約78℃に加熱すること;及び、冷却すること:を含む、ニロチニブHClフォームT19の調製方法を提供する。
【0208】
好ましくは、ニロチニブHClフォームBの無水エタノールに対する割合は、35mg/mlである。
【0209】
好ましくは、このスラリー化は、約20℃〜約30℃で、より好ましくは約20℃で行われる。好ましくは、スラリー化は、約2時間〜約15時間、より好ましくは約11時間行われる。
【0210】
好ましくは、この加熱は、温度約75℃で行われる。好ましくは、加熱は、約0.1℃/分〜約10℃/分、より好ましくは約2℃/分の速度で行われる。
【0211】
典型的には、この加熱は、スラリーを維持しながら行われる。この維持工程は、約75℃で行われる。好ましくは維持工程は、約30分間〜約180分間、より好ましくは約90分間行われる。
【0212】
好ましくは、この冷却は、温度約0℃までである。好ましくは冷却は、約10℃/分の速度で行われる。
【0213】
典型的には、冷却は、スラリーを維持しながら行われる。この維持工程は、温度約0℃で行われる。好ましくは維持工程は、約1時間〜約5時間、より好ましくは約1時間行われる。
【0214】
得られたニロチニブHClフォームT19は更に分離される。好ましくは分離は、濾過による。
【0215】
先に説明された方法の何れかにおいて使用されるニロチニブ基本フォームAは、米国特許第7,169,791号に従い調製されてよく、この特許は参照により本明細書に組み入れられる。
【0216】
先に説明された方法の何れかにおいて使用されるニロチニブHClフォームAは、WO’870に従い調製されてよく、この特許は参照により本明細書に組み入れられる。
【0217】
先に説明された方法の何れかにおいて使用されるニロチニブHClフォームBは、WO’871に従い調製されてよく、この特許は参照により本明細書に組み入れられる。
【0218】
先に説明されたプロセスの何れかにおいて使用されるニロチニブHCl非晶形は、WO’870に従い調製されてよく、この特許は参照により本明細書に組み入れられる。
【0219】
本発明の1又は複数の化合物を含有する医薬組成物は、参照により本明細書に組み入れられている「Remington's Pharmaceutical Sciences」、Mack Publishing社、イーストン、ペンシルバニア州、米国のような公知の編集物を参照することによるなど、当該技術分野において周知のように、製剤されることができる。
【0220】
本発明は、結晶フォームT1−T19及び/又はニロチニブHClの固溶体を何れか単独で若しくは組合せて、先に説明された医薬として好適な賦形剤及び少なくとも1種の医薬として許容し得る賦形剤と一緒に含有する医薬組成物を更に包含する。
【0221】
これまで本発明について、特定の好適な実施態様及び例示を参照しながら説明してきたが、本明細書に開示された本発明の精神及び範囲を逸脱しない範囲で、説明及び例示された本発明に変更を加え得ることは、当業者であれば理解し得るところである。本発明の理解の助けとして実施例を挙げて説明するが、これらはいかなる意味においても、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、且つ、そのように解釈してはならない。
【実施例】
【0222】
噴霧乾燥:
噴霧乾燥は、ノズルキャップ1.5mmを備える、直径1.5mmの標準ノズルを使用する、BuchiミニスプレードライヤーB-191を用い実行される。ポンプ流量(dosage):10%;アスピレーター率:100%;噴霧空気流量:600〜650リットル/時。
【0223】
粉末X線回折:
ニロチニブHClフォームT1−T19の粉末X線回折は、ペルチェ(Peltier)検出器を備えた、ARL粉末X線回折計モデルX'TRA-019及びモデルX'TRA-030において実行した。銅Kα1照射(λ=1.5418Å)を使用した。試料ホルダーは、ラウンドゼロバックグラウンドプレート(石英又はケイ素)を備える円形標準アルミニウム試料ホルダーであった。走査パラメータは以下であった:2θ測角範囲:2〜40度;走査モード:連続走査;ステップサイズ:0.05°;及び、走査速度:3°/分。
【0224】
セルロースと組合せたニロチニブHClの固溶体の粉末X線回折は、LynxEyeを装着したBruker粉末X線回折計モデルD8アドバンスにより実行した。銅Kα1照射(λ=1.5418Å)を使用した。走査パラメータは以下であった:2θ測角範囲:2〜40°;ステップサイズ:0.05°;1ステップ当たりの時間:0.5秒;及び、発散スリット:1°。
【0225】
これらのピーク位置は、測定される試料との混合物中の内部標準としてケイ素粉末を用い、決定した。ケイ素(111)ピークの位置は、28.45度2θであるように補正した。これらのピークの位置は、各々補正した(補正は、図中に示された回折図上では行わなかった)。
【0226】
13C−NMR
13C−NMRスペクトルは、Bruker Avance II+500上で得た。
この装置パラメータは以下であった:4mmローターを使用するSBプローブ;マジック角はKBrを用いて設定した;磁場の均一性は、アダマンタン(adamantin)を用いてチェックした;交差分極のパラメータは、グリシンを用いて最適化した;参照スペクトルは、外部標準としてグリシンにより設定した(低磁場カルボキシルシグナルについて176.03ppm)。
【0227】
走査パラメータは以下であった:マジック角スピン速度:11kHz;パルスプログラム:デカップリング時にtppm15でcp;遅延時間:2秒;走査数:2048。
【0228】
実施例1:ニロチニブHClフォームT1の調製
1mlのバイアルへ、ニロチニブHCl(フォームB)50mg及びDMSO(400μl)を添加した。このスラリーを、700rpmで、室温(20〜30℃)で24時間攪拌した。24時間攪拌した後、固形物を、減圧下で濾過し、XRDにより分析した。
【0229】
実施例2:ニロチニブHClフォームT2の調製
ニロチニブ基本フォームA(0.5g、0.94mmol)を、無水エタノール(4ml)中で懸濁し、その後HCl溶液(0.23mL、IPA中19.48%)を添加し、この反応混合物は黄色になり始めた。このスラリーを、室温(20〜30℃)で16時間攪拌した。生成物を濾過し、無水エタノール(1.5ml)で2回洗浄した。この固形物を、真空炉において50℃で一晩乾燥し、ニロチニブHClフォームT2を生じた。
【0230】
実施例3:ニロチニブHClフォームT2の調製
ニロチニブ基本フォームA(0.5g、0.94mmol)を、イソプロパノール(4ml)中で懸濁し、その後HCl溶液(0.23mL、IPA中19.48%)を添加し、この反応混合物は黄色になり始めた。このスラリーを、室温(20〜30℃)で16時間攪拌した。生成物を濾過し、イソプロパノール(1.5ml)で2回洗浄した。この固形物を、真空炉において50℃で一晩乾燥し、ニロチニブHClフォームT2を生じた。
【0231】
実施例4:ニロチニブHClフォームT3の調製
ニロチニブ基本フォームA(0.5g、0.94mmol)を、95%エタノール(4ml)中で懸濁し、その後HCl溶液(0.23mL、IPA中19.48%)を添加し、この反応混合物は黄色になり始めた。このスラリーを、室温(20〜30℃)で16時間攪拌した。生成物を濾過し、95%エタノール(1.5ml)で2回洗浄した。この固形物を、真空炉において50℃で一晩乾燥し、ニロチニブHClフォームT3を生じた。
【0232】
実施例5:ニロチニブHClフォームT4の調製
ニロチニブ基本フォームA(0.5g、0.94mmol)を、1−プロパノール(4ml)中で懸濁し、その後HCl溶液(0.23mL、IPA中19.48%)を添加し、この反応混合物は黄色になり始めた。このスラリーを、室温(20〜30℃)で16時間攪拌した。生成物を濾過し、1−プロパノール(1.5ml)で2回洗浄した。この固形物を、真空炉において50℃で一晩乾燥し、ニロチニブHClフォームT4を生じた。
【0233】
実施例6:ニロチニブHClフォームT5の調製
ニロチニブ基本フォームA(0.5g、0.94mmol)を、n−ブタノール(4ml)中で懸濁し、その後HCl溶液(0.23mL、IPA中19.48%)を添加し、この反応混合物は黄色になり始めた。このスラリーを、室温(20〜30℃)で16時間攪拌した。生成物を濾過し、n−ブタノール(1.5ml)で2回洗浄した。この固形物を、真空炉において50℃で一晩乾燥し、ニロチニブHClフォームT5を生じた。
【0234】
実施例7:ニロチニブHClフォームT6の調製
ニロチニブ基本フォームA(0.5g、0.94mmol)を、2−ブタノール(4ml)中で懸濁し、その後HCl溶液(0.23mL、IPA中19.48%)を添加し、この反応混合物は黄色になり始めた。このスラリーを、室温(20〜30℃)で16時間攪拌した。生成物を濾過し、2−ブタノール(1.5ml)で2回洗浄した。この固形物を、真空炉において50℃で一晩乾燥し、ニロチニブHClフォームT6を生じた。
【0235】
実施例8:ニロチニブHClフォームT6の調製
ニロチニブ基本フォームA(0.5g、0.94mmol)を、tert−ブタノール(4ml)中で懸濁し、その後HCl溶液(0.23mL、IPA中19.48%)を添加し、この反応混合物は黄色になり始めた。このスラリーを、室温(20〜30℃)で16時間攪拌した。生成物を濾過し、tert−ブタノール(1.5ml)で2回洗浄した。この固形物を、真空炉において50℃で一晩乾燥し、ニロチニブHClフォームT6を生じた。
【0236】
実施例9:ニロチニブHClフォームT6の調製
ニロチニブ基本フォームA(0.5g、0.94mmol)を、2−ペンタノール(4ml)中で懸濁し、その後HCl溶液(0.23mL、IPA中19.48%)を添加し、この反応混合物は黄色になり始めた。このスラリーを、室温(20〜30℃)で16時間攪拌した。生成物を濾過し、2−ペンタノール(1.5ml)で2回洗浄した。この固形物を、真空炉において50℃で一晩乾燥し、ニロチニブHClフォームT6を生じた。
【0237】
実施例10:ニロチニブHClフォームT7の調製
50mlのフラスコ容器に、ニロチニブHClフォームB(0.5g、0.78mmol)及びベンジルアルコール(4ml)を添加した。このスラリーを、周囲温度(20〜30℃)で24時間攪拌し、濾過し、真空炉において50℃で一晩乾燥し、ニロチニブHClフォームT7を生じた。
【0238】
実施例11:ニロチニブHClフォームT8の調製
50mlのフラスコ容器に、ニロチニブHClフォームB(0.5g、0.78mmol)及びDMA(4ml)を添加した。このスラリーを、周囲温度(20〜30℃)で24時間攪拌し、濾過し、真空炉において50℃で一晩乾燥し、ニロチニブHClフォームT8を生じた。
【0239】
実施例12:ニロチニブHClフォームT9の調製
50mlのフラスコ容器に、ニロチニブHClフォームB(0.5g、0.78mmol)及びクロロベンゼン(8倍量)を添加した。このスラリーを、周囲温度(20〜30℃)で24時間攪拌し、濾過し、真空炉において50℃で一晩乾燥し、ニロチニブHClフォームT9を生じた。
【0240】
実施例13:ニロチニブHClフォームT10の調製
50mlのフラスコ容器に、ニロチニブHClフォームB(0.5g、0.78mmol)及びエチレングリコール(4ml)を添加した。このスラリーを、周囲温度(20〜30℃)で24時間攪拌し、濾過し、真空炉において50℃で一晩乾燥し、ニロチニブHClフォームT10を生じた。
【0241】
実施例14:ニロチニブHClフォームT11の調製
1−プロパノール(1mL)中のニロチニブHClフォームB(35mg)を0℃に冷却し、0.1℃/分で65℃まで加熱し、0.1℃/分で冷却し0℃まで戻し、0℃で3日間スラリー化し、濾過し、ニロチニブHClフォームT11を生じた。
【0242】
実施例15:ニロチニブHClフォームT12の調製
乳酸ブチル(1mL)中のニロチニブHClフォームB(50mg)を0℃に冷却し、加熱速度0.1℃/分で78℃まで加熱し、加熱速度0.1℃/分で0℃まで冷却し、0℃で2日間スラリー化し、濾過し、ニロチニブHClフォームT12を生じた。
【0243】
実施例16:ニロチニブHClフォームT13の調製
無水エタノール(1mL)中のニロチニブHClフォームB(35mg)を0℃まで冷却し、2℃/分で75℃まで加熱した。75℃で、ニロチニブHClフォームBを、全体的に溶解した。ニロチニブHCl無水エタノール混合物を、75℃で90分間スラリー化し、10℃/分で0℃まで冷却した。0℃で、結晶化が観察された。結晶化後に、この化合物を0℃で20分間スラリー化し、濾過し、ニロチニブHClフォームT13を生じた。
【0244】
実施例17:ニロチニブHClフォームT14の調製
50mLの丸底フラスコに、ニロチニブHClフォームB(1.5g)及びベンジルアルコール(12ml)を添加した。このスラリーを、25℃で24時間攪拌した。この混合物を濾過し、真空炉において50℃で一晩乾燥し、ニロチニブHClフォームT14を生じた。
【0245】
実施例18:ニロチニブHClフォームT15の調製
50mLの丸底フラスコに、ニロチニブHClフォームB(1.5g)及びDMA(12ml)を添加した。このスラリーを、25℃で24時間攪拌した。この混合物を濾過し、真空炉において50℃で一晩乾燥し、ニロチニブHClフォームT15を生じた。
【0246】
実施例19:ニロチニブHClフォームT16の調製
50mLの丸底フラスコに、ニロチニブHClフォームB(1.5g)及びエチレングリコール(12ml)を添加した。このスラリーを、25℃で24時間攪拌した。この混合物を濾過し、真空炉において50℃で一晩乾燥し、ニロチニブHClフォームT16を生じた。
【0247】
実施例20:ヒドロプロピルセルロースと組合せたニロチニブHClの固溶体の調製
ニロチニブHClフォームB(5g)及びヒドロプロピルセルロース(5g)を、メタノール(400mL)中でスラリー化し、溶解するまで60℃で加熱した。この溶液を、Buchiミニスプレードライヤーにおいて、60℃で噴霧乾燥し、ヒドロプロピルセルロースと組合せたニロチニブHClの固溶体を形成した。
【0248】
実施例21:ヒドロキシプロピルメチルセルロースと組合せたニロチニブHClの固溶体の調製
ニロチニブHClフォームB(5g)及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(5g)を、メタノール(400mL)中でスラリー化し、溶解するまで70℃で加熱した。この溶液を、Buchiミニスプレードライヤーにおいて、70℃で噴霧乾燥し、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと組合せたニロチニブHClの固溶体を形成した。
【0249】
実施例22:エチルセルロースと組合せたニロチニブHClの固溶体の調製
ニロチニブHClフォームB(5g)及びエチルセルロース(5g)を、メタノール(400mL)中でスラリー化し、溶解するまで70℃で加熱した。この溶液を、Buchiミニスプレードライヤーにおいて、70℃で噴霧乾燥し、エチルセルロースと組合せたニロチニブHClの固溶体を形成した。
【0250】
実施例23:ニロチニブHClフォームT17の調製
1リットルの反応容器に、ニロチニブ基本フォームA(20g、0.04mol)、無水エタノール(188ml)及び無水エタノール中の13.77%HCl溶液(10g、0.04mol)を添加した。このスラリーを、還流加熱し、攪拌時に軽度の溶解が生じ、この混合物を減圧下で濾過した。濾過時に、沈殿が生じた。無水エタノール(120ml)を添加し、沈殿を反応容器に戻した。この混合物を、溶解するまで、還流加熱し、かつ30分間攪拌し、その後3時間かけて徐々に5℃まで冷却した。冷却しながら、無水エタノール(200ml)を添加し、そのスラリーを5℃で30分間攪拌し、濾過し、無水エタノールで洗浄し、真空炉において70℃で一晩乾燥し、ニロチニブHClフォームT17(18.4g、収率83%)を生じた。
【0251】
実施例24:ニロチニブHClフォームT17の調製
1リットルの反応容器に、ニロチニブ基本フォームA(20g、0.04mol)、無水エタノール(188ml)及び無水エタノール中の13.77%HCl溶液(10g、0.04mol)を添加した。このスラリーを、還流加熱し、攪拌時に溶解が生じ、この混合物を減圧下で濾過した。この濾液を、反応容器に戻し供給し、加熱し還流温度まで戻した。76.6℃で、この溶液を、実施例23の方法により得られた乾燥物質0.2gによりシーディングした。沈殿が観察された。その後、これを還流温度で1時間維持し、引き続き2時間かけて6℃へ冷却した。6℃で、無水エタノール(300ml)を添加し、そのスラリーを5℃で30分間攪拌し、濾過し、無水エタノールで洗浄し、真空炉において70℃で一晩乾燥し、ニロチニブHClフォームT17(18.4g、収率83%)を生じた。
【0252】
実施例25:ニロチニブHClフォームT17の調製
1リットルの反応容器に、ニロチニブ基本フォームA(20g、0.04mol)、無水エタノール(200ml)及び水中の32%HCl溶液(6.45g、0.04mol)を添加した。このスラリーを、還流加熱し、攪拌時に溶解が生じ、この混合物を減圧下で濾過した。この濾液を、第二の反応容器に供給し、加熱し還流温度まで戻した。76.0℃で、この溶液を、実施例23の方法により得られた乾燥物質0.2gによりシーディングした。沈殿が観察された。その後、これを還流温度で0.5時間維持し、引き続き2時間かけて5℃へ冷却した。冷却時に、20℃で、無水エタノール(100ml)を添加し、そのスラリーを5℃に達するまで攪拌し、濾過し、無水エタノールで洗浄し、真空炉において70℃で一晩乾燥し、ニロチニブHClフォームT17(16.3g、収率73%)を生じた。
【0253】
実施例26:ニロチニブHClフォームT17の調製
1リットルの反応容器に、ニロチニブ基本フォームA(20g、0.04mol)、無水エタノール(188ml)及び無水エタノール中の13.77%HCl溶液(10g、0.04mol)を添加した。このスラリーを、還流加熱し、攪拌時に軽度の溶解が生じ、この混合物を減圧下で濾過した。濾過時に、沈殿が生じた。この沈殿を、反応容器に戻した。この混合物を、65℃で溶解が生じるまで還流加熱し、その後55℃まで徐々に冷却した。冷却時に、この溶液は、60℃で沈殿した。スラリーを還流加熱し、5℃まで3時間かけて冷却した。スラリーを5℃で一晩攪拌し、無水エタノール(100ml)を添加し、その後濾過した。この物質を濾過し、無水エタノールで洗浄し、真空炉において70℃で一晩乾燥し、ニロチニブHClフォームT17(19g、収率95%)を生じた。
【0254】
実施例27:ニロチニブHClフォームT17の調製
非晶質ニロチニブ塩酸塩(26.1mg)を、日本製バイアルに秤量し、4A分子篩上で乾燥したアセトン(1.25ml)を、この固形物に添加した。このバイアルを密封し、得られるスラリーを、その温度が4時間毎に周囲温度(20〜30℃)と40℃の間をサイクルするHeidolph Inkubator 1000に連結された、Heidolph Titramax 1000プラットフォームを用いて振盪した。合計72時間経過後に、この試料を除去し、過剰な溶媒をシリンジを用いて廃棄した。残存する固形物を、窒素流れ下で一晩(〜18時間)乾燥し、T17を得た。
【0255】
実施例28:ニロチニブHClフォームT17の調製
非晶質ニロチニブ塩酸塩(25.4mg)を、日本製バイアルに秤量し、4A分子篩上で乾燥したテトラヒドロフラン(1.25ml)を、この固形物に添加した。このバイアルを密封し、得られるスラリーを、その大気温度が4時間毎に周囲温度(20〜30℃)と40℃の間をサイクルするHeidolph Inkubator 1000に連結された、Heidolph Titramax 1000プラットフォームを用いて振盪した。合計72時間経過後に、この試料を除去し、過剰な溶媒をシリンジを用いて廃棄した。残存する固形物を、窒素流れ下で一晩(〜18時間)乾燥し、T17を得た。
【0256】
実施例29:ニロチニブHClフォームT17及びニロチニブHClフォームAの混合物の調製
非晶質ニロチニブ塩酸塩(26.1mg)を、日本製バイアルに秤量し、4A分子篩上で乾燥した酢酸イソプロピル(1.25ml)を、この固形物に添加した。このバイアルを密封し、得られるスラリーを、その温度が4時間毎に周囲温度(20〜30℃)と40℃の間をサイクルするHeidolph Inkubator 1000に連結された、Heidolph Titramax 1000プラットフォームを用いて振盪した。合計72時間経過後に、この試料を除去し、過剰な溶媒をシリンジを用いて廃棄した。残存する固形物を、窒素流れ下で一晩(〜18時間)乾燥し、T17及びフォームAの混合物を得た。
【0257】
実施例30:ニロチニブHClフォームT17及びニロチニブHClフォームAの混合物の調製
非晶質ニロチニブ塩酸塩(26.1mg)を、日本製バイアルに秤量し、4A分子篩上で乾燥した酢酸エチル(1.25ml)を、この固形物に添加した。このバイアルを密封し、得られるスラリーを、その温度が4時間毎に周囲温度(20〜30℃)と40℃の間をサイクルするHeidolph Inkubator 1000に連結された、Heidolph Titramax 1000プラットフォームを用いて振盪した。合計72時間経過後に、この試料を除去し、過剰な溶媒をシリンジを用いて廃棄した。残存する固形物を、窒素流れ下で一晩(〜18時間)乾燥し、T17及びフォームAの混合物を得た。
【0258】
実施例31:ニロチニブHClフォームT17の調製
ニロチニブHClフォームA 25mg及びフォームT17 10mgの混合物を、IPA 1ml中で、40℃で3日間スラリー化した。このスラリー化の最後に、この試料を濾過し、XRDにより分析し、主にフォームT17であることがわかった。
【0259】
実施例32:ニロチニブHClフォームT17の調製
ニロチニブHClフォームA 25mg及びフォームT17 10mgの混合物を、アセトニトリル1ml中で、40℃で3日間スラリー化した。このスラリー化の最後に、この試料を濾過し、XRDにより分析し、主にフォームT17であることがわかった。
【0260】
実施例33:ニロチニブHClフォームT18の調製
1リットルの反応容器に、ニロチニブ基本フォームA(20g、0.04mol)、無水エタノール(188ml)及び無水エタノール中の13.77%HCl溶液(10g、0.04mol)を添加した。このスラリーを、還流加熱し、攪拌時に溶解が生じ、この混合物を減圧下で濾過した。濾液を反応容器に戻し供給し、加熱し還流温度に戻した。76.6℃で、この溶液を、実施例23の方法により得られた乾燥物質0.2gによりシーディングした。沈殿が観察された。その後この溶液を、還流温度で1時間維持し、引き続き6℃へ2時間かけて冷却した。6℃で、無水エタノール(300ml)を添加し、このスラリーを5℃で30分間攪拌し、濾過し、無水エタノールで洗浄し、ニロチニブ−HClフォームT18を生じた。
【0261】
実施例34:ニロチニブHClフォームT18の調製
1リットルの反応容器に、ニロチニブ−基本フォームA(20g、0.04mol)、無水エタノール(200ml)及び水中の32%HCl溶液(6.45g、0.04mol)を添加した。このスラリーを、還流加熱し、攪拌時に溶解が生じ、この混合物を減圧下で濾過した。濾液を第二の反応容器に供給し、加熱し還流温度に戻した。76.0℃で、この溶液を、実施例23の方法により得られた乾燥物質0.2gによりシーディングした。沈殿が観察された。その後この溶液を、還流温度で0.5時間維持し、引き続き5℃へ2時間かけて冷却した。20℃で冷却時に、無水エタノール(100ml)を添加し、このスラリーを5℃に到達するまで攪拌し、濾過し、無水エタノールで洗浄し、ニロチニブ−HClフォームT18を生じた。
【0262】
実施例35:ニロチニブHClフォームT18の調製
ニロチニブHClフォームA及びニロチニブHClフォームT17の混合物50mgを、無水エタノール1ml中で、75℃で、3日間スラリー化した。スラリー化の最後に、この試料を濾過し、XRDにより分析し、フォームT18であることがわかった。
【0263】
実施例36:ニロチニブHClフォームT18の調製
ニロチニブHClフォームA及びニロチニブHClフォームT17の混合物50mgを、無水エタノール1ml中で、60℃で、3日間スラリー化した。スラリー化の最後に、この試料を濾過し、XRDにより分析し、フォームT18であることがわかった。
【0264】
実施例37:ニロチニブHClフォームT18の調製
1リットルの反応容器に、ニロチニブ−HClフォームT17(11.2g、0.02mol)及び無水エタノール(224ml)を添加した。このスラリーを、還流加熱し、攪拌時に溶解は起こらなかった。その後このスラリーを、還流温度で0.5時間維持し、引き続き5℃へ3時間かけて冷却した。このスラリーを、5℃で12時間攪拌し、濾過し、無水エタノールで洗浄し、ニロチニブ−HClフォームT18を生じた。
【0265】
実施例38:ニロチニブHClフォームT18の調製
1mlのバイアルに、ニロチニブ−HClフォームT17(50.8mg、8.97×10-5mol)及び無水エタノールエクストラドライ(1.016ml)を添加した。このスラリーを、還流加熱し、攪拌時に溶解は起こらなかった。その後このスラリーを、還流温度で10分間維持し、引き続き5℃へ3時間で冷却した。このスラリーを、5℃で12時間攪拌し、その後N2(気体)環境下で濾過し、ニロチニブHClフォームT18を生じた。
【0266】
実施例39:ニロチニブHClフォームT19の調製
無水エタノール1ml中のニロチニブHClフォームB 35mgを、20℃で11時間スラリー化し、その後2℃/分で75℃まで加熱した。75℃で、ニロチニブHClは溶解しなかった。このニロチニブHCl無水エタノール混合物を、更に90分間、75℃でスラリー化し、その後10℃/分で0℃まで冷却した。この化合物を、1時間、0℃でスラリー化した。スラリー化の最後に、試料を濾過し、XRDにより分析し、フォームT19であることがわかった。
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年11月5日付出願の米国特許仮出願第61/111,561号;2009年2月26日付出願の第61/155,789号;2009年5月12日付出願の第61/177,454号;2009年7月21日付出願の第61/227,210号;2009年9月9日付出願の第61/240,709号;2009年9月15日付出願の第61/242,514号;2009年9月29日付出願の第61/246,799号;並びに、2009年10月7日付出願の第61/249,376号の利益を主張する。これらの出願は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明はニロチニブHClの各種結晶形に関する。
【背景技術】
【0003】
下記式を有するニロチニブ、4−メチル−N−[3−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−[[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]アミノ]−ベンズアミド:
【化1】
は、薬剤抵抗性の慢性骨髄性白血病(CML)の治療に使用されるチロシンキナーゼ阻害剤であり、特に該疾患が進行し、又はイマチニブを含む他の治療に不耐容である成人患者における、フィラデルフィア染色体陽性慢性骨髄性白血病(CML)の慢性期及び移行期の治療に使用される。ニロチニブは塩酸塩の形態でカプセルとして投与され、Tasigna(登録商標)の名称で米国及び欧州において市販されている。
【0004】
PCT公開WO2007/015870(「WO’870」)及びWO2007/015871(「WO’871」)は、ニロチニブ遊離塩基、ニロチニブ塩酸塩及びニロチニブ硫酸塩の結晶形及び非晶形を含む、幾つかのニロチニブ塩を開示する。これらの結晶形は溶媒和物、無水物又は水和物の何れかの形態で存在する。
【0005】
本発明は、ニロチニブ、4−メチル−N−[3−(4−メチル−1H−イミダゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−[[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]アミノ]−ベンズアミドの、又はそれらの塩の、又は医薬として好適な賦形剤と組み合せたニロチニブHCl固溶体の固体物理特性に関する。斯かる特性は、4−メチル−N−[3−(4−メチル−1H−イミダゾール−l−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−[[4−(3−ピリジニル)−2−ピリミジニル]アミノ]−ベンズアミド又はそれらの塩、又は医薬として好適な賦形剤と組み合せたニロチニブHCl固溶体を、固体形として得る際の条件を制御することにより、影響を与えることができる。固体物理特性には、例えば粉砕固体の流動性が含まれる。物質の流動性は、その物質を医薬品に加工する際の取り扱い性に影響を及ぼす。粉末化された化合物粒子が相互に流動し難い場合、製剤の専門家は、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、デンプン、又は第三リン酸カルシウム等の流動促進剤の使用を余儀なくされる。
【0006】
医薬化合物の別の重要な固体特性は、水性流体への溶解速度である。患者の胃液に対する活性成分の溶解速度は、経口投与された活性成分が患者の血流に到達する速度に上限を架すため、治療結果に影響を与え得る。溶解速度は、シロップ剤、エリキシル剤、及び他の液状医薬品の製剤においても検討事項となる。化合物の固体形態は、圧密時の挙動や貯蔵安定性にも影響を及ぼし得る。
【0007】
これらの実用上の物理的特性は、物質の具体的な多形相を規定する、単位格子内の分子の立体配座及び配向により影響を受ける。多形相は、非晶質物質や別の多形とは異なる熱挙動を示し得る。熱挙動は、実験室においてキャピラリー融点、熱重量分析(「TGA」)、示差走査熱量測定(「DSC」)等の技術により測定され、ある多形相を他のものから識別するのに使用できる。多形相によっては独自の分光学的特性を示す場合もあり、これは粉末X線結晶学、固体13C NMR分光法、赤外分光法により検出可能である。
【0008】
一般的に、結晶性固体は、非晶形や結晶度の低い形態と比べて、より優れた化学的及び物理的安定性を有する。結晶形は、溶解度、吸湿性、かさ特性、及び/又は流動性についても、優れている場合がある。
【0009】
医薬として有用な化合物の新規な多形相を発見すれば、医薬品のパフォーマンス特性を改善する新たな機会が提供される。これによって、例えば標的化放出プロファイルや他の所望の特性を有する薬物の医薬投与形態を設計するために、製剤科学者が利用可能な物質のレパートリーが広がることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本技術分野では、ニロチニブ塩(特にHCl塩)の新規結晶形やその調製方法についての必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、熱安定性、溶解、貯蔵安定性、形態学、流動性等の特性に優れた、又はこれらの特性が改善された、ニロチニブ一塩酸塩の新規結晶形を提供する。
【0012】
一実施態様において、本発明は、約7.4、8.9及び20.8度2θ±0.2度2θにピークを有すると共に、5.6、10.9、11.1、13.8、14.1、21.5、21.8及び22.4度2θ±0.2度2θを含む群から選択される2以上のピークを更に有する粉末X線回折像により特徴付けられる、本明細書においてニロチニブHClフォームT1と規定される、4−メチル−N−[3−(4−メチルイミダゾール−1−イル)−5−(トリフルオロメチル)フェニル]−3−[(4−ピリジン−3−イルピリミジン−2−イル)アミノ]ベンズアミド塩酸塩の結晶形を包含する。
【0013】
別の実施態様において、本発明は、約7.4、8.9及び20.8度2θ±0.2度2θにピークを有すると共に、5.6、10.9、11.1、13.8、14.1、21.5、21.8及び22.4度2θ±0.2度2θからなる群から選択される2以上のピークを更に有する粉末X線回折像;実質的に図1に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT1と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0014】
更に別の実施態様において、本発明は、約5.6、7.4、8.9、10.9及び20.8度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;実質的に図2に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、結晶性ニロチニブHClフォームT1を包含する。
【0015】
一実施態様において、本発明は、約7.4、8.9及び20.8度2θ±0.2度2θにピークを有すると共に、5.6、10.9、11.1、13.8、14.1、21.5、21.8及び22.4度2θ±0.2度2θからなる群から選択される2以上のピークを更に有する粉末X線回折像;実質的に図1に示される粉末X線回折像;ピークを約5.6、7.4、8.9、10.9及び20.8度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図2に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT1と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0016】
別の実施態様において、本発明は、ジメチルスルホキシド(「DMSO」)中のニロチニブHClフォームBをスラリー化し、ニロチニブHClフォームT1を得ることによる、ニロチニブHClフォームT1の調製方法も包含する。
【0017】
更に別の実施態様において、本発明は、約7.1、8.7、11.5、14.0、15.3、16.6、17.4、19.4及び25.5±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;実質的に図3に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT2と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0018】
別の実施態様において、本発明は、約7.0、8.5、11.4、12.1、14.2、17.2、19.2、22.1、23.2及び25.3±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;実質的に図4に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT3と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0019】
一実施態様において、本発明は更に、約5.9、8.8、11.9、15.3、16.6、19.7、20.3、25.4、26.9及び27.4±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;実質的に図5に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT4と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0020】
更に別の実施態様において、本発明は、約7.1、14.0、18.4、20.8、21.5、22.5、24.8、25.4及び27.3±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;実質的に図6に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT5と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0021】
別の実施態様において、本発明は、約7.2、8.8、14.4、22.3、23.4、25.7、26.4、27.7、29.6及び31.5±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;実質的に図7に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT6と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0022】
更に別の実施態様において、本発明は、実質的に図8に示される粉末X線回折像により特徴付けられる、本明細書においてフォームT7と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0023】
一実施態様において、本発明は、約3.8、7.5、18.7、19.9、及び25.4度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;実質的に図8に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT7と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。ニロチニブHClフォームT7は、追加ピークを約8.7、11.4、15.2、19.4及び22.3度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像により更に特徴付けられ得る。
【0024】
一実施態様において、本発明は、実質的に図9に示される粉末X線回折像により特徴付けられる、本明細書においてフォームT8と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0025】
別の実施態様において、本発明は、約6.5、7.4、18.3、23.1及び24.3度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;実質的に図9に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT8と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。ニロチニブHClフォームT8は、約12.1、13.5及び27.2度2θ±0.2度2θに追加ピークを有する粉末X線回折像により更に特徴付けられ得る。
【0026】
別の実施態様において、本発明は、約8.7、9.4、12.2、17.4、18.1、19.4、22.2、24.1、25.1、25.8及び26.2±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;実質的に図10に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT9と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0027】
更に別の実施態様において、本発明は、実質的に図11に示される粉末X線回折像により特徴付けられる、本明細書においてフォームT10と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0028】
一実施態様において、本発明は、約8.9、14.0、21.0、23.8及び25.6度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;実質的に図11に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT10と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。ニロチニブHClフォームT10は、約8.0、15.2、16.9、22.3及び29.0度2θ±0.2度2θに追加ピークを有する粉末X線回折像により更に特徴付けられ得る。
【0029】
一実施態様において、本発明は、約7.4、8.7、17.4、25.3、26.2及び35.1±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;実質的に図12に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT11と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0030】
別の実施態様において、本発明は、ピークを約7.4、9.5、12.3、14.8、15.9、19.4、19.8、22.3、24.3及び25.9±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図13に示される粉末X線回折像:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT12と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0031】
更に別の実施態様において、本発明は、約8.2、12.8、15.7、16.5、21.7及び23.9±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;実質的に図14に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT13と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0032】
一実施態様において、本発明は、約7.5、7.9、8.7、19.4及び25.3度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;実質的に図15に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT14と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。ニロチニブHClフォームT14は、約11.3、13.4及び17.4度2θ±0.2度2θに追加ピークを有する粉末X線回折像により更に特徴付けられ得る。
【0033】
別の実施態様において、本発明は、約6.3、7.3、8.6、12.2及び18.2度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;実質的に図16に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT15と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。ニロチニブHClフォームT15は、約23.0及び24.3度2θ±0.2度2θに追加ピークを有する粉末X線回折像により更に特徴付けられ得る。
【0034】
更に別の実施態様において、本発明は、約8.1、9.0、14.1、18.0及び21.4度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;実質的に図17に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT16と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。ニロチニブHClフォームT16は、約21.1、21.8及び22.1度2θ±0.2度2θに追加ピークを有する粉末X線回折像により更に特徴付けられ得る。
【0035】
一実施態様において、本発明は、実質的に図18に示される粉末X線回折図により特徴づけられる、医薬として好適な賦形剤と組合せたニロチニブHClの固溶体を包含する。
【0036】
別の実施態様において、本発明は、ニロチニブHCl及び好適な賦形剤を、C1−C4アルコール中に溶解すること;並びに、溶媒を除去し、医薬として好適な賦形剤と組合せたニロチニブHClの固溶体を得ること:を含む、医薬として好適な賦形剤と組合せたニロチニブHClの固溶体の調製方法も包含する。
【0037】
更に別の実施態様において、本発明は、C1−C4アルコール中にニロチニブHCl及び医薬として好適な賦形剤を含有する溶液を、出口温度約35℃〜約40℃を使用し、噴霧乾燥する工程を含む、医薬として好適な賦形剤と組合せた、ニロチニブHClの固溶体の調製方法を包含する。好ましくはその入口温度は、60℃〜約70℃である。
【0038】
別の実施態様において、本発明は、ニロチニブHClを、医薬として好適な賦形剤及びC1−C4アルコールと一緒にすること;加熱し、溶液を得ること;並びに、噴霧乾燥すること:を含む方法による、医薬として好適な賦形剤と組合せた、ニロチニブHClの固溶体の調製方法を包含する。
【0039】
別の実施態様において、本発明は、約5.7、9.8、15.0、15.8及び17.3度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;実質的に図19に示される粉末X線回折像;実質的に図20に示される粉末X線回折像;約113.1、133.1、160.9±0.2ppmにシグナルを有する固体13C NMRスペクトル;最低化学シフトを示すシグナルと化学シフト範囲100〜180ppmの別のシグナルとの間に約9.2、29.2及び57.0±0.1ppmの化学シフト差を有する、固体13C NMRスペクトルであり、ここで化学シフト領域100〜180ppm中に最低化学シフトを示す該シグナルは、典型的には約103.9±1ppmであるもの;図21に示される13C NMRスペクトル:図22に示される13C NMRスペクトル;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴づけられる、本明細書においてフォームT17と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。ニロチニブHClフォームT17は、約7.5、11.4、18.6、19.6及び20.7度2θ±0.2度2θ又は約7.6、11.4、18.7、19.7及び20.7度2θ±0.2度2θに追加ピークを有する粉末X線回折像により更に特徴付けられ得る。
【0040】
更に別の実施態様において、本発明は:
a)ニロチニブ基本フォームAを、無水エタノール及びHClと一緒にし、スラリーを得ること;
b)加熱し、溶液を得ること;
c)冷却すること;並びに、
d)乾燥すること:を含む、ニロチニブHClフォームT17の調製方法を包含する。
【0041】
あるいは、ニロチニブHClフォームT17は、ニロチニブ基本フォームAを、無水エタノール及びHClと一緒にし、スラリーを得ることにより調製されることができる。このスラリーは次に十分に加熱され、その中にスラリー内の固形物質の少なくとも一部が溶解されている溶液を形成する。この溶液は次に十分に冷却され、ニロチニブHClを沈殿し、これは次に十分に乾燥され、ニロチニブHClフォームT17を形成する。
【0042】
一実施態様において、本発明は、ニロチニブHCl非晶形を、アセトン又はテトラヒドロフラン(THF)と一緒にし、スラリーを得ること;このスラリーを激しく攪拌すること;及び、このスラリーを乾燥し、ニロチニブHClフォームT17を得ること:を含む、ニロチニブHClフォームT17の別の調製方法を更に含んでいる。
【0043】
別の実施態様において、本発明は、ニロチニブHCl非晶形を、酢酸イソプロピル又は酢酸エチルと一緒にし、スラリーを得ること;このスラリーを激しく攪拌すること;及び、乾燥し、ニロチニブHClフォームT17及びニロチニブHClフォームAの混合物を得ること:を含む、ニロチニブHClフォームT17及びニロチニブHClフォームAの混合物の調製方法を含んでいる。
【0044】
更に別の実施態様において、本発明は、ニロチニブHClフォームA及びT17のニロチニブHClフォーム(for)T17の混合物を、IPA又はアセトニトリルによりスラリー化し、ニロチニブHClフォームT17を得ること:を含む、ニロチニブHClフォームT17の調製方法を提供する。
【0045】
一実施態様において、本発明は、約5.5、7.2、8.7、9.6及び10.9度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;約5.5、7.1、8.7、9.6及び10.9度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;実質的に図23に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT18と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。ニロチニブHClフォームT18は、約14.4、17.0、19.2、21.9及び22.3度2θ±0.2度2θ又は約14.4、17.0、19.2、21.9及び22.4度2θ±0.2度2θに追加ピークを有する粉末X線回折像により更に特徴付けられ得る。
【0046】
一実施態様において、本発明は:
a)ニロチニブ基本フォームAを、無水エタノール及びHClと一緒にし、スラリーを得ること;
b)加熱すること;並びに、
c)冷却し、ニロチニブHClフォームT18を形成すること:を含む、ニロチニブHClフォームT18の調製方法も包含する。
【0047】
更に別の実施態様において、本発明は、ニロチニブHClフォームT18を乾燥することによる、ニロチニブHClフォームT17の調製方法を提供する。
【0048】
一実施態様において、本発明は、エタノール中でニロチニブHClフォームA及びニロチニブHClフォームT17の混合物を、温度約55℃〜約78℃で、スラリー化すること:を含む、ニロチニブHClフォームT18の別の調製方法を提供する。
【0049】
別の実施態様において、本発明は、ニロチニブHClフォームT17を、無水エタノールと一緒にすること;加熱すること;及び、冷却し、ニロチニブHClフォームT18を得ること:を含む、ニロチニブHClフォームT18の追加の調製方法を提供する。
【0050】
別の実施態様において、本発明は、約5.5、7.2、9.2、9.6及び10.9度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;実質的に図24に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT19と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。ニロチニブHClフォームT19は、約14.1、14.9、17.7、18.5及び19.3度2θ±0.2度2θに追加ピークを有する粉末X線回折像により更に特徴付けられ得る。
【0051】
更に別の実施態様において、本発明は、ニロチニブHClフォームBをエタノール中でスラリー化すること;加熱すること;及び、冷却すること:を含む、ニロチニブHClフォームT19の調製方法を提供する。
【0052】
一実施態様において、本発明は、医薬として好適な賦形剤と一緒に組合せたニロチニブHClの固溶体を、並びに/又は先に規定された結晶性フォームT1−T19及び少なくとも1種の追加の医薬として許容し得る賦形剤を、単独で、又は組合せで含有する医薬組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】ニロチニブHClフォームT1の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図2】ニロチニブHClフォームT1の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図3】ニロチニブHClフォームT2の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図4】ニロチニブHClフォームT3の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図5】ニロチニブHClフォームT4の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図6】ニロチニブHClフォームT5の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図7】ニロチニブHClフォームT6の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図8】ニロチニブHClフォームT7の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図9】ニロチニブHClフォームT8の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図10】ニロチニブHClフォームT9の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図11】ニロチニブHClフォームT10の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図12】ニロチニブHClフォームT11の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図13】ニロチニブHClフォームT12の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図14】ニロチニブHClフォームT13の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図15】ニロチニブHClフォームT14の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図16】ニロチニブHClフォームT15の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図17】ニロチニブHClフォームT16の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図18】ヒドロプロピルセルロースと混合されたニロチニブHClの固溶体の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図19】ニロチニブHClフォームT17の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図20】ニロチニブHClフォームT17の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図21】0−200ppm範囲内のニロチニブHClフォームT17の固体13C NMRスペクトルを示す。
【図22】100−200ppm範囲内のニロチニブHClフォームT17の固体13C NMRスペクトルを示す。
【図23】ニロチニブHClフォームT18の特徴的粉末X線回折図を示す。
【図24】ニロチニブHClフォームT19の特徴的粉末X線回折図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本明細書において使用される用語「室温」又は「周囲温度」とは、温度約15℃〜約30℃、より好ましくは温度約20℃〜約25℃をいう。
【0055】
本明細書において使用される用語「一晩」とは、約13時間〜約24時間、より好ましくは約16時間〜約24時間をいう。
【0056】
本明細書において使用される用語「噴霧乾燥」とは広く、液体混合物の小型液滴への破壊(微粒化)、及びこの混合物からの溶媒の迅速な除去が関与するプロセスをいう。典型的噴霧乾燥装置においては、乾燥用ガスを提供することにより供され得る、液滴から溶媒を蒸発するための強力な駆動力が存在する。噴霧乾燥のプロセス及び装置は、Perryの「Chemical Engineer's Handbook」、20-54頁から20-57頁(第6版、1984年)に記載されており、これは参照により本明細書に組み入れられる。
【0057】
単なる非限定的例として、典型的噴霧乾燥装置は、乾燥チャンバー、溶媒含有供給物を乾燥チャンバーへ微粒化するための微粒化手段、微粒化された溶媒含有供給物から溶媒を除去するための乾燥チャンバーへと流れる乾燥用ガスの供給源、乾燥した生成物のための出口、及び乾燥チャンバーの下流に配置された生成物収集手段を備える。そのような装置の例は、Niro Models PSD-1、PSD-2及びPSD-4(Niro社、Soeborg、デンマーク)、並びにBUCHIモデルB-191ミニスプレードライヤーを含む。製造業者Hosokawa Micron社によるモデルAGM-2M-SDなどの噴霧乾燥のための市販の装置を、使用することができる。
【0058】
本明細書において使用される「入口温度」とは、溶液が噴霧乾燥機に進入する部位の温度であり;「出口温度」とは、ガスが噴霧乾燥機を出る部位の温度である。
【0059】
入口温度又は出口温度は、必要ならば、装置、ガス、又は他の実験パラメータに応じて変動してよい。例えば、出口温度は、アスピレーター速度、大気湿度、入口温度、噴霧空気流量(spray air flow)、供給速度、又は濃度などのパラメータにより左右されることはわかっている。当業者は、望ましい出口温度を得るためにこれらのパラメータをどのように変更すればよいかを知っているであろう。
【0060】
典型的には、前記生成物収集手段は、該乾燥装置に連結されたサイクロンを備える。サイクロンにおいて、噴霧乾燥時に製造された粒子は、乾燥用ガスから分離され、かつ溶媒が蒸発され、これらの粒子を収集することが可能になる。噴霧乾燥により製造された粒子を分離しかつ収集するために、フィルターを使用することもできる。噴霧乾燥は、本発明の方法において従来の様式で行うことができる(例えば、「Remington: The Science and Practice of Pharmacy」、第19版、II巻、1627頁を参照し、これは参照により本明細書に組み入れられる)。本発明において使用される乾燥用ガスは、任意の好適なガスであってよいが、窒素、窒素エンリッチドエア、及びアルゴンなどの不活性ガスが好ましい。窒素ガスは、本発明の方法において使用するのに特に好ましい乾燥用ガスである。
【0061】
本明細書において使用される用語「固溶体」とは、互いに2種の化合物の分布(distribution)時に得られる単独相又はより多い相をいう。
【0062】
本明細書において使用される用語「低下した圧力」とは、約10mbar〜約50mbarの圧力、より好ましくは約20mbar〜約30mbarの圧力をいう。
【0063】
本明細書において使用される用語「無水エタノール」とは、1%(重量/重量百分率)以下の水、好ましくは0.5%以下の水、より好ましくは0.25%以下の水、最も好ましくは0.15%以下の水を有するエタノールをいう。
【0064】
本明細書において使用される用語「スラリー」とは、固体(複数)及び液体(複数)の不均質な混合物をいう。
【0065】
本明細書において使用される用語「無水」とは、水の合計(結合及び非結合)が重量で約2%未満である結晶形をいう。
【0066】
本明細書において使用される用語「純粋」とは、ニロチニブHClフォームAを約10重量/重量%以下有するニロチニブHCl結晶形をいう。好ましい実施態様において、純粋なニロチニブHCl結晶形は、ニロチニブHClの何れか他の結晶形を約10重量/重量%以下含み;すなわち、他の結晶形は約10%を超える量では存在しない。アセトン、THF、酢酸イソプロピル及び酢酸エチルに関連して、本明細書において使用される用語「乾燥」とは、使用前に4A分子篩上で乾燥された、溶媒に関する。
【0067】
本明細書において使用される用語「激しく攪拌」とは、振盪又は攪拌などの混合を増強する任意の手段をいう。
【0068】
PCT公開番号WO2007/015870(「WO’870」)は、結晶フォームA及びBを含む、ニロチニブの結晶形を開示している。フォームAは、約8.5、11.0、11.5、17.2、18.8、19.2、20.8、22.1及び26.0度2θ±0.2度2θから選択された、少なくとも1、より好ましくは少なくとも2、更により好ましくは少なくとも4及び最も好ましくは最大全ての粉末X線回折像により特徴づけられる。フォームBは、約7.2、9.2、11.4、12.0、12.3、14.6、14.8、15.7、17.6、19.2、19.5、20.5、22.0、23.4、23.9、25.0、25.5、25.9、27.0度2θ±0.2度2θから選択された、少なくとも1、より好ましくは少なくとも2、更により好ましくは少なくとも4及び最も好ましくは最大全ての粉末X線回折像により特徴づけられる。
【0069】
本発明は、ニロチニブHClの新規結晶形を提供することにより、当該技術分野における必要性に対処している。
【0070】
本発明は、ピークを約7.4、8.9及び20.8度2θ±0.2度2θに、並びに5.6、10.9、11.1、13.8、14.1、21.5、21.8及び22.4度2θ±0.2度2θからなる群から選択される2以上のピークを更に有する粉末X線回折像;並びに、実質的に図1に示される粉末X線回折像;ピークを約5.6、7.4、8.9、10.9及び20.8度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像;及び、実質的に図2に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT1と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。ニロチニブHClフォームT1は、追加のピークを約11.4、13.8、14.1、21.5及び21.8度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像により更に特徴付けられ得る。
【0071】
任意に、ニロチニブHClフォームT1は、ピークを約7.4、8.9、10.9、20.8及び21.5度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像、又はピークを約7.4、8.9、11.1、13.8及び20.8度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像により特徴付けられる。
【0072】
典型的には、ニロチニブHCl結晶フォームT1は、DMSO溶媒和物である。
【0073】
WO ’870に開示されたように、IPA中に溶解可能ではないニロチニブHClフォームBとは異なり、ニロチニブHClフォームT1は、還流時にIPA中に溶解可能である。
【0074】
本発明は、ニロチニブHClフォームT1を得るために、ジメチルスルホキシド(「DMSO」)中で、ニロチニブHClフォームBをスラリー化することによる、ニロチニブHClフォームT1の調製方法も包含する。
【0075】
好ましくはこのDMSOは、水を含有し、より好ましくはこの水含量は約0.01%〜約0.04%である。
【0076】
好ましくはこの懸濁液は、フォームT1の沈殿が得られるまで、攪拌される。好ましくはこの攪拌は、約350rpm〜約700rpmであり、より好ましくは約700rpmである。好ましくはこの攪拌は、ほぼ室温であり、より好ましくは約25℃である。好ましくはこの攪拌は、約16時間〜約25時間行われ、より好ましくは約24時間行われる。
【0077】
前記沈殿は、更に分離されてよい。この分離は、濾過により行われてよい。好ましくは、濾過は、約0mbar〜約40mbar、好ましくは約3.5mbarなどの減圧下で行われる。
【0078】
本発明は、ピークを約7.1、8.7、11.5、14.0、15.3、16.6、17.4、19.4及び25.5±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図3に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、結晶性ニロチニブHClフォームT2を包含する。
【0079】
本発明は、ニロチニブ基本フォームAを、無水エタノール又はイソプロパノール(IPA)中に懸濁すること;及び、加熱することなく、IPA中に溶解されたHClを添加し、沈殿を得ることによる、ニロチニブHClフォームT2の調製方法も包含する。
【0080】
ニロチニブ基本フォームAは、米国特許第7,169,791号に従い調製することができ、この特許は参照により本明細書に組み入れられる。
【0081】
好ましくは、IPA中のHClは、濃度約19.48%である。
【0082】
このHClの添加後、スラリーが得られる。好ましくはこのスラリーを攪拌し、沈殿を得る。好ましくは、攪拌はほぼ室温である。好ましくは、攪拌は約16時間〜約24時間、より好ましくは約16時間行われる。
【0083】
前記沈殿は、更に分離される。この分離は、濾過により行われてよい。分離された沈殿は、更に洗浄され、かつ乾燥されてよい。好ましくは洗浄は、本プロセスにおいて使用される溶媒と同じ溶媒で行われる。好ましくは洗浄は2回行われる。好ましくは乾燥は真空炉を用いて行われ、より好ましくは乾燥は、温度約50℃〜約60℃であり、最も好ましくは乾燥は、温度約50℃である。好ましくは乾燥は一晩である。
【0084】
本発明は、ピークを約7.0、8.5、11.4、12.1、14.2、17.2、19.2、22.1、23.2及び25.3±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図4に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT3と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0085】
本発明は、ニロチニブ基本フォームAを95%エタノール中に懸濁すること;及び、加熱することなく、IPA中に溶解されたHClを添加し、沈殿を得ることによる、ニロチニブHClフォームT3の調製方法も包含する。
【0086】
好ましくは、IPA中のHClは、濃度約19.48%である。
【0087】
このHClの添加後、スラリーが得られる。好ましくはこのスラリーを攪拌し、沈殿を得る。好ましくは、攪拌はほぼ室温である。好ましくは、攪拌は約16時間〜約24時間、より好ましくは約16時間行われる。
【0088】
前記沈殿は、更に分離されてよい。この分離は、濾過により行われてよい。分離された沈殿は、更に洗浄され、かつ乾燥されてよい。好ましくは、洗浄は95%エタノールで行われる。好ましくは、洗浄は2回行われる。好ましくは、乾燥は真空炉を用いて行われ、より好ましくは、乾燥は温度約50℃〜約60℃であり、最も好ましくは、乾燥は温度約50℃である。好ましくは、乾燥は一晩である。
【0089】
本発明は更に、ピークを約5.9、8.8、11.9、15.3、16.6、19.7、20.3、25.4、26.9及び27.4±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図5に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT4と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0090】
本発明は、ニロチニブ基本フォームAを1−プロパノール中に懸濁すること;及び、IPA中に溶解されたHClを添加し、沈殿を得ることによる、ニロチニブHClフォームT4の調製方法も包含する。
【0091】
好ましくは、IPA中のHClは、濃度約19.48%である。
【0092】
このHClの添加後、スラリーが得られる。好ましくはこのスラリーを攪拌し、沈殿を得る。好ましくは、攪拌はほぼ室温である。好ましくは、攪拌は約16時間〜約24時間、より好ましくは約16時間行われる。
【0093】
前記沈殿は、更に分離されてよい。この分離は、濾過により行われてよい。分離された沈殿は、更に洗浄され、かつ乾燥されてよい。好ましくは洗浄は、1−プロパノールで行われる。好ましくは、洗浄は2回行われる。好ましくは、乾燥は真空炉を用いて行われ、より好ましくは、乾燥は温度約50℃〜約60℃であり、最も好ましくは、乾燥は温度約50℃である。好ましくは、乾燥は一晩行われる。
【0094】
本発明は、ピークを約7.1、14.0、18.4、20.8、21.5、22.5、24.8、25.4及び27.3±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図6に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT5と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0095】
本発明は、ニロチニブ基本フォームAをn−ブタノール中に懸濁すること;及び、IPA中に溶解されたHClを添加し、沈殿を得ることによる、ニロチニブHClフォームT5の調製方法も包含する。
【0096】
好ましくは、IPA中のHClは、濃度約19.48%である。
【0097】
このHClの添加後、スラリーが得られる。好ましくはこのスラリーを攪拌し、沈殿を得る。好ましくは、攪拌はほぼ室温である。好ましくは、攪拌は約16時間〜約24時間、より好ましくは約16時間行われる。
【0098】
前記沈殿は、更に分離される。この分離は、濾過により行われてよい。分離された沈殿は、更に洗浄され、かつ乾燥されてよい。好ましくは、洗浄はn−ブタノールで行われる。好ましくは、洗浄は2回行われる。好ましくは、乾燥は真空炉を用いて行われ、より好ましくは、乾燥は温度約50℃〜約60℃であり、最も好ましくは、乾燥は温度約50℃である。好ましくは、乾燥は一晩行われる。
【0099】
本発明は、ピークを約7.2、8.8、14.4、22.3、23.4、25.7、26.4、27.7、29.6及び31.5±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図7に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT6と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0100】
本発明は更に、ニロチニブ基本フォームAを、2−ブタノール、tert−ブタノール及び2−ペンタノールからなる群から選択される溶媒中に懸濁すること;及び、IPA中に溶解されたHClを添加し、沈殿を得ることによる、ニロチニブHClフォームT6の調製方法を包含する。
【0101】
好ましくは、IPA中のHClは、濃度約19.48%である。
【0102】
このHClの添加後、スラリーが得られる。好ましくはこのスラリーを攪拌し、沈殿を得る。好ましくは、攪拌はほぼ室温である。好ましくは、攪拌は約16時間〜約24時間、より好ましくは約16時間行われる。
【0103】
前記沈殿は、更に分離される。この分離は、濾過により行われてよい。分離された沈殿は、更に洗浄され、かつ乾燥されてよい。好ましくは、洗浄は本プロセスにおいて使用された溶媒と同じ溶媒で行われる。好ましくは、洗浄は2回行われる。好ましくは、乾燥は真空炉を用いて行われ、より好ましくは、乾燥は温度約50℃〜約60℃であり、最も好ましくは乾燥は、温度約50℃である。好ましくは、乾燥は一晩である。
【0104】
本発明は、実質的に図8に示される粉末X線回折像により特徴付けられる、本明細書においてフォームT7と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0105】
あるいは、ニロチニブHClフォームT7は、ピークを約3.8、7.5、18.7、19.9、及び25.4度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図8に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる。ニロチニブHClフォームT7は、追加ピークを約8.7、11.4、15.2、19.4及び22.3度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像により更に特徴付けられ得る。
【0106】
本発明は同じく、ニロチニブHClフォームBをベンジルアルコールと一緒にし、沈殿を得ることを含むプロセスによる、ニロチニブHClフォームT7の調製方法も包含する。
【0107】
ニロチニブHClフォームT7のベンジルアルコールとの組合せは、それから結晶形フォームT7が得られるスラリーを生じる。
【0108】
好ましくは、ニロチニブHClフォームB及びベンジルアルコールの組合せが攪拌される。好ましくは攪拌は、ほぼ周囲温度である。好ましくは攪拌は、約16時間〜約24時間、より好ましくは約24時間行われる。
【0109】
前記沈殿は、更に分離される。この分離は、濾過により行われてよい。好ましくは、濾過は漏斗上で行われる。分離された沈殿は、更に乾燥されてよい。好ましくは、乾燥は温度約50℃〜約60℃であり、より好ましくは、乾燥は温度約50℃である。好ましくは、乾燥は真空下で行われる。好ましくは、乾燥は一晩行われる。
【0110】
本発明は、実質的に図9に示される粉末X線回折像により特徴付けられる、本明細書においてフォームT8と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0111】
あるいは、ニロチニブHClフォームT8は、ピークを約6.5、7.4、18.3、23.1及び24.3度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図9に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる。ニロチニブHClフォームT8は、追加ピークを約12.1、13.5及び27.2度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像により更に特徴付けられ得る。
【0112】
本発明は、ニロチニブHClフォームBを、ジメチルアセトアミド(「DMA」)と一緒にし、沈殿を得ることを含むプロセスによる、ニロチニブHClフォームT8の調製方法も包含する。
【0113】
ニロチニブHClフォームT8のDMAとの組合せは、それから結晶フォームT8が得られるスラリーを生じる。
【0114】
好ましくは、ニロチニブHClフォームB及びDMAの組合せが攪拌される。好ましくは、攪拌はほぼ周囲温度である。好ましくは、攪拌は約16時間〜約24時間、より好ましくは約24時間行われる。
【0115】
前記沈殿は、更に分離される。この分離は、濾過により行われてよい。好ましくは、濾過は漏斗上で行われる。分離された沈殿は、更に乾燥される。好ましくは、乾燥は温度約50℃〜約60℃であり、より好ましくは乾燥は温度約50℃である。好ましくは、乾燥は真空下で行われる。好ましくは、乾燥は一晩行われる。
【0116】
本発明は、ピークを約8.7、9.4、12.2、17.4、18.1、19.4、22.2、24.1、25.1、25.8及び26.2±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図10に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT9と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0117】
本発明は更に、ニロチニブHClフォームBをクロロベンゼンと一緒にし、沈殿を得ることを含むプロセスによる、ニロチニブHClフォームT9の調製方法を包含する。
【0118】
ニロチニブHClフォームT9とクロロベンゼンとの組合せは、それから結晶形T9が得られるスラリーを生じる。
【0119】
好ましくは、ニロチニブHClフォームB及びクロロベンゼンの組合せが攪拌される。好ましくは、攪拌はほぼ周囲温度である。好ましくは、攪拌は約16時間〜約24時間、より好ましくは約24時間行われる。
【0120】
前記沈殿は、更に分離される。この分離は、濾過により行われてよい。好ましくは、濾過は漏斗上で行われる。分離された沈殿は、更に乾燥されてよい。好ましくは、乾燥は温度約50℃〜約60℃であり、より好ましくは乾燥は温度約50℃である。好ましくは、乾燥は真空下で行われる。好ましくは、乾燥は一晩行われる。
【0121】
本発明は、実質的に図11に示される粉末X線回折像により特徴付けられる、本明細書においてフォームT10と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0122】
あるいは、ニロチニブHClフォームT10は、ピークを約8.9、14.0、21.0、23.8及び25.6度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図11に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる。ニロチニブHClフォームT10は、追加ピークを約8.0、15.2、16.9、22.3及び29.0度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像により更に特徴付けられ得る。
【0123】
本発明は更に、ニロチニブHClフォームBを、エチレングリコールと一緒にし、沈殿を得ることを含むプロセスによる、ニロチニブHClフォームT10の調製方法を包含する。
【0124】
ニロチニブHClフォームT10のエチレングリコールとの組合せは、それから結晶フォームT10が得られるスラリーを生じる。
【0125】
好ましくは、ニロチニブHClフォームB及びエチレングリコールの組合せが攪拌される。好ましくは攪拌は、ほぼ周囲温度である。好ましくは攪拌は、約16時間〜約24時間、より好ましくは約24時間行われる。
【0126】
前記沈殿は、更に分離される。この分離は、濾過により行われてよい。好ましくは、濾過は漏斗上で行われる。分離された沈殿は、更に乾燥されてよい。好ましくは、乾燥は温度約50℃〜約60℃であり、より好ましくは乾燥は温度約50℃である。好ましくは、乾燥は真空下で行われる。好ましくは、乾燥は一晩行われる。
【0127】
本発明は、ピークを約7.4、8.7、17.4、25.3、26.2及び35.1±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図12に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT11と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0128】
本発明は、ニロチニブHClフォームBを1−プロパノールと一緒にすること;冷却すること;加熱すること;及び、冷却し、沈殿を得ること:を含む、ニロチニブHClフォームT11の調製方法を更に包含する。
【0129】
好ましくは前記冷却は、温度約−5℃〜約+5℃であり、より好ましくは約0℃である。好ましくは前記加熱は、温度約60℃〜約70℃であり、より好ましくは約65℃である。好ましくは、加熱速度は、約0.1℃/分である。好ましくは加熱工程後の冷却速度は、約0.1℃/分である。好ましくは得られた沈殿は、温度約−5℃〜約+5℃で、好ましくは約0℃で更に維持される。好ましくはこの維持工程は、約1日間〜約5日間かけ、より好ましくは約3日間かける。好ましくはこの維持工程は、攪拌しながら行われる。
【0130】
前記沈殿は、更に分離される。この分離は、濾過により行われてよい。
【0131】
本発明は、ピークを約7.4、9.5、12.3、14.8、15.9、19.4、19.8、22.3、24.3及び25.9±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図13に示される粉末X線回折像:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT12と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0132】
本発明は更に、ニロチニブHClフォームBを乳酸ブチルと一緒にすること;冷却すること;加熱すること;及び、冷却し、沈殿を得ること:を含むプロセスによる、ニロチニブHClフォームT12の調製方法を包含する。
【0133】
ニロチニブHClフォームT12の酢酸ブチルとの組合せは、それから結晶フォームT12が得られるスラリーを生じる。
【0134】
好ましくは前記冷却は、温度約−5℃〜約+5℃であり、より好ましくは約0℃である。好ましくは前記加熱は、温度約70℃〜約80℃であり、より好ましくは約78℃である。好ましくは、加熱速度は、約0.1℃/分である。好ましくは加熱工程後の冷却速度は、約0.1℃/分である。好ましくは得られた沈殿は、温度約0℃で更に維持される。好ましくはこの維持工程は、約2日間かける。
【0135】
前記沈殿は、更に分離される。この分離は、濾過により行われてよい。
【0136】
本発明は、ピークを約8.2、12.8、15.7、16.5、21.7及び23.9±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図14に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT13と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。
【0137】
本発明は更に、ニロチニブHClフォームBを無水エタノールと一緒にすること;温度約−5℃〜約+5℃に冷却すること;加熱すること;及び、冷却し、沈殿を得ること:を含むプロセスによる、ニロチニブHClフォームT13の調製方法を包含する。
【0138】
好ましくは前記冷却は、温度約−5℃〜約+5℃であり、より好ましくは約0℃である。好ましくは前記加熱は、温度約70℃〜約80℃であり、より好ましくは約75℃である。好ましくは、加熱速度は、約2℃/分である。好ましくは、加熱後かつ冷却前に、維持工程が実行される。好ましくはこの維持は、温度約70℃〜約80℃、より好ましくは約75℃である。好ましくはこの維持工程は、約10分間〜約180分間かけ、より好ましくは約90分間である。
【0139】
好ましくは、この加熱後の冷却速度は、約10℃/分である。好ましくは得られる沈殿は、温度約−5℃〜約+5℃で、より好ましくは約0℃で更に維持される。好ましくはこの維持工程は、約5分間〜約180分間かけ、より好ましくは約20分間かける。
【0140】
前記沈殿は、更に分離される。この分離は、濾過により行われてよい。
【0141】
本発明は、ピークを約7.5、7.9、8.7、19.4及び25.3度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図15に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT14と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。ニロチニブHClフォームT14は、追加ピークを約11.3、13.4及び17.4度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像により更に特徴付けられ得る。
【0142】
本発明は、ピークを約6.3、7.3、8.6、12.2及び18.2度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図16に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT15と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。ニロチニブHClフォームT15は、追加ピークを約23.0及び24.3度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像により更に特徴付けられ得る。
【0143】
本発明は、ピークを約8.1、9.0、14.1、18.0及び21.4度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図17に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT16と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。ニロチニブHClフォームT16は、追加ピークを約21.1、21.8及び22.1度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像により更に特徴付けられ得る。
【0144】
本発明は、実質的に図18に示される粉末X線回折図により特徴づけられる、医薬として好適な賦形剤と組合せたニロチニブHClの固溶体を包含する。
【0145】
医薬として好適な賦形剤は、ポリマー又は炭水化物である。賦形剤として使用することができる好適なポリマーの非限定的例は、ポリビニルピロリドン(PVP又はポビドン)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、及びHPMCフタル酸エステルを、単独又は組合せの何れかで含む。結晶化阻害剤として使用される炭水化物の例は、乳糖、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(カルメロースナトリウム)、カルボキシメチルセルロースカルシウム、デキストラン、アカシアゴム、デンプン、β−シクロデキストリン、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロック共重合体、ポリビニルアルコール、及びポリエチレングリコール(PEG)を、単独又は組合せの何れかで含む。好ましくはこの賦形剤は、ヒドロプロピルセルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース及びエチルセルロースからなる群から選択されるポリマーである。
【0146】
本発明は、ニロチニブHCl及び好適な賦形剤を、C1−C4アルコール中に溶解すること;並びに、溶媒を除去し、医薬として好適な賦形剤と組合せた、ニロチニブHClの固溶体を得ること:を含む、医薬として好適な賦形剤と組合せたニロチニブHClの固溶体の調製方法も包含する。
【0147】
好ましくは、前記C1−C4アルコールはメタノールである。
【0148】
本発明は、C1−C4アルコール中にニロチニブHCl及び医薬として好適な賦形剤を含有する溶液を、出口温度約35℃〜約40℃を使用し、噴霧乾燥する工程を含む、医薬として好適な賦形剤と組合せた、ニロチニブHClの固溶体の調製方法も包含する。好ましくは、その入口温度は、約60℃〜約80℃である。
【0149】
好ましくは、前記プロセスは、ニロチニブHClを好適な賦形剤及びC1−C4アルコールと一緒にすること;加熱し、溶液を得ること;及び、噴霧乾燥することを含む。
【0150】
好ましくは、C1−C4アルコールは、メタノールである。
【0151】
好ましくは前記加熱は、温度約60℃〜約80℃であり、より好ましくは温度約70℃である。
【0152】
好ましくは、噴霧乾燥は、加熱工程とほぼ同じ温度で行われる。
【0153】
本発明は、ピークを約5.7、9.8、15.0、15.8及び17.3度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図19に示される粉末X線回折像;実質的に図20に示される粉末X線回折像;シグナルが約113.1、133.1、160.9±0.2ppmにある固体13C NMRスペクトル;最低化学シフトを示すシグナルと化学シフト範囲100〜180ppmの別のシグナルとの間に約9.2、29.2及び57.0±0.1ppmの化学シフト差を有する、固体13C NMRスペクトルであり、ここで化学シフト領域100〜180ppm中に最低化学シフトを示す該シグナルは、典型的には約103.9±1ppmであるもの;図21に示される13C NMRスペクトル:図22に示される13C NMRスペクトル;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴づけられる、本明細書においてフォームT17と規定された、結晶性ニロチニブHClを包含する。ニロチニブHClフォームT17は、追加ピークを約7.5、11.4、18.6、19.6及び20.7度2θ±0.2度2θ又は約7.6、11.4、18.7、19.7及び20.7度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像により更に特徴付けられ得る。
【0154】
典型的には、ニロチニブHCl結晶フォームT17は、無水物であり、かつ加熱時に他の形態へ転換されないが、ニロチニブHClフォームA及びニロチニブHClフォームBなどの、当該技術分野において公知の他の多形は、WO’870に開示されたように他の多形に転換される。
【0155】
本発明は:
a)ニロチニブ基本フォームAを、無水エタノール及びHClと一緒にし、スラリーを得ること;
b)加熱すること;
c)冷却すること;並びに、
d)乾燥すること:を含む、ニロチニブHClフォームT17の調製方法を包含する。
【0156】
好ましくは、このHClは、無水エタノール又は水中に溶解される。HClが無水エタノール中に溶解される場合、該溶液中のHClの濃度は、約14%、約13.3%〜約14.1%、13.26%〜約14.13%、又は約13.77%であることが好ましい。HClが水中に溶解される場合、該溶液中のHClの濃度は、約32%であることが好ましい。
【0157】
好ましくは、加熱は、温度約75℃〜約85℃までであり、より好ましくはほぼ還流温度までである。加熱は、攪拌しながら行われることが好ましい。好ましくは、この攪拌は、約0.5時間〜約4時間、より好ましくは約0.5時間〜約1.5時間行われる。
【0158】
好ましくは、工程bの加熱後及び工程cの冷却の前に、濾過工程が実行される。好ましくはこの濾過は、約20mbar〜約30mbarなどの、減圧下で行われる。
【0159】
任意に、濾過後に、別の無水エタノール部分が、濾液に添加され、反応混合物を形成する。この反応混合物は、加熱されることが好ましい。加熱は、攪拌しながら行われてよい。好ましくは攪拌は、約10分間〜約60分間、より好ましくは約30分間行われる。加熱は典型的には、温度約77℃〜約79℃で行われる。好ましくは加熱は、ほぼ還流温度で行われる。
【0160】
好ましくは、この反応混合物は、加熱しながらシーディング(seed)される。このシーディングは、好ましくはニロチニブHClフォームT17により行われる。典型的にはシーディングは、温度約72℃〜約78℃で行われる。好ましくはシーディングは、温度約76.0℃〜約76.6℃で行われる。好ましくはシーディング工程後に、第二の反応混合物が得られる。この第二の反応混合物は好ましくは、温度約77℃〜約79℃で、より好ましくはほぼ還流温度で、更に維持される。好ましくはこの維持工程は、約15分間〜約75分間、より好ましくは約30分間〜約60分間行われる。
【0161】
好ましくは、工程cの冷却は、温度約10℃〜約0℃、より好ましくは約6℃〜約5℃で行われる。好ましくはこの冷却は、ゆっくり実行され、より好ましくはこの冷却は、約3時間〜約2時間の時間をかけて行われる。任意に冷却しながら又は冷却工程後に、無水エタノールが添加される。
【0162】
任意に、工程cの冷却前に、追加の冷却工程、それに続く加熱工程が行われる。好ましくはこの冷却は、約60℃〜約50℃まで、より好ましくは約55℃までである。典型的には、この冷却はゆっくり行われる。好ましくは冷却は、約2時間〜約3時間かけて行われる。好ましくは加熱は、温度約77℃〜約79℃まで、より好ましくはほぼ還流温度まで行われる。
【0163】
工程cの冷却後、スラリーが得られる。典型的にはこのスラリーは攪拌される。好ましくは、攪拌は、約0℃〜約10℃で、より好ましくは約5℃で行われる。好ましくは、攪拌は約15分間〜ほぼ一晩かけて行われる。
【0164】
典型的には、工程dの乾燥前に、濾過工程が実行され、これに洗浄工程が続く。
【0165】
好ましくは、この洗浄は、無水エタノールにより行われる。
【0166】
好ましくは、乾燥は、ほぼ一晩行われる。好ましくは、乾燥は、温度約60℃〜約80℃、より好ましくは温度約70℃で行われる。好ましくは、乾燥は、真空炉で行われる。
【0167】
好ましくは、ニロチニブHClフォームT17の調製方法は:
ニロチニブ基本フォームAを無水エタノール及びHClと一緒にし、スラリーを得ること;加熱すること;濾過すること;結晶フォームT17をシーディングしながら加熱すること;冷却すること;無水エタノールを添加すること;及び、乾燥すること:を含む。
【0168】
本発明は、ニロチニブHCl非晶形を、乾燥アセトン又は乾燥テトラヒドロフラン(THF)と一緒にし、スラリーを得ること;このスラリーを激しく攪拌すること;及び、乾燥し、ニロチニブHClフォームT17を得ること:を含む、ニロチニブHClフォームT17の別の調製方法を更に含んでいる。
【0169】
アセトン又はTHFは、4A分子篩上で乾燥されることが好ましい。
【0170】
好ましくは、前述の激しい攪拌は、振盪により行われる。好ましくは、激しい攪拌は、約72時間行われる。好ましくは、スラリーを激しく攪拌しながら、その温度を、約15℃から約45℃の間、より好ましくはほぼ周囲温度から約40℃の間をサイクルさせる。典型的には、各サイクルは、約4時間かけて行われる。
【0171】
好ましくは、前記乾燥工程前に、溶媒が除去される。好ましくはこの除去は、典型的にはシリンジの使用による溶媒のデカンテーションにより行われる。
【0172】
好ましくは、この乾燥は、窒素大気下で行われる。好ましくは、乾燥は一晩行われる。
【0173】
本発明は更に、ニロチニブHCl非晶形を、乾燥酢酸イソプロピル又は乾燥酢酸エチルと一緒にし、スラリーを得ること;このスラリーを激しく攪拌すること;及び、乾燥し、ニロチニブHClフォームT17及びニロチニブHClフォームAの混合物を得ること:を含む、ニロチニブHClフォームT17及びニロチニブHClフォームAの混合物の調製方法を含む。
【0174】
この酢酸イソプロピル又は酢酸エチルは、4A分子篩上で乾燥されることが好ましい。
【0175】
好ましくは、この激しい攪拌は、振盪により行われる。好ましくは、激しい攪拌は、約72時間行われる。好ましくは、スラリーを激しく攪拌しながら、その温度を、約15℃から約45℃の間、より好ましくはほぼ周囲温度から約40℃の間をサイクルさせる。典型的には、各サイクルは、約4時間かけて行われる。
【0176】
好ましくは、乾燥工程前に、溶媒が除去される。好ましくはこの除去は、典型的にはシリンジの使用による溶媒のデカンテーションにより行われる。
【0177】
好ましくは、この乾燥は、窒素大気下で行われる。好ましくは、乾燥は一晩行われる。
【0178】
本発明は、ニロチニブHClフォームA及びニロチニブHClフォーム(for)T17の混合物を、IPA又はアセトニトリルによりスラリー化し、ニロチニブHClフォームT17を得ることを含む、ニロチニブHClフォームT17の追加の調製方法を提供する。
【0179】
好ましくは、このスラリー化は、温度約0℃〜約60℃、より好ましくは約20℃〜約60℃、最も好ましくは約40℃で行われる。好ましくは、このスラリー化は、約1日間〜約5日間、より好ましくは約3日間行われる。
【0180】
典型的には、こうして得られたニロチニブフォームT17は、更に分離される。好ましくは、この分離は濾過により行われる。
【0181】
本発明は、ピークを約5.5、7.1、8.7、9.6及び10.9度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像;ピークを約5.5、7.2、8.7、9.6及び10.9度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図23に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT18と規定される、結晶性ニロチニブHClを包含する。ニロチニブHClフォームT18は、追加ピークを約14.4、17.0、19.2、21.9及び22.3度2θ±0.2度2θ又は約14.4、17.0、19.2、21.9及び22.4度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像により更に特徴付けられ得る。
【0182】
好ましくは、ニロチニブHClフォームT18は、ピークを約5.5、7.1、8.7、9.6及び10.9度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像、及び実質的に図23に示される粉末X線回折像の組合せにより特徴付けられる。
【0183】
本発明は:
a)ニロチニブ基本フォームAを、無水エタノール及びHClと一緒にし、スラリーを得ること;
b)加熱すること;並びに、
c)冷却し、ニロチニブHClフォームT18を得ること:を含む、ニロチニブHClフォームT18の調製方法も包含する。
【0184】
好ましくは、このHClは、無水エタノール又は水中に溶解される。好ましくは、HClが無水エタノール中に溶解される場合、この溶液中のHClの濃度は、約14%、約13.3%〜約14.1%、約13.26%〜約14.13%、又は約13.77%である。好ましくは、HClが水中に溶解される場合、この溶液中のHClの濃度は、約32%である。
【0185】
好ましくは、工程bの加熱は、温度約75℃〜約85℃までであり、より好ましくはほぼ還流温度までである。加熱は、攪拌しながら行われることが好ましい。好ましくは、この攪拌は、約0.5時間〜約4時間、より好ましくは約0.5時間〜約1.5時間行われる。
【0186】
好ましくは、工程bの加熱後及び工程cの冷却の前に、濾過工程が実行される。好ましくはこの濾過は、減圧下で、より好ましくは約20mbar〜約30mbarで、行われる。
【0187】
好ましくは、濾過工程後及び工程cの冷却前に、加熱工程が実行される。典型的には加熱は、温度約77℃〜約79℃まで行われる。好ましくは加熱は、ほぼ還流温度で行われる。
【0188】
好ましくは、シーディング工程は、加熱しながら実行される。このシーディングは、好ましくはニロチニブHClフォームT17により行われる。典型的にはシーディングは、温度約72℃〜約78℃で行われる。好ましくはシーディングは、温度約76.0℃〜約76.6℃で行われる。好ましくは、シーディング工程後に、反応混合物が得られる。この反応混合物は、好ましくは、温度約77℃〜約79℃で更に維持され、より好ましくはこの維持は、ほぼ還流温度である。好ましくはこの維持工程は、約15分間〜約75分間、より好ましくは約30分間〜約60分間行われる。
【0189】
好ましくは、工程cの冷却は、温度約10℃〜約0℃、より好ましくは約6℃〜約5℃までである。好ましくはこの冷却は、約2時間〜約3時間、より好ましくは約2時間の時間をかけて行われる。任意に冷却しながら又は冷却工程後に、無水エタノールが添加される。
【0190】
工程cの冷却後に、スラリーが得られる。典型的にはこのスラリーは攪拌される。好ましくは、攪拌は、約0℃〜約10℃で、より好ましくは約5℃で行われる。好ましくは、攪拌は、約15分間〜約45分間、より好ましくは約30分間行われる。
【0191】
本方法は、濾過工程及び/又は洗浄工程を更に含んでよい。
【0192】
好ましくは、洗浄は、無水エタノールにより行われる。
【0193】
好ましくは、ニロチニブHClフォームT18の調製方法は:
ニロチニブ基本フォームAを、無水エタノール及びHClと一緒にし、スラリーを得ること;加熱すること;濾過すること;結晶形T17をシーディングしながら、加熱すること;冷却すること;無水エタノールを添加すること;濾過すること;及び、洗浄し、ニロチニブHClフォームT18を得ること:を含む。
【0194】
本発明は、ニロチニブHClフォームT18を乾燥することによる、ニロチニブHClフォームT17の調製方法を提供する。このプロセスのパラメータは、先に説明されている。
【0195】
本発明は、ニロチニブHClフォームA及びニロチニブHClフォームT17の混合物を、無水エタノール中で、温度約55℃〜約78℃でスラリー化すること:を含む、ニロチニブHClフォームT18の別の調製方法を提供する。
【0196】
好ましくは、このスラリー化は、温度約60℃〜約75℃で行われる。好ましくはスラリー化は、約4時間〜約7日間、より好ましくは約3日間かけて行われる。
【0197】
得られたニロチニブHClフォームT18は、更に分離される。好ましくは、この分離は、濾過による。
【0198】
本発明は、ニロチニブHClフォームT17を無水エタノールと一緒にすること;加熱すること;及び、冷却し、ニロチニブHClフォームT18を得ること:を含む、ニロチニブHClフォームT18の追加の調製方法を提供する。
【0199】
任意に、無水エタノールは、含水量約0.01重量%未満である。
【0200】
好ましくは、この加熱は、温度約76℃〜約78℃まで、より好ましくはほぼ還流温度までである。好ましくは加熱は、攪拌しながら行われる。
【0201】
加熱工程後及び冷却の前に、反応混合物が得られる。好ましくは、この反応混合物は、温度約76℃〜約78℃で、より好ましくはほぼ還流温度で維持される。好ましくは、この維持工程は、約10分間〜約30分間行われる。
【0202】
好ましくは、この冷却は、温度約3℃〜約7℃、より好ましくは約5℃まで行われる。好ましくは、冷却は、約2時間〜約3時間の期間、より好ましくは約3時間行われる。
【0203】
冷却後、スラリーが得られる。典型的には、このスラリーは攪拌される。好ましくはこの攪拌は、約3℃〜約7℃で、より好ましくは約5℃で行われる。好ましくはこの攪拌は、約11時間〜約17時間、より好ましくは約12時間行われる。
【0204】
本方法は、濾過工程及び/又は洗浄工程を更に含んでよい。任意に濾過は、窒素環境下で行われる。好ましくは、洗浄は、無水エタノールで行われる。
【0205】
本発明は、ピークを約5.5、7.2、9.2、9.6及び10.9度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像;実質的に図24に示される粉末X線回折像;並びに、それらの組合せ:からなる群から選択されるデータにより特徴付けられる、本明細書においてフォームT19と規定される、結晶性ニロチニブHClを更に包含する。ニロチニブHClフォームT19は、追加ピークを約14.1、14.9、17.7、18.5及び19.3度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像により更に特徴付けられ得る。
【0206】
好ましくは、ニロチニブHClフォームT19は、ピークを約5.5、7.2、9.2、9.6及び10.9度2θ±0.2度2θに有する粉末X線回折像、及び実質的に図24に示される粉末X線回折像の組合せにより特徴付けられる。
【0207】
本発明は、無水エタノール中にニロチニブHClフォームBをスラリー化すること;温度約55℃〜約78℃に加熱すること;及び、冷却すること:を含む、ニロチニブHClフォームT19の調製方法を提供する。
【0208】
好ましくは、ニロチニブHClフォームBの無水エタノールに対する割合は、35mg/mlである。
【0209】
好ましくは、このスラリー化は、約20℃〜約30℃で、より好ましくは約20℃で行われる。好ましくは、スラリー化は、約2時間〜約15時間、より好ましくは約11時間行われる。
【0210】
好ましくは、この加熱は、温度約75℃で行われる。好ましくは、加熱は、約0.1℃/分〜約10℃/分、より好ましくは約2℃/分の速度で行われる。
【0211】
典型的には、この加熱は、スラリーを維持しながら行われる。この維持工程は、約75℃で行われる。好ましくは維持工程は、約30分間〜約180分間、より好ましくは約90分間行われる。
【0212】
好ましくは、この冷却は、温度約0℃までである。好ましくは冷却は、約10℃/分の速度で行われる。
【0213】
典型的には、冷却は、スラリーを維持しながら行われる。この維持工程は、温度約0℃で行われる。好ましくは維持工程は、約1時間〜約5時間、より好ましくは約1時間行われる。
【0214】
得られたニロチニブHClフォームT19は更に分離される。好ましくは分離は、濾過による。
【0215】
先に説明された方法の何れかにおいて使用されるニロチニブ基本フォームAは、米国特許第7,169,791号に従い調製されてよく、この特許は参照により本明細書に組み入れられる。
【0216】
先に説明された方法の何れかにおいて使用されるニロチニブHClフォームAは、WO’870に従い調製されてよく、この特許は参照により本明細書に組み入れられる。
【0217】
先に説明された方法の何れかにおいて使用されるニロチニブHClフォームBは、WO’871に従い調製されてよく、この特許は参照により本明細書に組み入れられる。
【0218】
先に説明されたプロセスの何れかにおいて使用されるニロチニブHCl非晶形は、WO’870に従い調製されてよく、この特許は参照により本明細書に組み入れられる。
【0219】
本発明の1又は複数の化合物を含有する医薬組成物は、参照により本明細書に組み入れられている「Remington's Pharmaceutical Sciences」、Mack Publishing社、イーストン、ペンシルバニア州、米国のような公知の編集物を参照することによるなど、当該技術分野において周知のように、製剤されることができる。
【0220】
本発明は、結晶フォームT1−T19及び/又はニロチニブHClの固溶体を何れか単独で若しくは組合せて、先に説明された医薬として好適な賦形剤及び少なくとも1種の医薬として許容し得る賦形剤と一緒に含有する医薬組成物を更に包含する。
【0221】
これまで本発明について、特定の好適な実施態様及び例示を参照しながら説明してきたが、本明細書に開示された本発明の精神及び範囲を逸脱しない範囲で、説明及び例示された本発明に変更を加え得ることは、当業者であれば理解し得るところである。本発明の理解の助けとして実施例を挙げて説明するが、これらはいかなる意味においても、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、且つ、そのように解釈してはならない。
【実施例】
【0222】
噴霧乾燥:
噴霧乾燥は、ノズルキャップ1.5mmを備える、直径1.5mmの標準ノズルを使用する、BuchiミニスプレードライヤーB-191を用い実行される。ポンプ流量(dosage):10%;アスピレーター率:100%;噴霧空気流量:600〜650リットル/時。
【0223】
粉末X線回折:
ニロチニブHClフォームT1−T19の粉末X線回折は、ペルチェ(Peltier)検出器を備えた、ARL粉末X線回折計モデルX'TRA-019及びモデルX'TRA-030において実行した。銅Kα1照射(λ=1.5418Å)を使用した。試料ホルダーは、ラウンドゼロバックグラウンドプレート(石英又はケイ素)を備える円形標準アルミニウム試料ホルダーであった。走査パラメータは以下であった:2θ測角範囲:2〜40度;走査モード:連続走査;ステップサイズ:0.05°;及び、走査速度:3°/分。
【0224】
セルロースと組合せたニロチニブHClの固溶体の粉末X線回折は、LynxEyeを装着したBruker粉末X線回折計モデルD8アドバンスにより実行した。銅Kα1照射(λ=1.5418Å)を使用した。走査パラメータは以下であった:2θ測角範囲:2〜40°;ステップサイズ:0.05°;1ステップ当たりの時間:0.5秒;及び、発散スリット:1°。
【0225】
これらのピーク位置は、測定される試料との混合物中の内部標準としてケイ素粉末を用い、決定した。ケイ素(111)ピークの位置は、28.45度2θであるように補正した。これらのピークの位置は、各々補正した(補正は、図中に示された回折図上では行わなかった)。
【0226】
13C−NMR
13C−NMRスペクトルは、Bruker Avance II+500上で得た。
この装置パラメータは以下であった:4mmローターを使用するSBプローブ;マジック角はKBrを用いて設定した;磁場の均一性は、アダマンタン(adamantin)を用いてチェックした;交差分極のパラメータは、グリシンを用いて最適化した;参照スペクトルは、外部標準としてグリシンにより設定した(低磁場カルボキシルシグナルについて176.03ppm)。
【0227】
走査パラメータは以下であった:マジック角スピン速度:11kHz;パルスプログラム:デカップリング時にtppm15でcp;遅延時間:2秒;走査数:2048。
【0228】
実施例1:ニロチニブHClフォームT1の調製
1mlのバイアルへ、ニロチニブHCl(フォームB)50mg及びDMSO(400μl)を添加した。このスラリーを、700rpmで、室温(20〜30℃)で24時間攪拌した。24時間攪拌した後、固形物を、減圧下で濾過し、XRDにより分析した。
【0229】
実施例2:ニロチニブHClフォームT2の調製
ニロチニブ基本フォームA(0.5g、0.94mmol)を、無水エタノール(4ml)中で懸濁し、その後HCl溶液(0.23mL、IPA中19.48%)を添加し、この反応混合物は黄色になり始めた。このスラリーを、室温(20〜30℃)で16時間攪拌した。生成物を濾過し、無水エタノール(1.5ml)で2回洗浄した。この固形物を、真空炉において50℃で一晩乾燥し、ニロチニブHClフォームT2を生じた。
【0230】
実施例3:ニロチニブHClフォームT2の調製
ニロチニブ基本フォームA(0.5g、0.94mmol)を、イソプロパノール(4ml)中で懸濁し、その後HCl溶液(0.23mL、IPA中19.48%)を添加し、この反応混合物は黄色になり始めた。このスラリーを、室温(20〜30℃)で16時間攪拌した。生成物を濾過し、イソプロパノール(1.5ml)で2回洗浄した。この固形物を、真空炉において50℃で一晩乾燥し、ニロチニブHClフォームT2を生じた。
【0231】
実施例4:ニロチニブHClフォームT3の調製
ニロチニブ基本フォームA(0.5g、0.94mmol)を、95%エタノール(4ml)中で懸濁し、その後HCl溶液(0.23mL、IPA中19.48%)を添加し、この反応混合物は黄色になり始めた。このスラリーを、室温(20〜30℃)で16時間攪拌した。生成物を濾過し、95%エタノール(1.5ml)で2回洗浄した。この固形物を、真空炉において50℃で一晩乾燥し、ニロチニブHClフォームT3を生じた。
【0232】
実施例5:ニロチニブHClフォームT4の調製
ニロチニブ基本フォームA(0.5g、0.94mmol)を、1−プロパノール(4ml)中で懸濁し、その後HCl溶液(0.23mL、IPA中19.48%)を添加し、この反応混合物は黄色になり始めた。このスラリーを、室温(20〜30℃)で16時間攪拌した。生成物を濾過し、1−プロパノール(1.5ml)で2回洗浄した。この固形物を、真空炉において50℃で一晩乾燥し、ニロチニブHClフォームT4を生じた。
【0233】
実施例6:ニロチニブHClフォームT5の調製
ニロチニブ基本フォームA(0.5g、0.94mmol)を、n−ブタノール(4ml)中で懸濁し、その後HCl溶液(0.23mL、IPA中19.48%)を添加し、この反応混合物は黄色になり始めた。このスラリーを、室温(20〜30℃)で16時間攪拌した。生成物を濾過し、n−ブタノール(1.5ml)で2回洗浄した。この固形物を、真空炉において50℃で一晩乾燥し、ニロチニブHClフォームT5を生じた。
【0234】
実施例7:ニロチニブHClフォームT6の調製
ニロチニブ基本フォームA(0.5g、0.94mmol)を、2−ブタノール(4ml)中で懸濁し、その後HCl溶液(0.23mL、IPA中19.48%)を添加し、この反応混合物は黄色になり始めた。このスラリーを、室温(20〜30℃)で16時間攪拌した。生成物を濾過し、2−ブタノール(1.5ml)で2回洗浄した。この固形物を、真空炉において50℃で一晩乾燥し、ニロチニブHClフォームT6を生じた。
【0235】
実施例8:ニロチニブHClフォームT6の調製
ニロチニブ基本フォームA(0.5g、0.94mmol)を、tert−ブタノール(4ml)中で懸濁し、その後HCl溶液(0.23mL、IPA中19.48%)を添加し、この反応混合物は黄色になり始めた。このスラリーを、室温(20〜30℃)で16時間攪拌した。生成物を濾過し、tert−ブタノール(1.5ml)で2回洗浄した。この固形物を、真空炉において50℃で一晩乾燥し、ニロチニブHClフォームT6を生じた。
【0236】
実施例9:ニロチニブHClフォームT6の調製
ニロチニブ基本フォームA(0.5g、0.94mmol)を、2−ペンタノール(4ml)中で懸濁し、その後HCl溶液(0.23mL、IPA中19.48%)を添加し、この反応混合物は黄色になり始めた。このスラリーを、室温(20〜30℃)で16時間攪拌した。生成物を濾過し、2−ペンタノール(1.5ml)で2回洗浄した。この固形物を、真空炉において50℃で一晩乾燥し、ニロチニブHClフォームT6を生じた。
【0237】
実施例10:ニロチニブHClフォームT7の調製
50mlのフラスコ容器に、ニロチニブHClフォームB(0.5g、0.78mmol)及びベンジルアルコール(4ml)を添加した。このスラリーを、周囲温度(20〜30℃)で24時間攪拌し、濾過し、真空炉において50℃で一晩乾燥し、ニロチニブHClフォームT7を生じた。
【0238】
実施例11:ニロチニブHClフォームT8の調製
50mlのフラスコ容器に、ニロチニブHClフォームB(0.5g、0.78mmol)及びDMA(4ml)を添加した。このスラリーを、周囲温度(20〜30℃)で24時間攪拌し、濾過し、真空炉において50℃で一晩乾燥し、ニロチニブHClフォームT8を生じた。
【0239】
実施例12:ニロチニブHClフォームT9の調製
50mlのフラスコ容器に、ニロチニブHClフォームB(0.5g、0.78mmol)及びクロロベンゼン(8倍量)を添加した。このスラリーを、周囲温度(20〜30℃)で24時間攪拌し、濾過し、真空炉において50℃で一晩乾燥し、ニロチニブHClフォームT9を生じた。
【0240】
実施例13:ニロチニブHClフォームT10の調製
50mlのフラスコ容器に、ニロチニブHClフォームB(0.5g、0.78mmol)及びエチレングリコール(4ml)を添加した。このスラリーを、周囲温度(20〜30℃)で24時間攪拌し、濾過し、真空炉において50℃で一晩乾燥し、ニロチニブHClフォームT10を生じた。
【0241】
実施例14:ニロチニブHClフォームT11の調製
1−プロパノール(1mL)中のニロチニブHClフォームB(35mg)を0℃に冷却し、0.1℃/分で65℃まで加熱し、0.1℃/分で冷却し0℃まで戻し、0℃で3日間スラリー化し、濾過し、ニロチニブHClフォームT11を生じた。
【0242】
実施例15:ニロチニブHClフォームT12の調製
乳酸ブチル(1mL)中のニロチニブHClフォームB(50mg)を0℃に冷却し、加熱速度0.1℃/分で78℃まで加熱し、加熱速度0.1℃/分で0℃まで冷却し、0℃で2日間スラリー化し、濾過し、ニロチニブHClフォームT12を生じた。
【0243】
実施例16:ニロチニブHClフォームT13の調製
無水エタノール(1mL)中のニロチニブHClフォームB(35mg)を0℃まで冷却し、2℃/分で75℃まで加熱した。75℃で、ニロチニブHClフォームBを、全体的に溶解した。ニロチニブHCl無水エタノール混合物を、75℃で90分間スラリー化し、10℃/分で0℃まで冷却した。0℃で、結晶化が観察された。結晶化後に、この化合物を0℃で20分間スラリー化し、濾過し、ニロチニブHClフォームT13を生じた。
【0244】
実施例17:ニロチニブHClフォームT14の調製
50mLの丸底フラスコに、ニロチニブHClフォームB(1.5g)及びベンジルアルコール(12ml)を添加した。このスラリーを、25℃で24時間攪拌した。この混合物を濾過し、真空炉において50℃で一晩乾燥し、ニロチニブHClフォームT14を生じた。
【0245】
実施例18:ニロチニブHClフォームT15の調製
50mLの丸底フラスコに、ニロチニブHClフォームB(1.5g)及びDMA(12ml)を添加した。このスラリーを、25℃で24時間攪拌した。この混合物を濾過し、真空炉において50℃で一晩乾燥し、ニロチニブHClフォームT15を生じた。
【0246】
実施例19:ニロチニブHClフォームT16の調製
50mLの丸底フラスコに、ニロチニブHClフォームB(1.5g)及びエチレングリコール(12ml)を添加した。このスラリーを、25℃で24時間攪拌した。この混合物を濾過し、真空炉において50℃で一晩乾燥し、ニロチニブHClフォームT16を生じた。
【0247】
実施例20:ヒドロプロピルセルロースと組合せたニロチニブHClの固溶体の調製
ニロチニブHClフォームB(5g)及びヒドロプロピルセルロース(5g)を、メタノール(400mL)中でスラリー化し、溶解するまで60℃で加熱した。この溶液を、Buchiミニスプレードライヤーにおいて、60℃で噴霧乾燥し、ヒドロプロピルセルロースと組合せたニロチニブHClの固溶体を形成した。
【0248】
実施例21:ヒドロキシプロピルメチルセルロースと組合せたニロチニブHClの固溶体の調製
ニロチニブHClフォームB(5g)及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(5g)を、メタノール(400mL)中でスラリー化し、溶解するまで70℃で加熱した。この溶液を、Buchiミニスプレードライヤーにおいて、70℃で噴霧乾燥し、ヒドロキシプロピルメチルセルロースと組合せたニロチニブHClの固溶体を形成した。
【0249】
実施例22:エチルセルロースと組合せたニロチニブHClの固溶体の調製
ニロチニブHClフォームB(5g)及びエチルセルロース(5g)を、メタノール(400mL)中でスラリー化し、溶解するまで70℃で加熱した。この溶液を、Buchiミニスプレードライヤーにおいて、70℃で噴霧乾燥し、エチルセルロースと組合せたニロチニブHClの固溶体を形成した。
【0250】
実施例23:ニロチニブHClフォームT17の調製
1リットルの反応容器に、ニロチニブ基本フォームA(20g、0.04mol)、無水エタノール(188ml)及び無水エタノール中の13.77%HCl溶液(10g、0.04mol)を添加した。このスラリーを、還流加熱し、攪拌時に軽度の溶解が生じ、この混合物を減圧下で濾過した。濾過時に、沈殿が生じた。無水エタノール(120ml)を添加し、沈殿を反応容器に戻した。この混合物を、溶解するまで、還流加熱し、かつ30分間攪拌し、その後3時間かけて徐々に5℃まで冷却した。冷却しながら、無水エタノール(200ml)を添加し、そのスラリーを5℃で30分間攪拌し、濾過し、無水エタノールで洗浄し、真空炉において70℃で一晩乾燥し、ニロチニブHClフォームT17(18.4g、収率83%)を生じた。
【0251】
実施例24:ニロチニブHClフォームT17の調製
1リットルの反応容器に、ニロチニブ基本フォームA(20g、0.04mol)、無水エタノール(188ml)及び無水エタノール中の13.77%HCl溶液(10g、0.04mol)を添加した。このスラリーを、還流加熱し、攪拌時に溶解が生じ、この混合物を減圧下で濾過した。この濾液を、反応容器に戻し供給し、加熱し還流温度まで戻した。76.6℃で、この溶液を、実施例23の方法により得られた乾燥物質0.2gによりシーディングした。沈殿が観察された。その後、これを還流温度で1時間維持し、引き続き2時間かけて6℃へ冷却した。6℃で、無水エタノール(300ml)を添加し、そのスラリーを5℃で30分間攪拌し、濾過し、無水エタノールで洗浄し、真空炉において70℃で一晩乾燥し、ニロチニブHClフォームT17(18.4g、収率83%)を生じた。
【0252】
実施例25:ニロチニブHClフォームT17の調製
1リットルの反応容器に、ニロチニブ基本フォームA(20g、0.04mol)、無水エタノール(200ml)及び水中の32%HCl溶液(6.45g、0.04mol)を添加した。このスラリーを、還流加熱し、攪拌時に溶解が生じ、この混合物を減圧下で濾過した。この濾液を、第二の反応容器に供給し、加熱し還流温度まで戻した。76.0℃で、この溶液を、実施例23の方法により得られた乾燥物質0.2gによりシーディングした。沈殿が観察された。その後、これを還流温度で0.5時間維持し、引き続き2時間かけて5℃へ冷却した。冷却時に、20℃で、無水エタノール(100ml)を添加し、そのスラリーを5℃に達するまで攪拌し、濾過し、無水エタノールで洗浄し、真空炉において70℃で一晩乾燥し、ニロチニブHClフォームT17(16.3g、収率73%)を生じた。
【0253】
実施例26:ニロチニブHClフォームT17の調製
1リットルの反応容器に、ニロチニブ基本フォームA(20g、0.04mol)、無水エタノール(188ml)及び無水エタノール中の13.77%HCl溶液(10g、0.04mol)を添加した。このスラリーを、還流加熱し、攪拌時に軽度の溶解が生じ、この混合物を減圧下で濾過した。濾過時に、沈殿が生じた。この沈殿を、反応容器に戻した。この混合物を、65℃で溶解が生じるまで還流加熱し、その後55℃まで徐々に冷却した。冷却時に、この溶液は、60℃で沈殿した。スラリーを還流加熱し、5℃まで3時間かけて冷却した。スラリーを5℃で一晩攪拌し、無水エタノール(100ml)を添加し、その後濾過した。この物質を濾過し、無水エタノールで洗浄し、真空炉において70℃で一晩乾燥し、ニロチニブHClフォームT17(19g、収率95%)を生じた。
【0254】
実施例27:ニロチニブHClフォームT17の調製
非晶質ニロチニブ塩酸塩(26.1mg)を、日本製バイアルに秤量し、4A分子篩上で乾燥したアセトン(1.25ml)を、この固形物に添加した。このバイアルを密封し、得られるスラリーを、その温度が4時間毎に周囲温度(20〜30℃)と40℃の間をサイクルするHeidolph Inkubator 1000に連結された、Heidolph Titramax 1000プラットフォームを用いて振盪した。合計72時間経過後に、この試料を除去し、過剰な溶媒をシリンジを用いて廃棄した。残存する固形物を、窒素流れ下で一晩(〜18時間)乾燥し、T17を得た。
【0255】
実施例28:ニロチニブHClフォームT17の調製
非晶質ニロチニブ塩酸塩(25.4mg)を、日本製バイアルに秤量し、4A分子篩上で乾燥したテトラヒドロフラン(1.25ml)を、この固形物に添加した。このバイアルを密封し、得られるスラリーを、その大気温度が4時間毎に周囲温度(20〜30℃)と40℃の間をサイクルするHeidolph Inkubator 1000に連結された、Heidolph Titramax 1000プラットフォームを用いて振盪した。合計72時間経過後に、この試料を除去し、過剰な溶媒をシリンジを用いて廃棄した。残存する固形物を、窒素流れ下で一晩(〜18時間)乾燥し、T17を得た。
【0256】
実施例29:ニロチニブHClフォームT17及びニロチニブHClフォームAの混合物の調製
非晶質ニロチニブ塩酸塩(26.1mg)を、日本製バイアルに秤量し、4A分子篩上で乾燥した酢酸イソプロピル(1.25ml)を、この固形物に添加した。このバイアルを密封し、得られるスラリーを、その温度が4時間毎に周囲温度(20〜30℃)と40℃の間をサイクルするHeidolph Inkubator 1000に連結された、Heidolph Titramax 1000プラットフォームを用いて振盪した。合計72時間経過後に、この試料を除去し、過剰な溶媒をシリンジを用いて廃棄した。残存する固形物を、窒素流れ下で一晩(〜18時間)乾燥し、T17及びフォームAの混合物を得た。
【0257】
実施例30:ニロチニブHClフォームT17及びニロチニブHClフォームAの混合物の調製
非晶質ニロチニブ塩酸塩(26.1mg)を、日本製バイアルに秤量し、4A分子篩上で乾燥した酢酸エチル(1.25ml)を、この固形物に添加した。このバイアルを密封し、得られるスラリーを、その温度が4時間毎に周囲温度(20〜30℃)と40℃の間をサイクルするHeidolph Inkubator 1000に連結された、Heidolph Titramax 1000プラットフォームを用いて振盪した。合計72時間経過後に、この試料を除去し、過剰な溶媒をシリンジを用いて廃棄した。残存する固形物を、窒素流れ下で一晩(〜18時間)乾燥し、T17及びフォームAの混合物を得た。
【0258】
実施例31:ニロチニブHClフォームT17の調製
ニロチニブHClフォームA 25mg及びフォームT17 10mgの混合物を、IPA 1ml中で、40℃で3日間スラリー化した。このスラリー化の最後に、この試料を濾過し、XRDにより分析し、主にフォームT17であることがわかった。
【0259】
実施例32:ニロチニブHClフォームT17の調製
ニロチニブHClフォームA 25mg及びフォームT17 10mgの混合物を、アセトニトリル1ml中で、40℃で3日間スラリー化した。このスラリー化の最後に、この試料を濾過し、XRDにより分析し、主にフォームT17であることがわかった。
【0260】
実施例33:ニロチニブHClフォームT18の調製
1リットルの反応容器に、ニロチニブ基本フォームA(20g、0.04mol)、無水エタノール(188ml)及び無水エタノール中の13.77%HCl溶液(10g、0.04mol)を添加した。このスラリーを、還流加熱し、攪拌時に溶解が生じ、この混合物を減圧下で濾過した。濾液を反応容器に戻し供給し、加熱し還流温度に戻した。76.6℃で、この溶液を、実施例23の方法により得られた乾燥物質0.2gによりシーディングした。沈殿が観察された。その後この溶液を、還流温度で1時間維持し、引き続き6℃へ2時間かけて冷却した。6℃で、無水エタノール(300ml)を添加し、このスラリーを5℃で30分間攪拌し、濾過し、無水エタノールで洗浄し、ニロチニブ−HClフォームT18を生じた。
【0261】
実施例34:ニロチニブHClフォームT18の調製
1リットルの反応容器に、ニロチニブ−基本フォームA(20g、0.04mol)、無水エタノール(200ml)及び水中の32%HCl溶液(6.45g、0.04mol)を添加した。このスラリーを、還流加熱し、攪拌時に溶解が生じ、この混合物を減圧下で濾過した。濾液を第二の反応容器に供給し、加熱し還流温度に戻した。76.0℃で、この溶液を、実施例23の方法により得られた乾燥物質0.2gによりシーディングした。沈殿が観察された。その後この溶液を、還流温度で0.5時間維持し、引き続き5℃へ2時間かけて冷却した。20℃で冷却時に、無水エタノール(100ml)を添加し、このスラリーを5℃に到達するまで攪拌し、濾過し、無水エタノールで洗浄し、ニロチニブ−HClフォームT18を生じた。
【0262】
実施例35:ニロチニブHClフォームT18の調製
ニロチニブHClフォームA及びニロチニブHClフォームT17の混合物50mgを、無水エタノール1ml中で、75℃で、3日間スラリー化した。スラリー化の最後に、この試料を濾過し、XRDにより分析し、フォームT18であることがわかった。
【0263】
実施例36:ニロチニブHClフォームT18の調製
ニロチニブHClフォームA及びニロチニブHClフォームT17の混合物50mgを、無水エタノール1ml中で、60℃で、3日間スラリー化した。スラリー化の最後に、この試料を濾過し、XRDにより分析し、フォームT18であることがわかった。
【0264】
実施例37:ニロチニブHClフォームT18の調製
1リットルの反応容器に、ニロチニブ−HClフォームT17(11.2g、0.02mol)及び無水エタノール(224ml)を添加した。このスラリーを、還流加熱し、攪拌時に溶解は起こらなかった。その後このスラリーを、還流温度で0.5時間維持し、引き続き5℃へ3時間かけて冷却した。このスラリーを、5℃で12時間攪拌し、濾過し、無水エタノールで洗浄し、ニロチニブ−HClフォームT18を生じた。
【0265】
実施例38:ニロチニブHClフォームT18の調製
1mlのバイアルに、ニロチニブ−HClフォームT17(50.8mg、8.97×10-5mol)及び無水エタノールエクストラドライ(1.016ml)を添加した。このスラリーを、還流加熱し、攪拌時に溶解は起こらなかった。その後このスラリーを、還流温度で10分間維持し、引き続き5℃へ3時間で冷却した。このスラリーを、5℃で12時間攪拌し、その後N2(気体)環境下で濾過し、ニロチニブHClフォームT18を生じた。
【0266】
実施例39:ニロチニブHClフォームT19の調製
無水エタノール1ml中のニロチニブHClフォームB 35mgを、20℃で11時間スラリー化し、その後2℃/分で75℃まで加熱した。75℃で、ニロチニブHClは溶解しなかった。このニロチニブHCl無水エタノール混合物を、更に90分間、75℃でスラリー化し、その後10℃/分で0℃まで冷却した。この化合物を、1時間、0℃でスラリー化した。スラリー化の最後に、試料を濾過し、XRDにより分析し、フォームT19であることがわかった。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶性ニロチニブHClであって、
約5.7、9.8、15.0、15.8及び17.3度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;
実質的に図19に示される粉末X線回折像;
実質的に図20に示される粉末X線回折像;
約113.1、133.1、160.9±0.2ppmにシグナルを有する固体13C NMRスペクトル;
最低化学シフトを示すシグナルと化学シフト範囲100〜180ppmの別のシグナルとの間に約9.2、29.2及び57.0±0.1ppmの化学シフト差を有する、固体13C NMRスペクトルであり、ここで化学シフト領域100〜180ppm中に最低化学シフトを示す該シグナルが、典型的には約103.9±1ppmであるもの;
図21に示される13C NMRスペクトル;
図22に示される13C NMRスペクトル;並びに
それらの組合せ
からなる群から選択されるデータにより特徴づけられる、結晶性ニロチニブHCl。
【請求項2】
約5.7、9.8、15.0、15.8及び17.3度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像により特徴づけられる、請求項1記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項3】
実質的に図19に示される粉末X線回折像により特徴づけられる、請求項1記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項4】
実質的に図20に示される粉末X線回折像により特徴づけられる、請求項1記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項5】
約113.1、133.1、160.9±0.2ppmにシグナルを有する固体13C NMRスペクトルにより特徴づけられる、請求項1記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項6】
最低化学シフトを示すシグナルと化学シフト範囲100〜180ppmの別のシグナルとの間に約9.2、29.2及び57.0±0.1ppmの化学シフト差を有する、固体13C NMRスペクトルであり、ここで化学シフト領域100〜180ppm中に最低化学シフトを示す該シグナルが、典型的には約103.9±1ppmであるものにより特徴づけられる、請求項1記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項7】
図21に示される13C NMRスペクトルにより特徴づけられる、請求項1記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項8】
図22に示される13C NMRスペクトルにより特徴づけられる、請求項1記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項9】
約7.5、11.4、18.6、19.6及び20.7度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像により更に特徴づけられる、請求項2記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項10】
約7.6、11.4、18.7、19.7及び20.7度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像により更に特徴づけられる、請求項2記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項11】
結晶形が無水物である、請求項1記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項12】
ニロチニブHClフォームAを約10重量/重量%未満有する、請求項1記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項13】
請求項1記載のニロチニブHClを調製する方法であって、
a)ニロチニブ基本フォームAを無水エタノール及びHClと混合してスラリーを得、
b)加熱し、
c)冷却し、
d)乾燥し、請求項1記載のニロチニブHClを得ること、
を含む方法。
【請求項14】
請求項1記載のニロチニブHClを調製する方法であって、
ニロチニブHCl非晶形を、乾燥アセトン又は乾燥テトラヒドロフラン(THF)によりスラリー化し、
得られたスラリーを激しく攪拌し、
スラリーを乾燥し、請求項1記載のニロチニブHClを得ること、
を含む方法。
【請求項15】
請求項1記載のニロチニブHClとニロチニブHClフォームAとの混合物を調製する方法であって、
ニロチニブHCl非晶形を、乾燥酢酸イソプロピル又は乾燥酢酸エチルによりスラリー化し、
得られたスラリーを激しく攪拌し、
このスラリーを乾燥し、請求項1記載のニロチニブHCl及びニロチニブHClフォームAの混合物を得ること、
を含む方法。
【請求項16】
請求項1記載のニロチニブHClを調製する方法であって、
ニロチニブHClフォームAと請求項1記載のニロチニブHClとの混合物を、IPA又はアセトニトリルによりスラリー化し、請求項1記載のニロチニブHClを得ること、
を含む方法。
【請求項17】
結晶性ニロチニブHClであって、
約5.5、7.1、8.7、9.6及び10.9度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;
約5.5、7.2、8.7、9.6及び10.9度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;
実質的に図23に示される粉末X線回折像;並びに、
それらの組合せ、
からなる群から選択されるデータにより特徴づけられる、結晶性ニロチニブHCl。
【請求項18】
約5.5、7.1、8.7、9.6及び10.9度2θ±0.2度2θに、又は、約5.5、7.2、8.7、9.6及び10.9度2θ±0.2度2θに、ピークを有する粉末X線回折像により特徴づけられる、請求項17記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項19】
実質的に図23に示される粉末X線回折像により特徴づけられる、請求項17記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項20】
約14.4、17.0、19.2、21.9及び22.3度2θ±0.2度2θに、又は、約14.4、17.0、19.2、21.9及び22.4度2θ±0.2度2θに、ピークを有する粉末X線回折像により更に特徴づけられる、請求項18記載の結晶形。
【請求項21】
請求項17記載のニロチニブHClを調製する方法であって、
a)ニロチニブ基本フォームAを、無水エタノール及びHClと混合し、スラリーを得、
b)加熱し、
c)冷却し、請求項17記載のニロチニブHClを得ること、
を含む方法。
【請求項22】
請求項1記載のニロチニブHClを調製する方法であって、
請求項17記載のニロチニブHClを乾燥すること、
を含む方法。
【請求項23】
請求項17記載のニロチニブHClを調製する方法であって、
ニロチニブHClフォームAと請求項1記載のニロチニブHClとの混合物を、無水エタノール中、温度約55℃〜約78℃でスラリー化すること、
を含む方法。
【請求項24】
請求項17記載のニロチニブHClを調製する方法であって、
請求項1記載のニロチニブHClを無水エタノールと混合し、
加熱し、
冷却し、請求項17記載のニロチニブHClを得ること、
を含む方法。
【請求項25】
結晶性ニロチニブHClであって、
約5.5、7.2、9.2、9.6及び10.9度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;
実質的に図24に示される粉末X線回折像;並びに、
それらの組合せ、
からなる群から選択されるデータにより特徴づけられる、結晶性ニロチニブHCl。
【請求項26】
約5.5、7.2、9.2、9.6及び10.9度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像により特徴づけられる、請求項25記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項27】
実質的に図24に示される粉末X線回折像により特徴づけられる、請求項25記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項28】
約14.1、14.9、17.7、18.5及び19.3度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像により更に特徴づけられる、請求項26記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項29】
請求項25記載のニロチニブHClを調製する方法であって、
ニロチニブHClフォームBを、無水エタノール中、温度約20℃〜約30℃でスラリー化し、
温度約55℃〜約78℃まで加熱し、
冷却すること、
を含む方法。
【請求項30】
結晶性ニロチニブHClであって、
約7.4、8.9及び20.8度2θ±0.2度2θにピークを有するとともに、5.6、10.9、11.1、13.8、14.1、21.5、21.8及び22.4度2θ±0.2度2θからなる群から選択される2以上のピークを更に有する粉末X線回折像;
実質的に図1に示される粉末X線回折像;
約5.6、7.4、8.9、10.9及び20.8度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;
実質的に図2に示される粉末X線回折像;並びに、
それらの組合せ、
からなる群から選択されるデータにより特徴づけられる、結晶性ニロチニブHCl。
【請求項31】
約7.4、8.9及び20.8度2θ±0.2度2θにピークを有すると共に、5.6、10.9、11.1、13.8、14.1、21.5、21.8及び22.4度2θ±0.2度2θからなる群から選択される2以上のピークを更に有する粉末X線回折像により特徴づけられる、請求項30記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項32】
実質的に図1又は図2に示される粉末X線回折像により特徴づけられる、請求項30記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項33】
約5.6、7.4、8.9、10.9及び20.8度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像により特徴づけられる、請求項30記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項34】
約7.4、8.9、10.9、20.8及び21.5度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像により特徴づけられる、請求項31記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項35】
約7.4、8.9、11.1、13.8及び20.8度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像により特徴づけられる、請求項31記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項36】
約11.4、13.8、14.1、21.5及び21.8度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像により特徴づけられる、請求項33記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項37】
結晶形がDMSO溶媒和物である、請求項30記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項38】
請求項30記載のニロチニブHClを調製する方法であって、
ニロチニブHClフォームBをジメチルスルホキシド(「DMSO」)中でスラリー化すること、を含む方法。
【請求項39】
請求項1〜12、17〜20、25〜29、及び30〜37の何れか1項に記載のニロチニブHClの結晶形を、医薬として許容し得る少なくとも1種の賦形剤と共に含有する医薬組成物。
【請求項1】
結晶性ニロチニブHClであって、
約5.7、9.8、15.0、15.8及び17.3度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;
実質的に図19に示される粉末X線回折像;
実質的に図20に示される粉末X線回折像;
約113.1、133.1、160.9±0.2ppmにシグナルを有する固体13C NMRスペクトル;
最低化学シフトを示すシグナルと化学シフト範囲100〜180ppmの別のシグナルとの間に約9.2、29.2及び57.0±0.1ppmの化学シフト差を有する、固体13C NMRスペクトルであり、ここで化学シフト領域100〜180ppm中に最低化学シフトを示す該シグナルが、典型的には約103.9±1ppmであるもの;
図21に示される13C NMRスペクトル;
図22に示される13C NMRスペクトル;並びに
それらの組合せ
からなる群から選択されるデータにより特徴づけられる、結晶性ニロチニブHCl。
【請求項2】
約5.7、9.8、15.0、15.8及び17.3度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像により特徴づけられる、請求項1記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項3】
実質的に図19に示される粉末X線回折像により特徴づけられる、請求項1記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項4】
実質的に図20に示される粉末X線回折像により特徴づけられる、請求項1記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項5】
約113.1、133.1、160.9±0.2ppmにシグナルを有する固体13C NMRスペクトルにより特徴づけられる、請求項1記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項6】
最低化学シフトを示すシグナルと化学シフト範囲100〜180ppmの別のシグナルとの間に約9.2、29.2及び57.0±0.1ppmの化学シフト差を有する、固体13C NMRスペクトルであり、ここで化学シフト領域100〜180ppm中に最低化学シフトを示す該シグナルが、典型的には約103.9±1ppmであるものにより特徴づけられる、請求項1記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項7】
図21に示される13C NMRスペクトルにより特徴づけられる、請求項1記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項8】
図22に示される13C NMRスペクトルにより特徴づけられる、請求項1記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項9】
約7.5、11.4、18.6、19.6及び20.7度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像により更に特徴づけられる、請求項2記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項10】
約7.6、11.4、18.7、19.7及び20.7度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像により更に特徴づけられる、請求項2記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項11】
結晶形が無水物である、請求項1記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項12】
ニロチニブHClフォームAを約10重量/重量%未満有する、請求項1記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項13】
請求項1記載のニロチニブHClを調製する方法であって、
a)ニロチニブ基本フォームAを無水エタノール及びHClと混合してスラリーを得、
b)加熱し、
c)冷却し、
d)乾燥し、請求項1記載のニロチニブHClを得ること、
を含む方法。
【請求項14】
請求項1記載のニロチニブHClを調製する方法であって、
ニロチニブHCl非晶形を、乾燥アセトン又は乾燥テトラヒドロフラン(THF)によりスラリー化し、
得られたスラリーを激しく攪拌し、
スラリーを乾燥し、請求項1記載のニロチニブHClを得ること、
を含む方法。
【請求項15】
請求項1記載のニロチニブHClとニロチニブHClフォームAとの混合物を調製する方法であって、
ニロチニブHCl非晶形を、乾燥酢酸イソプロピル又は乾燥酢酸エチルによりスラリー化し、
得られたスラリーを激しく攪拌し、
このスラリーを乾燥し、請求項1記載のニロチニブHCl及びニロチニブHClフォームAの混合物を得ること、
を含む方法。
【請求項16】
請求項1記載のニロチニブHClを調製する方法であって、
ニロチニブHClフォームAと請求項1記載のニロチニブHClとの混合物を、IPA又はアセトニトリルによりスラリー化し、請求項1記載のニロチニブHClを得ること、
を含む方法。
【請求項17】
結晶性ニロチニブHClであって、
約5.5、7.1、8.7、9.6及び10.9度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;
約5.5、7.2、8.7、9.6及び10.9度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;
実質的に図23に示される粉末X線回折像;並びに、
それらの組合せ、
からなる群から選択されるデータにより特徴づけられる、結晶性ニロチニブHCl。
【請求項18】
約5.5、7.1、8.7、9.6及び10.9度2θ±0.2度2θに、又は、約5.5、7.2、8.7、9.6及び10.9度2θ±0.2度2θに、ピークを有する粉末X線回折像により特徴づけられる、請求項17記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項19】
実質的に図23に示される粉末X線回折像により特徴づけられる、請求項17記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項20】
約14.4、17.0、19.2、21.9及び22.3度2θ±0.2度2θに、又は、約14.4、17.0、19.2、21.9及び22.4度2θ±0.2度2θに、ピークを有する粉末X線回折像により更に特徴づけられる、請求項18記載の結晶形。
【請求項21】
請求項17記載のニロチニブHClを調製する方法であって、
a)ニロチニブ基本フォームAを、無水エタノール及びHClと混合し、スラリーを得、
b)加熱し、
c)冷却し、請求項17記載のニロチニブHClを得ること、
を含む方法。
【請求項22】
請求項1記載のニロチニブHClを調製する方法であって、
請求項17記載のニロチニブHClを乾燥すること、
を含む方法。
【請求項23】
請求項17記載のニロチニブHClを調製する方法であって、
ニロチニブHClフォームAと請求項1記載のニロチニブHClとの混合物を、無水エタノール中、温度約55℃〜約78℃でスラリー化すること、
を含む方法。
【請求項24】
請求項17記載のニロチニブHClを調製する方法であって、
請求項1記載のニロチニブHClを無水エタノールと混合し、
加熱し、
冷却し、請求項17記載のニロチニブHClを得ること、
を含む方法。
【請求項25】
結晶性ニロチニブHClであって、
約5.5、7.2、9.2、9.6及び10.9度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;
実質的に図24に示される粉末X線回折像;並びに、
それらの組合せ、
からなる群から選択されるデータにより特徴づけられる、結晶性ニロチニブHCl。
【請求項26】
約5.5、7.2、9.2、9.6及び10.9度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像により特徴づけられる、請求項25記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項27】
実質的に図24に示される粉末X線回折像により特徴づけられる、請求項25記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項28】
約14.1、14.9、17.7、18.5及び19.3度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像により更に特徴づけられる、請求項26記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項29】
請求項25記載のニロチニブHClを調製する方法であって、
ニロチニブHClフォームBを、無水エタノール中、温度約20℃〜約30℃でスラリー化し、
温度約55℃〜約78℃まで加熱し、
冷却すること、
を含む方法。
【請求項30】
結晶性ニロチニブHClであって、
約7.4、8.9及び20.8度2θ±0.2度2θにピークを有するとともに、5.6、10.9、11.1、13.8、14.1、21.5、21.8及び22.4度2θ±0.2度2θからなる群から選択される2以上のピークを更に有する粉末X線回折像;
実質的に図1に示される粉末X線回折像;
約5.6、7.4、8.9、10.9及び20.8度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像;
実質的に図2に示される粉末X線回折像;並びに、
それらの組合せ、
からなる群から選択されるデータにより特徴づけられる、結晶性ニロチニブHCl。
【請求項31】
約7.4、8.9及び20.8度2θ±0.2度2θにピークを有すると共に、5.6、10.9、11.1、13.8、14.1、21.5、21.8及び22.4度2θ±0.2度2θからなる群から選択される2以上のピークを更に有する粉末X線回折像により特徴づけられる、請求項30記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項32】
実質的に図1又は図2に示される粉末X線回折像により特徴づけられる、請求項30記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項33】
約5.6、7.4、8.9、10.9及び20.8度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像により特徴づけられる、請求項30記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項34】
約7.4、8.9、10.9、20.8及び21.5度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像により特徴づけられる、請求項31記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項35】
約7.4、8.9、11.1、13.8及び20.8度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像により特徴づけられる、請求項31記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項36】
約11.4、13.8、14.1、21.5及び21.8度2θ±0.2度2θにピークを有する粉末X線回折像により特徴づけられる、請求項33記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項37】
結晶形がDMSO溶媒和物である、請求項30記載の結晶性ニロチニブHCl。
【請求項38】
請求項30記載のニロチニブHClを調製する方法であって、
ニロチニブHClフォームBをジメチルスルホキシド(「DMSO」)中でスラリー化すること、を含む方法。
【請求項39】
請求項1〜12、17〜20、25〜29、及び30〜37の何れか1項に記載のニロチニブHClの結晶形を、医薬として許容し得る少なくとも1種の賦形剤と共に含有する医薬組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公表番号】特表2012−508178(P2012−508178A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−534915(P2011−534915)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際出願番号】PCT/US2009/063365
【国際公開番号】WO2010/054056
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際出願番号】PCT/US2009/063365
【国際公開番号】WO2010/054056
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】
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