説明

ヌートカトン、テトラヒドロヌートカトン、その前駆体および誘導体の効率的で経済的な不斉合成

ヌートカトン、テトラヒドロヌートカトン、およびそれらの誘導体の安価な立体選択性合成が、開示されている。合成に用いられる出発原料は安価である。主たる出発原料である(−)−β−ピネンは、GRAS(一般に安全と認められた)リストにあるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヌートカトン、その誘導体および前駆体の合成である。
【背景技術】
【0002】
ヌートカトンは、IUPAC命名法では4,4a,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−6−イソプロペニル−4,4a−ジメチル−2(3H)−ナフタロンとされ、その構造は図1の化合物9として示すものであり、ヒマラヤスギ、ベチベルソウ、および柑橘油をはじめとする特定の植物供給源に自然に生成する。ヌートカトンは、グレープフルーツの様な香気を有し、調味料または香料成分として商業利用されている。ヌートカトンは、ヒトおよび他のほ乳類に対して非毒性である。
【0003】
しかしヌートカトンは、シロアリ、アリ、ハエ、ダニ、ケラおよびゴキブリをはじめとする様々な節足動物、ならびに線虫をはじめとする他の特定の無脊椎動物に対しては忌避剤または毒素としての活性を有する。ヌートカトンは、環境にやさしい木材防腐剤としても作用する(特許文献1および2参照)。
【0004】
しかしヌートカトンは高価であり、そのことがこれらおよび他の目的でより広範にヌートカトンを使用する場合の障害となっている。ヌートカトン、テトラヒドロヌートカトン、および他のヌートカトン誘導体の効率的で経済的な合成、好ましくは製品が所望の生物活性を有するような立体選択性のある合成、好ましくは規制認可の負担を減らすための、GRAS(一般に安全と認められた)リストにある出発原料に基づいた合成には、不十分な要件がある。先行技術のヌートカトンの合成はいずれも、これらの基準の全てを満たしていない。今日市販されるヌートカトンのほとんどが、オレンジ油成分:バレンセンの半合成酸化により製造されている。バレンセンは、高価な出発原料である。
【0005】
非特許文献1は、化合物:α−ベチボンがヌートカトンの異性体とみなすべきで、イソヌートカトンと改名すべきであることを示唆している。ジエチルイソプロピリデンマロナートからのラセミ体α−ベチボン(またはイソヌートカトン)の多段階合成が、記載されている。
【0006】
非特許文献2は、β−ピネンからの2−メチル−4−イソプロピリデンシクロヘキサノンの多段階合成を開示している。トランス−3−ペンテン−2−オンによる2−メチル−4−イソプロピリデンシクロヘキサノンのロビンソン環化反応(Robinson annulation)でα−ベチボンを選択的に生成し、その後ヌートカトンに変換することができる。
【0007】
非特許文献3は、4β,4aβ−ジメチル−Δ6,7−オクタリン−1−オンエチレンアセタールからのラセミ体ヌートカトンおよびラセミ体バレンセンの多段階合成を開示している。
【0008】
非特許文献4は、4−イソプロピリデン−2−メチルシクロヘキサノンのキラルイミンの、フェニルクロトナートへの立体選択性マイケル付加(Michael addition)を含む(+)−(α)−ベチボンの多段階合成を開示している。
【0009】
非特許文献5は、β−ピネンの酸化により製造できる(+)−ノピノンからの、(+)−ヌートカトンの多段階合成を開示している。著者は、メタリルトリメチルシランのトラ
ンス−3−エチリデンノピノンへの共役付加という重要な工程を記載しており、トランス−3−エチリデンノピノンは、アセトアルデヒドとの交差濃縮(cross condensation)と、その後の酸処理により(+)−ノピノンから得た。生成した付加物から得たジオンをメチル化し、その後オゾン化し、塩化水素で処理してヌートカトン塩酸を製造した。塩化水素の部位選択的な脱塩化水素により、ヌートカトンを製造した。アリルトリメチルシランを用いた別の経路も記載されている。
【特許文献1】国際特許出願国際公開第01/28343号
【特許文献2】米国特許出願出願公開第2003−0073748号
【非特許文献1】J.マーシャル他著「ザ・トータル・シンセシス・オブ・ラセミック・イソヌートカトン(α−ベチボン)」ケミカル・コミュニケーションズ、p753〜754(1967年)(J.Marshall et al.,”The Total Synthesis of Racemic Isonootkatone(α−Vetivone),”Chem. Commun., pp.753−754(1967))
【非特許文献2】A.ファンデルゲン他著「ステレオセレクティブ・シンセシス・オブ・エレモフィラン・セスキテルペノイズ・フロム・β−ピネン」、Recueil Trav. Chim. Pay−Bas 90巻p1034〜1044(1971年)(A. van der Gen et al.,”Stereoselective synthesis of eremophilane sesquiterpenoids from β−pinene,” Recueil Trav. Chim. Plays−Bas, vol.90,pp.1034−1044(1971))
【非特許文献3】S.トリイ他著「ファンクショナリゼーション・オブ・トランス−デカリン V、ア・シンセシス・オブ・(±)−ヌートカトン・アンド・(±)−バレンセン・フロム・4β,4aβ−ジメチル−Δ6,7−オクタリン−1−オンエチレンアセタール」、ブラタン・オブ・ケミスカル・ソサイアティー・オブ・ジャパン、55巻p887〜890(1982年)(S. Torii et al.,”Functionalization of trans−decalin. V. A Synthesis of (±)−nootkatone and (±)−valencene from 4β,4aβ−dimethyl−Δ6,7−octalin−1−one ethylen acetal,”Bull.Chem. Soc. Jpn., vol. 55, pp887−890 (1982)
【非特許文献4】G.レビアル他著「エナンシオセレクティブ・シンセシス・オブ・(+)−α−ベチボン・スルー・ザ・マイケル・リアクション・オブ・キラル・アミンズ」、テトラヘドロン:アシンメトリー、11巻、p4975〜4983(2000年))(G.Revial et al.,”Enantioselective synthesis of (+)−α−vetivone through the Michael reaction of chiral amines,”Tetrahedron:Asymmetry, vol.11,pp.4975−4983(2000))
【非特許文献5】T.ヤナミ他著「シンセティック・スタディー・オブ・(+)−ヌートカトン・フロム・(−)−β−ピネン」、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー、45巻、p607〜612(1980年)(T. Yanami et al.,”Synthetic Study of (+)−Nootkatone from (−)−β−Pinene,”J. Organic Chem.vol.45、pp607−612(1980))
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ヌートカトンを合成するための先行技術の方法は、以下の欠点を1つ以上有する:合成に長時間かかる;合成に比較的高価な出発原料が必要である;収率が低い;合成によりラセミ混合物が生成する;または出発原料の1種以上がGRAS(一般に安全と認められた)リストにない。
【0011】
ヌートカトンおよび関連の化合物の立体選択的合成を、より安価な方法したいという希望はまだ叶えられていない。現在のヌートカトンが高値であることは、特定の使用分野、例えば調味料および香料では容認できるが、そのような目的でもヌートカトンのより安価な供給源が有ればなお望ましい。しかしヌートカトンおよび関連の化合物が高値であることにより、他の分野、例えばシロアリまたは他の有害生物への忌避剤または毒素としての商業利用が排除される。ヌートカトンおよび関連の化合物が現在よりもかなり安価に製造できれば、ヌートカトンおよびその誘導体をシロアリ、アリ、ハエ、ダニ、ケラおよびゴキブリをはじめとする様々な節足動物、ならびに線虫をはじめとする他の特定の無脊椎動物の忌避剤または毒素として使用することが商業的に可能になる。また、そのような化合物を木材を破壊する昆虫に対する木材防腐剤として私用することも商業的に可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
我々は、ヌートカトン、テトラヒドロヌートカトン、1,10−ジヒドロヌートカトン、11,12−ジヒドロヌートカトン、ならびに他のヌートカトン誘導体および前駆体の新規で安価な立体選択的合成を発見した。合成に用いられる出発原料は安価であり得る。主たる出発原料である(−)−β−ピネンは、GRAS(一般に安全と認められた)リストに載っている天然化合物である。合成は、ヌートカトンの先行技術の合成スキームよりも、短時間で安価であり、収率が有意に高い。
【0013】
我々の実験データから、図1に概説した合成スキームにより、ヌートカトンが唯一の生成物として得られることが示された。出発原料は、この単一の生成物に変換された。
ヌートカトン、テトラヒドロヌートカトン、1,10−ジヒドロヌートカトン、11,12−ジヒドロヌートカトン、および他のヌートカトン誘導体は、香料として、そしてシロアリ、アリ、ハエ、ダニ、ケラおよびゴキブリをはじめとする様々な節足動物、ならびに線虫をはじめとする他の特定の無脊椎動物の忌避剤または毒素として使用される。ヌートカトンは環境にやさしい木材防腐剤としても作用する。
【0014】
例えば、ヌートカトン、テトラヒドロヌートカトン、1,10−ジヒドロヌートカトン、11,12−ジヒドロヌートカトン、それらの各ケタール、および他のヌートカトン誘導体は、香料として使用してもよく、そしてシロアリ、アリ、ハエ、ダニ、ケラおよびゴキブリをはじめとする様々な節足動物、ならびに線虫をはじめとする他の特定の無脊椎動物の忌避剤または毒素としても使用してよい。我々の実験室で得られた最近の結果から、例えば、以下の化合物がイエシロアリの忌避性を呈することが示された:テトラヒドロヌートカトンのケタール、ヌートカトンのケタール、テトラヒドロヌートカトン、1,10−ジヒドロヌートカトン、11,12−ジヒドロヌートカトン、およびヌートカトン。簡潔に説明すると、未処理の砂と、異なる濃度の試験化合物で処理した砂の両方にシロアリを自由に接近させるという選択アッセイを利用した。忌避性は、様々な時間間隔で、処理した砂と未処理の砂のシロアリの数として測定した。各化合物すなわちテトラヒドロヌートカトンのケタール、ヌートカトンのケタール、テトラヒドロヌートカトン、1,10−ジヒドロヌートカトン、11,12−ジヒドロヌートカトン、およびヌートカトンで、イエシロアリへの高い忌避性が実証された(図示せず)。我々は、1,10−ジヒドロヌートカトンのケタールおよび11,12−ジヒドロヌートカトンのケタールも、イエシロアリへの高い忌避性を呈すると予測する。
【0015】
テトラヒドロヌートカトンのケタールおよびヌートカトンのケタールは、いずれも過去に報告されていない新規な組成物であると考えられる。1,10−ジヒドロヌートカトンのケタールおよび11,12−ジヒドロヌートカトンのケタールも、過去に報告されていない新規な組成物であると考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
実施例1
6,6−ジメチルビシクロ[3.3.1]ヘプタン−2−オン、ノピノン(化合物2):微粉砕したKMnO(2.8g、17.8mmol)、酸性アルミナ(ブロックマン活性(Brockmann Activity)1,11.2g、0.1098モル)および水(2.79g、0.1552モル)を5分間混合し、均質混合物を製造した。市販の(−)−β−ピネン(0.5g、0.582mL、3.67mmol)をジクロロメタン(DCM)(100mL)に溶解し、その溶液を丸底フラスコに入れた。連続して撹拌しながら、湿らせた過マンガン酸塩/アルミナ混合物をこの溶液に10分間かけて少量ずつ添加した。反応は室温で進行させ、反応の進行をTLC(90:10/へキサン:EtOAc)によりモニタリングした。出発原料をほぼ全て反応させた後、粗混合物をガラスろ過器でろ過し、残渣をDCMで洗浄した(50mLで2回)。過剰な溶媒をロータリーエバポレータで除去して、黄色油状物を残留させ、カラムクロマトグラフィー(90:10/へキサン:EtOAc)で更に精製して、無色の化合物2(0.48g、収率95%)を得た。
NMR:(250MHz,CDCl3)σ2.7−2.5(m,3H),2.42−2.29(m,1H)、2.27−2.2(m,1H)、2.13−1.87(m,2H)、1.61−1.57(d、J=9.46、1H)、1.33(s,3H)、0.86(s,3H)。13C NMR(62.5MHz、CDCl3)σ214.77、57.94、41.10、40.30、32.57、25.88、25.17、22.10、21.31。
【0017】
実施例2
(1R、5R)−6、6−ジメチル−3−(E)−エチリデンビシクロ[3.3.1]ヘプタン−2−オン(化合物3):一定添加漏斗および2個の入口弁を備えた清潔な三口ジャケット付き丸底フラスコに、電磁撹拌棒を入れた。その後、フラスコにアルゴンを充填した。化合物2(1g、1.0194mL、7.24mmol)およびKOH(0.4872g、8.7mmol)をアルゴン下、フラスコ内のエタノール(17.2mL)に溶解した。得られた溶液を5℃に冷却した。EtOH(4.3mL)中のアセトアルデヒド(0.609mL、0.4781g、10.9mmol)の溶液を更にアルゴン下のフラスコに30分間かけて添加した。混合物を5℃で15分間反応させた。EtOH(4.3mL)中のアセトアルデヒド(0.609mL)を更に4回に分けて15時間間隔で、5℃に保持した反応混合物に添加した。最後のアセトアルデヒドおよびEtOHを添加した後、更に6時間撹拌を続けた。その後、EtOH(5mL)中のp−トルエンスルホン酸一水和物(1.927g、10.1mmol)を混合物に添加し、得られた溶液を室温で3時間撹拌した。溶媒をロータリーエバポレータで除去し、その後、残った未処理の茶褐色残渣をエーテルに溶解した。そのエーテル溶液を一連の乾燥カラムに通し(90:10/へキサン:EtOAc溶媒を用いて)、その後、溶離した溶液をクーゲルロール装置(Kugelrohr apparatus)で蒸留して(85〜95℃、3mmHg)、化合物3(1g、収率84%)を無色液体として得た。H NMR:(250MHz、CDCl3)σ6.89−6.86(m,1H)、2.59−2.56(m,4H)、2.21(m,1H)、1.81−1.77(m,3H)、1.46(m,1H)、1.35(s,3H)、0.86(s,3H)。13C NMR(62.5MHz、CDCl3)σ202.48、134.76、134.00、55.5、40.5、38.98、27.9、27.8、26.2、21.6、13.7。
【0018】
別法として、この合成に基づくが、KOHの代わりにNaOHを用いてもよい。
実施例3
3−エチリデン−6、6−ジメチル−2(2−メチルアリル)−ビシクロ[3.1.1]ヘプタン−2−オール(化合物4a):新たに蒸留したテトラヒドロフラン(THF)(2.5mL)中のメタリルクロリド(0.692g、7.64mmol)の溶液を、THF(2.5mL)中の火炎乾燥したMg金属屑(0.28g、11.5mmol)の懸濁液に60℃
で30分間かけて添加した。得られたグリニャール溶液は、更に20分間加熱還流する際に黒っぽくなった。その後、その混合物を−42℃(ドライアイス/クロロベンゼン浴)に冷却し、THF(2.5mL)中のエノン:化合物3(0.4182g、2.6mmol)の溶液を滴下した。5分後に冷却浴を取外し、反応物を室温に上昇させながら1.5時間撹拌した。その後、混合物を氷冷0.1N HCl(50mL)にデカントして、エーテルで抽出した。ひとまとめにした有機画分を水およびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させてろ過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(90:10/へキサン:EtOAcを用いる)により、化合物4a(0.52g、収率92%)を無色液体として得た。
NMR:(250MHz、CDCl3)σ0.973(S、3H)、1.05−1.01(d、1H)、1.21(s,3H)、1.60−1.57(d of t、3H)、1.61(s,3H)、1.92(s,3H)、2.63−2.18(m,5H)、4、82−4.65(m,2H)、5.79−5.77(m,1H);13C NMR(62.5MHz、CDCl3)σ13.1、22.4、24.7、27.3、30.1、31.6、37.9、38.7、48.9、49.8、78.7、114.4、122.0、143.2、143.4。
【0019】
実施例4
2−アリル−3−エチリデン−6、6−ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン−2−オール(化合物4b):Mg金属屑(0.33g、13.7mmol)を清潔な乾燥丸底フラスコに入れ、真空下で火炎乾燥した。新たに蒸留したTHF(2.5mL)をフラスコに添加して、内容物を加熱還流した。混合物を40℃に冷却し、THF(2.5mL)中の塩化アリル(0.75mL、0.70g、9.1mmol)の溶液を30分間かけて滴下した。得られたグリニャール溶液を40℃で更に20分間保持した。その後、混合物を−42℃(ドライアイス/クロロベンゼン浴)に冷却し、THF(2.5mL)中のエノン:化合物3(0.5g、3mmol)の溶液を滴下した。5分後に冷却浴を取外し、反応物を室温に上昇させながら1.5時間撹拌した。その後、混合物を氷冷0.1N HCl(50mL)にデカントして、エーテルで抽出した。ひとまとめにした有機画分を水およびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させてろ過し、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(90:10/へキサン:EtOAcを用いる)により、化合物4b(0.62g、収率98%)を無色液体として得た。H NMR:(250MHz、CDCl3)σ0.976(S、3H)、1.03(s,1H)、1.19(s,3H)、1.58−1.61(d of t、3H)、1.82(s,1H)、1.92(s,1H)、1.95(s,1H)、2.27−2.67(m,5H)、4、97−5.07(m,2H)、5.79−5.83(m,5H);13C NMR(62.5MHz、CDCl3)σ13.1、22.4、27.2、29.3、31.5、38.1、38.8、46.7、49.1、78.3、117.7、122.1、134.8、142.9。
【0020】
実施例5および6
オキシコープ転位の一般的手順(化合物4aから化合物5a、または化合物4bから化合物5bへの変換):アルゴン雰囲気下で、油を含まない水素化カリウム:KH(4.1mmol)を、丸底フラスコに入れた。新たに蒸留したTHF(35mL)をフラスコにカニューレ挿入して、内容物を0℃で撹拌した。アルコール4aまたは4b(2.4mmol)をフラスコに添加し、その後直ちにTHF(2.4mmol)中の18−クラウン−6の溶液をカニューレ挿入により添加した。混合物を0℃で約6時間反応させた。その後、反応物をリン酸緩衝溶液(pH=7)で急冷して、内容物をエーテルで抽出した。ひとまとめにした有機層を水およびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させた。ろ過後に過剰の溶媒を真空除去し、それぞれ粗生成物5aまたは5bを得た。
【0021】
3−(1,3−ジメチルブタ−3−エニル)−6,6−ジメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン−2−オン(化合物5a):精製した化合物5a(0.49g、71%)を、
カラムクロマトグラフィー(90:10/へキサン:EtOAc溶媒を用いる)により得た。H NMR:(250MHz、CDCl3)σ0.79(s,3H)、0.93−0.90(d、3H)、1.32(s,3H)、1.73−1.68(sおよびq重複、5H)、2.12−1.95(m,3H)、2.42−2.25(m,1H)、2.47−2.43(m,1H)、2.57−2.50(m,2H)、2.65−2.60(m、−OH、1H)、4.76−4.71(d、2H);13C NMR(62.5MHz、CDCl3)σ15.3、21.2、21.8、25.8、26.8、27.6、40.6、43.2、43.5、44.9、57.9、111.9、144.0、215.9。
【0022】
6,6−ジメチル−3−(1−メチルブタ−3−エニル)−ビシクロ[3.1.1]ヘプタン−2−オン(化合物5b):精製した化合物5b(0.4g、81%)を、カラムクロマトグラフィー(90:10/へキサン:EtOAcを用いる)により得た。H NMR:(250MHz、CDCl3)σ0.70(s,3H)、0.87−0.84(d、3H)、1.22(s,3H)、1.65−1.61(d、2H)、2.09−1.96(m,3H)、2.38−2.19(m,3H)、2.49−2.44(t、1H)、2.73−2.61(m、−OH、1H)、4.99−4.90(m,2H)5.71−5.60(m,1H);13C NMR(62.5MHz、CDCl3)σ15.4、21.3、22.3、25.7、26.7、30.2、39.2、40.5、43.4、45.0、57.8、116.1、137.2、215.8。
【0023】
実施例7および8
メチル化の一般的手順(化合物5aから化合物6a、または化合物5bから化合物6bへの変換):ナトリウムアミド(3.64mmol、アッセイ90%)を、還流冷却器を取付けた丸底フラスコに入れ、排気し、その後、窒素を充填した。新たに蒸留したベンゼン(Na/ベンゾフェノンで乾燥)を装置にカニューレ挿入し、混合物を加熱マントルで加温した。その後、ケトン:化合物5aまたは5b(1.2mmol)を注入し、反応混合物を連続撹拌しながら5時間還流した。その後、反応物を45℃に冷却し(高温水浴による)、インドメタン(2.9mmol)(新たに蒸留し、ドリアライト(Drierite)で乾燥)を一部注入した。更なるインドメタン(1.57当量)を2.5時間後に注入し、溶液を45℃で更に15時間反応させた。その後、冷却した溶液に飽和水性NHClを添加して、生成物をエチルエーテルで抽出した。その後、有機層を水およびブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させた。過剰の溶媒を真空下で除去して、それぞれ粗生成物6aまたは6bを得た。
【0024】
別法として、この合成での溶媒として、ベンゼンの代わりにトルエンを用いてもよい。
3−(1,3−ジメチルブタ−3−エニル)−3,6,6−トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン−2−オン(化合物5a):精製した化合物6a(0.25g、78%)を、カラムクロマトグラフィー(90:10/へキサン:EtOAc溶媒を用いる)により得た。H NMR:(250MHz、CDCl3)σ0.89−0.87(sおよびd重複、6H)、1.31(s,3H)、1.33(s,3H)、1.70(s,3H)、1.80−1.73(m,2H)、2.13−1.89(m,3H)、2.30−2.22(q、1H)、2.49−2.36(m,1H)、2.60−2.56(t、1H)、3.12−3.01(br d、1H)、4.72−4.67(d、2H);13C NMR(62.5MHz、CDCl3)σ14.7、21.8、22.3、25.8、26.6、35.2、38.1、40.7、41.7、43.1、45.9、59.5、111.3、145.1、219.2。
【0025】
3,6,6−トリメチル−3−(1−メチルブタ−3−エニル)−ビシクロ[3.1.1]ヘプタン−2−オン(化合物6b):精製した化合物6b(0.19g、73%)を、カラムクロマトグラフィー(90:10/へキサン:EtOAc溶媒を用いる)により
得た。H NMR:(250MHz、CDCl3)σ0.79(s,3H)、0.87−0.84(d、3H)、1.26−1.23(d、6H)、1.72−1.58(m,2H)、1.95−1.79(m,3H)、2.23−2.19(m,1H)、2.39−2.31(m,1H)、2.54−2.49(t、1H)、3.18−3.04(m,1H)、4.99−4.87(m,2H)、5.82−5.62(m,1H);13C NMR(62.5MHz、CDCl3)σ14.7、22.6、25.8、26.1、26.5、35.4、36.9、40.4、41.6、43.0、45.9、59.5、115.1、138.7、219.3。
【0026】
実施例9および10
(1R,3S,5R)−3−[(1R)−1−メチル−3−オキソブチル]−3,6,6−トリメチルビシクロ[3.1.1]ヘプタン−2−オン(化合物7) 我々は、化合物7の合成を2種開発し、一方は化合物6aで出発し、他方は化合物6bで出発するものであった。
【0027】
(a)化合物6aからの出発:微粉砕したKMnO(400mg、2.5mmol)および酸性アルミナ(ブロックマン活性1、156.2g、15.3mmol)を水(0.4g、22mmol)中で5分間混合し、均質混合物を得た。末端オレフィン:化合物6a(120mg、0.512mmol)を丸底フラスコ内のDCM(20mL)に溶解した。連続して撹拌しながら、湿らせた過マンガン酸塩/アルミナ混合物をフラスコに10分間かけて少量ずつ添加した。混合物を室温で反応させ、反応の進行をTLC(90:10/へキサン:EtOAc溶媒)によりモニタリングした。出発原料をほぼ全て反応させた後、粗混合物をガラスろ過器でろ過し、残渣をDCMで洗浄した(50mLで2回)。過剰な溶媒をロータリーエバポレータで除去して、黄色油状物を残留させ、カラムクロマトグラフィー(90:10/へキサン:EtOAc)で更に精製して、無色の化合物7(0.11g、収率89%)を得た。H NMR:(250MHz、CDCl3)σ0.85−0.82(dおよびs重複、6H)、1.17(s,3H)、1.24(s,3H)、1.78−1.72(m,2H)、1.93−1.85(2br s,1H)、2.09−1.96(m,1H)、2.09(s,3H)、2.24−2.12(m,1H)、2.42−2.27(m,1H)、2.58−2.47(m,2H)、3.58−3.52(m,1H);13C NMR(62.5MHz、CDCl3)σ16.4、22.6、24.8、25.7、26.3、30.4、35.1、36.9、41.6、42.7、44.6、47.3、59.5、208.2、219.9。
【0028】
(b)化合物6bからの出発:末端オレフィン:化合物6b(220mg、1mmol)、酢酸水銀(320mg、1mmol)およびメタノール(2mL)を、窒素下、室温で15分間撹拌した。その後、メタノール(1mL)中のLiCl(9mg、0.21mmol)、PdCl(18mg、0.1mmol)およびCuCl(40mg、3mmol)の溶液を含む反応フラスコに、混合物をカニューレ挿入した。混合物を55℃で1時間反応させた。その後、水性NaHCOを混合物に添加して、生成物をエーテルで抽出した。有機層を水で洗浄し、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させてろ過し、ロータリーエバポレータで濃縮して、粗材料を得た。カラムクロマトグラフィー(90:10/へキサン:EtOAc溶媒を用いる)により、化合物7(0.16g、73%)を精製した形態で得た。H NMR:(250MHz、CDCl3)σ0.85−0.82(dおよびs重複、6H)、1.17(s,3H)、1.24(s,3H)、1.78−1.72(m,2H)、1.93−1.85(2br s,1H)、2.09−1.96(m,1H)、2.09(s,3H)、2.24−2.12(m,1H)、2.42−2.27(m,1H)、2.58−2.47(m,2H)、3.58−3.52(m,1H)。13C NMR(62.5MHz、CDC
3)σ16.4、22.6、24.8、25.7、26.3、30.4、35.1、3
6.9、41.6、42.7、44.6、47.3、59.5、208.2、219.9

【0029】
実施例11
(4R,4aS,6R)−4,4a,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−4,4a−ジメチル−6−(1−クロロ−1−メチルエチル)−2(3H)−ナフタレノン(化合物8):乾燥させた三口丸底フラスコに、多孔質のガス窯および2個の気流アダプタを取付けた。アルゴンの定常流の下で、氷酢酸(99.6%、アルドリッチ社(Aldrich))中の精製した化合物7の溶液を、このフラスコに充填した。溶液がHClで飽和するまで、室温で無水HClガス(レクチャーボトル、アルドリッチ社)を多孔質の窯を通してバブリングした。室温で21時間撹拌した後、混合物を氷に注ぎ、その後、ジクロロメタンで抽出した。有機層を水で洗浄し、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させてろ過し、ロータリーエバポレータで濃縮して、粗材料を油状形態で得た。ヘキサンで再結晶化させて、ヌートカトン塩酸:化合物8を無色針状物として得た。収率74%。H NMR:(250MHz、CDCl3)σ5.75(s,1H)、2.53−2.34(m,2H)、2.31−2.22(m,2H)、2.20−1.91(m,4H)、1.59(d、6H、CH、J=4.3Hz)、1.39−1.25(m,2H)、1.10(s,3H、CH)、1.00−0.97(d、3H、CH、J=6.76Hz);13C NMR(62.5MHz、CDCl3)σ199.7、170.1、124.9、74.1、45.8、42.4、40.8、40.5、39.5、32.3、30.9、30.5、28.5、17.3、15.3。
【0030】
実施例12
ヌートカトン(化合物9);酢酸ナトリウム三水和物(0.22g、1.6mmol)を、還流冷却器を取付けた一口丸底フラスコに添加した。氷酢酸(4mL)中のクロロエノン:化合物8(0.14g、0.54mmol)の溶液をフラスコに注入し、混合物を100℃に加熱して、その温度を2時間保持した。その後、反応混合物を室温に冷却し、低温水に注いで、クロロホルムで抽出した。その後、有機層を2%水性KOH、2N HCl、NaHCO、およびブラインで引き続き洗浄し、その後、MgSOで乾燥させた。過剰の溶媒をロータリーエバポレータで除去し、ヌートカトンを黄色油状物(93%)として得た。β−ピネンからヌートカトンへの全体的収率は、経路bを用いると23%、経路aを用いると25%であり、いずれも比較的高い全体的収率であった。オキシコープ反応およびメチル化はいずれも所望の鏡像生成物を与えるため、最終的なヌートカトン生成物の鏡像体純度は、β−ピネン出発製品のそれからほとんど変動しなかった。品質では、合成したヌートカトンの香気は、他の供給源に由来するヌートカトンの香気と同一であった。NMRデータは、ヌートカトンで過去に報告されたものと一致していた。H NMR:(250MHz、CDCl3)σ5.77(s,1H)、4.75−4.72(m,2H)、2.62−2.43(m,1H)、2.41−2.22(m,4H)、2.09−1.87(M、3H)、1.46−1.38(m,1H)、1.12−1.10(m,4H)、0.98(d、3H)。
【0031】
追加として、別の相間移動剤または金属キレート化剤、例えば第4級アンモニウム化合物(quats)、PEG[ポリ(エチレングリコール)]、またはトリス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アミンを、オキシコープ反応で18−クラウン−6の代わりに用いて、経費を削減してもよい。
【0032】
実施例13
別の実施形態では、オキシコープ転位およびメチル化を一段階で実施して、効率を更に改善させる。実施例は以下のとおりである:
3,6,6−トリメチル−3−(1−メチルブタ−3−エニル)−ビシクロ[3.3.1]ヘプタン−2−オン(化合物6b):50mL丸底フラスコ、還流冷却器、隔壁および
電磁撹拌棒を、ドライボックスに入れる。アルゴン雰囲気下で、油を含まないKH(0.058g、1.44mmol)をフラスコに添加する。装置を組立て、その後、ドライボックスから取出す。新たに蒸留したTHF(14mL)を注入し、装置をジャケット付きビーカに入れて氷で取囲み、陽圧のアルゴン下に置く。その後、還流冷却器を通して、ホモアリルアルコール:化合物4b(0.25g、1.2mmol)を注入する。その後、THF(7mL)中の18−クラウン−6(0.32g、1.2mmol)を、カニューレ挿入により直ちに添加する。混合物を0℃で約5時間反応させる。オキシコープ転位がほぼ完了した後、THF(5mL)中の火炎乾燥LiBr(0.172g、1.98mmol)を、反応混合物にカニューレ挿入する。10分後に、反応混合物を水浴で40℃に加温し、新たに蒸留した乾燥MeI(0.374mL、0.85g、6mmol)を注射器で注入する。反応混合物を45℃に加温し、その温度を17時間保持する。この期間中、MeI(0.18mL、3mmol)の更なる一部を反応混合物に2時間毎に添加する。17時間後に、得られた溶液を飽和水性NHCl溶液とエチルエーテルとに急速に分別する。ひとまとめにした有機層を水で洗浄し、ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させてろ過し、濃縮する。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(9:1/へキサン:EtOAc溶媒を用いて)で精製し、純粋な化合物6bを得る。
【0033】
実施例14
この合成で製造されたヌートカトンは、ヌートカトン誘導体を製造する際の中間体として用いてもよく、その一部は、シロアリおよび他の無脊椎有害生物の忌避にも活性を有する。例えばK.スティーブンス他著「オドール・キャラクター・アンド・スレショールド・バリューズ・オブ・ヌートカトン・アンド・リレイティッド・コンパウンズ」、ジャーナル・オブ・サイエンティフィック・フード・アグリカルチャー、21巻、p590〜593(1970年)(K. Stevens et al.、”Odour character and threshold values of nootkatone and related compounds,”J. Sci. Fd. Agric.、 vol.21、pp、590−593(1970)の方法に従い、ヌートカトンをイソヌートカトン、テトラヒドロヌートカトン、11,12−ジヒドロヌートカトン、または1,10−ジヒドロヌートカトンに変換してもよい。B.ズー他著「ストラクチャー−アクティビティー・オブ・バレンコイド・デリバティブズ・アンド・ゼア・リペレンス・トゥー・ザ・ホルモウサン・サブテラニーン・ターマイト」ジャーナル・オブ・ケミカル・エコロジー、29巻、p2695〜2701(2003年)(B. Zhu et al.、 ”Structure−activity of valencoid derivatives and their repellence to the Formosan subterranean termite、”J. Chem. Ecol.、 vol. 29、 pp.2695−2701(2003))に従い、ヌートカトンをヌートカトールに変換してもよい。
【0034】
実施例15
置換されたヌートカトンへの別の合成経路を、図2に示している。他に断りがなければ、図1の反応スキームに関してこれまで記載したものと同じ一般的手法で、反応を実施する。基:R〜Rは、例えば、−H、または置換もしくは非置換のアルキル基、例えばEt、Pr、i−Pr、Bu、s−Bu、i−Bu、t−Bu、
【0035】
【化1】

【0036】
または
【0037】
【化2】

【0038】
であり、同一でも異なっていてもよく、ここでR〜R、例えば、−H、またはC〜C置換もしくは非置換のアルキル基は同一でも異なっていてもよい。
図2の様々な反応工程の試薬および溶媒は、以下のとおりである:(a)KMnO、Al (b)R−CHO (c)CH2=C(CH2Cl)(CH2)、Mg
、THF (d)KH、18−クラウン−6、THF (e)NaNH、R−I、溶媒 (f)KMnO、Al (g)HCl (h)AcOH、NaOAc (i)H、Pd/C (j)Li(またはNa)、NH (l)EtOH(図3と同様)。
【0039】
実施例16
一般的水素化手順:溶媒中の基質の溶液に、遷移金属触媒を添加した。水素ガスの気流の下で、混合物を室温で撹拌した。その後、溶液をセライトケークでろ過して、過剰な溶媒をロータリーエバポレータで除去した。反応混合物から単離した生成物を、目的生成物の公知(市販)試料と比較して、Hおよび13C NMRで同一性を確認した。
【0040】
実施例17
11,12−ジヒドロヌートカトン ヌートカトン(1g、0.46mmol)とウィルキンソン触媒([クロロトリス(トリフェニルホスファン)ロジウム]、プレッシャー・ケミカル・カンパニー(Pressure Chemical Company)、ピッツバーグ)(0.686g、0.74mmol)との混合物を、オーブン乾燥した丸底フラスコに入れた。フラスコを真空下に置いて、アルゴンを充填した。乾燥ベンゼン(150mL)を注射器で添加した。その後、フラスコに水素ガスをフラッシュして、アルゴンを吹付けた。一定気流の水素の下、反応を室温で8時間進行させた。その後、混合物をアルミナカラムに通して、濃縮した。得られた生成物を、シリカゲルの分取薄層クロマトグラフィーにより、90:10 ヘキサン:EtOAc混合物で溶離して精製した(R 0.31)。溶媒を蒸発させて、11,12−ジヒドロヌートカトン(0.97g、収率96%)を無色液体として得た。H NMR:(250MHz、CDCl3)σ5.50(s,1H)、2.47−2.10(m,4H)、2.0−1.78(m,3H)、1.40(m,2H)、1.12−1.10(m,1H)、0.99(s,3H)、0.91−0.80(3d and m obscured、10H);13C NMR(62.5MHz、CD
Cl3)σ19.87、19.34、16.85、14.84。
【0041】
実施例18
1,10−ジヒドロヌートカトン 0.3N NaOH/エタノール中の(+)−ヌートカトンの溶液に、10%パラジウム−炭素を添加した。定常流の水素ガスの下、室温で混合物を撹拌した。その後、溶液をセライトケークでろ過して、過剰の溶媒をロータリーエバポレータにより除去した。反応混合物から単離した生成物は、市販の1,10−ジヒドロヌートカトン(アロモール社(Armor Inc.)、イスラエル)の試料とNMRスペクトルが一致していた。H NMR:(250MHz、CDCl3)σ4.69(m,2H)、2.23−2.15(m,5H)、1.82−1.72(m,2H)、1.71(s,3H)、1.69−1.12(m,6H)、0.94(s,3H)、0.91−0.88(d、3H、J=6.73Hz);13C NMR(62.5MHz、CDCl3)σ210.4、149.7、108.9、46.1、45.2、44.7、43.6、43.0、39.8、35.8、31.3、28.7、20.6、14.7、10.3。
【0042】
実施例19
テトラヒドロヌートカトン エタノール中の(+)−ヌートカトンの溶液に、5%パラジウム−炭素を添加した。定常流の水素ガスの下、室温で混合物を2時間撹拌した。その後、溶液をセライトケークでろ過して、過剰の溶媒をロータリーエバポレータにより除去した。反応混合物から単離した生成物は、市販のテトラヒドロヌートカトン(アロモール社、イスラエル)の試料とNMRスペクトルが一致していた。H NMR:(250MHz、d−トルエン)σ2.00−1.88(m,1H)、1.85−1.51(m,3H
)、1.42−1.31(m,2H)、1.25−0.72(m,6H)、0.71−0.60(2d、3H、各スペクトル)、0.5(d、3H、J=6.74Hz)、0.39(s,3H);13C NMR(62.5MHz、CDCl3)σ46.5、45.8、45.0、44.0、41.6、38.6、35.9、32.8、29.4、28.9、19.9、19.5、14.9、10.6。
【0043】
実施例20
テトラヒドロヌートカトン−別の合成 化合物8からテトラヒドロヌートカトンへの別の合成経路を、図3に示す。図に示した、エノンから対応する飽和ケトンへの変換は、プロトン供給源(例えば、液体アンモニア、エタノール、またはその両方)の存在下で、アルカリ金属(例えば、NaまたはLi)を用いて実施してもよい。一般的には、D.ケイン著「オーガニック・リアクションズ(ニューヨーク)」23巻、p1ff(1976年)(D. Caine、 Organic Rections (New York)、vol.23、pp.1ff(1976))およびW.アドコック他著、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー、47巻、p2951ff(1982年)(W. Adcock et al.、 J. Org. Chem.、 vol.47、pp2951ff(1982))を参照されたい。
【0044】
実施例21
ケタールまたは脱共役ケタールを製造するための一般的手順 ケタールまたは脱共役ケタールを、M.クラフト他著、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー、64巻、p2475−2485(1999年)(M. Krafft et al.、 J. Org. Chem.、vol.64、pp2475−2485(1999))およびJ
.バブラー他著、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー、43巻、p1821−1823(1978年)(J. Babler et al.、 J. Org. Chem. vol.43、pp.1821−1823(1978))に記載された手順に概ね従って製造した。ベンゼン中のケトンの溶液に、エチレングリコール(3.5当量)およびp−トルエンスルホン酸一水和物(0.02当量)(強酸)を添加した。内容物を
加熱して、ディーンスターク・トラップ(Dean−Stark Trap)により水および過剰のエチレングリコールを連続して共沸除去した。理論的に予測される量の水が回収されたら、冷却された混合物をエーテルで希釈し、ブラインおよび飽和水性NaHCOで洗浄して、NaSOで乾燥させて濃縮した。
【0045】
【化3】

【0046】
実施例22
テトラヒドロヌートカトンのケタール(化合物11) ケタールを製造するための実施例21の一般的手順に従い、テトラヒドロヌートカトンを化合物11に穏やかに変換し、無色油状物(98%)として単離した。融点37〜39℃。H NMR:(250MHz
、CDCl3)σ3.93(s,4H、−OCH2CH2O−)、1.74−1.61(m
,2H)、1.58−1.44(m,2H)、1.42−1.19(m,7H)、0.85(d、3H、J=6.64Hz)、0.84(d、3H、J=6.64Hz)、0.80(d、3H、J=6.24Hz)、0.69(s,3H);13C NMR(62.5MHz、C
DCl3)σ109.2、64.1、64.0、43.0、41.7、40.7、39.
8、38.7、38.0、35.9、33.0、29.5、28.6、19.9、19.5、15.7、10.3;IR(薄膜,v cm-1)2935、2873、1717、1455、1111、1073;HRMS(EI)m/z266.2209(M+●、C17302で計算すると266.2240)。これは、化合物11:テトラヒドロヌートカ
トンのケタールの最初の報告であると考えられる。
【0047】
【化4】

【0048】
実施例23
(+)−ヌートカトンの脱共役ケタール(化合物12)
脱共役ケタールを製造するための実施例21の一般的手順に従い、(+)−ヌートカトンを化合物12に変換し、濃厚な黄色油状物(99%)として単離した。H NMR:(250MHz、CDCl3)σ5.50−5.28(m.1H、−C=CHC−)、4.71(m,2H、C=CH2)、3.94(m,4H、−OCH2CH2O−)、2.50−
2.34(m,1H)、2.25−1.75(m,3H)、1.73(s,3H)、1.68−1.50(m,4H)、1.32−1.12(m,2H)、0.98(s,3H)、0.88(d、3H、J=6.28Hz);13C NMR(62.5MHz、CDCl3)σ150.1、140.5、122.0、108.9、108.6、64.4、64.2、42.4、41.6、40.3、39.6、37.8、31.1、20.7、17.3、15.1;IR(薄膜,v cm-1)2968、2877、1674、1149、1092;HRMS(EI)m/z262.1935(M+●、C1726で計算すると262.1927)。C17262で計算した元素分析:C、77.82;H、9.99
;実測値:C、77.58;H、9.90.これは、化合物12:ヌートカトンの脱共役ケタールの最初の報告であると考えられる。
【0049】
実施例24
11,12−ジヒドロヌートカトンの脱共役ケタール
ケタールを製造するための実施例21の一般的手順に従い、11,12−ジヒドロヌートカトンを脱共役ケタール:化合物13に変換した。これは、11,12−ジヒドロヌートカトンのケタールの最初の報告であると考えられる。この化合物は、シロアリに対して忌避性を呈すると予測される。実施例21の一般的手順に従い、11,12−ジヒドロヌートカトンを化合物13に穏やかに変換し、無色油状物として純粋な形態で単離した(77.2%)。H NMR:(250MHz、CDCl3)σ5.39−5.28(m,1H、−C=CH−)、3.92−3.84(m,4H、−OCH2CH2O−)、2.45−2.31(m,1H)、2.19−2.08(m,1H)、1.95−1.80(m,1H)、1.81−1.6(m,2H)、1.56−1.50(m,2H)、1.49−1.33(m,2H)、0.97−0.78(m,14H);13C NMR(62.5MHz
、CDCl3)σ140.51、122.38、108.97、64.33、63.95
、41.50.40.82、40.32、39.59、37、50、36.25、32.27、29.09、19.90、19.23、17.19、15.10;IR(薄膜,v
cm-1)2970、1661、1160、1105、950;MS(m/z)264。
【0050】
実施例25
1,10−ジヒドロヌートカトンのケタール
ケタールを製造するための実施例21の一般的手順に従い、1,10−ジヒドロヌートカトンをケタールに変換する。これは、1,10−ジヒドロヌートカトンのケタールの最初の報告であると考えられる。この化合物は、シロアリに対して忌避性を呈すると予測される。
【0051】
実施例26
本発明の一つの実施形態は、
【0052】
【化5】

【0053】

【0054】
【化6】

【0055】
および金属と反応させて、
【0056】
【化7】

【0057】
(式中、Xはハロゲン原子であり、Rは水素原子またはメチルである)を製造することからなる方法である。例えば金属はMgであってもよく、XはClであってもよい。この合成の出発原料の一つは、任意に、β−ピネンを酸化してノピノンを製造し、そのノピノンをアセトアルデヒドおよび塩基と反応させて
【0058】
【化8】

【0059】
を製造することにより、製造され得る。
実施例27
別の実施形態において、実施例26の生成物
【0060】
【化9】

【0061】
をオキシコープ転位に供して、
【0062】
【化10】

【0063】
を製造する。
例えばオキシコープ転位は、加熱により、塩基および金属キレート化剤の存在により、または遷移金属触媒の存在により促進してもよい。オキシコープ転位は水素化カリウムおよび18−クラウン−6の存在下で、または白金もしくはパラジウム触媒の存在下で促進され得る。
【0064】
実施例28
別の実施形態において、実施例27の生成物:
【0065】
【化11】

【0066】
をハロゲン化メチルおよび塩基と反応させて、
【0067】
【化12】

【0068】
を製造し、それを酸化して
【0069】
【化13】

【0070】
を製造し、塩酸とも反応させて、
【0071】
【化14】

【0072】
を製造し、続いて脱ハロゲン化水素してヌートカトンを製造する。
実施例29
本発明の別の実施形態は、
【0073】
【化15】

【0074】

【0075】
【化16】

【0076】
または
【0077】
【化17】

【0078】
および金属と反応させて、
【0079】
【化18】

【0080】
または
【0081】
【化19】

【0082】
(式中、Xはハロゲンであり、RおよびRは水素、およびC〜C10置換または非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、またはアリールからなる群から選択され、RおよびRは同一または異なっていてもよい)を製造することを含む。例えば、金属は
Mgであってもよく、XはClであってもよく、RはCHであり、RはHであってもよい。この合成の出発原料の一種は、任意に、β−ピネンを酸化してノピノンを製造し、そのノピノンをアルデヒド、RCHOおよび塩基と反応させて、
【0083】
【化20】

【0084】
を製造することにより製造してもよい。
実施例30
別の実施形態において、実施例29の生成物:
【0085】
【化21】

【0086】
または
【0087】
【化22】

【0088】
をオキシコープ転位に供して、
【0089】
【化23】

【0090】
または
【0091】
【化24】

【0092】
(RおよびRは、H、およびC〜C置換または非置換のアルキル基からなる群から選択され、RおよびRは同一または異なっていてもよい)を製造する。オキシコープ転位は、例えば、加熱により、塩基および金属キレート化剤の存在により、または遷移金属触媒の存在により促進してもよい。オキシコープ転位は水素化カリウムおよび18−クラウン−6の存在により、または白金もしくはパラジウム触媒の存在により促進され得る。
【0093】
実施例31
別の実施形態において、実施例30の生成物:
【0094】
【化25】

【0095】
をハロゲン化アルキルおよび塩基と反応させて、
【0096】
【化26】

【0097】
を製造し、それを酸化して
【0098】
【化27】

【0099】
を製造し、それを酸と反応させて
【0100】
【化28】

【0101】
を製造し、それをMgと反応させ、続いてハロゲン化アルキルまたはプロトン供給源と反応させて、
【0102】
【化29】

【0103】
(式中、R、R、RおよびRは、H、およびC〜C置換または非置換のアルキル基からなる群から選択され、R、R、RおよびRは同一または異なっていてもよい)を製造する。
【0104】
実施例32
本発明の別の実施形態は、プロトン供給源の存在下で
【0105】
【化30】

【0106】
(式中、R、RおよびRは、H、およびC〜C置換または非置換のアルキル基からなる群から選択され、R、RおよびRは同一または異なっていてもよい)をアルカリ金属と反応させて、テトラヒドロヌートカトンまたは置換されたテトラヒドロヌートカトンを製造することを含む。例えば、アルカリ金属はナトリウムまたはリチウムであってもよく、前記プロトン供給源は液体アンモニアを含んでいてもよい。
【0107】
実施例33
本発明の別の実施形態は、
【0108】
【化31】

【0109】

【0110】
【化32】

【0111】
(式中、RおよびRは、H、およびC〜C置換または非置換のアルキル、アリール、ヒドロキシまたはアルコキシ基からなる群から選択され、RおよびRは同一または異なっていてもよく、RおよびRは、分離した基であっても、またはRおよびRが単一の環状基の一部を形成していてもよい)に変換することを含み、
(a)RおよびRがいずれもアルコキシ基である場合、前記方法は、酸の存在下で
【0112】
【化33】

【0113】
をアルコールもしくはジオールと反応させ、
【0114】
【化34】

【0115】
がケタールとなることを含む、または
(b)RがH、アルキル基もしくはアリール基であり、Rがヒドロキシもしくはアルコキシ基である場合、前記方法は、
【0116】
【化35】

【0117】
をヒドリド還元剤もしくは有機金属試薬と反応させ、続いてハロゲン化アルキルもしくはプロトン供給源と反応させ、
【0118】
【化36】

【0119】
がアルコールもしくはエーテルとなることを含む。例えば、RおよびRが単一の環状基:−O−CH2−CH2−O−の一部を任意に形成してもよく、前記方法は、
【0120】
【化37】

【0121】
をエチレングリコールおよび酸と反応させることを含む。
本明細書に引用された参考全ての完全な開示は、本明細書に参考として援用される。しかし、その他の和解し得ない対立の場合は、本明細書が管理するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明による合成スキームの実施形態を示す。
【図2】本発明による合成スキームの別の実施形態を示す。
【図3】化合物8からテトラヒドロヌートカトンへの別の合成経路を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
【化1】


【化2】

および金属と反応させて、
【化3】

(式中、Xはハロゲン原子であり、Rは水素原子またはメチルである)を製造することからなる方法。
【請求項2】
前記金属がMgであり、XがClである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
【化4】

をオキシコープ転位に供して、
【化5】

を製造する工程を更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記金属がMgであり、XがClである請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記オキシコープ転位が加熱により、塩基および金属キレート化剤の存在により、または遷移金属触媒の存在により促進される請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記オキシコープ転位が水素化カリウムおよび18−クラウン−6の存在により促進される請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記オキシコープ転位が白金またはパラジウム触媒の存在により促進される請求項3に記載の方法。
【請求項8】
β−ピネンを酸化してノピネンを製造する工程と、前記ノピネンをアセトアルデヒドおよび塩基と反応させて
【化6】

を製造する工程とを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
【化7】

をハロゲン化金属および塩基と反応させて
【化8】

を製造する工程と、
【化9】

を酸化して
【化10】

を製造する工程と、
【化11】

を塩酸と反応させて
【化12】

を製造する工程と、
【化13】

を脱ハロゲン化水素してヌートカトンを製造する工程とを更に含む請求項3に記載の方法。
【請求項10】
β−ピネンを酸化してノピネンを製造する工程と、前記ノピネンをアセトアルデヒドおよび塩基と反応させて
【化14】

を製造する工程とを更に含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記金属がMgであり、XがClである請求項10に記載の方法。
【請求項12】
強酸の存在下でヌートカトンをエチレングリコールと反応させて、ヌートカトンのケタールを製造する工程を更に含む請求項9に記載の方法。
【請求項13】
ヌートカトンのケタールを含む組成物。
【請求項14】
プロトン供給源の存在下で
【化15】

をアルカリ金属と反応させることにより、テトラヒドロヌートカトンを製造することからなる方法。
【請求項15】
前記アルカリ金属がナトリウムまたはリチウムを含み、前記プロトン供給源が液体アンモニアを含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
強酸の存在下でテトラヒドロヌートカトンをエチレングリコールと反応させて、テトラヒドロヌートカトンのケタールを製造する工程を更に含む請求項14に記載の方法。
【請求項17】
テトラヒドロヌートカトンのケタールを含む組成物。
【請求項18】
遷移金属触媒の存在下で水素ガスと反応させて前記ヌートカトンを還元し、テトラヒドロヌートカトン、1,10−ジヒドロヌートカトン、および11,12−ジヒドロヌートカトンからなる群から選択される生成物を1種以上製造する工程を更に含む請求項9に記載の方法。
【請求項19】
前記触媒がパラジウムを含み、前記主たる還元生成物がテトラヒドロヌートカトンである請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記触媒がパラジウムを含み、前記還元反応が塩基性条件下で実施され、前記主たる還元生成物が1,10−ジヒドロヌートカトンである請求項18に記載の方法。
【請求項21】
強酸の存在下で1,10−ジヒドロヌートカトンをエチレングリコールと反応させて1,10−ジヒドロヌートカトンのケタールを製造する工程を更に含む請求項20に記載の方法。
【請求項22】
1,10−ジヒドロヌートカトンのケタールを含む組成物。
【請求項23】
前記触媒がロジウムを含み、前記主たる還元生成物が11,12−ジヒドロヌートカトンである請求項18に記載の方法。
【請求項24】
強酸の存在下で11,12−ジヒドロヌートカトンをエチレングリコールと反応させて、11,12−ジヒドロヌートカトンのケタールを製造する工程を更に含む請求項20に記載の方法。
【請求項25】
11,12−ジヒドロヌートカトンのケタールを含む組成物。
【請求項26】
【化16】


【化17】

または
【化18】

および金属と反応させて、
【化19】

または
【化20】

(式中、Xはハロゲン原子であり、RおよびRは水素、およびC〜C10置換または非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、またはアリールからなる群から選択され、RおよびRは同一または異なっていてもよい)を製造することからなる方法。
【請求項27】
前記金属がMgであり、XがClであり、RがCHであり、RがHである請求項26に記載の方法。
【請求項28】
【化21】

または
【化22】

をオキシコープ転位に供して、
【化23】

または
【化24】

(RおよびRは、H、およびC〜C置換または非置換のアルキル基からなる群から選択され、RおよびRは同一または異なっていてもよい)を製造する工程を更に含む請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記金属がMgであり、XがClであり、RがCHであり、RがHである請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記オキシコープ転位が加熱により、塩基および金属キレート化剤の存在により、または遷移金属触媒の存在により促進される請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記オキシコープ転位が水素化カリウムおよび18−クラウン−6の存在により促進される請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記オキシコープ転位が白金またはパラジウム触媒の存在により促進される請求項28に記載の方法。
【請求項33】
β−ピネンを酸化してノピネンを製造する工程と、前記ノピネンをアセトアルデヒド:RCHOおよび塩基と反応させて
【化25】

を製造する工程とを更に含む請求項26に記載の方法。
【請求項34】
【化26】

をハロゲン化アルキルおよび塩基と反応させて
【化27】

を製造する工程と、
【化28】

を酸化して
【化29】

を製造する工程と、
【化30】

を酸と反応させて
【化31】

を製造する工程と、
【化32】

をMgと反応させ、続いてハロゲン化アルキルまたはプロトン供給源と反応させて、
【化33】

(式中、R、R、RおよびRは、H、およびC〜C置換または非置換のアルキル基からなる群から選択され、R、R、RおよびRは同一または異なっていてもよい)を製造する工程とを更に含む請求項26に記載の方法。
【請求項35】
およびRがいずれもCHであり、RおよびRがいずれもHであり、テトラヒドロヌートカトンが製造される請求項34に記載の方法。
【請求項36】
β−ピネンを酸化してノピネンを製造する工程と、前記ノピネンをアセトアルデヒド、RCHOおよび塩基と反応させて
【化34】

を製造する工程と、金属の存在下で
【化35】

をハロゲン化アリルと反応させ、続いてオキシコープ転位により
【化36】

を製造する工程と、
【化37】

をハロゲン化アルキルおよび塩基と反応させて
【化38】

を製造する工程と、
【化39】

を酸化して
【化40】

を製造する工程と、
【化41】

を塩酸と反応させて
【化42】

を製造する工程と、
【化43】

をMgと反応させ、続いてハロゲン化アルキルまたはプロトン供給源と反応させて
【化44】

(式中、R、R、RおよびRは、H、およびC〜C置換または非置換のアルキル基からなる群から選択され、R、R、RおよびRは同一または異なっていてもよい)を製造する工程とを更に含む請求項35に記載の方法。
【請求項37】
プロトン供給源の存在下で
【化45】

(式中、R、RおよびRは、H、およびC〜C置換または非置換のアルキル基からなる群から選択され、R、RおよびRは同一または異なっていてもよい)をアルカリ金属と反応させて、テトラヒドロヌートカトンまたは置換されたテトラヒドロヌートカトンを製造することからなる方法。
【請求項38】
前記アルカリ金属がナトリウムまたはリチウムであり、前記プロトン供給源が液体アンモニアを含む請求項37に記載の方法。
【請求項39】
【化46】


【化47】

(式中、RおよびRは、H、およびC〜C10置換または非置換のアルキル、アリール、ヒドロキシまたはアルコキシ基からなる群から選択され、RおよびRは同一または異なっていてもよく、そしてRおよびRは分離した基であっても、またはRおよびRが単一の環状基の一部を形成していてもよい)に変換する方法であって、
(a)RおよびRがいずれもアルコキシ基である場合、前記方法が、酸の存在下で
【化48】

をアルコールもしくはジオールと反応させることにより、
【化49】

がケタールとなることからなる方法、または
(b)RがH、アルキル基、もしくはアリール基であり、Rがヒドロキシもしくはアルコキシ基である場合、前記方法が、
【化50】

をヒドリド還元剤もしくは有機金属試薬と反応させ、続いてハロゲン化アルキルもしくはプロトン供給源と反応させることにより、
【化51】

がアルコールもしくはエーテルとなることからなる方法。
【請求項40】
およびRが単一の環状基:−O−CH2−CH2−O−の一部を形成する請求項39に記載の方法であって、前記方法が、
【化52】

をエチレングリコールおよび酸と反応させることからなる方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−538363(P2008−538363A)
【公表日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−506648(P2008−506648)
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/013710
【国際公開番号】WO2006/113285
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(500090028)ボード オブ スーパーバイザーズ オブ ルイジアナ ステイト ユニバーシティー アンド アグリカルチュラル アンド メカニカル カレッジ (2)
【氏名又は名称原語表記】Board of Supervisors of Louisiana State University and Agricultural and Mechanical College
【Fターム(参考)】