説明

ネイルプリント装置および印刷制御方法

【課題】使用者の爪部の外形形状に合うばかりでなく、立体感があり、長持ちするネイルプリントを、ユーザの要望に応じて簡易・迅速に楽しむことのできるネイルプリント装置および印刷制御方法を提供する。
【解決手段】指Uを撮影して指爪画像を取得し、この指爪画像から爪領域を抽出する。そして、指爪画像から抽出された爪領域と対応する使用者の爪部T上に、光により硬化する光硬化型のコーティングインクを用いて印刷を施したあと、光照射部49からコーティングインクに対して光を照射することにより当該コーティングインクを硬化させて、光硬化樹脂層91を形成し、更に、その上面に、基本色インクを用いて印刷を施し、ネイルデザイン画像のインク層92を形成し、これにより、使用者の爪部Tの外形形状に合い、かつ、光硬化樹脂層91による立体感があり、長持ちするネイルアートを充分に楽しむことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネイルプリント装置および印刷制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、人の指の爪部にネイルデザインを印刷するネイルプリント装置が知られている。このような装置を用いれば、ネイルサロン等を利用することなく、簡易にネイルプリントを楽しむことができる。
しかし、絵柄等のネイルデザインを印刷しただけでは、爪部が衣服その他の物と擦れ合う等により印刷されたネイルデザインが薄くなったり消えてしまうことがある。
そこで、従来は、ネイルプリントを長く美しい状態に保つために、ネイルプリント装置で印刷した後、ユーザ等が印刷が施された爪部上にジェル状のコーティング剤を塗布することが行われている。
【0003】
しかし、コーティング剤として水性又は油性溶剤を含むものを使用した場合には、爪部に塗布した後、溶剤を揮発させて塗膜を硬化させる必要があるため、溶剤の揮発に時間を要し、その間は手指を使用することができず、不便である。
【0004】
そこで、紫外線硬化型樹脂及び光重合開始剤を含む人工爪形成用組成物を刷毛等により自爪に塗布し、これに紫外線を照射して、爪部に塗布された人工爪形成用組成物を硬化させることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
紫外線硬化型樹脂は紫外線を照射することで直ちに硬化するため、水性又は油性溶剤を含む従来のコーティング剤の場合と比較して、作業時間が短くて済み、すぐに手指を使うことができるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−105967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、爪部に自分でコーティング剤を塗布することは大変手間のかかる作業である。また、爪部全体にコーティング剤を均一に塗布することは難しく、特に利き手の爪部に塗布することは難しい。このため、すべての爪部を綺麗に仕上げることは困難であるという問題がある。
【0007】
また、ユーザとしては、パーティーの際等、短時間だけ手軽にネイルプリントを楽しみたいという要望や、服装や気分に合わせて手軽にネイルデザインを変えておしゃれを楽しみたいという要望もある。
この点、従来のネイルプリント装置のように、爪に直接印刷することしかできない場合には、一旦印刷した後は、除光液等を用いて印刷されているネイルデザインを消さなければならず、手間がかかる。このため、日常生活の中で気軽にネイルプリントを楽しむことが難しい。さらに、爪部への印刷と除光液等による印刷の除去とを短期間で繰り返すと、爪部を含めた手指の荒れの原因となるおそれもある。
【0008】
そこで、ネイルチップに所望のデザインを施して自分の爪部に貼着することも考えられる。しかし、既成のネイルチップはユーザの爪部の大きさや形状に完全に合致するものではないため、貼着後に縁を削る等により形状等を調整する必要がある。また、所望のネイルデザインをユーザ自身がネイルチップに施すことは非常に手間がかかり、イメージ通りに仕上げることが困難であるとの問題もある。
【0009】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、使用者の爪部の外形形状に合うばかりでなく、立体感があり、かつ、長持ちするネイルプリントを、ユーザの要望に応じて簡易・迅速に楽しむことのできるネイルプリント装置および印刷制御方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するために、本発明に係るネイルプリント装置は、
爪部を含む指を撮影して指爪画像を取得する指爪画像取得手段と、
前記指爪画像取得手段により取得された前記指爪画像から前記爪部に対応する爪領域を抽出する爪領域抽出手段と、
基本色インクを印刷する一方で、光により硬化する光硬化型のコーティングインクを印刷するための印刷手段と、
この印刷手段により印刷された前記コーティングインクに対して当該コーティングインクを硬化させるための光を照射する光照射手段と、
前記基本色インクと前記コーティングインクとを用いて、前記爪領域抽出手段によって抽出された前記爪領域と対応する使用者の爪部又はこの爪部に貼付されるネイルチップを生成するためのネイルチップシートに対して印刷を施すように、前記印刷手段を制御する印刷制御手段と、
を備えていることを特徴としている。
【0011】
また、本発明に係る印刷制御方法は、
印刷手段を備えるネイルプリント装置に用いられる印刷制御方法であって、
爪部を含む指を撮影して指爪画像を取得する指爪画像取得ステップと、
前記指爪画像取得ステップにおいて取得された前記指爪画像から前記爪部に対応する爪領域を抽出する爪領域抽出ステップと、
前記爪領域抽出ステップにおいて抽出された前記爪領域と対応する使用者の爪部又はこの爪部に貼付されるネイルチップを生成するためのネイルチップシートに対して、基本色インクと光により硬化する光硬化型のコーティングインクとを用いて印刷を施すように、前記印刷手段を制御する印刷制御ステップと、
前記印刷制御ステップにおいて印刷された前記コーティングインクに対して当該コーティングインクを硬化させるための光を照射する光照射ステップと、
を含んでいることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、指爪画像から抽出された爪領域と対応する使用者の爪部又はこの爪部に貼付されるネイルチップを生成するためのネイルチップシートに対して、基本色インクと光により硬化する光硬化型のコーティングインクとを用いて印刷を施し、コーティングインクに対して光を照射することにより当該コーティングインクを硬化させることができる。
このため、ユーザが自分で作業することなく、使用者の爪部の外形形状に合った光硬化型のコーティングインクを使用者の爪部上に塗布することができるばかりでなく、立体感があり、かつ、長く美しい仕上がりを維持することのできるネイルプリントを、簡易・迅速に実現することができる。
また、爪部に直接印刷できる他、ネイルチップを生成することも可能であるため、ユーザのニーズに応じて、使用者の爪部の外形形状に合ったネイルチップを作成することができるばかりでなく、立体感があり、かつ、美しい仕上がりを長く維持することのできるネイルプリントを手軽に楽しむことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係るネイルプリント装置を概念的に示した斜視図で、蓋体を開いた状態を示している。
【図2】図1のネイルプリント装置の装置本体を概念的に示した斜視図である。
【図3】図2における装置本体を正面側から見た場合の断面図である。
【図4】図2における装置本体を右側から右側面側から見た場合の断面図である。
【図5】(A)は、4本指用の指保持部材の側断面図であり、(B)は、4本指用の指保持部材の正面図であり、(C)は、親指用の指保持部材の側断面図であり、(D)は、親指用の指保持部材の正面図である。
【図6】4本指用の指保持部材を裏返した状態の側断面図である。
【図7】台紙に装着されたネイルチップシートを示す平面図である。
【図8】ネイルチップシートを示す斜視図である。
【図9】図8のネイルチップシートに爪部の輪郭とネイルデザインを印刷した状態を表側から見た平面図である。
【図10】副キャリッジに搭載された印刷ヘッドと光照射部を概念的に示した正面図である。
【図11】図10に示す副キャリッジに搭載された印刷ヘッドと光照射部の側面図である。
【図12】図1のネイルプリント装置の制御構成を示したブロック図である。
【図13】ネイルチップの印刷制御処理のフローチャートである。
【図14】本実施形態における爪印刷モードによる印刷処理を示すフローチャートである。
【図15】本実施形態におけるネイルチップ印刷モードによる印刷処理を示すフローチャートである。
【図16】図1のネイルプリント装置の印刷指固定部の第1の指挿入部に4本指用の指保持部材が挿入された状態を示した側断面図である。
【図17】(A)は、指の爪領域全体にコーティングインクを印刷した状態を示す平面図であり、(B)は、(A)のインクの層のみを断面にした指の側面図である。
【図18】(A)は、コーティングインクの層の上にネイルデザイン画像を印刷した状態を示す平面図であり、(B)は、(A)のインクの層のみを断面にした指の側面図である。
【図19】(A)は、ネイルデザイン画像を印刷した層の上にコーティングインクを印刷した状態を示す平面図であり、(B)は、(A)のインクの層のみを断面にした指の側面図である。
【図20】図1のネイルプリント装置の印刷指固定部とその第1の指挿入部に挿入される4本指用の指保持部材とを示した側断面図である。
【図21】図1のネイルプリント装置の印刷指固定部の第1の指挿入部に4本指用の指保持部材が挿入された状態を示した側断面図である。
【図22】図1のネイルプリント装置の印刷指固定部の第1の指挿入部に親指用の指保持部材が挿入された状態を示した側断面図である。
【図23】図1のネイルプリント装置の指保持部材を裏返した状態を示した斜視図である。
【図24】図1のネイルプリント装置の印刷指固定部の第1の指挿入部にネイルチップシートが載置された4本指用の指保持部材が挿入された状態を示した側断面図である。
【図25】(A)は、ネイルチップシートに爪部の輪郭線を印刷した状態を示す平面図であり、(B)は、(A)に示すネイルチップシートとインクの層の断面図である。
【図26】(A)は、輪郭線の内側領域全体にコーティングインクを印刷した状態を示す平面図であり、(B)は、(A)に示すネイルチップシートとインクの層の断面図である。
【図27】(A)は、コーティングインクの層の上にネイルデザイン画像を印刷した状態を示す平面図であり、(B)は、(A)に示すネイルチップシートとインクの層の断面図である。
【図28】(A)は、ネイルデザイン画像を印刷した層の上にコーティングインクを印刷した状態を示す平面図であり、(B)は、(A)に示すネイルチップシートとインクの層の断面図である。
【図29】図28のネイルチップシートからネイルチップを切り離した状態を示した図である。
【図30】親指用のネイルチップを親指に貼り付ける様子を示した説明図である。
【図31】長尺のネイルチップシートとこれを収容するテープカセットを示す斜視図である。
【図32】図31のネイルチップシートがテープカセットに装填された状態を示す斜視図である。
【図33】ネイルチップシートの一変形例を示す平面図である。
【図34】(A)は、輪郭線を印刷せずにコーティングインク及びネイルデザイン画像を印刷した状態を示す平面図であり、(B)は、(A)に示すネイルチップシートとインクの層の断面図である。
【図35】図1のネイルプリント装置の一変形例を概念的に示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1から図30を参照しつつ、本発明に係るネイルプリント装置の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態におけるネイルプリント装置の外観を示す斜視図であり、図2は、ネイルプリント装置の内部構成を示す斜視図である。
本実施形態においてネイルプリント装置1はユーザの爪部Tにネイルデザイン画像を印刷可能であるとともに、指の爪部Tに貼り付けられるネイルチップ70(図29等参照)を生成可能な装置であって、図1に示すように、ネイルプリント装置1は、ケース本体2、蓋体4の他、印刷対象となる爪部に対応する指(対象指U)が挿入される指挿入部である第1の指挿入部20a等を備えるプリント装置本体10、この第1の指挿入部20aに挿脱可能に構成された指保持部材6等を備えている。
【0015】
ケース本体2及び蓋体4は、ケース本体2の上面後端部に設けたヒンジ3を介して、互いに連結されている。
上記ケース本体2は平面視で長円状に形成されている。このケース本体2の前側には開閉板2cが起倒可能に設けられている。この開閉板2cは、ケース本体2の前面下端部に設けたヒンジ(図示せず)を介して、ケース本体2に連結されている。この開閉板2cは、ケース本体2の前面を開閉するためのものである。このケース本体2の前面が開放された状態で、ネイルプリント装置1は使用される。また、ケース本体2の天板2fには後述する操作部25が設置されている。さらに、蓋体4の内面には表示部26が設置されている。
【0016】
また、図2に示すように、ケース本体2にはネイルプリント装置1のプリント装置本体10が収容されている。このプリント装置本体10は、印刷指固定手段を構成している印刷指固定部20、撮影手段を構成している撮影部30、印刷手段を構成している印刷部40、制御手段を構成している制御装置50(図12参照)、操作部25及び表示部26を備えている。これらのうち印刷指固定部20、撮影部30、印刷部40及び制御装置50は機枠11に設けられている。
なお、機枠11は下部機枠11a及び上部機枠11bから構成されている。そして、下部機枠11aは箱状に形成され、ケース本体2の内部下方に設置されている。一方、上部機枠11bは下部機枠11aの上方で且つケース本体2の内部上方に設置されている。
【0017】
上記印刷指固定部20は、機枠11の中の下部機枠11aに設けられている。この印刷指固定部20は、下部機枠11aに設けられた第1の指挿入部20a、第2の指挿入部20b及び掴み部20cによって構成されている。
【0018】
本実施形態において、第1の指挿入部20aは、ユーザ(すなわち、第2の人物)の印刷対象となる爪部Tに対応する指(以下「対象指U」とする。図20等参照)を挿入するための指挿入部であるとともに、指の爪部に貼り付けられるネイルチップ70を生成するためのネイルチップシート7を挿入する挿入部である。
本実施形態では、対象指U又はネイルチップシート7が後述する指保持部材6に保持された状態で第1の指挿入部20a内に挿入されるようになっている。
なお、以下では、爪部Tのうち、親指の爪部をT1、人差し指の爪部をT2、中指の爪部をT3、薬指の爪部をT4、小指の爪部をT5とする(図20から図22等参照)が、単に「爪部T」としたときは、これらの爪部Tを総称するものとする。また、対象指Uのうち、親指をU1、人差し指をU2、中指をU3、薬指をU4、小指をU5とする(図20から図22等参照)が、単に「対象指U」としたときは、これら対象指Uを総称するものとする。
【0019】
また、第2の指挿入部20bは、対象指U以外の非対象指Nを挿入するための指挿入部である。
また、掴み部20cは、第1の指挿入部20aに挿入された対象指Uと、第2の指挿入部20bに挿入された非対象指Nとで挟持可能な部分である(図20から図22参照)。この掴み部20cは第1の指挿入部20aと第2の指挿入部20bとを仕切る隔壁21によって構成されている。
なお、上記第2の指挿入部20b及び上記掴み部20cを設けなくてもよいが、これらを設けることにより、第1の指挿入部20a内に挿入された指保持部材6及びこれに保持されている対象指Uをより安定させることができ、対象指Uを固定するために極めて有効である。
【0020】
上記隔壁21の上面は平坦な指保持部材載置面を構成している。この指保持部材載置面は第1の指挿入部20aに挿入された指保持部材6を載置するためのものである。なお、この指保持部材載置面は、上記第2の指挿入部20b及び上記掴み部20cを設けない場合には、上記第1の指挿入部20aの床面によって構成されることになる。
この隔壁21の指保持部材挿入側端部には膨出部22が形成されている(図20から図22参照)。この膨出部22は、第1の指挿入部20aに指保持部材6を深く挿入し、第2の指挿入部20bに非対象指Nを深く挿入した際に、対象指U及び非対象指Nの付け根が当接する部分に形成されている。この膨出部22は、対象指Uと非対象指Nとで隔壁21(掴み部20c)を挟持する際に、対象指Uと非対象指Nとの付け根で包持されるものである。ここで「包持」とは、対象指Uと非対象指Nとの付け根が当接し、膨出部22を掴めることである。この膨出部22の包持によって、手首の左右の振れや上下の振れが抑制されて、手先を安定させることができる。
この膨出部22は、図20から図22に示すように、指保持部材6の挿入方向に沿った断面で見た場合(側面視で)、隔壁21の下面から下方に向けて膨出するように円形となっている。なお、膨出部22の形状は、断面円形に限定されることなく、断面楕円形,断面多角形等の非円形であってもよい。要は、対象指Uと非対象指Nとの付け根で包持される形状であればよい。
なお、膨出部22の大きさ、すなわち、隔壁21の厚み方向の厚みは、対象指Uと非対象指Nとの付け根が膨出部22に十分に当接するように、1〜2cm程度が好ましく、隔壁21の厚みは、指先の腹が隔壁21にしっかりと圧接できるように、膨出部22の厚みよりも0.5〜1cm程度小さいことが好ましい。
【0021】
ここで、本実施形態における指保持部材6について、図1、図5及び図6を参照しつつ説明する。
図1に示すように、本実施形態において、第1の指挿入部20a内には、人差し指から小指までの4本の指を対象指U(U2〜U5)として保持する4本指用の指保持部材6aと、対象指Uとして親指(U1)を保持する親指用の指保持部材6bとが選択的に挿入可能となっている。なお、以下において、単に指保持部材6とするときは、4本指用の指保持部材6a及び親指用の指保持部材6bの双方を含むものとする。
図5(A)は、4本指用の指保持部材6aの側断面図であり、図5(B)は、4本指用の指保持部材6aを指の挿入方向から見た正面図である。また、図5(C)は、親指用の指保持部材6bの側断面図であり、図5(D)は、親指用の指保持部材6bを指の挿入方向から見た正面図である。
【0022】
図1、図5(A)及び図5(B)に示すように、4本指用の指保持部材6aは4本指を保持可能な保持部材本体60を備えており、この保持部材本体60には、4本指用の指保持部材6aの指挿入側正面に開口する指保持部としての4つの指挿入孔61が設けられている。指挿入孔61の内部上面は、指挿入方向のほぼ中央部から開口側に向かって上方向に傾斜している。なお、指挿入孔61の形状や構造は図示例に限定されないが、指は指先から付け根にいくにしたがって厚みが大きくなるため、図示例のように指挿入孔61の内部上面に傾斜をつけた場合には対象指Uをスムーズに指挿入孔61の奥まで挿入することができ、好ましい。なお、指挿入孔61の内部上面に傾斜をつける代わりに、指挿入孔61の内部上面に指挿入方向の奥側よりも開口側の方が上下方向の厚みが厚くなるように段差を設けてもよい。
各指挿入孔61の間は指仕切部62となっており、各指挿入孔61に4本の対象指U(人差し指U2から小指U5)が挿入されたときに、各対象指Uの間に適度に隙間が開くようになっている。指仕切部62の厚みは特に限定されないが、対象指U同士が接近し過ぎていると各対象指Uの爪部Tの輪郭の認識がしにくくなることから、本実施形態のように、指仕切部62によって各対象指Uの間に適度の間隔が保たれるようにすることが好ましい。
【0023】
4本指用の指保持部材6aの表面(対象指Uが挿入される際に上側(図5(A)及び図5(B)における上側)となる面)側であって指挿入方向の奥側には、各指挿入孔61に対応する位置に、各指挿入孔61に挿入された各対象指U(人差し指から小指)の爪部Tを露出させる爪部露出孔63が形成されている。指保持部材6aの奥まで対象指U(人差し指から小指)を挿入すると、各指の爪部Tが各指挿入孔61の爪部露出孔63から露出して、撮影部30による爪部Tの撮影及び印刷部40による爪部Tへの印刷が可能な状態となる。
また、4本指用の指保持部材6aの裏面(対象指Uが挿入される際に下側(図5(A)及び図5(B)における下側)となる面)側であって指挿入方向の奥側には、後述するネイルチップシート7を載置するシート配置部65が形成されている。シート配置部65は、本実施形態におけるネイルプリント装置1で用いられるネイルチップシート7の厚みとほぼ同じ深さの切り欠き部である。シート配置部65の縦横の寸法は、ネイルチップシート7の縦横の寸法と同じかこれよりも多少大きくなっている。
【0024】
図1、図5(C)及び図5(D)に示すように、親指用の指保持部材6bは親指を保持可能な保持部材本体60を備えており、この保持部材本体60には、親指用の指保持部材6bの指挿入側正面に開口する指保持部としての1つの指挿入孔61が設けられている。指挿入孔61の内部上面には、指挿入方向の奥側よりも開口側の方が上下方向の厚みが厚くなるように段差が設けられている。なお、指挿入孔61の形状や構造は図示例に限定されないが、指は指先から付け根にいくにしたがって厚みが大きくなるため、図示例のように指挿入孔61の内部上面に段差をつけて開口側の方が上下方向の厚みが厚くなるようにした場合には対象指U(親指U1)をスムーズに指挿入孔61の奥まで挿入することができ、好ましい。なお、4本指用の指保持部材6bの指挿入孔61と同様に、指挿入孔61の内部上面が指挿入方向のほぼ中央部から開口側に向かって上方向に傾斜するように構成してもよい。
【0025】
親指用の指保持部材6bの表面(対象指Uが挿入される際に上側(図5(C)及び図5(D)における上側)となる面)側であって指挿入方向の奥側には、指挿入孔61に対応する位置に、指挿入孔61に挿入された対象指U(親指)の爪部を露出させる爪部露出孔63が形成されている。指保持部材6bの奥まで対象指U(親指)を挿入すると、親指の爪部が指挿入孔61の爪部露出孔63から露出して、撮影部30による爪部の撮影及び印刷部40による爪部への印刷が可能な状態となる。
また、親指用の指保持部材6bの裏面(対象指Uが挿入される際に下側(図5(C)及び図5(D)における下側)となる面)側であって指挿入方向の奥側には、後述するネイルチップシート7を載置するシート配置部65が形成されている。シート配置部65は、前記4本指用の指保持部材6aに設けられているシート配置部65と同様のものであるため、その説明を省略する。
【0026】
図6は、4本指用の指保持部材6aの表裏を裏返して、4本指用の指保持部材6aの裏面側に設けられているシート配置部65にネイルチップシート7を載置する様子を示した図である。図6に示すように、シート配置部65にネイルチップシート7を載置すると、4本指用の指保持部材6aのシート配置部65側の面がほぼ面一となるようになっている。
【0027】
また、図7は、本実施形態において用いられるネイルチップシート7の構成を示した平面図であり、図8は、ネイルチップシート7の構成を示した斜視図である。また、図9は、ネイルチップシート7に爪部Tの輪郭線R(R1〜R5)とネイルデザイン画像75(75a〜75e)が印刷された状態を示す平面図である。
図7に示すように、本実施形態では、1枚の台紙8上に複数枚のネイルチップシート7が剥離可能に装着されており、印刷時には、ネイルチップシート7を台紙8から1枚ずつ取り外して使用するようになっている。なお、1枚の台紙8に装着されているネイルチップシート7の数や各ネイルチップシート7の形状、大きさ等は特に限定されない。ネイルチップシート7は、台紙8に装着されず、1枚ずつ個別になっているものであってもよい。
【0028】
図8に示すように、ネイルチップシート7は、フィルム状のシートであり、爪部T上に貼り付けられる貼着層71とこの貼着層71を爪部T上に貼り付けるための粘着層72と未使用時にこの粘着層72を被覆し使用時に粘着層72から剥離される剥離層73との3層構造となっている。貼着層71の表面には、絵柄等(本実施形態では縦縞模様の背景)が描かれている。また、ネイルチップシート7の左端部には、印刷部40による印刷時において印刷開始位置の基準となる基準線74が設けられている。
【0029】
次に、撮影部30について説明する。この撮影部30は、図2から図4に示すように、機枠11の中の上部機枠11bに設けられている。
すなわち、上部機枠11bに設置された基板31の中央部下面には、ドライバーを内蔵した200万画素程度以上の画素を有するカメラ32が設置されている。また、基板31には、カメラ32を囲むように白色LED等の照明灯33が設置されている。本実施形態において、撮影部30は、このカメラ32及び照明灯33を含んで構成されている。
この撮影部30は、照明灯33によって指(対象指U)を照明し、カメラ32によって爪部Tを含むその指(対象指U)を撮影して、指爪画像を取得する指爪画像取得手段である。
なお、本実施形態において、撮影部30のカメラ32は、第1の指挿入部20a内に挿入されている対象指Uを1本ずつ撮影してもよいし、第1の指挿入部20a内に挿入されている対象指Uを全部又は複数本ずつ撮影してもよい。
この撮影部30は、後述する制御装置50の制御部51に接続され、該制御部51によって制御されるようになっている。
【0030】
また、印刷部40は、撮影部30によって撮影された指爪画像から抽出された爪部Tの輪郭や各種ネイルデザイン、コーティングインク等を、印刷指Uの爪部T上やネイルチップ70を生成するためのネイルチップシート7(図8等参照)の貼着層71の上に印刷する印刷手段であり、図2から図4に示すように、機枠11(主に上部機枠11b)に設けられている。
すなわち、上部機枠11bの両側板には2本のガイドロッド41が平行に架設されている。このガイドロッド41には、主キャリッジ42が摺動自在に設置されている。また、主キャリッジ42の前壁42aおよび後壁42bには2本のガイドロッド44が平行に架設されている。このガイドロッド44には、副キャリッジ45が摺動自在に設置されている。この副キャリッジ45の下面中央部には、複数の印刷ヘッド46が搭載されている。
【0031】
図10は、本実施形態における印刷ヘッド46が搭載された副キャリッジ45の正面図であり、図11は、図10の側面図である。
図10に示すように、本実施形態において副キャリッジ45には、印刷ヘッド46として、基本色インクを印刷する基本色インク用の印刷ヘッド46aと、光により硬化する光硬化型のコーティングインクを印刷するコーティングインク用の印刷ヘッド46bとが搭載されている。なお、単に「印刷ヘッド46」とするときは、色インク用の印刷ヘッド46a及び下地インク用の印刷ヘッド46bの双方を含むものとする。
本実施形態において、この印刷ヘッド46は、インクを微滴化し、被印字媒体に対し直接に吹き付けて印刷を行うインクジェット方式の印刷ヘッドである。なお、印刷ヘッド46の記録方式はインクジェット方式に限定されない。
【0032】
ネイルプリント装置1は、基本色インクとして、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、ホワイト(W)を印刷可能となっており、これら5色の基本色インクに対応した5つの基本色インク用の印刷ヘッド46aが設けられている。印刷部40は、これらの基本色インク用の印刷ヘッド46aにより基本色インクを印刷して爪部Tやネイルチップシート7上にネイルデザイン画像のインク層92等を形成させる。
なお、副キャリッジ45に搭載される基本色インク用の印刷ヘッド46aの種類や数は特に限定されない。ここに挙げた色以外の基本色インクに対応した基本色インク用の印刷ヘッド46aが設けられていてもよいし、例えば、ブラック(K)やホワイト(W)の基本色インク用の印刷ヘッド46aを備えない構成としてもよい。
また、コーティングインク(J)は、例えば紫外線等の光(活性エネルギー線)を照射することにより硬化、乾燥するジェルインクであり、即乾性、即硬化性に優れるものである。印刷指Uの爪部T又はこの爪部Tに貼付されるネイルチップ70を生成するためのネイルチップシート7に対してこのコーティングインクを印刷した後、後述する光照射手段により光を照射することによって、光硬化樹脂層を形成することができる。
このようにして形成される光硬化樹脂層は、紫外線等の光(活性エネルギー線)の照射による硬化、乾燥後は、爪部T又はネイルチップ70に、ごつごつとした立体感を与えることができ、かつ、美しい仕上がりを長く維持することができることとなる。
【0033】
本実施形態においてコーティングインク(J)は、光硬化型のジェルインクであり、少なくとも紫外線等の光(活性エネルギー線)を照射することにより硬化する光硬化型樹脂及び光重合開始剤を含んでおり、各成分を混合することにより調製される。なお、コーティングインクは、透明なものでもよいし、薄く着色されているようなものでもよい。また、コーティングインクとして、透明なものや各色に着色されたもの等、複数種類の光硬化型インクを印刷可能とし、ユーザの用途や好み等によって使い分けられるようにしてもよい。この場合には、各コーティングインクに対応した印刷ヘッド46bが副キャリッジ45に搭載される。
光硬化型樹脂は特に限定されないが、紫外線等の光により容易に硬化させることができるものが好ましい。なお、本実施形態では紫外線を照射することで硬化する紫外線硬化型樹脂を用いる場合について以下説明するが、紫外線以外の波長の光(活性エネルギー線)を照射することにより硬化するものを本発明に適用することも可能である。
【0034】
紫外線硬化型樹脂としては、例えば、メタクリレート、アクリレート(特にウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、アクリルアクリレ−ト)、不飽和ポリエステル、エポキシ樹脂、オキセタン樹脂等が挙げられる。これらは、モノマー及び/又はオリゴマーの状態のものを使用すればよい。
具体的には、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン系化合物;酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン等のビニル化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、テトラフロロプロピル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、モノアクリロキシコハク酸エチル、(メタ)アクリロキシエトキシジヒドロキシフォスフィンオキサイド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド等の単官能モノマー;1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジアクリレート、亜鉛ジ(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の2官能モノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等の3官能以上のモノマー;ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、脂環型のエポキシ(メタ)アクリレート、エポキシ化油(メタ)アクリレート、ポリエステル型、ポリエーテル型、スピラン環型のウレタン(メタ)アクリレート、不飽和ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリアクリル(メタ)アクリレート、ビニル/アクリルオリゴマー、ポリオール/ポリチオール、シリコン(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、ポリスチリルエチル(メタ)アクリレート等のオリゴマーが紫外線硬化型樹脂として挙げられる。これらの紫外線硬化型樹脂は、単独又は2種以上併用して用いることができる。
【0035】
また、光重合開始剤としては、光(活性エネルギー線)としての紫外線により容易に重合を開始するアルキルフェノン型、アシルフォスフィンオキサイド型、チタノセン型及びオキシムエステル型からなる群から選択される少なくとも1種を用いる。
具体的には、例えば、アルキルフェノン型としては、ベンジルケタ−ル(2,2−ジメトキシ−1,2ジフェニルエタン−1−オンなど)、α−ヒドロキシアセトフェノン(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オンなど)、α−アミノアセトフェノン(2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1など)が挙げられる。アシルフォスフィンオキサイド型としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドなどが挙げられる。
また、チタノセン型としては、ビス(η6−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロ−ル−1−イル)−フェニル)チタニウムなどが挙げられる。また、オキシムエステル型としては、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]などが挙げられる。
【0036】
なお、光硬化型樹脂に対する光重合開始剤の配合量は特に限定されず、光硬化型樹脂と光重合開始剤の種類に応じて設定できるが、通常は光硬化型樹脂100重量部に対して光重合開始剤0.1〜10重量部程度が好ましく、0.1〜5重量部程度がより好ましい。
【0037】
また、コーティングインクには、光硬化型樹脂及び光重合開始剤以外に添加剤が配合されていてもよい。
例えば、光増感剤を添加剤として配合した場合には、光重合開始剤の分解を促進する助剤として使用することができる。光増感剤としては、例えば、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−ブチルアミン、n−ブチルアミン、4,4’−ビス(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(N,N−ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−N,N−ジメチル安息香酸プロピル、4−N,N−ジメチル安息香酸イソプロピル、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等が挙げられる。エチレン性不飽和化合物であるN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、その他の添加剤としては、一般にネイルマニキュア等で公知のものが使用できる。すなわち、例えば、油脂・ロウ類・炭化水素・高級脂肪酸・高級アルコール・エステル類・金属石鹸・シリコーン油などの油性成分、湿潤剤、低級アルコール、非イオン界面活性剤・陰イオン界面活性剤・陽イオン界面活性剤・両イオン界面活性剤などの界面活性剤、有機顔料・無機顔料及びこれらのシリコーン・フッ素化合物などの各種油剤で処理した粉体などの粉体類、染料・天然色素などの色素類、天然香料・合成香料・調合香料などの香料類、ビタミン・ホルモン・防腐剤・紫外線吸収剤・酸化防止剤・殺菌剤・植物抽出物・動物抽出物・酵素・薬剤・酸・アルカリなどの特殊成分類の他、多価アルコール、高分子物質、精製水、パール化剤、消泡剤、成膜助剤等が添加配合可能なものとして挙げられる。
また、光沢を得るためには、着色力が殆ど無く、一般に体質顔料と呼ばれ、透明感のある自然な色などが得られる、バライト粉、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸石灰粉、沈降性炭酸カルシウム、石膏、アスベスト、クレー、シリカ粉、微粉ケイ酸、軽藻土、タルク、塩基性炭酸マグネシウム、アルミナホワイト、グロスホワイト、サチンホワイト、燐酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイトなどが添加剤として挙げられる。
また、コーティングインクは無色透明なものに限定されず、着色等がされていてもよい。この場合には、例えば、顔料、パール化剤、ラメ剤として、カーボンブラック、チタンホワイト(酸化チタン)、チタンブラック、亜鉛華、べんがら、酸化クロム、鉄黒、コバルトブルー、アルミナホワイト、酸化鉄黄、ビリジアン、硫化亜鉛、リトポン、カドミウムエロー、朱、ガドミウムレッド、黄鉛、モリブデードオレンジ、ジンククロメート、ストロンチウムクロメート、ホワイトカーボン、群青、鉛白、紺青、マンガンバイオレット、アルミニウム粉、真鍮粉等の無機顔料、有機顔料及び酸性染料のレーキ顔料、魚鱗箔、被覆処理雲母チタン等の各種雲母チタン、マイカ、セリサイト、マスコバイト、アコヤ貝末、アワビ貝末、タカセ貝末等のパール顔料、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・金積層末等のラメ剤等を添加配合することも可能である。
【0038】
主キャリッジ42は動力伝達手段(図示せず)を介してモータ43に連結され、モータ43の正逆回転によって、ガイドロッド41に沿って左右方向に移動ように構成されている。また、副キャリッジ45は動力伝達手段(図示せず)を介してモータ47に連結され、モータ47の正逆回転によって、ガイドロッド44に沿って前後方向に移動するように構成されている。この主キャリッジ42及び副キャリッジ45の移動と、印刷ヘッド46からのインクの吐出とによって、第1の指挿入部20aに挿入された印刷指Uの爪部Tや指保持部材6のシート配置部65(図6等参照)に載置されたネイルチップシート7への印刷が可能となる。
また、下部機枠11aには、印刷ヘッド46にインクを供給するためのインクカートリッジ48が設けられている。インクカートリッジ48は、図示しないインク供給管を介して印刷ヘッド46と接続されており、適宜印刷ヘッド46にインクを供給するようになっている。なお、印刷ヘッド46自体にインクカートリッジを搭載する構成としてもよい。
【0039】
印刷部40は、これらガイドロッド41、主キャリッジ42、モータ43、ガイドロッド44、副キャリッジ45、印刷ヘッド46、モータ47及びインクカートリッジ48等を備えて構成されている。この印刷部40のモータ43、印刷ヘッド46、モータ47は、後述する制御装置50の制御部51に接続され、該制御部51によって制御されるようになっている。
【0040】
また、図10及び図11に示すように、印刷部40の副キャリッジ45の下側(第1の指挿入部20aに挿入された印刷指Uの爪部Tやネイルチップシート7と対向する側)には、光照射部49が設けられている。
光照射部49は、コーティングインク用の印刷ヘッド46bにより印刷されたコーティングインクに対して当該コーティングインクを硬化させるための光としての紫外線を照射する光照射手段である。
光照射部49は、例えば半導体発光素子(LED;light emitting diode 発光ダイオード)や紫外線ランプであり、例えば350nm程度の波長の紫外線を照射するようになっている。
本実施形態において、光照射部49は、印刷部40とともに駆動して、爪領域と対応する使用者の爪部T又はこの爪部Tに貼付されるネイルチップ70を生成するためのネイルチップシート7に印刷されたコーティングインクに対して光である紫外線をピンポイントで照射させ、光硬化樹脂層であるアンダーコート層91やオーバーコート層93を形成するようになっている。
この光照射部49は、後述する制御装置50の制御部51に接続され、該制御部51によって制御されるようになっている。
なお、光照射部49は、印刷部40の近傍位置に設けられて、コーティングインク用の印刷ヘッド46bにより印刷されたコーティングインクに対して紫外線を照射可能に構成されていればよく、その配置や形状、大きさ等は、図示例に限定されない。コーティングインク用の印刷ヘッド46bの下側や側面等に取り付けられていてもよいし、印刷部40とは別個に設けられ印刷部40の移動に合わせて単独で移動するように構成されていてもよい。また、光照射部49は、印刷部40の印刷可能な領域内に対して紫外線を照射可能な位置に固定されていてもよい。
【0041】
操作部25は、ユーザが各種入力操作を行うための入力手段である。操作部25は、ケース本体2の天板2fに設けられており、操作部25には、例えばネイルプリント装置1の電源をON/OFFするための電源キー、撮影部30による撮影を開始させるためのトリガとなるカメラキー、印刷制御処理の開始のためのトリガとなる印刷キーその他各種の操作キー、操作ボタン等が設けられている。
本実施形態では、ネイルプリント装置1は、印刷指Uの爪部Tに印刷を行う爪印刷モードとネイルチップシート7に印刷を行うネイルチップ印刷モードとが印刷モードとして選択可能となっている。ユーザは操作部25を操作することにより、いずれの印刷モードで印刷するかを選択設定することができるようになっており、操作部25は印刷モード選択手段として機能する。
【0042】
表示部26は、例えば液晶パネル(液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display))等で構成され、印刷制御処理を行う際等に各種表示を行う表示手段である。なお、表示部26は液晶パネルで構成されるものに限定されず、例えば有機ELディスプレイ等であってもよい。
なお、表示部26の表面に、タッチパネルが一体的に構成されていてもよい。この場合には、図示しないスタイラスペンや指先等により表示部26の表面をタッチすることによっても各種の入力を行うことができるように構成され、表示部26も操作部25と同様の機能を備える。
【0043】
また、制御装置50は上部機枠11bに設けられている。この制御装置50は、基板31に設置されており、図12に示すように、図示しないCPU(Central Processing Unit)等によって構成されている制御部51、記憶手段としてのROM(Read Only Memory)52及びRAM53(Random Access Memory)等を備えるコンピュータである。なお、記憶手段は、制御装置50内のROM52、RAM53に限定されず、他に記憶手段が設けられていてもよい。
【0044】
この制御部51は、機能的に見た場合、爪領域抽出部511、印刷制御部512、表示制御部513等を備えている。これら爪領域抽出部511、印刷制御部512、表示制御部513等としての機能は、CPUとROM52に記憶されたプログラムとの共働によって実現される。
【0045】
爪領域抽出部511は、指爪画像取得手段である撮影部30によって取得された指爪画像から爪部Tに対応する爪領域を抽出する爪領域抽出手段である。爪領域抽出部511により爪領域を抽出する手法は特に限定されない。
爪領域抽出部511による抽出結果は、RAM53等の記憶部に送られ、記憶される。
【0046】
印刷制御部512は、基本色インクとコーティングインクとを用いて、爪領域抽出手段である爪領域抽出部511により抽出された爪領域と対応する使用者の爪部T又はこの爪部Tに貼付されるネイルチップ70を生成するためのネイルチップシート7に対して印刷を施すように、印刷部40を制御する印刷制御手段である。
【0047】
前述のように、本実施形態では、印刷指Uの爪部Tに印刷を行う爪印刷モードとネイルチップシート7に印刷を行うネイルチップ印刷モードとが印刷モードとして選択可能となっており、印刷制御部512は、操作部25からの入力等により選択された印刷モードで印刷を行うように印刷部40や光照射部49を制御する。
【0048】
具体的には、爪印刷モード及びネイルチップ印刷モードのいずれの場合にも、印刷制御部512は、基本色インク用の印刷ヘッド46aを用いて基本色インクによる印刷を行う前又は後の少なくともいずれか一方に、使用者の爪部Tの全体又はネイルチップシート7におけるネイルチップ70に対応する領域全体に対して、コーティングインク用の印刷ヘッド46bによりコーティングインクを印刷させるとともに、当該コーティングインクに対して光照射部49から光を照射させることにより光硬化樹脂層(すなわち、アンダーコート層91及びオーバーコート層93)を形成するように印刷部40及び光照射部49を制御する。
【0049】
また、ネイルチップシート7に印刷を行うネイルチップ印刷モードが選択されたときには、印刷制御部512は、印刷部40を制御して、爪領域抽出部511により抽出された爪部Tの輪郭を示す輪郭線R(R1〜R5)を、黒色のインク等、視認性のよい色の基本色インクでネイルチップシート7上に印刷させ、輪郭線画像のインク層95を形成する。このとき、印刷制御部512は、各指の爪部Tの輪郭線R(R1〜R5)が互いにある程度の間隔を空けて配置されるように印刷部40による印刷位置を調整する。例えば、基準線74を基点として20mmごとの距離の中に各指の爪部Tの輪郭が収まるように調整することにより、各指の爪部Tの輪郭線R(R1〜R5)が重なり合わないようにすることができる。なお、各指の爪部Tの輪郭線R(R1〜R5)の配置の仕方はこれに限定されない。互いの輪郭線R(R1〜R5)が重なり合わない範囲で、基準線74からの所定の距離を詰めてもよい。このようにすることにより、1つのネイルチップシート7に印刷できる輪郭線Rの数を多くすることができる。
【0050】
本実施形態では、印刷制御部512は、片手の親指から小指までの5指の爪部Tの輪郭を示す輪郭線R1〜R5を1枚のネイルチップシート7上に印刷できるように各輪郭線R1〜R5の配置を調整するようになっている(図10及び図11等参照)。
なお、1枚のネイルチップシート7上に何本の指の爪部Tの輪郭を示す輪郭線R1〜R5を配置するか、各輪郭線R1〜R5をどのように配置するかは、シート配置部65に配置されるネイルチップシート7の大きさ(すなわち、ネイルチップシート7の長さや幅)等に応じて定められる。
例えば、ネイルチップシート7の長さが、爪部Tの輪郭を示す輪郭線R1〜R5の3個分しかない場合には、1枚のネイルチップシート7には輪郭線R1〜R5を3個まで印刷することができ、この場合には、例えば1枚目のネイルチップシート7には親指から中指までの3指分の輪郭線R1〜R3を印刷し、2枚目のネイルチップシート7には薬指と小指の2指分の輪郭線R4,R5を印刷するように、印刷用データを割り付ける。
また、ネイルチップシート7の長さが、爪部Tの輪郭を示す輪郭線R1〜R5の10個分ある場合には、1枚のネイルチップシート7には輪郭線R1〜R5を10個まで印刷することができる。この場合には、例えば両手の10指分の輪郭線Rが1枚のネイルチップシート7上に配置されるように印刷用のデータを割り付けてもよい。ネイルチップシート7の長さが長い場合等に、何指分の輪郭線Rをどのように配置するかは、予め設定されていてもよいし、使用状況に応じてユーザが任意に設定できるようにしてもよい。
【0051】
また、印刷制御部512は、印刷部40を制御して、爪領域と対応する使用者の爪部T又はこの爪部Tに貼付されるネイルチップ70を生成するためのネイルチップシート7に対して、基本色インク用の印刷ヘッド46aにより基本色インクを印刷させてネイルデザイン画像のインク層92を形成させる。
なお、ネイルチップ印刷モードによる印刷のときは、印刷制御部512は、ネイルチップシート7上に印刷されている各指の爪部Tの輪郭のほぼ中央部にネイルデザイン画像が収まるように配置等を調整して印刷するように制御する。
【0052】
本実施形態では、印刷モードとして爪印刷モードが選択された場合には、まず爪部Tの全体にコーティングインクを印刷し、光照射部49により光を照射してコーティングインクを硬化させて光硬化樹脂層であるアンダーコート層91を形成する。そして、その後に基本色インクでネイルデザイン画像を印刷してネイルデザイン画像のインク層92を形成し、最後にネイルデザイン画像の印刷された上から再度爪部Tの全体にコーティングインクを印刷し、光を照射して硬化させて光硬化樹脂層であるオーバーコート層91を形成するとの手順で印刷処理を行う。
また、印刷モードとしてネイルチップ印刷モードが選択された場合には、まず基本色インクで各指の爪部Tの輪郭線R(R1〜R5)を印刷して輪郭線のインク層95を形成し、その後印刷された輪郭の内側の領域全体(すなわち、ネイルチップシート7のうち、ネイルチップ70に対応する領域全体)にそれぞれコーティングインクを印刷し、光照射部49により光を照射してコーティングインクを硬化させて光硬化樹脂層であるアンダーコート層91を形成する。そして、その上に基本色インクでネイルデザイン画像を印刷し、最後にネイルデザイン画像の印刷された上から再度輪郭の内側の領域全体にコーティングインクを印刷し、光を照射して硬化させて光硬化樹脂層であるオーバーコート層91を形成するとの手順で印刷処理を行う。
なお、爪印刷モード及びネイルチップ印刷モードにおける印刷処理手順は、本実施形態で説明するものに限定されない。デフォルトで設定されている印刷処理手順と異なる手順で印刷したい場合には、ユーザが操作部25等を操作することにより適宜設定を変更できることが好ましい。
【0053】
表示制御部513は、表示手段としての表示部26に各種の表示を表示させる表示制御手段である。本実施形態では、表示制御部518は、例えば輪郭線Rの配置の確認画面や印刷モードの選択画面、各種の指示画面等を表示部26に表示させるようになっている。
【0054】
また、記憶手段としてのROM52には、指爪画像から爪部Tの爪領域を抽出する爪領域抽出プログラム、印刷制御処理を行うための印刷制御処理プログラム等の各種プログラムが格納されており、これらのプログラムが制御装置50によって実行されることによって、ネイルプリント装置1の各部が統括制御されるようになっている。
【0055】
また、本実施形態において記憶手段であるRAM53は、各種データ等を記憶する記憶領域と、制御部51が各種処理を行う際にプログラム等を展開する作業領域(図示せず)とを備えている。
【0056】
次に、上記ネイルプリント装置1による印刷制御方法について、図13から図15のフローチャート及び図16から図30に基づいて説明する。
【0057】
図13に示すように、操作部25等から印刷開始指示が入力されると(ステップS1)、表示制御部515は、表示部13にネイルプリント装置1の第1の指挿入部20a内に印刷指Uを保持した指保持部材60を挿入するよう指示する保持部材挿入指示画面を表示させる(ステップS2)。
図20から図22に示すように、印刷指Uを保持した状態で指保持部材6が第1の指挿入部20a内に挿入されると、指保持部材6に保持されている対象指Uの爪部Tが爪部露出孔63から露出し、撮影部30の下方に位置して撮影可能な状態となる。
制御部51は、撮影部30により当該印刷指Uを撮影しての指爪画像を取得する(ステップS3)。なお、両手の指について指爪画像を取得する場合には、例えば、図21に示すように一方の手の人差し指U2から小指U5までの4指を4本指用の指保持部材6aに保持させて第1の指挿入部20a内に挿入し指爪画像の撮影を行った後、図22に示すように一方の手の親指U1を親指用の指保持部材6bに保持させて第1の指挿入部20a内に挿入し指爪画像の撮影を行う。
指爪画像が取得されると、爪領域抽出部511は、撮影部30によって取得された当該印刷指Uの指爪画像から爪部Tの爪領域を抽出し(ステップS4)、RAM等の記憶手段に記憶させる。
【0058】
制御部51は、爪印刷モードが選択されたか否かを判断し(ステップS5)、印刷モード選択手段である操作部12において爪印刷モードが選択されたが操作されたと判断される場合(ステップS5;YES)には、爪印刷モードによる印刷処理を行う(ステップS6)。また、爪印刷モードが選択されなかったと判断される場合(ステップS5;NO)には、さらにネイルチップ印刷モードが選択されたか否かを判断し(ステップS7)、ネイルチップ印刷モードが選択されたと判断される場合(ステップS7;YES)には、ネイルチップ印刷モードによる印刷処理を行う(ステップS8)。なお、操作部が操作されず、いずれの印刷モードも選択されていないと判断される場合(ステップS7;NO)には、ステップS5の判断が繰り返される。
【0059】
図14は、爪印刷モードによる印刷処理(図13のステップS6)を示すフローチャートである。
なお、本実施形態のネイルプリント装置1では、図16に示すように、印刷指Uが指保持部材60に保持された状態で第1の指挿入部20aに挿入されると、指保持部材6に保持されている対象指Uの爪部Tが爪部露出孔63から露出し、印刷部40の下方に位置して、印刷可能な状態となる。
本実施形態では、爪印刷モードにおいて、第1の指挿入部20aに挿入された指保持部材60に保持された複数の印刷指Uの爪部T(一方の手の4つの指の爪部T)に印刷が施される。
【0060】
印刷制御部512は、RAM等から爪部Tの爪領域のデータを読み出して、この爪領域全体にコーティングインクを印刷するように印刷部40のコーティングインク用の記録ヘッド46bを駆動させる(ステップS11)。
爪領域全体へのコーティングインクの印刷が完了すると、印刷制御部512は、光照射部49を制御して、爪部T上に印刷されたコーティングインクに紫外線を照射させてコーティングインクを硬化させる(ステップS12)。これにより、爪部Tへのアンダーコート層(光硬化樹脂層)91の形成が完了する(図17(A)及び図17(B)参照)。
次に印刷制御部512は、光硬化樹脂層であるアンダーコート層91が形成された爪部T上に基本色インクによりネイルデザイン画像75を印刷するように印刷部40の基本色インク用の記録ヘッド46aを駆動させる(ステップS13)。なお、このネイルデザイン画像75は、デフォルトで定められていてもよいし、ユーザが所望のネイルデザイン画像75を操作部25等により選択できてもよい。
基本色インクによりネイルデザイン画像75が印刷され、ネイルデザイン画像のインク層92が形成されると(図18(A)及び図18(B)参照)、印刷制御部512は、再度コーティングインク用の記録ヘッド46bを駆動させて、ネイルデザイン画像75が印刷された爪部T上にさらにコーティングインクを印刷する(ステップS14)。そして、光照射部49を制御して、爪部T上に印刷されたコーティングインクに紫外線を照射させてコーティングインクを硬化させる(ステップS15)。これにより、光硬化樹脂層であるオーバーコート層93の形成が完了し(図19(A)及び図19(B)参照)、爪印刷モードによる印刷処理は終了する。
【0061】
次に、図15は、ネイルチップ印刷モードによる印刷処理(図13のステップS8)を示すフローチャートである。
【0062】
ネイルチップ印刷モードが選択されると、表示部26は、指保持部材6を第1の指挿入部20aから一旦抜き取って裏返し、裏面側のシート配置部65にネイルチップシート7を載置した上で第1の指挿入部20a内に再挿入するよう指示する指示画面を表示させる。
ユーザがこの指示にしたがって、指保持部材6の裏面側のシート配置部65にネイルチップシート7を載置して(図23参照)、第1の指挿入部20a内に再挿入すると、図24に示すようにシート配置部65に載置されたネイルチップシート7が印刷部40の下方に位置して、印刷可能な状態となる。
そして、図15に示すように、印刷制御部512は、RAM等から各爪部Tの爪領域のデータを読み出すとともに、印刷部40の基本色インク用の記録ヘッド46aを駆動させて、基準線74から所定の距離を置きながら、順次各指の爪部Tの輪郭を示す輪郭線R(R1〜R5)をネイルチップシート7の貼着層71の上に印刷する印刷処理を行う(ステップS21)。これにより、輪郭線のインク層95が形成される(図25(A)及び図25(B)参照)。
次に、印刷制御部512は、この輪郭線R(R1〜R5)の内側の領域全体にそれぞれコーティングインクを印刷するように印刷部40のコーティングインク用の記録ヘッド46bを駆動させる(ステップS22)。
ネイルチップシート7の各領域へのコーティングインクの印刷が完了すると、印刷制御部512は、光照射部49を制御して、爪部T上に印刷されたコーティングインクに紫外線を照射させてコーティングインクを硬化させる(ステップS23)。これにより、ネイルチップ70へのアンダーコート層(光硬化樹脂層)91の形成が完了する(図26(A)及び図26(B)参照)。
次に、印刷制御部512は、光硬化樹脂層であるアンダーコート層91が形成されたネイルチップシート7上に基本色インクによりネイルデザイン画像75を印刷するように印刷部40の基本色インク用の記録ヘッド46aを駆動させる(ステップS24)。なお、この場合もネイルデザイン画像75は、デフォルトで定められていてもよいし、ユーザが所望のネイルデザイン画像75を操作部25等から選択できてもよい。
基本色インクによりネイルデザイン画像75が印刷され、ネイルデザイン画像のインク層92が形成されると(図27(A)及び図27(B)参照)、印刷制御部512は、再度コーティングインク用の記録ヘッド46bを駆動させて、ネイルデザイン画像75が印刷されたネイルチップシート7上にさらにコーティングインクを印刷する(ステップS25)。そして、光照射部49を制御して、ネイルチップシート7上に印刷されたコーティングインクに紫外線を照射させてコーティングインクを硬化させる(ステップS26)。これにより、光硬化樹脂層であるオーバーコート層93の形成が完了する(図28(A)及び図28(B)参照)。
【0063】
ネイルチップシート7への印刷処理が終了すると、制御部51(表示制御部513)は、印刷の終了及び印刷後の手順を示す案内画面を表示部26に表示させる。印刷後の手順としては、例えば、指保持部材6を第1の指挿入部20aから抜き取る指示、輪郭線R(R1〜R5)に沿ってネイルチップシート7を切断して各指用のネイルチップ70a〜70e(図29参照)を作成する指示、切断済みの各指用のネイルチップ70a〜70eの剥離層73を剥がして、ユーザの各印刷指U1〜U5に貼り付ける指示等がある。
【0064】
図29は、図9等に示すネイルチップシート7の貼着層71の上に各対象指U1〜U5ごとの輪郭線R(R1〜R5)が印刷された場合のネイルチップシート7から親指用ネイルチップ70aと人差し指用ネイルチップ70bを切り離した状態を示したものである。
図30は、ネイルチップ70(70a〜70e)のうち、貼着層71に第1の絵柄75a(サクランボ)が描かれている親指用ネイルチップ70aについて剥離層73を剥がして粘着層72を露出させ、親指の爪部T上に貼着する様子を示したものである。
【0065】
以上、本実施形態によれば、爪印刷モードとネイルチップ印刷モードとを選択的に行うことができる。このため、ユーザは用途やニーズに応じて爪部Tに直接印刷するか、ネイルチップ70を作成して爪部Tに貼り付けるかを自由に選ぶことができ、手軽にネイルアートを楽しむことができる。
また、ユーザの指爪画像から爪領域を抽出して当該領域に合わせて印刷を行うため、自爪に印刷する際にインクが爪部Tからはみ出す等を防止できる。また、ユーザの爪領域の形状に合ったネイルチップ70を作成できるため、既成の人工爪を用いる場合と異なり、爪部Tに貼着したあと削って形を整える等の手間を省くことができる。
また、ネイルチップ印刷モードが選択されたときは、貼着層71と粘着層72と剥離層73とが積層されてなるネイルチップシート7を用い、このネイルチップシート7の貼着層71の上に、爪部Tの輪郭を示す輪郭線R(R1〜R5)、コーティングインクによるアンダーコート層91、基本色インクによるネイルデザイン画像のインク層92、コーティングインクによるオーバーコート層93をそれぞれ順に印刷してネイルチップ70を作成する。このため、輪郭線R(R1〜R5)に沿ってをネイルチップ70(70a〜70e)を切り離せば、ユーザは剥離層73を粘着層72から剥離して貼着層71をユーザ自身の爪部Tの上に貼着するだけで、簡易・迅速にネイルプリントによるおしゃれを楽しむことができる。
また、アンダーコート、オーバーコートを施すコーティングインクとして、光硬化型インクを用いているため、光を照射するだけで簡易・迅速に硬化させることができ、アンダーコート、オーバーコートをネイルプリント装置1で行う場合でも手指を拘束されている時間をできる限り短くすることができる。
そして、光硬化型インクは比較的剥がれ難いため、光硬化型インクをコーティングインクとして用いることにより、長期間ネイルアートを美しいまま維持することができる。
また、ネイルチップシート7は、テープ状の長尺なシートであるため、複数の爪部Tの輪郭を示す輪郭線R(R1〜R5)を1つのネイルチップシート7の上に並べて印刷することができる。このため、例えば片手の親指から小指までの5指、又は左右の手の親指から小指までの10指の爪部T用のネイルチップ70を1つのネイルチップシート7を用いて生成することが可能となる。
また、ネイルチップシート7には、印刷時において印刷開始位置の基準となる基準線74が設けられ、印刷制御部512は、この基準線74から所定の距離を置いて複数の爪部Tの輪郭を示す輪郭線R(R1〜R5)の印刷を行うように印刷部40を制御するようになっている。このため、複数の爪部Tの輪郭を示す輪郭線R(R1〜R5)を印刷して複数のネイルチップ70を1枚のネイルチップシート7から生成する場合でも、各輪郭線R(R1〜R5)が重なり合ったり間隔が空き過ぎたりすることなく、適切に配置される。
【0066】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0067】
例えば、上記実施形態では、ネイルチップシート7として、所定の距離ごとに5指分の輪郭線を印刷することのできる長さのものを適用したが、ネイルチップシート7はこれに限定されず、さらに長尺のものを用いて1度の印刷で6指分以上のネイルチップ70を生成可能としてもよい。
この場合には、例えば図30及び図31に示すようなテープカセット150に、ネイルチップシート7を巻回して収容し、このテープカセット150をネイルプリント装置1に装填して印刷を行う構成としてもよい。
テープカセット150の構成は特に限定されないが、例えば図30及び図31に示すように、ネイルチップシート7が巻回した状態で装填される溝部151を備え、この溝部151には、溝部151からのネイルチップシート7の抜け落ちを防止するための係止爪152が2つ設けられている。
ネイルチップシート7は、貼着層71が外側となるように巻回されて溝部151に装填されるとともに、基準線74の設けられている側の端部が溝部151から引き出されて、テープ端部を係止する係止片153に係止される。ネイルチップシート7は係止片153が基準線74にかかる位置で係止されることにより、印刷開始位置が位置決めされる。この場合、ネイルチップシート7は、印刷が開始されると、基準線74の設けられている側から順次印刷されるとともに、印刷された部分が一定方向に順次搬送・送出される。
なお、ネイルチップシート7をこのようなテープカセット150に収容して使用する場合には、ネイルプリント装置1の第1の指挿入部20a等の形状をテープカセット150が装填可能なものに変更する。
【0068】
また、本実施形態では、爪部T又はネイルチップシート7に対して印刷する際、光硬化型のコーティングインクによりまずアンダーコート層91を印刷し、次に基本色インクによりネイルデザイン画像のインク層92を印刷して、さらにその上からオーバーコート層93を形成する場合を例としたが、印刷処理の手順はこれに限定されない。
例えば、アンダーコート、オーバーコートのうち、いずれか一方しか行わない構成としてもよい。
また、コーティングインクによるアンダーコート、オーバーコートは爪部Tの全領域に施すものに限定されない。例えば、保護は必要な爪先部分のみコーティングインクによるアンダーコートやオーバーコートを行ったり、ネイルデザイン画像75として絵柄を描いた部分(例えば親指用のネイルチップ70aであればサクランボの絵柄部分)にだけオーバーコートを施してもよい。この場合には例えばネイルデザイン画像75としての絵柄の画像データに基づいてコーティングインクによる印刷を行う。
また、ネイルデザイン画像の印刷を施さず、爪部Tやネイルチップシート7に透明又は着色されたコーティングインクによりコーティングのみを行う構成としてもよい。光硬化型インクによって形成された光硬化樹脂層はある程度の強度があるため、コーティングインクによるコーティングのみを行っても、爪部Tの保護効果等が期待できる。
なお、図9に示すような絵柄が当初から印刷されているネイルチップシート7や図33に示すような連続的な絵柄が描かれたネイルチップシート7を用いる場合には、ネイルチップ印刷モードの際にネイルデザイン画像75を印刷せず、コーティングインクによるコーティングのみを行うようにしてもよい。このうち、図9に示すような絵柄が描かれたネイルチップシート7を用いる場合には、基準線74から絵柄の中心までの距離と基準線74から各爪部Tの輪郭線の中心までの距離とがほぼ同じになるように合わせることにより、各絵柄を各ネイルチップ70のほぼ中央に配置させることができる。
【0069】
また、ネイルチップ印刷モードの場合、図34(A)に示すように、爪部Tの輪郭線を印刷しない構成としてもよい。この場合には、図32(B)に示すように、剥離層73、粘着層72、貼着層71からなるネイルチップシート7の貼着層71の上に、コーティングインクによるアンダーコート層91、基本色インクによるネイルデザイン画像のインク層92、コーティングインクによるオーバーコート層93を順に重ねて印刷する。この場合、図32(A)及び図32(B)に示すように、輪郭線Rの内側の領域全体にコーティングインクによる印刷が施されるため、輪郭線Rの境界が分かりやすく、輪郭線Rを印刷しなくても、爪領域に対応したネイルチップ70を正しく切出すことが可能である。また、手動で切断するのではなく、ネイルプリント装置1にカッター等を設けて自動的にネイルチップ70の切出しを行う構成とした場合(後述する図35参照)には、爪領域のデータに基づいて切断することができる。このため、輪郭線を印刷しなくても、適切にネイルチップ70を切出すことが可能である。
【0070】
なお、ネイルチップシート7の材質等は特に限定されない。ネイルチップシート7として各種の材質のもの(例えば光沢感のある素材、ラメ入りの素材、スエード調の素材等)を用いたり、予めラインストーン等が貼り付けられたものを用意することにより、よりバリエーションのあるネイルチップ70を簡易に作成することができる。
【0071】
また、本実施形態では、ネイルチップシート7に印刷した後、ユーザが自ら個々のネイルチップ70a〜70eを切り離す場合を例として示したが、例えば図35に示すように、印刷ヘッド46の近傍等にカッター5等の切断手段を設けて、印刷ヘッド46による印刷動作終了後、このカッター5によりネイルチップシート7上に印刷されている輪郭線R1〜R5に沿って各ネイルチップ70を自動的に切り離すように構成してもよい。この場合、制御部51がカッター5等の切断手段を制御する切断制御手段として機能する。なお、切断手段を設ける位置は図示例に限定されない。
また、カッター5によりネイルチップシート7の全ての層を切り離すのではなく、剥離層73のみを残して切断するようにしてもよい。この場合には、切断後、ユーザはカッター5により切断された層(貼着層71、粘着層72)を剥離層73から剥がし取ることにより、粘着層72が露出した状態でネイルチップ70をネイルチップシート7から取り外すことができる。
このように、ネイルチップ70を自動的に切り離すように構成した場合には、ユーザの手を煩わせることなく、より簡易迅速にネイルチップ70を作成することができる。
【0072】
また、本実施形態では、4本指用の指保持部材6a、親指用の指保持部材6bの両方にシート配置部65を設ける構成としたが、シート配置部65は4本指用の指保持部材6a、親指用の指保持部材6bのいずれか一方に設けるものとしてもよい。
また、例えば、4本指用の指保持部材6aと親指用の指保持部材6bとでシート配置部65の深さを変えることにより、薄いネイルチップシート7を用いる場合、シートの上にラインストーン等が配置されて厚みのあるネイルチップシート7を用いる場合等、各種の厚みのネイルチップシート7に対応できるようにしてもよい。
また、例えば、4本指用の指保持部材6aと親指用の指保持部材6bとでシート配置部65の大きさや形状を変えることにより、各種の形状や大きさのネイルチップシート7に対応できるようにしてもよい。
【0073】
また、本実施形態では、人差し指U2から小指U5までを一度に印刷指挿入部20aに挿入して撮影を行い、爪画像変形処理との各種処理を各指別に行うことができる場合を例示しているが、ネイルプリント装置は、複数の指について同時に処理できるものに限定されず、各指について1本ずつ処理を行うものであってもよい。
【0074】
また、この実施形態では、印刷手段である図2等の印刷部40は、基本色インクを印刷する基本色インク用の印刷ヘッド46aと、光により硬化する光硬化型のコーティングインクを印刷するコーティングインク用の印刷ヘッド46bとから構成されているが、基本色インク用の印刷ヘッド46aと、光硬化型のコーティングインクを吐出させながら印刷するペン形状等の吐出部とから構成してもよい。このように構成した場合は、光硬化型のコーティングインクを吐出させながら印刷することができるので、より一層、凹凸の立体感のある印刷を行うことができ、かつ、美しい仕上がりを長く維持することのできる爪部の外観形状またはネイルチップの外観形状を得ることができる。
ペン状の吐出部を用いる場合、光硬化型のコーティングインクは、爪部またはネイルチップシートへの強固な接着効果をえるために、接着剤成分を含んだ光硬化型のコーティングインクを用いるようにしてもよい。
【0075】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
爪部を含む指を撮影して指爪画像を取得する指爪画像取得手段と、
前記指爪画像取得手段により取得された前記指爪画像から前記爪部に対応する爪領域を抽出する爪領域抽出手段と、
基本色インクを印刷する一方で、光により硬化する光硬化型のコーティングインクを印刷するための印刷手段と、
この印刷手段により印刷された前記コーティングインクに対して当該コーティングインクを硬化させるための光を照射する光照射手段と、
前記基本色インクと前記コーティングインクとを用いて、前記爪領域抽出手段によって抽出された前記爪領域と対応する使用者の爪部又はこの爪部に貼付されるネイルチップを生成するためのネイルチップシートに対して印刷を施すように、前記印刷手段を制御する印刷制御手段と、
を備えていることを特徴とするネイルプリント装置。
<請求項2>
爪部を含む指を撮影して指爪画像を取得する指爪画像取得手段と、
前記指爪画像取得手段により取得された前記指爪画像から前記爪部に対応する爪領域を抽出する爪領域抽出手段と、
基本色インクを印刷する一方で、光により硬化する光硬化型のコーティングインクを印刷するための印刷手段と、
この印刷手段により印刷された前記コーティングインクに対して当該コーティングインクを硬化させるための光を照射する光照射手段と、
前記爪領域抽出手段によって抽出された前記爪領域と対応する使用者の爪部又はこの爪部に貼付されるネイルチップを生成するためのネイルチップシートに対して、前記印刷手段により前記コーティングインクを印刷させ、当該コーティングインクに対して前記光照射手段から光を照射させることにより光硬化樹脂層を形成させるとともに、前記印刷手段により前記基本色インクを印刷させてネイルデザイン画像を形成させるように、前記印刷手段及び前記光照射手段を制御する印刷制御手段と、
を備えていることを特徴とするネイルプリント装置。
<請求項3>
前記印刷制御手段は、前記印刷手段により前記基本色インクによる印刷を行う前又は後の少なくともいずれか一方に、前記爪部の全体又は前記ネイルチップシートにおけるネイルチップに対応する領域全体に対して前記コーティングインクを印刷させるとともに、当該コーティングインクに対して前記光照射手段から光を照射させることにより光硬化樹脂層を形成させるように前記印刷手段及び前記光照射手段を制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のネイルプリント装置。
<請求項4>
前記光照射手段は、前記印刷手段の近傍位置に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のネイルプリント装置。
<請求項5>
前記光照射手段は、半導体発光素子又は紫外線ランプであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のネイルプリント装置。
<請求項6>
前記光照射手段は、前記印刷手段とともに駆動して、前記爪領域と対応する使用者の爪部又はこの爪部に貼付されるネイルチップを生成するためのネイルチップシートに印刷された前記コーティングインクに対して光をピンポイントで照射させ、光硬化樹脂層を形成するものであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のネイルプリント装置。
<請求項7>
印刷手段を備えるネイルプリント装置に用いられる印刷制御方法であって、
爪部を含む指を撮影して指爪画像を取得する指爪画像取得ステップと、
前記指爪画像取得ステップにおいて取得された前記指爪画像から前記爪部に対応する爪領域を抽出する爪領域抽出ステップと、
前記爪領域抽出ステップにおいて抽出された前記爪領域と対応する使用者の爪部又はこの爪部に貼付されるネイルチップを生成するためのネイルチップシートに対して、基本色インクと光により硬化する光硬化型のコーティングインクとを用いて印刷を施すように、前記印刷手段を制御する印刷制御ステップと、
前記印刷制御ステップにおいて印刷された前記コーティングインクに対して当該コーティングインクを硬化させるための光を照射する光照射ステップと、
を含んでいることを特徴とする印刷制御方法。
【符号の説明】
【0076】
1 ネイルプリント装置
2 ケース本体
4 蓋体
5 カッター
6 指保持部材
6a 4本指用の指保持部材
6b 親指用の指保持部材
7 ネイルチップシート
10 プリント装置本体
20a 印刷指挿入部
20b 非印刷指挿入部
20c 掴み部(隔壁)
20 印刷指固定部
30 撮影部
32 カメラ
33 照明灯(LED)
40 印刷部
46a 基本色インク用の印刷ヘッド
46b コーティングインク用の印刷ヘッド
50 制御装置
51 制御部
52 ROM
53 RAM
60 保持部材本体
61 指挿入孔
62 指仕切部
63 爪部露出孔
65 シート配置部
70 ネイルチップ
74 基準線
511 爪領域抽出部
512 印刷制御部
513 表示制御部
R1〜R5 輪郭線
T(T1〜T5) 爪部
U(U1〜U5) 対象指
N 非対象指

【特許請求の範囲】
【請求項1】
爪部を含む指を撮影して指爪画像を取得する指爪画像取得手段と、
前記指爪画像取得手段により取得された前記指爪画像から前記爪部に対応する爪領域を抽出する爪領域抽出手段と、
基本色インクを印刷する一方で、光により硬化する光硬化型のコーティングインクを印刷するための印刷手段と、
この印刷手段により印刷された前記コーティングインクに対して当該コーティングインクを硬化させるための光を照射する光照射手段と、
前記基本色インクと前記コーティングインクとを用いて、前記爪領域抽出手段によって抽出された前記爪領域と対応する使用者の爪部又はこの爪部に貼付されるネイルチップを生成するためのネイルチップシートに対して印刷を施すように、前記印刷手段を制御する印刷制御手段と、
を備えていることを特徴とするネイルプリント装置。
【請求項2】
爪部を含む指を撮影して指爪画像を取得する指爪画像取得手段と、
前記指爪画像取得手段により取得された前記指爪画像から前記爪部に対応する爪領域を抽出する爪領域抽出手段と、
基本色インクを印刷する一方で、光により硬化する光硬化型のコーティングインクを印刷するための印刷手段と、
この印刷手段により印刷された前記コーティングインクに対して当該コーティングインクを硬化させるための光を照射する光照射手段と、
前記爪領域抽出手段によって抽出された前記爪領域と対応する使用者の爪部又はこの爪部に貼付されるネイルチップを生成するためのネイルチップシートに対して、前記印刷手段により前記コーティングインクを印刷させ、当該コーティングインクに対して前記光照射手段から光を照射させることにより光硬化樹脂層を形成させるとともに、前記印刷手段により前記基本色インクを印刷させてネイルデザイン画像を形成させるように、前記印刷手段及び前記光照射手段を制御する印刷制御手段と、
を備えていることを特徴とするネイルプリント装置。
【請求項3】
前記印刷制御手段は、前記印刷手段により前記基本色インクによる印刷を行う前又は後の少なくともいずれか一方に、前記爪部の全体又は前記ネイルチップシートにおけるネイルチップに対応する領域全体に対して前記コーティングインクを印刷させるとともに、当該コーティングインクに対して前記光照射手段から光を照射させることにより光硬化樹脂層を形成させるように前記印刷手段及び前記光照射手段を制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のネイルプリント装置。
【請求項4】
前記光照射手段は、前記印刷手段の近傍位置に設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のネイルプリント装置。
【請求項5】
前記光照射手段は、半導体発光素子又は紫外線ランプであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のネイルプリント装置。
【請求項6】
前記光照射手段は、前記印刷手段とともに駆動して、前記爪領域と対応する使用者の爪部又はこの爪部に貼付されるネイルチップを生成するためのネイルチップシートに印刷された前記コーティングインクに対して光をピンポイントで照射させ、光硬化樹脂層を形成するものであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のネイルプリント装置。
【請求項7】
印刷手段を備えるネイルプリント装置に用いられる印刷制御方法であって、
爪部を含む指を撮影して指爪画像を取得する指爪画像取得ステップと、
前記指爪画像取得ステップにおいて取得された前記指爪画像から前記爪部に対応する爪領域を抽出する爪領域抽出ステップと、
前記爪領域抽出ステップにおいて抽出された前記爪領域と対応する使用者の爪部又はこの爪部に貼付されるネイルチップを生成するためのネイルチップシートに対して、基本色インクと光により硬化する光硬化型のコーティングインクとを用いて印刷を施すように、前記印刷手段を制御する印刷制御ステップと、
前記印刷制御ステップにおいて印刷された前記コーティングインクに対して当該コーティングインクを硬化させるための光を照射する光照射ステップと、
を含んでいることを特徴とする印刷制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公開番号】特開2012−179320(P2012−179320A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45874(P2011−45874)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】