説明

ネジ供給方法、及びネジ供給システム

【課題】整列されていないネジを混入させること無く、複数のネジを整列させて所定の装置へ供給するための処理の効率を全体として向上できるネジ供給方法を得ること。
【解決手段】ネジ供給方法は、磁石プレートと前記磁石プレート側にそれぞれ延びた複数の貫通孔が形成された本体部分とを有する整列治具における前記本体部分の上に置かれた複数のネジのうち一部のネジのそれぞれが前記貫通孔を介して前記磁石プレートに磁気吸着されるように、前記整列治具に対して振るい動作を行う振るい工程と、前記振るい工程の後に、前記一部のネジのそれぞれが前記貫通孔を介して前記磁石プレートに磁気吸着された状態を維持しながら、前記整列治具における前記本体部分の上に残ったネジを除去する除去工程と、前記除去工程の後に、前記整列治具で整列された前記一部のネジを所定の装置へ供給する供給工程とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネジ供給方法、及びネジ供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の部品をネジ締めで結合させて組み立てる作業を自動で行う装置が存在する。このような装置が効率的にネジ締めを行うためには、複数のネジを整列させてその装置に供給する必要がある。
【0003】
特許文献1には、部品整列装置において、検査カメラが、パレット上に載せられた複数のボルトを撮影し、制御盤が、撮影画像から複数のボルトの整列率を算出し、整列率に応じてパレットの振動及び揺動させるように搬送ロボットを制御することが記載されている。具体的には、整列率が10%を超えるまで周波数35Hz及び振り幅1.5mmでパレットを振動させ、整列率が10%を超えた後に整列率が45%を超えるまで周波数50Hz及び振り幅1.0mmでパレットを振動させ、整列率が45%を超えた後に整列率が80%を超えるまで周波数40Hz及び振り幅1.4mmでパレットを振動させ、整列率が80%を超えた後に周波数55Hz及び振り幅1.0mmでパレットを振動させながらパレットにおける整列率の低い領域にボルトを誘導するようにパレットを揺動するものとされている。これにより、特許文献1によれば、整列率に応じてパレットの振動及び揺動の態様を変化させるので、短時間でボルトを整列させることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−189078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術は、ボルトの整列率が高くなるに従ってパレットの振動及び揺動の態様を段階的に変化させていくものであり、パレット上に載せられた全てのボルトを最終的に100%に近い整列率で整列させるために、パレットの整列孔の数と同数のボルトを予め数えてパレット上に載せることが前提となっていると考えられる。
【0006】
しかし、パレット(整列治具)の整列孔(貫通孔)の数と同数のボルト(ネジ)を予め数える作業は煩雑で時間がかかるものであり、複数のネジを整列させて所定の装置へ供給するための処理の効率を全体として低下させる可能性がある。
【0007】
仮に、ネジの数を予め数えずに整列治具の貫通孔の数より多数のネジを整列治具上に載せた場合、100%に近い整列率で整列させた状態においても整列治具上に整列されていないネジが残存することになる。この場合、整列されていないネジが混入されたままの状態で所定の装置へネジを供給することになるので、所定の装置においてネジを取り出す際にネジの引っ掛かりなどが発生し、所定の装置がチョコ停(一時停止)する可能性がある。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、整列されていないネジを混入させること無く、複数のネジを整列させて所定の装置へ供給するための処理の効率を全体として向上できるネジ供給方法、及びネジ供給システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の1つの側面にかかるネジ供給方法は、磁石プレートと前記磁石プレート側にそれぞれ延びた複数の貫通孔が形成された本体部分とを有する整列治具における前記本体部分の上に置かれた複数のネジのうち一部のネジのそれぞれが前記貫通孔を介して前記磁石プレートに磁気吸着されるように、前記整列治具に対して振るい動作を行う振るい工程と、前記振るい工程の後に、前記一部のネジのそれぞれが前記貫通孔を介して前記磁石プレートに磁気吸着された状態を維持しながら、前記整列治具における前記本体部分の上に残ったネジを除去する除去工程と、前記除去工程の後に、前記整列治具で整列された前記一部のネジを所定の装置へ供給する供給工程とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、除去工程において本体部分の上に残ったネジを除去するので、振るい工程において短い時間(例えば、一定時間)で振るい動作を終了させても、整列されていないネジを混入させること無く、複数のネジを整列させて所定の装置へ供給することができる。すなわち、整列されていないネジを混入させること無く、複数のネジを整列させて所定の装置へ供給するための処理の効率を全体として向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施の形態1にかかるネジ供給システムの構成を示す図である。
【図2】図2は、実施の形態1にかかるネジ供給システムの動作を示すシーケンス図である。
【図3】図3は、実施の形態1における磁気吸着システムの構成及び動作を示す図である。
【図4】図4は、実施の形態1における本体部分の構成を示す図である。
【図5】図5は、実施の形態1における磁石プレートの構成を示す図である。
【図6】図6は、実施の形態1における整列治具の構成を示す図である。
【図7】図7は、実施の形態1におけるロボットハンドの構成を示す図である。
【図8】図8は、実施の形態1におけるロボットによる把持動作を示す図である。
【図9】図9は、実施の形態1におけるロボットによるネジの除去動作を示す図である。
【図10】図10は、実施の形態1の変形例にかかるネジ供給システムの動作を示すシーケンス図である。
【図11】図11は、実施の形態1の他の変形例にかかるネジ供給システムの動作を示すシーケンス図である。
【図12】図12は、実施の形態2にかかるネジ供給システムの動作を示すシーケンス図である。
【図13】図13は、実施の形態2における磁気吸着システムの動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明にかかるネジ供給方法、及びネジ供給システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
実施の形態1.
実施の形態1にかかるネジ供給システム1について図1を用いて説明する。図1は、ネジ供給システム1の概略構成を示す図である。
【0014】
ネジ供給システム1は、複数のネジを所定の装置APへ供給するためのシステムである。所定の装置APは、複数のネジを用いて所定の作業を行う装置である。所定の装置APは、例えば、ネジ締め装置であり、複数のネジを受けたら、移動機構AP1が受けた複数のネジを順次にレールAP2に載せて移動させ、ネジ締め機構AP3がレールAP2を介して順次に移動してきたネジTを複数の被加工物WKのネジ孔に挿通させるようにネジ締めする。すなわち、所定の装置APは、例えば、複数の部品をネジ締めで結合させて組み立てる作業を自動で行う装置である。この所定の装置APが効率的にネジ締めを行うためには、複数のネジを整列させて所定の装置APに供給する必要がある。
【0015】
そこで、ネジ供給システム1は、所定のトレー内にバラ積みされた複数のネジを取り出し整列させて所定の装置APへ供給する。具体的には、ネジ供給システム1は、整列治具10、磁気吸着ユニット20、ロボット30、テーブルユニット40、及び制御部50を備える。
【0016】
整列治具10は、複数のネジを整列させるための治具であり、本体部分11と磁石プレート12とを組合せることにより構成される。本体部分11には、複数の貫通孔111−1〜111−20(図4(b)参照)が形成されている。各貫通孔111−1〜111−20は、本体部分11と磁石プレート12とが組合された状態において、磁石プレート12側に延びている。整列治具10の詳細な構成は後述する。
【0017】
テーブルユニット40は、台座46、複数のトレー41〜44、及び回転機構45を有する。複数のトレー41〜44は、台座46上に載置されている。台座46は、回転機構45により回転可能に構成されている。複数のトレー41〜44には、例えば、互いに異なる種類のネジがバラ積みされている。また、各トレー41〜44内には、例えば同一種類のネジがバラ積みされている。
【0018】
磁気吸着ユニット20は、複数のネジを一括して磁気吸着する。例えば、磁気吸着ユニット20は、下方に位置するトレー41〜44から複数のネジを一括して磁気吸着することにより、複数のネジを一括して取り出す。例えば、磁気吸着ユニット20は、上記のように一括して取り出した複数のネジを保持しておき、ロボット30により整列治具10が磁気吸着ユニット20の下方に移動された状態でその磁気吸着を解除することで、磁気吸着していた複数のネジを一括して整列治具10の本体部分11上に落下させ投入する。
【0019】
磁気吸着ユニット20は、図3(a)に示すように、ハンド部21、稼動部22、マグネット部23、及び稼動部24を有する。稼動部22は、例えばエアーシリンダを有し、エアーシリンダを用いてハンド部21を上下に移動させる。稼動部24は、例えばエアーシリンダを有し、エアーシリンダを用いてマグネット部23を上下に移動させる。マグネット部23は、下部に例えば板状の永久磁石23aを有する。例えば、稼動部22がハンド部21をネジの近傍まで移動させ、稼動部24がマグネット部23をハンド部21の凹部21aの底面まで移動させることで、ハンド部21の外側底面にネジを磁気吸着できる。また、例えば、稼動部24がマグネット部23をハンド部21の凹部21aの底面から上に離れるように移動させることで、ハンド部21の外側底面における磁気吸着を解除してネジを落下させることができる。
【0020】
なお、永久磁石23a、ハンド部21の形状、大きさ、厚みの違いによって磁気吸着させるネジの本数は調整可能である。
【0021】
ロボット30は、例えば、6自由度の多関節ロボットであり、複数のロボットアーム34−1〜34−3、複数の関節部35−1〜35−3、基部36、フランジ32、ビジョンセンサ33、及びロボットハンド31を有する。複数のロボットアーム34−1〜34−3は、複数の関節部35−1〜35−3を介して基部36に接続されている。ロボットアーム34−1の先端には、フランジ32が設けられている。フランジ32には、ロボットアーム34−1とフランジ32とを相対的に回転させる回転機構32aが設けられている(図9(a)、(b)参照)。また、フランジ32には作業用のツールとして例えばロボットハンド31等が装着される。そして、フランジ32には、ロボットハンド31等のツールと並んでビジョンセンサ33が取り付けられている。ロボットハンド31等及びフランジ32の位置と姿勢はロボットコントローラ51が制御している。これにより、ロボット30は、所定の対象物に対して所定の作業を行う。
【0022】
なお、ロボット30は、汎用の産業用ロボットを用いることができる。すなわち、ロボット30は、他のシステム用の動作も行いながら、その空き時間にネジ供給システム1用の動作を行なうようにすることができる。これにより、ネジ供給システム1を構築するためのコストの増大を抑制できる。
【0023】
制御部50は、ネジ供給システム1における各部を全体的に制御する。制御部50は、ロボットコントローラ51及びシーケンサ(PLC:プログラマブルロジックコントローラ)52を有する。ロボットコントローラ51は、ロボットプログラムに従って、ロボット30を制御するとともに、シーケンサ(PLC)52との間で所定の制御信号を送受信する。シーケンサ(PLC)52は、例えば、ロボットコントローラ51から受信した制御信号に応じて、磁気吸着ユニット20及びテーブルユニット40を制御する。
【0024】
例えば、制御部50は、まず、磁気吸着ユニット20が複数のネジを一括して本体部分11の上に投入するように、磁気吸着ユニット20を制御する。制御部50は、第1の期間において、整列治具10に対して振るい動作を行うように、ロボット30を制御する。これにより、整列治具10における本体部分11の上に置かれた複数のネジのうち一部のネジのそれぞれが貫通孔111−1〜111−20を介して磁石プレート12に磁気吸着されるようにする。制御部50は、第2の期間において、一部のネジのそれぞれが貫通孔111−1〜111−20を介して磁石プレート12に磁気吸着された状態を維持しながら、整列治具10における本体部分11の上に残ったネジを除去する。第2の期間は、第1の期間に続く期間である。制御部50は、第3の期間において、整列治具10で整列された一部のネジを所定の装置APへ供給するように、ロボット30を制御する。第3の期間は、第2の期間に続く期間である。
【0025】
次に、整列治具10の構成について図4〜6を用いて説明する。図4(a)、(b)、(c)は、整列治具10の一部となるべき本体部分11の構成をそれぞれ示す正面図、平面図、側面図である。図5(a)、(b)、(c)は、整列治具10の他の一部となるべき磁石プレート12の構成をそれぞれ示す正面図、平面図、側面図である。図6(a)、(b)、(c)は、本体部分11と磁石プレート12とが組み合わされた整列治具10の構成をそれぞれ示す正面図、平面図、側面図である。
【0026】
本体部分11は、図4(a)〜(c)に示すように、板状部113、壁部112、複数の貫通孔111−1〜111−20、被把持部114、被把持部115、板状部116、及び板状部117を有する。
【0027】
板状部113は、板状の部材であり、例えば平面視において略矩形の形状を有している。板状部113は、着磁されにくい材料で形成されており、例えばステンレスや樹脂などで形成されている。板状部113に対して、主面113b側は、磁石プレート12側となるべき側である。
【0028】
壁部112は、板状部113から遠ざかるように、板状部113の主面113a側の縁部から延びている。壁部112は、平面視において板状部113の主面113aを内側に含む。壁部112の内側面112aと板状部113の主面113aとにより囲まれて、凹部112bが形成されている。凹部112bは、磁気吸着ユニット20により複数のネジが投入されるべき空間として機能する。
【0029】
複数の貫通孔111−1〜111−20は、板状部113に形成されている。複数の貫通孔111−1〜111−20は、平面視において、例えば2次元的に配列されている。複数の貫通孔111−1〜111−20は、配置のピッチが2次元的に略一様であってもよい。各貫通孔111−1〜111−20は、板状部113の主面113aと主面113bとを貫通している。
【0030】
各貫通孔111−1〜111−20は、孔部111a及び座繰り部111bを有する。座繰り部111bは、例えば、孔部111a側の平面幅が狭い略円錐台形状を有し、孔部111a側の平面幅が孔部111aの平面幅に対応している。これにより、座繰り部111bの近傍に位置するネジを孔部111aに導きやすい。
【0031】
各貫通孔111−1〜111−20は、複数の種類のネジを挿通可能である寸法を有している。例えば、孔部111a側の平面幅は、複数のトレー41〜44に入れられたいずれのネジの軸部よりも大きく且つ頭部より小さい寸法を有している。
【0032】
被把持部114は、板状部113の一端辺113c側に接続され、板状部113における主面113b側を下にした場合に、壁部112の上端より高い位置まで主面113aに略垂直な方向に延びている。板状部113の一端辺113cに沿った方向における被把持部114の幅は、板状部113の一端辺113cに沿った方向における被把持部115の幅より狭い。被把持部114の板状部113の一端辺113cに沿った方向の側面114d1、114d2には、壁部112の上端より高い位置において、ロボットハンド31の爪31a、31b(図7(a)〜(c)参照)により把持されるための穴114a、114bが形成されている。
【0033】
被把持部115は、被把持部114を介して板状部113の一端辺113c側に接続され、板状部113における主面113b側を下にした場合に、被把持部114の上であって壁部112の上端より高い位置に配されている。板状部113の一端辺113cに沿った方向における被把持部115の幅は、板状部113の一端辺113cに沿った方向における被把持部114の幅より広い。これにより、被把持部115は、被把持部115の側面115d1、115d2と被把持部114の側面114d1、114d2との段差を形成する段差部115c1、115c2を有する。被把持部115の板状部113の一端辺113cに沿った方向の側面115d1、115d2には、ロボットハンド31の爪31c、31d(図7(a)〜(c)参照)により把持されるための穴115a、115bが形成されている。
【0034】
板状部116は、被把持部114に隣接した位置において、板状部113の一端辺113cに接続されている。板状部116は、被把持部114との間に所定幅の隙間116aを形成しながら、板状部113の主面113aに沿って板状部113から離れるように延びている。
【0035】
板状部117は、被把持部114に板状部116と反対側で隣接した位置において、板状部113の一端辺113cに接続されている。板状部117は、被把持部114との間に所定幅の隙間117aを形成しながら、板状部113の主面113aに沿って板状部113から離れるように延びている。
【0036】
磁石プレート12は、図5(a)〜(c)に示すように、板状部122、磁石部121、板状部123、及び被把持部124を有する。
【0037】
板状部122は、板状部113に対応した板状の部材であり、平面視において板状部113に対応した形状を有しており、平面視において例えば略矩形の形状を有している。板状部122は、着磁されにくい材料で形成されており、例えばステンレスや樹脂などで形成されている。板状部122に対して、主面122a側は、本体部分11側となるべき側である。
【0038】
磁石部121は、板状部122の主面122a上に例えば接着されている。磁石部121は、平面視において、複数の貫通孔111−1〜111−20に対応した形状を有しており、例えば本体部分11と磁石プレート12とが組み合わされた際に、平面視において複数の貫通孔111−1〜111−20を含むような形状を有している。磁石部121は、例えば永久磁石で形成されている。
【0039】
板状部123は、板状部122の一端辺122cに接続され、板状部122の主面122aに沿って板状部122から離れるように延びている。
【0040】
被把持部124は、板状部122の一端辺122c側で板状部123に接続されている。被把持部124は、正面視において被把持部114に対応した形状を有しており、例えば略U字形状を有している。被把持部124において、例えば、U字の底部124fが板状部123の本体部分11側となるべき側の反対側の主面123bにネジ124iで固定されている。被把持部124は、例えば、U字の2つの立ち上がり部124g、124hが、板状部122における主面122b側を下にした場合に、上側に延びている。2つの立ち上がり部124g、124hは、側面視において被把持部114に対応した形状を有している。2つの立ち上がり部124g、124hは、板状部122における主面122b側を下にした場合に、上面となる端面124e1、124e2が、段差部115c1、115c2に当接されるべき面となっている。
【0041】
2つの立ち上がり部124g、124hには、被把持部114の穴114a、114bに対応した位置において、ロボットハンドの爪により把持されるための穴124a、124b、124c、124dが形成されている。例えば、2つの立ち上がり部124g、124hには、本体部分11と磁石プレート12とが組み合わされた際に被把持部114の穴114a、114bと整合する位置において、ロボットハンドの爪により把持されるための穴124a、124b、124c、124dが形成されている。
【0042】
整列治具10は、図6(a)〜(c)に示すように、本体部分11と磁石プレート12とが組合せることにより構成される。
【0043】
具体的には、整列治具10において、磁石プレート12の被把持部124が本体部分11の隙間116a、117aに通されるとともに、磁石プレート12の2つの立ち上がり部124g、124hの端面124e1、124e2が本体部分11の段差部115c1、115c2に当接されるように、本体部分11と磁石プレート12とが組み合わされている。
【0044】
また、磁石プレート12の被把持部114の端面124e1、124e2が本体部分11の段差部115c1、115c2に当接することにより、磁石プレート12の板状部122は、本体部分11の板状部113と離間して配される。板状部113の主面113bと板状部122の主面122aとは、互いに対向している。板状部113の主面113bは、磁石部121に向いている。複数の貫通孔111−1〜111−20は、凹部112bから磁石プレート12の磁石部121側に延びている。
【0045】
なお、整列させるべきネジの長さに応じて、磁石プレート12の被把持部124の底部124fと板状部123との間にワッシャーなどのスペーサが挿入されてネジ124iで固定することで、磁石プレート12の板状部122と本体部分11の板状部113との間隔を調整することもできる。
【0046】
次に、ネジ供給システム1の動作について図2を用いて説明する。図2は、ネジ供給システム1の動作を示すシーケンス図である。
【0047】
まず、初期状態では、本体部分11及び磁石プレート12が互いに分離された状態でそれぞれ所定の置き場に載置されている。
【0048】
ステップS1では、ロボットコントローラ51が、取り出すべきネジの種類を決定し、決定したネジの種類の投入準備をするための投入準備指令をシーケンサ52へ送信する。
【0049】
シーケンサ52は、投入準備指令を受信すると、ステップS2〜S5の処理が行なわれるように制御する。
【0050】
ステップS2では、シーケンサ52が、複数のトレー41〜44のうち投入指令に示されたネジの種類に対応したトレー41〜44を決定する。シーケンサ52は、テーブルユニット40を制御して、決定したトレー41〜44が磁気吸着ユニット20の下方に位置するように回転機構45を介して台座46を回転させる。
【0051】
ステップS3では、シーケンサ52が、磁気吸着ユニット20を制御して、ハンド部21をトレー41〜44内のネジの近傍まで下降させる。
【0052】
ステップS4では、シーケンサ52が、磁気吸着ユニット20を制御して、マグネット部23をハンド部21の凹部21aの底面まで下降させる(図3(a)参照)。これにより、トレー41〜44内の複数のネジを一括して磁気吸着できる。
【0053】
ステップS5では、シーケンサ52が、磁気吸着ユニット20を制御して、マグネット部23がハンド部21の凹部21aの底面に当接した状態を維持しながら、ハンド部21を上昇させる。これにより、トレー41〜44から複数のネジを一括して取り出すことができる。シーケンサ52は、ハンド部21の上昇が完了したら、準備完了通知をロボットコントローラ51に送信する。
【0054】
ステップ6では、ロボットコントローラ51が、準備完了通知を受信していなければ、ネジの準備が完了していない(ステップS6でNo)と判断して処理をステップS6へ進め、準備完了通知を受信すると、ネジの準備が完了した(ステップS6でYes)と判断して処理をステップS7へ進める。
【0055】
ステップS7では、ロボットコントローラ51が、ロボットハンド31を本体部分11用の所定の置き場まで移動させ、ロボットハンド31が本体部分11を把持して取り出すように、ロボット30を制御する。すなわち、ロボットハンド31の爪31a、31bを本体部分11の被把持部115の穴115a、115bに入れるとともに、ロボットハンド31の爪31c、31dを本体部分11の被把持部115の穴115c、115dに入れることで、把持するように制御する(図4(c)、図8(a)参照)。
【0056】
ステップS8では、ロボットコントローラ51が、ロボットハンド31が取り出した本体部分11をネジ投入位置まで移動するように、ロボット30を制御する。すなわち、本体部分11を磁気吸着ユニット20の下方に移動するように制御する(図3(b)参照)。ロボットコントローラ51は、本体部分11をネジ投入位置まで移動したら、ネジを投入するように指令する投入指令をシーケンサ52へ送信する。
【0057】
シーケンサ52は、投入指令を受信すると、ステップS9〜S10の処理が行なわれるように制御する。
【0058】
ステップS9では、シーケンサ52が、マグネット部23をハンド部21の凹部21aの底面から離れるように上昇させる(図3(c)参照)。
【0059】
ステップS10では、ハンド部21の外側底面における磁気吸着が解除され、磁気吸着されていたネジが本体部分11の上に落下する。シーケンサ52は、例えば、所定時間が経過したことに応じて、ネジの落下が完了したものとして、投入完了通知をロボットコントローラ51へ送信する。
【0060】
ステップS11では、ロボットコントローラ51が、投入完了通知を受信していなければ、ネジの受け取りが完了していない(ステップS11でNo)と判断して処理をステップS11へ進め、投入完了通知を受信すると、ネジの受け取りが完了した(ステップS11でYes)と判断して処理をステップS12へ進める。
【0061】
ステップS12では、ロボットコントローラ51が、ロボットハンド31が本体部分11をネジ投入位置から退避させるように、ロボット30を制御する。ロボットコントローラ51は、ロボットハンド31が本体部分11を磁石プレート12用の所定の置き場まで移動させるように、ロボット30を制御する。
【0062】
ステップS13では、ロボットコントローラ51が、ロボットハンド31が本体部分11を磁石プレート12と組合せる(図6(a)〜(c)参照)ように、ロボット30を制御する。
【0063】
そして、ロボットコントローラ51は、ロボットハンド31が本体部分11及び磁石プレート12を同時に把持して取り出すように、ロボット30を制御する。このとき、ロボットハンド31の爪31a、31bを本体部分11の穴114a、114bと磁石プレート12の穴124a、124bとに入れるとともに、ロボットハンド31の爪31c、31dを本体部分11の穴114c、114dと磁石プレート12の穴124c、124dとに入れるように制御する(図4(c)、図5(c)、図8(b)参照)。
【0064】
ステップS14では、ロボットコントローラ51が、整列治具10に対して振るい動作(ネジの振るい動作)を行うように、ロボット30を制御する。これにより、整列治具10における本体部分11の上に置かれた複数のネジのうち一部のネジのそれぞれが貫通孔111−1〜111−20を介して磁石プレート12に磁気吸着されるようにする(図9(a)参照)。
【0065】
すなわち、ロボットコントローラ51は、ロボットハンド31が本体部分11及び磁石プレート12を同時に把持した状態を維持しながら、本体部分11及び磁石プレート12に所定の周波数、所定の振り幅、及び所定の回数で振動を与える。これにより、本体部分11に形成された貫通孔111−1〜111−20にネジを誘導し、頭部を上に向けて複数のネジを同時に整列させる。このとき、ロボットコントローラ51は、複数の貫通孔111−1〜111−20における一部の貫通孔111−1〜111−20にネジが挿通されていない状態を許容するように、予め定められた一定時間が経過したことに応じて振るい動作を終了させる。
【0066】
なお、振るい動作における、整列治具10のふり幅、周期、振るい動作回数はロボットプログラムによって任意に設定可能である。これにより、ネジの種類に応じた適切な振るい動作を実現できる。
【0067】
ステップS15では、ロボットコントローラ51が、一部のネジのそれぞれが貫通孔111−1〜111−20を介して磁石プレート12に磁気吸着された状態を維持しながら、整列治具10における本体部分11の上に残ったネジを除去するように、ロボット30を制御する。具体的には、ロボットコントローラ51は、ロボット30を制御して、一部のネジのそれぞれが貫通孔111−1〜111−20を介して磁石プレート12に磁気吸着された状態を維持しながら、本体部分11の上に残ったネジが整列治具10から落下するように整列治具10をひっくり返す。
【0068】
すなわち、ロボットコントローラ51は、ロボットハンド31が本体部分11及び磁石プレート12を同時に把持した状態を維持しながら、整列治具10をステップS2で決定されたトレー41〜44の上方まで移動させる。そして、ロボットコントローラ51は、回転機構32aが、整列治具10の姿勢を、本体部分11の上に残ったネジが整列治具10から落下するような姿勢に変更するように、ロボット30を制御する(図9(b)参照)。これにより、整列されず本体部分11の上に残ったネジを、ロボット30の動作によってトレー41〜44に戻す。これにより、整列されなかったネジを再利用可能な状態に戻すことができる。
【0069】
ステップS16では、ロボットコントローラ51が、整列治具10において本体部分11から磁石プレート12を分離するように、ロボット30を制御する。
【0070】
具体的には、ロボットコントローラ51は、ロボット30を制御して、本体部分11と磁石プレート12とが組み合わされた整列治具10を磁石プレート12用の所定の置き場に載置させ、本体部分11及び磁石プレート12の把持を解除する。そして、ロボットコントローラ51は、ロボット30を制御して、磁石プレート12用の所定の置き場に載置された整列治具10から本体部分11を選択的に取り出す。
【0071】
すなわち、ロボットコントローラ51は、ロボットハンド31の爪31a、31bを本体部分11の被把持部115の穴115a、115bに入れるとともに、ロボットハンド31の爪31c、31dを本体部分11の被把持部115の穴115c、115dに入れることで、本体部分11を選択的に把持するように制御する(図8(a)参照)。
【0072】
ステップS17では、ロボットコントローラ51が、ロボットハンド31が本体部分11を本体部分11用の所定の置き場(所定位置)へ移動するように、ロボット30を制御する。ロボットコントローラ51は、必要に応じて、本体部分11の把持を解除する。
【0073】
ステップS18では、ロボットコントローラ51が、整列治具10で整列されたネジを所定の装置APへ供給する。すなわち、ロボットコントローラ51は、ロボットハンド31が本体部分11を所定の装置APまで移動するように、ロボット30を制御する。
【0074】
これにより、所定の装置APは、整列された複数のネジを用いて所定の作業を行う。例えば、所定の装置APがネジ締め装置である場合、所定の装置APは、複数のネジを受けたら、移動機構AP1が受けた複数のネジを順次にレールAP2に載せて移動させ、ネジ締め機構AP3がレールAP2を介して順次に移動してきたネジTを複数の被加工物WK1、WK2のネジ孔に挿通させるようにネジ締めする(図1参照)。
【0075】
ここで、仮に、ステップS15の処理を行わない場合について考える。この場合、本体部分11の上に整列されないネジが残ったままの状態で、本体部分11を所定の装置APまで移動することになる。これにより、整列されていないネジが混入されたままの状態で所定の装置APへネジを供給することになるので、所定の装置APにおいてレールAP2上でネジが詰まることなどが発生し、所定の装置APがチョコ停(一時停止)してしまう。この結果、所定の装置APによるネジを用いた作業の効率が低下する傾向にある。
【0076】
それに対して、実施の形態1では、ステップS15において、一部のネジのそれぞれが貫通孔111−1〜111−20を介して磁石プレート12に磁気吸着された状態を維持しながら、整列治具10における本体部分11の上に残ったネジを除去する。これにより、整列されていないネジを混入させること無く、複数のネジを整列させて所定の装置APへ供給することができる。
【0077】
また、実施の形態1では、ステップS15において、一部のネジのそれぞれが貫通孔111−1〜111−20を介して磁石プレート12に磁気吸着された状態を維持しながら、本体部分11の上に残ったネジが整列治具10から落下するように整列治具10をひっくり返すように、ロボット30を制御する。これにより、整列治具10における本体部分11の上に残ったネジを除去する処理を容易に実現できる。
【0078】
あるいは、仮に、ステップS1〜S6の処理を行わずに、本体部分11の貫通孔111−1〜111−20の数と同数のネジを数えて本体部分11上に載せる処理を行う場合を考える。この処理を作業者が行う場合、本体部分11の貫通孔111−1〜111−20の数と同数のネジを数える作業が非常に煩雑で時間がかかるため、ネジを投入する処理の時間が長くなる傾向にある。あるいは、この作業を自動で行う場合、ロボットコントローラ51がロボットハンド31及びビジョンセンサ33を介して本体部分11の貫通孔111−1〜111−20の数と同数のネジを数えることになる。この場合も、本体部分11の貫通孔111−1〜111−20の数と同数のネジを数える作業が非常に煩雑で時間がかかるため、ネジを投入する処理の時間が長くなる傾向にある。ネジを投入する処理の時間が長くなると、複数のネジを整列させて所定の装置APへ供給するための処理の効率を全体として低下させる可能性がある。
【0079】
それに対して、実施の形態1では、ステップS1〜S6において、磁気吸着ユニット20が、トレー41〜44から複数のネジを一括して磁気吸着して取り出し、取り出した本体部分11の上に一括して投入する。これにより、ネジを投入する処理の時間を短縮できるので、複数のネジを整列させて所定の装置APへ供給するための処理の効率を全体として向上させることができる。
【0080】
あるいは、仮に、ステップS14において、本体部分11におけるネジの整列率をモニタしながら、本体部分11の全ての貫通孔111−1〜111−20にネジが挿通される状態になるまで振るい動作を行う場合について考える。この場合、ロボットコントローラ51がビジョンセンサ33を介して本体部分11上のネジの整列状態を画像認識し画像処理を行ってネジの整列率を計算するという複雑な処理を定期的に繰り返し行う必要がある。さらに、全ての貫通孔111−1〜111−20にネジを誘導するために、ネジの整列率を100%に近づけるために、ネジの整列率に応じて、整列治具10の振動及び揺動の態様を段階的に変化させていく必要がある。これにより、振るい動作の処理の時間が長くなる傾向にある。振るい動作の処理の時間が長くなると、複数のネジを整列させて所定の装置APへ供給するための処理の効率を全体として低下させる可能性がある。
【0081】
それに対して、実施の形態1では、ステップS14において、複数の貫通孔における一部の貫通孔にネジが挿通されていない状態を許容するように、予め定められた一定時間が経過したことに応じて振るい動作を終了させる。これにより、振るい動作の処理の時間を短縮できるので、複数のネジを整列させて所定の装置APへ供給するための処理の効率を全体として向上させることができる。
【0082】
また、実施の形態1では、ステップS14において、整列治具10における本体部分11の上に置かれた複数のネジのうち一部のネジのそれぞれが貫通孔111−1〜111−20を介して磁石プレート12に磁気吸着されるように、整列治具10に対して振るい動作を行う。これにより、一度整列されたネジは貫通孔111−1〜111−20を介して磁石プレート12に磁気吸着された状態に維持されるので、一度整列されたネジが貫通孔111−1〜111−20から飛び出すことを抑制できるので、短い時間であっても効率的且つ安定的に振るい動作を行うことができる。
【0083】
また、実施の形態1では、ステップS15において本体部分11の上に残ったネジを除去するので、ステップS14において短い時間(例えば、一定時間)で振るい動作を終了させても、整列されていないネジを混入させること無く、複数のネジを整列させて所定の装置APへ供給することができる。すなわち、整列されていないネジを混入させること無く、複数のネジを整列させて所定の装置APへ供給するための処理の効率を全体として向上できる。
【0084】
また、実施の形態1では、本体部分11における複数の貫通孔111−1〜111−20のそれぞれは、複数の種類のネジを挿通可能である寸法を有している。これにより、ネジの種類に応じて本体部分11を変更するための処理が不要であるため、複数のネジを整列させて所定の装置APへ供給するための処理の効率を全体として向上させることができる。
【0085】
あるいは、仮に、整列治具10において本体部分11から磁石プレート12が不可能なように整列治具10が構成されている場合について考える。この場合、複数のネジのそれぞれが貫通孔111−1〜111−20を介して磁石プレート12に磁気吸着された状態を維持しながら、複数のネジが所定の装置APへ供給されることになる。これにより、所定の装置APが複数のネジを本体部分11から取り出すことが困難になる。
【0086】
それに対して、実施の形態1では、ステップS16において本体部分11から磁石プレート12が分離され、ステップS18において本体部分11が単独で所定の装置APへ移動する。これにより、所定の装置APが複数のネジを本体部分11から容易に取り出すことができる。
【0087】
なお、ロボットハンド31が本体部分11を磁石プレート12と組合せる処理は、ネジの振るい動作(ステップS14)を行なうときまでに行なわれていればよく、図2に示す場合に限定されない。
【0088】
例えば、図10に示すように、ロボットハンド31が本体部分11を磁石プレート12と組合せる処理(ステップ23)は、ステップS8の後ステップS11の前に行なわれてもよい。
【0089】
あるいは、例えば、図11に示すように、ロボットハンド31が本体部分11を磁石プレート12と組合せる処理(ステップ33)は、ステップS7の後ステップS8の前に行なわれてもよい。
【0090】
実施の形態2.
次に、実施の形態2にかかるネジ供給システムについて説明する。以下では、実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
【0091】
実施の形態1では、整列治具10をひっくり返すことで残ったネジを除去しているが、実施の形態2では、整列治具10をひっくり返さずに、本体部分11の上に残ったネジを磁気吸着することで除去する。
【0092】
具体的には、実施の形態2にかかるネジ供給システムは、図12に示すように、ネジの除去動作(ステップS45)の内容が実施の形態1と異なる。
【0093】
ステップS45では、制御部50が、ステップS45−1〜ステップS45−5を行うように、ロボット30及び磁気吸着ユニット20を制御する。
【0094】
ステップS45−1では、ロボットコントローラ51が、ロボット30を制御して、本体部分11と磁石プレート12とが組み合わされた整列治具10を磁気吸着ユニット20の下方に移動させる。ロボットコントローラ51は、整列治具10を磁気吸着ユニット20の下方まで移動したら、ネジを除去するように指令する除去指令をシーケンサ52へ送信する。
【0095】
シーケンサ52は、除去指令を受信すると、ステップS45−2〜S45−4、S45−6、S45−7の処理が行なわれるように制御する。
【0096】
ステップS45−2では、シーケンサ52が、磁気吸着ユニット20を制御して、ハンド部21を本体部分11の凹部112b内の整列されていないネジの近傍まで下降させる(図13(a)参照)。
【0097】
ステップS45−3では、シーケンサ52が、磁気吸着ユニット20を制御して、マグネット部23をハンド部21の凹部21aの底面まで下降させる(図13(b)参照)。これにより、本体部分11の凹部112b内の整列されていないネジを一括して磁気吸着できる。
【0098】
ステップS45−4では、シーケンサ52が、磁気吸着ユニット20を制御して、マグネット部23がハンド部21の凹部21aの底面に当接した状態を維持しながら、ハンド部21を上昇させる(図13(c)参照)。これにより、本体部分11の凹部112bから整列されていないネジを一括して取り出すことができる。シーケンサ52は、ハンド部21の上昇が完了したら、除去完了通知をロボットコントローラ51に送信する。
【0099】
ステップ45−5では、ロボットコントローラ51が、除去完了通知を受信していなければ、ネジの除去が完了していない(ステップS45−5でNo)と判断して処理をステップS45−5へ進め、除去完了通知を受信すると、ネジの除去が完了した(ステップS45−5でYes)と判断して処理をステップS16へ進める。
【0100】
一方、ステップ45−6では、シーケンサ52が、ステップS2で決定したトレー41〜44が再び磁気吸着ユニット20の下方に位置するように回転機構45を介して台座46を回転させる。そして、シーケンサ52は、マグネット部23をハンド部21の凹部21aの底面から離れるように上昇させる(図13(d)参照)。
【0101】
ステップS45−7では、ハンド部21の外側底面における磁気吸着が解除され、磁気吸着されていたネジが落下する。なお、シーケンサ52は、例えば、所定時間が経過したことに応じて、ネジの落下が完了したものとして、落下完了通知をロボットコントローラ51へ送信してもよい。
【0102】
このように、実施の形態2では、ステップS45において、一部のネジのそれぞれが貫通孔111−1〜111−20を介して磁石プレート12に磁気吸着された状態を維持しながら、磁気吸着ユニット20を本体部分11側から整列治具10に近づけて、本体部分11の上に残ったネジを磁気吸着ユニット20に磁気吸着させるように、磁気吸着ユニット20を制御する。これにより、整列治具10における本体部分11の上に残ったネジを除去する処理を容易に実現できる。
【0103】
また、実施の形態2では、ネジの除去動作(ステップS45)における一部の処理(ステップS45−6及びステップS45−7)をステップS16〜ステップS18の処理と並行して行う。これにより、複数のネジを整列させて所定の装置APへ供給するための処理の効率を全体として向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
以上のように、本発明にかかるネジ供給方法、及びネジ供給システムは、複数のネジを整列させることに有用である。
【符号の説明】
【0105】
1 ネジ供給システム
10 整列治具
11 本体部分
12 磁石プレート
20 磁気吸着ユニット
21 ハンド部
21a 凹部
22 稼動部
23 マグネット部
23a 永久磁石
24 稼動部
30 ロボット
31 ロボットハンド
31a〜31d 爪
32 フランジ
33 ビジョンセンサ
34−1〜34−3 ロボットアーム
35−1〜35−3 関節部
36 基部
40 テーブルユニット
41〜44 トレー
45 回転機構
46 台座
50 制御部
51 ロボットコントローラ
52 シーケンサ
111−1〜111−20 貫通孔
111a 孔部
111b 座繰り部
112 壁部
112a 内側面
112b 凹部
113 板状部
113a、113b 主面
113c 一端辺
114 被把持部
114a〜114d 穴
114d1、114d2 側面
115 被把持部
115a〜115d 穴
115c1、115c2 段差部
115d1、115d2 側面
116、117 板状部
116a、117a 隙間
121 磁石部
122 板状部
122a、122b 主面
122c 一端辺
123 板状部
123b 主面
124 被把持部
124a〜124d 穴
124e1、124e2 端面
124f 底部
124g、124h 立ち上がり部
124i ネジ
AP1 移動機構
AP2 レール
AP3 ネジ締め機構
WK 被加工物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石プレートと前記磁石プレート側にそれぞれ延びた複数の貫通孔が形成された本体部分とを有する整列治具における前記本体部分の上に置かれた複数のネジのうち一部のネジのそれぞれが前記貫通孔を介して前記磁石プレートに磁気吸着されるように、前記整列治具に対して振るい動作を行う振るい工程と、
前記振るい工程の後に、前記一部のネジのそれぞれが前記貫通孔を介して前記磁石プレートに磁気吸着された状態を維持しながら、前記整列治具における前記本体部分の上に残ったネジを除去する除去工程と、
前記除去工程の後に、前記整列治具で整列された前記一部のネジを所定の装置へ供給する供給工程と、
を備えたことを特徴とするネジ供給方法。
【請求項2】
前記除去工程では、前記一部のネジのそれぞれが前記貫通孔を介して前記磁石プレートに磁気吸着された状態を維持しながら、前記残ったネジが前記整列治具から落下するように前記整列治具をひっくり返す
ことを特徴とする請求項1に記載のネジ供給方法。
【請求項3】
前記除去工程では、前記一部のネジのそれぞれが前記貫通孔を介して前記磁石プレートに磁気吸着された状態を維持しながら、磁気吸着ユニットを前記本体部分側から前記整列治具に近づけて、前記本体部分の上に残ったネジを前記磁気吸着ユニットに磁気吸着させる
ことを特徴とする請求項1に記載のネジ供給方法。
【請求項4】
前記複数の貫通孔のそれぞれは、複数の種類のネジを挿通可能である寸法を有している
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のネジ供給方法。
【請求項5】
前記振るい工程では、前記複数の貫通孔における一部の貫通孔に前記ネジが挿通されていない状態を許容するように、予め定められた一定時間が経過したことに応じて前記振るい動作を終了させる
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のネジ供給方法。
【請求項6】
磁石プレートと前記磁石プレート側にそれぞれ延びた複数の貫通孔が形成された本体部分とを有する整列治具と、
複数のネジを一括して磁気吸着する磁気吸着ユニットと、
前記整列治具を把持するロボットと、
前記ロボット及び前記磁気吸着ユニットを制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、第1の期間において、前記整列治具における前記本体部分の上に置かれた複数のネジのうち一部のネジのそれぞれが前記貫通孔を介して前記磁石プレートに磁気吸着されるように、前記整列治具に対して振るい動作を行い、前記第1の期間に続く第2の期間において、前記一部のネジのそれぞれが前記貫通孔を介して前記磁石プレートに磁気吸着された状態を維持しながら、前記整列治具における前記本体部分の上に残ったネジを除去し、前記第2の期間に続く第3の期間において、前記整列治具で整列された前記一部のネジを所定の装置へ供給するように、前記ロボット及び前記磁気吸着ユニットを制御する
ことを特徴とするネジ供給システム。
【請求項7】
前記整列治具は、前記本体部分に対して前記磁石プレートが着脱可能に構成されている
ことを特徴とする請求項6に記載のネジ供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−95584(P2013−95584A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242728(P2011−242728)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】