説明

ネジ類供給装置

【課題】磁石を用いてネジ類Sを汲み上げて、収容部を深くしてネジ類Sを収納する容積を大きくするネジ類供給装置を提供する。
【解決手段】
ネジ類を収容部から汲上機構によって汲み上げ、該ネジ類の搬送機構に載置し、該搬送機構によって外部に順次排出させる排出部を設けたネジ類供給機において、搬送機構のネジ類の排出部は収容部の前方に突出するとともに、汲上機構は収容部の外壁の壁面に沿って回転する回転腕部が設けられ、回転腕部の先端に磁石を固着し、回転腕部は収容部の外壁から収納部に積載されたネジ類を磁石の磁力による吸着力により、搬送機構に設けたネジ類の受給部に下方から上方に回転しながらネジ類を汲み上げるように誘導し、回転腕部の磁石が上方で外壁から外側に離反させる磁石距離変更部を設け、汲上機構の磁石距離変更部により、収納の上方でネジ類に対する吸着力を弱めてネジ類を受給部上に落下させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部と棒状のネジ部を有した金属製ネジ類やこれと類似の金属製リベットや鋲等を多数収容して、これらを分離整列して一個ずつ排出し供給するネジ類供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のネジ類供給機としては、本出願人が特許文献1としてネジ類送給装置を提供している。このネジ類送給装置は、ネジ類Sが多数収容される収容部を設け、収容部の内部から外部に突出しネジ類Sが挿入される溝を有し、排出されるネジ類Sを案内するレールを設け、収容部内のレールにネジ類Sを供給する供給部を設けたもので、ネジ類Sは前記レールの排出側端部のストッパ部材に整列して待機するようにしたものである。
上記のネジ類Sを供給する供給部は、上下動するスクイ板を設けてネジ類Sを押し上げてレール上に載置する構成であり、スクイ板の容量に限度があるので余り多くのネジ類Sを収容できず、すなわち、収容部を大きくしてもスクイ板にネジ類Sを載置できる個数により限度があった。
【0003】
また、スクイ板から一挙に多くのネジ類がレール上に落下するので、複数のネジ類Sが重なって絡み合い、分離整列が不十分で複数のネジ類Sが一緒に排出してしまうという不都合があり、確実性に問題点があった。
一方、少量の金属製部材を、収容部の外側に往復動するプレートを設け、このプレートに磁石をとりつけ、磁石の磁力で少量の金属製部材を収容部から取り出し、収容部の上部のスクレーパで金属部材を掻き取って、金属部材を1個ずつ供給する部品供給装置が、特許文献2として提案されている。この供給装置は、部品を一個ずつ供給できるが、プレートが往復動するので機構が複雑になり、部品の摩耗が多いうえ、スクレーパで金属部材を掻き取って分離するので、部材に傷がつくことがあるという問題点もあり、そのため、部品の受け渡し部材を種々用意する必要もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-58847号公報
【特許文献2】特開2001-287827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、ネジ類供給装置において、ネジ類Sを供給する供給部の容量を大きくでき、多数個のネジ類Sを収容して収容部へのネジ類Sの補給回数を軽減し、且つ、ネジ部材を1個ずつ確実に整列させて供給する部品供給装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、ネジ類を収容部から汲上機構によって汲み上げ、該ネジ類の搬送機構に載置し、該搬送機構によって外部に順次排出させる排出部を設けたネジ類供給機において、前記搬送機構のネジ類の排出部は前記収容部の前方に設けるとともに、前記汲上機構は前記収容部の外壁の壁面に沿って回転する回転腕部が設けられ、該回転腕部の先端に磁石を固着し、該回転腕部は収容部の外壁から収納部に積載されたネジ類を該磁石の磁力による吸着力により、前記搬送機構に設けたネジ類の受給部に下方から上方に回転しながらネジ類を汲み上げるように誘導し、該回転腕部の前記磁石が上方で外壁から外側に離反させる磁石距離変更部を設け、前記汲上機構の該磁石距離変更部により、前記収納の上方でネジ類に対する吸着力を弱めてネジ類を前記受給部上に落下させるようにしたことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載のネジ類供給機において、前記汲上機構は、前記搬送機構でのネジ類の進行方向と平行な収納部の側壁に設けたことを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1に記載のネジ類供給機において、前記汲上機構は、前記搬送機構のネジ類の進行方向と直角な収納部の背壁に設けたことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1乃至3に記載のネジ類供給機において、前記ネジ類の搬送機構は、ネジ類の案内レール部材であって、該案内レール部材はネジ類の軸部が上側から挿入される嵌合レール溝を有し、該嵌合レール溝の開口縁でネジ類の頭部を支承し、前記案内レール部材の嵌合レール溝に挿入されたネジ類に排出方向の慣性力を与えるように該案内レール部材を前後に振動させる慣性力付与機構を設け、収容部の内部から外部へ排出されるネジ類を案内するレールを備えることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1乃至3に記載のネジ類供給機において、前記ネジ類の搬送機構は、互いに反対方向の螺旋溝を有する一対の平行搬送ローラ部材であって、該平行搬送ローラ部材の回転は互いに逆回転するとともに、上面でなお該螺旋溝がローラの回転によって排出方向に向かうようにし、ネジ類の端部を螺旋溝に係合させて収容部の内部から外部へ排出されるネジ類を案内するレールを備えることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1乃至5に記載のネジ類供給機において、前記距離変更部は、前記回転腕部に設けられた案内ローラと、該案内ローラを案内する案内レールとからなり、該案内レールは円弧状の上土手部と斜行部と壁面部とから形成され、前記案内ローラが該壁面部を走行する場合には該回転腕の磁石の磁力による吸着力によりネジ類を誘導し、前記案内ローラが該斜行部から土手部を走行する場合には前記磁石を外壁から外側に遠ざけるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1のネジ類供給機の発明によれば、ネジ類の収容部の外部に汲上機構である回転する磁石を設け、磁石の磁力により、収容部の下部よりネジ類Sを汲み上げるので、収容部を深くしてネジ類Sを収容する容積を大きくすることができ、多数個のネジ類Sを収容できるので収容部へのネジ類Sの補給回数を軽減することができる。
また、ネジ収容部から所定量のネジを磁石の磁力により汲み上げ、ネジ類の搬送機構上で磁石をネジ収容部の壁面から遠ざけて、ネジ類を搬送機構のネジ類の受給部上に落下させるので、従来技術では磁石を往復動させる構成であるため摩耗が激しく往復動機構の保守の手間がかかるが、本発明では磁石の移動を回転駆動としたため移動がスムーズで故障箇所も少ない。また、従来技術は磁石からのネジ類の剥離もスクレーパを使用するためネジ類に過大な力が働き傷を付けることがあり、スクレーパの摩耗も激しいので交換・保守をしなければならないが、磁石が側壁から離反し磁力が消滅することにより、力が加わらず自然にネジが落下するので、ネジに傷を与えることがなく、装置の部材の摩耗も少ないという効果を奏する。
請求項2のネジ類供給機の発明によれば、請求項1の効果に加えて、汲上機構を側壁に設けたので、収納部の奥行きを大きくできる。
請求項3のネジ類供給機の発明によれば、請求項1の効果に加えて、汲上機構を背壁に設けたので、収納部の幅を大きくでき、装置全体のサイズを小型にでき、搬送機構へのネジ類を均等に振り分けることが簡単にできる。
請求項4のネジ類供給機の発明によれば、請求項1乃至3の効果に加えて、ネジ類を搬送する搬送機構に振動する案内レール部材を用いたので、迅速で確実にネジ類を供給することができる。
請求項5のネジ類供給機の発明によれば、請求項1乃至3の効果に加えて、ネジ類を搬送する搬送機構に一対の螺旋溝を有する平行搬送ローラを用いたので、迅速で確実に小型から大型までのネジ類部材やネジ以外の部品等の汎用の部品供給装置として用いることができる。
請求項6のネジ類供給機の発明によれば、請求項1乃至5の効果に加えて、磁石の案内ローラを案内する案内レールを円弧状の上土手部と斜行部と壁面部とから形成されているので、無理なく磁石が案内され、部材の消耗もすくなくなり、ネジ類を汲み上げる際に無理なく、落下の際には自然に離反するので、迅速で確実にネジ類を搬送機構に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例1のネジ類供給装置の外観斜視図、
【図2】同、ネジ類供給装置の駆動機構の側面図、
【図3】図1の上方からの平面図、
【図4】図4(a)は、ネジ類供給装置の磁石と磁石取付腕との側面図、図4(b)は、取付部材を組みこんだ平面図、
【図5】図5(a)は、汲上機構の磁力がネジ類Sに働く状態の平面説明図、図5(b)は、左側板から磁石が離れ磁力がネジ類Sに働かないようになった状態の平面説明図、
【図6】図6(a)は、離反レールの斜視図、図6(b)は、その側面図、
【図7】ネジ類供給装置の搬送機構の案内レール部材を説明する側断面図、
【図8】図8(a)は、搬送機構の案内レール部材の振動機構(慣性力付与機構)の側面図、図8(b)は、電磁石の平面図、
【図9】実施例2のネジ類供給装置の分解した主要部の背面からの斜視図、
【図10】図9の主要部の前面からの斜視図、
【図11】実施例3のネジ類供給装置の分解した主要部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、ネジ類の収容部の外部に回転磁石を設け、ネジ収容部から所定量のネジを磁力により汲み上げ、搬送機構上で磁石をネジ収容部の側壁から遠ざけて、ネジ類を搬送機構の案内レール部材(実施例1)のネジ類受給部上や固定の受給案内部材上又は、平行搬送ローラ部材上(実施例3)に落下させる構成で、ネジに傷を与えることがなく、装置の部材の摩耗も少なく、磁石の磁力により、収容部の下部よりネジ類Sを汲み上げて、収容部を深くしてネジ類Sを収容する容積を大きくすることを実現した。
【実施例1】
【0010】
以下に、本発明を実施したネジ類供給装置の実施例を、図に基づいて詳しく説明する。
本実施例1のネジ類供給装置1は、図1に示すように、供給装置の大部分を占めるネジ類Sの収容部2が図1の左側に配置され、その容器の手前の外側に収容部2の底部にあるネジ類Sを上方に汲み上げる汲上機構3が設けられ、該汲上機構3によって収容部2の内部の搬送機構4(案内レール部材)上にネジ類Sを積載し、積載されたネジ類Sを慣性力付与機構を備えた案内レール部材4によって移動させ、更に、刷毛回動機構5によって整列させて、外部に順次排出して所定ネジ類Sを供給する排出部6が設けられている。以下、これらの構成を更に詳しく説明する。
【0011】
[ネジ類の収容部2]
図1、図3、図7を参照して、先ずネジ類の前記収容部2から説明するが、収容部2はネジ類供給装置1のベース11上に設けられ、左右には右側板21(前面から見て右)と左側板22とが設けられ、背面側には背面板23、前面側には前面板24が設けられ、断面長方形の箱形を形成しており、底部25は矩形の中心に向かって斜行する前後左の3枚の斜行底板251a,251b,251cと中心部の平坦底板252から底部25が漏斗状のホッパを形成している。
そして、使用に際しては、作業者は収納部2の上部の開口にネジ類Sを適宜の個数を投入する。投入されたネジ類Sの大部分は収容部2の底部25に収容される。この収容部2は、大まかに、前面側部分のネジ類Sを下から汲み上げる領域が有る汲上室前部26と、背面側部分での落下するネジ類Sを受ける受給部43がある汲上室後部27とからなり、収容部2の背面板23から前面板24に亘って、後述するネジ類Sの案内レール部材4が配置されており、収容部2の前面板24の前面には排出部6が配置されており、左側板22には汲上機構3が設けられている。
また、本実施例のネジ類供給装置の収容部2は、後述するように、回転する磁石の磁力により、収容部2の下部よりネジ類Sを汲み上げるので、収容部2を深くしてネジ類Sを収容する容積を大きくすることができる。
【0012】
[汲上機構3]
汲上機構3の主なる構成は、図1、図2、図4、図5に示すように、収容部2の左側板22の外側に配置されている。駆動部31は磁石回転部32を一方方向に回転(図2では反時計回り)させるもので、前面板24の前面に駆動モータ311が配置され、横方向に駆動モータ311の回転軸312が突出し、この回転軸312に回転カム313とプーリ314とが設けられており、プーリ314には駆動ベルト315が磁石回転部32のプーリ321に掛け渡されている。
磁石回転部32の回転軸322の一端は前記プーリ321が一体的に設けられ、他端は収容部2の左側板22に設けられた軸受部323(図3、図5を参照)に軸支され、軸受部323とプーリ321との間には、図4に示すように、磁石取付腕34とこれを取り付ける取付部材35が設けられている。取付部材35は円柱部351に設けられ、円柱部351を削って対向する平坦部352が設けられ、両平坦部352に一対の腕軸受部353が設けられ、この一対の腕軸受部353に、磁石取付腕34の一対の回転腕部341が腕回動軸342に嵌合軸支される。
一対の回転腕部341の腕回動軸342によって、この磁石取付腕34は、円柱部351の回転軸322の軸線方向に回動自在になるように、一対の腕回動軸342に取り付けられる(すなわち、磁石取付腕34は、左側板22に対して離反或いは接触する方向に揺動可能にしている。)。そして、磁石取付腕34の回動する先端部には磁石36が取り付けられ、腕回動軸342と磁石36との中間には、磁石回転部32が回転軸322を中心にスムーズに回転するように磁石案内ローラ343が設けられている。
【0013】
この磁石案内ローラ343は、図4、図5に示すように、一対の回転腕部341の間に直交するように一対のローラ取付枠344の軸受部345にそのローラ軸346が軸支され、磁石案内ローラ343が回転軸322を中心とした円状の回転軌跡を移動するようになっている。
また、磁石36の磁力は、後述するように、収容部2内部のネジ類S等の金属部材を吸い寄せて磁石の回転に伴って、上方に汲み取るように移動させるが、収容部2内の金属部材に磁力が影響するように、磁石取付腕34の回動する先端部に取り付ける。
この磁石案内ローラ343が回転する軌跡上には、磁石36が左側板22から離れるように、磁石距離変更部33を構成する離反レール37が設けられ、図6に示すように、この離反レール37は基本的には磁力影響範囲X1、移行範囲X2,X4、離反範囲X3を有するもので、本実施例での離反レール37は、磁力影響範囲X1は左側板22の壁面を利用し、離反範囲X3を形成する半円の平坦レール部371と、それに連なる移行範囲X2,X4の斜行部372,373から形成されている。勿論、摩耗等の問題から、磁力影響範囲X1の低い平坦レール部374と高い平坦レール部371とこれらを繋ぐ斜行部の連続した円形レールとしてもよい。
【0014】
すなわち、磁石距離変更部33としては、回転腕部341に設けられた磁石案内ローラ343と、磁石案内ローラ343を案内する離反レール37からなる磁石案内レールとからなり、この磁石案内レールは円弧状の平坦レール部371の上土手部と、斜行部372,373と側壁面部である左側板22とからなる円軌道を形成し、磁石案内ローラ343が左側板22の側壁面部を走行する場合には、汲上室後部27の下部から開始されて、回転腕部341に取り付けられた磁石36の磁力に吸着力により汲上室後部27の下部にあるネジ類Sを誘導し、吸着力でネジ類Sは上方に移行し汲上室前部26を通過して、汲上室後部27の上部まで汲み上げられ、磁石案内ローラ343が斜行部372から高い土手部の平坦レール部371を走行すると、磁石36を左側板22の側壁から外側に遠ざけ、収容部2の内側にあるネジ類Sに対する吸着力を弱めてネジ類Sを後述する受給部上に落下させる。そして、ネジ類Sを落下させ磁石案内ローラ343は斜行部373を通過して左側板22の側壁面部を走行する。
なお、左側板22が非磁性体のステンレスであり、移動対象となるネジ類Sの部品は磁性体であるので、磁石36は、常に左側板22側に引きつけられている。また、本実施例では左側板22が非磁性体のステンレスであるが、他の収容部の壁面もステンレス製としている。また、非磁性体であれば、ガラスや合成樹脂等で側板を形成してもよい。
【0015】
[搬送機構(案内レール部材)4]
図1乃至図3、特に、図7、図8を用いて案内レール部材4を説明するが、この案内レール部材4は、基本的には前掲特許文献2に開示されているようなネジ類Sを排出方向に慣性力を与えるように案内レール部材を前後動させる慣性力付与機構を用いたフィーダである。
図7に示すように、案内レール部材4の上部には、レール支承部材41を有したレール支持機構とこれに嵌合したレール部42とがほぼ水平に設けられ、このレール支承部材41は収容部2の背面板23から前面板24に亘り、更に前面板24から突き出して排出部6まで延びている。図1のレール部42の先端部分に示されるように、このレール部42は中央にネジ類Sのネジ部S1を嵌合させて整列するように、レール部の長手方向に嵌合レール溝421が設けられ、嵌合レール溝421の左右に一対のレール422a,422bが形成されている。また、一対のレール422a,422bの外側には汲上機構3からの落下するネジ類Sを受け取り嵌合レール溝421に導入する受給部43が設けられる。
この受給部43はレール支承部材41の支持板44の上面に設けられたレール押さえ板411a,411bの連なって設けられるもので、図1に示すように、レール部42の上面にも連なるように汲上室後部27の位置に一対の羽部431a,431bが逆ハの字状に設けられている。
また、レール部42は、レール支承部材41の支持板44の上部の上部支持板441に設けられた一対のレール押さえ板411a,411bで両側から押さえられるように支持され、且つ、着脱自在に載置される。これは、レール部42は供給するネジ類によって、嵌合レール溝421の幅や深さに合ったレール部42を選択して、適宜で簡単に交換できるようになっている。
【0016】
案内レール部材4のレール支承部材41の上部の上部支持板441には、前述したように一対のレール押さえ板411a,411bが設けられ、レール支承部材41の下部には、レール部42を前後に振動させる慣性力付与機構が設けられるが、レール支承部材41の支持板44がU字状に設けられる。このU字状の支持板44は収容部2の外側を囲むように設けられ、前部支持板442と底板443と後部支持板444から構成される。レール支承部材41の前後は収容部2の背面板23から前面板24に設けた切欠孔(図示せず)を貫通して配備させるが、当然のことながら、レール支承部材41と該切欠部の間隔はネジ類S等の部品が抜け落ちたり、挟まったりしない程度にしておく必要がある。
このレール支承部材41の支持板44の前部支持板442と後部支持板444にはそれぞれ板バネ451a,451bの一端が取り付けられ、板バネ451a,451bの各他端の押さえ部452a,452bがネジ類供給装置1のベース11に固定されている。したがって、案内レール部材4の全体が前後に移動可能であるように一対の板バネ451a,451bのみで支持されている。
【0017】
支持板44の前部支持板442の下部には、磁性体の電磁石受板46が側方に張り出すように設けられ、図8(a)(b)に示すように、電磁石受板46が前部支持板442から張り出した先端部461の側面対向して、わずかな隙間を介してベース11に固定された電磁石47の鉄心部471が配置されている。
図8(b)は電磁石47の詳細の平面図であるが、電磁石47の電磁コイル472の中心に鉄心部471が配置され、鉄心部471の磁力面4711の反端側には取付基板473が設けられベース11に固定される。そして、鉄心部471の磁力面4711に対向して、約1mmの間隔を隔てて前部支持板442側の電磁石受板46を設けるように、案内レール部材4が調整されている。
そして、電磁コイル472に加電されONとなると、鉄心部471の磁力面4711に磁力が生じ、その結果磁力面4711に電磁石受板46は引き寄せられ、案内レール部材4の全体が図7では右側に移動し、電磁コイル472の加電が解除され、OFFとなると、案内レール部材4は板バネ451a,451bによって元の位置に戻り、案内レール部材4の電磁石受板46も、磁力面4711に対して約1mmの間隔を隔てた位置に戻る。こうして、電磁コイル472に矩形波や交流を加電することによって、案内レール部材4の全体が長手方向の前後に振動することになる。この案内レール部材4を振動させる振動機構が慣性力付与機構となる。
なお、搬送機構である案内レール部材4は、収納部2の空中に浮いたように位置するので、収納部2内のネジ類Sとの干渉が少なくなり、スムースにネジ類Sが汲上機構3の汲み上げ位置に移動することができる。
【0018】
[刷毛回動機構5]
上述したように、レール422a,422bや逆ハの字状の一対の羽部431a,431bに落下したネジ類Sのネジ部S1は、嵌合レール溝421に順次嵌合して整列して外部に移送されるが、嵌合レール溝421に正確に嵌合しない不正姿勢のネジ類Sがレール422a,422bに載ったまま移送されることがあり、これを再び収容部2内に振るい落すことが必要であり、この振るい落す機構が刷毛回動機構5である。
図1、図3に示すように、刷毛(ブラシ)51はレール422a,422b上の汲上室前部26に位置し、レール422a,422bの上面を左右に掃き払っているが、刷毛51は扁平でレールの長さ方向に所定の長さを有して回動軸52に高さの調整押部材53で固定され、回動軸52は回動軸受54及び前面板24を貫通して、その先端に回動腕55が設けられている。
この回動腕55の左右回動の動力源は、前記駆動モータ311の回転からリンク機構を介して得られるが、駆動モータ311の回転軸312に設けられた一部に凹面部を有する回転カム313に接触する圧接ローラ56が設けられ、この圧接ローラ56は一対の固定軸12(ベース側)と長孔571(スライダ側)の組み合わせからなる上下動するスライダ57の一端に設けられ、スライダ57は回転軸312方向に押圧するバネ572によって圧接ローラ56を回転カム313のカム面に押圧接触する。
【0019】
そして、スライダ57の他端は、前面板24の一部に設けられた中心軸受部581を中心としたリンク58の一端軸受部582に回動自在に取り付けられ、他端軸受部583は前記回動腕55の先端回転部551に回動自在に取り付けられている。
したがって、一部に凹面部を有する回転カム313が回転すると、カム面に接触する圧接ローラ56とスライダ57とは上下動し、この上下動がリンク58を介して、先端回転部551及び回動腕55を左右に回動させ、この中心軸である回動軸52及び刷毛51を左右に往復回動させる。
刷毛51の刷毛先からのレール422a,422bの上面からの距離は、正確に嵌合レール溝421に嵌合しているネジ類Sの頭部S2に刷毛先が僅かに接するように、調整押部材53を調整する。この際、刷毛先が下過ぎると、ネジ類Sをはじき飛ばしたり、刷毛51が回動しなくなったりするので、前記の位置が好ましい。
【0020】
[排出部6]
以上のように、ネジ類Sを汲上機構3によって案内レール部材4上に積載し、積載されたネジ類Sを前記振動機構による慣性力付与機構を備えた案内レール部材4によって移動させ、刷毛回動機構5によって整列させて、外部に順次排出して所定ネジ類Sを供給する排出部6を設けるが、この排出部6を図1、図3に沿って説明する。
嵌合レール溝421の前面板24の外部に伸びた先端部にはネジ類Sのストッパ61が設けられ、ストッパ61の上部にはネジ類Sの頭部S2に嵌合するドライバーの先を定位置に誘導する漏斗状のビットガイド62を設けるが、このビットガイド62はビットガイドブラケット63を介してベース11に立設されたビットガイド取付板13に固定される。
上述した構成であるので、本実施例のネジ類供給機1の稼働においては、ネジ類Sを内部の収容部2からレール4を通して順次排出させており、排出されてきたネジ類Sが、レール4の排出部6に至ると、ストッパ61によりその移動が停止させられる。
そして、支持板44にはセンサーブラケット64を介して先端センサー65が設けられ、ストッパ61の位置にネジが整列されたことを感知し、一定時間が経過すると、全体の動作を停止する。
ストッパ61の位置にネジが整列された状態で、ドライバーのビットをビットガイド62に押しつけながら下方に降ろしていくと、ビットはビットガイド62に案内されてネジ類Sの頭部S2に係合する。この状態でドライバーを手前に引くことにより、ネジ類Sが取出される。このとき、先端センサー65によってネジ類Sを取出しを感知し、駆動部は再びネジの汲み上げ動作を開始する。
【0021】
以上のように、本発明の[本実施1]によれば、回転する磁石36の磁力により、収容部2の下部よりネジ類Sを汲み上げるので、収容部2をより深くしてネジ類Sや類似形状の金属製リベットや鋲等を収容する容積を大きくすることができ、多数個のネジ類Sを収容できるので収容部へのネジ類Sの補給回数を軽減することができる。
また、ネジ類Sの収容部2の外部に回転する磁石36を設け、ネジ収容部2から所定量のネジ類Sを磁力により汲み上げ、案内レール部材4上で磁石をネジ収容部の側壁22から遠ざけて、ネジ類Sを案内レール部材4のネジ類の受給部43上に落下させるので、従来の磁石を往復動させる構成では摩耗が激しく往復動機構の保守の手間がかかっていたが、本発明の本実施例では磁石36の移動が回転駆動であるのでスムーズで故障箇所も少ない。また、従来技術は磁石からのネジ類Sの剥離もスクレーパを使用するためネジ類に過大な力が働き傷を付けることがあり、スクレーパの摩耗も激しいので交換・保守をしなければならないが、磁石36が左側板22の側壁から離反し磁力が弱まる(消滅する)ことにより、力が加わらず自然にネジが落下するので、ネジ類Sに傷を与えることがなく、装置の部材の摩耗も少ない。また、 刷毛回動機構5を設けたので、ネジ類Sや類似の部材を分離整列して一個ずつ排出することが出来る。
【実施例2】
【0022】
次に、本発明を実施したネジ類供給装置の実施例2を、図に基づいて詳しく説明する。
本実施例2のネジ類供給装置1は、実施例1と異なるのは、主に、装置の主要部の斜視図である図9、図10に示すように、汲上機構3がネジ類Sの収容部2の側面ではなく、背面板23の外側の壁面に配置したものである。以下、これらの構成を更に詳しく説明する。
[ネジ類の収容部2]
実施例2の収容部2は、右側板、左側板、前面板は図示しないが実施例1と同じ構成であるので説明は省略するが、底部28の構成が多少異なる。底部28は、図9、図10に示すように、両端が収納部2の両左右側板に接し、一番低い位置が中央部になるように配置した半円筒281で、底部分(中心線Z1)が背面板23に向かって低く、前面板24(図2)から背面板23に向かって斜行して設けられており、幅は収納部2の左右側板まで延びている。
したがって、使用に際しては、作業者は収納部2の上部の開口にネジ類Sを適宜の個数を投入し、投入されたネジ類Sは収容部2の底部28の半円筒収納部材281に収納され、半円筒収納部材281は背面板23に向かって低く傾いているので、ネジ類Sは背面板23側に積載され、収容部2の背面板23から前面板(実施例1の前面板24と同じ)に亘って、実施例1と同じネジ類Sの案内レール部材4が配置されており、収容部2の前面板の前面には排出部が配置されており、背面板23には後述する汲上機構3が設けられており、また、背面板23の内側の適所には、汲上機構3から落下するネジ類Sを一旦受け止めてから搬送機構4に誘導する受給案内部材29(図10参照)が設けられている。
そして、実施例2のネジ類供給装置の収容部2は、後述するように、回転する磁石の磁力により、収容部2の背面板23の下部よりネジ類Sを汲み上げるので、収容部2の横幅を広くしてネジ類Sを収容する容積を大きくすることができる。
【0023】
[汲上機構3]
汲上機構3の主なる構成は、基本的には実施例1と同じ機構であるので説明の一部は省略するが、9、図10に示すように、収容部2の背面板23の外側に配置されている。
また、駆動モータ311からなる駆動部は磁石回転部32を一方方向に回転(図9では反時計回り)させるもので、前面板(図示せず)の前面に駆動モータ311が配置され、後面方向に駆動モータ311の回転軸312が延び、この回転軸312に回転カム316とプーリ314とが設けられており、プーリ314には駆動ベルト315が磁石回転部32のプーリ321に掛け渡されている。
磁石回転部32の回転軸322の一端はプーリ321が一体的に設けられ、他端は収容部2の背面板23に設けられた軸受部343(実施例1の図4参照)に軸支され、軸受部343とプーリ321との間には、図4(実施例1)に示すように、磁石取付腕34とこれを取り付ける取付部材35が設けられている。取付部材35は円柱部351に設けられ、円柱部351を削って対向する平坦部352が設けられ、両平坦部352に一対の腕軸受部353が設け、この一対の腕軸受部353に、磁石取付腕34の一対の回転腕部341が腕回動軸342に嵌合軸支される。
一対の回転腕部341の腕回動軸342によって、この磁石取付腕34は、円柱部351の回転軸322の軸線方向に回動自在になるように、一対の腕回動軸342に取り付けられる(すなわち、磁石取付腕34は、左側板22に対して離反或いは接触する方向に揺動可能にしている。)。そして、磁石取付腕34の回動する先端部には磁石36が取り付けられ、腕回動軸342と磁石36との中間には、磁石回転部32が回転軸322を中心にスムーズに回転するように磁石案内ローラ343が設けられている。
【0024】
この磁石案内ローラ343は、実施例1の図4、図5に示すように、一対の回転腕部341の間に直交するように一対のローラ取付枠344の軸受部345にそのローラ軸346が軸支され、磁石案内ローラ343が回転軸322を中心とした円状の回転軌跡を移動するようになっている。
また、磁石36の磁力は、後述するように、収容部2内部のネジ類S等の金属部材を吸い寄せて磁石の回転に伴って、上方に汲み取るように移動させるが、収容部2内の金属部材に磁力が影響するように、磁石取付腕34の回動する先端部に取り付ける。
この磁石案内ローラ343が回転する軌跡上には、磁石36が背面板23から離れるように、磁石距離変更部33を構成する離反レール37が設けられ、図6に示すように、この離反レール37は基本的には磁力影響範囲X1、移行範囲X2,X4、離反範囲X3を有するもので、本実施例での離反レール37は、磁力影響範囲X1は背面板23の壁面を利用し、離反範囲X3を形成する半円の平坦レール部371と、それに連なる移行範囲X2,X4の斜行部372,373から形成されている。勿論、摩耗等の問題から、磁力影響範囲X1の低い平坦レール部374と高い平坦レール部371とこれらを繋ぐ斜行部の連続した円形レールとしてもよい。
【0025】
すなわち、磁石距離変更部33としては、回転腕部341に設けられた磁石案内ローラ343と、磁石案内ローラ343を案内する離反レール37からなる磁石案内レールとからなり、この磁石案内レールは円弧状の平坦レール部371の上土手部と、斜行部372,373と背面板23とからなる円軌道を形成し、図9、図10に示すように、磁石案内ローラ343が背面板23の壁面部を走行する場合には、前述した収納部2の下部の半円筒収納部材281の背面板23側に積載されたネジ類Sを回転腕部341に取り付けられた磁石36の磁力に吸着力により背面板23を隔てて誘導して吸着し、ネジ類Sは磁石36の移動とともに上方に移行し、背面板23の内側の上部まで汲み上げられ、ここで、磁石案内ローラ343が斜行部372から高い土手部の平坦レール部371を走行すると、磁石36を背面板23の壁面から外側に遠ざけ、収容部2の内側にあるネジ類Sに対する吸着力を弱めてネジ類Sを受給案内部材29上に落下させる(この範囲は図10の斜線で範囲Z2である)。この受給案内部材29は中央部がくびれた断面形状で全体が搬送機構4側に斜行しており、汲上機構3から落下するネジ類Sの一旦受給案内部材29で受け止めてから搬送機構4の搬送する嵌合レール溝421の中央に誘導する。
そして、ネジ類Sを落下させ磁石案内ローラ343は斜行部373を通過して背面板23の壁面部を走行する。
受給案内部材29を設けたことにより、汲上機構3を背面板に設けたことと相まって、嵌合レール溝421のほぼ真上から落下させることができ、ネジ類Sが嵌合レール溝421に嵌合し易くなっている。
なお、背面板23が非磁性体のステンレスであり、移動対象となるネジ類Sの部品は磁性体であるので、磁石36は、常に左側板22側に引きつけられている。また、本実施例では左側板22が非磁性体のステンレスであるが、他の収容部の壁面もステンレス製としている。また、非磁性体であれば、ガラスや合成樹脂等で側板を形成しても良いことは、実施例1と同じである。
【0026】
[搬送機構(案内レール部材)4]
実施例2の搬送機構の案内レール部材4を説明するが、この案内レール部材4は、基本的には前掲特許文献2に開示され、実施例1と同じであるので、異なる構成だけを説明すると、実施例1のネジ類Sをレール部42は中央に誘導する受給部43及び逆ハの字状の一対の羽部431a,431bが無く、その替わりに受給案内部材29を背面板23に設けてネジ類Sをレール部42は中央に誘導し落下させている点であり、この受給案内部材29は移動機構4の中央に向けて先細り形状をしているので、嵌合レール溝421に嵌合しなかったネジ類Sは、そのまま下方の収納部2に落下するので、次に汲み上げられてくるネジ類Sの嵌合の邪魔にはならない。
なお、その他の構成は実施例1の構成と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0027】
[刷毛回動機構5、排出部6]
刷毛回動機構5も基本的には、実施例1の構成と同じであるが、刷毛(ブラシ)51及び回動軸52の駆動機構が異なる。
そこで、回動軸52の駆動系を説明すると、駆動源である前記駆動モータ311の回転軸312に設けられ楕円回転カム316により、リンクレバー3161が下端の圧接ローラ31611を介して上下動させる。リンクレバー3161の上端は回動軸3162を中心として軸支させた回動レバー3163の一端に長孔3164を介して移動ピン3165が軸支され、回動レバー3163を回動させる。回動する回動レバー3163の他端は回動軸3162を中心とする円弧状をしている。この円弧状ギア部3166に接触するギヤ歯車59が、前記刷毛(ブラシ)51の回動軸52に設けられ、円弧状ギア部3166が回動することにより、刷毛51の刷毛先がレール溝421に嵌合しているネジ類Sの頭部S2に撫でて、レール溝421に嵌合していないネジ類Sを再び収納部2に振るい落とす。その他の構成は実施例1の構成と同じであるので、説明を省略する。
こうして、外部に順次排出して所定ネジ類Sを排出するが、実施例2の排出部(図示せず)は実施例1の排出部6の構成と同じであるので、説明は省略する。
【0028】
以上のように、本発明の[本実施2]によれば、実施例1と同様に回転する磁石36の磁力により、収容部2の下部よりネジ類Sを汲み上げるので、収容部2をより深くしてネジ類Sや類似形状の金属製リベットや鋲等を収容する容積を大きくすることができ、特に、実施例2では、側壁汲上機構3を後方の背面板23に設けたので、実施例1よりも収納部2の幅をそれだけ広くすることができ、多数個のネジ類Sを収容できるので収容部へのネジ類Sの補給回数を軽減することができる。
また、ネジ類Sの収容部2の外部に回転する磁石36を設け、ネジ収容部2から所定量のネジ類Sを磁力により汲み上げ、案内レール部材4上で磁石をネジ収容部の壁面23から遠ざけて、ネジ類Sを案内レール部材4のネジ類の 受給案内部材29上に落下させるので、従来の磁石を往復動させる構成では摩耗が激しく往復動機構の保守の手間がかかっていたが、本発明の本実施例2では磁石36の移動が回転駆動であるのでスムーズで故障箇所も少ない。また、従来技術は磁石からのネジ類Sの剥離もスクレーパを使用するためネジ類に過大な力が働き傷を付けることがあり、スクレーパの摩耗も激しいので交換・保守をしなければならないが、磁石36が背面板23の側壁から離反し磁力が弱まる(消滅する)ことにより、力が加わらず自然にネジが落下するので、ネジ類Sに傷を与えることがなく、装置の部材の摩耗も少ない。また、 刷毛回動機構5を設けたので、ネジ類Sや類似の部材を分離整列して一個ずつ排出することが出来る。
【実施例3】
【0029】
次に、本発明を実施したネジ類供給装置の実施例3を、図に基づいて詳しく説明する。
実施例3は、実施例2の汲み上げ機構3を用いたものであるが、搬送機構としては、実施例1及び2の溝付き案内レール部材ではなく、一対の平行搬送ローラ部材上に落下させる構成である。
[搬送機構(平行搬送ローラ部材7)、排出部8]
図11において、実施例2のように背面板23の外側に汲上機構3を配置するが、汲上機構3の構成は実施例1と同じであるので、詳細な説明は省略する。
そして、背面板23の内側に固定された受給案内部材29が設けられ、汲上機構3から落下するネジ類Sを一旦受給案内部材29で受け止めてから搬送機構7の一対のローラ71a,bの中央部に誘導する。
この平行搬送ローラ部材7を用いた搬送機構は、一対の対向する螺旋溝72a,bが平行に設けられたローラ71a,bから構成され、この平行する一対のローラ71a,bは互いに対向して逆回転し、この稼働状態では平行ローラ71a,bの上面では螺旋溝72a,bがあたかも搬送方向に移動するように挙動し、一対のローラが接する部分で、この螺旋溝72a,bの縁にネジ類Sの頭部や先端部が引っ掛かり搬送方向に移動し、引っ掛からないネジ類Sは、刷毛51やローラガイド73によって引かれ、収納部2に落下する。そして、対向する搬送ローラ71a,bの螺旋溝72a,bに引っ掛かった整列状態のネジ類Sは、排出部8のスライダー81の滑経路811に誘導され、外部に順次排出する。
以上のように、本発明の[本実施3]によれば、実施例1または実施例2の作用・効果に加えて、被供給物が磁性体の金属であれば比較的大型の部材でも、また、ネジ類のように頭部がなくても供給でき、汎用性に富む部品の供給装置とすることができる。
【0030】
なお、本発明の特徴を損なうものでなければ、前述した実施例に限定されないことは勿論であり、また、実施例1乃至3の部分的な構成を他の実施例に組み合わせても良いことは勿論である。例えば、実施例1での案内レール部材の搬送機構を実施例3の平行ローラ部材の搬送機構にしローラへの案内部材を設けるなどしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0031】
ネジ類の移送に回転磁石を用いたので、磁性体であればネジ類S以外の類似形状の鋲・リベット等の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0032】
S・・ネジ類、S1・・ネジ部、S2・・頭部、
1・・ネジ類供給装置、11・・ベース、12・・固定軸、
13・・ビットガイド取付板、
2・・収容部、21・・右側板、22・・左側板、23・・背面板、
24・・前面板、25・・底部、251a,251b,251c・・斜行底板、
252・・平坦底板、26・・汲上室前部、27・・汲上室後部、
28・・底部、281・・半円筒収納部材、29・・受給案内部材
3・・汲上機構、31・・駆動部、311・・駆動モータ、
312・・回転軸、313・・回転カム、314・・プーリ、315・・駆動ベルト、
316・・楕円回転カム、3161・・リンクレバー、31611・・圧接ローラ、
3162・・回動軸、3163・・回動レバー、3164・・長孔、
3165・・移動ピン、3166・・円弧状ギア部、
32・・磁石回転部、321・・プーリ、322・・回転軸、323・・軸受部、
33・・磁石距離変更部、
34・・磁石取付腕、341・・回転腕部、342・・腕回動軸、
343・・磁石案内ローラ、344・・ローラ取付枠、345・・軸受部、
346・・ローラ軸、
35・・取付部材、351・・円柱部、352・・平坦部、353・・腕軸受部、
36・・磁石、
37・・離反レール、371・・(高)平坦レール部(土手部:X3)、
372,373・・斜行部(X2,X4)、
374・・(底)平坦レール部(左側板:X1)
4・・搬送機構(案内レール部材)、
41・・レール支承部材、411a,411b・・レール押さえ板、
42・・レール部、421・・嵌合レール溝、422a,422b・・レール
43・・受給部、431a,431b・・羽部、
44・・支持板、441・・上部支持板、442・・前部支持板、
443・・底板、444・・後部支持板、
451a,451b・・板バネ、452a,452b・・押さえ部、
46・・電磁石受板、461・・先端部、
47・・電磁石、471・・鉄心部、4711・・磁力面、
472・・電磁コイル、473・・取付基板、
5・・刷毛回動機構、51・・刷毛、52・・回動軸、53・・調整押部材、
54・・回動軸受、55・・回動腕、551・・先端回転部、56・・圧接ローラ、
57・・スライダ、571・・長孔、572・・バネ、
58・・リンク、581・・中心軸受部、582・・一端軸受部、583・・他端軸受部、
59・・ギヤ歯車
6・・排出部、61・・ストッパ、62・・ビットガイド、
63・・ビットガイドブラケット、64・・センサーブラケット、
65・・先端センサー、
7・・搬送機構(平行搬送ロール部材)、
71a,b・・ローラ、72a,b・・螺旋溝、73・・ローラガイド、
8・・排出部、81・・出口スライダ、811・・滑経路、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネジ類を収容部から汲上機構によって汲み上げ、該ネジ類の搬送機構に載置し、該搬送機構によって外部に順次排出させる排出部を設けたネジ類供給機において、
前記搬送機構のネジ類の排出部は前記収容部の前方に設けるとともに、前記汲上機構は前記収容部の外壁の壁面に沿って回転する回転腕部が設けられ、該回転腕部の先端に磁石を固着し、該回転腕部は収容部の外壁から収納部に積載されたネジ類を該磁石の磁力による吸着力により、前記搬送機構に設けたネジ類の受給部に下方から上方に回転しながらネジ類を汲み上げるように誘導し、該回転腕部の前記磁石が上方で外壁から外側に離反させる磁石距離変更部を設け、前記汲上機構の該磁石距離変更部により、前記収納の上方でネジ類に対する吸着力を弱めてネジ類を前記受給部上に落下させるようにしたことを特徴とするネジ類供給機。
【請求項2】
前記汲上機構は、前記搬送機構でのネジ類の進行方向と平行な収納部の側壁に設けたことを特徴とする請求項1に記載のネジ類供給機。
【請求項3】
前記汲上機構は、前記搬送機構のネジ類の進行方向と直角な収納部の背壁に設けたことを特徴とする請求項1に記載のネジ類供給機。
【請求項4】
前記ネジ類の搬送機構は、ネジ類の案内レール部材であって、該案内レール部材はネジ類の軸部が上側から挿入される嵌合レール溝を有し、該嵌合レール溝の開口縁でネジ類の頭部を支承し、前記案内レール部材の嵌合レール溝に挿入されたネジ類に排出方向の慣性力を与えるように該案内レール部材を前後に振動させる慣性力付与機構を設け、収容部の内部から外部へ排出されるネジ類を案内するレールを備えることを特徴とする請求項1乃至3に記載のネジ類供給機。
【請求項5】
前記ネジ類の搬送機構は、互いに反対方向の螺旋溝を有する一対の平行搬送ローラ部材であって、該平行搬送ローラ部材の回転は互いに逆回転するとともに、上面では該螺旋溝がローラの回転によって見かけ上排出方向に向かうようにし、ネジ類の頭部又は端部を螺旋溝に係合させて収容部の内部から外部へ排出されるネジ類を案内するローラを備えることを特徴とする請求項1乃至3に記載のネジ類供給機。
【請求項6】
前記距離変更部は、前記回転腕部に設けられた案内ローラと、該案内ローラを案内する案内レールとからなり、該案内レールは円弧状の上土手部と斜行部と壁面部とから形成され、前記案内ローラが該壁面部を走行する場合には該回転腕の磁石の磁力による吸着力によりネジ類を誘導し、前記案内ローラが該斜行部から土手部を走行する場合には前記磁石を外壁から外側に遠ざけるようにしたことを特徴とする請求項1乃至5に記載のネジ類供給機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−208852(P2010−208852A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−124373(P2009−124373)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(594201630)株式会社大武ルート工業 (5)
【Fターム(参考)】