説明

ネットワークオペレーションサーバ装置及び伝送装置内設定データ管理方法

【課題】ネットワークオペレーションサーバ装置及び伝送装置内設定データ管理方法に関し、設定データのバックアップ漏れを防ぎ、正確なバックアップデータを効率的に取得することを可能にする。また、バックアップデータを基にパス単位で復元処理を可能にする。
【解決手段】ネットワークオペレーションサーバ装置1−10において、パス設定プロセス部1−1により伝送装置間に回線疎通の設定を行うパス設定を実施し(1)、該パス設定を実施した直後のタイミングで、該パス設定の経路上の全伝送装置の装置情報を抽出し(2−1)、該抽出された装置情報を装置内設定データバックアッププロセス部1−2に通知し、装置内設定データバックアッププロセス部1−2は、通知された装置情報の全伝送装置に対して、装置内設定データ装置内設定データのバックアップを実施させ(2−2)、該バックアップデータを装置データファイル1−4に退避保存する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークオペレーションサーバ装置及び伝送装置内設定データ管理方法に関し、通信ネットワークシステムを構成する伝送装置を含むネットワーク構成要素を制御するネットワークオペレーションシステムにおけるネットワークオペレーションサーバ装置、及び該システムによって制御される伝送装置内の設定データをバックアップし、バックアップデータを基に設定データを復元(リストア)する伝送装置内設定データ管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークオペレーションシステムの構成例を図9に示す。同図に示すように、ネットワークオペレーションシステムは、パソコン等の操作端末(HMI)9−1を、TCP/IP等のプロトコルによるネットワーク(DNC)9−2を介してネットワークオペレーション(NE−OpS)サーバ装置9−3に接続し、該ネットワークオペレーション(NE−OpS)サーバ装置9−3を、TCP/IP等のプロトコルによるネットワーク(DNC)9−4を介して、監視・制御対象の各伝送装置9−5に接続して構成される。
【0003】
操作端末(HMI)9−1及びネットワークオペレーション(NE−OpS)サーバ装置9−3から成るネットワークオペレーションシステムによって、監視・制御対象の各伝送装置9−5に対して各種の設定操作を行った後は、障害発生時の復旧処理や設定内容の確認等を行うために、各伝送装置に設定した装置内データをバックアップしておくことが望ましい。
【0004】
従来の各伝送装置の装置内設定データのバックアップ処理の手法を図10に示す。同図の(a)は手動による装置内設定データのバックアップを示している。手動による装置内設定データのバックアップは、
(1)ネットワークオペレーションシステム10−1によって伝送装置10−2に設定制御を実施した後に、
(2)該設定制御対象の伝送装置10−2に対して、装置内データのバックアップの実施を要求する指令を手動操作によって送出し、
(3)上記指令により、伝送装置10−2は自装置の装置内設定データを自装置内の記憶装置に保存してバックアップし、
(4)ネットワークオペレーションシステム10−1は、伝送装置10−2の上記バックデータを、ネットワークオペレーションシステムのサーバの記憶装置に退避させ、保存する、
という処理によって実施されていた。
【0005】
また、上記の手動によるバックアップ処理とは別に、定期的(例:1日に1回、定時刻等)に所定数の台数ずつ、伝送装置の装置内データを自動的にバックアップする処理を実施させていた。図10の(b)は定時動作による自動的な装置内設定データのバックアップ処理の例を示している。同図に示すように、自動的な定時バックアップ処理は、
(1)ネットワークオペレーションシステム10−1は、例えば、毎日定時刻に規定数(m個)分の伝送装置10−2〜10−2に対して、装置内データのバックアップの実施を要求する指令を、一台ずつ順々に自動的に送信し、
(2)上記指令を受信した各伝送装置10−2〜10−2は、自装置の装置内設定データを自装置内の記憶装置に保存してバックアップし、一台の伝送装置がバックアップを完了した後、上記の指令を次の伝送装置に送信し次の伝送装置にバックアップを実施させる処理を規定台数分繰り返し、
(3)ネットワークオペレーションシステム10−1は、伝送装置10−2〜10−2の上記バックデータを、ネットワークオペレーションサーバの記憶装置に退避させ、保存する、
という処理によって実施していた。なお、一日の規定数(m個)分を越える伝送装置10−2m+1〜10−2は、翌日又は翌々日、・・・に実施され、1日当たりm台分ずつ順々に各伝送装置の装置内データのバックアップ処理を実施していた。
【0006】
先行技術文献として下記の特許文献1には、ネットワーク管理装置にコネクション管理手段を設け、連続した識別子を持つ一定の数のコネクション群を1つのグループとし、ネットワーク全体のコネクションを一元的に管理し、コネクションの設定・解放を行うコネクションスイッチ型ネットワーク制御方法及び装置について記載されている。
【特許文献1】特開平11−163942号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述したように従来のバックアップ処理の手法は、設定操作を行った伝送装置に対して手動で装置内データのバックアップ処理を実行させるか、或いは、毎日所定時刻に所定の台数分ずつ各伝送装置に対して装置内データのバックアップを自動的に実行させていたが、所定時刻に自動的にバックアップ処理を実行させる手法では、バックアップ処理の実行順序が、ネットワークオペレーションシステム内部で各伝送装置を管理している管理番号順となるなど、伝送装置の設定データ更新のタイミングと必ずしも関連付けられていないため、例えば回線疎通等の重要な設定操作を行った伝送装置の設定データのバックアップ処理が直ちに行われず、長時間経過した後に実施される可能性がある。
【0008】
それを回避するために、必要な装置に対して手動でバックアップ操作を行うことが可能であったが、オペレータが重要な設定操作を実施した伝送装置をその都度把握しておき、該設定操作に関連する複数台の伝送装置に対して設定データを順次バックアップさせる操作を行う必要がある。
【0009】
複数台の伝送装置の設定操作として、例えば、複数の伝送装置に亘る回線疎通のためのパス設定を実施した場合は、そのパスの経路を把握し、該経路上に存在する全伝送装置に対して、設定データのバックアップを実施させる必要がある。これを手動で行うネットワークオペレーションシステムでは、操作性が効率的であるとは言えず、また、伝送装置の重要な設定データのバックアップに漏れが生じてしまうという人為的ミスも起りかねないという懸念がある。
【0010】
また、前述の所定時刻に所定の台数分ずつ各伝送装置の装置内設定データのバックアップを自動的に実行させる手法は、装置内設定データに変更がない場合で合っても、各伝送装置に対して、同一の装置内設定データのバックアップを実行させ、不要なバックアップ処理を無駄に実施させていたため、非効率的なものであった。
【0011】
本発明は、伝送装置の設定データ更新のタイミングに同期し、かつ、設定データの変更が有った伝送装置のみに対して装置内設定データのバックアップを自動的に実行し、設定データのバックアップ漏れや、実際の設定データとバックアップデータとのタイムラグによる不一致、人為的操作ミスを防ぎ、正確なバックアップデータを効率的に取得することを可能にする。また、該正確なバックアップデータを基にしてパス単位で復元処理を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、ネットワークオペレーションサーバ装置は、伝送装置間に回線疎通の設定を行うパス設定を実施するパス設定手段と、前記パス設定手段でパス設定を実施した直後のタイミングで、該パス設定に係る設定データのバックアップ対象となる、該パス設定の経路上の全伝送装置の装置情報を抽出する対象装置情報抽出手段と、前記対象装置情報抽出手段で抽出された全伝送装置に対して、装置内設定データのバックアップを、前記パス設定を実施した直後のタイミングで実施させるバックアップ処理手段を備えたものである。
【0013】
また、前記伝送装置に対して実施させた装置内設定データのバックアップの直後に、該伝送装置から応答信号として受信される各伝送装置の装置内設定データのバックアップデータを、当該パス設定に係るパスのパス名と関連付けたパス設定情報として保管するデータベース構造のバックアップデータ管理テーブルを備えたものである。
【0014】
また、前記バックアップデータ管理テーブルとして、現行のパス設定情報を登録日時の情報と共に格納した現パス一覧テーブルと、前記現パス一覧テーブルから削除され、前記現パス一覧テーブルのパス設定情報に削除日時の情報を追加したパス設定情報を保管する旧パス一覧テーブルとを備えたものである。
【0015】
また、前記旧パス一覧テーブルに保管されたパス設定情報の登録日時及び削除日時の情報と過去の特定の指定日時との前後関係を基に、該特定の指定日時におけるパス設定情報を旧パス一覧テーブルから抽出して一括復元データテーブルに登録し、該一括復元データテーブルに登録されたパス設定情報を基に、過去の特定の指定日時における装置内設定データを各伝送装置に復元させる手段を備えたものである。
【0016】
また、前記過去の特定の指定日時におけるパス設定情報を、前記一括復元データテーブルに登録する際に、旧パス一覧テーブルに存在する複数の同一のパス名のパス設定情報のうち、登録日時が特定の指定日時に最も近いパス設定情報を、前記一括復元データテーブルに登録する手段を備えたものである。
【0017】
また、伝送装置内設定データ管理方法において、ネットワークオペレーションシステムから、伝送装置間に回線疎通の設定を行うパス設定を実施するパス設定ステップと、前記パス設定ステップでパス設定を実施した直後のタイミングで、該パス設定に係る設定データのバックアップ対象となる、該パス設定の経路上の全伝送装置の装置情報を抽出する対象装置情報抽出ステップと、前記対象装置情報抽出ステップで抽出された全伝送装置に対して、装置内設定データのバックアップを、前記パス設定を実施した直後のタイミングで実施させるバックアップ処理ステップを含むものである。
【0018】
また、前記伝送装置に対して実施させた装置内設定データのバックアップの直後に、該伝送装置から応答信号として受信される各伝送装置の装置内設定データのバックアップデータを、当該パス設定に係るパスのパス名と関連付けたパス設定情報として、データベース構造のバックアップデータ管理テーブルに保管するステップを含むものである。
【0019】
また、前記バックアップデータ管理テーブルとして、現行のパス設定情報を登録日時の情報と共に現パス一覧テーブルに格納し、前記現パス一覧テーブルから削除され、前記現パス一覧テーブルのパス設定情報に削除日時の情報を追加したパス設定情報を、旧パス一覧テーブルに保管するステップを含むものである。
【0020】
また、現行のパス設定の経路に障害が発生し、予備のパス設定の経路への切り替えが実施された場合、該予備のパス設定を実施した直後のタイミングで、該パス設定に係る設定データのバックアップ対象となる、該パス設定の経路上の全伝送装置の装置情報を抽出する対象装置情報抽出ステップと、前記対象装置情報抽出ステップで抽出された全伝送装置に対して、装置内設定データのバックアップを、前記パス設定を実施した直後のタイミングで実施させるバックアップ処理ステップを含むものである。
【0021】
また、通信ネットワークシステムを構成する伝送装置の増設又は撤去が実施され、該増設又は撤去された伝送装置を経由する経路のパス設定が実施された場合、該パス設定を実施した直後のタイミングで、該パス設定に係る設定データのバックアップ対象となる、該パス設定の経路上の全伝送装置の装置情報を抽出する対象装置情報抽出ステップと、前記対象装置情報抽出ステップで抽出された全伝送装置に対して、装置内設定データのバックアップを、前記パス設定を実施した直後のタイミングで実施させるバックアップ処理ステップを含むものである。
【発明の効果】
【0022】
開示のネットワークオペレーションサーバ装置は、パス設定を実施した際に、該パス設定に関係する伝送装置のみに対して自動的に装置内設定データのバックアップを実施させ、該バックアップデータを取得するので、伝送装置の設定データ更新のタイミングに同期したバックアップデータを取得することができ、設定データのバックアップ漏れや、実際の設定データとバックアップデータとのタイムラグによる不一致、人為的操作ミスを防ぎ、正確なバックアップデータを取得することが可能となる。また、設定データの変更が有った伝送装置のみに対して装置内設定データのバックアップを自動的に実行させるため、短時間で効率的にバックアップ処理を実施させることが可能となる。
【0023】
さらに、伝送装置の設定データ更新のタイミングに同期した正確なバックアップデータを、登録日時と削除日時と共に保存し、それらを用いて過去の特定の指定日時の設定データを各伝送装置に復元することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は、伝送装置内設定データのバックアップのためのネットワークオペレーションシステム(NE−OpS)の構成例を示す。ネットワークオペレーション(NE−OpS)サーバ装置1−10内には、パス設定プロセス部1−1、装置内設定データバックアッププロセス部1−2、パス情報格納部1−3、装置内データファイル格納部1−4を備える。
【0025】
以下、6台の伝送装置A,B,C,D,E,Fが、ネットワークオペレーションシステム(NE−OpS)の監視・制御の対象となっているシステム構成例において、伝送装置Aを始点とし、伝送装置Dを終点とするパス設定を実施した場合のバックアップ処理の動作例について、図1及び図2を参照して説明する。
【0026】
操作端末(HMI)9−1からオペレータがネットワークオペレーション(NE−OpS)サーバ装置1−10に対して、伝送装置A→伝送装置B→伝送装置C→伝送装置Dに対するパス設定要求コマンドを投入すると、パス設定プロセス部1−1は、伝送装置A,B,C,Dへパス設定コマンドをそれぞれ送信する(図1及び図2の(1)−1,(1)−2,(1)−3,(1)−4)。
【0027】
パス設定コマンドを受信した各伝送装置A,B,C,Dは、指定されたパス設定を実施した後、実行結果をパス設定完了応答としてネットワークオペレーション(NE−OpS)サーバ装置1−10へ送信する。ネットワークオペレーション(NE−OpS)サーバ装置1−10は、各伝送装置A,B,C,Dからのパス設定完了応答を受信した後、パス設定の対象となった装置情報を、装置内設定データバックアッププロセス部1−2に通知し(2−1)、装置内設定データバックアッププロセス部1−2は、該通知されたパス設定対象装置(即ち、伝送装置A,B,C,D)に対して、各装置内の設定データを各装置内の記憶部に保存しバックアップさせるバックアップ要求コマンドを送信する(図1及び図2の(2)−1,(2)−2,(2)−3,(2)−4)。
【0028】
パス設定対象装置(伝送装置A,B,C,D)は、それぞれ上記バックアップ要求コマンドを受信した後、自装置内の設定データをデータベース情報として保存しバックアップを実施する(図2の(3)−1,(3)−2,(3)−3,(3)−4)。パス設定対象装置(伝送装置A,B,C,D)は、該バックアップを実施すると、該バックアップしたデータをネットワークオペレーション(NE−OpS)サーバ装置1−10へバックアップ完了応答として返送し、ネットワークオペレーション(NE−OpS)サーバ装置1−10は、各伝送装置からのバックアップデータを取り込み(2−3)、退避保存する。
【0029】
このように、ネットワークオペレーションシステム(NE−OpS)から、任意の伝送装置間に対して回線疎通のパス設定操作を実施したタイミングに同期して、該パス設定の対象となったパス経路上の伝送装置のみに対して、順次、自動的に装置内設定データのバックアップを実施させる。
【0030】
ネットワークオペレーション(NE−OpS)サーバ装置1−10は、パス設定の実施毎にそれぞれの設定データをバックアップさせた各伝送装置内のバックアップデータを、装置内データファイル格納部1−4のバックアップデータ管理テーブルに退避保存する。該装置内データファイル格納部1−4のバックアップデータ管理テーブルの構造を図3に示す。
【0031】
バックアップデータ管理テーブルは、設定したパスのパス名、パス設定を実施した年月日時分秒(登録日時)、及びパス設定時にバックアップした伝送装置毎の装置内バックアップデータファイル名を1レコード情報として管理するデータベース構造を有する。装置内バックアップデータファイル名については、[装置名+年月日時分秒]のように、他の伝送装置の装置内バックアップデータファイル名と重複しないファイル名を付与し、バックアップデータ管理テーブルに該ファイル名を登録する。なお、実際の各装置内バックアップデータは、固定パスのディレクトリ配下で管理する。
【0032】
バックアップデータ管理テーブルとして、図3の(a)に示す現パス一覧テーブルと同図(b)に示す旧パス一覧テーブルとを備える。現パス一覧テーブルには、現時点で実際に設定されている全パスについて各装置内バックアップデータファイル名を登録し、旧パス一覧テーブルには、削除された設定パスの各装置内バックアップデータファイル名を登録する。
【0033】
旧パス一覧テーブルは、削除された過去のパス設定情報を管理するためのものであり、現パス一覧テーブルの構造に設定パスの削除日時を加えたものである。通信ネットワークシステムの運用変更に伴い、設定パスの削除を実施した場合、ネットワークオペレーション(NE−OpS)サーバ装置1−10は、現パス一覧テーブルから、削除対象の設定パスのレコード情報を削除し(そのレコードに無を意味する“NULL”を書き込む)、そのレコード情報とパス削除の日時とを旧パス一覧テーブルへ書き込む。
【0034】
図3に示す例は、パス名称“AtoD PATH001”のパスが削除され、現パス一覧テーブルの該パス名称のレコードを削除し、該レコード情報に削除日時“2007/06/17 15:00:00”を追加したレコード情報を、旧パス一覧テーブルにNo.58のレコードとして書き込む例を示している。
【0035】
図3(b)に示す旧パス一覧テーブルは、最大60レコード分までのバックアップデータファイル名を管理することができる領域を有する例を示している。但し、最大レコード数(管理数)は、記憶装置の容量に応じて変更可能である。旧パス一覧テーブルには最も古いレコード情報に、新規のレコード情報を循環的に上書きする機能を備え、そのために、最古のレコード情報のレコード位置を示す旧パス一覧テーブルカウンタを具備する。
【0036】
上記旧パス一覧テーブルカウンタが示すレコード位置に、現パス一覧テーブルから削除されたパスのレコード情報を書き込む。その書き込みが完了すると、旧パス一覧テーブルカウンタの値を一つ分カウントアップする。カウントアップした値が旧パス一覧テーブルの最大管理数を超えた場合は、旧パス一覧テーブルの先頭のレコード位置を示す値に、旧パス一覧テーブルカウンタをリセットする。このように、過去のパス設定情報を管理する旧パス一覧テーブルを備えることにより、過去の特定の時刻での通信ネットワーク内のパス設定状態を、該時刻を指定してリストア(復元)することが可能となる。
【0037】
このようなバックアップデータ管理テーブルを備えることにより、設定パスの経路上の全伝送装置の装置内バックアップデータファイルを、該設定パスのパス名と関連付けて管理することができる。また、設定パス情報と該設定パスの経路上の各伝送装置内のバックアップデータファイル情報は、ネットワークオペレーション(NE−OpS)サーバ装置1−10に全パスについて保存されているので、任意のパス単位に各伝送装置の装置内データを一括でリストアすることが可能となり、また、旧パス一覧テーブルを用いて、過去の任意の時点のパス単位に各伝送装置の装置内データを一括でリストアすることが可能となる。
【0038】
次に図4を参照して、過去の特定の時刻での通信ネットワークのパス設定状態を一括で復元する動作例について説明する。前述の旧パス一覧テーブルを使用し、各伝送装置のバックアップデータファイル群のレコード情報の登録日時(生成日時)を比較し、該登録日時(生成日時)が、復元すべき時刻(指定時刻)より後のレコード情報の装置内バックアップデータについてはリストア対象外とすることにより、指定時刻に通信ネットワーク内に存在した設定パスの経路上の伝送装置のみに対して装置内設定データのリストアが可能となる。
【0039】
一例として、図4(a)に示す旧パス一覧テーブルを参照して、任意に指定した復元日時(例えば、2007/06/01 14:00:00)直前の各伝送装置バックアップデータに基づいて、該当装置の設定データのリストアを行う。この処理は、一括復旧データテーブル設定処理(図5の処理フロー参照)により、旧パス一覧テーブル内の登録日時及び削除日時と復元日時とを比較し、旧パス一覧テーブルから復元すべき設定データのバックアップデータファイル名を含むレコード情報を抽出し、一括復元データテーブル(図4の(b)参照)に格納する。
【0040】
なお、同一のパス名の複数のレコード情報は、登録日時が復元日時より古く、かつ復元日時に最も近いレコード情報のみを抽出して一括復元データテーブルに格納し、該一括復元データテーブルに格納された全レコード情報を登録日時の古いものから順に、そのレコード情報に示されるバックアップデータファイル名のファイルの設定データを各伝送装置に設定してリストアを行う。
【0041】
図4に示した例では、登録日時が復元日時2007/06/01 14:00:00より古いNo.1〜No.59のレコード情報のうち、No.1のレコード情報はその削除日時が復元日時より前であるので、復元の対象外と成る。また、No.2のレコード情報は、その登録日時が復元日時より前でその削除日時が復元日時より後であるので、復元対象となる。
【0042】
また、No.3とNo.59のレコード情報は、何れもその登録日時が復元日時より前でその削除日時が復元日時より後であるが、同一のパス名であるので、より復元日時に近いNo.59のみを復元対象とする。従って、一括復元データテーブルには、旧パス一覧テーブルのNo.2とNo.59のレコード情報が格納され、一括復元データテーブルに格納されたレコード情報に示されるバックアップデータファイル名のファイルの設定データを各伝送装置に設定してリストアを行う。こうすることにより、指定した日時の通信ネットワーク内のパス設定状態を一括で復元することが可能となる。
【0043】
図5に一括復旧データテーブル設定処理のフローを示す。同図に示すように、まず、旧パス一覧テーブルの各レコード情報に対して、復元日時が旧パス一覧テーブルのレコード情報の削除日時より前か否かを判定し(5−1)、前である場合、復元日時が旧パス一覧テーブルのレコード情報の登録日時より後であるか否かを判定し(5−2)、後である場合、一括復旧データテーブル内に既に同一のパス名が存在するとき、同一パス名同士のレコード情報の登録日時を比較し、既に存在する一括復旧データテーブル内のレコード情報の登録日時の方が古いか否かを判定し(5−3)、古い場合、該古い方のレコード情報に代えて、新しい登録日時のレコード情報を一括復旧データテーブルに登録する(5−4)。そして、旧パス一覧テーブル内の全てのレコード情報に対して参照したか否かを判定し(5−5)、全ての参照を終えていない場合は、5−1の処理フローに戻って同様の処理を繰り返す。
【0044】
5−5の処理フローで、旧パス一覧テーブル内の全てのレコード情報について参照を終えたと判定された場合は処理を終了する。また、5−1,5−2,5−3の処理フローで、否と判定された場合は、5−5の処理を実施する。
【0045】
次に、運用パスの経路が変更された場合の動作について説明する。通信ネットワークで現行の設定パスの経路上に伝送障害が発生し、障害経路を迂回するために運用パスの設定変更が実施された場合、そのタイミングに同期して、新たな運用パスに対して自動的に各伝送装置の装置内設定データのバックアップを実施させる。
【0046】
上記の動作例について図6を参照して説明する。図6の(a)は障害発生前の状態を、同図の(b)は障害発生後の状態を示している。メッシュ上の通信ネットワークにおいて、パス設定時に、現用のパスルートを通過する伝送装置B,C,Dにパス設定要求コマンドを送信((1)−1、(1)−2、(1)−3)するとともに、予備のパスルートを通過する伝送装置B,E,Dにも予備のパス設定要求コマンドを送信((1)−1、(1)−4、(1)−3)する。
【0047】
上記パス設定コマンドを受信した各伝送装置は、指定されたパス設定を実施した後、実行結果をネットワークオペレーション(NE−OpS)サーバ装置へ応答する。ネットワークオペレーション(NE−OpS)サーバ装置は、各伝送装置からのパス設定完了応答を受信した後、パス設定対象となった各伝送装置B,C,D,Eに対して、装置内設定データをバックアップするように要求コマンドを送信する((2)−1、(2)−2、(2)−3、(2)−4)。
【0048】
各伝送装置は、装置内設定データのバックアップ要求を受信すると、自装置内の記憶装置に設定データをバックアップする((3)−1、(3)−2、(3)−3、(3)−4)と共に、該バックアップデータをネットワークオペレーション(NE−OpS)サーバ装置0へ応答信号として送信し、ネットワークオペレーション(NE−OpS)サーバ装置は該バックアップデータを退避保存する。
【0049】
現用のパスルートに障害が発生し、ネットワークオペレーション(NE−OpS)サーバ装置の制御により、予備のパスルートへ運用パスが自動的に切り替えられたとき、該自動切り替えをトリガーに(即ち、該現用/予備切り替えに同期して)、切り替えられたパスのパス名を特定し、該パス名のパス経路上の伝送装置に対して、装置内設定データをバックアップするよう要求コマンドを送信する((4)−1、(4)−2、(4)−3、(4)−4)。
【0050】
上記各伝送装置は、装置内設定データバックアップ要求コマンドを受信すると、自装置内の記憶装置に装置内設定データをバックアップする((5)−1、(5)−2、(5)−3、(5)−4)とともに、該バックアップデータをネットワークオペレーション(NE−OpS)サーバ装置へ応答信号として送信し、ネットワークオペレーション(NE−OpS)サーバ装置は該バックアップデータを退避保存する。
【0051】
次に、通信ネットワーク内に伝送装置を増設又は撤去した場合の動作について説明する。ネットワークオペレーションシステム(NE−OpS)の監視・制御対象である通信ネットワーク内に伝送装置を増設又は撤去した後に、該増設又は撤去した伝送装置を経由する経路上の伝送装置にパス設定が実施されたとき、該パス設定の実施に同期して、該パス設定が実施された伝送装置に対し、パス単位に装置内設定データをバックアップさせる。
【0052】
上記の動作例について図7を参照して説明する。図7の(a)は伝送装置を増設してパス情報を設定し、同図の(b)は増設伝送装置にバックアップを実施させた動作例を示している。同図(a)に示すように、伝送装置Cと伝送装置Dとの間の区間(以下、区間CDという)にパス1とパス2が設定されているものとする。ここで、パス1は伝送装置A→伝送装置B→伝送装置C→伝送装置Dのパスであり、パス2は伝送装置B→伝送装置C→伝送装置Dの→伝送装置Eのパスである。
【0053】
区間CDに伝送装置Gを増設した場合、伝送装置Gに対してパス1とパス2のパス情報を設定する必要がある。まず、伝送装置Gに対してパス1のパス情報を設定するため、ネットワークオペレーション(NE−OpS)サーバ装置からパス設定コマンドを伝送装置Gに送信する(1)。
【0054】
伝送装置Gから上記コマンドに対する実行結果がネットワークオペレーション(NE−OpS)サーバ装置に応答されると、ネットワークオペレーション(NE−OpS)サーバ装置は、伝送装置Gに対して装置内設定データをバックアップするよう要求コマンドを送信する(2)。
【0055】
伝送装置Gが装置内設定データのバックアップ要求を受信すると、自装置内の記憶装置に設定データをバックアップする(3)とともに、該バックアップデータをネットワークオペレーション(NE−OpS)サーバ装置へ応答し、ネットワークオペレーション(NE−OpS)サーバ装置は該バックアップデータを退避保存する。上述の処理を区間CDに設定されている全てのパス(図示の例の場合、パス2)に対して実施する。
【0056】
ネットワークオペレーション(NE−OpS)サーバ装置は、増設した伝送装置のパス設定情報もパス名とリンクさせて管理することにより、通信ネットワークに伝送装置を増設した後でも、パス単位に装置内設定データを一括でリストアすることが可能となる。
【0057】
図8は増設した伝送装置のパス設定情報をパス名とリンクさせて管理する動作例を示す。図8の(a)は伝送装置Gを増設前の現パス一覧テーブルを示し、同図の(b)は伝送装置Gを増設後の旧パス一覧テーブルを示し、同図の(c)は伝送装置Gを増設後の現パス一覧テーブルを示している。
【0058】
図7に示したように区間CDに伝送装置Gを増設した際、ネットワークオペレーション(NE−OpS)サーバ装置は、伝送装置Gにパス1のパス情報を設定し、伝送装置Gの装置内設定データのバックアップデータを取得した後、図8(a)に示す現パス一覧テーブルのパス1(パス名“AtoD PATH001”)のレコード情報データを、同図(b)の旧パス一覧テーブルに、削除日時(2007/06/17 15:00:00)を追加して登録する(4)。
【0059】
そして、現パス一覧テーブルのパス1(パス名“AtoD PATH001”)のレコード情報を、同図(c)に示すように、増設した伝送装置Gのバックアップファイル名“G_bk・・・.dat”を含むレコード情報に更新する(5)。同様の処理を、区間CDに設定されているパス全て(図示の例の場合、パス2)に対して実施する。
【0060】
このように、伝送装置を増設したことでパスルートが変更されたとしても、増設した伝送装置の装置内設定データのバックアップを元のパス名とリンクさせて管理することで、最新のパスルートの状態で装置内設定データのバックアップデータを管理することができ、該バックアップデータを基にパス単位に一括で各伝送装置の装置内設定データのリストアすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明によるネットワークオペレーションシステム(NE−OpS)の構成例を示す図である。
【図2】本発明によるバックアップ処理の動作例を示す図である。
【図3】本発明によるバックアップデータ管理テーブルの構成例を示す図である。
【図4】本発明によるパス設定の一括復元の動作例を示す図である。
【図5】本発明による一括復旧データテーブル設定処理のフローを示す図である。
【図6】本発明による運用パスの経路の変更の場合の動作例を示す図である。
【図7】本発明による伝送装置の増設の場合の動作例を示す図である。
【図8】本発明による増設伝送装置のパス設定情報をパス名とリンクさせて管理する動作例を示す図である。
【図9】ネットワークオペレーションシステムの構成例を示す図である。
【図10】従来の各伝送装置の装置内設定データのバックアップ処理を示す図である。
【符号の説明】
【0062】
1−1 パス設定プロセス部
1−2 装置内設定データバックアッププロセス部
1−3 パス情報格納部
1−4 装置内データファイル格納部
1−10 ネットワークオペレーション(NE−OpS)サーバ装置
9−1 操作端末(HMI)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークシステムを構成する伝送装置を制御するネットワークオペレーションサーバ装置において、
前記ネットワークオペレーションサーバ装置から、前記伝送装置間に回線疎通の設定を行うパス設定を実施するパス設定手段と、
前記パス設定手段でパス設定を実施した直後のタイミングで、該パス設定に係る設定データのバックアップ対象となる、該パス設定の経路上の全伝送装置の装置情報を抽出する対象装置情報抽出手段と、
前記対象装置情報抽出手段で抽出された全伝送装置に対して、装置内設定データのバックアップを、前記パス設定を実施した直後のタイミングで実施させるバックアップ処理手段と、
を備えたネットワークオペレーションサーバ装置。
【請求項2】
前記伝送装置に対して実施させた装置内設定データのバックアップの直後に、該伝送装置から応答信号として受信される各伝送装置の装置内設定データのバックアップデータを、当該パス設定に係るパスのパス名と関連付けたパス設定情報として保管するデータベース構造のバックアップデータ管理テーブルを備えた請求項1に記載のネットワークオペレーションサーバ装置。
【請求項3】
前記バックアップデータ管理テーブルとして、現行のパス設定情報を登録日時の情報と共に格納した現パス一覧テーブルと、前記現パス一覧テーブルから削除され、前記現パス一覧テーブルのパス設定情報に削除日時の情報を追加したパス設定情報を保管する旧パス一覧テーブルとを備えた請求項2に記載のネットワークオペレーションサーバ装置。
【請求項4】
前記旧パス一覧テーブルに保管されたパス設定情報の登録日時及び削除日時の情報と過去の特定の指定日時との前後関係を基に、該特定の指定日時におけるパス設定情報を旧パス一覧テーブルから抽出して一括復元データテーブルに登録し、該一括復元データテーブルに登録されたパス設定情報を基に、過去の特定の指定日時における装置内設定データを各伝送装置に復元させる手段を備えた請求項3に記載のネットワークオペレーションサーバ装置。
【請求項5】
前記過去の特定の指定日時におけるパス設定情報を、前記一括復元データテーブルに登録する際に、旧パス一覧テーブルに存在する複数の同一のパス名のパス設定情報のうち、登録日時が特定の指定日時に最も近いパス設定情報を、前記一括復元データテーブルに登録する手段を備えた請求項5に記載のネットワークオペレーションサーバ装置。
【請求項6】
通信ネットワークシステムを構成する伝送装置を制御するネットワークオペレーションシステムにより各伝送装置内の設定データ管理する伝送装置内設定データ管理方法において、
前記ネットワークオペレーションシステムから、前記伝送装置間に回線疎通の設定を行うパス設定を実施するパス設定ステップと、
前記パス設定ステップでパス設定を実施した直後のタイミングで、該パス設定に係る設定データのバックアップ対象となる、該パス設定の経路上の全伝送装置の装置情報を抽出する対象装置情報抽出ステップと、
前記対象装置情報抽出ステップで抽出された全伝送装置に対して、装置内設定データのバックアップを、前記パス設定を実施した直後のタイミングで実施させるバックアップ処理ステップと、
を含む伝送装置内設定データ管理方法。
【請求項7】
前記伝送装置に対して実施させた装置内設定データのバックアップの直後に、該伝送装置から応答信号として受信される各伝送装置の装置内設定データのバックアップデータを、当該パス設定に係るパスのパス名と関連付けたパス設定情報として、データベース構造のバックアップデータ管理テーブルに保管するステップを含む請求項6に記載の伝送装置内設定データ管理方法。
【請求項8】
前記バックアップデータ管理テーブルとして、現行のパス設定情報を登録日時の情報と共に現パス一覧テーブルに格納し、前記現パス一覧テーブルから削除され、前記現パス一覧テーブルのパス設定情報に削除日時の情報を追加したパス設定情報を、旧パス一覧テーブルに保管するステップを含む請求項7に記載の伝送装置内設定データ管理方法。
【請求項9】
現行のパス設定の経路に障害が発生し、予備のパス設定の経路への切り替えが実施された場合、該予備のパス設定を実施した直後のタイミングで、該パス設定に係る設定データのバックアップ対象となる、該パス設定の経路上の全伝送装置の装置情報を抽出する対象装置情報抽出ステップと、
前記対象装置情報抽出ステップで抽出された全伝送装置に対して、装置内設定データのバックアップを、前記パス設定を実施した直後のタイミングで実施させるバックアップ処理ステップと、
を含む請求項6に記載の伝送装置内設定データ管理方法。
【請求項10】
通信ネットワークシステムを構成する伝送装置の増設又は撤去が実施され、該増設又は撤去された伝送装置を経由する経路のパス設定が実施された場合、該パス設定を実施した直後のタイミングで、該パス設定に係る設定データのバックアップ対象となる、該パス設定の経路上の全伝送装置の装置情報を抽出する対象装置情報抽出ステップと、
前記対象装置情報抽出ステップで抽出された全伝送装置に対して、装置内設定データのバックアップを、前記パス設定を実施した直後のタイミングで実施させるバックアップ処理ステップと、
を含む請求項6に記載の伝送装置内設定データ管理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−159206(P2009−159206A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−333752(P2007−333752)
【出願日】平成19年12月26日(2007.12.26)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】