説明

ネットワーク中継装置及びその方法

【課題】ネットワーク中継装置及びその方法を提供する。
【解決手段】ネットワーク中継装置は、ヘッダに対するエラー有無を判断するためのヘッダエラーチェック情報を有するフレームを受信するデータ送受信部と、ヘッダエラーチェック情報を用いてヘッダに対するエラー有無を判断し、ヘッダにエラーがないと判断されると、フレーム全体が受信される前に、受信したフレームを宛先に転送を開始するようにデータ送受信部を制御する制御部と、を有する。この場合、フレームは、ヘッダエラーチェックの後に転送を行うか否かを知らせるヘッダエラーチェックフラグ情報が記録される第1フィールド、ヘッダエラーチェック情報が記録される第2フィールドを含み得、制御部は、ヘッダエラーチェックフラグ情報よりチェックアンドフォワード方式の適用が確認されると、ヘッダエラーチェック情報を確認してヘッダエラーの有無を判断し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク中継装置及びその方法に関し、より詳細には、フレームが受信されるとヘッダ部分のエラーを先にチェックし、エラーがなければ全体のフレームが受信される前にフレームの転送を開始するネットワーク中継装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワーク技術の発達に伴い、家庭内の各家電製品をネットワークで接続してユーザが便利に各製品を制御できるようにする住居イーサネット(登録商標)ネットワーク(Residential Ethernet(登録商標) Network)に対する開発及び普及が行われている。
【0003】
住居イーサネット(登録商標)ネットワークとは、ホームネットワークの一環として、イーサネット(登録商標)ネットワーク上で時間依存性トラフィック(time−sensitive traffic)、言い換えれば、高品質のオーディオ/ビデオトラフィックの転送まで行うことができるようにするネットワーク環境のことを意味する。IEEE802においては、住居イーサネット(登録商標)ネットワークに対する新たな規格の制定を準備中にある。
【0004】
このような住居イーサネット(登録商標)ネットワーク上においては、ノード間のデータフレームの転送を中継するネットワーク中継装置が必須である。具体的には、A/Vブリッジ(bridge)がネットワーク中継装置として動作し、A/Vデータフレームを中継する。
【0005】
A/Vデータフレームの転送は、その中継過程において所要される時間が重要な意味を有する。即ち、A/Vデータを出力するノードにおいて、オーディオ及びビデオデータ間の同期を取って出力するためには、オーディオデータフレームとビデオデータフレームとの受信が一定の時間内に行わなければならない。特に、リアルタイム放送データの場合、放送切れ現象を防止するために転送が持続して接続される必要があるため、中間転送過程での遅延を最小化しなければならない。一般に、住居イーサネット(登録商標)ネットワーク上での送信元ノード及び宛先ノード間のA/Vトラヒックの転送遅延は、2ms以内であることが求められている。
【0006】
一方、従来のネットワーク中継装置では、ストアアンドフォワード(Store and forward)方式、又はカットスルースイッチング(Cut theough switching)方式でフレームを転送していた。ストアアンドフォワード方式とは、ネットワーク中継装置が、受信されたフレームを全部保存した後、フレームの末尾に設けられたCRC(Cyclic Redundancy Check:巡回冗長検査)値を用いて全体フレームに対するエラーのチェックを行い、エラーがなければフレームヘッダに記録された宛先にフレームを転送させる方式を意味する。
【0007】
ストアアンドフォワード方式によると、フレームを安定的に転送することはできるが、ネットワーク中継装置がフレーム全体を保存する時間の間に転送が遅延し、フレームの中継過程での遅延が大きくなるという問題点があった。
具体的には、ファースト(fast)イーサネット(登録商標)環境で64バイトのフレームを中継すると仮定すると、ヘッダを受信して保存した後にチェックするチェック時間、ヘッダ内の宛先アドレスを確認して宛先を決定する時間、宛先への転送を命令する時間など、全部合わせると略2μs程度の時間が所要される。
【0008】
一方、フレームのボディ部分まで受信して保存し、転送の命令によってフレームを実際に転送完了するのにかかる時間は略5.12μs程度が所要される。結果的に、64バイトフレームを中継する際、7.12μs程度が所要される。
別の例として、1526バイト程度の大型フレームを中継すると仮定すると、ヘッダの処理にかかる時間は2μsと同様であるが、フレームを保存した後、転送完了までかかる時間は122.08μsと、大きく増加する。結果的に、124.08μsの時間が所要される。一方、送信元と宛先との間のフレームの転送経路上には、複数のネットワーク中継装置が存在し得る。従って、全体のフレームの転送時間が2msを超過するという問題点があった。
【0009】
一方、カットスルースイッチング方式とは、フレームが受信されるとすぐにヘッダの宛先アドレスを確認することで、フレームの保存なしに受信と同時に転送を行う方式である。カットスルースイッチング方式によると、迅速な転送が行われるため中継遅延は最小化することができる。しかし、ヘッダ部分、特に、宛先アドレスの記録されたフィールド領域にエラーが含まれていた場合、他のネットワークに中継する恐れがある。即ち、フレームエラーをチェックするためのCRC値は、各フレームの最後端に位置するため、カットスルースイッチング方式に従う場合、フレームエラーをチェックすることができず、これにより、フレームの中継自体に誤りが発生する恐れがあるとの問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、ヘッダエラーチェック情報がヘッダ部分に記録されたフレームを受信し、ヘッダに対するエラーチェックを行った後、その結果に応じてフレームの転送を迅速に行うことにより、フレームの中継を安定的に行うと同時に中継遅延を最小化させることができる、ネットワーク中継装置及びその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様によるネットワーク中継装置は、ヘッダに対するエラー有無を判断するためのヘッダエラーチェック情報を有するフレームを受信するデータ送受信部と、前記ヘッダエラーチェック情報を用いて前記ヘッダに対するエラー有無を判断し、前記ヘッダにエラーがないと判断されると、前記フレーム全体が受信される前に、前記受信したフレームを宛先に転送を開始するように、前記データ送受信部を制御する制御部とを有することを特徴とする。
【0012】
前記フレームは、前記ヘッダに対するエラーチェックの後に転送の実行においてチェックアンドフォワード(Check and forward)方式が適用されるか否かを知らせる情報を含む前記ヘッダエラーチェックフラグ(flag)情報が記録される第1フィールドと、前記ヘッダエラーチェック情報が記録される第2フィールドとを含むことが好ましい。
前記第1フィールド及び第2フィールドのそれぞれは、前記フレームのペイロード領域に相当する位置に少なくとも1バイト以上で構成され、フレームのヘッダに含まれることが好ましい。
【0013】
より好ましくは、前記データ送受信部により受信されるフレームを保存するためのメモリ部を更に有することが好ましく、この場合、前記制御部は、前記メモリ部に前記ヘッダが完全に保存された時点で、前記第1フィールドに保存されたヘッダエラーチェックフラグ情報を確認して、前記チェックアンドフォワード方式が適用されるか否かを判断し、前記チェックアンドフォワード方式が適用されると確認されると、前記第2フィールドに保存されたヘッダエラーチェック情報を確認して前記ヘッダーに対するエラー有無を判断することが好ましい。
【0014】
一方、前記制御部は、前記チェックアンドフォワード方式が適用されないと確認されると、前記フレーム全体が前記メモリ部に完全に保存された時点で、前記フレーム全体に対してエラーが含まれているか否かを判断し、前記フレームにエラーが含まれていないと確認されると、前記フレームの転送を開始することが好ましい。
この場合、前記制御部は、前記チェックアンドフォワード方式が適用されないと確認された場合、前記フレーム全体に対するCRC(Cyclic Redundancy Check:巡回冗長検査)値を演算し、演算されたCRC値と前記フレーム内に含まれるフレームのCRC値とを比較し、前記フレーム全体に対してエラーが含まれているか否かを判断することが好ましい。
【0015】
前記ヘッダエラーチェック情報は、CRC値を含むことが好ましい。
前記制御部は、前記チェックアンドフォワード方式が適用されると確認されると、前記ヘッダ部分に対するCRC値を演算し、前記演算されたCRC値と前記第2フィールドに記録されたCRC値とを比較し、比較の結果、両者の値が一致すれば前記ヘッダにエラーがないと判断し、一致しなければ前記ヘッダにエラーがあると判断することが好ましい。
前記第2フィールドに記録されたヘッダエラーチェック情報は、チェックサム(Checksum)及びパリティビット(parity bits)のうち少なくとも一つであることが好ましい。
【0016】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様によるネットワーク中継装置のネットワーク中継方法は、(a)ヘッダエラーチェック情報を含むフレームを受信するステップと、(b)前記ヘッダエラーチェック情報を用いて前記ヘッダに対するエラー有無を判断するステップと、(c)前記ヘッダにエラーがないと判断されると、前記フレーム全体が受信される前に、前記フレームを宛先に転送を開始するステップと、を有することを特徴とする。
【0017】
前記フレームは、前記ヘッダに対するエラーチェックの後に転送の実行においてチェックアンドフォワード(Check and forward)方式が適用されるか否かを知らせる情報を含む前記ヘッダエラーチェックフラグ(flag)情報が記録される第1フィールドと、前記ヘッダエラーチェック情報が記録される第2フィールドとを含むことが好ましい。
前記第1フィールド及び第2フィールドのそれぞれは、前記フレームのペイロード領域に相当する位置に少なくとも1バイト以上で構成され、フレームのヘッダに含まれることが好ましい。
【0018】
前記受信されたフレームをメモリ部に保存するステップと、前記メモリ部に前記ヘッダが完全に保存された時点で、前記第1フィールドに保存されたヘッダエラーチェックフラグ情報を確認し、前記チェックアンドフォワード方式が適用されるか否かを判断するステップとを更に有することが好ましい。
この時、チェックアンドフォワード方式が適用されると確認されると、前記ヘッダに対してエラーが発生したかどうかを判断し、その後、フレームの転送を行うことが好ましい。
【0019】
前記チェックアンドフォワード方式が適用されないと確認されると、前記フレーム全体が前記メモリ部に完全に保存された時点で、前記フレーム全体に対してエラーが含まれているか否かを判断するステップと、前記フレームにエラーが含まれていないと確認されると、前記フレームを前記宛先に転送するステップとを更に有することが好ましい。
前記ヘッダエラーチェック情報は、CRC値であることが好ましい。
また、前記ヘッダエラーチェック情報を用いて前記ヘッダに対するエラー有無を判断するステップは、前記チェックアンドフォワード方式が適用されると確認されると、前記ヘッダ部分に対するCRC値を演算し、前記演算されたCRC値と前記第2フィールドに記録されたCRC値とを比較し、比較の結果、両者の値が一致すれば前記ヘッダにエラーがないと判断し、一致しなければ前記ヘッダにエラーがあると判断することが好ましい。
【0020】
前記第2フィールドに記録されたヘッダエラーチェック情報は、チェックサム(Checksum)及びパリティビット(parity bits)のうち少なくとも一つであることが好ましい。
前記ネットワーク中継装置は、住居イーサネット(登録商標)ネットワーク(Residential Ethernet(登録商標) Network)を構成し、A/Vデータフレーム(Audio/Video data frame)の転送を中継するA/Vブリッジ(Audio/Video bridge)であることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、フレームのヘッダ部分にエラーが含まれているか否かを先にチェックした後、フレームの転送を開始することになるため、フレームが誤った宛先ノードに転送されることを防止することができる。従って、安全なフレームの中継が可能となる。また、フレームヘッダが正常状態の場合、フレーム全体が受信される前にフレームの転送を開始することになるため、フレームの中継に所要される時間を最小化させることができる、これにより、時間依存性トラフィックであるA/Vデータフレームに対して求められる転送時間を満足させることができるようになる。結果的に、住居イーサネット(登録商標)ネットワーク環境でのA/V転送サービスを正常に実現することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態によるネットワーク中継装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1のネットワーク中継装置で中継するフレーム構成の一例を示す模式図である。
【図3】本発明の他の実施形態によるネットワーク中継装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態によるネットワーク中継装置を含む住居イーサネット(登録商標)ネットワークの構成の一例を示す模式図である。
【図5】本発明の一実施形態によるネットワーク中継方法を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の他の実施形態によるネットワーク中継方法を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態によるネットワーク中継装置の構成を示すブロック図である。
図1を参照すると、本ネットワーク中継装置100は、データ送受信部110及び制御部120を含む。
【0024】
データ送受信部110は、MAC(medium access control)/PHY(physical)レイヤで動作する手段として構成することができ、制御部120はPAL(Protocol Adaptation Layer)で動作する手段として構成することができる。本ネットワーク中継装置100は、住居イーサネット(登録商標)ネットワーク(Residential Ethernet(登録商標) Network)を構成するA/Vブリッジ(bridge)で具現することができる。
【0025】
データ送受信部110は、他ノードからフレームを受信する。具体的には、オーディオフレーム又はビデオフレームを受信することができる。
制御部120は、データ送受信部110で受信されたフレームに記録されているヘッダエラーチェック情報を検出し、ヘッダに対してエラーの有無を判断する。この場合、ヘッダエラーチェック情報は、CRC(Cyclic Redundancy Check:巡回冗長検査)値、チェックサム(checksum)、パリティビット(Parity bits)のうちの一つであることが好ましい。
【0026】
パリティビットを使用する場合、送信元ノードは、フレームの転送前にヘッダ部分のデータビットの和を計算する。これにより、データビットの和が偶数であれば、パリティビットを「1」と設定する。もしデータビット値の和が奇数であれば、パリティビットは「0」と設定する。制御部120は、受信されたフレームのヘッダ部分のビット値を合算し、その結果が奇数か偶数かを確認する。このとき、その和が偶数であれば、転送中にエラーが発生したと認識する。一方、その和が奇数であれば、ヘッダが正常状態であると認識する。
【0027】
チェックサムを使用する場合、送信元ノードは、ヘッダ部分のデータを二進数(binary number)の連続と見て、その二進数の和を計算し、フレームヘッダ内の所定フィールドに記録する。例えば、16ビットのチェックサムを使用する場合、データを16ビットずつ分けて16進数で表現した後、その和を計算して16で乗算した余りに該当する値をチェックサムとして記録する。制御部120は、ヘッダ部分のチェックサムを演算し、ヘッダ部分に記録されたチェックサムと比較する。比較の結果、両者の値が一致すればヘッダが正常状態であると認識し、一致しなければヘッダがエラー状態であると認識する。
【0028】
CRCは、ヘッダ部分のデータに適用されるビットの多項式を適用する方式である。例えば、32ビットの多項式の使用が適用される場合、送信元ノードは、ヘッダ部分のデータに32ビットの多項式を適用し、その結果から得られたコードをヘッダ内の所定フィールドに記録する。制御部120は、ヘッダ部分に対して同様の多項式を適用し、その結果をヘッダ内に記録された値と比較する。比較の結果、両者の値が一致すればヘッダが正常状態であると認識し、一致しなければヘッダがエラー状態であると認識する。
【0029】
制御部120は、ヘッダにエラーが発生していないと判断されると、フレーム全体が受信される前であってもフレームの転送を開始するように、データ送受信部110を制御する。
言い換えれば、制御部120は、フレームヘッダ内に記録された宛先アドレスを確認し、当該宛先が属するネットワークへフレームを転送させる。
【0030】
これにより、フレームの受信作業と同時にフレームの転送作業が行われるため、従来のストアアンドフォワード方式に比べて、フレームペイロード部分の保存した後に転送するのに所要する時間が節約される。また、フレームの転送に先立ってヘッダに対してエラーチェックを行うため、従来のカットスルースイッチング方式に比べて、安定的なフレームの中継が可能となる。以上のように、ヘッダ内のエラーのみをチェックした後にすぐ転送する方式を、以下ではチェックアンドフォワード方式(Check−and−foward method)と称する。
【0031】
一方、フレームには、チェックアンドフォワード方式が実行されるかどうかを知らせるためのヘッダエラーチェックフラグ情報が更に記録されても良い。
制御部120は、ヘッダエラーチェックフラグ情報を確認し、チェックアンドフォワード方式が行われると認識されると、上述したように、ヘッダ内のエラーをチェックした後、転送するか否かを決定する。一方、ヘッダエラーチェックフラグの情報によってチェックアンドフォワード方式が行われないと認識されると、既存の方式の中で何れか一つを利用してフレームを転送させることができる。
【0032】
図2は、図1のネットワーク中継装置で中継するフレーム構成の一例を示す模式図である。同図によると、本フレーム200は、ヘッダ(Header)及びボティ(Body)に区分される。
まず、ヘッダ部分には、導入部(preamble)、SFD(Start of Frame Delimiter)、宛先アドレス(Destination Address)、送信元アドレス(Source Address)、フレーム種類/長さ(Type/Length)などが記録される。これらの領域は、既存のフレームのヘッダの構成と同様に構成することができる。
【0033】
導入部は、宛先ノードとの間の同期を取るためマッチングビットとして用い、7バイトのビットパターンを有する。SFDは、実際のフレームのスタートを意味し、1バイトのサイズの「10101011」のビットパターンを有する。宛先アドレスは、宛先ノードのMACアドレスに対応し、送信元アドレスは、送信元ノードのMACアドレスに対応する。宛先及び送信元アドレスは、それぞれ6バイトのビットパターンを有する。フレームの種類/長さは、該当フレーム200の種類又は長さに対する情報が記録され、2バイト程度のビットパターンを有する。
【0034】
一方、図2のフレームによると、既存のヘッダの構成に加えて、第1フィールド210及び第2フィールド220が新たに追加される。第1及び第2フィールド210、220は、既存のフレームの構成のうちペイロード領域に相当する位置に数バイトで構成することができる。たとえば、第1フィールド210は1バイト、第2フィールド220は1バイト又は2バイトで構成することができる。
【0035】
図2のように、既存のペイロード領域の前端部を占有して第1及び第2フィールド210、220を設けると、既存の規格で定義するフレームのヘッダ構成をそのまま維持することができる。
この場合、追加された第1及び第2フィールド210、220も、新たなヘッダ領域としてみなすことができる。第1及び第2フィールド210、220のそれぞれは、少なくとも1バイト以上で構成することができる。また、第1及び第2フィールド210、220はフレームのその他の部分に設けることもできる。
【0036】
第1フィールド210には、チェックアンドフォワード方式が適用されるか否かを知らせるヘッダエラーチェックフラグ情報が記録される。
制御部120は、ヘッダエラーチェックフラグ情報のビットパターンをチェックし、チェックアンドフォワード方式が適用される場合(即ち、ON状態)であるか、チェックアンドフォワード方式が適用されない場合(即ち、OFF状態)であるかを判断する。
【0037】
具体的には、ヘッダエラーチェックフラグ情報が「10101001」、「01010110」の2種類に設定されている場合、「10101001」と記録されていると、OFF状態と認識し、「01010110」と記録されていると、ON状態と認識する。ヘッダエラーチェックフラグ情報がOFF状態の場合、第2フィールド220はペイロードとして活用することができる。即ち、第2フィールド220に割り当てられたバイトにも一般データを記録して使用することができる。
【0038】
第2フィールド220にはヘッダ部分のみのためのヘッダエラーチェック情報が記録される。上述したように、ヘッダエラーチェック情報は、CRC、チェックサム、パリティビットなどからなることが好ましい。
【0039】
一方、ボディには、ペイロード、CRCなどが含まれる。このうち、ペイロード部分は実際のデータが記録される領域で、略46〜1500バイトのサイズを有する。
ボディに備えられたCRCは、フレーム200全体に対するCRC値が記録される。制御部120は、チェックアンドフォワード方式が適用されない場合、ボディに備えられたCRCを用いてフレーム自体に対してエラーが含まれているか否かを判断し、その判断結果に応じて転送するか否かを決定することができる。即ち、エラーが含まれていれば、該当フレームを廃棄処理する。一方、エラーが含まれていなければ、フレームを宛先ノードが属しているネットワークへ転送させる。
【0040】
上述したように、チェックアンドフォワード方式が適用されない場合には、従来の転送方式を利用することができる。たとえば、ストアアンドフォワード方式を用いて、全体フレームを保存した後に転送を行うこともできる。このためには、全体フレームを保存するための保存空間が必要となる。
【0041】
図3は、本発明の他の実施形態によるネットワーク中継装置を示すブロック図である。
図3のネットワーク中継装置100’は、チェックアンドフォワード方式及びストアアンドフォワード方式を選択的に採用することができる。図3によるネットワーク中継装置100’は、データ送受信部110及び制御部120に加え、メモリ部130を更に含む。図3においてデータ送受信部110及び制御部120については、図1と同一の符号番号を使用して説明する。
【0042】
データ送受信部110は、図2に示すような、第1及び第2フィールド210、220がヘッダに設けられたフレーム200を受信する。
データ送受信部110によって受信されたフレーム200は、メモリ部130によって保存される。
【0043】
制御部120は、フレーム200のヘッダ部分までが完全に保存された時点で、第1フィールド210に記録されたヘッダエラーチェックフラグ情報を確認し、チェックアンドフォワード方式が適用されるか否かを判断する。これにより、チェックアンドフォワード方式が適用されると判断されると、第2フィールド220に記録されたヘッダエラーチェック情報を用いてヘッダ部分に対するエラー有無を判断し、その判断結果に応じて転送を行う。即ち、エラーがない場合には、宛先にフレーム200を転送させ、エラーがあれば該当フレーム200の受信を中止あるいは受信する即時に廃棄処理する。
【0044】
一方、制御部120は、チェックアンドフォワード方式が適用されないと判断されると、ストアアンドフォワード方式で動作する。即ち、制御部120は、フレーム200全体がメモリ部130に保存されるまでに待機する。メモリ部130への保存が完了されると、その時点からフレーム200の後端に設けられたCRCを用いてフレーム200全体に対するエラーの有無をチェックする。これにより、エラーがなければ該当フレーム200を転送し、エラーがあれば廃棄処理する。
【0045】
図4は、本発明の一実施形態によるネットワーク中継装置を含む住居イーサネット(登録商標)ネットワーク構成の一例を示す模式図である。
図4においては、図1のネットワーク中継装置100が適用されているが、図3のネットワーク中継装置100’が適用されても良い。図4によると、本住居イーサネット(登録商標)ネットワークは、第1〜第6ノード10〜60と、ネットワーク中継装置100を含む。図4においては、一つのネットワーク中継装置100のみ示されているが、複数のネットワーク中継装置がフレームの中継によっても良い。
【0046】
第1ノード10が送信元ノードである場合、第1ノード10は、フレームのヘッダ部分にヘッダエラーチェック情報を記録する。そして、フレームをネットワーク中継装置100に転送する。
ネットワーク中継装置100は、ヘッダエラーチェック情報を用いて、受信されたフレームのヘッダ部分に対するエラーチェックを先に行う。これにより、ヘッダにエラーがないと判断されると、ヘッダ部分から宛先アドレスを検出する。
【0047】
そして、フレーム全体が受信される前であってもフレームの転送を開始する。宛先ノードが第4ノード40であると仮定すると、ネットワーク中継装置100は、宛先に向けて位置した第3ノード30にフレームを転送する。フレームの転送が開始されると、それ以降受信されるフレームデータはネットワーク中継装置100に保存されずに即時転送される。
【0048】
この場合、ヘッダデータから転送した後、残りのフレームデータを続けて転送する。
全体フレームデータのサイズが64バイトである場合、ヘッダ処理に所要される時間は略2μsである。また、ヘッダデータの転送と残りのフレームデータを受信して転送処理するのにかかる時間は略2μs程度である。結果的に、全体フレームの中継に所要される時間は略4μs程度である。従来のストアアンドフォワード方式で7.12μs程度が所要されていたことに比べると、中継時間が著しく短縮されたことが分る。
【0049】
一方、フレーム全体のデータのサイズが大きいほど、ストアアンドフォワード方式との中継速度の差は更に大きくなる。即ち、フレーム全体のデータが1526バイトである場合にもヘッダのサイズは同一であるため、ヘッダ処理に所要される時間は略2μs程度である。その以外のフレームデータは受信する即時に転送させるため、受信して処理する過程で所要される時間は、フレーム全体のデータのサイズに関係なく略2μs程度と同一である。従って、フレーム全体のデータが1526バイトであっても、全体の中継時間は略4μs程度に過ぎない。従来のストアアンドフォワード方式で124.08μsが所要されていたことに比べると、中継時間が著しく短縮されたことが分る。
【0050】
図5は、本発明の一実施形態によるネットワーク中継方法を説明するためのフローチャートである。
図5を参照すると、まず、ヘッダ部分にヘッダエラーチェック情報が記録されたフレームを受信する(ステップS510)。
これにより、ヘッダに記録されたヘッダエラーチェック情報を用いて、ヘッダ部分に対するエラー有無を判断する(ステップS520)。
【0051】
判断の結果、ヘッダにエラーがあると判断されると(ステップS530)、該当フレームを廃棄する(ステップS540)。この場合、受信されていないフレームデータに対しては受信自体を拒否することもできる。
一方、判断の結果、ヘッダにエラーがないと判断されると、受信と同時に宛先に向けて転送する(ステップS550)。即ち、フレーム全体が受信される前であっても転送を開始し、残りのフレームデータの受信作業と、先に受信されたフレームデータの転送作業とを並行処理する。
【0052】
図6は、本発明の他の実施形態によるネットワーク中継方法を説明するためのフローチャートである。
図6を参照すると、フレーム200が受信され次第にメモリ部130に保存する(ステップS610)。それとともに、ヘッダが完全に保存された時点で(ステップS615)、ヘッダ部分のうち第1フィールド210に記録されたヘッダエラーチェックフラグ情報を確認する(ステップS620)。
【0053】
確認の結果、チェックアンドフォワード方式で中継が実行されると判断されると(ステップS625)、ヘッダ部分のうち第2フィールド220に記録されたヘッダエラーチェック情報を確認する(ステップS630)。それとともに、ヘッダにエラーが存在すると判断されると(ステップS635)、該当フレーム200を廃棄する(ステップS640)。この場合、残りのフレームデータに対しては受信自体を拒否することもできる。一方、エラーが存在しない場合には、受信と同時に宛先に向けて転送する(ステップS645)。
【0054】
一方、チェックアンドフォワード方式で中継が実行されないと判断されると(ステップS625)、ストアアンドフォアワード方式で中継を実行する。即ち、フレーム全体を受信してから保存する(ステップS650)。
【0055】
次に、フレーム全体に対するエラーをチェックし(ステップS655)、フレームにエラーが存在すると判断されると(ステップS660)、該当フレームを廃棄する(ステップS665)。一方、フレームにエラーが存在しないと判断されると、宛先に向けて転送する(ステップS670)。これにより、ヘッダ部分に対するエラーをチェックすることができるようになるため、フレーム200が宛先ノードではない他のノードへ転送されることを防止することができるようになる。
【0056】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0057】
10〜60 第1〜第6ノード
100、100’ ネットワーク中継装置
110 データ送受信部
120 制御部
130 メモリ部
200 フレーム
210 第1フィールド
220 第2フィールド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッダに対するエラー有無を判断するためのヘッダエラーチェック情報を有するフレームを受信するデータ送受信部と、
前記ヘッダエラーチェック情報を用いて前記ヘッダに対するエラー有無を判断し、前記ヘッダにエラーがないと判断されると、前記フレーム全体が受信される前に、前記受信したフレームを宛先に転送を開始するように前記データ送受信部を制御する制御部と、を有することを特徴とするネットワーク中継装置。
【請求項2】
前記フレームは、ヘッダエラーチェックフラグ(flag)情報が記録される第1フィールドと、
前記ヘッダエラーチェック情報が記録される第2フィールドと、を含むことを特徴とする請求項1に記載のネットワーク中継装置。
【請求項3】
ヘッダエラーチェックフラグ情報は、前記ヘッダに対するエラーチェックの後に転送の実行においてチェックアンドフォワード(Check and forward)方式が適用させるか否かを知らせる情報を含むことを特徴とする請求項2に記載のネットワーク中継装置。
【請求項4】
前記第1フィールド及び第2フィールドのそれぞれは、前記フレームのペイロード領域に相当する位置に少なくとも1バイト以上で構成されることを特徴とする請求項3に記載のネットワーク中継装置。
【請求項5】
前記データ送受信部により受信されるフレームを保存するためのメモリ部を更に有することを特徴とする請求項3に記載のネットワーク中継装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記メモリ部に前記ヘッダが完全に保存された時点で、前記第1フィールドに保存されたヘッダエラーチェックフラグ情報を確認し、前記チェックアンドフォワード方式が適用されるか否かを判断し、前記チェックアンドフォワード方式が適用されると確認されると、前記第2フィールドに保存されたヘッダエラーチェック情報を確認し、前記ヘッダに対するエラー有無を判断することを特徴とする請求項5に記載のネットワーク中継装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記チェックアンドフォワード方式が適用されないと確認されると、前記フレーム全体が前記メモリ部に完全に保存された時点で、前記フレーム全体に対してエラーが含まれているか否かを判断し、前記フレームにエラーが含まれていないと確認されると、前記フレームの転送を開始することを特徴とする請求項6に記載のネットワーク中継装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記チェックアンドフォワード方式が適用されないと確認された場合、前記フレーム全体に対するCRC(Cyclic Redundancy Check:巡回冗長検査)値を演算し、演算されたCRC値と前記フレーム内に含まれるフレームCRC値とを比較し、前記フレーム全体に対してエラーが含まれているか否かを判断することを特徴とする請求項7に記載のネットワーク中継装置。
【請求項9】
前記ヘッダエラーチェック情報は、CRC値を含むことを特徴とする請求項6に記載のネットワーク中継装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記チェックアンドフォワード方式が適用されると確認されると、前記ヘッダ部分に対するCRC値を演算し、前記演算されたCRC値と前記第2フィールドに記録されたCRC値とを比較し、比較の結果、両者の値が一致すれば前記ヘッダにエラーがないと判断し、一致しなければ前記ヘッダにエラーがあると判断することを特徴とする請求項9に記載のネットワーク中継装置。
【請求項11】
前記第2フィールドに記録されたヘッダエラーチェック情報は、チェックサム(Checksum)及びパリティビット(parity bits)のうち少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項6に記載のネットワーク中継装置。
【請求項12】
ネットワーク中継装置を利用して情報を中継するネットワーク中継方法において、
(a)ヘッダエラーチェック情報を含むフレームを受信するステップと、
(b)前記ヘッダエラーチェック情報を用いて、前記ヘッダに対するエラー有無を判断するステップと、
(c)前記ヘッダにエラーがないと判断されると、前記フレーム全体が受信される前に、前記フレームを宛先に転送を開始するステップと、を有することを特徴とするネットワーク中継方法。
【請求項13】
前記フレームは、ヘッダエラーチェックフラグ(flag)情報を記録するための第1フィールドと、
前記ヘッダエラーチェック情報を記録するための第2フィールドと、を含むことを特徴とする請求項12に記載のネットワーク中継方法。
【請求項14】
前記ヘッダエラーチェック情報を用いて、前記ヘッダに対するエラーチェックの後に転送の実行においてチェックアンドフォワード方式が適用されるか否かを知らせるステップを更に有することを特徴とする請求項13に記載のネットワーク中継方法。
【請求項15】
前記第1フィールド及び第2フィールドのそれぞれは、前記フレームのペイロード領域に相当する位置に少なくとも1バイト以上で構成されることを特徴とする請求項14に記載のネットワーク中継方法。
【請求項16】
前記受信されたフレームをメモリ部に保存するステップと、
前記メモリ部に前記ヘッダが完全に保存された時点で、前記第1フィールドに保存されたヘッダエラーチェックフラグ情報を確認し、前記チェックアンドフォワード方式が適用されるか否かを判断するステップと、を更に有することを特徴とする請求項14に記載のネットワーク中継方法。
【請求項17】
前記ヘッダエラーチェックフラグ情報を用いてヘッダでエラーが発生したか否かを判断する前、且つ前記複数のフレームを前記宛先に転送する前に、前記チェックアンドフォワード方式が適用されることを確認するステップを更に有することを特徴とする請求項16に記載のネットワーク中継方法。
【請求項18】
前記チェックアンドフォワード方式が適用されないと確認されると、前記フレーム全体が前記メモリ部に完全に保存された時点で、前記フレーム全体に対してエラーが含まれているか否かを判断するステップと、
前記フレームにエラーが含まれていないと確認されると、前記フレームを前記宛先に転送するステップと、を更に有することを特徴とする請求項17に記載のネットワーク中継方法。
【請求項19】
前記ヘッダエラーチェック情報は、CRC(Cyclic Redundancy Check:巡回冗長検査)値を含むことを特徴とする請求項17に記載のネットワーク中継方法。
【請求項20】
前記ヘッダエラーチェック情報を用いて前記ヘッダに対するエラー有無を判断するステップは、前記チェックアンドフォワード方式が適用されると確認されると、前記ヘッダ部分に対するCRC値を演算し、前記演算されたCRC値と前記第2フィールドに記録されたCRC値とを比較し、比較の結果、両者の値が一致すれば前記ヘッダにエラーがないと判断し、一致しなければ前記ヘッダにエラーがあると判断することを特徴とする請求項19に記載のネットワーク中継方法。
【請求項21】
前記第2フィールドに記録されたヘッダエラーチェック情報は、チェックサム(Checksum)及びパリティビット(parity bits)のうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項17に記載のネットワーク中継方法。
【請求項22】
前記ネットワーク中継装置は、住居イーサネット(登録商標)ネットワーク(Residential Ethernet(登録商標) Network)を構成し、A/Vデータフレーム(Audio/Video data frame)の転送を中継するA/Vブリッジ(Audio/Video bridge)であることを特徴とする請求項12に記載のネットワーク中継方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−65372(P2012−65372A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−290(P2012−290)
【出願日】平成24年1月4日(2012.1.4)
【分割の表示】特願2008−556230(P2008−556230)の分割
【原出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【出願人】(503447036)サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド (2,221)
【Fターム(参考)】