説明

ネットワーク制御システム及びネットワーク制御方法

【課題】フレーム伝送径路の正常性監視を可能としたネットワーク制御システム及びネットワーク制御方法に関し、伝送効率を低下させることなく、フレームロス検出の迅速化を図る。
【解決手段】
複数のTDM/ATM網間をMPLS−TP網を介して接続し、このMPLS−TP網内をMPLS−TPフレームにより伝送するネットワーク制御システム及びネットワーク制御方法であって、MPLS−TP網内を伝送するMPLS−TPフレームの送信先アドレスと送信元アドレスとのアドレス領域をCCMペイロードとし、このCCMペイロードに送信フレーム数情報を付加して送信し、MPLS−TPフレームの受信カウント情報と、受信した送信フレーム数情報とを照合し、不一致の場合にフレームロス発生と判断する制御システム及び制御方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークの伝送効率を低下させることなく、フレーム伝送径路の正常性を監視可能とするネットワーク制御システム及びネットワーク制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の情報を伝送する為のネットワーク制御システムは、既に各種の構成が提案され、且つ実用化されている。又53バイトの固定長のセル構成により伝送するATM(Asynchronous Transfer Mode)、多重化同期伝送を行うSDH(Synchronous Digital Hierarchy)、時分割伝送を行うTDM(Time Division Multiplexing)、可変長データ伝送を可能とするIP(Internet Protocol)、モバイル通信の3GPP(Third Generation Partnership Project)やLTE(Long Term Evolution)等の各種の伝送方式によるデータ伝送を、統合して伝送処理を可能とするMPLS−TP(Multi Protocol Label Switching−Transport Profile)が知られている。
【0003】
このMPLS−TP方式を適用したネットワークは、例えば、図4に概略構成を示すように、MPLS−TP網41により、複数の例えばTDM/ATM網42〜44間を接続し、網間転送制御を行う装置Aと、網内転送制御を行う装置Bとを含み、ルーティング処理は、送信先アドレスDAや送信元アドレスSAではなく、装置A,Bのポート対応に設定されたラベル値をフレームに付加して、例えば、TDM/ATM網42〜44間について、矢印径路のルーティングを行うことが可能としたルーティング・システムである。又MPLS−TPフレームとは別個のMPLS−TP OAM(Operation Administration and Maintenance)フレームを、矢印径路に順次伝送することにより、MPLS−TPフレームの伝送経路に沿ったMPLS−TP網41内の警報監視、性能監視、径路切替、疎通確認、遅延測定、フレームロス検出等を行うことが可能である。
【0004】
図5は、前述の従来例の装置A,Bの処理機能の要部を示し、TDM/ATM網42とMPLS−TP網41との間に接続した装置Aは、TDM/ATM網42からのTDM/ATMデータ受信を行うデータ受信部50、TDM/ATMデータをMPLS−TPフレームに変換する変換処理部51、挿入部52、CCM(Continuity Check Message)フレームを生成処理するCCMフレーム生成部53、MPLS−TP網41へMPLS−TP/CCMフレームを送信するフレーム送信部54、MPLS−TP網41からMPLS−TP/CCMフレームを受信するフレーム受信部55、分離部56、MPLS−TPフレームからCCMフレームを分離するフレーム処理部57、CCMフレームの処理によりフレームロス等の検出判定処理を行うCCMフレーム処理部58、MPLS−TPフレームからTDM/ATMフレームへ変換処理するフレーム変換部59、TDM/ATM網42へ送信するデータ送信部60とを含む構成を備えている。又MPLS−TP網41内の装置Bは、受信部61、送信部67、分離部62、MPLS−TPフレームからCCMフレームを分離する分離処理部63、CCMフレームによるフレームロス検出等を行うフレーム処理部64、挿入部65、CCMフレームを生成するCCMフレーム生成部66、MPLS−TP/CCMフレームの送信部67を含む構成を備え、CCMフレーム生成部66は、MPLS−TPフレームの所定周期毎にCCMフレームの生成処理を実行して、送信部67からMPLS−TP網41へ送信する。
【0005】
TDM/ATM網42とMPLS−TP網41との間に設けた装置Aは、TDM/ATM網42からデータ受信部50によって受信したTDM/ATMデータを変換処理部51へ転送し、この変換処理部51によりMPLS−TPフレームに変換し、挿入部52を介してフレーム送信部54からMPLS−TP網41へ送信する。又CCMフレーム生成部53により所定の周期で生成したCCMフレームを挿入部52により挿入し、フレーム送信部54からMPLS−TP網41へ送信する。又フレーム受信部55は、MPLS−TP網41からのMPLS−TPフレーム又はCCMフレームを受信し、CCMフレームは、分離部56からフレーム処理部57を介してCCMフレーム処理部58へ転送し、又MPLS−TPフレームは、フレーム変換部59によりTDM/ATMデータに変換し、データ送信部60からTDM/ATM網42へ送信する。又装置Bは、MPLS−TP網41内で、MPLS−TP/CCMフレームの転送処理を行うもので、CCMフレームについては、CCMフレーム処理部64により受信処理し、又CCMフレーム生成部66により送信フレーム数情報等を付加したCCMフレームの生成処理を行って、送信部67からMPLS−TP網41内の他の装置B又は装置Aへ転送する機能を備えている。
【0006】
又複数のノードを介してフレーム転送を行うMPLSシステムに於いて、複数の隣接ノードに対する優先経路と迂回経路とを予め設定し、正常時は、優先径路対応のラベルによる転送処理を行い、障害検出時には直ちに迂回径路対応のラベルによる迂回転送処理を行うことにより、障害発生によるフレームロスを最小限に抑える手段が提案されている(例えば、特許文献1参照)。又MPLSシステム又は固定長ラベルを含む単一或は複数のラベルを用いて転送制御するGMPLS(Generalized Multi Protocol Label Switching)システムに於いて、現用径路と予備径路とを設定してテーブルに記憶しておき、現用径路に設定した監視用パスにより、その現用径路の正常性を監視し、その現用径路の障害発生検出時に、テーブルを参照して、障害発生現用径路を予備径路に切替えて転送制御を行うデータ中継手段が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
又SDH/SONET信号をMPLSフレームにカプセル化して、これを主信号として送信側から所定の周期で送信を繰り返し、一般的には主信号の送信周期より長い所定の周期で送信するOAM信号は、全く送信しない運用を行うシステム構成とし、受信側は、周期的な主信号の受信ができなかった場合、主信号が伝送されていない状態かアイドル状態かを検出し、アイドル状態の時に、伝送路障害を通知するOAM信号を対向装置へ送信する構成及び方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−33307号公報
【特許文献2】特開2006−253927号公報
【特許文献3】特開2011−9811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
MPLS−TP技術を適用したデータ伝送システムに於いては、前述のように、現用伝送径路の正常性を確認する為に、MPLS−TP OAM(Operation Administration and Maintenance)技術を適用する場合が一般的である。このOAMフレームは、MPLS−TPネットワーク内の警報監視、性能監視、径路切替、疎通確認、伝送遅延測定、フレームロス検出等を実行可能とする為のものであり、例えば、フレームロスを検出する場合、MPLS−TP OAMのLM(Loss Measurement)機能を使用するもので、そのLM機能を、ユーザ側の契機として実行する場合は、MPLS−TP OAMのOAMペイロード(Payload)を、LMM PDU(Loss Measurement Message Protocol Data Unit)又はLMR PDU(Loss Measurement Reply Protocol Data Unit)とし、又定期監視として実行する場合は、MPLS−TP OAMのOAMペイロード(Payload)を、CCM PDU(Continuity Check Message Protocol Data Unit)とする。又CCMフレームによるフレームロス検出は、定期的に、MPLS−TPフレーム送信数情報を付加したCCMフレームを送信側装置から受信側装置へ送出し、受信側装置は、CCMフレームを受信して、MPLS−TPフレーム送信数情報を抽出し、そのMPLS−TPフレーム送信数と、受信側装置で実際に受信して計数したMPLS−TPフレーム受信数とを比較し、比較一致の場合はフレームロス無しと判定し、比較不一致の場合はフレームロス有りと判定する。又定期的に受信するCCMフレームが3回連続して到着しなかった場合、LOC(Loss Of Continuity)警報を出力する機能を備えている。
【0010】
前述のように、従来は、MPLS−TPネットワークの信頼性を維持する為に、MPLS−TPフレームとは別個にMPLS−TP OAMフレームを所定の周期で伝送するものであり、従って、そのMPLS−TP OAMフレームの伝送周期を短縮することにより、フレームロス検出の迅速化を図ることが可能である。しかし、MPLS−TP OAMフレームの伝送周期を短縮して、フレームロス検出を迅速化することは、主信号のMPLS−TPフレームの伝送帯域を圧迫する問題が生じる。従って、MPLS−TP OAMフレームの伝送時間間隔より短い時間で、主信号のMPLS−TPフレームのフレームロスを検出することは不可能であった。又前述の先行技術文献3による定期的なOAM信号を使用しない手段を適用した場合、主信号の伝送帯域圧迫の問題を回避することが可能となるが、所定の周期で主信号の受信ができない場合に、アイドル状態か否かを判定し、アイドル状態の場合に伝送路障害を通知するものであり、フレームロス検出の迅速化は困難であった。
【0011】
本発明は、前述の従来例の問題点を解決することを目的とし、MPLS−TPフレームに、OAM機能を付加することによって、フレーム伝送帯域を圧迫することなく、フレームロス検出の迅速化を可能とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のネットワーク制御システムは、複数のTDM/ATM網間をMPLS−TP網を介して接続し、該MPLS−TP網内をMPLS−TPフレームにより伝送するネットワーク制御システムに於いて、前記MPLS−TPフレームの送信先アドレスと送信元アドレスとのアドレス領域を、CCMペイロードに変換して、前記MPLS−TP網内を伝送する送受信手段と、前記CCMペイロードに前記MPLS−TPフレームの送信数情報を付加して送信する手段と、前記MPLS−TPフレームの受信カウント値と前記CCMペイロードに付加された送信数情報とを基に、フレームロスの有無を判定する手段とを含む構成を備えている。
【0013】
又前記TDM/ATM網と前記MPLS−TP網との間の転送処理を行う装置は、前記TDM/ATM網内を伝送するTDM/ATMデータと前記MPLS−TP網内を伝送するMPLS−TPフレームとの変換処理を行う変換部と、前記MPLS−TPフレームの送信先アドレスと送信元アドレスとのアドレス領域に送信フレーム数情報を付加するCCMペイロードに変換して前記MPLS−TP網に送信する手段と、前記MPLS−TP網を介して転送された受信MPLS−TPフレームの前記CCMペイロードに付加した送信フレーム数情報と受信カウントしたフレーム数とによりフレームロスの有無を判定する手段とを含む構成を備えている。
【0014】
又前記MPLS−TP網内のMPLS−TPフレームの転送処理を行う装置は、前記MPLS−TPフレームの送受信手段と、MPLS−TPフレーム数をカウントするカウント手段と、該カウント手段によるカウント数情報と受信MPLS−TPフレームのCCMペイロードに付加された送信フレーム数情報とを比較してフレームロス検出を行う手段と、前記カウント手段によるカウント数情報を送信MPLS−TPフレームのCCMペイロードに送信フレーム数情報として付加する手段とを含む構成を備えている。
【0015】
本発明のネットワーク制御方法は、TDM/ATMデータを伝送する複数のTDM/ATM網間を、MPLS−TPフレームを伝送するMPLS−TP網を介して接続し、該MPLS−TP網内をMPLS−TPフレームにより伝送するネットワーク制御方法であって、前記MPLS−TPフレームの送信先アドレスと送信元アドレスとのアドレス領域をCCMペイロードに変換し、該CCMペイロードに、前記MPLS−TPフレームの送信数情報を付加して送信する処理過程と、前記MPLS−TPフレームを受信して、該MPLS−TPフレームの受信数をカウントアップしたカウント値と、前記CCMペイロードに付加された送信数情報とを比較して、フレームロスの有無を判定する処理過程とを含むものである。
【0016】
又前記MPLS−TP網内のMPLS−TPフレームを転送する処理過程に於ける前記MPLS−TPフレームの送信フレーム数情報を前記CCMペイロードに付加して送信し、受信MPLS−TPフレーム数をカウントして、該受信MPLS−TPフレームの前記CCMペイロードに付加された送信フレーム数情報とを比較してフレームロスの有無を判定する処理過程を含むものである。
【発明の効果】
【0017】
従来例のMPLS−TPフレームの送信元アドレスと送信先アドレスとを、CCMペイロードとし、そのCCMペイロードにより送信フレーム数情報を送信し、その送信フレーム数情報と、受信カウントしたフレーム数とを基に、フレームロスの有無を判定するものであるから、MPLS−TP網内では、OAMフレームを転送することなく、MPLS−TPフレームの転送処理のみにより、そのフレーム受信毎にフレームロスの有無を迅速に判定することが可能となる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例1の説明図である。
【図2】本発明の実施例1の伝送フレームの説明図である。
【図3】本発明の実施例1の動作概要の従来例との比較説明図である。
【図4】ネットワーク構成の説明図である。
【図5】従来例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のネットワーク制御システムは、図1を参照すると、複数のTDM/ATM網間をMPLS−TP網を介して接続し、このMPLS−TP網内をMPLS−TPフレームにより伝送するネットワーク制御システムであって、前記MPLS−TPフレームの送信先アドレスと送信元アドレスとのアドレス領域を、CCMペイロードに変換して、前記MPLS−TP網内を伝送する送受信手段(フレーム送信部4、フレーム受信部5、フレーム受信部11、フレーム送信部15)と、前記CCMペイロードに前記MPLS−TPフレームの送信数情報を付加して送信する手段(CCMペイロード変換部3、送信数情報付与部14)と、前記MPLS−TPフレームの受信カウント値(フレームカウント部7,13)と前記CCMペイロードに付加された送信数情報とを基に、フレームロスの有無を判定する手段とを含む構成を備えている。
【0020】
本発明のネットワーク制御方法は、TDM/ATMデータを伝送する複数のTDM/ATM網間を、MPLS−TPフレームを伝送するMPLS−TP網を介して接続し、前記MPLS−TP網内をMPLS−TPフレームにより伝送するネットワーク制御方法であって、前記MPLS−TPフレームの送信先アドレスと送信元アドレスとのアドレス領域をCCMペイロードに変換し、このCCMペイロードに、前記MPLS−TPフレームの送信数情報を付加して送信する処理過程と、前記MPLS−TPフレームを受信して、このMPLS−TPフレームの受信数をカウントアップしたカウント値と、前記CCMペイロードに付加された送信数情報とを比較して、フレームロスの有無を判定する処理過程とを含むものである。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明の実施例1の説明図であり、図4に示すネットワーク構成の中の装置A,Bについての実施例の機能ブロック図であって、装置Aは、TDM/ATM網とMPLS−TP網との間のフレーム転送の機能を有する伝送装置であり、又装置Bは、MPLS−TP網内のMPLS−TPフレームの転送機能を有する伝送装置である。装置Aは、TDM/ATMデータ受信部1と、TDM/ATMデータとMPLS−TPフレームとの変換を行う変換部2と、送信先アドレスDAと送信元アドレスSAとを付加するアドレス領域をCCMペイロードに変換するCCMペイロード変換部3と、MPLS−TP網へMPLS−TPフレームを送信するフレーム送信部4と、MPLS−TP網からのMPLS−TPフレームを受信するフレーム受信部5と、分離部6と、フレーム受信部5により受信したMPLS−TPフレームの受信数をカウントするフレームカウント部7と、MPLS−TPフレームをTDM/ATMデータに変換する変換部8と、変換したTDM/ATMデータをTDM/ATM網へ送信する送信部9とを含む構成を備えている。
【0022】
又MPLS−TP網内の装置Bは、MPLS−TPフレームを受信するフレーム受信部11と、分離部12と、受信MPLS−TPフレームをカウントするフレームカウント部13と、MPLS−TPフレームの送信数情報としてフレームカウント部13によるカウント値を付加する送信数情報付与部14と、MPLS−TPフレームをMPLS−TP網へ送信するフレーム送信部15とを含む構成を備えている。この装置B内のフレームカウント部13による受信フレーム数と、CCMペイロードに付加されている送信数情報としての送信フレーム数との比較照合手段は図示を省略しているが、例えば、この比較照合手段をフレームカウント部13に設けることができる。そして、受信フレーム数と、CCMペイロードに付加された送信数情報とを比較し、比較一致により、フレームロス無しと判定することができる。又フレームカウント部13により、MPLS−TPフレームを転送送信するフレーム数をカウントし、送信数情報として、送信数情報付与部14に於いてCCMペイロードに付与することができる。
【0023】
図2は、本発明の実施例1の伝送フレームの説明図であり、(a)はCCMフレームフォーマット、(b)はCCM PDUフォーマット、(c)はCCMペイロード、(d)はMPLS−TPフレームフォーマット、(e)はCCMペイロード付与MPLS−TPフレームフォーマットを示す。CCMフレームフォーマット(a)は、6バイトの送信先アドレスDA、6バイトの送信元アドレスSA、2バイトのフレームタイプType、8バイトのMPLS Label stack、4バイトのOAM Header、75バイトのOAM Payload、4バイトのフレームチェックシーケンスFCSを含む合計105バイト構成の場合を示す。又75バイトのOAMペイロードは、(b)に示すように、MEL,Version,OpCode,Flags,TLV Offset,Sequence number,MEP ID,MEG ID,Reserved,End TLVの領域を含むと共に、TxFcfA,RxFcbA,TxFcbA,TxFcfB,RxFcbB,TxFcbBからなる12バイトの構成を含むものであるが、この12バイトの領域を、(d)に示すMPLS−TPフレームフォーマットの先頭側の送信元アドレスDAと送信先アドレスSAとの12バイトの領域に対応するから、この12バイトのDA,SAを、(e)に示すCCM PayloadとしたCCMペイロード付与MPLS−TPフレームとする。
【0024】
又MPLS−TPフレームは、(d)に示すように、12バイト構成の送信先アドレスDAと送信元アドレスSAとを先頭にして、Type,MPLS Label stack,CW,RTP,Payload Data,FCSにより構成されており、このMPLS−TPフレームのルーティングに使用されるのは、DA,SAのアドレス領域ではなく、MPLS Label stackの領域である。そこで、(b)に示すOAM Payloadの中の12バイトのアドレス関係の領域を、本発明に於いては、前述のように、CCM Payload(c)として使用するものである。即ち、(d)に示すフレーム構成の先頭側の送信先アドレスDAと送信元アドレスSAとの12バイトを、(e)に示すように、CCM Payloadとしたフレーム構成とする。それにより、CCMフレームを、MPLS−TPフレームと共に伝送することが可能となり、主信号のMPLS−TPフレームの伝送帯域を圧迫することなく、且つCCMフレームの送信間隔は、主信号のMPLS−TPフレームの送信間隔と同一とすることが可能となり、フレームロス検出の迅速化を図ることができる。
【0025】
図3は、本発明の実施例1の動作概要の従来例との比較説明図であり、(A)は従来例の送信側装置と受信側装置との間のフレーム伝送の状態の一例を示し、(B)は本発明の実施例1の送信側装置と受信側装置との間のフレーム伝送の状態の一例を、(A)の従来例と対比して示す。又(C)は、(A),(B)に於けるフレーム種別の説明図であり、aはMPLS−TPフレーム、bはCCMフレーム、cは本発明の実施例のCCM Payload付与MPLS−TPフレーム、dはフレームロスを示す。(A)の従来例に於いて、送信側装置からMPLS−TPフレームaを所定の周期で受信側装置に対して順次矢印で示す伝送方向に送信し、このMPLS−TPフレームaの送信周期より長い所定の周期、即ち、所定数のMPLS−TPフレームaを送信する周期(CCMフレームの送信周期)毎に、斜線を施して示すCCMフレームbを挿入して、送信側装置から受信側装置に対して送信する。
【0026】
そのCCMフレームbは、前述のように、MPLS−TPフレームaの送信数情報を付加している。又受信側装置は、MPLS−TPフレームaの受信数をカウントアップしており、CCMフレームを受信する度に、MPLS−TPフレームaの送信数情報と、カウントアップしたMPLS−TPフレームaの受信数とを照合し、照合一致の場合は正常、照合不一致の場合はフレームロスdの発生と判定する。従って、CCMフレームbの送信間隔内のフレームロスの検出を可能としても、図示のように、CCMフレームb直後の×印を付加して示すフレームロスdについては、次のCCMフレームbの受信による「フレームロスを検出」として示すように検出できるが、それまでの間、フレームロスdの検出ができないものであった。
【0027】
これに対して、本発明は、図3の(B)に示すように、送信側装置からCCM Payload付与MPLS−TPフレームcを、従来例のMPLS−TPフレームaの送信周期と同一の周期で送信することが可能であると共に、従来例のCCMフレームbを送信しないものであるから、そのCCMフレームbの送信タイミングに於いても、本発明では、CCM Payload付与MPLS−TPフレームcを送信することができる。それによって、伝送効率の向上を図ることも可能となる。又×印を付加して示すフレームロスd発生時には、受信側装置は、そのフレームロスd直後のCCM Payload付与MPLS−TPフレームcの受信処理によるフレーム送信数とフレーム受信数との比較により、「フレームロスを検出」として示すように、迅速にフレームロス検出を可能とすることができる。
【符号の説明】
【0028】
1 データ受信部
2 変換部
3 CCMペイロード変換部
4 フレーム送信部
5 フレーム受信部
6 分岐部
7 フレームカウント部
8 変換部
9 データ送信部
11 フレーム受信部
12 分岐部
13 フレームカウント部
14 送信数情報付与部
15 フレーム送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のTDM/ATM網間をMPLS−TP網を介して接続し、該MPLS−TP網内をMPLS−TPフレームにより伝送するネットワーク制御システムに於いて、
前記MPLS−TPフレームの送信先アドレスと送信元アドレスとのアドレス領域を、CCMペイロードに変換して、前記MPLS−TP網内を伝送する送受信手段と、
前記CCMペイロードに前記MPLS−TPフレームの送信数情報を付加して送信する手段と、
前記MPLS−TPフレームの受信カウント値と前記CCMペイロードに付加された送信数情報とを基に、フレームロスの有無を判定する手段と
を含む構成を備えたことを特徴とするネットワーク制御システム。
【請求項2】
前記TDM/ATM網と前記MPLS−TP網との間の転送処理を行う装置は、前記TDM/ATM網内を伝送するTDM/ATMデータと前記MPLS−TP網内を伝送するMPLS−TPフレームとの変換処理を行う変換部と、前記MPLS−TPフレームの送信先アドレスと送信元アドレスとのアドレス領域に送信フレーム数情報を付加するCCMペイロードに変換して前記MPLS−TP網に送信する手段と、前記MPLS−TP網を介して転送された受信MPLS−TPフレームの前記CCMペイロードに付加した送信フレーム数情報と受信カウントしたフレーム数とによりフレームロスの有無を判定する手段とを含む構成を備えたことを特徴とする請求項1記載のネットワーク制御システム。
【請求項3】
前記MPLS−TP網内のMPLS−TPフレームの転送処理を行う装置は、前記MPLS−TPフレームの送受信手段と、MPLS−TPフレーム数をカウントするカウント手段と、該カウント手段によるカウント数情報と受信MPLS−TPフレームのCCMペイロードに付加された送信フレーム数情報とを比較してフレームロス検出を行う手段と、前記カウント手段によるカウント数情報を送信MPLS−TPフレームのCCMペイロードに送信フレーム数情報として付加する手段とを含む構成を備えたことを特徴とする請求項1記載のネットワーク制御システム。
【請求項4】
TDM/ATMデータを伝送する複数のTDM/ATM網間を、MPLS−TPフレームを伝送するMPLS−TP網を介して接続し、該MPLS−TP網内をMPLS−TPフレームにより伝送するネットワーク制御方法に於いて、
前記MPLS−TPフレームの送信先アドレスと送信元アドレスとのアドレス領域をCCMペイロードに変換し、該CCMペイロードに、前記MPLS−TPフレームの送信数情報を付加して送信する処理過程と、
前記MPLS−TPフレームを受信して、該MPLS−TPフレームの受信数をカウントアップしたカウント値と、前記CCMペイロードに付加された送信数情報とを比較して、フレームロスの有無を判定する処理過程と
を含むことを特徴とするネットワーク制御方法。
【請求項5】
前記MPLS−TP網内のMPLS−TPフレームを転送する処理過程に於ける前記MPLS−TPフレームの送信フレーム数情報を前記CCMペイロードに付加して送信し、受信MPLS−TPフレーム数をカウントして、該受信MPLS−TPフレームの前記CCMペイロードに付加された送信フレーム数情報とを比較してフレームロスの有無を判定する処理過程を含むことを特徴とする請求項4記載のネットワーク制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−12868(P2013−12868A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143740(P2011−143740)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000237662)富士通テレコムネットワークス株式会社 (682)
【Fターム(参考)】