説明

ネットワーク型制御システム、およびネットワーク型制御システムにおける通信遅延時間制御方法

【課題】通信遅延時間の変動を抑制しながら制御性能を維持してフィードバック制御によるプロセス管理を実行することが可能なネットワーク型制御システム、およびネットワーク型制御システムにおける通信遅延時間制御方法を提供する。
【解決手段】ネットワーク型制御システムは、管理対象プロセスの状態を制御する制御対象機器と、対象プロセスの状態量を計測する計測装置20Aと、制御対象機器および計測装置20Aにネットワーク30を介して接続され、計測装置20Aによる管理対象プロセスの状態量の計測値に基づいて制御対象機器をフィードバック制御する制御装置40とを有する。このネットワーク型制御システムは、ネットワークにおける通信遅延時間を演算する手段と、通信遅延時間が所定値以上になったときに、前記フィードバック制御を行うために前記ネットワークに送出する情報量を低減させる手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ネットワーク型制御システム、およびネットワーク型制御システムにおける通信遅延時間制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット等を介したリアルタイム遠隔制御や、多くの組み込み機器を共有回線で接続した大規模プラント等、ネットワークを介して対象となるプロセスを制御するネットワーク型制御システム(NCSs : Networked Control Systems)が発展してきている。
【0003】
従来のネットワーク型制御システムでは、信号伝送に無限の通信スループット(bps)を仮定している。ここで、通信に専用線を用いる場合には、無限の通信スループットを想定して制御装置を実装しても特に問題は生じない。一方、インターネットなどの共有回線を用いた場合には通信スループットには制約があり、それを無視して制御系を設計すると、制御系の性能や安定性に支障をきたすという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3269792号公報
【特許文献2】特許第4194396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに鑑み、通信遅延時間の発生を予め考慮してプロセス操作量を送信する技術が提案されているが、ネットワーク型制御システムをフィードバック制御に用いる場合には、通信遅延時間が変動しやすい、パケットを損失する確率が比較的高い等の問題があり、制御性能を悪化させたり安定性に支障をきたしたりする可能性があった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、通信遅延時間の変動を抑制しながら制御性能を維持してフィードバック制御によるプロセス管理を実行することが可能なネットワーク型制御システム、およびネットワーク型制御システムにおける通信遅延時間制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための実施形態によれば、ネットワーク型制御システムは、管理対象プロセスの状態を制御する制御対象機器と、対象プロセスの状態量を計測する計測装置と、制御対象機器および計測装置にネットワークを介して接続され、計測装置による管理対象プロセスの状態量の計測値に基づいて制御対象機器をフィードバック制御する制御装置とを有する。このネットワーク型制御システムは、ネットワークにおける通信遅延時間を演算する手段と、通信遅延時間が所定値以上になったときに、前記フィードバック制御を行うために前記ネットワークに送出する情報量を低減させる手段とを備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】第1実施形態〜第3実施形態によるネットワーク型制御システムの構成を示す全体図である。
【図2】第1実施形態によるネットワーク型制御システムの構成を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態によるネットワーク型制御システムの動作を示すシーケンス図である。
【図4】第1実施形態によるネットワーク型制御システムの制御装置において操作量情報を生成するときの動作を示すフローチャートである。
【図5】第2実施形態によるネットワーク型制御システムの構成を示すブロック図である。
【図6】第2実施形態によるネットワーク型制御システムの動作を示すシーケンス図である。
【図7】第2実施形態によるネットワーク型制御システムの計測装置において計測値の送信頻度を修正するときの動作を示すフローチャートである。
【図8】第3実施形態によるネットワーク型制御システムの構成を示すブロック図である。
【図9】第3実施形態によるネットワーク型制御システムの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
《本実施形態において利用するネットワーク型制御システムの概要》
本発明の実施形態において利用するネットワーク型制御システムの構成概要について、図1を参照して説明する。本実施形態によるネットワーク型制御システムは、鉄鋼用プラント、電力系統および上下水道プラント等の各種制御対象プラントにおいてネットワークを介して相互に情報を通信し、フィードバック制御により、各種対象プロセスの状態を管理する機器の制御を遠隔で行うものである。
【0010】
本実施形態のネットワーク型制御システム1は、制御対象機器であるアクチュエータ10と、アクチュエータ10により制御される対象プロセスの状態量を計測する計測装置20と、アクチュエータ10および計測装置20にネットワーク30を介して接続された制御装置40とを備える。なお、図1においてはネットワーク30にアクチュエータ10および計測装置20がそれぞれ1台接続されている場合について示したが、これらは複数台接続されていてもよい。
【0011】
アクチュエータ10は、制御装置40から送信される操作量MVに基づいて動作する機器であり、例えばプラント内に設置されたポンプやバルブ、または設備内の空調機等である。計測装置20は、アクチュエータ10により制御される対象プロセス(水位、圧力、温度等)の状態量を計測する機器、例えば水位センサ、圧力センサ、温度センサ等である。ネットワーク30は専用線である必要はなく、インターネット等の通信スループットが変動する信頼性が低い通信路であってもよい。制御装置40は、計測装置20で計測された対象プロセスに関する計測値PVをネットワーク30を介して取得し、この計測値PVをフィードバックして対象プロセス状態量を予め設定された目標値SVにするためのアクチュエータ10の操作量MVを算出して、ネットワーク30を介してアクチュエータ10に送信する。
【0012】
通常、ネットワークを利用したシステムにおける通信遅延時間Tnは、下記式(1)に示すように、通信スループットV(bps)と送信するデータ量N(ビット数)とに依存し、データ量Nは、データ数nと量子化分解能Qと送信頻度Mとに依存する。
【数1】

【0013】
上記式(1)により、通信スループットV(bps)または送信するデータ量N(ビット数)を変更させることで通信遅延時間の短縮を図ることが可能である。通信スループットVは通信環境である通信網のスペックやルータなどの周囲環境により変更可能であるが、本実施形態においてはデータ量Nを修正することによって通信遅延時間の変動(増加)を抑制する。
【0014】
また、制御対象となるアクチュエータ10の対象プロセスの状態量は、離散時間の線形システムで以下の状態方程式(2)〜(4)で与えられる。
【数2】

【0015】
ここで、x(k)は時刻kにおける制御対象の対象プロセスの状態量、u(k)はアクチュエータ10の操作量、y(k)は計測装置20による対象プロセス状態の計測値、tcpは制御装置40による操作量送信からアクチュエータ10による受信までの通信遅延時間、tpcは計測装置20による計測値送信から制御装置40による受信までの通信遅延時間である。
【0016】
対象プロセス状態量x(k)を所望の目標値SVに制御することを目的としたネットワークを介したフィードバック制御では、通信遅延時間tcpまたはtpcが増加すると制御性能や安定性に影響を及ぼす。
【0017】
そこで以下に説明する実施形態において、第1実施形態として、通信遅延時間tcpの増加を抑制する場合、第2実施形態として、通信遅延時間tpcの増加を抑制する場合、第3実施形態として、複数のアクチュエータや計測装置が設置された状態で両者(tcpおよびtpc)の増加を抑制する場合について説明する。なお、一般にはTcp=Tpcであるため、以降では、両者を通信遅延時間Tnと称するが、Tcp≠Tpcである通信環境においてもこれらの実施形態による効果を得ることが可能である。
【0018】
《第1実施形態》
〈第1実施形態によるネットワーク型制御システムの構成〉
本発明の第1実施形態によるネットワーク型制御システムの詳細な構成について、図2を参照して説明する。
【0019】
本実施形態によるネットワーク型制御システム1Aは、上述したように、フィードバック制御により、各種対象プロセス状態を管理する機器(アクチュエータ)の制御を遠隔で行うものであり、制御対象機器であるアクチュエータ10Aと、アクチュエータ10Aにより制御される対象プロセスの状態量を計測する計測装置20Aと、アクチュエータ10Aおよび計測装置20Aにネットワーク30を介して接続された制御装置40Aとを備える。
【0020】
アクチュエータ10Aは、操作量情報受信処理部11Aと、駆動部12とを有する。操作量情報受信処理部11Aは、ネットワーク30を介して制御装置40Aから送信された操作量情報MVを受信する操作量情報受信部111と、受信した操作量情報MVの量子化分解能を判定してアナログ情報に復号する量子化分解能判定部112とを有する。駆動部12は量子化分解能判定部112で復号された操作量情報MVに基づいて自アクチュエータ10Aを駆動して対象プロセス状態を制御する。
【0021】
計測装置20Aは、計測部21と、計測値送信処理部22Aとを有する。計測部21は、アクチュエータ10Aの駆動により制御される対象プロセスの状態量を計測する。計測値送信処理部22Bは、現在時刻を計時する計時部221と、計測部21で計測された対象プロセスの状態量の計測値PVを、ネットワーク30を介して制御装置40Aに送信する計測値送信部222と、計測値送信部222から計測値PVを送信するときの時刻を計時部221から取得して送信時刻情報として当該計測値PVに付与する送信時刻情報付与部223とを有する。
【0022】
制御装置40Aは、計測値受信処理部41Aと、操作量演算部42Aと、操作量情報送信処理部43Aとを有する。
【0023】
計測値受信処理部41Aは、計測装置20Aから送信された、送信時刻情報が付与された計測値PVを、ネットワーク30を介して受信して制御部演算部42Aに送出する計測値受信部411と、現在時刻を計時する計時部412と、計測値受信部411で計測値PVを受信したときの時刻を計時部412から取得して受信時刻情報として当該計測値PVに付与する受信時刻情報付与部413とを有する。
【0024】
操作量演算部42Aは、計測値受信部411から送出された計測値PVを取得し、これに付与されている送信時刻情報と受信時刻情報との差から求まる通信遅延時間Tnを演算するとともに、当該計測値PVと予め設定された対象プロセス状態の目標値SVとの差に基づいてアクチュエータ10Aを駆動するための操作量を演算する。演算の手法はフィードバック制御であれば良く、PID制御やモデル予測制御、Hインフィニティ制御など、様々なアルゴリズムを用いることができる。
【0025】
操作量情報送信処理部43Aは、遅延時間変動判定部431と、量子化分解能修正部432と、操作量情報送信部433と、前回操作量情報記憶部434とを有する。
【0026】
遅延時間変動判定部431は、操作量演算部42Aで演算された通信遅延時間Tnが所定値以上に増加したか否かを判定する。
【0027】
量子化分解能修正部432は、遅延時間変動判定部431において通信遅延時間Tnが所定値以上に増加したことが判定されたときに、操作量演算部42Aで演算された操作量情報MVをネットワーク30に送出するための量子化分解能を、必要最小限の低いビット数に修正し、操作量情報送信部433に設定する。
【0028】
操作量情報送信部433は、設定された量子化分解能で操作量情報MVを量子化して符号化された操作量情報MVを生成し、ネットワーク30を介してアクチュエータ10Aに送信する。
【0029】
前回操作量情報記憶部434は、前回の処理で生成された操作量情報MVを記憶する。
【0030】
〈第1実施形態によるネットワーク型制御システムの動作〉
次に、本実施形態によるネットワーク型制御システムの動作について、図3のシーケンス図を参照して説明する。
【0031】
まず、計測装置20Aの計測部21において、アクチュエータ10Aにより制御される対象プロセスの状態量が計測される(S1)。計測により取得された対象プロセスの状態量の計測値PVには、計測値送信処理部22において、計時部221から取得された現在時刻情報が送信時刻情報付与部223により送信時刻情報として付与され、計測値送信部222からネットワーク30に送出される(S2)。
【0032】
計測装置20Aから送出された計測値PVは、ネットワーク30を介して制御装置40Aの計測値受信処理部41Aの計測値受信部411で受信される。そして受信された計測値PVには、計時部412から取得された現在時刻情報が受信時刻情報付与部413により受信時刻情報として付与され、計測値受信部411から操作量演算部42Aに送出される(S3)。
【0033】
操作量演算部42Aでは、計測値受信部411から送出された計測値PVが取得され、これに付与されている送信時刻情報と受信時刻情報との差から求まる通信遅延時間Tnが演算されるとともに、当該計測値PVと予め設定された対象プロセス状態の目標値SVとの差に基づいてアクチュエータ10Aを駆動するための操作量が演算される(S4)。
【0034】
演算された通信遅延時間Tnおよび操作量情報MVは操作量情報送信処理部43Aで取得され、この通信遅延時間Tnに基づいて設定された量子化分解能で操作量情報MVが量子化され、符号化された操作量情報MVが生成される(S5)。
【0035】
操作量情報送信処理部43Aにおいて、符号化された操作量情報MVが生成されるときの詳細な処理について、図4のフローチャートを参照して説明する。
【0036】
まず、操作量演算部42Aで演算された通信遅延時間Tnおよびアクチュエータ10Aの操作量情報MVが遅延時間変動判定部431で取得される(S11)。
【0037】
次に遅延時間変動判定部431では、通信遅延時間Tnが所定値以上に増加したか否かが判定される(S12)。増加していないときには(S12の「NO」)、予めデフォルトで操作量情報送信部433に設定された量子化分解能が維持される(S13)。
【0038】
通信遅延時間Tnが所定値以上に増加したと判定されたとき(S12の「YES」)には、量子化分解能修正部432において、今回演算された操作量情報MVと前回操作量情報記憶部434に記憶された前回演算された操作量情報MVとの差が所定値以上であるか否かが判定される(S14)。
【0039】
判定の結果、今回演算された操作量情報MVと前回操作量情報記憶部434に記憶された前回演算された操作量情報MVとの差が所定値以上あるときには(S14の「YES」)、操作量の変動が激しく詳細な操作量情報の送信が必要であると判断され、予めデフォルトで操作量情報送信部433に設定された量子化分解能が維持される(S13)。
【0040】
またステップS14において今回演算された操作量情報MVと前回操作量情報記憶部434に記憶された前回演算された操作量情報MVとの差が所定値を超えていないと判定されたときには(S14の「NO」)、さらに計測値PVが目標値SVに近くの平衡点付近であるか否かが判定される(S15)。
【0041】
計測値PVが目標値SVに近く平衡点付近であると判定されたとき(S15の「YES」)は、操作量の微調整のために詳細な操作量情報の送信が必要であると判断され、予めデフォルトで操作量情報送信部433に設定された量子化分解能が維持される(S13)。
【0042】
またステップS15において計測値PVが平衡点付近ではないと判定されたとき(S15の「NO」)には、必要最小限の低い量子化分解能が算出され、量子化分解能修正部432により操作量情報送信部433の設定が修正される(S16)。
【0043】
そして、操作量情報送信部433において、設定された量子化分解能で操作量情報MVが量子化されて符号化された操作量情報MVが生成される(S17)。
【0044】
図3に戻り、生成された操作量情報MVが、操作量情報送信部433からネットワーク30を介してアクチュエータ10Aに送信される(S6)。
【0045】
一例として、操作量情報送信部433にデフォルトで設定された量子化分解能が8bitであり、図4のステップS16で修正された必要最小限の低い量子化分解能が6bitである場合の、操作量情報の精度とデータ量との関係について説明する。例えば、操作量が0〜100%であり、送信する信号のヘッダー部を除いて量子化分解能がデフォルトで設定された8bitである場合には、100/256=0.39が送信信号の最小単位になる。このとき仮に操作量として「2.0%」を送信する場合には、送信信号の最小単位「0.39」の倍数であり「2.0%」に最も近い値である0.39×5=1.95%が操作量情報としてアクチュエータ10Aに送信される。一方、必要最小限の低い量子化分解能として6bitに修正された場合には、100/64=1.56が送信信号の最小単位になる。このとき操作量として「2.0%」を送信する場合には、この送信信号の最小単位「1.56%」が操作量情報としてアクチュエータ10Aに送信される。
【0046】
このように、量子化分解能が高い(上述した例では8bit)ほうが、送信可能な信号の最小単位が小さく操作量情報の精度は高くなるが、送信する操作量情報のデータ量は多くなり、量子化分解能が低い(上述した例では6bit)ほうが、送信可能な信号の最小単位が大きく操作量情報の精度は低くなるが、送信する操作量情報のデータ量は少なくなる。これにより、通信遅延時間が増加し(S12の「YES」)、且つ制御の精度がある程度低くても構わない状況であるとき(S14の「NO」およびS15の「NO」)には、量子化分解能を低くする(S16)ことでデータ量を少なくして通信遅延時間を短くするように制御することができる。
【0047】
制御装置40から送信された操作量情報MVは、アクチュエータ10Aの操作量情報受信処理部11Aの操作量情報受信部111で受信される。受信された操作量情報MVは、量子化分解能判定部112で量子化分解能が判定されてアナログ情報に復号される(S7)。
【0048】
そして復号された操作量情報MVに基づいて、駆動部12により自アクチュエータ10Aが駆動され、対象プロセス状態が制御される(S8)。
【0049】
例えば、アクチュエータ10Aがポンプである場合には操作量情報MVはポンプ回転数を示す情報であり、駆動部12はポンプ回転数に応じて羽根車を回転させる機構である。
【0050】
以上の第1実施形態によれば、ネットワークを介して接続された制御装置から、対象プロセスに対するアクチュエータを制御する制御システムにおいて、通信遅延時間に応じた量子化分解能で操作量情報を符号化して制御装置からアクチュエータに送信することにより、通信遅延時間の変動を抑制しながら制御性能を維持してフィードバック制御によるプロセス管理を適切に実行することができる。
【0051】
また、上述した第1実施形態の図4のステップS14において今回演算された操作量情報MVと前回の操作量情報MVとの差が所定値を超えておらず(S14の「NO」)、この差が十分に小さい場合には、操作量情報MVを新たに送信する必要がないと判定してアクチュエータ10Aへの送信を省略することにより、さらに通信データ量を少なくして通信遅延時間を短くするようにしてもよい。
【0052】
《第2実施形態》
〈第2実施形態によるネットワーク型制御システムの構成〉
本発明の第2実施形態によるネットワーク型制御システムの詳細な構成について、図5を参照して説明する。
【0053】
本実施形態によるネットワーク型制御システム1Bは、制御対象機器であるアクチュエータ10Bと、アクチュエータ10Bにより制御される対象プロセスの状態量を計測する計測装置20Bと、アクチュエータ10Bおよび計測装置20Bにネットワーク30を介して接続された制御装置40Bとを備える。
【0054】
制御装置40Bは、計測値受信処理部41Bと、操作量演算部42Bと、操作量情報送信処理部43Bとを有する。
【0055】
計測値受信処理部41Bは、計測装置20Bから送信された対象プロセスに関する計測値PVを、ネットワーク30を介して受信して制御部演算部42Bに送出する計測値受信部411を有する。
【0056】
操作量演算部42Bは、計測値受信部411から送出された計測値PVを取得し、当該計測値PVと予め設定された対象プロセス状態の目標値SVとの差に基づいてアクチュエータ10Bを駆動するための操作量を演算する。
【0057】
操作量情報送信処理部43Bは、操作量演算部42Bで演算された操作量情報MVを符号化し、ネットワーク30を介してアクチュエータ10Bに送信する操作量情報送信部433と、現在時刻を計時する計時部435と、操作量情報送信部433から操作量情報MVを送信するときの時刻を計時部435から取得して送信時刻情報として当該操作量情報MVに付与する送信時刻情報付与部436とを有する。
【0058】
アクチュエータ10Bは、操作量情報受信処理部11Bと、駆動部12とを有する。操作量情報受信処理部11Bは、ネットワーク30を介して制御装置40Bから送信された操作量情報MVを受信して復号する操作量情報受信部111と、現在時刻を計時する計時部113と、操作量情報受信部111で操作量情報を受信したときの時刻を計時部113から取得する受信時刻情報取得部114と、操作量情報受信部111から受信された操作量情報MVに付与されている送信時刻情報と受信時刻情報取得部114で取得された受信時刻情報との差から求まる通信遅延時間Tnを演算する遅延時間演算部115とを有する。
【0059】
計測装置20Bは、計測部21と、計測値送信処理部22Bとを有する。計測部21は、アクチュエータ10Bの駆動により制御される対象プロセスの状態量を計測する。計測値送信処理部22Bは、計測部21で計測された対象プロセスの状態量の計測値PVを、ネットワーク30を介して制御装置40Bに送信する計測値送信部222と、操作量情報受信処理部11Bの遅延時間演算部115で演算された通信遅延時間が所定値以上に増加したときに、計測値送信部222から送信する計測値のサンプリング周期を大きくし、送信頻度を少なくするように設定する計測値送信時刻調整部224と、前回の処理で計測された計測値PVを記憶する前回計測値記憶部225とを有する。
【0060】
〈第2実施形態によるネットワーク型制御システムの動作〉
次に、本実施形態によるネットワーク型制御システムの動作について、図6のシーケンス図を参照して説明する。
【0061】
まず、計測装置20Bからネットワーク30を介して送信された対象プロセスの計測値PVが、制御装置40Bの計測値受信処理部41Bの計測値受信部411で受信される(S21)。そして受信された計測値PVは操作量演算部42Bに送出される。
【0062】
操作量演算部42Bでは、計測値受信部411から送出された計測値PVが取得され、当該計測値PVと予め設定された対象プロセス状態の目標値SVとの差に基づいてアクチュエータ10Bを駆動するための操作量が演算される(S22)。
【0063】
演算された操作量情報MVは操作量情報送信処理部43Bで取得され、符号化された操作量情報MVが生成される。
【0064】
生成された操作量情報MVには、計時部435から取得された現在時刻情報が送信時刻情報付与部436により送信時刻情報として付与され、操作量情報送信部433からネットワーク30に送出される(S23)。
【0065】
制御装置40Bから送出された操作量情報MVはアクチュエータ10Bの操作量情報受信部111で受信されて復号される。そして、復号された操作量情報MVに基づいて、駆動部12により自アクチュエータ10Bが駆動され、対象プロセス状態が制御される(S24)。
【0066】
また、操作量情報MVが受信されたときの現在時刻情報が、受信時刻情報取得部114により計時部113から受信時刻情報として取得される(S25)。
【0067】
次に遅延時間演算部115において、操作量情報受信部111で受信された操作量情報MVに付与された送信時刻情報と、受信時刻情報取得部114で取得された受信時刻情報との差から求まる通信遅延時間Tnが演算される。演算された通信遅延時間Tnは、計測装置20Bに送信される(S26)。
【0068】
次に計測装置20Bにおいて、アクチュエータ10Bから送信された通信遅延時刻情報が受信され、この通信遅延時間が所定値以上に増加したときに、計測値送信時刻調整部224において計測値送信部222から送信される計測値の送信頻度が修正される(S27)。
【0069】
計測値送信時刻調整部224において計測値の送信頻度が修正されるときの詳細な処理について、図7のフローチャートを参照して説明する。
【0070】
まず、アクチュエータ10の操作量情報受信処理部11Bから通信遅延時間Tnが受信されると(S31)、この通信遅延時間Tnが所定値以上に増加したか否かが判定される(S32)。増加していないときには(S32の「NO」)、予めデフォルトで計測値送信部222に設定されたサンプリング周期で計測部21から計測値が取得され、送信頻度が維持される(S33)。
【0071】
通信遅延時間Tnが所定値以上に増加したと判定されたとき(S32の「YES」)には、今回計測された計測値PVと前回計測値記憶部225に記憶された前回計測された計測値PVとの差が所定値以上であるか否かが判定される(S34)。
【0072】
判定の結果、今回計測された計測値PVと前回計測値記憶部225に記憶された前回計測された計測値PVとの差が所定値以上あるときには(S34の「YES」)、計測値の変動が激しく詳細な計測値の送信が必要であると判断され、予めデフォルトで計測値送信部222に設定されたサンプリング周期で計測部21から計測値が取得され、送信頻度が維持される(S33)。
【0073】
またステップS34において今回計測された計測値PVと前回計測値記憶部225に記憶された前回計測された計測値PVとの差が所定値を超えていないと判定されたときには(S34の「NO」)、さらに計測値PVが目標値SVに近くの平衡点付近であるか否かが判定される(S35)。
【0074】
計測値PVが目標値SVに近く平衡点付近であると判定されたとき(S35の「YES」)は、対象プロセスは安定した状態であることを示す安定フラグ情報のみが計測値送信部222からの送信対象とされる(S36)。
【0075】
またステップS35において、計測値PVが平衡点付近ではないと判定されたとき(S35の「NO」)には、計測値送信部222からの計測値の送信頻度が低くなるように、計測部21からの計測値のサンプリング周期が修正される(S37)。つまり、サンプリング周期が長くなるように修正される。
【0076】
このように送信頻度および送信対象が設定された状態で、対象プロセスの計測値の送信が継続される(S28)。
【0077】
以上の第2実施形態によれば、ネットワークを介して接続された制御装置から、対象プロセスに対するアクチュエータを制御する制御システムにおいて、対象となるプロセス状態の計測値を、通信遅延時間に応じた頻度でネットワークを介して計測装置から制御装置に送信することにより、通信遅延時間の変動を抑制しながら制御性能を維持してフィードバック制御によるプロセス管理を適切に実行することができる。
【0078】
《第3実施形態》
〈第3実施形態によるネットワーク型制御システムの構成〉
本発明の第3実施形態によるネットワーク型制御システムの詳細な構成について、図8を参照して説明する。
【0079】
本実施形態によるネットワーク型制御システム1Cは、制御対象機器であるアクチュエータ10Cと、アクチュエータ10Cにより制御される複数の対象プロセスの状態量を計測する計測装置20Cと、複数のアクチュエータ10Cおよび計測装置20Cにネットワーク30を介して接続された制御装置40Cとを備える。
【0080】
複数のアクチュエータ10Cのそれぞれの構成は、第2実施形態において説明したアクチュエータ10Bの構成と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0081】
計測装置20Cは、計測部21と、計測値送信処理部22Cと、送信計測値選択部23とを有する。計測部21は、複数のアクチュエータ10Cの駆動により制御される複数の対象プロセスの状態量を計測する。送信計測値選択部23は、予め設定された優先度に基づいて、各対象プロセスに関する計測値の中から所定の計測値PVを選択する。計測値送信処理部22Cは、計測値送信部222と、計測値送信時刻調整部224と、前回計測値記憶部225とを有する。
【0082】
計測値送信部222は、計測部21で計測された計測値PVまたは送信計測値選択部23で選択された計測値PVを、ネットワーク30を介して制御装置40Cに送信する。計測値送信時刻調整部224は、通常時は計測部21で計測されたすべての計測値PVを計測値送信部222から送信させ、操作量情報受信処理部11Cの遅延時間演算部115で演算された通信遅延時間が所定値以上に増加したときには、各対象プロセスに関し送信計測値選択部23で選択された計測値PVのみを計測値送信部222から送信させ、送信データ数が削減されるようにする。前回計測値記憶部225は、前回の処理で計測された計測値PVを記憶する。
【0083】
制御装置40Cは、計測値受信処理部41Cと、操作量演算部42Cと、操作量情報送信処理部43Cと、計測値予測部44Cとを有する。
【0084】
計測値受信処理部41Cは、計測装置20Cから送信された計測値PVを、ネットワーク30を介して受信して計測値予測部44Cに送出する計測値受信部411を有する。
【0085】
計測値予測部44Cは、各対象プロセスに関し、取得されなかった計測値がある場合にはこの計測値PVの予測値を算出し、取得した計測値PVとともに操作量演算部42Cに送出する。
【0086】
操作量演算部42Cは、計測値予測部44Cから送出された、予測値を含む計測値PVを取得し、当該計測値PVと予め設定された対象プロセス状態の目標値SVとの差に基づいてアクチュエータ10Cを駆動するための操作量を演算する。
【0087】
操作量情報送信処理部43Cは、量子化分解能修正部432と、操作量情報送信部433と、前回操作量情報記憶部434と、計時部435と、送信時刻情報付与部436とを有する。
【0088】
量子化分解能修正部432は、予め保持した複数のアクチュエータ10の駆動優先順位情報に基づいて、通信遅延時間Tnが所定値以上であるときに、駆動優先順位が高い順に所定数のアクチュエータ10Cにのみ操作量情報MVを送信するように、操作量情報送信部433を設定する。
【0089】
操作量情報送信部433は、設定されたアクチュエータ10Cに、対応する操作量情報MVをネットワーク30を介して送信する。
【0090】
計時部435は現在時刻を計時し、送信時刻情報付与部436は操作量情報送信部433から操作量情報MVを送信するときの時刻を計時部435から取得して、送信時刻情報として当該操作量情報MVに付与する。
【0091】
〈第3実施形態によるネットワーク型制御システムの動作〉
次に、本実施形態によるネットワーク型制御システムの動作について、図9のシーケンス図を参照して説明する。
【0092】
まず、計測装置20Cの計測部21において、複数のアクチュエータ10Cにより制御される複数の対象プロセスの状態量が計測される(S41)。計測により取得された対象プロセスの状態量の計測値PVには、送信計測値選択部23に予め設定された優先度に基づいて、各対象プロセスに関する計測値の中から所定の計測値PVが選択される(S42)。
【0093】
次に、アクチュエータ10Cで後述するように演算された通信遅延時刻情報が受信され、この通信遅延時間が所定値以上に増加したときに、計測値送信時刻調整部224において計測値送信部222から送信される計測値の送信データ数が修正される。具体的には、計測値送信時刻調整部224では、通常時は計測部21で計測されたすべての計測値PVを計測値送信部222から送信させ、操作量情報受信処理部11Cの遅延時間演算部115で演算された通信遅延時間が所定値以上に増加したときには、各対象プロセスに関し送信計測値選択部23で選択された計測値PVのみを計測値送信部222から送信させ、送信データ数が削減されるようにする(S43)。
【0094】
計測装置20Cからネットワーク30を介して送信された対象プロセスの計測値PVは、制御装置40Cの計測値受信処理部41Cの計測値受信部411で受信され、計測値予測部44Cに送出される。
【0095】
計測値予測部44Cでは、各対象プロセスに関し、選択された計測値PVのみが送信されたために取得されなかった計測値PVがある場合にはこの計測値PVの予測値が算出され、取得された計測値PVとともに操作量演算部42Cに送出される(S44)。
【0096】
計測値PVの予測には、例えば下記式(5)で算出されるような予測値が利用される。
【数3】

【0097】
ここで、x(k)は時刻kにおける制御対象の対象プロセスの状態量である。ただし、Lは行列(A-LC)の固有値の実部が負となるように設計されているものとする。
【0098】
次に操作量演算部42Cにおいて、計測値予測部44Cから送出された計測値PVが取得され、当該計測値PVと予め設定された対象プロセス状態の目標値SVとの差に基づいて各アクチュエータ10Cを駆動するための操作量が演算される(S45)。
【0099】
次に操作量情報送信処理部43Cの量子化分解能修正部432において、予め保持された複数のアクチュエータ10の駆動優先順位情報に基づいて、後述するように演算される通信遅延時間Tnが所定値以上であるときに、駆動優先順位が高い順に所定数のアクチュエータ10Cにのみ操作量情報MVが送信されるように、操作量情報送信部433に設定される。
【0100】
そして、操作量演算部42Cで演算された操作量情報MVが符号化され、さらに計時部435から取得された現在時刻情報が送信時刻情報付与部436により送信時刻情報として付与されて、操作量情報送信部433から設定せれた各アクチュエータ10C宛に送出される(S46)。
【0101】
制御装置40Cから送出された操作量情報MVは各アクチュエータ10Cの操作量情報受信部111で受信されて復号される。そして、復号された操作量情報MVに基づいて、駆動部12により自アクチュエータ10Cが駆動され、対象プロセス状態が制御される(S47)。ここで、駆動優先順位が低く操作量情報MVが送信されなかったアクチュエータ10Cでは、前回取得された操作量情報MVが保持され駆動される。
【0102】
また、操作量情報MVが受信されたときの現在時刻情報が、受信時刻情報取得部114により計時部113から受信時刻情報として取得される(S48)。
【0103】
次に遅延時間演算部115において、操作量情報受信部111で受信された操作量情報に付与された送信時刻情報と、受信時刻情報取得部114で取得された受信時刻情報との差から求まる通信遅延時間Tnが演算される。演算された通信遅延時間Tnは、計測装置20Cに送信される(S49)。
【0104】
計測装置20Cではプロセス状態量の計測が継続され、ステップS49で送信された通信遅延時間Tnに応じてステップS42、S43の処理により送信データ数が修正されて制御装置40Cへの送信処理が行われる(S50)。
【0105】
以上の第3実施形態によれば、ネットワークを介して接続された制御装置から、対象プロセスに対する複数のアクチュエータを制御する制御システムにおいて、対象となるプロセス状態の計測値のデータ数を通信遅延時間に応じて削減して計測装置から制御装置に送信し、また、通信遅延時間に応じて優先順位の高い所定数のアクチュエータにのみ操作量情報を制御装置から送信することにより、通信遅延時間の変動を抑制しながら制御性能を維持してフィードバック制御によるプロセス管理を適切に実行することができる。
【0106】
上記第3実施形態においては、通信遅延時間が所定値以上であるときに、制御装置40Cの操作量情報送信処理部43Cにおいて、駆動優先順位が高い順に所定数のアクチュエータ10Cにのみ操作量情報MVを送信する場合について説明したが、駆動優先順位情報、通信遅延時間、および前回操作量情報記憶部434に記憶された前回の操作量情報と操作量演算部42Cで演算された今回の操作量情報との差に基づいて、駆動優先順位が低いアクチュエータ10Cや、前回と今回との操作量情報の差が所定値以下であるアクチュエータ10Cに送信する操作量情報MVの量子化分解能を必要最小限に低くするように修正し、操作量情報送信部433に設定するようにしてもよい。この場合、量子化分解能修正部432に対する量子化分解能の設定は、第1実施形態で説明した場合と同様に実行される。
【0107】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0108】
1、1A〜1C…ネットワーク型制御システム
10、10A〜10C…アクチュエータ
11A〜11C…操作量情報受信処理部
12…駆動部
20、20A〜20C…計測装置
21…計測部
22、22A〜22C…計測値送信処理部
23…送信計測値選択部
30…ネットワーク
40、40A〜40C…制御装置
41A〜40C…計測値受信処理部
42A〜42C…制御部演算部
43A〜43C…操作量情報送信処理部
44C…計測値予測部
111…操作量情報受信部
112…量子化分解能判定部
113…計時部
114…受信時刻情報取得部
115…遅延時間演算部
221…計時部
222…計測値送信部
223…送信時刻情報付与部
224…計測値送信時刻調整部
225…前回計測値記憶部
411…計測値受信部
412…計時部
413…受信時刻情報付与部
431…遅延時間変動判定部
432…量子化分解能修正部
433…操作量情報送信部
434…前回操作量情報記憶部
435…計時部
436…送信時刻情報付与部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理対象プロセスの状態を制御する制御対象機器と、前記対象プロセスの状態量を計測する計測装置と、前記制御対象機器および前記計測装置にネットワークを介して接続され、前記計測装置による前記管理対象プロセスの状態量の計測値に基づいて前記制御対象機器をフィードバック制御する制御装置とを有するネットワーク型制御システムにおいて、
前記ネットワークにおける通信遅延時間を演算する手段と、
前記通信遅延時間が所定値以上になったときに、前記フィードバック制御を行うために前記ネットワークに送出する情報量を低減させる手段と
を備えることを特徴とするネットワーク型制御システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記ネットワークに送出する情報量を、前記制御対象機器に送信する操作量情報の量子化分解能を低くすることで低減させる
ことを特徴とする請求項1に記載のネットワーク型制御システム。
【請求項3】
前記通信遅延時間は、前記計測装置から計測値が送信される際に当該計測値に付与される送信時刻情報と、前記制御装置で当該計測値が受信された際に取得される受信時刻情報との差から演算される
ことを特徴とする請求項1または2に記載のネットワーク型制御システム。
【請求項4】
前記計測装置は、前記ネットワークに送出する情報量を、前記対象プロセスの状態量を計測するためのサンプリング周期を長くすることで低減させる
ことを特徴とする請求項1に記載のネットワーク型制御システム。
【請求項5】
前記計測装置は、前記ネットワークに送出する情報量を、前記制御装置に送信する計測値のデータ数を削減することで低減させ、
前記制御装置は、計測値が削減されたことにより受信できなかった計測値を、予測する手段を有する
ことを特徴とする請求項1または4に記載のネットワーク型制御システム。
【請求項6】
前記通信遅延時間は、前記制御装置から操作量情報が送信される際に当該操作量情報に付与される送信時刻情報と、前記制御対象機器で当該操作量情報が受信された際に取得される受信時刻情報との差から演算される
ことを特徴とする請求項1、4、または5に記載のネットワーク型制御システム。
【請求項7】
複数の前記制御対象機器を備え、
前記制御装置は、前記ネットワークに送出する情報量を、予め設定された優先順位の高い所定数の前記制御対象機器に操作量情報を送信することで低減させ、
前記各制御対象機器は、前記優先順位が低く操作量情報が受信されなかったときに、前回取得した操作量情報を維持して自機器を駆動する
ことを特徴とする請求項1〜6いずれか1項に記載のネットワーク型制御システム。
【請求項8】
複数の前記制御対象機器を備え、
前記制御装置は、前記ネットワークに送出する情報量を、予め設定された優先順位の低い制御対象機器に送信する操作量情報の量子化分解能を低くするかまたは、前回の操作量情報と今回の操作量情報との差が所定値以下である制御対象機器に送信する操作量情報の量子化分解能を低くすることで低減させる
ことを特徴とする請求項1〜7いずれか1項に記載のネットワーク型制御システム。
【請求項9】
管理対象プロセスの状態を制御する制御対象機器と、前記対象プロセスの状態量を計測する計測装置と、前記制御対象機器および前記計測装置にネットワークを介して接続され、前記計測装置による前記管理対象プロセスの状態量の計測値に基づいて前記制御対象機器をフィードバック制御する制御装置とを有するネットワーク型制御システムの前記ネットワークにおける通信遅延時間を演算し、
前記通信遅延時間が所定値以上になったときに、前記フィードバック制御を行うために前記ネットワークに送出する情報量を低減させることで通信遅延時間の変動を抑制する
ことを特徴とするネットワーク型制御システムにおける通信遅延時間制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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