説明

ネットワーク式電牧器

【課題】従来の個別的な電牧器を広域的な電牧器に改良する。
【解決手段】農地・果樹園・植林地等に侵入するサル・シカ・イノシシなどの野獣類に電気衝撃を与えて侵入を防止する電気柵を用いる野獣侵入防止設備において、管理センターのパソコン及びネットワークに連動されている野獣柵に組み込まれている数個の電牧器を配設し、該各電牧器の漏電・バッテリー残量・エラーなどが管理センターのパソコンへ送られる情報方法と、該情報を一覧しかつ各電牧器の情報を時系列で表示される識別方法とから構成されるネットワーク式電牧器と、それを用いた鳥獣被害対策システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜・果樹園・植林地等に侵入するサル・ニホンシカ・イノシシなどの野獣類による被害防止に使用される電牧器に関するが、詳しくは保守・情報管理を容易にするネットワーク式電牧器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電牧器は、例えば特開2003−219788号の「防獣システム」が一般的に使用されている。
【特許文献1】特開2003−219788号公報 この文献による従来の通電性ネットは、導電部材を備えたネットと地中のマイナス極とを利用した防獣装置であり、猿等の害獣に対しては有効性に疑問がある。またネットと導電部材とを個別にする構成では作業が面倒であること、またはネットの張装と導電部材の配線にそれぞれ作業担当者が必要となり設置及び各種作業に手間を要すること、または各種部材、機材等の準備・搬入・運搬等の手間を要し、また保管等においても手間及び場所を要することなどの課題がある。これに対して、本発明は撚糸と導電撚糸とを編成し導電撚糸で結節した導電ネット素材と撚糸で結節したネット素材とを交互に配置して防獣用ネットを編成し、防獣用ネットに一方端に重り入りロープを配設し、防獣用ネットを圃地に立設した可撓性を備えたボールに張装し、重り入りロープを地面に配置し防獣用ネットの下方が地面に延展された状態を確保して防獣用ネットと地面との隙間をなくし防獣用ネットと地面との間より猿等の侵入を防止し、かつ導電ネット素材とネット素材とを交互に配置し導電ネット素材とネット素材間に接触した猿等の害獣を撃退する防獣システムにしたところに特徴を有する。
【0003】
具体的には図6から図8に示すように、この防獣用ネット11は合成樹脂製の繊維を数本撚り上げた撚糸を結節した菱形のネット素材と、数本の合成樹脂製の繊維と数本のワイヤーとを撚り上げた導電撚糸を結節した菱形の導電ネット素材とが設けられていること、また配置等は基本である。しかし、このネット素材と導電ネット素材との配置は、菱形の寸法、防獣用ネット11の密度、害獣の種類、使用場所等の条件で別の対応もありえる。またポール12は、硬性ポールに可撓性ポールを入れ子式として止具等で固止する構成である。すなわち、防獣用ネット11の密度に猿が飛付いた際に撓むことで恐怖感と衝撃感を与える。また電気的な衝撃とにより撃退する。またロープ14は、ポール12に設けた係止環13の環体に挿入される。このロープ14の係止環13への挿入とロープ14のポール12への取付けを介して防獣用ネット11がポール12間に張装される。また、この重り入りロープ15は防獣用ネット11の下端に設ける。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この従来から一般的に使用されている電牧器は、個別的な圃場に使用されるものであるから、電牧器を設置されている圃場のみの野獣柵としか使用できず電牧器が設置されていないところに野獣類が侵入するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記の如き課題を解決するために開発したものであって、農地・果樹園・植林地等に侵入するサル・シカ・イノシシなどの野獣類に電気衝撃を与えて侵入を防止する電気柵を用いる野獣侵入防止設備において管理センターの電牧器と野獣柵に組み込まれた複数の電牧器から電牧器の情報収集して野獣柵の状態を把握しかつ必要に応じて個々の電牧器を遠隔操作することを特徴とするネットワーク式電牧器の提供にあり、また前記ネットワーク式電牧器において管理センターのパソコン及びネットワークに連動されている野獣柵に組み込まれている数個の電牧器を配設し該各電牧器の漏電・バッテリー残量・エラーなどが管理センサーのパソコンへ送られる情報方法と該情報を一覧しかつ各電牧器の情報を時系列で表示される識別方法とから構成されるネットワーク式電牧器の提供にあり、また前記ネットワーク式電牧器においてバッテリーの充電が不十分な場合にパルス幅の変更及び昼夜切替えなど作業時間の制限を選択し管理センターから遠隔設定するネットワーク式電牧器の提供にあり、また前記ネットワーク式電牧器において野獣により漏電した場合に電牧器の送受信機を介して突然漏電させかつ突然回復させる野獣による漏電機構と、草により漏電した場合に電牧送受信機を介して漏電状態を継続させる草による漏電機構と、バッテリーの残量が減少した場合に電牧器の送受信機を介してバッテリーの残量が基準以下になったときにはパルス幅を広くしかつ夜間通電時間の制限を指示するバッテリーの残量減少機構と、電牧器の故障した場合に電牧器の送受信機を介して故障を通知させる電牧器の故障機構とから構成されるネットワーク式電牧器の提供にあり、更に前記ネットワーク式電牧器において盗難にあった状態になるとパソコンを介して作業モードを選択してネットワークの電牧器から送信されて分離してもブザーが鳴らない機構とし、一方盗難にあった場合は電牧器の送受信機を介して位置情報によって盗難電牧器を探し出す機構とから構成されるネットワーク式電牧器の提供にある。
【0006】
更に、単独にて活用されている電牧器の双方向の通信機能を持たせかつ複数の電牧器を介してネットワークを構成し、更に集団で集落を守ることで地域の保守及び維持管理を容易にするネットワーク式電牧器の鳥獣被害対策システムの提供にあり、また前記鳥獣被害対策システムにおいて通信機能を有する電牧器に管理センターのパソコンとネットワームとから構成され、漏電などの情報と各電牧器と対をなす各農家の形態電話にメール送信かつ管理センターのパソコンへ集中管理されるネットワーク式電牧器の鳥獣被害対策システムの提供にあり、また前記鳥獣被害対策システムにおいて各電牧器から送信される漏電・バッテリー電圧・その他の情報を管理センターの画面に一覧表示しかつ電牧器の各情報を総合的・時至列的に表示し、更に動画や静止画などの各情報を加えて電牧器の状態及び野獣の侵入状況を把握するネットワーク式電牧器の鳥獣被害対策システムの提供にある。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、農地・果樹園・植林地等に侵入するサル・シカ・イノシシなどの野獣類に電気衝撃を与えて侵入を防止する電気柵を用いる野獣侵入防止設備において管理センターの電牧器と野獣柵に組み込まれた複数の電牧器から電牧器の情報収集して野獣柵の状態を把握し、かつ必要に応じて個々の電牧器を遠隔操作することを特徴とするネットワーク式電牧器であり、また前記ネットワーク式電牧器において管理センターのパソコン及びネットワークに連動されている野獣柵に組み込まれている数個の電牧器を配設し、該各電牧器の漏電・バッテリー残量・エラーなどが管理センサーのパソコンへ送られる情報方法と該情報を一覧しかつ各電牧器の情報を時系列で表示される識別方法とから構成されるネットワーク式電牧器であり、また前記ネットワーク式電牧器においてバッテリーの充電が不十分な場合にパルス幅の変更及び昼夜切替えなど作業時間の制限を選択し管理センターから遠隔設定するネットワーク式電牧器であり、また前記ネットワーク式電牧器において野獣により漏電した場合に電牧器の送受信機を介して突然漏電させかつ突然回復させる野獣による漏電機構と、草により漏電した場合に電牧送受信機を介して漏電状態を継続させる草による漏電機構と、バッテリーの残量が減少した場合に電牧器の送受信機を介してバッテリーの残量が基準以下になったときにはパルス幅を広くしかつ夜間通電時間の制限を指示するバッテリーの残量減少機構と、電牧器の故障した場合に電牧器の送受信機を介して故障を通知させる電牧器の故障機構とから構成されるネットワーク式電牧器であり、更に前記ネットワーク式電牧器において盗難にあった状態になるとパソコンを介して作業モードを選択してネットワークの電牧器から送信されて分離してもブザーが鳴らない機構とし、一方盗難にあった場合は電牧器の送受信機を介して位置情報によって盗難電牧器を探し出す機構とから構成されるネットワーク式電牧器であるから、従来では得られなかった次のような多くの効果が得られる電牧器を提供することができる。
ア、本発明は管理センターの電牧器と野獣柵に組み込まれた複数の電牧器から電牧器の情報を収集し野獣柵の状態を把握し、必要によって個々の電牧器を遠隔操作する保守管理が軽減されるネットワーク式電牧器であるから、従来の個別的な電牧器では得られない広域的な電牧器が得られる。
イ、従来の個別的な電牧器は野獣柵に高電圧の電気を流して電気ショックで野獣の侵入阻む方法であるから、侵入防止の効果は高いが漏電対策など保守管理が欠かせないことになる。そこで、これまでは野獣柵は個別の圃場を囲うことが多かったので、この保守管理を怠ると自分の圃場へ野獣侵入の危険が高まるので個々別々の保守管理が必要となる。
ウ、最近は地域の圃場全体を囲うように野獣柵を巡らす広域型が増えてきたが、誰が保守をするのかが明確でなく保守管理が徹底しないことが多発してた。そこで、本発明のような広域の野獣柵に組み込まれた電牧器を集中的に保守するネットワーク式電牧器が必要とされている。
エ、このネットワーク式の電牧器を使用することによって、漏電情報は現地に行かなくても管理センターでインターネット経由で把握できるばかりか、個別情報ではなくすべての電牧器の情報から的確な判断ができる。
オ、また蓄積された時系列データから的確な判断ができるとともに、応急手当は管理センターから遠隔操作ができる。
【0008】
また本発明は、単独にて活用されている電牧器に双方向の通信機能を持たせかつ複数の電牧器を介してネットワークを構成し、更に集団で集落を守ることで地域の保守及び維持管理を容易にすることを特徴とするネットワーク式電牧器の鳥獣被害対策システムであり、また前記鳥獣被害対策システムにおいて通信機能を有する電牧器に管理センターのパソコンとネットワームとから構成され、漏電などの情報と各電牧器と対をなす各農家の形態電話にメール送信かつ管理センターのパソコンへ集中管理されるネットワーク式電牧器の鳥獣被害対策システムであり、また前記鳥獣被害対策システムにおいて各電牧器から送信される漏電・バッテリー電圧・その他の情報を管理センターの画面に一覧表示し、かつ電牧器の各情報を総合的・時至列的に表示し、更に動画や静止画などの各情報を加えて電牧器の状態及び野獣の侵入状況を把握するネットワーク式電牧器の鳥獣被害対策システムであるから、次のような多くの効果が得られる電牧器を提供することができる。
ア、本発明に双方向の通信機能を有する電牧器とすることによって、地域における保守管理の実行性を高めることが可能となる。
イ、更に本発明システムにすれば、保守管理に単位ごとに一台の電牧器を置くことによって容易なシステムで効率的に高めることが可能となる。
【実施例1】
【0009】
以下、図面に従って本発明のネットワーク式電牧器について説明する。
図1は、本発明のネットワーク式電牧器を示したものであり、1、2、3は電牧器である。なお、Aは圃場、Bは野獣柵、Cは野獣類である。各電牧器1、2、3は後述するように管理センターを介して野生シカなどの野獣類を監視できるように構成されている。図2から図4によって、その監視の方法について説明する。
【0010】
まず図2に示すように、野獣柵Bに組み込まれた電牧器1、2、3は、管理センターのパソコンとネットワークで連動されており、各電牧器1、2、3の漏電・バッテリー残量・エラー情報などが管理センターのパソコンへ送られるように構成されている。このように構成することによってすべての電牧器1、2、3の情報が一覧できるとともに各電牧器1、2、3の情報が時系列で表示されるので、例えば「漏電」も「突然漏電しすぐに回復した場合は野獣による漏電」「漏電が継続する場合は草による漏電」などと峻別できることになる。また、バッテリーの充電が不十分な場合にはとりあえずの対策としてパルス幅の変更と昼夜切り替えなど作動時間の制限などの対策を選択して管理センターから遠隔設定できる。
【0011】
次に図3によってネットワーク式電牧器の活用方法について説明すれば、まず野獣による漏電の場合は突然漏電すると同時に突然回復し、また草による漏電の場合は漏電状態が継続し、またバッテリー残量を通知する場合は基準以下になったときはパルス幅を広くするが夜間のみなどの通電時間を制御する指示を出し、更に電牧器が故障した場合は故障通知をする。なお、ネットワーク電牧器1、2、3はソーラー付のバッテリに通電されている電牧器から送受信機を介して送信機に送受信されるように構成されている。
【0012】
更に図4によってネットワーク式電牧器が盗難した場合について説明すれば、まず通常使っている状態に盗難があった場合は、設置台から離すとブザーが鳴るように構成されているので、パソコンで「作動モード」を選択すればそれがネットワーク式電牧器に送られて、分離してもブザーは鳴らないようになっている。更に、盗難後の状態は電牧器からは常に位置情報がパソコンに送られ盗難にあった場合は、位置情報で盗難電牧器を探し出されることになる。なお、ネットワーク式電牧器はソーラー付バッテリが通電されている電牧器の送受信機から送信機に送信されることになっている。
【0013】
図5は従来の個別圃場を囲う野獣柵と本発明の広域圃場を囲う野獣柵とを比較した対比図であり、本図からも明らかのように個別圃場を囲う野獣柵は各圃場(1〜6)はすべて圃場ごとに野獣柵で囲まれているが、広域で圃場を囲う野獣柵は圃場全体で囲まれている。
【0014】
更に図6から図11によって、本発明のネットワーク電牧器を用いた鳥獣被害対策システムを説明する。このシステムは、双方向の通信機能を持つ複数台の電牧器と各々の電牧器と対をなす携帯電話とすべての電牧器を管理する管理センターからなる維持管理容易な鳥獣被害対策システムである。
【0015】
従来から野獣が田畑へ侵入するのを防ぐ方法として電牧器は広く知られており、その目的は野獣侵入防止柵の有効な手段にすぎなかった。そして、近年野獣頭数の急激に増加されてきたため、農家が自らの責任で圃場を守るだけでは充分な効果をあげられず、集落が一体となって地域の田畑を守っていかなくてならない状況になってきた。その場合、最も大きな課題は保守管理であり、一人でも管理を怠ればそこから漏電し野獣侵入防止柵の効果は失われ野獣の侵入を許すことになりかねないことになる。
【0016】
また一度野獣の侵入を許すと、その後それを防止するのは極めて厳しくなるという問題が生じてきた。そこで、今までの電牧器は単独に活用されてきたが、その電牧器を双方向の通信機能をもたせ複数の電牧器でネットワークを構成させて集団で集落を守ることで地域の保守管理の実効性をあげる新しい鳥獣被害対策システムが検討されるようになった。以下図6から図11によって、その実施例について説明する。
【0017】
図6は本発明のネットワーク電牧器を用いた鳥獣被害対策システムの複数台数電牧器の集中管理方法を示したものである。具体的には次のとおりである。
ア、電牧器に通信機能を持たせて管理センターのパソコンとともにネットワークを構成す る。漏電などの情報は各電牧器と対をなす各農家の携帯電話へメール通信するが、合わ せて管理センターのパソコンへ集中される。
イ、従来、電牧器の台数はできるだけ少なくなるように決められていた。例えば、総延長 が6kmで推奨距離が6kmの電牧器があれば一台でよいとされていた。本発明システ ムでは、保守管理単位毎に一台の電牧器を置くことにし、例えば総延長6kmを5名で 管理するなら5台の電牧器を置くことになる。
ウ、漏電などの状況はメンバーの携帯電話だけでなし管理センター等のパソコンにも表示 されるので、自主的な対応がされない場合は管理センターから対応を催促することがで きる。
【0018】
図7は、本発明システムにおける管理センターでの情報表示を示したものである。例えば、パソコン画面表示例としては、イメージ1、イメージ2、イメージ3の画面表示から構成されており、イメージ1はすべての電牧器の状態を画面に一覧表示する。この表示により各電牧器から送られる漏電・バッテリー電圧・その他の情報を管理センターの画面に一覧表示でき、この表示で各電牧器の状態で図形と色で表示されるので一目で状況を把握することができる。ついで、イメージ2において電牧器の状態を時系列に表示することができるので、電牧器の様々な情報を総合的に表示することができるとともに各情報を時系列に表示することができる。ついで、イメージ3において動画・静止画など多彩な情報を活用できしかも地図をクリックし画面を選択することができる。このイメージ3において動画や静止画など様々な情報を加えることで電牧器の状態や野獣侵入の状況を把握することができるとともに、双方向性通信なので発見した問題点を解決するために管理センターのパソコンから電牧器へ指示を与えることもできる。
【0019】
図8は、本発明システムにおけるリアルタイムのデータ表示を示したものである。例えば、野獣による漏電の場合はネットワーク電牧器を介する野獣による漏電は突然漏電しかつ回復させることができる。また草による漏電は、前記同様にその漏電状況を継続させることができる。また倒木による漏電は、突然漏電するので急には回復させることが不可能となる。
【0020】
そこで、リアルタイムに漏電データを取得することによって各電牧器の状態を詳しく把握することが必要となる。例えば、下記のような状態になれば把握可能となる。
ア、漏電の状態はそれほど厳しくはなく突然起きるわけではないが、漏電状態が長く続く 場合は草などによる漏電と推定することが可能となる。
イ、突然漏電するがすぐに復旧してほぼ元に戻る場合は、野獣接触による漏電と推測する ことが可能となる。
ウ、突然激しく漏電してその後ほとんど電圧が出なければ、自動的に復旧もしないので倒 木などによる漏電と推測することが可能となる。
【0021】
すなわち、本発明システムによれば、電気柵がもっぱら乳牛の放牧用として用いられていたころ多くの場合電牧器は牛舎の中に放置されており、その計器を見れば容易に漏電の状態を判断できた。また、鳥獣被害対策に電牧器を使うようになると、野獣柵は山地に張られ電牧器は住宅からはなれた山地に設置されることになり、電牧器の計器をだれも常時監視する必要がなくなった。更に有効な保守管理をするためには電牧器の状態を管理者が常時把握する必要があり、それらデータをリアルタイムでモニタリングすることによって、遠く離れた電気柵で何が起きているかの推測が可能となった。
【0022】
図9は本発明システムにおける双方向通信を示したものである。例えば、バッテリー電圧と電牧による侵入防止とに大別することによって、バッテリー残量が少なくなってきた場合は次のような対処法が考えられる。どれが最適な対処法かは、野獣の種類、作物の種類、育成ステージ、柵構造などによって異なるが、最適な対処法を管理センターから該当する電牧器へ送信することができる双方向通信可能な電牧器が最適であることが明らかになった。
a、パルス幅を広げる。
b、パルス電圧を下げる。
c、通電を時間制限する。
d、予備バッテリーを使用する。
e、そのまま通電する。
【0023】
このようなシステムにすることによって、電牧器のバッテリー残量が少なくなってきた時にどう対応するかは重要な課題であったが、従来はパルス間隔を長くしてバッテリー消費を軽減していたが、野獣種類などをもとに最適な対処方法を決めて管理センターから各電牧器へ対処方法を指示することができるようになった。
【0024】
図10と図11は、本発明システムにおける複合的な通信網活用方法を示したものである。その具体的な方法は次のとおりである。
ア、各電牧器は互いに無線LANなどで結ばれており、その中で携帯電話通信可能エリア 内にある電牧器は携帯電話網を介して管理センターのパソコンと結ばれている。すなわ ち、携帯電話通信網の外に位置する電牧器は、他の電牧器を中継機として利用しながら 携帯電話通信可能な電牧器とつながり、この電牧器を介して管理センターのパソコンと つながる。更に、パソコンは携帯電話網により該当する携帯電話と結ばれる。
イ、電牧器を使う場所は中山間地域であり電波環境が必ずしも良好とはいえないが、当該 電牧器が携帯電話通信圏外にあった場合でも、ほかの電牧器を中継し通信圏内の電牧器 から通信ができるのでネットワーク電牧器を中山間地においても利用できる。
ウ、本発明システムによれば、インターネットを介して遠く離れた代行センターのパソコ ン上に再現することもできる。
エ、また情報は多階層となっているので、問題がありそうな電牧器の情報を詳細表示させ たり時系列させたり画像表示させたりしながら、現状を把握して場合によっては電牧器 に指示を与えて解決することが可能となった。
オ、それによりパソコンが苦手な高齢化した農家に代わってシステムを保守することもで きるし、土日しか就農しない兼業農家に代わってシステムを保守することも可能となっ た。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の電牧器を示した全体概要図。
【図2】本発明電牧器の作動方法を示した説明概要図。
【図3】本発明電牧器の活用例を示した説明概要図。
【図4】本発明電牧器の盗難時の作動概要図。
【図5】従来と本発明の電牧器の比較対比図。
【図6】本発明の鳥獣被害対策システムの要部を示した説明概要図。
【図7】本発明の鳥獣被害対策システムの要部を示した説明概要図。
【図8】本発明の鳥獣被害対策システムの要部を示した説明概要図。
【図9】本発明の鳥獣被害対策システムの要部を示した説明概要図。
【図10】本発明の鳥獣被害対策システムの要部を示した説明概要図。
【図11】本発明の鳥獣被害対策システムの要部を示した説明概要図。
【図12】従来の防獣用ネットを示した説明概要図。
【図13】従来の防獣用ネットを示した説明概要図。
【図14】従来の防獣用ネットを示した説明概要図。
【符号の説明】
【0026】
1、2、3 電牧器
A 圃場 B 電牧器
C 野獣類 11 防獣用ネット
12 ポール 13 係止環
14 ロープ 15 重り入りロープ
16 バッテリ 17 害獣
18 果樹園

【特許請求の範囲】
【請求項1】
農地・果樹園・植林地等に侵入するサル・シカ・イノシシなどの野獣類に電気衝撃を与えて侵入を防止する電気柵を用いる野獣侵入防止設備において、管理センターの電牧器と野獣柵に組み込まれた複数の電牧器から電牧器の情報収集して野獣柵の状態を把握し、かつ必要に応じて個々の電牧器を遠隔操作することを特徴とするネットワーク式電牧器。
【請求項2】
請求項1記載のネットワーク式電牧器において、管理センターのパソコン及びネットワークに連動されている野獣柵に組み込まれている数個の電牧器を配設し、該各電牧器の漏電・バッテリー残量・エラーなどが管理センサーのパソコンへ送られる情報方法と、該情報を一覧しかつ各電牧器の情報を時系列で表示される識別方法とから構成される請求項1記載のネットワーク式電牧器。
【請求項3】
請求項2記載のネットワーク式電牧器において、バッテリーの充電が不十分な場合にパルス幅の変更及び昼夜切替えなど作業時間の制限を選択し、管理センターから遠隔設定する請求項2記載のネットワーク式電牧器。
【請求項4】
請求項2記載のネットワーク式電牧器において、野獣により漏電した場合に電牧器の送受信機を介して突然漏電させかつ突然回復させる野獣による漏電機構と、草により漏電した場合に電牧送受信機を介して漏電状態を継続させる草による漏電機構と、バッテリーの残量が減少した場合に電牧器の送受信機を介してバッテリーの残量が基準以下になったときにはパルス幅を広くしかつ夜間通電時間の制限を指示するバッテリーの残量減少機構と、電牧器の故障した場合に電牧器の送受信機を介して故障を通知させる電牧器の故障機構と、から構成される請求項2記載のネットワーク式電牧器。
【請求項5】
請求項2記載のネットワーク式電牧器において、盗難にあった状態になるとパソコンを介して作業モードを選択してネットワークの電牧器から送信されて分離してもブザーが鳴らない機構とし、一方盗難にあった場合は電牧器の送受信機を介して位置情報によって盗難電牧器を探し出す機構と、から構成される請求項1から4記載のネットワーク式電牧器。
【請求項6】
単独にて活用されている電牧器に双方向の通信機能を持たせかつ複数の電牧器を介してネットワークを構成し、更に集団で集落を守ることで地域の保守及び維持管理を容易にすることを特徴とするネットワーク式電牧器の鳥獣被害対策システム。
【請求項7】
請求項6記載の鳥獣被害対策システムにおいて、通信機能を有する電牧器に管理センターのパソコンとネットワームとから構成され、漏電などの情報と各電牧器と対をなす各農家の形態電話にメール送信しかつ管理センターのパソコンへ集中管理される請求項6記載のネットワーク式電牧器の鳥獣被害対策システム。
【請求項8】
請求項6記載の鳥獣被害対策システムにおいて、各電牧器から送信される漏電・バッテリー電圧・その他の情報を管理センターの画面に一覧表示し、かつ電牧器の各情報を総合的・時系列的に表示し、更に動画や静止画などの各情報を加えて電牧器の状態及び野獣の侵入状況を把握する請求項6及び請求項7記載のネットワーク式電牧器の鳥獣被害対策システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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