説明

ネットワーク接続型画像形成装置のマガジン管理システム及びマガジン管理方法

【課題】 ネットワーク上で接続される任意の画像形成装置で、任意のマガジンが共用可能となるネットワーク上画像形成装置のマガジン管理システムを得る。
【解決手段】 ネットワークに接続される画像撮影装置と、種々のフィルム毎に該フィルムを収容する複数のマガジン11と、マガジン11のそれぞれに設定されるIDが読み取り可能にマガジン11に設けられた識別手段と、ネットワークに接続されマガジン11のID毎にフィルムの特性又は使用状況によって変化する個体情報を保存するサーバーと、ネットワークに接続され画像撮影装置からの撮影データが入力されるとともに任意の前記マガジンが装着される画像形成装置100とを備え、画像形成装置100が、装着されたマガジン11のIDを検出する検出手段を有し、マガジン11のIDに対応する個体情報をサーバーに対して読み書き可能な機能を有するものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク上で接続される複数台の画像形成装置において種々のフィルムをフィルム種ごとに収容する複数のマガジンを共用可能とするネットワーク接続型画像形成装置のマガジン管理システム及びマガジン管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CT(Computed Tomography)装置、CR(Computed Radiography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置等のコンピュータ支援診断装置が医療分野において広汎に利用されている。これらの装置を用いて得られた電気信号としての被写体の放射線画像情報は、画像処理装置に転送された後、診断に適した所望の画像処理が施され、CRT(Cathode Ray Tube)やフィルム等の画像記録材料に出力される。
【0003】
この場合、画像記録材料に対して放射線画像情報を記録する画像形成装置では、例えば、積層状態で供給されるシート状のフィルムを枚葉して画像記録部まで搬送した後、放射線画像情報に応じて変調されたレーザビームをフィルムに照射することにより、所望の画像処理が施された放射線画像を得ている。
【0004】
ところで、このような画像形成装置では、放射線画像情報の種類や画像の大きさ等に応じて、最適な感度特性あるいはサイズからなるフィルムを選択して放射線画像情報を記録する必要がある。
【0005】
一般に、異なるサイズの用紙を収納する用紙カセットには、収納する用紙のサイズに応じて用紙の収納位置を規制する規制部材として、用紙ガイドが設けられている。こうした用紙ガイドには、例えば用紙を給送方向に規制するガイドと、給送方向と直交する方向に規制するガイドとから構成される。そして、収納した用紙に合せて係止した用紙ガイドの位置の情報、即ち、用紙のサイズの情報を、画像形成装置側に出力する手段としては、特許文献1等に示されているような、規制部材に位置に連動して動くレバーやドラム等の機械的な手段を用意して、そのレバーやドラム上の突起が、画像形成装置本体のスイッチを押すことにより検知が行われていた。
【0006】
【特許文献1】特開平8―34525号公報
【特許文献2】特開2004−123366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来の機械的な手段による情報伝達では、用紙サイズの細かい情報は伝達できず、所定の定形サイズ(A4、A3、B4、B5等)のどれかに近いかという情報のみ伝達可能であり、不定形サイズの情報や、用紙の種類の情報をフィルムマガジンから画像形成装置へ伝達することはできなかった。また、レバーや、ドラム等の検知部材が、破損すると、誤った情報が伝達される可能性もあった。
そこで、特許文献2に開示される用紙カセットは、用紙カセットに非接触の情報伝達手段を設け、この情報伝達手段を介して用紙のサイズ、用紙の種類、等の情報を、画像形成装置本体に伝達する構成が提案されている。
しかしながら、特許文献2に開示される情報伝達手段は、紙サイズ、紙種等の固定的な紙情報しか入力されない。このため、画像形成装置に対して複数のフィルムマガジンを使用した場合、画像形成作業に支障の生じる場合があった。
例えばサイズ等の異なるフィルムを収容した複数のフィルムマガジンを着脱自在に備える画像形成装置では、それぞれのフィルムマガジンごとの残枚数が不明となるため、突然の用紙(フィルム)切れの発生する場合があった。このような場合、所望のフィルムの予備がないと、画像形成作業の中断が余儀なくされ、医療行為の一部に支障をきたす虞があった。その一方、画像形成作業の都度、フィルムマガジン別に、残枚数を確認することは煩雑であり、画像形成作業性を著しく低下させた。このため、異なるフィルムを収容した複数のフィルムマガジンを使用することは現実的ではなかった。
さらに、近年では、複数台の画像撮影装置、画像形成装置がネットワークを介して接続される場合があり、ネットワーク上で接続される複数台の画像形成装置において、種々のマガジンを、フィルム状態の最新情報を把握しながら任意の画像形成装置で共用することはできなかった。
【0008】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、異なるフィルムを収容した複数のマガジンが、煩雑な残枚数確認等を行うことなく、しかも、ネットワーク上で接続される任意の画像形成装置で任意のマガジンが共用可能となるネットワーク接続型画像形成装置のマガジン管理システム及びマガジン管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
(1) ネットワークを介してサーバーに接続された画像形成装置に対して、着脱自在となった複数種類のマガジンを管理するネットワーク接続型画像形成装置のマガジン管理システムであって、ネットワークに接続される画像撮影装置と、種々のフィルム毎に該フィルムを収容する複数のマガジンと、前記マガジンのそれぞれに設定されるIDが読み取り可能に前記マガジンに設けられた識別手段と、前記ネットワークに接続され前記マガジンのID毎に前記フィルムの特性又は使用状況によって変化する個体情報を保存するサーバーと、前記ネットワークに接続され前記画像撮影装置からの撮影データが入力されるとともに任意の前記マガジンが装着される画像形成装置とを備え、前記画像形成装置が、装着された前記マガジンのIDを検出する検出手段を有し、前記マガジンのIDに対応する個体情報を前記サーバーに対して読み書き可能な機能を有することを特徴とするネットワーク接続型画像形成装置のマガジン管理システム。
【0010】
このネットワーク接続型画像形成装置のマガジン管理システムによれば、ネットワーク上で接続される複数台の画像形成装置のうち、任意の一台において、装着された任意のマガジンに対してアクセスがなされると、その内容が画像形成装置からネットワークを介してサーバーへと書き込まれる。そして、当該マガジンが脱着され、同じネットワーク上で接続された他の画像形成装置に、当該マガジンが装着されると、当該他の画像形成装置からネットワークを介してサーバーへと当該マガジンの情報が読み込まれることで、任意の画像形成装置において、任意のマガジンにおけるフィルム状態の最新情報が把握可能となる。
【0011】
(2)前記個体情報が、前記画像形成装置から伝達された残枚数であることを特徴とする(1)項記載のネットワーク接続型画像形成装置のマガジン管理システム。
【0012】
このネットワーク接続型画像形成装置のマガジン管理システムによれば、残量が僅かであることを、例えば画像形成装置の表示部等に報知する等の警告が可能となり、突然の用紙切れを防止することが可能となる。また、これにより、迅速な手配が可能となり、在庫切れによる画像形成作業の長期中断が確実に防止される。
【0013】
(3)前記個体情報が、前記画像形成装置から伝達されたフィルム取り出し開始日時であることを特徴とする(1)項記載のネットワーク接続型画像形成装置のマガジン管理システム。
【0014】
このネットワーク接続型画像形成装置のマガジン管理システムによれば、例えば同一サイズのフィルムを収容した画像形成装置用フィルムマガジンが複数存在する場合に、フィルム取り出し開始日時の最も早い画像形成装置用フィルムマガジンから使用することが可能となり、フィルムの経時劣化を防止することが可能となる。
【0015】
(4)前記個体情報が、前記画像形成装置から伝達された最終使用日時であることを特徴とする(1)項記載のネットワーク接続型画像形成装置のマガジン管理システム。
【0016】
このネットワーク接続型画像形成装置のマガジン管理システムによれば、最終使用日時から現在までの経過日数が把握可能となり、フィルムの劣化状況や、直前使用フィルムであるか否かの把握が可能となり、作業確認が用意となる。
【0017】
(5)前記個体情報が、前記画像形成装置から伝達された濃度補正データであることを特徴とする(1)項記載のネットワーク接続型画像形成装置のマガジン管理システム。
【0018】
このネットワーク接続型画像形成装置のマガジン管理システムによれば、当該画像形成装置用フィルムマガジンが、画像形成装置に装着された際、当該濃度補正データが読み込まれることで、画像形成装置が再度の濃度補正を行うことなく、同一の濃度補正データに基づき、濃度補正を行うことが可能となる。
【0019】
(6)前記個体情報が、前記画像形成装置から伝達されたエラー情報であることを特徴とする(1)項記載のネットワーク接続型画像形成装置のマガジン管理システム。
【0020】
このネットワーク接続型画像形成装置のマガジン管理システムによれば、例えば当該画像形成装置用フィルムマガジンに対して同一のエラー情報が頻発する場合等では、マガジン本体へのフィルムの装填状況、収容されたフィルムの保存状態等の判断が容易に行えるようになる。
【0021】
(7)ネットワークを介してサーバーに接続された画像形成装置に対して着脱自在となった複数種類のマガジンを管理するネットワーク接続型画像形成装置のマガジン管理方法であって、フィルムをIDの設定されたマガジン内に収容し、前記フィルムの収容されたマガジンを前記画像形成装置に装着し、前記マガジンのIDを前記画像形成装置で読み取って前記サーバーに送信し、前記サーバーが保存する前記フィルムの特性又は使用状況によって変化する個体情報から前記IDに対応する個体情報を参照し、該参照された個体情報に応じて画像形成処理を行って、変更の生じた個体情報を前記画像形成装置から前記サーバーに送信し、前記サーバーが前記IDに対応する個体情報を更新することを特徴とするネットワーク接続型画像形成装置のマガジン管理方法。
【0022】
このネットワーク接続型画像形成装置のマガジン管理方法によれば、画像形成装置に装着されたマガジンからIDを読み取り、このIDをサーバーに問い合わせ、サーバーが保存するこのIDに対応する個体情報を画像形成装置に提供する。画像形成装置は、提供された個体情報に変更があれば、サーバーに変更内容を送信し、サーバーはその個体情報を更新する。これにより、サーバーに最新の個体情報が集積され、マガジン自体に個体情報を保存する必要はなくなる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るネットワーク接続型画像形成装置のマガジン管理システム及びマガジン管理方法によれば、画像形成装置がネットワークを介してサーバーに接続され、画像形成装置に着脱される複数のマガジンに識別手段が設けられ、マガジン毎のフィルムの使用状況によって変化する個体情報が、画像形成装置からネットワークを介してサーバーに対し読み書きされるので、ネットワーク上で接続される複数台の画像形成装置において、種々のフィルムをフィルム種ごとに収容する複数のマガジンを共用しながら、任意の画像形成装置においてフィルム状態の最新情報を知ることができる。この結果、ネットワーク上で接続される複数の画像形成装置において種々のマガジンを使用できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係るネットワーク接続型画像形成装置のマガジン管理システム及びマガジン管理方法の好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係るマガジン管理システムに用いられる画像形成装置の構成図、図2は画像形成装置に使用されるマガジンの蓋部材を開いた状態の外観斜視図である。
マガジン11が装着される画像形成装置100は、熱現像記録材料であるシートフィルム(フィルム)13の搬送方向順に、熱現像記録材料供給部Aと、画像露光部Bと、熱現像部Cと、冷却部Dとを備えており、また、各部間の要所に設けられフィルム13を搬送するための搬送手段と、各部を駆動し制御する電源/制御部Eとを備えている。
【0025】
また、画像形成装置100は、最下段に電源/制御部E、その上段に熱現像記録材料供給部A、さらにその上段に画像露光部Bと熱現像部Cと冷却部Dとを配置した構成となっており、画像露光部Bと熱現像部Cとを隣接させた配置としている。したがって、露光工程と熱現像工程を短い搬送距離内で行うことができ、フィルム13の搬送パス長を最短化し、1枚の出力時間を短縮することができるようになっている。また、1枚のフィルム13に対して露光工程と熱現像工程との両工程を同時に実施することが可能となる。
【0026】
フィルム13としては、熱現像感光材料又は感光感熱記録材料等を使用することができる。熱現像感光材料は、光ビーム(例えば、レーザビーム)によって画像を記録(露光)し、その後、熱現像して発色させる記録材料である。また、感光感熱記録材料は、光ビームによって画像を記録し、その後、熱現像して発色させるか、或いは、レーザビームのヒートモード(熱)によって画像を記録すると同時に発色させ、その後、光照射で定着する記録材料である。
【0027】
熱現像記録材料供給部Aは、フィルム13を一枚ずつ取り出して、フィルム13の搬送方向の下流に位置する画像露光部Bに供給する部分であり、例えば二つの装填部15,17と、各装填部にそれぞれ配置される枚葉機構19と、供給ローラ対21,23と、不図示の搬送ローラ及び搬送ガイドとを有して構成される。また、二段構成となっている各装填部15,17の内部には、異なる、例えば、B4サイズ、半切サイズ、六切りサイズ等のフィルム13,13が収容されたマガジン11,11がマガジン受けであるトレイ25,27内に収納され、各段に装填されたサイズや向きのフィルム13,13を選択的に使用できるようにしている。
【0028】
フィルム13は、シート状に加工され、通常、150枚等の所定単位の積層体(束)とされて、当て紙に収納された状態で、アルミニウム箔等の遮光袋内に包装される。これにより、フィルム13は、所定枚数がパッケージされたフィルム包装体として取り扱われる。そして、フィルム13は、遮光袋の一部に切込みが入れられ、端部に形成されたひれ部がマガジン11の外側に引き出されることにより、当て紙とともにマガジン11内に配置される。このような状態でフィルム13は熱現像記録材料供給部Aの各段に装填される。
【0029】
遮光袋の表面には、フィルム13のサイズ、枚数、感度、製造時期、製造場所、製造ロット番号、製造会社名等の識別情報を記録したバーコードと、バーコードによるこれらの識別情報に対応する数値データとが印刷されたバーコードラベルが貼着されている。
【0030】
画像露光部Bは、熱現像記録材料供給部Aから搬送されてきたフィルム13に対して光ビームLBを主走査方向に走査露光し、また、主走査方向に略直交する副走査方向(即ち、搬送方向)に搬送することで、所望の画像をフィルム13に記録して潜像を形成する。
【0031】
熱現像部Cは、走査露光後のフィルム13を搬送しながら昇温処理して、熱現像を行う。そして、冷却部Dにおいて現像処理後のフィルム13を冷却して、排出トレイ41に搬出する。
【0032】
ここで、熱現像記録材料供給部Aと画像露光部Bとの間の搬送路には幅寄せ機構43が設けられており、熱現像記録材料供給部Aから搬入されてきたフィルム13を、その幅方向端部を揃えた状態で画像露光部Bへ供給している。
【0033】
次に、画像露光部Bについて具体的に説明する。
画像露光部Bは、光ビーム走査露光によってフィルム13を露光する部位であり、熱現像材料の搬送面からのばたつきを防止しつつ搬送するばたつき防止機構を有した副走査搬送部(副走査手段)45と、走査露光部(レーザ照射手段)47とを備えている。走査露光部47は、別途用意された画像データに従ってレーザの出力を制御しつつ、このレーザを走査(主走査)させる。このときフィルム13を副走査搬送部45によって副走査方向に移動させる。
【0034】
副走査搬送部45は、照射するレーザ光の主走査ラインを挟んで、軸線がこの走査ラインに対して略平行に配置された2本の駆動ローラ49,51と、これら駆動ローラ49,51に対向して配置され、フィルム13を支持するガイド板53を備えている。ガイド板53は、各駆動ローラ49,51との間に挿入されるフィルム13を、並設されたこれら駆動ローラ同士間の外側で該駆動ローラ周面の一部に沿って撓ませて、駆動ローラ同士間でフィルム13の撓みによる弾性反発力を当接して受け止めるようにしている。
【0035】
この撓みによりフィルム13自身に弾性反発力が発生する。この弾性反発力により、フィルム13と駆動ローラ49,51との間に所定の摩擦力が生じ、駆動ローラ49,51からフィルム13へ確実に搬送駆動力が伝達されて、フィルム13が搬送されるようになる。従って、フィルム13の搬送面からのばたつき、即ち、上下方向のばたつきが確実に抑制される。この駆動ローラ同士間のフィルム13に向けてレーザ光を照射することで、露光位置ずれのない良好な記録が行えることになる。なお、駆動ローラ49,51は、図示しないモータ等の駆動手段の駆動力を、歯車やベルト等の伝達手段を介して受け、図1の時計回り方向へ回転するようになっている。
【0036】
次に、熱現像部Cについて説明する。
熱現像部Cは、熱処理を適用されるタイプの被熱処理熱現像記録材料を加熱するものであり、構成としては、フィルム13を処理するのに必要な温度となる加熱体としての熱現像記録材料の移送方向に並ぶ複数のプレートヒータ55,57,59を湾曲させ、かつ、これらプレートヒータ55,57,59を一連の円弧状配置としている。
【0037】
即ち、これらプレートヒータ55,57,59を含む熱現像部Cの構成としては、図示されるように、各プレートヒータに凹面を設け、フィルム13をプレートヒータの凹面に対して接触させつつ滑らせて、相対的に移動させる。このときのフィルム13の移送手段として、供給ローラ61と、各プレートヒータからフィルム13への伝熱用でもある複数の押さえローラ63と、を配設している。
【0038】
押さえローラ63は、歯車65に噛合して歯車65の回転に従動して回転駆動される。これら押さえローラ63としては、金属ローラ、樹脂ローラ、ゴムローラ等が利用できる。この構成により、搬送されるフィルム13がプレートヒータ55,57,59に押し付けられつつ搬送されるので、フィルム13の座屈が防止される。なお、上記の湾曲プレートヒータは一例であり、この他、加熱手段としては平坦なプレートヒータや加熱ドラム等を用いる構成であってもよい。
【0039】
熱現像部C内におけるフィルム13の搬送路の終端には、フィルム13を移送する排出ローラ67が配設されている。そして、熱現像部Cから搬出されたフィルム13は、冷却部Dによってシワが発生しないように、かつ湾曲ぐせが付かないように注意しながら冷却される。冷却部Dから排出されたフィルム13は搬送路途中に設けられた冷却ローラ対69によりガイドプレート71内に案内され、さらに、排出ローラ対73から排出トレイ41に排出される。
【0040】
このように冷却部D内には、複数の冷却ローラ対69がフィルム13の搬送経路に所望の一定曲率Rを与えるように配置されている。これは、フィルム13がその材料のガラス転移点以下に冷却されるまで一定の曲率Rにより搬送されるということであり、このように意図的に熱現像記録材料に曲率を付けることで、ガラス転移点以下に冷却される前に余計なカールが付かなくなり、ガラス転移点以下となれば、新たなカールが付くこともなく、カール量がばらつかない。
【0041】
また、冷却ローラ自体及び冷却部Dの内部雰囲気を温度調節している。このような温度調節は、熱処理装置の立ち上げ直後と十分にランニングを行った後との状態をなるべく同様なものにし、濃度変動を小さくすることができる。
【0042】
排出トレイ41の上方にはソーター機構75が取り付けられ、ソーター機構75はガイドプレート71から搬送されたフィルム13を、排出ローラ対73の直前で任意に振り分け可能としている。
【0043】
排出トレイ41近傍の装置最上部には、画像形成装置100の動作状態や所望の作業指示を行うための表示部77と、画像形成装置100に対してデータを入力するためのデータ入力部78とが配設される。また、画像形成装置100には、遮光袋に貼着されたバーコードラベルに記録される識別情報を読み取るための装置外バーコードリーダ79が接続される。
【0044】
画像形成装置100は、電源/制御部Eが、所定の位置に配置された始動スイッチSWのオン操作により電源投入される。制御部Eには、表示部77、データ入力部78、バーコードリーダ79がそれぞれ接続される。また、制御部Eは、枚葉機構19と、フィルムを画像形成装置100内で搬送する搬送路ガイド機構21,23,49,51とを制御する。さらに、制御部Eは、熱現像部Cの加熱ヒータ55,57,59等の熱現像手段を制御する。また、制御部Eには、バーコードリーダ79によって読み取られた識別情報を記憶するデータ記憶部が接続されている。
【0045】
次に、図2を参照して、マガジン11について詳細に説明する。
図2はマガジンの蓋部材を開いた状態での外観斜視図である。
マガジン11は開口81を有するマガジン本体83と、マガジン本体83の開口81を開閉自在に覆う蓋部材85とを有して構成されている。マガジン11は、画像形成装置100に2個収納されるいずれもが同一構造であるために、ここでは、それらの内の一つについてのみ説明する。
【0046】
マガジン本体83は、四方を囲んで配置されていて上方に開口81が形成された側板87,89,91,93と、底板95とを有して有底の箱形を呈している。マガジン本体83の側板91には、このマガジン11を画像形成装置100に収納、及び取り出す際に把持するハンドル97が取り付けられている。ハンドル97は可倒式になっており、画像形成装置100内では畳まれて収容される。また、側板91には、閉蓋された蓋部材85をロックするためのロックノブ99が設けられている。
【0047】
さらに、マガジン本体83の底板95には、両側板91,93の内側に、フィルム13が装填された際に、当て紙を支持する二対のガイド101,103が配置されている。また、底板95の遮光袋の引き出し側である図中の右方端寄りに、扱きローラ対を構成する一方の扱きローラ105が回転自在に軸支されている。
【0048】
蓋部材85は、基端側がマガジン本体83の端部にヒンジ部材107によってヒンジ接続されている。また、蓋部材85には、画像形成装置100に収納された後に開口状態とされるフィルム引き出し孔109が、マガジン11の長手方向に沿って形成されている。そして、蓋部材85には、マガジン本体83のロックノブ99に対応した側部にキャッチャ111が取り付けられている。そしてさらに、蓋部材85には、遮光袋の引き出し側である一方の扱きローラ105に対向する位置寄りに、他方の扱きローラ113を回転自在に軸支して配置している。なお、マガジン本体83側の一方の扱きローラ105と、蓋部材85側の他方の扱きローラ113とからなるローラ対は、一対に限らず、二対以上の複数対設けた構成であっても良い。
【0049】
マガジン本体83には、マガジン11の識別手段としての無線タグ(RFID等)121が貼着されている。また、マガジン装填部15,17には、マガジン11の無線タグ121と情報の交信を行う無線通信器122A,122Bがそれぞれ配設されている。無線タグ121には、例えばバーコードリーダ79により読み取った情報の一部が無線通信器122A,122Bを介して記録される。また、画像形成装置100とは別の場所で行うことでもよい。この記録される情報には、例えばマガジン11内に収容されたフィルムの種類を特定するID(識別番号)等が挙げられる。つまり、マガジン11をトレイ25,27に装填したときに、無線通信器122A,122Bがマガジン11の無線タグ121の情報を読み込み、得られた情報(IDを含む)から、その装填されたマガジン11内の種類を特定する。
【0050】
上記の無線タグ121の代わりに、機械的な識別手段を設けても良い。
図3はマガジンに設けられる識別手段と画像形成装置の検出手段を表した説明図、図4は検出情報のパターンによって識別が可能となるマガジン種の例を表す説明図である。
図3(a)に示すように、マガジン11には識別手段である例えばピン形状の3つのドグ124(124a,124b,124c)が設けられ、それぞれのドグ124a,124b,124cは着脱自在或いは突出方向に進退自在となっている。一方、マガジン11,11の装填部15,17には、ドグ124a,124b,124cのそれぞれを検出する検出手段であるセンサ126(126a,126b,126c)が設けられている。図3(b)に示すように、センサ126a,126b,126cは、マガジン11,11が装填部15,17に装填されることで、近接するそれぞれのドグ124a,124b,124cの検出を可能としている。
【0051】
ドグ124a,124b,124cは、上記したようにそれぞれの進退が自在に設定される。したがって、この場合の画像形成装置100は、進退されるドグ124a,124b,124cの組合せパターンをセンサ126a,126b,126cが検出し、その検出情報を制御部Eが判別処理することで、図4に示す7種のマガジン11の識別が可能となる。
【0052】
次に、上記画像形成装置100をネットワークに接続し、マガジンを管理しながら画像形成を行う処理内容を説明する。
図5は画像撮影装置、画像形成装置及びサーバーの接続されるネットワークの構成図である。
画像形成装置100は、LAN(ローカルエリアネットワーク)等のネットワーク125によって接続される。また、このネットワーク125には、画像撮影装置等(例えばMRIやCT等)である複数のモダリティ127a,127bと、マガジン情報テーブル129aをメモリに記憶して読み書き自在とするサーバー129とが接続されている。画像形成装置100には、各モダリティ127a,127bからの撮影データがDICOM規格等の規定フォーマットで入力可能となっている。ネットワーク125に接続される画像形成装置100は、複数台であってもよい。本発明では、このネットワーク125に接続される画像形成装置100において、複数のマガジン11の共用を可能としている。画像形成装置100は、マガジン11毎のフィルム13の使用状況によって変化する個体情報を、制御部Eによって、サーバー129へ読み書き可能にしている。
【0053】
制御部Eには不図示の用紙カウンタが接続され、マガジン11から取り出した用紙数をカウントする。制御部Eは、バーコードリーダ79によって読み込んだ初期のフィルム13の枚数から、用紙カウンタにてカウントした使用枚数を減算して現在収容枚数を演算する。制御部Eは、この現在収容枚数を、交信手段を介して、ネットワーク125に接続されたサーバー129のマガジン情報テーブル129aへと書き込む。サーバー129へ格納された当該個体情報には、マガジン11の無線タグ121(或いはドグ124)によって設定されたIDでイニシャライズされる。したがって、この個体情報は、マガジン11のIDを指定することで、任意の画像形成装置100から読み込み可能となっている。つまり、どの画像形成装置100にどのマガジン11が装着されても、そのマガジン11の個体情報である現在収容枚数(残枚数)等が把握可能となっている。
【0054】
次に、ネットワーク125上における画像形成装置100のマガジン管理方法を説明する。
図6はマガジン装着時のマガジン管理方法の手順を表すフローチャートである。
まず、フィルム13の新規装填時には、画像形成装置100の所望の装填部15,17からマガジン11を取り出す。次いで、取り出したマガジン11にフィルム13を充填する。この際、マガジン11,11の無線タグ121(或いはドグ124)を所定の値に設定しておく。これにより、当該マガジン11の装着時に、無線通信器122A,122BによってマガジンIDの特定が可能となる。
【0055】
マガジン11は、蓋部材85を開蓋状態にし、マガジン本体83の底板95上にフィルム包装体を載置する。このとき、遮光袋のひれ部がマガジン本体83の一方の扱きローラ105上に載せられる。次に、蓋部材85を閉蓋状態にする。扱きローラ対は、上側の扱きローラ113の軸と下側の扱きローラ105の軸との位置が蓋部材85の開閉方向に一致しておらず、遮光袋のひれ部が閉蓋時に殆ど抵抗無く挟み込まれ、蓋部材85が浮き上がることはない。
【0056】
蓋部材85が閉蓋された後に、遮光袋のひれ部を扱きローラ対から引き出す。このとき、下側の扱きローラ105は、ひれ部の動きによってひれ部の引き出し方向にスライドされ、図示しないストッパに当接する位置、即ち、上側の扱きローラ113の軸と開閉方向に略一致する位置に移動する。これにより、扱きローラ対同士間の間隔が狭くなり、遮光袋を強く扱いて小さく纏めることができる。
【0057】
以上により遮光袋が取り除かれたフィルム13があて紙とともにマガジン11内に残されてフィルム13の装填が完了する。次いで、マガジン11を画像形成装置100へ装着する。次いで、遮光袋に設けられたバーコードラベルを、バーコードリーダ79によって読み取る。読み取られたバーコードの情報は、画像形成装置100のデータ記憶部に記憶される。この情報としては、上記したフィルム13のサイズ、枚数、感度、製造時期、製造場所、製造ロット番号、製造会社名等の識別情報が挙げられる。これらの用紙情報は、画像形成装置100から交信手段を介してネットワーク125上に接続されるサーバー129のマガジン情報テーブル129aへと書き込まれる。
【0058】
一方、フィルム13の新規装填時でない場合には、図6に示すように、マガジン11がトレイ25,27へ差し込まれると(st1)、無線通信器が無線タグからの信号を検出し、或いは、センサ126a,126b,126cがドグ124a,124b,124cを検出し、マガジン11のIDが制御部Eによって識別される(st2)。画像形成装置100の制御部Eは、このIDに基づき、該当するマガジン11の情報をサーバー129へ問い合わせる(st3)。
【0059】
制御部Eは、サーバー129から読み込んだマガジンIDに対応する個体情報であるマガジン情報を、表示部77に表示する(st4)。ここで、差し込まれたマガジン11の正否が判断され(st5)る。正しいマガジン11であれば、サーバー129から送信されたマガジン情報を画像形成装置100に設定する(st7)。一方、差し込まれたマガジン11が所望のものでない場合には、マガジン11を抜き取り(st6)、所望のものに交換する。以降、同様の手順の後、記録条件が設定された後、画像形成装置100が記録を開始する(st8)。
【0060】
図7はマガジン抜き取り時のマガジン管理方法の手順を表すフローチャートである。
記録が終了し(st21)、装填部15,17におけるマガジン11の装填ロック手段が解除されると(st22)、制御部Eが当該解除信号を検出し、現在のマガジン11におけるマガジン情報、例えば残枚数等の情報を、ネットワーク125を介してサーバー129のマガジン情報テーブル129aへと更新書き込みする(st23)。それと同時に、ユーザーはトレイ25,27からマガジン11を引き抜くことが可能となる(st24)。
【0061】
これにより、マガジン11は、画像形成装置100から抜き取られても、サーバー129に常に現在収容枚数が記憶されて管理される。即ち、サーバー129には、フィルム13の使用状況によって変化するマガジン情報(個体情報)が記憶され、その個体情報が、マガジン11の装着・取り外しの都度に更新記録される。したがって、任意のマガジン11において、フィルム13の最新情報が把握可能となる。この結果、残量が僅かであることを、例えば画像形成装置100の表示部77部等に報知する等の警告が可能となり、突然の用紙切れを防止することが可能となる。また、用紙切れ間近のタイミングで報知を行うことで、迅速な用紙手配が可能となり、在庫切れによる画像形成作業の長期中断が確実に防止される。
【0062】
本実施の形態では、個体情報がフィルム13の残枚数である場合を例に説明するが、個体情報は、フィルム取り出し開始日時であってもよい。この場合、例えば同一サイズのフィルム13を収容したマガジン11が複数存在する場合に、フィルム取り出し開始日時の最も早いマガジン11から使用することが可能となり、フィルム13の経時劣化を防止することが可能となる。
【0063】
また、個体情報は、最終使用日時であってもよい。この場合、最終使用日時から現在までの経過日数が把握可能となり、フィルム13の劣化状況や、直前使用フィルムであるか否かの把握が可能となり、作業確認が用意となる。
【0064】
また、個体情報は、濃度補正データであってもよい。この場合、当該マガジン11が、画像形成装置100に装着された際、当該濃度補正データが読み込まれることで、画像形成装置100が再度の濃度補正を行うことなく、同一の濃度補正データに基づき、濃度補正を行うことが可能となる。
【0065】
さらに、個体情報は、エラー情報であってもよい。この場合、例えば当該マガジン11に対して同一のエラー情報が頻発する場合等では、マガジン本体へのフィルム13の装填状況、収容されたフィルム13の保存状態等の判断が容易に行えるようになる。
【0066】
したがって、本実施の形態によるネットワーク上画像形成装置のマガジン管理システムによれば、画像形成装置100がネットワーク125を介してサーバー129に接続され、画像形成装置100に着脱される複数のマガジン11に無線タグ121、(或いはドグ124a,124b,124c)が設けられ、マガジン11ごとのフィルム13の特性又は使用状況によって変化する個体情報が、画像形成装置100からネットワーク125を介してサーバー129に対し読み書きされる。これにより、ネットワーク125上で接続される複数台の画像形成装置100において、種々のフィルム13をフィルム種毎に収容する複数のマガジン11を共用しながら、任意の画像形成装置100においてフィルム状態の最新情報を知ることができる。この結果、ネットワーク125上で接続される複数の画像形成装置100において種々のマガジン11を使用して、効率よく画像形成処理が行える。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明に係るマガジン管理システムに用いられる画像形成装置の構成図である。
【図2】画像形成装置に使用されるマガジンの蓋部材を開いた状態の外観斜視図である。
【図3】マガジンに設けられる識別手段と画像形成装置の検出手段を表した説明図である。
【図4】検出情報のパターンによって識別が可能となるマガジン種の例を表す説明図である。
【図5】画像撮影装置、画像形成装置及びサーバーの接続されるネットワークの構成図である。
【図6】マガジン装着時のマガジン管理方法の手順を表すフローチャートである。
【図7】マガジン抜き取り時のマガジン管理方法の手順を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0068】
11 マガジン
13 フィルム
79 バーコードリーダ(バーコード読み取り装置)
100 画像形成装置
121 無線タグ(識別手段)
122 無線通信機(検出手段)
124a,124b,124c ドグ(識別手段)
126a,126b,126c センサ(検出手段)
125 ネットワーク
127a,127b モダリティ(画像撮影装置)
129 サーバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介してサーバーに接続された画像形成装置に対して、着脱自在となった複数種類のマガジンを管理するネットワーク接続型画像形成装置のマガジン管理システムであって、
ネットワークに接続される画像撮影装置と、
種々のフィルム毎に該フィルムを収容する複数のマガジンと、
前記マガジンのそれぞれに設定されるIDが読み取り可能に前記マガジンに設けられた識別手段と、
前記ネットワークに接続され前記マガジンのID毎に前記フィルムの特性又は使用状況によって変化する個体情報を保存するサーバーと、
前記ネットワークに接続され前記画像撮影装置からの撮影データが入力されるとともに任意の前記マガジンが装着される画像形成装置とを備え、
前記画像形成装置が、装着された前記マガジンのIDを検出する検出手段を有し、前記マガジンのIDに対応する個体情報を前記サーバーに対して読み書き可能な機能を有することを特徴とするネットワーク接続型画像形成装置のマガジン管理システム。
【請求項2】
前記個体情報が、前記画像形成装置から通知された残枚数であることを特徴とする請求項1記載のネットワーク接続型画像形成装置のマガジン管理システム。
【請求項3】
前記個体情報が、前記画像形成装置から通知されたフィルム取り出し開始日時であることを特徴とする請求項1記載のネットワーク接続型画像形成装置のマガジン管理システム。
【請求項4】
前記個体情報が、前記画像形成装置から通知された最終使用日時であることを特徴とする請求項1記載のネットワーク接続型画像形成装置のマガジン管理システム。
【請求項5】
前記個体情報が、前記画像形成装置から通知された濃度補正データであることを特徴とする請求項1記載のネットワーク接続型画像形成装置のマガジン管理システム。
【請求項6】
前記個体情報が、前記画像形成装置から通知されたエラー情報であることを特徴とする請求項1記載のネットワーク接続型画像形成装置のマガジン管理システム。
【請求項7】
ネットワークを介してサーバーに接続された画像形成装置に対して着脱自在となった複数種類のマガジンを管理するネットワーク接続型画像形成装置のマガジン管理方法であって、
フィルムをIDの設定されたマガジン内に収容し、
前記フィルムの収容されたマガジンを前記画像形成装置に装着し、
前記マガジンのIDを前記画像形成装置で読み取って前記サーバーに送信し、
前記サーバーが保存する前記フィルムの特性又は使用状況によって変化する個体情報から前記IDに対応する個体情報を参照し、
該参照された個体情報に応じて画像形成処理を行って、変更の生じた個体情報を前記画像形成装置から前記サーバーに送信し、
前記サーバーが前記IDに対応する個体情報を更新することを特徴とするネットワーク接続型画像形成装置のマガジン管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−79199(P2007−79199A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−268002(P2005−268002)
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】