説明

ネットワーク管理システム、管理対象装置及びそれらに用いる管理制御方法

【課題】 SNMPによる状態/パラメータ変更機能の実装を容易に行うことが可能なネットワーク管理システムを提供する。
【解決手段】 ネットワーク管理システムは、SNMP非対応で、コマンドラインの命令入力手段であるCLIを持つ既存のCLI処理手段を備えた管理対象装置(SNMPエージェント装置1)を含む。管理対象装置(SNMPエージェント装置1)は、SNMPを用いてCLIと同等の情報量の送受信を行う管理制御インタフェース(SNMPエージェント部11)を有する。管理対象装置においては、装置状態及びパラメータのMIBツリー(装置状態ツリー142及びパラメータツリー143)とは別に、CLIのコマンドをMIBツリー(コマンドツリー141)として構築し、当該MIBツリーをSNMPマネージャ(2)からSet Requestにより操作している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はネットワーク管理システム、管理対象装置及びそれらに用いる管理制御方法に関し、特にSNMP(Simple Network Management Protocol)非対応で、CLI(Command Line Interface:コマンドラインインタフェース)を持つ既存装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に関連するネットワーク管理システムにおいては、SNMPによるネットワーク監視を行う場合、IP(Internet Protocol)ネットワーク上に一つまたは複数の管理ステーション(SNMPマネージャ)と、複数の被管理対象(SNMPエージェント)とを配置している。
【0003】
上記のネットワーク管理システムでは、これら管理ステーションと複数の被管理対象との間で情報の受け渡しを行い、ネットワーク管理に必要な構成管理、障害管理、性能管理を実現している(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0004】
上記のSNMPでは、装置内部の処理がSNMPエージェントとして動作することを前提として設計された装置でなければ、装置内パラメータの追加/変更、処理中の経過状態表示、処理動作の競合、処理結果の通知等、適切に実施することが難しい。
【0005】
特に、内部にリレーショナルデータベースを持つような、複数のパラメータが関係性を持って複雑に変動したり、パラメータの数自体が動的に変動するような装置(管理対象装置)では、SNMPでのパラメータ操作ではCLIで行えたような値の正常性確認のチェック機構が利用できなかったり、チェック後の結果をユーザに十分な情報量として適切に示すことが難しい。
【0006】
また、上記のような管理対象装置では、パラメータの数自体をSNMPマネージャが知るための処理(Get Next RequestやGet Bulk Request等)で負荷が高くなる等、実装上の困難が多々存在する。
【0007】
さらに、上記のような管理対象装置では、SNMPの場合、SNMPマネージャよりSNMPエージェントが処理を要求されて、その処理が終わったかどうかをユーザがリアルタイムに把握するための方法がプロトコルとしては存在しない。CLIであれば、コマンドプロンプトが画面に表示されることで、処理の終了がユーザに分かるところを、SNMPエージェント側から通知するか、またはユーザが逐一確認のための操作を実施するという仕組みが通常必要である。
【0008】
【特許文献1】特開2000−286879号公報
【特許文献2】特開2005−122563号公報
【特許文献3】特開2005−157903号公報
【特許文献4】特開2007−267068号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そのため、本発明に関連するネットワーク管理システムでは、既存のtelnet等のCLIによる装置管理を前提としてSNMPエージェントとしての操作を想定していなかった装置を、CLIからSNMPのみのインタフェースとして改修する場合に、SNMPエージェントとしての設計をゼロから構築する必要がある。
【0010】
そこで、本発明の目的は上記の問題点を解消し、SNMPによる状態/パラメータ変更機能の実装を容易に行うことができるネットワーク管理システム、管理対象装置及びそれらに用いる管理制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によるネットワーク管理システムは、SNMP(Simple Network Management Protocol)非対応で、コマンドラインの命令入力手段であるCLI(Command Line Interface)を持つ既存のCLI処理手段を備えた管理対象装置を含むネットワーク管理システムであって、
前記管理対象装置は、前記SNMPを用いて前記CLIと同等の情報量の送受信を行う管理制御インタフェースを備え、
前記管理対象装置に、装置状態及びパラメータのMIB(Management Information Base)ツリーとは別に、前記CLIのコマンドを前記MIBツリーとして構築し、
当該MIBツリーをSNMPマネージャから指定したオブジェクトの情報変更を要求するメッセージであるSet Requestにより操作している。
【0012】
本発明による管理対象装置は、SNMP(Simple Network Management Protocol)非対応で、コマンドラインの命令入力手段であるCLI(Command Line Interface)を持つ既存のCLI処理手段を備えた管理対象装置であって、
前記SNMPを用いて前記CLIと同等の情報量の送受信を行う管理制御インタフェースを備え、
装置状態及びパラメータのMIB(Management Information Base)ツリーとは別に、前記CLIのコマンドを前記MIBツリーとして構築し、
当該MIBツリーをSNMPマネージャから指定したオブジェクトの情報変更を要求するメッセージであるSet Requestにより操作している。
【0013】
本発明による管理制御方法は、SNMP(Simple Network Management Protocol)非対応で、コマンドラインの命令入力手段であるCLI(Command Line Interface)を持つ既存のCLI処理手段を備えた管理対象装置を含むネットワーク管理システムに用いる管理制御方法であって、
前記管理対象装置に、前記SNMPを用いて前記CLIと同等の情報量の送受信を行う管理制御インタフェースを設け、
前記管理対象装置に、装置状態及びパラメータのMIB(Management Information Base)ツリーとは別に、前記CLIのコマンドを前記MIBツリーとして構築し、
当該MIBツリーをSNMPマネージャから指定したオブジェクトの情報変更を要求するメッセージであるSet Requestにより操作している。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、上記のような構成及び動作とすることで、既存のCLI処理を最大限に生かすことでSNMPによる状態/パラメータ変更機能の実装を容易に行うことができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。まず、本発明による管理制御方法について説明する。本発明は、SNMP(Simple Network Management Protocol)非対応で、CLI(Command Line Interface:コマンドラインインタフェース)を持つ既存装置(管理対象装置)のSNMPエージェント化による管理制御方法に関する。
【0016】
本発明は、CLIで操作することが前提として作られている装置(管理対象装置)に対して、SNMPを用いてCLIと同等の情報量の送受信を行い、ユーザにCLIと同等の管理制御インタフェースを提供することを特徴としている。
【0017】
本発明では、装置状態やパラメータのMIB(Management Information Base)ツリーとは別に、CLIのコマンドをMIBツリーとして構築し、それをSNMPマネージャからSet Request[指定したOID(Object IDentifier)のオブジェクトの情報変更を要求するメッセージ]により操作することでコマンドライン相当の命令入力手段を確保する。
【0018】
SNMPエージェント化した管理対象装置(以下、SNMPエージェント装置とする)は、既存のCLI処理部にSNMPエージェント部が受信した情報をCLI入力情報に変換して渡し、以降は既存のCLI処理部と同様の処理を実行する。また、本発明では、その処理の結果応答としてResponse(マネージャからの要求に対する応答)とTrap[自発的に状態(変更)を通知]とを利用することでリアルタイムな結果の通知とエラー時にユーザへ提供する情報量を確保する。
【0019】
図1は本発明の実施の形態によるネットワーク管理システムの構成例を示すブロック図である。図1において、本発明の実施の形態によるネットワーク管理システムは、SNMPエージェント装置(管理対象装置)1と、SNMPマネージャ装置2とから構成されている。
【0020】
また、図1においては、特にSNMPエージェント装置1の機能構成例を示している。すなわち、SNMPエージェント装置1は、SNMPエージェント部11と、CLI処理部12と、内部データベース13と、MIBツリー14と、コマンドレスポンス15とから構成されている。
【0021】
SNMPエージェント部11は、ネットワーク上の対向装置であるSNMPマネージャ装置2からのSNMPメッセージを受信して処理する機能部である。CLI処理部12は、既存のコマンドラインからの入力を処理する機能部である。また、CLI処理部12は、コマンドの同時実行の競合判定や、入力された値の正常性確認等も実施する。さらに、コマンドの実行結果の情報もここに集まる。
【0022】
内部データベース13は、既存の装置状態や各種データ、パラメータ等が一括で保存されている機能部であり、CLI処理部12からの指示を受けてその値を操作されていた機能部である。
【0023】
MIBツリー14には、大きく分けて、コマンドツリー141と、装置状態ツリー142と、パラメータツリー143との3つのツリーが存在する。コマンドツリー141は、SNMPエージェント装置1に、本来実装されていたコマンドを木構造として配置しなおしたもので、コマンドと1対1に対応するMIBツリーである。
【0024】
装置状態ツリー142は、SNMPエージェント装置1の様々な状態情報を木構造として配置できるもののみを配置しなおしたもので、例えばEther(登録商標)ポートのリンクアップ/ダウン等、SNMPエージェント装置1が持つ状態と1対1で対応するMIBツリーである。
【0025】
パラメータツリー144は、SNMPエージェント装置1の動作に必要なデータを木構造として配置できるもののみを配置しなおしたもので、パラメータと1対1で対応するMIBツリーである。装置状態/パラメータに関しては、MIBツリー14として表現できないものはMIBツリー化しない。
【0026】
コマンドレスポンス15は、SNMPとCLIコマンドとの変換テーブルの一種である。パラメータツリー143や装置状態ツリー142に表せないような情報を設定/確認する場合は、コマンドツリー141やコマンドレスポンス15を利用する。
【0027】
図2は本発明の実施の形態によるSNMPマネージャ装置2から要求された処理の正常終了するパターンの処理フローを示すシーケンスチャートである。図1及び図2を参照して、図1の構造を持つSNMPエージェント装置1をSNMPメッセージを利用してCLIと同等の動作を実現する方法について説明する。
【0028】
SNMPマネージャ装置2は、コマンドツリー141へのSet RequestのメッセージをSNMPエージェント装置1に送信する(図2のa1)。SNMPエージェント装置1のSNMPエージェント部11は、このメッセージを受信すると、該当するコマンドツリー141を、実行中を表す値に変更する(図2のa2,a3)。
【0029】
その上で、SNMPエージェント部11は、受信したSet Requestのメッセージに対応するコマンド情報をコマンド実行要求としてCLI処理部12へ渡す(図2のa4)。
【0030】
CLI処理部12は、既存のコマンド入力と同様に、装置状態や内部データベース13の変更を実施する(図2のa5,a6)。CLI処理部12は、その結果に応じて、SNMPエージェント部11に装置状態ツリー142及びパラメータツリー143の変更要求を出す(図2のa7)。
【0031】
SNMPエージェント部11は、装置状態ツリー142及びパラメータツリー143の変更が正常に終了すると(図2のa8,a9)、最初に変更したコマンドツリーを非実行状態を表す値に変更し(図2のa10,a11)、SNMPマネージャ装置2に処理正常終了を表すResponseメッセージ(NoError)を送信する(図2のa12)。
【0032】
以上の基本動作によって、SNMPマネージャ装置2は、コマンド実行状態をコマンドツリー141の確認で、コマンドの実行結果をResponseメッセージで知ることが可能となる。
【0033】
SNMPエージェント装置1での処理終了後は、変更された装置状態及びパラメータをそれぞれのMIBツリー14で確認することができる。また、MIBツリー14に表すことができなかった装置状態及びパラメータについてのSNMPマネージャ装置2からの確認は、CLI処理時に存在した状態表示コマンド及びパラメータ表示コマンドに相当するSet Requestのメッセージに対するResponseメッセージ内に、文字列を返すための特定のインスタンスを指定して、そこにCLI処理で返していた文字列と同等の情報を記載することで確認可能としている。
【0034】
図3は本発明の実施の形態によるSNMPマネージャ装置2から要求された処理が値不正等の理由でSNMPエージェント装置1で実行開始前にエラーとして処理されるパターンの処理フローを示すシーケンスチャートである。これら図1及び図3を参照して上記のパターンの処理フローについて説明する。
【0035】
SNMPマネージャ装置2は、コマンドツリー141へのSet RequestのメッセージをSNMPエージェント装置1に送信する(図3のb1)。SNMPエージェント装置1のSNMPエージェント部11は、このメッセージを受信すると、該当するコマンドツリー141を、実行中を表す値に変更する(図3のb2,b3)。
【0036】
その上で、SNMPエージェント部11は、受信したSet Requestのメッセージに対応するコマンド情報をコマンド実行要求としてCLI処理部12へ渡す(図3のb4)。
【0037】
CLI処理部12では、現在実行中の処理と、新たに要求されたコマンドとの同時実行競合の判定、または要求された処理に対する値の正常性確認を実行している。ここで、実行不可と判断されると、CLI処理部12は、SNMPエージェント部11に実行不可である旨を通知する(図3のb5〜b7)。
【0038】
また、実行可であった場合も、その後の内部データベース13の変更処理が正常に開始・終了できなかった場合も、上記と同様に、CLI処理部12は、SNMPエージェント部11に実行不可である旨を通知する。
【0039】
SNMPエージェント部11は、CLI処理部12からの実行結果が通知されると、最初に変更したコマンドツリー141を、非実行状態を表す値に変更し(図3のb9,b10)、SNMPマネージャ装置2に処理異常終了を表すResponseメッセージ(Error)を送信する(図3のb11)。また、SNMPエージェント部11は、異常終了した理由を詳細報告するためのTrapをSNMPマネージャ装置2に送信する(図3のb8)。
【0040】
図4は本発明の実施の形態によるSNMPマネージャ装置2から要求された処理がSNMPエージェント装置1のMIBツリー14と内部データベース13の内容とが不一致となるようなケースで異常終了する場合の処理フローを示すシーケンスチャートである。これら図1及び図4を参照して上記の場合の処理フローについて説明する。
【0041】
SNMPマネージャ装置2は、コマンドツリー141へのSet RequestメッセージをSNMPエージェント装置1に送信する(図4のc1)。SNMPエージェント装置1のSNMPエージェント部11は、このメッセージを受信すると、該当するコマンドツリー141を、実行中を表す値に変更する(図4のc2,c3)。その上で、SNMPエージェント部11は、受信したSet Requestに対応するコマンド情報をコマンド実行要求としてCLI処理部12へ渡す(図4のc4)。
【0042】
CLI処理部12は、既存のコマンド入力と同様に、装置状態や内部データベース13の変更を実施する(図4のc5,c6)。CLI処理部12は、その結果に応じて、SNMPエージェント部11に装置状態ツリー及びパラメータツリーの変更要求を出す(図4のc7)。
【0043】
SNMPエージェント部11は、装置状態ツリー及びパラメータツリーの変更を実施するが(図4のc8)、何らかの理由により異常終了すると(図4のc9)、内部データベース13の内容とMIBツリー14の内容とに不一致が生じる。
【0044】
SNMPエージェント部11は、MIBツリー14の更新の異常終了を検知すると、SNMPマネージャ装置2にTrapを送信する(図4のc10)。その後、SNMPエージェント部11は、最初に変更したコマンドツリー141を、非実行状態を表す値に変更し(図4のc11,c12)、SNMPマネージャ装置2に処理異常終了を表すResponseメッセージ(Error)を送信する(図4のc13)。
【0045】
図5は図1のSNMPエージェント装置1のMIBツリー14の一例を示す図である。図5を参照してMIBツリー14について説明する。
【0046】
図5のコマンドツリールート(1)は、SNMPマネージャ装置2がコマンド実行時に、ここ以下へSet Requestを行う。全て“1”のResponceが返れば、実行されたことが分かる。実行できなかった場合は、どこかの値が“0”で返る。
【0047】
図5のパラメータツリールート(2)及び装置状態ツリールート(3)は、通常、この2つのツリー以下を使って装置状態や各種パラメータを設定したり、確認したりするが、ここに表せないような情報を設定/確認する場合は、コマンドツリー141やコマンドレスポンスツリーを使う。
【0048】
図5のコマンドレスポンス(4)は、受けた操作の結果の文字列(これまでCLIで表示していた内容)を、常にここ以下に格納させることで、パラメータツリー143や装置状態ツリー142へ表せないような内容も表現することができる。
【0049】
例えば、set subscriber−line−testコマンドに相当するSet Request(1.3.6.1.4.1.X.1.1.2.……)を受けた結果として、ここ以下のインスタンス1つに付き1行分の表示文字列を格納する。
1.3.6.1.4.1.X.4.1
=Subscriber−Line−Test Result
1.3.6.1.4.1.X.4.2
============================
1.3.6.1.4.1.X.4.3
=Test−Type Result
1.3.6.1.4.1.X.4.4
=−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
1.3.6.1.4.1.X.4.5
=Resistance(A−B)
:1.23*10^2(ohm)
1.3.6.1.4.1.X.4.6
=Resistance(A−G)
:1.23*10^2(ohm)
1.3.6.1.4.1.X.4.7
=Resistance(B−G)
:1.23*10^2(ohm)
1.3.6.1.4.1.X.4.8
=Resistance−loop(A−B)
:1.23*10^2(ohm)



【0050】
ここをGet Requestすることで、CLI相当の情報量をSNMPマネージャ装置2から取得することができる。
【0051】
また、図5のコマンドツリールート(1)の下のset(2)は、コマンド処理実行中、末端まで経由するインスタンスの値を、全て“1”とする。処理終了したら“0”に戻す。こうしておくことで、SNMPマネージャ装置2からGet RequestをすることでSNMPエージェントで、今、何の処理が実行中であるかを把握することができる。
【0052】
このように、本実施の形態では、既存のCLI処理を最大限に生かすことで、SNMPによる状態/パラメータ変更機能の実装を容易に行うことができる。
【0053】
また、本実施の形態では、第2の効果は、MIBツリー14の大きさが動的に変動するような装置においても、内部データベース13の大きさをSNMPマネージャ装置2が意識することなく、SNMPエージェント装置1のCLI処理部12が既存で管理していた方式をそのまま利用することができ、Get Next RequestやGet Bulk Requestを利用せずにすみ、SNMPエージェント装置1の処理負荷を低く抑えることが可能となる。
【0054】
さらに、本実施の形態では、装置が管理する情報がMIBツリー14での表現形式に実装上そぐわない場合でも、CLIで実装されていた状態/パラメータ表示の仕組みをそのまま使うことで、MIBツリー化しなくても、SNMPマネージャ装置2からの確認が可能となる。
【0055】
さらにまた、本実施の形態では、処理結果の通知に、異常終了時はResponseメッセージのみでなく、Trapメッセージも付与することによって、詳細な異常終了の理由をSNMPマネージャ装置2に報告することができる。
【0056】
一方、本実施の形態では、コマンドツリー141の存在によって、実行中の処理がSNMPマネージャ装置2からGet Requestメッセージによって把握することができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、SNMPエージェント非対応で、かつCLIインタフェースを持ち、内部のデータ構造をMIBツリーとして表現/制御することが困難な装置において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施の形態によるネットワーク管理システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態によるSNMPマネージャ装置から要求された処理の正常終了するパターンの処理フローを示すシーケンスチャートである。
【図3】本発明の実施の形態によるSNMPマネージャ装置から要求された処理が値不正等の理由でSNMPエージェント装置で実行開始前にエラーとして処理されるパターンの処理フローを示すシーケンスチャートである。
【図4】本発明の実施の形態によるSNMPマネージャ装置から要求された処理がSNMPエージェント装置のMIBツリーと内部データベースの内容とが不一致となるようなケースで異常終了する場合の処理フローを示すシーケンスチャートである。
【図5】図1のSNMPエージェント装置のMIBツリーの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
1 SNMPエージェント装置
2 SNMPマネージャ装置
11 SNMPエージェント部
12 CLI処理部
13 内部データベース
14 MIBツリー
15 コマンドレスポンス
141 コマンドツリー
142 装置状態ツリー
143 パラメータツリー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
SNMP(Simple Network Management Protocol)非対応で、コマンドラインの命令入力手段であるCLI(Command Line Interface)を持つ既存のCLI処理手段を備えた管理対象装置を含むネットワーク管理システムであって、
前記管理対象装置は、前記SNMPを用いて前記CLIと同等の情報量の送受信を行う管理制御インタフェースを有し、
前記管理対象装置に、装置状態及びパラメータのMIB(Management Information Base)ツリーとは別に、前記CLIのコマンドを前記MIBツリーとして構築し、
当該MIBツリーをSNMPマネージャから指定したオブジェクトの情報変更を要求するメッセージであるSet Requestにより操作することを特徴とするネットワーク管理システム。
【請求項2】
前記管理対象装置は、受信した情報を前記既存のCLI処理手段にCLI入力情報に変換して渡すSNMPエージェント手段を含み、
前記既存のCLI処理手段が、前記CLI入力情報に対して既存のCLI処理と同様の処理を実行することを特徴とする請求項1記載のネットワーク管理システム。
【請求項3】
前記管理対象装置は、前記既存のCLI処理手段の処理の結果応答として前記SNMPマネージャからの要求に対する応答であるResponseと自発的に状態を通知するTrapとを利用することでリアルタイムな結果の通知とエラー時にユーザに対して提供する情報量の確保とを行うことを特徴とする請求項1または請求項2記載のネットワーク管理システム。
【請求項4】
前記管理対象装置は、前記SNMPと前記CLIのコマンドとの変換テーブルであるコマンドレスポンスを含み、
前記装置状態及びパラメータのMIBツリーに表せないような情報を設定/確認する場合に前記コマンドのMIBツリー及び前記コマンドレスポンスを利用することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか記載のネットワーク管理システム。
【請求項5】
SNMP(Simple Network Management Protocol)非対応で、コマンドラインの命令入力手段であるCLI(Command Line Interface)を持つ既存のCLI処理手段を備えた管理対象装置であって、
前記SNMPを用いて前記CLIと同等の情報量の送受信を行う管理制御インタフェースを有し、
装置状態及びパラメータのMIB(Management Information Base)ツリーとは別に、前記CLIのコマンドを前記MIBツリーとして構築し、
当該MIBツリーをSNMPマネージャから指定したオブジェクトの情報変更を要求するメッセージであるSet Requestにより操作することを特徴とする管理対象装置。
【請求項6】
受信した情報を前記既存のCLI処理手段にCLI入力情報に変換して渡すSNMPエージェント手段を含み、
前記既存のCLI処理手段が、前記CLI入力情報に対して既存のCLI処理と同様の処理を実行することを特徴とする請求項5記載の管理対象装置。
【請求項7】
前記既存のCLI処理手段の処理の結果応答として前記SNMPマネージャからの要求に対する応答であるResponseと自発的に状態を通知するTrapとを利用することでリアルタイムな結果の通知とエラー時にユーザに対して提供する情報量の確保とを行うことを特徴とする請求項5または請求項6記載の管理対象装置。
【請求項8】
前記SNMPと前記CLIのコマンドとの変換テーブルであるコマンドレスポンスを含み、
前記装置状態及びパラメータのMIBツリーに表せないような情報を設定/確認する場合に前記コマンドのMIBツリー及び前記コマンドレスポンスを利用することを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか記載の管理対象装置。
【請求項9】
SNMP(Simple Network Management Protocol)非対応で、コマンドラインの命令入力手段であるCLI(Command Line Interface)を持つ既存のCLI処理手段を備えた管理対象装置を含むネットワーク管理システムに用いる管理制御方法であって、
前記管理対象装置に、前記SNMPを用いて前記CLIと同等の情報量の送受信を行う管理制御インタフェースを設け、
前記管理対象装置に、装置状態及びパラメータのMIB(Management Information Base)ツリーとは別に、前記CLIのコマンドを前記MIBツリーとして構築し、
当該MIBツリーをSNMPマネージャから指定したオブジェクトの情報変更を要求するメッセージであるSet Requestにより操作することを特徴とする管理制御方法。
【請求項10】
前記管理対象装置が、受信した情報を前記既存のCLI処理手段にCLI入力情報に変換して渡すSNMPエージェント処理を実行し、
前記既存のCLI処理手段に、前記CLI入力情報に対して既存のCLI処理と同様の処理を実行させることを特徴とする請求項9記載の管理制御方法。
【請求項11】
前記管理対象装置が、前記既存のCLI処理手段の処理の結果応答として前記SNMPマネージャからの要求に対する応答であるResponseと自発的に状態を通知するTrapとを利用することでリアルタイムな結果の通知とエラー時にユーザに対して提供する情報量の確保とを行うことを特徴とする請求項9または請求項10記載の管理制御方法。
【請求項12】
前記管理対象装置に、前記SNMPと前記CLIのコマンドとの変換テーブルであるコマンドレスポンスを設け、
前記装置状態及びパラメータのMIBツリーに表せないような情報を設定/確認する場合に前記コマンドのMIBツリー及び前記コマンドレスポンスを利用することを特徴とする請求項9から請求項11のいずれか記載の管理制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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