説明

ネットワーク装置、電力供給システム、及び電力供給方法

【課題】負荷装置に対する電力供給を適切に行うこと。
【解決手段】ネットワーク装置は、選択部と、供給部とを備える。前記選択部は、一定量の電力を安定供給する第1電源、及び、自然エネルギーにより発電された電力を蓄電する蓄電部である第2電源の中から、負荷装置における遷移状態と該蓄電部における蓄電量とに応じて、該負荷装置に電力を供給する電源を選択する。前記供給部は、前記選択部により選択された前記第1電源又は前記第2電源から入力される電力を、ネットワークケーブルを介して前記負荷装置に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク装置、電力供給システム、及び電力供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、OA(Office Automation)機器には、OA機器が遷移する状態のひとつとして、電源を完全に切らずに一部の機能を動作させる状態(以下、適宜「待機状態」という)が設けられている。一般に、待機状態中の消費電力は通常状態より少なく、消費電力削減の効果が得られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、待機状態中の電源としてAC(Alternating Current)電源以外の電源、例えば、太陽光発電等の自然エネルギーによるエネルギーデバイスを選択した場合には、より効果的な消費電力削減が期待される。
【0004】
しかしながら、OA機器の電源としてこのようなエネルギーデバイスを選択することについては、いくつかの制約を伴う。例えば、OA機器に太陽電池等のエネルギーデバイスを搭載した場合、電力供給はオフィス内の蛍光灯による蓄電により賄うことになり、十分な電力供給とならないおそれがある。また、例えば、屋外にエネルギーデバイスを設置した場合、OA機器までの電源配線が煩雑になるおそれがある。更に、例えば、電源配線の煩雑さを解消するためにOA機器を窓際に設置した場合、OA機器の設置場所が限られ、使用上の不便を伴うおそれがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、負荷装置に対する電力供給を適切に行うことが可能なネットワーク装置、電力供給システム、及び電力供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、ネットワーク装置が、選択部と、供給部とを備える。前記選択部は、一定量の電力を安定供給する第1電源、及び、自然エネルギーにより発電された電力を蓄電する蓄電部である第2電源の中から、負荷装置における遷移状態と該蓄電部における蓄電量とに応じて、該負荷装置に電力を供給する電源を選択する。前記供給部は、前記選択部により選択された前記第1電源又は前記第2電源から入力される電力を、ネットワークケーブルを介して前記負荷装置に供給する。
【0007】
また、本発明は、電力供給システムが、負荷装置と、ネットワークケーブルを介して該負荷装置に電力を供給するネットワーク装置と、自然エネルギーにより電力を発電する発電装置と、前記発電装置によって発電された電力を蓄電する蓄電部とを備える。前記負荷装置は、該負荷装置から出力される電流を制御することで、該負荷装置における遷移状態を前記ネットワーク装置に検知させる電流制御部を備える。前記ネットワーク装置は、選択部と、供給部とを備える。前記選択部は、一定量の電力を安定供給する第1電源、及び、前記蓄電部である第2電源の中から、前記負荷装置から出力される電流の測定値に基づき検知した該負荷装置における遷移状態と、該蓄電部における蓄電量とに応じて、該負荷装置に電力を供給する電源を選択する。前記供給部は、前記選択部により選択された前記第1電源又は前記第2電源から入力される電力を、ネットワークケーブルを介して前記負荷装置に供給する。
【0008】
また、本発明は、電力供給システムで実行される電力供給方法である。前記電力供給システムは、負荷装置と、ネットワークケーブルを介して該負荷装置に電力を供給するネットワーク装置と、自然エネルギーにより電力を発電する発電装置と、前記発電装置によって発電された電力を蓄電する蓄電部とを備える。前記負荷装置は、該負荷装置から出力される電流を制御することで、該負荷装置における遷移状態を前記ネットワーク装置に検知させる電流制御工程を含む。前記ネットワーク装置は、選択工程と、供給工程とを含む。前記選択工程は、一定量の電力を安定供給する第1電源、及び、前記蓄電部である第2電源の中から、前記負荷装置から出力される電流の測定値に基づき検知した該負荷装置における遷移状態と、該蓄電部における蓄電量とに応じて、該負荷装置に電力を供給する電源を選択する。前記供給工程は、前記選択工程により選択された前記第1電源又は前記第2電源から入力される電力を、ネットワークケーブルを介して前記負荷装置に供給する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、負荷装置に対する電力供給を適切に行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、第1の実施の形態に係る電源供給システムの構成図である。
【図2】図2は、第1の実施の形態に係るハブの構成図である。
【図3】図3は、第1の実施の形態における電源切り替えのシーケンス図である。
【図4】図4は、第1の実施の形態における電源切り替えのシーケンス図である。
【図5】図5は、第1の実施の形態における制御手順を示すフローチャートである。
【図6】図6は、第1の実施の形態における制御手順を示すフローチャートである。
【図7】図7は、第1の実施の形態における制御手順を示すフローチャートである。
【図8】図8は、第1の実施の形態における制御手順を示すフローチャートである。
【図9】図9は、第1の実施の形態における制御手順を示すフローチャートである。
【図10】図10は、第2の実施の形態に係る電源供給システムの構成図である。
【図11】図11は、第2の実施の形態に係るスイッチの構成図である。
【図12】図12は、第2の実施の形態に係るハブの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、ネットワーク装置、電力供給システム、及び電力供給方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態に係る電力供給システム10の構成図である。図1に示すように、第1の実施の形態に係る電力供給システム10は、ハブ(HUB)100と、蓄電部140と、OA機器200と、エネルギーデバイス300とを有する。なお、ハブ100とOA機器200とは、ネットワークケーブルによって接続される。
【0013】
ハブ100は、ネットワークケーブルを介して負荷装置に対する電力供給が可能なネットワーク装置の一例である。ネットワーク装置とは、通信を行うネットワーク機器間に設置され、データの転送、スイッチング、ルーティングなどを行う装置である。なお、第1の実施の形態においては、ハブ100を例に挙げて説明するが、これに限られるものではなく、スイッチングハブや、ルータなど、他のネットワーク装置にも同様に適用することができる。
【0014】
また、第1の実施の形態において、ハブ100は、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.3atや、IEEE802.3afに定められたPoE(Power over Ethernet(登録商標))の規格に対応する。なお、PoEとは、Ethernetの配線に利用されるカテゴリ5以上のUTP(Unshielded Twist Pair)ケーブルを介して負荷装置に対して電力を供給する技術である。また、ハブ100は、AC電源150及び蓄電部140それぞれの電源からの入力を有する。すなわち、第1の実施の形態において、ハブ100は、AC電源150から入力される電力又は蓄電部140から入力される電力のいずれかを選択的にOA機器200に対して供給する。なお、AC電源150は、一定量の電力を安定供給する電源の一例である。
【0015】
蓄電部140は、エネルギーデバイス300によって発電された電力を蓄電し、蓄電した電力をハブ100に供給する電源である。なお、蓄電部140は、ハブ100に内蔵されてもよい。
【0016】
OA機器200は、ハブ100から電力の供給を受ける負荷装置の一例であり、MFP(複合機(Multifunction Peripheral))、複写機、プリンタ等である。また、OA機器200は、AC電源290及びハブ100それぞれの電源からの入力を有する。すなわち、OA機器200は、AC電源290から入力される電力又はハブ100から入力される電力のいずれかの供給を選択的に受ける。なお、AC電源290は、一定量の電力を安定供給する電源の一例である。
【0017】
エネルギーデバイス300は、自然エネルギーにより電力を発電する発電装置の一例である。第1の実施の形態において、エネルギーデバイス300は、太陽光発電装置である。
【0018】
ここで、図1に示すように、第1の実施の形態において、エネルギーデバイス300は屋外に設置され、ハブ100、蓄電部140、及びOA機器200は室内に設置される。エネルギーデバイス300は屋外に設置されるので、蛍光灯による蓄電により電力供給を賄う場合等と比較して、十分な電力供給を賄うことができる。また、エネルギーデバイス300は屋外に設置されるので、OA機器200自体がエネルギーデバイス300を搭載する場合等と比較して、大きなサイズのものを利用することができる。また、ハブ100は、エネルギーデバイス300の設置場所に合わせ、屋外近辺の室内(例えば、窓際等)に設置され、ハブ100とOA機器200との間はネットワークケーブルが敷設されるので、電源配線の煩雑さは解消され、OA機器の設置場所が限られるおそれもない。
【0019】
次に、図1を用いて、第1の実施の形態に係るOA機器200の構成を説明する。なお、一般的に、OA機器200には、図1に示す各部以外の回路等を含むが、以下では、説明の便宜上、適宜割愛する。
【0020】
図1に示すように、第1の実施の形態に係るOA機器200は、PHY(PHYsical Layer)部210と、MAC(Media Access Control)部220と、SubCPU(Central Processing Unit)部230と、電源切り替え部240と、PSU(Power Supply Unit)部250と、PD(Powered Device)部260と、SW(SWitch)1部270と、SW2部280とを備える。なお、MAC部220及びSubCPU部230は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の集積回路に配置される。
【0021】
PHY部210は、伝送路側(すなわちハブ100側)のデータとOA機器200側のデータとの間のデータ変換を行う。なお、ハブ100側のデータは、ネットワークケーブルに依存し、光信号や電気信号である。また、OA機器200側のデータは、論理信号である。MAC部220は、PHY部210から受け付けたデータに対してEthernet処理を行う。
【0022】
SubCPU部230は、OA機器200の遷移状態を監視及び制御する。ここで、第1の実施の形態において、OA機器200の遷移状態には『通常状態』及び『待機状態』がある。また、第1の実施の形態において、OA機器200は、『通常状態』の場合には、AC電源290から入力される電力の供給を受け、『待機状態』の場合には、ハブ100から入力される電力の供給を受ける。このため、SubCPU部230は、『通常状態』から『待機状態』又は『待機状態』から『通常状態』にOA機器200の状態が遷移したことを検知すると、これをトリガ(trigger)として、電源切り替え部240や、SW1部270及びSW2部280に、制御信号を出力する。なお、第1の実施の形態においては、OA機器200の遷移状態として『通常状態』及び『待機状態』を想定したが、これに限られるものではなく、どの遷移状態の場合にどの電源から電力の供給を受けるかは、任意に設定可能である。
【0023】
電源切り替え部240は、SubCPU部230から受け付けた制御信号に応じて、電力の供給を受ける電源を選択する。例えば、電源切り替え部240は、SubCPU部230から、電源としてハブ100を選択する信号(以下、適宜「PD選択信号」という)を受け付けると、PD部260から入力される電力の供給を受けるように制御する。また、例えば、電源切り替え部240は、SubCPU部230から、電源としてAC電源290を選択する信号(以下、適宜「AC電源選択信号」という)を受け付けると、PSU部250から入力される電力の供給を受けるように制御する。PSU部250は、AC電源290から入力される交流の電力を直流に変換し、直流に変換後の電力を電源切り替え部240に供給する。
【0024】
PD部260は、PoEに対応する機器(以下、適宜「PoE対応機器」という)に備えられる部であり、ネットワークケーブルを介して電力の供給を受けるため(受電のため)の回路等である。また、PD部260は、PD部260の検出(PoE対応機器の検出)用に、一定の抵抗値を内蔵する。この点については、ハブ100の説明において詳述する。
【0025】
SW1部270及びSW2部280は、SubCPU部230による制御の下、両者が協働し、OA機器200がPoE対応機器であること(あるいは、PoE対応機能を使用すること)、又は、PoE対応機器でないこと(あるいは、PoE対応機能を使用しないこと)を、ハブ100に対して認識させる。
【0026】
まず、SW1部270は、ハブ100から接続されたネットワークケーブルのパスについて、ON/OFFを制御する。『OFF』は、ハブ100に接続するネットワークケーブルを抜くことと等価であり、『ON』は、ハブ100に接続するネットワークケーブルを挿入することと等価である。すなわち、ハブ100は、ハブ100に接続されるネットワークケーブルの他端に機器が接続されたことを検知すると、これをトリガとして、この機器がPoE対応機器であるか否か(あるいは、PoE対応機能を使用するか否か)を検出する目的で、接続先の機器に対して電圧を印加する。OA機器200からネットワークケーブルを実際に抜いたり挿入したりするのではなく、SW1部270によってパスのON/OFFが制御されることで、PoE対応機器であるか否かを検出させるトリガをハブ100に与えることになる。
【0027】
また、SW2部280は、SW1部270からPD部260までのパスについて、ON/OFFを制御する。上述したように、SW1部270によってパスが『OFF』から『ON』に制御されると、これをトリガとしてハブ100による検出が開始される。そこで、SW2部280は、SW1部270によってパスが『OFF』から『ON』に制御される前に、SW1部270からPD部260までのパスを『ON』又は『OFF』に制御しておくことで、その後、SW1部270によってパスが『OFF』から『ON』に制御された際に、OA機器200がPoE対応機器であること、又は、PoE対応機器でないことを、ハブ100に対して認識させる。
【0028】
すなわち、例えば、SW1部270によってパスが『OFF』から『ON』に制御される前に、SW1部270からPD部260までのパスが『ON』に制御された場合、SW1部270によってパスが『OFF』から『ON』に制御されたことをトリガとしてハブ100がOA機器200に対して電圧を印加すると、この電圧はPD部260に印加され、PD部260が内蔵する抵抗値に応じた電流がハブ100側で検出される。この抵抗値は、例えば、IEEE802.3atやIEEE802.3afに定められた抵抗値である。すると、ハブ100は、OA機器200が「PoE対応機器である(あるいは、PoE対応機能を使用する)」と認識する。
【0029】
また、例えば、SW1部270によってパスが『OFF』から『ON』に制御される前に、SW1部270からPD部260までのパスが『OFF』に制御された場合、SW1部270によってパスが『OFF』から『ON』に制御されたことをトリガとしてハブ100がOA機器200に対して電圧をかけると、この電圧はPD部260には届かず、ハブ100が、PD部260が内蔵する抵抗値に応じた電流を検出することはない。すると、ハブ100は、OA機器200が「PoE対応機器でない(あるいは、PoE対応機能を使用しない)」と認識する。
【0030】
なお、「PoE対応機器である(あるいは、PoE対応機能を使用する)」とハブ100に認識させたい場合とは、OA機器200が、ハブ100からの電力供給を所望する場合であり、第1の実施の形態においては『待機状態』がこの場合にあたる。一方、「PoE対応機器でない(あるいは、PoE対応機能を使用しない)」とハブ100に認識させたい場合とは、OA機器200が、ハブ100からの電力供給を所望せず、AC電源290からの電力供給で賄う場合であり、第1の実施の形態においては『通常状態』がこの場合にあたる。なお、『通常状態』の場合、エネルギーデバイス300によって発電された電力は、消費されずに蓄電部140に蓄電される。
【0031】
次に、図2は、第1の実施の形態に係るハブ100の構成図である。なお、一般的に、ハブ100には、図2に示す各部以外の回路等を含むが、以下では、説明の便宜上、適宜割愛する。
【0032】
図2に示すように、第1の実施の形態に係るハブ100は、PSE(Power Sourcing Equipment)部110と、電源切り替え部120と、PSU部130とを備える。
【0033】
PSE部110は、PoEに対応するネットワーク装置に備えられる部であり、ネットワークケーブルを介して電力を供給するため(給電のため)の回路等である。PSE部110は、ハブ100に接続されるネットワークケーブルの他端に機器(第1の実施の形態においてOA機器200)が接続されたことを検知すると、これをトリガとして、この機器がPoE対応機器であるか否か(あるいは、PoE対応機能を使用するか否か)を検出する目的で、接続先の機器に対して電圧を印加する。また、PSE部110は、接続先の機器からの電流を測定し、その測定値によって、この機器がPoE対応機器であるか否かを判定する。また、PSE部110は、判定結果を示す信号(以下、適宜「PD検出信号」という)を生成し、電源切り替え部120に出力する。
【0034】
電源切り替え部120は、PSE部110から受け付けたPD検出信号に応じて、ネットワークケーブルの他端に接続された機器(第1の実施の形態においてOA機器200)に電力を供給する電源を選択する。例えば、電源切り替え部120は、PSE部110から、PoE対応機器でない(あるいは、PoE対応機能を使用しない)ことを示すPD検出信号を受け付けると、PSU部130から入力される電力を用いるよう、制御する。なお、この場合、PSU部130から入力される電力は、OA機器200に対して供給されるのではなく、ハブ100の電力として用いられる。
【0035】
また、例えば、電源切り替え部120は、PSE部110から、PoE対応機器である(あるいは、PoE対応機能を使用する)ことを示すPD検出信号を受け付けると、更に、蓄電部140に蓄電された蓄電量に応じて、OA機器200に電力を供給する電源を選択する。すなわち、例えば、電源切り替え部120は、蓄電部140から、蓄電部140に蓄電された蓄電量を示す信号(以下、適宜「蓄電量モニター信号」という)を受け取り、蓄電量モニター信号が示す蓄電量が所定閾値を上回る場合(十分な蓄電量である場合)には、OA機器200に電力を供給する電源として蓄電部140を選択する。そして、電源切り替え部120は、蓄電部140から入力される電力をOA機器200に対して供給するように制御する。
【0036】
一方、例えば、電源切り替え部120は、蓄電量モニター信号が示す蓄電量が所定閾値を下回る場合(十分な蓄電量でない場合)には、OA機器200に電力を供給する電源としてAC電源150を選択する。そして、電源切り替え部120は、AC電源150から入力される電力をOA機器200に対して供給するように制御する。なお、電源切り替え部120と蓄電部140との間の蓄電量モニター信号のやりとりは、例えば、電源切り替え部120が要求することで蓄電部140から受け取ってもよいし、あるいは、例えば、定期的に蓄電部140が電源切り替え部120に送信してもよい。
【0037】
PSU部130は、AC電源150から入力される交流の電力を直流に変換し、直流に変換後の電力を電源切り替え部120に供給する。
【0038】
次に、図3及び図4は、第1の実施の形態における電源切り替えのシーケンス図である。上述したように、第1の実施の形態において、OA機器200は、『通常状態』の場合には、AC電源290から入力される電力の供給を受け、『待機状態』の場合には、ハブ100から入力される電力の供給を受ける。そこで、以下では、まず、図3を用いて、『通常状態』から『待機状態』にOA機器200の状態が遷移した場合の電源切り替えを説明し、次に、図4を用いて、『待機状態』から『通常状態』にOA機器200の状態が遷移した場合の電源切り替えを説明する。
【0039】
図3に示すように、OA機器200のSubCPU部230は、OA機器200の状態を監視し、『通常状態』から『待機状態』にOA機器200の状態が遷移したことを検知する(ステップS01)。
【0040】
SubCPU部230は、『通常状態』から『待機状態』にOA機器200の状態が遷移したことをトリガとして、まず、SW1部270に対して『OFF』に制御するよう、命令を出力する(ステップS02)。すると、図3に示すように、SW1部270は、『OFF』に制御され、ハブ100から接続されたネットワークケーブルのパスが、切断される。
【0041】
続いて、SubCPU部230は、ステップS02の命令から一定時間経過後に、SW2部280に対して『ON』に制御するよう、命令を出力する(ステップS03)。一定時間経過後にステップS03の命令を出力する理由は、ステップS02において命令を出力してからSW1部270にて完全にパスが切断されるまでの時間を待機する意味である(SubCPU部230内にて、時間をカウントしている)。すると、図3に示すように、SW2部280は、『ON』に制御され、SW1部270からPD部260までのパスが接続される。
【0042】
続いて、SubCPU部230は、ステップS03の命令から一定時間経過後に、SW1部270に対して『ON』に制御するよう、命令を出力する(ステップS04)。一定時間経過後にステップS04の命令を出力する理由は、ステップS03において命令を出力してからSW2部280にて完全にパスが接続されるまでの時間を待機する意味である(SubCPU部230内にて、時間をカウントしている)。すると、図3に示すように、SW1部270は、『ON』に制御され、ハブ100から接続されたネットワークケーブルのパスが接続される。
【0043】
さて、OA機器200側でハブ100から接続されたネットワークケーブルのパスが接続されると、ハブ100のPSE部110は、ネットワークケーブルの他端に機器(第1の実施の形態においてOA機器200)が接続されたことを検知する。そして、PSE部110が、これをトリガとして接続先のOA機器200に対して電圧を印加すると、この電圧はPD部260に印加され、PD部260が内蔵する抵抗値に応じた電流がPSE部110にて検出される(ステップS05)。
【0044】
すると、PSE部110は、OA機器200が「PoE対応機器である(あるいは、PoE対応機能を使用する)」と判定し、その判定結果を示すPD検出信号(検出)を生成し、電源切り替え部120に出力する(ステップS06)。
【0045】
電源切り替え部120は、PSE部110から、PD検出信号(検出)を受け付けると、更に、蓄電部140に蓄電された蓄電量が所定閾値を上回るか否かを判定し、例えば、蓄電量が所定閾値を上回る場合(十分な蓄電量である場合)には、図3に示すように、OA機器200に電力を供給する電源として蓄電部140を選択する。そして、電源切り替え部120は、蓄電部140から入力される電力をOA機器200に対して供給するように制御する。
【0046】
一方、OA機器200のSubCPU部230は、ステップS04においてSW1部270に対して命令を出力した後、一定経過後に、電源切り替え部240に対して、PD選択信号を出力する(ステップS07)。ステップS04においてネットワークケーブルのパスが接続されてからハブ100から電力供給が安定してできる状態になるまでに要する時間は、ハブ100側の仕様として規定されていることが多い。このため、SubCPU部230は、この仕様に規定された時間、待機すればよい。
【0047】
そして、電源切り替え部240は、SubCPU部230からPD選択信号を受け付けると、PD部260から入力される電力の供給を受けるように制御する。
【0048】
このようにして、OA機器200は、『通常状態』から『待機状態』に状態が遷移したタイミングで、PoE対応機能を使用する状態に遷移したことをSW1部270及びSW2部280の協働によりハブ100側に認識させることができ、ハブ100は、OA機器200の状態及び蓄電部140の蓄電量に応じて、適切な電源を選択することができる。
【0049】
続いて、図4に示すように、OA機器200のSubCPU部230は、OA機器200の状態を監視し、『待機状態』から『通常状態』にOA機器200の状態が遷移したことを検知する(ステップS11)。
【0050】
SubCPU部230は、『待機状態』から『通常状態』にOA機器200の状態が遷移したことをトリガとして、まず、SW1部270に対して『OFF』に制御するよう、命令を出力するとともに(ステップS12)、電源切り替え部240に対して、AC電源選択信号を出力する(ステップS13)。なお、SubCPU部230は、少なくとも、ハブ100から接続されたネットワークケーブルのパスが切断される前までに、AC電源290から電力の供給を受けることが可能になるタイミングで、ステップS13を実行することが望ましい。
【0051】
続いて、SubCPU部230は、ステップS12の命令から一定時間経過後に、SW2部280に対して『OFF』に制御するよう、命令を出力する(ステップS14)。一定時間経過後にステップS14の命令を出力する理由は、ステップS12において命令を出力してからSW1部270にて完全にパスが切断されるまでの時間を待機する意味である(SubCPU部230内にて、時間をカウントしている)。すると、図4に示すように、SW2部280は、『OFF』に制御され、SW1部270からPD部260までのパスが切断される。
【0052】
続いて、SubCPU部230は、ステップS14の命令から一定時間経過後に、SW1部270に対して『ON』に制御するよう、命令を出力する(ステップS15)。一定時間経過後にステップS15の命令を出力する理由は、ステップS14において命令を出力してからSW2部280にて完全にパスが切断されるまでの時間を待機する意味である(SubCPU部230内にて、時間をカウントしている)。すると、図4に示すように、SW1部270は、『ON』に制御され、ハブ100から接続されたネットワークケーブルのパスが接続される。
【0053】
さて、OA機器200側でハブ100から接続されたネットワークケーブルのパスが接続されると、ハブ100のPSE部110は、ネットワークケーブルの他端に機器(第1の実施の形態においてOA機器200)が接続されたことを検知する。そして、PSE部110が、これをトリガとして接続先のOA機器200に対して電圧を印加すると、この電圧はPD部260には印加されず、PD部260が内蔵する抵抗値に応じた電流がPSE部110にて検出されることはない(ステップS16)。
【0054】
すると、PSE部110は、OA機器200が「PoE対応機器でない(あるいは、PoE対応機能を使用しない)」と判定し、その判定結果を示すPD検出信号(未検出)を生成し、電源切り替え部120に出力する(ステップS17)。
【0055】
電源切り替え部120は、PSE部110から、PD検出信号(未検出)を受け付けると、図4に示すように、OA機器200に電力を供給する電源としてAC電源150を選択する。そして、電源切り替え部120は、PSU部130から入力される電力を用いるよう、制御する。なお、この場合、PSU部130から入力される電力は、OA機器200に対して供給されるのではなく、ハブ100の電力として用いられる。
【0056】
このようにして、OA機器200は、『待機状態』から『通常状態』に状態が遷移したタイミングで、PoE対応機能を使用しない状態に遷移したことをSW1部270及びSW2部280の協働によりハブ100側に認識させることができ、ハブ100は、OA機器200の状態に応じて、適切な電源を選択することができる。
【0057】
次に、図5〜図9は、第1の実施の形態における制御手順を示すフローチャートである。図5〜図8は、OA機器200のSubCPU部230による制御手順を示し、図9は、ハブ100のPSE部110による制御手順を示す。
【0058】
図5に示すように、OA機器200のSubCPU部230は、『通常状態』から『待機状態』にOA機器200の状態が遷移したことを検知すると(ステップS101)、まず、SW1部270を『OFF』に制御する(ステップS102)。そして、SubCPU部230は、SW1部270にて完全にパスが切断されるまでの時間を待機した後(ステップS103)、SW2部280を『ON』に制御する(ステップS104)。そして、SubCPU部230は、更に、SW2部280にて完全にパスが接続されるまでの時間を待機した後(ステップS105)、SW1部270を『ON』に制御する(ステップS106)。
【0059】
また、図6に示すように、SubCPU部230は、『通常状態』から『待機状態』にOA機器200の状態が遷移したことを検知すると(ステップS201)、ハブ100から電力供給が安定してできる状態になるまで待機した後(ステップS202)、電源切り替え部240に対して、PD選択信号を出力する(ステップS203)。
【0060】
また、図7に示すように、SubCPU部230は、『待機状態』から『通常状態』にOA機器200の状態が遷移したことを検知すると(ステップS301)、まず、SW1部270を『OFF』に制御する(ステップS302)。そして、SubCPU部230は、SW1部270にて完全にパスが切断されるまでの時間を待機した後(ステップS303)、SW2部280を『OFF』に制御する(ステップS304)。そして、SubCPU部230は、更に、SW2部280にて完全にパスが切断されるまでの時間を待機した後(ステップS305)、SW1部270を『ON』に制御する(ステップS306)。
【0061】
また、図8に示すように、SubCPU部230は、『待機状態』から『通常状態』にOA機器200の状態が遷移したことを検知すると(ステップS401)、直ちに、電源切り替え部240に対して、AC電源選択信号を出力する(ステップS402)。
【0062】
また、図9に示すように、ハブ100のPSE部110は、ネットワークケーブルの他端にOA機器200が接続されたことを検知すると(ステップS501)、ネットワークケーブルを介して接続先のOA機器200に対して電圧を印加し、電流測定を行う(ステップS502)。
【0063】
そして、PSE部110は、まず、測定した電流値が所定の値(PD部260が内蔵する抵抗値に応じた電流値)になっているか、判定する(ステップS503)。判定の結果、所定の値になっている場合には(ステップS503肯定)、PSE部110は、蓄電部140から受け付けた蓄電量情報をモニターし、蓄電量が所定閾値を上回る場合(十分な蓄電量である場合)であるか、判定する(ステップS504)。
【0064】
そして、蓄電量が所定閾値を上回る場合(十分な蓄電量である場合)には(ステップS504肯定)、PSE部110は、OA機器200に供給する電力の供給元として、蓄電部140を選択する(ステップS505)。
【0065】
一方、ステップS503において、測定した電流値が所定の値(PD部260が内蔵する抵抗値に応じた電流値)になっていない場合(ステップS503否定)、及び、ステップS504において、蓄電量が所定閾値を下回る場合(十分な蓄電量でない場合)(ステップS504否定)には、PSE部110は、電力の供給元として、AC電源150を選択する(ステップS506)。なお、特に、測定した電流値が所定の値(PD部260が内蔵する抵抗値に応じた電流値)になっていない場合(ステップS503否定)には、AC電源150から入力される電力は、OA機器200に供給されず、ハブ100にて用いられることになる。
【0066】
上述してきたように、第1の実施の形態によれば、エネルギーデバイス300によって発電された電力は、ハブ100を介してOA機器200に供給されるので、エネルギーデバイス300の設置場所や、OA機器200の設置場所などが柔軟になり、電力供給を適切に行うことができる。
【0067】
例えば、第1の実施の形態のように、エネルギーデバイス300が屋外に設置されれば、十分な電力供給を賄うことが可能になり、また、エネルギーデバイス300として大きなサイズのものを利用することも可能になる。また、ハブ100が、エネルギーデバイス300の設置場所に合わせて屋外近辺の室内(例えば、窓際等)に設置されたとしても、ハブ100とOA機器200との間はネットワークケーブルが敷設されるので、電源配線の煩雑さは解消され、OA機器の設置場所が限られるおそれもない。
【0068】
また、第1の実施の形態によれば、ハブ100は、OA機器200から出力される電流の測定値に基づいてOA機器200の遷移状態を検知し、検知した遷移情報と蓄電量とに応じて電源を選択する。このようなことから、第1の実施の形態によれば、OA機器200の遷移状態を簡易な手法でハブ100に認識させることが可能になる。また、ハブ100は、遷移情報及び蓄電量に応じた適切な電源選択をすることが可能になる。
【0069】
(第2の実施の形態)
続いて、第2の実施の形態に係る電力供給システム15を説明する。第1の実施の形態においては、ハブ100が、蓄電部140の蓄電量が十分であるか否かを判定し、この判定結果に応じて電源の選択を行う手法を採った。この点、第2の実施の形態においては、複数種類のエネルギーデバイスを想定し、OA機器200が、複数種類のエネルギーデバイスを含む各種電源の中から最適な電源を選択し、選択した電源をハブ105に認識させる手法を採る。
【0070】
図10は、第2の実施の形態に係る電力供給システム15の構成図である。図10に示すように、第2の実施の形態に係る電力供給システム15は、エネルギーデバイス300が複数であり、蓄電部140が複数である点が、第1の実施の形態と異なる。また、後述するように、OA機器200のSW2部285や、ハブ105の構成が、第1の実施の形態と異なる。なお、他の各部において、第1の実施の形態と異なる動作を行う場合、必要に応じて以下に説明する。また、他の各部において、第1の実施の形態と同様の動作を行う場合、適宜説明を省略する。
【0071】
図10に示すように、第2の実施の形態に係る電力供給システム15は、複数のエネルギーデバイス300を有する。エネルギーデバイス300−1〜300−3は、例えば、それぞれ、太陽光による発電装置、水力による発電装置、風力による発電装置等である。ここで、各エネルギーデバイス300は、発電に用いる自然エネルギーの種類が異なるので、天候等の条件によって、どのエネルギーデバイス300による蓄電量が多くなるかが異なってくると考えられる。
【0072】
そこで、第2の実施の形態においては、OA機器200が、蓄電部140−1〜140−3における蓄電量に関する情報として、例えば、天候観測データを取得し、取得した天候観測データに基づいて、最適なエネルギーデバイス300を選択する。
【0073】
例えば、OA機器200は、ユーザからの入力やネットワーク網からの入力等により、天候観測データを取得し、取得した天候観測データをSubCPU部230に入力する。例えば、天候観測データは、降水量、気温、風向、風速、日照時間等である。次に、SubCPU部230は、取得した天候観測データを予め定めたアルゴリズムにより解析し、太陽光によるエネルギーデバイス300−1、水力によるエネルギーデバイス300−2、風力によるエネルギーデバイス300−3のうち、どのエネルギーデバイス300による蓄電量が多いかを随時判定し、電力の供給元とする電源を選択する。
【0074】
予め定めたアルゴリズムは、例えば、過去一定期間の日照時間が長ければ、太陽光によるエネルギーデバイス300−1の点数を日照時間に応じて加算し、過去一定期間の降水量が多ければ、水力によるエネルギーデバイス300−2の点数を降水量に応じて加算し、過去一定期間の風速が強ければ、風力によるエネルギーデバイス300−3の点数を強い風速の存在した時間に応じて加算し、各エネルギーデバイス300の合計点数に、過去に選択した回数等を加味して、判定するものであってもよい。更に、どのエネルギーデバイス300の合計点数も所定点数に満たない場合には、AC電源150を選択することを判定するものであってもよい。なお、アルゴリズムは、上述したアルゴリズムに限られるものではなく、例えば、天候観測データと蓄電量との相関関係を示す予測モデルなどを用いたアルゴリズムであってもよい。このように、アルゴリズムは、任意に定めることができる。
【0075】
次に、SubCPU部230は、選択した電源をハブ105に認識させる。図11は、第2の実施の形態に係るスイッチ(SW2部285)の構成図である。図11に示すように、第2の実施の形態において、SW2部285は、SubCPU部230による選択結果に応じて抵抗値(図11において「R」)を選択可能な構成となっている。
【0076】
ここで、例えば、抵抗値『5kΩ』に対応する電流の測定値がハブ105側で測定された場合には、太陽光によるエネルギーデバイス300−1が選択されたことを意味し、抵抗値『10kΩ』に対応する電流の測定値が測定された場合には、水力によるエネルギーデバイス300−2が選択されたことを意味し、抵抗値『15kΩ』に対応する電流の測定値が測定された場合には、風力によるエネルギーデバイス300−3が選択されたことを意味し、抵抗値『50kΩ』に対応する電流の測定値が測定された場合には、AC電源150が選択されたことを意味することが予め定められ、ハブ105側で識別可能な状態であるとする。
【0077】
このような場合、SubCPU部230が、SW2部285を制御し、抵抗値『5kΩ』の経路がSW2部285内部で選択されれば、ハブ105側では、電流値を測定することで、太陽光によるエネルギーデバイス300−1を選択することを検知する。他のエネルギーデバイス300を選択する場合も同様である。
【0078】
図12は、第2の実施の形態に係るハブ105の構成図である。なお、図12に示す各部において、第1の実施の形態と異なる動作を行う場合、必要に応じて以下に説明する。また、第1の実施の形態と同様の動作を行う場合、適宜説明を省略する。
【0079】
PSE部115は、第1の実施の形態と同様、ハブ105に接続されるネットワークケーブルの他端にOA機器200が接続されたことを検知すると、これをトリガとして、接続先のOA機器200に対して電圧を印加する。ここで、第1の実施形態においては、測定値によってこの機器がPoE対応機器であるか否か(あるいは、PoE対応機能を使用するか否か)を判定したが、第2の実施の形態においては、これに加えて、どの電源がOA機器200側で選択されたか否かを判定する。
【0080】
すなわち、上述したように、PSE部115は、抵抗値『5kΩ』に対応する電流の測定値が測定された場合には、太陽光によるエネルギーデバイス300−1が選択されたと判定し、抵抗値『10kΩ』に対応する電流の測定値が測定された場合には、水力によるエネルギーデバイス300−2が選択されたと判定し、抵抗値『15kΩ』に対応する電流の測定値が測定された場合には、風力によるエネルギーデバイス300−3が選択されたと判定し、抵抗値『50kΩ』に対応する電流の測定値が測定された場合には、AC電源150が選択されたと判定する。なお、例えば、PSE部115は、上記以外の測定値が測定された場合には、PoE対応機器でない(あるいは、PoE対応機能を使用しない)と判定する。そして、PSE部115は、第1の実施の形態と同様、判定結果を示すPD検出信号を生成し、電源切り替え部125に出力する。
【0081】
電源切り替え部125は、PSE部115から受け付けたPD検出信号に応じて、ネットワークケーブルの他端に接続されたOA機器200に電力を供給する電源を選択する。例えば、電源切り替え部125は、AC電源150、蓄電部140−1、蓄電部140−2、及び蓄電部140−3の中から、PSE部115から受け付けたPD検出信号に応じて電源を選択する。
【0082】
上述したように、第2の実施の形態によれば、複数種類の自然エネルギーにより発電された電力を選択することができるので、天候に応じた最適な電源を選択することが可能になる。例えば、晴天以外の天候の場合であっても、水力や風力など、様々な自然エネルギーによる電力を選択することができる。
【0083】
また、第2の実施の形態によれば、最適な電源の選択をOA機器200側で行い、OA機器200側における電源の選択を、簡易な手法でハブ105に認識させるので、より高度な選択を、簡易な手法で実現することが可能になる。
【0084】
なお、第1の実施の形態のSubCPU部230で実行される処理手順を含むプログラム、PSE部110で実行される処理手順を含むプログラム、第2の実施の形態のSubCPU部230で実行される処理手順を含むプログラム、PSE部115で実行される処理手順を含むプログラムは、それぞれ、ROM(Read Only Memory)等に予め組み込まれて提供されてもよい。あるいは、各プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、CD(Compact Disc)−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。更に、各プログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。各プログラムは、インターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
【0085】
また、各プログラムは、上述した各処理手順を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしては、CPUが上記ROMから読み出して実行することにより、上記各処理手順が主記憶装置上にロードされ、各処理手順が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【符号の説明】
【0086】
10 電力供給システム
100 ハブ
110 PSE部
120 電源切り替え部
130 PSU部
140 蓄電部
150 AC電源
200 OA機器
230 SubCPU部
260 PD部
270 SW1部
280 SW2部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0087】
【特許文献1】特開2010−181996号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定量の電力を安定供給する第1電源、及び、自然エネルギーにより発電された電力を蓄電する蓄電部である第2電源の中から、負荷装置における遷移状態と該蓄電部における蓄電量とに応じて、該負荷装置に電力を供給する電源を選択する選択部と、
前記選択部により選択された前記第1電源又は前記第2電源から入力される電力を、ネットワークケーブルを介して前記負荷装置に供給する供給部と
を備えたことを特徴とするネットワーク装置。
【請求項2】
前記選択部は、前記負荷装置における遷移状態を、該負荷装置側から出力される電流の測定値に基づき検知し、検知した遷移状態と前記蓄電量とに応じて、前記負荷装置に電力を供給する電源を選択することを特徴とする請求項1に記載のネットワーク装置。
【請求項3】
前記第2電源は、複数種類の自然エネルギーにより発電された電力それぞれに対応する複数の蓄電部であり、
前記選択部は、各蓄電部における蓄電量に応じて前記負荷装置側で選択された電源を、該負荷装置に電力を供給する電源として選択することを特徴とする請求項1又は2に記載のネットワーク装置。
【請求項4】
前記選択部は、前記負荷装置側で選択された電源を、該負荷装置側から出力される電流の測定値に基づき検知することで、該負荷装置に電力を供給する電源を選択することを特徴とする請求項3に記載のネットワーク装置。
【請求項5】
負荷装置と、ネットワークケーブルを介して該負荷装置に電力を供給するネットワーク装置とを含む電力供給システムであって、
前記電力供給システムは、
自然エネルギーにより電力を発電する発電装置と、
前記発電装置によって発電された電力を蓄電する蓄電部とを更に備え、
前記負荷装置は、
該負荷装置から出力される電流を制御することで、該負荷装置における遷移状態を前記ネットワーク装置に検知させる電流制御部を備え、
前記ネットワーク装置は、
一定量の電力を安定供給する第1電源、及び、前記蓄電部である第2電源の中から、前記負荷装置から出力される電流の測定値に基づき検知した該負荷装置における遷移状態と、該蓄電部における蓄電量とに応じて、該負荷装置に電力を供給する電源を選択する選択部と、
前記選択部により選択された前記第1電源又は前記第2電源から入力される電力を、ネットワークケーブルを介して前記負荷装置に供給する供給部と
を備えたことを特徴とする電力供給システム。
【請求項6】
前記負荷装置は、
前記ネットワーク装置に電流を出力する電流出力部と、
前記電流出力部と前記ネットワークケーブルとを接続する経路上に、第1スイッチ及び第2スイッチとを備え、
前記電流制御部は、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチのオン及びオフと、オン及びオフの順序とを制御することで、前記電流出力部から前記ネットワーク装置に出力される電流を制御することを特徴とする請求項5に記載の電力供給システム。
【請求項7】
前記第2電源は、複数種類の自然エネルギーにより電力を発電する複数の発電装置それぞれに対応する複数の蓄電部であり、
前記ネットワーク装置の前記選択部は、各蓄電部における蓄電量に応じて前記負荷装置側で選択された電源を、該負荷装置に電力を供給する電源として選択することを特徴とする請求項5に記載の電力供給システム。
【請求項8】
前記負荷装置は、
前記各蓄電部における蓄電量に関する情報を取得し、該情報に基づいて電力の供給元とする電源を選択する電源選択部と、
前記ネットワーク装置に電流を出力する電流出力部と、
前記電流出力部と前記ネットワークケーブルとを接続する経路上に、第1スイッチと、前記電源選択部による選択結果に応じて抵抗値を選択可能な第2スイッチとを備え、
前記電流制御部は、前記第1スイッチ及び前記第2スイッチのオン及びオフと、オン及びオフの順序と、前記第2スイッチで選択する抵抗値とを制御することで、前記電流出力部から前記ネットワーク装置に出力される電流を制御し、
前記ネットワーク装置の前記選択部は、前記負荷装置側で選択された電源を、該負荷装置側から出力される電流の測定値に基づき検知することで、該負荷装置に電力を供給する電源を選択することを特徴とする請求項7に記載の電力供給システム。
【請求項9】
負荷装置と、ネットワークケーブルを介して該負荷装置に電力を供給するネットワーク装置とを含む電力供給システムで実行される電力供給方法であって、
前記電力供給システムは、
自然エネルギーにより電力を発電する発電装置と、
前記発電装置によって発電された電力を蓄電する蓄電部とを更に備え、
前記負荷装置は、
該負荷装置から出力される電流を制御することで、該負荷装置における遷移状態を前記ネットワーク装置に検知させる電流制御工程を含み、
前記ネットワーク装置は、
一定量の電力を安定供給する第1電源、及び、前記蓄電部である第2電源の中から、前記負荷装置から出力される電流の測定値に基づき検知した該負荷装置における遷移状態と、該蓄電部における蓄電量とに応じて、該負荷装置に電力を供給する電源を選択する選択工程と、
前記選択工程により選択された前記第1電源又は前記第2電源から入力される電力を、ネットワークケーブルを介して前記負荷装置に供給する供給工程と
を含むことを特徴とする電力供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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