説明

ネットワーク設計装置、ネットワーク設計方法およびネットワーク設計システム

【課題】所定の設計基準を用いてネットワーク設計を行うことができるネットワーク設計装置、ネットワーク設計方法およびネットワーク設計システムを提供する。
【解決手段】最短経路を優先して新規に要求されるパスを設計するか、あるいは増設設備を最小にすることを優先して新規に要求されるパスを設計するかを判断する制御部110が、アルゴリズム記憶部142に記憶された新規に要求されるパスの、要求帯域、設定開始時期および設定期間のうち少なくとも1つについてのアルゴリズムを参照し、新規に要求されるパスの経路と、その経路においてパスを収容するときの設備配置位置および設備増設量を計算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク設計装置、ネットワーク設計方法およびネットワーク設計システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のノードとそのノードを接続する複数のリンクとを備えたデータネットワークにおいて、既存のパスに加えて、新規パスをデータネットワークに追加する要求が発生した場合、ネットワーク設計者は、パスの経路をどのように設定するか、また、設備配置位置およびその設備増設量をどのように設計するかを、設計コストを考慮しながら決定する必要がある。これらのパス経路、設備配置位置、設備増設量の決定は、従来、ネットワーク設計者の経験や勘による判断に基づいている。従って、常に設計スキルを持つネットワーク設計者の存在が必要となるとともに、ネットワーク設計者ごとにその設計基準が異なる可能性がある。これらの問題を解決するため、所定の設計アルゴリズムに基づいた計算によるネットワーク設計ツールの実現が望ましい。
【0003】
新規パスをデータネットワークに追加する要求が発生した状況において、新たに要求されるパスの要求帯域に対して、最短距離となる経路にその要求帯域を満たす空き帯域が充分にない場合は、新規パスをその経路に設定できない。この場合、その最短経路上に新規パスが収容可能な帯域を確保するための設備増設を行いパスを収容するネットワーク設計方法と、最短経路ではないが新規に要求されるパスの要求帯域を満たす空き帯域を備える迂回経路にルーティングしてパスを収容するネットワーク設計方法と、がある。
【0004】
図14は、前記2つのネットワーク設計方法を説明するための図である。ここで、図14(a)に示すように、ノードA,B,C,Dを有するデータネットワークにおいて、ノードA,D,C間に10Gのパスが設定済みとする。このデータネットワークのノードA,D間に、さらに10Gの新規パスを設定しようとすると、ノードA,D間はすでに収容できる最大帯域の10Gまで使用されているため、このままでは、ノードA,D間に新規パスを収容することはできない(図14(b))。この場合、図14(c)に示すように、最短経路を優先して、ノードA,D間に10G帯域分の設備増設を行う方法(最短経路優先の設計方法)と、図14(d)に示すように、増設設備を最小にすることを優先して、ノードA,B,C,Dという経路に迂回して新規パスを設計する方法(増設設備最小優先の設計方法)との2つの方法がある(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
最短経路優先の設計方法によれば、あるノード間に1本でも新規パスの需要が存在すればそのノード間にパスを設定するため、一般に初期設定時には収容効率が低くなることが多い。ただし、他のパスに設備が増設されるにつれ、既存のリンクの空き帯域が有効に利用されるため、収容効率が向上する。また、増設設備最小優先の設計方法によれば、新規パスの設定時に設備増設量が最小になるが、長期的には経路の長いパスが多く存在し、無駄の多いネットワークとなることが予想される。
【非特許文献1】蟹江 剛一,外2名,「マルチレイヤフォトニックネットワークにおける準動的設計」,信学技報,社団法人電子情報通信学会,2006年8月,PN2006−18,p.45−50
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、最短経路優先の設計方法にするか、あるいは増設設備最小優先の設計方法にするかついて、これまでのネットワークの設計においては、明確な設計基準が設けられていなかった。また、従来は、新規に要求されるパスの要求帯域の大きさのみを判断対象として、最短経路優先の設計方法にするか、あるいは増設設備最小優先の設計方法にするかについての判断が行われていた。そのため、実際に新規に要求されるパスが設定される設定開始時期における既存パスのネットワーク情報を考慮したネットワーク設計が行われていなかった。また、新規パスの設定開始時期までの時間が短く設備増設が間に合わない場合や、新規パスの設定期間が短いため、そのパスの設定期間終了後に、増設した設備が利用されず利用効率が低下する場合等を考慮していないものであった。
【0007】
このような背景に鑑みて本発明がなされたのであり、本発明は、新規に要求されるパスを設計する際に、最短経路優先の設計方法にするか、あるいは増設設備最小優先の設計方法にするか、を判断するための設計基準を設ける。さらに、新規に要求されるパスの設定開始時期における既存パスのネットワーク情報や、新規に要求されるパスの設定開始時期や設定期間といった経時的要素を含む情報を用いてネットワーク設計を行うネットワーク設計装置、ネットワーク設計方法およびネットワーク設計システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、請求項1に記載のネットワーク設計装置は、複数のノードと前記ノードを接続する複数のリンクとを備えるデータネットワーク上に、新規に要求されるパスを設定するためのネットワーク設計を行うネットワーク設計装置であって、前記新規に要求されるパスの始点ノードの識別情報および終点ノードの識別情報と前記新規に要求されるパスの要求帯域とが含まれ、さらに前記新規に要求されるパスの、設定開始時期および設定期間の少なくとも一方を含めることができる新規パス要求情報を受信する入出力部と、(1)前記データネットワークの各ノードと各リンクの接続関係を示すトポロジ情報と、(2)前記データネットワークの各ノードと接続するリンクごとに、当該リンクの最大帯域、および当該リンクの最大帯域から当該リンクを経由する各パスの設定帯域の合計値を差し引いた残余帯域を示すリンク情報と、(3)前記各ノード間に確立されたパスごとに、当該パスを収容するリンクを示した経路情報、当該パスの設定帯域、および当該パスの設定開始時期を含んだ既存パス情報と、を含むネットワーク情報が記憶されたネットワーク情報記憶部と、前記新規に要求されるパスの、要求帯域、設定開始時期および設定期間のうち少なくともいずれかをパラメータとし、最短経路を優先して前記新規に要求されるパスを設計するか、あるいは前記新規に要求されるパスを収容するための増設設備を最小にすることを優先して前記新規に要求されるパスを設計するか、を判断するためのアルゴリズムが記憶されたアルゴリズム記憶部と、前記受信した新規パス要求情報と前記ネットワーク情報とを用いて、最短経路を優先して前記新規に要求されるパスを設計するか、あるいは増設設備を最小にすることを優先して前記新規に要求されるパスを設計するか、を前記アルゴリズム記憶部に記憶されたアルゴリズムにより判断し、当該判断に基づき、前記新規に要求されるパスの経路と、前記経路においてパスを収容するときの設備配置位置および設備増設量を計算する制御部と、を備える構成とした。
【0009】
請求項6に記載のネットワーク設計方法は、複数のノードと前記ノードを接続する複数のリンクとを備えるデータネットワーク上に、新規に要求されるパスを設定するためのネットワーク設計を行うネットワーク設計装置を用いたネットワーク設計方法であって、 前記ネットワーク設計装置は、(1)前記データネットワークの各ノードと各リンクの接続関係を示すトポロジ情報と、(2)前記データネットワークの各ノードと接続するリンクごとに、当該リンクの最大帯域、および当該リンクの最大帯域から当該リンクを経由する各パスの設定帯域の合計値を差し引いた残余帯域を示すリンク情報と、(3)前記各ノード間に確立されたパスごとに、当該パスを収容するリンクを示した経路情報、当該パスの設定帯域、および当該パスの設定開始時期を含んだ既存パス情報と、を含むネットワーク情報が記憶されたネットワーク情報記憶部と、前記新規に要求されるパスの、要求帯域、設定開始時期および設定期間のうち少なくともいずれかをパラメータとし、最短経路を優先して前記新規に要求されるパスを設計するか、あるいは前記新規に要求されるパスを収容するための増設設備を最小にすることを優先して前記新規に要求されるパスを設計するか、を判断するためのアルゴリズムが記憶されたアルゴリズム記憶部と、を備え、前記新規に要求されるパスの始点ノードの識別情報および終点ノードの識別情報と前記新規に要求されるパスの要求帯域とが含まれ、さらに前記新規に要求されるパスの、設定開始時期および設定期間の少なくとも一方を含めることができる新規パス要求情報を受信し、前記受信した新規パス要求情報と前記ネットワーク情報とを用いて、最短経路を優先して前記新規に要求されるパスを設計するか、あるいは増設設備を最小にすることを優先して前記新規に要求されるパスを設計するか、を前記アルゴリズム記憶部に記憶されたアルゴリズムにより判断し、当該判断に基づき、前記新規に要求されるパスの経路と、前記経路においてパスを収容するときの設備配置位置および設備増設量を計算するネットワーク設計方法とした。
【0010】
請求項7に記載のネットワーク設計システムは、複数のノードと前記ノードを接続する複数のリンクとを備えるデータネットワークと、前記データネットワークおよびネットワーク運用者端末に通信回線を介して接続され、前記データネットワーク上に新規に要求されるパスを設定するためのネットワーク設計を行う請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のネットワーク設計装置と、を含むネットワーク設計システムとした。
【0011】
このようにすることで、本発明に係るネットワーク設計装置、ネットワーク設計方法およびネットワーク設計システムは、新規に要求されるパスのネットワーク設計において、新規に要求されるパスの、要求帯域、設定開示時期および設定期間のうち少なくともいずれかをパラメータとして、最短経路優先の設計方法にするか、あるいは増設設備最小優先の設計方法にするかを、所定のアルゴリズムを用いて判断することができる。そして、新規に要求されるパスの設定開始時期における既存パスのネットワーク情報や、新規に要求されるパスの設定開始時期や設定期間といった経時的要素を含む情報を用いてネットワーク設計を行うことが可能となる。
【0012】
請求項2に記載のネットワーク設計装置は、請求項1に記載のネットワーク設計装置において、前記制御部は、前記入出力部が受信した1つ以上の新規パス要求情報の中から、前記新規に要求されるパスの1つを選択し、前記選択されたパスについて、前記アルゴリズム記憶部に記憶されたアルゴリズムにより、前記新規パス要求情報と前記ネットワーク情報とを用いて、最短経路を優先して前記新規に要求されるパスを設計するか、あるいは前記新規に要求されるパスを収容するための増設設備を最小にすることを優先して前記新規に要求されるパスを設計するかの設計方針を判断する設計方針判断部と、前記設計方針判断部によって判断された前記設計方針に基づき、前記新規パス要求情報と前記ネットワーク情報とを用いて、前記新規に要求されるパスの経路と、当該経路に基づいてパスを収容するときの設備配置位置および設備増設量とを計算する計算部と、前記計算部により計算された、前記新規に要求されるパスの経路と、前記設備配置位置および前記設備増設量とに基づいて、前記リンク情報の前記各リンクの残余帯域を更新する残余帯域更新部と、を備える構成とした。
【0013】
このような構成によれば、ネットワーク設計装置は、新規に要求されるパスの1つを選択した上で、設計方針判断部が設計方針を判断し、その判断結果に基づき計算部が、新規に要求されるパスの経路と、設備配置位置と設備増設量とを計算することができる。そして、さらにその計算結果を用いて、残余帯域更新部が、リンク情報の各リンクの残余帯域を更新することで、ネットワーク設計装置は、先に計算した新規パス要求情報の計算結果を反映し、新規に要求される複数のパスを考慮したネットワーク設計を行うことが可能となる。
【0014】
請求項3に記載のネットワーク設計装置は、請求項2に記載のネットワーク設計装置において、前記設計方針判断部は、前記入出力部が受信した1つ以上の新規パス要求情報の中から、前記新規に要求されるパスの1つを選択する場合に、前記要求帯域の大きい順に前記新規に要求されるパスの1つを選択する構成とした。
【0015】
このような構成によれば、新規に要求されるパスについて、要求帯域の大きい順にリンクの残余帯域に収容することができる。よって、要求帯域の大きいパスを収容する前に、要求帯域の小さいパスを収容してしまい、本来要求帯域の大きいパスを収容できたはずのリンクの残余帯域が足りなくなった結果、その要求帯域の大きいパスを収容するために、設備増設が必要となるというような場合を避けることができる。
【0016】
また、請求項4に記載のネットワーク設計装置は、請求項2または請求項3に記載のネットワーク設計装置において、前記計算部は、前記設計方針判断部が、最短経路を優先して前記新規に要求されるパスを設計すると判断した場合において、前記計算部により計算された前記新規に要求されるパスを設定すべき経路が複数あるとき、当該経路のうち、前記新規に要求されるパスを収容するための前記設備増設量が最小となる経路を選択する構成とした。
【0017】
このような構成によれば、設計方針判断部が、最短経路を優先して新規に要求されるパスを設定すると判断した場合において、最短となる経路が複数あるとき、これらの経路のうち設備増設量が最小となる経路を選択することができる。よって、ネットワーク設計装置は、最短経路を優先してネットワーク設計を行った上で、増設設備を最小にしてネットワーク設計を行うことができる。
【0018】
また、請求項5に記載のネットワーク設計装置は、請求項2または請求項3に記載のネットワーク設計装置において、前記計算部は、前記設計方針判断部が、前記新規に要求されるパスを収容するための増設設備を最小にすることを優先して前記新規に要求されるパスを設計すると判断した場合において、前記計算部により計算された前記新規に要求されるパスを収容するために必要な設備増設量が最小となる経路が複数あるとき、当該経路のうち最短経路となるものを選択する構成とした。
【0019】
このような構成によれば、設計方針判断部が、増設設備を最小にすることを優先して新規に要求されるパスを設計すると判断した場合において、設備増設量が最小となる経路が複数あるとき、これらの経路のうち最短経路となるものを選択することができる。よって、ネットワーク設計装置は、増設設備を最小にしてネットワーク設計を行った上で、最短経路のネットワーク設計を行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、最短経路を優先して新規に要求されるパスを設計するか、あるいは増設設備を最小にすることを優先して新規に要求されるパスを設計するかを所定の設計基準を基に判断することができる。さらに、新規に要求されるパスの設定開始時期における既存パスのネットワーク情報や、新規に要求されるパスの設定開始時期や設定期間といった経時的要素を含む情報を用いてネットワーク設計を行うことができる。このことにより、設備コストの低減やパスの収容効率の向上を考慮したネットワーク設計が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、本発明を実施するための最良の形態(以下、「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
図1は、本実施形態に係るネットワーク設計システムの構成を例示した図である。図1に示すように、本実施形態に係るネットワーク設計システム1は、複数のノード40およびノード40を接続する複数のリンク50からなるデータネットワーク30と、ネットワーク情報管理サーバ20と、ネットワーク設計装置10と、ネットワーク運用者端末90と、第1の通信路70と、第2の通信路80とを備える。
【0023】
データネットワーク30は、複数のノード40とそのノード40と接続する複数のリンク50を備え、任意のノード40間にパス60が設定されているものである。ここで、ノード40は、例えばSDH(Synchronous Digital Hierarchy)スイッチやMPLS(Multi-Protocol Label Switching)ルータであり、パス60は、SDHパスやMPLSパスである。本実施形態では、SDHパスとして説明する。なお、このデータネットワーク30の各ノード40は、第1の通信路70を介してネットワーク情報管理サーバ20と接続されている。
【0024】
ネットワーク情報管理サーバ20は、データネットワーク30に関するネットワーク情報を管理する。このネットワーク情報管理サーバ20が管理するネットワーク情報とは、データネットワーク上の各ノード40と各リンク50の接続関係を示すトポロジ情報と、各リンク50の最大帯域および各リンク50の最大帯域から各リンク50を経由するパスの設定帯域の合計値を差し引いた残余帯域を示すリンク情報と、パスの経路や設定帯域、設定開始時期等を示す既存パス情報とを有してなる。なお、ネットワーク情報のデータ構成の一例については後記する(図4〜図8参照)。また、ネットワーク情報管理サーバ20は、ネットワーク設計装置10からの要求を受けて、このネットワーク情報を送信する機能を有する。
【0025】
ネットワーク管理者端末90は、ネットワーク設計装置10と、例えばLAN(Local Area Network)等の第2の通信路80を介して接続され、ネットワーク設計装置10に各種指示を行う。また、新規に要求するパスについての情報である新規パス要求情報をネットワーク設計装置10に送信する。なお、新規パス要求情報のデータ構成の一例については後記する(図3参照)。
【0026】
次に、ネットワーク設計装置10について説明する。ネットワーク設計装置10は、ネットワーク情報管理サーバ20とネットワーク運用者端末90とに、第2の通信路80を介して接続される。図2は、本実施形態に係るネットワーク設計装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【0027】
図2に示すように、ネットワーク設計装置10は、制御部110と、入出力部120と、一時記憶部130と、記憶部140とを備える。
【0028】
入出力部120は、ネットワーク運用者端末90(図1参照)との間でデータの入出力をしたり、ネットワーク情報管理サーバ20(図1参照)からネットワーク情報を取得するためのIF(インタフェース)を備える。この入出力部120は、ネットワーク運用者端末向けIFとネットワーク情報管理サーバ向けIFとを含んで構成される。
【0029】
制御部110は、ネットワーク設計装置10全体の制御を司り、新規パス要求情報取得部111と、ネットワーク情報取得部112と、設計方針判断部113と、計算部114と、残余帯域更新部115と、計算結果情報報告部116とを備える。なお、この制御部110および入出力部120は、例えばネットワーク設計装置10のハードディスクに格納されたプログラムをCPU(Central Processing Unit)がRAM(Random Access Memory)に展開し実行することで実現される。
【0030】
新規パス要求情報取得部111は、ネットワーク運用者端末90からネットワーク運用者により要求される新たなパスの要求である新規パス要求情報200(図3参照)を取得する機能を有する。図3は、本実施形態に係る新規パス要求情報のデータ構造を示す図である。図3(a)に示すように、新規パス要求情報200は、新規に要求されるパスの新規パスIDと、始点ノードの識別情報と、終点ノードの識別情報と、要求帯域201とが含まれ、さらにこの新規に要求されるパスの設定開始時期202と、設定期間203との少なくとも一方をデータ項目として含めることができる。また、具体的なデータ構造の一例を、図3(b)に示す。例えば、新規パスID「1」の新規パス要求情報200は、新規に要求されるパスの始点ノードが「ノードA」であり、終点ノードが「ノードE」で、パスの要求帯域201が「2488Mbps」であり、パスの設定開始時期202が「2008年4月」、設定期間203が「4月」である。この新規パス要求情報取得部111は、入出力部120を介してネットワーク運用者端末90から1つ以上の新規パス要求情報200を取得し、一時記憶部130に記憶する機能を有する。
【0031】
図2に戻り、ネットワーク情報取得部112は、図1のネットワーク情報管理サーバ20からデータネットワーク30に関する情報であるネットワーク情報300(図4参照)を、入出力部120を介して取得し、記憶部140の中のネットワーク情報記憶部141に格納する機能を有する。
【0032】
図4は、本実施形態に係るネットワーク情報のデータ構造を示す図である。ネットワーク情報300は、図1のデータネットワーク30を構成するノード40とリンク50、そしてそのノード40間に設定されたパス60に関する情報であり、図4に示すように、トポロジ情報310と、リンク情報320と、既存パス情報330とが含まれる。
【0033】
まず、トポロジ情報310について説明する。図5は、図1に示す各ノードと各リンクとの接続関係を示すトポロジ情報の一例を概念的に説明するための図である。図5(a)に示すように、ノードA〜ノードIが3(行)×3(列)の格子状に配置され、それぞれリンク50で接続されている場合として説明する。図5(b)は、m行n列に対応する各ノード40の接続関係を「0」「1」「M」の値で示している。ここで、「0」は、ノードmとノードnが同じノードであることを意味する。また「1」はノードmとノードnが隣接するノードであることを意味する。そして、「M」は、ノードmとノードnが隣接していないことを意味する。
【0034】
例えば、図5(b)において、ノードD(m=4)と他のノードとの接続関係についてみると、4行n列の値が「1」である列に注目し、1列と、5列と、7列において「1」であることから、ノードDは、ノードA,ノードE,ノードGと隣接することを示す。また、4行n列において、値が「M」である2列、3列、6列、8列、9列に対応するノードB,ノードC,ノードF,ノードH,ノードIとは、ノードDは隣接していないことを示している。このように、トポロジ情報310は、あるノードと他のノードとが隣接し、直接リンクで接続されている関係にあるか否かの情報を示す。
【0035】
次に、リンク情報320について説明する。図4に示すように、リンク情報320は、各リンク50(図1参照)ごとに設定された最大帯域321と、残余帯域322とをデータ項目として含む。ここで、残余帯域322とは、各リンク50の最大帯域321からそのリンク50を経由する各パス60の設定帯域の合計値を差し引いた帯域のことをいう。図6は、図1に示す各ノードが図5(a)のように3×3の格子状に配置された場合の各リンクの最大帯域を、図5(b)のトポロジ情報と対応させて示した図である。ここでは、各リンク50の最大帯域321がすべて10000Mbps(10Gbps)であることを示している。また、図7は、各リンクの残余帯域を、図5(b)のトポロジ情報と対応させて示した図である。例えば、ノードAとノードBとの間の残余帯域322は、1行2列の位置に示される9000Mbpsであることを示している。
【0036】
次に、既存パス情報330は、図4に示すように、パスIDと、パスの経路情報と、パスの設定帯域と、パスの開始時期とが含まれ、パスの終了時期が既に設定されている場合には、終了時期もデータ項目として含むものである。図8は、既存パス情報の具体的なデータ構成の一例を示したものである。例えば、パスID「1」の既存パス情報330は、「ノードG→ノードD→ノードA」の経路のパスであり、パスの設定帯域が「2488Mbps」であり、パスの開始時期が「2007年4月」であり、終了時期が「2008年8月」である。
【0037】
図2に戻り、設計方針判断部113は、図3の新規パス要求情報200により、新規に要求される1つ以上のパスのうちの1つを選択する。このとき、設計方針判断部113は、新規パス要求情報200のうち、要求帯域201が大きい順に選択するようにすることもできる。そして、設計方針判断部113は、記憶部140内のアルゴリズム記憶部142に記憶された、要求帯域、設定開始時期、設定期間の少なくともいずれかをパラメータとし、最短経路優先の設計方法か、あるいは、増設設備最小優先の設計方法かを判断するアルゴリズムを用いて、新規に要求されるパスの設計方針を決定する。
【0038】
計算部114は、設計方針判断部113で判断された設計方針のもと、新規に要求されたパスの経路の計算を行う。経路の計算は、例えば、ダイクストラ法(Dijkstra法)を用いて行うことができる。
【0039】
また、計算部114は、設計方針判断部113において、最短経路を優先して新規に要求されるパスを設計すると判断した場合、最短となる経路が複数あるときは、その経路のうち設備増設量が最小となる経路を選択する機能を有する。さらに計算部114は、設計方針判断部113において、増設設備を最小にすることを優先して経路を選択した場合、増設設備が最小となる経路が複数あるときは、その経路のうち最短経路となるものを選択する機能を有する。
【0040】
また、計算部114は、新規の要求されたパスごとに、決定した経路に基づいてパスを収容するとき、どのノード間に設備増設するかを示す設備配置位置と、その増設する設備増設量とを計算し、新規パスの経路情報とともに、一時記憶部130に記憶する。続いて
計算部114は、新規に要求されるパスについて、設計方針を判断していないパスがあるか否かについて判断する。そして、計算部114は、すべての新規パス要求情報200の処理を終え、最終的に設計された新規に要求されたパスごとの経路情報と、設備配置位置と、設備増設量とを計算結果情報400(図9参照)として記憶部140内の計算結果情報記憶部143に記憶する機能を有する。
【0041】
残余帯域変更部115は、記憶部140の中のネットワーク情報記憶部141に記憶したネットワーク情報300(図4参照)を参照し、パスの終了時期が経過した既存パスを切断し、切断したパスにより利用されていた各リンクの残余帯域322を更新する機能を有する。また、残余帯域変更部115は、計算部114によって計算され、一時記憶部130に記憶された新規に要求されるパスの経路、設備配置位置、および設備増設量とネットワーク情報300(図4参照)とに基づいて、リンク情報320の各リンクの残余帯域322(図7参照)を更新する機能を有する。
【0042】
計算結果情報報告部116は、計算結果情報記憶部143内に記憶されている計算結果情報400を、入出力部120を介して、ネットワーク運用者端末90(図1参照)に送信する機能を有する。図9は、本実施形態に係る計算結果情報のデータ構造を示す図である。計算結果情報400は、図9に示すように、新規パス設定情報410と設備増設情報420とを含んで構成される。新規パス設定情報410は、新規パス要求情報200として取得した情報に加えて、計算部114で計算された新規パスの経路情報411を含んで構成されるデータ情報である。また、設備増設情報420は、計算部114により計算された新規パスの経路を収容するための設備配置位置421と設備増設量422とで構成される。
【0043】
図2に戻り一時記憶部130は、RAM等の一次記憶装置からなり、新規パス要求情報200(図3参照)や、新規パス要求情報200ごとに計算された計算結果を一時的に記憶する機能を有する。
【0044】
記憶部140は、ネットワーク情報記憶部141と、アルゴリズム記憶部142と、計算結果情報記憶部143とを備える記憶手段であり、ハードディスク等で構成される。
【0045】
ネットワーク情報記憶部141には、ネットワーク情報取得部112が、ネットワーク情報管理サーバ20(図1参照)から入出力部120を介して取得したネットワーク情報300(図4参照)が記憶される。また、計算結果情報記憶部143には、計算部114において計算された計算結果情報400(図9参照)である新規パス設定情報410と設備増設情報420とが記憶される。
【0046】
また、アルゴリズム記憶部142は、要求帯域、設定開始時期、設定期間の少なくともいずれかをパラメータとし、最短経路優先の設計方法か、増設設備最小優先の設計方法かを判断するためのアルゴリズムを記憶する。
【0047】
ここで、最短経路を優先して新規に要求されるパスを設計するか、あるいは増設設備を最小にすることを優先して新規に要求されるパスを設計するかを判断するため、要求帯域、設定開始時期、および設定期間の閾値を、例えばそれぞれx,y,zとしたとき、次のように判断する。
【0048】
要求帯域に基づく判断においては、要求帯域が増設設備の帯域に比べて小さいときは、設備増設すると空き帯域が増え、設備の利用効率が悪くなる。よって、要求帯域が比較的小さいときは、最短経路優先による設計方法ではなく、増設設備最小優先の設計方法をとった方がよい。したがって、要求帯域が閾値xより小さいとき(要求帯域<x)は、増設設備最小優先の設計方法を行うと判断し、要求帯域が閾値x以上のとき(要求帯域≧x)は、最短経路優先の設計方法を行うと判断する。
【0049】
設定開始時期に基づく判断においては、設定開始時期までの時間が短い場合には、設備増設が間に合わないことがある。よって、新規パスを要求した時期からパスの設定開始時期までの時間が短いときは、最短経路優先による設計方法ではなく、増設設備最小優先の設計方法をとった方がよい。したがって、パスの設定開始時期までの時間が閾値yより短いとき(パスの設定開始時期までの時間<y)は、増設設備最小優先の設計方法を行うと判断し、パスの設定開始時期までの時間が閾値y以上のとき(パスの設定開始時期までの時間≧y)は、最短経路優先の設計方法を行うと判断する。
【0050】
設定期間に基づく判断においては、設定期間が短いと、設備を増設してもそのパスの設定期間終了後、設備が利用されない可能性があり、設備の利用効率が悪くなる。よって、設定期間が比較的短いときは、最短経路優先による設計方法ではなく、増設設備最小優先の設計を行った方がよい。したがって、設定期間が閾値zより短いとき(設定期間<z)は、増設設備最小優先の設計方法を行うと判断し、設定期間が閾値z以上の場合(設定期間≧z)は、最短経路優先の設計方法を行うと判断する。
【0051】
設計方針判断部113においては、このアルゴリズム記憶部142に記憶された、要求帯域、設定開始時期、設定期間の少なくともいずれかをパラメータとし、最短経路優先の設計方法か、あるいは、増設設備最小優先の設計方法かを判断するアルゴリズムを用いて、新規に要求されるパスの設計方針を決定する。
【0052】
なお、本実施形態においては、ネットワーク設計装置10とネットワーク情報管理サーバ20とを分けた構成として説明しているが、それぞれの機能を1つの装置で行うことも可能である。
【0053】
次に、ネットワーク設計システム1の動作手順を図10を用いて説明する。図10は、本実施形態に係るネットワーク設計システムの処理の流れを示す図である。
【0054】
まず、ネットワーク運用者端末90からネットワーク設計装置10に対して、1つ以上の新規パス要求情報200(図3参照)が送信される(ステップS1001)。そして、ネットワーク設計装置10は、図2の新規パス要求情報取得部111が入出力部120を介して新規パス要求情報200を取得し、一時記憶部130に記憶する。
【0055】
次に、ネットワーク設計装置10は、図2のネットワーク情報取得部112が入出力部120を介して、ネットワーク情報管理サーバ20へネットワーク情報300(図4参照)を要求する(ステップS1002)。
【0056】
続いて、ネットワーク情報管理サーバ20は、このネットワーク情報300の要求に対する応答として、ネットワーク情報管理サーバ20が管理するネットワーク情報300をネットワーク設計装置10に送信する(ステップS1003)。ネットワーク設計装置10では、図2のネットワーク情報取得部112が入出力部120を介してネットワーク情報300を取得し、記憶部140内のネットワーク情報記憶部141に記憶する。
【0057】
そして、ネットワーク設計装置10は、図2の計算結果情報報告部116が、ネットワーク設計装置10によって設計された新規に要求されるパスについての、図9に示す新規パス設定情報410と設備増設情報420とを入出力部120を介して、ネットワーク運用者端末90に送信する(ステップS1004)。
【0058】
次に、ネットワーク設計装置10の動作手順について図11のフローチャートを用いて説明する(適宜図2参照)。図11は、本実施形態に係るネットワーク設計装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【0059】
まず、ネットワーク設計装置10の残余帯域更新部115は、ネットワーク情報記憶部141に記憶されたネットワーク情報300(図4参照)を参照し、パスの終了時期が経過した既存パスを切断し、切断したパスにより利用されていた各リンクの残余帯域322を更新する(ステップS1101)。
【0060】
続いて、設計方針判断部113が、一時記憶部130に記憶されている1つ以上の新規パス要求情報200(図3参照)の中から要求帯域の大きい順にパスの1つを選択する(ステップS1102)。このようにすることで、要求帯域の大きいパスを収容する前に、要求帯域の小さいパスを収容してしまい、本来要求帯域の大きいパスを収容できたはずのリンクの残余帯域が足りなくなった結果、その要求帯域の大きいパスを収容するために、設備増設が必要となるというような場合を避けることができる。
【0061】
次に、設計方針判断部113は、アルゴリズム記憶部142に記憶された、要求帯域、設定開始時期、設定期間の少なくともいずれかをパラメータとし、最短経路優先の設計方法か、あるいは、増設設備最小優先の設計方法かを判断するアルゴリズムを用いて、新規に要求されるパスの設計方針を決定する(ステップS1103)。
【0062】
そして、設計方針判断部113が判断した設計方針に基づいて、計算部114は、新規に要求されるパスの経路と、その経路上にパスを収容するために必要な設備配置位置と、設備増設量とを計算する(ステップS1104)。また、このとき、設計方針判断部113において、最短経路を優先して新規に要求されるパスを設計すると判断された場合で、最短となる経路が複数あるときは、その経路のうち設備増設量が最小となる経路を選択して計算する。一方、増設設備を最小にすることを優先して経路を選択した場合において、増設設備が最小となる経路が複数あるときは、その経路のうち最短経路となるものを選択して計算する。そして、計算部114は、その計算結果を一時記憶部130に記憶する。
【0063】
次に、ステップS1105において、計算部114は、新規に要求されるパスについて、設計方針を判断していないパスがあるか否かについて判断する(ステップS1105)。そして、設計方針を判断していない新規に要求されるパスがある場合には(ステップS1105→Yes)、残余帯域更新部115は、計算部114によって計算され、一時記憶部130に記憶された新規に要求されるパスの経路、設備配置位置、および設備増設量とネットワーク情報300(図4参照)とに基づいて、リンク情報320の各リンクの残余帯域322を更新する(ステップS1106)。続いてステップS1102に戻り、設計方針判断部113は、再び新規パス要求情報200の中から未処理の新規パス要求情報200の1つを選択し、同様の処理を行う。
【0064】
そして、ステップS1105において、設計方針を判断していない新規に要求されるパスがなくなった場合には(ステップS1105→No)、計算部114は、すべての新規に要求されるパスの処理を終えたとして、最終的に計算された計算結果情報400(図9参照)を計算結果情報記憶部143に記憶する。
【0065】
この計算結果情報400の具体的なデータ構造の一例を、図12と図13に示す。図12は、図9に示す計算結果情報に含まれる新規パス設定情報の具体的なデータ構成の一例を示した図である。図12に示す新規パス設定情報410は、新規パス要求情報200(図3参照)として取得した情報に加えて、計算部114で計算された計算結果である新規パスの経路情報411を含んで構成される。例えば、新規パスID「1」の新規パス設定情報410は、「ノードA→ノードB→ノードE」の経路を示す経路情報411であり、パスの要求帯域201が「2488Mbps」であり、パスの設定開始時期202が「2008年4月」であり、設定期間203が「4月」である。図13は、図9に示す計算結果情報に含まれる増設設備情報の具体的なデータ構成の一例を示した図である。図13に示す設備増設情報420は、計算部114により計算された新規パスの経路を収容するための設備配置位置421と設備増設量422とで構成される。例えば、設備配置位置421が「ノードAからノードB向きのインタフェース」において「25Gbps」の設備増設量422を設定する必要があることが示される。
【0066】
このようにすることで、最短経路を優先して新規に要求されるパスを設計するか、あるいは増設設備を最小にすることを優先して新規に要求されるパスを設計するかを所定の設計基準を基に判断し、新規に要求されるパスの経路情報411と、設備配置位置421と、設備増設量422とを計算することができる。さらに、新規に要求されるパスの設定開始時期における既存パスのネットワーク情報300や、新規に要求されるパスの設定開始時期202や設定期間203といった経時的要素を含む情報を用いてネットワーク設計を行うことができる。このことにより、設備コストの低減やパスの収容効率の向上を考慮したネットワーク設計が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本実施形態に係るネットワーク設計システムの一例を示す図である。
【図2】本実施形態に係るネットワーク設計装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【図3】本実施形態に係る新規パス要求情報のデータ構造を示す図である。
【図4】本実施形態に係るネットワーク情報のデータ構造を示す図である。
【図5】本実施形態に係るトポロジ情報のデータ構造を説明するための図である。
【図6】本実施形態に係るパスの最大帯域の一例を示す図である。
【図7】本実施形態に係るパスの残余帯域の一例を示す図である。
【図8】本実施形態に係る既存パス情報の一例を示す図である。
【図9】本実施形態に係る計算結果情報のデータ構造を示す図である。
【図10】本実施形態に係るネットワーク設計システムの処理の流れを示す図である。
【図11】本実施形態に係るネットワーク設計装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】本実施形態に係る新規パス設定情報の一例を示す図である。
【図13】本実施形態に係る設備増設情報の一例を示す図である。
【図14】最短経路優先の設計方法と、増設設備最小優先の設計方法とを説明するための図である。
【符号の説明】
【0068】
1 ネットワーク設計システム
10 ネットワーク設計装置
20 ネットワーク情報管理サーバ
30 データネットワーク
40 ノード
50 リンク
60 パス
70 第1の通信路
80 第2の通信路
90 ネットワーク運用者端末
110 制御部
111 新規パス要求情報取得部
112 ネットワーク情報取得部
113 設計方針判断部
114 計算部
115 残余帯域更新部
116 計算結果情報報告部
120 入出力部
130 一時記憶部
140 記憶部
141 ネットワーク情報記憶部
142 アルゴリズム記憶部
143 計算結果情報記憶部
200 新規パス要求情報
300 ネットワーク情報
400 計算結果情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノードと前記ノードを接続する複数のリンクとを備えるデータネットワーク上に、新規に要求されるパスを設定するためのネットワーク設計を行うネットワーク設計装置であって、
前記新規に要求されるパスの始点ノードの識別情報および終点ノードの識別情報と前記新規に要求されるパスの要求帯域とが含まれ、さらに前記新規に要求されるパスの、設定開始時期および設定期間の少なくとも一方を含めることができる新規パス要求情報を受信する入出力部と、
(1)前記データネットワークの各ノードと各リンクの接続関係を示すトポロジ情報と、(2)前記データネットワークの各ノードと接続するリンクごとに、当該リンクの最大帯域、および当該リンクの最大帯域から当該リンクを経由する各パスの設定帯域の合計値を差し引いた残余帯域を示すリンク情報と、(3)前記各ノード間に確立されたパスごとに、当該パスを収容するリンクを示した経路情報、当該パスの設定帯域、および当該パスの設定開始時期を含んだ既存パス情報と、を含むネットワーク情報が記憶されたネットワーク情報記憶部と、
前記新規に要求されるパスの、要求帯域、設定開始時期および設定期間のうち少なくともいずれかをパラメータとし、最短経路を優先して前記新規に要求されるパスを設計するか、あるいは前記新規に要求されるパスを収容するための増設設備を最小にすることを優先して前記新規に要求されるパスを設計するか、を判断するためのアルゴリズムが記憶されたアルゴリズム記憶部と、
前記受信した新規パス要求情報と前記ネットワーク情報とを用いて、最短経路を優先して前記新規に要求されるパスを設計するか、あるいは増設設備を最小にすることを優先して前記新規に要求されるパスを設計するか、を前記アルゴリズム記憶部に記憶されたアルゴリズムにより判断し、当該判断に基づき、前記新規に要求されるパスの経路と、前記経路においてパスを収容するときの設備配置位置および設備増設量を計算する制御部と、
を備えることを特徴とするネットワーク設計装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記入出力部が受信した1つ以上の新規パス要求情報の中から、前記新規に要求されるパスの1つを選択し、前記選択されたパスについて、前記アルゴリズム記憶部に記憶されたアルゴリズムにより、前記新規パス要求情報と前記ネットワーク情報とを用いて、最短経路を優先して前記新規に要求されるパスを設計するか、あるいは前記新規に要求されるパスを収容するための増設設備を最小にすることを優先して前記新規に要求されるパスを設計するかの設計方針を判断する設計方針判断部と、
前記設計方針判断部によって判断された前記設計方針に基づき、前記新規パス要求情報と前記ネットワーク情報とを用いて、前記新規に要求されるパスの経路と、当該経路に基づいてパスを収容するときの設備配置位置および設備増設量とを計算する計算部と、
前記計算部により計算された、前記新規に要求されるパスの経路と、前記設備配置位置および前記設備増設量とに基づいて、前記リンク情報の前記各リンクの残余帯域を更新する残余帯域更新部と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のネットワーク設計装置。
【請求項3】
前記設計方針判断部は、前記入出力部が受信した1つ以上の新規パス要求情報の中から、前記新規に要求されるパスの1つを選択する場合に、前記要求帯域の大きい順に前記新規に要求されるパスの1つを選択することを特徴とする請求項2に記載のネットワーク設計装置。
【請求項4】
前記計算部は、
前記設計方針判断部が、最短経路を優先して前記新規に要求されるパスを設計すると判断した場合において、
前記計算部により計算された前記新規に要求されるパスを設定すべき経路が複数あるとき、当該経路のうち、前記新規に要求されるパスを収容するための前記設備増設量が最小となる経路を選択することを特徴とする請求項2または請求項3に記載のネットワーク設計装置。
【請求項5】
前記計算部は、
前記設計方針判断部が、前記新規に要求されるパスを収容するための増設設備を最小にすることを優先して前記新規に要求されるパスを設計すると判断した場合において、
前記計算部により計算された前記新規に要求されるパスを収容するために必要な設備増設量が最小となる経路が複数あるとき、当該経路のうち最短経路となるものを選択することを特徴とする請求項2または請求項3に記載のネットワーク設計装置。
【請求項6】
複数のノードと前記ノードを接続する複数のリンクとを備えるデータネットワーク上に、新規に要求されるパスを設定するためのネットワーク設計を行うネットワーク設計装置を用いたネットワーク設計方法であって、
前記ネットワーク設計装置は、
(1)前記データネットワークの各ノードと各リンクの接続関係を示すトポロジ情報と、(2)前記データネットワークの各ノードと接続するリンクごとに、当該リンクの最大帯域、および当該リンクの最大帯域から当該リンクを経由する各パスの設定帯域の合計値を差し引いた残余帯域を示すリンク情報と、(3)前記各ノード間に確立されたパスごとに、当該パスを収容するリンクを示した経路情報、当該パスの設定帯域、および当該パスの設定開始時期を含んだ既存パス情報と、を含むネットワーク情報が記憶されたネットワーク情報記憶部と、
前記新規に要求されるパスの、要求帯域、設定開始時期および設定期間のうち少なくともいずれかをパラメータとし、最短経路を優先して前記新規に要求されるパスを設計するか、あるいは前記新規に要求されるパスを収容するための増設設備を最小にすることを優先して前記新規に要求されるパスを設計するか、を判断するためのアルゴリズムが記憶されたアルゴリズム記憶部と、を備え、
前記新規に要求されるパスの始点ノードの識別情報および終点ノードの識別情報と前記新規に要求されるパスの要求帯域とが含まれ、さらに前記新規に要求されるパスの、設定開始時期および設定期間の少なくとも一方を含めることができる新規パス要求情報を受信し、
前記受信した新規パス要求情報と前記ネットワーク情報とを用いて、最短経路を優先して前記新規に要求されるパスを設計するか、あるいは増設設備を最小にすることを優先して前記新規に要求されるパスを設計するか、を前記アルゴリズム記憶部に記憶されたアルゴリズムにより判断し、当該判断に基づき、前記新規に要求されるパスの経路と、前記経路においてパスを収容するときの設備配置位置および設備増設量を計算すること、
を特徴とするネットワーク設計方法。
【請求項7】
複数のノードと前記ノードを接続する複数のリンクとを備えるデータネットワークと、前記データネットワークおよびネットワーク運用者端末に通信回線を介して接続され、前記データネットワーク上に新規に要求されるパスを設定するためのネットワーク設計を行う請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のネットワーク設計装置と、を含むネットワーク設計システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−200781(P2009−200781A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−39940(P2008−39940)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】