ノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル
【課題】 製造が比較的容易でかつノイズ抑制効果の優れた新たな構造のインダクタンス素子を用いたノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルを提供すること。
【解決手段】 インダクタンス素子１４ａをアウトレットボディ３７内に収納した本発明のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル３０を用いることにより、電子機器の伝導ノイズと放射ノイズ抑制に最大の効果を得ることができる。
【解決手段】 インダクタンス素子１４ａをアウトレットボディ３７内に収納した本発明のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル３０を用いることにより、電子機器の伝導ノイズと放射ノイズ抑制に最大の効果を得ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、主として電子機器の交流線（ＡＣライン）からの電源供給のために用いられる電源コードの中でアウトレットボディ内にインダクタンス素子を収納しノイズフィルタ機能を付加したノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに関する。
【背景技術】
【０００２】
現在のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルはプラグボディ内にインダクタンス素子としてコモンモードチョークコイルを収納しているのが主流であり、第１の被覆導線及び第２の被覆導線からなり、プラグボディは、第１の差込刃及び第２の差込刃を備え電源コードは第１の被覆導線及び第２の被覆導線を備え、インダクタンス素子の第１の被覆導線と第１の差込刃と電源コードの第１の被覆導線が電気的に接続されており、インダクタンス素子の第２の被覆導線と第２の差込刃と電源コードの第２の被覆導線が電気的に接続されており、インダクタンス素子の有するインピーダンス成分によって機器から伝導及び放射されるノイズを抑制する性能を有する。
【０００３】
インダクタンス素子が高周波領域にて用いられる際にコイルの線間容量がノイズ抑制に与える悪影響を排除するために、磁気コアを接地すると共に接地された磁気コアに被覆導線を直接巻回することでコイルを形成する技術が提案されている（例えば、特許文献１及び特許文献２参照）。
【０００４】
これに対して、被覆導線における被覆の耐電圧などを問題とし、接地導体を形成された磁気コア上に、誘電体及び近接導体を順に形成し、更にその上に被覆導線を巻回することにより、磁気コアと被覆導線とを離し、それによって信頼性を高めたものも提案されている（特許文献３参照）。
【０００５】
【特許文献１】特開平９−１０２４２６号公報
【特許文献２】特開２００４−３１１８６６号公報
【特許文献３】特開２００４−２３５７０９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかしながら、磁気コアを接地することとすると、例えば、容量値の調整がしづらいなど設計上の自由度が低いという問題がある。また、その構造的特徴故に製造工程において、工程の難度が高く工数も多くかかるという問題もある。
【０００７】
また、プラグボディの制約サイズからインダクタンス素子を収納できる空間には限度があり、必然的にインダクタンス素子の大きさも限定され、インピーダンス成分の絶対量はあまり大きくすることができない。加えて、インダクタンス素子の巻線容量がインダクタンス素子の高周波特性を劣化させるため、プラグボディ内にインダクタンス素子を収納したノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルを使用するだけでは機器から伝導及び放射されるノイズの抑制には不十分であるという欠点があった。
【０００８】
そこで、本発明は、製造が比較的容易でかつノイズ抑制効果の優れた新たな構造のインダクタンス素子を用いたノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
本発明によれば、第１のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルとして、磁気コアと、被覆導線を巻回してなるコイルと、前記コイルの少なくとも一部に接触又は近接して設けられた誘電体と、前記コイル及び前記誘電体とキャパシタを形成する導電体とを備えたインダクタンス素子をアウトレットボディ内に収納したノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルであって、前記インダクタンス素子は前記磁気コアと前記導電体とは電気的に絶縁され、前記インダクタンス素子の被覆導線はアウトレットと電源コードの間に電気的に接続され、前記インダクタンス素子の導電体に接続されたグランド端子は三極のアウトレットのいずれかの端子又は二極のアウトレットのアース極に電気的に接続され、前記アウトレットボディは三極のアウトレット端子又は二極のアウトレット端子とアース極を有したもので、前記電源コードと前記アウトレットボディが一体化されていることを特徴とするノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。前記電源コードとアウトレットボディが一体成形されて、一体化されても良い。
【００１０】
更に、本発明によれば、第２のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルとして、第１のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルにおいて、前記磁気コアと前記導電体との間に、前記コイル及び前記誘電体が介在していることにより、前記磁気コアと前記導電体とは電気的に絶縁されているノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。
【００１１】
更に、本発明によれば、第３のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルとして、第１又は第２のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルにおいて、前記誘電体は、所定の肉厚を有し且つ前記コイルの外周を覆うようにして構成された包囲部材からなるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。
【００１２】
更に、本発明によれば、第４のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルとして、第１乃至第３のいずれかのノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルにおいて、前記磁気コアは、トロイダルコアであり、当該インダクタンス素子は、該磁気コアの全体を覆う絶縁体を更に備えており、前記被覆導線は、前記磁気コアを前記絶縁体に組み込んでなる組込体に巻回され、前記コイルを構成しており、前記誘電体は、該コイルの外周側部の少なくとも一部を覆っており、前記導電体は、当該誘電体の更に外側に設けられているノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。
【００１３】
更に、本発明によれば、第５のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルとして、第１のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルにおいて、前記誘電体は、所定の肉厚を有し、前記コイルは、少なくとも前記磁気コア、前記導電体及び前記誘電体に前記被覆導線を巻回してなるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。
【００１４】
更に、本発明によれば、第６のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルとして、第５のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルにおいて、前記磁気コアは、トロイダルコアであり、当該インダクタンス素子は、該磁気コアの全体を覆う絶縁体を更に備えており、前記導電体は、前記絶縁体の外側に設けられており、前記誘電体は、前記導電体の外側に設けられているノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。
【００１５】
更に、本発明によれば、第７のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルとして、第１乃至第６のいずれかのノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルにおいて、前記誘電体は、片面または両面に粘着層を備える絶縁シート又は絶縁テープからなるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。
【００１６】
更に、本発明によれば、第８のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルとして、第１乃至第７のいずれかかのノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルにおいて、前記誘電体は、シリコーン樹脂シート又はフッ素樹脂シートからなるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。
【００１７】
更に、本発明によれば、第９のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルとして、第１乃至第８のいずれかのノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルにおいて、前記導電体は、箔状導体であるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。
【００１８】
更に、本発明によれば、第１０のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルとして、第９のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルにおいて、前記箔状導体は、前記誘電体上に、金属メッキ、金属蒸着若しくは金属スパッタリングにより形成されたものであるか、又は、導電性塗料を塗布することにより形成されたものであるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。
【００１９】
更に、本発明によれば、第１１のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルとして、第９のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルにおいて、前記箔状導体は、前記誘電体上に、貼り合わされているノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。
【００２０】
更に、本発明によれば、第１２のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルとして、第１のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルにおいて、前記誘電体は、前記磁気コアと前記導電体とを離間しつつ保持可能な絶縁体モールドであり、前記被覆導線は、前記誘電体上に巻回されているノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。
【００２１】
更に、本発明によれば、第１３のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルとして、第１２のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルにおいて、前記誘電体は、前記導電体を内含すると共に当該導電体から離れた位置に前記磁気コアを収容するコア収容部を有するようにして、形成されているノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。
【００２２】
更に、本発明によれば、第１４のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルとして、第１２又は第１３のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルにおいて、前記磁気コアは、トロイダルコアであり、前記誘電体は、トロイダル状の外観を有しており、前記被覆導線は、前記誘電体に巻回され、前記コイルを構成しているノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。
【００２３】
更に、本発明によれば、第１５のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルとして、第１４のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルにおいて、前記導電体は、前記磁気コアよりも前記誘電体の外周側面に近い位置に設けられているノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。
【００２４】
更に、本発明によれば、第１６のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルとして、第１４のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルにおいて、前記導電体は、前記磁気コアよりも前記誘電体の内周側面に近い位置に設けられているノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。
【００２５】
更に、本発明によれば、第１７のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルとして、第１乃至第１６のいずれかのノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルにおいて、前記導電体に接続されたグランド端子を更に備えているノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。
【００２６】
更に、本発明によれば、第１８のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルとして、第１乃至第１７のいずれかのノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルにおいて、前記磁気コアは、１００００以上の透磁率を有するノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。
【００２７】
更に、本発明によれば、第１乃至第１８のいずれかのノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルを備えたノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。
【００２８】
本発明によれば、第二のノイズフィルタ付きＡＣ電源コードとして第１の被覆導線及び第２の被覆導線からなり、更にグランド端子を有しており、前記アウトレットボディは、第１の端子及び第２の端子及び第３の端子又はアース極を備え、前記電源コードは第１の被覆導線及び第２の被覆導線及び第３の被覆導線を備え、インダクタンス素子の第１の被覆導線と第１の端子と電源コードの第１の被覆導線が電気的に接続されており、インダクタンス素子の第２の被覆導線と第２の端子と電源コードの第２の被覆導線が電気的に接続されており、インダクタンス素子のグランド端子と第３の端子又はアース極と電源コードの第３の被覆導線が電気的に接続されているノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。
【発明の効果】
【００２９】
本発明によれば、設定上の自由度が高まり、且つ、電気的信頼性の高いインダクタンス素子を得ることができ、本発明によるインダクタンス素子を用いてノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルを構成することとすると、減衰特性を高周波側まで広帯域化することができる。
【００３０】
なお、ノイズフィルタには、ノーマルモードノイズを除去するためのコンデンサ素子（アクロスザラインコンデンサ；Ｘコン）及びコモンモードノイズを除去するためのコンデンサ素子（ラインバイパスコンデンサ；Ｙコン）を備えるものがある。ここで、ノーマルモードノイズとは、ノイズフィルタの入力線間に発生するノイズを示す。一方、コモンモードノイズとは、ノイズフィルタの入力線間とは別な基準電位との間に発生するノイズを示す。
【００３１】
本発明のインダクタンス素子を使用したノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルを用いた場合、Ｙコンを省略したとしてもノイズの除去を好適化することができる。即ち、本発明によれば、Ｙコンに起因した漏洩電流を低減しつつ所望とする減衰特性を得ることができる。
【００３２】
また、導電体により十分な容量を有するキャパシタをインダクタに対して負荷とすることができることから、インダクタンス素子単独でもフィルタを構成することができる。なお、このことは、本発明によるインダクタンス素子とキャパシタとを組み合わせてノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルを構成することを制限するものではない。
【００３３】
また、本発明によればプラグボディの制約サイズからインダクタンス素子を収納できる空間には限度があり、必然的にインダクタンス素子の大きさも限定されるプラグボディ内に変わってアウトレットボディ内であればインダクタンス素子の大きさもある程度大きくすることが可能であり、同時に新たな構造のインダクタンス素子を用いることによってグランドとの間にキャパシタンス成分が形成され高周波帯においても十分な減衰量を獲得することが出来、機器から伝導及び放射されるノイズの抑制に十分な特性を有することができる。また、構造自体も従来のインダクタンス素子と比較して、製造がそれほど難しくなく、従来の磁気コアの接地を必要とするような構成と比較すると製造が困難ではない。
【００３４】
更に、新たな構造のインダクタンス素子のキャパシタンス成分は、アウトレットボディのアース極の端子と接続されるため、電子機器の前線において伝導ノイズ及び放射ノイズを抑制することが可能であり、従来電子機器のノイズフィルタ回路を飛び越えて伝達される伝搬路のノイズについても容易に除去することができるという効果を併せ持つ。
【００３５】
更に、新たな構造のインダクタンス素子のキャパシタンス成分は、アウトレットボディのアース極の端子と接続されるため、電子機器の前線において大地に接地することが可能であり、接地抵抗を極限まで小さくすることが実現できるため電子機器の伝導ノイズと放射ノイズ抑制に最大の効果を得ることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【００３６】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。以下に説明する実施の形態におけるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子は、コモンモード用のものであり、被覆導線を２本備えて構成したものであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、被覆導線を１本のみ用いたノーマルモード用のインダクタンス素子にも適用可能である。
【００３７】
（第１の実施の形態）
図１乃至図３に示されるように、本発明の第１の実施の形態によるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子１４ａは、トロイダル形状の磁気コア１５ａと、磁気コア１５ａの全体を覆う絶縁性ケース１６ａと、絶縁性ケース１６ａに磁気コア１５ａを組み込んでなる組込体に被覆導線１７，１８を巻回して形成したコイルと、コイルの外周部を覆うリング状の誘電体２２と、誘電体２２をコイル（被覆導線１７，１８）と挟むことでコイル（被覆導線１７，１８）及び誘電体２２とキャパシタを形成する箔状導体２３ａと、箔状導体２３ａから引き出されたグランド端子２１を備えている。図１から明らかなように、本実施の形態においては、磁気コア１５ａと箔状導体２３ａとの間に、絶縁性ケース１６ａ、コイル（被覆導線１７，１８）及び誘電体２２が介在していることにより、磁気コア１５ａと箔状導体２３ａとは電気的に絶縁されている。
【００３８】
本実施の形態における磁気コア１５ａは、１００００程度の初期透磁率を有している。一般的な磁性材料の初期透磁率は約５０００程度であるので、本実施の形態において使用した磁性材料の透磁率はその約２倍である。このように、高透磁率材料を用いると、減衰特性を劣化させることなく体積を小さくすることができる。なお、小型化を主目的としない場合には一般的な磁性材料を用いても良い。
【００３９】
被覆導線１７，１８は、例えば、ウレタン線又はエナメル線からなる。尚、被覆導線１７，１８のリード部分は、実際には図３に示されるように等間隔に引き出されるものであるが、図１においては、理解を容易にするために幾分間隔をずらして示してある。
【００４０】
本実施の形態における誘電体２２は、図示されたように、所定の肉厚を有するリング状のものであるが、例えば、一部切り離されたＣ字状のものや他の形状であってもよく。また、より薄い絶縁シートや絶縁テープを用いて構成することとしても良い。絶縁シートの場合、コイル外周側面部への接着用としてシートの片面に粘着層を設けることとしても良いし、製造時に、絶縁シートを接着剤でコイル外周側面に貼付することとしても良い。
【００４１】
本実施の形態における箔状導体２３ａは、誘電体２２の外周面上の一部に銅をスパッタリングすることにより形成されたものである。箔状導体２３ａは、銅箔に代えて、例えば、アルミニウム箔、銀箔若しくは金箔のいずれか、又はそれらの金属を含む合金箔であっても良い。箔状導体２３ａは、スパッタリングに代えて、金属メッキ若しくは金属蒸着により形成されても良いし、導電性塗料を誘電体２２上に塗布することにより形成することとしても良い。加えて、別途形成された箔状導体２３ａを誘電体２２上に貼付することとしても良い。箔状導体２３ａは、外周面上の一部のみならず、外周面上の全部を覆うこととしても良い。被覆導線１７，１８と十分容量の大きいキャパシタを形成しうるのであれば、箔状導体２３ａに代えて、他の形状の導電体を用いても良い。
【００４２】
なお、箔状導体２３ａにより被覆導線１７，１８を覆う個所や面積等は、被覆導線１７，１８の巻回数（ターン数），太さ，長さや、磁気コア１５ａの大きさ，材料特性等により適宜変更することが可能である。
【００４３】
本実施の形態におけるグランド端子２１は、図１乃至図３に示されるように、被覆導線１７，１８のリード部分のいずれからも同一距離となる部分に一つのみ設けてあるが、例えば、図４に示されるように、２つ設けることとしても良いし、それらグランド端子２１間の間隔を被覆導線１７，１８よりも大きくすることとしても良い。
【００４４】
かかる構成を備えるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子１４ａについてグランド端子２１を接地して用いると、高周波数帯域においても減衰特性が劣化することなく、比較的広い周波数範囲に亘って良好な減衰特性を得ることができる。
【００４５】
特に、本実施の形態においては、箔状導体２３ａは、トロイダル状の磁気コア１５ａよりも径方向外側に設けられている。このため、磁気コア１５ａの外周よりも箔状導体２３ａの面積を大きくとることができ、従って、磁気コア１５ａを直に接地する従来技術と比較して、被覆導体１７，１８に付加するキャパシタの容量を大きくとることができる。
【００４６】
（第２の実施の形態）
図５乃至図７に示されるように、本発明の第２の実施の形態によるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子１４ａ’は、前述の第１の実施の形態によるノイズフィルタ付き電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子１４ａの変形例であり、従って、以下においては両者の異なる部分のみについて説明し、第１の実施の形態によるノイズフィルタ付き電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子と同一構成を有する構成要素については、図５乃至図７において、図１乃至図３で用いた参照符号と同一の参照符号を付し、説明を省略することとする。
【００４７】
図５乃至図７に示されるように、本実施の形態におけるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子１４ａ’は、２つに分割された箔状導体２３ｂ、２３ｂ’を備えており、夫々、被覆導線１７及び被覆導線１８に対応するように設けられている。このように、箔状導体２３ｂ、２３ｂ’を２つに分割した結果、グランド端子２１も一対設けられている。
【００４８】
（第３の実施の形態）
図８乃至図１０に示されるように、本発明の第３の実施の形態によるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子１４ａ”もまた、前述の第１の実施の形態によるノイズフィルタ付き電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子１４ａの変形例であり、従って、以下においては両者の異なる部分のみについて説明し、第１の実施の形態によるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子と同一構成を有する構成要素については、図８乃至図１０において、図１乃至図３で用いた参照符号と同一の参照符号を付し、説明を省略することとする。
【００４９】
図８乃至図１０に示されるように、本実施の形態におけるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子１４ａ”は、誘電体２２のうち被覆導線１７，１８のリード部分近傍を除く部分を覆うようにして設けられた箔状導体２３ｃを備えている。加えて、グランド端子２１も一対設けられている。
【００５０】
（第４の実施の形態）
図１１乃至図１３に示されるように、本発明の第４の実施の形態によるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子１４ｂは、トロイダル形状の磁気コア１５ｂと、磁気コア１５ｂの全体を覆う絶縁性ケース１６ｂと、絶縁ケース１６ｂの外側に設けられたＣ字状の箔状導体２３ｄと、箔状導体２３ｄの外側に設けられた誘電体２２と、誘電体２２に設けられた孔を通じて箔状導体２３ｄから引き出されたグランド端子２１と、コイル（被覆導線１７、１８）とを備えている。本実施の形態における被覆導線１７、１８は、夫々、磁気コア１５ｂ、絶縁ケース１６ｂ、箔状導体２３ｄ、誘電体２２に巻回してコイルを形成している。なお、以下においては、第１の実施の形態と異なる部分のみについて説明し、第１の実施の形態によるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子と同一構成を有する構成要素については、図１１乃至図１３おいて、図１乃至図３で用いた参照符合と同一の参照符号又は類する参照符号を付し、説明を省略することとする。
【００５１】
本実施の形態においては、箔状導体２３ｄとコイル（被覆導線１７、１８）との間に誘電体２２が介在することによりキャパシタが形成される一方、図１１から明らかなように、磁気コア１５ｂと箔状導体２３ｄとの間に絶縁性ケース１６ｂが設けられていることにより電気的に絶縁されている。
【００５２】
本実施の形態におけるグランド端子２１は、図１１乃至図１３に示されるように、被覆導線１７、１８のリード部分のいずれからも同一の距離となる部分に一つのみ設けてあるが、例えば、図１４に示されるように、２つ設けることとしても良いし、それらグランド端子２１間の間隔を被覆導線１７、１８よりも大きくすることとしてもよい。
【００５３】
（第５の実施の形態）
図１５乃至図１８に示されるように、本発明の第５の実施の形態によるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子１４ｃは、トロイダル形状の磁気コア１５ｃと、Ｃ字状を有する薄板状導体２４ａと、トロイダル状の外観を有し且つ磁気コア１５ｃと薄板状導体２４ａとを離間しつつ保持する絶縁体モールドで構成された誘電体１６ｃと、誘電体１６ｃに被覆導線１７，１８を巻回してなるコイルと、誘電体１６ｃに設けられた孔を通じて薄板状導体２４ａから引き出されたグランド端子２１を備えている。なお、以下においては第１の実施の形態と異なる部分のみについて説明し、第１の実施の形態によるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子と同一構成を有する構成要素については、図１５乃至図１８において、図１乃至図３で用いた参照符号と同一の参照符号を付し、説明を省略することとする。
【００５４】
本実施の形態においては、薄板状導体２４ａとコイル（被覆導線１７，１８）との間に誘電体１６ｃが介在することによりキャパシタが形成される一方、図１５及び図１８から明らかなように、磁気コア１５ｃと薄板状導体２４ａとの間も誘電体１６ｃにより電気的に絶縁されている。
【００５５】
本実施の形態における誘電体１６ｃは、図１８に示されるように、主部１６ｃ１と蓋部１６ｃ２とからなる。主部１６ｃ１の外周側面１６ｃ４よりにはモールド形成時に埋め込まれた薄板状導体２４ａが保持されており、主部１６ｃ１の内周側面１６ｃ５よりにはコア収容部１６ｃ３を構成するドーナツ状の凹部が形成されている。このことから明らかなように、本実施の形態においては、薄板状導体２４ａは、磁気コア１５ｃよりも誘電体１６ｃの外周側面１６ｃ４に近い位置に設けられている。このため、薄板状導体２４ａの面積を大きくとることができ、従って、被覆導体１７，１８に付加するキャパシタの容量を大きくとることができる。なお、薄板状導体２４ａを被覆導線１７，１８と対向させる個所や面積等は、被覆導線１７，１８の巻回数（ターン数），太さ，長さや、磁気コア１５ｃの大きさ，材料特性等により適宜変更することができる。
【００５６】
本実施の形態におけるグランド端子２１は、図１５乃至図１７に示されるように、被覆導線１７，１８のリード部分のいずれからも同一距離となる部分に一つのみ設けてあるが、第１の実施の形態の場合と同様に、例えば、図４に示されるように、２つ設けることとしても良いし、それらグランド端子２１間の間隔を被覆導線１７，１８よりも大きくすることとしても良い。
【００５７】
（第６の実施の形態）
図１９乃至図２２に示されるように、本発明の第６の実施の形態によるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子１４ｃ’は、前述の第５の実施の形態によるインダクタンス素子１４ｃの変形例であり、従って、以下においては両者の異なる部分のみについて説明し、第５の実施の形態によるノイズフィルタ付き電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子と同一構成を有する構成要素については、図１９乃至図２２において、図１５乃至図１８で用いた参照符号と同一の参照符号を付し、説明を省略することとする。
【００５８】
図１９乃至図２１に示されるように、本実施の形態におけるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子１４ｃ’は、２つに分割された薄板状導体２４ｂ、２４ｂ’を備えており、夫々、被覆導線１７及び被覆導線１８に対応するように設けられている。このように、薄板状導体２４ｂ、２４ｂ’を２つに分割した結果、グランド端子２１も一対設けられている。
【００５９】
本実施の形態における誘電体１６ｃ’は、図２２に示されるように、主部１６ｃ’１と蓋部１６ｃ’２とからなる。主部１６ｃ’１の外周側面１６ｃ’４よりにはモールド形成時に埋め込まれた薄板状導体２４ｂ、２４ｂ’が保持されており、主部１６ｃ’１の内周側面１６ｃ’５よりにはコア収容部１６ｃ’３を構成するドーナツ状の凹部が形成されている。このことから明らかなように、本実施の形態においては、薄板状導体２４ｂ、２４ｂ’は、磁気コア１５ｃよりも誘電体１６ｃ’の外周側面１６ｃ’４に近い位置に設けられている。
【００６０】
（第７の実施の形態）
図２３乃至図２６に示されるように、本発明の第７の実施の形態によるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子１４ｃ”もまた、前述の第５の実施の形態によるノイズフィルタ付き電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子１４ｃの変形例であり、従って、以下においては両者の異なる部分のみについて説明し、第５の実施の形態によるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子と同一構成を有する構成要素については、図２３乃至図２６において、図１５乃至図１８で用いた参照符号と同一の参照符号を付して、説明を省略することとする。
【００６１】
図２３乃至図２５に示されるように、本実施の形態におけるインダクタンス素子１４ｃ”は、被覆導線１７，１８のリード部側に開いたＣ字状断面を有する薄板状導体２４ｃを備えている。加えて、グランド端子２１も一対設けられている。
【００６２】
本実施の形態における誘電体１６ｃ”は、図２６に示されるように、主部１６ｃ”１と蓋部１６ｃ”２とからなる。主部１６ｃ”１の外周側面１６ｃ”４よりにはモールド形成時に埋め込まれた薄板状導体２４ｃが保持されており、主部１６ｃ”１の内周側面１６ｃ”５よりにはコア収容部１６ｃ”３を構成するドーナツ状の凹部が形成されている。このことから明らかなように、本実施の形態においても、薄板状導体２４ｃは、磁気コア１５ｃよりも誘電体１６ｃ”の外周側面１６ｃ”４に近い位置に設けられている。
【００６３】
（第８の実施の形態）
図２７乃至図３０に示されるように、本発明の第８の実施の形態によるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子１４ｄは、トロイダル形状の磁気コア１５ｄと、Ｃ字状を有する薄板状導体２５ａと、トロイダル状の外観を有し且つ磁気コア１５ｄと薄板状導体２５ａとを離間しつつ保持する絶縁体モールドで構成された誘電体１６ｄと、誘電体１６ｄに被覆導線１７，１８を巻回してなるコイルと、誘電体１６ｄに設けられた孔を通じて薄板状導体２５ａと電気的に接続されたグランド端子２１を備えている。なお、以下においては第５の実施の形態と異なる部分のみについて説明し、第５の実施の形態によるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子と同一構成を有する構成要素については、図２７乃至図３０において、図１５乃至図１８で用いた参照符号と同一の参照符号又は類する参照符号を付し、説明を省略することとする。
【００６４】
本実施の形態においては、薄板状導体２５ａとコイル（被覆導線１７，１８）との間に誘電体１６ｄが介在することによりキャパシタが形成される一方、図２７及び図２９から明らかなように、磁気コア１５ｄと薄板状導体２５ａとの間も誘電体１６ｄにより電気的に絶縁されている。
【００６５】
本実施の形態における誘電体１６ｄは、図３０に示されるように、主部１６ｄ１と蓋部１６ｄ２とからなる。主部１６ｄ１の内周側面１６ｄ５よりにはモールド形成時に埋め込まれた薄板状導体２５ａが保持されており、主部１６ｄ１の外周側面１６ｄ４よりにはコア収容部１６ｄ３を構成するドーナツ状の凹部が形成されている。このことから明らかなように、本実施の形態においては、薄板状導体２５ａは、磁気コア１５ｄよりも誘電体１６ｄの内周側面１６ｄ５に近い位置に設けられている。
【００６６】
（第９の実施の形態）
図３１及び図３４に示されるように、本発明の第９の実施の形態は、第１の実施の形態におけるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子１４ａを備えるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに関するものである。図３１において、第１の実施の形態によるノイズフィルタ付き電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子と同一構成を有する構成要素については、図１又は図２で用いた参照符号と同一の参照符号を付し、以下においては、それら構成要素についての説明を省略することとする。
【００６７】
図３１に示されるとおり、本実施の形態におけるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルは、インダクタンス素子１４ａと、アウトレット端子３２と、電源コード３５とから構成されている。インダクタンス素子１４ａを台座３１に配置し、台座３１には入力端子３３ａ、３３ｂ、アース端子３３ｃとグランド金具３４が装着されている。インダクタンス素子１４ａの被覆導線１７、１８は、入力端子３３ａ及び３３ｂに電気的に接続され且つインダクタンス素子１４ａのグランド端子２１はグランド金具３４に電気的に接続される。又、端子３３ｃについてもグランド金具３４に電気的に接続される。インダクタンス素子１４ａの対向する被膜導線１７、１８は電源コード３５の電源コードの被膜導線３６ａ、３６ｂにそれぞれ電気的に接続され、電源コード３５の電源コードの被膜導線３６ｃは台座３１のグランド金具３４に電気的に接続される。前記電気的な接続手法は、からげ・かしめ・半田付け・溶接等あらゆる手法により電気的に接続することを含める。インダクタンス素子１４ａを台座３１上に配置し、前記接続が完了した状態でアウトレットボディ３７を一体成型又は一体化し、ノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが完成する。
【００６８】
図３２は、図３１のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルの回路構成図、図３３は、従来のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルと本発明のノイズフィルタ付き電源ケーブルの減衰特性図、図３４は、従来のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルと本発明のノイズフィルタ付き電源ケーブルの構成比較図である。
【００６９】
本発明においては、これらからわかるようにアウトレットボディに設けたノイズフィルタが用いられており、しかも本構造のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル３０は、図３３から理解されるとおり、従来のインダクタンス素子を備えたノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルよりも１０ｋＨｚ〜２０ＭＨｚの広周波帯域において優れた減衰特性を示している。この優れた減衰特性は、グランド端子２１を接地接続することで被覆導線１７及び被覆導線１８間に発生する線間容量の一部がキャンセルされることに起因していると考えられる。
【００７０】
以上説明したように、本実施の形態によれば、Ｙコンを省略することでＹコンからの漏洩電流を低減しつつ、上述のような優れた減衰特性を得ることができる。
【００７１】
以上、本第９の実施の形態として、第１の実施の形態におけるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子１４ａを備えるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル３０について説明したが、インダクタンス素子１４ａに代えて第２乃至第８いずれかの実施の形態におけるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子を用いることとしてもよい。また、第１乃至第８の実施の形態のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子のようなトロイダル形状の磁性体コアを有するものに代えて、磁性体コアを装着可能な絶縁性ボビンを用い、その絶縁性ボビンへ被覆導線を巻回してなるような構造を有するノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子を用いることも可能である。
【００７２】
上述したノイズフィルタ付き電源ケーブルは、Ｙコンを有しないものであったが、アウトレット端子３２とグランド金具３４との間に接続されたＹコンを更に備えた構成としてもよいし、Ｘコンを省略し、Ｙコンのみを備えた構成としてもよい。
【００７３】
以上、具体的な例を用いて、この発明の実施の形態を説明したが、この発明は、これらの具体例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。すなわち、当業者であれば、当然なしえるであろう各種変形、修正もまた本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【００７４】
本発明の、ノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルを用いることにより、電子機器の伝導ノイズと放射ノイズ抑制に最大の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【００７５】
【図１】本発明の第１の実施の形態に係るノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるコモンモード用インダクタンス素子を示す平面図。
【図２】図１に示されるインダクタンス素子の側面図。
【図３】図１に示されるインダクタンス素子の底面図。
【図４】図３に示されるインダクタンス素子の変形例を示す底面図。
【図５】本発明の第２の実施の形態に係るノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるコモンモード用インダクタンス素子を示す平面図。
【図６】図５に示されるインダクタンス素子の側面図。
【図７】図５に示されるインダクタンス素子の底面図。
【図８】本発明の第３の実施の形態に係るノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるコモンモード用インダクタンス素子を示す平面図。
【図９】図８に示されるインダクタンス素子の側面図。
【図１０】図８に示されるインダクタンス素子の底面図。
【図１１】本発明の第４の実施の形態に係るノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるコモンモード用インダクタンス素子を示す平面図。
【図１２】図１１に示されるインダクタンス素子の側面図
【図１３】図１１に示されるインダクタンス素子の底面図。
【図１４】図１１に示されるインダクタンス素子の変形例を示す底面図。
【図１５】本発明の第５の実施の形態に係るノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるコモンモード用インダクタンス素子を示す平面図。
【図１６】図１５に示されるインダクタンス素子の側面図。
【図１７】図１５に示されるインダクタンス素子の底面図。
【図１８】図１５に示されるインダクタンス素子に含まれる誘電体及び薄板状導体を示す断面図。
【図１９】本発明の第６の実施の形態に係るノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるコモンモード用インダクタンス素子を示す平面図。
【図２０】図１９に示されるインダクタンス素子の側面図。
【図２１】図１９に示されるインダクタンス素子の底面図。
【図２２】図１９に示されるインダクタンス素子に含まれる誘電体及び薄板状導体を示す断面図。
【図２３】本発明の第７の実施の形態に係るノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるコモンモード用インダクタンス素子を示す平面図。
【図２４】図２３に示されるインダクタンス素子の側面図。
【図２５】図２３に示されるインダクタンス素子の底面図。
【図２６】図２３に示されるインダクタンス素子に含まれる誘電体及び薄板状導体を示す断面図。
【図２７】本発明の第８の実施の形態に係るノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるコモンモード用インダクタンス素子を示す平面図。
【図２８】図２７に示されるインダクタンス素子の側面図。
【図２９】図２７に示されるインダクタンス素子の底面図。
【図３０】図２７に示されるインダクタンス素子に含まれる誘電体及び薄板状導体を示す断面図。
【図３１】本発明の第９の実施の形態に係るノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルを示す平面図。
【図３２】図３１に示されるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルの回路構成図。
【図３３】従来のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルと本発明のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルの減衰特性図。
【図３４】従来のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルと本発明のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルの構成比較図。
【符号の説明】
【００７６】
１４ａ，１４ａ’，１４ａ”，１４ｂ，１４ｃ，１４ｃ’，１４ｃ”，１４ｄ インダクタンス素子
１５ａ、１５ｂ、１５ｃ、１５ｄ 磁気コア
１６ａ、１６ｂ 絶縁性ケース
１６ｃ、１６ｃ’、１６ｃ”、１６ｄ 誘電体
１６ｃ１、１６ｃ’１、１６ｃ”１、１６ｄ１ 主部
１６ｃ２、１６ｃ’２、１６ｃ”２、１６ｄ２ 蓋部
１６ｃ３、１６ｃ’３、１６ｃ”３、１６ｄ３ コア収容部
１６ｃ４、１６ｃ’４、１６ｃ”４、１６ｄ４ 外周側面
１６ｃ５、１６ｃ’５、１６ｃ”５、１６ｄ５ 内周側面
１７、１８ 被覆導線
２１ グランド端子
２２ 誘電体
２３ａ、２３ｂ、２３ｂ’、２３ｃ、２３ｄ 箔状導体
２４ａ、２４ｂ、２４ｂ’、２４ｃ、２５ａ 薄板状導体
３０ ノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル
３１ 台座
３２ アウトレット端子
３３ａ、３３ｂ 入力端子
３３ｃ アース端子
３４ グランド金具
３５ 電源コード
３６ａ、３６ｂ、３６ｃ 電源コードの被覆導線
３７ アウトレットボディ
【技術分野】
【０００１】
本発明は、主として電子機器の交流線（ＡＣライン）からの電源供給のために用いられる電源コードの中でアウトレットボディ内にインダクタンス素子を収納しノイズフィルタ機能を付加したノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに関する。
【背景技術】
【０００２】
現在のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルはプラグボディ内にインダクタンス素子としてコモンモードチョークコイルを収納しているのが主流であり、第１の被覆導線及び第２の被覆導線からなり、プラグボディは、第１の差込刃及び第２の差込刃を備え電源コードは第１の被覆導線及び第２の被覆導線を備え、インダクタンス素子の第１の被覆導線と第１の差込刃と電源コードの第１の被覆導線が電気的に接続されており、インダクタンス素子の第２の被覆導線と第２の差込刃と電源コードの第２の被覆導線が電気的に接続されており、インダクタンス素子の有するインピーダンス成分によって機器から伝導及び放射されるノイズを抑制する性能を有する。
【０００３】
インダクタンス素子が高周波領域にて用いられる際にコイルの線間容量がノイズ抑制に与える悪影響を排除するために、磁気コアを接地すると共に接地された磁気コアに被覆導線を直接巻回することでコイルを形成する技術が提案されている（例えば、特許文献１及び特許文献２参照）。
【０００４】
これに対して、被覆導線における被覆の耐電圧などを問題とし、接地導体を形成された磁気コア上に、誘電体及び近接導体を順に形成し、更にその上に被覆導線を巻回することにより、磁気コアと被覆導線とを離し、それによって信頼性を高めたものも提案されている（特許文献３参照）。
【０００５】
【特許文献１】特開平９−１０２４２６号公報
【特許文献２】特開２００４−３１１８６６号公報
【特許文献３】特開２００４−２３５７０９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかしながら、磁気コアを接地することとすると、例えば、容量値の調整がしづらいなど設計上の自由度が低いという問題がある。また、その構造的特徴故に製造工程において、工程の難度が高く工数も多くかかるという問題もある。
【０００７】
また、プラグボディの制約サイズからインダクタンス素子を収納できる空間には限度があり、必然的にインダクタンス素子の大きさも限定され、インピーダンス成分の絶対量はあまり大きくすることができない。加えて、インダクタンス素子の巻線容量がインダクタンス素子の高周波特性を劣化させるため、プラグボディ内にインダクタンス素子を収納したノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルを使用するだけでは機器から伝導及び放射されるノイズの抑制には不十分であるという欠点があった。
【０００８】
そこで、本発明は、製造が比較的容易でかつノイズ抑制効果の優れた新たな構造のインダクタンス素子を用いたノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
本発明によれば、第１のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルとして、磁気コアと、被覆導線を巻回してなるコイルと、前記コイルの少なくとも一部に接触又は近接して設けられた誘電体と、前記コイル及び前記誘電体とキャパシタを形成する導電体とを備えたインダクタンス素子をアウトレットボディ内に収納したノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルであって、前記インダクタンス素子は前記磁気コアと前記導電体とは電気的に絶縁され、前記インダクタンス素子の被覆導線はアウトレットと電源コードの間に電気的に接続され、前記インダクタンス素子の導電体に接続されたグランド端子は三極のアウトレットのいずれかの端子又は二極のアウトレットのアース極に電気的に接続され、前記アウトレットボディは三極のアウトレット端子又は二極のアウトレット端子とアース極を有したもので、前記電源コードと前記アウトレットボディが一体化されていることを特徴とするノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。前記電源コードとアウトレットボディが一体成形されて、一体化されても良い。
【００１０】
更に、本発明によれば、第２のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルとして、第１のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルにおいて、前記磁気コアと前記導電体との間に、前記コイル及び前記誘電体が介在していることにより、前記磁気コアと前記導電体とは電気的に絶縁されているノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。
【００１１】
更に、本発明によれば、第３のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルとして、第１又は第２のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルにおいて、前記誘電体は、所定の肉厚を有し且つ前記コイルの外周を覆うようにして構成された包囲部材からなるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。
【００１２】
更に、本発明によれば、第４のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルとして、第１乃至第３のいずれかのノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルにおいて、前記磁気コアは、トロイダルコアであり、当該インダクタンス素子は、該磁気コアの全体を覆う絶縁体を更に備えており、前記被覆導線は、前記磁気コアを前記絶縁体に組み込んでなる組込体に巻回され、前記コイルを構成しており、前記誘電体は、該コイルの外周側部の少なくとも一部を覆っており、前記導電体は、当該誘電体の更に外側に設けられているノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。
【００１３】
更に、本発明によれば、第５のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルとして、第１のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルにおいて、前記誘電体は、所定の肉厚を有し、前記コイルは、少なくとも前記磁気コア、前記導電体及び前記誘電体に前記被覆導線を巻回してなるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。
【００１４】
更に、本発明によれば、第６のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルとして、第５のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルにおいて、前記磁気コアは、トロイダルコアであり、当該インダクタンス素子は、該磁気コアの全体を覆う絶縁体を更に備えており、前記導電体は、前記絶縁体の外側に設けられており、前記誘電体は、前記導電体の外側に設けられているノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。
【００１５】
更に、本発明によれば、第７のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルとして、第１乃至第６のいずれかのノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルにおいて、前記誘電体は、片面または両面に粘着層を備える絶縁シート又は絶縁テープからなるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。
【００１６】
更に、本発明によれば、第８のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルとして、第１乃至第７のいずれかかのノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルにおいて、前記誘電体は、シリコーン樹脂シート又はフッ素樹脂シートからなるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。
【００１７】
更に、本発明によれば、第９のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルとして、第１乃至第８のいずれかのノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルにおいて、前記導電体は、箔状導体であるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。
【００１８】
更に、本発明によれば、第１０のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルとして、第９のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルにおいて、前記箔状導体は、前記誘電体上に、金属メッキ、金属蒸着若しくは金属スパッタリングにより形成されたものであるか、又は、導電性塗料を塗布することにより形成されたものであるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。
【００１９】
更に、本発明によれば、第１１のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルとして、第９のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルにおいて、前記箔状導体は、前記誘電体上に、貼り合わされているノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。
【００２０】
更に、本発明によれば、第１２のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルとして、第１のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルにおいて、前記誘電体は、前記磁気コアと前記導電体とを離間しつつ保持可能な絶縁体モールドであり、前記被覆導線は、前記誘電体上に巻回されているノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。
【００２１】
更に、本発明によれば、第１３のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルとして、第１２のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルにおいて、前記誘電体は、前記導電体を内含すると共に当該導電体から離れた位置に前記磁気コアを収容するコア収容部を有するようにして、形成されているノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。
【００２２】
更に、本発明によれば、第１４のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルとして、第１２又は第１３のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルにおいて、前記磁気コアは、トロイダルコアであり、前記誘電体は、トロイダル状の外観を有しており、前記被覆導線は、前記誘電体に巻回され、前記コイルを構成しているノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。
【００２３】
更に、本発明によれば、第１５のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルとして、第１４のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルにおいて、前記導電体は、前記磁気コアよりも前記誘電体の外周側面に近い位置に設けられているノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。
【００２４】
更に、本発明によれば、第１６のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルとして、第１４のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルにおいて、前記導電体は、前記磁気コアよりも前記誘電体の内周側面に近い位置に設けられているノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。
【００２５】
更に、本発明によれば、第１７のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルとして、第１乃至第１６のいずれかのノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルにおいて、前記導電体に接続されたグランド端子を更に備えているノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。
【００２６】
更に、本発明によれば、第１８のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルとして、第１乃至第１７のいずれかのノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルにおいて、前記磁気コアは、１００００以上の透磁率を有するノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。
【００２７】
更に、本発明によれば、第１乃至第１８のいずれかのノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルを備えたノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。
【００２８】
本発明によれば、第二のノイズフィルタ付きＡＣ電源コードとして第１の被覆導線及び第２の被覆導線からなり、更にグランド端子を有しており、前記アウトレットボディは、第１の端子及び第２の端子及び第３の端子又はアース極を備え、前記電源コードは第１の被覆導線及び第２の被覆導線及び第３の被覆導線を備え、インダクタンス素子の第１の被覆導線と第１の端子と電源コードの第１の被覆導線が電気的に接続されており、インダクタンス素子の第２の被覆導線と第２の端子と電源コードの第２の被覆導線が電気的に接続されており、インダクタンス素子のグランド端子と第３の端子又はアース極と電源コードの第３の被覆導線が電気的に接続されているノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが得られる。
【発明の効果】
【００２９】
本発明によれば、設定上の自由度が高まり、且つ、電気的信頼性の高いインダクタンス素子を得ることができ、本発明によるインダクタンス素子を用いてノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルを構成することとすると、減衰特性を高周波側まで広帯域化することができる。
【００３０】
なお、ノイズフィルタには、ノーマルモードノイズを除去するためのコンデンサ素子（アクロスザラインコンデンサ；Ｘコン）及びコモンモードノイズを除去するためのコンデンサ素子（ラインバイパスコンデンサ；Ｙコン）を備えるものがある。ここで、ノーマルモードノイズとは、ノイズフィルタの入力線間に発生するノイズを示す。一方、コモンモードノイズとは、ノイズフィルタの入力線間とは別な基準電位との間に発生するノイズを示す。
【００３１】
本発明のインダクタンス素子を使用したノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルを用いた場合、Ｙコンを省略したとしてもノイズの除去を好適化することができる。即ち、本発明によれば、Ｙコンに起因した漏洩電流を低減しつつ所望とする減衰特性を得ることができる。
【００３２】
また、導電体により十分な容量を有するキャパシタをインダクタに対して負荷とすることができることから、インダクタンス素子単独でもフィルタを構成することができる。なお、このことは、本発明によるインダクタンス素子とキャパシタとを組み合わせてノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルを構成することを制限するものではない。
【００３３】
また、本発明によればプラグボディの制約サイズからインダクタンス素子を収納できる空間には限度があり、必然的にインダクタンス素子の大きさも限定されるプラグボディ内に変わってアウトレットボディ内であればインダクタンス素子の大きさもある程度大きくすることが可能であり、同時に新たな構造のインダクタンス素子を用いることによってグランドとの間にキャパシタンス成分が形成され高周波帯においても十分な減衰量を獲得することが出来、機器から伝導及び放射されるノイズの抑制に十分な特性を有することができる。また、構造自体も従来のインダクタンス素子と比較して、製造がそれほど難しくなく、従来の磁気コアの接地を必要とするような構成と比較すると製造が困難ではない。
【００３４】
更に、新たな構造のインダクタンス素子のキャパシタンス成分は、アウトレットボディのアース極の端子と接続されるため、電子機器の前線において伝導ノイズ及び放射ノイズを抑制することが可能であり、従来電子機器のノイズフィルタ回路を飛び越えて伝達される伝搬路のノイズについても容易に除去することができるという効果を併せ持つ。
【００３５】
更に、新たな構造のインダクタンス素子のキャパシタンス成分は、アウトレットボディのアース極の端子と接続されるため、電子機器の前線において大地に接地することが可能であり、接地抵抗を極限まで小さくすることが実現できるため電子機器の伝導ノイズと放射ノイズ抑制に最大の効果を得ることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【００３６】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。以下に説明する実施の形態におけるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子は、コモンモード用のものであり、被覆導線を２本備えて構成したものであるが、本発明はこれに限定されるものではなく、被覆導線を１本のみ用いたノーマルモード用のインダクタンス素子にも適用可能である。
【００３７】
（第１の実施の形態）
図１乃至図３に示されるように、本発明の第１の実施の形態によるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子１４ａは、トロイダル形状の磁気コア１５ａと、磁気コア１５ａの全体を覆う絶縁性ケース１６ａと、絶縁性ケース１６ａに磁気コア１５ａを組み込んでなる組込体に被覆導線１７，１８を巻回して形成したコイルと、コイルの外周部を覆うリング状の誘電体２２と、誘電体２２をコイル（被覆導線１７，１８）と挟むことでコイル（被覆導線１７，１８）及び誘電体２２とキャパシタを形成する箔状導体２３ａと、箔状導体２３ａから引き出されたグランド端子２１を備えている。図１から明らかなように、本実施の形態においては、磁気コア１５ａと箔状導体２３ａとの間に、絶縁性ケース１６ａ、コイル（被覆導線１７，１８）及び誘電体２２が介在していることにより、磁気コア１５ａと箔状導体２３ａとは電気的に絶縁されている。
【００３８】
本実施の形態における磁気コア１５ａは、１００００程度の初期透磁率を有している。一般的な磁性材料の初期透磁率は約５０００程度であるので、本実施の形態において使用した磁性材料の透磁率はその約２倍である。このように、高透磁率材料を用いると、減衰特性を劣化させることなく体積を小さくすることができる。なお、小型化を主目的としない場合には一般的な磁性材料を用いても良い。
【００３９】
被覆導線１７，１８は、例えば、ウレタン線又はエナメル線からなる。尚、被覆導線１７，１８のリード部分は、実際には図３に示されるように等間隔に引き出されるものであるが、図１においては、理解を容易にするために幾分間隔をずらして示してある。
【００４０】
本実施の形態における誘電体２２は、図示されたように、所定の肉厚を有するリング状のものであるが、例えば、一部切り離されたＣ字状のものや他の形状であってもよく。また、より薄い絶縁シートや絶縁テープを用いて構成することとしても良い。絶縁シートの場合、コイル外周側面部への接着用としてシートの片面に粘着層を設けることとしても良いし、製造時に、絶縁シートを接着剤でコイル外周側面に貼付することとしても良い。
【００４１】
本実施の形態における箔状導体２３ａは、誘電体２２の外周面上の一部に銅をスパッタリングすることにより形成されたものである。箔状導体２３ａは、銅箔に代えて、例えば、アルミニウム箔、銀箔若しくは金箔のいずれか、又はそれらの金属を含む合金箔であっても良い。箔状導体２３ａは、スパッタリングに代えて、金属メッキ若しくは金属蒸着により形成されても良いし、導電性塗料を誘電体２２上に塗布することにより形成することとしても良い。加えて、別途形成された箔状導体２３ａを誘電体２２上に貼付することとしても良い。箔状導体２３ａは、外周面上の一部のみならず、外周面上の全部を覆うこととしても良い。被覆導線１７，１８と十分容量の大きいキャパシタを形成しうるのであれば、箔状導体２３ａに代えて、他の形状の導電体を用いても良い。
【００４２】
なお、箔状導体２３ａにより被覆導線１７，１８を覆う個所や面積等は、被覆導線１７，１８の巻回数（ターン数），太さ，長さや、磁気コア１５ａの大きさ，材料特性等により適宜変更することが可能である。
【００４３】
本実施の形態におけるグランド端子２１は、図１乃至図３に示されるように、被覆導線１７，１８のリード部分のいずれからも同一距離となる部分に一つのみ設けてあるが、例えば、図４に示されるように、２つ設けることとしても良いし、それらグランド端子２１間の間隔を被覆導線１７，１８よりも大きくすることとしても良い。
【００４４】
かかる構成を備えるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子１４ａについてグランド端子２１を接地して用いると、高周波数帯域においても減衰特性が劣化することなく、比較的広い周波数範囲に亘って良好な減衰特性を得ることができる。
【００４５】
特に、本実施の形態においては、箔状導体２３ａは、トロイダル状の磁気コア１５ａよりも径方向外側に設けられている。このため、磁気コア１５ａの外周よりも箔状導体２３ａの面積を大きくとることができ、従って、磁気コア１５ａを直に接地する従来技術と比較して、被覆導体１７，１８に付加するキャパシタの容量を大きくとることができる。
【００４６】
（第２の実施の形態）
図５乃至図７に示されるように、本発明の第２の実施の形態によるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子１４ａ’は、前述の第１の実施の形態によるノイズフィルタ付き電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子１４ａの変形例であり、従って、以下においては両者の異なる部分のみについて説明し、第１の実施の形態によるノイズフィルタ付き電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子と同一構成を有する構成要素については、図５乃至図７において、図１乃至図３で用いた参照符号と同一の参照符号を付し、説明を省略することとする。
【００４７】
図５乃至図７に示されるように、本実施の形態におけるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子１４ａ’は、２つに分割された箔状導体２３ｂ、２３ｂ’を備えており、夫々、被覆導線１７及び被覆導線１８に対応するように設けられている。このように、箔状導体２３ｂ、２３ｂ’を２つに分割した結果、グランド端子２１も一対設けられている。
【００４８】
（第３の実施の形態）
図８乃至図１０に示されるように、本発明の第３の実施の形態によるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子１４ａ”もまた、前述の第１の実施の形態によるノイズフィルタ付き電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子１４ａの変形例であり、従って、以下においては両者の異なる部分のみについて説明し、第１の実施の形態によるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子と同一構成を有する構成要素については、図８乃至図１０において、図１乃至図３で用いた参照符号と同一の参照符号を付し、説明を省略することとする。
【００４９】
図８乃至図１０に示されるように、本実施の形態におけるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子１４ａ”は、誘電体２２のうち被覆導線１７，１８のリード部分近傍を除く部分を覆うようにして設けられた箔状導体２３ｃを備えている。加えて、グランド端子２１も一対設けられている。
【００５０】
（第４の実施の形態）
図１１乃至図１３に示されるように、本発明の第４の実施の形態によるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子１４ｂは、トロイダル形状の磁気コア１５ｂと、磁気コア１５ｂの全体を覆う絶縁性ケース１６ｂと、絶縁ケース１６ｂの外側に設けられたＣ字状の箔状導体２３ｄと、箔状導体２３ｄの外側に設けられた誘電体２２と、誘電体２２に設けられた孔を通じて箔状導体２３ｄから引き出されたグランド端子２１と、コイル（被覆導線１７、１８）とを備えている。本実施の形態における被覆導線１７、１８は、夫々、磁気コア１５ｂ、絶縁ケース１６ｂ、箔状導体２３ｄ、誘電体２２に巻回してコイルを形成している。なお、以下においては、第１の実施の形態と異なる部分のみについて説明し、第１の実施の形態によるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子と同一構成を有する構成要素については、図１１乃至図１３おいて、図１乃至図３で用いた参照符合と同一の参照符号又は類する参照符号を付し、説明を省略することとする。
【００５１】
本実施の形態においては、箔状導体２３ｄとコイル（被覆導線１７、１８）との間に誘電体２２が介在することによりキャパシタが形成される一方、図１１から明らかなように、磁気コア１５ｂと箔状導体２３ｄとの間に絶縁性ケース１６ｂが設けられていることにより電気的に絶縁されている。
【００５２】
本実施の形態におけるグランド端子２１は、図１１乃至図１３に示されるように、被覆導線１７、１８のリード部分のいずれからも同一の距離となる部分に一つのみ設けてあるが、例えば、図１４に示されるように、２つ設けることとしても良いし、それらグランド端子２１間の間隔を被覆導線１７、１８よりも大きくすることとしてもよい。
【００５３】
（第５の実施の形態）
図１５乃至図１８に示されるように、本発明の第５の実施の形態によるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子１４ｃは、トロイダル形状の磁気コア１５ｃと、Ｃ字状を有する薄板状導体２４ａと、トロイダル状の外観を有し且つ磁気コア１５ｃと薄板状導体２４ａとを離間しつつ保持する絶縁体モールドで構成された誘電体１６ｃと、誘電体１６ｃに被覆導線１７，１８を巻回してなるコイルと、誘電体１６ｃに設けられた孔を通じて薄板状導体２４ａから引き出されたグランド端子２１を備えている。なお、以下においては第１の実施の形態と異なる部分のみについて説明し、第１の実施の形態によるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子と同一構成を有する構成要素については、図１５乃至図１８において、図１乃至図３で用いた参照符号と同一の参照符号を付し、説明を省略することとする。
【００５４】
本実施の形態においては、薄板状導体２４ａとコイル（被覆導線１７，１８）との間に誘電体１６ｃが介在することによりキャパシタが形成される一方、図１５及び図１８から明らかなように、磁気コア１５ｃと薄板状導体２４ａとの間も誘電体１６ｃにより電気的に絶縁されている。
【００５５】
本実施の形態における誘電体１６ｃは、図１８に示されるように、主部１６ｃ１と蓋部１６ｃ２とからなる。主部１６ｃ１の外周側面１６ｃ４よりにはモールド形成時に埋め込まれた薄板状導体２４ａが保持されており、主部１６ｃ１の内周側面１６ｃ５よりにはコア収容部１６ｃ３を構成するドーナツ状の凹部が形成されている。このことから明らかなように、本実施の形態においては、薄板状導体２４ａは、磁気コア１５ｃよりも誘電体１６ｃの外周側面１６ｃ４に近い位置に設けられている。このため、薄板状導体２４ａの面積を大きくとることができ、従って、被覆導体１７，１８に付加するキャパシタの容量を大きくとることができる。なお、薄板状導体２４ａを被覆導線１７，１８と対向させる個所や面積等は、被覆導線１７，１８の巻回数（ターン数），太さ，長さや、磁気コア１５ｃの大きさ，材料特性等により適宜変更することができる。
【００５６】
本実施の形態におけるグランド端子２１は、図１５乃至図１７に示されるように、被覆導線１７，１８のリード部分のいずれからも同一距離となる部分に一つのみ設けてあるが、第１の実施の形態の場合と同様に、例えば、図４に示されるように、２つ設けることとしても良いし、それらグランド端子２１間の間隔を被覆導線１７，１８よりも大きくすることとしても良い。
【００５７】
（第６の実施の形態）
図１９乃至図２２に示されるように、本発明の第６の実施の形態によるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子１４ｃ’は、前述の第５の実施の形態によるインダクタンス素子１４ｃの変形例であり、従って、以下においては両者の異なる部分のみについて説明し、第５の実施の形態によるノイズフィルタ付き電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子と同一構成を有する構成要素については、図１９乃至図２２において、図１５乃至図１８で用いた参照符号と同一の参照符号を付し、説明を省略することとする。
【００５８】
図１９乃至図２１に示されるように、本実施の形態におけるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子１４ｃ’は、２つに分割された薄板状導体２４ｂ、２４ｂ’を備えており、夫々、被覆導線１７及び被覆導線１８に対応するように設けられている。このように、薄板状導体２４ｂ、２４ｂ’を２つに分割した結果、グランド端子２１も一対設けられている。
【００５９】
本実施の形態における誘電体１６ｃ’は、図２２に示されるように、主部１６ｃ’１と蓋部１６ｃ’２とからなる。主部１６ｃ’１の外周側面１６ｃ’４よりにはモールド形成時に埋め込まれた薄板状導体２４ｂ、２４ｂ’が保持されており、主部１６ｃ’１の内周側面１６ｃ’５よりにはコア収容部１６ｃ’３を構成するドーナツ状の凹部が形成されている。このことから明らかなように、本実施の形態においては、薄板状導体２４ｂ、２４ｂ’は、磁気コア１５ｃよりも誘電体１６ｃ’の外周側面１６ｃ’４に近い位置に設けられている。
【００６０】
（第７の実施の形態）
図２３乃至図２６に示されるように、本発明の第７の実施の形態によるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子１４ｃ”もまた、前述の第５の実施の形態によるノイズフィルタ付き電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子１４ｃの変形例であり、従って、以下においては両者の異なる部分のみについて説明し、第５の実施の形態によるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子と同一構成を有する構成要素については、図２３乃至図２６において、図１５乃至図１８で用いた参照符号と同一の参照符号を付して、説明を省略することとする。
【００６１】
図２３乃至図２５に示されるように、本実施の形態におけるインダクタンス素子１４ｃ”は、被覆導線１７，１８のリード部側に開いたＣ字状断面を有する薄板状導体２４ｃを備えている。加えて、グランド端子２１も一対設けられている。
【００６２】
本実施の形態における誘電体１６ｃ”は、図２６に示されるように、主部１６ｃ”１と蓋部１６ｃ”２とからなる。主部１６ｃ”１の外周側面１６ｃ”４よりにはモールド形成時に埋め込まれた薄板状導体２４ｃが保持されており、主部１６ｃ”１の内周側面１６ｃ”５よりにはコア収容部１６ｃ”３を構成するドーナツ状の凹部が形成されている。このことから明らかなように、本実施の形態においても、薄板状導体２４ｃは、磁気コア１５ｃよりも誘電体１６ｃ”の外周側面１６ｃ”４に近い位置に設けられている。
【００６３】
（第８の実施の形態）
図２７乃至図３０に示されるように、本発明の第８の実施の形態によるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子１４ｄは、トロイダル形状の磁気コア１５ｄと、Ｃ字状を有する薄板状導体２５ａと、トロイダル状の外観を有し且つ磁気コア１５ｄと薄板状導体２５ａとを離間しつつ保持する絶縁体モールドで構成された誘電体１６ｄと、誘電体１６ｄに被覆導線１７，１８を巻回してなるコイルと、誘電体１６ｄに設けられた孔を通じて薄板状導体２５ａと電気的に接続されたグランド端子２１を備えている。なお、以下においては第５の実施の形態と異なる部分のみについて説明し、第５の実施の形態によるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子と同一構成を有する構成要素については、図２７乃至図３０において、図１５乃至図１８で用いた参照符号と同一の参照符号又は類する参照符号を付し、説明を省略することとする。
【００６４】
本実施の形態においては、薄板状導体２５ａとコイル（被覆導線１７，１８）との間に誘電体１６ｄが介在することによりキャパシタが形成される一方、図２７及び図２９から明らかなように、磁気コア１５ｄと薄板状導体２５ａとの間も誘電体１６ｄにより電気的に絶縁されている。
【００６５】
本実施の形態における誘電体１６ｄは、図３０に示されるように、主部１６ｄ１と蓋部１６ｄ２とからなる。主部１６ｄ１の内周側面１６ｄ５よりにはモールド形成時に埋め込まれた薄板状導体２５ａが保持されており、主部１６ｄ１の外周側面１６ｄ４よりにはコア収容部１６ｄ３を構成するドーナツ状の凹部が形成されている。このことから明らかなように、本実施の形態においては、薄板状導体２５ａは、磁気コア１５ｄよりも誘電体１６ｄの内周側面１６ｄ５に近い位置に設けられている。
【００６６】
（第９の実施の形態）
図３１及び図３４に示されるように、本発明の第９の実施の形態は、第１の実施の形態におけるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子１４ａを備えるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに関するものである。図３１において、第１の実施の形態によるノイズフィルタ付き電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子と同一構成を有する構成要素については、図１又は図２で用いた参照符号と同一の参照符号を付し、以下においては、それら構成要素についての説明を省略することとする。
【００６７】
図３１に示されるとおり、本実施の形態におけるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルは、インダクタンス素子１４ａと、アウトレット端子３２と、電源コード３５とから構成されている。インダクタンス素子１４ａを台座３１に配置し、台座３１には入力端子３３ａ、３３ｂ、アース端子３３ｃとグランド金具３４が装着されている。インダクタンス素子１４ａの被覆導線１７、１８は、入力端子３３ａ及び３３ｂに電気的に接続され且つインダクタンス素子１４ａのグランド端子２１はグランド金具３４に電気的に接続される。又、端子３３ｃについてもグランド金具３４に電気的に接続される。インダクタンス素子１４ａの対向する被膜導線１７、１８は電源コード３５の電源コードの被膜導線３６ａ、３６ｂにそれぞれ電気的に接続され、電源コード３５の電源コードの被膜導線３６ｃは台座３１のグランド金具３４に電気的に接続される。前記電気的な接続手法は、からげ・かしめ・半田付け・溶接等あらゆる手法により電気的に接続することを含める。インダクタンス素子１４ａを台座３１上に配置し、前記接続が完了した状態でアウトレットボディ３７を一体成型又は一体化し、ノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルが完成する。
【００６８】
図３２は、図３１のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルの回路構成図、図３３は、従来のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルと本発明のノイズフィルタ付き電源ケーブルの減衰特性図、図３４は、従来のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルと本発明のノイズフィルタ付き電源ケーブルの構成比較図である。
【００６９】
本発明においては、これらからわかるようにアウトレットボディに設けたノイズフィルタが用いられており、しかも本構造のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル３０は、図３３から理解されるとおり、従来のインダクタンス素子を備えたノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルよりも１０ｋＨｚ〜２０ＭＨｚの広周波帯域において優れた減衰特性を示している。この優れた減衰特性は、グランド端子２１を接地接続することで被覆導線１７及び被覆導線１８間に発生する線間容量の一部がキャンセルされることに起因していると考えられる。
【００７０】
以上説明したように、本実施の形態によれば、Ｙコンを省略することでＹコンからの漏洩電流を低減しつつ、上述のような優れた減衰特性を得ることができる。
【００７１】
以上、本第９の実施の形態として、第１の実施の形態におけるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子１４ａを備えるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル３０について説明したが、インダクタンス素子１４ａに代えて第２乃至第８いずれかの実施の形態におけるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子を用いることとしてもよい。また、第１乃至第８の実施の形態のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子のようなトロイダル形状の磁性体コアを有するものに代えて、磁性体コアを装着可能な絶縁性ボビンを用い、その絶縁性ボビンへ被覆導線を巻回してなるような構造を有するノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるインダクタンス素子を用いることも可能である。
【００７２】
上述したノイズフィルタ付き電源ケーブルは、Ｙコンを有しないものであったが、アウトレット端子３２とグランド金具３４との間に接続されたＹコンを更に備えた構成としてもよいし、Ｘコンを省略し、Ｙコンのみを備えた構成としてもよい。
【００７３】
以上、具体的な例を用いて、この発明の実施の形態を説明したが、この発明は、これらの具体例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。すなわち、当業者であれば、当然なしえるであろう各種変形、修正もまた本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【００７４】
本発明の、ノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルを用いることにより、電子機器の伝導ノイズと放射ノイズ抑制に最大の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【００７５】
【図１】本発明の第１の実施の形態に係るノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるコモンモード用インダクタンス素子を示す平面図。
【図２】図１に示されるインダクタンス素子の側面図。
【図３】図１に示されるインダクタンス素子の底面図。
【図４】図３に示されるインダクタンス素子の変形例を示す底面図。
【図５】本発明の第２の実施の形態に係るノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるコモンモード用インダクタンス素子を示す平面図。
【図６】図５に示されるインダクタンス素子の側面図。
【図７】図５に示されるインダクタンス素子の底面図。
【図８】本発明の第３の実施の形態に係るノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるコモンモード用インダクタンス素子を示す平面図。
【図９】図８に示されるインダクタンス素子の側面図。
【図１０】図８に示されるインダクタンス素子の底面図。
【図１１】本発明の第４の実施の形態に係るノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるコモンモード用インダクタンス素子を示す平面図。
【図１２】図１１に示されるインダクタンス素子の側面図
【図１３】図１１に示されるインダクタンス素子の底面図。
【図１４】図１１に示されるインダクタンス素子の変形例を示す底面図。
【図１５】本発明の第５の実施の形態に係るノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるコモンモード用インダクタンス素子を示す平面図。
【図１６】図１５に示されるインダクタンス素子の側面図。
【図１７】図１５に示されるインダクタンス素子の底面図。
【図１８】図１５に示されるインダクタンス素子に含まれる誘電体及び薄板状導体を示す断面図。
【図１９】本発明の第６の実施の形態に係るノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるコモンモード用インダクタンス素子を示す平面図。
【図２０】図１９に示されるインダクタンス素子の側面図。
【図２１】図１９に示されるインダクタンス素子の底面図。
【図２２】図１９に示されるインダクタンス素子に含まれる誘電体及び薄板状導体を示す断面図。
【図２３】本発明の第７の実施の形態に係るノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるコモンモード用インダクタンス素子を示す平面図。
【図２４】図２３に示されるインダクタンス素子の側面図。
【図２５】図２３に示されるインダクタンス素子の底面図。
【図２６】図２３に示されるインダクタンス素子に含まれる誘電体及び薄板状導体を示す断面図。
【図２７】本発明の第８の実施の形態に係るノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルに用いられるコモンモード用インダクタンス素子を示す平面図。
【図２８】図２７に示されるインダクタンス素子の側面図。
【図２９】図２７に示されるインダクタンス素子の底面図。
【図３０】図２７に示されるインダクタンス素子に含まれる誘電体及び薄板状導体を示す断面図。
【図３１】本発明の第９の実施の形態に係るノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルを示す平面図。
【図３２】図３１に示されるノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルの回路構成図。
【図３３】従来のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルと本発明のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルの減衰特性図。
【図３４】従来のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルと本発明のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルの構成比較図。
【符号の説明】
【００７６】
１４ａ，１４ａ’，１４ａ”，１４ｂ，１４ｃ，１４ｃ’，１４ｃ”，１４ｄ インダクタンス素子
１５ａ、１５ｂ、１５ｃ、１５ｄ 磁気コア
１６ａ、１６ｂ 絶縁性ケース
１６ｃ、１６ｃ’、１６ｃ”、１６ｄ 誘電体
１６ｃ１、１６ｃ’１、１６ｃ”１、１６ｄ１ 主部
１６ｃ２、１６ｃ’２、１６ｃ”２、１６ｄ２ 蓋部
１６ｃ３、１６ｃ’３、１６ｃ”３、１６ｄ３ コア収容部
１６ｃ４、１６ｃ’４、１６ｃ”４、１６ｄ４ 外周側面
１６ｃ５、１６ｃ’５、１６ｃ”５、１６ｄ５ 内周側面
１７、１８ 被覆導線
２１ グランド端子
２２ 誘電体
２３ａ、２３ｂ、２３ｂ’、２３ｃ、２３ｄ 箔状導体
２４ａ、２４ｂ、２４ｂ’、２４ｃ、２５ａ 薄板状導体
３０ ノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル
３１ 台座
３２ アウトレット端子
３３ａ、３３ｂ 入力端子
３３ｃ アース端子
３４ グランド金具
３５ 電源コード
３６ａ、３６ｂ、３６ｃ 電源コードの被覆導線
３７ アウトレットボディ
【特許請求の範囲】
【請求項１】
磁気コアと、被覆導線を巻回してなるコイルと、前記コイルの少なくとも一部に接触又は近接して設けられた誘電体と、前記コイル及び前記誘電体とキャパシタを形成する導電体とを備えたインダクタンス素子をアウトレットボディ内に収納したノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルであって、前記インダクタンス素子は前記磁気コアと前記導電体とは電気的に絶縁され、前記インダクタンス素子の被覆導線はアウトレットと電源コードの間に電気的に接続され、前記インダクタンス素子の導電体に接続されたグランド端子は三極のアウトレットのいずれかの端子又は二極のアウトレットのアース極に電気的に接続され、前記アウトレットボディは三極のアウトレット端子又は二極のアウトレット端子とアース極を有したもので前記電源コードと前記アウトレットボディが一体化されていることを特徴とするノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル。
【請求項２】
前記磁気コアと前記導電体との間に、前記コイル及び前記誘電体が介在していることにより、前記磁気コアと前記導電体とは電気的に絶縁されている、請求項１記載のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル。
【請求項３】
前記誘電体は、所定の肉厚を有し且つ前記コイルの外周を覆うようにして構成された包囲部材からなる、請求項１又は請求項２記載のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル。
【請求項４】
前記磁気コアは、トロイダルコアであり、当該インダクタンス素子は、該磁気コアの全体を覆う絶縁体を更に備えており、前記被覆導線は、前記磁気コアを前記絶縁体に組み込んでなる組込体に巻回され、前記コイルを構成しており、前記誘電体は、該コイルの外周側部の少なくとも一部を覆っており、前記導電体は、当該誘電体の更に外側に設けられている請求項１乃至請求項３のいずれかに記載のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル。
【請求項５】
前記誘電体は、所定の肉厚を有し、前記コイルは、少なくとも前記磁気コア、前記導電体及び前記誘電体に前記被覆導線を巻回してなる請求項１記載のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル。
【請求項６】
前記磁気コアは、トロイダルコアであり、当該インダクタンス素子は、該磁気コアの全体を覆う絶縁体を更に備えており、前記導電体は、前記絶縁体の外側に設けられており、
前記誘電体は、前記導電体の外側に設けられている請求項５記載のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル。
【請求項７】
前記誘電体は、片面または両面に粘着層を備える絶縁シート又は絶縁テープからなる、請求項１乃至請求項６いずれかに記載のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル。
【請求項８】
前記誘電体は、シリコーン樹脂シート又はフッ素樹脂シートからなる、請求項１乃至請求項７いずれか記載のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル。
【請求項９】
前記導電体は、箔状導体である、請求項１乃至請求項８いずれかに記載のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル。
【請求項１０】
前記箔状導体は、前記誘電体上に、金属メッキ、金属蒸着若しくは金属スパッタリングにより形成されたものであるか、又は、導電性塗料を塗布することにより形成されたものである、請求項９記載のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル。
【請求項１１】
前記箔状導体は、前記誘電体上に、貼り合わされている、請求項９記載のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル。
【請求項１２】
前記誘電体は、前記磁気コアと前記導電体とを離間しつつ保持可能な絶縁体モールドであり、前記被覆導線は、前記誘電体上に巻回されている、請求項１記載のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル。
【請求項１３】
前記誘電体は、前記導電体を内含すると共に当該導電体から離れた位置に前記磁気コアを収容するコア収容部を有するようにして、形成されている、請求項１２記載のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル。
【請求項１４】
前記磁気コアは、トロイダルコアであり、前記誘電体は、トロイダル状の外観を有しており、前記被覆導線は、前記誘電体に巻回され、前記コイルを構成している請求項１２又は請求項１３記載のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル。
【請求項１５】
前記導電体は、前記磁気コアよりも前記誘電体の外周側面に近い位置に設けられている
請求項１４記載のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル。
【請求項１６】
前記導電体は、前記磁気コアよりも前記誘電体の内周側面に近い位置に設けられている
請求項１４記載のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル。
【請求項１７】
前記導電体に接続されたグランド端子を更に備えている、請求項１乃至請求項１６のいずれかに記載のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル。
【請求項１８】
前記磁気コアは、１００００以上の透磁率を有する、請求項１乃至請求項１７のいずれかに記載のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル。
【請求項１９】
前記インダクタンス素子の被覆導線は、第１の被覆導線及び第２の被覆導線からなり、更にグランド端子を有しており、前記アウトレットは、第１の端子及び第２の端子及び第３の端子又はアース極を備え、前記電源コードは第１の被覆導線及び第２の被覆導線及び第３の被覆導線を備え、前記インダクタンス素子の第１の被覆導線と第１の端子と電源コードの第１の被覆導線が電気的に接続されており、前記インダクタンス素子の第２の被覆導線と第２の端子と電源コードの第２の被覆導線が電気的に接続されており、前記インダクタンス素子のグランド端子と第３の端子又はアース極と電源コードの第３の被覆導線が電気的に接続されている請求項１乃至請求項１８のいずれかに記載のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル。
【請求項１】
磁気コアと、被覆導線を巻回してなるコイルと、前記コイルの少なくとも一部に接触又は近接して設けられた誘電体と、前記コイル及び前記誘電体とキャパシタを形成する導電体とを備えたインダクタンス素子をアウトレットボディ内に収納したノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブルであって、前記インダクタンス素子は前記磁気コアと前記導電体とは電気的に絶縁され、前記インダクタンス素子の被覆導線はアウトレットと電源コードの間に電気的に接続され、前記インダクタンス素子の導電体に接続されたグランド端子は三極のアウトレットのいずれかの端子又は二極のアウトレットのアース極に電気的に接続され、前記アウトレットボディは三極のアウトレット端子又は二極のアウトレット端子とアース極を有したもので前記電源コードと前記アウトレットボディが一体化されていることを特徴とするノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル。
【請求項２】
前記磁気コアと前記導電体との間に、前記コイル及び前記誘電体が介在していることにより、前記磁気コアと前記導電体とは電気的に絶縁されている、請求項１記載のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル。
【請求項３】
前記誘電体は、所定の肉厚を有し且つ前記コイルの外周を覆うようにして構成された包囲部材からなる、請求項１又は請求項２記載のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル。
【請求項４】
前記磁気コアは、トロイダルコアであり、当該インダクタンス素子は、該磁気コアの全体を覆う絶縁体を更に備えており、前記被覆導線は、前記磁気コアを前記絶縁体に組み込んでなる組込体に巻回され、前記コイルを構成しており、前記誘電体は、該コイルの外周側部の少なくとも一部を覆っており、前記導電体は、当該誘電体の更に外側に設けられている請求項１乃至請求項３のいずれかに記載のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル。
【請求項５】
前記誘電体は、所定の肉厚を有し、前記コイルは、少なくとも前記磁気コア、前記導電体及び前記誘電体に前記被覆導線を巻回してなる請求項１記載のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル。
【請求項６】
前記磁気コアは、トロイダルコアであり、当該インダクタンス素子は、該磁気コアの全体を覆う絶縁体を更に備えており、前記導電体は、前記絶縁体の外側に設けられており、
前記誘電体は、前記導電体の外側に設けられている請求項５記載のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル。
【請求項７】
前記誘電体は、片面または両面に粘着層を備える絶縁シート又は絶縁テープからなる、請求項１乃至請求項６いずれかに記載のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル。
【請求項８】
前記誘電体は、シリコーン樹脂シート又はフッ素樹脂シートからなる、請求項１乃至請求項７いずれか記載のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル。
【請求項９】
前記導電体は、箔状導体である、請求項１乃至請求項８いずれかに記載のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル。
【請求項１０】
前記箔状導体は、前記誘電体上に、金属メッキ、金属蒸着若しくは金属スパッタリングにより形成されたものであるか、又は、導電性塗料を塗布することにより形成されたものである、請求項９記載のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル。
【請求項１１】
前記箔状導体は、前記誘電体上に、貼り合わされている、請求項９記載のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル。
【請求項１２】
前記誘電体は、前記磁気コアと前記導電体とを離間しつつ保持可能な絶縁体モールドであり、前記被覆導線は、前記誘電体上に巻回されている、請求項１記載のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル。
【請求項１３】
前記誘電体は、前記導電体を内含すると共に当該導電体から離れた位置に前記磁気コアを収容するコア収容部を有するようにして、形成されている、請求項１２記載のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル。
【請求項１４】
前記磁気コアは、トロイダルコアであり、前記誘電体は、トロイダル状の外観を有しており、前記被覆導線は、前記誘電体に巻回され、前記コイルを構成している請求項１２又は請求項１３記載のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル。
【請求項１５】
前記導電体は、前記磁気コアよりも前記誘電体の外周側面に近い位置に設けられている
請求項１４記載のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル。
【請求項１６】
前記導電体は、前記磁気コアよりも前記誘電体の内周側面に近い位置に設けられている
請求項１４記載のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル。
【請求項１７】
前記導電体に接続されたグランド端子を更に備えている、請求項１乃至請求項１６のいずれかに記載のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル。
【請求項１８】
前記磁気コアは、１００００以上の透磁率を有する、請求項１乃至請求項１７のいずれかに記載のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル。
【請求項１９】
前記インダクタンス素子の被覆導線は、第１の被覆導線及び第２の被覆導線からなり、更にグランド端子を有しており、前記アウトレットは、第１の端子及び第２の端子及び第３の端子又はアース極を備え、前記電源コードは第１の被覆導線及び第２の被覆導線及び第３の被覆導線を備え、前記インダクタンス素子の第１の被覆導線と第１の端子と電源コードの第１の被覆導線が電気的に接続されており、前記インダクタンス素子の第２の被覆導線と第２の端子と電源コードの第２の被覆導線が電気的に接続されており、前記インダクタンス素子のグランド端子と第３の端子又はアース極と電源コードの第３の被覆導線が電気的に接続されている請求項１乃至請求項１８のいずれかに記載のノイズフィルタ付きＡＣ電源ケーブル。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２０】
【図２１】
【図２２】
【図２３】
【図２４】
【図２５】
【図２６】
【図２７】
【図２８】
【図２９】
【図３０】
【図３１】
【図３２】
【図３３】
【図３４】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図１８】
【図１９】
【図２０】
【図２１】
【図２２】
【図２３】
【図２４】
【図２５】
【図２６】
【図２７】
【図２８】
【図２９】
【図３０】
【図３１】
【図３２】
【図３３】
【図３４】
【公開番号】特開２００９−１８８９１７（Ｐ２００９−１８８９１７Ａ）
【公開日】平成２１年８月２０日（２００９．８．２０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−２９２２７（Ｐ２００８−２９２２７）
【出願日】平成２０年２月８日（２００８．２．８）
【出願人】（０００１３４２５７）ＮＥＣトーキン株式会社 (1,832)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年８月２０日（２００９．８．２０）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年２月８日（２００８．２．８）
【出願人】（０００１３４２５７）ＮＥＣトーキン株式会社 (1,832)
【Ｆターム（参考）】
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