ノイズレベル検出装置、受信装置及びノイズレベル検出方法
【課題】
信号成分の周波数帯のノイズ成分のレベルを精度良く検出する。
【解決手段】
帯域内ノイズ成分のパワースペクトルに関する予測周波数分布における値が未知なパラメータの値を、フレーム期間における検波信号DTDの音声信号帯域内のパワースペクトル分布と当該予測周波数分布とが高い一致性を有するように選ぶことができるか否かを、評価部142Aが判定する。これにより、評価部142Aは、当該フレーム期間における検波信号DTDに音声信号成分が含まれていないと判断できるか否かを評価する。この評価の結果が肯定的であった場合には、ノイズレベル算出部145が、パワースペクトル分布における各周波数のパワースペクトルの総和を算出することにより、帯域内ノイズ成分のパワーレベルを算出する。
信号成分の周波数帯のノイズ成分のレベルを精度良く検出する。
【解決手段】
帯域内ノイズ成分のパワースペクトルに関する予測周波数分布における値が未知なパラメータの値を、フレーム期間における検波信号DTDの音声信号帯域内のパワースペクトル分布と当該予測周波数分布とが高い一致性を有するように選ぶことができるか否かを、評価部142Aが判定する。これにより、評価部142Aは、当該フレーム期間における検波信号DTDに音声信号成分が含まれていないと判断できるか否かを評価する。この評価の結果が肯定的であった場合には、ノイズレベル算出部145が、パワースペクトル分布における各周波数のパワースペクトルの総和を算出することにより、帯域内ノイズ成分のパワーレベルを算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノイズレベル検出装置、受信装置、ノイズレベル検出方法及びノイズレベル検出プログラム、並びに、当該ノイズレベル検出プログラムが記録された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、FM放送等の放送波を受信して処理し、音声を再生する受信装置が車両等の移動体に搭載されている。こうした受信装置では、移動体が移動することに起因して、希望放送波の周波数帯の受信電界強度や、検波結果におけるノイズ混入量等の受信状況が変化する。このため、移動体に搭載される受信装置について、希望放送波の受信状況の変化に対応して、音声再生のための信号処理の態様を変化させる自動受信制御(ARC)機能を有するようにする技術が提案されている(特許文献1参照:以下、「従来例」という)。
【0003】
かかる従来例の技術では、検波結果におけるノイズ混入量の検出に際して、当該検波結果における希望放送波に対応する信号成分の周波数帯よりも高周波数帯の信号レベルを、高周波ノイズ成分のレベルとして、検出するようにしている。そして、検出された高周波ノイズ成分のレベルを考慮して、ミュート処理、いわゆるハイカット処理の制御を含む受信制御を行うことにより、ARC機能を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開WO2006/054702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動受信制御に際しては、検波結果における希望放送波に対応する信号成分の周波数帯のノイズ成分のレベルに基づいて、受信制御を行うことが望ましい。しかしながら、当該信号成分の周波数帯に信号成分が含まれている場合には、当該信号成分の周波数帯の成分のレベルの検出結果からでは、当該信号成分の周波数帯におけるノイズ成分のレベルを決定できない。そこで、上述した従来例では、検波結果における当該信号成分の周波数帯よりも高い周波数帯に含まれる高周波成分の信号レベル、すなわち、当該信号成分にとっての高周波ノイズ成分のレベルと、当該信号成分の周波数帯のノイズ成分のレベルとの間に予測された相関関係が存在することを前提として、当該高周波ノイズ成分のレベルを検出するようにしている。
【0006】
ところで、車両等の移動体に搭載された受信装置のノイズ環境は、移動体の移動とともに変化する。かかる変化においては、当該高周波ノイズ成分のレベルと、当該信号成分の周波数帯のノイズ成分のレベルとの相関関係は短時間に大きく変化することはないと考えられるが、一定であることまでは保証されていない。この結果、当該高周波ノイズ成分のレベルの検出結果に基づいてでは、当該信号成分の周波数帯のノイズ成分のレベルを精度良く検出できない事態が発生し得る。かかる事態が発生すると、有効な自動受信制御ができなくなってしまう。
【0007】
このため、信号成分の周波数帯のノイズ成分のレベルを精度良く検出し、自動受信制御を有効に行うことができる技術が待望されている。かかる要請に応えることが、本発明が解決すべき課題の一つとして挙げられる。
【0008】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、信号成分の周波数帯のノイズ成分のレベルを精度良く検出することができるノイズレベル検出装置及びノイズレベル検出方法を提供することを目的とする。また、本発明は、自動受信制御を有効に行うことができる受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、信号成分の帯域内における帯域内ノイズ成分のレベルを検出するノイズレベル検出装置であって、フレーム期間における入力信号に対して時間周波数変換を行った後、前記信号成分の帯域におけるパワースペクトル分布を算出するパワースペクトル算出部と;前記算出されたパワースペクトル分布と、前記帯域内ノイズ成分のパワースペクトルに関する予測周波数分布とに基づいて、前記フレーム期間における前記入力信号に信号成分が含まれていないと判断できるか否かを評価する評価部と;前記評価部による評価の結果が肯定的であった場合に、前記フレーム期間における前記入力信号のレベルを、前記フレーム期間における帯域内ノイズ成分のレベルとして算出するノイズレベル算出部と;を備え、前記予測周波数分布は、値が未知である少なくとも1つのパラメータを含む関数で表現され、前記評価部は、前記予測周波数分布と前記算出されたパワースペクトル分布とが高い一致性を有するように、前記パラメータの値を選ぶことができるか否かにより、前記フレーム期間における前記入力信号に信号成分が含まれていないと判断できるか否かを評価する、ことを特徴とするノイズレベル検出装置である。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のノイズレベル検出装置と;外部からの受信信号から前記ノイズレベル検出装置へ入力させる入力信号を生成する生成部と;前記入力信号を加工処理する加工処理部と;前記ノイズレベル検出装置により検出された帯域内ノイズ成分のレベルに基づいて、前記加工処理部による加工処理を制御する制御部と;を備えることを特徴とする受信装置である。
【0011】
請求項8に記載の発明は、信号成分の帯域内における帯域内ノイズ成分のレベルを検出するノイズレベル検出装置において使用されるノイズレベル検出方法であって、フレーム期間における入力信号に対して時間周波数変換を行った後、前記信号成分の帯域におけるパワースペクトル分布を算出するパワースペクトル算出工程と;前記算出されたパワースペクトル分布と、前記帯域内ノイズ成分のパワースペクトルに関する予測周波数分布とに基づいて、前記フレーム期間における前記入力信号に信号成分が含まれていないと判断できるか否かを評価する評価工程と;前記評価工程における評価の結果が肯定的であった場合に、前記フレーム期間における前記入力信号のレベルを、前記フレーム期間における帯域内ノイズ成分のレベルとして算出するノイズレベル算出工程と;を備え、前記予測周波数分布は、値が未知である少なくとも1つのパラメータを含む関数で表現され、前記評価工程では、前記予測周波数分布と前記算出されたパワースペクトル分布とが高い一致性を有するように、前記パラメータの値を選ぶことができるか否かにより、前記フレーム期間における前記入力信号に信号成分が含まれていないと判断できるか否かを評価する、ことを特徴とするノイズレベル検出方法である。
【0012】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のノイズレベル検出方法を演算手段に実行させる、ことを特徴とするノイズレベル検出プロクラムである。
【0013】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のノイズレベル検出プログラムが、演算手段により読み取り可能に記録されている、ことを特徴とする記録媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係る受信装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】図1のノイズ検出ユニットの構成を示すブロック図である。
【図3】図2の評価部による評価処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】図2のノイズレベル算出部によるノイズ算出処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態に係る受信装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図6】図5のノイズ検出ユニットの構成を示すブロック図である。
【図7】図6の関数記憶部の記憶内容を説明するための図である。
【図8】予測周波数分布の例を示す図(その1)である。
【図9】予測周波数分布の例を示す図(その2)である。
【図10】予測周波数分布の例を示す図(その3)である。
【図11】図6の評価部による評価処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態を、図1〜図4を参照して説明する。なお、本第1実施形態では、FM放送波を受信して音声を再生する受信装置を例示して説明する。
【0017】
<構成>
図1には、第1実施形態に係る受信装置100Aの概略的な構成がブロック図にて示されている。この図1に示されるように、受信装置100Aは、アンテナ110と、生成部の一部としてのRF処理ユニット120と、生成部の一部としての検波ユニット130とを備えている。また、受信装置100Aは、ノイズ検出装置としてノイズ検出ユニット140Aと、計測部としてのレベル検出ユニット150と、加工処理部としての信号加工ユニット160と、ステレオ復調ユニット165とを備えている。さらに、受信装置100Aは、アナログ処理ユニット170と、スピーカユニット180と、操作入力ユニット185と、制御ユニット190とを備えている。
【0018】
上記のアンテナ110は、放送波(受信信号)を受信する。アンテナ110による受信結果は、信号RFSとして、RF処理ユニット120へ送られる。
【0019】
上記のRF処理ユニット120は、制御ユニット190から送られた選局指令CSLに従って、選局すべき希望局の信号を信号RFSから抽出する選局処理を行い、所定の中間周波数帯の成分を有する中間周波信号IFDを、検波ユニット130及びノイズレベル検出ユニット150へ送る。このRF処理ユニット120は、入力フィルタと、高周波増幅器(RF−AMP:Radio Frequency-Amplifier)と、バンドパスフィルタ(以下、「RFフィルタ」とも呼ぶ)とを備えている。また、RF処理ユニット120は、ミキサ(混合器)と、中間周波フィルタ(以下、「IFフィルタ」とも呼ぶ)と、AD(Analogue to Digital)変換器と、局部発振回路(OSC)とを備えている。
【0020】
ここで、入力フィルタは、アンテナ110から送られた信号RFSの低周波成分を遮断するハイパスフィルタである。高周波増幅器は、入力フィルタを通過した信号を増幅する。RFフィルタは、高周波増幅器から出力された信号のうち、高周波帯の信号を選択的に通過させる。ミキサは、RFフィルタを通過した信号と、局部発振回路から供給された局部発振信号とを混合する。
【0021】
IFフィルタは、ミキサから出力された信号のうち、予め定められた中間周波数範囲の信号を選択して通過させる。AD変換器は、IFフィルタを通過した信号をデジタル信号に変換する。この変換結果は、中間周波信号IFDとして、検波ユニット130及びレベル検出ユニット150へ送られる。
【0022】
なお、局部発振回路は、電圧制御等により発振周波数の制御が可能な発振器等を備えて構成される。この局部発振回路は、制御ユニット190から送られた選局指令CSLに従って、選局すべき希望局に対応する周波数の局部発振信号を生成し、ミキサへ供給する。
【0023】
上記の検波ユニット130は、RF処理ユニット120から送られた中間周波信号IFDを受ける。そして、検波ユニット130は、中間周波信号IFDに対して検波処理を施し、検波結果を、検波信号(ノイズ検出ユニット140Aへの入力信号)DTDとして、ノイズ検出ユニット140A及び信号加工ユニット160へ送る。
【0024】
上記のノイズ検出ユニット140Aは、検波ユニット130から送られた検波信号DTDを受ける。そして、ノイズ検出ユニット140Aは、検波信号DTDにおける音声に対応する信号成分の周波数帯域内に含まれる帯域内ノイズ成分のパワーレベルを検出する。ノイズ検出ユニット140Aによる検出結果は、帯域内ノイズレベルDNDとして、信号加工ユニット160へ送られる。
【0025】
なお、ノイズ検出ユニット140Aの構成については、後述する。
【0026】
上記のレベル検出ユニット150は、RF処理ユニット120から送られた中間周波信号IFDを受ける。そして、レベル検出ユニット150は、中間周波信号IFDのパワーレベルを検出する。レベル検出ユニット150による検出結果は、電界強度レベルELDとして、信号加工ユニット160へ送られる。
【0027】
上記の信号加工ユニット160は、検波ユニット130から送られた検波信号DTD、ノイズ検出ユニット140Aから送られた帯域内ノイズレベルDND、及び、レベル検出ユニット150から送られた電界強度レベルELDを受ける。そして、信号加工ユニット160は、帯域内ノイズレベルDND及び電界強度レベルELDに対応した制御量で、検波信号DTDに対して、ミュート制御処理、ハイカット制御処理及びセパレーション制御処理を施す。信号加工ユニット160による処理によって加工された信号は、加工信号MDDとして、ステレオ復調ユニット165へ送られる。
【0028】
ここで、ミュート制御に際して、信号加工ユニット160は、帯域内ノイズレベルDNDが所定値DNDTM以上、又は、電界強度レベルELDが所定値ELDTM以下の場合に、ミュート制御を実行する。こうしたミュート制御では、帯域内ノイズレベルDNDが大きくなるほど、また、電界強度レベルELDが小さくなるほど、信号加工ユニット160は、ミュート度を増加させるようになっている。
【0029】
また、ハイカット制御に際して、信号加工ユニット160は、帯域内ノイズレベルDNDが所定値DNDTH以上、又は、電界強度レベルELDが所定値ELDTH以下の場合に、ハイカット制御を実行する。こうしたハイカット制御では、帯域内ノイズレベルDNDが大きくなるほど、また、電界強度レベルELDが小さくなるほど、信号加工ユニット160は、ハイカットされる周波数範囲を広げるようになっている。
【0030】
また、セパレーション制御に際して、信号加工ユニット160は、帯域内ノイズレベルDNDが所定値DNDTS以上、又は、電界強度レベルELDが所定値ELDTS以下の場合に、セパレーション制御を実行する。こうしたセパレーション制御では、帯域内ノイズレベルDNDが大きくなるほど、また、電界強度レベルELDが小さくなるほど、信号加工ユニット160は、セパレーション度を低減させる制御を行うようになっている。
【0031】
なお、所定値DNDTM>所定値DNDTH>所定値DNDTSとなっている。また、ELDTM<所定値ELDTH<所定値ELDTSとなっている。
【0032】
上記のステレオ復調ユニット165は、信号加工ユニット160から送られた加工信号MDDを受ける。そして、ステレオ復調ユニット165は、加工信号MDDに対してステレオ復調処理を施す。このステレオ復調結果が、復調信号DMDとして、アナログ処理ユニット170へ送られる。なお、復調信号DMDは、レフトチャンネル(以下、「Lチャンネル」)信号及びライトチャンネル(以下、「Rチャンネル」)信号の2つの信号から構成されている。
【0033】
上記のアナログ処理ユニット170は、ステレオ復調ユニット165から送られた復調信号DMDを受ける。そして、アナログ処理ユニット170は、制御ユニット190による制御のもとで、出力音声信号AOSを生成し、スピーカユニット180へ送る。
【0034】
かかる機能を有するアナログ処理ユニット170は、DA(Digital to Analogue)変換部と、音量調整部と、パワー増幅部とを備えて構成されている。ここで、DA変換部は、ステレオ復調ユニット165から送られた復調信号DMDを受ける。そして、DA変換部は、復調信号DMDをアナログ信号に変換する。なお、DA変換部は、復調信号DMDに含まれるLチャンネル信号及びRチャンネル信号に対応して、互いに同様に構成された2個のDA(Digital to Analogue)変換器を備えている。DA変換部によるアナログ変換結果は音量調整部へ送られる。
【0035】
音量調整部は、DA変換部から送られたLチャンネル及びRチャンネルのアナログ変換結果信号を受ける。そして、音量調整部は、制御ユニット190からの音量調整指令VLCに従って、Lチャンネル及びRチャンネルのそれぞれに対応するアナログ変換結果信号に対して音量調整処理を施す。なお、音量調整部は、本第1実施形態では、Lチャンネル及びRチャンネルに対応して、互いに同様に構成された2個の電子ボリューム素子等を備えて構成されている。音量調整部による音量調整結果の信号は、パワー増幅部へ送られる。
【0036】
パワー増幅部は、音量調整部から送られたLチャンネル及びRチャンネルの音量調整結果の信号を受ける。そして、パワー増幅部は、音量調整結果の信号をパワー増幅する。なお、パワー増幅部は、Lチャンネル及びRチャンネルに対応して、互いに同様に構成された2個のパワー増幅器を備えている。パワー増幅部による増幅結果である出力音声信号AOSは、スピーカユニット180へ送られる。
【0037】
上記のスピーカユニット180は、Lチャンネルスピーカ及びRチャンネルスピーカを備えている。このスピーカユニット180は、アナログ処理ユニット170から送られた出力音声信号AOSに従って、音声を再生出力する。
【0038】
上記の操作入力ユニット185は、受信装置100Aの本体部に設けられたキー部、あるいはキー部を備えるリモート入力装置等により構成される。ここで、本体部に設けられたキー部としては、不図示の表示ユニットに設けられたタッチパネルを用いることができる。また、キー部を有する構成に代えて、音声入力する構成を採用することもできる。操作入力ユニット185への操作入力結果は、操作入力データIPDとして制御ユニット190へ送られる。
【0039】
上記の制御ユニット190は、操作入力ユニット185から送られた操作入力データIPDを受ける。この操作入力データIPDの内容が選局指定であった場合には、制御ユニット190は、指定された希望局に対応する選局指令CSLを生成して、RF処理ユニット120へ送るとともに、係数リセット指令KRSをノイズ検出ユニット140Aへ送る。また、操作入力データIPDの内容が音量調整指定であった場合には、制御ユニット190は、指定された音量調整指定に対応する音量調整指令VLCを生成して、アナログ処理ユニット170へ送る。
【0040】
次に、上記のノイズ検出ユニット140Aの構成について説明する。このノイズ検出ユニット140Aは、図2に示されるように、パワースペクトル算出部141と、評価部142Aとを備えている。また、ノイズ検出ユニット140Aは、帯域外レベル検出部の一部としてのバンドパスフィルタ(BPF)部143と、帯域外レベル検出部の一部としてのレベル検出部144と、ノイズレベル算出部145とを備えている。
【0041】
上記のパワースペクトル算出部141は、検波ユニット130から送られた検波信号DTDを受ける。そして、パワースペクトル算出部141は、所定期間長のフレーム期間ごとに、検波信号DTDに対する時間周波数変換を行った後、当該時間周波数変換に基づいて、パワースペクトル分布を算出する。パワースペクトル算出部141による算出結果は、パワースペクトル分布情報PSDとして、評価部142A及びノイズレベル算出部145へ送られる。
【0042】
上記の評価部142Aは、パワースペクトル算出部141から送られたパワースペクトル分布情報PSDを受ける。そして、評価部142Aは、パワースペクトル分布情報PSDに基づいて、当該パワースペクトル分布情報PSDが得られたフレーム期間の検波信号DTDに音声信号成分が含まれていないと判断できるか否かを評価する。評価部142Aによる評価結果ESRは、ノイズレベル算出部145へ送られる。
【0043】
なお、評価部142Aは、音声信号成分の周波数帯域における帯域内ノイズ成分は、各周波数のパワースペクトルの値が周波数によらず一定であるホワイトノイズであることが予測されているものとして、検波信号DTDに音声信号成分が含まれていないと判断できるか否かを評価する。かかる評価に際して、評価部142Aは、帯域内ノイズ成分のパワースペクトルに関する予測周波数分布が、パワーレベルが未知なホワイトノイズのパワースペクトル分布であるものとして、予測周波数分布と、フレーム期間における検波信号DTDの音声信号帯域内のパワースペクトル分布とが高い一致性を有するように、パワーレベルの値を選ぶようにすることができるか否かを評価する。かかる評価部142Aにより実行される処理の詳細については、後述する。
【0044】
上記のBPF部143は、検波ユニット130から送られた検波信号DTDを受ける。そして、BPF部143は、音声信号成分の周波数帯域外の所定の周波数範囲の成分を選択的に通過させる。BPF部143を通過した信号HCDは、レベル検出部144へ送られる。
【0045】
本第1実施形態では、所定の周波数範囲は、音声信号成分の周波数帯域よりも周波数が高い範囲となっている。このため、信号HCDは、検波信号DTDにおける高周波ノイズ成分の一部となっている。
【0046】
なお、「所定の周波数範囲」は、検波ユニット130の仕様とともに、受信装置100Aの設計段階において、実験、シミュレーション、経験等に基づいて定められる。
【0047】
上記のレベル検出部144は、BPF部143から送られた信号HCDを受ける。そして、レベル検出部144は、信号HCDのパワーレベルを検出する。レベル検出部144による検出結果は、高周波ノイズレベルDHLとして、ノイズレベル算出部145へ送られる。
【0048】
上記のノイズレベル算出部145は、パワースペクトル算出部141から送られたパワースペクトル分布情報PSD、評価部142Aから送られた評価結果ESR、及び、レベル検出部144から送られた高周波ノイズレベルDHLを受ける。そして、ノイズレベル算出部145は、パワースペクトル分布情報PSD、評価結果ESR及び高周波ノイズレベルDHLに基づいて、音声信号成分の周波数帯域における帯域内ノイズ成分のパワーレベルを算出する。ノイズレベル算出部145による算出結果は、帯域内ノイズレベルDNDとして、信号加工ユニット160へ送られる。
【0049】
また、ノイズレベル算出部145は、制御ユニット190から送られた係数リセット指令KRSを受ける。この係数リセット指令KRSを受けると、ノイズレベル算出部145は、内部に保持されている係数Kの値を、強制的に初期値K0に設定する。
【0050】
なお、ノイズレベル算出部145による帯域内ノイズレベルの算出処理の詳細については、後述する。
【0051】
<動作>
次に、以上のように構成された受信装置100Aの動作について、評価部142Aによる評価処理及びノイズレベル算出部145による帯域内ノイズレベルの算出処理に主に着目して説明する。
【0052】
前提として、操作入力ユニット185には既に利用者により選局指定が入力されており、指定された希望局に対応する選局指令CSLが、RF処理ユニット120へ送られているものとする。また、操作入力ユニット185には既に利用者により音量調整指定が入力されており、指定された音量調整態様に対応する音量調整指令VLCが、アナログ処理ユニット170へ送られているものとする(図1参照)。
【0053】
こうした状態で、アンテナ110で放送波を受信すると、信号RFSが、アンテナ110からRF処理ユニット120へ送られる。そして、RF処理ユニット120において、選局すべき希望局の信号が中間周波数帯の信号に変換された後、AD変換が行われる。このAD変換の結果が、中間周波信号IFDとして、検波ユニット130及びレベル検出ユニット150へ送られる(図1参照)。
【0054】
中間周波信号IFDを受けた検波ユニット130では、中間周波信号IFDに対して検波処理が施される。そして、検波ユニット130は、検波処理の結果を、検波信号DTDとして、ノイズ検出ユニット140A及び信号加工ユニット160へ送られる(図1参照)。
【0055】
また、中間周波信号IFDを受けたレベル検出ユニット150は、中間周波信号IFDのパワーレベルを検出する。そして、レベル検出ユニット150は、検出結果を、電界強度レベルELDとして、信号加工ユニット160へ送る(図1参照)。
【0056】
ノイズ検出ユニット140Aでは、パワースペクトル算出部141及びBPF部143が、検波信号DTDを受ける。検波信号DTDを受けたパワースペクトル算出部141は、所定期間長のフレーム期間ごとに、検波信号DTDに対する時間周波数変換を行った後、当該時間周波数変換に基づいて、パワースペクトル分布を算出する。そして、パワースペクトル算出部141は、算出結果を、パワースペクトル分布情報PSDとして、評価部142A及びノイズレベル算出部145へ送る(図2参照)。
【0057】
また、検波信号DTDを受けたBPF部143は、検波信号DTDにおける音声信号成分の周波数帯域よりも周波数が高い所定の周波数範囲の成分を選択的に通過させる。BPF部143を通過した信号HCDは、レベル検出部144へ送られる。そして、レベル検出部144が、信号HCDのパワーレベルを検出し、その検出結果を、高周波ノイズレベルDHLとして、ノイズレベル算出部145へ送る。
【0058】
《音声信号成分の有無の評価処理》
上述したようにパワースペクトル算出部141により算出されたパワースペクトル分布情報PSDを受けると、評価部142Aが、当該パワースペクトル分布情報PSDが得られたフレーム期間における検波信号DTDに、音声信号成分が含まれていないと判断できるか否かの評価を行う。
【0059】
かかる評価処理では、図3に示されるように、まず、ステップS11において、評価部142Aが、新たなパワースペクトル分布情報PSDを受けたか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS11:N)には、ステップS11の処理が繰り返される。
【0060】
パワースペクトル算出部141から送られた新たなパワースペクトル分布情報PSDを受け、ステップS11における判定の結果が肯定的となると(ステップS11:Y)、処理はステップS12へ進む。このステップS12では、評価部142Aが、新たなパワースペクトル分布情報PSDで示されたパワースペクトル分布から、音声信号成分の周波数領域であって、パイロット信号成分の周波数領域を除いた周波数領域のパワースペクトル分布である帯域内パワースペクトル分布PW(f)(f:周波数)を抽出する。
【0061】
なお、抽出された帯域内パワースペクトル分布PW(f)が、[PW(f1)(=PW1),PW(f2)(=PW2),…,PW(fN)(=PWN)](f1<f2<…<fN)であったものとして、以下の説明を行う。
【0062】
引き続き、評価部142Aは、帯域内パワースペクトル分布PW(f)の形状を各周波数の信号の発生の確率分布PR(f)の形状と見なして、当該確率分布のエントロピ(H)を、次の(1)式及び(2)式を用いて算出する。
【0063】
【数1】
【0064】
【数2】
【0065】
なお、エントロピ(H)は、確率分布PR(f)が、次の(3)式で表される場合に、最大値(logN)となる。
PR(f)=1/N …(3)
【0066】
次に、ステップS13において、評価部142Aは、上述のようにして算出されたエントロピ(H)が、予め定められた閾値HTHよりも大きいか否かを判定する。かかる判定により、評価部142Aは、確率分布PR(f)と同様の形状となっている帯域内パワースペクトル分布PW(f)には、実質的にホワイトノイズ成分のパワースペクトルのみが含まれているといえるか否か、すなわち、新たなパワースペクトル分布情報PSDが得られたフレーム期間における検波信号DTDの音声信号成分の周波数領域には、音声信号成分が含まれていないといえるか否かを判定する。
【0067】
なお、「閾値HTH」は、新たなパワースペクトル分布情報PSDが得られたフレーム期間における検波信号DTDの音声信号成分の周波数領域に、実質的にホワイトノイズのみが含まれるといえるか否かを判断するとの観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。
【0068】
ステップS13における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS13:Y)には、処理はステップS14へ進む。このステップS14では、評価部142Aが、新たなパワースペクトル分布情報PSDが得られたフレーム期間における検波信号DTDの音声信号成分の周波数領域には、音声信号成分が含まれていないと評価する。そして、処理は、後述するステップS16へ進む。
【0069】
一方、ステップS13における判定の結果が否定的であった場合(ステップS13:N)には、処理はステップS15へ進む。このステップS15では、評価部142Aが、新たなパワースペクトル分布情報PSDが得られたフレーム期間における検波信号DTDの音声信号成分の周波数領域には、音声信号成分が含まれていると評価する。そして、処理はステップS16へ進む。
【0070】
ステップS16では、評価部142Aが、上記のステップS14又はステップS15における評価の結果を、評価結果ESRとして、ノイズレベル算出部145へ送る。そして、処理はステップS11へ戻る。
【0071】
以後、上述したステップS11〜S16の処理が繰り返され、パワースペクトル算出部141から送られたパワースペクトル分布情報PSDを受けるたびに、評価部142Aが、当該パワースペクトル分布情報PSDが得られたフレーム期間における検波信号DTDに、音声信号成分が含まれていないと判断できるか否かの評価を行う。そして、評価部142Aが、評価結果ESRをノイズレベル算出部145へ送る。
【0072】
《帯域内ノイズレベルの評価処理》
上述したように評価部142Aにより行われた評価の結果である評価結果ESRを受けると、ノイズレベル算出部145が、当該評価結果ESRが得られたフレーム期間における検波信号DTDに含まれる帯域内ノイズ成分のパワーレベル(帯域内ノイズレベル)を算出する。
【0073】
かかる算出処理では、図4に示されるように、まず、ステップS21において、ノイズレベル算出部145が、新たな評価結果ESRを受けたか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS21:N)には、ステップS21の処理が繰り返される。
【0074】
評価部142Aから送られた新たな評価結果ESRを受け、ステップS21における判定の結果が肯定的となると(ステップS21:Y)、処理はステップS22へ進む。このステップS22では、ノイズレベル算出部145が、パワースペクトル算出部141から送られている当該新たな評価結果ESRに対応したパワースペクトル分布情報PSD、及び、レベル検出部144から送られている高周波ノイズレベルDHLを取得する。
【0075】
次に、ステップS23において、ノイズレベル算出部145が、新たな評価結果ESRに基づいて、当該新たな評価結果ESRが得られたフレーム期間における検波信号DTDに音声信号成分が含まれているか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS23:N)には、処理はステップS24へ進む。
【0076】
ステップS24では、ノイズレベル算出部145が、まず、直近のステップS22において取得されたパワースペクトル分布情報PSDに基づいて、帯域内ノイズレベルを算出する。かかる帯域内ノイズレベルの算出に際して、ノイズレベル算出部145は、当該取得されたパワースペクトル分布情報PSDから帯域内パワースペクトル分布PW(f)を導出する。
【0077】
引き続き、ノイズレベル算出部145は、帯域内パワースペクトル分布PW(f)における各周波数のパワースペクトルの総和を算出することにより、帯域内ノイズレベルを算出する。そして、ノイズレベル算出部145は、算出結果を、帯域内ノイズレベルDNDとして、信号加工ユニット160へ送る(図2参照)。
【0078】
次に、ステップS25において、ノイズレベル算出部145が、ステップS24において算出された帯域内ノイズレベルと、直近のステップS22において取得された高周波ノイズレベルDHLとの比を算出する。そして、ノイズレベル算出部145は、内部に保持している係数Kを、算出された比の値に更新する。この後、処理はステップS21へ戻る。
【0079】
なお、ノイズレベル算出部145の内部に保持される係数Kは、新たな選局が行われたことに対応して制御ユニット190から送られた係数リセット指令KRSを受けるたびに、ノイズレベル算出部145は、内部に保持される係数Kを、強制的に初期値K0に設定する。ここで、後述するステップS26において行われる帯域内ノイズレベルの算出の際に用いられる平均的な値とするとの観点から、「初期値K0」は、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。
【0080】
上述したステップS23における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS23:Y)には、処理はステップS26へ進む。このステップS26では、ノイズレベル算出部145が、内部に保持されている係数Kと、直近のステップS22において取得された高周波ノイズレベルDHLとの乗算を行うことにより、帯域内ノイズレベルを算出する。そして、ノイズレベル算出部145は、算出結果を、帯域内ノイズレベルDNDとして、信号加工ユニット160へ送る(図2参照)。この後、処理はステップS21へ戻る。
【0081】
以後、上述したステップS21〜S26の処理が繰り返され、評価部142Aから送られた評価結果ESRを受けるたびに、ノイズレベル算出部145が、当該評価結果ESRが得られたフレーム期間における検波信号DTDにおける帯域内ノイズ成分のパワーレベルを算出する。そして、ノイズレベル算出部145が、算出された帯域内ノイズ成分のパワーレベルを、帯域内ノイズレベルDNDとして、信号加工ユニット160へ送る。
【0082】
上記のようにして得られた検波信号DTD、電界強度レベルELD及び帯域内ノイズレベルDNDを受けた信号加工ユニット160は、電界強度レベルELD及び帯域内ノイズレベルDNDに基づいて、上述のようにして、ミュート制御処理、ハイカット制御処理及びセパレーション制御処理を施す。そして、信号加工ユニット160は、これらの制御処理を施した信号を、加工信号MDDとして、ステレオ復調ユニット165へ送る(図1参照)。
【0083】
信号加工ユニット160から送られた加工信号MDDを受けたステレオ復調ユニット165は、セパレーション処理を含めたステレオ復調処理を、加工信号MDDに対して施す。そして、ステレオ復調ユニット165は、ステレオ復調処理の結果を、復調信号DMDとして、アナログ処理ユニット170へ送る(図1参照)。
【0084】
ステレオ復調ユニット165から送られた復調信号DMDを受けたアナログ処理ユニット170では、DA変換部、音量調整部及びパワー増幅部が、順次、処理を行い、出力音声信号AOSを生成し、スピーカユニット180へ送る(図1参照)。そして、スピーカユニット180が、アナログ処理ユニット170からの出力音声信号AOSに従って、音声を再生出力する。
【0085】
以上説明したように、本第1実施形態では、評価部142Aが、帯域内ノイズ成分のパワースペクトルに関する予測周波数分布を、パワーレベルが未知なホワイトノイズのパワースペクトル分布と予測して、当該予測周波数分布と、フレーム期間における検波信号DTDの音声信号帯域内の帯域内パワースペクトル分布PW(f)とが高い一致性を有するように、パワーレベルの値を選ぶことができるか否かを判定する。かかる判定に際して、評価部142Aは、帯域内パワースペクトル分布PW(f)の形状を、各周波数の信号の発生の確率分布の形状と見なし、当該確率分布のエントロピを算出する。そして、評価部142Aは、算出されたエントロピが、予め定められた閾値HTH以上であるかを判定する。
【0086】
こうした判定を行うことにより、評価部142Aは、当該フレーム期間における検波信号DTDに音声信号成分が含まれていないと判断できるか否かを評価する。この評価の結果が肯定的であった場合には、ノイズレベル算出部145が、帯域内パワースペクトル分布PW(f)における各周波数のパワースペクトルの総和を算出することにより、帯域内ノイズ成分のパワーレベルを算出する。
【0087】
また、本第1実施形態では、評価部142Aによる評価の結果が肯定的であった場合に、ノイズレベル算出部145が、算出された帯域内ノイズ成分のパワーレベルと、レベル検出部144により検出されている帯域外ノイズのパワーレベルとの比を算出し、内部に保持される係数Kを、算出された比の値に更新する。そして、評価部142Aによる評価の結果が否定的であったフレーム期間については、ノイズレベル算出部145は、その時点においてレベル検出部144により検出されている帯域外ノイズのパワーレベルと、内部に保持されている係数Kとに基づいて、帯域内ノイズ成分のパワーレベルを算出する。
【0088】
また、本第1実施形態では、ノイズレベル算出部145により算出された帯域内ノイズ成分のパワーレベルを参照して、自動受信制御(ARC)を行って、検波信号DTDに対して加工処理を施す。したがって、本第1実施形態によれば、適切な自動受信制御を行って、検波信号DTDに対して加工処理を施すことができる。
【0089】
[第2実施形態]
まず、本発明の第2実施形態を、図5〜図11を主に参照して説明する。なお、本第2実施形態でも、上述した第1実施形態と同様に、FM放送波を受信して音声を再生する受信装置を例示して説明する。また、本第2実施形態では、受信装置は車両に搭載されているものとする。
【0090】
<構成>
図5には、第2実施形態に係る受信装置100Bの概略的な構成がブロック図にて示されている。この図5に示されるように、受信装置100Bは、上述した第1実施形態に係る受信装置100Aと比べて、位置検出ユニット125を更に備える点、及び、ノイズ検出ユニット140Aに代えてノイズ検出ユニット140Bを備える点が異なっている。以下、これらの相違点に主に着目して説明する。
【0091】
なお、本第2実施形態では、制御ユニット190は、選局指令CSLを、ノイズ検出ユニット140Bへも送るようになっている。
【0092】
上記の位置検出ユニット125は、受信装置100Bの現在位置を検出する。位置検出ユニット125による検出結果は、現在位置CPDとして、ノイズ検出ユニット140Bへ送られる。
【0093】
なお、本第2実施形態では、位置検出ユニット125は、複数のGPS衛星からの電波の受信結果に基づいて、受信装置100Bの現在位置、すなわち、受信装置100Bが搭載された車両の現在位置を算出するようになっている。
【0094】
上記のノイズ検出ユニット140Bは、図6に示されるように、上述したノイズ検出ユニットと比べて、評価部142Aに代えて評価部142Bを備える点、及び、関数記憶部149を更に備える点が異なっている。
【0095】
上記の評価部142Bは、パワースペクトル算出部141から送られたパワースペクトル分布情報PSD、位置検出ユニット125から送られた現在位置CPD、及び、制御ユニット190から送られた選局指令CSLを受ける。引き続き、評価部142Bは、最新の現在位置CPD、及び、最新の選局指令CSLに基づいて関数記憶部149にアクセスし、現在位置CPDにおける選局中の放送局の放送波についての検波信号DTDに含まれる帯域内ノイズ成分のパワースペクトルに関する予測周波数分布を、関数情報FNIとして読み取る。
【0096】
そして、評価部142Bは、当該関数情報FNIと、上述した第1実施形態の場合と同様に当該パワースペクトル分布情報PSDから得られる帯域内パワースペクトル分布PW(f)とに基づいて、当該帯域内パワースペクトル分布情報PSDが得られたフレーム期間の検波信号DTDに音声信号成分が含まれていないと判断できるか否かを評価する。評価部142Bによる評価結果ESRは、ノイズレベル算出部145へ送られる。
【0097】
なお、評価部142Bによる評価処理の詳細については、後述する。
【0098】
上記の関数記憶部149は、メモリ素子を備えて構成されており、評価部142Bがアクセスできるようになっている。関数記憶部149には、図7に示されるように、関数テーブルFNTが記憶されている。この関数テーブルFNTには、地域(RGNm:m=1,2,…)において受信可能な放送波の放送周波数(FQmn:n=1,2,…)のそれぞれに関連付けて、帯域内ノイズ成分のパワースペクトルに関する予測周波数分布SFmn(f)が登録されている。こうした予測周波数分布SFmn(f)の例が、図8〜図10に示されている。
【0099】
図8には、パラメータC11(C≧0)の値が未知であるホワイトノイズのパワースペクトル分布が、予測周波数分布SF11(f)である例が示されている。また、図9には、予測周波数分布SF12(f)として、パラメータA12(≧0),C12の値が未知である次の(4)式で表わされる分布である例が示されている。
SF12(f)=A12・(f―f12)2+C12 …(4)
【0100】
また、図10には、予測周波数分布SF21(f)として、周波数範囲[fMIN〜f21]においては、パラメータとしての値C21(≧0)が未知である次の(5)式で表わされる分布SF211(f)で表わされる分布であり、周波数範囲[f21〜fMAX]においては、パラメータA21(≧0),C21(≧0)の値が未知である次の(6)式で表わされる分布SF212(f)で表わされる分布である例が示されている。
SF211(f)=C21 …(5)
SF212(f)=A21・(f―f21)2+C21 …(6)
【0101】
なお、関数テーブルFNTは、例えば、モニタ車両による計測結果により作成されて、サーバ装置に記憶された後に、ネットワークを介してダウンロードされて、関数記憶部149内に記憶される。
【0102】
<動作>
次に、以上のように構成された受信装置100Bの動作について、評価部142Bによる評価処理に主に着目して説明する。
【0103】
前提として、操作入力ユニット185には既に利用者により選局指定が入力されており、指定された希望局に対応する選局指令CSLが、RF処理ユニット120及び評価部142Bへ送られているものとする。また、操作入力ユニット185には既に利用者により音量調整指定が入力されており、指定された音量調整態様に対応する音量調整指令VLCが、アナログ処理ユニット170へ送られているものとする(図5参照)。
【0104】
こうした状態で、アンテナ110で放送波を受信すると、上述した第1実施形態の場合と同様にして、パワースペクトル分布情報PSDが評価部142B及びノイズレベル算出部145へ送られるとともに、検波信号DTD及び高周波ノイズレベルDHLがノイズレベル算出部145へ送られる。さらに、本第2実施形態では、位置検出ユニット125による検出結果が、現在位置CPDとして、評価部142Bへ送られる(図6参照)。
【0105】
《音声信号成分の有無の評価処理》
上述したようにパワースペクトル算出部141により算出されたパワースペクトル分布情報PSDを受けると、評価部142Bが、当該パワースペクトル分布情報PSDが得られたフレーム期間における検波信号DTDに、音声信号成分が含まれていないと判断できるか否かの評価を行う。
【0106】
かかる評価処理では、図11に示されるように、まず、ステップS31において、評価部142Bが、新たなパワースペクトル分布情報PSDを受けたか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS31:N)には、ステップS31の処理が繰り返される。
【0107】
パワースペクトル算出部141から送られた新たなパワースペクトル分布情報PSDを受け、ステップS31における判定の結果が肯定的となると(ステップS31:Y)、処理はステップS32へ進む。このステップS32では、評価部142Bが、帯域内ノイズ成分のパワースペクトル分布候補Tmn(f)を導出する。
【0108】
かかるパワースペクトル分布候補Tmn(f)の導出に際して、評価部142Bは、まず、上述した評価部142Aの場合と同様にして、新たなパワースペクトル分布情報PSDから帯域内パワースペクトル分布PW(f)を抽出する。引き続き、評価部142Bは、直近に受けた選局指令CSL及び現在位置CPDに基づいて関数記憶部149にアクセスし、予測周波数分布SFmn(f)を、関数情報FNIとして読み取る。
【0109】
次に、評価部142Bは、帯域内パワースペクトル分布PW(f)に対する近似として統計的に妥当と考えられる予測周波数分布SFmn(f)におけるパラメータの値を算出することにより、パワースペクトル分布候補Tmn(f)を導出する。なお、本第2実施形態では、評価部142Bは、最小二乗法を利用して、当該パラメータの値を算出するようになっている。
【0110】
例えば、予測周波数分布SFmn(f)が、上記で例示した予測周波数分布SF11(f)(図8参照)である場合には、帯域内パワースペクトル分布PW(f)におけるパワースペクトルPW1,PW2,…,PWNの平均値が、パラメータC11の値として算出される。
【0111】
次に、ステップS33において、評価部142Bは、算出されたパラメータの値が、予測周波数分布SFmn(f)として定められている条件を満たしているか否かを判定する。例えば、予測周波数分布SFmn(f)が、上記で例示した予測周波数分布SF11(f)である場合には、評価部142Bは、パラメータC11の値が0以上であるか否かを判定する。また、予測周波数分布SFmn(f)が、上記で例示した予測周波数分布SF12(f)(図9参照)である場合には、評価部142Bは、パラメータA12の値が0以上であるか否かを判定する。また、予測周波数分布SFmn(f)が、上記で例示した予測周波数分布SF21(f)(図10参照)である場合には、評価部142Bは、パラメータA21の値が0以上であり、かつ、パラメータC21の値が0以上であるか否かを判定する。
【0112】
ステップS33における判定の結果が否定的であった場合(ステップS33:N)には、処理は、後述するステップS37へ進む。一方、ステップS33における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS33:Y)には、処理は、ステップS34へ進む。
【0113】
ステップS34では、評価部142Bが、パワースペクトル分布候補Tmn(f)に対する帯域内パワースペクトル分布PW(f)の標準偏差σを算出する。これにより、評価部142Bが、パワースペクトル分布候補Tmn(f)からの帯域内パワースペクトル分布PW(f)におけるパワースペクトルPW1,PW2,…,PWNのバラツキ度を算出する。
【0114】
次いで、ステップS35において、評価部142Bは、標準偏差σが閾値σTH以下であるか否かを判定する。これにより、評価部142Bは、帯域内パワースペクトル分布PW(f)とパワースペクトル分布候補Tmn(f)との一致度を判定し、当該帯域内パワースペクトル分布PW(f)が得られたフレーム期間の検波信号DTDにおける音声信号成分の周波数帯域には、実質的にノイズ成分のみが含まれていると判断できるか否か、すなわち、新たなパワースペクトル分布情報PSDが得られたフレーム期間における検波信号DTDの音声信号成分の周波数領域には、音声信号成分が含まれていないと判断できるか否かを判定する。
【0115】
なお、「閾値σTH」は、新たなパワースペクトル分布情報PSDが得られたフレーム期間における検波信号DTDの音声信号成分の周波数領域には、音声信号成分が含まれていないと判断できるか否かを評価するとの観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。
【0116】
ステップS35の判定の結果が肯定的であった場合(ステップS35:Y)には、処理はステップS36へ進む。このステップS36では、上述したステップS14と同様に、評価部142Bが、新たなパワースペクトル分布情報PSDが得られたフレーム期間における検波信号DTDの音声信号成分の周波数領域には、音声信号成分が含まれていないと評価する。そして、処理は、後述するステップS38へ進む。
【0117】
ステップS35における判定の結果が否定的であった場合(ステップS35:N)には、処理はステップS37へ進む。このステップS37では、上述したステップS15と同様に、評価部142Bが、新たなパワースペクトル分布情報PSDが得られたフレーム期間における検波信号DTDの音声信号成分の周波数領域には、音声信号成分が含まれていると評価する。そして、処理はステップS38へ進む。
【0118】
ステップS38では、評価部142Bが、上記のステップS36又はステップS37における評価の結果を、評価結果ESRとして、ノイズレベル算出部145へ送る。そして、処理はステップS31へ戻る。
【0119】
以後、上述したステップS31〜S38の処理が繰り返され、パワースペクトル算出部141から送られたパワースペクトル分布情報PSDを受けるたびに、評価部142Bが、当該パワースペクトル分布情報PSDが得られたフレーム期間における検波信号DTDに、音声信号成分が含まれていないと判断できるか否かの評価を行う。そして、評価部142Bが、評価結果ESRをノイズレベル算出部145へ送る(図6参照)。
【0120】
こうして評価部142Bにより行われた評価の結果である評価結果ESRを受けると、ノイズレベル算出部145が、第1実施形態の場合と同様にして、当該評価結果ESRが得られたフレーム期間における検波信号DTDに含まれる帯域内ノイズ成分のパワーレベルを算出する。そして、ノイズレベル算出部145は、算出結果を、帯域内ノイズレベルDNDとして信号加工ユニット160へ送る(図6参照)。
【0121】
上記のようにして得られた検波信号DTD、電界強度レベルELD及び帯域内ノイズレベルDNDを受けた信号加工ユニット160は、電界強度レベルELD及び帯域内ノイズレベルDNDに基づいて、第1実施形態の場合と同様に、ミュート制御処理、ハイカット制御処理及びセパレーション制御処理を施し、加工信号MDDとして、ステレオ復調ユニット165へ送る(図5参照)。引き続き、ステレオ復調ユニット165は、加工信号MDDに対してステレオ復調処理を施し、復調信号DMDとして、アナログ処理ユニット170へ送る(図5参照)。
【0122】
引き続き、第1実施形態の場合と同様に、復調信号DMDを受けたアナログ処理ユニット170では、DA変換部、音量調整部及びパワー増幅部が、順次、処理を行い、出力音声信号AOSを生成し、スピーカユニット180へ送る(図5参照)。そして、スピーカユニット180が、アナログ処理ユニット170からの出力音声信号AOSに従って、音声を再生出力する。
【0123】
以上説明したように、本第2実施形態では、評価部142Bが、受信装置100Bの現在位置と、選局中の放送局との組み合わせに対応する予測周波数分布SFmn(f)と、帯域内パワースペクトル分布PW(f)とが高い一致性を有するように、予測周波数分布SFmn(f)におけるパラメータの値を選ぶことができるか否かを判定する。かかる判定に際して、評価部142は、まず、帯域内パワースペクトル分布PW(f)に対して、予測周波数分布SFmn(f)が統計的に妥当な近似となるように、予測周波数分布SFmn(f)におけるパラメータの値を算出し、パワースペクトル分布候補Tmn(f)を導出する。そして、評価部142Bは、パワースペクトル分布候補Tmn(f)に対する帯域内パワースペクトル分布PW(f)の標準偏差σが、予め定められた閾値σH以下であるかを判定する。
【0124】
こうした判定を行うことにより、評価部142Bは、当該フレーム期間における検波信号DTDに音声信号成分が含まれていないと判断できるか否かを評価する。この評価の結果が肯定的であった場合には、ノイズレベル算出部145が、帯域内パワースペクトル分布PW(f)における各周波数のパワースペクトルの総和を算出することにより、帯域内ノイズ成分のパワーレベルを算出する。
【0125】
また、本第2実施形態では、第1実施形態の場合と同様に、評価部142Bによる評価の結果が肯定的であった場合に、ノイズレベル算出部145が、算出された帯域内ノイズ成分のパワーレベルと、レベル検出部144により検出されている帯域外ノイズのパワーレベルとの比を算出し、内部に保持される係数Kを、算出された比の値に更新する。そして、評価部142Bによる評価の結果が否定的であったフレーム期間については、ノイズレベル算出部145は、その時点においてレベル検出部144により検出されている帯域外ノイズのパワーレベルと、内部に保持されている係数Kとに基づいて、帯域内ノイズ成分のパワーレベルを算出する。
【0126】
また、本第2実施形態では、第1実施形態の場合と同様に、ノイズレベル算出部145により算出された帯域内ノイズ成分のパワーレベルを参照して、自動受信制御(ARC)を行って、検波信号DTDに対して加工処理を施す。したがって、本第2実施形態によれば、適切な自動受信制御を行って、検波信号DTDに対して加工処理を施すことができる。
【0127】
[実施形態の変形]
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0128】
例えば、上記の第1及び第2実施形態では、FM受信装置に本発明を適用したが、他の種類の受信装置に本発明を適用してもよい。
【0129】
また、上記の第1及び第2実施形態では、高周波ノイズレベルの検出に際してバンドパスフィルタを使用するようにしたが、ハイパスフィルタを使用するようにしてもよい。
【0130】
上記の第1及び第2実施形態では、検波信号における帯域内ノイズレベルを検出するようにしたが、例えば、自動受信制御としてセパレーション制御処理のみを行う場合には、復調信号におけるLチャンネル信号及び/又はRチャンネル信号における帯域内ノイズレベルを検出するようにしてもよい。さらに、自動受信制御として行われているミュート制御処理における周波数ごとのミュート率及びハイカット制御処理における周波数ごとのカット率に基づいて復調信号を加工したうえで、加工された信号における帯域内ノイズレベルを検出するようにしてもよい。
【0131】
また、上記の第2実施形態では、予測周波数分布SFmn(f)におけるパラメータの値を算出する際に、分散を最小とする最小二乗法を採用したが、偏差を最小とする手法を採用してもよい。
【0132】
また、上記の第2実施形態では、バラツキ度として標準偏差σを算出するようにしたが、バラツキ度として分散を算出するようにしてもよい。
【0133】
なお、上記の実施形態におけるノイズ検出ユニットを、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等を備えた演算手段としてのコンピュータとして構成し、予め用意されたプログラムを当該コンピュータで実行することにより、上記の実施形態における処理の一部又は全部を実行するようにしてもよい。このプログラムはハードディスク、CD−ROM、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、当該コンピュータによって記録媒体から読み出されて実行される。また、このプログラムは、CD−ROM、DVD等の可搬型記録媒体に記録された形態で取得されるようにしてもよいし、インターネットなどのネットワークを介した配信の形態で取得されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0134】
100A,100B … 受信装置
120 … RF処理ユニット(生成部の一部)
130 … 検波ユニット(生成部の一部)
140A,140B … ノイズ検出ユニット(ノイズ検出装置)
141 … パワースペクトル算出部
142A,142B … 評価部
143 … バンドパスフィルタ(帯域外レベル検出部の一部)
144 … レベル検出部(帯域外レベル検出部の一部)
145 … ノイズレベル算出部
150 … レベル検出ユニット(計測部)
160 … 信号加工ユニット(加工処理部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノイズレベル検出装置、受信装置、ノイズレベル検出方法及びノイズレベル検出プログラム、並びに、当該ノイズレベル検出プログラムが記録された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、FM放送等の放送波を受信して処理し、音声を再生する受信装置が車両等の移動体に搭載されている。こうした受信装置では、移動体が移動することに起因して、希望放送波の周波数帯の受信電界強度や、検波結果におけるノイズ混入量等の受信状況が変化する。このため、移動体に搭載される受信装置について、希望放送波の受信状況の変化に対応して、音声再生のための信号処理の態様を変化させる自動受信制御(ARC)機能を有するようにする技術が提案されている(特許文献1参照:以下、「従来例」という)。
【0003】
かかる従来例の技術では、検波結果におけるノイズ混入量の検出に際して、当該検波結果における希望放送波に対応する信号成分の周波数帯よりも高周波数帯の信号レベルを、高周波ノイズ成分のレベルとして、検出するようにしている。そして、検出された高周波ノイズ成分のレベルを考慮して、ミュート処理、いわゆるハイカット処理の制御を含む受信制御を行うことにより、ARC機能を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開WO2006/054702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動受信制御に際しては、検波結果における希望放送波に対応する信号成分の周波数帯のノイズ成分のレベルに基づいて、受信制御を行うことが望ましい。しかしながら、当該信号成分の周波数帯に信号成分が含まれている場合には、当該信号成分の周波数帯の成分のレベルの検出結果からでは、当該信号成分の周波数帯におけるノイズ成分のレベルを決定できない。そこで、上述した従来例では、検波結果における当該信号成分の周波数帯よりも高い周波数帯に含まれる高周波成分の信号レベル、すなわち、当該信号成分にとっての高周波ノイズ成分のレベルと、当該信号成分の周波数帯のノイズ成分のレベルとの間に予測された相関関係が存在することを前提として、当該高周波ノイズ成分のレベルを検出するようにしている。
【0006】
ところで、車両等の移動体に搭載された受信装置のノイズ環境は、移動体の移動とともに変化する。かかる変化においては、当該高周波ノイズ成分のレベルと、当該信号成分の周波数帯のノイズ成分のレベルとの相関関係は短時間に大きく変化することはないと考えられるが、一定であることまでは保証されていない。この結果、当該高周波ノイズ成分のレベルの検出結果に基づいてでは、当該信号成分の周波数帯のノイズ成分のレベルを精度良く検出できない事態が発生し得る。かかる事態が発生すると、有効な自動受信制御ができなくなってしまう。
【0007】
このため、信号成分の周波数帯のノイズ成分のレベルを精度良く検出し、自動受信制御を有効に行うことができる技術が待望されている。かかる要請に応えることが、本発明が解決すべき課題の一つとして挙げられる。
【0008】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、信号成分の周波数帯のノイズ成分のレベルを精度良く検出することができるノイズレベル検出装置及びノイズレベル検出方法を提供することを目的とする。また、本発明は、自動受信制御を有効に行うことができる受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、信号成分の帯域内における帯域内ノイズ成分のレベルを検出するノイズレベル検出装置であって、フレーム期間における入力信号に対して時間周波数変換を行った後、前記信号成分の帯域におけるパワースペクトル分布を算出するパワースペクトル算出部と;前記算出されたパワースペクトル分布と、前記帯域内ノイズ成分のパワースペクトルに関する予測周波数分布とに基づいて、前記フレーム期間における前記入力信号に信号成分が含まれていないと判断できるか否かを評価する評価部と;前記評価部による評価の結果が肯定的であった場合に、前記フレーム期間における前記入力信号のレベルを、前記フレーム期間における帯域内ノイズ成分のレベルとして算出するノイズレベル算出部と;を備え、前記予測周波数分布は、値が未知である少なくとも1つのパラメータを含む関数で表現され、前記評価部は、前記予測周波数分布と前記算出されたパワースペクトル分布とが高い一致性を有するように、前記パラメータの値を選ぶことができるか否かにより、前記フレーム期間における前記入力信号に信号成分が含まれていないと判断できるか否かを評価する、ことを特徴とするノイズレベル検出装置である。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のノイズレベル検出装置と;外部からの受信信号から前記ノイズレベル検出装置へ入力させる入力信号を生成する生成部と;前記入力信号を加工処理する加工処理部と;前記ノイズレベル検出装置により検出された帯域内ノイズ成分のレベルに基づいて、前記加工処理部による加工処理を制御する制御部と;を備えることを特徴とする受信装置である。
【0011】
請求項8に記載の発明は、信号成分の帯域内における帯域内ノイズ成分のレベルを検出するノイズレベル検出装置において使用されるノイズレベル検出方法であって、フレーム期間における入力信号に対して時間周波数変換を行った後、前記信号成分の帯域におけるパワースペクトル分布を算出するパワースペクトル算出工程と;前記算出されたパワースペクトル分布と、前記帯域内ノイズ成分のパワースペクトルに関する予測周波数分布とに基づいて、前記フレーム期間における前記入力信号に信号成分が含まれていないと判断できるか否かを評価する評価工程と;前記評価工程における評価の結果が肯定的であった場合に、前記フレーム期間における前記入力信号のレベルを、前記フレーム期間における帯域内ノイズ成分のレベルとして算出するノイズレベル算出工程と;を備え、前記予測周波数分布は、値が未知である少なくとも1つのパラメータを含む関数で表現され、前記評価工程では、前記予測周波数分布と前記算出されたパワースペクトル分布とが高い一致性を有するように、前記パラメータの値を選ぶことができるか否かにより、前記フレーム期間における前記入力信号に信号成分が含まれていないと判断できるか否かを評価する、ことを特徴とするノイズレベル検出方法である。
【0012】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のノイズレベル検出方法を演算手段に実行させる、ことを特徴とするノイズレベル検出プロクラムである。
【0013】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載のノイズレベル検出プログラムが、演算手段により読み取り可能に記録されている、ことを特徴とする記録媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係る受信装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】図1のノイズ検出ユニットの構成を示すブロック図である。
【図3】図2の評価部による評価処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】図2のノイズレベル算出部によるノイズ算出処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態に係る受信装置の構成を概略的に示すブロック図である。
【図6】図5のノイズ検出ユニットの構成を示すブロック図である。
【図7】図6の関数記憶部の記憶内容を説明するための図である。
【図8】予測周波数分布の例を示す図(その1)である。
【図9】予測周波数分布の例を示す図(その2)である。
【図10】予測周波数分布の例を示す図(その3)である。
【図11】図6の評価部による評価処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態を、図1〜図4を参照して説明する。なお、本第1実施形態では、FM放送波を受信して音声を再生する受信装置を例示して説明する。
【0017】
<構成>
図1には、第1実施形態に係る受信装置100Aの概略的な構成がブロック図にて示されている。この図1に示されるように、受信装置100Aは、アンテナ110と、生成部の一部としてのRF処理ユニット120と、生成部の一部としての検波ユニット130とを備えている。また、受信装置100Aは、ノイズ検出装置としてノイズ検出ユニット140Aと、計測部としてのレベル検出ユニット150と、加工処理部としての信号加工ユニット160と、ステレオ復調ユニット165とを備えている。さらに、受信装置100Aは、アナログ処理ユニット170と、スピーカユニット180と、操作入力ユニット185と、制御ユニット190とを備えている。
【0018】
上記のアンテナ110は、放送波(受信信号)を受信する。アンテナ110による受信結果は、信号RFSとして、RF処理ユニット120へ送られる。
【0019】
上記のRF処理ユニット120は、制御ユニット190から送られた選局指令CSLに従って、選局すべき希望局の信号を信号RFSから抽出する選局処理を行い、所定の中間周波数帯の成分を有する中間周波信号IFDを、検波ユニット130及びノイズレベル検出ユニット150へ送る。このRF処理ユニット120は、入力フィルタと、高周波増幅器(RF−AMP:Radio Frequency-Amplifier)と、バンドパスフィルタ(以下、「RFフィルタ」とも呼ぶ)とを備えている。また、RF処理ユニット120は、ミキサ(混合器)と、中間周波フィルタ(以下、「IFフィルタ」とも呼ぶ)と、AD(Analogue to Digital)変換器と、局部発振回路(OSC)とを備えている。
【0020】
ここで、入力フィルタは、アンテナ110から送られた信号RFSの低周波成分を遮断するハイパスフィルタである。高周波増幅器は、入力フィルタを通過した信号を増幅する。RFフィルタは、高周波増幅器から出力された信号のうち、高周波帯の信号を選択的に通過させる。ミキサは、RFフィルタを通過した信号と、局部発振回路から供給された局部発振信号とを混合する。
【0021】
IFフィルタは、ミキサから出力された信号のうち、予め定められた中間周波数範囲の信号を選択して通過させる。AD変換器は、IFフィルタを通過した信号をデジタル信号に変換する。この変換結果は、中間周波信号IFDとして、検波ユニット130及びレベル検出ユニット150へ送られる。
【0022】
なお、局部発振回路は、電圧制御等により発振周波数の制御が可能な発振器等を備えて構成される。この局部発振回路は、制御ユニット190から送られた選局指令CSLに従って、選局すべき希望局に対応する周波数の局部発振信号を生成し、ミキサへ供給する。
【0023】
上記の検波ユニット130は、RF処理ユニット120から送られた中間周波信号IFDを受ける。そして、検波ユニット130は、中間周波信号IFDに対して検波処理を施し、検波結果を、検波信号(ノイズ検出ユニット140Aへの入力信号)DTDとして、ノイズ検出ユニット140A及び信号加工ユニット160へ送る。
【0024】
上記のノイズ検出ユニット140Aは、検波ユニット130から送られた検波信号DTDを受ける。そして、ノイズ検出ユニット140Aは、検波信号DTDにおける音声に対応する信号成分の周波数帯域内に含まれる帯域内ノイズ成分のパワーレベルを検出する。ノイズ検出ユニット140Aによる検出結果は、帯域内ノイズレベルDNDとして、信号加工ユニット160へ送られる。
【0025】
なお、ノイズ検出ユニット140Aの構成については、後述する。
【0026】
上記のレベル検出ユニット150は、RF処理ユニット120から送られた中間周波信号IFDを受ける。そして、レベル検出ユニット150は、中間周波信号IFDのパワーレベルを検出する。レベル検出ユニット150による検出結果は、電界強度レベルELDとして、信号加工ユニット160へ送られる。
【0027】
上記の信号加工ユニット160は、検波ユニット130から送られた検波信号DTD、ノイズ検出ユニット140Aから送られた帯域内ノイズレベルDND、及び、レベル検出ユニット150から送られた電界強度レベルELDを受ける。そして、信号加工ユニット160は、帯域内ノイズレベルDND及び電界強度レベルELDに対応した制御量で、検波信号DTDに対して、ミュート制御処理、ハイカット制御処理及びセパレーション制御処理を施す。信号加工ユニット160による処理によって加工された信号は、加工信号MDDとして、ステレオ復調ユニット165へ送られる。
【0028】
ここで、ミュート制御に際して、信号加工ユニット160は、帯域内ノイズレベルDNDが所定値DNDTM以上、又は、電界強度レベルELDが所定値ELDTM以下の場合に、ミュート制御を実行する。こうしたミュート制御では、帯域内ノイズレベルDNDが大きくなるほど、また、電界強度レベルELDが小さくなるほど、信号加工ユニット160は、ミュート度を増加させるようになっている。
【0029】
また、ハイカット制御に際して、信号加工ユニット160は、帯域内ノイズレベルDNDが所定値DNDTH以上、又は、電界強度レベルELDが所定値ELDTH以下の場合に、ハイカット制御を実行する。こうしたハイカット制御では、帯域内ノイズレベルDNDが大きくなるほど、また、電界強度レベルELDが小さくなるほど、信号加工ユニット160は、ハイカットされる周波数範囲を広げるようになっている。
【0030】
また、セパレーション制御に際して、信号加工ユニット160は、帯域内ノイズレベルDNDが所定値DNDTS以上、又は、電界強度レベルELDが所定値ELDTS以下の場合に、セパレーション制御を実行する。こうしたセパレーション制御では、帯域内ノイズレベルDNDが大きくなるほど、また、電界強度レベルELDが小さくなるほど、信号加工ユニット160は、セパレーション度を低減させる制御を行うようになっている。
【0031】
なお、所定値DNDTM>所定値DNDTH>所定値DNDTSとなっている。また、ELDTM<所定値ELDTH<所定値ELDTSとなっている。
【0032】
上記のステレオ復調ユニット165は、信号加工ユニット160から送られた加工信号MDDを受ける。そして、ステレオ復調ユニット165は、加工信号MDDに対してステレオ復調処理を施す。このステレオ復調結果が、復調信号DMDとして、アナログ処理ユニット170へ送られる。なお、復調信号DMDは、レフトチャンネル(以下、「Lチャンネル」)信号及びライトチャンネル(以下、「Rチャンネル」)信号の2つの信号から構成されている。
【0033】
上記のアナログ処理ユニット170は、ステレオ復調ユニット165から送られた復調信号DMDを受ける。そして、アナログ処理ユニット170は、制御ユニット190による制御のもとで、出力音声信号AOSを生成し、スピーカユニット180へ送る。
【0034】
かかる機能を有するアナログ処理ユニット170は、DA(Digital to Analogue)変換部と、音量調整部と、パワー増幅部とを備えて構成されている。ここで、DA変換部は、ステレオ復調ユニット165から送られた復調信号DMDを受ける。そして、DA変換部は、復調信号DMDをアナログ信号に変換する。なお、DA変換部は、復調信号DMDに含まれるLチャンネル信号及びRチャンネル信号に対応して、互いに同様に構成された2個のDA(Digital to Analogue)変換器を備えている。DA変換部によるアナログ変換結果は音量調整部へ送られる。
【0035】
音量調整部は、DA変換部から送られたLチャンネル及びRチャンネルのアナログ変換結果信号を受ける。そして、音量調整部は、制御ユニット190からの音量調整指令VLCに従って、Lチャンネル及びRチャンネルのそれぞれに対応するアナログ変換結果信号に対して音量調整処理を施す。なお、音量調整部は、本第1実施形態では、Lチャンネル及びRチャンネルに対応して、互いに同様に構成された2個の電子ボリューム素子等を備えて構成されている。音量調整部による音量調整結果の信号は、パワー増幅部へ送られる。
【0036】
パワー増幅部は、音量調整部から送られたLチャンネル及びRチャンネルの音量調整結果の信号を受ける。そして、パワー増幅部は、音量調整結果の信号をパワー増幅する。なお、パワー増幅部は、Lチャンネル及びRチャンネルに対応して、互いに同様に構成された2個のパワー増幅器を備えている。パワー増幅部による増幅結果である出力音声信号AOSは、スピーカユニット180へ送られる。
【0037】
上記のスピーカユニット180は、Lチャンネルスピーカ及びRチャンネルスピーカを備えている。このスピーカユニット180は、アナログ処理ユニット170から送られた出力音声信号AOSに従って、音声を再生出力する。
【0038】
上記の操作入力ユニット185は、受信装置100Aの本体部に設けられたキー部、あるいはキー部を備えるリモート入力装置等により構成される。ここで、本体部に設けられたキー部としては、不図示の表示ユニットに設けられたタッチパネルを用いることができる。また、キー部を有する構成に代えて、音声入力する構成を採用することもできる。操作入力ユニット185への操作入力結果は、操作入力データIPDとして制御ユニット190へ送られる。
【0039】
上記の制御ユニット190は、操作入力ユニット185から送られた操作入力データIPDを受ける。この操作入力データIPDの内容が選局指定であった場合には、制御ユニット190は、指定された希望局に対応する選局指令CSLを生成して、RF処理ユニット120へ送るとともに、係数リセット指令KRSをノイズ検出ユニット140Aへ送る。また、操作入力データIPDの内容が音量調整指定であった場合には、制御ユニット190は、指定された音量調整指定に対応する音量調整指令VLCを生成して、アナログ処理ユニット170へ送る。
【0040】
次に、上記のノイズ検出ユニット140Aの構成について説明する。このノイズ検出ユニット140Aは、図2に示されるように、パワースペクトル算出部141と、評価部142Aとを備えている。また、ノイズ検出ユニット140Aは、帯域外レベル検出部の一部としてのバンドパスフィルタ(BPF)部143と、帯域外レベル検出部の一部としてのレベル検出部144と、ノイズレベル算出部145とを備えている。
【0041】
上記のパワースペクトル算出部141は、検波ユニット130から送られた検波信号DTDを受ける。そして、パワースペクトル算出部141は、所定期間長のフレーム期間ごとに、検波信号DTDに対する時間周波数変換を行った後、当該時間周波数変換に基づいて、パワースペクトル分布を算出する。パワースペクトル算出部141による算出結果は、パワースペクトル分布情報PSDとして、評価部142A及びノイズレベル算出部145へ送られる。
【0042】
上記の評価部142Aは、パワースペクトル算出部141から送られたパワースペクトル分布情報PSDを受ける。そして、評価部142Aは、パワースペクトル分布情報PSDに基づいて、当該パワースペクトル分布情報PSDが得られたフレーム期間の検波信号DTDに音声信号成分が含まれていないと判断できるか否かを評価する。評価部142Aによる評価結果ESRは、ノイズレベル算出部145へ送られる。
【0043】
なお、評価部142Aは、音声信号成分の周波数帯域における帯域内ノイズ成分は、各周波数のパワースペクトルの値が周波数によらず一定であるホワイトノイズであることが予測されているものとして、検波信号DTDに音声信号成分が含まれていないと判断できるか否かを評価する。かかる評価に際して、評価部142Aは、帯域内ノイズ成分のパワースペクトルに関する予測周波数分布が、パワーレベルが未知なホワイトノイズのパワースペクトル分布であるものとして、予測周波数分布と、フレーム期間における検波信号DTDの音声信号帯域内のパワースペクトル分布とが高い一致性を有するように、パワーレベルの値を選ぶようにすることができるか否かを評価する。かかる評価部142Aにより実行される処理の詳細については、後述する。
【0044】
上記のBPF部143は、検波ユニット130から送られた検波信号DTDを受ける。そして、BPF部143は、音声信号成分の周波数帯域外の所定の周波数範囲の成分を選択的に通過させる。BPF部143を通過した信号HCDは、レベル検出部144へ送られる。
【0045】
本第1実施形態では、所定の周波数範囲は、音声信号成分の周波数帯域よりも周波数が高い範囲となっている。このため、信号HCDは、検波信号DTDにおける高周波ノイズ成分の一部となっている。
【0046】
なお、「所定の周波数範囲」は、検波ユニット130の仕様とともに、受信装置100Aの設計段階において、実験、シミュレーション、経験等に基づいて定められる。
【0047】
上記のレベル検出部144は、BPF部143から送られた信号HCDを受ける。そして、レベル検出部144は、信号HCDのパワーレベルを検出する。レベル検出部144による検出結果は、高周波ノイズレベルDHLとして、ノイズレベル算出部145へ送られる。
【0048】
上記のノイズレベル算出部145は、パワースペクトル算出部141から送られたパワースペクトル分布情報PSD、評価部142Aから送られた評価結果ESR、及び、レベル検出部144から送られた高周波ノイズレベルDHLを受ける。そして、ノイズレベル算出部145は、パワースペクトル分布情報PSD、評価結果ESR及び高周波ノイズレベルDHLに基づいて、音声信号成分の周波数帯域における帯域内ノイズ成分のパワーレベルを算出する。ノイズレベル算出部145による算出結果は、帯域内ノイズレベルDNDとして、信号加工ユニット160へ送られる。
【0049】
また、ノイズレベル算出部145は、制御ユニット190から送られた係数リセット指令KRSを受ける。この係数リセット指令KRSを受けると、ノイズレベル算出部145は、内部に保持されている係数Kの値を、強制的に初期値K0に設定する。
【0050】
なお、ノイズレベル算出部145による帯域内ノイズレベルの算出処理の詳細については、後述する。
【0051】
<動作>
次に、以上のように構成された受信装置100Aの動作について、評価部142Aによる評価処理及びノイズレベル算出部145による帯域内ノイズレベルの算出処理に主に着目して説明する。
【0052】
前提として、操作入力ユニット185には既に利用者により選局指定が入力されており、指定された希望局に対応する選局指令CSLが、RF処理ユニット120へ送られているものとする。また、操作入力ユニット185には既に利用者により音量調整指定が入力されており、指定された音量調整態様に対応する音量調整指令VLCが、アナログ処理ユニット170へ送られているものとする(図1参照)。
【0053】
こうした状態で、アンテナ110で放送波を受信すると、信号RFSが、アンテナ110からRF処理ユニット120へ送られる。そして、RF処理ユニット120において、選局すべき希望局の信号が中間周波数帯の信号に変換された後、AD変換が行われる。このAD変換の結果が、中間周波信号IFDとして、検波ユニット130及びレベル検出ユニット150へ送られる(図1参照)。
【0054】
中間周波信号IFDを受けた検波ユニット130では、中間周波信号IFDに対して検波処理が施される。そして、検波ユニット130は、検波処理の結果を、検波信号DTDとして、ノイズ検出ユニット140A及び信号加工ユニット160へ送られる(図1参照)。
【0055】
また、中間周波信号IFDを受けたレベル検出ユニット150は、中間周波信号IFDのパワーレベルを検出する。そして、レベル検出ユニット150は、検出結果を、電界強度レベルELDとして、信号加工ユニット160へ送る(図1参照)。
【0056】
ノイズ検出ユニット140Aでは、パワースペクトル算出部141及びBPF部143が、検波信号DTDを受ける。検波信号DTDを受けたパワースペクトル算出部141は、所定期間長のフレーム期間ごとに、検波信号DTDに対する時間周波数変換を行った後、当該時間周波数変換に基づいて、パワースペクトル分布を算出する。そして、パワースペクトル算出部141は、算出結果を、パワースペクトル分布情報PSDとして、評価部142A及びノイズレベル算出部145へ送る(図2参照)。
【0057】
また、検波信号DTDを受けたBPF部143は、検波信号DTDにおける音声信号成分の周波数帯域よりも周波数が高い所定の周波数範囲の成分を選択的に通過させる。BPF部143を通過した信号HCDは、レベル検出部144へ送られる。そして、レベル検出部144が、信号HCDのパワーレベルを検出し、その検出結果を、高周波ノイズレベルDHLとして、ノイズレベル算出部145へ送る。
【0058】
《音声信号成分の有無の評価処理》
上述したようにパワースペクトル算出部141により算出されたパワースペクトル分布情報PSDを受けると、評価部142Aが、当該パワースペクトル分布情報PSDが得られたフレーム期間における検波信号DTDに、音声信号成分が含まれていないと判断できるか否かの評価を行う。
【0059】
かかる評価処理では、図3に示されるように、まず、ステップS11において、評価部142Aが、新たなパワースペクトル分布情報PSDを受けたか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS11:N)には、ステップS11の処理が繰り返される。
【0060】
パワースペクトル算出部141から送られた新たなパワースペクトル分布情報PSDを受け、ステップS11における判定の結果が肯定的となると(ステップS11:Y)、処理はステップS12へ進む。このステップS12では、評価部142Aが、新たなパワースペクトル分布情報PSDで示されたパワースペクトル分布から、音声信号成分の周波数領域であって、パイロット信号成分の周波数領域を除いた周波数領域のパワースペクトル分布である帯域内パワースペクトル分布PW(f)(f:周波数)を抽出する。
【0061】
なお、抽出された帯域内パワースペクトル分布PW(f)が、[PW(f1)(=PW1),PW(f2)(=PW2),…,PW(fN)(=PWN)](f1<f2<…<fN)であったものとして、以下の説明を行う。
【0062】
引き続き、評価部142Aは、帯域内パワースペクトル分布PW(f)の形状を各周波数の信号の発生の確率分布PR(f)の形状と見なして、当該確率分布のエントロピ(H)を、次の(1)式及び(2)式を用いて算出する。
【0063】
【数1】
【0064】
【数2】
【0065】
なお、エントロピ(H)は、確率分布PR(f)が、次の(3)式で表される場合に、最大値(logN)となる。
PR(f)=1/N …(3)
【0066】
次に、ステップS13において、評価部142Aは、上述のようにして算出されたエントロピ(H)が、予め定められた閾値HTHよりも大きいか否かを判定する。かかる判定により、評価部142Aは、確率分布PR(f)と同様の形状となっている帯域内パワースペクトル分布PW(f)には、実質的にホワイトノイズ成分のパワースペクトルのみが含まれているといえるか否か、すなわち、新たなパワースペクトル分布情報PSDが得られたフレーム期間における検波信号DTDの音声信号成分の周波数領域には、音声信号成分が含まれていないといえるか否かを判定する。
【0067】
なお、「閾値HTH」は、新たなパワースペクトル分布情報PSDが得られたフレーム期間における検波信号DTDの音声信号成分の周波数領域に、実質的にホワイトノイズのみが含まれるといえるか否かを判断するとの観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。
【0068】
ステップS13における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS13:Y)には、処理はステップS14へ進む。このステップS14では、評価部142Aが、新たなパワースペクトル分布情報PSDが得られたフレーム期間における検波信号DTDの音声信号成分の周波数領域には、音声信号成分が含まれていないと評価する。そして、処理は、後述するステップS16へ進む。
【0069】
一方、ステップS13における判定の結果が否定的であった場合(ステップS13:N)には、処理はステップS15へ進む。このステップS15では、評価部142Aが、新たなパワースペクトル分布情報PSDが得られたフレーム期間における検波信号DTDの音声信号成分の周波数領域には、音声信号成分が含まれていると評価する。そして、処理はステップS16へ進む。
【0070】
ステップS16では、評価部142Aが、上記のステップS14又はステップS15における評価の結果を、評価結果ESRとして、ノイズレベル算出部145へ送る。そして、処理はステップS11へ戻る。
【0071】
以後、上述したステップS11〜S16の処理が繰り返され、パワースペクトル算出部141から送られたパワースペクトル分布情報PSDを受けるたびに、評価部142Aが、当該パワースペクトル分布情報PSDが得られたフレーム期間における検波信号DTDに、音声信号成分が含まれていないと判断できるか否かの評価を行う。そして、評価部142Aが、評価結果ESRをノイズレベル算出部145へ送る。
【0072】
《帯域内ノイズレベルの評価処理》
上述したように評価部142Aにより行われた評価の結果である評価結果ESRを受けると、ノイズレベル算出部145が、当該評価結果ESRが得られたフレーム期間における検波信号DTDに含まれる帯域内ノイズ成分のパワーレベル(帯域内ノイズレベル)を算出する。
【0073】
かかる算出処理では、図4に示されるように、まず、ステップS21において、ノイズレベル算出部145が、新たな評価結果ESRを受けたか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS21:N)には、ステップS21の処理が繰り返される。
【0074】
評価部142Aから送られた新たな評価結果ESRを受け、ステップS21における判定の結果が肯定的となると(ステップS21:Y)、処理はステップS22へ進む。このステップS22では、ノイズレベル算出部145が、パワースペクトル算出部141から送られている当該新たな評価結果ESRに対応したパワースペクトル分布情報PSD、及び、レベル検出部144から送られている高周波ノイズレベルDHLを取得する。
【0075】
次に、ステップS23において、ノイズレベル算出部145が、新たな評価結果ESRに基づいて、当該新たな評価結果ESRが得られたフレーム期間における検波信号DTDに音声信号成分が含まれているか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS23:N)には、処理はステップS24へ進む。
【0076】
ステップS24では、ノイズレベル算出部145が、まず、直近のステップS22において取得されたパワースペクトル分布情報PSDに基づいて、帯域内ノイズレベルを算出する。かかる帯域内ノイズレベルの算出に際して、ノイズレベル算出部145は、当該取得されたパワースペクトル分布情報PSDから帯域内パワースペクトル分布PW(f)を導出する。
【0077】
引き続き、ノイズレベル算出部145は、帯域内パワースペクトル分布PW(f)における各周波数のパワースペクトルの総和を算出することにより、帯域内ノイズレベルを算出する。そして、ノイズレベル算出部145は、算出結果を、帯域内ノイズレベルDNDとして、信号加工ユニット160へ送る(図2参照)。
【0078】
次に、ステップS25において、ノイズレベル算出部145が、ステップS24において算出された帯域内ノイズレベルと、直近のステップS22において取得された高周波ノイズレベルDHLとの比を算出する。そして、ノイズレベル算出部145は、内部に保持している係数Kを、算出された比の値に更新する。この後、処理はステップS21へ戻る。
【0079】
なお、ノイズレベル算出部145の内部に保持される係数Kは、新たな選局が行われたことに対応して制御ユニット190から送られた係数リセット指令KRSを受けるたびに、ノイズレベル算出部145は、内部に保持される係数Kを、強制的に初期値K0に設定する。ここで、後述するステップS26において行われる帯域内ノイズレベルの算出の際に用いられる平均的な値とするとの観点から、「初期値K0」は、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。
【0080】
上述したステップS23における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS23:Y)には、処理はステップS26へ進む。このステップS26では、ノイズレベル算出部145が、内部に保持されている係数Kと、直近のステップS22において取得された高周波ノイズレベルDHLとの乗算を行うことにより、帯域内ノイズレベルを算出する。そして、ノイズレベル算出部145は、算出結果を、帯域内ノイズレベルDNDとして、信号加工ユニット160へ送る(図2参照)。この後、処理はステップS21へ戻る。
【0081】
以後、上述したステップS21〜S26の処理が繰り返され、評価部142Aから送られた評価結果ESRを受けるたびに、ノイズレベル算出部145が、当該評価結果ESRが得られたフレーム期間における検波信号DTDにおける帯域内ノイズ成分のパワーレベルを算出する。そして、ノイズレベル算出部145が、算出された帯域内ノイズ成分のパワーレベルを、帯域内ノイズレベルDNDとして、信号加工ユニット160へ送る。
【0082】
上記のようにして得られた検波信号DTD、電界強度レベルELD及び帯域内ノイズレベルDNDを受けた信号加工ユニット160は、電界強度レベルELD及び帯域内ノイズレベルDNDに基づいて、上述のようにして、ミュート制御処理、ハイカット制御処理及びセパレーション制御処理を施す。そして、信号加工ユニット160は、これらの制御処理を施した信号を、加工信号MDDとして、ステレオ復調ユニット165へ送る(図1参照)。
【0083】
信号加工ユニット160から送られた加工信号MDDを受けたステレオ復調ユニット165は、セパレーション処理を含めたステレオ復調処理を、加工信号MDDに対して施す。そして、ステレオ復調ユニット165は、ステレオ復調処理の結果を、復調信号DMDとして、アナログ処理ユニット170へ送る(図1参照)。
【0084】
ステレオ復調ユニット165から送られた復調信号DMDを受けたアナログ処理ユニット170では、DA変換部、音量調整部及びパワー増幅部が、順次、処理を行い、出力音声信号AOSを生成し、スピーカユニット180へ送る(図1参照)。そして、スピーカユニット180が、アナログ処理ユニット170からの出力音声信号AOSに従って、音声を再生出力する。
【0085】
以上説明したように、本第1実施形態では、評価部142Aが、帯域内ノイズ成分のパワースペクトルに関する予測周波数分布を、パワーレベルが未知なホワイトノイズのパワースペクトル分布と予測して、当該予測周波数分布と、フレーム期間における検波信号DTDの音声信号帯域内の帯域内パワースペクトル分布PW(f)とが高い一致性を有するように、パワーレベルの値を選ぶことができるか否かを判定する。かかる判定に際して、評価部142Aは、帯域内パワースペクトル分布PW(f)の形状を、各周波数の信号の発生の確率分布の形状と見なし、当該確率分布のエントロピを算出する。そして、評価部142Aは、算出されたエントロピが、予め定められた閾値HTH以上であるかを判定する。
【0086】
こうした判定を行うことにより、評価部142Aは、当該フレーム期間における検波信号DTDに音声信号成分が含まれていないと判断できるか否かを評価する。この評価の結果が肯定的であった場合には、ノイズレベル算出部145が、帯域内パワースペクトル分布PW(f)における各周波数のパワースペクトルの総和を算出することにより、帯域内ノイズ成分のパワーレベルを算出する。
【0087】
また、本第1実施形態では、評価部142Aによる評価の結果が肯定的であった場合に、ノイズレベル算出部145が、算出された帯域内ノイズ成分のパワーレベルと、レベル検出部144により検出されている帯域外ノイズのパワーレベルとの比を算出し、内部に保持される係数Kを、算出された比の値に更新する。そして、評価部142Aによる評価の結果が否定的であったフレーム期間については、ノイズレベル算出部145は、その時点においてレベル検出部144により検出されている帯域外ノイズのパワーレベルと、内部に保持されている係数Kとに基づいて、帯域内ノイズ成分のパワーレベルを算出する。
【0088】
また、本第1実施形態では、ノイズレベル算出部145により算出された帯域内ノイズ成分のパワーレベルを参照して、自動受信制御(ARC)を行って、検波信号DTDに対して加工処理を施す。したがって、本第1実施形態によれば、適切な自動受信制御を行って、検波信号DTDに対して加工処理を施すことができる。
【0089】
[第2実施形態]
まず、本発明の第2実施形態を、図5〜図11を主に参照して説明する。なお、本第2実施形態でも、上述した第1実施形態と同様に、FM放送波を受信して音声を再生する受信装置を例示して説明する。また、本第2実施形態では、受信装置は車両に搭載されているものとする。
【0090】
<構成>
図5には、第2実施形態に係る受信装置100Bの概略的な構成がブロック図にて示されている。この図5に示されるように、受信装置100Bは、上述した第1実施形態に係る受信装置100Aと比べて、位置検出ユニット125を更に備える点、及び、ノイズ検出ユニット140Aに代えてノイズ検出ユニット140Bを備える点が異なっている。以下、これらの相違点に主に着目して説明する。
【0091】
なお、本第2実施形態では、制御ユニット190は、選局指令CSLを、ノイズ検出ユニット140Bへも送るようになっている。
【0092】
上記の位置検出ユニット125は、受信装置100Bの現在位置を検出する。位置検出ユニット125による検出結果は、現在位置CPDとして、ノイズ検出ユニット140Bへ送られる。
【0093】
なお、本第2実施形態では、位置検出ユニット125は、複数のGPS衛星からの電波の受信結果に基づいて、受信装置100Bの現在位置、すなわち、受信装置100Bが搭載された車両の現在位置を算出するようになっている。
【0094】
上記のノイズ検出ユニット140Bは、図6に示されるように、上述したノイズ検出ユニットと比べて、評価部142Aに代えて評価部142Bを備える点、及び、関数記憶部149を更に備える点が異なっている。
【0095】
上記の評価部142Bは、パワースペクトル算出部141から送られたパワースペクトル分布情報PSD、位置検出ユニット125から送られた現在位置CPD、及び、制御ユニット190から送られた選局指令CSLを受ける。引き続き、評価部142Bは、最新の現在位置CPD、及び、最新の選局指令CSLに基づいて関数記憶部149にアクセスし、現在位置CPDにおける選局中の放送局の放送波についての検波信号DTDに含まれる帯域内ノイズ成分のパワースペクトルに関する予測周波数分布を、関数情報FNIとして読み取る。
【0096】
そして、評価部142Bは、当該関数情報FNIと、上述した第1実施形態の場合と同様に当該パワースペクトル分布情報PSDから得られる帯域内パワースペクトル分布PW(f)とに基づいて、当該帯域内パワースペクトル分布情報PSDが得られたフレーム期間の検波信号DTDに音声信号成分が含まれていないと判断できるか否かを評価する。評価部142Bによる評価結果ESRは、ノイズレベル算出部145へ送られる。
【0097】
なお、評価部142Bによる評価処理の詳細については、後述する。
【0098】
上記の関数記憶部149は、メモリ素子を備えて構成されており、評価部142Bがアクセスできるようになっている。関数記憶部149には、図7に示されるように、関数テーブルFNTが記憶されている。この関数テーブルFNTには、地域(RGNm:m=1,2,…)において受信可能な放送波の放送周波数(FQmn:n=1,2,…)のそれぞれに関連付けて、帯域内ノイズ成分のパワースペクトルに関する予測周波数分布SFmn(f)が登録されている。こうした予測周波数分布SFmn(f)の例が、図8〜図10に示されている。
【0099】
図8には、パラメータC11(C≧0)の値が未知であるホワイトノイズのパワースペクトル分布が、予測周波数分布SF11(f)である例が示されている。また、図9には、予測周波数分布SF12(f)として、パラメータA12(≧0),C12の値が未知である次の(4)式で表わされる分布である例が示されている。
SF12(f)=A12・(f―f12)2+C12 …(4)
【0100】
また、図10には、予測周波数分布SF21(f)として、周波数範囲[fMIN〜f21]においては、パラメータとしての値C21(≧0)が未知である次の(5)式で表わされる分布SF211(f)で表わされる分布であり、周波数範囲[f21〜fMAX]においては、パラメータA21(≧0),C21(≧0)の値が未知である次の(6)式で表わされる分布SF212(f)で表わされる分布である例が示されている。
SF211(f)=C21 …(5)
SF212(f)=A21・(f―f21)2+C21 …(6)
【0101】
なお、関数テーブルFNTは、例えば、モニタ車両による計測結果により作成されて、サーバ装置に記憶された後に、ネットワークを介してダウンロードされて、関数記憶部149内に記憶される。
【0102】
<動作>
次に、以上のように構成された受信装置100Bの動作について、評価部142Bによる評価処理に主に着目して説明する。
【0103】
前提として、操作入力ユニット185には既に利用者により選局指定が入力されており、指定された希望局に対応する選局指令CSLが、RF処理ユニット120及び評価部142Bへ送られているものとする。また、操作入力ユニット185には既に利用者により音量調整指定が入力されており、指定された音量調整態様に対応する音量調整指令VLCが、アナログ処理ユニット170へ送られているものとする(図5参照)。
【0104】
こうした状態で、アンテナ110で放送波を受信すると、上述した第1実施形態の場合と同様にして、パワースペクトル分布情報PSDが評価部142B及びノイズレベル算出部145へ送られるとともに、検波信号DTD及び高周波ノイズレベルDHLがノイズレベル算出部145へ送られる。さらに、本第2実施形態では、位置検出ユニット125による検出結果が、現在位置CPDとして、評価部142Bへ送られる(図6参照)。
【0105】
《音声信号成分の有無の評価処理》
上述したようにパワースペクトル算出部141により算出されたパワースペクトル分布情報PSDを受けると、評価部142Bが、当該パワースペクトル分布情報PSDが得られたフレーム期間における検波信号DTDに、音声信号成分が含まれていないと判断できるか否かの評価を行う。
【0106】
かかる評価処理では、図11に示されるように、まず、ステップS31において、評価部142Bが、新たなパワースペクトル分布情報PSDを受けたか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS31:N)には、ステップS31の処理が繰り返される。
【0107】
パワースペクトル算出部141から送られた新たなパワースペクトル分布情報PSDを受け、ステップS31における判定の結果が肯定的となると(ステップS31:Y)、処理はステップS32へ進む。このステップS32では、評価部142Bが、帯域内ノイズ成分のパワースペクトル分布候補Tmn(f)を導出する。
【0108】
かかるパワースペクトル分布候補Tmn(f)の導出に際して、評価部142Bは、まず、上述した評価部142Aの場合と同様にして、新たなパワースペクトル分布情報PSDから帯域内パワースペクトル分布PW(f)を抽出する。引き続き、評価部142Bは、直近に受けた選局指令CSL及び現在位置CPDに基づいて関数記憶部149にアクセスし、予測周波数分布SFmn(f)を、関数情報FNIとして読み取る。
【0109】
次に、評価部142Bは、帯域内パワースペクトル分布PW(f)に対する近似として統計的に妥当と考えられる予測周波数分布SFmn(f)におけるパラメータの値を算出することにより、パワースペクトル分布候補Tmn(f)を導出する。なお、本第2実施形態では、評価部142Bは、最小二乗法を利用して、当該パラメータの値を算出するようになっている。
【0110】
例えば、予測周波数分布SFmn(f)が、上記で例示した予測周波数分布SF11(f)(図8参照)である場合には、帯域内パワースペクトル分布PW(f)におけるパワースペクトルPW1,PW2,…,PWNの平均値が、パラメータC11の値として算出される。
【0111】
次に、ステップS33において、評価部142Bは、算出されたパラメータの値が、予測周波数分布SFmn(f)として定められている条件を満たしているか否かを判定する。例えば、予測周波数分布SFmn(f)が、上記で例示した予測周波数分布SF11(f)である場合には、評価部142Bは、パラメータC11の値が0以上であるか否かを判定する。また、予測周波数分布SFmn(f)が、上記で例示した予測周波数分布SF12(f)(図9参照)である場合には、評価部142Bは、パラメータA12の値が0以上であるか否かを判定する。また、予測周波数分布SFmn(f)が、上記で例示した予測周波数分布SF21(f)(図10参照)である場合には、評価部142Bは、パラメータA21の値が0以上であり、かつ、パラメータC21の値が0以上であるか否かを判定する。
【0112】
ステップS33における判定の結果が否定的であった場合(ステップS33:N)には、処理は、後述するステップS37へ進む。一方、ステップS33における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS33:Y)には、処理は、ステップS34へ進む。
【0113】
ステップS34では、評価部142Bが、パワースペクトル分布候補Tmn(f)に対する帯域内パワースペクトル分布PW(f)の標準偏差σを算出する。これにより、評価部142Bが、パワースペクトル分布候補Tmn(f)からの帯域内パワースペクトル分布PW(f)におけるパワースペクトルPW1,PW2,…,PWNのバラツキ度を算出する。
【0114】
次いで、ステップS35において、評価部142Bは、標準偏差σが閾値σTH以下であるか否かを判定する。これにより、評価部142Bは、帯域内パワースペクトル分布PW(f)とパワースペクトル分布候補Tmn(f)との一致度を判定し、当該帯域内パワースペクトル分布PW(f)が得られたフレーム期間の検波信号DTDにおける音声信号成分の周波数帯域には、実質的にノイズ成分のみが含まれていると判断できるか否か、すなわち、新たなパワースペクトル分布情報PSDが得られたフレーム期間における検波信号DTDの音声信号成分の周波数領域には、音声信号成分が含まれていないと判断できるか否かを判定する。
【0115】
なお、「閾値σTH」は、新たなパワースペクトル分布情報PSDが得られたフレーム期間における検波信号DTDの音声信号成分の周波数領域には、音声信号成分が含まれていないと判断できるか否かを評価するとの観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて、予め定められる。
【0116】
ステップS35の判定の結果が肯定的であった場合(ステップS35:Y)には、処理はステップS36へ進む。このステップS36では、上述したステップS14と同様に、評価部142Bが、新たなパワースペクトル分布情報PSDが得られたフレーム期間における検波信号DTDの音声信号成分の周波数領域には、音声信号成分が含まれていないと評価する。そして、処理は、後述するステップS38へ進む。
【0117】
ステップS35における判定の結果が否定的であった場合(ステップS35:N)には、処理はステップS37へ進む。このステップS37では、上述したステップS15と同様に、評価部142Bが、新たなパワースペクトル分布情報PSDが得られたフレーム期間における検波信号DTDの音声信号成分の周波数領域には、音声信号成分が含まれていると評価する。そして、処理はステップS38へ進む。
【0118】
ステップS38では、評価部142Bが、上記のステップS36又はステップS37における評価の結果を、評価結果ESRとして、ノイズレベル算出部145へ送る。そして、処理はステップS31へ戻る。
【0119】
以後、上述したステップS31〜S38の処理が繰り返され、パワースペクトル算出部141から送られたパワースペクトル分布情報PSDを受けるたびに、評価部142Bが、当該パワースペクトル分布情報PSDが得られたフレーム期間における検波信号DTDに、音声信号成分が含まれていないと判断できるか否かの評価を行う。そして、評価部142Bが、評価結果ESRをノイズレベル算出部145へ送る(図6参照)。
【0120】
こうして評価部142Bにより行われた評価の結果である評価結果ESRを受けると、ノイズレベル算出部145が、第1実施形態の場合と同様にして、当該評価結果ESRが得られたフレーム期間における検波信号DTDに含まれる帯域内ノイズ成分のパワーレベルを算出する。そして、ノイズレベル算出部145は、算出結果を、帯域内ノイズレベルDNDとして信号加工ユニット160へ送る(図6参照)。
【0121】
上記のようにして得られた検波信号DTD、電界強度レベルELD及び帯域内ノイズレベルDNDを受けた信号加工ユニット160は、電界強度レベルELD及び帯域内ノイズレベルDNDに基づいて、第1実施形態の場合と同様に、ミュート制御処理、ハイカット制御処理及びセパレーション制御処理を施し、加工信号MDDとして、ステレオ復調ユニット165へ送る(図5参照)。引き続き、ステレオ復調ユニット165は、加工信号MDDに対してステレオ復調処理を施し、復調信号DMDとして、アナログ処理ユニット170へ送る(図5参照)。
【0122】
引き続き、第1実施形態の場合と同様に、復調信号DMDを受けたアナログ処理ユニット170では、DA変換部、音量調整部及びパワー増幅部が、順次、処理を行い、出力音声信号AOSを生成し、スピーカユニット180へ送る(図5参照)。そして、スピーカユニット180が、アナログ処理ユニット170からの出力音声信号AOSに従って、音声を再生出力する。
【0123】
以上説明したように、本第2実施形態では、評価部142Bが、受信装置100Bの現在位置と、選局中の放送局との組み合わせに対応する予測周波数分布SFmn(f)と、帯域内パワースペクトル分布PW(f)とが高い一致性を有するように、予測周波数分布SFmn(f)におけるパラメータの値を選ぶことができるか否かを判定する。かかる判定に際して、評価部142は、まず、帯域内パワースペクトル分布PW(f)に対して、予測周波数分布SFmn(f)が統計的に妥当な近似となるように、予測周波数分布SFmn(f)におけるパラメータの値を算出し、パワースペクトル分布候補Tmn(f)を導出する。そして、評価部142Bは、パワースペクトル分布候補Tmn(f)に対する帯域内パワースペクトル分布PW(f)の標準偏差σが、予め定められた閾値σH以下であるかを判定する。
【0124】
こうした判定を行うことにより、評価部142Bは、当該フレーム期間における検波信号DTDに音声信号成分が含まれていないと判断できるか否かを評価する。この評価の結果が肯定的であった場合には、ノイズレベル算出部145が、帯域内パワースペクトル分布PW(f)における各周波数のパワースペクトルの総和を算出することにより、帯域内ノイズ成分のパワーレベルを算出する。
【0125】
また、本第2実施形態では、第1実施形態の場合と同様に、評価部142Bによる評価の結果が肯定的であった場合に、ノイズレベル算出部145が、算出された帯域内ノイズ成分のパワーレベルと、レベル検出部144により検出されている帯域外ノイズのパワーレベルとの比を算出し、内部に保持される係数Kを、算出された比の値に更新する。そして、評価部142Bによる評価の結果が否定的であったフレーム期間については、ノイズレベル算出部145は、その時点においてレベル検出部144により検出されている帯域外ノイズのパワーレベルと、内部に保持されている係数Kとに基づいて、帯域内ノイズ成分のパワーレベルを算出する。
【0126】
また、本第2実施形態では、第1実施形態の場合と同様に、ノイズレベル算出部145により算出された帯域内ノイズ成分のパワーレベルを参照して、自動受信制御(ARC)を行って、検波信号DTDに対して加工処理を施す。したがって、本第2実施形態によれば、適切な自動受信制御を行って、検波信号DTDに対して加工処理を施すことができる。
【0127】
[実施形態の変形]
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0128】
例えば、上記の第1及び第2実施形態では、FM受信装置に本発明を適用したが、他の種類の受信装置に本発明を適用してもよい。
【0129】
また、上記の第1及び第2実施形態では、高周波ノイズレベルの検出に際してバンドパスフィルタを使用するようにしたが、ハイパスフィルタを使用するようにしてもよい。
【0130】
上記の第1及び第2実施形態では、検波信号における帯域内ノイズレベルを検出するようにしたが、例えば、自動受信制御としてセパレーション制御処理のみを行う場合には、復調信号におけるLチャンネル信号及び/又はRチャンネル信号における帯域内ノイズレベルを検出するようにしてもよい。さらに、自動受信制御として行われているミュート制御処理における周波数ごとのミュート率及びハイカット制御処理における周波数ごとのカット率に基づいて復調信号を加工したうえで、加工された信号における帯域内ノイズレベルを検出するようにしてもよい。
【0131】
また、上記の第2実施形態では、予測周波数分布SFmn(f)におけるパラメータの値を算出する際に、分散を最小とする最小二乗法を採用したが、偏差を最小とする手法を採用してもよい。
【0132】
また、上記の第2実施形態では、バラツキ度として標準偏差σを算出するようにしたが、バラツキ度として分散を算出するようにしてもよい。
【0133】
なお、上記の実施形態におけるノイズ検出ユニットを、中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等を備えた演算手段としてのコンピュータとして構成し、予め用意されたプログラムを当該コンピュータで実行することにより、上記の実施形態における処理の一部又は全部を実行するようにしてもよい。このプログラムはハードディスク、CD−ROM、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、当該コンピュータによって記録媒体から読み出されて実行される。また、このプログラムは、CD−ROM、DVD等の可搬型記録媒体に記録された形態で取得されるようにしてもよいし、インターネットなどのネットワークを介した配信の形態で取得されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0134】
100A,100B … 受信装置
120 … RF処理ユニット(生成部の一部)
130 … 検波ユニット(生成部の一部)
140A,140B … ノイズ検出ユニット(ノイズ検出装置)
141 … パワースペクトル算出部
142A,142B … 評価部
143 … バンドパスフィルタ(帯域外レベル検出部の一部)
144 … レベル検出部(帯域外レベル検出部の一部)
145 … ノイズレベル算出部
150 … レベル検出ユニット(計測部)
160 … 信号加工ユニット(加工処理部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号成分の帯域内における帯域内ノイズ成分のレベルを検出するノイズレベル検出装置であって、
フレーム期間における入力信号に対して時間周波数変換を行った後、前記信号成分の帯域におけるパワースペクトル分布を算出するパワースペクトル算出部と;
前記算出されたパワースペクトル分布と、前記帯域内ノイズ成分のパワースペクトルに関する予測周波数分布とに基づいて、前記フレーム期間における前記入力信号に信号成分が含まれていないと判断できるか否かを評価する評価部と;
前記評価部による評価の結果が肯定的であった場合に、前記フレーム期間における前記入力信号のレベルを、前記フレーム期間における帯域内ノイズ成分のレベルとして算出するノイズレベル算出部と;を備え、
前記予測周波数分布は、値が未知である少なくとも1つのパラメータを含む関数で表現され、
前記評価部は、前記予測周波数分布と前記算出されたパワースペクトル分布とが高い一致性を有するように、前記パラメータの値を選ぶことができるか否かにより、前記フレーム期間における前記入力信号に信号成分が含まれていないと判断できるか否かを評価する、
ことを特徴とするノイズレベル検出装置。
【請求項2】
前記予測周波数分布は、レベルが未知なホワイトノイズのパワースペクトル分布であり、
前記評価部は、
前記算出されたパワースペクトル分布の形状を、各周波数の信号の発生の確率分布の形状と見なして、前記確率分布のエントロピを算出し、
前記算出されたエントロピが、予め定められた閾値以上である場合に、前記フレーム期間における前記入力信号に信号成分が含まれていないと判断できると評価する、
ことを特徴とする請求項1に記載のノイズレベル検出装置。
【請求項3】
前記評価部は、
前記算出されたパワースペクトル分布に対して、前記予測周波数分布が統計的な近似となるように、前記パラメータの値を算出し、
前記算出されたパラメータの値が適用された予測周波数分布と、前記算出されたパワースペクトル分布との一致度を評価することにより、前記フレーム期間における前記入力信号に信号成分が含まれていないと判断できるか否かを評価する、
ことを特徴とする請求項1に記載のノイズレベル検出装置。
【請求項4】
前記フレーム期間の前記入力信号における前記信号成分の帯域の外側の所定周波数範囲の成分のレベルを検出する帯域外レベル検出部を更に備え、
前記ノイズレベル算出部は、最新フレーム期間における前記評価部による評価の結果が否定的であった場合には、前記最新フレーム期間の前に、前記評価部による評価の結果が肯定的であった最近のフレーム期間において算出された帯域内ノイズ成分のレベルと、前記最近のフレーム期間における前記帯域外レベル検出部による検出結果と、前記最新フレーム期間における前記帯域外レベル検出部による検出結果とに基づいて、前記最新フレーム期間における帯域内ノイズ成分のレベルを算出する、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のノイズレベル検出装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のノイズレベル検出装置と;
外部からの受信信号から前記ノイズレベル検出装置へ入力させる入力信号を生成する生成部と;
前記入力信号を加工処理する加工処理部と;
前記ノイズレベル検出装置により検出された帯域内ノイズ成分のレベルに基づいて、前記加工処理部による加工処理を制御する制御部と;
を備えることを特徴とする受信装置。
【請求項6】
前記受信信号における前記入力信号に対応する周波数帯域の成分のレベルを計測する計測部を更に備え、
前記制御部は、前記計測部による計測結果を更に考慮して、前記加工処理部による加工処理を制御する、
ことを特徴とする請求項5に記載の受信装置。
【請求項7】
前記受信信号は、放送受信信号であり、
前記入力信号は、検波処理により得られた検波信号である、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の受信装置。
【請求項8】
信号成分の帯域内における帯域内ノイズ成分のレベルを検出するノイズレベル検出装置において使用されるノイズレベル検出方法であって、
フレーム期間における入力信号に対して時間周波数変換を行った後、前記信号成分の帯域におけるパワースペクトル分布を算出するパワースペクトル算出工程と;
前記算出されたパワースペクトル分布と、前記帯域内ノイズ成分のパワースペクトルに関する予測周波数分布とに基づいて、前記フレーム期間における前記入力信号に信号成分が含まれていないと判断できるか否かを評価する評価工程と;
前記評価工程における評価の結果が肯定的であった場合に、前記フレーム期間における前記入力信号のレベルを、前記フレーム期間における帯域内ノイズ成分のレベルとして算出するノイズレベル算出工程と;を備え、
前記予測周波数分布は、値が未知である少なくとも1つのパラメータを含む関数で表現され、
前記評価工程では、前記予測周波数分布と前記算出されたパワースペクトル分布とが高い一致性を有するように、前記パラメータの値を選ぶことができるか否かにより、前記フレーム期間における前記入力信号に信号成分が含まれていないと判断できるか否かを評価する、
ことを特徴とするノイズレベル検出方法。
【請求項9】
請求項8に記載のノイズレベル検出方法を演算手段に実行させる、ことを特徴とするノイズレベル検出プロクラム。
【請求項10】
請求項9に記載のノイズレベル検出プログラムが、演算手段により読み取り可能に記録されている、ことを特徴とする記録媒体。
【請求項1】
信号成分の帯域内における帯域内ノイズ成分のレベルを検出するノイズレベル検出装置であって、
フレーム期間における入力信号に対して時間周波数変換を行った後、前記信号成分の帯域におけるパワースペクトル分布を算出するパワースペクトル算出部と;
前記算出されたパワースペクトル分布と、前記帯域内ノイズ成分のパワースペクトルに関する予測周波数分布とに基づいて、前記フレーム期間における前記入力信号に信号成分が含まれていないと判断できるか否かを評価する評価部と;
前記評価部による評価の結果が肯定的であった場合に、前記フレーム期間における前記入力信号のレベルを、前記フレーム期間における帯域内ノイズ成分のレベルとして算出するノイズレベル算出部と;を備え、
前記予測周波数分布は、値が未知である少なくとも1つのパラメータを含む関数で表現され、
前記評価部は、前記予測周波数分布と前記算出されたパワースペクトル分布とが高い一致性を有するように、前記パラメータの値を選ぶことができるか否かにより、前記フレーム期間における前記入力信号に信号成分が含まれていないと判断できるか否かを評価する、
ことを特徴とするノイズレベル検出装置。
【請求項2】
前記予測周波数分布は、レベルが未知なホワイトノイズのパワースペクトル分布であり、
前記評価部は、
前記算出されたパワースペクトル分布の形状を、各周波数の信号の発生の確率分布の形状と見なして、前記確率分布のエントロピを算出し、
前記算出されたエントロピが、予め定められた閾値以上である場合に、前記フレーム期間における前記入力信号に信号成分が含まれていないと判断できると評価する、
ことを特徴とする請求項1に記載のノイズレベル検出装置。
【請求項3】
前記評価部は、
前記算出されたパワースペクトル分布に対して、前記予測周波数分布が統計的な近似となるように、前記パラメータの値を算出し、
前記算出されたパラメータの値が適用された予測周波数分布と、前記算出されたパワースペクトル分布との一致度を評価することにより、前記フレーム期間における前記入力信号に信号成分が含まれていないと判断できるか否かを評価する、
ことを特徴とする請求項1に記載のノイズレベル検出装置。
【請求項4】
前記フレーム期間の前記入力信号における前記信号成分の帯域の外側の所定周波数範囲の成分のレベルを検出する帯域外レベル検出部を更に備え、
前記ノイズレベル算出部は、最新フレーム期間における前記評価部による評価の結果が否定的であった場合には、前記最新フレーム期間の前に、前記評価部による評価の結果が肯定的であった最近のフレーム期間において算出された帯域内ノイズ成分のレベルと、前記最近のフレーム期間における前記帯域外レベル検出部による検出結果と、前記最新フレーム期間における前記帯域外レベル検出部による検出結果とに基づいて、前記最新フレーム期間における帯域内ノイズ成分のレベルを算出する、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のノイズレベル検出装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のノイズレベル検出装置と;
外部からの受信信号から前記ノイズレベル検出装置へ入力させる入力信号を生成する生成部と;
前記入力信号を加工処理する加工処理部と;
前記ノイズレベル検出装置により検出された帯域内ノイズ成分のレベルに基づいて、前記加工処理部による加工処理を制御する制御部と;
を備えることを特徴とする受信装置。
【請求項6】
前記受信信号における前記入力信号に対応する周波数帯域の成分のレベルを計測する計測部を更に備え、
前記制御部は、前記計測部による計測結果を更に考慮して、前記加工処理部による加工処理を制御する、
ことを特徴とする請求項5に記載の受信装置。
【請求項7】
前記受信信号は、放送受信信号であり、
前記入力信号は、検波処理により得られた検波信号である、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の受信装置。
【請求項8】
信号成分の帯域内における帯域内ノイズ成分のレベルを検出するノイズレベル検出装置において使用されるノイズレベル検出方法であって、
フレーム期間における入力信号に対して時間周波数変換を行った後、前記信号成分の帯域におけるパワースペクトル分布を算出するパワースペクトル算出工程と;
前記算出されたパワースペクトル分布と、前記帯域内ノイズ成分のパワースペクトルに関する予測周波数分布とに基づいて、前記フレーム期間における前記入力信号に信号成分が含まれていないと判断できるか否かを評価する評価工程と;
前記評価工程における評価の結果が肯定的であった場合に、前記フレーム期間における前記入力信号のレベルを、前記フレーム期間における帯域内ノイズ成分のレベルとして算出するノイズレベル算出工程と;を備え、
前記予測周波数分布は、値が未知である少なくとも1つのパラメータを含む関数で表現され、
前記評価工程では、前記予測周波数分布と前記算出されたパワースペクトル分布とが高い一致性を有するように、前記パラメータの値を選ぶことができるか否かにより、前記フレーム期間における前記入力信号に信号成分が含まれていないと判断できるか否かを評価する、
ことを特徴とするノイズレベル検出方法。
【請求項9】
請求項8に記載のノイズレベル検出方法を演算手段に実行させる、ことを特徴とするノイズレベル検出プロクラム。
【請求項10】
請求項9に記載のノイズレベル検出プログラムが、演算手段により読み取り可能に記録されている、ことを特徴とする記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−178804(P2012−178804A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41932(P2011−41932)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】
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