説明

ノイズ除去方法及びその装置、ノイズ除去プログラム

【課題】 孤立したノイズを効率良く短時間で削除する。
【解決手段】 3次元ボリュームデータのノイズ除去方法であって、
(1)前記3次元ボリュームデータを構成する断層像上に2次元図形を配置する工程と、
(2)前記2次元図形に囲まれた領域のデータ値を抽出し、前記2次元図形の輪郭上に位置するデータが同じであるか否かを判定する工程と、
(3)前記抽出されたデータ値に、前記2次元図形の輪郭に位置するデータ値と異なるデータ値を有するかを判定してノイズの存在を判定する工程と、
(4)前記工程(3)によりノイズの存在が判定された場合には、前記異なるデータ値を持つ領域のデータ値を輪郭に位置するデータ値に一致させる工程と、
(5)前記工程(1)で配置された2次元図形を、前記3次元ボリュームデータ内で移動する工程をしながら、前記工程(2)〜(4)を繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元ボリュームデータのノイズ除去装置及びその方法、ノイズ除去プログラムに係り、特に、多数の断層像内に含まれる孤立したノイズを除去する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、3Dボリュームデータセットのノイズ低減方法として、ウェーブレット解析による方法が特許文献1として知られている。
また、孤立した微小ノイズを削除する方法として、図8に示すように3Dボリュームデータ中に、移動可能な立方体または直方体を設定して、立方体の六面上の値がすべてゼロであれば、立方体内をゼロにクリアするというものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-209756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1記載のウェーブレット解析による方法にしても、立方体内をゼロにクリアする方法にしても、演算に時間を要するものであった。
本発明の目的は、孤立したノイズを効率良く短時間で削除することが可能な3次元ボリュームデータのノイズ除去方法及びその装置、ノイズ除去プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明によれば、3次元ボリュームデータのノイズ除去方法であって、
(1)前記3次元ボリュームデータを構成する断層像上に2次元図形を配置する工程と、
(2)前記2次元図形に囲まれた領域のデータ値を抽出し、前記2次元図形の輪郭上に位置するデータが同じであるか否かを判定する工程と、
(3)前記抽出されたデータ値に、前記2次元図形の輪郭に位置するデータ値と異なるデータ値を有するかを判定してノイズの存在を判定する工程と、
(4)前記工程(3)によりノイズの存在が判定された場合には、前記異なるデータ値を輪郭に位置するデータ値に一致させる工程と、
(5)前記工程(1)で配置された2次元図形を、前記3次元ボリュームデータ内で移動する工程をしながら、前記工程(2)〜(4)を繰り返すことを特徴とする3次元ボリュームデータのノイズ除去方法が提供される。
【0006】
また、3次元ボリュームデータのノイズ除去方法であって、
複数個の断層像が、前記3次元ボリュームデータ内に平行に配置され、
(6)前記平行に配置された複数の断層像のいくつかに、OR演算あるいはMIP演算をして、OR画像あるいはMIP画像を生成する工程と、
(7)前記OR画像あるいはMIP画像上に2次元図形を配置する工程と、
(8)前記2次元図形に囲まれた領域のデータ値を抽出し、前記2次元図形の輪郭上に位置するデータが同じであるか否かを判定する工程と、
(9)前記抽出されたデータ値に、前記2次元図形の輪郭に位置するデータ値と異なるデータ値を有するかを判定してノイズの存在を判定する工程と、
(10)前記工程(9)によりノイズの存在が判定された場合には、前記いくつかの断層像にわたって前記異なるデータ値を輪郭に位置するデータ値に一致させる工程と、
(11)前記2次元図形を、前記OR画像あるいはMIP画像上で移動する工程をしながら、前記工程(8)〜(10)を繰り返すことを特徴とする3次元ボリュームデータのノイズ除去方法が提供される。
【0007】
また、3次元ボリュームデータのノイズ除去方法であって、
前記3次元ボリュームデータは二値画像であり、前記複数の断層像も二値画像であることを特徴とする3次元ボリュームデータのノイズ除去方法が提供される。
【0008】
また、3次元ボリュームデータのノイズ除去装置であって、
(12)前記3次元ボリュームデータを構成する断層像上に2次元図形を配置する手段と、
(13)前記2次元図形に囲まれた領域のデータ値を抽出し、前記2次元図形の輪郭上に位置するデータが同じであるか否かを判定する手段と、
(14)前記抽出されたデータ値に、前記2次元図形の輪郭に位置するデータ値と異なるデータ値を有するかを判定してノイズの存在を判定する手段と、
(15)前記手段(14)によりノイズの存在が判定された場合には、前記異なるデータ値を輪郭に位置するデータ値に一致させる手段と、
(16)前記手段(12)で配置された2次元図形を、前記3次元ボリュームデータ内で移動しながら、前記手段(13)〜(15)の動作を繰り返す手段を備えたことを特徴とする3次元ボリュームデータのノイズ除去装置が提供される。
【0009】
また、3次元ボリュームデータのノイズ除去装置であって、
複数個の断層像が、前記3次元ボリュームデータ内に平行に配置され、
(17)前記平行に配置された複数の断層像のいくつかに、OR演算あるいはMIP演算をして、OR画像あるいはMIP画像を生成する手段と、
(18)前記OR画像あるいはMIP画像上に2次元図形を配置する手段と、
(19)前記2次元図形に囲まれた領域のデータ値を抽出し、前記2次元図形の輪郭上に位置するデータが同じであるか否かを判定する手段と、
(20)前記抽出されたデータ値に、前記2次元図形の輪郭に位置するデータ値と異なるデータ値を有するかを判定してノイズの存在を判定する手段と、
(21)前記手段(20)によりノイズの存在が判定された場合には、前記いくつかの断層像にわたって前記異なるデータ値を輪郭に位置するデータ値に一致させる手段と、
(22)前記2次元図形を、前記OR画像あるいはMIP画像上で移動させながら、前記手段(19)〜(21)の動作を繰り返す手段を備えたことを特徴とする3次元ボリュームデータのノイズ除去装置が提供される。
【0010】
また、3次元ボリュームデータのノイズ除去装置であって、
前記3次元ボリュームデータは二値画像であり、前記複数の断層像も二値画像であることを特徴とする3次元ボリュームデータのノイズ除去装置が提供される。
【0011】
また、3次元ボリュームデータのノイズ除去プログラムであって、
(23)前記3次元ボリュームデータを構成する断層像上に2次元図形を配置する機能と、
(24)前記2次元図形に囲まれた領域のデータ値を抽出し、前記2次元図形の輪郭上に位置するデータが同じであるか否かを判定する機能と、
(25)前記抽出されたデータ値に、前記2次元図形の輪郭に位置するデータ値と異なるデータ値を有するかを判定してノイズの存在を判定する機能と、
(26)前記機能(25)によりノイズの存在が判定された場合には、前記異なるデータ値を輪郭に位置するデータ値に一致させる機能と、
(27)前記機能(23)で配置された2次元図形を、前記3次元ボリュームデータ内で移動する機能を実施させながら、前記機能(24)〜(26)の動作を繰り返す機能を備えたことを特徴とする3次元ボリュームデータのノイズ除去プログラムが提供される。
【0012】
また、3次元ボリュームデータのノイズ除去プログラムであって、
複数個の断層像が、前記3次元ボリュームデータ内に平行に配置され、
(28)前記平行に配置された複数の断層像のいくつかに、OR演算あるいはMIP演算をして、OR画像あるいはMIP画像を生成する機能と、
(29)前記OR画像あるいはMIP画像上に2次元図形を配置する機能と、
(30)前記2次元図形に囲まれた領域のデータ値を抽出し、前記2次元図形の輪郭上に位置するデータが同じであるか否かを判定する機能と、
(31)前記抽出されたデータ値に、前記2次元図形の輪郭に位置するデータ値と異なるデータ値を有するかを判定してノイズの存在を判定する機能と、
(32)前記機能(31)によりノイズの存在が判定された場合には、前記いくつかの断層像にわたって前記異なるデータ値を輪郭に位置するデータ値に一致させる機能と、
(33)前記2次元図形を、前記OR画像あるいはMIP画像上で移動する機能をしながら、前記機能(30)〜(32)の動作を繰り返す機能を備えたことを特徴とする3次元ボリュームデータのノイズ除去プログラムが提供される。
【0013】
また、3次元ボリュームデータのノイズ除去プログラムであって、
前記3次元ボリュームデータは二値画像であり、前記複数の断層像も二値画像であることを特徴とする3次元ボリュームデータのノイズ除去プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、孤立したノイズを効率良く短時間で削除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明を適用したX線CT装置1の全体構成図である。
【図2】本発明の実施例1の表示画面に係る図である。
【図3】本発明の実施例1のフローチャートに係る図である。
【図4】ノイズ削除の対象とする範囲を3次元画像上でなく、二値画像の断層像で示した図。
【図5】X軸方向にOR画像またはMIP画像を生成する図。
【図6】Y軸方向にOR画像またはMIP画像を生成する図。
【図7】実施例2を説明する図。
【図8】移動可能な立方体または直方体を設定して、立方体の六面上の値がすべてゼロであれば、立方体内をゼロにクリアするという例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0017】
本発明を適用してなるX線CT装置について図を用いて説明する。
図1は本発明を適用したX線CT装置1の全体構成図である。X線CT装置1はスキャンガントリ部100と操作卓120とを備える。
【0018】
スキャンガントリ部100は、X線管101と、回転円盤102と、コリメータ103と、X線検出器106と、データ収集装置107と、寝台105と、ガントリ制御装置108と、寝台制御装置109と、X線制御装置110と、を備えている。X線管101は寝台105上に載置された被検体にX線を照射する装置である。コリメータ103はX線管101から照射されるX線の放射範囲を制限する装置である。回転円盤102は、寝台105上に載置された被検体が入る開口部104を備えるとともに、X線管101とX線検出器106を搭載し、被検体の周囲を回転するものである。X線検出器106は、X線管101と対向配置され被検体を透過したX線を検出することにより透過X線の空間的な分布を計測する装置であり、多数のX線検出素子を回転円盤102の回転方向に配列したもの、若しくは回転円盤102の回転方向と回転軸方向との2次元に配列したものである。データ収集装置107は、X線検出器106で検出されたX線量をデジタルデータとして収集する装置である。ガントリ制御装置108は回転円盤102の回転を制御する装置である。寝台制御装置109は、寝台105の上下前後動を制御する装置である。X線制御装置110はX線管101に入力される電力を制御する装置である。
【0019】
操作卓120は、入力装置121と、画像演算装置122と、表示装置125と、記憶装置123と、システム制御装置124とを備えている。入力装置121は、被検体氏名、検査日時、撮影条件などを入力するための装置であり、具体的にはキーボードやポインティングデバイスである。画像演算装置122は、データ収集装置107から送出される計測データを演算処理してCT画像再構成を行う装置である。表示装置125は、画像演算装置122で作成されたCT画像を表示する装置であり、具体的にはCRT(Cathode Ray Tube)や液晶ディスプレイ等である。記憶装置123は、データ収集装置107で収集したデータ及び画像演算装置122で作成されたCT画像の画像データを記憶する装置であり、具体的にはHDD(Hard Disk Drive)等である。システム制御装置124は、これらの装置及びガントリ制御装置108と寝台制御装置109とX線制御装置110を制御する装置である。
【0020】
入力装置121から入力された撮影条件、特にX線管電圧やX線管電流などに基づきX線制御装置110がX線管101に入力される電力を制御することにより、X線管101は撮影条件に応じたX線を被検体に照射する。X線検出器106は、X線管101から照射され被検体を透過したX線を多数のX線検出素子で検出し、透過X線の分布を計測する。回転円盤102はガントリ制御装置108により制御され、入力装置121から入力された撮影条件、特に回転速度などに基づいて回転する。寝台105は寝台制御装置109によって制御され、入力装置121から入力された撮影条件、特にらせんピッチなどに基づいて動作する。
【0021】
X線管101からのX線照射とX線検出器106による透過X線分布の計測が回転円盤102の回転とともに繰り返されることにより、様々な角度からの投影データが取得される。取得された様々な角度からの投影データは画像演算装置122に送信される。画像演算装置122は送信された様々な角度からの投影データを逆投影処理することによりCT画像を再構成する。再構成して得られたCT画像は表示装置125に表示される。
【実施例1】
【0022】
本発明の実施例1について、図2の表示画面と、図3のフローチャート及び図4を用い説明する。
【0023】
先ず図2の表示画面を説明する。図2において、1は被検体の3次元の二値画像、2は被検体の所望の断面の像である。3は、被検体のどの領域について、ノイズを削除するかの範囲を指定するためのバーであり、図示した例では、被検体の胸部から腹部までのノイズを削除することを示している。4は、被検体の複数の断層像から、1枚ごとに孤立したノイズを削除するか複数枚ごとに削除するか、全画像で削除するかを指定するためのボタンである。1枚ごとに孤立したノイズを削除する場合には、1枚ごとに下記に示す2次元図形を設定して孤立したノイズを削除し、複数枚ごとに孤立したノイズを削除する場合には、複数枚ごとに下記に示すようにOR画像又はMIP画像を生成して孤立したノイズを削除し、全画像で削除する場合には、全画像で下記に示すようにOR画像又はMIP画像を生成して孤立したノイズを削除する。5はマウスである。また、6は本実施例において削除の対象とする孤立したノイズを示している。
【0024】
次に、図3のフローチャートを用い、本発明の実施例1の手順を説明する。
【0025】
(ステップ11)
操作者は、表示画面図1上でバー3をスライドさせて、ノイズ削除の対象とする範囲を決定する。これを、図2の3次元画像上でなく、二値画像の断層像で示すと、図4の上側の11枚の断層像21のようになる。図示する例では、被検体の肋骨の一部とそのかたわらの孤立したノイズが示されている。
【0026】
(ステップ12)
画像演算装置122は、図4の上側に示された11枚の断層像について、各画素でORを計算し、調査メモリ22に記録する。言い換えれば、複数個の断層像が、3次元ボリュームデータ内に平行に配置されていて、該平行に配置された複数の断層像のいくつかに、OR演算をして、OR画像を生成する。具体的には、OR画像(各画素位置で一つでも1の画素があれば1とする画像)を調査メモリ22に記録する。ただし、OR画像でなくMIP画像をMIP演算で演算して求めても良い。
【0027】
(ステップ13)
画像演算装置122は、調査メモリ22上の最初の位置(例えば、4隅の片隅)に、2次元図形を設定する。すなわち、OR画像あるいはMIP画像上に2次元図形を配置する。2次元図形は、正方形、長方形、円、楕円等で良い。
【0028】
(ステップ14)
画像演算装置122は、2次元図形の中心の画素値がゼロかを判定する。YESであれば、ステップ18へ移行する。NOであれば、ステップ15へ移行する。
【0029】
(ステップ15)
画像演算装置122は、2次元図形に囲まれた領域のデータ値を抽出し、2次元図形の輪郭上に位置するデータが同じであるか否かを判定する。すべて同じ(例えば、値1)であれば、ステップ17へ、すべて同じでなければ、ステップ18へ移行する。
【0030】
(ステップ16)
画像演算装置122は、ステップ16で抽出されたデータ値に、前記2次元図形の輪郭に位置するデータ値と異なるデータ値を有するか、より具体的には25Zの領域が存在するかを判定してノイズの存在を判定する。
【0031】
(ステップ17)
画像演算装置122は、対象画像のうち、図形(図4で25Z)の大きさの面積を持つ部分領域(図4で点線の四角柱内)をゼロでクリアする。言い換えれば、ステップ17によりノイズの存在が判定された場合には、前記いくつかの断層像にわたって前記異なるデータ値を輪郭に位置するデータ値に一致させる。
【0032】
(ステップ18)
画像演算装置122は、全ての位置でステップ14からステップ17を行なったかを判断する。全ての位置で判断を行なっていない場合は、ステップ19へ移行する。全ての位置でステップ14からステップ17を行なった場合は、終了する。
【0033】
(ステップ19)
画像演算装置122は、次の図形の位置を指定する。言い換えれば、2次元図形を、OR画像あるいはMIP画像上で移動させながら、ステップ14からステップ18を繰り返す。
以上の説明では、OR画像またはMIP画像を生成するのは、Z軸方向であったが、X軸方向あるいはY軸方向でも良い。図5に示すのはX軸方向の場合の例であり、図6に示すのはY軸方向の場合の例である。
【0034】
本実施例によれば、OR画像またはMIP画像に配置した2次元画像に基づいて、孤立したノイズの領域の位置を2次元的に特定し、その領域の3次元的な部分領域をゼロでクリアするので、演算時間が短くて、孤立したノイズを除去できる。
【実施例2】
【0035】
次に、本発明の実施例2について、図7を用いて説明する。実施例2が実施例1と異なる点は、調査メモリが複数個あり、図3のステップ12において、複数の断層像の内、選択された、いくつかの断層像の組み合わせそれぞれについてOR画像あるいはMIP画像を作成してそれぞれの調査メモリに記録し、それぞれの調査メモリで判定された孤立するノイズ領域を、そのいくつかの選択された複数の断層像から削除する点である。
【0036】
より具体的に説明すると、ステップ12では、図7において左側に示された71〜74の複数の断層像の組み合わせについて、OR画像あるいはMIP画像を算出し、4つの調査メモリに記録する。ステップ13〜ステップ19の各ステップを、それぞれの調査メモリについて行う。ただし、ステップ17においてゼロクリアする場合には、すべての断層像についてゼロクリアするのではなく、調査メモリを生成するのに用いた断層像の組み合わせのみを削除する。図7で示した例では72で示された領域のみを削除する。
【0037】
本実施例によれば、ステップ11で決定したすべての範囲の断層像をゼロクリアする手法でないので、より適格に孤立したノイズが存在するところのみ、該ノイズを削除できる。
上記実施例は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変更可能である。例えば、上記実施例では、OR画像又はMIP画像上に2次元図形を配置する例を示したが、そうでなくても良い。また、すべての断層像上に2次元図形を配置して孤立したノイズが存在するか調べても良い。また、3次元ボリュームデータあるいは2次元画像は2値画像でなくても良く、いろいろな値を持っても良いことは言うまでもない。また、本発明はノイズ除去方法のみでなく、それぞれの機能を備えたプログラム、それぞれの手段を備えた装置をも含むことは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、X線CT装置、MRI装置、超音波診断装置等により得られた複数の断層像による3次元ボリュームデータの孤立したノイズの除去に利用することができる。
【符号の説明】
【0039】
6 孤立するノイズ、21 11枚の断層像、22 調査メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3次元ボリュームデータのノイズ除去方法であって、
(1)前記3次元ボリュームデータを構成する断層像上に2次元図形を配置する工程と、
(2)前記2次元図形に囲まれた領域のデータ値を抽出し、前記2次元図形の輪郭上に位置するデータが同じであるか否かを判定する工程と、
(3)前記抽出されたデータ値に、前記2次元図形の輪郭に位置するデータ値と異なるデータ値を有するかを判定してノイズの存在を判定する工程と、
(4)前記工程(3)によりノイズの存在が判定された場合には、前記異なるデータ値をを輪郭に位置するデータ値に一致させる工程と、
(5)前記工程(1)で配置された2次元図形を、前記3次元ボリュームデータ内で移動する工程をしながら、前記工程(2)〜(4)を繰り返すことを特徴とする3次元ボリュームデータのノイズ除去方法。
【請求項2】
3次元ボリュームデータのノイズ除去方法であって、
複数個の断層像が、前記3次元ボリュームデータ内に平行に配置され、
(6)前記平行に配置された複数の断層像のいくつかに、OR演算あるいはMIP演算をして、OR画像あるいはMIP画像を生成する工程と、
(7)前記OR画像あるいはMIP画像上に2次元図形を配置する工程と、
(8)前記2次元図形に囲まれた領域のデータ値を抽出し、前記2次元図形の輪郭上に位置するデータが同じであるか否かを判定する工程と、
(9)前記抽出されたデータ値に、前記2次元図形の輪郭に位置するデータ値と異なるデータ値を有するかを判定してノイズの存在を判定する工程と、
(10)前記工程(9)によりノイズの存在が判定された場合には、前記いくつかの断層像にわたって前記異なるデータ値を輪郭に位置するデータ値に一致させる工程と、
(11)前記2次元図形を、前記OR画像あるいはMIP画像上で移動する工程をしながら、前記工程(8)〜(10)を繰り返すことを特徴とする3次元ボリュームデータのノイズ除去方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の3次元ボリュームデータのノイズ除去方法であって、
前記3次元ボリュームデータは二値画像であり、前記複数の断層像も二値画像であることを特徴とする3次元ボリュームデータのノイズ除去方法。
【請求項4】
3次元ボリュームデータのノイズ除去装置であって、
(12)前記3次元ボリュームデータを構成する断層像上に2次元図形を配置する手段と、
(13)前記2次元図形に囲まれた領域のデータ値を抽出し、前記2次元図形の輪郭上に位置するデータが同じであるか否かを判定する手段と、
(14)前記抽出されたデータ値に、前記2次元図形の輪郭に位置するデータ値と異なるデータ値を有するかを判定してノイズの存在を判定する手段と、
(15)前記手段(14)によりノイズの存在が判定された場合には、前記異なるデータ値を輪郭に位置するデータ値に一致させる手段と、
(16)前記手段(12)で配置された2次元図形を、前記3次元ボリュームデータ内で移動しながら、前記手段(13)〜(15)の動作を繰り返す手段を備えたことを特徴とする3次元ボリュームデータのノイズ除去装置。
【請求項5】
3次元ボリュームデータのノイズ除去装置であって、
複数個の断層像が、前記3次元ボリュームデータ内に平行に配置され、
(17)前記平行に配置された複数の断層像のいくつかに、OR演算あるいはMIP演算をして、OR画像あるいはMIP画像を生成する手段と、
(18)前記OR画像あるいはMIP画像上に2次元図形を配置する手段と、
(19)前記2次元図形に囲まれた領域のデータ値を抽出し、前記2次元図形の輪郭上に位置するデータが同じであるか否かを判定する手段と、
(20)前記抽出されたデータ値に、前記2次元図形の輪郭に位置するデータ値と異なるデータ値を有するかを判定してノイズの存在を判定する手段と、
(21)前記手段(20)によりノイズの存在が判定された場合には、前記いくつかの断層像にわたって前記異なるデータ値を輪郭に位置するデータ値に一致させる手段と、
(22)前記2次元図形を、前記OR画像あるいはMIP画像上で移動させながら、前記手段(19)〜(21)の動作を繰り返す手段を備えたことを特徴とする3次元ボリュームデータのノイズ除去装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の3次元ボリュームデータのノイズ除去装置であって、
前記3次元ボリュームデータは二値画像であり、前記複数の断層像も二値画像であることを特徴とする3次元ボリュームデータのノイズ除去装置。
【請求項7】
3次元ボリュームデータのノイズ除去プログラムであって、
(23)前記3次元ボリュームデータを構成する断層像上に2次元図形を配置する機能と、
(24)前記2次元図形に囲まれた領域のデータ値を抽出し、前記2次元図形の輪郭上に位置するデータが同じであるか否かを判定する機能と、
(25)前記抽出されたデータ値に、前記2次元図形の輪郭に位置するデータ値と異なるデータ値を有するかを判定してノイズの存在を判定する機能と、
(26)前記機能(25)によりノイズの存在が判定された場合には、前記異なるデータ値を輪郭に位置するデータ値に一致させる機能と、
(27)前記機能(23)で配置された2次元図形を、前記3次元ボリュームデータ内で移動する機能を実施させながら、前記機能(24)〜(26)の動作を繰り返す機能を備えたことを特徴とする3次元ボリュームデータのノイズ除去プログラム。
【請求項8】
3次元ボリュームデータのノイズ除去プログラムであって、
複数個の断層像が、前記3次元ボリュームデータ内に平行に配置され、
(28)前記平行に配置された複数の断層像のいくつかに、OR演算あるいはMIP演算をして、OR画像あるいはMIP画像を生成する機能と、
(29)前記OR画像あるいはMIP画像上に2次元図形を配置する機能と、
(30)前記2次元図形に囲まれた領域のデータ値を抽出し、前記2次元図形の輪郭上に位置するデータが同じであるか否かを判定する機能と、
(31)前記抽出されたデータ値に、前記2次元図形の輪郭に位置するデータ値と異なるデータ値を有するかを判定してノイズの存在を判定する機能と、
(32)前記機能(31)によりノイズの存在が判定された場合には、前記いくつかの断層像にわたって前記異なるデータ値を輪郭に位置するデータ値に一致させる機能と、
(33)前記2次元図形を、前記OR画像あるいはMIP画像上で移動する機能をしながら、前記機能(30)〜(32)の動作を繰り返す機能を備えたことを特徴とする3次元ボリュームデータのノイズ除去プログラム。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の3次元ボリュームデータのノイズ除去プログラムであって、
前記3次元ボリュームデータは二値画像であり、前記複数の断層像も二値画像であることを特徴とする3次元ボリュームデータのノイズ除去プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−130876(P2011−130876A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−291925(P2009−291925)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】