説明

ノズルの構造

【課題】車輌、ワーク、商品(品物)等の被洗浄物の洗浄作業、乾燥作業には、空気の流れ(気流の流れ)の吐出を行うため、かなりの騒音が発生するとともに、空気の衝突により、渦流が発生し、この渦流の発生によるチャンバー及び/又は被洗浄物に対する振動等に起因して騒音を発することが考えられる。なお、この渦流は、大きくなれば、騒音も大きくなり、渦流の大きさと騒音の大きさは、比例すると考えられる。
【構成】送風機にダクトを介して設けた空気送風用のチャンバーと、このチャンバーに設けた吐出口に設けたノズルの構造であり、ノズルに外方に向って拡開するハ字状の開放部を形成し、開放部とノズルとの間に、ノズルから吐出される空気の流れで発生する渦流・気流の流れを減縮する手段を設ける構成としたノズルの構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
送風機と、この送風機にダクトを介して設けられた空気送風用のチャンバーと、このチャンバーに設けた吐出口と、この吐出口に設けたノズルの構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明における空気送風用のチャンバーは、ダクトを介して、送風機により空気を吸込み、チャンバーに設けられた吐出口のノズルより、空気の流れ(気流の流れを確保する)を吐出し、車輌、ワーク、商品(品物)等の被洗浄物の洗浄作業及び/又は乾燥・冷却作業に係る作業を行う。これらの作業は、例えば、車輌の乾燥作業、各種機械部品の洗浄作業後の乾燥作業、廃油缶等のポリ容器の内部乾燥作業、シート洗浄後の乾燥作業の種々の作業等が挙げられる。
【0003】
従来、空気を吐出する被洗浄物の洗浄作業及び/又は乾燥・冷却作業を行うチャンバーより、送風された風を断面視して略三角形状を呈するこのチャンバー内に受入れ、このチャンバーの下方に収斂された吐出口より車輌、ワーク、商品(品物)等の被洗浄物に向かって略均一に空気の流れを吐出するように構成されている。
【0004】
従って、この車輌、ワーク、商品(品物)等の被洗浄物の洗浄作業及び/又は乾燥・冷却作業には、空気の流れ(気流の流れ)の吐出を行うため、かなりの騒音が発生するとともに、空気の衝突により、渦流が発生し、この渦流の発生によるチャンバー及び/又は被洗浄物に対する振動等に起因して騒音を発することが考えられる。なお、この渦流は、大きくなれば、騒音も大きくなり、渦流の大きさと騒音の大きさは、比例すると考えられる。そして、この現実の問題として、今日の生活等の環境、住宅事情や、地域事情等の各種の状況より、騒音が問題になる場合が多いことから、その改良が急務である。
【0005】
近時、これらの被洗浄物に関する洗浄作業及び/又は乾燥作業を行う工場等の建屋が、住居、文教地区等の地域に設置されることと、これに加えて、建屋によって、昼夜を問わず、深夜まで作業が行われること等であり、この地域の住環境に悪影響を与えることが指摘されている。この騒音問題は、工場内における作業者にとっても、避けて通れない問題であるとともに、作業及び/又は職場等の作業環境の改善と、効率的な作業を確保するために、この騒音問題解決は必要不可欠な条件である。
【0006】
以上のような状況に鑑み、本発明は、この種のチャンバーに設置される送風機に関する騒音問題を考えて検索した結果を踏まえて、関連する先行文献を挙げると、次の文献(1)〜(3)があるので、その概要を説明する。
【0007】
この文献(1)は、特開平10−236285号の「洗車機」である。この発明は、従来の側面視して逆三角形のトップノズルに、揺動式の補助トップノズルに組み合わせた構成であり、1BOX車、ワゴン車等のように前面、後面に垂直に近いような洗車面がある車輌であっても確実に水滴の除去ができる特徴がある。
【0008】
次に、文献(2)は、特開2003−260386の「送風ノズル」である。この発明は、あり、長尺状の筒状本体部の長手方向にスリット状の吐出口を設け、この本体部の一方端部に及び/又は吐出口の反対側の背面部略中央部に供給口を設け、供給口より供給されたエアーが吐出口から吐出する送風ノズルにおいて、吐出口が本体部からエアーの吐出方向に突出した吐出口部の先端部に形成され、吐出口部から本体部の内部に向かって、本体部の背面側に延長する帯板状の一対の整流板を相対向するように設け、これら整流板には複数のエアー挿通孔を設ける構成とし、この整流板及びエアー挿通孔により本体内の静圧を均一に維持し、圧力損失の低減化を図るようにしたことを特徴がある。
【0009】
また文献(3)は、特開平09−079749号の「送風ノズル」である。この発明は、主管部の一方端にエアー供給口を設け、その長手方向にエアー排出孔を配備し、このエアー排出孔は、長手方向に主管部内部に設けた複数のエアー挿通孔を有する整流格子を配設されてあり、エアー排出孔を被覆するように2枚のエアー吐出用案内板を相互に対向するように主管部に螺着し、これら2枚のエアー吐出用案内板の先端部の間隔がエアー吐出口の通路形成部を形成し、エアーの直進性を図る。さらに、エアー吐出用案内板は、主管部の周方向に移動し、吐出口の間隔が広狭自在に調節できる特徴がある。
【0010】
【特許文献1】特開平10−236285号
【特許文献2】特開2003−260386
【特許文献3】特開平09−079749号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記文献(1)は、しかし、文献(1)は、トップノズルの空気溜用の膨出部を配備する構成ではないので、高圧風の整流及び高圧風の整流及び高圧風の衝突回避を図るには、更なる改良が必要となる。さらに、文献(2)は、本体部の背面側に延長する帯板状の一対の整流板を相対向するように設け、この整流板には複数のエアー挿通孔を設けていることにより、その目的を達成する構成である。しかし、送風ノズルの長手方向の中央部までこのエアーが到達する保証はなく、必ずしもこの送風ノズルの形状において、均質な送風が行えず、十分とは考えられない。また文献(3)は、通路形成部を形成し、エアーの直進性を図るとしているが、この吐出口からのエアーの流れが、この構造上、効率的に行われるとは、考えにくい。
【0012】
そして、上記に鑑み本発明は、
(1)チャンバー内に圧送された空気の流れによる気流の確保を図ることで、渦流の発生を減縮させて、大きな渦流を発生させないように、安定した気流の流れを確保するようにすることで、消音を図り、このチャンバーの吐出口より空気を略均等に車輌、ワーク、商品(品物)等の被洗浄物へ吐出すること、又はチャンバー内に圧送された空気の圧損を回避し、エネルギーロスを減少しつつ、前述と同様にこの吐出口より空気を略均等に吐出すること等を意図する。
(2)送風機、ブロアー又は熱風発生機に取込まれた空気を略均等に、チャンバーに圧送して、その空気をスリット形状の吐出口に誘導し、この吐出口より被洗浄物に向かって、確実かつ略均等に吹出すことで、例えば、車輌への洗車作業と、調温等の効率化、)送風機の耐久性の向上、又は一箇所に強風が吹出される弊害(吐出による騒音、損傷、人的被害等)の解消等を図ること等を意図する。
(3)また、消音を図ることにより、生活等の環境、住宅事情や、地域事情等の各種の状況に応じて騒音を防止すること、24時間営業等を行っている工場等の建屋での作業が可能になり、昼夜を問はず、快適に作業者が容易に作業を行えること等を意図する。
(4)さらに、このチャンバーのノズルに、外側に向って拡開するハ字状の開放部を形成するので、既存のチャンバーにも、着脱自在に取付け又は取外しが行えるので、簡易に着脱できる有効性と資源の有効利用が図れて施設の有効利用ができること等の特徴を有し、さらに前述の効果を生ずること等を意図する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明は、前述の(1)〜(4)の目的を達成するに最適な空気吹溜部を配備した送風ノズルのケーシングを設け、高圧風の整流及び/又は高圧風の衝突の回避を提供することを意図する。
【0014】
請求項1は、送風機と、この送風機にダクトを介して設けられた空気送風用のチャンバーと、このチャンバーに設けた吐出口と、この吐出口に設けたノズルの構造であって、
このノズルに、外方に向って拡開するハ字状の開放部を形成し、
この開放部と、前記ノズルとの間に、当該ノズルから吐出される空気の流れで発生する渦流・気流の流れを減縮(大きな渦流・気流の発生を回避)する手段を設ける構成としたノズルの構造である。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適なノズルの吐出端部と開放部との位置関係を提供することを意図する。
【0016】
請求項2は、請求項1に記載のノズルの構造であって、
その手段は、ノズルの吐出口端部と、前記開放部との間に形成した隙間と、この開放部の少なくとも取付け側の端部に形成した角部とでなる構成としたノズルの構造である。
【0017】
請求項3の発明は、請求項2の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適なノズルの吐出端部及び開放部を長手方向に配備することを提供することを意図する。
【0018】
請求項3は、請求項2に記載のノズルの構造であって、
その隙間及び/又は角部を、前記ノズルの吐出口端部と、前記開放部との長手方向の全体に亘って形成する構成としたノズルの構造である。
【0019】
請求項4の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適なノズルの吐出口端部と、前記開放部の取付け側の端部に形成した角部を提供することを意図する。
【0020】
請求項4は、請求項1に記載のノズルの構造であって、
その手段は、ノズルの吐出口端部と、前記開放部の少なくとも取付け側の端部に形成した角部と、この角部が、前記ノズルの内面壁より内方に突出する構成としたノズルの構造
である。
【0021】
請求項5の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適なノズルの吐出口端部と、前記開放部の取付け側の端部に形成した角部の位置関係を提供することを意図する。
【0022】
請求項5は、請求項1に記載のノズルの構造であって、
その手段は、ノズルの吐出口端部と、前記開放部との間に形成した隙間と、この開放部の少なくとも取付け側の端部に形成した角部とで構成し、
前記角部が、前記ノズルの内面壁より内方に突出する構成としたノズルの構造である。
【0023】
請求項6は、請求項1に記載のノズルの構造であって、
その手段は、ノズルの吐出口端部と、前記開放部との間に形成した隙間と、この開放部の少なくとも取付け側の端部に形成した角部とで構成し、
前記開放部を、前記ノズルの吐出口端部に着脱自在に設ける構成としたノズルの構造である。
【0024】
請求項6の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適な着脱自在な開放部を提供することを意図する。
【0025】
請求項7は、請求項1に記載のノズルの構造であって、
その開放部を、ゴム、樹脂等の可撓性部材とする構成としたノズルの構造である。
【0026】
請求項7の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適な開放部の部材を提供することを意図する。
【発明の効果】
【0027】
請求項1の発明は、送風機、ブロアー又は熱風発生機の送風により、送風ノズルのケーシング内に添設された接続口から空気を取入れ、空気をケーシング内に圧送された高圧風の整流を行い、ケーシングの下方に設けたスリット形状の吹出口から高圧風を吹出し、ワークの洗浄作業及び/又は乾燥作業を行う送風ノズルのケーシングであって、
ケーシングの上方に、ケーシング内部の容積を拡充する空気吹溜部を配備し、接続口から圧送された高圧風の整流及び高圧風の衝突の回避することを特徴とする高圧風を吹出して被洗浄物の洗浄作業及び/又は乾燥作業を行う送風ノズルのケーシングである。
【0028】
従って、請求項1は、(1)チャンバー内に圧送された空気の流れによる気流の確保を図ることで、渦流の発生を減縮させて、大きな渦流を発生させないように、安定した気流の流れを確保するようにすることで、消音を図り、このチャンバーの吐出口より空気を略均等に車輌、ワーク、商品(品物)等の被洗浄物へ吐出すること、又はチャンバー内に圧送された空気の圧損を回避し、エネルギーロスを減少しつつ、前述と同様にこの吐出口より空気を略均等に吐出すること等の特徴を有する。
(2)送風機、ブロアー又は熱風発生機に取込まれた空気を略均等に、チャンバーに圧送して、その空気をスリット形状の吐出口に誘導し、この吐出口より被洗浄物に向かって、確実かつ略均等に吹出すことで、例えば、車輌への洗車作業と、調温等の効率化、)送風機の耐久性の向上、又は一箇所に強風が吹出される弊害(吐出による騒音、損傷、人的被害等)の解消等を図ること等の特徴を有する。
(3)また、消音を図ることにより、生活等の環境、住宅事情や、地域事情等の各種の状況に応じて騒音を防止すること、24時間営業等を行っている工場等の建屋での作業が可能になり、昼夜を問はず、快適に作業者が容易に作業を行えること等の特徴を有する。
(4)さらに、このチャンバーのノズルに、外側に向って拡開するハ字状の開放部を形成するので、既存のチャンバーにも、着脱自在に取付け又は取外しが行えるので、簡易に着脱できる有効性と資源の有効利用が図れて施設の有効利用ができること等の特徴を有し、さらに前述の効果を生ずること等の特徴を有する。
【0029】
請求項2の発明は、請求項1に記載のノズルの構造であって、
その手段は、ノズルの吐出口端部と、開放部との間に形成した隙間と、開放部の少なくとも取付け側の端部に形成した角部とでなる構成としたノズルの構造である。
【0030】
従って、請求項2の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適なノズルの吐出端部と開放部との位置関係を提供できること等の特徴を有する。
【0031】
請求項3の発明は、請求項2に記載のノズルの構造であって、
隙間及び/又は角部を、ノズルの吐出口端部と、開放部との長手方向の全体に亘って形成する構成としたノズルの構造である。
【0032】
従って、請求項3は、請求項2の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適なノズルの吐出端部及び開放部を長手方向に配備することを提供できること等の特徴を有する。
【0033】
請求項4の発明は、請求項1に記載のノズルの構造であって、
その手段は、ノズルの吐出口端部と、開放部の少なくとも取付け側の端部に形成した角部と、角部が、ノズルの内面壁より内方に突出する構成としたノズルの構造である。
【0034】
従って、請求項4は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適なノズルの吐出口端部と、開放部の取付け側の端部に形成した角部を提供できること等の特徴を有する。
【0035】
請求項5の発明は、請求項1に記載のノズルの構造であって、
その手段は、ノズルの吐出口端部と、開放部との間に形成した隙間と、開放部の少なくとも取付け側の端部に形成した角部とで構成し、角部が、ノズルの内面壁より内方に突出する構成としたノズルの構造である。
【0036】
従って、請求項5は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適なノズルの吐出口端部と、開放部の取付け側の端部に形成した角部の位置関係を提供できること等の特徴を有する。
【0037】
請求項6の発明は、請求項1に記載のノズルの構造であって、
その手段は、ノズルの吐出口端部と、開放部との間に形成した隙間と、この開放部の少なくとも取付け側の端部に形成した角部とで構成し、開放部を、ノズルの吐出口端部に着脱自在に設ける構成としたノズルの構造である。
【0038】
従って、請求項6は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適な着脱自在な開放部を提供できること等の特徴を有する。
【0039】
請求項7の発明は、請求項1に記載のノズルの構造であって、
その開放部を、ゴム、樹脂等の可撓性部材とする構成としたノズルの構造である。
【0040】
従って、請求項7は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適な開放部の部材を提供できること等の特徴を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の実施の態様(形態)を説明する。
【0042】
図面の説明をすると、図1は本発明の一例を採用した洗車機の用途で用いられるチャンバー全体の斜視図、図2は図1に示した一例のチャンバー全体を拡大して示した斜視図、図3は本発明の他の一例を採用したビン容器の熱風による局部乾燥の用途で用いられるチャンバー全体の斜視図、図4は本発明のさらに他の一例で用いられるチャンバー全体を拡大して示した斜視図、図5はチャンバー全体の空気の流れを示した主要部の断面図、図6はチャンバーのノズルと開放部の要部拡大図であり、気流の流れ・渦流を矢印にて示した模式図、図7は図6に取付板を取付けた状態を示した要部の断面図、図8は図6の例でさらに主要部を拡大した状態を示した拡大図、図9は従来のチャンバーのノズルのみ要部の拡大であり、気流の流れ・渦流を矢印にて示した模式図、図10−1は、本出願人が提案したチャンバーのノズルと開放部を一体形成等した状態の要部の拡大であり、気流の流れ・渦流を矢印にて示した模式図、図10−2は、従来のチャンバーのノズルと開放部を一体形成等した状態の要部の拡大であり、気流の流れ・渦流を矢印にて示した模式図である。
【0043】
本発明において、車輌、ワーク、商品(品物)等の被洗浄物へチャンバーのノズルに配備された吐出口から空気を吐出し、洗浄作業及び/又は乾燥作業を行うのは、多種の用途及び/又は使用方法があるため、例を挙げながら、説明する。以下に、後述する例は、例であるため、その他の例も、本発明を参酌して、この構成が、同一又は近似していれば、同様な効果が生じると考えられる。
【0044】
図1において、本発明の一例を採用した洗車機の用途で用いられる送風ノズルを示した図であり、1は洗車機を示しており、この洗車機1は、門型の移動フレーム2と、この移動フレーム2に設けた送風機3と、この送風機3に接続されるトップノズル5a、サイドノズル5bと、移動フレーム2に設けた車輪7を有し、従来と同様に移動し、被洗浄物Hである車輌の洗車及び/又は乾燥を図る構造である。8は、この移動フレーム2用のレールで、このレール8は床面に敷設される。
【0045】
そして、送風機3とトップノズル5aはダクト10を介して接続されている。このトップノズル5aには、ダクト10の吸込口12と、空気を吐出する吐出口14と、この吐出口14に配備されたスリット状のノズル6を有する。従って、送風機3からの空気(気流)はダクト10を経由し、トップノズル5aのチャンバー5に圧送される。この圧送された空気は、このトップノズル5aの吐出口14より被洗浄物Hである車輌の略全体に均等に吐出されるとともに、車輌の洗浄作業及び/又は乾燥作業が行われる構造である。なお、サイドノズル5bについても、トップノズル5aと同様とする。
【0046】
続いて、この例におけるトップノズル5a内の空気の流れ(気流の流れ)を図4に示して説明すると、このトップノズル5aは、断面視すると、略逆三角形状のチャンバー5と、このチャンバー5の上方50aにダクト10接続用の吸込口12が単数個又は複数個設けられている。またこのチャンバー5の下方50bには吐出口14が設けられている。
【0047】
つまり、送風機3よりダクト10を介して圧送された空気の流れA(気流)は、このチャンバー5の上方50aにある接続口12から取り込まれる。この取り込まれた空気の流れAは、吐出口方向に向って、直進する。しかし、その吐出口14のノズル6が収斂されているため、この空気の流れAは、ノズル6の内面壁60に衝突し、渦流Bが発生する。
そして、この空気の流れAは、渦流Bと共に、ノズル6へと向って流れていき、被洗浄物Hへ均等に吐出される。
【0048】
さらに、これを図6〜図10−2を参酌して、空気の流れAと渦流Bとを説明すると、この例においては、吐出口14に配備されたノズル6に、外方に向って拡開するハ字状の開放部20を形成してあり、この開放部20は、例えば、左右対称である。このノズル6の吐出口端部14aと、吐出口端部14aの外側端部と開放部20の取付け端部20aの外側端部が、吐出口端部14a(ノズル6の内面壁60)の内面壁より内方に突出することで、渦流Bの発生を減少することが可能であり、結果として、騒音の減少化と、渦流Bが発生しにくい構造とすることも可能である。なお、開放部20は、騒音の減少及び/又は使用の方法を考えれば、左右対称が理想であるが、場合により、左右非対称もあり得る。そして、この吐出口端部14aの内側端部と開放部20の取付け端部20aの角部16の間に、隙間17を形成する。
【0049】
この隙間17を形成することにより、ノズル6より吐出される気流の流れAは、図7、図8に示したように、開放部20に沿って巻き込まれずに、吐出口方向と平行方向に直線状に流れる。このため、大きな渦流Bが発生しにくく、大きな騒音の原因になる渦流Bが発生しにくい構造となっている。なお、この隙間17に樹脂性等の嵌合部材を嵌合する構造でも、この気流の流れA、渦流Bは、同様の流れで流れていき、同様の効果が生ずると考えれられる。この嵌合部材は、樹脂性に限定せず、隙間17に対して、何らかの嵌合ができる部材であれば、限定されない。さらに、この嵌合部材は、着脱自在に設けられることが理想であり、その使用目的及び用途に応じて、取付け又は取外しが任意にできることが望ましい。
【0050】
また図10−1の構造であって、ノズル6の吐出口端部14aと開放部20の取付け側の端部20aにおける湾曲角度について、説明する。このノズル6の吐出口端部14aと取付け側の端部20aでの湾曲角度が狭くなると、気流の流れAが直線状であるため、開放部20と衝突が生じ、渦流Bの発生しやすくなる構造である。また、この湾曲角度が広くなりすぎると、この開放部20の内部の近傍に発生している及び/又は滞留している気流の流れAを巻き込んで、大きな渦流Bを発生し、大きな騒音を発生する。従って、この湾曲角度は、図10−1の如く、渦流Bが大きく発生しないような角度が理想であり、この湾曲角度は、略40度〜50度である。
【0051】
図10−1、図10−2は、従来の一例であり、この図10−2はノズル6に断面視すると、ハ字状の開放部20を形成していない図であり、この例では、開放部20を形成していないため、ノズル6の近傍に発生している及び/又は滞留している空気(気流)を巻き込んで、大きな渦流Bを発生し、大きな騒音を発生させる。また、本出願人が提案する図10−1のように、開放部20とノズル6が、一体加工、又は別体の板材で形成したハ字状の構造がある。この構造では、図10−2に示した従来例より騒音の減少が図れる。しかし、この開放部20とノズル6で、湾曲角度が非常に大きくなと、ハ字状の構造では、チャンバー5内で発生した気流の流れAが、この開放部20に沿ってノズル6より吐出されるため、気流の流れAが開放部20と衝突し、渦流Bが発生し、騒音を発生する可能性がある。
【0052】
なお、ノズル6と開放部20を取付板18の螺子19の螺着及び/又は螺戻することにより、取付板18を着脱自在に設けることができ、既存のチャンバー5及び新設のチャンバー5に、簡易に着脱できる有効性と、施設の有効利用ができること等の特徴を有する。
【0053】
また、チャンバー5内に、断面略漏斗状の風量調整板(図示しない)が配備されている。この風量調整板を介して、チャンバー5内に圧送された空気を分岐及び/又は迂回させることも可能である。
【0054】
さらに、消音効果を促す一例として、このチャンバー5の吐出口14及び/又は開放部20に吸音効果を有する吸音材で構成するか、又は吸音材で囲繞することも可能であり、騒音発生の回避を図るには有益である。
【0055】
また、この開放部20は、ゴム、樹脂等の可撓性の板材とする。そして、この板材は、多孔性、波板、スリット板等とすることも可能である。何れにしても、消音効果及び/又は整流・吐出する等が図れる構造とする。
【0056】
なお、図3、図4、図7、図8等は、ビン、容器、品物、ワーク、加工部品等の被洗浄物Hをベルトコンベア等の搬送手段により、搬送される際におけるチャンバー5(ケーシング)であり、このチャンバー5にも同様に開放部20が形成され、垂設、立設等して設けられている。なお、この構成及び/又は効果は、前述した洗車機の例と同様とする。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は本発明の一例を採用した洗車機の用途で用いられるチャンバー全体の斜視図
【図2】図1に示した一例のチャンバー全体を拡大して示した斜視図
【図3】図3は本発明の他の一例を採用したビン容器の熱風による局部乾燥の用途で用いられるチャンバー全体の斜視図
【図4】図4は本発明のさらに他の一例で用いられるチャンバー全体を拡大して示した斜視図
【図5】図5はチャンバー全体の空気の流れを示した主要部の断面図
【図6】図6はチャンバーのノズルと開放部の要部拡大図であり、気流の流れ・渦流を矢印にて示した模式図
【図7】図7は図6に取付板を取付けた状態を示した要部の断面図
【図8】図8は図6の例でさらに主要部を拡大した状態を示した拡大図
【図9】図9は従来のチャンバーのノズルのみ要部の拡大であり、気流の流れ・渦流を矢印にて示した模式図
【図10−1】図10−1は、本出願人が提案したチャンバーのノズルと開放部を一体形成等した状態の要部の拡大であり、気流の流れ・渦流を矢印にて示した模式図、
【図10−2】図10−2は、従来のチャンバーのノズルと開放部を一体形成等した状態の要部の拡大であり、気流の流れ・渦流を矢印にて示した模式図
【符号の説明】
【0058】
1 洗車機
2 移動フレーム
3 送風機
5 チャンバー
5a トップノズル
5b サイドノズル
50a 上方
50b 下方
6 ノズル
60 内面壁
7 車輪
8 レール
10 ダクト
12 吸込口
14 吐出口
14a 吐出口端部
20 開放部
20a 取付け側の端部
16 角部
17 隙間
19 螺子
A 気流の流れ
B 渦流
H 被洗浄物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風機と、この送風機にダクトを介して設けられた空気送風用のチャンバーと、このチャンバーに設けた吐出口と、この吐出口に設けたノズルの構造であって、
このノズルに、外方に向って拡開するハ字状の開放部を形成し、
この開放部と、前記ノズルとの間に、当該ノズルから吐出される空気の流れで発生する渦流・気流の流れを減縮(大きな渦流・気流の発生を回避)する手段を設ける構成としたノズルの構造。
【請求項2】
請求項1に記載のノズルの構造であって、
その手段は、ノズルの吐出口端部と、前記開放部との間に形成した隙間と、この開放部の少なくとも取付け側の端部に形成した角部とでなる構成としたノズルの構造。
【請求項3】
請求項2に記載のノズルの構造であって、
その隙間及び/又は角部を、前記ノズルの吐出口端部と、前記開放部との長手方向の全体に亘って形成する構成としたノズルの構造。
【請求項4】
請求項1に記載のノズルの構造であって、
その手段は、ノズルの吐出口端部と、前記開放部の少なくとも取付け側の端部に形成した角部と、この角部が、前記ノズルの内面壁より内方に突出する構成としたノズルの構造。
【請求項5】
請求項1に記載のノズルの構造であって、
その手段は、ノズルの吐出口端部と、前記開放部との間に形成した隙間と、この開放部の少なくとも取付け側の端部に形成した角部とで構成し、
前記角部が、前記ノズルの内面壁より内方に突出する構成としたノズルの構造。
【請求項6】
請求項1に記載のノズルの構造であって、
その手段は、ノズルの吐出口端部と、前記開放部との間に形成した隙間と、この開放部の少なくとも取付け側の端部に形成した角部とで構成し、
前記開放部を、前記ノズルの吐出口端部に着脱自在に設ける構成としたノズルの構造。
【請求項7】
請求項1に記載のノズルの構造であって、
その開放部を、ゴム、樹脂等の可撓性部材とする構成としたノズルの構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【公開番号】特開2008−80307(P2008−80307A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−266260(P2006−266260)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(391008294)フルタ電機株式会社 (176)
【Fターム(参考)】