説明

ノニオン性界面活性剤を含む撥水撥油剤水性分散液

(I)パーフルオロアルキル基もしくはパーフルオロアルケニル基およびアクリル酸基もしくはメタクリル酸基もしくはα−置換アクリル酸基を有する重合性化合物の少なくとも1種のホモ重合体もしくは共重合またはそれらと共重合可能な重合性化合物との共重合体、および(II)(a)HLBが12未満のノニオン性界面活性剤、(b) HLBが12以上〜17未満のノニオン性界面活性剤、および(c)HLBが17以上のノニオン性界面活性剤の3種類のノニオン性界面活性剤を含んでなる界面活性剤を含んでなる撥水撥油剤水性分散液は、製品貯蔵安定性および希釈安定性に優れ、高い撥水撥油性能を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撥水撥油剤水性分散液に関し、より詳しくは、3種の異なるノニオン性界面活性剤を含む撥水撥油剤水性分散液に関する。
【背景技術】
【0002】
パーフルオロアルキル基もしくはパーフルオロアルケニル基およびアクリル酸基もしくはメタクリル酸基を有する重合性化合物の重合体が繊維織物等の撥水撥油剤として有用であることは知られており、特に該重合体を界面活性剤により水性媒体中に分散せしめた水性分散液が工業的に広く使用されている。
界面活性剤として、安定して分散させる目的からノニオン性界面活性剤にカチオン性もしくはアニオン性界面活性剤を併用してエマルション粒子にイオン性を持たせたものが一般的である。この場合、繊維織物への粒子の選択的な吸着による処理後半での急激な性能低下といったトラブルや、異なるイオン性の薬剤の加工浴への持込みまたは併用の場合に、分散液の破壊が起こって重合体の凝集塊が発生し、これが生地上に付着して生地汚れとなるトラブルが発生するといった問題があった。
これを解決するために、特開昭53−4159号公報ではHLB15〜20のノニオン性界面活性剤を水性媒体中に40重量%以上用いることを提案しているが、やはり貯蔵安定性や希釈使用時の安定性が著しく劣り、性能面(特に撥水撥油性)でも著しく劣るものであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、優れた撥水撥油性を基材に付与でき、優れた貯蔵安定性および希釈安定性を有する撥水撥油剤分散液を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、
(I)パーフルオロアルキル基もしくはパーフルオロアルケニル基およびアクリル酸基もしくはメタクリル酸基もしくはα−置換アクリル酸基を有する重合性化合物の少なくとも1種のホモ重合体もしくは共重合体またはそれらと共重合可能な重合性化合物との共重合体、および
(II)(a)HLBが12未満のノニオン性界面活性剤、(b) HLBが12以上〜17未満のノニオン性界面活性剤、および(c)HLBが17以上のノニオン性界面活性剤を含んでなる界面活性剤
を含んでなる撥水撥油剤水性分散液に関する。
【発明の効果】
【0005】
HLBの異なる3種類のノニオン性界面活性剤を用いて乳化重合させる事により、製品貯蔵安定性および希釈安定性に優れ、かつイオン性の薬剤を併用した場合にも安定性が良く高い撥水撥油性能を与える撥水撥油剤分散液が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の撥水撥油剤水性分散液は、重合体(I)および界面活性剤(II)を含んでなる。
[重合体(I)]
重合体(I)は、パーフルオロアルキル基もしくはパーフルオロアルケニル基およびアクリル酸基もしくはメタクリル酸基もしくはα−置換アクリル酸基を有する重合性化合物(すなわち、含フッ素重合性化合物)、および場合により存在する他の重合性化合物からなる共重合体である。
【0007】
含フッ素重合性化合物の例として、式:
【化1】

【0008】
[式中、Rfは炭素数1〜21のパーフルオロアルキル基またはパーフルオロアルケニル基、
1 は水素または炭素数1〜10のアルキル基、
2 は炭素数1〜10のアルキレン基、
3 は、水素原子、メチル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX12基(但し、X1およびX2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、置換または非置換のフェニル基、
Ar は置換基を有することもあるアリール基、
n は1〜10の整数を表わす。]
で示される(メタ)アクリレートを挙げることができる。
【0009】
上記式において、Rf基が、パーフルオロアルキル基であることが好ましい。Rf基の炭素数は、1〜21、特に2〜20、特別には4〜16、例えば6〜14である。あるいは、Rf基の炭素数は、1〜6、特に1〜4であってもよい。Rf基の例は、−CF3、−CF2CF3、−CF2CF2CF3、−CF(CF3) 2、−CF2CF2CF2CF3、−CF2CF(CF3)2、−C(CF)3、−(CF2)4CF3、−(CF2)2CF(CF3)2、−CF2C(CF3)3、−CF(CF3)CF2CF2CF3、−(CF2)5CF3、−(CF2)3CF(CF3)2、−(CF2)4CF(CF3)2、−(CF2)7CF3、−(CF2)5CF(CF3)2、−(CF2)6CF(CF3)2、−(CF2)9CF3等である。
【0010】
アクリル酸基もしくはメタクリル酸基を有する含フッ素重合性化合物の具体例は、
CF3(CF2)7(CH2)OCOCH=CH2
CF3(CF2)6(CH2)OCOC(CH3)=CH2
(CF3)2CF(CF2)6(CH2)2OCOCH=CH2
CF3(CF2)7(CH2)2OCOC(CH3)=CH2
CF3(CF2)7(CH2)2OCOCH=CH2
CF3CF2(CH2)2OCOCH=CH2
CF3(CF2)3 (CH2)2OCOCH=CH2
CF3(CF2)7SO2N(CH3)(CH2)2OCOCH=CH2
CF3(CF2)7SO2N(C25)(CH2)2OCOC(CH3)=CH2
(CF3)2CF(CF2)6CH2CH(OCOCH3)CH2OCOC(CH3)=CH2
(CF3)2CF(CF2)6CH2CH(OH)CH2OCOCH=CH2
【0011】
【化2】

【0012】
【化3】

を例示することができる。
【0013】
α−置換アクリル酸基において、α置換基の例は、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ハロゲン原子で水素原子を置換した(例えば、炭素数1〜21の)アルキル基(例えば、モノフルオロメチル基およびジフルオロメチル基)、シアノ基、芳香族基(例えば、置換または非置換のベンジル基、置換または非置換のフェニル基)である。
【0014】
α−置換アクリル酸基を有する含フッ素重合性化合物の具体例は、次のとおりである。
【化4】

【0015】
【化5】

【0016】
【化6】

【0017】
【化7】

【0018】
【化8】

【0019】
【化9】

[式中、Rfは炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のパーフルオロアルキル基またはパーフルオロアルケニル基である。]
【0020】
他の共重合可能な重合性化合物には種々のものがあるが、例示すると、
(1)アクリル酸およびメタクリル酸ならびにこれらのメチル、エチル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、プロピル、2−エチルヘキシル、ヘキシル、デシル、ラウリル、ステアリル、イソボルニル、β−ヒドロキシエチル、グリシジルエステル、フェニル、ベンジル、4−シアノフェニルエステル類、
(2)酢酸、プロピオン酸、カプリル酸、ラウリル酸、ステアリン酸等の脂肪酸のビニルエステル類、
(3)スチレン、α−メチルスチレン、 p−メチルスチレン等のスチレン系化合物、
(4)フッ化ビニル、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニリデン、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニルまたはビニリデン化合物類、
(5)ヘプタン酸アリル、カプリル酸アリル、カプロン酸アリル等の脂肪族のアリルエステル類、
(6)ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン等のビニルアルキルケトン類、
(7)N−メチルアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等のアクリルアミド類および
(8)2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、イソプレン等のジエン類などを例示できる。
【0021】
他の重合性化合物として、含塩素重合性化合物(例えば、塩化ビニルおよび塩化ビニリデン)を(重合体に対して、例えば1〜50重量%、特に5〜30重量%の量で)含むことが好ましい。
【0022】
含フッ素重合性化合物の量は、重合体(I)に対して、30重量%以上、例えば40〜90重量%、特に50〜80重量%であってよい。
重合体(I)の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定(ポリスチレン換算)して、一般に、5,000〜2,000,000、特に10,000〜500,000であってよい。
【0023】
[界面活性剤(II)]
本発明においては、含フッ素重合体を水性分散液に良好に分散させるために、界面活性剤(II)を使用する。界面活性剤(II)は、HLB値の異なる3種のノニオン性界面活性剤を含んでなる。界面活性剤は、ノニオン性界面活性剤に加えて、イオン性(例えば、カチオン性、アニオン性、両性)の界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤は、ノニオン性界面活性剤のみからなることが好ましい。界面活性剤は、含フッ素重合体(I)の重合時に存在してよく、あるいは重合後に添加してもよいが、重合時に存在することが好ましい。
【0024】
ノニオン性界面活性剤の例は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエーテル変性シリコーンオイル(商品名:SH3746、SH3748、SH3749、SH3771(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製))、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物(商品名:ユニダインDS−401、DS−403(ダイキン工業(株)製)、フルオロアルキルエチレンオキシド付加物(商品名:ユニダインDS−406(ダイキン工業(株)製)、パーフルオロアルキルオリゴマー(商品名:ユニダインDS−451(ダイキン工業(株)製))などである。
【0025】
ノニオン性界面活性剤の市販品の例としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル(商品名:エマルゲン430、花王(株)製)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(商品名:NIKKOL BL-21、日光ケミカルズ(株)製)がある。
【0026】
(a)HLBが12未満のノニオン性界面活性剤、(b) HLBが12以上〜17未満のノニオン性界面活性剤、(c)HLBが17以上のノニオン性界面活性剤の3種類のノニオン性界面活性剤の3種の界面活性剤を使用する。
本発明において、HLBは、HLB値はカタログ値のあるものはその値を、ないものは計算値(参考文献:W.G.Griffin, J. Soc. Cosmetic Chemists,1,311(1949)及びW.G.Griffin, J. Soc. Cosmetic Chemists,5,249(1954))を採用する。
【0027】
HLBが12未満のノニオン性界面活性剤(a)の例は、
C11−14H23−29-iso−O(C2H4O)3H
(HLB値:8.0)(日本油脂製 ノニオンEAD-8)
C12H25O(CHO)H
(HLB値:9.2)(日本油脂製 ノニオンK-204)
ソルビタンモノパルミテート
(HLB値:6.7)(日本油脂製 ノニオンPP-40R)
である。
【0028】
HLBが12以上〜17未満のノニオン性界面活性剤(b)の例は、
C11−14H23−29-iso-O-(CHO)(CHO)20H
(HLB値:14.0)(日本油脂製 ノニオンEBD-14)
C12H25O(CHO)20H
(HLB値:16.2)(日本油脂製 ノニオンK-220)
ポリオキシエチレン(21モル)ソルビタンモノオレエート
(HLB値:15.0)(日本油脂製 ノニオンOT-221)
である。
【0029】
HLBが17以上のノニオン性界面活性剤(c)の例は、
C12H25O(CHO)30H
(HLB値:17.3)(日本油脂製 ノニオンK-230)
【化10】

(HLB値:17.9)(日本油脂製 ノニオンHS-240)
【化11】

(HLB値:18.2)(日本油脂製 ノニオンS-40)
である。
【0030】
界面活性剤(II)の量は、含フッ素重合体(I)100重量部に対して、1〜30重量部、特に5〜20重量部であってよい。ノニオン性界面活性剤とイオン性界面活性剤を組み合わせて用いる場合、イオン性界面活性剤の量は、ノニオン性界面活性剤100重量部に対して、15重量部以下、特に10重量部以下であってよい。ノニオン性界面活性剤(b)の量は、ノニオン性界面活性剤(a)〜(c)の合計100重量部に対して、50重量部以上、例えば50〜80重量部であることが好ましい。ノニオン性界面活性剤(a)とノニオン性界面活性剤(b)とノニオン性界面活性剤(c)の重量比は、10〜40:50〜80:5〜30、例えば20〜40:50〜70:10〜20であることが好ましい。
【0031】
[有機溶剤]
本発明の撥水撥油剤水性分散液は、有機溶剤を含有しても含有しなくてもよい。有機溶剤の例としては、既存の水溶性のものが使用可能である。有機溶剤の量は、重合体100重量部に対して、0〜200重量部、例えば0〜100重量部、特に1〜50重量部であってよい。
【0032】
本発明の分散液を製造するには、界面活性剤の存在下で重合性化合物を、必要により有機溶剤を加えた水中で乳化重合して、重合体の乳濁液を得る。必要に応じて、乳濁液に、水および/または界面活性剤を加えて、撥水撥油剤水性分散液を得る。撥水撥油剤水性分散液の重合体濃度は、例えば、0.1〜50重量%である。
【0033】
本発明の分散液を適用する適当な基体は、フィルム、繊維、糸、織布、カーペットならびに天然重合体物質や変性された天然重合体物質や合成重合体物質から得られたフィラメント、繊維あるいは糸で作られた製品である。基体は、繊維、糸または布の形態である繊維製品であることが好ましい。
【0034】
本発明の分散液を基体に適用するには、塗布、浸漬、吹きつけ、パッデイング、ロール被覆あるいはこれらの方法の組み合せによるのが望ましい。例えば、浴の固形分量を0.1〜10重量%にすることによってパッド浴として使用する。基体をこの浴でパッドし、次に普通絞りロールで過剰の液を除いて乾燥吸収(基体上の乾燥重合体の重量)が基体の約0.01〜1重量%となるようにする。次いで処理基体を100〜200℃に加熱するのがよい。
【実施例】
【0035】
以下に実施例および比較例を示し、本発明を更に詳しく説明する。
実施例および比較例において、次のように評価を行った。
【0036】
貯蔵安定性
水性分散液(固形分30重量%)の初期と25℃で1ヶ月保存後の平均粒子径(散乱強度)を、大塚電子製FPAR-1000にて測定し、以下の基準で評価する。
○: 変化率10%以内
△: 変化率10〜20%
×: 変化率20%以上
【0037】
希釈安定性および撥水撥油性
(1)通常の処理の場合
水性分散液を水道水で固形分濃度1.0重量%に希釈し、処理液を調製する。処理液の1時間後の状態を観察し、以下の基準で評価する。
○ : 全く沈降なし
△ : わずかに沈降あり
× : 多く沈降あり
安定性評価後、ポリエステル布を処理液に浸漬し、マングルで絞って、ウェットピックアップ75%とし、100℃で2分間乾燥し、160℃で1分間熱処理した後に、処理布の撥水撥油性を評価する。
撥水性 : AATCC-22法
撥油性 : AATCC-118法
【0038】
(2)アクリルバインダー(アニオン性)を併用した場合
水性分散液を水道水で固形分濃度0.5重量%に希釈し、そこへアクリルバインダー(ABCO Builder T-37:ABCO製)20.0重量%添加して処理液を調製する。処理液の1時間後の状態を観察し、以下の基準で評価する。
○ : 全く沈降なし
△ : わずかに沈降あり
× : 多く沈降あり
安定性評価後、ポリエステル不織布を処理液に浸漬し、マングルで絞って、ウェットピックアップ110%とし、190℃で2分間熱処理した後に、処理布の撥水撥油性を評価する。
撥水性 : AATCC-22法
撥油性 : AATCC-118法
【0039】
(3)綿用Fix剤(カチオン性)を併用した場合
水性分散液を水道水で固形分濃度1.0重量%に希釈し、そこへ綿用Fix剤(ネオフィックスRP-70:日華化学製)を0.5重量%添加して処理液を調製する。処理液の1時間後の状態を観察し、以下の基準で評価する。
○ : 全く沈降なし
△ : わずかに沈降あり
× : 多く沈降あり
安定性評価後、綿布を処理液に浸漬し、マングルで絞って、ウェットピックアップ60%とし、100℃で2分間乾燥し、160℃で1分間熱処理した後に、処理布の撥水撥油性を評価する。
撥水性 : AATCC-22法
撥油性 : AATCC-118法
【0040】
実施例1
1LオートクレーブにC2n+1CHCHOCOCH=CH (n=6,8,10,12,14(nの平均は8)の化合物の混合物)(FA)(含フッ素モノマー)200g、ステアリルアクリレート20g、N−メチロールアクリルアミド3g、トリプロピレングリコール50g、純水400g、ノニオン性界面活性剤1を6g、ノニオン性界面活性剤3を16g、ノニオン性界面活性剤5を4g入れ、撹拌下に40℃で30分間、超音波で乳化分散させた。乳化後、n−ドデシルメルカプタン1gを添加し、次に、塩化ビニル40gを圧入充填した。アゾビスイソブチルアミジン−2塩酸塩0.8gを添加し、60℃で5時間反応させ、重合体を含有する撥水撥油剤水性分散液を調製した。重合体の組成は、塩化ビニルの反応率が約80%であり、他のモノマーの反応率が約100%である組成であった。使用したノニオン性界面活性剤を表2に示す。
撥水撥油剤水性分散液について、貯蔵安定性、通常の処理の場合の撥水撥油性および処理液の安定性、アクリルバインダー(アニオン性)を併用した場合の撥水撥油性および処理液の安定性、綿用Fix剤(カチオン性)を併用した場合の撥水撥油性および処理液の安定性を評価した。結果を表1に示す。
【0041】
実施例2
フッ素モノマーとしてFAに代えて同重量のC4F9CH2CH2OCOCCl=CH2を用い、ノニオン性界面活性剤として、同重量の表1に示す化合物を使用する以外は、実施例1と同様の手順を繰り返した。結果を表1に示す。
【0042】
実施例3
フッ素モノマーとしてFAに代えて同重量のC2F5CH2CH2OCOCCl=CH2を用い、ノニオン性界面活性剤として、同重量の表1に示す化合物を使用する以外は、実施例1と同様の手順を繰り返した。結果を表1に示す。
【0043】
実施例4
フッ素モノマーとしてFAに代えて同重量のC4F9CH2CH2OCOCH=CH2を用い、ノニオン性界面活性剤として、同重量の表1に示す化合物を使用する以外は、実施例1と同様の手順を繰り返した。結果を表1に示す。
【0044】
実施例5〜7
ノニオン性界面活性剤として、同重量の表1に示す化合物を使用し、ノニオン性界面活性剤に加えて、表3に示すイオン性界面活性剤(実施例5において1.3g、実施例6において0.5g、実施例7において2.6g)をも使用する以外は、実施例1と同様の手順を繰り返した。結果を表1に示す。
【0045】
比較例1〜3
ノニオン性界面活性剤を表1に示す1種類だけとし、その添加量は26gとする以外は、実施例1と同様の手順を繰り返した。結果を表1に示す。
【0046】
比較例4〜6
ノニオン性界面活性剤を表1に示す2種類とし、それぞれのノニオン性界面活性剤の量を13gとする以外は、実施例1と同様の手順を繰り返した。結果を表1に示す。
【0047】
比較例7〜8
ノニオン性界面活性剤を表1に示す2種類とし、それぞれのノニオン性界面活性剤の量を13gとし、ノニオン性界面活性剤に加えて、表3に示すイオン性界面活性剤(比較例7では5.2g、比較例8では7.8g)を添加する以外は、実施例1と同様の手順を繰り返した。結果を表1に示す。
【0048】
【表1】

【0049】
【表2】

【0050】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(I)パーフルオロアルキル基もしくはパーフルオロアルケニル基およびアクリル酸基もしくはメタクリル酸基もしくはα−置換アクリル酸基を有する重合性化合物の少なくとも1種のホモ重合体もしくは共重合体またはそれらと共重合可能な重合性化合物との共重合体、および
(II)(a)HLBが12未満のノニオン性界面活性剤、(b) HLBが12以上〜17未満のノニオン性界面活性剤、および(c)HLBが17以上のノニオン性界面活性剤を含んでなる界面活性剤
を含んでなる撥水撥油剤水性分散液。
【請求項2】
ノニオン性界面活性剤(a)と(b)と(c)が乳化重合時に存在する請求項1に記載の撥水撥油剤水性分散液。
【請求項3】
他の界面活性剤として、カチオン性界面活性剤あるいはアニオン性界面活性剤あるいは両性界面活性剤をノニオン性界面活性剤の合計100重量部に対して15重量部以下を含んだ請求項1または2に記載の撥水撥油剤水性分散液。
【請求項4】
他の界面活性剤を含まず、ノニオン性界面活性剤(a)と(b)と(c)のみを含む請求項1または2に記載の撥水撥油剤水性分散液。
【請求項5】
ノニオン性界面活性剤(b)の量が、ノニオン性界面活性剤(a)と(b)と(c)の合計に対して50重量%以上である請求項1〜4のいずれかに記載の撥水撥油剤水性分散液。
【請求項6】
ノニオン性界面活性剤(a):ノニオン性界面活性剤(b):ノニオン性界面活性剤(c)=10〜40:50〜80:5〜30である請求項1〜5のいずれかに記載の撥水撥油剤水性分散液。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の水性分散液を適用した繊維製品。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれかに記載の水性分散液を用いる繊維製品の加工法。

【国際公開番号】WO2005/047416
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【発行日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515410(P2005−515410)
【国際出願番号】PCT/JP2004/016318
【国際出願日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】