説明

ノーズアダプタ

【課題】優れた装着性、及び良好なフィット感を備えると共に、花粉等の塵埃の侵入を効果的に阻止する。
【解決手段】織布や不織布を用いて作られたマスク本体の裏面の上縁部近傍に付着して使用するノーズアダプタにおいて、前記ノーズアダプタが、50μm以下の径を有するセルが全セル数の50%以上を占め、かつ60%以上の単泡率を有する実質的に独立気泡型のシリコーンエラストマー多孔質材により製作されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノーズアダプタに係り、更に詳しくは、本発明は、マスクと鼻との間の機密性を改良して、人の鼻や口に花粉や粉塵が侵入するのを防止して花粉症の予防をするためのノーズアダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、花粉症の対策として多くのマスクが販売されているが、これらマスクの素材の花粉捕集率は高く、材質による花粉の捕集率には各社大きな差がなくなってきている。このため、花粉症用マスクの対策は、形状をいかに顔にフィットさせるかが問題となっている。
【0003】
特に、鼻とマスクの間には隙間が発生し易く、この部分の隙間を埋めることが花粉捕集率に大きな影響与えている。
このため既存のマスクは、鼻周りにワイヤーを入れ、可能な限り鼻の形に合わせた形状で使用する方法や、マスクにスポンジやゴム材からなるノーズアダプタを貼り付け、鼻とマスクの隙間を埋めた製品が販売されている。
しかし、ワイヤーを使用した製品では、鼻との密着性に欠け、気密性に劣る問題があった。
【0004】
また、従来のスポンジからなるノーズアダプタは、連通気泡型で発泡セルが大きい為、ノーズアダプタから花粉が侵入する危険性が高く、フィット感が悪かった。
更に、従来のゴム材からなるノーズアダプタでは、比重が大きい為、ノーズアダプタ自体が重く成り、装着性が悪かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−33049号公報
【特許文献2】実用新案登録第3112218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなノーズアダプタは、優れた装着性、及び良好なフィット感を備えると共に、花粉等の塵埃の侵入を効果的に阻止することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のノーズアダプタは、織布や不織布を用いて作られたマスク本体の裏面の上縁部近傍に付着して使用するノーズアダプタにおいて、前記ノーズアダプタが、50μm以下の径を有するセルが全セル数の50%以上を占め、かつ60%以上の単泡率を有する実質的に独立気泡型のシリコーンエラストマー多孔質材により製作されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
請求項1記載の発明のノーズアダプタによれば、優れた装着性、及び良好なフィット感を備えると共に、花粉等の塵埃の侵入を効果的に阻止することが出来る。
また、請求項2記載の発明のノーズアダプタによれば、快適に装着することが出来る。
【0009】
更に、請求項3記載の発明のノーズアダプタによれば、フィット感をより向上させることが出来る。
【0010】
更にまた、請求項4記載の発明のノーズアダプタによれば、花粉、塵埃、ウイルスの吸入阻止機能をより高めることが出来る。
更に、請求項5記載の発明のノーズアダプタによれば、フィット感をより向上させ、快適に装着することが出来る。
【0011】
更にまた、請求項6記載の発明のノーズアダプタによれば、目的とする製品性能を備えたノーズアダプタを確実に得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るノーズアダプタをマスクに取付けた状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1に基づき発明を実施するための形態について説明する。
【0014】
図1は、本発明に係るノーズアダプタ2をマスク本体1に取付けた態様を示す斜視図である。
本発明に係るノーズアダプタ2は、50μm以下の径を有するセルが全セル数の50%以上を占め、かつ60%以上の単泡率を有する実質的に独立気泡型のシリコーンエラストマー多孔質材により製作される。
そして、このシリコーンエラストマー多孔質材は、比重が0.7以下で、硬度(Asker−C)が60以下である。
また、このシリコーンエラストマー多孔質材は、セルの径が0.1μm〜70μmの範囲内で、30μm以下の平均セル径を有すると共に、80%以上の単泡率を有している。
【0015】
この種シリコーンエラストマー多孔質材は、硬化してシリコーンエラストマーを生成する液状シリコーンゴム材、界面活性作用を有するシリコーンオイル材、および水を含有する油中水型エマルジョン組成物から調製される。
【0016】
具体的には、以下の内容のものである。
本発明のシリコーンエラストマー多孔質材は、実質的に独立気泡型のものである。多孔質材の全セル数のうち、閉じたセル(独立気泡)がどの程度の割合で存在するかは、「単泡率」で表現することができる。
この単泡率は、以下の実施例の項で説明したように測定することができる。
本発明のシリコーンエラストマー多孔質材は、60%以上の単泡率を有することができ、さらには80%以上の単泡率を有することができる。
【0017】
本発明のシリコーンエラストマー多孔質材は、基本的に、硬化してシリコーンエラストマーを生成する液状シリコーンゴム材、および水を含有する油中水型エマルジョンから製造することができる。
その際、液状シリコーンゴム材が低い粘度を有する場合には、液状シリコーンゴム材と水を十分に攪拌し、エマルジョンを生成させ、その後すぐに加熱して硬化させることができる。
しかしながら、本発明のシリコーンエラストマー多孔質材は、硬化してシリコーンエラストマーを生成する液状シリコーンゴム材および水とともに、界面活性作用を有するシリコーンオイル材を含有する油中水型エマルジョンから好適に製造することができる。
【0018】
液状シリコーンゴム材は、加熱により硬化してシリコーンエラストマーを生成するものであれば特に制限はないが、いわゆる付加反応硬化型液状シリコーンゴムを使用することが好ましい。
付加反応硬化型液状シリコーンゴムは、主剤となる不飽和脂肪族基を有するポリシロキサンと架橋剤となる活性水素含有ポリシロキサンを含む。
不飽和脂肪族基を有するポリシロキサンにおいて、不飽和脂肪族基は、両末端に導入され、側鎖としても導入され得る。
そのような不飽和脂肪族基を有するポリシロキサンは、例えば、下記式(1)で示すことができる。
【0019】
【化1】

【0020】
式(1)において、R1は、不飽和脂肪族基を表し、各R2は、C1〜C4低級アルキル基、フッ素置換C1〜C4低級アルキル基、またはフェニル基を表す。a+bは、通常、50〜2000である。R1によって表される不飽和脂肪族基は、通常、ビニル基である。各R2は、通常、メチル基である。
【0021】
活性水素含有ポリシロキサン(ハイドロジェンポリシロキサン)は、不飽和脂肪族基を有するポリシロキサンに対し架橋剤として作用するものであり、主鎖のケイ素原子に結合した水素原子(活性水素)を有する。水素原子は、活性水素含有ポリシロキサン1分子当たり3個以上存在することが好ましい。そのような活性水素含有ポリシロキサンは、例えば、下記式(2)で示すことができる。
【0022】
【化2】

【0023】
式(2)において、R3は、水素またはC1〜C4低級アルキル基を表し、R4は、C1〜C4低級アルキル基を表す。c+dは、通常、8〜100である。R3およびR4で表される低級アルキル基は、通常、メチル基である。
【0024】
これら液状シリコーンゴム材は、市販されている。なお、市販品では、付加反応硬化型液状シリコーンゴムを構成する不飽和脂肪族基を有するポリシロキサンと活性水素含有ポリシロキサンとは別々のパッケージで提供され、以後詳述する両者の硬化に必要な硬化触媒は、活性水素含有ポリシロキサンに添加されている。いうまでもなく、液状シリコーンゴム材は、2種類以上を併用して用いることができる。
界面活性作用を有するシリコーンオイル材は、エマルジョン中に水を安定に分散させるための分散安定剤として作用するものである。すなわち、この界面活性作用を有するシリコーンオイル材は、水に対し親和性を示すとともに、液状シリコーンゴム材に対しても親和性を示すものである。このシリコーンオイル材は、エーテル基等の親水性基を有することが好ましい。また、このシリコーンオイル材は、通常3〜13、好ましくは4〜11のHLB値を示す。より好ましくは、HLB値が3以上異なる2種類のエーテル変性シリコーンオイルを併用する。
その場合、さらに好ましくは、7〜11のHLB値を有する第1のエーテル変性シリコーンオイルと、4〜7のHLB値を有する第2のエーテル変性シリコーンオイルとを組み合わせて使用する。
いずれのエーテル変性シリコーンオイルも、ポリシロキサンの側鎖にポリエーテル基を導入したものを用いることができ、例えば、下記式(3)で示すことができる。
【0025】
【化3】

【0026】
式(3)において、R5は、C1〜C4低級アルキル基を表し、R6は、ポリエーテル基を表す。e+fは、通常、8〜100である。R5で表される低級アルキル基は、通常、メチル基である。
また、R6により表されるポリエーテル基は、通常、(C2H4O)x基、(C3H6O)y基、または(C2H4O)x(C3H6O)y基を含む。主に、x、yの数により、HLB値が決定される。これら界面活性作用を有するシリコーンオイル材は市販されている。
【0027】
水は、いうまでもなく、上記油中水型エマルジョン中において、粒子(水滴)の形態で不連続相として分散して存在する。
後に詳述するように、この水粒子の粒径が、本発明のシリコーンエラストマー多孔質体のセル(気泡)の径を実質的に決定する。
【0028】
上記油中水型エマルジョンは、液状シリコーンゴム材を硬化させるために、硬化触媒を含有することができる。
硬化触媒としては、それ自体既知のように、白金触媒を用いることができる。
白金触媒の量は、白金原子として、1〜100重量ppm程度で十分である。
硬化触媒は、シリコーンエラストマー多孔質材を製造する際に上記油中水型エマルジョンに添加してもよいが、上記油中水型エマルジョンを製造する際に配合することもできる。
【0029】
上記油中水型エマルジョンにおいて、液状シリコーンゴム材100重量部に対し、界面活性作用を有するシリコーンオイル材を0.2〜5.5重量部の割合で、水を10〜250重量部の割合で使用することが、水分散安定性に特に優れたエマルジョンを得る上で好ましい。
そのような水分散安定性に優れたエマルジョンを使用することにより、良好な多孔質材をより一層安定に製造することができる。
界面活性作用を有するシリコーンオイル材が、前記第1のエーテル変性シリコーンオイルと前記第2のエーテル変性シリコーンオイルとの組合せからなる場合、液状シリコーン
ゴム材100重量部に対し、第1のエーテル変性シリコーンオイルを0.15〜3.5重量部の量で、第2のエーテル変性シリコーンオイルを0.05〜2重量部の量(合計0.2〜5.5重量部)で用いることが好ましい。また、液状シリコーンゴム材が不飽和脂肪族基を有するポリシロキサンと活性水素含有ポリシロキサンとの組合せからなる場合、前者と後者の重量比は、6:4〜4:6であることが好ましい。
【0030】
本発明のシリコーンエラストマー多孔質材は、その用途に応じて、種々の添加剤を含有することができる。そのような添加剤としては、着色料(顔料、染料)、導電性付与材(カーボンブラック、金属粉末等)、充填材(シリカ等)を例示することができる。
これら添加剤は、上記油中水型エマルジョンに配合することができる。
さらに、上記油中水型エマルジョンは、例えば、脱泡を容易にすること等を目的としてエマルジョンの粘度を調整するために、分子量の低い、非反応性のシリコーンオイルを含有することができる。上記油中水型エマルジョンは、1cSt〜20万cStの粘度を有すると、脱泡が容易に行え、取り扱いに都合がよい。
【0031】
上記油中水型エマルジョンは、種々の方法により製造することができる。
一般的には、液状シリコーンゴム材、界面活性作用を有するシリコーンオイル材、および水を、必要に応じてさらなる添加剤とともに、混合し、十分に撹拌することによって製造される。液状シリコーンゴム材が、不飽和脂肪族基を有するポリシロキサンと活性水素含有ポリシロキサンとの組合せにより提供される場合には、不飽和脂肪族基を有するポリシロキサンと界面活性作用を有するシリコーンオイル材の一部を混合・撹拌して第1の混合物を得、他方活性水素含有ポリシロキサンと界面活性作用を有するシリコーンオイル材の残りを混合・撹拌して第2の混合物を得ることができる。
ついで、第1の混合物と第2の混合物を混合・撹拌しながら、徐々に水を添加して、撹拌することにより所望のエマルジョンを得ることができる。いうまでもなく、上記油中水型エマルジョンの製造方法はこれに限定されるものではない。
液状シリコーンゴム材、界面活性作用を有するシリコーンオイル材、および水、並びに必要に応じて添加される添加剤の添加順序は、どのようなものでもよい。
好適な油中水型エマルジョンを形成させるための撹拌は、例えば、300rpm〜1000rpmの攪拌器回転速度で行うことができる。
エマルジョン形成後、油中水型エマルジョンを、加熱することなく、例えば真空減圧機を用いて、脱泡処理に供してエマルジョン中に存在する空気を除去することができる。
【0032】
上記油中水型エマルジョンを用いてシリコーンエラストマー多孔質材により、ノーズアダプタを製造するためには、エマルジョン状態のシリコーンエラストマー多孔質材を、硬化触媒の存在下に、ノーズアダプタ形状の金型内に流し込む。
ついで、上記油中水型エマルジョン形の液状シリコーンゴム材を流し込んだ金型を加熱硬化(一次加熱)する。
一次加熱では、エマルジョン中の水を揮発させることなく、液状シリコーンゴム材を加熱硬化させるために、130℃以下の加熱温度を用いることが好ましい。
一次加熱の際の加熱温度は、通常、80℃以上であり、加熱時間は、通常、5分〜60分程度である。
この一次加熱により、液状シリコーンゴム材が硬化し、エマルジョン中の水粒子をエマルジョン中の状態のまま閉じ込める。
硬化したシリコーンゴムは、以下述べる二次加熱による水分の蒸発の際の膨張力に耐える程度までに硬化する。
【0033】
次に、水粒子を閉じ込めた硬化シリコーンゴムから水分を除去するために、二次加熱を行う。
この二次加熱は、70℃〜300℃の温度で行うことが好ましい。加熱温度が70℃未満では水の除去に長時間を要し、加熱温度が300℃を超えると、硬化したシリコーンゴムが劣化し得る。
70℃〜300℃の加熱では、1時間〜24時間で水分は揮発除去される。
二次加熱により水分が揮発除去されるとともに、シリコーンゴム材の最終的な硬化も達成される。
揮発除去された水分は、硬化したシリコーンゴム材(シリコーンエラストマー)中に、水粒子の粒径にほぼ等しい径を有するセルを残す。
【0034】
このように、本発明のシリコーンエラストマー多孔質材は、発泡現象を伴うことなく上記油中水型エマルジョンから製造することができる。上記油中水型エマルジョン中の水粒子は、一次加熱により硬化したシリコーンゴムに閉じ込められ、二次加熱の際には、単に揮発するだけである。
【実施例】
【0035】
以下、本発明に係るシリコーンエラストマー多孔質材より製作するノーズアダプタの実施例につき説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
以下の例において、シリコーンエラストマー多孔質材の単泡率は以下のようにして求めた。
【0036】
<単泡率の測定>
本発明のシリコーンエラストマー多孔質材は、表面張力が高く、そのセルは微細であるため、水が侵入しにくい。そこで、シリコーンエラストマー多孔質材の水に対する濡れ性を向上させるために、界面活性剤を用いる。
すなわち、製造したシリコーンエラストマー多孔質材より製作されたノーズアダプタの表層(表面から約1.0mm程度)を除去し、そのノーズアダプタの重量(吸水前ノーズアダプタ重量)を測定する。このノーズアダプタを水100重量部と親水性シリコーンオイル(ポリエーテル変性シリコーンオイル(信越化学社製KF−618))1重量部との混合溶液に浸漬し、減圧(70mmHg)下で10分間放置する。
その後、大気圧に戻し、混合溶液からノーズアダプタを取り出し、ノーズアダプタ表面に付着している水をきれいに拭き取り、ノーズアダプタの重量(吸水後ノーズアダプタ)を測定する。
下記式から吸水率、連泡率、単泡率を順次算出する。
吸水率(%)={(吸水後ノーズアダプタ重量−吸水前ノーズアダプタ重量)/吸水前ノーズアダプタ重量}×100
連泡率(%)=(ノーズアダプタ比重×吸水率/100)/{混合溶液の比重−(ノーズアダプタ比重/シリコーンエラストマーの比重)}×100
単泡率(%)=100−連泡率(%)。
【0037】
ここで、シリコーンエラストマーの比重は、液状シリコーンゴム材をそのまま硬化させたものの比重であり、製品カタログにも記載されている。
【0038】
実施例1
本実施例では、液状シリコーンゴム材として、信越化学社から入手した液状シリコーンゴム(商品名KE−1353)を用いた。
この液状シリコーンゴムは、活性水素含有ポリシロキサン(粘度:16Pa・S)と、ビニル基含有ポリシロキサン(粘度:15Pa・S)とが別々のパッケージとして提供され、ビニル基含有ポリシロキサンには、触媒量の白金触媒が添加されているものであった。
以下、前者をシリコーンゴムA剤、後者をシリコーンゴムB剤と表示する。
活性水素含有ポリシロキサンは、各R4がメチル基である上記式(2)の構造を有し、他方ビニル基含有シリコーンオイルは、各R1がビニル基であり、各R2がメチル基である上記式(1)の構造を有する。
また、分散安定剤としては、いずれも信越化学社製ポリエーテル変性シリコーンオイルであるKF−618(HLB値:11);以下、「分散安定剤I」)およびKF−6015(HLB値:4);以下、分散安定剤II)を用いた。本実施例で用いた液状シリコーンゴム材から得られるシリコーンエラストマー自体の比重は、1.04である(カタログ値)。
【0039】
50重量部のシリコーンゴムA剤に、0.7重量部の分散安定剤Iと0.3重量部の分散安定剤IIとを予め混合した混合物を添加し、ハンドミキサーで5分間撹拌し、十分に分散させて混合物Aを調製した。
他方、50重量部のシリコーンゴムB剤に、0.7重量部の分散安定剤Iと0.3重量部の分散安定剤IIとを予め混合した混合物を添加し、ハンドミキサーで5分間撹拌し、十分に分散させて混合物Bを調製した。
【0040】
得られた混合物Aと混合物Bを混合し、ハンドミキサーで3分間撹拌しながら、10重量部の水を添加した後、さらに2分間撹拌した。この混合物をハンドミキサーで撹拌しながら、90重量部の水を徐々に添加し、エマルジョンを調製した。
【0041】
得られたエマルジョンを真空減圧機内で脱泡させ、混入空気を除去した後、ノーズアダプタ成形用金型に流し込み、プレス盤を用いて、設定温度100℃で30分間加熱(一次加熱)し、成形した。
得られたノーズアダプタを電気炉中、150℃で5時間加熱(二次加熱)し、水を除去した。
こうして、ノーズアダプタを作製した。
このノーズアダプタ切断し、その切断面をSEMで観察し、セルの長径および短径をノギスで測定し、セルサイズ特性を求めた。
結果は、50μm以下の径を有するセルの割合は96%であり、平均セル径は28μmであった。
また、この試験片について単泡率を測定した所98.4%であった。
また、本実施例で得られた多孔質エラストマー材の比重を測定したところ、0.66であり、硬度(Asker−C)は、40であった。
なお、本試験片の切断面は、非常に微細で、均一なセル径を有する独立気泡型多孔質体が得られた。
【0042】
実施例2
本実施例では、液状シリコーンゴム材として、東レ・ダウコーニング社から入手した液状シリコーンゴム(商品名DY35−7002)を用いた。
この液状シリコーンゴムは、活性水素含有ポリシロキサン(粘度:15Pa・S)と、ビニル基含有ポリシロキサン(粘度:7.5Pa・S)とが別々のパッケージとして提供され、ビニル基含有ポリシロキサンには、触媒量の白金触媒が添加されているものであった。
以下、前者をシリコーンゴムA剤、後者をシリコーンゴムB剤と表示する。
活性水素含有ポリシロキサンは、各R4がメチル基である上記式(2)の構造を有し、他方ビニル基含有シリコーンオイルは、各R1がビニル基であり、各R2がメチル基である上記式(1)の構造を有する。
また、分散1安定剤としては、上記分散安定剤I分散安定剤IIを用いた。
本実施例で用いた液状シリコーンゴム材から得られるシリコーンエラストマー自体の比重は、1.03である(カタログ値)。
【0043】
50重量部のシリコーンゴムA剤に、0.7重量部の分散安定剤Iと0.3重量部の分散安定剤IIとを予め混合した混合物を添加し、ハンドミキサーで5分間撹拌し、十分に分散させて混合物Aを調製した。
他方、50重量部のシリコーンゴムB剤に、0.7重量部の分散安定剤Iと0.3重量部の分散安定剤IIとを予め混合した混合物を添加し、ハンドミキサーで5分間撹拌し、十分に分散させて混合物Bを調製した。
【0044】
得られた混合物Aと混合物Bを混合し、ハンドミキサーで3分間撹拌しながら、10重量部の水を添加した後、さらに2分間撹拌した。
この混合物をハンドミキサーで撹拌しながら、90重量部の水を徐々に添加し、エマルジョンを調製した。
【0045】
このエマルジョンを用いて、実施例1と同様にしてノーズアダプタを作製し、実施例1と同様にセルサイズ特性と単泡率を測定した。
結果は、50μm以下の径を有するセルの割合は100%であり、平均セル径は4.7μmであった。
また、この試験片について単泡率を測定した所98.2%であった。
本実施例で得られた多孔質エラストマーの比重を測定したところ、0.55であり、硬度(Asker−C)は、56であった。
このように、極めて微細で、均一なセル径を有する独立気泡型多孔質体が得られた。
【0046】
実施例3
実施例2で用いたシリコーンゴムA剤とシリコーンゴムB剤とを混合し、ハンドミキサーで3分間撹拌しながら、10重量部の水を添加した後、さらに2分間撹拌した。この混合物をハンドミキサーで撹拌しながら、90重量部の水を徐々に添加し、エマルジョンを調製した。
【0047】
このエマルジョンを用いて、実施例1と同様にしてノーズアダプタを作製し、実施例1と同様にセルサイズ特性と単泡率を測定した。
結果は、50μm以下の径を有するセルの割合は100%であり、平均セル径は6.6μmであった。
また、この試験片について単泡率を測定した所99.2%であった。
なお、本実施例で得られたノーズアダプタの比重を測定したところ、0.53であり、硬度(Asker−C)は、58であった。
【0048】
実施例4
本実施例では、実施例2で用いた液状シリコーンゴム材と、東レ・ダウコーニング社から入手した液状シリコーンゴム(商品名DY35−615)を用いた。
この液状シリコーンゴムDY35−615は、活性水素含有ポリシロキサン(粘度:113Pa・S)と、ビニル基含有ポリシロキサン(粘度:101Pa・S)とが別々のパッケージとして提供され、ビニル基含有ポリシロキサンには、触媒量の白金触媒が添加されているものであった。
以下、前者を本シリコーンゴムA剤、後者を本シリコーンゴムB剤と表示する。活性水素含有ポリシロキサンは、各R4がメチル基である上記式(2)の構造を有し、他方ビニル基含有シリコーンオイルは、各R1がビニル基であり、各R2がメチル基である上記式(1)の構造を有する。
【0049】
本シリコーンゴムA剤と実施例2で用いたシリコーンゴムA剤との体積比50:50の混合物50重量部に、0.7重量部の分散安定剤Iと0.3重量部の分散安定剤IIとを予め混合した混合物を添加し、ハンドミキサーで5分間撹拌し、十分に分散させて混合物Aを調製した。他方、本シリコーンゴムB剤と実施例2で用いたシリコーンゴムB剤との体積比50:50の混合物50重量部に、0.7重量部の分散安定剤Iと0.3重量部の分散安定剤IIとを予め混合した混合物を添加し、ハンドミキサーで5分間撹拌し、十分に分散させて混合物Bを調製した。
【0050】
得られた混合物Aと混合物Bを混合し、ハンドミキサーで3分間撹拌しながら、10重量部の水を添加した後、さらに2分間撹拌した。この混合物をハンドミキサーで撹拌しながら、90重量部の水を徐々に添加し、エマルジョンを調製した。
【0051】
このエマルジョンを用いて、実施例1と同様にしてノーズアダプタを作製し、実施例1と同様にセルサイズ特性と単泡率を測定した。
結果は、50μm以下の径を有するセルの割合は100%であり、平均セル径は4.9μmであった。
また、このノーズアダプタについて単泡率を測定した所99.7%であった。
なお、本実施例で用いた液状シリコーンゴム材から得られるシリコーンエラストマー自体の比重は、1.07であった。また、本実施例で得られたノーズアダプタの比重は、0.60であり、硬度(Asker−C)は、35であった。
【0052】
また、本発明は上述の発明を実施するための最良の形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0053】
1 マスク本体
2 ノーズアダプタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
織布や不織布を用いて作られたマスク本体(1)の裏面の上縁部近傍に付着して使用するノーズアダプタ(2)において、前記ノーズアダプタ(2)が、50μm以下の径を有するセルが全セル数の50%以上を占め、かつ60%以上の単泡率を有する実質的に独立気泡型のシリコーンエラストマー多孔質材により製作されていることを特徴とするノーズアダプタ。
【請求項2】
前記シリコーンエラストマー多孔質材の比重が0.7以下で、硬度(Asker−C)が60以下であることを特徴とする請求項1記載のノーズアダプタ。
【請求項3】
前記シリコーンエラストマー多孔質材が、30μm以下の平均セル径を有することを特徴とする請求項1または2記載のノーズアダプタ。
【請求項4】
前記シリコーンエラストマー多孔質材が、80%以上の単泡率を有することを特徴とする請求項1〜3いずれか一項に記載のノーズアダプタ。
【請求項5】
前記シリコーンエラストマー多孔質材が、セルの径が0.1μm〜70μmの範囲内にあることを特徴とする請求項1〜4いずれか一項に記載のノーズアダプタ。
【請求項6】
前記シリコーンエラストマー多孔質材が、硬化してシリコーンエラストマーを生成する液状シリコーンゴム材、界面活性作用を有するシリコーンオイル材、および水を含有する油中水型エマルジョン組成物から調製されたものであることを特徴とする請求項1〜5いずれか一項に記載のノーズアダプタ。

【図1】
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【公開番号】特開2010−240083(P2010−240083A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−90727(P2009−90727)
【出願日】平成21年4月3日(2009.4.3)
【出願人】(000004385)NOK株式会社 (1,527)
【Fターム(参考)】