ハイブリダイゼーションチャンバーと微小球を利用した複合アレイ
【課題】本発明は多数のサンプルの同時処理を可能とするための個々のアレイの複合アレイを含むセンサー組成物に関する。
【解決手段】本発明はさらに複合アレイの製造法および使用法を提供する。本発明はさらに複合アレイで使用するためのハイブリダイゼーションチャンバーを提供する。
【解決手段】本発明はさらに複合アレイの製造法および使用法を提供する。本発明はさらに複合アレイで使用するためのハイブリダイゼーションチャンバーを提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、1998年12月28日に出願された米国特許出願番号60/113968、1999年2月24日に出願された米国特許出願番号09/256943、1999年12月28日に出願された米国特許出願番号09/473904、ならびに1999年12月28日に出願されたPCT/US99/31022の継続出願である(これらはすべて出典明示により本発明の一部とする)。
【0002】
本発明は、多数のサンプルの同時プロセッシングを可能にする個々のアレイの複合アレイを含むセンサー組成物に関する。本発明はさらに、該複合アレイの製造方法および使用方法も提供する。本発明はさらに、複合アレイを保持するためのハイブリダイゼーションチャンバーを含む装置に関する。
【背景技術】
【0003】
流体および気体中の特定の物質の存在および/または濃度を検出するために多くのアッセイおよびセンサーがある。これらの多くは、検出メカニズムとして特異的リガンド/アンチリガンド反応に依存する。すなわち、一対の物質(すなわち、結合対またはリガンド/アンチリガンド)は、互いに結合するが、他の物質とはほとんど結合しないか、または全く結合しないことが知られている。このことは、これらの結合対を複合体の検出に利用する多くの技術の焦点であった。これらは、一般に、例えば、放射性同位元素、蛍光および他の光学上活性な分子、酵素などを用いて検出可能な複合体全体を製造するために、複合体の1の成分をある方法で標識することによって行われる。
【0004】
これらのセンサーにおいて特に有用なのは、ルミネセンスを利用する検出メカニズムである。近年、化学分析測定のための光吸収色素と組み合わせた光ファイバーおよび光ファイバーストランドの使用が、特にこの10年の間に急速に発展した。このような目的の光ファイバーおよび技術の使用は、Milanovichら、"Novel Optical Fiber Techniques For Medical Application", Proceedings of the SPIE 28th Annual International Technical Symposium On Optics and Electro-Optics, Volume 494, 1980; Seitz, W.R., "Chemical Sensors Based On Immobilized Indicators and Fiber Optics" in C.R.C. Critical Reviews In Analytical Chemistry, Vol. 19, 1988, pp. 135-173; Wolfbeis, O.S., "Fiber Optical Fluorosensors In Analytical Chemistry" in Molecular Luminescence Spectroscopy, Methods and Applications (S.G. Schulman編), Wiley & Sons, New York (1988); Angel, S.M., Spectroscopy 2 (4): 38 (1987); Waltら、"Chemical Sensors and Microinstrumentation", ACS Symposium Series, Vol. 403, 1989, p. 252およびWolfbeis, O.S., Fiber Optic Chemical Sensors, Ed. CRC Press, Boca Raton, FL, 1991, 2nd Volumeによって記載されている。
【0005】
より最近、光ファイバーセンサーが作製され、これは単一の独立した光ファイバーの束に関して複数の色素を使用することを可能としている。Waltらの米国特許5244636号および第5250264号は束の遠位端で複数の異なる色素を付着させるためのシステムを開示しており、これらの各特許の教示を出典明示で本明細書の一部とする。開示された構成は、束の別々の光ファイバーが個々の色素と光学的にアクセスすることを可能としている。これは、各色素が異なるアナライト(analyte)に対して感受性である2以上の色素からの信号が組み合わされ、色素の発光スペクトルにおいて顕著なオーバーラップがある場合に起こる、各色素からの反射光(returning light)中の別々の信号のデコンボルブ(deconvolving)の問題を回避する。
米国特許出願08/818199号および09/151877号は基体の表面上、例えば、各々の個々のファイバーが光学的サインを含むビーズを含んでなる光ファイバー束の末端上の微小球またはビーズを利用するアレイ組成物を記載している。ビーズはランダムに動くので、アレイを「デコード(decode)」するために独特な光学的サインを必要とする。すなわち、アレイ作製後、アレイ上の個々の部位の位置と、特定の部位のビーズまたは生物活性剤とを相関させることができる。これは、ビーズがアレイ上でランダムに分布してよいことを意味し、従来のイン・サイチュ合成またはスポッティング技術と比較して迅速で安価な方法である。一旦、アレイにビーズを負荷すれば、以下に詳しく説明するように、アレイをデコードでき、あるいは使用でき、テスト後に完全または部分的デコーディングが起こる。
加えて、マイクロタイタープレート中に複数のプローブアレイを含むシリコンウェハを含む組成物が米国特許第5545531号に記載されている。
【0006】
(発明の開示)
上記目的に従って、本発明は各アッセイ場所が複数の独立した部位を含む、複数のアッセイ場所を含む表面を有する第一基体を含む複合アレイ組成物を提供する。該基体はさらに、各サブ集団が生物活性剤を含む、少なくとも第一および第二のサブ集団を含む微小球の集団を含む。該微小球は各アッセイ場所上に分布している。
もう一つの態様において、本発明は複数のアッセイ場所を含む表面を有する第一基体と、各アレイ場所が独立した部位を含む、複数のアレイ場所を含む第二基体とを含む複合アレイ組成物を提供する。該組成物はさらに、各サブ集団が生物活性剤を含む、少なくとも第一および第二のサブ集団を含む微小球の集団を含む。該微小球は各アレイ場所上に分布している。
さらにもう一つの態様において、本発明は、すでに概要を記載したようにしてアレイ組成物を提供し、該複合アレイ組成物に複数のデコーディング結合リガンドを添加して少なくとも複数の生物活性剤の位置を同定することを含むアレイ組成物のデコード方法を提供する。
さらにもう一つの態様において、本発明は、サンプルを上記した組成物と接触させ、前記標的アナライトの存在または不在を決定することを含む1以上のサンプル中の1以上の標的アナライトの存在を決定する方法を提供する。
【0007】
さらにもう一つの態様において、本発明はハイブリダイゼーションチャンバーを提供する。ハイブリダイゼーションチャンバーはベースプレートおよび蓋を含む。蓋とベースプレートの間にシーラントが配置され、気密シールを提供する。二成分アレイシステムを用いる場合、チャンバーは、蓋中にアレイ成分を固定化するための成分入口(component port)も含む。すなわち、アレイ成分は蓋の成分入口を通して挿入される。該入口は、気密シールが維持されるようにシールを含んでもよい。チャンバーはクランプおよびアラインメントピンも含むことができる。
更にもう一つの態様において、本発明は、ベースプレートが孔(hole)を含むハイブリダイゼーションチャンバーを提供する。該孔はマイクロプレートアレイフォーマットであってもよい。一例において、少なくとも2つの孔がチャンネルにより連結している。一例において、軟質隔膜がベースプレート上に設置されている。膜に圧力、すなわち、真空が適用される場合、ベースプレートにおける孔の位置で膜にウェルが形成される。装置は、真空または正圧を膜にかけるための空気式装置も含む。
【0008】
さらにもう一つの態様において、本発明はアレイフォーマットにおいてサンプルを混合する方法を提供する。該方法は、ウェルが形成されるように膜に真空をかけることを含む。溶液を膜に加えて、ウェルの少なくとも一つを液体で満たす。その後、真空を間欠的に該膜にかけて、その結果、液体が混合される。
さらにもう一つの態様において、本発明は本明細書に記載するようなハイブリダイゼーションチャンバーおよび本明細書に記載した任意の複合アレイ組成物を提供する。
さらにもう一つの態様において、本発明は本明細書に記載したハイブリダイゼーションチャンバーにおいて本明細書に記載したアレイ組成物のデコーディングを実施する方法を提供する。
さらにもう一つの態様において、本発明は本明細書に記載したハイブリダイゼーションチャンバーにおいて1以上のサンプル中の1以上の標的アナライトの存在を決定する方法を提供する。
【0009】
(図面の簡単な記載)
図1A、1B、1C、1Dおよび1Eは本発明のいくつかの異なる「二成分」システムの例を示す。図1Aにおいて、ビーズアレイを示す。第一基体10はウェル25およびビーズ30を有するアレイ場所20を有する。第二基体40はアッセイ場所45を有する。光学レンズまたはフィルター60も図示する;当業者には理解されるように、これも基体の内部にあってもよい。図1Bは、ビーズが使用されず、むしろアレイ場所20がスポッティング、プリンティング、フォトリソグラフィー技術などを用いて形成することができる独立した部位21、22、23等を有する以外は同様である。図1C〜Fは複数の第一基体の使用を表す。図1Cは、混合機能のためのさらなる用途を有する「ビーズのビーズ」を表す。図1Dは複数のビーズアレイを表し、図1Eは複数の非ビーズアレイを表す。図1Fは第二基体40上の位置に対する「標的」第一基体10についての結合機能の使用を表す;当業者には理解されるように、これは平坦な第二基体上または区画に分けられた第二基体上で行うことができる。図1Fは結合リガンド対70/70’、71/71’、72/72’等を利用する。これらは例えばオリゴヌクレオチドなどのIBL/DBL対について記載されているような化学的機能または生物学的機能のいずれかである。
【0010】
図2Aおよび2Bは二つの異なる「一成分」システムを表す。図2Aは、ビーズ30を含むウェル25を有するアッセイ場所45を有する基体50を有するビーズアレイを表す。図2Bは非ビーズアレイを表し、各アッセイ場所45は独立した部位21、22、23などを有する。
図3はハイパースペクトルアルファ空間における凝集を表す(α1=I1/ΣII、α2=I2/ΣIi、α3=I3/ΣIiなど)。ファイバー束上に存在する128の異なるビーズタイプの組を4つの色素:Bodipy−493、Bodipy−R6G、Bodipy−TXR、およびBod−564(オリゴヌクレオチドにつき1つの色素のみ)で標識した相補性オリゴヌクレオチドのハイブリッド形成セットによりデコードした。図示したのは4段階デコードの第二段階で、4013のビーズがデコードされた。色相クラスターの領域のまわりに楕円を描いてある。
【0011】
図4は、FAM−標識されたかまたはCy3−標識されたoligo補体のいずれかをアレイ上の異なるビーズタイプを「染色(paint)」(標識)するために使用する2色デコーディングプロセスを示す。
図5は、4色および4デコード段階での128の異なるビーズタイプのデコーディングを表す。(挿入図は16種のビーズをデコードするために4種の異なる色素を使用する単一デコード段階を示す。)
図6は、16種の異なるビーズのグレースケールデコーディングを表す。(A)相補性デコーディングoligoのためのコンビナトリアルプーリングスキーム。(B)2つの独立した標準化イメージが得られ、結果として得られるビーズ強度を比較した。(C)α値(表示されたデコード段階におけるビーズ強度の標準化イメージにおける強度に対する比)を(A)において記載した3つのデコード段階についてプロットする。
【0012】
図7は蓋およびベースプレートを概略的に表す。Aはハイブリダイゼーションチャンバーの蓋10およびベースプレート60を表す。蓋の入口20により、光ファイバー束30は蓋を通して挿入され、ベースプレート60のベースキャビティー50中のマイクロタイタープレート40のウェル中のサンプルと接触する。Bはベースプレート60のベースキャビティー50を図示する。
図8は蓋10およびベースプレート60を含むハイブリダイゼーションチャンバーを概略的に表す。環状シール80、クランプ90およびクランプ受け95、蓋を通してマイクロタイタープレート40中に挿入された光ファイバー束30も図示する。
図9Aおよび9Bは孔105を有するベースプレートを表す。Aはベースプレート中の孔105を表す。Bは孔105を連結するチャンネル100を表す。
【0013】
図10は圧力および/または真空により引き起こされる膜上の変化する溶液の体積および局在化を表す。A.+Pは圧力を表し;−Pは真空を表す。すべてのチャンバーおよび孔において圧力に反応して膜は上方へたわむ。B.左のチャンバーに真空が適用され、中および右のチャンバーに圧力がかけられた場合に、液体は膜の左側へ移動する。C.真空がまず左のセクションにかけられると、液体がウェルを満たす。その後、中および右のチャンバーに真空を適用すると、空のウェルが形成される。D.中心に真空がかけられ、左および右のチャンバーに圧力がかけられた場合に、液体は膜の中心へ移動する。E.中心において高真空により形成されたウェル中に液体が充満する。低い真空がかけられた場合、左および右に空のウェルが形成される。F.真空が右のチャンバーにかけられ、圧力が左および中のチャンバーにかけられた場合に液体は右へ移動する。
図11はハイブリダイゼーションチャンバーに関して有用である代表的アッセイスキームのフローチャートを表す。
【0014】
(発明を実施するための最良の形態)
本発明は、多数のサンプルの同時分析、すなわち、逐次(serial)プロセッシングよりも並行プロセッシングをすることのできる非常に高密度なアレイの形成に関する。これは「アレイのアレイ」、すなわち、複数のサンプルのプロセッシングができるように配置された個々のアレイを多数含む複合アレイを形成することにより行われる。例えば、個々のアレイのそれぞれがマイクロタイタープレートの各ウェル内に存在している。したがって、マイクロタイタープレートのサイズおよび個々のアレイのサイズによって、非常に多数のアッセイを同時に進行できる。例えば、2000の異なる形式(高レベルの重複組み込みを伴う)の個々のアレイと、96ウェルマイクロタイタープレートを用いて、192000の実験を一度に行うことができ、384マイクロタイタープレート中の同じアレイで768000の同時実験ができ、1536マイクロタイタープレートで3072000の実験ができる。
【0015】
一般に、本発明のアレイ組成物はいくつかの方法で配置できる。好ましい例においては、以下に詳細に説明するように、「一成分」系が用いられる。すなわち、複数のアッセイ場所(本明細書において「アッセイウェル」と称する場合もある)を含む第一基体、たとえばマイクロタイタープレートを、各アッセイ場所が個々のアレイを含むように配置する。すなわち、アッセイ場所はアレイ場所と同じである。例えば、マイクロタイタープレートのプラスチック材料を、各アッセイウェルの底部に複数の「ビーズウェル」を含むように成型できる。ついで、生物活性剤を含むビーズを、以下にさらに詳しく説明するように、各アッセイ場所のビーズウェル中に入れることができる。本明細書の開示ではビーズの使用を強調しているが、本発明の全ての例においてビーズを使用する必要はなく、生物活性剤はアレイ場所と直接結合してもよい。例えば、他のタイプのアレイがよく知られており、このフォーマットにおいて使用でき、また、スポット、プリントまたはフォトリトグラフィーアレイもよく知られている。例えば、WO95/25116、WO95/35505、PCT/US98/09163、米国特許第5700637号、第5807522号、第5445934号、および米国特許出願番号08/851203、09/187289ならびにこれらの引用文献参照。これら全てを出典明示により本明細書の記載に組み入れる。一成分系において、ビーズを使用しない場合、好ましい例は非シリコンウエハ基体を利用する。
【0016】
別法として、「二成分」系を使用できる。この例において、個々のアレイは第二基体上に形成され、ついで第一のマイクロタイタープレート基体に嵌合または「突っ込む」ことができる。当業者が理解されるように、種々のアレイフォーマットおよび配置が利用できる。好ましい例は、個々のアレイとして、一般に、各ファイバーの1表面にエッチングされた「ビーズウェル」を有する光ファイバー束を利用し、したがって、生物活性剤を含むビーズが光ファイバー束の該端部に負荷されている。したがって、複合アレイはマイクロタイタープレートのウェル内に嵌合するように配置された多数の個々のアレイを含む。別法として、他のタイプのアレイフォーマットを二成分系において使用できる。例えば、スポッティング、プリンティングまたはフォトリトグラフィー技術で作製されたような配列したアレイを上記したような第二基体上に配置することができる。さらに、図1C〜Fに示すように、ランダムまたは整列させたかのいずれかのアレイの「一部(pieces)」を第一基体として利用できる。
【0017】
本発明は一般に、異なる化学的機能を担持するビーズ(微小球(microspheres)とも称する)を、個々の微小球と結合できる独立した部位のパターン化された表面を含む基体上に分布させるビーズに基づく分析化学システムを含む先の研究に基づいている。一般に、ビーズは基体上にランダムに置かれ、したがって、アレイを「デコード」するために幾つかの異なる方法が使用できる。一例において、独自の光学的サイン、一般に、蛍光色素がビーズに組み込まれ、任意のビーズ上の化学的機能を確認するのに使用できる。これにより、候補薬剤(すなわち、核酸および抗体のなどの化合物)の合成を、アレイ上のそれらの配置とは切り離すことができる。すなわち、候補薬剤をビーズ上で合成でき、ついでビーズはパターン化された表面上にランダムに分布される。ビーズはまず、光学的サインによりコードされるので、これはアレイが後に「デコード」できること、すなわち、アレイを作製後、アレイ上の個々の位置と、各位置におけるビーズまたは候補薬剤とを相関させることができることを意味する。これはビーズをアレイ上にランダムに分布できることを意味し、従来のin situ合成や、スポッティング技術と比べて迅速で安価な方法である。これらの方法は、一般的に、PCT/US98/05025、PCT/US98/21193、PCT/US99/20914、PCT/US99/14387および米国特許出願番号08/818199、09/315584、および09/151877に説明されており、これら全てを出典明示で本明細書の一部とする。また、本明細書での考察は、一般的に、ビーズの使用に関するが、同じ構成はセルおよび他の粒子にも適用できる。例えば、PCT/US99/04473参照。
【0018】
これらのシステムにおいて、生物活性剤の配置は一般にランダムであり、それ故、コーディング/デコーディングシステムはアレイ中の各位置で生物活性剤を同定する必要がある。これは、以下に詳しく説明するように、種々の方法で行うことができ、一般に、a)生物活性剤またはビーズに付着した同定物(identifier)結合リガンド(IBL)と結合する、一般に直接標識されたデコーディング(decoding)結合リガンド(DBL)の使用;b)例えば、ビーズ配置を標的とするか(例えば、ビーズの個々の位置への選択的付加を可能にする光活性化または光開裂性部分の使用による)、または以下に詳しく説明するようにサブバンドル(sub-bundles)の使用または部位の選択的負荷による位置デコーディング;c)標的と結合するビーズだけがデコードされる選択的デコーディング;またはd)これらの任意の組み合わせが含まれる。場合により、以下に詳しく説明するように、このデコーディングは全てのビーズで起こってもよく、また、特定の標的アナライトと結合したビーズのみで起こってもよい。同様に、これは標的アナライトの添加前でも後でも起こり得る。
一旦、アレイにおける各微小球の同一性(すなわち、実際の薬剤)および位置が固定されたら、標的アナライトを含有するサンプルにアレイを曝す。以下に説明するが、これは分析前でも分析の間でもできる。標的アナライトは、以下に詳しく説明するように生物活性剤と結合し、その結果、特定のビーズの光学的サインを変化させる。
【0019】
本発明においては、「デコーディング」は、光学的サイン、デコーディング工程の間に添加されるデコーディング結合リガンドまたはこれの方法の組み合わせが使用できる。デコーディング結合リガンドはビーズ上に位置する特有の同定物結合リガンドパートナーか、あるいは、例えば、ビーズが一本鎖核酸を生物活性剤として含む場合、生物活性剤自体と結合する。デコーディング結合リガンドは、直接または間接的に標識され、この標識の存在を検出することによりデコーディングが起こる。デコーディング結合リガンドのプールを連続して使用することにより、必要なデコーディング工程の数を非常に少なくすることが可能である。
【0020】
したがって、本発明は、複数のアッセイ場所を含む表面を有する少なくとも第一基体を含むアレイ組成物(composition)を提供する。本明細書における「アレイ」とは、アレイフォーマットにおける複数の候補薬剤を意味し、アレイのサイズは組成物およびアレイの最終使用目的に依存する。約2から数百万までの異なる生物活性剤(すなわち、異なるビーズ)含むアレイを作ることができ、非常に大きな光ファイバーアレイも可能である。一般に、アレイは、ビーズおよび基体のサイズ、ならびにアレイの最終使用目的に応じて、2から10億以上までを含むことができ、したがって、超高密度、高密度、中密度、低密度、超低密度のアレイとすることができる。超高密度のアレイの好ましい範囲は、約10000000〜約2000000000(全ての数字はcm2当り)で、約100000000〜約1000000000が好ましい。高密度アレイは、約100000〜約10000000の範囲であり、約1000000〜約5000000が特に好ましい。中密度アレイは、約10000〜約100000の範囲が好ましく、約20000〜約50000が特に好ましい。低密度アレイは、一般に、10000より少なく、約1000〜約5000が好ましい。超低密度アレイは1000より少なく、約10〜約1000が好ましく、約100〜約500が特に好ましい。いくつかの例においては、本発明の組成物はアレイフォーマットでなくてもよく、すなわち、いくつかの例については、単一の生物活性剤を含む組成物も同様に作製できる。加えて、いくつかのアレイにおいては、異なるかまたは同一の組成物の複数の基体を使用できる。したがって、例えば、大きなアレイは複数のより小さい基体を含むことができる。
【0021】
加えて、本発明の組成物の1つの利点は、特に、光ファイバー技術により、極端な高密度アレイを作製できることである。例えば、200μm以下のビーズ(200nmのビーズも可能である)を使用でき、非常に小さなファイバーが公知であるので、1mm2の光ファイバー束中、40000〜50000以上(場合によっては百万)もの多数の異なるファイバーおよびビーズを有することが可能であり、0.5cm2あたり個々のビーズまたはファイバーの15000000以上の密度(場合により25000000〜50000000も)が得られる。
本明細書で用いる「複合アレイ」または「組み合わせアレイ」あるいは文法的に同じ意味の語は、上記した複数の個々のアレイを意味する。一般に、個々のアレイの数は用いるマイクロタイタープレートのサイズにより設定され、96ウェル、384ウェルおよび1536ウェルマイクロタイタープレートは96、384および1536個の個々のアレイを含む複合アレイを利用するが、当業者には理解されるように、各マイクロタイターウェルが個々のアレイを含む必要はない。複合アレイは同一、類似または異なる個々のアレイを含むことができることに注意すべきである。すなわち、いくつかの例においては、96の異なるサンプルについて2000の同じアッセイを行うことが望ましい場合があり、同じサンプル(すなわち、96ウェルの各々中の同じサンプル)について192000の実験を行うことが望ましい場合もある。別法として、複合アレイの各行(row)または列(column)は重複(redundancy)/品質管理用に同じである可能性もある。当業者には理解されるように、このシステムを作るために種々の方法がある。また、アレイのランダム性はビーズの同じ集団を2つの異なる表面に付加することができ、その結果、実質的に類似しているが、多分同一ではないアレイが得られることを意味する。
【0022】
本明細書で使用する「基体」または「固体支持体」または他の文法的に同じ意味の語は、ビーズの結合または会合に適した独立した個々の部位を含むように修飾でき、少なくとも1つの検出法に敏感に反応する任意の物質を意味する。当業者に明らかなごとく、可能な基体の数は非常に多い。可能な基体としては、これらに限定されるものではないが、ガラスおよび修飾または機能化ガラス、プラスチック(アクリル、ポリスチレンおよびスチレンと他の物質との共重合体、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリウレタン、テフロン等を包含する)、多糖類、ナイロンまたはニトロセルロース、樹脂、シリカまたはシリコンおよび修飾シリコンを包含するシリカ系物質、炭素、金属、無機ガラス、プラスチック、光ファイバー束および種々の他のポリマーが挙げられる。一般に、基体は光学的検出を可能にし、それ自体は認められるほどに蛍光を発しない。
【0023】
一般に、基体は平ら(平面)であるが、当業者に明らかなごとく、基体の他の形態も同様に使用でき、例えば、サンプルのビーズへのアクセスを可能にするプラスチックの多孔質ブロック中にビーズを埋め込み、検出に共焦点(cofocal)顕微鏡を使用することにより、三次元形態も使用できる。同様に、ビーズをフロースルー(flow-through)サンプル分析用のチューブの内表面に配置してサンプル容量を最少にすることもできる。好ましい基体としては、以下に説明する光ファイバー束や、平面基体、例えば、ガラス、ポリスチレンおよび他のプラスチックおよびアクリルが挙げられる。いくつかの例においては、シリコンウェハ基体は好ましくない。一例において、基体は顕微鏡スライドの形態であるかまたは顕微鏡スライドである。
第一基体は、複数のアッセイ場所、すなわち、標的アナライトを検出するための分析が行われる位置を含む表面を含む。アッセイ場所は一般に、例えば、マイクロタイタープレート中のウェルのように相互に物理的に分離しているが、アッセイ場所を分離するために他の形態(疎水性/親水性等)も使用できる。
【0024】
好ましい具体例において、第二基体は、米国特許出願番号08/944850および08/519062ならびにPCT US98/05025およびPCT US98/09163に一般的に記載されているような光ファイバー束またはアレイであり、これらを出典明示で本明細書の一部とする。好ましい具体例は、予め成形された一元の光ファイバーアレイを利用する。本明細書で使用する「予め成形された一元の光ファイバーアレイ」は、同軸を有するように配置され、長さ方向に沿って一体となった別個の光ファイバー束のアレイを意味する。ファイバーストランドは、一般的に個々に被覆されている。しかし、他の光ファイバーフォーマットと予め成形された一元のアレイとを区別する1つのことは、ファイバーが個々に物理的に操作できないこと、すなわち、一般に、1つのストランドが、長さ方向に沿った任意の点で物理的にもう一つのファイバーストランドから分離できないことである。
しかし、ある「二成分」例においては、第二基体は光ファイバーアレイではない。
【0025】
好ましい具体例において、(「一成分系」の)アッセイ場所または(「二成分系」の)アレイ場所は複数の独立した部位を含む。たとえば、前者の場合において、本明細書に記載するようにアッセイ場所はアレイ場所と同じである。後者の場合において、アレイ場所は別々にアッセイ場所に嵌合する。これらの例において、基体の少なくとも1つの表面を、後の微小球との会合のため(または、微小球を使用しない場合、生物活性剤の結合のため)の分離した個々の部位を含むように修飾する。これらの部位は、物理的に変更された部位、すなわち、ビーズを保持して微小球がその中で静止できる基体におけるウェルまたは小さなくぼみのような物理的な形態、または、他の力(磁力または圧縮)の使用、または、化学的に機能化された部位のような化学的に変更もしくは活性化された部位、静電的に変更された部位、疎水/親水的に機能化された部位、接着スポット等を含むことができる。
【0026】
部位はパターン、すなわち、規則的なデザインまたは形態とすることができ、あるいはランダムに分布させてもよい。好ましい具体例では、部位をX−Y座標平面においてアドレス指定できるように部位の規則的なパターンを用いる。この意味での「パターン」は、繰り返し単位格子、好ましくは基体上の高密度のビーズを可能にするものを包含する。しかし、これらの部位は、独立した部位でなくてもよいことに注意すべきである。すなわち、例えば、任意の位置でのビーズの接着を可能にする接着剤または化学的官能性の均一な表面を使用することも可能である。すなわち、個々の部位が他の部位と連続していても、不連続であっても、微小球の個々の部位への接着が可能になるように基体の表面を修飾する。従って、単一の会合したビーズのみを有する独立した部位が形成されるように基体の表面を修飾することができ、また別法として、基体の表面を修飾し、ビーズはどこでも下降するが、独立した部分で終わる。
【0027】
好ましい具体例において、基体の表面は、ウェル、すなわち、基体表面の窪みを含むように修飾される。これは、これらに限定されるものではないが、フォトリトグラフィー、スタンプ技術、成型技術およびマイクロエッチング技術を包含する種々の技術を用いて、当業者に一般的に知られている方法で行なうことができる。当業者に明らかなごとく、用いられる技術は組成物および基体の形状に依存する。第一基体がアッセイ場所と個々のアレイの両方を含む場合、好ましい方法は、マイクロタイタープレートのアッセイウェルの底部にビーズウェルを形成する成型技術を利用する。同様に、好ましい具体例は、アレイフォーマットにおいて「フィンガー」または突起を含み、各フィンガーがビーズウェルを含む、成型された第二基体を利用する。
好ましい具体例において、物理的変化を基体の表面に施し、部位を生じさせる。好ましい具体例において、例えば、第二基体が光ファイバー束である場合、基体の表面は、米国特許出願番号08/818199および09/151877(いずれも出典明示で本明細書に組み入れる。)に一般的に記載されるファイバー束の一末端である。この具体例において、ウェルは、個々のファイバーを含む光ファイバー束の末端または遠位端において形成される。この具体例において、個々のファイバーのコアはクラッディングに関してエッチングされ、ファイバーの一端に小さなウェルまたは窪みが形成される。ウェルの必要な深さは、ウェルに加えられるビーズのサイズに依存する。
一般に、この具体例において、微小球はウェルに共有結合していないが、該ウェルは以下に概説するようにさらに化学的に官能化され、架橋剤を用いることができるか、あるいは物理的バリアー、すなわち、ビーズ上のフィルムまたは膜を用いることもできる。
【0028】
好ましい具体例においては、基体上の独立した部位または位置に共有または非共有のいずれかで本発明の微小球を付着させるのに用いることのできる、修飾された部位、特に化学的に修飾された部位を含有するように基体の表面を修飾する。この状況において「化学的に修飾された部位」とは、対応する反応性官能基も含有するのが一般である微小球を共有結合させるために用いることのできる、アミノ基、カルボキシ基、オキソ基およびチオール基を含む、1つのパターンの化学的官能基の付加;微小球を結合させるのに用いることのできる1つのパターンの接着剤の添加(接着剤を添加するために先に化学的に官能化するか、または接着剤の直接的添加のいずれかによる);微小球を静電気的結合させるための1つのパターンの荷電基の付加(化学的官能化と同様)、すなわち、微小球がその部位と反対の荷電基を含む場合;適当な実験条件下、同様に疎水性または親水性微小球の付加がヒドロアフィニティーに基づいて微小球の該部位への会合をもたらすように、該部位を特異的に疎水性または親水性とする1つのパターンの化学的官能基の付加を包含するが、これらに限定されるものではない。例えば、水性系において、疎水性部位を疎水性ビーズに関して使用すると、ビーズの会合は該部位上で優勢的に行われる。
加えて、ビーズを基体と結合させるために生物学的に修飾された部位も使用できる。例えば、本明細書に一般的に記載するような結合リガンド対を使用できる。1つのパートナーをビーズ上に、他のパートナーを基体上に存在させる。この例において特に好ましいものは、相補的核酸鎖と抗原/抗体対である。
【0029】
さらに、この方法において生物学的部分を使用すると、複合アレイも形成できる。これは、基体10がない以外は図1Fに示すシステムと同様である。この例において、ビーズの集団は1つの結合パートナーを含み、この集団のサブ集団は異なる生物活性剤を有する。異なる結合パートナーを有する異なる集団と、空間的に分離された結合パートナーを有する異なるアッセイまたはアレイ場所を含む基体を使用することにより、複合アレイを生じさせることができる。この例も、以下に一般的に記載するように、複合アレイのそれぞれの分離したアレイが同じコードを使用できるので、コードを再使用する。
上記したように、「パターン」は、この意味において、ビーズを独立した部位で接着させるための表面の均一処理の使用、ならびにその表面を処理して独立した部位を得ることを包含する。当業者に自明であるように、これは種々の方法で行うことができる。
【0030】
当業者には理解されるように、図面に一般的に示すようなシステムの多数の可能な形態がある。本明細書に記載の標準的なフォーマットに加え、種々の他のフォーマットを使用できる。例えば、図1C〜1Fに示すように、相互に連結していない基体の「部分」を使用できる。ここでも、これらは同じアレイでも、異なるアレイでもよい。これらの部分は個別に作製してもよいし、単一の基体上の大きなユニットとして作製し、その後、基体を異なる個々の基体に切断または分離できる。したがって、例えば、図1Cおよび1Dは第二基体のウェルに添加された複数のビーズアレイを示し、図1Cは混合を最大化するための「ビーズのビーズ」である。図1Dは複数の平らな第一基体を利用するもので、当業者には理解されるように、これらは第二基体に結合しても、しなくてもよい。一例においては、特別な結合手段は用いられず、かわりに種々の接着技術が使用される。例えば、ビーズの基体への接着について説明したように、接着剤、化学、疎水性/親水性相互反応等の使用を含む、共有または非共有力を使用できる。また、基体は磁性であっても、磁力的に保持されていても(所望により混合しても)よい。すなわち、例えば、図1Fに示すように、結合基を使用することができ、これらは共有結合または非共有結合である。これらは単純に結合のため、または第一基体アレイを第二基体中または上の個々の位置を標的とするために使用できる。すなわち、例えば、異なるオリゴヌクレオチドを、第一基体を第二基体に向け、結合させるために使用できる。
【0031】
好ましい具体例において、イメージ化に用いられる基体中に組み込まれた光学的部品がある。したがって、例えば、一成分または二成分系のいずれかにおいて、基体に「レンズ化(lensing)」能を組み込むことができる。例えば、一成分系において、1つ以上のアッセイ場所の底部は、レンズ、フィルター等の独特または特別の光学的要素を有していてもよい。
また、好ましい具体例はアッセイ反応の混合を容易にするための形態を利用する。例えば、好ましい具体例は混合を可能にする二成分系を利用する。すなわち、いくつかの例において、アレイはブロックから突出し、反応を撹拌してアッセイ成分の良好な混合を促進し、反応速度を増大させる等の「スティック」として使用できる。当業者には理解されるように、これは種々の方法で行うことができる。好ましい具体例において、第一および第二の基体は、それらが相互に関してX−Y座標平面、X−Z座標平面、Y−Z座標平面または三次元(X−Y−Z)のいずれかにおいて動くことができるように配置される。好ましい具体例は、ブロックがプレートの平面内またはプレート平面に対して直交して自由に動くことのできるブロックジグを利用する。標準的混合条件はこれらの状況においてはしばしば十分に作用しないので、これはこのような時に特に有用である。
【0032】
これに加えて、あるいはこの代わりに、系の一部としてさらなる混合要素が存在してもよい。例えば、外来性混合粒子が追加されていてもよく、一例は、例えば、混合させるために動く磁石と共に磁性粒子を利用する。例えば、小さい電磁撹拌棒と電磁撹拌板を使用できる。
別法として、システムを密閉し、標準的技術を用い、所望により混合粒子を用いて振盪することにより、一成分または二成分系における混合を行うことができる。
好ましい例において、系は蒸発を軽減し、小さなサンプルサイズおよび取り扱いを促進するために配列される。すなわち、系は、小さなサンプル容積の規制を維持するために限られた空間を封入することにより密閉または密封される。この点に関して、本発明は、アレイおよび/またはサンプルを含むかまたは封入するハイブリダイゼーションチャンバーを提供する。以下にさらに詳細に概要を説明するように、好ましい例は、二成分系において特に有用であるベースプレートおよびアラインメント部分を含むハイブリダイゼーションチャンバーを利用するが、これらは一成分系においても有用である。
【0033】
密封系の利点の一つは、振動を軽減または低下させることである。すなわち、サンプル体積が小さいために、アレイは振動により、例えばプラットホーム振とう、モーター振動、または空気循環により引き起こされる外乱の影響を受けやすい。アレイを封入し、アレイをベースプレート上に設置することにより、ベースプレートが振動を低下させるので、サンプルとアレイは振動により引き起こされる外乱の影響を受けにくくなる。
本発明のこの態様のさらなる利点は、封入されたアレイにより、ますます小さな容積を使用が可能になることである。オープンアレイフォーマットにおいては、小さなサンプル体積が蒸発して、サンプルの多様性、変化および溶液中の溶質の濃度の不一致を含む様々な問題が生じる。例えば、小さなサンプル体積が異なるアッセイ場所において存在する場合、溶液の差別的な蒸発の結果、溶質濃度が劇的に変化する。かかる差は、ハイブリダイゼーション速度を変更し、例えば、かかるオープンアレイから得られた結果の解釈および比較を困難にする。しかしながら、アレイを例えば本明細書において概要を記載したハイブリダイゼーションチャンバー中に封入することにより、かかるサンプルの変動は最小限に抑えられ、これにより封入されたアレイから得られるデータがより信頼性のあるものになる。従って、本明細書において記載された任意の方法はハイブリダイゼーションチャンバーについて有用である。
【0034】
さらに、封入されたアレイは、オープンアレイにおけるインキュべーション時間と比較して、延長されたアッセイ/インキュべーション時間を許容する。ここにおいても、密封または封入されたアレイはサンプルの蒸発を防止し、延長されたインキュべーション期間を許容する。
加えて、封入されたアレイは必要ならばサンプルの混合を促進する。一般に、小さなサンプル体積を用いる場合、サンプルの適切な混合を達成するのは困難である。しかしながら、以下にさらに詳細に概略を記載するように、一例においては、真空および/または圧力を提供する空気式装置に関して軟質隔膜が用いられる場合、ハイブリダイゼーションチャンバーは混合を促進する。
【0035】
「二成分」系が用いられる場合、ハイブリダイゼーションチャンバーを用いることができる。すなわち、両成分、すなわち、複数のアッセイ場所を含む基体と複数のアレイ場所を含む基体がハイブリダイゼーションチャンバー内に封入される。好ましい例において、これらの成分としては、ハイブリダイゼーションチャンバー内に封入される光ファイバーアレイおよびマルチウェルマイクロタイタープレートが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
好ましい例において、ハイブリダイゼーションチャンバーはその上またはその中に成分の一つが設置されたベースプレートを含む。ベースプレートとは、その上にアレイ成分の一つが設置される任意のプラットホームまたはホルダーを意味する。ベースプレートは、プラスチック、ガラスまたは金属または基体について本明細書において概要を記載した任意の物質で作ることができ、ベースプレートが金属である場合、好ましくはアルミニウムで作られる。アルミニウムは軽量であるが丈夫なベースプレートを提供する。加えて、アルミニウムはチャンバーについて有効および/または迅速な熱伝達を可能にする。しかしながら、ベースプレートがプラスチックまたはガラスでできている場合、成分は直接ベースプレートと接触する。別法として、金属シートまたはテンプレートをベースプレート中に挿入するか、またはベースプレート上に設置することができる。金属シートまたはテンプレートは、様々な成分のサイズおよび/または形状に適応するために様々な形態の任意のものを保持するために設計することができる。すでに記載したように、金属は迅速かつ有効な熱導体であるという利点を提供する。
【0036】
一例において、ベースプレートは、その中にアレイ成分が配置される少なくとも一つのくぼみまたはベースキャビティーを含む。すなわち、マイクロタイタープレートが成分である場合、該くぼみまたはベースキャビティーは、マイクロタイタープレートをその中に直接設置できるように、好ましくは余分な振動を回避し、有効な熱伝導を可能にするために密着するように形成される。くぼみをベースプレート中に成形することができる。加えて、ベースプレートは、複数の分離したアレイ成分が単一のベースプレート上に設置されるように、複数のくぼみまたは空隙を含んでもよい。
別法として、ベースプレートは平坦であってもよく、好ましくは、アレイを定位置に保持するためのフックまたは他のアタッチメント部分を含む。
加えて、好ましい例はハイブリダイゼーションに関して蓋を利用する。蓋は任意の物質(ここでも、本明細書において基体について列挙したとおり)で作られていてもよいが、ガラス、プラスチックまたは金属が好ましい。蓋は、蓋がベースプレート上におかれた場合に密閉されたチャンバーが形成されるようにベースプレートとかみあうのが好ましい。
もう一つの例において、蓋は少なくとも一つの成分配置孔を含む。成分配置孔とは、成分が固定される蓋における部位を意味する。すなわち、配置孔により、成分のうちの一つが蓋に取り付けられる。好ましい例において、該孔はこれを通して成分が挿入される蓋の穴である。たとえば、光ファイバー束が成分である場合、該束は該孔を通して挿入される。この例において、孔はさらにアタッチメント部位の周りのシーラントを含み、成分、すなわち光ファイバー束の遠位端と蓋の間に気密シールが形成される。このシーラントは、いかに概略を記載するよな、シリコン、ゴム、プラスチックなどを含む任意の物質であってもよい。別法として、シールはゲル系物質、たとえば、ワセリン、またはフィルム系物質、たとえばPARAFILMであってもよい。
【0037】
さらにもう一つの例において、蓋は、蓋に複数の孔を含む。すなわち、複数の成分が使用される場合、各成分について別々の孔を有する必要がある。たとえば、複数の光ファイバー束が使用される場合、各光ファイバー束は、別々の孔中に配置される。しかしながら、各光ファイバー束を一つの孔中に一度に挿入することが可能であるが、同じ光ファイバー束を異なる孔中に連続して挿入することも可能である。すなわち、成分が連続して挿入される孔の数、に制限はない。たとえば、図7Aに示すように、蓋10は、その中に光ファイバー束30が設置される複数の孔20を含む。蓋を次にベースプレート60のベースキャビティー50中のマイクロタイタープレート40上に設置する。ベースプレート60を図7bに示し、ベースプレート60およびベースキャビティー50を示す。
【0038】
好ましい例において、孔シールは溶液相互汚染を低減または防止する。すなわち、個々の孔/成分の周りのシールはベースプレートまたはアレイ成分に対するシールを形成するので、特定の孔/成分に対応するサンプルからの溶液が他の成分から分離または密封される。
もう一つの例において、すべての孔がいつでも成分で満たされているわけではない。孔の最大充填物より少ないのが適当または望ましい場合、成分を含まない孔中にプラグを挿入することができる。このようにして、成分を含まない孔が存在するにも関わらず、蓋はベースプレートと依然として気密シールを形成する。プラグはゴムストッパー、ガスケット、フィルム、ゲルなどの形態であることができる。
【0039】
好ましい例において、蓋とベースプレートの間のチャンバーの周辺部の周りにシーラントが存在する。シーラントは蓋とベースプレートの間に形成される気密性シールをもたらす任意の物質でできている。このましい例において、シーラントは、ゴムまたはシリコンガスケットまたはO−リング80(図8参照)などのゴムでできている。シーラントを蓋またはベースプレートのいずれかに固定することができる。この目的のために、シーラントを蓋に恒久的に付着させることができる。別法として、シーラントを蓋またはベースプレートのいずれかの溝中にはめ込むことができる。このように、シーラントは蓋またはベースプレートに固定されるが、この固定は恒久的である必要はない。別法として、シーラントは液体シーラント、たとえばワセリンあるいは柔軟性フィルム材料、たとえば、PARAFILMまたは他のワックスから形成することができる。
【0040】
好ましい例において、二成分系が使用される場合、ハイブリダイゼーションチャンバーはさらにアラインメント部分を含む。アラインメント部分とは、蓋とベースプレートの整合を促進するチャンバーの機構を意味する。アラインメント部分の重要性は、一つの蓋とベースプレートの整列にあるだけでなく、複数の蓋とベースプレートの再現可能な整列にある。すなわち、アラインメント部分は、任意のアレイ成分と任意のマルチウェルマイクロタイタープレート形態間の物理的整列を促進する。蓋中の光ファイバー束がベースプレート上のマイクロタイタープレートと整列される場合、アラインメント部分はファイバー束の垂直中心軸をその対応するウェル中心軸と整列させる。好ましい例において、すべてのファイバー束が明確、すなわちウェルの内壁と接触しないように整列させる。この整列は逐次イメージ化にとって重要である。
【0041】
一例において、アラインメント部分は相補的雄/雌型嵌合である。雄型嵌合は蓋またはベースプレートに取り付けられるが、恒久的に取り付けられる必要はない。雄型嵌合をチャンバーのベースプレートまたは蓋のアラインメント部分として使用する場合、反対側のチャンバー部分はその中に雄型嵌合が挿入されるスロットまたは穴(雌型嵌合)を含む。当業者は本発明に関して有用なこの雄/雌型嵌合のバリエーションを理解する。この点に関して、該機構はチャンバー部分上のインデクサーピンまたは隆起および他の部分上の穴または相補的溝であってもよい。
好ましい例において、基準が用いられる。米国特許出願番号60/119323、および09/500555およびPCT/US00/03375参照(出典明示によりその全体を本発明の一部とする)。
【0042】
もう一つの例において、チャンバーは蓋とベースプレート間の確実な接触を維持するためのクランプ機構も含んでもよい。クランピングの利点は、チャンバー全体にわたって均一に負荷を分布させて、均一なシール圧縮を達成することである。「クランプ機構」または「クランプ」とは、蓋とベースプレート間に増大した圧力またはシールを適用および維持する任意の機構である。一例において、クレーム機構は回転スタッド/受け機構を包含する。すなわち、スタッド90を受け器95中に挿入し、回転させて蓋およびベースプレートを一緒に押し下げる(図8参照)。別法として、該機構はフックおよびラッチ機構を含んでもよい。当業者は本発明において有用な多くのクランピング機構を理解する。加えて、当業者はクランピングの方法は手作業のクランピングに限定されないことを理解する。従って、自動化することもできる。
【0043】
もう一つの例において、チャンバーはチャンバーの取り扱いのための周辺部の周りの機構を含む。好ましい例において、該機構は、使用者の指が手作業でチャンバー/アレイを取り扱うことを可能にするために十分広いスロットである。もう一つの例において、該機構はスロット、溝、ハンドルなどであり、チャンバーの自動またはロボット運転において特に有用である。これらのさらなる機構は、さらにロボット操作を容易にするために非対称的に分布していてもよい。
前記のように、ハイブリダイゼーションチャンバーの利点は、サンプル溶液を損失することなく小さなサンプル体積を使用できることである。さらにもう一つの例において、チャンバーは追加の溶液を保持するための1以上の貯蔵容器を含んでもよい。従って、ハイブリダイゼーションチャンバーは湿度チャンバーとしても機能する。追加の溶液を貯蔵容器中に含めることは、さらにサンプルの蒸発を防止する。
【0044】
もう一つの例において、たとえば、マイクロタイタープレートを使用する場合、サンプルをベースプレートの表面上にある膜に適用することができる。膜を使用することの利点は、各使用後の膜のクリーニングまたは廃棄が容易であることを包含し、軟質隔膜はピペットの先端または光ファイバーの先端がサンプルウェルの底と接触することにより該先端を損傷しない。
この例において、ベースプレートは一連の小さな開口部105、たとえばマイクロプレートフォーマットにおけるものを含む(図9A)。従って、膜は開口部中に押し下げられ、分離したアッセイ場所を形成する。様々な膜が本発明に関して有用である。重要なことは、膜が柔軟性であることである。化学的に不活性な膜を有することが望ましい場合もあり、またアッセイ成分が相互作用する膜、たとえばナイロン、ニトロセルロース膜などを有するのが望ましい場合もある。
【0045】
好ましい例において、チャンネは各開口部と連結する(図9B)。チャンネル100は真空および/または圧力を生じる空気式装置と連結していてもよい。従って、真空が適用される場合、膜は開口部105中に変形して、小さなポケットまたはウェルを形成する。サンプルを次に該ポケットに加える。異なる量の真空を該開口部を通して膜に加えることにより、変形した膜により形成されるウェルの体積および液面の高さを変えることができる。さらに、チャンネルを通して間欠的に真空を膜に適用することにより、ウェル中の液体を撹拌または混合することもできる。このような混合法は、系全体が振動する必要がなく、撹拌棒またはタンブラーが必要ないので、有利である。さらに、開口部のサブセットが異なるチャンネルと連結する場合、異なるサブセットを同じベースプレート中で独立して混合することができる。
【0046】
正圧が適用される場合、膜は圧力の大きさ、膜の上部に負荷が存在するかどうか、ならびに開口部の大きさおよび形状によって、上方に変形するかまたは平坦なままである。これは特にチャンバーの洗浄またはクリーニングにおいて非常に有利である。
圧力および真空がある順番で異なる孔に適用される場合、少量の溶液を膜の異なる部分へ移動させることができる。すなわち、図10A〜Fにおいて示すように、圧力および真空を差別的に適用すると、膜がある部分においてはふくらみ、他の部分においてはくぼむ。従って、膜に適用される溶液は膜のより低い部分へ移動するであろう。このことは、膜上のサンプルのインキュベーションを正確な時間進行させる利点を有する。一定の時間の後、真空を解除し、必要ならば溶液を除去するために圧力を加える。これにより、小さなセクションにおけるインキュベーションが可能になり、アレイ全体にわたって第一ウェルと最終ウェルの間で均一なインキュベーション時間が達成される。
【0047】
真空または圧力の適用によりサンプル体積を調節する利点としては、ハイブリダイゼーション溶液などの試薬の消費体積の減少;小さなサンプル体積の撹拌の容易性の向上;および膜のクリーニングの容易性の向上が挙げられる。
好ましい例において、チャンネルはハイブリダイゼーション混合物などのサンプル溶液または洗浄液を汲み入れるかまたは吸い出すために共通の液体取り扱い装置と連結されている。ここでも、一例において、すべての開口部は一つのチャンネルと連結している。従って、すべてのウェルが同じ溶液で処理される。別法として、開口部のサブ集団は異なるチャンネルと連結され、溶液が該サブ集団に差別的に適用される。
【0048】
チャンネルが液体操作装置と連結している場合、これは液体をサンプルに適用し、サンプルから除去するための機構を含む必要がある。すなわち、液体がベースプレートの開口部を通して添加され、除去されるために、膜は液体が移動できるために透過性でなければならない。この点に関して、液体を加え、除去するために膜に穿刺するために針が有用である。針を使用する場合、再密封可能な膜を使用するか、または溶液の望ましくない漏れを防止するために穿刺場所にシーラントを適用する必要がある。
チャンバーが伝熱機構を含む場合もある。すなわち、高温が必要であるかまたは望ましい場合、チャンバーは高温を維持するために設計される。一例において、これは、チャンバーに断熱材を適用することを包含する。次に、予熱された溶液をチャンバー中に導入し、高温を維持する。すなわち、溶液は、チャンバー中に汲み入れられる前にチャンバーの外側で容易に加熱することができる。簡単なチャンバー形状により、異なるウェル中の液体間で等しい温度を維持することが容易になる。
【0049】
もう一つの例において、チャンバーはチャンバー中に高温を維持するために加熱機構を含む。一例において、チャンバーは加熱装置により均一に加熱される。もう一つの例において、加熱装置はチャンバーの異なる部分を独立して加熱する。
前記のように、ベースプレート上にアルミニウムなどの金属を使用することにより、金属は熱の迅速かつ有効な導体であるので、伝熱が促進される。
「一成分」系を使用する場合、蓋および密封機構を用いることができる。すなわち、前記のように、蓋はベースプレートと気密性シールを形成する。従って、前記の蓋のように、「一成分」系の蓋も、蓋とベースプレート間にシーラントを含む。一例において、蓋とベースプレートも「二成分」系についてすでに記載したようなアラインメント部分を含む。別法として、一例において、一成分系のチャンバーはアラインメント部分を含まない。この点に関して、一成分系において蓋とベースプレートの厳密な整列の必要性は、二成分系についてよりも低い。すなわち、一成分系は、蓋のアレイ成分をベースプレート上のアレイ場所と整列させらる必要がないので、整列はあまり厳密でない。しかしながら、整列は依然としてイメージ化に重要である。
【0050】
さらに、前記のように、一成分系におけるチャンバーの蓋は、ガラス、プラスチックまたは金属で作ることができる。ここでも、金属は迅速かつ有効な熱の導体であるので、金属の使用により温度の維持が容易になる。
加えて、系は追加の要素も含んでよい。これらは、プローブまたは光ファイバー束のホルダーを含む。かかるホルダーは米国特許出願番号60/135089(1999年5月20日提出)、および09/574962(2000年5月19日提出)、およびPCT US00/13772(2000年5月19日提出)においてより詳細に記載されている。加えて、系は米国特許出願番号09/033462および09/260963およびPCT/US99/04473に記載されているようなセルを含んでもよい。加えて、系は米国特許出願番号60/119323および09/500555およびPCT/US00/03375に記載されているような基準を含んでもよい(すべて、出典明示により本発明の一部とする)。
【0051】
好ましい例において、本発明の方法および組成物はロボットシステムを含む。多くのシステムは一般に96(またはそれ以上)ウェルマイクロタイタープレートを使用するが、当業者には理解されるように、任意の数の異なるプレートまたは形状を用いることができる。加えて、本明細書において概略を記載した任意またはすべての工程を自動化することができる;従って、たとえば系は完全または部分的に自動化することができる。
当業者には理解されるように、これらに限定されないが、1以上のロボットアーム;マイクロプレートの位置決めのためのプレートハンドラー;非相互汚染プレート上のウェルの蓋の除去および交換のための自動化蓋ハンドラー;使い捨てチップを有するサンプル分布のためのチップアセンブリ;サンプル分布のためのウォッシャブルチップアセンブリ;96ウェルローディングブロック;冷却された試薬ラック;マイクロタイタープレートピペットポジション(所望により冷却してもよい);プレートおよびチップのためのスタッキングタワー;およびコンピューターシステムを含むさまざまな使用可能な成分がある。
【0052】
完全ロボットシステムは、スクリーニング用途のすべての工程を行うための高スループットピペッティングを含む自動化液体−および粒子操作を含む。これは、液体、および粒子操作、たとえば、吸引、分配、混合、希釈、洗浄、正確な容積移動;修正、およびピペットチップの廃棄;および一つのサンプル吸引から複数回分配するための同一体積の繰り返しピペッティングを包含する。
好ましい例において、化学的に誘導化された粒子、プレート、チューブ、電磁粒子、またはリガンドまたは変異タンパク質に対して特異性を有する他の固相マトリックスが用いられる。マイクロプレート、チューブ、または任意の固相マトリックスの結合表面は、非極性表面、高極性表面、共有結合を促進するための修飾デキストランコーティング、抗体コーティング、融合タンパク質またはペプチドと結合するためのアフィニティーメディア、表面固定タンパク質、たとえば組み換えタンパク質AまたはG、ヌクレオチド樹脂またはコーティングを含み、他のアフィニティーマトリックスが本発明において有用である。
【0053】
好ましい例において、マルチウェルプレートのプラットホーム、マルチチューブ、ミニチューブ、ディープウェルプレート、ミクロ遠心管、冷バイアル、方形ウェルプレート、フィルター、チップ、光ファイバー、ビーズ、および様々な体積の他の固相マトリックスまたはプラットホームが追加の容量のためにアップグレード可能なモジュラープラットホームに適用される。このモジュラープラットホームは、可変速度オービタルシェーカー、およびソースサンプルのマルチポジションワークデッキ、サンプルおよび試薬希釈、アッセイプレート、サンプルおよび試薬貯蔵容器、ピペットチップ、および活性洗浄ステーションを含む。
好ましい例において、サンプルのインキュベートを4℃から100℃まで正確に温度制御するための制御ブロックまたはプラットホームなどの熱交換器の温度を安定化させるために、熱サイクラーおよび熱調節システムが用いられる。
【0054】
好ましい例において、単一または複数の電磁プローブを有する交換可能なピペットヘッド(シングルまたはマルチチャンネル)、アフィニティープローブ、またはピペッターはロボットにより液体および粒子を操作する。マルチウェルまたはマルチチューブ電磁セパレーターまたはプラットホームはシングルまたはマルチサンプルフォーマットにおいて液体および粒子を操作する。
いくつかの好ましい例において、装置は、データおよびイメージを獲得し、定量可能なフォーマットに変換するためのCCDカメラ;およびコンピューターワークステーションを含む。これらはデータ分析を可能にする。
フレキシブルなハードウェアおよびソフトウェアにより装置は複数の用途に適用可能になる。ソフトウェアプログラムモジュールは、方法の作成、変更、および実施を可能にする。システム診断モジュールは、装置の整列、正確な接続、およびモーター操作を可能にする。カスタマイズされたツール、ラブウェア、ならびに液体および粒子移動パターンは異なる用途を実行させる。データベースは方法およびパラメータ記憶を可能にする。ロボットおよびコンピューターインターフェースは装置間のコミュニケーションを可能にする。
【0055】
好ましい例において、ロボットワークステーションは1以上の加熱または冷却成分を含む。反応および試薬によって、冷却または加熱のいずれかが必要となり、これは任意の数のPeltierシステムを含む公知加熱および冷却システムを用いて行うことができる。
好ましい例において、ロボット装置は、バスを介してメモリーおよび入力/出力装置の組み合わせ(例えば、キーボード、マウス、モニター、プリンターなど)と接続する中心処理装置を含む。中心処理装置、メモリー、入力/出力装置、およびバス間の一般的相互作用は当該分野において公知である。従って、実施される実験によって様々な異なる手順がCPUに記憶される。
【0056】
好ましい例において、本発明の組成物はさらに微小球の集団を含む。本明細書中の「集団」とは、アレイについて上記したように、複数のビーズを意味する。集団内には、単一の微小球または複数の同じ微小球である分離したサブ集団がある。すなわち、いくつかの例においては、以下にさらに詳細に記載するように、アレイは各生物活性剤用に単一のビーズを含有するだけであってもよく;好ましい例は各タイプの複数のビーズを利用する。
本明細書中の「微小球」または「ビーズ」または「粒子」あるいは文法的に同等な語は、小さな独立した粒子を意味する。ビーズの組成は、生物活性剤の種類および合成方法に応じて変化する。適当なビーズ組成は、例えば、プラスチック、セラミック、ガラス、ポリスチレン、メチルスチレン、アクリルポリマー、常磁性物質、トリアゾル、カーボングラファイト、二酸化チタン、ラテックスまたは架橋デキストラン、例えば、セファロース、セルロース、ナイロン、架橋ミセルおよびテフロンを含むが、これらに限定されないペプチド、核酸および有機物の合成に用いられるものすべてを用いることができる。Bangs Laboratories、Fishers INの「微小球検出ガイド(Microspere Detection Guide)」が有用なガイドブックである。
【0057】
ビーズは球状である必要はなく;不規則な粒子を用いることもできる。加えて、ビーズは多孔質であってもよく、生物活性剤の結合またはIBLの結合に利用できるビーズの表面積が増加する。ビーズの大きさは、数ナノメートル、すなわち100nmから、数ミリメートル、すなわち1mmの範囲にあり、約0.2ミクロンないし約200ミクロンのビーズが好ましく、約0.5ないし約5ミクロンのビーズが特に好ましいが、さらに小さなビーズが用いられる場合もある。
本発明で重要な要素は、アッセイの過程でビーズが動かないように、ビーズを基体の表面上の独立した部位に結合または付着させることのできる基体/ビーズのペアリングを使用することである。
【0058】
各微小球は、生物活性剤を含むが、当業者に明らかであるように、その合成方法に応じて、生物活性剤を含まない微小球が存在してもよい。本明細書において使用される「候補(candidate)生物活性剤」または「生物活性剤」または「化学官能基」または「結合リガンド」は、本発明の微小球に結合することのできる、任意の分子、例えば、タンパク質、オリゴペプチド、小型有機分子、配位錯体、多糖類、ポリヌクレオチドなどを意味する。本発明の組成物には2通りの主たる用途があると理解される。好ましい具体例において、以下にさらに詳細に記載するように、特定の標的アナライトの存在、例えば、特定のヌクレオチド配列または特定のタンパク質、例えば、酵素、抗体もしくは抗原の有無を検出するのに当該組成物が用いられる。別の好ましい具体例において、当該組成物を用い、生物活性剤、すなわち、薬物候補物質を特定の標的アナライトへの結合に関してスクリーンすることができる。
【0059】
生物活性剤は、典型的には有機分子であり、好ましくは分子量が100ダルトンより大きく、約2500ダルトンよりも小さい、小型有機化合物であるが、多くの化学種を包含する。生物活性剤は、タンパク質との構造的相互作用、特に水素結合に不可欠な官能基を含み、典型的には少なくとも1個のアミノ、カルボニル、ヒドロキシルまたはカルボキシル基、好ましくは少なくとも2個の化学官能基を含む。生物活性剤は、1以上の前記官能基で置換された、環状炭素または複素環構造および/または芳香族またはポリ芳香族構造を含む場合が多い。生物活性剤はまた、ペプチド、核酸、糖類、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、その誘導体、構造類似体または組合せを含む生物分子にも見られる。核酸およびタンパク質が特に好ましい。
生物活性剤は、合成または天然化合物のライブラリーを含むさまざまな供給源から得ることができる。例えば、ランダム化オリゴヌクレオチドの発現を含む、多種の有機化合物と生物分子のランダム合成および定方向性合成に多くの手段を利用することができる。別法として、細菌、真菌、植物および動物抽出物の形態の天然化合物のライブラリーも利用可能であり、あるいは容易に生成される。さらに、天然または合成により生じるライブラリーおよび化合物は、慣用的な化学、物理および生化学的手段を介して容易に修飾される。既知の薬理学的物質を、アシル化、アルキル化、エステル化および/またはアミド化などの定方向性またはランダムな化学的修飾に付し、構造的類似体を生成してもよい。
【0060】
好ましい具体例において、生物活性剤はタンパク質である。本明細書における「タンパク質」とは、少なくとも2個のアミノ酸が共有結合したものを意味し、タンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチドおよびペプチドを包含する。タンパク質は天然に存在するアミノ酸とペプチド結合、あるいは合成ペプチドミメティック構造からできていてもよい。このように、本明細書で用いる場合の「アミノ酸」または「ペプチド残基」は、天然に存在するアミノ酸と合成アミノ酸の両方を意味する。例えば、ホモ−フェニルアラニン、シトルリンおよびノルロイシンは、本発明の目的のためのアミノ酸であると考えられる。側鎖は(R)または(S)配置のいずれかであってよい。好ましい具体例においては、アミノ酸は(S)またはL−配置である。天然に存在しない側鎖を用いるならば、例えば、インビボ分解を防止または妨害するために非アミノ酸置換基を用いることができる。
【0061】
1つの好ましい具体例においては、生物活性剤は天然に存在するタンパク質または天然に存在するタンパク質のフラグメントである。このように、例えば、タンパク質を含有する細胞抽出物、あるいはタンパク様細胞抽出物のランダムまたは定方向性消化物を用いることができる。このようにして、原核生物および真核生物のタンパク質のライブラリーを本明細書に記載のシステムにおいてスクリーニングするために調製することができる。この具体例において特に好ましいのは、細菌、真菌、ウイルスおよび哺乳動物のタンパク質のライブラリーであり、後者が好ましく、ヒトタンパク質が特に好ましい。
好ましい具体例において、生物活性剤は、約5ないし約30個のアミノ酸のペプチドであり、約5ないし約20個のアミノ酸が好ましく、約7ないし約15個が特に好ましい。ペプチドは上記した天然に存在するタンパク質の消化物、ランダムペプチドまたは「偏向した」ランダムペプチドであってもよい。本明細書の「ランダム化」または文法的に同等な語は、核酸およびペプチドが、各々、本質的にランダムヌクレオチドおよびアミノ酸からなっていることを意味する。一般に、これらのランダムペプチド(または以下に記載の核酸)は化学的に合成されるため、それらは任意のヌクレオチドまたはアミノ酸を任意の位置で組み入れることができる。合成方法は、ランダム化タンパク質または核酸を生成し、配列の長さにわたりすべてまたは大部分の可能な組合わせを形成するように設計することができ、こうしてランダム化生物活性タンパク質性物質のライブラリーが形成される。
【0062】
好ましい具体例においては、生物活性剤のライブラリーが用いられる。そのライブラリーは生物活性剤の構造上十分に多様な集団を提供するものであり、標的アナライトに対して蓋然的に十分な範囲にて結合する。したがって、相互作用ライブラリーは、そのメンバーの少なくとも1つが標的アナライトに対して親和性を付与する構造を有するように十分に大きくなければならない。相互作用ライブラリーの必要とする絶対的な大きさを測ることは困難であるが、免疫応答特性で1の手掛かりが得られる:107〜108の異なる抗体の多様性は、生物が直面する最も可能性のある抗原と相互作用するために十分な親和性を有する少なくとも1つの組合わせを提供する。公開されたインビトロの選択技術も107〜108のライブラリーの大きさが標的に対する親和性を有する構造を見出すのに十分であることを示している。このように、好ましい具体例においては、少なくとも106、好ましくは少なくとも107、より好ましくは少なくとも108、最も好ましくは少なくとも109の異なる生物活性剤が本発明の方法において同時に分析される。好ましい方法はライブラリーの大きさおよび多様性を最大限に活用する。
【0063】
好ましい具体例において、ライブラリーは十分にランダム化されており、どの位置においても配列の優先性および定常性はない。もう1つの好ましい具体例においては、ライブラリーを偏向させる。すなわち、配列内のある位置は、定常性を保持するか、または可能性のある限定された数の中から選択される。例えば、好ましい具体例において、ヌクレオチドまたはアミノ酸残基は、所定の種類、例えば、疎水性アミノ酸、親水性残基、架橋してシステインを創製することに、SH−3ドメインについてのプロリンに、リン酸化部位についてセリン、トレオニン、チロシンまたはヒスチジン等に、またはプリンに立体的に偏向した(小型または大型)残基内でランダム化する。
【0064】
好ましい具体例において、生物活性剤は核酸(一般に、本明細書中、「プローブ核酸」または「候補プローブ」と称される)である。本明細書中の「核酸」または「オリゴヌクレオチド」または文法的に同等な語は、少なくとも2つのヌクレオチドが一緒に共有結合したものを意味する。本発明の核酸は一般的にホスホジエステル結合を含有するが、場合によっては、以下に示すように、例えば、ホスホルアミド(Beaucageら、Tetrahedron、49(10):1925(1993)およびその中の引用文献;Letsinger、J.Org.Chem.、35:3800(1970);Sprinzlら、Eur.J.Biochem.、81:579(1977);Letsingerら、Nucl.Acids Res.、14:3487(1986);Sawaiら、Chem.Lett.、805(1984);Letsingerら、J.Am.Chem.Soc.、110:4470(1988);およびPauwelsら、Chemica Scripra、26:141(1986))、ホスホロチオエート(Magら、Nucleic Acids Res.、19:1437(1991);および米国特許第5644048号)、ホスホロジチオエート(Briuら、J.Am.Chem.Soc.、111:2321(1989))、O−メチルホスホルアミド結合(Eckstein、オリゴヌクレオチドおよび類似体:A Practical Approach、Oxford University Press参照)およびペプチド核酸骨格および結合(Egholm、J.Am.Chem.Soc.、114:1895(1992);Meierら、Chem.Int.Ed.Engl.、31:1008(1992);Nielsen、Nature、365:566(1993);Carlssonら、Nature、380:207(1996)、そのすべてを出典明示により本明細書の一部とする)を含む、別の骨格を有していてもよい核酸類似体が含まれる。他の類似する核酸は正の骨格(Denpcyら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、92:6097(1995));非イオン性骨格(米国特許第5386023号;第5637684号;第5602240号;第5216141号;および第4469863号;Kiedrowskiら、Angew,Chem.Intl.Ed.English、30:423(1991);Letsingerら、J.Am.Chem.Soc.、110:4470(1988);Letsingerら、Nucleosides&Nucleotides、13:1597(1994);第二章および第3章、ASCシンポジウム・シリーズ580、「アンチセンスリサーチにおける炭水化物修飾」、Y.S.SanghuiおよびP.Dan.Cook編;Mesmaekerら、Bioorganic&Medicinal Chem.Lett.、4:395(1994);Jeffsら、J.Biomolecular NMR、34:17(1994);Tetrahedron Lett.、37:743(1996))および米国特許第5235033号および第5034506号ならびに第6章および第7章、ASCシンポジウム・シリーズ580、「アンチセンスリサーチにおける炭水化物修飾」、Y.S.SanghuiおよびP.Dan.Cook編に記載のものを含む非リボース骨格を有する核酸を包含する。1以上の炭素環状糖を含有する核酸もまた、核酸の定義内に含まれる(Jenkinsら、Chem.Soc.Rev.、(1995)169−176頁を参照)。数種の核酸類似体が、Rawls,C.&E News、6月2日、1997年、35頁に記載されている。これらの刊行物はすべて出典明示により本明細書の一部とする。リボース−リン酸塩骨格においてこれらの修飾を行い、標識などのさらなる部分の付加を促進し、あるいは生理学的環境中のかかる分子の安定性および半減期を増加させることもできる;例えば、PNAが特に好ましい。加えて、天然に存在する核酸および類似体の混合物を調製することもできる。また、異なる核酸類似体の混合物、および天然に存在する核酸および類似体の混合物を調製することもできる。核酸は特記されていれば一本鎖または二本鎖のいずれであり、あるいは二本鎖または一本鎖の両方の配列の部分を含有していてもよい。核酸はDNA、ゲノムDNAおよびcDNAの両方、RNAまたはハイブリッドであってもよく;ここで、核酸は、デオキシリボ−およびリボ−ヌクレオチドの任意の組合せ、ウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンタニン、ヒポキサンタニン、イソシトシン、イソグアニンおよび塩基類似体、例えば、ニトロピロールおよびニトロインドール等を含む、塩基の任意の組合せを含有していてもよい。
【0065】
好ましい具体例において、生物活性剤はクローン核酸のライブラリーであり、DNAおよびRNAを含む。この具体例において、一般的には、慣用的方法(プラスミドまたはファージベクター中での増殖、PCRを包含する増幅方法等を包含するが、これらに限定されない)を用いて個々の核酸が調製される。好ましくは、核酸は、マイクロタイタープレートフォーマット、およびライブラリーを付着させるために添加されるビーズのごとき特定のフォーマットにおいて並べられる。
化学的またはアフィニティー捕捉(例えば、後でそれらを用いて核酸を表面に付着させることができるAminoLinkまたはビオチン化ヌクレオチドのごとき誘導体化ヌクレオチドを含ませること、ならびにハイブリダイゼーションによるアフィニティー捕捉を包含)、架橋、および静電気的付着等を包含するが、これらに限定されない当該分野で理解されている種々の方法において、クローンライブラリー(または本明細書で説明するいずれかの核酸)の付着を行うことができる。
【0066】
好ましい具体例において、アフィニティー捕捉を用いてクローン核酸をビーズに付着させる。例えば、結合対の一方のメンバーでクローン化核酸を誘導化し、結合対の他方のメンバーでビーズを誘導化することができる。適当な結合対はIBL/DBL対に関して本明細書で説明されているものである。例えば、クローン化核酸をビオチン化してもよい(例えば、ビオチン化ヌクレオチドの酵素による取り込みを用いて、あるいはビオチンの光活性化架橋により)。次いで、当該分野において知られているように、ビオチン化核酸をストレプトアビジン被覆ビーズ上に捕捉することができる。同様に、ジゴキシゲニンおよび抗ジゴキシゲニン抗体のごとき他のハプテン−受容体の組み合わせを使用することができる。別法として、化学基を誘導体化ヌクレオチドの形態に付加することもでき、これにより核酸を表面に付加するために使用できるようにされる。
【0067】
好ましい付着は共有結合であるが、核酸分子1個につき複数の付着部位が存在する場合には、比較的弱い相互作用(すなわち、非共有結合)であっても核酸を表面に付着させるに十分でありうる。かくして、例えば、生物活性剤とは逆の電荷を有するビーズを用いることにより、静電気的相互作用を付着に使用することができる。
同様に、ハイブリダイゼーションを用いるアフィニティー捕捉を用いて、クローン化核酸をビーズに付着させることもできる。例えば、当該分野において知られているように、オリゴ−dTビーズへのハイブリダイゼーションによりポリA付加RNAを慣例通りに捕捉する。これは、オリゴ−dT捕捉およびその後の架橋工程(例えば、プソラレン架橋)を含んでもよい。目的の核酸がポリA部分を含まない場合には、当該分野で知られているように、ターミナルトランスフェラーゼを用いる重合、あるいはオリゴAリンカーの連結により付着させることができる。
【0068】
別法として、例えば、当該分野で知られているように、チミジンを反応性基に対して光活性化架橋することによって化学的架橋を行ってもよい。
一般に、以下にさらに詳細に説明するように、クローンのアレイをデコードするためは特別な方法が必要である。
タンパク質に関してすでに一般的に説明したように、核酸生物活性剤は天然に存在する核酸、ランダム核酸、または「偏向した」ランダム核酸であってもよい。例えば、タンパク質に関してすでに説明したように、原核および真核ゲノムの消化物を使用してもよい。
一般的には、標的配列(サンプルの標的アナライト配列または本明細書に記載の他のプローブ配列のいずれか)に対して相補的なものなるように本発明のプローブを設計して、標的と本発明のプローブとのハイブリダイゼーションが起こるようにする。この相補性は完全である必要はない。標的配列と本発明の1本鎖核酸との間のハイブリダイゼーションを妨害するいくつかの数の塩基対ミスマッチが存在するかもしれない。しかしながら、最小のストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下においてさえも変異の数が多すぎてハイブリダイゼーションが起こり得ない場合、その配列は相補的でない標的配列である。かくして、本明細書において「実質的に相補的」とは、プローブが標的配列に対して十分に相補的であり、選択された反応条件下においてハイブリッド形成することを意味する。高ストリンジェンシー条件は当該分野において知られており、例えば、Maniatis et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2d Edition, 1989およびShort Protocols in Molecular Biology, ed. Ausbel, et al.参照(いずれも出典明示により本明細書の一部とする)。ストリンジェントな条件は配列に依存し、異なる状況において異なるであろう。より長い配列はより高い温度で特異的にハイブリッド形成する。核酸のハイブリダイゼーションに関するさらなるガイドはTijssen, Techniques in Biochemistry and Molecular Biology-Hybridization with Nucleic Acid Probes, "Overview of principles of Hybridization and the strategy of nucleic acid assays" (1993)に見出される。一般的には、一定のイオン強度およびpHにおける特異的配列の融点(Tm)よりも約5〜10℃低くなるようにストリンジェントな条件を選択する。Tmは、平衡状態において標的配列に相補的なプローブの50%が標的配列とハイブリッド形成する温度(所定のイオン強度、pHおよび核酸濃度において)である(標的配列が過剰に存在するので、Tmにおいて、平衡状態ではプローブの50%が占領されている)。ストリンジェントな条件は、塩濃度が約1.0Mのナトリウムイオンよりも低いものであり、典型的には、pH7.0ないし8.3において約0.01ないし1.0Mのナトリウムイオン濃度(または他の塩)であり、短いプローブ(例えば、10ないし50ヌクレオチド)の場合には温度は少なくとも約30℃であり、長いプローブ(例えば、50ヌクレオチドよりも長い)の場合には少なくとも約60℃である。ストリンジェントな条件は、ホルムアミドのごとき脱安定化剤の添加によっても達成されうる。もう1つの具体例において、あまりストリンジェントでないハイブリダイゼーション条件が使用される。例えば、当該分野で知られているような中程度ないし低いストリンジェンシーの条件を用いてもよい。ManiatisおよびAusbelの上記文献およびTijssenの上記文献参照。
【0069】
本明細書の用語「標的配列」または文法的に同等の語は、核酸の1本の鎖上にある核酸配列を意味する。標的配列は遺伝子、調節配列、ゲノムDNA、cDNA、mRNAおよびrRNAを包含するRNA等の一部であってもよい。それは任意の長さであってもよく、より長い配列がより特異的であることが理解されている。当業者により理解されるように、相補的標的配列は多くの形態を取り得る。例えば、より大きな核酸配列、すなわち、遺伝子またはmRNAの全体または部分、プラスミドまたはゲノムDNAの制限フラグメント等の中に含まれていてもよい。以下に詳しく説明するように、標的配列にハイブリダイゼーションしてサンプル中の標的配列の有無を決定するようにプローブが作製される。一般的に言って、この用語は当業者によって理解されるであろう。
【0070】
好ましい具体例において、生物活性剤は有機化学的部分であり、種々の有機化学的部分が文献において利用可能である。
好ましい具体例において、各ビーズは単一タイプの生物活性剤を含むが、好ましくは、複数の個々の生物活性剤を各ビーズに付着させる。同様に、好ましい具体例は、1つの特有の生物活性剤を含む1種よりも多い微小球を用いるものである。すなわち、微小球のサブ集団の使用によって系中に構築された縮重が存在し、サブ集団中の各微小球が同じ生物活性剤を含んでいるものである。
当業者によって理解されるように、ビーズ上で生物活性剤を直接合成してもよく、あるいは合成後にビーズに付着させてもよい。好ましい具体例において、リンカーを用いて生物活性剤をビーズに付着させて、良好な付着を可能にし、標的分子との良好な相互作用を可能にする十分な柔軟性を持たせ、望ましくない結合反応を回避するようにする。
【0071】
好ましい具体例において、ビーズ上で生物活性剤を直接合成する。当該分野で知られているように、ペプチド、有機部分および核酸のごとき多くの種類の化合物が、ビーズを包含する支持体上で合成されている。
好ましい具体例において、生物活性剤を最初に合成し、次いで、ビーズに共有結合させる。当業者に理解されるように、生物活性剤およびビーズの組成に応じてこれを行う。チオール、アミン、カルボキシル等のごとき化学的反応性基でのある種のポリマーのごとき固体支持体表面の官能化は当該分野において広く知られている。したがって、使用者による所望の官能基の付着を容易にする表面化学基を有する「ブランク」微小球を用いてもよい。ブランク微小球に関するこれらの表面化学基のいくつかの例は、限定されるものではないが、脂肪族および芳香族アミンを包含するアミノ基、カルボン酸、アルデヒド、アミド、クロロメチル基、ヒドラジド、ヒドロキシル基、スルホネートおよびスルフェートを包含する。
【0072】
一般的には既知の化学的方法を用い、これらの官能基を用いて任意の数の異なった候補薬剤をビーズに付加することができる。例えば、炭水化物を含有する候補薬剤をアミノ−官能化支持体に付着させることができる。標準的方法を用いて炭水化物のアルデヒドを作製し、次いで、アルデヒドを表面上のアミノ基と反応させる。別の具体例において、スルフヒドリルリンカーを用いてもよい。SPDP、マレイミド、α−ハロアセチル、およびピリジルジスルフィドのごとき当該分野で知られた多くのスルフヒドリル反応性リンカーがあり(例えば、the 1994 Pierce Chemical Company catalog, technical section on cross-linkers, pages 155-200参照(出典明示により本明細書の一部とする))、それらを用いてシステイン含有タンパク質性作用剤を支持体に付着させることができる。別法として、候補薬剤上のアミノ基を表面上のアミノ基への付着に使用してもよい。例えば、多くの安定な二官能基リンカーが当該分野においてよく知られており、同種二官能基および異種二官能基リンカーが包含される(Pierceのカタログおよびハンドブック155〜200ページ参照)。さらなる具体例において、よく知られたリンカー(Pierceのカタログ参照)を用いてカルボキシル基(表面から得られるもの、または候補薬剤から得られるのもののいずれか)を誘導体化してもよい。例えば、カルボジイミドはカルボキシル基を活性化して、アミンのごとき良好な求核剤による攻撃について活性化する(Torchillin et al., Critical Rev. Therapeutic Drug Carrier Systems, 7(4):275-308 (1991)参照(出典明示により本明細書の一部とする))。当該分野で知られた他の方法、例えば、抗体をポリマーに付着させるための方法を用いてタンパク質性候補薬剤を付着させてもよい。例えば、Slinkin et al., Bioconj. Chem. 2:342-348 (1991); Torchillin et al., 上記文献; Trubetskoy et al., Bioconj. Chem., 3:323-327 (1992); King et al., Cancer Res. 54: 6176-6185 (1994);およびWilbur et al., Bioconjugate Chem. 5:220-235 (1994)参照(出典明示により本明細書の一部とする)。上記方法を包含する種々の方法で候補薬剤を付着させてもよいことが理解されるはずである。好ましくは、付着様式は候補薬剤の機能性を有意に変化させないものである。すなわち、その標的との相互作用を可能にするような柔軟性のある様式で候補薬剤を付着させるべきである。また、これらのタイプの化学的または生物学的官能性を、図1Fに示すように、アレイをアッセイ場所、また、ビーズの個々のセットに付着させるために使用してもよい。
【0073】
酵素を微小球上に固定化する具体的な方法が当該分野において知られている。一例において、NH2表面化学基微小球が用いられる。pHを6.9にするリン酸塩緩衝化食塩水(10mM)(138mM NaCl,2.7mM KCl)中2.5%グルタルアルデヒドを用いて表面の活性化を行う。室温で約2時間、これを撹拌ベッド上で撹拌する。次いで0.01%ツイーン20(界面活性剤)−0.02%を添加した超純水で、微小球をすすぎ、0.01%ツイーン20を添加したpH7.7のPBSで再度すすぐ。最後に、好ましくは0.45μmのamicon micropureフィルターを用いて前濾過した後、酵素を溶液に添加する。
【0074】
いくつかの具体例において、微小球は、さらに、ある種のデコーディングシステムにおいて用いる同定物結合リガンドを含む。本明細書において、「同定物結合リガンド」または「IBL」とは、対応するデコーダー結合リガンド(DBL)と特異的に結合して、ビーズに付着した生物活性剤の同一性の解明を容易にする化合物を意味する。すなわち、IBLおよび対応するDBLは、結合パートナー対をなす。本明細書において、「特異的に結合する」とは、IBLが、対応するDBLと他のDBL(すなわち、他のIBLに対するDBL)または該系の他の成分もしくは汚染成分との間で区別するのに十分な特異性をもって、そのDBLと結合することを意味する。該結合は、非特異的結合を除去するための洗浄工程を含むデコーディング工程の条件下で結合し続けるのに十分であるべきである。いくつかの具体例において、例えば、IBLおよび対応するDBLがタンパク質または核酸である場合、IBLのそのDBLに対する解離定数は、約10-4〜10-6M-1未満であり、約10-5〜10-9M-1未満が好ましく、約10-7〜10-9M-1が特に好ましい。
【0075】
IBL−DBL結合対は、既知であるか、または、既知の技術を用いて容易に見出すことができる。例えば、IBLがタンパク質である場合、DBLは、タンパク質(特に、抗体またはそのフラグメント(FAbなど)を包含する)または小分子を包含するか、またはその反対の場合である(IBLが抗体であり、DBLがタンパク質である)。金属イオン−金属イオンリガンドまたはキレート化剤対もまた有用である。抗原−抗体対、酵素および基体または阻害剤、他のタンパク質−タンパク質相互作用対、受容体−リガンド、相補的核酸(三重螺旋を形成する核酸分子を包含する)、および炭水化物およびそれらの結合パートナーもまた適当な結合対である。一本鎖もしくは二本鎖核酸結合タンパク質および小分子核酸結合剤を包含する、核酸−核酸結合タンパク質対もまた有用である。同様に、米国特許第5270163号、第5475096号、第5567588号、第5595877号、第5637459号、第5683867号、第5705337号、および関連特許に概略記載されているように(出典明示により本明細書の一部とする)、核酸「アプタマーズ(aptamers)」は、実際に任意の標的に結合するために開発することができる;かかるアプタマー−標的対は、IBL−DBL対として用いることができる。同様に、コンビナトリアル化学的方法に基づいた結合対の開発に関連する広範囲にわたる一群の文献がある。
【0076】
好ましい具体例において、IBLは、色または発光特性が選択的結合DBLの存在下で変化する分子である。
一つの具体例において、DBLは、蛍光体のような標識を担持していてもよい、ビーズ、すなわち、「デコーダービーズ」に付着していてもよい。
好ましい具体例において、IBL−DBL対は、実質的に相補的な一本鎖核酸を含む。この具体例において、結合リガンドは、「同定物プローブ」および「デコーダープローブ」と称することができる。一般に、該同定物およびデコーダープローブは、約4〜約1000塩基対の範囲の長さであり、約6〜約100が好ましく、約8〜約40が特に好ましい。重要なことは、該プローブが、特異的であるのに十分に長く、すなわち、異なるIBL−DBL対間で区別するのに充分に長く、しかも、a)必要に応じて、適当な実験条件下での、解離、およびb)効果的なハイブリダイゼーションを可能にするのに十分に短いことである。
【0077】
好ましい具体例において、以下により詳しく概略を記載するように、IBLは、DBLと結合しない。むしろ、IBLは、例えば、質量分光分析法の使用を介して、直接同定される同定物部分(「IM」)として用いられる。
別法として、好ましい具体例において、IBLおよび生物活性剤は、同じ部分であり;かくして、例えば、本明細書に概略記載するように、特に、光学的サインを用いない場合、生物活性剤は、同定物および該薬剤の両方としての働きをすることができる。例えば、核酸の場合、ビーズ結合プローブ(生物活性剤としての働きをする)もまた、デコーダープローブと結合して、ビーズ上のプローブの配列を同定することができる。かくして、この具体例において、DBLは、生物活性剤と結合する。このことは、この具体例がデコーディングに加えてアレイまたはアッセイについての情報を提供することができるので、特に有用である。例えば、以下により詳しく記載するように、DBLの使用は、アレイ検量線作製およびアッセイ開発を可能にする。このことは、DBLをそのままで用いない場合でも行われる;例えば、非ランダムアレイにおいては、これらのプローブセットの使用は、デコーディングが必要とされない場合でもアレイ検量線作製およびアッセイ開発を可能にすることができる。
【0078】
好ましい具体例において、微小球は、光学的サインを含まない。すなわち、米国特許出願番号08/818199および09/151877に概略記載されているように、従来の処理は、微小球のサブ集団の固有の生物活性剤を同定するのに用いられる固有の光学的サインまたは光学的タグを含む微小球の各サブ集団を有していた。すなわち、デコーディングは、ビーズの光学的特性を利用しており、これにより、固有の光学的サインを含むビーズが異なる光学的サインを有する他の位置のビーズと区別される。かくして、従来の処理は、各生物活性剤に固有の光学的サインを付与し、これにより、この生物活性剤を含む微小球がこのサインに基づいて同定される。これらの光学的サインは、色素、通常、発色基または蛍光体を含み、これらは、ビーズ自体に取込まれているかまたは付着している。光学的サインの多様性は、種々の蛍光色素、種々の比率の蛍光色素混合物、および種々の濃度(強度)の蛍光色素を利用した。
【0079】
かくして、本発明は、アレイをデコードするために光学的特性の使用(そういう場合もあるが)だけに頼るものではない。しかしながら、当業者に理解されるように、いくつかの具体例において、本発明の系と共に、付加的コーディング法として光学的サインを利用することが可能である。かくして、例えば、以下により詳しく概略記載するように、アレイの大きさは、有効に増大させることができるが、いくつかの方法において一組のデコーディング部分を用いた場合、そのうちの1つの方法は、光学的サインと組み合わせてビーズを用いることである。かくして、例えば、一「セット(組)」のデコーディング分子を用いた場合、光学的サインを有するものと有しないものの2つのビーズ群の使用により、アレイの大きさを有効に2倍にできる。複数の光学的サインの使用は、アレイの可能な大きさを同様に増大させる。
【0080】
好ましい具体例において、ビーズの各サブ集団は、複数の異なるIBLを含む。各生物活性剤をエンコードするために複数の異なるIBLを用いることにより、起こりうる固有のコードの数が実質的に増加する。すなわち、一つの生物活性剤につき1個の固有のIBLを用いることにより、アレイの大きさは、固有のIBLの数となる(以下に概略記載するように、「再使用」は生じなかったと仮定する)。しかしながら、インジケーターとして各IBLの存在または不在を用いた場合、ビーズ1個につき複数の異なるIBLを用いることにより、アレイの大きさを2nに増大させることができる。例えば、ビーズ1個につき10個のIBLの付与は、10ビット二進符号を生じ、ここで、各ビットは、「1」(IBLが存在する)または「0」(IBLが不在である)で示すことができる。10ビット二進符号は、210個の起こりうる変種を有する。しかしながら、以下により詳しく検討するように、濃度または強度などのもう1つのパラメータが含まれる場合には、アレイの大きさは、さらに、増大できる;かくして、例えば、2種類の異なる濃度のIBLを用いた場合、アレイの大きさは、3n増大する。かくして、この具体例において、アレイにおける各個々の生物活性剤は、生物活性剤の添加前、生物活性剤の合成後、またはその間にビーズに添加することができるIBLの組合せを付与される(すなわち、IBLおよび生物活性剤成分の同時添加)。
【0081】
別法として、生物活性剤が異なる残基のポリマーである場合、すなわち、生物活性剤がタンパク質または核酸である場合、異なるIBLの組み合わせを用いてタンパク質または核酸の配列を解明することができる。
したがって、例えば、2つの異なるIBL(IBL1およびIBL2)を用いて、核酸の第一の位置を解明することができる。例えば、アデノシンはIBL1およびIBL2の両方の存在によって示すことができ;チミジンはIBL1の存在およびIBL2の不在によって示すことができ、シトシンはIBL2の存在およびIBL1の不在によって示すことができ、グアノシンは両方の不在によって示すことができる。核酸の第二の位置は、IBL3およびIBL4を用いて同様に解明できる。したがって、IBL1、IBL2、IBL3およびIBL4の存在はAAの配列を与え;IBL1、IBL2およびIBL3は配列ATを示し;IBL1、IBL3およびIBL4は配列TAを与える。第3の位置は、IBL5およびIBL6などを利用する。このように、20種の異なる同定物の使用が全ての起こりうる10−merに対する固有のコードを生じることができる。
【0082】
該系は、タンパク質について同様であるが、各位置において許容される多様性に依存して、各位置を同定するために多数の異なるIBLを必要とする。したがって、例えば、あらゆるアミノ酸があらゆる位置で許容される場合、各位置について5つの異なるIBLが必要とされる。しかしながら、上記のように、例えば、ランダムペプチドを生物活性剤として使用する場合、系中に組み込まれた偏りがあってもよく;全てのアミノ酸が全ての位置に存在できるとはかぎらず、いくつかの位置を予めセットすることができ;したがって、各アミノ酸について4つの異なるIBLを用いることが可能である。
このように、各配列について一種の「バーコード」のようなものを構築でき;各々別個のIBLの存在または不在が各生物活性剤の同定を可能にする。
【0083】
さらに、種々の濃度または密度のIBLの使用は、ある程度の「再使用」を可能にする。例えば、第一の薬剤を含むビーズが1×濃度のIBLを有し、第二の薬剤を含む第二のビーズが10×濃度のIBLを有する場合、対応する標識されたDBLの飽和濃度を使用することにより、使用者は2つのビーズを区別できる。
いったん、候補薬剤および固有のIBLを含む微小球を作製したならば、それらを基体に添加してアレイを形成させる。本明細書に記載される方法の大部分は、アッセイの前にビーズを基体に添加するが、アレイの作製、使用およびデコーディングの順序は変更できる。例えば、アレイを作製し、デコードし、次いでアッセイを行うことができる。別法として、アレイを作製し、アッセイにおいて使用し、次いでデコードすることができる。これは、たった2、3個のビーズをデコードする必要がある場合に特別に有用でありうる。別法では、ビーズを基体に添加する前に、ビーズをアッセイ混合物、すなわち、標的アナライトを含有するサンプルに添加し;添加およびアッセイ後、アレイをデコードすることができる。これは、特に、ビーズを含むサンプルを攪拌または混合する場合に好ましく;これは、単位時間あたりにビーズに結合した標的アナライトの量を増加させることができ、かくして(核酸アッセイの場合)、ハイブリダイゼーション速度が速くなる。これは、サンプル中の標的アナライトの濃度が低い場合に特に有用であり;一般に、低濃度の場合、長い結合時間を用いなければならない。
【0084】
さらに、ビーズをアッセイ混合物に添加することは、選別または選択を可能にすることができる。例えば、ビーズの巨大なライブラリーをサンプルに添加してもよく、サンプルに結合するビーズだけを基体に添加してもよい。例えば、標的アナライトが蛍光標識される場合(直接的(例えば、核酸増幅反応物中への標識の取り込みによって)または間接的(例えば、サンドウィッチアッセイの使用による)のいずれか)、標的アナライト結合の結果として蛍光を示すビーズを蛍光活性化セルソーティング(FACS)によって選別することができ、これらのビーズだけをアレイに添加し、次いでデコードすることができる。同様に、選別はアフィニティー技術によって行ってもよく;標的アナライトを含むアフィニティーカラムを作製でき、結合するビーズだけをアレイに使用する。同様に、2つのビーズ系を使用でき;例えば、標的アナライトを含む磁性ビーズを使用して標的に結合するビーズを「引き出す」ことができ、続いて、磁性ビーズをその後に解離させ(例えば、温度上昇による)、アレイへ添加することができる。
【0085】
一般に、固有にエンコードされることのできる異なる候補薬剤の数を最大にするために、アレイの作製方法およびアレイのデコーディング方法を実施する。本発明の組成物は、種々の方法において作製してもよい。一般に、アレイは、ビーズを含む溶液またはスラリーをビーズが結合するための部位を含有する表面に添加することによって作製される。これは、水性および有機溶媒、ならびに混合物を包含する種々の緩衝液で行ってもよい。溶媒は蒸発させることができ、過剰のビーズは除去される。
好ましい具体例において、非共有結合法を用いてビーズをアレイに結合させる場合、アレイ上にビーズを負荷させる新規方法が用いられる。この方法は、アレイを粒子(微小球および細胞を包含する)の溶液に曝露し、次いでエネルギーを利用すること、例えば、混合物を攪拌または振動させることを含む。これは、弱く結合したビーズを落とす(またはウェルの場合、外に落とす)ために十分なエネルギーを用いて攪拌するので、より緊密に結合した粒子を含むアレイが得られる。次いで、これらの部位は、異なるビーズを結合するために利用できる。このように、部位に対して高親和性を示すビーズが選択される。このように作製されたアレイは、より静的な負荷に比べて、2つの主要な利点を有する。まず、より高い割合の部位を容易に満たすことができ、第二に、このように負荷されたアレイは、アッセイ中のビーズの損失を実質的に減少することを示す。したがって、好ましい具体例において、これらの方法を用いて、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも75%、特に好ましくは少なくとも約90%の部位を満たすアレイが得られる。同様に、この方法で得られたアレイは、好ましくは、アッセイ中、約20%未満、好ましくは約10%未満、特に好ましくは約5%未満のビーズが損失する。
【0086】
この具体例において、分離した部位を有する表面を含む基体を、粒子(ビーズ、細胞など)を含む溶液に浸漬する。表面は、本明細書に記載するように、ウェルを含んでいてもよく、または部位に対して差別的な親和性が存在するようなパターン化された表面上の他の種類の部位を含んでいてもよい。差別的な親和性は競合的プロセスをもたらし、その結果、より緊密に結合する粒子が選択される。好ましくは、ビーズが「負荷」されるべき全表面は、溶液と流動的に接触している。該溶液は、一般に、約10000:1〜1:1のビーズ:溶液(容量:容量)の範囲内にあるスラリーである。一般に、溶液は、水性緩衝液、有機溶媒、塩、他の試薬成分などを包含するかなり多数の試薬を含むことができる。さらに、溶液は、好ましくは、過剰のビーズを含み;すなわち、アレイ上の部位よりも多くのビーズが存在する。好ましい具体例は、2倍〜10億倍過剰のビーズを使用する。
浸漬は、アッセイ条件を模倣することができ;例えば、アレイを上方からサンプルを含むミクロタイタープレート中に「くぐらせる(dipped)」場合、該配置を負荷の間に繰り返すことができ、かくして、重力のためにおそらく外に落ちるビーズを最小限にする。
【0087】
いったん表面を浸漬したならば、基体、溶液またはその両方を競合的プロセスに付し、それにより、より低い親和性を有する粒子を基体から解離させ、部位に対してより高い親和性を示す粒子に置き換えることができる。該競合的プロセスは、熱、超音波処理、溶液または基体またはその両方をかきまぜるかまたは混合し、振動または攪拌するという形態でエネルギーを導入することによって行われる。
好ましい具体例は、攪拌または振動を用いる。一般に、アレイに対する損傷を防ぐために、基体の操作量を最少にする。かくして、好ましい具体例は、どちらでもよいが、アレイよりもむしろ溶液の攪拌を用いる。当業者に明らかなように、この攪拌は任意の数の形態で行うことができ、好ましい具体例では、マイクロタイタープレートシェイカーを用いて撹拌されるビーズ溶液を含むマイクロタイタープレートを利用する。
【0088】
攪拌は、アレイに所望の量まで負荷するのに十分な時間行う。ビーズの大きさおよび濃度ならびにアレイの大きさに依存して、この時間は約1秒〜数日の範囲であってもよく、約1分〜約24時間が好ましい。
アレイの全ての部位がビーズを含むとは限らないことに注目すべきである。すなわち、基体表面上のいくつかの部位は空であってもよい。さらに、好ましくないが、1個より多くのビーズを含有するいくつかの部位が存在しうる。
いくつかの具体例において、例えば、化学的結合を行う場合、無作為でないかまたは規則正しい方法でビーズを結合することが可能である。例えば、光活性化可能な結合リンカーまたは光活性化可能な接着剤またはマスキング剤を用いて、ビーズの所定の集団が配置されるように、アレイ上の選択された部位を順次、結合に適するようにしてもよい。
【0089】
本発明のアレイは、候補薬剤の同一性についての情報がアレイ中に組み込まれるように、ファイバーウェル中におけるビーズのランダムな沈着を「デコード」して、候補薬剤の同定が全ての位置で可能になるように構築される。これは、標的分子を検出するために、アレイの使用の前、間または後のいずれかにおいて、種々の方法で行ってもよい。
したがって、アレイを作製後、それは、基体表面上の1以上の生物活性剤、すなわち、ビーズの各サブ集団の場所を同定するために「デコード」される。
好ましい具体例において、選択的デコーディングシステムが使用される。この場合、標的アナライトの結合の結果として光学的シグナルの変化を示す微小球だけがデコードされる。これは、通常、「ヒット」の数、すなわち、デコードすべき部位の数が一般的に低い場合に行われる。すなわち、まずアレイを標的アナライトの不在下での実験条件下で走査する。標的アナライトを含有するサンプルを添加し、光学的シグナルの変化を示す場所だけをデコードする。例えば、陽性または陰性シグナル場所のいずれかのビーズを選択的に標識するか、または(例えば、光開裂可能なリンカーによって)アレイから解離させてもよく、次いで、蛍光活性化セルソーター(FACS)中で選別または濃縮してもよい。すなわち、全ての陰性ビーズを解離させた後、陽性ビーズを解離させるか、またはその場で分析する。または別法では、全ての陽性物を解離させ、分析する。別法では、標識は、ハロゲン化芳香族化合物を含んでもよく、標識の検出は、例えば、ガスクロマトグラフィー、化学的タグ、同位元素タグまたはマススペクトルタグを用いて行う。
【0090】
当業者に明らかなように、これは、また、アレイがデコードされない系、すなわち、ビーズ組成物と場所との相互関係は決して必要ではない系において行ってもよい。この具体例において、ビーズをアレイ上に負荷し、アッセイを行う。次いで、「陽性」、すなわち、下記に十分に概説するように光学的シグナルの変化を示すビーズを「マーク」して、「陰性」ビーズからそれらを区別または分離する。これは、いくつかの方法、好ましくは光ファイバーアレイを用いて行うことができる。好ましい具体例において、各ビーズは蛍光色素を含有する。アッセイおよび「陽性」または「活性ビーズ」の同定の後、一般に光活性化試薬(典型的には溶存酸素)の存在下で、陽性ファイバーだけまたは陰性ファイバーだけに光を当てる。前者の場合、全ての活性ビーズは光退色する。したがって、例えば、蛍光活性化セルソーター(FACS)機械を用いるその後の選別を伴うビーズの非選択的放出により、非蛍光活性ビーズを蛍光陰性ビーズから選別できる。別法では、光を陰性ファイバーに当てる場合、全ての陰性物が非蛍光性であり、陽性物が蛍光性であり、選別を続行することができる。結合した生物活性剤の特徴付けは、例えば、質量分析器を用いて直接行ってもよい。
【0091】
別法では、同定は、IBLに類似するが、必ずしもDBLに結合する必要のない同定物部分(「IM」)の使用によって行ってもよい。すなわち、生物活性剤の構造を直接解明するよりもむしろ、IMの組成物が同定物としての働きをする。したがって、例えば、IMの特定の組み合わせはビーズをコードする働きをすることができ、これを用いてビーズから解離させ、続いて、例えば、ガスクロマトグラフィーまたは質量分光器を用いて分析することによって、ビーズ上の物質を同定することができる。
別法では、各ビーズに蛍光色素を含有させるよりもむしろ、各ビーズは蛍光色素の非蛍光前駆体を含む。例えば、蛍光分子上のある種のオルト−ニトロベンジル基などの光開裂可能な保護基を用いて、蛍光色素の光活性化を行うことができる。アッセイ後、光を再び「陽性」または「陰性」ファイバーのいずれかに当てて、これらの集団を区別する。次いで、照明された前駆体は化学的に蛍光色素に変換される。次いで、選別を用いて全てのビーズをアレイから解離させて、蛍光および非蛍光ビーズ(陽性および陰性のどちらか、またはその逆)の集団を形成させる。
【0092】
別の好ましい具体例において、ビーズの結合部位(例えば、ウェル)は、光重合可能な試薬を含み、または光重合可能な薬剤が構築されたアレイに加えられる。試験アッセイを実施後、光を再び「陽性」または「陰性」ファイバーのいずれかに当て、これらの集団を区別する。照射の結果として、全ての陽性物または全ての陰性物のいずれかが重合し、該部位に捕捉または結合されるが、ビーズの他の集団はアレイから解離させることができる。
好ましい具体例において、デコーダー結合リガンド(DBL)を用いてあらゆる生物活性剤の場所が決定される。上記のように、DBLは、もし存在するならば同定物結合リガンドに結合するか、または好ましくは、生物活性剤が核酸またはタンパク質である場合、生物活性剤自体に結合する結合リガンドである。
好ましい具体例において、上記のように、DBLはIBLに結合する。
【0093】
好ましい具体例において、生物活性剤は1本鎖核酸であり、DBLは実質的に、生物活性剤に結合(ハイブリッド形成)する相補的な1本鎖核酸(本明細書においてデコーダープローブと称される)である。各候補プローブに実質的に相補的なデコーダープローブを作製し、アレイのデコードに使用する。この具体例において、候補プローブおよびデコーダープローブは特異性を与えるのに十分な長さ(および適当な条件下で実施されるデコーディング工程)であるべきであり;すなわち、各候補プローブは、各候補プローブの区別を可能にするために十分な特異性を有するその対応するデコーダープローブに結合する。
好ましい具体例において、DBLは直接的または間接的に標識される。本明細書中における「標識される」なる語によって、化合物が、化合物の検出を可能にするために、結合した少なくとも1個の元素、同位元素または化合物を有することを意味する。一般に、標識は3つのクラス:a)放射性同位元素または重同位元素であってもよい同位元素標識;b)磁性、電気的、熱;およびc)着色または発光性色素に分類されるが、標識は磁性粒子などの粒子と同様に酵素を包含する。好ましい標識は、発光性標識を包含する。好ましい具体例において、DBLは直接的に標識される。すなわち、DBLは標識を含む。別の具体例において、DBLは間接的に標識される。すなわち、DBLに結合するであろう標識結合リガンド(LBL)を使用する。この具体例において、標識結合リガンド−DBL対はIBL−DBL対に関してすでに記載したのと同様であることができる。適当な標識は、限定するものではないが、ユーロピウムおよびテルビウムの錯体を包含する蛍光性ランタニド錯体、フルオレセイン、ローダミン、テトラメチルローダミン、エオシン、エリトロシン、クマリン、メチル−クマリン、ピレン、マラカイトグリーン、スチルベン、ルシファーイエロー(Lucifer Yellow)、カスケードブルー(Cascade BlueTM)、テキサスレッド、FITC、PE、cy3、cy5およびRichard P. HauglandによるMolecular Probes Handbook第6版(出典明示により特に本明細書の一部とされる)に記載される他の標識を包含する。
【0094】
一例において、標識は、局所的環境の変化のためにその色または発光の性質がIBLの存在下で変化する分子である。例えば、標識は、(1)その発光強度がpHにより変化する蛍光性pH指示薬;(2)その発光性がイオン濃度により変化する蛍光性イオン指示薬;または(3)その蛍光強度が疎水性環境下で増加するエチジウム塩のような蛍光分子であってもよい。
したがって、個々のビーズ(またはビーズのサブ集団)の場所の同定は、標識されたDBLとIBLまたは生物活性剤との間の結合(すなわち、生物活性剤が核酸である場合、候補プローブとデコーダープローブの間のハイブリアイゼーション)を含む1以上のデコーディング工程を用いて行われる。デコーディング後、DBLを除去でき、アレイを使用することができるが、いくつかの状況において、例えば、DBLがIBLに結合し、生物活性剤に結合しない場合、DBLの除去は必要とされない(いくつかの状況においてそれは望ましい)。さらに、本明細書に概説されるように、デコーディングは、アレイをアッセイに使用する前、アッセイ中、またはアッセイ後のいずれで行ってもよい。
【0095】
一例において、単一のデコーディング工程を行う。この具体例において、固有の標識の数が生物活性剤の数に等しいか、またはそれよりも多くなるように、各DBLを固有の標識で標識する(いくつかの場合、本明細書に記載のように、固有の標識の「再使用」ができ;同様に、変種が別の次元において、すなわち、ビーズの大きさまたは標識においてエンコードされる場合、候補プローブの少数の変種が同じデコーダーを共有できる)。各生物活性剤またはIBLについて、特異的にそれに結合し、固有の標識、例えば、1以上の蛍光色素を含有するDBLが作製される。したがって、各DBLの同一性、その組成(すなわち、それが核酸である場合、その配列)およびその標識の両方が知られている。次いで、DBLと生物活性剤またはIBLのいずれかとの複合体(成分が核酸である場合、ハイブリダイゼーション複合体と称される)の形成を可能にする条件下で、生物活性剤を含有するアレイにDBLを加えることによって、各DBLの場所を解明することができる。このことは、各生物活性剤の場所の同定を可能にし;ランダムなアレイがデコードされる。次いで、必要ならばDBLを除去でき、標的サンプルを適用する。
【0096】
好ましい具体例において、固有の標識の数は固有の生物活性剤の数より少なく、したがって、一連のデコーディング工程が用いられる。議論を容易にするために、他のタイプの生物活性剤およびDBLも同様に有用であるが、この具体例を核酸について例示する。この具体例において、デコーダープローブはデコーディングのためにn個のセットに分割される。セットの数は固有のタグの数に対応する。各デコーダープローブは、n個の別個のタグを用いるn個の別々の反応において標識される。全てのデコーダープローブは同じn個のタグを共有する。デコーダーの各プールは、各デコーダーのn個のタグバージョンのうち1個だけを含有し、全プールにわたって同じ配列のタグを有する2個のデコーダープローブは存在しない。このことを実現するために必要なプールの数は、デコーダープローブの数およびnによって決定される。各プールのアレイに対するハイブリダイゼーションは、IBLを含むあらゆるアドレスでシグナルを生じる。各プールの連続したハイブリダイゼーションは順に、各候補プローブに対して固有の配列特異的コードを生じるであろう。このことは、アレイ中における各アドレスで候補プローブを同定する。例えば、4個のタグを用いる場合、4×n個の連続したハイブリダイゼーションによって理想的に言えば、いくつかの場合、より多くの工程が必要とされうるが、4n個の配列を識別することができる。各プールのハイブリダイゼーション後、ハイブリッドは変性し、デコーダープローブが除去され、その結果、プローブは次のハイブリダイゼーションのために1本鎖にされる(しかし、利用可能なプローブが飽和しないように、標的の量を制限してハイブリッド形成することも可能である。連続したハイブリダイゼーションを行うことができ、先のハイブリダイゼーションから予め存在するシグナルを引き算することによって分析することができる)。
【0097】
当業者には理解されるように、ハイブリダイゼーションまたはインキュべーション時間は変化する。一般に、ハイブリダイゼーションまたはインキュべーション時間は数秒から数分または数時間または数日またはそれ以上まで続く。本明細書において記載するようなハイブリダイゼーションチャンバーを利用する場合、ハイブリダイゼーションまたはインキュべーション時間はハイブリダイゼーションチャンバーを用いない場合のインキュべーション時間と比較して増大する可能性がある。
一例を示す。16個のプローブ核酸(番号1〜16)のアレイおよび4個の固有のタグ(4個の異なる蛍光(fluor)、例えば、標識A−D)を仮定する。ビーズ上のプローブに対応するデコーダープローブ1−16を作製する。第一工程は、タグAでデコーダープローブ1−4、タグBでデコーダープローブ5−8、タグCでデコーダープローブ9−12およびタグDでデコーダープローブ13−16を標識することである。プローブを混合し、プールを候補プローブが結合したビーズを含有するアレイと接触させる。次いで、各タグの場所(およびしたがって、各デコーダーおよび候補プローブ対)を決定する。次いで、デコーダープローブの最初のセットを除去する。今回はデコーダープローブ1、5、9および13がタグAで標識され、デコーダープローブ2、6、10および14がタグBで標識され、デコーダープローブ3、7、11および15がタグCで標識され、デコーダープローブ4、8、12および16がタグDで標識されている第二のセットを加える。したがって、両方のデコーディング工程においてタグAを含有したビーズは、候補プローブ1を含み;最初のデコーディング工程におけるタグAおよび第二のデコーディング工程におけるタグBは候補プローブ2を含有し;最初のデコーディング工程におけるタグAおよび第二の工程におけるタグCは候補プローブ3を含有するなど。当業者に明らかなように、デコーダープローブはいずれかの順番で作製でき、任意の順番で加えることもできる。
【0098】
一例において、デコーダープローブをその場(in situ)で標識する。すなわち、それらはデコーディング反応前に標識する必要がない。この具体例において、入力デコーダープローブは候補プローブより短く、デコーディングプローブ上に5’「突出部」を作製する。標識されたddNTP(各々、固有のタグで標識された)およびポリメラーゼの付加は、配列特異的な方法でタグの付加を可能にし、したがって、シグナルの配列特異的パターンを作製する。同様に、結紮などを包含する他の修飾を行うことができる。
さらに、アレイの大きさは、固有のデコーディング結合リガンドの数によって設定されるので、より多くの数の試験部位を考慮に入れるために、固有のDBLのセットを「再使用」することが可能である。これは、いくつかの方法、例えば、光学的サインを含むいくつかのサブ集団を使用することによって行ってもよい。同様に、アレイ内の位置的コーディングスキームの使用;異なるサブバンドルはDBLのセットを再使用しうる。同様に、1の具体例はコーディング様式としてビーズの大きさを利用し、かくして、各ビーズの大きさについて固有のDBLのセットの再使用を可能にする。別法では、ビーズでのアレイの連続した部分的負荷もまた、DBLの再使用を可能にする。さらに、「コード共有」も同様に生じることができる。
【0099】
好ましい具体例において、DBLは、ビーズのいくつかのサブ集団に光学的サインを含ませることによって再使用されうる。好ましい具体例において、光学的サインは、一般に、レポーター色素(好ましくは蛍光性)の混合物である。混合物の組成(すなわち、1の色素の別の色素に対する比率)および色素の濃度(シグナル強度の差に至る)の両方を変化させることによって、固有の光学的サインのマトリックスを生じさせることができる。これは、色素をビーズの表面に共有結合させることによって、あるいは、ビーズ内に色素を取り込ませることによって行ってもよい。色素は発色団または蛍光体であってもよいが、好ましくは蛍光色素であり、それは、その強いシグナルのために、良好なシグナル対ノイズ比をデコーディングに提供する。本発明の使用に適当な色素は、上記の標識DBLについて列挙したものを包含する。
【0100】
好ましい具体例において、エンコーディングは、例えば、ビーズの大きさにおいてより多くのエンコーディングディメンションを加えてもよいが、少なくとも2色素の比率で達成できる。さらに、標識は互いに識別可能であり;したがって、2つの異なる標識は異なる分子(すなわち、2つの異なる蛍光体)を含みうるか、または別法では、2つの異なる濃度または強度で1つの標識であってもよい。
好ましい具体例において、色素はビーズの表面に共有結合する。ビーズの表面上の官能基を用いて、一般に生物活性剤の結合について概説されたように、これを行ってもよい。当業者に明らかなように、これらの結合は、色素に対する影響を最少にするために行われる。
好ましい具体例において、一般に、ビーズの孔中に色素を捕捉することによって、色素はビーズと非共有結合する。
さらに、レポーター色素のサインおよび検出感度を調べるために使用される光の強度に無反応であるので、単一の色素濃度よりもむしろ2以上の色素の比率におけるエンコーディングが好ましい。
【0101】
好ましい具体例において、空間的または位置的コーディングシステムを行う。この具体例において、利用されるサブバンドルまたはサブアレイ(すなわち、全アレイの一部)がある。電話システムたとえると、各サブアレイは「地域番号」であり、サブアレイの場所によって分けられている他のサブアレイの同じ標識(すなわち、電話番号)を有することができる。したがって、例えば、同じ固有の標識をバンドル毎に再使用することができる。したがって、100個の異なるサブアレイと組み合わせた50個の固有の標識の使用は、5000個の異なる生物活性剤のアレイを形成することができる。この具体例において、1のバンドルを他のバンドルから同定できることが重要になり;一般に、これは手動で、またはマーカービーズの使用(これらは各サブアレイについて固有のタグを含有するビーズであることができる)、または異なる量における同じマーカービーズの使用、または異なる比率における2個以上のマーカービーズの使用によって行われる。
【0102】
別の具体例において、微小球の大きさなどの付加的なエンコーディングパラメーターを加えることができる。例えば、異なる大きさのビーズの使用はDBLのセットの再使用も可能にしうる。すなわち、微小球のエンコーディングディメンションを広げるために、異なる大きさの微小球を使用することが可能である。異なるファイバー直径または断面を有するピクセルを含有する光ファイバーアレイを作製することができ;別法では、より大きなバンドルを形成するために、2以上の光ファイバー束(各々が個々のファイバーの異なる断面を有する)を一緒に加えることができ;または、同じ大きさの断面のファイバーを有するが、異なる大きさのビーズを有する光ファイバー束を用いることができる。異なる直径を用いると、最大のウェルを最大の微小球で満たすことができ、次いで、全ての大きさのウェルが満たされるまで、次第により小さなウェル中により小さな微小球を移動させる。この方法で、同じ色素比を用いて異なる大きさの微小球をエンコードすることができ、それにより、アレイ中に存在する異なるオリゴヌクレオチド配列または化学的官能性の数を拡大することができる。光ファイバー基体について概説したが、この方法ならびに本明細書に概説される他の方法は、他の基体および他の結合様式を用いて同様に行うことができる。
【0103】
好ましい具体例において、コーディングおよびデコーディングは、微小球のアレイ中への連続した負荷によって達成される。この具体例において、空間的コーディングに関して上記で概説されたように、光学的サインを「再使用」することができる。この具体例において、各々、異なる生物活性剤を含む微小球のライブラリー(または各々、異なる生物活性剤を含むサブ集団)を複数のサブライブラリーに分割し;例えば、所望のアレイの大きさおよび固有のタグの数に依存して、各々、全ライブラリーの約10%を含む10個のサブライブラリーを作製してもよく、各サブライブラリーはおよそ同じ固有のタグを含む。次いで、第一のサブライブラリーを、ウェルを含む光ファイバー束に加え、一般にDBLの使用によって、各生物活性剤の場所を決定する。次いで、第二のサブライブラリーを加え、各生物活性剤の場所を再び決定する。この場合、シグナルは、「第一の」DBLおよび「第二の」DBL由来のシグナルを含むであろう。2つのマトリックスを比較することによって、各サブライブラリー中における各ビーズの場所を決定することができる。同様に、第3、第4などのサブライブラリーを連続して加えることにより、アレイを満たすことができるであろう。
【0104】
好ましい具体例において、いくつかの方法でコードを「共有」することができる。第一の具体例において、結合力が十分に異なる標的アナライトの場合、単一のコード(すなわち、IBL/DBL対)を2以上の薬剤に与えることができる。例えば、mRNA定量アッセイに用いた2個の核酸プローブは、それらのハイブリダイゼーションシグナル強度の範囲が重複しない場合、同じコードを共有することができる。これは、例えば、標的配列の1つが常に、他よりも非常に高い濃度で存在する場合に起こることができる。別法では、2つの標的配列は常に、同様な濃度で存在しうるが、ハイブリダイゼーション効率において異なる。
別法では、薬剤が機能的に等価である場合、単一のコードを複数の薬剤に与えることができる。例えば、オリゴヌクレオチドプローブのセットが特定の遺伝子の存在を検出するという共通の目的で設計される場合、たとえ配列が異なっていても、プローブは機能的に等価である。同様に、アナライトのクラスまたは「ファミリー」が所望の場合、キナーゼまたはG−タンパク質結合受容体のようなクラスの異なるメンバーに対する全プローブは、コードを共有することができた。同様に、このタイプのアレイを用いて既知遺伝子の相同物を検出することができた。該具体例において、各遺伝子は、異なる遺伝子領域にハイブリッド形成する(したがって、配列の異なる)プローブの異種セットによって示される。プローブのセットは共通コードを共有する。相同物が存在する場合、プローブの全てではないがいくつかにハイブリッド形成しうる。相同性のレベルは、ハイブリッド形成するプローブのフラクションならびに平均ハイブリダイゼーション強度によって示される。同様に、同じタンパク質に対する複数の抗体は全て、同じコードを共有することができた。
【0105】
好ましい具体例において、自己構築されたランダムアレイ(self-assembled random array)のデコーディングをpH滴定に基づいて行う。該具体例において、生物活性剤に加えて、ビーズは光学的サインを含み、ここに、光学的サインは発光団のようなpH応答色素(ときどき、本明細書において「pH色素」と称される)の使用によって生じる。該具体例は、溶液pHがpKaより下からpKaより上に(またはその逆)調整される場合、本発明で使用される色素が蛍光強度(または他の特性)の変化を示すことを除き、PCT US98/05025および米国特許番号09/151877(どちらも、出典明示により明らかに本明細書の一部とされる)に概説されるものと類似する。好ましい具体例において、各々が異なるpKaを有し、好ましくは、少なくとも0.5pH単位によって区別されるpH色素のセットを使用する。好ましい具体例は、pKa2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11および11.5のpH色素を使用する。各ビーズは、pH色素のいずれかのサブセットを含有することができ、このように、生物活性剤に対して固有のコードが得られる。したがって、アレイのデコーディングは、pH1からpH13でアレイを滴定し、溶液pHの相関として各ビーズ由来の蛍光を測定することによって達成される。
【0106】
好ましい具体例において、固有または別個のタグの数を増やすための付加的な方法がある。すなわち、各ビーズ上の別個の属性を用いてコード数を増やすことができる。さらに、連続したデコーディングにより、新規な方法でコードの再使用を可能にする。これらの属性は互いに独立し、したがって、コードの数をデコーディング工程の数と属性の数(例えば、別個のコード)の関数として指数関数的に増大させることができる。しかしながら、単一のデコーディング工程において得られるデコーディング情報の量を増やすことによって、デコーディング工程の数が著しく減少する。あるいは、別個のコードの数が著しく増える。デコーディング工程あたりの属性の数を増やすことによって、より少ないデコーディング工程が所定数のコードについて必要とされる。したがって、好ましい具体例において、種々の方法を用いて、アレイをデコーディングする過程において有用な多数のコードを生じ、同時に、必要なデコーディング工程を最小限にする。例えば、種々の異なるコーディング策法を組み合わせることができる。したがって、異なる「色」、色の組み合わせ(「色相」)、色または色相またはその両方の異なる強度などを全て組み合わせることができる。
【0107】
好ましい具体例において、DBLは、物理的属性の定量的または別個のセットをビーズに接着または埋め込むこと、すなわちビーズの標識化に依存する。ビーズの好ましい物理的属性は、限定するものではないが、表面の「平滑さ」または「ざらざらな状態」、色(蛍光およびその他)、色の強度、大きさ、検出可能な化学的部分、化学的反応性、磁性、pH感度、存在する色素間のエネルギー移動効率、疎水性、親水性、吸収性、電荷、pH感度などを包含する。
ビーズデコーディングスキームは、単一の定量可能な属性を各ビーズタイプに付与/しみ込ませることを包含し、ここに、各ビーズタイプは該属性の定量可能な値において異なる。例えば、所定数の蛍光体をビーズに付着させることができ、デコーディング過程において付着した蛍光体の数を定量することができるが、実際、「所定量」の属性をビーズに付着させ、属性を正確に測定することは問題があるかもしれない。一般に、目的は変動係数(CV)を減らすことである。変動係数によって、連続的な標識化においてビーズを標識することにおける変異性を意味する。該CVは、複数の試験において所定数の標識(例えば、蛍光体)でビーズを標識し、ビーズによって発せられる得られるシグナルを測定することによって決定できる。大きなCVは、いずれか所定の属性について、使用可能で解明可能な「レベル」の数を限定する。
【0108】
より強固なデコーディングスキームは、定量的属性をコードに分けるために、絶対測定よりもむしろ比率測定を用いる。比率計デコーディングにより、ある比率の標識(すなわち、1:10、1:1および10:1)でビーズを標識することを意味する。理論上は、比率間のシグナルの差異が検出可能であるかぎり、いずれの比率も用いることができる。該過程は、より小さいCVを生じ、所定の動的範囲内でより多くの属性分割を可能にする。したがって、好ましい具体例において、比率計デコーディングの使用は変動係数を減少させる。
さらに、当業者に明らかなように、比率計デコーディングは異なる方法において達成できる。該具体例において、第一のデコーディング反応において第一の色素(または色素の組み合わせ)強度を有する所定数のDBLおよび連続した第二のデコーディング反応において第二の色素強度を有する第二の数を加えるよりもむしろ、該比率計分析は、ある比率の標識:非標識DBLを用いて行ってもよい。すなわち、飽和濃度のデコーディングビーズのセット、例えば、100000DBL/反応が与えられると、第一の強度のデコーディング工程は、100000個の標識したDBLを加えることによって行ってもよく、第二工程は10000個の標識したDBLおよび90000個の標識していないDBLを加えることによって行うことができる。平衡は、第二工程が10分の1のシグナル強度を与えることを示す。
【0109】
定量的に測定した属性値の拡散のため、別個のコードの数は実際に12個未満ほどのコードに限定される。しかしながら、異なる属性値を有するビーズを連続的に「ペイント」(すなわち、一時的に属性レベルをビーズに接着する)し、「剥がす」(属性レベルを除去する)ことによって、可能性のあるコードの数がデコーディング過程における一連の段階の数と共に指数関数的に増加する。
一例を示す。例えば、9個の異なるビーズタイプおよび3つの区別可能な属性分布(表1)。ビーズを2つの異なる段階において、組み合わせ上別個のパターンにおける異なる属性値で「ペイント」(標識)することにより、各ビーズタイプにつき固有のコードが生じる。すなわち、9個の別個のコードが生じる。したがって、好ましい具体例において、ビーズは、複数の段階において、組み合わせ上別個のパターンにおける異なる属性で標識される。これは、各ビーズタイプにつき固有のコードを生じる。異なる属性の例は上記される。異なる属性でのビーズの標識は、当該分野で既知の方法によって行われる。
【0110】
【表1】
【0111】
蛍光色は、デコーディングスキームにおいて使用するために特に都合のよい属性である。蛍光色は、IBLを認識するいずれの薬剤にも接着できて、標識されたDBLを形成する。議論は、DBLとしてのオリゴヌクレオチド(核酸類似物を包含する)に向けられる。蛍光標識したオリゴヌクレオチドは、特異的、かつ、可逆的にビーズの任意の所望のサブセットを特定の色で、ハイブリダイゼーションおよびデハイブリダイゼーション(すなわち、相補的配列を有するDBLに対して)の過程によって単純に「ペイント」(標識)することができるので、特に有用なDBLである。さらに、蛍光は容易に画像化され、標準的な光学的ハードウェアおよびソフトウェアを用いて定量される。所定のビーズタイプを特定の色で「ペイント」するために、ビーズタイプは固有のハイブリッド形成可能なDNA配列(IBL)で標識されなければならず、デコーディング溶液は該配列の色で標識された補体を含有しなければならない。
【0112】
デコーディングスキームの実施において1の考慮すべき事柄は、集められる画像の数を最小限にすることである。色に基づくスキームにおいて、集められる画像の数は色の数および段階の数の産物である。画像の数は、各所定の段階につき複数の色でビーズを「ペイント」することによって減らすことができる。複数の色をビーズに与えることにより、効果的なコードの数が増加する。例えば、コンピューターによって使用される24ビットの3色のスキーム(例えば、赤、緑、青)カラーリングプロセスにおいて、全部で256*256*256=16700000個の異なる「色相」がたった3色(赤、緑、青)から生じることができる。
したがって、好ましい具体例において、DBLは、有色の蛍光体の組み合わせを用いて標識される。該方法はそれ自体、ほんの少数の異なる色素(色)を用いてDBLを標識するために利用可能なコードの数を増やすことにおいて有用である。各デコーディング工程で利用可能なコードの数を増やすことは、所定のデコーディング過程において必要とされるデコーディング工程の数を大幅に減らすであろう。
【0113】
一例において、単一のDBLをエンコードするオリゴヌクレオチドの集団は、DBLが結合する各ビーズが有色の蛍光体の組み合わせから公式化される特徴的な「色相」に基づいて同定されるように、所定の比率の色で標識される。好ましい具体例において、2つの別個の色を用いる。好ましい具体例において、3またはそれ以上の別個の色素(色)が利用可能である。該例において、単一のDBLをエンコードしているオリゴヌクレオチドの集団をいずれかの所定の色で標識することによって生じた区別可能なコードの数は3である。しかしながら、標識化における色および色のレベルの組み合わせを考慮することによって、より多くのコードが生じる。
ハイブリダイゼーションによるデコーディングについて、識別可能な色調の好ましい数は2〜2000であり、識別可能な色調のより好ましい数は2〜200であり、識別可能な色調の最も好ましい数は2〜20である。3つの異なる色調(強度)および3色を用いると、異なる色相の数が34=81になる。色相と連続的デコーディングの組み合わせにより、事実上無限数のコードを生じさせることができる。
【0114】
以前の記載のように、DBLは、IBLに結合するいずれかの薬剤であることができる。好ましい具体例において、単一のDBLは予め決定された比率の色で標識される。該比率は、各DBLについて変化され、したがって、標識される各DBL自体につき固有の「色相」が可能である。ビーズのDBLでの処理後、ビーズを分析して、各ビーズと結合した「色相」を決定し、それにより、その結合した生物活性剤を有するビーズを同定する。
例えば、4つの主要な色および2つの強度レベル(色の存在または不在)を用いて、15の異なる色相/段階が可能である。4つの色素および3つの異なる強度レベルを用いる場合(不在、半分存在、完全に存在)、73の異なる色相/段階が可能である。この場合、たった4色の画像の獲得が、73の異なるコーディングの色相についての情報を得るのに十分である。
【0115】
好ましい具体例において、本発明は、分離した部位を含む表面を有する第一の基体を含むアレイ組成物を提供する。好ましい具体例は、該部位に分布した微小球の集団を利用し、該集団は少なくとも第一および第二のサブ集団を含む。各サブ集団は、生物活性剤およびさらに、所定のpKaを有する少なくとも1個の光学的色素を含む。異なる光学的色素のpKaは異なる。
好ましい具体例において、例えば、アレイがクローン化した核酸を含む場合、アレイをデコードするために用いることのできるいくつかの方法がある。好ましい具体例において、クローン化核酸についてのいくつかの配列情報が知られている場合、本明細書に広く概説するように、特定のデコーディングプローブを作製することができる。
【0116】
好ましい態様において、「ランダム」なデコーディングプローブを作製することができる。前に概説したように、一連のハイブリダイゼーションまたは複数の標識の使用により、固有のハイブリダイゼーションパターンが各センサーエレメントに関して生じ得る。これにより、所定のクローンを示すビーズの全ては同じグループに属するとみなすことができる。一般に、これは、配列依存的であるが高程度に配列特異的ではない様式で結合するランダムまたは部分変性デコーディングプローブを用いて行う。該プロセスは各回、異なる標識物質を用いて何回も繰り返すことができ、ある意味特異的な相互作用に基づく異なるシグナルパターンを生じることができる。この方法において、各センサーエレメントに関して固有の光学的サインがついに確立される。パターン認識またはクラスター形成アルゴリズムを光学的サインに適用することにより、ビーズを同じサインを共有する(すなわち、同じプローブを有する)セットにグループ分けすることができる。
【0117】
クローンそのものの実際の配列を同定するためには、追加的方法が必要とされ、例えば、直接配列決定を行うことができる。斑点cDNAアレイ(a spotted cDNA)のような、クローンを含むオーダーアレイ(ordered array)を用いることにより、該セット内でのその位置が分かっている特定クローンにハイブリダイゼーションパターンを関係付ける「鍵」を生じることができる。この方法で、クローンを回収し、さらに特徴づけることができる。
別法では、クローンアレイは、ベクタータグを有する二元デコーディングを用いてデコードすることができる。例えば、部分的にランダム化したオリゴを核酸ベクター(例えばプラスミド、ファージなど)中にクローン化する。各オリゴヌクレオチド配列は限られたセットの配列のサブセットから成る。例えば、限られたセットが10配列を含む場合、各オリゴヌクレオチドは幾つかのサブセット(または10の全て)配列を有してもよい。つまり、10配列のそれぞれがオリゴヌクレオチド中に存在することもできるし、あるいは存在しないことも可能である。それゆえ、210または1024の可能な組み合わせが存在する。配列は重複してもよく、可能な組み合わせの数を増すために、副次的な変種を示すこともできる(例えばA、C、TおよびG置換)。核酸ライブラリーをランダムなコード配列を含むベクター中にクローン化する。別法では、PCRのような他の方法を用いてタグを付加することができる。この方法において、クローンのアレイをデコードするために、少数のオリゴデコーディングプローブを用いることができる。
【0118】
好ましい具体例において、判別分析およびクラスターアルゴリズムおよびコンピューター装置を用いて、本発明のアレイ由来のデコーディングデータを分析する。多段デコーディングプロセスにおいて異なる強度および「色相」の蛍光体の使用と組み合わせた本発明に用いられる潜在的に多数のコードは、データの良好な分類を必要とする。データ、特に強度データは、各段階にてビーズが異なる色または色の混合(「色相」)で可逆的に標識される(例えば、色素標識された相補的なデコーディングオリゴヌクレオチドをビーズ上のIBLプローブにハイブリッド形成することによるか、または非核酸IBL−DBL対のための結合リガンド対の形成による)多段プロセスにおいてもたらされる。難題は、各工程でどの色がペイントされたかにしたがってビーズを正確に分類することである。標識が互いにより密接に関係すればするほど(光学的画像システムによって決定されるように)、分類が困難になる。
【0119】
画像システムによって示されるような色素の接近は、デコーディング色素のスペクトル特性および画像システムのスペクトルチャンネル分離によって決定される。より良好な色の分離は、狭い発光スペクトルを有する蛍光色素を用いることによって、および色素を「ピークで」励起し、「ピークで」その発光を測定するために設計された狭い帯域通過励起および発光フィルターを有する光学系を用いることによって達成される。ビーズ上の色素を光学的に画像化する過程は、目の中の3つの異なる円錐タイプにおける励起の比率を測定することによって脳が色を見るヒトの視覚過程に類似する。しかしながら、光学的画像システムを用いると、実際の色のチャンネルの数は、ヒトの目に存在する3つよりも非常に多い。CCDに基づく画像システムは、350nmから850nmまでの色を「見る」ことができるが、目の円錐体は500−600nmの可視スペクトルに調律されている。
【0120】
ビーズアレイをデコーディングする問題は、本質的に、判別分析分類の問題である。したがって、好ましい具体例において、ハイパースペクトルαスペースにおける変動の分析は、ビーズの色または色相の既知のセットにおいて行われる。αスペースにおけるビーズクラスターの中心は、クラスターの重心と呼ばれ、クラスター内の点の散乱がクラスターの拡散を決定する。しっかりとした分類スキームは、異なるビーズクラス(色相)の重心間の距離がいずれかのクラスタークラスの拡散より非常に大きいことを必要とする。さらに、重心の場所は、ファイバー毎におよび実験毎に変化しないままであるべきである。
したがって、好ましい具体例において、色相「ゾーン」は、色相の重心の周囲であって、クラスターの拡散半径の外まで広がっているαスペース中の領域として定義される。色相の重心および拡散半径の対照セットを用いると、経験的に決定されるように、データの新規なセットの分類は、所定のビーズ点が色相クラスターの「ゾーン」の近くまたは中に落ちるかどうかを求めることによって達成できる。これは、異なる色相クラスの重心からビーズ点のマハラノビス距離(この場合、それは単純にユークリッド距離計量である)を計算することによって達成される。図3に示されるデータについて、重心の場所およびそれらの互いからの距離を表2に示す。
【0121】
【表2】
【0122】
特定の色相クラスに異なるビーズを分類するために、0.3のユークリッド距離カットオフを選択した。最も近い2つの重心、Bod−R6GおよびBod−564(距離=0.55)は、0.3のユークリッドまたはマハラノビス距離を用いる場合、デコーディングゾーンにおいてわずかに重複する。分類における改善は、この距離を減らし、異なる座標軸に適当に重みを与えることによって達成される。
したがって、本発明は、ビーズの色を分析および分類するコンピューター法を提供する。ビーズの色の分類は、ハイパースペクトル「α」スペース中においてビーズを調べることによって行われ(a1=I1/SIi,a2=I2/SIi,a3=I3/SIi,など)、ここに、各座標軸は、所定の画像チャンネル内のビーズ強度のフラクションを示す。例えば、4つの画像チャンネルを用いてビーズを画像化する場合、ビーズの色または色相は、3−Dαスペース中の点によって示すことができる(Sai=1なので、第4の次元は必要ない)。ビーズを標識する異なる主要な色素のセットを用いる場合、色素は比率の変化および組み合わせパターンの変化において組み合わせることができるので、これらの色素から生じることのできる色相の数は際限がない。実際の色相の数は、ハイパースペクトルαスペース中における異なる色相クラスターの分離によって、実験的に決定される。
【0123】
図3は、4つの分離した画像チャンネルにおいて画像化される4つの異なる色相で標識されたビーズのハイパースペクトルαプロットを示す。ビーズが4つの別個のクラスターを形成することに注目すること。これらの4つのクラスターがよく分離しているという事実は、しっかりとしたデコード分類スキームの実行を可能にする。
好ましい具体例において、デコーディング過程の品質管理分析を行う。これは、各デコーディング段階につきαスペースのクラスター分析を行うことによって達成される。決定されるクラスターの数は、色相の予想数によって固定されるであろう。クラスター重心の位置はモニターされ、予想される位置からのいずれかの偏りが注目されるであろう。
【0124】
したがって、本発明は、本発明のアレイをデコーディングするための装置を提供する。本明細書に概説される組成物に加えて、装置は、メモリーおよび入力/出力装置のセット(例えば、キーボード、マウス、モニター、プリンターなど)とバスを介して通信する中央処理装置を包含する。中央処理装置、メモリー、入力/出力装置およびバスの間の一般的な相互作用は当該分野で既知である。本発明の1の態様は、メモリー中に貯蓄されたハイパースペクトル「α」スペース分類システムに向けられている。
分類システムプログラムは、光学的リーダーまたは共焦顕微鏡(または他の画像システム)からデータを受けるデータ獲得モジュールを包含する。一般に、分類プログラムはまた、ハイパースペクトルαスペース中の変化を分析でき、クラスターの重心を計算でき、クラスターの散乱(拡散)を計算でき、色相ゾーンおよび距離カットオフを明らかにすることのできる分析モジュールを包含する。一般に、分析モジュールはさらに、マハラノビス距離を計算することによって、データ点が色相ゾーン内に落ちるかどうかを決定するであろう。
【0125】
最終的に、分析モジュールは、最終的に生物活性剤をビーズ場所に与えるために、異なる一連のデコーディング情報を分析するであろう。
このように、各工程が判別分析計算を用いる一連のデコーディング工程を行って、各工程にて、アレイ中の各ビーズを色相クラスターに与える。一連のデコーディング情報の蓄積は、ビーズの場所とそこに含まれる化学的性質の相互関係を与える。
一度作成されると、本発明の組成物は、多くの応用において使用できる。好ましい態様において、存在する標的アナライトの量の定量化を含め、標的アナライトの存在または不在に関してサンプル溶液をプローブするために該組成物を用いる。本明細書中の「標的アナライト」または「アナライト」または文法的に等しいものにより、結合パートナーについて検出あるいは評価されるいずれかの原子、分子、イオン、分子イオン、化合物または粒子を意味する。当業者には明らかであるように、多くのアナライトを本発明に用いることができ、基本的には、生物活性剤を結合するいずれのアナライトも、または、結合パートナー(すなわち薬物候補物質)が求められているいずれのアナライトも用いることができる。
【0126】
適当なアナライトには、生物分子を含む有機および無機分子が含まれる。標的アナライトの検出を行う場合、適当な標的アナライトには、制限されるものではないが、環境汚染物質(農薬、殺虫剤、毒素などを含む)、化学物質(溶媒、ポリマー、有機物質などを含む)、治療分子(治療薬および濫用薬物、抗生物質などを含む)、生物分子(ホルモン、サイトカイン、タンパク質、核酸、脂質、炭水化物、細胞膜抗原およびレセプター(神経、ホルモン、栄養素および細胞表面レセプター)またはそれらのリガンドなどを含む)、全細胞(原核細胞(病原性細菌など)および真核細胞、哺乳動物の腫瘍細胞を含む)、ウイルス(レトロウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルス、レンチウイルスなどを含む)および胞子などが含まれる。特に好ましいアナライトは、核酸およびタンパク質である。
【0127】
好ましい具体例において、標的アナライトはタンパク質である。当業者には明らかであるように、本発明を用いて結合パートナーについて検出または評価することができる、多数の可能性のあるタンパク質性標的アナライトがある。適当なタンパク質標的アナライトには、制限されるものではないが、(1)免疫グロブリン;(2)酵素(および他のタンパク質);(3)ホルモンおよびサイトカイン(その多くは細胞レセプターのリガンドとして役立つ)および(4)他のタンパク質が含まれる。
好ましい具体例において、標的アナライトは核酸である。米国特許番号60/160027;60/161148号;09/425633および60/160917(全て、出典明示により明らかに本明細書の一部とされる)に広く概説されるように、これらのアッセイは、幅広い範囲の適用に用いられる。
【0128】
好ましい具体例において、プローブは遺伝子診断に用いられる。例えば、プローブを本明細書中に開示する方法を用いて作成し、非ポリープ性の結腸癌、BRCA1乳癌遺伝子、様々な癌に関連する遺伝子であるP53、アルツハイマー病のより大きな危険性を示すApoE4遺伝子のような標的配列を検出することができ、患者、嚢胞性繊維症遺伝子、シトクロムp450sまたは当業者によく知られる他のいずれかの変異を容易に前駆症状スクリーニング(presymptomatic screening)することが可能となる。
さらなる具体例において、ウイルスおよび細菌の検出を、本発明の複合体を用いて行う。この態様において、様々な細菌およびウイルス由来の標的配列を検出するためにプローブを設計する。例えば、最新の血液スクリーニング技術は抗HIV抗体の検出による。本明細書中に開示する方法により、HIV核酸配列、特に高度に保存されたHIV配列を検出するための臨床サンプルの直接スクリーニングが可能となる。加えて、抗ウイルス治療の効能を評価する改良法のように、これにより患者の体内に循環しているウイルスを直接測定することが可能となる。同様に、白血病、HTLV-IおよびHTLV-IIと関連するウイルスをこの方法で検出することができる。結核、クラミジアおよび他の性的伝染病のような細菌感染を検出することもできる。
【0129】
好ましい具体例において、本発明の核酸は、水および食物サンプルのスクリーニングにおいて毒性細菌のためのプローブとして用いる。例えば、サンプルを処理して細菌を溶解し、その核酸を放出させ、次いで、サルモネラ(Salmonella)、カンピロバクター(Campylobacter)、ビブリオコレラ(Vibrio cholerae)、リーシュマニア(Leishmania)、イー.コリのエンテロトキシン菌株および在郷軍人病細菌のような病原性菌株を含むがこれらには制限されない細菌株を認識するプローブを設計することができる。同様に、バイオレメディエーション法を本発明の組成物を用いて評価することができる。
さらなる具体例において、犠牲者および容疑者から採取したサンプルに対して犯罪事件のDNA(crime-scene DNA)を対応させるための法医学「DNAフィンガープリント法」のために該プローブを用いる。
さらなる具体例において、アレイ中のプローブをハイブリダイゼーションによる配列決定のために用いる。
【0130】
本発明はまた、標的核酸配列における変異またはミスマッチの検出のための方法として用いる。例えば、多形DNAマーカーを使用することにより遺伝子変異と表現型の間の関係を分析することが近年注目されている。これまでの研究は、多形位置マーカーとして短いタンデムリピート(STR)を利用したが、近年は、単一ヌクレオチド多形(polymorphisms)(SNP)の使用が注目されている。共通のSNPsは、ヒトのゲノムDNA1キロベースあたり1以上の平均頻度で生じる。いくらかのSNP、特にコーディング配列内およびその付近のものは、治療的適切な表現型変種の直接原因であるようである。臨床的に重要な表現型を引き起こす多くの周知の多形があり、例えば、apoE2/3/4変種はアルツハイマー病および他の疾患の異なる相対リスクと関連する(Cordor et al., Science 261(1993)を参照されたい)。オリゴヌクレオチドアレイに対するその後のハイブリダイゼーションを用いたSNP位の多重PCR増幅は、少なくとも何百ものSNPを同時にゲノタイピング(genotyping)する迅速かつ信頼できる方法であることが示されている:Wang et al., Science, 280:1077(1998)を参照されたい;さらに、Schafer et al., Nature Biotechnology 16:33-39(1998)も参照されたい。本発明の組成物は従来技術のアレイに容易に取って代わることができる。特に、単一塩基伸長(single base extension(SBE))およびパイロシークエンシング技術が特に本発明の組成物に有用である。
【0131】
好ましい態様において、本発明の組成物を用いて生物活性剤をスクリーニングし、標的分子に結合して好ましくはその機能を修飾する薬剤を見出す。前記のように、当業者には明らかなように、幅広い種類の異なるアッセイフォーマットを作動させてもよい。一般に結合パートナーが所望される標的アナライトを標識し、標的アナライトを生物活性剤に結合させて標識をビーズに補充し、続いて検出する。
好ましい態様において、生物活性剤と標的アナライトの結合は特異的である;つまり、生物活性剤は標的アナライトに特異的に結合する。本明細書中、「特異的結合」は、アナライトと、試験サンプルの他の成分または汚染物質を区別するのに十分特異的に物質がアナライトに結合することを意味する。しかし、当業者には明らかなように、それほど特異的でない結合を用いてアナライトを検出することができるであろう。例えば、該システムは異なる結合リガンド、例えば異なるリガンドのアレイを用いてもよく、特定アナライトのいずれの検出も結合リガンドのパネルに結合するその「サイン」によるものであり、「電子ノーズ(electronic nose)」が働く様式と類似している。これは化学アナライトの検出において特に利用できる。結合は、非特異的結合を除去するための洗浄工程を含む(いくらかの態様においては、洗浄工程は必要とされないが)アッセイの条件下で結合を維持するのに、すなわち低いアフィニティーの結合パートナーを検出するのに十分であるべきである。いくらかの態様、例えばある種の生物分子の検出においては、アナライトの結合リガンドへの分離定数は約10-4-10-6M-1より小さく、約10−5-10−9M−1より小さいことが好ましく、10-7-10-9M-1より小さいことが特により好ましい。
【0132】
一般に、(標的アナライトの検出のための、または、標的アナライトの結合パートナーをスクリーニングするための)標的アナライトを含むサンプルを、少なくとも一つの生物活性剤に対する標的アナライトの結合に適した条件下、すなわち、一般に生理的条件下でアレイに添加する。標的アナライトの存在または不在を次いで検出する。当業者には明らかなように、これは様々な方法で、一般に光学シグナルの変化を用いて行うことが出来る。この変化は、多くの異なるメカニズムを介して起こることができる。少数の例としては、ビーズへの色素タグを付加したアナライトの結合、ビーズ上または付近での色素種の産生、存在する色素種の破壊、ビーズ上の色素とのアナライト相互作用における光学的サインの変化、またはその他の光学的に応答指令信号を送信可能な事象が含まれる。
【0133】
好ましい例においては、光学的シグナルの変化は、直接的または間接的に検出可能な標識(好適には蛍光色素のような光学的標識)で標識された標的アナライトの結合の結果として生じる。したがって、例えば、タンパク質性標的アナライトを用いる場合、例えば標識した抗体の使用によって蛍光(fluor)で直接標識するか、または非直接的に標識できる。同様に、核酸は、当該分野で既知のように例えばPCR増幅を通じて、蛍光色素で容易に標識される。別法として、標的配列の結合に基づき、ハイブリダイゼーション指示薬を標識として用いることができる。ハイブリダイゼーション指示薬は通常可逆的に二本鎖核酸と優先的に結合する。ハイブリダイゼーション指示薬は、インターカレーター(intercalator)ならびに副溝および/または主溝結合部を包含する。好適な一具体例においては、インターカレーターを用いることができる;インターカレーションは通常二本鎖核酸の存在下においてのみ起こるので、標的ハイブリダイゼーションの存在下でのみ標識が明るくなる。したがって、標的アナライトの生物活性剤への結合に基づいてこの部位に新たな光学的シグナルが発生し、検出できる。
【0134】
別法として、いくつかの場合において、上記のように、酵素のような標的アナライトは直接的または間接的に光学的に検出できる種を生じる。
さらに、いくつかの具体例では、光学的サインの変化は光学的シグナルに基づきうる。例えば、ある化学的標的アナライトとビーズ上のある蛍光色素との相互作用は光学的サインを変化させることができ、したがって異なる光学的シグナルを生じる。
当業者に理解されるように、いくつかの具体例では、標的アナライトの存在または不在は、他の光学的または非光学的シグナル(表面増強ラマン分光法、表面プラズモン共鳴、放射活性等を含むが、これに限定されるものではない)における変化を用いてなされうる。
【0135】
当業者に理解されるように、アッセイは様々な実験条件下で実施できる。スクリーニングアッセイにおいて、種々の他の試薬が含まれうる。これらは最適なタンパク質−タンパク質結合を促進し、および/または非特異的もしくはバックグラウンドの相互作用を減少させるために用いることができる塩、中性タンパク質(例、アルブミン、界面活性剤等)のような試薬を包含する。また、プロテアーゼ阻害剤、ヌクレアーゼ阻害剤、抗微生物剤等のような、別の方法でアッセイの効率を改良する試薬も用いることができる。成分の混合物は、必要な結合を与える任意の順番で添加できる。当業者に知られているように、種々のブロッキング工程および洗浄工程を用いることができる。
【0136】
好ましい例においては、2色拮抗ハイブリダイゼーションアッセイを実行する。これらのアッセイは慣用のサンドイッチアッセイに基づくことができる。ビーズはSNPの片側(上流または下流)に位置する捕獲配列を含み、標的配列を捕獲できる。各々異なる蛍光体で標識した2つのSNP対立遺伝子特異的プローブを標的配列にハイブリダイズさせる。通常、より良い結合を示す較正配列を用いて、2つのシグナルの比率から遺伝子型を得ることができる。これは、標識される必要のない標的配列自体において有利である。さらに、プローブは拮抗するので、これは結合条件を最適化する必要がないことを意味する。ミスマッチのプローブが安定して結合する条件下で、マッチしたプローブをさらに置き換えることができる。したがって、拮抗アッセイはそれらの条件下でより良い識別を与えることができる。多くのアッセイを平行して実施するので、全てのプローブについて条件を同時に最適化することはできない。したがって、拮抗アッセイシステムを用いて、ミスマッチ識別についての非最適条件を補うことを補助するために用いることができる。
【0137】
好適な一具体例においては、本発明の組成物を用いてジデオキシヌクレオチド チェーン ターミネーション配列決定を行う。この具体例においては、DNAポリメラーゼにより蛍光的に標識したddNTPを用いてプライマーを伸長する。該プライマーの3’末端はSNP部位に隣接する。この方法において、単一塩基伸長は該SNP部位の配列に相補的である。各塩基について1つの、4つの異なる蛍光体を用い、4つの塩基特異的シグナルを比較することによりSNPの配列を導き出すことができる。これはいくつかの方法で行うことができる。第一の具体例では、捕捉プローブを伸長できる;このアプローチでは、プローブはビーズ上で5’−3’合成されるか、または5’末端に結合されて、ポリメラーゼ伸長のための遊離3’末端を与えなければならない。別法として、サンドイッチ型アッセイを用いることができる;この具体例では、プローブによって標的をビーズ上に捕捉し、ついでプライマーをアニーリングし、伸長する。また、後者の場合、標的配列は標識されていなくてもよい。さらに、サンドイッチアッセイは2つの特異的相互作用を必要とするので、これは複合サンプルの分析に特に有益なストリンジェンシーを増加させる。
【0138】
さらに、標的アナライトおよびDBLの双方が薬剤に結合する場合、デコーディングの拮抗を介して非標識化標的アナライトの検出を行うことも可能である。
好適な一具体例においては、本発明の方法はアレイ品質管理において有益である。本発明以前には、あらゆるアレイ上のあらゆるプローブの性能のポジティブ試験を提供する方法は開示されていない。アレイのデコーディングがこの試験を提供するだけではなく、そのデコーディング過程自体の間に生じたデータを利用することによってもそのようにする。したがって、さらなる実験作業は要求されない。本発明はソフトウエアにコードできる1組のデータ分析アルゴリズムのみを必要とする。
【0139】
品質管理処置はアレイ中の広範な体系的およびランダムな問題を同定できる。例えば、塵または他の汚染物質のランダムな斑点はいくつかのセンサーに正しくないシグナルを与えさせうる−これはデコーディングの間に検出できる。複数のアレイに由来する1以上の薬剤の遺漏もまた検出できる。この品質管理処置の利点は、アッセイ自体の直前に実行でき、個々のセンサーの真の機能試験であることである。したがって、アレイアセンブリ(assembly)と実際の使用との間で生じうるあらゆる問題を検出できる。非常に高レベルの信頼性が必要で、および/または実験手順の間にセンサーの故障の重大な可能性がある場合の応用において、デコーディングと品質管理は実際のサンプル分析の前後両方で実施できる。
【0140】
好適な一具体例においては、アレイを用いて試薬品質管理を行うことができる。多くの例では、生物学的な巨大分子が試薬として用いられ、品質管理されなければならない。例えば、オリゴヌクレオチドプローブの大きなセットが試薬として提供されうる。多数の異なる生物学的な巨大分子において品質管理を実行することは通常困難である。本明細書に記載したアプローチを用いて、アレイの代わりに変化可能である試薬(DBLとして定式化した)を処理することによってこれをなすことができる。
好適な実施例においては、本明細書に記載した方法をアレイ較正に用いる。mRNA定量のような多くの応用の場合、標的アナライトの濃度に対して線形応答であるシグナルを有するか、または別法として、非線形の場合、濃度とシグナルとの間の関係を決定し標的アナライトの濃度を評価できることが望ましい。したがって、本発明は、アレイにおける複数のビーズについて平行して較正曲線を作成する方法を提供する。分析するサンプルの複雑さをシミュレートする条件下で較正曲線を作成できる。各曲線は他の曲線(例えば、異なる濃度範囲について)と独立して、アレイについての他の全曲線と同時に構築できる。したがって、該具体例において、一連のデコーディングスキームは、異なる蛍光体よりもむしろ、異なる濃度をコード「標識」として用いて実行される。この方法において、濃度に対する応答としてのシグナルは各ビーズについて測定できる。該較正は、アレイの使用の直前に実施でき、その結果、あらゆるアレイ上のあらゆるプローブが個々に、必要に応じて較正される。
【0141】
好適な一具体例においては、本発明の方法を同様にアッセイ開発に用いることができる。したがって、例えば、該方法は良いプローブおよび悪いプローブの同定を可能にする;当業者に理解されるように、いくつかのプローブはうまくハイブリダイズしないかまたは1以上の配列とクロスハイブリッド形成するので、うまく機能しない。これらの問題はデコーディングの間に容易に検出される。プローブの性能を迅速に評価する能力はアッセイ開発の時間と費用を大きく減少させる可能性を有する。
同様に、好適な一具体例において、本発明の方法はアッセイ開発での定量において有益である。多くのアッセイの主要なチャレンジはサンプル間のアナライト濃度における相違を検出する能力、これらの相違を定量する能力、およびアナライト、関係するアナライトの複合混合物の存在下での全て、の絶対濃度の測定である。この課題の例は全細胞性mRNAの存在下における特異的mRNAの定量である。mRNA定量の基礎として開発された1つのアプローチは、複数のマッチしたプローブ対とミスマッチのプローブ対を利用する(Lockhartら、1996)(出典明示によってその内容を本発明の一部とする)。このアプローチは単純であるが、比較的多数のプローブを必要とする。このアプローチにおいて、濃度に対する定量的応答は、目的の遺伝子または配列に対する1組の異なるプローブ由来のシグナルを平均することによって得られる。いくつかのプローブのみが定量的に応答し、これらのプローブを確実に予測することはできないので、このことは必須である。事前の知識がない場合、適切に選択されたプローブのコレクションの平均応答のみが定量的である。しかしながら、本発明においては、他のアッセイと同様に核酸に基づくアレイへの一般的な適用が可能である。要するに、そのアプローチは特定のアッセイにおいて定量的に応答するプローブを同定することであり、他のプローブとの平均ではない。これは、濃度に基づいたコードを用いる上記のアレイ較正スキームによって行われる。各および全配列を有効な方法で試験できるので、このアプローチの利点には;より少いプローブしか必要でないこと;測定の正確さが用いられるプローブの数にあまり依存しないこと;およびセンサーの応答が高度な確実性で知られることがある。特に複雑な配列混合物中において、プローブ性能の予測の困難性と不確実性を避ける、うまく機能するプローブが経験的に選択されることに注目することは重要である。対照的に、オーダーアレイを用いる、これまでに記載された実験においては、混合物へ既知のmRNAを添加する定量的なスパイク(spiking)実験の実施によって比較的少数の配列がチェックされる。
【0142】
好適な具体例においては、RNA発現プロファイリングのためにcDNAアレイを作成する。この具体例においては、宿主ベクター系において増殖させたcDNAライブラリーから個々のcDNAクローンを増幅する(例えば、PCRを用いて)。各増幅DNAをビーズの集団に結合させる。異なる集団を一緒に混合し、cDNAライブラリーを示すビーズのコレクションを作成する。該ビーズをアレイにし、上記のようにデコードし、アッセイに用いる(本明細書中に記載したが、同様にデコーディングがアッセイ後に起きてもよい)。抽出され、必要に応じて標識され、アレイにハイブリダイズしたRNAサンプル(全細胞またはmRNA)を用いてアッセイを行う。拮抗分析は、個々のRNAの発現レベルにおける相違の検出を可能にする。較正標準の適当なセットとの比較は、RNAの絶対量の定量を可能にする。
【0143】
また、cDNAアレイをマッピングに用いて、例えば欠失/挿入をマッピングし、または例えば、腫瘍や他の組織サンプル由来のゲノム中のコピー数の変化をマッピングできる。これは、ゲノムDNAのハイブリダイズによって行うことができる。cDNA(またはEST等)の代わりに、ランダムゲノム断片を含むその他のSTS(配列タグ部位)をこの目的でアレイにすることもできる。
本明細書に引例した全ての参考文献は、出典明示によりその全てにおいて本明細書の一部とされる。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1A】図1Aは本発明のいくつかの異なる「二成分」システムの例を示す。
【図1B】図1Bは本発明のいくつかの異なる「二成分」システムの例を示す。
【図1C】図1Cは本発明のいくつかの異なる「二成分」システムの例を示す。
【図1D】図1Dは本発明のいくつかの異なる「二成分」システムの例を示す。
【図1E】図1Eは本発明のいくつかの異なる「二成分」システムの例を示す。
【図1F】図1Fは本発明のいくつかの異なる「二成分」システムの例を示す。
【図2A】図2Aは二つの異なる「一成分」システムを表す。
【図2B】図2Bは二つの異なる「一成分」システムを表す。
【図3】図3はハイパースペクトルアルファ空間における凝集を表す(α1=I1/ΣII、α2=I2/ΣIi、α3=I3/ΣIiなど)。
【図4】図4は、FAM−標識されたかまたはCy3−標識されたoligo補体のいずれかをアレイ上の異なるビーズタイプを「染色(paint)」(標識)するために使用する2色デコーディングプロセスを示す。
【図5】図5は4色および4つのデコード段階で128の異なるビーズタイプのデコーディングを示す(挿入図は4つの異なる色素を用いて16のビーズタイプをデコードする単一のデコード段階を示す)。
【図6A】図6Aは、16種の異なるビーズのグレースケールデコーディングを表す。
【図6B】図6Bは、16種の異なるビーズのグレースケールデコーディングを表す。
【図6C】図6Cは、16種の異なるビーズのグレースケールデコーディングを表す。
【図7A】図7Aは蓋およびベースプレートを概略的に表す。
【図7B】図7Bは蓋およびベースプレートを概略的に表す。
【図8】図8は蓋10およびベースプレート60を含むハイブリダイゼーションチャンバーを概略的に表す。
【図9A】図9Aは孔105を有するベースプレートを表す。
【図9B】図9Bは孔105を有するベースプレートを表す。
【図10A】図10Aは圧力および/または真空により引き起こされる膜上の変化する溶液の体積および局在化を表す。
【図10B】図10Bは圧力および/または真空により引き起こされる膜上の変化する溶液の体積および局在化を表す。
【図10C】図10Cは圧力および/または真空により引き起こされる膜上の変化する溶液の体積および局在化を表す。
【図10D】図10Dは圧力および/または真空により引き起こされる膜上の変化する溶液の体積および局在化を表す。
【図10E】図10Eは圧力および/または真空により引き起こされる膜上の変化する溶液の体積および局在化を表す。
【図10F】図10Fは圧力および/または真空により引き起こされる膜上の変化する溶液の体積および局在化を表す。
【図11】図11はハイブリダイゼーションチャンバーに関して有用である代表的アッセイスキームのフローチャートを表す。
【技術分野】
【0001】
本出願は、1998年12月28日に出願された米国特許出願番号60/113968、1999年2月24日に出願された米国特許出願番号09/256943、1999年12月28日に出願された米国特許出願番号09/473904、ならびに1999年12月28日に出願されたPCT/US99/31022の継続出願である(これらはすべて出典明示により本発明の一部とする)。
【0002】
本発明は、多数のサンプルの同時プロセッシングを可能にする個々のアレイの複合アレイを含むセンサー組成物に関する。本発明はさらに、該複合アレイの製造方法および使用方法も提供する。本発明はさらに、複合アレイを保持するためのハイブリダイゼーションチャンバーを含む装置に関する。
【背景技術】
【0003】
流体および気体中の特定の物質の存在および/または濃度を検出するために多くのアッセイおよびセンサーがある。これらの多くは、検出メカニズムとして特異的リガンド/アンチリガンド反応に依存する。すなわち、一対の物質(すなわち、結合対またはリガンド/アンチリガンド)は、互いに結合するが、他の物質とはほとんど結合しないか、または全く結合しないことが知られている。このことは、これらの結合対を複合体の検出に利用する多くの技術の焦点であった。これらは、一般に、例えば、放射性同位元素、蛍光および他の光学上活性な分子、酵素などを用いて検出可能な複合体全体を製造するために、複合体の1の成分をある方法で標識することによって行われる。
【0004】
これらのセンサーにおいて特に有用なのは、ルミネセンスを利用する検出メカニズムである。近年、化学分析測定のための光吸収色素と組み合わせた光ファイバーおよび光ファイバーストランドの使用が、特にこの10年の間に急速に発展した。このような目的の光ファイバーおよび技術の使用は、Milanovichら、"Novel Optical Fiber Techniques For Medical Application", Proceedings of the SPIE 28th Annual International Technical Symposium On Optics and Electro-Optics, Volume 494, 1980; Seitz, W.R., "Chemical Sensors Based On Immobilized Indicators and Fiber Optics" in C.R.C. Critical Reviews In Analytical Chemistry, Vol. 19, 1988, pp. 135-173; Wolfbeis, O.S., "Fiber Optical Fluorosensors In Analytical Chemistry" in Molecular Luminescence Spectroscopy, Methods and Applications (S.G. Schulman編), Wiley & Sons, New York (1988); Angel, S.M., Spectroscopy 2 (4): 38 (1987); Waltら、"Chemical Sensors and Microinstrumentation", ACS Symposium Series, Vol. 403, 1989, p. 252およびWolfbeis, O.S., Fiber Optic Chemical Sensors, Ed. CRC Press, Boca Raton, FL, 1991, 2nd Volumeによって記載されている。
【0005】
より最近、光ファイバーセンサーが作製され、これは単一の独立した光ファイバーの束に関して複数の色素を使用することを可能としている。Waltらの米国特許5244636号および第5250264号は束の遠位端で複数の異なる色素を付着させるためのシステムを開示しており、これらの各特許の教示を出典明示で本明細書の一部とする。開示された構成は、束の別々の光ファイバーが個々の色素と光学的にアクセスすることを可能としている。これは、各色素が異なるアナライト(analyte)に対して感受性である2以上の色素からの信号が組み合わされ、色素の発光スペクトルにおいて顕著なオーバーラップがある場合に起こる、各色素からの反射光(returning light)中の別々の信号のデコンボルブ(deconvolving)の問題を回避する。
米国特許出願08/818199号および09/151877号は基体の表面上、例えば、各々の個々のファイバーが光学的サインを含むビーズを含んでなる光ファイバー束の末端上の微小球またはビーズを利用するアレイ組成物を記載している。ビーズはランダムに動くので、アレイを「デコード(decode)」するために独特な光学的サインを必要とする。すなわち、アレイ作製後、アレイ上の個々の部位の位置と、特定の部位のビーズまたは生物活性剤とを相関させることができる。これは、ビーズがアレイ上でランダムに分布してよいことを意味し、従来のイン・サイチュ合成またはスポッティング技術と比較して迅速で安価な方法である。一旦、アレイにビーズを負荷すれば、以下に詳しく説明するように、アレイをデコードでき、あるいは使用でき、テスト後に完全または部分的デコーディングが起こる。
加えて、マイクロタイタープレート中に複数のプローブアレイを含むシリコンウェハを含む組成物が米国特許第5545531号に記載されている。
【0006】
(発明の開示)
上記目的に従って、本発明は各アッセイ場所が複数の独立した部位を含む、複数のアッセイ場所を含む表面を有する第一基体を含む複合アレイ組成物を提供する。該基体はさらに、各サブ集団が生物活性剤を含む、少なくとも第一および第二のサブ集団を含む微小球の集団を含む。該微小球は各アッセイ場所上に分布している。
もう一つの態様において、本発明は複数のアッセイ場所を含む表面を有する第一基体と、各アレイ場所が独立した部位を含む、複数のアレイ場所を含む第二基体とを含む複合アレイ組成物を提供する。該組成物はさらに、各サブ集団が生物活性剤を含む、少なくとも第一および第二のサブ集団を含む微小球の集団を含む。該微小球は各アレイ場所上に分布している。
さらにもう一つの態様において、本発明は、すでに概要を記載したようにしてアレイ組成物を提供し、該複合アレイ組成物に複数のデコーディング結合リガンドを添加して少なくとも複数の生物活性剤の位置を同定することを含むアレイ組成物のデコード方法を提供する。
さらにもう一つの態様において、本発明は、サンプルを上記した組成物と接触させ、前記標的アナライトの存在または不在を決定することを含む1以上のサンプル中の1以上の標的アナライトの存在を決定する方法を提供する。
【0007】
さらにもう一つの態様において、本発明はハイブリダイゼーションチャンバーを提供する。ハイブリダイゼーションチャンバーはベースプレートおよび蓋を含む。蓋とベースプレートの間にシーラントが配置され、気密シールを提供する。二成分アレイシステムを用いる場合、チャンバーは、蓋中にアレイ成分を固定化するための成分入口(component port)も含む。すなわち、アレイ成分は蓋の成分入口を通して挿入される。該入口は、気密シールが維持されるようにシールを含んでもよい。チャンバーはクランプおよびアラインメントピンも含むことができる。
更にもう一つの態様において、本発明は、ベースプレートが孔(hole)を含むハイブリダイゼーションチャンバーを提供する。該孔はマイクロプレートアレイフォーマットであってもよい。一例において、少なくとも2つの孔がチャンネルにより連結している。一例において、軟質隔膜がベースプレート上に設置されている。膜に圧力、すなわち、真空が適用される場合、ベースプレートにおける孔の位置で膜にウェルが形成される。装置は、真空または正圧を膜にかけるための空気式装置も含む。
【0008】
さらにもう一つの態様において、本発明はアレイフォーマットにおいてサンプルを混合する方法を提供する。該方法は、ウェルが形成されるように膜に真空をかけることを含む。溶液を膜に加えて、ウェルの少なくとも一つを液体で満たす。その後、真空を間欠的に該膜にかけて、その結果、液体が混合される。
さらにもう一つの態様において、本発明は本明細書に記載するようなハイブリダイゼーションチャンバーおよび本明細書に記載した任意の複合アレイ組成物を提供する。
さらにもう一つの態様において、本発明は本明細書に記載したハイブリダイゼーションチャンバーにおいて本明細書に記載したアレイ組成物のデコーディングを実施する方法を提供する。
さらにもう一つの態様において、本発明は本明細書に記載したハイブリダイゼーションチャンバーにおいて1以上のサンプル中の1以上の標的アナライトの存在を決定する方法を提供する。
【0009】
(図面の簡単な記載)
図1A、1B、1C、1Dおよび1Eは本発明のいくつかの異なる「二成分」システムの例を示す。図1Aにおいて、ビーズアレイを示す。第一基体10はウェル25およびビーズ30を有するアレイ場所20を有する。第二基体40はアッセイ場所45を有する。光学レンズまたはフィルター60も図示する;当業者には理解されるように、これも基体の内部にあってもよい。図1Bは、ビーズが使用されず、むしろアレイ場所20がスポッティング、プリンティング、フォトリソグラフィー技術などを用いて形成することができる独立した部位21、22、23等を有する以外は同様である。図1C〜Fは複数の第一基体の使用を表す。図1Cは、混合機能のためのさらなる用途を有する「ビーズのビーズ」を表す。図1Dは複数のビーズアレイを表し、図1Eは複数の非ビーズアレイを表す。図1Fは第二基体40上の位置に対する「標的」第一基体10についての結合機能の使用を表す;当業者には理解されるように、これは平坦な第二基体上または区画に分けられた第二基体上で行うことができる。図1Fは結合リガンド対70/70’、71/71’、72/72’等を利用する。これらは例えばオリゴヌクレオチドなどのIBL/DBL対について記載されているような化学的機能または生物学的機能のいずれかである。
【0010】
図2Aおよび2Bは二つの異なる「一成分」システムを表す。図2Aは、ビーズ30を含むウェル25を有するアッセイ場所45を有する基体50を有するビーズアレイを表す。図2Bは非ビーズアレイを表し、各アッセイ場所45は独立した部位21、22、23などを有する。
図3はハイパースペクトルアルファ空間における凝集を表す(α1=I1/ΣII、α2=I2/ΣIi、α3=I3/ΣIiなど)。ファイバー束上に存在する128の異なるビーズタイプの組を4つの色素:Bodipy−493、Bodipy−R6G、Bodipy−TXR、およびBod−564(オリゴヌクレオチドにつき1つの色素のみ)で標識した相補性オリゴヌクレオチドのハイブリッド形成セットによりデコードした。図示したのは4段階デコードの第二段階で、4013のビーズがデコードされた。色相クラスターの領域のまわりに楕円を描いてある。
【0011】
図4は、FAM−標識されたかまたはCy3−標識されたoligo補体のいずれかをアレイ上の異なるビーズタイプを「染色(paint)」(標識)するために使用する2色デコーディングプロセスを示す。
図5は、4色および4デコード段階での128の異なるビーズタイプのデコーディングを表す。(挿入図は16種のビーズをデコードするために4種の異なる色素を使用する単一デコード段階を示す。)
図6は、16種の異なるビーズのグレースケールデコーディングを表す。(A)相補性デコーディングoligoのためのコンビナトリアルプーリングスキーム。(B)2つの独立した標準化イメージが得られ、結果として得られるビーズ強度を比較した。(C)α値(表示されたデコード段階におけるビーズ強度の標準化イメージにおける強度に対する比)を(A)において記載した3つのデコード段階についてプロットする。
【0012】
図7は蓋およびベースプレートを概略的に表す。Aはハイブリダイゼーションチャンバーの蓋10およびベースプレート60を表す。蓋の入口20により、光ファイバー束30は蓋を通して挿入され、ベースプレート60のベースキャビティー50中のマイクロタイタープレート40のウェル中のサンプルと接触する。Bはベースプレート60のベースキャビティー50を図示する。
図8は蓋10およびベースプレート60を含むハイブリダイゼーションチャンバーを概略的に表す。環状シール80、クランプ90およびクランプ受け95、蓋を通してマイクロタイタープレート40中に挿入された光ファイバー束30も図示する。
図9Aおよび9Bは孔105を有するベースプレートを表す。Aはベースプレート中の孔105を表す。Bは孔105を連結するチャンネル100を表す。
【0013】
図10は圧力および/または真空により引き起こされる膜上の変化する溶液の体積および局在化を表す。A.+Pは圧力を表し;−Pは真空を表す。すべてのチャンバーおよび孔において圧力に反応して膜は上方へたわむ。B.左のチャンバーに真空が適用され、中および右のチャンバーに圧力がかけられた場合に、液体は膜の左側へ移動する。C.真空がまず左のセクションにかけられると、液体がウェルを満たす。その後、中および右のチャンバーに真空を適用すると、空のウェルが形成される。D.中心に真空がかけられ、左および右のチャンバーに圧力がかけられた場合に、液体は膜の中心へ移動する。E.中心において高真空により形成されたウェル中に液体が充満する。低い真空がかけられた場合、左および右に空のウェルが形成される。F.真空が右のチャンバーにかけられ、圧力が左および中のチャンバーにかけられた場合に液体は右へ移動する。
図11はハイブリダイゼーションチャンバーに関して有用である代表的アッセイスキームのフローチャートを表す。
【0014】
(発明を実施するための最良の形態)
本発明は、多数のサンプルの同時分析、すなわち、逐次(serial)プロセッシングよりも並行プロセッシングをすることのできる非常に高密度なアレイの形成に関する。これは「アレイのアレイ」、すなわち、複数のサンプルのプロセッシングができるように配置された個々のアレイを多数含む複合アレイを形成することにより行われる。例えば、個々のアレイのそれぞれがマイクロタイタープレートの各ウェル内に存在している。したがって、マイクロタイタープレートのサイズおよび個々のアレイのサイズによって、非常に多数のアッセイを同時に進行できる。例えば、2000の異なる形式(高レベルの重複組み込みを伴う)の個々のアレイと、96ウェルマイクロタイタープレートを用いて、192000の実験を一度に行うことができ、384マイクロタイタープレート中の同じアレイで768000の同時実験ができ、1536マイクロタイタープレートで3072000の実験ができる。
【0015】
一般に、本発明のアレイ組成物はいくつかの方法で配置できる。好ましい例においては、以下に詳細に説明するように、「一成分」系が用いられる。すなわち、複数のアッセイ場所(本明細書において「アッセイウェル」と称する場合もある)を含む第一基体、たとえばマイクロタイタープレートを、各アッセイ場所が個々のアレイを含むように配置する。すなわち、アッセイ場所はアレイ場所と同じである。例えば、マイクロタイタープレートのプラスチック材料を、各アッセイウェルの底部に複数の「ビーズウェル」を含むように成型できる。ついで、生物活性剤を含むビーズを、以下にさらに詳しく説明するように、各アッセイ場所のビーズウェル中に入れることができる。本明細書の開示ではビーズの使用を強調しているが、本発明の全ての例においてビーズを使用する必要はなく、生物活性剤はアレイ場所と直接結合してもよい。例えば、他のタイプのアレイがよく知られており、このフォーマットにおいて使用でき、また、スポット、プリントまたはフォトリトグラフィーアレイもよく知られている。例えば、WO95/25116、WO95/35505、PCT/US98/09163、米国特許第5700637号、第5807522号、第5445934号、および米国特許出願番号08/851203、09/187289ならびにこれらの引用文献参照。これら全てを出典明示により本明細書の記載に組み入れる。一成分系において、ビーズを使用しない場合、好ましい例は非シリコンウエハ基体を利用する。
【0016】
別法として、「二成分」系を使用できる。この例において、個々のアレイは第二基体上に形成され、ついで第一のマイクロタイタープレート基体に嵌合または「突っ込む」ことができる。当業者が理解されるように、種々のアレイフォーマットおよび配置が利用できる。好ましい例は、個々のアレイとして、一般に、各ファイバーの1表面にエッチングされた「ビーズウェル」を有する光ファイバー束を利用し、したがって、生物活性剤を含むビーズが光ファイバー束の該端部に負荷されている。したがって、複合アレイはマイクロタイタープレートのウェル内に嵌合するように配置された多数の個々のアレイを含む。別法として、他のタイプのアレイフォーマットを二成分系において使用できる。例えば、スポッティング、プリンティングまたはフォトリトグラフィー技術で作製されたような配列したアレイを上記したような第二基体上に配置することができる。さらに、図1C〜Fに示すように、ランダムまたは整列させたかのいずれかのアレイの「一部(pieces)」を第一基体として利用できる。
【0017】
本発明は一般に、異なる化学的機能を担持するビーズ(微小球(microspheres)とも称する)を、個々の微小球と結合できる独立した部位のパターン化された表面を含む基体上に分布させるビーズに基づく分析化学システムを含む先の研究に基づいている。一般に、ビーズは基体上にランダムに置かれ、したがって、アレイを「デコード」するために幾つかの異なる方法が使用できる。一例において、独自の光学的サイン、一般に、蛍光色素がビーズに組み込まれ、任意のビーズ上の化学的機能を確認するのに使用できる。これにより、候補薬剤(すなわち、核酸および抗体のなどの化合物)の合成を、アレイ上のそれらの配置とは切り離すことができる。すなわち、候補薬剤をビーズ上で合成でき、ついでビーズはパターン化された表面上にランダムに分布される。ビーズはまず、光学的サインによりコードされるので、これはアレイが後に「デコード」できること、すなわち、アレイを作製後、アレイ上の個々の位置と、各位置におけるビーズまたは候補薬剤とを相関させることができることを意味する。これはビーズをアレイ上にランダムに分布できることを意味し、従来のin situ合成や、スポッティング技術と比べて迅速で安価な方法である。これらの方法は、一般的に、PCT/US98/05025、PCT/US98/21193、PCT/US99/20914、PCT/US99/14387および米国特許出願番号08/818199、09/315584、および09/151877に説明されており、これら全てを出典明示で本明細書の一部とする。また、本明細書での考察は、一般的に、ビーズの使用に関するが、同じ構成はセルおよび他の粒子にも適用できる。例えば、PCT/US99/04473参照。
【0018】
これらのシステムにおいて、生物活性剤の配置は一般にランダムであり、それ故、コーディング/デコーディングシステムはアレイ中の各位置で生物活性剤を同定する必要がある。これは、以下に詳しく説明するように、種々の方法で行うことができ、一般に、a)生物活性剤またはビーズに付着した同定物(identifier)結合リガンド(IBL)と結合する、一般に直接標識されたデコーディング(decoding)結合リガンド(DBL)の使用;b)例えば、ビーズ配置を標的とするか(例えば、ビーズの個々の位置への選択的付加を可能にする光活性化または光開裂性部分の使用による)、または以下に詳しく説明するようにサブバンドル(sub-bundles)の使用または部位の選択的負荷による位置デコーディング;c)標的と結合するビーズだけがデコードされる選択的デコーディング;またはd)これらの任意の組み合わせが含まれる。場合により、以下に詳しく説明するように、このデコーディングは全てのビーズで起こってもよく、また、特定の標的アナライトと結合したビーズのみで起こってもよい。同様に、これは標的アナライトの添加前でも後でも起こり得る。
一旦、アレイにおける各微小球の同一性(すなわち、実際の薬剤)および位置が固定されたら、標的アナライトを含有するサンプルにアレイを曝す。以下に説明するが、これは分析前でも分析の間でもできる。標的アナライトは、以下に詳しく説明するように生物活性剤と結合し、その結果、特定のビーズの光学的サインを変化させる。
【0019】
本発明においては、「デコーディング」は、光学的サイン、デコーディング工程の間に添加されるデコーディング結合リガンドまたはこれの方法の組み合わせが使用できる。デコーディング結合リガンドはビーズ上に位置する特有の同定物結合リガンドパートナーか、あるいは、例えば、ビーズが一本鎖核酸を生物活性剤として含む場合、生物活性剤自体と結合する。デコーディング結合リガンドは、直接または間接的に標識され、この標識の存在を検出することによりデコーディングが起こる。デコーディング結合リガンドのプールを連続して使用することにより、必要なデコーディング工程の数を非常に少なくすることが可能である。
【0020】
したがって、本発明は、複数のアッセイ場所を含む表面を有する少なくとも第一基体を含むアレイ組成物(composition)を提供する。本明細書における「アレイ」とは、アレイフォーマットにおける複数の候補薬剤を意味し、アレイのサイズは組成物およびアレイの最終使用目的に依存する。約2から数百万までの異なる生物活性剤(すなわち、異なるビーズ)含むアレイを作ることができ、非常に大きな光ファイバーアレイも可能である。一般に、アレイは、ビーズおよび基体のサイズ、ならびにアレイの最終使用目的に応じて、2から10億以上までを含むことができ、したがって、超高密度、高密度、中密度、低密度、超低密度のアレイとすることができる。超高密度のアレイの好ましい範囲は、約10000000〜約2000000000(全ての数字はcm2当り)で、約100000000〜約1000000000が好ましい。高密度アレイは、約100000〜約10000000の範囲であり、約1000000〜約5000000が特に好ましい。中密度アレイは、約10000〜約100000の範囲が好ましく、約20000〜約50000が特に好ましい。低密度アレイは、一般に、10000より少なく、約1000〜約5000が好ましい。超低密度アレイは1000より少なく、約10〜約1000が好ましく、約100〜約500が特に好ましい。いくつかの例においては、本発明の組成物はアレイフォーマットでなくてもよく、すなわち、いくつかの例については、単一の生物活性剤を含む組成物も同様に作製できる。加えて、いくつかのアレイにおいては、異なるかまたは同一の組成物の複数の基体を使用できる。したがって、例えば、大きなアレイは複数のより小さい基体を含むことができる。
【0021】
加えて、本発明の組成物の1つの利点は、特に、光ファイバー技術により、極端な高密度アレイを作製できることである。例えば、200μm以下のビーズ(200nmのビーズも可能である)を使用でき、非常に小さなファイバーが公知であるので、1mm2の光ファイバー束中、40000〜50000以上(場合によっては百万)もの多数の異なるファイバーおよびビーズを有することが可能であり、0.5cm2あたり個々のビーズまたはファイバーの15000000以上の密度(場合により25000000〜50000000も)が得られる。
本明細書で用いる「複合アレイ」または「組み合わせアレイ」あるいは文法的に同じ意味の語は、上記した複数の個々のアレイを意味する。一般に、個々のアレイの数は用いるマイクロタイタープレートのサイズにより設定され、96ウェル、384ウェルおよび1536ウェルマイクロタイタープレートは96、384および1536個の個々のアレイを含む複合アレイを利用するが、当業者には理解されるように、各マイクロタイターウェルが個々のアレイを含む必要はない。複合アレイは同一、類似または異なる個々のアレイを含むことができることに注意すべきである。すなわち、いくつかの例においては、96の異なるサンプルについて2000の同じアッセイを行うことが望ましい場合があり、同じサンプル(すなわち、96ウェルの各々中の同じサンプル)について192000の実験を行うことが望ましい場合もある。別法として、複合アレイの各行(row)または列(column)は重複(redundancy)/品質管理用に同じである可能性もある。当業者には理解されるように、このシステムを作るために種々の方法がある。また、アレイのランダム性はビーズの同じ集団を2つの異なる表面に付加することができ、その結果、実質的に類似しているが、多分同一ではないアレイが得られることを意味する。
【0022】
本明細書で使用する「基体」または「固体支持体」または他の文法的に同じ意味の語は、ビーズの結合または会合に適した独立した個々の部位を含むように修飾でき、少なくとも1つの検出法に敏感に反応する任意の物質を意味する。当業者に明らかなごとく、可能な基体の数は非常に多い。可能な基体としては、これらに限定されるものではないが、ガラスおよび修飾または機能化ガラス、プラスチック(アクリル、ポリスチレンおよびスチレンと他の物質との共重合体、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブチレン、ポリウレタン、テフロン等を包含する)、多糖類、ナイロンまたはニトロセルロース、樹脂、シリカまたはシリコンおよび修飾シリコンを包含するシリカ系物質、炭素、金属、無機ガラス、プラスチック、光ファイバー束および種々の他のポリマーが挙げられる。一般に、基体は光学的検出を可能にし、それ自体は認められるほどに蛍光を発しない。
【0023】
一般に、基体は平ら(平面)であるが、当業者に明らかなごとく、基体の他の形態も同様に使用でき、例えば、サンプルのビーズへのアクセスを可能にするプラスチックの多孔質ブロック中にビーズを埋め込み、検出に共焦点(cofocal)顕微鏡を使用することにより、三次元形態も使用できる。同様に、ビーズをフロースルー(flow-through)サンプル分析用のチューブの内表面に配置してサンプル容量を最少にすることもできる。好ましい基体としては、以下に説明する光ファイバー束や、平面基体、例えば、ガラス、ポリスチレンおよび他のプラスチックおよびアクリルが挙げられる。いくつかの例においては、シリコンウェハ基体は好ましくない。一例において、基体は顕微鏡スライドの形態であるかまたは顕微鏡スライドである。
第一基体は、複数のアッセイ場所、すなわち、標的アナライトを検出するための分析が行われる位置を含む表面を含む。アッセイ場所は一般に、例えば、マイクロタイタープレート中のウェルのように相互に物理的に分離しているが、アッセイ場所を分離するために他の形態(疎水性/親水性等)も使用できる。
【0024】
好ましい具体例において、第二基体は、米国特許出願番号08/944850および08/519062ならびにPCT US98/05025およびPCT US98/09163に一般的に記載されているような光ファイバー束またはアレイであり、これらを出典明示で本明細書の一部とする。好ましい具体例は、予め成形された一元の光ファイバーアレイを利用する。本明細書で使用する「予め成形された一元の光ファイバーアレイ」は、同軸を有するように配置され、長さ方向に沿って一体となった別個の光ファイバー束のアレイを意味する。ファイバーストランドは、一般的に個々に被覆されている。しかし、他の光ファイバーフォーマットと予め成形された一元のアレイとを区別する1つのことは、ファイバーが個々に物理的に操作できないこと、すなわち、一般に、1つのストランドが、長さ方向に沿った任意の点で物理的にもう一つのファイバーストランドから分離できないことである。
しかし、ある「二成分」例においては、第二基体は光ファイバーアレイではない。
【0025】
好ましい具体例において、(「一成分系」の)アッセイ場所または(「二成分系」の)アレイ場所は複数の独立した部位を含む。たとえば、前者の場合において、本明細書に記載するようにアッセイ場所はアレイ場所と同じである。後者の場合において、アレイ場所は別々にアッセイ場所に嵌合する。これらの例において、基体の少なくとも1つの表面を、後の微小球との会合のため(または、微小球を使用しない場合、生物活性剤の結合のため)の分離した個々の部位を含むように修飾する。これらの部位は、物理的に変更された部位、すなわち、ビーズを保持して微小球がその中で静止できる基体におけるウェルまたは小さなくぼみのような物理的な形態、または、他の力(磁力または圧縮)の使用、または、化学的に機能化された部位のような化学的に変更もしくは活性化された部位、静電的に変更された部位、疎水/親水的に機能化された部位、接着スポット等を含むことができる。
【0026】
部位はパターン、すなわち、規則的なデザインまたは形態とすることができ、あるいはランダムに分布させてもよい。好ましい具体例では、部位をX−Y座標平面においてアドレス指定できるように部位の規則的なパターンを用いる。この意味での「パターン」は、繰り返し単位格子、好ましくは基体上の高密度のビーズを可能にするものを包含する。しかし、これらの部位は、独立した部位でなくてもよいことに注意すべきである。すなわち、例えば、任意の位置でのビーズの接着を可能にする接着剤または化学的官能性の均一な表面を使用することも可能である。すなわち、個々の部位が他の部位と連続していても、不連続であっても、微小球の個々の部位への接着が可能になるように基体の表面を修飾する。従って、単一の会合したビーズのみを有する独立した部位が形成されるように基体の表面を修飾することができ、また別法として、基体の表面を修飾し、ビーズはどこでも下降するが、独立した部分で終わる。
【0027】
好ましい具体例において、基体の表面は、ウェル、すなわち、基体表面の窪みを含むように修飾される。これは、これらに限定されるものではないが、フォトリトグラフィー、スタンプ技術、成型技術およびマイクロエッチング技術を包含する種々の技術を用いて、当業者に一般的に知られている方法で行なうことができる。当業者に明らかなごとく、用いられる技術は組成物および基体の形状に依存する。第一基体がアッセイ場所と個々のアレイの両方を含む場合、好ましい方法は、マイクロタイタープレートのアッセイウェルの底部にビーズウェルを形成する成型技術を利用する。同様に、好ましい具体例は、アレイフォーマットにおいて「フィンガー」または突起を含み、各フィンガーがビーズウェルを含む、成型された第二基体を利用する。
好ましい具体例において、物理的変化を基体の表面に施し、部位を生じさせる。好ましい具体例において、例えば、第二基体が光ファイバー束である場合、基体の表面は、米国特許出願番号08/818199および09/151877(いずれも出典明示で本明細書に組み入れる。)に一般的に記載されるファイバー束の一末端である。この具体例において、ウェルは、個々のファイバーを含む光ファイバー束の末端または遠位端において形成される。この具体例において、個々のファイバーのコアはクラッディングに関してエッチングされ、ファイバーの一端に小さなウェルまたは窪みが形成される。ウェルの必要な深さは、ウェルに加えられるビーズのサイズに依存する。
一般に、この具体例において、微小球はウェルに共有結合していないが、該ウェルは以下に概説するようにさらに化学的に官能化され、架橋剤を用いることができるか、あるいは物理的バリアー、すなわち、ビーズ上のフィルムまたは膜を用いることもできる。
【0028】
好ましい具体例においては、基体上の独立した部位または位置に共有または非共有のいずれかで本発明の微小球を付着させるのに用いることのできる、修飾された部位、特に化学的に修飾された部位を含有するように基体の表面を修飾する。この状況において「化学的に修飾された部位」とは、対応する反応性官能基も含有するのが一般である微小球を共有結合させるために用いることのできる、アミノ基、カルボキシ基、オキソ基およびチオール基を含む、1つのパターンの化学的官能基の付加;微小球を結合させるのに用いることのできる1つのパターンの接着剤の添加(接着剤を添加するために先に化学的に官能化するか、または接着剤の直接的添加のいずれかによる);微小球を静電気的結合させるための1つのパターンの荷電基の付加(化学的官能化と同様)、すなわち、微小球がその部位と反対の荷電基を含む場合;適当な実験条件下、同様に疎水性または親水性微小球の付加がヒドロアフィニティーに基づいて微小球の該部位への会合をもたらすように、該部位を特異的に疎水性または親水性とする1つのパターンの化学的官能基の付加を包含するが、これらに限定されるものではない。例えば、水性系において、疎水性部位を疎水性ビーズに関して使用すると、ビーズの会合は該部位上で優勢的に行われる。
加えて、ビーズを基体と結合させるために生物学的に修飾された部位も使用できる。例えば、本明細書に一般的に記載するような結合リガンド対を使用できる。1つのパートナーをビーズ上に、他のパートナーを基体上に存在させる。この例において特に好ましいものは、相補的核酸鎖と抗原/抗体対である。
【0029】
さらに、この方法において生物学的部分を使用すると、複合アレイも形成できる。これは、基体10がない以外は図1Fに示すシステムと同様である。この例において、ビーズの集団は1つの結合パートナーを含み、この集団のサブ集団は異なる生物活性剤を有する。異なる結合パートナーを有する異なる集団と、空間的に分離された結合パートナーを有する異なるアッセイまたはアレイ場所を含む基体を使用することにより、複合アレイを生じさせることができる。この例も、以下に一般的に記載するように、複合アレイのそれぞれの分離したアレイが同じコードを使用できるので、コードを再使用する。
上記したように、「パターン」は、この意味において、ビーズを独立した部位で接着させるための表面の均一処理の使用、ならびにその表面を処理して独立した部位を得ることを包含する。当業者に自明であるように、これは種々の方法で行うことができる。
【0030】
当業者には理解されるように、図面に一般的に示すようなシステムの多数の可能な形態がある。本明細書に記載の標準的なフォーマットに加え、種々の他のフォーマットを使用できる。例えば、図1C〜1Fに示すように、相互に連結していない基体の「部分」を使用できる。ここでも、これらは同じアレイでも、異なるアレイでもよい。これらの部分は個別に作製してもよいし、単一の基体上の大きなユニットとして作製し、その後、基体を異なる個々の基体に切断または分離できる。したがって、例えば、図1Cおよび1Dは第二基体のウェルに添加された複数のビーズアレイを示し、図1Cは混合を最大化するための「ビーズのビーズ」である。図1Dは複数の平らな第一基体を利用するもので、当業者には理解されるように、これらは第二基体に結合しても、しなくてもよい。一例においては、特別な結合手段は用いられず、かわりに種々の接着技術が使用される。例えば、ビーズの基体への接着について説明したように、接着剤、化学、疎水性/親水性相互反応等の使用を含む、共有または非共有力を使用できる。また、基体は磁性であっても、磁力的に保持されていても(所望により混合しても)よい。すなわち、例えば、図1Fに示すように、結合基を使用することができ、これらは共有結合または非共有結合である。これらは単純に結合のため、または第一基体アレイを第二基体中または上の個々の位置を標的とするために使用できる。すなわち、例えば、異なるオリゴヌクレオチドを、第一基体を第二基体に向け、結合させるために使用できる。
【0031】
好ましい具体例において、イメージ化に用いられる基体中に組み込まれた光学的部品がある。したがって、例えば、一成分または二成分系のいずれかにおいて、基体に「レンズ化(lensing)」能を組み込むことができる。例えば、一成分系において、1つ以上のアッセイ場所の底部は、レンズ、フィルター等の独特または特別の光学的要素を有していてもよい。
また、好ましい具体例はアッセイ反応の混合を容易にするための形態を利用する。例えば、好ましい具体例は混合を可能にする二成分系を利用する。すなわち、いくつかの例において、アレイはブロックから突出し、反応を撹拌してアッセイ成分の良好な混合を促進し、反応速度を増大させる等の「スティック」として使用できる。当業者には理解されるように、これは種々の方法で行うことができる。好ましい具体例において、第一および第二の基体は、それらが相互に関してX−Y座標平面、X−Z座標平面、Y−Z座標平面または三次元(X−Y−Z)のいずれかにおいて動くことができるように配置される。好ましい具体例は、ブロックがプレートの平面内またはプレート平面に対して直交して自由に動くことのできるブロックジグを利用する。標準的混合条件はこれらの状況においてはしばしば十分に作用しないので、これはこのような時に特に有用である。
【0032】
これに加えて、あるいはこの代わりに、系の一部としてさらなる混合要素が存在してもよい。例えば、外来性混合粒子が追加されていてもよく、一例は、例えば、混合させるために動く磁石と共に磁性粒子を利用する。例えば、小さい電磁撹拌棒と電磁撹拌板を使用できる。
別法として、システムを密閉し、標準的技術を用い、所望により混合粒子を用いて振盪することにより、一成分または二成分系における混合を行うことができる。
好ましい例において、系は蒸発を軽減し、小さなサンプルサイズおよび取り扱いを促進するために配列される。すなわち、系は、小さなサンプル容積の規制を維持するために限られた空間を封入することにより密閉または密封される。この点に関して、本発明は、アレイおよび/またはサンプルを含むかまたは封入するハイブリダイゼーションチャンバーを提供する。以下にさらに詳細に概要を説明するように、好ましい例は、二成分系において特に有用であるベースプレートおよびアラインメント部分を含むハイブリダイゼーションチャンバーを利用するが、これらは一成分系においても有用である。
【0033】
密封系の利点の一つは、振動を軽減または低下させることである。すなわち、サンプル体積が小さいために、アレイは振動により、例えばプラットホーム振とう、モーター振動、または空気循環により引き起こされる外乱の影響を受けやすい。アレイを封入し、アレイをベースプレート上に設置することにより、ベースプレートが振動を低下させるので、サンプルとアレイは振動により引き起こされる外乱の影響を受けにくくなる。
本発明のこの態様のさらなる利点は、封入されたアレイにより、ますます小さな容積を使用が可能になることである。オープンアレイフォーマットにおいては、小さなサンプル体積が蒸発して、サンプルの多様性、変化および溶液中の溶質の濃度の不一致を含む様々な問題が生じる。例えば、小さなサンプル体積が異なるアッセイ場所において存在する場合、溶液の差別的な蒸発の結果、溶質濃度が劇的に変化する。かかる差は、ハイブリダイゼーション速度を変更し、例えば、かかるオープンアレイから得られた結果の解釈および比較を困難にする。しかしながら、アレイを例えば本明細書において概要を記載したハイブリダイゼーションチャンバー中に封入することにより、かかるサンプルの変動は最小限に抑えられ、これにより封入されたアレイから得られるデータがより信頼性のあるものになる。従って、本明細書において記載された任意の方法はハイブリダイゼーションチャンバーについて有用である。
【0034】
さらに、封入されたアレイは、オープンアレイにおけるインキュべーション時間と比較して、延長されたアッセイ/インキュべーション時間を許容する。ここにおいても、密封または封入されたアレイはサンプルの蒸発を防止し、延長されたインキュべーション期間を許容する。
加えて、封入されたアレイは必要ならばサンプルの混合を促進する。一般に、小さなサンプル体積を用いる場合、サンプルの適切な混合を達成するのは困難である。しかしながら、以下にさらに詳細に概略を記載するように、一例においては、真空および/または圧力を提供する空気式装置に関して軟質隔膜が用いられる場合、ハイブリダイゼーションチャンバーは混合を促進する。
【0035】
「二成分」系が用いられる場合、ハイブリダイゼーションチャンバーを用いることができる。すなわち、両成分、すなわち、複数のアッセイ場所を含む基体と複数のアレイ場所を含む基体がハイブリダイゼーションチャンバー内に封入される。好ましい例において、これらの成分としては、ハイブリダイゼーションチャンバー内に封入される光ファイバーアレイおよびマルチウェルマイクロタイタープレートが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
好ましい例において、ハイブリダイゼーションチャンバーはその上またはその中に成分の一つが設置されたベースプレートを含む。ベースプレートとは、その上にアレイ成分の一つが設置される任意のプラットホームまたはホルダーを意味する。ベースプレートは、プラスチック、ガラスまたは金属または基体について本明細書において概要を記載した任意の物質で作ることができ、ベースプレートが金属である場合、好ましくはアルミニウムで作られる。アルミニウムは軽量であるが丈夫なベースプレートを提供する。加えて、アルミニウムはチャンバーについて有効および/または迅速な熱伝達を可能にする。しかしながら、ベースプレートがプラスチックまたはガラスでできている場合、成分は直接ベースプレートと接触する。別法として、金属シートまたはテンプレートをベースプレート中に挿入するか、またはベースプレート上に設置することができる。金属シートまたはテンプレートは、様々な成分のサイズおよび/または形状に適応するために様々な形態の任意のものを保持するために設計することができる。すでに記載したように、金属は迅速かつ有効な熱導体であるという利点を提供する。
【0036】
一例において、ベースプレートは、その中にアレイ成分が配置される少なくとも一つのくぼみまたはベースキャビティーを含む。すなわち、マイクロタイタープレートが成分である場合、該くぼみまたはベースキャビティーは、マイクロタイタープレートをその中に直接設置できるように、好ましくは余分な振動を回避し、有効な熱伝導を可能にするために密着するように形成される。くぼみをベースプレート中に成形することができる。加えて、ベースプレートは、複数の分離したアレイ成分が単一のベースプレート上に設置されるように、複数のくぼみまたは空隙を含んでもよい。
別法として、ベースプレートは平坦であってもよく、好ましくは、アレイを定位置に保持するためのフックまたは他のアタッチメント部分を含む。
加えて、好ましい例はハイブリダイゼーションに関して蓋を利用する。蓋は任意の物質(ここでも、本明細書において基体について列挙したとおり)で作られていてもよいが、ガラス、プラスチックまたは金属が好ましい。蓋は、蓋がベースプレート上におかれた場合に密閉されたチャンバーが形成されるようにベースプレートとかみあうのが好ましい。
もう一つの例において、蓋は少なくとも一つの成分配置孔を含む。成分配置孔とは、成分が固定される蓋における部位を意味する。すなわち、配置孔により、成分のうちの一つが蓋に取り付けられる。好ましい例において、該孔はこれを通して成分が挿入される蓋の穴である。たとえば、光ファイバー束が成分である場合、該束は該孔を通して挿入される。この例において、孔はさらにアタッチメント部位の周りのシーラントを含み、成分、すなわち光ファイバー束の遠位端と蓋の間に気密シールが形成される。このシーラントは、いかに概略を記載するよな、シリコン、ゴム、プラスチックなどを含む任意の物質であってもよい。別法として、シールはゲル系物質、たとえば、ワセリン、またはフィルム系物質、たとえばPARAFILMであってもよい。
【0037】
さらにもう一つの例において、蓋は、蓋に複数の孔を含む。すなわち、複数の成分が使用される場合、各成分について別々の孔を有する必要がある。たとえば、複数の光ファイバー束が使用される場合、各光ファイバー束は、別々の孔中に配置される。しかしながら、各光ファイバー束を一つの孔中に一度に挿入することが可能であるが、同じ光ファイバー束を異なる孔中に連続して挿入することも可能である。すなわち、成分が連続して挿入される孔の数、に制限はない。たとえば、図7Aに示すように、蓋10は、その中に光ファイバー束30が設置される複数の孔20を含む。蓋を次にベースプレート60のベースキャビティー50中のマイクロタイタープレート40上に設置する。ベースプレート60を図7bに示し、ベースプレート60およびベースキャビティー50を示す。
【0038】
好ましい例において、孔シールは溶液相互汚染を低減または防止する。すなわち、個々の孔/成分の周りのシールはベースプレートまたはアレイ成分に対するシールを形成するので、特定の孔/成分に対応するサンプルからの溶液が他の成分から分離または密封される。
もう一つの例において、すべての孔がいつでも成分で満たされているわけではない。孔の最大充填物より少ないのが適当または望ましい場合、成分を含まない孔中にプラグを挿入することができる。このようにして、成分を含まない孔が存在するにも関わらず、蓋はベースプレートと依然として気密シールを形成する。プラグはゴムストッパー、ガスケット、フィルム、ゲルなどの形態であることができる。
【0039】
好ましい例において、蓋とベースプレートの間のチャンバーの周辺部の周りにシーラントが存在する。シーラントは蓋とベースプレートの間に形成される気密性シールをもたらす任意の物質でできている。このましい例において、シーラントは、ゴムまたはシリコンガスケットまたはO−リング80(図8参照)などのゴムでできている。シーラントを蓋またはベースプレートのいずれかに固定することができる。この目的のために、シーラントを蓋に恒久的に付着させることができる。別法として、シーラントを蓋またはベースプレートのいずれかの溝中にはめ込むことができる。このように、シーラントは蓋またはベースプレートに固定されるが、この固定は恒久的である必要はない。別法として、シーラントは液体シーラント、たとえばワセリンあるいは柔軟性フィルム材料、たとえば、PARAFILMまたは他のワックスから形成することができる。
【0040】
好ましい例において、二成分系が使用される場合、ハイブリダイゼーションチャンバーはさらにアラインメント部分を含む。アラインメント部分とは、蓋とベースプレートの整合を促進するチャンバーの機構を意味する。アラインメント部分の重要性は、一つの蓋とベースプレートの整列にあるだけでなく、複数の蓋とベースプレートの再現可能な整列にある。すなわち、アラインメント部分は、任意のアレイ成分と任意のマルチウェルマイクロタイタープレート形態間の物理的整列を促進する。蓋中の光ファイバー束がベースプレート上のマイクロタイタープレートと整列される場合、アラインメント部分はファイバー束の垂直中心軸をその対応するウェル中心軸と整列させる。好ましい例において、すべてのファイバー束が明確、すなわちウェルの内壁と接触しないように整列させる。この整列は逐次イメージ化にとって重要である。
【0041】
一例において、アラインメント部分は相補的雄/雌型嵌合である。雄型嵌合は蓋またはベースプレートに取り付けられるが、恒久的に取り付けられる必要はない。雄型嵌合をチャンバーのベースプレートまたは蓋のアラインメント部分として使用する場合、反対側のチャンバー部分はその中に雄型嵌合が挿入されるスロットまたは穴(雌型嵌合)を含む。当業者は本発明に関して有用なこの雄/雌型嵌合のバリエーションを理解する。この点に関して、該機構はチャンバー部分上のインデクサーピンまたは隆起および他の部分上の穴または相補的溝であってもよい。
好ましい例において、基準が用いられる。米国特許出願番号60/119323、および09/500555およびPCT/US00/03375参照(出典明示によりその全体を本発明の一部とする)。
【0042】
もう一つの例において、チャンバーは蓋とベースプレート間の確実な接触を維持するためのクランプ機構も含んでもよい。クランピングの利点は、チャンバー全体にわたって均一に負荷を分布させて、均一なシール圧縮を達成することである。「クランプ機構」または「クランプ」とは、蓋とベースプレート間に増大した圧力またはシールを適用および維持する任意の機構である。一例において、クレーム機構は回転スタッド/受け機構を包含する。すなわち、スタッド90を受け器95中に挿入し、回転させて蓋およびベースプレートを一緒に押し下げる(図8参照)。別法として、該機構はフックおよびラッチ機構を含んでもよい。当業者は本発明において有用な多くのクランピング機構を理解する。加えて、当業者はクランピングの方法は手作業のクランピングに限定されないことを理解する。従って、自動化することもできる。
【0043】
もう一つの例において、チャンバーはチャンバーの取り扱いのための周辺部の周りの機構を含む。好ましい例において、該機構は、使用者の指が手作業でチャンバー/アレイを取り扱うことを可能にするために十分広いスロットである。もう一つの例において、該機構はスロット、溝、ハンドルなどであり、チャンバーの自動またはロボット運転において特に有用である。これらのさらなる機構は、さらにロボット操作を容易にするために非対称的に分布していてもよい。
前記のように、ハイブリダイゼーションチャンバーの利点は、サンプル溶液を損失することなく小さなサンプル体積を使用できることである。さらにもう一つの例において、チャンバーは追加の溶液を保持するための1以上の貯蔵容器を含んでもよい。従って、ハイブリダイゼーションチャンバーは湿度チャンバーとしても機能する。追加の溶液を貯蔵容器中に含めることは、さらにサンプルの蒸発を防止する。
【0044】
もう一つの例において、たとえば、マイクロタイタープレートを使用する場合、サンプルをベースプレートの表面上にある膜に適用することができる。膜を使用することの利点は、各使用後の膜のクリーニングまたは廃棄が容易であることを包含し、軟質隔膜はピペットの先端または光ファイバーの先端がサンプルウェルの底と接触することにより該先端を損傷しない。
この例において、ベースプレートは一連の小さな開口部105、たとえばマイクロプレートフォーマットにおけるものを含む(図9A)。従って、膜は開口部中に押し下げられ、分離したアッセイ場所を形成する。様々な膜が本発明に関して有用である。重要なことは、膜が柔軟性であることである。化学的に不活性な膜を有することが望ましい場合もあり、またアッセイ成分が相互作用する膜、たとえばナイロン、ニトロセルロース膜などを有するのが望ましい場合もある。
【0045】
好ましい例において、チャンネは各開口部と連結する(図9B)。チャンネル100は真空および/または圧力を生じる空気式装置と連結していてもよい。従って、真空が適用される場合、膜は開口部105中に変形して、小さなポケットまたはウェルを形成する。サンプルを次に該ポケットに加える。異なる量の真空を該開口部を通して膜に加えることにより、変形した膜により形成されるウェルの体積および液面の高さを変えることができる。さらに、チャンネルを通して間欠的に真空を膜に適用することにより、ウェル中の液体を撹拌または混合することもできる。このような混合法は、系全体が振動する必要がなく、撹拌棒またはタンブラーが必要ないので、有利である。さらに、開口部のサブセットが異なるチャンネルと連結する場合、異なるサブセットを同じベースプレート中で独立して混合することができる。
【0046】
正圧が適用される場合、膜は圧力の大きさ、膜の上部に負荷が存在するかどうか、ならびに開口部の大きさおよび形状によって、上方に変形するかまたは平坦なままである。これは特にチャンバーの洗浄またはクリーニングにおいて非常に有利である。
圧力および真空がある順番で異なる孔に適用される場合、少量の溶液を膜の異なる部分へ移動させることができる。すなわち、図10A〜Fにおいて示すように、圧力および真空を差別的に適用すると、膜がある部分においてはふくらみ、他の部分においてはくぼむ。従って、膜に適用される溶液は膜のより低い部分へ移動するであろう。このことは、膜上のサンプルのインキュベーションを正確な時間進行させる利点を有する。一定の時間の後、真空を解除し、必要ならば溶液を除去するために圧力を加える。これにより、小さなセクションにおけるインキュベーションが可能になり、アレイ全体にわたって第一ウェルと最終ウェルの間で均一なインキュベーション時間が達成される。
【0047】
真空または圧力の適用によりサンプル体積を調節する利点としては、ハイブリダイゼーション溶液などの試薬の消費体積の減少;小さなサンプル体積の撹拌の容易性の向上;および膜のクリーニングの容易性の向上が挙げられる。
好ましい例において、チャンネルはハイブリダイゼーション混合物などのサンプル溶液または洗浄液を汲み入れるかまたは吸い出すために共通の液体取り扱い装置と連結されている。ここでも、一例において、すべての開口部は一つのチャンネルと連結している。従って、すべてのウェルが同じ溶液で処理される。別法として、開口部のサブ集団は異なるチャンネルと連結され、溶液が該サブ集団に差別的に適用される。
【0048】
チャンネルが液体操作装置と連結している場合、これは液体をサンプルに適用し、サンプルから除去するための機構を含む必要がある。すなわち、液体がベースプレートの開口部を通して添加され、除去されるために、膜は液体が移動できるために透過性でなければならない。この点に関して、液体を加え、除去するために膜に穿刺するために針が有用である。針を使用する場合、再密封可能な膜を使用するか、または溶液の望ましくない漏れを防止するために穿刺場所にシーラントを適用する必要がある。
チャンバーが伝熱機構を含む場合もある。すなわち、高温が必要であるかまたは望ましい場合、チャンバーは高温を維持するために設計される。一例において、これは、チャンバーに断熱材を適用することを包含する。次に、予熱された溶液をチャンバー中に導入し、高温を維持する。すなわち、溶液は、チャンバー中に汲み入れられる前にチャンバーの外側で容易に加熱することができる。簡単なチャンバー形状により、異なるウェル中の液体間で等しい温度を維持することが容易になる。
【0049】
もう一つの例において、チャンバーはチャンバー中に高温を維持するために加熱機構を含む。一例において、チャンバーは加熱装置により均一に加熱される。もう一つの例において、加熱装置はチャンバーの異なる部分を独立して加熱する。
前記のように、ベースプレート上にアルミニウムなどの金属を使用することにより、金属は熱の迅速かつ有効な導体であるので、伝熱が促進される。
「一成分」系を使用する場合、蓋および密封機構を用いることができる。すなわち、前記のように、蓋はベースプレートと気密性シールを形成する。従って、前記の蓋のように、「一成分」系の蓋も、蓋とベースプレート間にシーラントを含む。一例において、蓋とベースプレートも「二成分」系についてすでに記載したようなアラインメント部分を含む。別法として、一例において、一成分系のチャンバーはアラインメント部分を含まない。この点に関して、一成分系において蓋とベースプレートの厳密な整列の必要性は、二成分系についてよりも低い。すなわち、一成分系は、蓋のアレイ成分をベースプレート上のアレイ場所と整列させらる必要がないので、整列はあまり厳密でない。しかしながら、整列は依然としてイメージ化に重要である。
【0050】
さらに、前記のように、一成分系におけるチャンバーの蓋は、ガラス、プラスチックまたは金属で作ることができる。ここでも、金属は迅速かつ有効な熱の導体であるので、金属の使用により温度の維持が容易になる。
加えて、系は追加の要素も含んでよい。これらは、プローブまたは光ファイバー束のホルダーを含む。かかるホルダーは米国特許出願番号60/135089(1999年5月20日提出)、および09/574962(2000年5月19日提出)、およびPCT US00/13772(2000年5月19日提出)においてより詳細に記載されている。加えて、系は米国特許出願番号09/033462および09/260963およびPCT/US99/04473に記載されているようなセルを含んでもよい。加えて、系は米国特許出願番号60/119323および09/500555およびPCT/US00/03375に記載されているような基準を含んでもよい(すべて、出典明示により本発明の一部とする)。
【0051】
好ましい例において、本発明の方法および組成物はロボットシステムを含む。多くのシステムは一般に96(またはそれ以上)ウェルマイクロタイタープレートを使用するが、当業者には理解されるように、任意の数の異なるプレートまたは形状を用いることができる。加えて、本明細書において概略を記載した任意またはすべての工程を自動化することができる;従って、たとえば系は完全または部分的に自動化することができる。
当業者には理解されるように、これらに限定されないが、1以上のロボットアーム;マイクロプレートの位置決めのためのプレートハンドラー;非相互汚染プレート上のウェルの蓋の除去および交換のための自動化蓋ハンドラー;使い捨てチップを有するサンプル分布のためのチップアセンブリ;サンプル分布のためのウォッシャブルチップアセンブリ;96ウェルローディングブロック;冷却された試薬ラック;マイクロタイタープレートピペットポジション(所望により冷却してもよい);プレートおよびチップのためのスタッキングタワー;およびコンピューターシステムを含むさまざまな使用可能な成分がある。
【0052】
完全ロボットシステムは、スクリーニング用途のすべての工程を行うための高スループットピペッティングを含む自動化液体−および粒子操作を含む。これは、液体、および粒子操作、たとえば、吸引、分配、混合、希釈、洗浄、正確な容積移動;修正、およびピペットチップの廃棄;および一つのサンプル吸引から複数回分配するための同一体積の繰り返しピペッティングを包含する。
好ましい例において、化学的に誘導化された粒子、プレート、チューブ、電磁粒子、またはリガンドまたは変異タンパク質に対して特異性を有する他の固相マトリックスが用いられる。マイクロプレート、チューブ、または任意の固相マトリックスの結合表面は、非極性表面、高極性表面、共有結合を促進するための修飾デキストランコーティング、抗体コーティング、融合タンパク質またはペプチドと結合するためのアフィニティーメディア、表面固定タンパク質、たとえば組み換えタンパク質AまたはG、ヌクレオチド樹脂またはコーティングを含み、他のアフィニティーマトリックスが本発明において有用である。
【0053】
好ましい例において、マルチウェルプレートのプラットホーム、マルチチューブ、ミニチューブ、ディープウェルプレート、ミクロ遠心管、冷バイアル、方形ウェルプレート、フィルター、チップ、光ファイバー、ビーズ、および様々な体積の他の固相マトリックスまたはプラットホームが追加の容量のためにアップグレード可能なモジュラープラットホームに適用される。このモジュラープラットホームは、可変速度オービタルシェーカー、およびソースサンプルのマルチポジションワークデッキ、サンプルおよび試薬希釈、アッセイプレート、サンプルおよび試薬貯蔵容器、ピペットチップ、および活性洗浄ステーションを含む。
好ましい例において、サンプルのインキュベートを4℃から100℃まで正確に温度制御するための制御ブロックまたはプラットホームなどの熱交換器の温度を安定化させるために、熱サイクラーおよび熱調節システムが用いられる。
【0054】
好ましい例において、単一または複数の電磁プローブを有する交換可能なピペットヘッド(シングルまたはマルチチャンネル)、アフィニティープローブ、またはピペッターはロボットにより液体および粒子を操作する。マルチウェルまたはマルチチューブ電磁セパレーターまたはプラットホームはシングルまたはマルチサンプルフォーマットにおいて液体および粒子を操作する。
いくつかの好ましい例において、装置は、データおよびイメージを獲得し、定量可能なフォーマットに変換するためのCCDカメラ;およびコンピューターワークステーションを含む。これらはデータ分析を可能にする。
フレキシブルなハードウェアおよびソフトウェアにより装置は複数の用途に適用可能になる。ソフトウェアプログラムモジュールは、方法の作成、変更、および実施を可能にする。システム診断モジュールは、装置の整列、正確な接続、およびモーター操作を可能にする。カスタマイズされたツール、ラブウェア、ならびに液体および粒子移動パターンは異なる用途を実行させる。データベースは方法およびパラメータ記憶を可能にする。ロボットおよびコンピューターインターフェースは装置間のコミュニケーションを可能にする。
【0055】
好ましい例において、ロボットワークステーションは1以上の加熱または冷却成分を含む。反応および試薬によって、冷却または加熱のいずれかが必要となり、これは任意の数のPeltierシステムを含む公知加熱および冷却システムを用いて行うことができる。
好ましい例において、ロボット装置は、バスを介してメモリーおよび入力/出力装置の組み合わせ(例えば、キーボード、マウス、モニター、プリンターなど)と接続する中心処理装置を含む。中心処理装置、メモリー、入力/出力装置、およびバス間の一般的相互作用は当該分野において公知である。従って、実施される実験によって様々な異なる手順がCPUに記憶される。
【0056】
好ましい例において、本発明の組成物はさらに微小球の集団を含む。本明細書中の「集団」とは、アレイについて上記したように、複数のビーズを意味する。集団内には、単一の微小球または複数の同じ微小球である分離したサブ集団がある。すなわち、いくつかの例においては、以下にさらに詳細に記載するように、アレイは各生物活性剤用に単一のビーズを含有するだけであってもよく;好ましい例は各タイプの複数のビーズを利用する。
本明細書中の「微小球」または「ビーズ」または「粒子」あるいは文法的に同等な語は、小さな独立した粒子を意味する。ビーズの組成は、生物活性剤の種類および合成方法に応じて変化する。適当なビーズ組成は、例えば、プラスチック、セラミック、ガラス、ポリスチレン、メチルスチレン、アクリルポリマー、常磁性物質、トリアゾル、カーボングラファイト、二酸化チタン、ラテックスまたは架橋デキストラン、例えば、セファロース、セルロース、ナイロン、架橋ミセルおよびテフロンを含むが、これらに限定されないペプチド、核酸および有機物の合成に用いられるものすべてを用いることができる。Bangs Laboratories、Fishers INの「微小球検出ガイド(Microspere Detection Guide)」が有用なガイドブックである。
【0057】
ビーズは球状である必要はなく;不規則な粒子を用いることもできる。加えて、ビーズは多孔質であってもよく、生物活性剤の結合またはIBLの結合に利用できるビーズの表面積が増加する。ビーズの大きさは、数ナノメートル、すなわち100nmから、数ミリメートル、すなわち1mmの範囲にあり、約0.2ミクロンないし約200ミクロンのビーズが好ましく、約0.5ないし約5ミクロンのビーズが特に好ましいが、さらに小さなビーズが用いられる場合もある。
本発明で重要な要素は、アッセイの過程でビーズが動かないように、ビーズを基体の表面上の独立した部位に結合または付着させることのできる基体/ビーズのペアリングを使用することである。
【0058】
各微小球は、生物活性剤を含むが、当業者に明らかであるように、その合成方法に応じて、生物活性剤を含まない微小球が存在してもよい。本明細書において使用される「候補(candidate)生物活性剤」または「生物活性剤」または「化学官能基」または「結合リガンド」は、本発明の微小球に結合することのできる、任意の分子、例えば、タンパク質、オリゴペプチド、小型有機分子、配位錯体、多糖類、ポリヌクレオチドなどを意味する。本発明の組成物には2通りの主たる用途があると理解される。好ましい具体例において、以下にさらに詳細に記載するように、特定の標的アナライトの存在、例えば、特定のヌクレオチド配列または特定のタンパク質、例えば、酵素、抗体もしくは抗原の有無を検出するのに当該組成物が用いられる。別の好ましい具体例において、当該組成物を用い、生物活性剤、すなわち、薬物候補物質を特定の標的アナライトへの結合に関してスクリーンすることができる。
【0059】
生物活性剤は、典型的には有機分子であり、好ましくは分子量が100ダルトンより大きく、約2500ダルトンよりも小さい、小型有機化合物であるが、多くの化学種を包含する。生物活性剤は、タンパク質との構造的相互作用、特に水素結合に不可欠な官能基を含み、典型的には少なくとも1個のアミノ、カルボニル、ヒドロキシルまたはカルボキシル基、好ましくは少なくとも2個の化学官能基を含む。生物活性剤は、1以上の前記官能基で置換された、環状炭素または複素環構造および/または芳香族またはポリ芳香族構造を含む場合が多い。生物活性剤はまた、ペプチド、核酸、糖類、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、その誘導体、構造類似体または組合せを含む生物分子にも見られる。核酸およびタンパク質が特に好ましい。
生物活性剤は、合成または天然化合物のライブラリーを含むさまざまな供給源から得ることができる。例えば、ランダム化オリゴヌクレオチドの発現を含む、多種の有機化合物と生物分子のランダム合成および定方向性合成に多くの手段を利用することができる。別法として、細菌、真菌、植物および動物抽出物の形態の天然化合物のライブラリーも利用可能であり、あるいは容易に生成される。さらに、天然または合成により生じるライブラリーおよび化合物は、慣用的な化学、物理および生化学的手段を介して容易に修飾される。既知の薬理学的物質を、アシル化、アルキル化、エステル化および/またはアミド化などの定方向性またはランダムな化学的修飾に付し、構造的類似体を生成してもよい。
【0060】
好ましい具体例において、生物活性剤はタンパク質である。本明細書における「タンパク質」とは、少なくとも2個のアミノ酸が共有結合したものを意味し、タンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチドおよびペプチドを包含する。タンパク質は天然に存在するアミノ酸とペプチド結合、あるいは合成ペプチドミメティック構造からできていてもよい。このように、本明細書で用いる場合の「アミノ酸」または「ペプチド残基」は、天然に存在するアミノ酸と合成アミノ酸の両方を意味する。例えば、ホモ−フェニルアラニン、シトルリンおよびノルロイシンは、本発明の目的のためのアミノ酸であると考えられる。側鎖は(R)または(S)配置のいずれかであってよい。好ましい具体例においては、アミノ酸は(S)またはL−配置である。天然に存在しない側鎖を用いるならば、例えば、インビボ分解を防止または妨害するために非アミノ酸置換基を用いることができる。
【0061】
1つの好ましい具体例においては、生物活性剤は天然に存在するタンパク質または天然に存在するタンパク質のフラグメントである。このように、例えば、タンパク質を含有する細胞抽出物、あるいはタンパク様細胞抽出物のランダムまたは定方向性消化物を用いることができる。このようにして、原核生物および真核生物のタンパク質のライブラリーを本明細書に記載のシステムにおいてスクリーニングするために調製することができる。この具体例において特に好ましいのは、細菌、真菌、ウイルスおよび哺乳動物のタンパク質のライブラリーであり、後者が好ましく、ヒトタンパク質が特に好ましい。
好ましい具体例において、生物活性剤は、約5ないし約30個のアミノ酸のペプチドであり、約5ないし約20個のアミノ酸が好ましく、約7ないし約15個が特に好ましい。ペプチドは上記した天然に存在するタンパク質の消化物、ランダムペプチドまたは「偏向した」ランダムペプチドであってもよい。本明細書の「ランダム化」または文法的に同等な語は、核酸およびペプチドが、各々、本質的にランダムヌクレオチドおよびアミノ酸からなっていることを意味する。一般に、これらのランダムペプチド(または以下に記載の核酸)は化学的に合成されるため、それらは任意のヌクレオチドまたはアミノ酸を任意の位置で組み入れることができる。合成方法は、ランダム化タンパク質または核酸を生成し、配列の長さにわたりすべてまたは大部分の可能な組合わせを形成するように設計することができ、こうしてランダム化生物活性タンパク質性物質のライブラリーが形成される。
【0062】
好ましい具体例においては、生物活性剤のライブラリーが用いられる。そのライブラリーは生物活性剤の構造上十分に多様な集団を提供するものであり、標的アナライトに対して蓋然的に十分な範囲にて結合する。したがって、相互作用ライブラリーは、そのメンバーの少なくとも1つが標的アナライトに対して親和性を付与する構造を有するように十分に大きくなければならない。相互作用ライブラリーの必要とする絶対的な大きさを測ることは困難であるが、免疫応答特性で1の手掛かりが得られる:107〜108の異なる抗体の多様性は、生物が直面する最も可能性のある抗原と相互作用するために十分な親和性を有する少なくとも1つの組合わせを提供する。公開されたインビトロの選択技術も107〜108のライブラリーの大きさが標的に対する親和性を有する構造を見出すのに十分であることを示している。このように、好ましい具体例においては、少なくとも106、好ましくは少なくとも107、より好ましくは少なくとも108、最も好ましくは少なくとも109の異なる生物活性剤が本発明の方法において同時に分析される。好ましい方法はライブラリーの大きさおよび多様性を最大限に活用する。
【0063】
好ましい具体例において、ライブラリーは十分にランダム化されており、どの位置においても配列の優先性および定常性はない。もう1つの好ましい具体例においては、ライブラリーを偏向させる。すなわち、配列内のある位置は、定常性を保持するか、または可能性のある限定された数の中から選択される。例えば、好ましい具体例において、ヌクレオチドまたはアミノ酸残基は、所定の種類、例えば、疎水性アミノ酸、親水性残基、架橋してシステインを創製することに、SH−3ドメインについてのプロリンに、リン酸化部位についてセリン、トレオニン、チロシンまたはヒスチジン等に、またはプリンに立体的に偏向した(小型または大型)残基内でランダム化する。
【0064】
好ましい具体例において、生物活性剤は核酸(一般に、本明細書中、「プローブ核酸」または「候補プローブ」と称される)である。本明細書中の「核酸」または「オリゴヌクレオチド」または文法的に同等な語は、少なくとも2つのヌクレオチドが一緒に共有結合したものを意味する。本発明の核酸は一般的にホスホジエステル結合を含有するが、場合によっては、以下に示すように、例えば、ホスホルアミド(Beaucageら、Tetrahedron、49(10):1925(1993)およびその中の引用文献;Letsinger、J.Org.Chem.、35:3800(1970);Sprinzlら、Eur.J.Biochem.、81:579(1977);Letsingerら、Nucl.Acids Res.、14:3487(1986);Sawaiら、Chem.Lett.、805(1984);Letsingerら、J.Am.Chem.Soc.、110:4470(1988);およびPauwelsら、Chemica Scripra、26:141(1986))、ホスホロチオエート(Magら、Nucleic Acids Res.、19:1437(1991);および米国特許第5644048号)、ホスホロジチオエート(Briuら、J.Am.Chem.Soc.、111:2321(1989))、O−メチルホスホルアミド結合(Eckstein、オリゴヌクレオチドおよび類似体:A Practical Approach、Oxford University Press参照)およびペプチド核酸骨格および結合(Egholm、J.Am.Chem.Soc.、114:1895(1992);Meierら、Chem.Int.Ed.Engl.、31:1008(1992);Nielsen、Nature、365:566(1993);Carlssonら、Nature、380:207(1996)、そのすべてを出典明示により本明細書の一部とする)を含む、別の骨格を有していてもよい核酸類似体が含まれる。他の類似する核酸は正の骨格(Denpcyら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、92:6097(1995));非イオン性骨格(米国特許第5386023号;第5637684号;第5602240号;第5216141号;および第4469863号;Kiedrowskiら、Angew,Chem.Intl.Ed.English、30:423(1991);Letsingerら、J.Am.Chem.Soc.、110:4470(1988);Letsingerら、Nucleosides&Nucleotides、13:1597(1994);第二章および第3章、ASCシンポジウム・シリーズ580、「アンチセンスリサーチにおける炭水化物修飾」、Y.S.SanghuiおよびP.Dan.Cook編;Mesmaekerら、Bioorganic&Medicinal Chem.Lett.、4:395(1994);Jeffsら、J.Biomolecular NMR、34:17(1994);Tetrahedron Lett.、37:743(1996))および米国特許第5235033号および第5034506号ならびに第6章および第7章、ASCシンポジウム・シリーズ580、「アンチセンスリサーチにおける炭水化物修飾」、Y.S.SanghuiおよびP.Dan.Cook編に記載のものを含む非リボース骨格を有する核酸を包含する。1以上の炭素環状糖を含有する核酸もまた、核酸の定義内に含まれる(Jenkinsら、Chem.Soc.Rev.、(1995)169−176頁を参照)。数種の核酸類似体が、Rawls,C.&E News、6月2日、1997年、35頁に記載されている。これらの刊行物はすべて出典明示により本明細書の一部とする。リボース−リン酸塩骨格においてこれらの修飾を行い、標識などのさらなる部分の付加を促進し、あるいは生理学的環境中のかかる分子の安定性および半減期を増加させることもできる;例えば、PNAが特に好ましい。加えて、天然に存在する核酸および類似体の混合物を調製することもできる。また、異なる核酸類似体の混合物、および天然に存在する核酸および類似体の混合物を調製することもできる。核酸は特記されていれば一本鎖または二本鎖のいずれであり、あるいは二本鎖または一本鎖の両方の配列の部分を含有していてもよい。核酸はDNA、ゲノムDNAおよびcDNAの両方、RNAまたはハイブリッドであってもよく;ここで、核酸は、デオキシリボ−およびリボ−ヌクレオチドの任意の組合せ、ウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンタニン、ヒポキサンタニン、イソシトシン、イソグアニンおよび塩基類似体、例えば、ニトロピロールおよびニトロインドール等を含む、塩基の任意の組合せを含有していてもよい。
【0065】
好ましい具体例において、生物活性剤はクローン核酸のライブラリーであり、DNAおよびRNAを含む。この具体例において、一般的には、慣用的方法(プラスミドまたはファージベクター中での増殖、PCRを包含する増幅方法等を包含するが、これらに限定されない)を用いて個々の核酸が調製される。好ましくは、核酸は、マイクロタイタープレートフォーマット、およびライブラリーを付着させるために添加されるビーズのごとき特定のフォーマットにおいて並べられる。
化学的またはアフィニティー捕捉(例えば、後でそれらを用いて核酸を表面に付着させることができるAminoLinkまたはビオチン化ヌクレオチドのごとき誘導体化ヌクレオチドを含ませること、ならびにハイブリダイゼーションによるアフィニティー捕捉を包含)、架橋、および静電気的付着等を包含するが、これらに限定されない当該分野で理解されている種々の方法において、クローンライブラリー(または本明細書で説明するいずれかの核酸)の付着を行うことができる。
【0066】
好ましい具体例において、アフィニティー捕捉を用いてクローン核酸をビーズに付着させる。例えば、結合対の一方のメンバーでクローン化核酸を誘導化し、結合対の他方のメンバーでビーズを誘導化することができる。適当な結合対はIBL/DBL対に関して本明細書で説明されているものである。例えば、クローン化核酸をビオチン化してもよい(例えば、ビオチン化ヌクレオチドの酵素による取り込みを用いて、あるいはビオチンの光活性化架橋により)。次いで、当該分野において知られているように、ビオチン化核酸をストレプトアビジン被覆ビーズ上に捕捉することができる。同様に、ジゴキシゲニンおよび抗ジゴキシゲニン抗体のごとき他のハプテン−受容体の組み合わせを使用することができる。別法として、化学基を誘導体化ヌクレオチドの形態に付加することもでき、これにより核酸を表面に付加するために使用できるようにされる。
【0067】
好ましい付着は共有結合であるが、核酸分子1個につき複数の付着部位が存在する場合には、比較的弱い相互作用(すなわち、非共有結合)であっても核酸を表面に付着させるに十分でありうる。かくして、例えば、生物活性剤とは逆の電荷を有するビーズを用いることにより、静電気的相互作用を付着に使用することができる。
同様に、ハイブリダイゼーションを用いるアフィニティー捕捉を用いて、クローン化核酸をビーズに付着させることもできる。例えば、当該分野において知られているように、オリゴ−dTビーズへのハイブリダイゼーションによりポリA付加RNAを慣例通りに捕捉する。これは、オリゴ−dT捕捉およびその後の架橋工程(例えば、プソラレン架橋)を含んでもよい。目的の核酸がポリA部分を含まない場合には、当該分野で知られているように、ターミナルトランスフェラーゼを用いる重合、あるいはオリゴAリンカーの連結により付着させることができる。
【0068】
別法として、例えば、当該分野で知られているように、チミジンを反応性基に対して光活性化架橋することによって化学的架橋を行ってもよい。
一般に、以下にさらに詳細に説明するように、クローンのアレイをデコードするためは特別な方法が必要である。
タンパク質に関してすでに一般的に説明したように、核酸生物活性剤は天然に存在する核酸、ランダム核酸、または「偏向した」ランダム核酸であってもよい。例えば、タンパク質に関してすでに説明したように、原核および真核ゲノムの消化物を使用してもよい。
一般的には、標的配列(サンプルの標的アナライト配列または本明細書に記載の他のプローブ配列のいずれか)に対して相補的なものなるように本発明のプローブを設計して、標的と本発明のプローブとのハイブリダイゼーションが起こるようにする。この相補性は完全である必要はない。標的配列と本発明の1本鎖核酸との間のハイブリダイゼーションを妨害するいくつかの数の塩基対ミスマッチが存在するかもしれない。しかしながら、最小のストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下においてさえも変異の数が多すぎてハイブリダイゼーションが起こり得ない場合、その配列は相補的でない標的配列である。かくして、本明細書において「実質的に相補的」とは、プローブが標的配列に対して十分に相補的であり、選択された反応条件下においてハイブリッド形成することを意味する。高ストリンジェンシー条件は当該分野において知られており、例えば、Maniatis et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2d Edition, 1989およびShort Protocols in Molecular Biology, ed. Ausbel, et al.参照(いずれも出典明示により本明細書の一部とする)。ストリンジェントな条件は配列に依存し、異なる状況において異なるであろう。より長い配列はより高い温度で特異的にハイブリッド形成する。核酸のハイブリダイゼーションに関するさらなるガイドはTijssen, Techniques in Biochemistry and Molecular Biology-Hybridization with Nucleic Acid Probes, "Overview of principles of Hybridization and the strategy of nucleic acid assays" (1993)に見出される。一般的には、一定のイオン強度およびpHにおける特異的配列の融点(Tm)よりも約5〜10℃低くなるようにストリンジェントな条件を選択する。Tmは、平衡状態において標的配列に相補的なプローブの50%が標的配列とハイブリッド形成する温度(所定のイオン強度、pHおよび核酸濃度において)である(標的配列が過剰に存在するので、Tmにおいて、平衡状態ではプローブの50%が占領されている)。ストリンジェントな条件は、塩濃度が約1.0Mのナトリウムイオンよりも低いものであり、典型的には、pH7.0ないし8.3において約0.01ないし1.0Mのナトリウムイオン濃度(または他の塩)であり、短いプローブ(例えば、10ないし50ヌクレオチド)の場合には温度は少なくとも約30℃であり、長いプローブ(例えば、50ヌクレオチドよりも長い)の場合には少なくとも約60℃である。ストリンジェントな条件は、ホルムアミドのごとき脱安定化剤の添加によっても達成されうる。もう1つの具体例において、あまりストリンジェントでないハイブリダイゼーション条件が使用される。例えば、当該分野で知られているような中程度ないし低いストリンジェンシーの条件を用いてもよい。ManiatisおよびAusbelの上記文献およびTijssenの上記文献参照。
【0069】
本明細書の用語「標的配列」または文法的に同等の語は、核酸の1本の鎖上にある核酸配列を意味する。標的配列は遺伝子、調節配列、ゲノムDNA、cDNA、mRNAおよびrRNAを包含するRNA等の一部であってもよい。それは任意の長さであってもよく、より長い配列がより特異的であることが理解されている。当業者により理解されるように、相補的標的配列は多くの形態を取り得る。例えば、より大きな核酸配列、すなわち、遺伝子またはmRNAの全体または部分、プラスミドまたはゲノムDNAの制限フラグメント等の中に含まれていてもよい。以下に詳しく説明するように、標的配列にハイブリダイゼーションしてサンプル中の標的配列の有無を決定するようにプローブが作製される。一般的に言って、この用語は当業者によって理解されるであろう。
【0070】
好ましい具体例において、生物活性剤は有機化学的部分であり、種々の有機化学的部分が文献において利用可能である。
好ましい具体例において、各ビーズは単一タイプの生物活性剤を含むが、好ましくは、複数の個々の生物活性剤を各ビーズに付着させる。同様に、好ましい具体例は、1つの特有の生物活性剤を含む1種よりも多い微小球を用いるものである。すなわち、微小球のサブ集団の使用によって系中に構築された縮重が存在し、サブ集団中の各微小球が同じ生物活性剤を含んでいるものである。
当業者によって理解されるように、ビーズ上で生物活性剤を直接合成してもよく、あるいは合成後にビーズに付着させてもよい。好ましい具体例において、リンカーを用いて生物活性剤をビーズに付着させて、良好な付着を可能にし、標的分子との良好な相互作用を可能にする十分な柔軟性を持たせ、望ましくない結合反応を回避するようにする。
【0071】
好ましい具体例において、ビーズ上で生物活性剤を直接合成する。当該分野で知られているように、ペプチド、有機部分および核酸のごとき多くの種類の化合物が、ビーズを包含する支持体上で合成されている。
好ましい具体例において、生物活性剤を最初に合成し、次いで、ビーズに共有結合させる。当業者に理解されるように、生物活性剤およびビーズの組成に応じてこれを行う。チオール、アミン、カルボキシル等のごとき化学的反応性基でのある種のポリマーのごとき固体支持体表面の官能化は当該分野において広く知られている。したがって、使用者による所望の官能基の付着を容易にする表面化学基を有する「ブランク」微小球を用いてもよい。ブランク微小球に関するこれらの表面化学基のいくつかの例は、限定されるものではないが、脂肪族および芳香族アミンを包含するアミノ基、カルボン酸、アルデヒド、アミド、クロロメチル基、ヒドラジド、ヒドロキシル基、スルホネートおよびスルフェートを包含する。
【0072】
一般的には既知の化学的方法を用い、これらの官能基を用いて任意の数の異なった候補薬剤をビーズに付加することができる。例えば、炭水化物を含有する候補薬剤をアミノ−官能化支持体に付着させることができる。標準的方法を用いて炭水化物のアルデヒドを作製し、次いで、アルデヒドを表面上のアミノ基と反応させる。別の具体例において、スルフヒドリルリンカーを用いてもよい。SPDP、マレイミド、α−ハロアセチル、およびピリジルジスルフィドのごとき当該分野で知られた多くのスルフヒドリル反応性リンカーがあり(例えば、the 1994 Pierce Chemical Company catalog, technical section on cross-linkers, pages 155-200参照(出典明示により本明細書の一部とする))、それらを用いてシステイン含有タンパク質性作用剤を支持体に付着させることができる。別法として、候補薬剤上のアミノ基を表面上のアミノ基への付着に使用してもよい。例えば、多くの安定な二官能基リンカーが当該分野においてよく知られており、同種二官能基および異種二官能基リンカーが包含される(Pierceのカタログおよびハンドブック155〜200ページ参照)。さらなる具体例において、よく知られたリンカー(Pierceのカタログ参照)を用いてカルボキシル基(表面から得られるもの、または候補薬剤から得られるのもののいずれか)を誘導体化してもよい。例えば、カルボジイミドはカルボキシル基を活性化して、アミンのごとき良好な求核剤による攻撃について活性化する(Torchillin et al., Critical Rev. Therapeutic Drug Carrier Systems, 7(4):275-308 (1991)参照(出典明示により本明細書の一部とする))。当該分野で知られた他の方法、例えば、抗体をポリマーに付着させるための方法を用いてタンパク質性候補薬剤を付着させてもよい。例えば、Slinkin et al., Bioconj. Chem. 2:342-348 (1991); Torchillin et al., 上記文献; Trubetskoy et al., Bioconj. Chem., 3:323-327 (1992); King et al., Cancer Res. 54: 6176-6185 (1994);およびWilbur et al., Bioconjugate Chem. 5:220-235 (1994)参照(出典明示により本明細書の一部とする)。上記方法を包含する種々の方法で候補薬剤を付着させてもよいことが理解されるはずである。好ましくは、付着様式は候補薬剤の機能性を有意に変化させないものである。すなわち、その標的との相互作用を可能にするような柔軟性のある様式で候補薬剤を付着させるべきである。また、これらのタイプの化学的または生物学的官能性を、図1Fに示すように、アレイをアッセイ場所、また、ビーズの個々のセットに付着させるために使用してもよい。
【0073】
酵素を微小球上に固定化する具体的な方法が当該分野において知られている。一例において、NH2表面化学基微小球が用いられる。pHを6.9にするリン酸塩緩衝化食塩水(10mM)(138mM NaCl,2.7mM KCl)中2.5%グルタルアルデヒドを用いて表面の活性化を行う。室温で約2時間、これを撹拌ベッド上で撹拌する。次いで0.01%ツイーン20(界面活性剤)−0.02%を添加した超純水で、微小球をすすぎ、0.01%ツイーン20を添加したpH7.7のPBSで再度すすぐ。最後に、好ましくは0.45μmのamicon micropureフィルターを用いて前濾過した後、酵素を溶液に添加する。
【0074】
いくつかの具体例において、微小球は、さらに、ある種のデコーディングシステムにおいて用いる同定物結合リガンドを含む。本明細書において、「同定物結合リガンド」または「IBL」とは、対応するデコーダー結合リガンド(DBL)と特異的に結合して、ビーズに付着した生物活性剤の同一性の解明を容易にする化合物を意味する。すなわち、IBLおよび対応するDBLは、結合パートナー対をなす。本明細書において、「特異的に結合する」とは、IBLが、対応するDBLと他のDBL(すなわち、他のIBLに対するDBL)または該系の他の成分もしくは汚染成分との間で区別するのに十分な特異性をもって、そのDBLと結合することを意味する。該結合は、非特異的結合を除去するための洗浄工程を含むデコーディング工程の条件下で結合し続けるのに十分であるべきである。いくつかの具体例において、例えば、IBLおよび対応するDBLがタンパク質または核酸である場合、IBLのそのDBLに対する解離定数は、約10-4〜10-6M-1未満であり、約10-5〜10-9M-1未満が好ましく、約10-7〜10-9M-1が特に好ましい。
【0075】
IBL−DBL結合対は、既知であるか、または、既知の技術を用いて容易に見出すことができる。例えば、IBLがタンパク質である場合、DBLは、タンパク質(特に、抗体またはそのフラグメント(FAbなど)を包含する)または小分子を包含するか、またはその反対の場合である(IBLが抗体であり、DBLがタンパク質である)。金属イオン−金属イオンリガンドまたはキレート化剤対もまた有用である。抗原−抗体対、酵素および基体または阻害剤、他のタンパク質−タンパク質相互作用対、受容体−リガンド、相補的核酸(三重螺旋を形成する核酸分子を包含する)、および炭水化物およびそれらの結合パートナーもまた適当な結合対である。一本鎖もしくは二本鎖核酸結合タンパク質および小分子核酸結合剤を包含する、核酸−核酸結合タンパク質対もまた有用である。同様に、米国特許第5270163号、第5475096号、第5567588号、第5595877号、第5637459号、第5683867号、第5705337号、および関連特許に概略記載されているように(出典明示により本明細書の一部とする)、核酸「アプタマーズ(aptamers)」は、実際に任意の標的に結合するために開発することができる;かかるアプタマー−標的対は、IBL−DBL対として用いることができる。同様に、コンビナトリアル化学的方法に基づいた結合対の開発に関連する広範囲にわたる一群の文献がある。
【0076】
好ましい具体例において、IBLは、色または発光特性が選択的結合DBLの存在下で変化する分子である。
一つの具体例において、DBLは、蛍光体のような標識を担持していてもよい、ビーズ、すなわち、「デコーダービーズ」に付着していてもよい。
好ましい具体例において、IBL−DBL対は、実質的に相補的な一本鎖核酸を含む。この具体例において、結合リガンドは、「同定物プローブ」および「デコーダープローブ」と称することができる。一般に、該同定物およびデコーダープローブは、約4〜約1000塩基対の範囲の長さであり、約6〜約100が好ましく、約8〜約40が特に好ましい。重要なことは、該プローブが、特異的であるのに十分に長く、すなわち、異なるIBL−DBL対間で区別するのに充分に長く、しかも、a)必要に応じて、適当な実験条件下での、解離、およびb)効果的なハイブリダイゼーションを可能にするのに十分に短いことである。
【0077】
好ましい具体例において、以下により詳しく概略を記載するように、IBLは、DBLと結合しない。むしろ、IBLは、例えば、質量分光分析法の使用を介して、直接同定される同定物部分(「IM」)として用いられる。
別法として、好ましい具体例において、IBLおよび生物活性剤は、同じ部分であり;かくして、例えば、本明細書に概略記載するように、特に、光学的サインを用いない場合、生物活性剤は、同定物および該薬剤の両方としての働きをすることができる。例えば、核酸の場合、ビーズ結合プローブ(生物活性剤としての働きをする)もまた、デコーダープローブと結合して、ビーズ上のプローブの配列を同定することができる。かくして、この具体例において、DBLは、生物活性剤と結合する。このことは、この具体例がデコーディングに加えてアレイまたはアッセイについての情報を提供することができるので、特に有用である。例えば、以下により詳しく記載するように、DBLの使用は、アレイ検量線作製およびアッセイ開発を可能にする。このことは、DBLをそのままで用いない場合でも行われる;例えば、非ランダムアレイにおいては、これらのプローブセットの使用は、デコーディングが必要とされない場合でもアレイ検量線作製およびアッセイ開発を可能にすることができる。
【0078】
好ましい具体例において、微小球は、光学的サインを含まない。すなわち、米国特許出願番号08/818199および09/151877に概略記載されているように、従来の処理は、微小球のサブ集団の固有の生物活性剤を同定するのに用いられる固有の光学的サインまたは光学的タグを含む微小球の各サブ集団を有していた。すなわち、デコーディングは、ビーズの光学的特性を利用しており、これにより、固有の光学的サインを含むビーズが異なる光学的サインを有する他の位置のビーズと区別される。かくして、従来の処理は、各生物活性剤に固有の光学的サインを付与し、これにより、この生物活性剤を含む微小球がこのサインに基づいて同定される。これらの光学的サインは、色素、通常、発色基または蛍光体を含み、これらは、ビーズ自体に取込まれているかまたは付着している。光学的サインの多様性は、種々の蛍光色素、種々の比率の蛍光色素混合物、および種々の濃度(強度)の蛍光色素を利用した。
【0079】
かくして、本発明は、アレイをデコードするために光学的特性の使用(そういう場合もあるが)だけに頼るものではない。しかしながら、当業者に理解されるように、いくつかの具体例において、本発明の系と共に、付加的コーディング法として光学的サインを利用することが可能である。かくして、例えば、以下により詳しく概略記載するように、アレイの大きさは、有効に増大させることができるが、いくつかの方法において一組のデコーディング部分を用いた場合、そのうちの1つの方法は、光学的サインと組み合わせてビーズを用いることである。かくして、例えば、一「セット(組)」のデコーディング分子を用いた場合、光学的サインを有するものと有しないものの2つのビーズ群の使用により、アレイの大きさを有効に2倍にできる。複数の光学的サインの使用は、アレイの可能な大きさを同様に増大させる。
【0080】
好ましい具体例において、ビーズの各サブ集団は、複数の異なるIBLを含む。各生物活性剤をエンコードするために複数の異なるIBLを用いることにより、起こりうる固有のコードの数が実質的に増加する。すなわち、一つの生物活性剤につき1個の固有のIBLを用いることにより、アレイの大きさは、固有のIBLの数となる(以下に概略記載するように、「再使用」は生じなかったと仮定する)。しかしながら、インジケーターとして各IBLの存在または不在を用いた場合、ビーズ1個につき複数の異なるIBLを用いることにより、アレイの大きさを2nに増大させることができる。例えば、ビーズ1個につき10個のIBLの付与は、10ビット二進符号を生じ、ここで、各ビットは、「1」(IBLが存在する)または「0」(IBLが不在である)で示すことができる。10ビット二進符号は、210個の起こりうる変種を有する。しかしながら、以下により詳しく検討するように、濃度または強度などのもう1つのパラメータが含まれる場合には、アレイの大きさは、さらに、増大できる;かくして、例えば、2種類の異なる濃度のIBLを用いた場合、アレイの大きさは、3n増大する。かくして、この具体例において、アレイにおける各個々の生物活性剤は、生物活性剤の添加前、生物活性剤の合成後、またはその間にビーズに添加することができるIBLの組合せを付与される(すなわち、IBLおよび生物活性剤成分の同時添加)。
【0081】
別法として、生物活性剤が異なる残基のポリマーである場合、すなわち、生物活性剤がタンパク質または核酸である場合、異なるIBLの組み合わせを用いてタンパク質または核酸の配列を解明することができる。
したがって、例えば、2つの異なるIBL(IBL1およびIBL2)を用いて、核酸の第一の位置を解明することができる。例えば、アデノシンはIBL1およびIBL2の両方の存在によって示すことができ;チミジンはIBL1の存在およびIBL2の不在によって示すことができ、シトシンはIBL2の存在およびIBL1の不在によって示すことができ、グアノシンは両方の不在によって示すことができる。核酸の第二の位置は、IBL3およびIBL4を用いて同様に解明できる。したがって、IBL1、IBL2、IBL3およびIBL4の存在はAAの配列を与え;IBL1、IBL2およびIBL3は配列ATを示し;IBL1、IBL3およびIBL4は配列TAを与える。第3の位置は、IBL5およびIBL6などを利用する。このように、20種の異なる同定物の使用が全ての起こりうる10−merに対する固有のコードを生じることができる。
【0082】
該系は、タンパク質について同様であるが、各位置において許容される多様性に依存して、各位置を同定するために多数の異なるIBLを必要とする。したがって、例えば、あらゆるアミノ酸があらゆる位置で許容される場合、各位置について5つの異なるIBLが必要とされる。しかしながら、上記のように、例えば、ランダムペプチドを生物活性剤として使用する場合、系中に組み込まれた偏りがあってもよく;全てのアミノ酸が全ての位置に存在できるとはかぎらず、いくつかの位置を予めセットすることができ;したがって、各アミノ酸について4つの異なるIBLを用いることが可能である。
このように、各配列について一種の「バーコード」のようなものを構築でき;各々別個のIBLの存在または不在が各生物活性剤の同定を可能にする。
【0083】
さらに、種々の濃度または密度のIBLの使用は、ある程度の「再使用」を可能にする。例えば、第一の薬剤を含むビーズが1×濃度のIBLを有し、第二の薬剤を含む第二のビーズが10×濃度のIBLを有する場合、対応する標識されたDBLの飽和濃度を使用することにより、使用者は2つのビーズを区別できる。
いったん、候補薬剤および固有のIBLを含む微小球を作製したならば、それらを基体に添加してアレイを形成させる。本明細書に記載される方法の大部分は、アッセイの前にビーズを基体に添加するが、アレイの作製、使用およびデコーディングの順序は変更できる。例えば、アレイを作製し、デコードし、次いでアッセイを行うことができる。別法として、アレイを作製し、アッセイにおいて使用し、次いでデコードすることができる。これは、たった2、3個のビーズをデコードする必要がある場合に特別に有用でありうる。別法では、ビーズを基体に添加する前に、ビーズをアッセイ混合物、すなわち、標的アナライトを含有するサンプルに添加し;添加およびアッセイ後、アレイをデコードすることができる。これは、特に、ビーズを含むサンプルを攪拌または混合する場合に好ましく;これは、単位時間あたりにビーズに結合した標的アナライトの量を増加させることができ、かくして(核酸アッセイの場合)、ハイブリダイゼーション速度が速くなる。これは、サンプル中の標的アナライトの濃度が低い場合に特に有用であり;一般に、低濃度の場合、長い結合時間を用いなければならない。
【0084】
さらに、ビーズをアッセイ混合物に添加することは、選別または選択を可能にすることができる。例えば、ビーズの巨大なライブラリーをサンプルに添加してもよく、サンプルに結合するビーズだけを基体に添加してもよい。例えば、標的アナライトが蛍光標識される場合(直接的(例えば、核酸増幅反応物中への標識の取り込みによって)または間接的(例えば、サンドウィッチアッセイの使用による)のいずれか)、標的アナライト結合の結果として蛍光を示すビーズを蛍光活性化セルソーティング(FACS)によって選別することができ、これらのビーズだけをアレイに添加し、次いでデコードすることができる。同様に、選別はアフィニティー技術によって行ってもよく;標的アナライトを含むアフィニティーカラムを作製でき、結合するビーズだけをアレイに使用する。同様に、2つのビーズ系を使用でき;例えば、標的アナライトを含む磁性ビーズを使用して標的に結合するビーズを「引き出す」ことができ、続いて、磁性ビーズをその後に解離させ(例えば、温度上昇による)、アレイへ添加することができる。
【0085】
一般に、固有にエンコードされることのできる異なる候補薬剤の数を最大にするために、アレイの作製方法およびアレイのデコーディング方法を実施する。本発明の組成物は、種々の方法において作製してもよい。一般に、アレイは、ビーズを含む溶液またはスラリーをビーズが結合するための部位を含有する表面に添加することによって作製される。これは、水性および有機溶媒、ならびに混合物を包含する種々の緩衝液で行ってもよい。溶媒は蒸発させることができ、過剰のビーズは除去される。
好ましい具体例において、非共有結合法を用いてビーズをアレイに結合させる場合、アレイ上にビーズを負荷させる新規方法が用いられる。この方法は、アレイを粒子(微小球および細胞を包含する)の溶液に曝露し、次いでエネルギーを利用すること、例えば、混合物を攪拌または振動させることを含む。これは、弱く結合したビーズを落とす(またはウェルの場合、外に落とす)ために十分なエネルギーを用いて攪拌するので、より緊密に結合した粒子を含むアレイが得られる。次いで、これらの部位は、異なるビーズを結合するために利用できる。このように、部位に対して高親和性を示すビーズが選択される。このように作製されたアレイは、より静的な負荷に比べて、2つの主要な利点を有する。まず、より高い割合の部位を容易に満たすことができ、第二に、このように負荷されたアレイは、アッセイ中のビーズの損失を実質的に減少することを示す。したがって、好ましい具体例において、これらの方法を用いて、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも75%、特に好ましくは少なくとも約90%の部位を満たすアレイが得られる。同様に、この方法で得られたアレイは、好ましくは、アッセイ中、約20%未満、好ましくは約10%未満、特に好ましくは約5%未満のビーズが損失する。
【0086】
この具体例において、分離した部位を有する表面を含む基体を、粒子(ビーズ、細胞など)を含む溶液に浸漬する。表面は、本明細書に記載するように、ウェルを含んでいてもよく、または部位に対して差別的な親和性が存在するようなパターン化された表面上の他の種類の部位を含んでいてもよい。差別的な親和性は競合的プロセスをもたらし、その結果、より緊密に結合する粒子が選択される。好ましくは、ビーズが「負荷」されるべき全表面は、溶液と流動的に接触している。該溶液は、一般に、約10000:1〜1:1のビーズ:溶液(容量:容量)の範囲内にあるスラリーである。一般に、溶液は、水性緩衝液、有機溶媒、塩、他の試薬成分などを包含するかなり多数の試薬を含むことができる。さらに、溶液は、好ましくは、過剰のビーズを含み;すなわち、アレイ上の部位よりも多くのビーズが存在する。好ましい具体例は、2倍〜10億倍過剰のビーズを使用する。
浸漬は、アッセイ条件を模倣することができ;例えば、アレイを上方からサンプルを含むミクロタイタープレート中に「くぐらせる(dipped)」場合、該配置を負荷の間に繰り返すことができ、かくして、重力のためにおそらく外に落ちるビーズを最小限にする。
【0087】
いったん表面を浸漬したならば、基体、溶液またはその両方を競合的プロセスに付し、それにより、より低い親和性を有する粒子を基体から解離させ、部位に対してより高い親和性を示す粒子に置き換えることができる。該競合的プロセスは、熱、超音波処理、溶液または基体またはその両方をかきまぜるかまたは混合し、振動または攪拌するという形態でエネルギーを導入することによって行われる。
好ましい具体例は、攪拌または振動を用いる。一般に、アレイに対する損傷を防ぐために、基体の操作量を最少にする。かくして、好ましい具体例は、どちらでもよいが、アレイよりもむしろ溶液の攪拌を用いる。当業者に明らかなように、この攪拌は任意の数の形態で行うことができ、好ましい具体例では、マイクロタイタープレートシェイカーを用いて撹拌されるビーズ溶液を含むマイクロタイタープレートを利用する。
【0088】
攪拌は、アレイに所望の量まで負荷するのに十分な時間行う。ビーズの大きさおよび濃度ならびにアレイの大きさに依存して、この時間は約1秒〜数日の範囲であってもよく、約1分〜約24時間が好ましい。
アレイの全ての部位がビーズを含むとは限らないことに注目すべきである。すなわち、基体表面上のいくつかの部位は空であってもよい。さらに、好ましくないが、1個より多くのビーズを含有するいくつかの部位が存在しうる。
いくつかの具体例において、例えば、化学的結合を行う場合、無作為でないかまたは規則正しい方法でビーズを結合することが可能である。例えば、光活性化可能な結合リンカーまたは光活性化可能な接着剤またはマスキング剤を用いて、ビーズの所定の集団が配置されるように、アレイ上の選択された部位を順次、結合に適するようにしてもよい。
【0089】
本発明のアレイは、候補薬剤の同一性についての情報がアレイ中に組み込まれるように、ファイバーウェル中におけるビーズのランダムな沈着を「デコード」して、候補薬剤の同定が全ての位置で可能になるように構築される。これは、標的分子を検出するために、アレイの使用の前、間または後のいずれかにおいて、種々の方法で行ってもよい。
したがって、アレイを作製後、それは、基体表面上の1以上の生物活性剤、すなわち、ビーズの各サブ集団の場所を同定するために「デコード」される。
好ましい具体例において、選択的デコーディングシステムが使用される。この場合、標的アナライトの結合の結果として光学的シグナルの変化を示す微小球だけがデコードされる。これは、通常、「ヒット」の数、すなわち、デコードすべき部位の数が一般的に低い場合に行われる。すなわち、まずアレイを標的アナライトの不在下での実験条件下で走査する。標的アナライトを含有するサンプルを添加し、光学的シグナルの変化を示す場所だけをデコードする。例えば、陽性または陰性シグナル場所のいずれかのビーズを選択的に標識するか、または(例えば、光開裂可能なリンカーによって)アレイから解離させてもよく、次いで、蛍光活性化セルソーター(FACS)中で選別または濃縮してもよい。すなわち、全ての陰性ビーズを解離させた後、陽性ビーズを解離させるか、またはその場で分析する。または別法では、全ての陽性物を解離させ、分析する。別法では、標識は、ハロゲン化芳香族化合物を含んでもよく、標識の検出は、例えば、ガスクロマトグラフィー、化学的タグ、同位元素タグまたはマススペクトルタグを用いて行う。
【0090】
当業者に明らかなように、これは、また、アレイがデコードされない系、すなわち、ビーズ組成物と場所との相互関係は決して必要ではない系において行ってもよい。この具体例において、ビーズをアレイ上に負荷し、アッセイを行う。次いで、「陽性」、すなわち、下記に十分に概説するように光学的シグナルの変化を示すビーズを「マーク」して、「陰性」ビーズからそれらを区別または分離する。これは、いくつかの方法、好ましくは光ファイバーアレイを用いて行うことができる。好ましい具体例において、各ビーズは蛍光色素を含有する。アッセイおよび「陽性」または「活性ビーズ」の同定の後、一般に光活性化試薬(典型的には溶存酸素)の存在下で、陽性ファイバーだけまたは陰性ファイバーだけに光を当てる。前者の場合、全ての活性ビーズは光退色する。したがって、例えば、蛍光活性化セルソーター(FACS)機械を用いるその後の選別を伴うビーズの非選択的放出により、非蛍光活性ビーズを蛍光陰性ビーズから選別できる。別法では、光を陰性ファイバーに当てる場合、全ての陰性物が非蛍光性であり、陽性物が蛍光性であり、選別を続行することができる。結合した生物活性剤の特徴付けは、例えば、質量分析器を用いて直接行ってもよい。
【0091】
別法では、同定は、IBLに類似するが、必ずしもDBLに結合する必要のない同定物部分(「IM」)の使用によって行ってもよい。すなわち、生物活性剤の構造を直接解明するよりもむしろ、IMの組成物が同定物としての働きをする。したがって、例えば、IMの特定の組み合わせはビーズをコードする働きをすることができ、これを用いてビーズから解離させ、続いて、例えば、ガスクロマトグラフィーまたは質量分光器を用いて分析することによって、ビーズ上の物質を同定することができる。
別法では、各ビーズに蛍光色素を含有させるよりもむしろ、各ビーズは蛍光色素の非蛍光前駆体を含む。例えば、蛍光分子上のある種のオルト−ニトロベンジル基などの光開裂可能な保護基を用いて、蛍光色素の光活性化を行うことができる。アッセイ後、光を再び「陽性」または「陰性」ファイバーのいずれかに当てて、これらの集団を区別する。次いで、照明された前駆体は化学的に蛍光色素に変換される。次いで、選別を用いて全てのビーズをアレイから解離させて、蛍光および非蛍光ビーズ(陽性および陰性のどちらか、またはその逆)の集団を形成させる。
【0092】
別の好ましい具体例において、ビーズの結合部位(例えば、ウェル)は、光重合可能な試薬を含み、または光重合可能な薬剤が構築されたアレイに加えられる。試験アッセイを実施後、光を再び「陽性」または「陰性」ファイバーのいずれかに当て、これらの集団を区別する。照射の結果として、全ての陽性物または全ての陰性物のいずれかが重合し、該部位に捕捉または結合されるが、ビーズの他の集団はアレイから解離させることができる。
好ましい具体例において、デコーダー結合リガンド(DBL)を用いてあらゆる生物活性剤の場所が決定される。上記のように、DBLは、もし存在するならば同定物結合リガンドに結合するか、または好ましくは、生物活性剤が核酸またはタンパク質である場合、生物活性剤自体に結合する結合リガンドである。
好ましい具体例において、上記のように、DBLはIBLに結合する。
【0093】
好ましい具体例において、生物活性剤は1本鎖核酸であり、DBLは実質的に、生物活性剤に結合(ハイブリッド形成)する相補的な1本鎖核酸(本明細書においてデコーダープローブと称される)である。各候補プローブに実質的に相補的なデコーダープローブを作製し、アレイのデコードに使用する。この具体例において、候補プローブおよびデコーダープローブは特異性を与えるのに十分な長さ(および適当な条件下で実施されるデコーディング工程)であるべきであり;すなわち、各候補プローブは、各候補プローブの区別を可能にするために十分な特異性を有するその対応するデコーダープローブに結合する。
好ましい具体例において、DBLは直接的または間接的に標識される。本明細書中における「標識される」なる語によって、化合物が、化合物の検出を可能にするために、結合した少なくとも1個の元素、同位元素または化合物を有することを意味する。一般に、標識は3つのクラス:a)放射性同位元素または重同位元素であってもよい同位元素標識;b)磁性、電気的、熱;およびc)着色または発光性色素に分類されるが、標識は磁性粒子などの粒子と同様に酵素を包含する。好ましい標識は、発光性標識を包含する。好ましい具体例において、DBLは直接的に標識される。すなわち、DBLは標識を含む。別の具体例において、DBLは間接的に標識される。すなわち、DBLに結合するであろう標識結合リガンド(LBL)を使用する。この具体例において、標識結合リガンド−DBL対はIBL−DBL対に関してすでに記載したのと同様であることができる。適当な標識は、限定するものではないが、ユーロピウムおよびテルビウムの錯体を包含する蛍光性ランタニド錯体、フルオレセイン、ローダミン、テトラメチルローダミン、エオシン、エリトロシン、クマリン、メチル−クマリン、ピレン、マラカイトグリーン、スチルベン、ルシファーイエロー(Lucifer Yellow)、カスケードブルー(Cascade BlueTM)、テキサスレッド、FITC、PE、cy3、cy5およびRichard P. HauglandによるMolecular Probes Handbook第6版(出典明示により特に本明細書の一部とされる)に記載される他の標識を包含する。
【0094】
一例において、標識は、局所的環境の変化のためにその色または発光の性質がIBLの存在下で変化する分子である。例えば、標識は、(1)その発光強度がpHにより変化する蛍光性pH指示薬;(2)その発光性がイオン濃度により変化する蛍光性イオン指示薬;または(3)その蛍光強度が疎水性環境下で増加するエチジウム塩のような蛍光分子であってもよい。
したがって、個々のビーズ(またはビーズのサブ集団)の場所の同定は、標識されたDBLとIBLまたは生物活性剤との間の結合(すなわち、生物活性剤が核酸である場合、候補プローブとデコーダープローブの間のハイブリアイゼーション)を含む1以上のデコーディング工程を用いて行われる。デコーディング後、DBLを除去でき、アレイを使用することができるが、いくつかの状況において、例えば、DBLがIBLに結合し、生物活性剤に結合しない場合、DBLの除去は必要とされない(いくつかの状況においてそれは望ましい)。さらに、本明細書に概説されるように、デコーディングは、アレイをアッセイに使用する前、アッセイ中、またはアッセイ後のいずれで行ってもよい。
【0095】
一例において、単一のデコーディング工程を行う。この具体例において、固有の標識の数が生物活性剤の数に等しいか、またはそれよりも多くなるように、各DBLを固有の標識で標識する(いくつかの場合、本明細書に記載のように、固有の標識の「再使用」ができ;同様に、変種が別の次元において、すなわち、ビーズの大きさまたは標識においてエンコードされる場合、候補プローブの少数の変種が同じデコーダーを共有できる)。各生物活性剤またはIBLについて、特異的にそれに結合し、固有の標識、例えば、1以上の蛍光色素を含有するDBLが作製される。したがって、各DBLの同一性、その組成(すなわち、それが核酸である場合、その配列)およびその標識の両方が知られている。次いで、DBLと生物活性剤またはIBLのいずれかとの複合体(成分が核酸である場合、ハイブリダイゼーション複合体と称される)の形成を可能にする条件下で、生物活性剤を含有するアレイにDBLを加えることによって、各DBLの場所を解明することができる。このことは、各生物活性剤の場所の同定を可能にし;ランダムなアレイがデコードされる。次いで、必要ならばDBLを除去でき、標的サンプルを適用する。
【0096】
好ましい具体例において、固有の標識の数は固有の生物活性剤の数より少なく、したがって、一連のデコーディング工程が用いられる。議論を容易にするために、他のタイプの生物活性剤およびDBLも同様に有用であるが、この具体例を核酸について例示する。この具体例において、デコーダープローブはデコーディングのためにn個のセットに分割される。セットの数は固有のタグの数に対応する。各デコーダープローブは、n個の別個のタグを用いるn個の別々の反応において標識される。全てのデコーダープローブは同じn個のタグを共有する。デコーダーの各プールは、各デコーダーのn個のタグバージョンのうち1個だけを含有し、全プールにわたって同じ配列のタグを有する2個のデコーダープローブは存在しない。このことを実現するために必要なプールの数は、デコーダープローブの数およびnによって決定される。各プールのアレイに対するハイブリダイゼーションは、IBLを含むあらゆるアドレスでシグナルを生じる。各プールの連続したハイブリダイゼーションは順に、各候補プローブに対して固有の配列特異的コードを生じるであろう。このことは、アレイ中における各アドレスで候補プローブを同定する。例えば、4個のタグを用いる場合、4×n個の連続したハイブリダイゼーションによって理想的に言えば、いくつかの場合、より多くの工程が必要とされうるが、4n個の配列を識別することができる。各プールのハイブリダイゼーション後、ハイブリッドは変性し、デコーダープローブが除去され、その結果、プローブは次のハイブリダイゼーションのために1本鎖にされる(しかし、利用可能なプローブが飽和しないように、標的の量を制限してハイブリッド形成することも可能である。連続したハイブリダイゼーションを行うことができ、先のハイブリダイゼーションから予め存在するシグナルを引き算することによって分析することができる)。
【0097】
当業者には理解されるように、ハイブリダイゼーションまたはインキュべーション時間は変化する。一般に、ハイブリダイゼーションまたはインキュべーション時間は数秒から数分または数時間または数日またはそれ以上まで続く。本明細書において記載するようなハイブリダイゼーションチャンバーを利用する場合、ハイブリダイゼーションまたはインキュべーション時間はハイブリダイゼーションチャンバーを用いない場合のインキュべーション時間と比較して増大する可能性がある。
一例を示す。16個のプローブ核酸(番号1〜16)のアレイおよび4個の固有のタグ(4個の異なる蛍光(fluor)、例えば、標識A−D)を仮定する。ビーズ上のプローブに対応するデコーダープローブ1−16を作製する。第一工程は、タグAでデコーダープローブ1−4、タグBでデコーダープローブ5−8、タグCでデコーダープローブ9−12およびタグDでデコーダープローブ13−16を標識することである。プローブを混合し、プールを候補プローブが結合したビーズを含有するアレイと接触させる。次いで、各タグの場所(およびしたがって、各デコーダーおよび候補プローブ対)を決定する。次いで、デコーダープローブの最初のセットを除去する。今回はデコーダープローブ1、5、9および13がタグAで標識され、デコーダープローブ2、6、10および14がタグBで標識され、デコーダープローブ3、7、11および15がタグCで標識され、デコーダープローブ4、8、12および16がタグDで標識されている第二のセットを加える。したがって、両方のデコーディング工程においてタグAを含有したビーズは、候補プローブ1を含み;最初のデコーディング工程におけるタグAおよび第二のデコーディング工程におけるタグBは候補プローブ2を含有し;最初のデコーディング工程におけるタグAおよび第二の工程におけるタグCは候補プローブ3を含有するなど。当業者に明らかなように、デコーダープローブはいずれかの順番で作製でき、任意の順番で加えることもできる。
【0098】
一例において、デコーダープローブをその場(in situ)で標識する。すなわち、それらはデコーディング反応前に標識する必要がない。この具体例において、入力デコーダープローブは候補プローブより短く、デコーディングプローブ上に5’「突出部」を作製する。標識されたddNTP(各々、固有のタグで標識された)およびポリメラーゼの付加は、配列特異的な方法でタグの付加を可能にし、したがって、シグナルの配列特異的パターンを作製する。同様に、結紮などを包含する他の修飾を行うことができる。
さらに、アレイの大きさは、固有のデコーディング結合リガンドの数によって設定されるので、より多くの数の試験部位を考慮に入れるために、固有のDBLのセットを「再使用」することが可能である。これは、いくつかの方法、例えば、光学的サインを含むいくつかのサブ集団を使用することによって行ってもよい。同様に、アレイ内の位置的コーディングスキームの使用;異なるサブバンドルはDBLのセットを再使用しうる。同様に、1の具体例はコーディング様式としてビーズの大きさを利用し、かくして、各ビーズの大きさについて固有のDBLのセットの再使用を可能にする。別法では、ビーズでのアレイの連続した部分的負荷もまた、DBLの再使用を可能にする。さらに、「コード共有」も同様に生じることができる。
【0099】
好ましい具体例において、DBLは、ビーズのいくつかのサブ集団に光学的サインを含ませることによって再使用されうる。好ましい具体例において、光学的サインは、一般に、レポーター色素(好ましくは蛍光性)の混合物である。混合物の組成(すなわち、1の色素の別の色素に対する比率)および色素の濃度(シグナル強度の差に至る)の両方を変化させることによって、固有の光学的サインのマトリックスを生じさせることができる。これは、色素をビーズの表面に共有結合させることによって、あるいは、ビーズ内に色素を取り込ませることによって行ってもよい。色素は発色団または蛍光体であってもよいが、好ましくは蛍光色素であり、それは、その強いシグナルのために、良好なシグナル対ノイズ比をデコーディングに提供する。本発明の使用に適当な色素は、上記の標識DBLについて列挙したものを包含する。
【0100】
好ましい具体例において、エンコーディングは、例えば、ビーズの大きさにおいてより多くのエンコーディングディメンションを加えてもよいが、少なくとも2色素の比率で達成できる。さらに、標識は互いに識別可能であり;したがって、2つの異なる標識は異なる分子(すなわち、2つの異なる蛍光体)を含みうるか、または別法では、2つの異なる濃度または強度で1つの標識であってもよい。
好ましい具体例において、色素はビーズの表面に共有結合する。ビーズの表面上の官能基を用いて、一般に生物活性剤の結合について概説されたように、これを行ってもよい。当業者に明らかなように、これらの結合は、色素に対する影響を最少にするために行われる。
好ましい具体例において、一般に、ビーズの孔中に色素を捕捉することによって、色素はビーズと非共有結合する。
さらに、レポーター色素のサインおよび検出感度を調べるために使用される光の強度に無反応であるので、単一の色素濃度よりもむしろ2以上の色素の比率におけるエンコーディングが好ましい。
【0101】
好ましい具体例において、空間的または位置的コーディングシステムを行う。この具体例において、利用されるサブバンドルまたはサブアレイ(すなわち、全アレイの一部)がある。電話システムたとえると、各サブアレイは「地域番号」であり、サブアレイの場所によって分けられている他のサブアレイの同じ標識(すなわち、電話番号)を有することができる。したがって、例えば、同じ固有の標識をバンドル毎に再使用することができる。したがって、100個の異なるサブアレイと組み合わせた50個の固有の標識の使用は、5000個の異なる生物活性剤のアレイを形成することができる。この具体例において、1のバンドルを他のバンドルから同定できることが重要になり;一般に、これは手動で、またはマーカービーズの使用(これらは各サブアレイについて固有のタグを含有するビーズであることができる)、または異なる量における同じマーカービーズの使用、または異なる比率における2個以上のマーカービーズの使用によって行われる。
【0102】
別の具体例において、微小球の大きさなどの付加的なエンコーディングパラメーターを加えることができる。例えば、異なる大きさのビーズの使用はDBLのセットの再使用も可能にしうる。すなわち、微小球のエンコーディングディメンションを広げるために、異なる大きさの微小球を使用することが可能である。異なるファイバー直径または断面を有するピクセルを含有する光ファイバーアレイを作製することができ;別法では、より大きなバンドルを形成するために、2以上の光ファイバー束(各々が個々のファイバーの異なる断面を有する)を一緒に加えることができ;または、同じ大きさの断面のファイバーを有するが、異なる大きさのビーズを有する光ファイバー束を用いることができる。異なる直径を用いると、最大のウェルを最大の微小球で満たすことができ、次いで、全ての大きさのウェルが満たされるまで、次第により小さなウェル中により小さな微小球を移動させる。この方法で、同じ色素比を用いて異なる大きさの微小球をエンコードすることができ、それにより、アレイ中に存在する異なるオリゴヌクレオチド配列または化学的官能性の数を拡大することができる。光ファイバー基体について概説したが、この方法ならびに本明細書に概説される他の方法は、他の基体および他の結合様式を用いて同様に行うことができる。
【0103】
好ましい具体例において、コーディングおよびデコーディングは、微小球のアレイ中への連続した負荷によって達成される。この具体例において、空間的コーディングに関して上記で概説されたように、光学的サインを「再使用」することができる。この具体例において、各々、異なる生物活性剤を含む微小球のライブラリー(または各々、異なる生物活性剤を含むサブ集団)を複数のサブライブラリーに分割し;例えば、所望のアレイの大きさおよび固有のタグの数に依存して、各々、全ライブラリーの約10%を含む10個のサブライブラリーを作製してもよく、各サブライブラリーはおよそ同じ固有のタグを含む。次いで、第一のサブライブラリーを、ウェルを含む光ファイバー束に加え、一般にDBLの使用によって、各生物活性剤の場所を決定する。次いで、第二のサブライブラリーを加え、各生物活性剤の場所を再び決定する。この場合、シグナルは、「第一の」DBLおよび「第二の」DBL由来のシグナルを含むであろう。2つのマトリックスを比較することによって、各サブライブラリー中における各ビーズの場所を決定することができる。同様に、第3、第4などのサブライブラリーを連続して加えることにより、アレイを満たすことができるであろう。
【0104】
好ましい具体例において、いくつかの方法でコードを「共有」することができる。第一の具体例において、結合力が十分に異なる標的アナライトの場合、単一のコード(すなわち、IBL/DBL対)を2以上の薬剤に与えることができる。例えば、mRNA定量アッセイに用いた2個の核酸プローブは、それらのハイブリダイゼーションシグナル強度の範囲が重複しない場合、同じコードを共有することができる。これは、例えば、標的配列の1つが常に、他よりも非常に高い濃度で存在する場合に起こることができる。別法では、2つの標的配列は常に、同様な濃度で存在しうるが、ハイブリダイゼーション効率において異なる。
別法では、薬剤が機能的に等価である場合、単一のコードを複数の薬剤に与えることができる。例えば、オリゴヌクレオチドプローブのセットが特定の遺伝子の存在を検出するという共通の目的で設計される場合、たとえ配列が異なっていても、プローブは機能的に等価である。同様に、アナライトのクラスまたは「ファミリー」が所望の場合、キナーゼまたはG−タンパク質結合受容体のようなクラスの異なるメンバーに対する全プローブは、コードを共有することができた。同様に、このタイプのアレイを用いて既知遺伝子の相同物を検出することができた。該具体例において、各遺伝子は、異なる遺伝子領域にハイブリッド形成する(したがって、配列の異なる)プローブの異種セットによって示される。プローブのセットは共通コードを共有する。相同物が存在する場合、プローブの全てではないがいくつかにハイブリッド形成しうる。相同性のレベルは、ハイブリッド形成するプローブのフラクションならびに平均ハイブリダイゼーション強度によって示される。同様に、同じタンパク質に対する複数の抗体は全て、同じコードを共有することができた。
【0105】
好ましい具体例において、自己構築されたランダムアレイ(self-assembled random array)のデコーディングをpH滴定に基づいて行う。該具体例において、生物活性剤に加えて、ビーズは光学的サインを含み、ここに、光学的サインは発光団のようなpH応答色素(ときどき、本明細書において「pH色素」と称される)の使用によって生じる。該具体例は、溶液pHがpKaより下からpKaより上に(またはその逆)調整される場合、本発明で使用される色素が蛍光強度(または他の特性)の変化を示すことを除き、PCT US98/05025および米国特許番号09/151877(どちらも、出典明示により明らかに本明細書の一部とされる)に概説されるものと類似する。好ましい具体例において、各々が異なるpKaを有し、好ましくは、少なくとも0.5pH単位によって区別されるpH色素のセットを使用する。好ましい具体例は、pKa2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5、11および11.5のpH色素を使用する。各ビーズは、pH色素のいずれかのサブセットを含有することができ、このように、生物活性剤に対して固有のコードが得られる。したがって、アレイのデコーディングは、pH1からpH13でアレイを滴定し、溶液pHの相関として各ビーズ由来の蛍光を測定することによって達成される。
【0106】
好ましい具体例において、固有または別個のタグの数を増やすための付加的な方法がある。すなわち、各ビーズ上の別個の属性を用いてコード数を増やすことができる。さらに、連続したデコーディングにより、新規な方法でコードの再使用を可能にする。これらの属性は互いに独立し、したがって、コードの数をデコーディング工程の数と属性の数(例えば、別個のコード)の関数として指数関数的に増大させることができる。しかしながら、単一のデコーディング工程において得られるデコーディング情報の量を増やすことによって、デコーディング工程の数が著しく減少する。あるいは、別個のコードの数が著しく増える。デコーディング工程あたりの属性の数を増やすことによって、より少ないデコーディング工程が所定数のコードについて必要とされる。したがって、好ましい具体例において、種々の方法を用いて、アレイをデコーディングする過程において有用な多数のコードを生じ、同時に、必要なデコーディング工程を最小限にする。例えば、種々の異なるコーディング策法を組み合わせることができる。したがって、異なる「色」、色の組み合わせ(「色相」)、色または色相またはその両方の異なる強度などを全て組み合わせることができる。
【0107】
好ましい具体例において、DBLは、物理的属性の定量的または別個のセットをビーズに接着または埋め込むこと、すなわちビーズの標識化に依存する。ビーズの好ましい物理的属性は、限定するものではないが、表面の「平滑さ」または「ざらざらな状態」、色(蛍光およびその他)、色の強度、大きさ、検出可能な化学的部分、化学的反応性、磁性、pH感度、存在する色素間のエネルギー移動効率、疎水性、親水性、吸収性、電荷、pH感度などを包含する。
ビーズデコーディングスキームは、単一の定量可能な属性を各ビーズタイプに付与/しみ込ませることを包含し、ここに、各ビーズタイプは該属性の定量可能な値において異なる。例えば、所定数の蛍光体をビーズに付着させることができ、デコーディング過程において付着した蛍光体の数を定量することができるが、実際、「所定量」の属性をビーズに付着させ、属性を正確に測定することは問題があるかもしれない。一般に、目的は変動係数(CV)を減らすことである。変動係数によって、連続的な標識化においてビーズを標識することにおける変異性を意味する。該CVは、複数の試験において所定数の標識(例えば、蛍光体)でビーズを標識し、ビーズによって発せられる得られるシグナルを測定することによって決定できる。大きなCVは、いずれか所定の属性について、使用可能で解明可能な「レベル」の数を限定する。
【0108】
より強固なデコーディングスキームは、定量的属性をコードに分けるために、絶対測定よりもむしろ比率測定を用いる。比率計デコーディングにより、ある比率の標識(すなわち、1:10、1:1および10:1)でビーズを標識することを意味する。理論上は、比率間のシグナルの差異が検出可能であるかぎり、いずれの比率も用いることができる。該過程は、より小さいCVを生じ、所定の動的範囲内でより多くの属性分割を可能にする。したがって、好ましい具体例において、比率計デコーディングの使用は変動係数を減少させる。
さらに、当業者に明らかなように、比率計デコーディングは異なる方法において達成できる。該具体例において、第一のデコーディング反応において第一の色素(または色素の組み合わせ)強度を有する所定数のDBLおよび連続した第二のデコーディング反応において第二の色素強度を有する第二の数を加えるよりもむしろ、該比率計分析は、ある比率の標識:非標識DBLを用いて行ってもよい。すなわち、飽和濃度のデコーディングビーズのセット、例えば、100000DBL/反応が与えられると、第一の強度のデコーディング工程は、100000個の標識したDBLを加えることによって行ってもよく、第二工程は10000個の標識したDBLおよび90000個の標識していないDBLを加えることによって行うことができる。平衡は、第二工程が10分の1のシグナル強度を与えることを示す。
【0109】
定量的に測定した属性値の拡散のため、別個のコードの数は実際に12個未満ほどのコードに限定される。しかしながら、異なる属性値を有するビーズを連続的に「ペイント」(すなわち、一時的に属性レベルをビーズに接着する)し、「剥がす」(属性レベルを除去する)ことによって、可能性のあるコードの数がデコーディング過程における一連の段階の数と共に指数関数的に増加する。
一例を示す。例えば、9個の異なるビーズタイプおよび3つの区別可能な属性分布(表1)。ビーズを2つの異なる段階において、組み合わせ上別個のパターンにおける異なる属性値で「ペイント」(標識)することにより、各ビーズタイプにつき固有のコードが生じる。すなわち、9個の別個のコードが生じる。したがって、好ましい具体例において、ビーズは、複数の段階において、組み合わせ上別個のパターンにおける異なる属性で標識される。これは、各ビーズタイプにつき固有のコードを生じる。異なる属性の例は上記される。異なる属性でのビーズの標識は、当該分野で既知の方法によって行われる。
【0110】
【表1】
【0111】
蛍光色は、デコーディングスキームにおいて使用するために特に都合のよい属性である。蛍光色は、IBLを認識するいずれの薬剤にも接着できて、標識されたDBLを形成する。議論は、DBLとしてのオリゴヌクレオチド(核酸類似物を包含する)に向けられる。蛍光標識したオリゴヌクレオチドは、特異的、かつ、可逆的にビーズの任意の所望のサブセットを特定の色で、ハイブリダイゼーションおよびデハイブリダイゼーション(すなわち、相補的配列を有するDBLに対して)の過程によって単純に「ペイント」(標識)することができるので、特に有用なDBLである。さらに、蛍光は容易に画像化され、標準的な光学的ハードウェアおよびソフトウェアを用いて定量される。所定のビーズタイプを特定の色で「ペイント」するために、ビーズタイプは固有のハイブリッド形成可能なDNA配列(IBL)で標識されなければならず、デコーディング溶液は該配列の色で標識された補体を含有しなければならない。
【0112】
デコーディングスキームの実施において1の考慮すべき事柄は、集められる画像の数を最小限にすることである。色に基づくスキームにおいて、集められる画像の数は色の数および段階の数の産物である。画像の数は、各所定の段階につき複数の色でビーズを「ペイント」することによって減らすことができる。複数の色をビーズに与えることにより、効果的なコードの数が増加する。例えば、コンピューターによって使用される24ビットの3色のスキーム(例えば、赤、緑、青)カラーリングプロセスにおいて、全部で256*256*256=16700000個の異なる「色相」がたった3色(赤、緑、青)から生じることができる。
したがって、好ましい具体例において、DBLは、有色の蛍光体の組み合わせを用いて標識される。該方法はそれ自体、ほんの少数の異なる色素(色)を用いてDBLを標識するために利用可能なコードの数を増やすことにおいて有用である。各デコーディング工程で利用可能なコードの数を増やすことは、所定のデコーディング過程において必要とされるデコーディング工程の数を大幅に減らすであろう。
【0113】
一例において、単一のDBLをエンコードするオリゴヌクレオチドの集団は、DBLが結合する各ビーズが有色の蛍光体の組み合わせから公式化される特徴的な「色相」に基づいて同定されるように、所定の比率の色で標識される。好ましい具体例において、2つの別個の色を用いる。好ましい具体例において、3またはそれ以上の別個の色素(色)が利用可能である。該例において、単一のDBLをエンコードしているオリゴヌクレオチドの集団をいずれかの所定の色で標識することによって生じた区別可能なコードの数は3である。しかしながら、標識化における色および色のレベルの組み合わせを考慮することによって、より多くのコードが生じる。
ハイブリダイゼーションによるデコーディングについて、識別可能な色調の好ましい数は2〜2000であり、識別可能な色調のより好ましい数は2〜200であり、識別可能な色調の最も好ましい数は2〜20である。3つの異なる色調(強度)および3色を用いると、異なる色相の数が34=81になる。色相と連続的デコーディングの組み合わせにより、事実上無限数のコードを生じさせることができる。
【0114】
以前の記載のように、DBLは、IBLに結合するいずれかの薬剤であることができる。好ましい具体例において、単一のDBLは予め決定された比率の色で標識される。該比率は、各DBLについて変化され、したがって、標識される各DBL自体につき固有の「色相」が可能である。ビーズのDBLでの処理後、ビーズを分析して、各ビーズと結合した「色相」を決定し、それにより、その結合した生物活性剤を有するビーズを同定する。
例えば、4つの主要な色および2つの強度レベル(色の存在または不在)を用いて、15の異なる色相/段階が可能である。4つの色素および3つの異なる強度レベルを用いる場合(不在、半分存在、完全に存在)、73の異なる色相/段階が可能である。この場合、たった4色の画像の獲得が、73の異なるコーディングの色相についての情報を得るのに十分である。
【0115】
好ましい具体例において、本発明は、分離した部位を含む表面を有する第一の基体を含むアレイ組成物を提供する。好ましい具体例は、該部位に分布した微小球の集団を利用し、該集団は少なくとも第一および第二のサブ集団を含む。各サブ集団は、生物活性剤およびさらに、所定のpKaを有する少なくとも1個の光学的色素を含む。異なる光学的色素のpKaは異なる。
好ましい具体例において、例えば、アレイがクローン化した核酸を含む場合、アレイをデコードするために用いることのできるいくつかの方法がある。好ましい具体例において、クローン化核酸についてのいくつかの配列情報が知られている場合、本明細書に広く概説するように、特定のデコーディングプローブを作製することができる。
【0116】
好ましい態様において、「ランダム」なデコーディングプローブを作製することができる。前に概説したように、一連のハイブリダイゼーションまたは複数の標識の使用により、固有のハイブリダイゼーションパターンが各センサーエレメントに関して生じ得る。これにより、所定のクローンを示すビーズの全ては同じグループに属するとみなすことができる。一般に、これは、配列依存的であるが高程度に配列特異的ではない様式で結合するランダムまたは部分変性デコーディングプローブを用いて行う。該プロセスは各回、異なる標識物質を用いて何回も繰り返すことができ、ある意味特異的な相互作用に基づく異なるシグナルパターンを生じることができる。この方法において、各センサーエレメントに関して固有の光学的サインがついに確立される。パターン認識またはクラスター形成アルゴリズムを光学的サインに適用することにより、ビーズを同じサインを共有する(すなわち、同じプローブを有する)セットにグループ分けすることができる。
【0117】
クローンそのものの実際の配列を同定するためには、追加的方法が必要とされ、例えば、直接配列決定を行うことができる。斑点cDNAアレイ(a spotted cDNA)のような、クローンを含むオーダーアレイ(ordered array)を用いることにより、該セット内でのその位置が分かっている特定クローンにハイブリダイゼーションパターンを関係付ける「鍵」を生じることができる。この方法で、クローンを回収し、さらに特徴づけることができる。
別法では、クローンアレイは、ベクタータグを有する二元デコーディングを用いてデコードすることができる。例えば、部分的にランダム化したオリゴを核酸ベクター(例えばプラスミド、ファージなど)中にクローン化する。各オリゴヌクレオチド配列は限られたセットの配列のサブセットから成る。例えば、限られたセットが10配列を含む場合、各オリゴヌクレオチドは幾つかのサブセット(または10の全て)配列を有してもよい。つまり、10配列のそれぞれがオリゴヌクレオチド中に存在することもできるし、あるいは存在しないことも可能である。それゆえ、210または1024の可能な組み合わせが存在する。配列は重複してもよく、可能な組み合わせの数を増すために、副次的な変種を示すこともできる(例えばA、C、TおよびG置換)。核酸ライブラリーをランダムなコード配列を含むベクター中にクローン化する。別法では、PCRのような他の方法を用いてタグを付加することができる。この方法において、クローンのアレイをデコードするために、少数のオリゴデコーディングプローブを用いることができる。
【0118】
好ましい具体例において、判別分析およびクラスターアルゴリズムおよびコンピューター装置を用いて、本発明のアレイ由来のデコーディングデータを分析する。多段デコーディングプロセスにおいて異なる強度および「色相」の蛍光体の使用と組み合わせた本発明に用いられる潜在的に多数のコードは、データの良好な分類を必要とする。データ、特に強度データは、各段階にてビーズが異なる色または色の混合(「色相」)で可逆的に標識される(例えば、色素標識された相補的なデコーディングオリゴヌクレオチドをビーズ上のIBLプローブにハイブリッド形成することによるか、または非核酸IBL−DBL対のための結合リガンド対の形成による)多段プロセスにおいてもたらされる。難題は、各工程でどの色がペイントされたかにしたがってビーズを正確に分類することである。標識が互いにより密接に関係すればするほど(光学的画像システムによって決定されるように)、分類が困難になる。
【0119】
画像システムによって示されるような色素の接近は、デコーディング色素のスペクトル特性および画像システムのスペクトルチャンネル分離によって決定される。より良好な色の分離は、狭い発光スペクトルを有する蛍光色素を用いることによって、および色素を「ピークで」励起し、「ピークで」その発光を測定するために設計された狭い帯域通過励起および発光フィルターを有する光学系を用いることによって達成される。ビーズ上の色素を光学的に画像化する過程は、目の中の3つの異なる円錐タイプにおける励起の比率を測定することによって脳が色を見るヒトの視覚過程に類似する。しかしながら、光学的画像システムを用いると、実際の色のチャンネルの数は、ヒトの目に存在する3つよりも非常に多い。CCDに基づく画像システムは、350nmから850nmまでの色を「見る」ことができるが、目の円錐体は500−600nmの可視スペクトルに調律されている。
【0120】
ビーズアレイをデコーディングする問題は、本質的に、判別分析分類の問題である。したがって、好ましい具体例において、ハイパースペクトルαスペースにおける変動の分析は、ビーズの色または色相の既知のセットにおいて行われる。αスペースにおけるビーズクラスターの中心は、クラスターの重心と呼ばれ、クラスター内の点の散乱がクラスターの拡散を決定する。しっかりとした分類スキームは、異なるビーズクラス(色相)の重心間の距離がいずれかのクラスタークラスの拡散より非常に大きいことを必要とする。さらに、重心の場所は、ファイバー毎におよび実験毎に変化しないままであるべきである。
したがって、好ましい具体例において、色相「ゾーン」は、色相の重心の周囲であって、クラスターの拡散半径の外まで広がっているαスペース中の領域として定義される。色相の重心および拡散半径の対照セットを用いると、経験的に決定されるように、データの新規なセットの分類は、所定のビーズ点が色相クラスターの「ゾーン」の近くまたは中に落ちるかどうかを求めることによって達成できる。これは、異なる色相クラスの重心からビーズ点のマハラノビス距離(この場合、それは単純にユークリッド距離計量である)を計算することによって達成される。図3に示されるデータについて、重心の場所およびそれらの互いからの距離を表2に示す。
【0121】
【表2】
【0122】
特定の色相クラスに異なるビーズを分類するために、0.3のユークリッド距離カットオフを選択した。最も近い2つの重心、Bod−R6GおよびBod−564(距離=0.55)は、0.3のユークリッドまたはマハラノビス距離を用いる場合、デコーディングゾーンにおいてわずかに重複する。分類における改善は、この距離を減らし、異なる座標軸に適当に重みを与えることによって達成される。
したがって、本発明は、ビーズの色を分析および分類するコンピューター法を提供する。ビーズの色の分類は、ハイパースペクトル「α」スペース中においてビーズを調べることによって行われ(a1=I1/SIi,a2=I2/SIi,a3=I3/SIi,など)、ここに、各座標軸は、所定の画像チャンネル内のビーズ強度のフラクションを示す。例えば、4つの画像チャンネルを用いてビーズを画像化する場合、ビーズの色または色相は、3−Dαスペース中の点によって示すことができる(Sai=1なので、第4の次元は必要ない)。ビーズを標識する異なる主要な色素のセットを用いる場合、色素は比率の変化および組み合わせパターンの変化において組み合わせることができるので、これらの色素から生じることのできる色相の数は際限がない。実際の色相の数は、ハイパースペクトルαスペース中における異なる色相クラスターの分離によって、実験的に決定される。
【0123】
図3は、4つの分離した画像チャンネルにおいて画像化される4つの異なる色相で標識されたビーズのハイパースペクトルαプロットを示す。ビーズが4つの別個のクラスターを形成することに注目すること。これらの4つのクラスターがよく分離しているという事実は、しっかりとしたデコード分類スキームの実行を可能にする。
好ましい具体例において、デコーディング過程の品質管理分析を行う。これは、各デコーディング段階につきαスペースのクラスター分析を行うことによって達成される。決定されるクラスターの数は、色相の予想数によって固定されるであろう。クラスター重心の位置はモニターされ、予想される位置からのいずれかの偏りが注目されるであろう。
【0124】
したがって、本発明は、本発明のアレイをデコーディングするための装置を提供する。本明細書に概説される組成物に加えて、装置は、メモリーおよび入力/出力装置のセット(例えば、キーボード、マウス、モニター、プリンターなど)とバスを介して通信する中央処理装置を包含する。中央処理装置、メモリー、入力/出力装置およびバスの間の一般的な相互作用は当該分野で既知である。本発明の1の態様は、メモリー中に貯蓄されたハイパースペクトル「α」スペース分類システムに向けられている。
分類システムプログラムは、光学的リーダーまたは共焦顕微鏡(または他の画像システム)からデータを受けるデータ獲得モジュールを包含する。一般に、分類プログラムはまた、ハイパースペクトルαスペース中の変化を分析でき、クラスターの重心を計算でき、クラスターの散乱(拡散)を計算でき、色相ゾーンおよび距離カットオフを明らかにすることのできる分析モジュールを包含する。一般に、分析モジュールはさらに、マハラノビス距離を計算することによって、データ点が色相ゾーン内に落ちるかどうかを決定するであろう。
【0125】
最終的に、分析モジュールは、最終的に生物活性剤をビーズ場所に与えるために、異なる一連のデコーディング情報を分析するであろう。
このように、各工程が判別分析計算を用いる一連のデコーディング工程を行って、各工程にて、アレイ中の各ビーズを色相クラスターに与える。一連のデコーディング情報の蓄積は、ビーズの場所とそこに含まれる化学的性質の相互関係を与える。
一度作成されると、本発明の組成物は、多くの応用において使用できる。好ましい態様において、存在する標的アナライトの量の定量化を含め、標的アナライトの存在または不在に関してサンプル溶液をプローブするために該組成物を用いる。本明細書中の「標的アナライト」または「アナライト」または文法的に等しいものにより、結合パートナーについて検出あるいは評価されるいずれかの原子、分子、イオン、分子イオン、化合物または粒子を意味する。当業者には明らかであるように、多くのアナライトを本発明に用いることができ、基本的には、生物活性剤を結合するいずれのアナライトも、または、結合パートナー(すなわち薬物候補物質)が求められているいずれのアナライトも用いることができる。
【0126】
適当なアナライトには、生物分子を含む有機および無機分子が含まれる。標的アナライトの検出を行う場合、適当な標的アナライトには、制限されるものではないが、環境汚染物質(農薬、殺虫剤、毒素などを含む)、化学物質(溶媒、ポリマー、有機物質などを含む)、治療分子(治療薬および濫用薬物、抗生物質などを含む)、生物分子(ホルモン、サイトカイン、タンパク質、核酸、脂質、炭水化物、細胞膜抗原およびレセプター(神経、ホルモン、栄養素および細胞表面レセプター)またはそれらのリガンドなどを含む)、全細胞(原核細胞(病原性細菌など)および真核細胞、哺乳動物の腫瘍細胞を含む)、ウイルス(レトロウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルス、レンチウイルスなどを含む)および胞子などが含まれる。特に好ましいアナライトは、核酸およびタンパク質である。
【0127】
好ましい具体例において、標的アナライトはタンパク質である。当業者には明らかであるように、本発明を用いて結合パートナーについて検出または評価することができる、多数の可能性のあるタンパク質性標的アナライトがある。適当なタンパク質標的アナライトには、制限されるものではないが、(1)免疫グロブリン;(2)酵素(および他のタンパク質);(3)ホルモンおよびサイトカイン(その多くは細胞レセプターのリガンドとして役立つ)および(4)他のタンパク質が含まれる。
好ましい具体例において、標的アナライトは核酸である。米国特許番号60/160027;60/161148号;09/425633および60/160917(全て、出典明示により明らかに本明細書の一部とされる)に広く概説されるように、これらのアッセイは、幅広い範囲の適用に用いられる。
【0128】
好ましい具体例において、プローブは遺伝子診断に用いられる。例えば、プローブを本明細書中に開示する方法を用いて作成し、非ポリープ性の結腸癌、BRCA1乳癌遺伝子、様々な癌に関連する遺伝子であるP53、アルツハイマー病のより大きな危険性を示すApoE4遺伝子のような標的配列を検出することができ、患者、嚢胞性繊維症遺伝子、シトクロムp450sまたは当業者によく知られる他のいずれかの変異を容易に前駆症状スクリーニング(presymptomatic screening)することが可能となる。
さらなる具体例において、ウイルスおよび細菌の検出を、本発明の複合体を用いて行う。この態様において、様々な細菌およびウイルス由来の標的配列を検出するためにプローブを設計する。例えば、最新の血液スクリーニング技術は抗HIV抗体の検出による。本明細書中に開示する方法により、HIV核酸配列、特に高度に保存されたHIV配列を検出するための臨床サンプルの直接スクリーニングが可能となる。加えて、抗ウイルス治療の効能を評価する改良法のように、これにより患者の体内に循環しているウイルスを直接測定することが可能となる。同様に、白血病、HTLV-IおよびHTLV-IIと関連するウイルスをこの方法で検出することができる。結核、クラミジアおよび他の性的伝染病のような細菌感染を検出することもできる。
【0129】
好ましい具体例において、本発明の核酸は、水および食物サンプルのスクリーニングにおいて毒性細菌のためのプローブとして用いる。例えば、サンプルを処理して細菌を溶解し、その核酸を放出させ、次いで、サルモネラ(Salmonella)、カンピロバクター(Campylobacter)、ビブリオコレラ(Vibrio cholerae)、リーシュマニア(Leishmania)、イー.コリのエンテロトキシン菌株および在郷軍人病細菌のような病原性菌株を含むがこれらには制限されない細菌株を認識するプローブを設計することができる。同様に、バイオレメディエーション法を本発明の組成物を用いて評価することができる。
さらなる具体例において、犠牲者および容疑者から採取したサンプルに対して犯罪事件のDNA(crime-scene DNA)を対応させるための法医学「DNAフィンガープリント法」のために該プローブを用いる。
さらなる具体例において、アレイ中のプローブをハイブリダイゼーションによる配列決定のために用いる。
【0130】
本発明はまた、標的核酸配列における変異またはミスマッチの検出のための方法として用いる。例えば、多形DNAマーカーを使用することにより遺伝子変異と表現型の間の関係を分析することが近年注目されている。これまでの研究は、多形位置マーカーとして短いタンデムリピート(STR)を利用したが、近年は、単一ヌクレオチド多形(polymorphisms)(SNP)の使用が注目されている。共通のSNPsは、ヒトのゲノムDNA1キロベースあたり1以上の平均頻度で生じる。いくらかのSNP、特にコーディング配列内およびその付近のものは、治療的適切な表現型変種の直接原因であるようである。臨床的に重要な表現型を引き起こす多くの周知の多形があり、例えば、apoE2/3/4変種はアルツハイマー病および他の疾患の異なる相対リスクと関連する(Cordor et al., Science 261(1993)を参照されたい)。オリゴヌクレオチドアレイに対するその後のハイブリダイゼーションを用いたSNP位の多重PCR増幅は、少なくとも何百ものSNPを同時にゲノタイピング(genotyping)する迅速かつ信頼できる方法であることが示されている:Wang et al., Science, 280:1077(1998)を参照されたい;さらに、Schafer et al., Nature Biotechnology 16:33-39(1998)も参照されたい。本発明の組成物は従来技術のアレイに容易に取って代わることができる。特に、単一塩基伸長(single base extension(SBE))およびパイロシークエンシング技術が特に本発明の組成物に有用である。
【0131】
好ましい態様において、本発明の組成物を用いて生物活性剤をスクリーニングし、標的分子に結合して好ましくはその機能を修飾する薬剤を見出す。前記のように、当業者には明らかなように、幅広い種類の異なるアッセイフォーマットを作動させてもよい。一般に結合パートナーが所望される標的アナライトを標識し、標的アナライトを生物活性剤に結合させて標識をビーズに補充し、続いて検出する。
好ましい態様において、生物活性剤と標的アナライトの結合は特異的である;つまり、生物活性剤は標的アナライトに特異的に結合する。本明細書中、「特異的結合」は、アナライトと、試験サンプルの他の成分または汚染物質を区別するのに十分特異的に物質がアナライトに結合することを意味する。しかし、当業者には明らかなように、それほど特異的でない結合を用いてアナライトを検出することができるであろう。例えば、該システムは異なる結合リガンド、例えば異なるリガンドのアレイを用いてもよく、特定アナライトのいずれの検出も結合リガンドのパネルに結合するその「サイン」によるものであり、「電子ノーズ(electronic nose)」が働く様式と類似している。これは化学アナライトの検出において特に利用できる。結合は、非特異的結合を除去するための洗浄工程を含む(いくらかの態様においては、洗浄工程は必要とされないが)アッセイの条件下で結合を維持するのに、すなわち低いアフィニティーの結合パートナーを検出するのに十分であるべきである。いくらかの態様、例えばある種の生物分子の検出においては、アナライトの結合リガンドへの分離定数は約10-4-10-6M-1より小さく、約10−5-10−9M−1より小さいことが好ましく、10-7-10-9M-1より小さいことが特により好ましい。
【0132】
一般に、(標的アナライトの検出のための、または、標的アナライトの結合パートナーをスクリーニングするための)標的アナライトを含むサンプルを、少なくとも一つの生物活性剤に対する標的アナライトの結合に適した条件下、すなわち、一般に生理的条件下でアレイに添加する。標的アナライトの存在または不在を次いで検出する。当業者には明らかなように、これは様々な方法で、一般に光学シグナルの変化を用いて行うことが出来る。この変化は、多くの異なるメカニズムを介して起こることができる。少数の例としては、ビーズへの色素タグを付加したアナライトの結合、ビーズ上または付近での色素種の産生、存在する色素種の破壊、ビーズ上の色素とのアナライト相互作用における光学的サインの変化、またはその他の光学的に応答指令信号を送信可能な事象が含まれる。
【0133】
好ましい例においては、光学的シグナルの変化は、直接的または間接的に検出可能な標識(好適には蛍光色素のような光学的標識)で標識された標的アナライトの結合の結果として生じる。したがって、例えば、タンパク質性標的アナライトを用いる場合、例えば標識した抗体の使用によって蛍光(fluor)で直接標識するか、または非直接的に標識できる。同様に、核酸は、当該分野で既知のように例えばPCR増幅を通じて、蛍光色素で容易に標識される。別法として、標的配列の結合に基づき、ハイブリダイゼーション指示薬を標識として用いることができる。ハイブリダイゼーション指示薬は通常可逆的に二本鎖核酸と優先的に結合する。ハイブリダイゼーション指示薬は、インターカレーター(intercalator)ならびに副溝および/または主溝結合部を包含する。好適な一具体例においては、インターカレーターを用いることができる;インターカレーションは通常二本鎖核酸の存在下においてのみ起こるので、標的ハイブリダイゼーションの存在下でのみ標識が明るくなる。したがって、標的アナライトの生物活性剤への結合に基づいてこの部位に新たな光学的シグナルが発生し、検出できる。
【0134】
別法として、いくつかの場合において、上記のように、酵素のような標的アナライトは直接的または間接的に光学的に検出できる種を生じる。
さらに、いくつかの具体例では、光学的サインの変化は光学的シグナルに基づきうる。例えば、ある化学的標的アナライトとビーズ上のある蛍光色素との相互作用は光学的サインを変化させることができ、したがって異なる光学的シグナルを生じる。
当業者に理解されるように、いくつかの具体例では、標的アナライトの存在または不在は、他の光学的または非光学的シグナル(表面増強ラマン分光法、表面プラズモン共鳴、放射活性等を含むが、これに限定されるものではない)における変化を用いてなされうる。
【0135】
当業者に理解されるように、アッセイは様々な実験条件下で実施できる。スクリーニングアッセイにおいて、種々の他の試薬が含まれうる。これらは最適なタンパク質−タンパク質結合を促進し、および/または非特異的もしくはバックグラウンドの相互作用を減少させるために用いることができる塩、中性タンパク質(例、アルブミン、界面活性剤等)のような試薬を包含する。また、プロテアーゼ阻害剤、ヌクレアーゼ阻害剤、抗微生物剤等のような、別の方法でアッセイの効率を改良する試薬も用いることができる。成分の混合物は、必要な結合を与える任意の順番で添加できる。当業者に知られているように、種々のブロッキング工程および洗浄工程を用いることができる。
【0136】
好ましい例においては、2色拮抗ハイブリダイゼーションアッセイを実行する。これらのアッセイは慣用のサンドイッチアッセイに基づくことができる。ビーズはSNPの片側(上流または下流)に位置する捕獲配列を含み、標的配列を捕獲できる。各々異なる蛍光体で標識した2つのSNP対立遺伝子特異的プローブを標的配列にハイブリダイズさせる。通常、より良い結合を示す較正配列を用いて、2つのシグナルの比率から遺伝子型を得ることができる。これは、標識される必要のない標的配列自体において有利である。さらに、プローブは拮抗するので、これは結合条件を最適化する必要がないことを意味する。ミスマッチのプローブが安定して結合する条件下で、マッチしたプローブをさらに置き換えることができる。したがって、拮抗アッセイはそれらの条件下でより良い識別を与えることができる。多くのアッセイを平行して実施するので、全てのプローブについて条件を同時に最適化することはできない。したがって、拮抗アッセイシステムを用いて、ミスマッチ識別についての非最適条件を補うことを補助するために用いることができる。
【0137】
好適な一具体例においては、本発明の組成物を用いてジデオキシヌクレオチド チェーン ターミネーション配列決定を行う。この具体例においては、DNAポリメラーゼにより蛍光的に標識したddNTPを用いてプライマーを伸長する。該プライマーの3’末端はSNP部位に隣接する。この方法において、単一塩基伸長は該SNP部位の配列に相補的である。各塩基について1つの、4つの異なる蛍光体を用い、4つの塩基特異的シグナルを比較することによりSNPの配列を導き出すことができる。これはいくつかの方法で行うことができる。第一の具体例では、捕捉プローブを伸長できる;このアプローチでは、プローブはビーズ上で5’−3’合成されるか、または5’末端に結合されて、ポリメラーゼ伸長のための遊離3’末端を与えなければならない。別法として、サンドイッチ型アッセイを用いることができる;この具体例では、プローブによって標的をビーズ上に捕捉し、ついでプライマーをアニーリングし、伸長する。また、後者の場合、標的配列は標識されていなくてもよい。さらに、サンドイッチアッセイは2つの特異的相互作用を必要とするので、これは複合サンプルの分析に特に有益なストリンジェンシーを増加させる。
【0138】
さらに、標的アナライトおよびDBLの双方が薬剤に結合する場合、デコーディングの拮抗を介して非標識化標的アナライトの検出を行うことも可能である。
好適な一具体例においては、本発明の方法はアレイ品質管理において有益である。本発明以前には、あらゆるアレイ上のあらゆるプローブの性能のポジティブ試験を提供する方法は開示されていない。アレイのデコーディングがこの試験を提供するだけではなく、そのデコーディング過程自体の間に生じたデータを利用することによってもそのようにする。したがって、さらなる実験作業は要求されない。本発明はソフトウエアにコードできる1組のデータ分析アルゴリズムのみを必要とする。
【0139】
品質管理処置はアレイ中の広範な体系的およびランダムな問題を同定できる。例えば、塵または他の汚染物質のランダムな斑点はいくつかのセンサーに正しくないシグナルを与えさせうる−これはデコーディングの間に検出できる。複数のアレイに由来する1以上の薬剤の遺漏もまた検出できる。この品質管理処置の利点は、アッセイ自体の直前に実行でき、個々のセンサーの真の機能試験であることである。したがって、アレイアセンブリ(assembly)と実際の使用との間で生じうるあらゆる問題を検出できる。非常に高レベルの信頼性が必要で、および/または実験手順の間にセンサーの故障の重大な可能性がある場合の応用において、デコーディングと品質管理は実際のサンプル分析の前後両方で実施できる。
【0140】
好適な一具体例においては、アレイを用いて試薬品質管理を行うことができる。多くの例では、生物学的な巨大分子が試薬として用いられ、品質管理されなければならない。例えば、オリゴヌクレオチドプローブの大きなセットが試薬として提供されうる。多数の異なる生物学的な巨大分子において品質管理を実行することは通常困難である。本明細書に記載したアプローチを用いて、アレイの代わりに変化可能である試薬(DBLとして定式化した)を処理することによってこれをなすことができる。
好適な実施例においては、本明細書に記載した方法をアレイ較正に用いる。mRNA定量のような多くの応用の場合、標的アナライトの濃度に対して線形応答であるシグナルを有するか、または別法として、非線形の場合、濃度とシグナルとの間の関係を決定し標的アナライトの濃度を評価できることが望ましい。したがって、本発明は、アレイにおける複数のビーズについて平行して較正曲線を作成する方法を提供する。分析するサンプルの複雑さをシミュレートする条件下で較正曲線を作成できる。各曲線は他の曲線(例えば、異なる濃度範囲について)と独立して、アレイについての他の全曲線と同時に構築できる。したがって、該具体例において、一連のデコーディングスキームは、異なる蛍光体よりもむしろ、異なる濃度をコード「標識」として用いて実行される。この方法において、濃度に対する応答としてのシグナルは各ビーズについて測定できる。該較正は、アレイの使用の直前に実施でき、その結果、あらゆるアレイ上のあらゆるプローブが個々に、必要に応じて較正される。
【0141】
好適な一具体例においては、本発明の方法を同様にアッセイ開発に用いることができる。したがって、例えば、該方法は良いプローブおよび悪いプローブの同定を可能にする;当業者に理解されるように、いくつかのプローブはうまくハイブリダイズしないかまたは1以上の配列とクロスハイブリッド形成するので、うまく機能しない。これらの問題はデコーディングの間に容易に検出される。プローブの性能を迅速に評価する能力はアッセイ開発の時間と費用を大きく減少させる可能性を有する。
同様に、好適な一具体例において、本発明の方法はアッセイ開発での定量において有益である。多くのアッセイの主要なチャレンジはサンプル間のアナライト濃度における相違を検出する能力、これらの相違を定量する能力、およびアナライト、関係するアナライトの複合混合物の存在下での全て、の絶対濃度の測定である。この課題の例は全細胞性mRNAの存在下における特異的mRNAの定量である。mRNA定量の基礎として開発された1つのアプローチは、複数のマッチしたプローブ対とミスマッチのプローブ対を利用する(Lockhartら、1996)(出典明示によってその内容を本発明の一部とする)。このアプローチは単純であるが、比較的多数のプローブを必要とする。このアプローチにおいて、濃度に対する定量的応答は、目的の遺伝子または配列に対する1組の異なるプローブ由来のシグナルを平均することによって得られる。いくつかのプローブのみが定量的に応答し、これらのプローブを確実に予測することはできないので、このことは必須である。事前の知識がない場合、適切に選択されたプローブのコレクションの平均応答のみが定量的である。しかしながら、本発明においては、他のアッセイと同様に核酸に基づくアレイへの一般的な適用が可能である。要するに、そのアプローチは特定のアッセイにおいて定量的に応答するプローブを同定することであり、他のプローブとの平均ではない。これは、濃度に基づいたコードを用いる上記のアレイ較正スキームによって行われる。各および全配列を有効な方法で試験できるので、このアプローチの利点には;より少いプローブしか必要でないこと;測定の正確さが用いられるプローブの数にあまり依存しないこと;およびセンサーの応答が高度な確実性で知られることがある。特に複雑な配列混合物中において、プローブ性能の予測の困難性と不確実性を避ける、うまく機能するプローブが経験的に選択されることに注目することは重要である。対照的に、オーダーアレイを用いる、これまでに記載された実験においては、混合物へ既知のmRNAを添加する定量的なスパイク(spiking)実験の実施によって比較的少数の配列がチェックされる。
【0142】
好適な具体例においては、RNA発現プロファイリングのためにcDNAアレイを作成する。この具体例においては、宿主ベクター系において増殖させたcDNAライブラリーから個々のcDNAクローンを増幅する(例えば、PCRを用いて)。各増幅DNAをビーズの集団に結合させる。異なる集団を一緒に混合し、cDNAライブラリーを示すビーズのコレクションを作成する。該ビーズをアレイにし、上記のようにデコードし、アッセイに用いる(本明細書中に記載したが、同様にデコーディングがアッセイ後に起きてもよい)。抽出され、必要に応じて標識され、アレイにハイブリダイズしたRNAサンプル(全細胞またはmRNA)を用いてアッセイを行う。拮抗分析は、個々のRNAの発現レベルにおける相違の検出を可能にする。較正標準の適当なセットとの比較は、RNAの絶対量の定量を可能にする。
【0143】
また、cDNAアレイをマッピングに用いて、例えば欠失/挿入をマッピングし、または例えば、腫瘍や他の組織サンプル由来のゲノム中のコピー数の変化をマッピングできる。これは、ゲノムDNAのハイブリダイズによって行うことができる。cDNA(またはEST等)の代わりに、ランダムゲノム断片を含むその他のSTS(配列タグ部位)をこの目的でアレイにすることもできる。
本明細書に引例した全ての参考文献は、出典明示によりその全てにおいて本明細書の一部とされる。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1A】図1Aは本発明のいくつかの異なる「二成分」システムの例を示す。
【図1B】図1Bは本発明のいくつかの異なる「二成分」システムの例を示す。
【図1C】図1Cは本発明のいくつかの異なる「二成分」システムの例を示す。
【図1D】図1Dは本発明のいくつかの異なる「二成分」システムの例を示す。
【図1E】図1Eは本発明のいくつかの異なる「二成分」システムの例を示す。
【図1F】図1Fは本発明のいくつかの異なる「二成分」システムの例を示す。
【図2A】図2Aは二つの異なる「一成分」システムを表す。
【図2B】図2Bは二つの異なる「一成分」システムを表す。
【図3】図3はハイパースペクトルアルファ空間における凝集を表す(α1=I1/ΣII、α2=I2/ΣIi、α3=I3/ΣIiなど)。
【図4】図4は、FAM−標識されたかまたはCy3−標識されたoligo補体のいずれかをアレイ上の異なるビーズタイプを「染色(paint)」(標識)するために使用する2色デコーディングプロセスを示す。
【図5】図5は4色および4つのデコード段階で128の異なるビーズタイプのデコーディングを示す(挿入図は4つの異なる色素を用いて16のビーズタイプをデコードする単一のデコード段階を示す)。
【図6A】図6Aは、16種の異なるビーズのグレースケールデコーディングを表す。
【図6B】図6Bは、16種の異なるビーズのグレースケールデコーディングを表す。
【図6C】図6Cは、16種の異なるビーズのグレースケールデコーディングを表す。
【図7A】図7Aは蓋およびベースプレートを概略的に表す。
【図7B】図7Bは蓋およびベースプレートを概略的に表す。
【図8】図8は蓋10およびベースプレート60を含むハイブリダイゼーションチャンバーを概略的に表す。
【図9A】図9Aは孔105を有するベースプレートを表す。
【図9B】図9Bは孔105を有するベースプレートを表す。
【図10A】図10Aは圧力および/または真空により引き起こされる膜上の変化する溶液の体積および局在化を表す。
【図10B】図10Bは圧力および/または真空により引き起こされる膜上の変化する溶液の体積および局在化を表す。
【図10C】図10Cは圧力および/または真空により引き起こされる膜上の変化する溶液の体積および局在化を表す。
【図10D】図10Dは圧力および/または真空により引き起こされる膜上の変化する溶液の体積および局在化を表す。
【図10E】図10Eは圧力および/または真空により引き起こされる膜上の変化する溶液の体積および局在化を表す。
【図10F】図10Fは圧力および/または真空により引き起こされる膜上の変化する溶液の体積および局在化を表す。
【図11】図11はハイブリダイゼーションチャンバーに関して有用である代表的アッセイスキームのフローチャートを表す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)複数のアッセイ場所を含む表面をハイブリダイゼーションチャンバーにおいて有する基体であって、各アッセイ場所が複数の独立した部位を含む、基体と;
b)少なくとも第一および第二のサブ集団を含む微小球の集団であって、各サブ集団が生物活性剤を含む、集団と;
を含む装置であって、該微小球が各アッセイ場所に分布している装置。
【請求項2】
該アッセイ場所の各々が実質的に類似した生物活性剤の組み合わせを含む、請求項1記載の装置。
【請求項3】
該基体がマイクロタイタープレートであり、各アッセイ場所がマイクロタイターウェルである、請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
独立した各部位が1つのビーズウェルである、請求項1、2または3記載の装置。
【請求項5】
該サブ集団が、各々、さらに該生物活性剤を同定できる光学的サインを含む、請求項1、2、3または4記載の装置。
【請求項6】
該サブ集団の各々が、生物活性剤の同定を解明できるように、デコーダー結合リガンドと結合するであろう識別子結合リガンドをさらに含む、請求項1、2、3、4または5記載の装置。
【請求項7】
a)複数のアッセイ場所を含む表面を有する第一基体と;
b)複数のアレイ場所を含む第二基体であって、各アレイ場所が独立した部位を含む、第二基体と;
c)少なくとも第一および第二のサブ集団を含む微小球の集団であって、各サブ集団が生物活性剤を含む、集団と;
ここで、該微小球は該アレイ場所の各々に分布しており;
d)該第二基体を受容するために形成されたハイブリダイゼーションチャンバーと;
を含む、装置。
【請求項8】
該第一基体がマイクロタイタープレートである、請求項7記載の装置。
【請求項9】
該第二基体が複数の個々のファイバーを含む複数の光ファイバー束を含み、各束は一つのアレイ場所を含み、各々個々のファイバーがビーズウェルを含む、請求項7または8記載の装置。
【請求項10】
該ハイブリダイゼーションチャンバーがさらに少なくとも一つのコンポーネントポートを含む、請求項7、8または9記載の装置。
【請求項11】
該サブ集団の各々がさらに、該生物活性剤を同定できる光学的サインを含む、請求項7、8、9または10記載の装置。
【請求項12】
該サブ集団の各々がさらに、生物活性剤の同定が解明できるようにデコーダー結合リガンドと結合する識別子結合リガンドを含む、請求項7、8、9、10または11記載の装置。
【請求項13】
a)第一アレイ成分を保持するためのベースキャビティーがその中に形成されているベースプレートと;
b)第二アレイ成分を固定するための少なくとも一つのコンポーネントポートを含む蓋と;
c)該ベースプレートと該蓋の間のシーラントと;
を含む、ハイブリダイゼーションチャンバー。
【請求項14】
該第二アレイ成分が光ファイバー束である、請求項13記載のチャンバー。
【請求項15】
さらに少なくとも一つのアラインメント機構を含む、請求項13または14記載のチャンバー。
【請求項16】
少なくとも一つのアラインメント機構が雄雌型嵌合である、請求項15記載のチャンバー。
【請求項17】
さらに、該第一アレイ成分がマイクロタイタープレートである、請求項13、14、15または16記載のチャンバー。
【請求項18】
さらに少なくとも一つの液体取り扱い装置を含む、請求項13、14、15、16または17記載のチャンバー。
【請求項19】
アレイ組成物をデコードする方法であって、
a)ハイブリダイゼーションチャンバーにアレイ組成物を供給し、ここで該アレイ組成物は、
i)複数のアッセイ場所を含む表面を有する基体であって、各アッセイ場所が独立した部位を含む、基体と;
ii)少なくとも第一および第二のサブ集団を含む微小球の集団であって、各サブ集団が生物活性剤を含む、集団と;
を含み;
ここで該微小球は該部位に分布しており;
b)該アレイ組成物に複数のデコーディング結合リガンドを付加して、少なくとも複数の生物活性剤の位置を同定することを含む、方法。
【請求項20】
アレイ組成物をデコードする方法であって、
a)ハイブリダイゼーションチャンバーにアレイ組成物を供給し、ここで該アレイ組成物は、
i)複数のアレイ場所を含む表面を有する基体であって、各アレイ場所が独立した部位を含む、基体と;
ii)少なくとも第一および第二のサブ集団を含む微小球の集団であって、各サブ集団が生物活性剤を含む、集団と;
を含み;
ここで該微小球は該部位に分布しており;
b)該アレイ組成物に複数のデコーディング結合リガンドを付加して、少なくとも複数の生物活性剤の位置を同定することを含む、方法。
【請求項21】
微小球の少なくとも1つのサブ集団が、デコーディング結合リガンドと結合できる識別子結合リガンドを含む、請求項19または20記載の方法。
【請求項22】
該デコーディング結合リガンドが該生物活性剤と結合する、請求項19または20記載の方法。
【請求項23】
該デコーディング結合リガンドが標識されている、請求項19、20、21または22記載の方法。
【請求項24】
各サブ集団の位置が決定される、請求項19、20、21、22または23記載の方法。
【請求項25】
1またはそれ以上のサンプル中にある1またはそれ以上の標的アナライトの存在を決定する方法であって、
a)該サンプルと、
i)複数のアレイ場所を含む表面を有する基体であって、各アレイ場所が独立した部位を含む、基体と;
ii)少なくとも第一および第二のサブ集団を含む微小球の集団であって、各サブ集団が生物活性剤を含む、集団(ここで該微小球はその独立した部位が微小球を含有するように該部位に分布している)と;
を含む、組成物とを接触させ;
b)ハイブリダイゼーションチャンバーにてインキュベートし;
c)該標的アナライトの存在または不存在を決定することを含む、方法。
【請求項26】
1またはそれ以上のサンプル中にある1またはそれ以上の標的アナライトの存在を決定する方法であって、
a)複数のアッセイ場所を含む第一基体にサンプルを添加して、該サンプルを該複数のアッセイ場所に含有させ;
b)該サンプルを、
i)複数のアレイ場所を含み、各アレイ場所が独立した部位を含む、表面と;
ii)その各々が生物活性剤を含む、少なくとも第一および第二のサブ集団を含む微小球の集団(ここで該微小球はその独立した部位が微小球を含有するように該部位に分布している)とを含む第二基体と接触させ、
b)ハイブリダイゼーションチャンバーにてインキュベートし;
c)標的アナライトの存在または不存在を決定することを含む、方法。
【請求項27】
アレイフォーマットにて溶液を混合する方法であって、
a)
i)その少なくとも二つがチャンネルにより連結している孔を含むベースプレートと;
ii)膜と;
iii)アレイ成分を固定するための少なくとも一つの成分ポートを含む蓋と;
iv)該ベースプレートと該蓋の間のシーラントと;
を含むハイブリダイゼーションチャンバーを提供し;
b)該膜に真空を適用して、それにより該膜においてウェルを形成し;
c)溶液を該膜に提供し、それにより該溶液を少なくとも一つのウェル中に侵入させ;
d)該膜に間欠的に真空を適用して、それにより溶液を混合することを含む、方法。
【請求項28】
該溶液を複数のウェルに侵入させる、請求項27記載の方法。
【請求項1】
a)複数のアッセイ場所を含む表面をハイブリダイゼーションチャンバーにおいて有する基体であって、各アッセイ場所が複数の独立した部位を含む、基体と;
b)少なくとも第一および第二のサブ集団を含む微小球の集団であって、各サブ集団が生物活性剤を含む、集団と;
を含む装置であって、該微小球が各アッセイ場所に分布している装置。
【請求項2】
該アッセイ場所の各々が実質的に類似した生物活性剤の組み合わせを含む、請求項1記載の装置。
【請求項3】
該基体がマイクロタイタープレートであり、各アッセイ場所がマイクロタイターウェルである、請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
独立した各部位が1つのビーズウェルである、請求項1、2または3記載の装置。
【請求項5】
該サブ集団が、各々、さらに該生物活性剤を同定できる光学的サインを含む、請求項1、2、3または4記載の装置。
【請求項6】
該サブ集団の各々が、生物活性剤の同定を解明できるように、デコーダー結合リガンドと結合するであろう識別子結合リガンドをさらに含む、請求項1、2、3、4または5記載の装置。
【請求項7】
a)複数のアッセイ場所を含む表面を有する第一基体と;
b)複数のアレイ場所を含む第二基体であって、各アレイ場所が独立した部位を含む、第二基体と;
c)少なくとも第一および第二のサブ集団を含む微小球の集団であって、各サブ集団が生物活性剤を含む、集団と;
ここで、該微小球は該アレイ場所の各々に分布しており;
d)該第二基体を受容するために形成されたハイブリダイゼーションチャンバーと;
を含む、装置。
【請求項8】
該第一基体がマイクロタイタープレートである、請求項7記載の装置。
【請求項9】
該第二基体が複数の個々のファイバーを含む複数の光ファイバー束を含み、各束は一つのアレイ場所を含み、各々個々のファイバーがビーズウェルを含む、請求項7または8記載の装置。
【請求項10】
該ハイブリダイゼーションチャンバーがさらに少なくとも一つのコンポーネントポートを含む、請求項7、8または9記載の装置。
【請求項11】
該サブ集団の各々がさらに、該生物活性剤を同定できる光学的サインを含む、請求項7、8、9または10記載の装置。
【請求項12】
該サブ集団の各々がさらに、生物活性剤の同定が解明できるようにデコーダー結合リガンドと結合する識別子結合リガンドを含む、請求項7、8、9、10または11記載の装置。
【請求項13】
a)第一アレイ成分を保持するためのベースキャビティーがその中に形成されているベースプレートと;
b)第二アレイ成分を固定するための少なくとも一つのコンポーネントポートを含む蓋と;
c)該ベースプレートと該蓋の間のシーラントと;
を含む、ハイブリダイゼーションチャンバー。
【請求項14】
該第二アレイ成分が光ファイバー束である、請求項13記載のチャンバー。
【請求項15】
さらに少なくとも一つのアラインメント機構を含む、請求項13または14記載のチャンバー。
【請求項16】
少なくとも一つのアラインメント機構が雄雌型嵌合である、請求項15記載のチャンバー。
【請求項17】
さらに、該第一アレイ成分がマイクロタイタープレートである、請求項13、14、15または16記載のチャンバー。
【請求項18】
さらに少なくとも一つの液体取り扱い装置を含む、請求項13、14、15、16または17記載のチャンバー。
【請求項19】
アレイ組成物をデコードする方法であって、
a)ハイブリダイゼーションチャンバーにアレイ組成物を供給し、ここで該アレイ組成物は、
i)複数のアッセイ場所を含む表面を有する基体であって、各アッセイ場所が独立した部位を含む、基体と;
ii)少なくとも第一および第二のサブ集団を含む微小球の集団であって、各サブ集団が生物活性剤を含む、集団と;
を含み;
ここで該微小球は該部位に分布しており;
b)該アレイ組成物に複数のデコーディング結合リガンドを付加して、少なくとも複数の生物活性剤の位置を同定することを含む、方法。
【請求項20】
アレイ組成物をデコードする方法であって、
a)ハイブリダイゼーションチャンバーにアレイ組成物を供給し、ここで該アレイ組成物は、
i)複数のアレイ場所を含む表面を有する基体であって、各アレイ場所が独立した部位を含む、基体と;
ii)少なくとも第一および第二のサブ集団を含む微小球の集団であって、各サブ集団が生物活性剤を含む、集団と;
を含み;
ここで該微小球は該部位に分布しており;
b)該アレイ組成物に複数のデコーディング結合リガンドを付加して、少なくとも複数の生物活性剤の位置を同定することを含む、方法。
【請求項21】
微小球の少なくとも1つのサブ集団が、デコーディング結合リガンドと結合できる識別子結合リガンドを含む、請求項19または20記載の方法。
【請求項22】
該デコーディング結合リガンドが該生物活性剤と結合する、請求項19または20記載の方法。
【請求項23】
該デコーディング結合リガンドが標識されている、請求項19、20、21または22記載の方法。
【請求項24】
各サブ集団の位置が決定される、請求項19、20、21、22または23記載の方法。
【請求項25】
1またはそれ以上のサンプル中にある1またはそれ以上の標的アナライトの存在を決定する方法であって、
a)該サンプルと、
i)複数のアレイ場所を含む表面を有する基体であって、各アレイ場所が独立した部位を含む、基体と;
ii)少なくとも第一および第二のサブ集団を含む微小球の集団であって、各サブ集団が生物活性剤を含む、集団(ここで該微小球はその独立した部位が微小球を含有するように該部位に分布している)と;
を含む、組成物とを接触させ;
b)ハイブリダイゼーションチャンバーにてインキュベートし;
c)該標的アナライトの存在または不存在を決定することを含む、方法。
【請求項26】
1またはそれ以上のサンプル中にある1またはそれ以上の標的アナライトの存在を決定する方法であって、
a)複数のアッセイ場所を含む第一基体にサンプルを添加して、該サンプルを該複数のアッセイ場所に含有させ;
b)該サンプルを、
i)複数のアレイ場所を含み、各アレイ場所が独立した部位を含む、表面と;
ii)その各々が生物活性剤を含む、少なくとも第一および第二のサブ集団を含む微小球の集団(ここで該微小球はその独立した部位が微小球を含有するように該部位に分布している)とを含む第二基体と接触させ、
b)ハイブリダイゼーションチャンバーにてインキュベートし;
c)標的アナライトの存在または不存在を決定することを含む、方法。
【請求項27】
アレイフォーマットにて溶液を混合する方法であって、
a)
i)その少なくとも二つがチャンネルにより連結している孔を含むベースプレートと;
ii)膜と;
iii)アレイ成分を固定するための少なくとも一つの成分ポートを含む蓋と;
iv)該ベースプレートと該蓋の間のシーラントと;
を含むハイブリダイゼーションチャンバーを提供し;
b)該膜に真空を適用して、それにより該膜においてウェルを形成し;
c)溶液を該膜に提供し、それにより該溶液を少なくとも一つのウェル中に侵入させ;
d)該膜に間欠的に真空を適用して、それにより溶液を混合することを含む、方法。
【請求項28】
該溶液を複数のウェルに侵入させる、請求項27記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図10F】
【図11】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図10F】
【図11】
【公開番号】特開2011−221036(P2011−221036A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−141968(P2011−141968)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【分割の表示】特願2002−505109(P2002−505109)の分割
【原出願日】平成13年6月28日(2001.6.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(500358711)イルミナ インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141968(P2011−141968)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【分割の表示】特願2002−505109(P2002−505109)の分割
【原出願日】平成13年6月28日(2001.6.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(500358711)イルミナ インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】
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