説明

ハイブリッド車両の表示装置

【課題】この発明は、表示手段の数を削減しつつ、二つの表示手段を設置した場合と同じように、目的の異なる二つの表示内容を運転者にわかりやすく表示することができ、運転者に表示内容を容易に把握させることができるハイブリッド車両の表示装置を実現することを目的とする。
【解決手段】この発明は、内燃機関と電動機との両方を車両走行時の動力源として備えているハイブリッド車両の表示装置において、前記内燃機関の回転数を表示する回転数表示エリアと前記電動機の出力状態を表示する出力表示エリアとを隣接して構成し、且つ前記回転数表示エリアと出力表示エリアとをそれぞれ指示可能な一つの指針を有する表示手段を備え、車両状態により前記回転数表示エリアと出力表示エリアとの中からある一つの地点を前記一つの指針により指示する表示制御手段を備えていることを特徽とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はハイブリッド車両の表示装置に係り、特に、表示手段の数は削減しつつ、運転者に表示内容を把握させやすいハイブリッド車両の表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関と電動機との両方を車両走行時の動力源として備えているハイブリッド車両の表示装置においては、電動機で走行中に出力中であるか回生中であるか、電動機の出力状態を表示するバワーメータ(出力表示手段)を備えている。また、前記ハイブリッド車両の表示装置においては、内燃機関が回転している時に、回転数の変化の表示するタコメータ(回転数表示手段)を備えている。
【0003】
従来のハイブリッド車両の表示装置には、一つの表示部で、内燃機関の出力状態を表示するパワーメータ表示と内燃機関の回転数を表示するタコメータ表示とのいずれか一方に切り替えて表示することで、表示スペースを小さくするものがある。(特許文献1)
従来のハイブリッド車両の表示装置には、運転モードに応じて、車両の走行に使用可能な所定部位のパワー及び/又はトルクを表示することで、運転者に動力源の種類に関わりなく、運転に必要な情報を提供するものがある。(特許文献2)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−220482号公報
【特許文献2】特開平10−129298号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、前記特許文献1においては、パワーメータ表示(出力表示)とタコメータ表示(回転数表示)とを同じ位置に切り替えて表示しているため、現在の表示内容がパワーメータ表示(出力表示)とタコメータ表示(回転数表示)とのいずれであるか、運転者が瞬間的に表示内容を把握することが困難な問題がある。
また、前記特許文献2においては、内燃機関と電動機とに関わりなく、車両の走行に使用可能な両動力源のパワー及び/又はトルクを表示しているため、運転者に内燃機関と電動機とのそれぞれについての必要な情報を的確に把握させることができない問題がある。
【0006】
この発明は、表示手段の数を削減しつつ、二つの表示手段を設置した場合と同じように、目的の異なる二つの表示内容を運転者にわかりやすく表示することができ、運転者に表示内容を容易に把握させることができるハイブリッド車両の表示装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、内燃機関と電動機との両方を車両走行時の動力源として備えているハイブリッド車両の表示装置において、前記内燃機関の回転数を表示する回転数表示エリアと前記電動機の出力状態を表示する出力表示エリアとを隣接して構成し、且つ前記回転数表示エリアと出力表示エリアとをそれぞれ指示可能な一つの指針を有する表示手段を備え、車両状態により前記回転数表示エリアと出力表示エリアとの中からある一つの地点を前記一つの指針により指示する表示制御手段を備えていることを特徽とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明のハイブリッド車両の表示装置は、一つの表示手段に回転数表示エリアと出力表示エリアとを隣接して構成し、両表示エリアの中から一つの地点を一つの指針で指示しているので、表示手段の数を削減し、なおかつ、二つの表示手段を設置した場合と同じように、目的の異なる二つの表示内容を運転者にわかりやすく表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(A)は電動機で動いている状態の表示手段の正面図、(B)は内燃機関で動いている状態の表示手段の正面図である。(実施例)
【図2】(A)は回転数表示エリアと出力表示エリアとを隣接して構成した表示手段の正面図、(B)は回転数表示エリアと出力表示エリアとを外部光で視認できない状態とした表示手段の正面図である。(実施例)
【図3】ハイブリッド車両の表示装置のシステム構成図である。(実施例)
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明のハイブリッド車両の表示装置は、回転数表示エリアと出力表示エリアとを隣接して構成し、両表示エリアの中から一つの地点を一つの指針で指示することで、表示手段の数は削減しつつ、運転者に表示内容を把握させやすくするものである。
以下、図面に基づいて、この発明の実施例を説明する。
【実施例】
【0011】
図1〜図3は、この発明の実施例を示すものである。図3において、1はハイブリッド車両の表示装置、2は表示手段、3は表示制御手段である。表示装置1は、内燃機関と電動機との両方を車両走行時の動力源として備えているハイブリッド車両についての情報を表示する表示手段2と、この表示手段2に運転者が必要とする情報を表示させる表示制御手段3とを備えている。
前記表示手段2は、図2(A)に示すように、暗色系で光の透過率が低い素材で形成した表示板4を設け、この表示板4に内燃機関の回転数を表示する回転数表示(タコメータ表示)エリア5と、電動機の出力状態を表示する出力表示(パワーメータ表示)エリア6とを隣接して構成している。表示板4の回転数表示エリア5の内側には、回転数を示す数字等の回転数表示内容7(例えば、「0〜8」、「*1000rpm」等)を記載している。また、表示板4の出力表示エリア6の内側には、電動機が出力中であるか回生中であるかを示す文字等の出力表示内容8(例えば、「ASST」(アシストを表す)、「CHRG」(チャージを表す))を記載している。
表示手段2は、表示板4を光の透過率が低い素材で形成しているので、図2(B)に斜線で示すように、回転数表示エリア5に記載された回転数表示内容7と出力表示エリア6に記載された出力表示内容8とを、外部光では運転者が視認できない構造としている。
【0012】
また、表示手段2は、図2(A)に示すように、表示板4の内側に、回転数表示エリア5と出力表示エリア6とにそれぞれ光を照射する回転数表示用照明9と出力表示用照明10とを設けている。回転数表示用照明9と出力表示用照明10とは、表示制御手段3に接続され、点灯・消灯を制御される。
表示制御手段3は、車両情報入力手段11から入力する情報により車両状態を判断し、内燃機関が駆動している状態では、回転数表示用照明9を点灯し、出力表示用照明10を消灯する。表示制御手段3は、内燃機関が停止している状態では、回転数表示用照明9を消灯し、出力表示用照明10を点灯する。運転者は、回転数表示用照明9の点灯で回転数表示内容7を視認することができ、出力表示用照明10の点灯で出力表示内容8を視認することができる。
【0013】
さらに、表示手段2は、図2(A)に示すように、表示板4の回転数表示エリア5と出力表示エリア6とをそれぞれ指示可能な一つの指針12を有している。指針12は、表示制御手段3に接続され、指示する位置を制御される。表示制御手段3は、車両情報入力手段11から入力する情報により車両状態を判断し、内燃機関が駆動している状態では、車両状態により指針11が回転数表示エリア5のある地点を指示するように動作し、内燃機関が停止している状態では、車両状態により指針11が出力表示エリア6のある地点を指示するように動作する。
つまり、表示制御手段3は、内燃機関が駆動している状態では、回転数表示用照明9を点灯して回転数表示内容7を視認可能とする一方、出力表示用照明10を消灯して出力表示内容8を視認不可とし、且つ指針12が回転数表示エリア5のある地点を指示するように動作させる。また、表示制御手段3は、内燃機関が停止している状態では、出力表示用照明10を点灯して出力表示内容8を視認可能とする一方、回転数表示用照明9を消灯して回転数表示内容7を視認不可とし、且つ指針12が出力表示エリア6のある地点を指示するように動作させる。
これにより、表示制御手段3は、図1(B)に示すように、ハイブリッド車両が内燃機関で動いている状態で、指針12が回転数表示エリア5を指示する時には出力表示エリア6を運転者が視認できない状態とし、図1(A)に示すように、ハイブリッド車両が電動機で動いている状態で、指針12が出力表示エリア6を指示する時には回転数表示エリア5を運転者が視認できない状態とする。
【0014】
次に作用を説明する。
内燃機関と電動機との両方を車両走行時の動力源として備えているハイブリッド車両の表示装置1は、図2に示すように、光の透過率が低い素材で形成した表示板4に回転数表示エリア5と出力表示エリア6とを隣接して構成し、回転数表示エリア5と出力表示エリア6とを選択的に指示可能な一つの指針12を有する表示手段2を備え、表示手段2には、回転数表示エリア5を照らす回転数表示用照明9と出力表示エリア6を照らす出力表示用照明10とを設けている。
また、表示装置1は、車両状態により表示手段2の回転数表示用照明9と出力表示用照明10とを選択的に点灯して回転数表示エリア5と出力表示エリア6とのいずれか一方を現出させ、現出させた表示エリアのある一つの地点を一つの指針12により指示させる表示制御手段3を備えている
表示装置1は、図1(A)に示すように、内燃機関が停止し、電動機で動いている状態では、表示制御手段3によって、表示手段2の出力表示用照明10を点灯して出力表示内容8を視認可能とし、指針12により出力表示エリア6のある地点を指示する。このとき、表示装置1は、表示制御手段3によって、回転数表示用照明9を消灯しているので、運転者は回転数表示エリア5を視認できない状態となっている。
また、表示装置1は、図1(B)に示すように、電動機が停止し、内燃機関で動いている状態では、表示制御手段3によって、回転数表示用照明9を点灯して回転数表示内容7を視認可能とし、指針12により回転数表示エリア5のある地点を指示する。このとき、表示装置1は、表示制御手段3によって、出力表示用照明10を消灯しているので、運転者は出力表示内容8を視認できない状態となっている。
【0015】
このように、ハイブリッド車両の表示装置1は、一つの表示手段2に隣接して構成した回転数表示エリア5と出力表示エリア6との中から一つの地点を一つの指針12で指示しているので、表示手段の数を削減し、なおかつ、二つの表示手段を設置した場合と同じように、目的の異なる二つの表示内容を運転者にわかりやすく表示することができる。
また、表示装置1は、表示制御手段3によっては、ハイブリッド車両が内燃機関で動いている状態で、指針12が回転数表示エリア5を指示する時には出力表示エリア6を運転者が視認できない状態とし、ハイブリッド車両が電動機で動いている状態で、指針12が出力表示エリア6を指示する時には回転数表示エリア5を運転者が撹認できない状態としている。
これにより、ハイブリッド車両の表示装置1は、運転者にとって無駄な情報を排除して、必要な表示内容だけを表示しているので、どちらの表示エリアが現在使用されているのか運転者が把握するのが簡単である。
なお、上述実施例においては、表示制御手段3によっては、回転数表示エリア5と出力表示エリア6との表示を切り替えたが、運転者のスイッチ操作により表示を切り替え可能とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
この発明は、一つの表示手段で目的の異なる二つの表示内容をわかりやすく表示することができ、運転者に表示内容を容易に把握させることができるものであり、ハイブリッド車両だけでなく、ガソリン内燃機関やディーゼル内燃機関を動力源として備えている車両の表示装置にも応用することができる。
【符号の説明】
【0017】
1 表示装置
2 表示手段
3 表示制御手段
4 表示板
5 回転数表示エリア
6 出力表示エリア
7 回転数表示内容
8 出力表示内容
9 回転数表示用照明
10 出力表示用照明
11 車両情報入力手段
12 指針

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関と電動機との両方を車両走行時の動力源として備えているハイブリッド車両の表示装置において、前記内燃機関の回転数を表示する回転数表示エリアと前記電動機の出力状態を表示する出力表示エリアとを隣接して構成し、且つ前記回転数表示エリアと出力表示エリアとをそれぞれ指示可能な一つの指針を有する表示手段を備え、車両状態により前記回転数表示エリアと出力表示エリアとの中からある一つの地点を前記一つの指針により指示する表示制御手段を備えていることを特徽とするハイブリッド車両の表示装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記指針が回転数表示エリアを指示する時には出力表示エリアを運転者が視認できない状態とし、前記指針が出力表示エリアを指示する時には回転数表示エリアを運転者が視認できない状態とすることを特徽とする請求項1に記載のハイブリッド車両の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−11611(P2011−11611A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−156739(P2009−156739)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】