説明

ハウジング壁に取り付けるための電気接続端子台のための固定装置

本発明の装置は、電気接続端子台のための固定装置を備えており、絶縁材料から成る端子台ハウジングが設けられており、端子台ハウジングが、ハウジング壁の開口に取付可能であり、その特徴によれば、ハウジング壁(9)に固定装置を結合するために、固定装置が、端子台ハウジング(6)に固定可能で、かつ再び取外可能な固定インサート(2)を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジング壁に電気接続端子台を取り付けるための取付装置であって、絶縁材料から成る端子台ハウジングが設けられており、端子台ハウジングが、ハウジング壁の開口に取り付けられるようになっている形式のものに関する。
【0002】
このような形式の接続端子台の電気接続端子台は、閉じられたハウジングを備えた機器に関して開発され、いわゆる貫通型端子台として公知である。ドイツ連邦共和国特許第3231690号明細書から、2部分から組み立てられた端子台ハウジングが公知であり、ここでは外側部分が外側から、内側部分が内側からケーシング壁に向かってガイド可能であり、互いに配設された結合エレメント、特に互いに係止可能な係止エレメントを介して取り付けられていて、間にケーシング壁を収容する。該当する形式の貫通型端子台は、ハウジング壁の両側からガイドする必要があり、貫通端子台の容易な取外が不能に係止される。それにもかかわらず端子(台)を再び取り外そうとすると、係止突起が摩耗し、固定が損なわれ得る。その結果として端子台全体が交換される。さらにハウジング壁は、クランプ手段の楔形状によって補償できず、したがって固定が必ずしも得られないような製造誤差を有する恐れがある。
【0003】
ドイツ連邦共和国特許出願公開第10315661号明細書から、壁貫通型端子台が公知であり、ここではロック装置が設けられており、壁貫通端子台は、旋回可能な楔形操作部材を用いて、ロック装置と一体的に結合されている。端子台ハウジングを固定するためのロックエレメントは、端子台ハウジングと共に、金属製の機器壁またはハウジング壁の開口に差し込まれ、そこで旋回可能な楔形操作部材によって挟んで固定される。開示内容によって、壁貫通端子台の簡単な取付および取外が可能であるにもかかわらず、設けられたフレキシブルな結合ウェブは、ねじれ易く、既に操作工具の僅かに誤ったガイドによって破損される恐れがある。さらに設けられたリブは、操作方向の頻繁な開閉に際して摩耗する。
【0004】
課題
したがって本発明の課題は、冒頭で述べた形式の接続端子台種の端子台のための取付装置を改良して、従来技術の記載の欠点を回避し、簡単な取付および取外を実現し、経済的であり、しかもハウジング壁の製造誤差の生じる場合でも確実な固定を達成することのできるものを提供することである。
【0005】
解決手段
この課題は、請求項1の特徴部に記載した構成手段を有する装置によって解決される。有利な実施形態および改良形態は、従属請求の対象である。
【0006】
本発明によれば、固定装置は、外側面で、ハウジング壁の開口に端子台ハウジングを取り付けるために、端子台ハウジングに固定可能で、かつ再び取外可能な固定インサートを備えている。このような構成手段の利点によれば、固定インサートは、端子台ハウジングに挿入可能で、かつ再び離間可能であり、冒頭で述べた端子台ハウジング種の端子台ハウジングをハウジング壁に取り付けるために、ほぼ一体的な端子台ハウジングが形成されており、端子台ハウジングは、最終的な固定のために、容易に片手でハウジング壁にガイドすることができる。この場合特に有利には、固定インサートが脱着部分であってよく、端子台ハウジング全体の代わりに簡単で経済的に交換することができ、安価に製作することができる。
【0007】
本発明による固定装置の有利な実施形態によれば、固定インサートが、外面に配置された少なくとも1つの係止装置を介して、係止装置に対応して配置された少なくとも1つの係止開口を備えた端子台ハウジングの収容室に取り付けられるようになっている。これによって有利には、端子台ハウジングの収容室に固定インサートを挿入することによって、収容室における固定インサートの前固定が達成され、たとえばハウジング壁に固定装置を備えた端子台ハウジングをガイドする際に、収容室からの固定インサートの不意の落下が防止される。
【0008】
本発明の別の1実施形態によれば、端子台ハウジングが、板状に並んで列を成す個々の端子台から形成されており、固定インサートのための収容室が、少なくとも1つの固定板に設けられており、固定板は、相並んで列を成す端子台を取り付けて、ハウジング壁に取り付けられるようになっている。その利点によれば、相並んで列を成す個々の端子台から成る接続端子台もまた、本発明によれば、固定インサートを収容するために設けられた収容室を備えた、追加的にこのような種類の接続端子台にフランジ結合可能で、かつ/または差込可能な固定板によって、容易にハウジング壁に取り付けることができる。
【0009】
本発明によれば、固定インサートに、2つの脚部、および脚部を結合する1つのウェブが設けられており、この場合ウェブによって、固定手段の挿入方向に対して垂直で固定インサートの外面に向かうばね作用が形成される。その利点によれば、端子台ハウジングに固定インサートを前固定することができ、端子台ハウジングからの固定インサートの不意の落下が防止される。
【0010】
本発明の別の有利な実施形態によれば、固定インサートの両方の脚部の少なくとも一方が、中空室を備えている。少なくとも一方の脚部に材料を薄くすることによって、固定装置全体をハウジング壁に固定することのできる固定手段を簡単に挿入することができ、固定手段は、固定インサートの外面に向かって材料を押し付けることができる。
【0011】
本発明の固定装置の別の有利な実施形態によれば、脚部の間に、取付手段を収容するためのガイド装置が形成されている。これによって有利には、ハウジング壁に対する前述の形式の接続端子台の最終的な固定を許容する固定手段の挿入が実現され、ハウジング壁の厚さにおける製作誤差が補償され、たとえば振動のような高い環境負荷においても、ハウジング壁における前述の形式の接続端子台との固定装置の確実な固定がもたらされる。
【0012】
本発明によれば、有利には、係止装置と、端子台ハウジングにおける係止開口とが、取付縁部の厚さよりもハウジング壁から離れて配置されている。係止装置および係止開口が、ストッパとして設けられた取付縁部よりもハウジング壁から離れて配置されていることによって、ハウジング壁に向かう引張力が形成され、引張力は、前述の接続端子台種では、ハウジング壁における極めて確実な固定を実現し、振動時の端子台ハウジングからの固定装置の不意の離脱を防止し、ハウジング壁の製作誤差を補償する。
【0013】
本発明の特に有利な実施形態によれば、固定インサートの外寸が、収容室の内寸よりも小さいか、またはこれと同じであり、係止装置は、挿入後に、依然として係止開口に係合することができる。これによって固定インサートの押し合わせによって、固定インサートは、容易に収容室に挿入することができ、この場合脚部が解放されると、係止装置は係止開口に係合され、不意の落下が防止され、ハウジング壁における端子台の安定した固定が実現される。
【0014】
さらに有利には、固定インサートの外寸が、押し合わせによって縮小され、固定インサートが、収容室に挿入され、少なくとも1つの係止装置が、解放後に、係止装置に対応する少なくとも1つの係止開口に係合できるようになっている。
【0015】
本発明のさらに有利な実施形態によれば、固定装置が、楔のように作用する任意の固定手段によって、最終的にハウジング壁に取り付けられる。固定手段の挿入によって、端子台ハウジングの収容室に対する固定インサートの前固定も、ハウジング壁に対する端子台ハウジング全体の最終的な固定も、固定インサートの楔効果の助成および/または増幅によって行われ、そうして固定装置から固定インサートの不意の脱落および/または落下が防止され、ならびにハウジング壁の製造誤差が補償される。
【0016】
もちろん前述の、ならびに後述の特徴は、本発明の範囲を逸脱することなく、それぞれ単独でも、任意の組み合わせでも用いることができる。
【0017】
以下に本発明による固定装置の有利な実施例を図示して、詳しく説明する。
【0018】
図1には、本発明による、ハウジング壁を通る電気接続端子台のための取付装置の有利な実施例を示した。ハウジング壁9は、端子台ハウジング6を収容するための開口を備えている。端子台ハウジング6は、収容室1と取付縁部8とを備えている。収容室1は、固定インサート2を収容するのに役立ち、かつ係止開口7を備えており、係止開口7に、固定インサート2の係止装置3が係合する。取付縁部8は、ストッパとして、差込方向で端子台ハウジング6が完全に通過するのを防止するのに役立つ。係止装置3は、収容室1に固定インサート2を前固定するのに役立つ。取付手段5が挿入され、締め付けられると、係止装置3は、端子台ハウジング6を、取付縁部8を介してハウジング壁9に押圧する。固定インサート2は、端子台ハウジング6の収容室1に形状接続(formschluessig;形状による束縛)式に差し込まれる。固定インサート2のガイド装置4に、ハウジング壁に端子台ハウジングを最終的に取り付けるために、取付手段5、たとえば自己切削式のねじ山(このねじ山自体が雌ねじ山を形成する)を備えたねじが挿入される。
【0019】
図2に示した固定インサート2の両方の脚部12が手動で押し合わされることによって、固定インサート2の外寸が縮小し、図1に示した収容室1への固定インサート2の簡単な挿入が実現される。このために固定インサート2の両方の脚部12が押し合わせによって移動される距離は、係止装置3の高さの合計と同じか、またはこれより大きい。固定インサート2が挿入され、脚部12が弛緩(解放)されたあとで、脚部12は、ウェブ11によって形成されたばね作用によって再び元来の位置に戻り、これによって係止装置3は、収容室1の係止開口7に係合して、これによって前固定として係止され、ひいてはほぼ一体的な端子台ハウジングが製作され、したがってその全体で、片手でもってハウジング壁にガイドすることができる。このようにして生じるほぼ一体的な端子台ハウジングは、次いでハウジング壁9の別の側から取付手段5、たとえば自己切削式のねじによって固定可能であり、固定インサート2が不意に落下することはない。ガイド装置4に取付手段5を挿入して、次いでたとえば自己切削式のねじを回して締め付けて固定することによって、ハウジング壁9における端子台ハウジング6の摩擦接続式かつ形状接続式の結合が形成される。
【0020】
図2には、固定インサート2の構造を示した。固定インサート2は、2つの脚部12と、両方の脚部12を結合する1つのウェブ11とを備えている。両方の脚部12にそれぞれ中空室10が設けられている。中空室10は、固定手段5を挿入することによって形成される力を、挿入方向に対して垂直に固定インサート2の外面(周)に向かって伝達するのに役立ち、収容室1において固定インサート2は確実に固定され、固定手段5はガイド装置4内で確実にガイドされる。さらに中空室10によって、材料が薄くされ、固定手段5によって、材料は固定インサート2の外面に向かって押し付けられ、固定手段5の挿入が容易になる。固定インサート2を端子台ハウジング6の収容室1に挿入するために、両方の脚部12はウェブ11を介して押し合わされ、これによって固定インサート2の外寸が縮小される。その結果ばね力が形成され、ばね力は、押し合わせによる力作用に対抗する。この状態で固定インサート2は、容易に収容室1に挿入することができる。脚部12の移動する距離は、十分な前固定のために、係止装置3の高さの合計と同じかこれよりも大きい。固定インサート2は、作用するばね力と、少なくとも係止開口7への少なくとも1つの係止装置3の係止とによって、その位置で収容室1に保持される。固定手段5の挿入によって、一方では固定インサート2の楔効果が増幅され、他方では固定手段5の挿入によって形成される、ハウジング壁9に向かう引張力によって、固定インサート2は、ハウジング壁9に形状接続式に固定される。この場合ハウジング壁9の材料変動も補償され、ハウジング壁9における装置全体の十分な固定(緊締)が実現される。最終的に固定したあとで振動力または別の機械影響が生じる場合でも、固定は十分に維持される。
【0021】
図3には、固定インサート2を斜視図で示した。脚部12の間に形成されたガイド装置4は、円区分状の湾曲部を備えていて、固定手段5を収容するために規定されている。両方の脚部12は、それぞれ中空室10を有している。固定インサート2の外面に係止装置3が看取され、係止装置3は、端子台ハウジング6の係止開口7に係合することができる。ウェブ11は、両方の脚部12をガイド装置4に向かって押し合わせる際に、逆向きにばね力を生じさせるので、脚部12に掛かる、押し合わせによって形成された力が吸収されると、元来の形状に戻され、これによって摩擦接続式に収容室1に位置する。さらにガイド装置4に、従来慣用の固定手段5、たとえば市販されている自己切削式のねじのための十分な空間を設ける必要がある。ウェブ11は、固定インサート2の両方の脚部12を結合しており、ウェブ11は、固定装置5の挿入方向に対して垂直に固定インサート2の外面に向かってばね作用を形成するのに役立つ。
【0022】
多くの場合現在では、板状に、個々の端子台は、端子台ハウジング(ここでは図示していない)に取り付けられる。したがって固定インサート2は、フランジ結合または差込可能な固定板(ここでは図示していない)が収容室1と取付縁部8とを備えていて、取り付けられた端子台ハウジングに差し込まれるかまたはフランジ結合される場合に、不変に使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】ハウジング壁を通って線路をガイドするための電気接続端子台のための固定装置を示す斜視図である。
【図2】固定インサートの縦断面図である。
【図3】固定手段の挿入されていない固定インサートを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0024】
1 収容室、 2 固定インサート、 3 係止装置、 4 ガイド装置、 5 固定手段、 6 端子台ハウジング、 7 係止開口、 8 縁部、 9 ハウジング壁、 10 中空室、 11 ウェブ、 12 脚部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング壁を通って線路をガイドするための電気接続端子台であって、
絶縁材料から成る端子台ハウジングおよび固定装置が設けられており、端子台ハウジング(6)が、固定装置によって、ハウジング壁の開口に取り付けられるようになっており、固定装置が、ハウジング壁(9)の開口に端子台ハウジング(6)を取り付けるために、端子台ハウジング(6)に固定可能で、かつ再び取外可能な固定インサート(2)を備えており、該固定インサート(2)が、外面に配置された少なくとも1つの係止装置(3)を介して、係止装置(3)に対応して配置された係止開口(7)を備えた端子台ハウジング(6)の収容室(1)に取り付けられるようになっている形式のものにおいて、
固定インサートが、2つの脚部(12)と、これらの脚部(12)を結合する1つのウェブ(11)とを備えていることを特徴とする、電気接続端子台。
【請求項2】
端子台ハウジング(6)が、板状に相並んで列を成す個々の端子台から成っており、固定インサート(2)のための収容室(1)が、少なくとも1つの固定板に設けられており、該固定板が、相並んで列を成す端子台を取り付けて、ハウジング壁(9)に取り付けられるようになっている、請求項1記載の電気接続端子台。
【請求項3】
端子台ハウジング(6)および/または固定板に、ハウジング壁(9)に固定装置を支持するための取付縁部(8)が設けられている、請求項1または2記載の電気接続端子台。
【請求項4】
固定インサート(2)の両方の脚部(12)の少なくとも一方が、中空室(10)を備えている、請求項1から3までのいずれか1項記載の電気接続端子台。
【請求項5】
脚部(12)の間に、取付手段(5)を収容するためのガイド装置(4)が形成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の電気接続端子台。
【請求項6】
ウェブ(11)によって、取付手段(5)の挿入方向に対して垂直に固定インサート(2)の外面に向かってばね作用が形成されるようになっている、請求項1から5までのいずれか1項記載の電気接続端子台。
【請求項7】
係止装置(3)と、端子台ハウジング(6)における係止開口(7)とが、取付縁部(8)の厚さよりもハウジング壁(9)から離れて配置されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の電気接続端子台。
【請求項8】
固定インサート(2)の外寸が、収容室(1)の内寸よりも小さいか、またはこれと同じである、請求項1から7までのいずれか1項記載の電気接続端子台。
【請求項9】
固定インサート(2)の外寸が、押し合わせによって縮小できるようになっており、固定インサート(2)が、収容室(1)に挿入され、少なくとも1つの係止装置(3)が、解放後に、該係止装置(3)に対応する少なくとも1つの係止開口(7)に係合できるようになっている、請求項1から8までのいずれか1項記載の電気接続端子台。
【請求項10】
固定手段(5)をガイドするためのガイド装置(4)が、円区分状の形状を有している、請求項5記載の電気接続端子台。
【請求項11】
固定インサート(2)に固定手段(5)を挿入することによって、取付縁部(8)に向かって引張力が形成されるようになっており、該引張力によって、収容室(1)に固定インサート(2)が摩擦接続式に取り付けられ、ハウジング壁(9)に端子台ハウジング(6)全体が摩擦接続式に取り付けられるようになっている、請求項3記載の電気接続端子台。
【請求項12】
固定手段(5)が、自己切削式のねじである、請求項1から11までのいずれか1項記載の電気接続端子台。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2009−521076(P2009−521076A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546201(P2008−546201)
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【国際出願番号】PCT/EP2006/011984
【国際公開番号】WO2007/079889
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(594070612)フェニックス コンタクト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (38)
【氏名又は名称原語表記】Phoenix Contact GmbH & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Flachsmarktstrasse 8, D−32825 Blomberg, Germany
【Fターム(参考)】