説明

ハニカム構造体及びフィルタ装置

【課題】 簡単な構造で再生性に優れたハニカム構造体及びフィルタ装置を提供すること。
【解決手段】 本発明のハニカム構造体1は、導電性の多孔質セラミックスよりなり軸方向にのびる複数のセルが区画されたセグメント部3と、複数のセグメント部3を接続する接続部4と、を有するハニカム構造体1であって、接続部4が、導電性材料よりなるとともに、接続される一対のセグメント部3,3の対向面の少なくとも一部同士を接続するように形成され、一対のセグメント部の外周面の間に、接続部4が形成されていない非接続部5が形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体及びフィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の環境問題に関する意識の高まりから、車両においては二酸化炭素の排出量の低減が求められてきている。この要求にともなって、ディーゼルエンジンの需要が高まってきている。ディーゼルエンジンからは、大量のスス(粒子状物質,PM)を含む排気ガスが排出されることが知られている。排気ガスを大気中に放出するときに、このPMを除去することが求められている。ディーゼルエンジンから排出されるPMは、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)と呼ばれる多孔質のセラミックスフィルタで捕集されている。
【0003】
DPFでは、捕集したスス(PM)がそのままの状態で保持され続けると、PMが排気ガスの通過を阻害して圧力損失(以下、圧損と称する)が上昇する。圧損の上昇を抑えるために捕集したPMを除去することが求められており、捕集しているPMを燃焼して分解する方法が知られている(フィルタの再生)。PMが燃焼すると、捕集されたPMが存在しなくなり(除去され)、圧損がPMの捕集前の状態に戻る(上昇した圧損が低下する)。
【0004】
しかしながら、ディーゼルエンジンからの排気ガスは、その温度が低いことから、PMを燃焼除去するための強制再生手段を排気系に組み付ける必要があった。
【0005】
強制再生手段としては、DPFの上流に配置された、またはDPFに担持された酸化触媒が利用されている。この強制再生手段では、エンジンの気筒(燃焼室)内または排気管内に、更に燃料を添加して酸化触媒で添加された燃料を燃焼させることで、DPFに流れ込む排気ガスの温度を上げている。そして、昇温した排気ガスによりDPFに捕集されているPMが燃焼除去される。
【0006】
しかしながら、エンジンの駆動(車両の走行)以外にも燃料を消費することとなり、燃費の悪化要因となるという問題があった。
【0007】
そして、燃費の悪化を防ぐための強制再生手段が、例えば、特許文献1〜2に開示されている。特許文献1〜2には、ディーゼルハイブリッド自動車などの電力を動力源としている車両において、DPFの上流に電気ヒータを設置することが記載されている。
【0008】
しかしながら、これらの強制再生手段においても、電気ヒータを設置することから、全体の構造が複雑化すると共に部品点数が増加するという問題が生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−155202号公報
【特許文献2】特開2005−282527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、簡単な構造で再生性に優れたハニカム構造体及びフィルタ装置を提供することを改題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明者らは、ハニカム構造体及びフィルタ装置に関して検討を重ねた結果、本発明をなすに至った。
【0012】
すなわち、本発明のハニカム構造体は、導電性の多孔質セラミックスよりなり軸方向にのびる複数のセルが区画されたセグメント部と、複数のセグメント部を接続する接続部と、を有するハニカム構造体であって、接続部が、導電性材料よりなるとともに、接続される一対のセグメント部の対向面の少なくとも一部同士を接続するように形成され、一対のセグメント部の外周面の間に、接続部が形成されていない非接続部が形成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明のフィルタ装置は、上記の請求項1〜11のいずれかに記載のハニカム構造体を用いてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のハニカム構造体は、導電性のセグメント部を導電性の接続部で接続した構成となっている。つまり、ハニカム構造体自体が導電性を有するものとなっている。この構成は、ハニカム構造体に電圧を印加したときに電気(電流)が流れ、ハニカム構造体自身が発熱する。すなわち、本発明のハニカム構造体は、自己発熱が可能であり、DPF等のフィルタ(フィルタ装置)として使用されたときに、自己発熱により発生した熱を利用して捕集したPMを除去できる効果を発揮する。すなわち、本発明のハニカム構造体は、再生性に優れたハニカム構造体となっている。
【0015】
本発明のフィルタ装置は、上記の効果を発揮するハニカム構造体を用いてなるものであり、上記の効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1のハニカム構造体の上流側の端面を示した図である。
【図2】実施例1のハニカム構造体の構成を示す概略断面図である。
【図3】実施例1のハニカム構造体の構成を示す概略断面図である。
【図4】実施例1のDPFの上流側の端面を示した図である。
【図5】実施例1のDPFの構造を示した図である。
【図6】比較例のハニカム構造体の上流側の端面を示した図である。
【図7】実施例1のハニカム構造体の通電電力と温度の関係を示した図である。
【図8】実施例1のハニカム構造体の通電電力と温度の関係を示した図である。
【図9】実施例1のハニカム構造体の通電電力と温度の関係を示した図である。
【図10】第1変形形態のハニカム構造体のハニカム体の構成を示す概略断面図である。
【図11】第1変形形態のハニカム構造体の構成を示す概略断面図である。
【図12】第2変形形態のハニカム構造体の構成を示す概略断面図である。
【図13】第2変形形態のハニカム構造体の構成を示す概略断面図である。
【図14】第3変形形態のハニカム構造体の端面を示した図である。
【図15】第3変形形態のハニカム構造体の構成を示す概略断面図である。
【図16】第3変形形態のハニカム構造体の構成を示す概略断面図である。
【図17】第4変形形態のハニカム構造体の構成を示す概略断面図である。
【図18】第4変形形態のハニカム構造体の構成を示す概略断面図である。
【図19】第5変形形態のハニカム構造体の構成を示す概略断面図である。
【図20】第5変形形態のハニカム構造体の構成を示す概略断面図である。
【図21】第6変形形態のハニカム構造体の構成を示す概略断面図である。
【図22】第6変形形態のハニカム構造体の構成を示す概略断面図である。
【図23】第7変形形態のハニカム構造体の構成を示す概略断面図である。
【図24】第7変形形態のハニカム構造体の構成を示す概略断面図である。
【図25】第8変形形態のハニカム構造体の上流側の端面を示した図である。
【図26】第8変形形態のハニカム構造体の断面を示す概略断面図である。
【図27】第9変形形態のハニカム構造体の構成を示す概略断面図である。
【図28】第10変形形態のハニカム構造体の構成を示す概略断面図である。
【図29】第10変形形態のハニカム構造体の構成を示す概略断面図である。
【図30】第11変形形態のハニカム構造体の構成を示す概略断面図である。
【図31】第11変形形態のハニカム構造体の構成を示す概略断面図である。
【図32】第12変形形態のハニカム構造体の構成を示す概略断面図である。
【図33】実施例2のDPFの上流側の端面を示した図である。
【図34】実施例2のDPFの構造を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(ハニカム構造体)
本発明のハニカム構造体は、導電性の多孔質セラミックスよりなり軸方向にのびる複数のセルが区画されたセグメント部と、複数のセグメント部を接続する接続部と、を有するハニカム構造体である。
【0018】
そして、本発明のハニカム構造体は、接続部が、導電性材料よりなるとともに、接続される一対のセグメント部の対向面の少なくとも一部同士を接続するように形成され、一対のセグメント部の外周面の間に、接続部が形成されていない非接続部が形成されている。
【0019】
本発明のハニカム構造体は、接続部が導電性材料により形成されている。導電性の多孔質セラミックスよりなるセグメント部と、セグメント部を接続する接続部と、がいずれも導電性を有する材質よりなることから、本発明のハニカム構造体は、それ自体が導電性を有するものとなっている。すなわち、本発明のハニカム構造体に電圧を印加したときに電気(電流)が流れる。つまり、本発明のハニカム構造体は、電流を流すことでハニカム構造体自身を発熱させることができる。すなわち、本発明のハニカム構造体は、DPF等のフィルタ(フィルタ装置)として使用されたときに、通電してハニカム構造体自身を昇温させることで、捕集したPMを除去することができる。
【0020】
上記したように、本発明のハニカム構造体は、導電性の多孔質セラミックスよりなるセグメント部を接続する接続部が導電性材料により形成されており、接続部を介して電気的に接続した複数のセグメント部に電流が流れる構造となっている。すなわち、ハニカム構造体の径方向(断面の広がる方向あるいは断面を横断する方向)に電流が流れる構造となっている。
【0021】
これに対し、従来のハニカム構造体に多く用いられる構造として、複数のセグメント(ハニカム分体)を接合材で接合したハニカム構造体がある。従来のハニカム構造体で、接合材として絶縁性の接合材が用いられており、ハニカム構造体の径方向(断面の広がる方向あるいは断面を横断する方向)に電流が流れない構造となっていた。このため、従来の構造のハニカム構造体では、通電して全体を発熱させることが不可能となっていた。
【0022】
本発明のハニカム構造体は、接続部が、接続される一対のセグメント部の対向面の少なくとも一部同士を接続するように形成され、一対のセグメント部の外周面の間に、接続部が形成されていない非接続部が形成されている。つまり、セグメント部の間に接続部でない非接続部が形成されており、この非接続部は接続部とは異なる特性を持つこととなる。そして、非接続部の特性を調節することで、ハニカム構造体にさまざまな特性を付与できる。
【0023】
本発明のハニカム構造体は、接続部と非接続部とを形成したものであり、接続部と非接続部の形成される数、形成される位置、形成された大きさ等の形成条件については特に限定されるものではない。つまり、本発明のハニカム構造体が使用されるときの使用条件により、適宜決定することができる。
【0024】
本発明のハニカム構造体において、接続部は、ハニカム構造体の軸方向の一カ所以上にもうけられていることが好ましい。接続部が軸方向の一カ所以上に設けられたことで、接続部を介して一対のセグメント部が電気的に接続される。さらに、接続部が、一対のセグメント部を固定することができる。なお、接続部は、軸方向で一カ所でも、二カ所以上の複数箇所でも、いずれでもよい。
【0025】
本発明のハニカム構造体は、接続部のハニカム構造体の軸方向での長さの合計が、ハニカム構造体の軸方向の長さの50%以下であることが好ましい。接続部の軸方向の長さの合計がハニカム構造体の50%以下となることで、セグメント部の間の非接続部が50%以上となり、よりセグメント部が熱膨張を生じたときに、セグメント部の変形を規制しなくなる効果を発揮する。
【0026】
本発明のハニカム構造体において、ハニカム構造体の接続部に接続される一対のセグメント部の対向面の面積を100%としたときに、当該対向面を接続する接続部の合計の割合が50%以下であることが好ましい。接続部の面積が50%以下となることで、セグメント部の間の非接続部が50%以上となり、よりセグメント部が熱膨張を生じたときに、セグメント部の変形を規制しなくなる効果を発揮する。
【0027】
本発明のハニカム構造体は、接続部の少なくとも一つが、ハニカム構造体で排気ガスの浄化を行うときの排気ガスの流れ方向の上流側の端部にもうけられていることが好ましい。接続部は、電圧を印加した時に電気(電流)の流れる経路となり、発熱部となる。ハニカム構造体の上流側の端部に発熱部が位置することで、ハニカム構造体をフィルタ触媒として使用したときに、発熱により生じた熱が排気ガスの流れによりハニカム構造体の全体に伝達し、PMの除去に大きな効果を発揮する。
【0028】
接続部の少なくとも一つは、ハニカム構造体で排気ガスの浄化を行うときの排気ガスの流れ方向の上流側の端部の端面の全面にもうけられていることが好ましい。接続部の少なくとも一つが、ハニカム構造体の上流側の端部の全面に設けられることで、ハニカム構造体の全体を加熱することができ、PMの除去により大きな効果を発揮する。
【0029】
なお、本発明のハニカム構造体においては、接続部が、ハニカム構造体で排気ガスの浄化を行うときの排気ガスの流れ方向の上流側の端部にのみにもうけられていることが好ましい。この場合、接続部の下流側には空隙が形成される。そして、特に下流側の端部が接続部に規制されない(セグメント部の変形が規制されない)構造となっており、よりハニカム構造体の損傷が抑えられる構造となる。すなわち、接続部が一つであり、その接続部が、ハニカム構造体で排気ガスの浄化を行うときの排気ガスの流れ方向の上流側の端部の端面の全面にもうけられていることが好ましい。
【0030】
本発明のハニカム構造体は、一対のセグメント部の外周面の間に、接続部が形成されていない非接続部が形成されている。そして、非接続部の特性を調節することで、ハニカム構造体にさまざまな特性を付与できる。たとえば、非接続部を接続部よりも軟質な材質で形成するとセグメント部の熱膨張時の変形を規制しなくなる。また、セグメント部同士の接触を抑えることができ、セグメント部の接触に基づく損傷を抑えることができる。
【0031】
本発明のハニカム構造体において、非接続部には、充填材が配されていることが好ましい。セグメント部の間の非接続部に充填材を配することで、セグメント部同士の接触を抑えることができ、セグメント部(ハニカム構造体)の接触による損傷を抑えることができる。
【0032】
充填材は、セグメント部(ハニカム構造体)よりも強度が低いことが好ましい。充填材の強度が低いと、セグメント部の変形による体積変化を充填材が緩衝することができ、ハニカム構造体の耐熱衝撃性が向上する。
【0033】
充填材は、その材質等が限定されるものではないが、多孔質のセラミックスよりなることが好ましい。充填材が多孔質のセラミックスよりなることで、充填材自身が所望の強度をもつことが可能となる。充填材の気孔率は、セグメント部を形成する基材の気孔率よりも大きいものであるとより好ましい。さらに、充填材は、セグメント部を接合する接合材として機能することが好ましい。
【0034】
本発明のハニカム構造体において、非接続部には、空隙が形成されていることが好ましい。セグメント部の間の非接続部に空隙が形成されることで、セグメント部の変形を規制しなくなり、セグメント部自身の損傷を抑えることができる。また、この空隙が、ハニカム構造体のセルと同様に機能する。
【0035】
本発明のハニカム構造体において、非接続部は、充填材のみを配しても、空隙のみで形成されても、充填材と空隙とが混在しても、いずれでもよい。なお、セグメント部の間の空隙は、ハニカム構造体の軸方向の両端部を接続しないように形成されることが好ましい。セグメント部の間の空隙がハニカム構造体の軸方向の両端部を接続すると、フィルタ触媒として用いたときに、その空隙を排気ガスが通過することとなり、フィルタ触媒としての機能が低下するようになる。すなわち、本発明のハニカム構造体において、非接続部に空隙が形成されたときに、その空隙は、軸方向の一方側が、接続部及び/又は充填材で区画されることが好ましい。
【0036】
本発明のハニカム構造体は、多数のセルのうち所定のセルの一方の端部を封止する封止材よりなる一端封止部と、残余のセルの他方の端部を封止する封止材よりなる他端封止部と、からなる封止部を有することが好ましい。
【0037】
すなわち、本発明のハニカム構造体は、特に、ウォールフロー型のフィルタ(フィルタ触媒)として使用されたときに効果を発揮する。
【0038】
本発明のハニカム構造体は、セルが、軸方向に垂直な方向での断面形状が6角形であることが好ましい。セルの断面形状が6角形となることで、熱変形をより緩和することができる。具体的には、断面形状が6角形のセルを区画する隔壁のなす角は、120度となり、従来の断面四角形の場合の90度よりも隔壁のなす角が大きく(緩やかに)なっている。これにより、熱変形時に発生する応力をより緩和できる。
【0039】
さらに、セルの断面形状が6角形となることで、セグメント部が熱膨張してハニカム構造体の径方向に変形するときに、変形方向が等方となり、セグメント部の変形方向が偏らなくなる。
【0040】
本発明のハニカム構造体は、セグメント部が、ハニカム構造体の軸心に位置する外周形状が円形の中心セグメント部と、中心セグメント部の外周に、放射状に配列される複数の外周セグメント部と、を有することが好ましい。
【0041】
セグメント部が中心セグメント部と放射状に配列される外周セグメント部とを有することで、セグメント部が熱膨張してハニカム構造体の径方向に変形するときに、変形方向が集中しなくなり、セグメント部の変形方向が偏らなくなる。
【0042】
外周セグメント部は、断面が扇面形状であることが好ましい。外周セグメント部が扇面形状をなすことで、よりセグメント部の変形方向が偏らなくなる。
【0043】
本発明のハニカム構造体においてセグメント部を形成する多孔質セラミックスは、導電性を有する材質であればよい。多孔質セラミックスの導電性を有するとは、比抵抗が100Ω・m以下程度の比抵抗を示す状態を示す。なお、多孔質セラミックスの比抵抗は、特に限定されるものではなく、電圧が印加されたときに発生する発熱量により適宜決定される。
【0044】
本発明のハニカム構造体においてセグメント部を形成する多孔質セラミックスは、導電性を有する材質であれば、その材質が特に限定されるものではなく、従来公知の多孔質セラミックスを用いることができる。多孔質セラミックスとしては、炭化珪素(SiC)をあげることができる。
【0045】
本発明のハニカム構造体において、接続部は、導電性を有する材質であれば、その材質が特に限定されるものではなく、従来公知の多孔質セラミックスを用いることができる。好ましい材質は、セグメント部を形成する材質と同じ材質であり、SiCであることがより好ましい。
【0046】
本発明のハニカム構造体は、周方向の外周面上に、0.5mm以上の厚さの外周材層を有することが好ましい。外周材層を構成する材質は、従来公知の材質を用いることができる。たとえば、SiC、シリカ系化合物、チタン酸アルミニウムなどのアルミナ系化合物などを用いることができる。また、接続部を形成する材質と同じ材質であってもよい。つまり、多孔質のSiCセラミックスであってもよい。さらに、これらの材質を、適宜混在させた構成としてもよい。なお、外周材層を構成する材質として知られている材質は、導電性が低い(殆ど導電性がない,絶縁性を有する)ものであり、このような材質で外周材層を形成する場合には、ハニカム構造体に電圧を印加すること(通電)を阻害しないように外周材層が形成される。つまり、ハニカム構造体に電圧を印加する電極がハニカム構造体に電気的に接続される部分は、外周材層が形成されていないことが好ましい。さらに、接続部の形成された部分(軸方向位置)以外の(軸方向位置での)外周面に、外周材層が形成されることがより好ましい。
【0047】
また、外周材層は、ハニカム構造体の形状により異なるため、その厚さが一概に決定できるものではないが、たとえば、0.5mm以上の厚さで形成することが好ましい。さらに好ましくは、0.5〜5.0mmである。
【0048】
本発明のハニカム構造体は、DPF等のフィルタ触媒に用いることが好ましい。本発明のハニカム構造体は、セルを区画する隔壁を排気ガス(ガス)が通過するウォールフロー型のフィルタ触媒として用いることができ、このようなフィルタ触媒のうち特に、DPFとして用いることが好ましい。
【0049】
本発明のハニカム構造体をDPFとして用いるときに、少なくとも隔壁部の細孔表面に、アルミナ等よりなる多孔質酸化物、Pt,Pd,Rh等の触媒金属の少なくともひとつを担持したことが好ましい。
【0050】
(フィルタ装置)
上記したハニカム構造体は、フィルタ触媒に用いることが好ましい。つまり、本発明のフィルタ装置は、上記の請求項1〜11のいずれかに記載のハニカム構造体を用いてなることを特徴とする。
【0051】
本発明のフィルタ装置は、ハニカム構造体の外周面に電気的に接続された一対の電極と、一対の電極間に電圧を印加する電源装置と、を有することが好ましい。一対の電極と電源装置とを有することで、一対の電極の間に電圧を印加すること(電流を流すこと)ができ、フィルタ装置(のハニカム構造体)に電力を投入することができる。投入された電力により、ハニカム構造体が発熱する。この熱がフィルタ装置(ハニカム構造体)に広がり、フィルタ装置に捕集されたPM等の成分を燃焼除去することができる。
【0052】
本発明のフィルタ装置は、ハニカム構造体の接続部の形成された軸方向位置の外周面に電気的に接続された一対の電極と、一対の電極間に電圧を印加する電源装置と、を有することが好ましい。
【0053】
本発明のフィルタ装置において、一対の電極がハニカム構造体の接続部の形成された軸方向位置の外周面に電気的に接続されることで、フィルタ装置のハニカム構造体(ハニカム構造体のセグメント部と接続部)を通って一対の電極の間を流れる電力を投入することができるようになる。
【0054】
なお、一対の電極は、それぞれが異なるセグメント部に接続されたことが好ましく、ハニカム構造体の軸心で対称な位置に接続されたことがより好ましい。一対の電極のそれぞれが異なるセグメント部に接続されたことで、複数のセグメント部の間に電流が流れることになり、発熱面積が増加する。また、一対の電極が対称な位置に組み付けられることで、一対の電極間に印加された電流は、軸心を通って断面を横断する方向に流れる。これにより、断面のほぼ全面で発熱させることができる。
【0055】
また、一対の電極とは、フィルタ装置(ハニカム構造体)に電圧を印加するときに、電流が流れる一対の両極を示すものであり、実際にフィルタ装置(ハニカム構造体)に電気的に接続する電極体の数は、一組であっても、複数組であっても、いずれでもよい。
【0056】
一対の電極間に電圧を印加する電源装置は、一対の電極間に印加される電圧を決定し制御する印加電圧制御手段を有することが好ましい。印加電圧制御手段を有することで、フィルタ装置(ハニカム構造体)に印加される電圧(投入される電力量)を制御することができる。一対の電極間に印加される電圧の決定は、特に限定されるものではなく、予め決定しておいた電圧印加パターンを用いても、フィルタ装置(ハニカム構造体)の温度等の測定結果から算出しても、いずれでもよい。
【実施例】
【0057】
以下、実施例を用いて本発明を説明する。
【0058】
本発明の実施例として、ハニカム構造体及びDPF(フィルタ装置)を製造した。
【0059】
(実施例1)
本実施例のハニカム構造体1は、多孔質のセラミックスよりなるハニカム体2と、ハニカム体2のセルを封止する封止部(図示せず)と、からなる、円柱状の外形をなしたハニカム構造体である。本実施例のハニカム構造体1を、図1〜3に示した。図1には本実施例のハニカム構造体1の一方の端部側の端面を示し、図2には図1のI−I線(軸心を通過する線)におけるハニカム構造体1の構成を、図3には図1のII−II線(軸心から外れた部分を径方向と垂直に通過する線)におけるハニカム構造体1の構成を、それぞれ概略断面図で示した。なお、一方の端部とは、DPFとして用いたときに、排気ガスの流れ方向の上流側に配置される端部である。
【0060】
ハニカム体2は、多孔質のSiCセラミックスよりなる。そして、ハニカム体2は、ハニカム体2の軸方向に貫通してのびる複数のセル20が隔壁21に区画されたセグメント部3と、複数のセグメント部3を接続する接続部4と、複数のセグメント部3の間で接続部4が形成されていない非接続部5と、を有する。また、ハニカム体2は、略円柱状の外周形状を有している。複数のセル20は、それぞれ正六角形の断面形状をなすように隔壁21により区画されている。
【0061】
セグメント部3は、複数のセル20を区画する。本実施例において、セグメント部3は、ハニカム構造体1の軸心に位置する中心セグメント部30と、中心セグメント部30の径方向外方に周方向に沿って配列した複数の外周セグメント部31と、からなる。中心セグメント部30及び外周セグメント部31のそれぞれの外周面は、ハニカム構造体1の軸方向と平行に形成されている。
【0062】
中心セグメント部30は、軸方向に垂直な断面での外周形状が略円形をなしている。外周セグメント部31は、軸方向に垂直な断面での外周形状が略扇面形状をなしている。なお、扇面形状とは、図1に示したように、大径の扇形から小径の扇形を除いた形状である。また、本実施例において、外周セグメント部31は、8つ配列されている。さらに、本実施例では、外周セグメント部31のセル20は、六角形の中心を通る対角線の一本がハニカム体2の径方向に略平行な状態でもうけられている。
【0063】
接続部4は、中心セグメント部30と外周セグメント部31とを、また外周セグメント部31同士を接続(固定)する。接続部4は、ハニカム体2と同じ多孔質のSiCセラミックスよりなる。接続部4は、ハニカム構造体1の軸方向の上流側の端部に、端面の全面にもうけられている。すなわち、ハニカム構造体1の軸方向の上流側の端面は、セグメント部3と接続部4とにより形成されている。接続部4は、ハニカム構造体の軸方向の長さの5%に、形成されている。すなわち、セグメント部3の互いに対向する対向面の5%に相当する面積に接続部4が形成されている。
【0064】
中心セグメント部30と外周セグメント部31との間、及び外周セグメント部31同士の間のうち、接続部4が形成されていない非接続部5(接続部4の下流側)には、充填材50が全体に充填されて配されている。すなわち、セグメント部3の間には、接続部4を構成するセラミックスと充填材50とのみが配されている。セグメント部3の間に充填された充填材50は、それぞれのセグメント部3同士を固定する接合材としても機能する。充填材50は、SiCを主成分とし、シリカ、アルミナファイバーが含有した多孔質セラミックスよりなる。充填材50を構成する多孔質セラミックスは、ハニカム体2を構成するセラミックスより軟質なセラミックスとなっている。
【0065】
ハニカム体2には、複数のセル20の軸方向の一方の端部と他方の端部のいずれかに、セル20を封止する封止材よりなる封止部が形成されている。封止材は、セル20内での軸方向の長さが一定となるようにもうけられている。封止材は、ハニカム構造体1の端面において、均一に分散した状態で形成されている。
【0066】
本実施例のDPFは、ハニカム構造体1を、接続部4が形成された端部(一方の端部)が排気ガスの流れ方向の上流側に配置して形成される。
【0067】
また、本実施例のDPFは、ハニカム構造体1の上流側の端部に、一対の電極板7,7が当接(圧接)した状態で取り付けられている。一対の電極板7,7をハニカム構造体1に組み付けた状態を、図4〜5に示した。この一対の電極板7,7は、ハニカム構造体1の接続部4が形成されている部分の外周面に取り付けられている。一対の電極板7,7のそれぞれは、二つの外周セグメント部31に電気的に接続されている。また、一対の電極板7,7は、軸心に対して対称な位置に組み付けられている。
【0068】
なお、本実施例のDPFを示した図4〜5においては、ハニカム体2と一対の電極板7,7の構成が分かるように模式的に図示している。この図4〜5においては、一対の電極板7,7とハニカム構造体1の配置を理解しやすいように、当接していない状態で図示してあるが、実際には両者は当接(圧接)している。
【0069】
本実施例のDPFにおいて、一対の電極板7,7は、図示されない電源装置に接続されている。電源装置は、一対の電極板7,7に電流(電力)を印加する。電源装置は、印加される電流(電力)の印加条件を決定・調節(制御)可能な装置である。
【0070】
(比較例)
本比較例は、ハニカム体2が複数のハニカム分体80を接合材81で接合してなること以外は、実施例のハニカム構造体1と同様なハニカム構造体である。本比較例のハニカム構造体1の端面を図6に示した。
【0071】
本比較例のハニカム構造体1は、複数のハニカム分体80と、ハニカム分体80を接合する接合材81と、を有している。
【0072】
ハニカム分体80は、軸方向に垂直な断面が正方形をなすように複数のセル20が区画されている。複数のセル20は、一方の端部または他方の端部が、端面が略市松模様をなすように封止材820で封止されることで封止部82が形成されている。ハニカム分体80は、実施例においてセグメント部3を形成する多孔質のSiCセラミックスにより形成されている。
【0073】
接合材81は、隣接するハニカム分体80の対向面の間の全面の間に形成され、隣接するハニカム分体80を接合している。接合材81は、SiCとシリカとを主成分とする(シリカリッチな状態で含む)セラミックスよりなる。
【0074】
本比較例のハニカム構造体1において、軸方向に垂直な断面形状が正方形をなす16本のハニカム分体80を接合材81で接合し、接合体を電動ノコギリを用いて切削して略円柱状をなすように成形してハニカム体2が形成されている。つまり、ハニカム体2において、ハニカム分体80のうち、軸心近傍に位置する4つのハニカム分体80は正方形の外周形状を有し、外周部に位置する残りの12本のハニカム分体80はハニカム体2の外周面となる面が成形された形状を有している。
【0075】
本比較例は、ハニカム体2の構成が異なる以外は、実施例のハニカム構造体1と同様な構成である。
【0076】
(評価)
実施例1のハニカム構造体(DPF)の評価として、実施例1のDPFに組み付けられた一対の電極板7,7間に電圧を印加(電力を投入)し、ハニカム構造体1の温度変化を測定した。
【0077】
まず、電源装置を調節して、電圧を印加したときに流れる電流を10Aで一定とした電力を実施例のDPFに投入し、ハニカム構造体の接続部4の形成された上流側の端面の温度を測定した。その測定結果を図7に示した。図7には、10Aの定電流を流しているときの電圧の測定結果も合わせて示した。
【0078】
次に、印加電圧を20Vで一定とした電力を実施例1のDPFに印加し、ハニカム構造体の接続部4の形成された上流側の端面の温度を測定した。その測定結果を図8に示した。図8には、20Vの定電圧を印加しているときの電流の測定結果も合わせて示した。
【0079】
さらに、印加電圧の最大値が40V,印加電流の最大値が50Aを満たす電力を実施例1のDPFに印加し、ハニカム構造体の接続部4の形成された上流側の端面の温度を測定した。その測定結果を図9に示した。
【0080】
図7〜9に示したように、実施例1のDPFにおいては、セグメント部3及び接続部4のいずれもが導電性を有していることから、上流側の端部において、端面を横断するように電流が流れ、この上流側の端部が発熱することが確認できた。また、実施例1のDPFにおいて、一対の電極板7,7間に電力を印加する時間の長さに比例して、上流側の端部の温度が高くなっていることが確認できた。
【0081】
本評価において、比較例のDPFに、実施例1と同様の電力の印加を行ったが、ハニカム分体80は実施例1のハニカム構造体1のハニカム体2と同じ材質よりなることから導電性を有しているが、接合材81が電気絶縁性(抵抗値の測定不可)を有するものとなっており、一対の電極間に電流が流れなかった。つまり、比較例では、ハニカム構造体自身の発熱が観察されなかった。
【0082】
上記したように、実施例1のハニカム構造体1(DPF)は、導電性のセグメント部3を導電性を有する接続部4で接続した構成となっている。つまり、ハニカム構造体1(ハニカム体2)自体が導電性を有するものとなっている。この結果、ハニカム構造体1に組み付けられた一対の電極板7,7間に電圧を印加したときに電流が流れ、流れる電流によりハニカム構造体1(ハニカム体2)自身が発熱する。この発熱により、DPFとして使用しているときに、捕集したPMを燃焼除去することができる効果を発揮する。
【0083】
これに対し、比較例のハニカム構造体1(DPF)では、一対の電極板7,7間に電流が流れなくなっている。このことから、DPFとして使用しているときに、捕集したPMを燃焼除去するためには、別の装置が必要になる。
【0084】
つまり、実施例1のハニカム構造体1(DPF)は、捕集したPMの燃焼除去を、簡単な構造で達成できることから、再生性に優れたハニカム構造体であることがわかった。
【0085】
また、実施例1のハニカム構造体1(DPF)は、軸方向の下流側の端部において、セグメント部30,31の間に充填材50が充填された非接続部5が形成されており、セグメント部30,31が熱膨張を生じても、充填材50が介在してセグメント部30,31同士が接触することを規制している。つまり、セグメント部の破損が抑えられる構造となっている。
【0086】
上記したように、実施例1のハニカム構造体1(DPF)は、再生性に優れるとともに熱変形による損傷が抑えられたハニカム構造体となっている。
【0087】
(実施例1の変形形態)
(第1変形形態)
本形態は、接続部4の軸方向の長さが異なる以外は、実施例1のハニカム構造体1(DPF)と同様な構成のハニカム構造体1(DPF)である。
【0088】
本形態のハニカム構造体1(DPF)は、図10〜11に示したように、接続部4が、軸方向の長さの50%で形成された形態である。図10は図2と同様な断面の構成を示す図であり、図11は図3と同様な断面での構成を示す図である。
【0089】
本形態においても、実施例1のハニカム構造体と同様に、通電可能な構造となっており、実施例1のハニカム構造体と同様な効果を発揮した。
【0090】
(第2変形形態)
本形態は、接続部4の軸方向での位置が異なる以外は、実施例1のハニカム構造体1(DPF)と同様な構成のハニカム構造体1(DPF)である。
【0091】
本形態のハニカム構造体1(DPF)は、図12〜13に示したように、接続部4が、軸方向の中央部に形成された形態である。図12は図2と同様な断面の構成を示す図であり、図13は図3と同様な断面での構成を示す図である。なお、本形態においては、接続部4の軸方向の長さは5%であった(以降の各形態においても、特に限定しない限り、ひとつの接続部4の軸方向の長さは5%である。)。また、本形態においては、接続部4の上流側及び下流側において、セグメント部30,31の間に非接続部5が形成されている。さらに、本形態では、一対の電極板7,7は、接続部4が形成されているハニカム構造体1の軸方向の中央部に組み付けられている。
【0092】
本形態においても、実施例1のハニカム構造体と同様に、通電可能な構造となっており、実施例1のハニカム構造体と同様な効果を発揮した。
【0093】
(第3変形形態)
本形態は、接続部4が、上流側の端部の端面の中央部(軸心部)に形成されたこと以外は、実施例1のハニカム構造体1(DPF)と同様な構成のハニカム構造体1(DPF)である。
【0094】
本形態のハニカム構造体1(DPF)は、図14〜16に示したように、接続部4が、中心セグメント部30と外周セグメント部31との間、及び外周セグメント部31同士の間のうち、内径側の一部に形成されている。図14には本形態のハニカム構造体1の端面を、図15には図2と同様な断面の構成を、図16には図3と同様な断面での構成を、それぞれ模式的に示した。接続部4が形成されていない非接続部5には、充填材50が充填されて配されている。外周セグメント部31同士の間に形成された接続部4は、外周セグメント部31の径方向での位置が50%の範囲まで形成されている。外周セグメント部31同士の間であって、接続部4の径方向外方に位置する部分は非接続部5となっており、充填材50が充填されて配されている。
【0095】
本形態においても、実施例1のハニカム構造体と同様に、通電可能な構造となっており、実施例1のハニカム構造体と同様な効果を発揮した。
【0096】
(第4変形形態)
本形態は、接続部4が、上流側の端部以外にも形成されていること以外は、実施例1のハニカム構造体1(DPF)と同様な構成のハニカム構造体1(DPF)である。
【0097】
本形態のハニカム構造体1(DPF)は、図17〜18に示したように、接続部4が、軸方向の上流側の端部と、軸方向の中央部に形成された形態である。図17には図2と同様な断面の構成を、図18には図3と同様な断面での構成を、それぞれ模式的に示した。なお、本形態において、軸方向の上流側の端部と中央部に形成された接続部4の長さ(軸方向での長さ)がそれぞれ5%であり、合計の長さがハニカム構造体1の軸方向の長さの50%以下となるように設定されている。
【0098】
本形態においても、実施例1のハニカム構造体と同様に、通電可能な構造となっており、実施例1のハニカム構造体と同様な効果を発揮した。
【0099】
(第5変形形態)
本形態は、接続部4が、軸方向の中央部に複数形成されたこと以外は、第4変形形態のハニカム構造体1(DPF)と同様な構成のハニカム構造体1(DPF)である。
【0100】
本形態のハニカム構造体1(DPF)は、図19〜20に示したように、接続部4が、軸方向の上流側の端部と、軸方向の中央部、軸方向の長さで上流側の端部から1/4の位置に形成された形態である。図19には図2と同様な断面の構成を、図20には図3と同様な断面での構成を、それぞれ模式的に示した。なお、本形態において、軸方向の上流側の端部と中央部に形成された接続部4の長さ(軸方向での長さ)がそれぞれ5%であり、合計の長さがハニカム構造体1の軸方向の長さの50%以下となるように設定されている。
【0101】
本形態においても、実施例1及び第4変形形態のハニカム構造体と同様に、通電可能な構造となっており、実施例1及び第4変形形態のハニカム構造体と同様な効果を発揮した。
【0102】
(第6変形形態)
本形態は、軸方向の中央部に形成された接続部4が、中央部(軸心部)のみに形成されたこと以外は、第4変形形態のハニカム構造体1(DPF)と同様な構成のハニカム構造体1(DPF)である。
【0103】
本形態のハニカム構造体1(DPF)は、図21〜22に示したように、接続部4が、軸方向の上流側の端部と、軸方向の中央部に形成された形態である。そして、軸方向の中央部に形成された接続部4は、第3実施形態の接続部4と同様な形態で形成されている。図21には図2と同様な断面の構成を、図22には図3と同様な断面での構成を、それぞれ模式的に示した。
【0104】
本形態においても、実施例1及び第4変形形態のハニカム構造体と同様に、通電可能な構造となっており、実施例1及び第4変形形態のハニカム構造体と同様な効果を発揮した。
【0105】
(第7変形形態)
本形態は、上流側の端部に接続部4が、中央部(軸心部)に形成されたこと以外は、第6変形形態のハニカム構造体1(DPF)と同様な構成のハニカム構造体1(DPF)である。
【0106】
本形態のハニカム構造体1(DPF)は、図23〜24に示したように、接続部4が、軸方向の上流側の端部と、軸方向の中央部に形成された形態である。そして、二つの接続部4,4のいずれもが、第3実施形態の接続部4と同様な形態で形成されている。図23には図2と同様な断面の構成を、図24には図3と同様な断面での構成を、それぞれ模式的に示した。
【0107】
本形態においても、実施例1及び第6変形形態のハニカム構造体と同様に、通電可能な構造となっており、実施例1及び第6変形形態のハニカム構造体と同様な効果を発揮した。
【0108】
(第8変形形態)
本形態は、軸方向の中央部に形成された接続部4が、対向するセグメント部3,3の互いに対向した対向面の一部のみに形成されたこと以外は、第4変形形態のハニカム構造体1(DPF)と同様な構成のハニカム構造体1(DPF)である。
【0109】
本形態のハニカム構造体1(DPF)は、図25〜26に示したように、接続部4が、軸方向の上流側の端部と、軸方向の中央部に形成された形態である。そして、軸方向の中央部に形成された接続部4は、対向するセグメント部3,3の間の対向面において、対向面の幅(周方向の長さ又は径方向の長さ)の50%角の大きさで形成されている。より具体的には、中心セグメント部30と外周セグメント部31との対向面においては、周方向の長さの50%の長さの正方形となるように形成されている。外周セグメント部31,31の対向面においては、径方向の長さの50%の長さの正方形となるように形成されている。なお、図26は、図25中のIII−III線における断面での構成を概略で示した図である。
【0110】
本形態においても、実施例1及び第4変形形態のハニカム構造体と同様に、通電可能な構造となっており、実施例1及び第4変形形態のハニカム構造体と同様な効果を発揮した。
【0111】
(第9変形形態)
本形態は、軸方向の中央部に複数形成された接続部4が、対向するセグメント部3,3の互いに対向した対向面の一部のみに形成されたこと以外は、第4変形形態のハニカム構造体1(DPF)と同様な構成のハニカム構造体1(DPF)である。
【0112】
本形態のハニカム構造体1(DPF)は、図27に示したように、接続部4が、軸方向の上流側の端部と、軸方向の中央部及び上流側から1/4の位置に形成されている。そして、軸方向の中央部及び上流側から1/4の位置に形成された接続部4は、上記の第8変形形態の接続部と同様に、対向するセグメント部3,3の間の対向面の幅の50%の長さの正方形に形成されている。なお、図27は、図26と同様な断面図である。
【0113】
本形態においても、実施例1及び第4変形形態のハニカム構造体と同様に、通電可能な構造となっており、実施例1及び第4変形形態のハニカム構造体と同様な効果を発揮した。
【0114】
(第10変形形態)
本形態は、接続部4の下流側に位置する非接続部5が充填材50ではなく、空隙51となっていること以外は、実施例1のハニカム構造体1(DPF)と同様な構成のハニカム構造体1(DPF)である。
【0115】
本形態のハニカム構造体1(DPF)は、図28〜29に示したように、接続部4が、ハニカム構造体1の軸方向の上流側の端部に、全面にわたって形成された形態である。そして、本形態においては、接続部4の下流側の非接続部5が、空隙51となっている。つまり、接続部4の下流側で、セグメント部3の外周面が露出した構成となっている。図28には図2と同様な断面の構成を、図29には図3と同様な断面での構成を、それぞれ模式的に示した。
【0116】
本形態においても、実施例1のハニカム構造体と同様に、通電可能な構造となっており、実施例1のハニカム構造体と同様な効果を発揮した。
【0117】
さらに、本形態では、セグメント部30,31の間に、非接続部5として、空隙51が形成されている。この構成では、セグメント部30,31が熱膨張を生じても、セグメント部30,31の変形が規制されなくなっている。つまり、セグメント部の破損が抑えられる効果を発揮する。
【0118】
(第11変形形態)
本形態は、接続部4の下流側に位置する非接続部5が充填材50と空隙51とからなっていること以外は、実施例1のハニカム構造体1(DPF)と同様な構成のハニカム構造体1(DPF)である。
【0119】
本形態のハニカム構造体1(DPF)は、図30〜31に示したように、接続部4が、ハニカム構造体1の軸方向の上流側の端部に、全面にわたって形成された形態である。図30には図2と同様な断面の構成を、図31には図3と同様な断面での構成を、それぞれ模式的に示した。そして、本形態においては、接続部4の下流側の非接続部5が、上流側に充填された充填材50と、充填材50の下流側であってハニカム構造体1の下流側の端部に空隙51が形成された形態となっている。つまり、接続部4の下流側で、充填材50が充填され、その下流側でセグメント部3の外周面が露出した構成となっている。
【0120】
本形態においても、実施例1のハニカム構造体と同様に、通電可能な構造となっており、実施例1のハニカム構造体と同様な効果を発揮した。
【0121】
(第12変形形態)
本形態は、セグメント部30,31の形状及びセル20の形状が異なる以外は、実施例1のハニカム構造体1(DPF)と同様な構成のハニカム構造体1(DPF)である。
【0122】
本形態のハニカム構造体1(DPF)は、図32に示したように、セグメント部3及びセル20が断面正方形をなすように形成された形態である。なお、本形態においては、セグメント部3は、比較例のハニカム分体80と略一致する形状である。
【0123】
本形態においても、実施例1のハニカム構造体と同様に、通電可能な構造となっており、セグメント部3(ハニカム体2)の形状が異なっていても、実施例1のハニカム構造体と同様な効果を発揮した。
【0124】
さらに、本形態においても、各変形形態と同様に、接続部4を形成してもよい。
【0125】
(実施例2)
本実施例は、ハニカム構造体1が外周材層6を有すること以外は、実施例1のハニカム構造体1と同様な構成のハニカム構造体1(DPF)である。本実施例のハニカム構造体1を、図33〜34に示した。図33には図4と同様な端面の構成を、図34には図5と同様な断面での構成を、それぞれ模式的に示した。
【0126】
本実施例において、外周材層6は、ハニカム体2の外周にもうけられている。
【0127】
外周材層6は、ハニカム体2の外周面に均一な厚さで形成されたSiCとシリカとを主成分とする(シリカリッチな状態で含む)セラミックス層である。外周材層6は、その厚さ(径方向の厚さ)が、0.5mmであった。
【0128】
また、外周材層6は、接続部4が形成されている部分以外の部分(接続部4が形成されていない部分)の外周面にもうけられている。
【0129】
一対の電極板7,7は、ハニカム構造体1の外周面に、セグメント部31,31と導通可能な状態で組み付けられている。
【0130】
本実施例のハニカム構造体1は、一対の電極板7,7が接続される部分以外の外周面に外周材層6が形成されており、一対の電極板7,7間の通電が阻害されていない。つまり、実施例1のハニカム構造体1と同様な効果を発揮する。
【0131】
さらに、本実施例のハニカム構造体1は、一対の電極板7,7が接続される部分以外の外周面に外周材層6が形成されたことで、ハニカム体2が露出しなくなり、取り扱い時にハニカム体2が損傷を生じることが抑えられている。
【0132】
本実施例においても、各変形形態と同様に、接続部4を形成してもよい。
【符号の説明】
【0133】
1:ハニカム構造体
2:ハニカム体 20:セル
21:隔壁
3:セグメント部 30:中心セグメント部
31:外周セグメント部
4:接続部
5:非接続部 50:充填材
51:空隙
6:外周材層
7:電極板
80:ハニカム分体 81:接合材
82:封止部 820:封止材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性の多孔質セラミックスよりなり軸方向にのびる複数のセルが区画されたセグメント部と、複数の該セグメント部を接続する接続部と、
を有するハニカム構造体であって、
該接続部が、導電性材料よりなるとともに、接続される一対の該セグメント部の対向面の少なくとも一部同士を接続するように形成され、
一対の該セグメント部の外周面の間に、該接続部が形成されていない非接続部が形成されていることを特徴とするハニカム構造体。
【請求項2】
前記接続部は、前記ハニカム構造体の軸方向の一カ所以上にもうけられている請求項1記載のハニカム構造体。
【請求項3】
前記接続部の前記ハニカム構造体の軸方向での長さの合計が、該ハニカム構造体の軸方向の長さの50%以下である請求項1〜2のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項4】
前記接続部の少なくとも一つは、前記ハニカム構造体で排気ガスの浄化を行うときの排気ガスの流れ方向の上流側の端部にもうけられている請求項1〜3のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項5】
前記接続部の少なくとも一つは、前記ハニカム構造体で排気ガスの浄化を行うときの排気ガスの流れ方向の上流側の端部の端面の全面にもうけられている請求項4記載のハニカム構造体。
【請求項6】
前記非接続部には、充填材が配されている請求項1〜5のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項7】
前記非接続部には、空隙が形成されている請求項1〜6のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項8】
複数の前記セルのうち所定のセルの一方の端部を封止する封止材よりなる一端封止部と、
残余の該セルの他方の端部を封止する封止材よりなる他端封止部と、
からなる封止部を有する請求項1〜7のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項9】
前記セルは、軸方向に垂直な方向での断面形状が6角形である請求項1〜8のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項10】
前記セグメント部は、
前記ハニカム構造体の軸心に位置する外周形状が円形の中心セグメント部と、
該中心セグメント部の外周に、放射状に配列される複数の外周セグメント部と、
を有する請求項1〜9のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項11】
前記外周セグメント部は、断面が扇面形状である請求項10記載のハニカム構造体。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかに記載のハニカム構造体を用いてなることを特徴とするフィルタ装置。
【請求項13】
前記ハニカム構造体の前記接続部の形成された軸方向位置の外周面に電気的に接続された一対の電極と、
一対の該電極間に電圧を印加する電源装置と、
を有する請求項12記載のフィルタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2012−31738(P2012−31738A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−169350(P2010−169350)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(000220767)東京窯業株式会社 (211)
【Fターム(参考)】