ハニカム構造体
【課題】 セルを封止するための封止材ペーストの充填が容易であり、欠け等が発生しにくく、かつ、開口率の高いハニカム構造体を提供すること。
【解決手段】 多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、外周に外周壁が形成されたハニカム焼成体から構成されたセラミックブロックからなるハニカム構造体であって、上記セルは、上記セラミックブロックの外周を構成するハニカム焼成体の外周壁に接する外周セルと、上記外周セルより内側に位置する基本セルとからなり、上記外周セルは、上記長手方向に垂直な断面の形状が上記基本セルと異なる変形セルを含み、上記変形セルは、上記長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.90mmの円が挿入可能なセルであることを特徴とするハニカム構造体。
【解決手段】 多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、外周に外周壁が形成されたハニカム焼成体から構成されたセラミックブロックからなるハニカム構造体であって、上記セルは、上記セラミックブロックの外周を構成するハニカム焼成体の外周壁に接する外周セルと、上記外周セルより内側に位置する基本セルとからなり、上記外周セルは、上記長手方向に垂直な断面の形状が上記基本セルと異なる変形セルを含み、上記変形セルは、上記長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.90mmの円が挿入可能なセルであることを特徴とするハニカム構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
バス、トラック等の車両又は建設機械等の内燃機関から排出される排ガス中に含有されるスス等のパティキュレート(以下、PMともいう)及びその他の有害成分が環境や人体に害を及ぼすことが最近問題となっている。そこで、排ガス中のPMを捕集して排ガスを浄化するハニカムフィルタとして、多孔質セラミックからなるハニカム構造体が種々提案されている。
【0003】
このようなハニカム構造体として、従来、多数のセルを有するハニカム焼成体が複数個結束されたセラミックブロックからなるハニカム構造体が知られている(特許文献1)。特許文献1に記載の従来のハニカム構造体を製造する際に用いられるハニカム焼成体のうち、ハニカム構造体の最外周部に位置するハニカム焼成体の例を、図11(a)及び図11(b)に模式的に示す。図11(a)及び図11(b)に示すハニカム焼成体1110及びハニカム焼成体1120では、セラミックブロックの外周面を構成する曲面に最も近いセル1111及びセル1121のその長手方向に垂直な断面形状(以下、単に断面形状ともいう)は、それらのセルより内側に位置するセルの断面形状と異なり、略三角形又は略台形となっており、セル1111及びセル1121の一辺が上記曲面に沿って形成されている。
【0004】
また、特許文献1には、ハニカム焼成体のセルにおいて、ハニカム焼成体の焼成体外周壁のうち、セラミックブロックの外周を構成する焼成体外周壁近傍にセルを形成せず、封止材ペーストの充填を容易にしたハニカム構造体も提案されている。図12(a)及び図12(b)に、セラミックブロックの外周を構成する焼成体外周壁(以下、ブロック外周壁ともいう)近傍にセルが形成されていない従来のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の例をそれぞれ示す。ハニカム焼成体1130及びハニカム焼成体1140の形状は、図11(a)及び図11(b)に示したハニカム焼成体1110及びハニカム焼成体1120の形状とそれぞれ同一である。また、ハニカム焼成体1130のセル1131、及び、ハニカム焼成体1140のセル1141の断面形状は全て略正方形状であり、セラミックブロックの外周を構成するブロック外周壁1134又は1144の近傍にはセルが形成されていない。
【0005】
また、ハニカム焼成体のセルにおいて、ハニカム焼成体の焼成体外周壁のうち、セラミックブロックの外周を構成するブロック外周壁と接しているセル(以下、最外周部に位置するセルともいう)の断面形状と最外周部以外に位置するセルの断面形状とを同一とし、封止材ペーストの充填を容易にしたハニカム構造体が提案されている(特許文献2)。図13(a)及び図13(b)に、最外周部に位置するセルの断面形状と最外周部以外に位置するセルの断面形状とを同一とした従来のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の例をそれぞれ示す。ハニカム焼成体1150のセル1151、及び、ハニカム焼成体1160のセル1161の断面形状は全て略正方形状であり、セル1151又はセル1161が等間隔に並ぶようにセル1151又はセル1161の位置が設計されている。そして、最外周部に位置するセルの断面形状と最外周部以外に位置するセルの断面形状とを同一にするために、ハニカム焼成体1150の焼成体外周壁1154、又は、ハニカム焼成体1160の焼成体外周壁1164には、最外周部に位置するセル1151又はセル1161の位置に対応した段差が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−154718号公報
【特許文献2】国際公開第2008/126335号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の従来のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体1110のセル1111、及び、ハニカム焼成体1120のセル1121を封止する際には、セルの開口面積が小さいことから、封止材ペーストを充填しにくかったり、封止材の漏れ、及び/又は、はみ出しが生じやすかったりし、これによりセルの封止が不充分となることがある。
【0008】
そして、セルの封止が不充分であるハニカム焼成体を用いて製造したハニカム構造体を排ガス浄化フィルタとして使用すると、ハニカム構造体に流入した排ガスがセル壁を通過せずに同一のセルから流出してしまい、フィルタとしての機能を果たさないという問題がある。
【0009】
図12(a)、(b)に示すハニカム焼成体からなる従来のハニカム構造体によると、従来では開口面積が小さくなって封止材ペーストの充填が困難であったセルが存在しない。そのため、封止材ペーストの充填が容易となり、ハニカム構造体の製造効率が向上する。
【0010】
しかしながら、このような従来のハニカム構造体では、ハニカム構造体全体の開口率が低くなるため、図11(a)及び図11(b)に示した従来のハニカム構造体と比較してPMを充分に捕集することができないという問題がある。
【0011】
図12(a)、(b)に記載のハニカム焼成体からなる従来のハニカム構造体によると、従来では開口面積が小さくなって封止材ペーストの充填が困難であった最外周部のセルも、最外周部のセル以外のセルの開口面積と同じ開口面積を有する。そのため、封止材ペーストの充填が容易となり、ハニカム構造体の製造効率が向上するが、ハニカム構造体の開口率が低くなるため、図11(a)及び図11(b)に示した従来のハニカム構造体と比較して、PMを充分に捕集することができないという問題がある。
【0012】
また、特許文献2に記載の従来のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体においては、ハニカム焼成体の外周壁に段差が設けられている。すなわち、このようなハニカム焼成体の外周壁には、図13(a)及び図13(b)に示すように、凸部1155及び凹部1156からなる段差、又は、凸部1165及び凹部1166からなる段差が設けられている。
このような形状を有するハニカム焼成体についても、湿潤混合物を押出成形することによりハニカム成形体を作製することとなるが、押出成形後の乾燥工程、焼成工程、ハニカム構造体の組立工程等の際に、治具等の接触によりハニカム成形体の外周壁に存在する凸角部が欠けたり、ハニカム成形体及びハニカム焼成体の膨張及び収縮等により、凹角部にクラックが入ったりする等の成形不良が発生する。これにより、ハニカム構造体の製造効率の低下を招く。
【0013】
さらに、このようなハニカム焼成体を用いてハニカム構造体を製造した場合、製造したハニカム構造体の外周部には、凸部及び凹部が依然として存在する。そのため、このハニカム構造体をハニカムフィルタとして使用する際に、高温に晒された際のハニカム焼成体の膨張及び収縮等により、ハニカム構造体の外周部に欠け及び/又はクラック等の不良が発生し易いという問題もある。
【0014】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、セルを封止するための封止材ペーストの充填が容易であり、欠け等が発生しにくく、かつ、開口率の高いハニカム構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、請求項1に記載のハニカム構造体は、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、外周に外周壁が形成されたハニカム焼成体から構成されたセラミックブロックからなるハニカム構造体であって、
上記セルは、上記セラミックブロックの外周を構成するハニカム焼成体の外周壁に接する外周セルと、上記外周セルより内側に位置する基本セルとからなり、
上記外周セルは、上記長手方向に垂直な断面の形状が上記基本セルと異なる変形セルを含み、
上記変形セルは、上記長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.90mmの円が挿入可能なセルであることを特徴とする。
【0016】
請求項1に記載のハニカム構造体では、外周セルは、長手方向に垂直な断面の形状が基本セルと異なる変形セルを含み、変形セルは、長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.90mmの円が挿入可能なセルである。
従来であれば、外方ハニカム焼成体の外周セルには、直径0.90mmの円が挿入不可能な開口面積が小さい変形小セルが含まれており、このため封止材ペーストを充填しにくかったり、封止材の漏れやはみ出しが生じやすかったりし、これによりセルの封止が不充分となることがある。
しかしながら、請求項1に記載のハニカム構造体では、変形セルは、全て直径0.90mmの円が挿入可能な開口面積が比較的大きい変形セルであり、その他は、基本セルより構成されているので、封止材ペーストを充填し易く、封止材の漏れやはみ出しが発生しにくく、良好に変形セルを封止することができる。従って、PMの捕集等のハニカムフィルタとして機能を果たさない不良セルが発生しにくく、本発明のハニカム構造体は、ハニカムフィルタとして使用するハニカム構造体に要求されているPMの捕集等の機能を良好に果たすことができる。
【0017】
また、請求項1に記載のハニカム構造体では、上記変形セルが全て充填されることはなく、長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.90mmの円が挿入可能なセルは、フィルタを構成するセルとして機能するので、ハニカム構造体全体の開口率を高く保つことができ、PMを充分に捕集することができる。
【0018】
さらに、請求項1に記載のハニカム構造体では、セラミックブロックの外周に変形セルが存在するので、外周セルが全て基本セルからなる場合と比較してセラミックブロックの外周の形状における突部がなだらかな形状となり、高温に晒された際等の応力集中が発生しにくく、凸角部に欠けが発生しにくくなる。
【0019】
上記変形セルは、上記長手方向に垂直な断面形状の内部に直径1.57mmの円が挿入不可能なセルであることが望ましい。1.57mmの円が挿入可能な大きな断面積を有する変形セルの場合には、セルの断面が大きすぎるため、機械的な強度が不充分となる。
【0020】
本明細書において、ハニカム焼成体のセル壁とは、2つのセルの間に存在し、2つのセルを隔てている部分をいう。また、本明細書において、ハニカム焼成体の外周壁とは、ハニカム焼成体の周囲に存在し、ハニカム焼成体の外周を構成している壁の部分をいう。
【0021】
本明細書において、基本セルとは、ハニカム焼成体を構成するセルを長手方向に垂直な断面で観察した際、1種類の形状(同一形状)のセル、又は、複数個の異なる形状の組み合わせからなるセルが、上下左右に一定の繰り返しで形成されている最小単位のセルをいう。例えば、図3(a)及び図3(b)に示す外方ハニカム焼成体120では、外方ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面において、略正方形の図形が繰り返されている。この場合、略正方形のセルを基本セルという。また、例えば、図7(b)に示す内方ハニカム焼成体310では、セル断面積の異なる2種類のセルが繰り返されている。この場合、セル断面積の異なる2種類のセルの両方を合わせて基本セルという。ただし、便宜的に上記セル断面積の異なる2種類のセルのうち、一方のセルを基本セルという場合もある。
また、本明細書において、基本形成パターンとは、上記基本セルの形状をいう。
【0022】
本明細書において、変形セルとは、外方ハニカム焼成体の外周壁に接する外周セルの1種であって、上記外方ハニカム焼成体を構成するセルを長手方向に垂直な断面で観察した際、上記基本セルの形状と比べて部分的に欠けた形状となっており、基本セルのセル断面積より小さいセル断面積を有するセルをいう。基本セルが1種類の形状のセルである場合には、上記基本セルよりも小さい断面積を有するセルを変形セルという。また、基本セルがセル断面積の異なる2種類以上のセルを組み合わせたパターンの繰り返しとなっている外方ハニカム焼成体においては、例えば、相対的にセル断面積の大きい形状のセルよりも小さいセル断面積を有するセル、又は、相対的にセル断面積の小さい形状のセルより小さい断面積を有するセルを変形セルという。変形セルは、不完全セルともいう。
【0023】
請求項2に記載のハニカム構造体では、上記変形セルは、上記長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.95mmの円が挿入可能なセルである。
【0024】
請求項2に記載のハニカム構造体では、変形セルは、長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.95mmの円が挿入可能なセルであり、開口面積がより大きくなるので、より良好に変形セルを封止することができ、ハニカムフィルタとして使用するハニカム構造体に要求されているPMの捕集等の機能をより良好に果たすことができる。
また、請求項2に記載のハニカム構造体では、ハニカム構造体全体の開口率をより高く保つことができ、PMを充分に捕集することができる。
さらに、請求項2に記載のハニカム構造体では、セラミックブロックの外周の形状における突部がなだらかな形状となり、高温に晒された際等に応力集中が発生しにくく、凸角部に欠けが発生しにくくなる。
【0025】
請求項3に記載のハニカム構造体では、上記セラミックブロックの外周を構成する外周壁は、上記ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面形状が、その内部に直径0.90mmの円が挿入不可能な変形小セルの内部をセル壁と同じ材料で完全に充填した外周壁を含む。
請求項3に記載のハニカム構造体では、ハニカム成形体を作製する際に、上記変形小セルの内部を完全に充填しているので、封止材ペーストを充填する必要がなく、変形小セルの充填不良が発生することを防止することができる。
【0026】
請求項4に記載のハニカム構造体では、上記セラミックブロックは、接着材層を介して複数個のハニカム焼成体が結束されてなる。
このように、セラミックブロックが接着材層を介して複数個のハニカム焼成体が結束されてなる場合であっても、長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.90mmの円が挿入可能な変形セルを有するので、請求項1に記載の発明の場合と同様の効果を奏する。
【0027】
請求項5に記載のハニカム構造体では、上記セラミックブロックは、異なる形状を有する上記ハニカム焼成体が組み合わされるとともに、上記セラミックブロックの外周を構成する外周壁を有する外方ハニカム焼成体と上記外方ハニカム焼成体より内側に位置する内方ハニカム焼成体とから構成されており、外方ハニカム焼成体が上記した変形セルを含むので、請求項1に記載の発明の場合と同様の効果を奏する。
【0028】
請求項6に記載のハニカム構造体では、変形セルが形成されていることに加え、上記セラミックブロックの外周を構成するハニカム焼成体の外周壁の上記長手方向に垂直な断面形状は、凸部と凹部とからなる段差が設けられた外周壁となっており、上記凸部及び/又は上記凹部は、上記凸部及び/又は上記凹部に面取りが施された形状の曲線により構成されている。
請求項6に記載のハニカム構造体では、高温に晒された際等に応力集中が発生しにくく、発生する応力を緩和することができ、上記凸部及び/又は上記凹部に欠け及び/又はクラックが発生するのを、効果的に防止することができる。
【0029】
本明細書において、外方ハニカム焼成体の外周壁に設けられている凸部に面取りが施されているとは、凸部の断面形状が、外周壁の角部が削られた形状になっていることをいう。
一方、外方ハニカム焼成体の外周壁に設けられている凹部に面取りが施されているとは、凹部の断面形状が、外周壁の角部が擬似的に面取りを施された形状と同じ形状になるように、外周壁の角部が充填されたような形状になっていることをいう。例えば、外方ハニカム焼成体の外周壁が擬似的にR面取り又はC面取りを施された形状と同じ形状になっていれば、凹部にR面取り又はC面取りが施されているという。
【0030】
請求項7に記載のハニカム構造体では、上記凸部及び/又は上記凹部は、上記凸部及び/又は上記凹部にR面取りが施された形状となっており、上記R面取りの曲率半径は、0.3〜2.5mmである。
請求項7に記載のハニカム構造体では、高温に晒された際等に応力集中が発生しにくく、発生する応力をより効果的に緩和することができ、クラック等の発生をより効果的に防止することができる。R面取りの曲率半径が0.3mm未満であると、熱等により発生する応力をより効果的に緩和することが難しくなり、一方、R面取りの曲率半径が2.5mmを超えると、R面取りの処理が難しくなる。
【0031】
請求項8に記載のハニカム構造体では、上記変形セルを除いた上記外周セルの上記長手方向に垂直な断面の形状、及び、上記基本セルの上記長手方向に垂直な断面の形状は、略四角形である。
【0032】
請求項9に記載のハニカム構造体では、上記変形セルを除いた上記外周セル、及び、上記基本セルは、大容量セルと、小容量セルとからなり、
上記大容量セルの上記長手方向に垂直な断面の面積は、上記小容量セルの上記長手方向に垂直な断面の面積よりも大きい。
請求項9に記載のハニカム構造体では、このハニカム構造体を排ガス浄化用フィルタとして用いた際に、大量のPMを捕集することができる。
【0033】
請求項10に記載のハニカム構造体では、上記大容量セルの上記長手方向に垂直な断面の形状は略四角形であり、上記小容量セルの上記長手方向に垂直な断面の形状は略四角形である。
【0034】
請求項11に記載のハニカム構造体では、上記大容量セルの上記長手方向に垂直な断面の形状は略八角形であり、上記小容量セルの上記長手方向に垂直な断面の形状は略四角形である。
請求項11に記載のハニカム構造体では、大容量セルの断面形状が略八角形であり、小容量セルの断面形状が略四角形であるので、大容量セルと小容量セルとを対称性よく配置し易く、そのため、セル壁の歪等が発生しにくく、機械的強度に優れたハニカム構造体となる。
【0035】
請求項12に記載のハニカム構造体では、上記大容量セル及び上記小容量セルの上記長手方向に垂直な断面においては、セルの各辺の長手方向に垂直な断面の形状が曲線により構成されている。従って、セル壁は応力集中が起こりにくく、セル壁にクラック等がより発生しにくい。
【0036】
請求項13に記載のハニカム構造体では、上記セラミックブロックの外周を構成するハニカム焼成体の外周壁の厚さは、ハニカム焼成体の内部に位置するセル壁の厚さよりも厚い。
また、請求項14に記載のハニカム構造体では、上記セラミックブロックの外周を構成するハニカム焼成体の外周壁の厚さは、内部に位置するハニカム焼成体のセル壁の厚さの1.3〜3.0倍である。
請求項13、14に記載のハニカム構造体では、ハニカム焼成体の外周壁の厚さが内部のセル壁よりも厚いため、外側からの圧縮力等が発生した際にハニカム焼成体の外周壁が破壊されにくく、機械的特性に優れたハニカム構造体となる。外周を構成するハニカム焼成体の外周壁の厚さが、内部に位置するハニカム焼成体のセル壁の厚さの1.3倍未満であると、ハニカム焼成体の外周壁の機械的強度の改善が望めず、一方、外周を構成するハニカム焼成体の外周壁の厚さが、内部に位置するハニカム焼成体のセル壁の厚さの3.0倍を超えると、外周壁の厚さが厚くなりすぎ、ハニカム構造体の開口率が低下する。
【0037】
請求項15に記載のハニカム構造体では、上記外方ハニカム焼成体の断面は、上記長手方向に垂直な断面の形状が3つの直線と上記セラミックブロックの外周の一部を構成する外周壁に囲まれた形状からなる略扇形であり、上記内方ハニカム焼成体の断面は、上記長手方向に垂直な断面の形状が略四角形からなる略四角形ユニットである。
請求項15に記載のハニカム構造体では、上記断面略扇形ユニットと上記断面略四角形ユニットとを組み合わせることにより、少ない数のハニカム焼成体で効率よくハニカム構造体を構成することができる。そのため、ハニカム構造体の製造が容易となり、製造コスト低減につながる。
【0038】
請求項16に記載のハニカム構造体では、上記セルのそれぞれ一方の端部は、交互に封止されている。そのため、上記ハニカム構造体は、フィルタとして機能する。
請求項17に記載のハニカム構造体では、上記セラミックブロックの外周面には、コート層が形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を模式的に示す斜視図である。
【図2】図2(a)は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体における内方ハニカム焼成体を模式的に示した斜視図であり、図2(b)は、図2(a)に示す内方ハニカム焼成体のB−B線断面図である。
【図3】図3(a)は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体における外方ハニカム焼成体を模式的に示す斜視図であり、図3(b)は、図3(a)に示す外方ハニカム焼成体の端面近傍を模式的に示す断面図である。
【図4】図4は、図1に示すハニカム構造体のA−A線断面図である。
【図5】図5は、本発明の第二実施形態のハニカム構造体の断面図である。
【図6】図6(a)は、本発明の第二実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の端面近傍を模式的に示す断面図であり、図6(b)は、本発明の第二実施形態のハニカム構造体を構成する別の外方ハニカム焼成体の端面近傍を模式的に示す断面図である。
【図7】図7(a)は、本発明の第三実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の端面近傍を模式的に示す断面図であり、図7(b)は、本発明の第三実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体の端面近傍を模式的に示す断面図である。
【図8】図8(a)は、本発明の第四実施形態のハニカム構造体を模式的に示した断面図であり、図8(b)は、図8(a)に示すハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の端面近傍を模式的に示す断面図であり、図8(c)は、図8(a)に示すハニカム構造体を構成する別の外方ハニカム焼成体の端面近傍を模式的に示す断面図である。
【図9】図9は、本発明のさらに別の実施形態に係るハニカム構造体の断面図である。
【図10】図10は、実施例1〜4及び比較例1〜4における挿入可能な円の直径と封止不良率を図示するグラフである。
【図11】図11(a)は、従来のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図であり、図11(b)は、従来のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の他の一例を模式的に示す斜視図である。
【図12】図12(a)は、従来のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図であり、図12(b)は、従来のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の他の一例を模式的に示す斜視図である。
【図13】図13(a)は、従来のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図であり、図13(b)は、従来のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の他の一例を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明のハニカム構造体は、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、外周に外周壁が形成されたハニカム焼成体から構成されたセラミックブロックからなるハニカム構造体であって、
上記セルは、上記セラミックブロックの外周を構成するハニカム焼成体の外周壁に接する外周セルと、上記外周セルより内側に位置する基本セルとからなり、
上記外周セルは、上記長手方向に垂直な断面の形状が上記基本セルと異なる変形セルを含み、
上記変形セルは、上記長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.90mmの円が挿入可能なセルであることを特徴とする。
【0041】
上記セラミックブロックは、接着材層を介して複数個のハニカム焼成体が結束されていることが望ましく、また、上記セラミックブロックは、異なる形状を有する上記ハニカム焼成体が組み合わされるとともに、上記セラミックブロックの外周を構成する外周壁を有する外方ハニカム焼成体と上記外方ハニカム焼成体より内側に位置する内方ハニカム焼成体とから構成されていることが望ましい。
以下、上記ハニカム構造体の具体的な実施形態を説明していく。
【0042】
(第一実施形態)
本発明のハニカム構造体の第一実施形態について図面を参照しながら説明する。
本明細書において、単に、ハニカム構造体の断面、ハニカム焼成体の断面、又は、ハニカム成形体の断面と表記した場合、それぞれ、ハニカム構造体の長手方向に垂直な断面、ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面、又は、ハニカム成形体の長手方向に垂直な断面を指す。
また、本明細書において、単に、ハニカム焼成体の断面積と表記した場合、ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面の断面積を指す。
【0043】
図1は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を模式的に示す斜視図である。図2(a)は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体を模式的に示す斜視図であり、図2(b)は、図2(a)に示す内方ハニカム焼成体のB−B線断面図である。図3(a)は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体を模式的に示す斜視図であり、図3(b)は、図3(a)に示す外方ハニカム焼成体の端面近傍を模式的に示す断面図である。図4は、図1に示すハニカム構造体のA−A線断面図である。
【0044】
図1、図4に示すハニカム構造体100では、図3(a)、(b)に示すような形状の8個の外方ハニカム焼成体120と、その内側に配置された図2(a)、(b)に示すような形状の4個の内方ハニカム焼成体110とが接着材層101(101A〜101D)を介して結束されてセラミックブロック103を構成し、さらに、このセラミックブロック103の外周にコート層102が形成されている。
内方ハニカム焼成体110の断面の形状は略正方形である。
外方ハニカム焼成体120の断面は、図4に示すように、3つの線分120a、120b、120cと1つの略円弧120dとで囲まれる形状をなす略扇形であり、この3つの線分のうちの2つの線分よりなる2つの角(線分120bと線分120cとが成す角、及び、線分120aと線分120bとが成す角)がそれぞれ90°と135°である。なお、略円弧の形状については、後述する。
【0045】
また、ハニカム構造体100は、その断面において、外周部の接着材層101C、101Dのうち、中央部の角部からハニカム構造体100の外周側面に向かう方向に形成されている接着材層101Cと、中央部の角部以外からハニカム構造体100の外周側面に向かう方向に形成されている接着材層101Dとが45°の角をなしている。
【0046】
図2(a)、(b)に示す内方ハニカム焼成体110には、多数のセル111がセル壁113を隔てて長手方向(図2(a)中、矢印aの方向)に並設されており、セル111のいずれかの端部が封止材112で封止されている。従って、一方の端面が開口したセル111に流入した排ガスG(図2(b)中、矢印参照)は、必ずセル111を隔てるセル壁113を通過した後、他方の端面が開口した他のセル111から流出するようになっている。従って、セル壁113がPM等を捕集するためのフィルタとして機能する。
【0047】
図3(a)、(b)に示す外方ハニカム焼成体120もまた、内方ハニカム焼成体110と同様、多数のセル121がセル壁123を隔てて長手方向に並設されており、セル121のいずれかの端部が封止材122で封止されている。従って、一方の端面が開口したセル121に流入した排ガスは、必ずセル121を隔てるセル壁123を通過した後、他方の端面が開口した他のセル121から流出するようになっている。
即ち、外方ハニカム焼成体120は、外観形状が内方ハニカム焼成体110と異なるものの、その機能は内方ハニカム焼成体110と同一である。
【0048】
図3(a)、(b)に示すように、外方ハニカム焼成体120は、セラミックブロック103の外周を構成する外周壁128を有し、外方ハニカム焼成体120のセル121、124(124a、124b)は、セラミックブロック103の外周を構成する外周壁128に接する外周セル124a、124bと、外周セル124a、124bより内側に位置する基本セル121とからなる。外方ハニカム焼成体120の外周セル124a、124bは、長手方向に垂直な断面の形状が基本セル121と同じ基本セル124bのほかに基本セル124bと形状の異なる変形セル124aを含み、変形セル124aは、長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.90mmの円が挿入可能なセルである。すなわち、直径0.90mmの円が挿入不可能なセルの場合には、セルを形成せず、その部分がセル壁と同じ材料で完全に充填され、ハニカム焼成体の外周壁128となるか、その部分が削除されて断面凹部となっている。
【0049】
なお、長手方向に垂直な断面の大きさが基本セルである内側セルの略四角形(略正方形)よりも小さいセルを変形セルという。また、セルの断面形状は、直角部があってもよいし、直角部に相当する箇所が、円弧(セルが擬似的にR面取りされた形状)、又は、C面取りされた形状(セルが擬似的にC面取りされた形状)であってもよい。
【0050】
直径0.90mmの円が挿入不可能なセルの場合、セルを形成せず、その部分がセル壁と同じ材料で完全に充填され、ハニカム焼成体の外周壁の一部となっていてもよい。また、その部分が削除され、セルの長手方向に垂直なセラミックブロックの断面が凹部形状となっていてもよい。さらに、上記した両方の態様となっていてもよい。セルの長手方向に垂直なセラミックブロックの断面が凹部形状となっている場合、単に断面凹部ともいうこととする。
【0051】
なお、直径0.90mmの円が挿入可能なセルとは、実際のセルに、直径0.90mmの治具(例えば、金属性の棒、セラミック製の棒)を実際に差し込んだ場合、セルに差し込むことができるか、セルに差し込んだ場合に破損(クラック、割れ等)が発生しないかを確認して、挿入可否の判断を行ってもよく、設計図面中のセルの寸法値と挿入可能な円の寸法値との対比からセルへの挿入の可否の判断を行ってもよい。これらのなかでは、判断のし易さ、作業の容易性から設計図面から判断することが望ましい。
【0052】
直径0.90mmの円の挿入が不可能な開口面積が小さい変形小セルが含まれていると、封止材ペーストを充填しにくかったり、封止材の漏れやはみ出しが生じやすかったりし、これによりセルの封止が不充分となることがある。
しかしながら、本実施形態に係るハニカム構造体100では、変形セル124aは、全て直径0.90mmの円が挿入可能な開口面積が比較的大きい変形セルであり、その他は、基本セル121、124bより構成されているので、封止材ペーストを充填し易く、封止材の漏れやはみ出しが発生しにくく、良好に変形セルを封止することができる。
【0053】
また、外周壁128の長手方向に垂直な断面形状は、略円弧状と記載したが、具体的には、ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面において、凸部128aと凹部128bとからなる段差が設けられた外周壁となっており、凸部128a及び凹部128bの断面の形状は、R面取りが施された形状の曲線により構成されている。このR面取りの曲率半径は、0.3〜2.5mmが好ましい。
【0054】
ハニカム構造体100を構成するハニカム焼成体110、120は、炭化ケイ素又はケイ素含有炭化ケイ素からなる多孔質体であることが好ましい。
【0055】
次に、本実施形態に係るハニカム構造体の製造方法について説明する。なお、セラミック粉末として、炭化ケイ素を用いる場合について説明することとする。
(1)セラミック粉末とバインダとを含む湿潤混合物を押出成形することによってハニカム成形体を作製する成形工程を行う。
具体的には、まず、セラミック粉末として平均粒子径の異なる炭化ケイ素粉末と、有機バインダと液状の可塑剤と潤滑剤と水とを湿式混合機を用いて混合することにより、ハニカム成形体製造用の湿潤混合物を調製する。
続いて、上記湿潤混合物を押出成形機に投入する。上記湿潤混合物を押出成形機に投入し、押出成形することにより所定の形状のハニカム成形体を作製する。
【0056】
ここで、断面が略正方形のハニカム成形体や、断面が3つの線分と1つの略円弧とで囲まれ、この3つの線分のうちの2つの線分よりなる2つの角がそれぞれ90°と135°である形状のハニカム成形体を作製するためには、それぞれの形状に応じた押出成形用金型を使用する。
【0057】
(2)次に、ハニカム成形体を所定の長さに切断し、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等を用いて乾燥させた後、所定のセルに封止材となる封止材ペーストを充填して上記セルを目封じする封止工程を行う。この際、変形セルも、内部に直径0.90mmの円が挿入可能なセルであるので、良好に封止作業を行うことができる。
なお、切断工程、乾燥工程、封止工程の条件は、従来からハニカム焼成体を作製する際に用いられている条件を適用することができる。
【0058】
(3)次に、ハニカム成形体中の有機物を脱脂炉中で加熱する脱脂工程を行い、焼成炉に搬送し、焼成工程を行ってハニカム焼成体を作製する。
なお、脱脂工程及び焼成工程の条件としては、従来からハニカム焼成体を作製する際に用いられている条件を適用することができる。
以上の工程によって、内方ハニカム焼成体と外方ハニカム焼成体とを製造することができる。
【0059】
(4)次に、各セルの所定の端部が封止された内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体のそれぞれの所定の側面に、接着材ペーストを塗布して接着材ペースト層を形成し、この接着材ペースト層の上に、順次他のハニカム焼成体を積層する工程を繰り返して所定数のハニカム焼成体が結束されたセラミックブロックを作製する結束工程を行う。
ここで接着材ペーストとしては、例えば、無機バインダと有機バインダと無機粒子とからなるものを使用する。また、上記接着材ペーストはさらに無機繊維及び/又はウィスカを含んでいてもよい。
【0060】
(5)次に、略円柱状としたセラミックブロックの外周に、コート材ペーストを塗布し、乾燥、固化してコート層を形成するコート層形成工程を行う。
ここでコート材ペーストとしては、上記接着材ペーストと同様のペーストを使用する。なお、コート材ペーストとして異なる組成のペーストを使用してもよい。
なお、コート層は必ずしも設ける必要はなく、必要に応じて設ければよい。
以上の工程によって、本実施形態に係るハニカム構造体を製造することができる。
【0061】
以下、本実施形態に係るハニカム構造体の作用効果について列挙する。
(1)本実施形態に係るハニカム構造体では、外方ハニカム焼成体の外周セルは、長手方向に垂直な断面の形状が基本セルと異なる変形セルを含み、変形セルは、長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.90mmの円が挿入可能なセルである。
従って、封止材ペーストを充填し易く、封止材の漏れやはみ出しが発生しにくく、良好に変形セルを封止することができる。
また、本実施形態に係るハニカム構造体では、上記変形セルが全てセル壁と同じ材料で充填されたもの、又は、変性セルの全てが削除されたものではなく、上記変形セルは、フィルタを構成するセルとして機能するので、ハニカム構造体全体の開口率を高く保つことができ、PMを充分に捕集することができる。
【0062】
(2)本実施形態に係るハニカム構造体では、セラミックブロックの外周に変形セルが存在するので、外周セルが全て基本セルからなる場合と比較してセラミックブロックの外周の形状における突部がなだらかな形状となり、治具等の接触又は高温に晒された際等の応力集中に起因する凸角部への欠けが発生しにくくなる。
【0063】
(3)本実施形態に係るハニカム焼成体では、各セルのいずれか一方の端部が封止材で封止されている。そのため、本実施形態に係るハニカム構造体は、ディーゼルパティキュレートフィルタとして好適に使用することができる。
(4)本実施形態に係るハニカム構造体では、外周壁の長手方向に垂直な断面形状は、凸部と凹部とからなる段差が設けられ、上記凸部及び上記凹部の断面形状は、上記凸部及び上記凹部にR面取りが施された形状の曲線により構成されているので、治具等の接触又は高温に晒された際等に応力集中が発生しにくく、熱等により発生する応力を緩和することができ、上記凸部や上記凹部に欠け及び/又はクラックが発生するのを、効果的に防止することができる。
【0064】
以下、本発明の第一実施形態をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0065】
(実施例1)
(1)平均粒子径22μmを有する炭化ケイ素の粗粉末52.8重量%と、平均粒子径0.5μmの炭化ケイ素の微粉末22.6重量%とを混合し、得られた混合物に対して、アクリル樹脂2.1重量%、有機バインダ(メチルセルロース)4.6重量%、潤滑剤(日油社製 ユニルーブ)2.8重量%、グリセリン1.3重量%、及び、水13.8重量%を加えて混練して湿潤混合物を得た後、押出成形する成形工程を行った。
本工程では、図2(a)、(b)に示した内方ハニカム焼成体110と略同様の形状であって、セルの目封じをしていない生のハニカム成形体と、図3(a)、(b)に示した外方ハニカム焼成体120と略同様の形状であって、セルの目封じをしていない生のハニカム成形体とを作製した。
【0066】
(2)次いで、マイクロ波乾燥機を用いて上記生のハニカム成形体を乾燥させ、ハニカム成形体の乾燥体とした後、上記湿潤混合物と同様の組成のペーストを所定のセルに充填する充填工程を行った後、再び乾燥機を用いて乾燥させた。
【0067】
(3)乾燥させたハニカム成形体を400℃で脱脂する脱脂工程を行い、さらに、常圧のアルゴン雰囲気下2200℃、3時間の条件で焼成工程を行った。
これにより、気孔率が45%、平均気孔径が15μm、大きさが34.5mm×34.5mm×150mm、セルの数(セル密度)が300個/inch2、セル壁の厚さが0.25mm(10mil)、セルの幅が1.42mmの多孔質炭化ケイ素焼結体からなる内方ハニカム焼成体110と、気孔率、平均気孔径、セルの数(セル密度)、セル壁の厚さ及びセルの幅が内方ハニカム焼成体110と同一で、断面が3つの線分と1つの略円弧とで囲まれ、この3つの線分のうちの2つの線分よりなる2つの角がそれぞれ90°と135°である形状(線分120a=20.8mm、線分120b=35.0mm、線分120c=35.7mm)の外方ハニカム焼成体120とを製造した。このとき、変形セル124aは、長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.90mmの円が挿入可能なセルであり、直径0.90mmの円が挿入不可能なセルとなる部分は、予めセルとなる部分が湿潤混合物で充填されてハニカム焼成体の外周壁となるか、その部分が削除されて断面凹部となるように製造する。
【0068】
(4)内方ハニカム焼成体110、及び、外方ハニカム焼成体120の所定の側面に接着材ペーストを塗布し、この接着材ペーストを介して内方ハニカム焼成体110を4個と、外方ハニカム焼成体120を8個とを図1に示した配置になるように接着させ、さらに、180℃、20分で接着材ペーストを固化させることにより、接着材層の厚さが1mmで円柱状のセラミックブロック103を作製した。
ここで、接着材ペーストとしては、平均粒径0.6μmの炭化ケイ素粒子30.0重量%、シリカゾル21.4重量%(固形分30重量%)、カルボキシメチルセルロース8.0重量%、及び、水40.6重量%からなる接着材ペーストを使用した。
【0069】
(5)上記(4)の工程で使用した接着材ペーストをコート材ペーストとして用いて、セラミックブロック103の外周部にコート材ペースト層を形成した。その後、このコート材ペースト層を120℃で乾燥して、外周にコート層102が形成された直径143.8mm×長さ150mmの円柱状のハニカム構造体100を製造した。
【0070】
(実施例2)
外方ハニカム焼成体120を製造する際、変形セル124aを長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.95mmの円が挿入可能なセルとし、直径が0.95mmの円が挿入不可能なセルとなる部分は、全てのセルが湿潤混合物で充填されてハニカム焼成体の外周壁となるか、その部分が削除されて断面凹部となるように、押出成形用の金型の形状を変え、外方ハニカム焼成体120用のハニカム成形体を作製したほかは、実施例1と同様にしてハニカム構造体を製造した。
【0071】
(比較例1)
外方ハニカム焼成体120を製造する際、変形セル124aを長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.85mmの円が挿入可能なセルとし、直径が0.85mmの円が挿入不可能なセルとなる部分は、全てセルが湿潤混合物で充填されてハニカム焼成体の外周壁となるか、その部分が削除されて断面凹部となるように、押出成形用の金型の形状を変え、外方ハニカム焼成体120用のハニカム成形体を作製したほかは、実施例1と同様にしてハニカム構造体を製造した。
【0072】
(比較例2)
外方ハニカム焼成体120を製造する際、変形セル124aを長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.80mmの円が挿入可能なセルとし、直径が0.80mmの円が挿入不可能なセルとなる部分は、全てのセルが湿潤混合物で充填されてハニカム焼成体の外周壁となるか、その部分が削除されて断面凹部となるように、押出成形用の金型の形状を変え、外方ハニカム焼成体120用のハニカム成形体を作製したほかは、実施例1と同様にしてハニカム構造体を製造した。
【0073】
(封止不良の評価)
実施例及び比較例で作製した外方ハニカム焼成体を50個用いて光漏れ検査を行った。該光漏れ検査は、光漏れ検査機を用い、セル開口から光を当て、封止側から光が漏れているか否かを確認する。1つの外方ハニカム焼成体のセルのうち、1つでも光漏れがあった場合には、不良とし、封止不良率を算出した。その結果を表1及び図10に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
表1の結果より明らかなように、実施例2では、封止不良のセルの割合が0%であったのに対し、実施例1では、2%と、わずかに封止不良のものが存在したが、許容できる不良割合であった。
一方、比較例1、2では、封止不良のものが、それぞれ8%、16%と大きく増加した。
【0076】
(第二実施形態)
以下、本発明のハニカム構造体の別の一実施形態である第二実施形態について図面を参照しながら説明する。
図5は、本発明の第二実施形態のハニカム構造体の断面図である。図6(a)は、本発明の第二実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体220の端面近傍を模式的に示す断面図であり、図6(b)は、本発明の第二実施形態のハニカム構造体を構成する別の外方ハニカム焼成体230の端面近傍を模式的に示す断面図である。
【0077】
本実施形態に係るハニカム構造体200では、図5に示すように、8個の外方ハニカム焼成体220及び8個の外方ハニカム焼成体230と、その内側に配置された9個の内方ハニカム焼成体210とが複数個ずつ接着材層201A〜201Dを介して結束されてセラミックブロック203を構成し、さらに、このセラミックブロック203の外周にコート層202が形成されている。
内方ハニカム焼成体210の断面の形状は略正方形である。
外方ハニカム焼成体220の断面は、3つの線分220a、220b、220cと1つの略円弧220dとで囲まれた形状をなしており、この3つの線分のうちの2つの線分よりなる2つの角(線分220aと線分220bとが成す角、及び、線分220bと線分220cとが成す角)がともに90°である。
外方ハニカム焼成体230の断面は、3つの線分230a、230b、230cと1つの略円弧230dとで囲まれた略扇形ユニットであり、この3つの線分のうちの2つの線分よりなる2つの角(線分230bと線分230cとが成す角、及び、線分230aと線分230bとが成す角)がそれぞれ90°と135°である。
また、ハニカム焼成体210、220、230は、多孔質炭化ケイ素焼結体又は多孔質ケイ素含有炭化珪素からなるものであることが望ましい。
【0078】
図6(a)に示すように、8個の外方ハニカム焼成体220は、セラミックブロック203の外周を構成する外周壁228を有し、外方ハニカム焼成体220のセル221、224(224a、224b)は、セラミックブロック203の外周を構成する外周壁228に接する外周セル224a、224bと、外周セル224a、224bより内側に位置する基本セル221とからなる。外方ハニカム焼成体220の外周セル224a、224bは、長手方向に垂直な断面の形状が基本セル221と同じ基本セル224bのほかに基本セル224bと形状の異なる変形セル224aを含み、変形セル224aは、長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.90mmの円が挿入可能なセルである。すなわち、直径0.90mmの円が挿入不可能なセルの場合には、セルを形成せず、その部分が完全にセル壁と同じ材料で充填され、ハニカム焼成体の外周壁228となるか、その部分が削除されて断面凹部となっている。この外方ハニカム焼成体220の内側に配置されているのが、内方ハニカム焼成体210である。なお、222は、封止材である。
【0079】
図6(b)に示す8個の外方ハニカム焼成体230も、外方ハニカム焼成体220と同様、セラミックブロック203の外周を構成する外周壁238を有し、外方ハニカム焼成体230のセル231、234(234a、234b)は、セラミックブロック203の外周を構成する外周壁238に接する外周セル234a、234bと、外周セル234a、234bより内側に位置する基本セル231とからなる。外方ハニカム焼成体230の外周セル234a、234bは、長手方向に垂直な断面の形状が基本セル231と同じ基本セル234bのほかに基本セル234bと形状の異なる変形セル234aを含み、変形セル234aは、長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.90mmの円が挿入可能なセルである。すなわち、直径0.90mmの円が挿入不可能なセルの場合には、セルを形成せず、その部分がセル壁と同じ材料で完全に充填され、ハニカム焼成体の外周壁238となるか、その部分が削除されて断面凹部となっている。なお、232は、封止材である。
【0080】
外周壁228、238の長手方向に垂直な断面形状は、凸部228a、238aと凹部228b、238bとからなる段差が設けられた外周壁となっており、凸部228a、238a及び凹部228b、238bの断面の形状は、R面取りが施された形状の曲線により構成されている。このR面取りの曲率半径は、0.3〜2.5mmである。
このハニカム構造体200においても、セルのいずれかの端部が封止材で封止されており、セル壁がPM等を捕集するためのフィルタとして機能する。
【0081】
次に、本実施形態に係るハニカム構造体の製造方法について説明する。
本実施形態におけるハニカム構造体の製造方法は、下記の点で異なる以外は、本発明の第一実施形態におけるハニカム構造体の製造方法と同一である。
即ち、本発明の第一実施形態に係る製造方法の(1)の成形工程で作製するハニカム成形体の形状が、セルのいずれか一方の端部が封止されていない以外は、図5に示した内方ハニカム焼成体210、及び、外方ハニカム焼成体220、230と略同一の形状である点、並びに、本発明の第一実施形態に係る製造方法の(4)の結束工程を行う際に、内方ハニカム焼成体210、及び、外方ハニカム焼成体220、230が、図5に示した場所に位置するように各ハニカム焼成体を結束する点以外は、本発明の第一実施形態におけるハニカム構造体の製造方法と同一の方法を用いることにより、本発明の本実施形態に係るハニカム構造体を製造することができる。
【0082】
本実施形態に係るハニカム構造体では、本発明の第一実施形態に係るハニカム構造体と同様の作用効果を享受することができる。
【0083】
以下、本発明の第二実施形態をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0084】
(実施例3)
(1)実施例1の(1)の成形工程と同様の方法を用いて、図5に示した内方ハニカム焼成体210、及び、外方ハニカム焼成体220、230と略同様の形状であって、セルの目封じをしていない生のハニカム成形体を作製した。
【0085】
(2)次いで、マイクロ波乾燥機を用いて上記生のハニカム成形体を乾燥させ、ハニカム成形体の乾燥体とした後、上記湿潤混合物と同様の組成のペーストを所定のセルに充填し、再び乾燥機を用いて乾燥させた。
【0086】
(3)乾燥させたハニカム成形体を400℃で脱脂する脱脂工程を行い、さらに、常圧のアルゴン雰囲気下2200℃、3時間の条件で焼成工程を行った。
これにより、気孔率が45%、平均気孔径が15μm、大きさが34.5mm×34.5mm×200mm、セルの数(セル密度)が300個/inch2、セル壁の厚さが0.25mm(10mil)、セルの幅が1.42mmの多孔質炭化ケイ素焼結体からなる内方ハニカム焼成体210と、気孔率、平均気孔径、セルの数(セル密度)、セル壁の厚さ及びセルの幅が内方ハニカム焼成体210と同一で、断面が3つの線分と1つの略円弧とで囲まれ、この3つの線分のうちの2つの線分よりなる2つの角がともに90°である形状(線分220a=45.6mm、線分220b=26.8mm、線分220c=41.8mm)の外方ハニカム焼成体220と、気孔率、平均気孔径、セルの数(セル密度)、セル壁の厚さ及びセルの幅が内方ハニカム焼成体210と同一で、断面が3つの線分と1つの略円弧とで囲まれ、この3つの線分のうちの2つの線分よりなる2つの角がそれぞれ90°と135°である形状(線分230a=24.9mm、線分230b=24.5mm、線分230c=41.8mm)の外方ハニカム焼成体230とを製造した。このとき、変形セル224a、234aは、長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.90mmの円が挿入可能なセルであり、直径0.90mmの円が挿入不可能なセルとなる部分は、予めセルとなる部分がセル壁と同じ材料で充填されてハニカム焼成体の外周壁となるか、その部分が削除されて断面凹部となるように製造する。
【0087】
(4)内方ハニカム焼成体210、及び、外方ハニカム焼成体220、230の所定の側面に接着材ペーストを塗布し、この接着材ペーストを介して内方ハニカム焼成体210を9個と、外方ハニカム焼成体220を8個と、外方ハニカム焼成体230を8個とを図5に示した配置になるように接着させ、さらに、180℃、20分で接着材ペーストを固化させることにより、接着材層の厚さが1mmで円柱状のセラミックブロック203を作製した。
ここで、接着材ペーストとしては、実施例1と同様の接着材ペーストを使用した。
【0088】
(5)上記(4)の工程で使用した接着材ペーストをコート材ペーストとして用いて、セラミックブロック203の外周部にコート材ペースト層を形成した。その後、このコート材ペースト層を120℃で乾燥して、外周にコート層202が形成された直径203.2mm×長さ200mmの円柱状のハニカム構造体200を製造した。
【0089】
(実施例4)
外方ハニカム焼成体220、230を製造する際、変形セル224a、234aを長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.95mmの円が挿入可能なセルとし、直径が0.95mmの円が挿入不可能なセルとなる部分は、全てセルが湿潤混合物で充填されてハニカム焼成体の外周壁となるか、その部分が削除されて断面凹部となるように、押出成形用の金型の形状を変え、外方ハニカム焼成体220、230用のハニカム成形体を作製したほかは、実施例3と同様にしてハニカム構造体を製造した。
【0090】
(比較例3)
外方ハニカム焼成体220、230を製造する際、変形セル224a、234aを長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.85mmの円が挿入可能なセルとし、直径が0.85mmの円が挿入不可能なセルとなる部分は、全てセルが湿潤混合物で充填されてハニカム焼成体の外周壁となるか、その部分が削除されて断面凹部となるように、押出成形用の金型の形状を変え、外方ハニカム焼成体220、230用のハニカム成形体を作製したほかは、実施例3と同様にしてハニカム構造体を製造した。
【0091】
(比較例4)
外方ハニカム焼成体220、230を製造する際、変形セル224a、234aを長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.80mmの円が挿入可能なセルとし、直径が0.80mmの円が挿入不可能なセルとなる部分は、全てセルが湿潤混合物で充填されてハニカム焼成体の外周壁となるか、その部分が削除されて断面凹部となるように、押出成形用の金型の形状を変え、外方ハニカム焼成体220、230用のハニカム成形体を作製したほかは、実施例3と同様にしてハニカム構造体を製造した。
【0092】
(封止不良の評価)
実施例3〜4及び比較例3〜4に係るハニカム構造体についても、実施例1〜2及び比較例1〜2で作製した外方ハニカム焼成体の場合と同様に封止不良が発生しているか否かを確認し、封止不良率を算出した。その結果を表2及び図10に示す。
【0093】
【表2】
【0094】
表2の結果より明らかなように、実施例4では、封止不良のセルの割合が0%であったのに対し、実施例3では、4%と、若干封止不良のものが存在したが、許容できる不良割合であった。
一方、比較例3、4では、封止不良のものが、それぞれ12%、18%と大きく増加した。
【0095】
図10は、実施例1〜4及び比較例1〜4における挿入可能な円の直径と封止不良率を図示するグラフである。
図10に示すように、変形セルを、長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.90mm又は0.95mmの円が挿入可能なセルとした実施例1〜実施例4の場合には、封止不良率が極めて小さく、問題がない程度の不良率であると考えられるのに対し、長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.85mm又は0.80mmの円が挿入可能なセルとした比較例1〜比較例4の場合には、封止不良率が充分に低いとは言えず、生産効率が落ちることがわかる。
【0096】
(第三実施形態)
図7(a)は、本発明の第三実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の端面近傍を模式的に示す断面図であり、図7(b)は、本発明の第三実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体の端面近傍を模式的に示す断面図である。
本発明の第三実施形態に係るハニカム構造体では、変形セルを除いた外周セル、及び、基本セルは、大容量セルと小容量セルとからなり、大容量セルの長手方向に垂直な断面の面積は、小容量セルの長手方向に垂直な断面の面積よりも大きいほかは、図2、3に示した外形形状と同様の形状のハニカム焼成体310とハニカム焼成体320とからなる。また、ハニカム構造体を構成するハニカム焼成体310、320の組み合わせ方も図1に示すハニカム構造体と同様である。
【0097】
すなわち、内方ハニカム焼成体310の断面の形状は略正方形であり、外方ハニカム焼成体320の断面は、3つの線分320a、320b、320cと1つの略円弧320dとで囲まれる形状をなしており、この3つの線分のうちの2つの線分よりなる2つの角(線分320bと線分320cとが成す角、及び、線分320aと線分320bとが成す角)がそれぞれ90°と135°である。
【0098】
図7(a)、(b)に示すように、外方ハニカム焼成体320は、セラミックブロックの外周を構成する外周壁328を有し、外方ハニカム焼成体320のセル321(321a、321b)、324(324a、324b、324c)は、セラミックブロックの外周を構成する外周壁328に接する外周セル324a、324b、324cと、外周セル324a、324b、324cより内側に位置する基本セル321a、321bとからなる。そして、基本セル321は、長手方向に垂直な断面の面積が小容量セル321bの長手方向に垂直な断面の面積よりも大きい大容量セル321aと、大容量セル321aより断面積の小さい小容量セル321bとからなる。
【0099】
また、外方ハニカム焼成体320の外周セル324a、324b、324cは、長手方向に垂直な断面の形状が基本セル321a、321bと同じ基本セル324a、324bのほかに基本セル324a、324bと形状の異なる変形セル324cを含み、変形セル324cは、長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.90mmの円が挿入可能なセルである。すなわち、直径0.90mmの円が挿入不可能なセルの場合には、セルを形成せず、その部分が完全にセル壁と同じ材料で充填され、ハニカム焼成体の外周壁328となるか、その部分が削除されて断面凹部となっている。
この外方ハニカム焼成体320の内側に配置されているのが、内方ハニカム焼成体310であり、大容量セル311aと小容量セル311bとからなる。なお、322は、封止材である。
【0100】
外周壁328の長手方向に垂直な断面形状は、凸部328aと凹部328bとからなる段差が設けられた外周壁となっており、凸部328a及び凹部328bの断面の形状は、R面取りが施された形状の曲線により構成されている。このR面取りの曲率半径は、0.3〜2.5mmである。
本発明の第三実施形態に係るハニカム構造体においても、セルのいずれかの端部が封止材で封止されており、セル壁がPM等を捕集するためのフィルタとして機能する。
本発明の第三実施形態に係るハニカム構造体は、本発明の第一実施形態と同様の効果を奏するほか、断面積が全て同じセルを有するハニカム構造体100と比べて、より大量のPMを捕集することができる。
【0101】
上記ハニカム構造体を構成するハニカム焼成体310、320は、炭化ケイ素又はケイ素含有炭化ケイ素からなる多孔質体であることが好ましい。
【0102】
(第四実施形態)
図8(a)〜(c)は、本発明の第四実施形態に係るハニカム構造体を模式的に示す図である。図8(a)は、本発明の第四実施形態のハニカム構造体400を模式的に示した断面図であり、図8(b)は、図8(a)に示すハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体420の端面近傍を模式的に示す断面図であり、図8(c)は、図8(a)に示すハニカム構造体を構成する別の外方ハニカム焼成体430の端面近傍を模式的に示す断面図である。
【0103】
図8(a)〜(c)に示すハニカム構造体400では、図8(b)に示すような形状の8個の外方ハニカム焼成体420及び図8(c)に示すような形状の4個の外方ハニカム焼成体430と、その内側に配置された4個の内方ハニカム焼成体410とが接着材層401(401A〜401D)を介して結束されてセラミックブロック403を構成し、さらに、このセラミックブロック403の外周にコート層402が形成されている。
内方ハニカム焼成体410の断面の形状は略正方形である。
図8(b)に示すように、外方ハニカム焼成体420の断面は、3つの線分420a、420b、420cと1つの略円弧420dとで囲まれた形状をなしており、線分420aと線分420bとの角度、及び、線分420bと線分420cの角度は、いずれも90°であった。また、図8(c)に示すように、外方ハニカム焼成体430の断面は、2つの線分430a、430bと1つの略円弧430cとで囲まれた形状をなしており、線分430aと線分430bとの角度は、90°であった。
【0104】
図8(b)に示すように、外方ハニカム焼成体420は、セラミックブロック403の外周を構成する外周壁428を有し、外方ハニカム焼成体420のセル421、424(424a、424b)は、セラミックブロック403の外周を構成する外周壁428に接する外周セル424a、424bと、外周セル424a、424bより内側に位置する基本セル421とからなる。外方ハニカム焼成体420の外周セル424a、424bは、長手方向に垂直な断面の形状が基本セル421と同じ基本セル424bのほかに基本セル424bと形状の異なる変形セル424aを含み、変形セル424aは、長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.90mmの円が挿入可能なセルである。すなわち、直径0.90mmの円が挿入不可能なセルの場合には、セルを形成せず、その部分がセル壁と同じ材料で完全に充填され、ハニカム焼成体の外周壁428となるか、その部分が削除されて断面凹部となっている。
【0105】
また、図8(c)に示すように、外方ハニカム焼成体430は、セラミックブロック403の外周を構成する外周壁438を有し、外方ハニカム焼成体430のセル431、434(434a、434b)は、セラミックブロック403の外周を構成する外周壁438に接する外周セル434a、434bと、外周セル434a、434bより内側に位置する基本セル431とからなる。外方ハニカム焼成体430の外周セル434a、434bは、長手方向に垂直な断面の形状が基本セル431と同じ基本セル434bのほかに基本セル434bと形状の異なる変形セル434aを含み、変形セル434aは、長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.90mmの円が挿入可能なセルである。すなわち、直径0.90mmの円が挿入不可能なセルの場合には、セルを形成せず、その部分がセル壁と同じ材料で完全に充填され、ハニカム焼成体の外周壁438となるか、その部分が削除されて断面凹部となっている。
【0106】
ハニカム焼成体の外周壁428、438の長手方向に垂直な断面形状は、凸部428a、438aと凹部428b、438bからなる段差が設けられた外周壁となっており、凸部428a、438a及び凹部428b、438bの断面の形状は、R面取りが施された形状の曲線により構成されている。このR面取りの曲率半径は、0.3〜2.5mmである。
このハニカム構造体400においても、セルのいずれかの端部が封止材で封止されており、セル壁がPM等を捕集するためのフィルタとして機能する。
【0107】
ハニカム構造体400を構成するハニカム焼成体410、420、430は、炭化ケイ素又はケイ素含有炭化ケイ素からなる多孔質体であることが好ましい。
【0108】
(その他の実施形態)
本発明の実施形態に係るハニカム構造体の断面の形状は、略円形に限定されるものでなく、例えば、略楕円形、略長円形、又は、略レーストラック形等であってもよい。
上記本発明の実施形態においては、セラミックブロックの外周面にコート層が形成されているが、コート層は形成されていなくてもよい。
【0109】
また、本発明の実施形態に係るハニカム構造体において、内方ハニカム焼成体の個数は、複数個に限定されず、1個であってもよい。
図9は、本発明の他の実施形態に係るハニカム構造体の断面図である。
【0110】
図9に示したハニカム構造体700の構成は、内方ハニカム焼成体の個数が1個である以外は、本発明の第一実施形態に係るハニカム構造体100と同一である。
即ち、図9に示したハニカム構造体700では、図1に示したハニカム構造体100の接着材層101Aを介して結束された4個の内方ハニカム焼成体110に代えて、1個の内方ハニカム焼成体710を備えている。
内方ハニカム焼成体710は、内方ハニカム焼成体110と比べて、断面積が大きいものの、その機能は同一である。外方ハニカム焼成体720は、ハニカム構造体100を構成するハニカム焼成体120と同様である。
【0111】
ハニカム焼成体の外周壁の長手方向に垂直な断面形状は、凸部と凹部とからなる段差が設けられた外周壁となっており、凸部及び凹部の断面の形状は、面取りが施された形状となっていることが望ましい。
面取りの形状は、特に限定されず、R面取りであっても、C面取りであってもよいが、R面取りされた形状であることが望ましく、その曲率半径は、0.3〜2.5mmであることが望ましい。
【0112】
セラミックブロックの外周を構成する外周壁の厚さは、特に限定されるものではないが、内部に位置するハニカム焼成体(セラミックブロック)のセル壁の厚さよりも厚いことが望ましく、内部に位置するハニカム焼成体(セラミックブロック)のセル壁の厚さの1.3〜3.0倍であることがより望ましい。
【0113】
本発明の実施形態に係るハニカム構造体において、内方ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面積は、900〜2500mm2であることが望ましい。
内方ハニカム焼成体の断面積が上記範囲にあると、ハニカム構造体に再生処理を施した際に、ハニカム焼成体にハニカム焼成体の膨張又は収縮に起因するクラックが発生しにくくなるからである。
【0114】
本発明の実施形態に係るハニカム構造体において、変形セルを除いた外周セル及び基本セルは、図7に示したように、大容量セルと小容量セルとからなるものであってもよい。この場合、大容量セルと小容量セルとの断面形状は、特に限定されるものではないが、図7に示したように、大容量セルの断面形状が略八角形であり、小容量セルの断面形状が略四角形であってもよく、大容量セルの長手方向に垂直な断面の形状は略四角形であり、小容量セルの長手方向に垂直な断面の形状は略四角形であってもよい。また、セルの各辺の断面形状が曲線により構成されていてもよい。
本発明の実施形態に係るハニカム構造体では、小容量セルの長手方向に垂直な断面に対する大容量セルの長手方向に垂直な断面の面積比(大容量セル断面積/小容量セル断面積)は、1.01〜9.00であることが好ましい。
【0115】
本発明の実施形態に係るハニカム構造体は、セルの端部が封止されていなくてもよい。このようなハニカム構造体は、触媒担持体として使用することが可能である。
本発明の実施形態に係るセラミックブロックは、ケーキ形状のハニカム焼成体で構成されていてもよい。ケーキ形状のハニカム焼成体の種類は、1つであっても複数種類であってもよく、その個数は特に限定されない。
なお、ケーキ形状とは、円柱を中心軸を通るように、複数に切断した際の1つの柱状体をいい、複数のケーキ形状のハニカム焼成体を組み合わせると円柱状になる。
また、セラミックブロックは、1つのハニカム焼成体より構成されていてもよい。
セラミックブロックが1つのハニカム焼成体で構成される場合には、ハニカム焼成体は、コージェライト又はチタン酸アルミニウムからなるものであることが望ましい。1つのハニカム焼成体から構成されている場合にも、同様の効果が得られると考えられる。
【0116】
上記接着材ペースト及びコート材ペーストに含まれる無機バインダとしては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機バインダのなかでは、シリカゾルが望ましい。
【0117】
上記接着材ペースト及びコート材ペーストに含まれる無機粒子としては、例えば、炭化物、窒化物等からなる無機粒子を挙げることができ、具体的には、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素からなる無機粒子等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機粒子のなかでは、熱伝導性に優れる炭化ケイ素からなる無機粒子が望ましい。
【0118】
上記接着材ペースト及びコート材ペーストに含まれる無機繊維及び/又はウィスカとしては、例えば、シリカ−アルミナ、ムライト、アルミナ、シリカ等からなる無機繊維及び/又はウィスカ等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機繊維のなかでは、アルミナファイバが望ましい。
【0119】
上記ハニカム焼成体の平均気孔径は5〜30μmであることが望ましい。ハニカム焼成体からなるハニカム構造体をハニカムフィルタとして使用した場合、ハニカム焼成体の平均気孔径が5μm未満であると、パティキュレートが容易に目詰まりを起こすことがあり、一方、平均気孔径が30μmを超えると、パティキュレートが気孔を通り抜けてしまい、該パティキュレートを捕集することができず、フィルタとして機能することができないことがあるからである。
【0120】
なお、上記気孔率及び平均気孔径は、従来公知の方法である水銀圧入法により測定することができる。
【0121】
上記ハニカム焼成体の断面におけるセル密度は特に限定されないが、望ましい下限は、31.0個/cm2(200個/in2)、望ましい上限は、93個/cm2(600個/in2)、より望ましい下限は、38.8個/cm2(250個/in2)、より望ましい上限は、77.5個/cm2(500個/in2)である。
また、上記ハニカム焼成体のセル壁の厚さは、特に限定されるものではないが、0.1〜0.4mmであることが望ましい。
【0122】
上記ハニカム焼成体の構成材料の主成分は、炭化ケイ素に限定されるわけではなく、他のセラミック原料として、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、コージェライト、チタン酸アルミニウム等の酸化物セラミック等が挙げられる。
これらのなかで、複数のハニカム焼成体からなるハニカム構造体の場合、ハニカム焼成体の主成分は、非酸化物セラミックが好ましく、炭化ケイ素又はケイ素含有炭化ケイ素が特に好ましい。耐熱性、機械強度、熱伝導率等に優れるからである。
【0123】
上記湿潤混合物に混合される有機バインダとしては特に限定されず、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール等が挙げられる。これらのなかでは、メチルセルロースが望ましい。上記有機バインダの配合量は、通常、上記セラミック粉末100重量部に対して、1〜10重量部が望ましい。
上記湿潤混合物に混合される可塑剤は、特に限定されず、例えば、グリセリン等が挙げられる。
上記湿潤混合物に混合される潤滑剤は特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン系化合物等が挙げられる。具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンモノブチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル等が挙げられる。
なお、可塑剤、潤滑剤は、場合によっては、湿潤混合物に含まれていなくてもよい。
【0124】
また、上記湿潤混合物を調製する際には、分散媒液を使用してもよく、分散媒液としては、例えば、水、ベンゼン等の有機溶媒、メタノール等のアルコール等が挙げられる。
さらに、上記湿潤混合物中には、成形助剤が添加されていてもよい。
上記成形助剤としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等が挙げられる。
【0125】
さらに、上記湿潤混合物には、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等の造孔剤を添加してもよい。
バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等が挙げられる。これらのなかでは、アルミナバルーンが望ましい。
【0126】
上記ハニカム構造体には、排ガスを浄化するための触媒を担持させてもよく、担持させる触媒としては、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属が望ましく、このなかでは、白金がより望ましい。また、その他の触媒として、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属、バリウム等のアルカリ土類金属を用いることもできる。これらの触媒は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0127】
本発明の実施形態に係るハニカム構造体の製造方法における結束工程は、接着材ペーストを各ハニカム焼成体の側面に塗布する方法以外に、例えば、作製するセラミックブロック(又はハニカム焼成体の集合体)の形状と略同形状の型枠内に各ハニカム焼成体を仮固定した状態とし、接着材ペーストを各ハニカム焼成体間に注入する方法等によって行ってもよい。
【符号の説明】
【0128】
100、200、400、700 ハニカム構造体
101、101A〜101D、201A〜201D、401A〜401D、701B〜701D 接着材層
102、202、402、702 コート層
103、203、403、703 セラミックブロック
110、210、310、410、710 内方ハニカム焼成体
120、220、230、310、320、420、430、720 外方ハニカム焼成体
128、228、238、328、428、438 外周壁
111、121、124b、221、224b、231、234b、311a、311b、321a、321b、324a、324b、421、424b、431、434b セル
124a、224a、234a、324c、424a、434a 変形セル
112、122、222、232、312、322、422、432 封止材
113、123、223、233、313、323、423、433 セル壁
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
バス、トラック等の車両又は建設機械等の内燃機関から排出される排ガス中に含有されるスス等のパティキュレート(以下、PMともいう)及びその他の有害成分が環境や人体に害を及ぼすことが最近問題となっている。そこで、排ガス中のPMを捕集して排ガスを浄化するハニカムフィルタとして、多孔質セラミックからなるハニカム構造体が種々提案されている。
【0003】
このようなハニカム構造体として、従来、多数のセルを有するハニカム焼成体が複数個結束されたセラミックブロックからなるハニカム構造体が知られている(特許文献1)。特許文献1に記載の従来のハニカム構造体を製造する際に用いられるハニカム焼成体のうち、ハニカム構造体の最外周部に位置するハニカム焼成体の例を、図11(a)及び図11(b)に模式的に示す。図11(a)及び図11(b)に示すハニカム焼成体1110及びハニカム焼成体1120では、セラミックブロックの外周面を構成する曲面に最も近いセル1111及びセル1121のその長手方向に垂直な断面形状(以下、単に断面形状ともいう)は、それらのセルより内側に位置するセルの断面形状と異なり、略三角形又は略台形となっており、セル1111及びセル1121の一辺が上記曲面に沿って形成されている。
【0004】
また、特許文献1には、ハニカム焼成体のセルにおいて、ハニカム焼成体の焼成体外周壁のうち、セラミックブロックの外周を構成する焼成体外周壁近傍にセルを形成せず、封止材ペーストの充填を容易にしたハニカム構造体も提案されている。図12(a)及び図12(b)に、セラミックブロックの外周を構成する焼成体外周壁(以下、ブロック外周壁ともいう)近傍にセルが形成されていない従来のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の例をそれぞれ示す。ハニカム焼成体1130及びハニカム焼成体1140の形状は、図11(a)及び図11(b)に示したハニカム焼成体1110及びハニカム焼成体1120の形状とそれぞれ同一である。また、ハニカム焼成体1130のセル1131、及び、ハニカム焼成体1140のセル1141の断面形状は全て略正方形状であり、セラミックブロックの外周を構成するブロック外周壁1134又は1144の近傍にはセルが形成されていない。
【0005】
また、ハニカム焼成体のセルにおいて、ハニカム焼成体の焼成体外周壁のうち、セラミックブロックの外周を構成するブロック外周壁と接しているセル(以下、最外周部に位置するセルともいう)の断面形状と最外周部以外に位置するセルの断面形状とを同一とし、封止材ペーストの充填を容易にしたハニカム構造体が提案されている(特許文献2)。図13(a)及び図13(b)に、最外周部に位置するセルの断面形状と最外周部以外に位置するセルの断面形状とを同一とした従来のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の例をそれぞれ示す。ハニカム焼成体1150のセル1151、及び、ハニカム焼成体1160のセル1161の断面形状は全て略正方形状であり、セル1151又はセル1161が等間隔に並ぶようにセル1151又はセル1161の位置が設計されている。そして、最外周部に位置するセルの断面形状と最外周部以外に位置するセルの断面形状とを同一にするために、ハニカム焼成体1150の焼成体外周壁1154、又は、ハニカム焼成体1160の焼成体外周壁1164には、最外周部に位置するセル1151又はセル1161の位置に対応した段差が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−154718号公報
【特許文献2】国際公開第2008/126335号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の従来のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体1110のセル1111、及び、ハニカム焼成体1120のセル1121を封止する際には、セルの開口面積が小さいことから、封止材ペーストを充填しにくかったり、封止材の漏れ、及び/又は、はみ出しが生じやすかったりし、これによりセルの封止が不充分となることがある。
【0008】
そして、セルの封止が不充分であるハニカム焼成体を用いて製造したハニカム構造体を排ガス浄化フィルタとして使用すると、ハニカム構造体に流入した排ガスがセル壁を通過せずに同一のセルから流出してしまい、フィルタとしての機能を果たさないという問題がある。
【0009】
図12(a)、(b)に示すハニカム焼成体からなる従来のハニカム構造体によると、従来では開口面積が小さくなって封止材ペーストの充填が困難であったセルが存在しない。そのため、封止材ペーストの充填が容易となり、ハニカム構造体の製造効率が向上する。
【0010】
しかしながら、このような従来のハニカム構造体では、ハニカム構造体全体の開口率が低くなるため、図11(a)及び図11(b)に示した従来のハニカム構造体と比較してPMを充分に捕集することができないという問題がある。
【0011】
図12(a)、(b)に記載のハニカム焼成体からなる従来のハニカム構造体によると、従来では開口面積が小さくなって封止材ペーストの充填が困難であった最外周部のセルも、最外周部のセル以外のセルの開口面積と同じ開口面積を有する。そのため、封止材ペーストの充填が容易となり、ハニカム構造体の製造効率が向上するが、ハニカム構造体の開口率が低くなるため、図11(a)及び図11(b)に示した従来のハニカム構造体と比較して、PMを充分に捕集することができないという問題がある。
【0012】
また、特許文献2に記載の従来のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体においては、ハニカム焼成体の外周壁に段差が設けられている。すなわち、このようなハニカム焼成体の外周壁には、図13(a)及び図13(b)に示すように、凸部1155及び凹部1156からなる段差、又は、凸部1165及び凹部1166からなる段差が設けられている。
このような形状を有するハニカム焼成体についても、湿潤混合物を押出成形することによりハニカム成形体を作製することとなるが、押出成形後の乾燥工程、焼成工程、ハニカム構造体の組立工程等の際に、治具等の接触によりハニカム成形体の外周壁に存在する凸角部が欠けたり、ハニカム成形体及びハニカム焼成体の膨張及び収縮等により、凹角部にクラックが入ったりする等の成形不良が発生する。これにより、ハニカム構造体の製造効率の低下を招く。
【0013】
さらに、このようなハニカム焼成体を用いてハニカム構造体を製造した場合、製造したハニカム構造体の外周部には、凸部及び凹部が依然として存在する。そのため、このハニカム構造体をハニカムフィルタとして使用する際に、高温に晒された際のハニカム焼成体の膨張及び収縮等により、ハニカム構造体の外周部に欠け及び/又はクラック等の不良が発生し易いという問題もある。
【0014】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、セルを封止するための封止材ペーストの充填が容易であり、欠け等が発生しにくく、かつ、開口率の高いハニカム構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、請求項1に記載のハニカム構造体は、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、外周に外周壁が形成されたハニカム焼成体から構成されたセラミックブロックからなるハニカム構造体であって、
上記セルは、上記セラミックブロックの外周を構成するハニカム焼成体の外周壁に接する外周セルと、上記外周セルより内側に位置する基本セルとからなり、
上記外周セルは、上記長手方向に垂直な断面の形状が上記基本セルと異なる変形セルを含み、
上記変形セルは、上記長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.90mmの円が挿入可能なセルであることを特徴とする。
【0016】
請求項1に記載のハニカム構造体では、外周セルは、長手方向に垂直な断面の形状が基本セルと異なる変形セルを含み、変形セルは、長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.90mmの円が挿入可能なセルである。
従来であれば、外方ハニカム焼成体の外周セルには、直径0.90mmの円が挿入不可能な開口面積が小さい変形小セルが含まれており、このため封止材ペーストを充填しにくかったり、封止材の漏れやはみ出しが生じやすかったりし、これによりセルの封止が不充分となることがある。
しかしながら、請求項1に記載のハニカム構造体では、変形セルは、全て直径0.90mmの円が挿入可能な開口面積が比較的大きい変形セルであり、その他は、基本セルより構成されているので、封止材ペーストを充填し易く、封止材の漏れやはみ出しが発生しにくく、良好に変形セルを封止することができる。従って、PMの捕集等のハニカムフィルタとして機能を果たさない不良セルが発生しにくく、本発明のハニカム構造体は、ハニカムフィルタとして使用するハニカム構造体に要求されているPMの捕集等の機能を良好に果たすことができる。
【0017】
また、請求項1に記載のハニカム構造体では、上記変形セルが全て充填されることはなく、長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.90mmの円が挿入可能なセルは、フィルタを構成するセルとして機能するので、ハニカム構造体全体の開口率を高く保つことができ、PMを充分に捕集することができる。
【0018】
さらに、請求項1に記載のハニカム構造体では、セラミックブロックの外周に変形セルが存在するので、外周セルが全て基本セルからなる場合と比較してセラミックブロックの外周の形状における突部がなだらかな形状となり、高温に晒された際等の応力集中が発生しにくく、凸角部に欠けが発生しにくくなる。
【0019】
上記変形セルは、上記長手方向に垂直な断面形状の内部に直径1.57mmの円が挿入不可能なセルであることが望ましい。1.57mmの円が挿入可能な大きな断面積を有する変形セルの場合には、セルの断面が大きすぎるため、機械的な強度が不充分となる。
【0020】
本明細書において、ハニカム焼成体のセル壁とは、2つのセルの間に存在し、2つのセルを隔てている部分をいう。また、本明細書において、ハニカム焼成体の外周壁とは、ハニカム焼成体の周囲に存在し、ハニカム焼成体の外周を構成している壁の部分をいう。
【0021】
本明細書において、基本セルとは、ハニカム焼成体を構成するセルを長手方向に垂直な断面で観察した際、1種類の形状(同一形状)のセル、又は、複数個の異なる形状の組み合わせからなるセルが、上下左右に一定の繰り返しで形成されている最小単位のセルをいう。例えば、図3(a)及び図3(b)に示す外方ハニカム焼成体120では、外方ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面において、略正方形の図形が繰り返されている。この場合、略正方形のセルを基本セルという。また、例えば、図7(b)に示す内方ハニカム焼成体310では、セル断面積の異なる2種類のセルが繰り返されている。この場合、セル断面積の異なる2種類のセルの両方を合わせて基本セルという。ただし、便宜的に上記セル断面積の異なる2種類のセルのうち、一方のセルを基本セルという場合もある。
また、本明細書において、基本形成パターンとは、上記基本セルの形状をいう。
【0022】
本明細書において、変形セルとは、外方ハニカム焼成体の外周壁に接する外周セルの1種であって、上記外方ハニカム焼成体を構成するセルを長手方向に垂直な断面で観察した際、上記基本セルの形状と比べて部分的に欠けた形状となっており、基本セルのセル断面積より小さいセル断面積を有するセルをいう。基本セルが1種類の形状のセルである場合には、上記基本セルよりも小さい断面積を有するセルを変形セルという。また、基本セルがセル断面積の異なる2種類以上のセルを組み合わせたパターンの繰り返しとなっている外方ハニカム焼成体においては、例えば、相対的にセル断面積の大きい形状のセルよりも小さいセル断面積を有するセル、又は、相対的にセル断面積の小さい形状のセルより小さい断面積を有するセルを変形セルという。変形セルは、不完全セルともいう。
【0023】
請求項2に記載のハニカム構造体では、上記変形セルは、上記長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.95mmの円が挿入可能なセルである。
【0024】
請求項2に記載のハニカム構造体では、変形セルは、長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.95mmの円が挿入可能なセルであり、開口面積がより大きくなるので、より良好に変形セルを封止することができ、ハニカムフィルタとして使用するハニカム構造体に要求されているPMの捕集等の機能をより良好に果たすことができる。
また、請求項2に記載のハニカム構造体では、ハニカム構造体全体の開口率をより高く保つことができ、PMを充分に捕集することができる。
さらに、請求項2に記載のハニカム構造体では、セラミックブロックの外周の形状における突部がなだらかな形状となり、高温に晒された際等に応力集中が発生しにくく、凸角部に欠けが発生しにくくなる。
【0025】
請求項3に記載のハニカム構造体では、上記セラミックブロックの外周を構成する外周壁は、上記ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面形状が、その内部に直径0.90mmの円が挿入不可能な変形小セルの内部をセル壁と同じ材料で完全に充填した外周壁を含む。
請求項3に記載のハニカム構造体では、ハニカム成形体を作製する際に、上記変形小セルの内部を完全に充填しているので、封止材ペーストを充填する必要がなく、変形小セルの充填不良が発生することを防止することができる。
【0026】
請求項4に記載のハニカム構造体では、上記セラミックブロックは、接着材層を介して複数個のハニカム焼成体が結束されてなる。
このように、セラミックブロックが接着材層を介して複数個のハニカム焼成体が結束されてなる場合であっても、長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.90mmの円が挿入可能な変形セルを有するので、請求項1に記載の発明の場合と同様の効果を奏する。
【0027】
請求項5に記載のハニカム構造体では、上記セラミックブロックは、異なる形状を有する上記ハニカム焼成体が組み合わされるとともに、上記セラミックブロックの外周を構成する外周壁を有する外方ハニカム焼成体と上記外方ハニカム焼成体より内側に位置する内方ハニカム焼成体とから構成されており、外方ハニカム焼成体が上記した変形セルを含むので、請求項1に記載の発明の場合と同様の効果を奏する。
【0028】
請求項6に記載のハニカム構造体では、変形セルが形成されていることに加え、上記セラミックブロックの外周を構成するハニカム焼成体の外周壁の上記長手方向に垂直な断面形状は、凸部と凹部とからなる段差が設けられた外周壁となっており、上記凸部及び/又は上記凹部は、上記凸部及び/又は上記凹部に面取りが施された形状の曲線により構成されている。
請求項6に記載のハニカム構造体では、高温に晒された際等に応力集中が発生しにくく、発生する応力を緩和することができ、上記凸部及び/又は上記凹部に欠け及び/又はクラックが発生するのを、効果的に防止することができる。
【0029】
本明細書において、外方ハニカム焼成体の外周壁に設けられている凸部に面取りが施されているとは、凸部の断面形状が、外周壁の角部が削られた形状になっていることをいう。
一方、外方ハニカム焼成体の外周壁に設けられている凹部に面取りが施されているとは、凹部の断面形状が、外周壁の角部が擬似的に面取りを施された形状と同じ形状になるように、外周壁の角部が充填されたような形状になっていることをいう。例えば、外方ハニカム焼成体の外周壁が擬似的にR面取り又はC面取りを施された形状と同じ形状になっていれば、凹部にR面取り又はC面取りが施されているという。
【0030】
請求項7に記載のハニカム構造体では、上記凸部及び/又は上記凹部は、上記凸部及び/又は上記凹部にR面取りが施された形状となっており、上記R面取りの曲率半径は、0.3〜2.5mmである。
請求項7に記載のハニカム構造体では、高温に晒された際等に応力集中が発生しにくく、発生する応力をより効果的に緩和することができ、クラック等の発生をより効果的に防止することができる。R面取りの曲率半径が0.3mm未満であると、熱等により発生する応力をより効果的に緩和することが難しくなり、一方、R面取りの曲率半径が2.5mmを超えると、R面取りの処理が難しくなる。
【0031】
請求項8に記載のハニカム構造体では、上記変形セルを除いた上記外周セルの上記長手方向に垂直な断面の形状、及び、上記基本セルの上記長手方向に垂直な断面の形状は、略四角形である。
【0032】
請求項9に記載のハニカム構造体では、上記変形セルを除いた上記外周セル、及び、上記基本セルは、大容量セルと、小容量セルとからなり、
上記大容量セルの上記長手方向に垂直な断面の面積は、上記小容量セルの上記長手方向に垂直な断面の面積よりも大きい。
請求項9に記載のハニカム構造体では、このハニカム構造体を排ガス浄化用フィルタとして用いた際に、大量のPMを捕集することができる。
【0033】
請求項10に記載のハニカム構造体では、上記大容量セルの上記長手方向に垂直な断面の形状は略四角形であり、上記小容量セルの上記長手方向に垂直な断面の形状は略四角形である。
【0034】
請求項11に記載のハニカム構造体では、上記大容量セルの上記長手方向に垂直な断面の形状は略八角形であり、上記小容量セルの上記長手方向に垂直な断面の形状は略四角形である。
請求項11に記載のハニカム構造体では、大容量セルの断面形状が略八角形であり、小容量セルの断面形状が略四角形であるので、大容量セルと小容量セルとを対称性よく配置し易く、そのため、セル壁の歪等が発生しにくく、機械的強度に優れたハニカム構造体となる。
【0035】
請求項12に記載のハニカム構造体では、上記大容量セル及び上記小容量セルの上記長手方向に垂直な断面においては、セルの各辺の長手方向に垂直な断面の形状が曲線により構成されている。従って、セル壁は応力集中が起こりにくく、セル壁にクラック等がより発生しにくい。
【0036】
請求項13に記載のハニカム構造体では、上記セラミックブロックの外周を構成するハニカム焼成体の外周壁の厚さは、ハニカム焼成体の内部に位置するセル壁の厚さよりも厚い。
また、請求項14に記載のハニカム構造体では、上記セラミックブロックの外周を構成するハニカム焼成体の外周壁の厚さは、内部に位置するハニカム焼成体のセル壁の厚さの1.3〜3.0倍である。
請求項13、14に記載のハニカム構造体では、ハニカム焼成体の外周壁の厚さが内部のセル壁よりも厚いため、外側からの圧縮力等が発生した際にハニカム焼成体の外周壁が破壊されにくく、機械的特性に優れたハニカム構造体となる。外周を構成するハニカム焼成体の外周壁の厚さが、内部に位置するハニカム焼成体のセル壁の厚さの1.3倍未満であると、ハニカム焼成体の外周壁の機械的強度の改善が望めず、一方、外周を構成するハニカム焼成体の外周壁の厚さが、内部に位置するハニカム焼成体のセル壁の厚さの3.0倍を超えると、外周壁の厚さが厚くなりすぎ、ハニカム構造体の開口率が低下する。
【0037】
請求項15に記載のハニカム構造体では、上記外方ハニカム焼成体の断面は、上記長手方向に垂直な断面の形状が3つの直線と上記セラミックブロックの外周の一部を構成する外周壁に囲まれた形状からなる略扇形であり、上記内方ハニカム焼成体の断面は、上記長手方向に垂直な断面の形状が略四角形からなる略四角形ユニットである。
請求項15に記載のハニカム構造体では、上記断面略扇形ユニットと上記断面略四角形ユニットとを組み合わせることにより、少ない数のハニカム焼成体で効率よくハニカム構造体を構成することができる。そのため、ハニカム構造体の製造が容易となり、製造コスト低減につながる。
【0038】
請求項16に記載のハニカム構造体では、上記セルのそれぞれ一方の端部は、交互に封止されている。そのため、上記ハニカム構造体は、フィルタとして機能する。
請求項17に記載のハニカム構造体では、上記セラミックブロックの外周面には、コート層が形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を模式的に示す斜視図である。
【図2】図2(a)は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体における内方ハニカム焼成体を模式的に示した斜視図であり、図2(b)は、図2(a)に示す内方ハニカム焼成体のB−B線断面図である。
【図3】図3(a)は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体における外方ハニカム焼成体を模式的に示す斜視図であり、図3(b)は、図3(a)に示す外方ハニカム焼成体の端面近傍を模式的に示す断面図である。
【図4】図4は、図1に示すハニカム構造体のA−A線断面図である。
【図5】図5は、本発明の第二実施形態のハニカム構造体の断面図である。
【図6】図6(a)は、本発明の第二実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の端面近傍を模式的に示す断面図であり、図6(b)は、本発明の第二実施形態のハニカム構造体を構成する別の外方ハニカム焼成体の端面近傍を模式的に示す断面図である。
【図7】図7(a)は、本発明の第三実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の端面近傍を模式的に示す断面図であり、図7(b)は、本発明の第三実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体の端面近傍を模式的に示す断面図である。
【図8】図8(a)は、本発明の第四実施形態のハニカム構造体を模式的に示した断面図であり、図8(b)は、図8(a)に示すハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の端面近傍を模式的に示す断面図であり、図8(c)は、図8(a)に示すハニカム構造体を構成する別の外方ハニカム焼成体の端面近傍を模式的に示す断面図である。
【図9】図9は、本発明のさらに別の実施形態に係るハニカム構造体の断面図である。
【図10】図10は、実施例1〜4及び比較例1〜4における挿入可能な円の直径と封止不良率を図示するグラフである。
【図11】図11(a)は、従来のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図であり、図11(b)は、従来のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の他の一例を模式的に示す斜視図である。
【図12】図12(a)は、従来のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図であり、図12(b)は、従来のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の他の一例を模式的に示す斜視図である。
【図13】図13(a)は、従来のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図であり、図13(b)は、従来のハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の他の一例を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明のハニカム構造体は、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、外周に外周壁が形成されたハニカム焼成体から構成されたセラミックブロックからなるハニカム構造体であって、
上記セルは、上記セラミックブロックの外周を構成するハニカム焼成体の外周壁に接する外周セルと、上記外周セルより内側に位置する基本セルとからなり、
上記外周セルは、上記長手方向に垂直な断面の形状が上記基本セルと異なる変形セルを含み、
上記変形セルは、上記長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.90mmの円が挿入可能なセルであることを特徴とする。
【0041】
上記セラミックブロックは、接着材層を介して複数個のハニカム焼成体が結束されていることが望ましく、また、上記セラミックブロックは、異なる形状を有する上記ハニカム焼成体が組み合わされるとともに、上記セラミックブロックの外周を構成する外周壁を有する外方ハニカム焼成体と上記外方ハニカム焼成体より内側に位置する内方ハニカム焼成体とから構成されていることが望ましい。
以下、上記ハニカム構造体の具体的な実施形態を説明していく。
【0042】
(第一実施形態)
本発明のハニカム構造体の第一実施形態について図面を参照しながら説明する。
本明細書において、単に、ハニカム構造体の断面、ハニカム焼成体の断面、又は、ハニカム成形体の断面と表記した場合、それぞれ、ハニカム構造体の長手方向に垂直な断面、ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面、又は、ハニカム成形体の長手方向に垂直な断面を指す。
また、本明細書において、単に、ハニカム焼成体の断面積と表記した場合、ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面の断面積を指す。
【0043】
図1は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を模式的に示す斜視図である。図2(a)は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体を模式的に示す斜視図であり、図2(b)は、図2(a)に示す内方ハニカム焼成体のB−B線断面図である。図3(a)は、本発明の第一実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体を模式的に示す斜視図であり、図3(b)は、図3(a)に示す外方ハニカム焼成体の端面近傍を模式的に示す断面図である。図4は、図1に示すハニカム構造体のA−A線断面図である。
【0044】
図1、図4に示すハニカム構造体100では、図3(a)、(b)に示すような形状の8個の外方ハニカム焼成体120と、その内側に配置された図2(a)、(b)に示すような形状の4個の内方ハニカム焼成体110とが接着材層101(101A〜101D)を介して結束されてセラミックブロック103を構成し、さらに、このセラミックブロック103の外周にコート層102が形成されている。
内方ハニカム焼成体110の断面の形状は略正方形である。
外方ハニカム焼成体120の断面は、図4に示すように、3つの線分120a、120b、120cと1つの略円弧120dとで囲まれる形状をなす略扇形であり、この3つの線分のうちの2つの線分よりなる2つの角(線分120bと線分120cとが成す角、及び、線分120aと線分120bとが成す角)がそれぞれ90°と135°である。なお、略円弧の形状については、後述する。
【0045】
また、ハニカム構造体100は、その断面において、外周部の接着材層101C、101Dのうち、中央部の角部からハニカム構造体100の外周側面に向かう方向に形成されている接着材層101Cと、中央部の角部以外からハニカム構造体100の外周側面に向かう方向に形成されている接着材層101Dとが45°の角をなしている。
【0046】
図2(a)、(b)に示す内方ハニカム焼成体110には、多数のセル111がセル壁113を隔てて長手方向(図2(a)中、矢印aの方向)に並設されており、セル111のいずれかの端部が封止材112で封止されている。従って、一方の端面が開口したセル111に流入した排ガスG(図2(b)中、矢印参照)は、必ずセル111を隔てるセル壁113を通過した後、他方の端面が開口した他のセル111から流出するようになっている。従って、セル壁113がPM等を捕集するためのフィルタとして機能する。
【0047】
図3(a)、(b)に示す外方ハニカム焼成体120もまた、内方ハニカム焼成体110と同様、多数のセル121がセル壁123を隔てて長手方向に並設されており、セル121のいずれかの端部が封止材122で封止されている。従って、一方の端面が開口したセル121に流入した排ガスは、必ずセル121を隔てるセル壁123を通過した後、他方の端面が開口した他のセル121から流出するようになっている。
即ち、外方ハニカム焼成体120は、外観形状が内方ハニカム焼成体110と異なるものの、その機能は内方ハニカム焼成体110と同一である。
【0048】
図3(a)、(b)に示すように、外方ハニカム焼成体120は、セラミックブロック103の外周を構成する外周壁128を有し、外方ハニカム焼成体120のセル121、124(124a、124b)は、セラミックブロック103の外周を構成する外周壁128に接する外周セル124a、124bと、外周セル124a、124bより内側に位置する基本セル121とからなる。外方ハニカム焼成体120の外周セル124a、124bは、長手方向に垂直な断面の形状が基本セル121と同じ基本セル124bのほかに基本セル124bと形状の異なる変形セル124aを含み、変形セル124aは、長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.90mmの円が挿入可能なセルである。すなわち、直径0.90mmの円が挿入不可能なセルの場合には、セルを形成せず、その部分がセル壁と同じ材料で完全に充填され、ハニカム焼成体の外周壁128となるか、その部分が削除されて断面凹部となっている。
【0049】
なお、長手方向に垂直な断面の大きさが基本セルである内側セルの略四角形(略正方形)よりも小さいセルを変形セルという。また、セルの断面形状は、直角部があってもよいし、直角部に相当する箇所が、円弧(セルが擬似的にR面取りされた形状)、又は、C面取りされた形状(セルが擬似的にC面取りされた形状)であってもよい。
【0050】
直径0.90mmの円が挿入不可能なセルの場合、セルを形成せず、その部分がセル壁と同じ材料で完全に充填され、ハニカム焼成体の外周壁の一部となっていてもよい。また、その部分が削除され、セルの長手方向に垂直なセラミックブロックの断面が凹部形状となっていてもよい。さらに、上記した両方の態様となっていてもよい。セルの長手方向に垂直なセラミックブロックの断面が凹部形状となっている場合、単に断面凹部ともいうこととする。
【0051】
なお、直径0.90mmの円が挿入可能なセルとは、実際のセルに、直径0.90mmの治具(例えば、金属性の棒、セラミック製の棒)を実際に差し込んだ場合、セルに差し込むことができるか、セルに差し込んだ場合に破損(クラック、割れ等)が発生しないかを確認して、挿入可否の判断を行ってもよく、設計図面中のセルの寸法値と挿入可能な円の寸法値との対比からセルへの挿入の可否の判断を行ってもよい。これらのなかでは、判断のし易さ、作業の容易性から設計図面から判断することが望ましい。
【0052】
直径0.90mmの円の挿入が不可能な開口面積が小さい変形小セルが含まれていると、封止材ペーストを充填しにくかったり、封止材の漏れやはみ出しが生じやすかったりし、これによりセルの封止が不充分となることがある。
しかしながら、本実施形態に係るハニカム構造体100では、変形セル124aは、全て直径0.90mmの円が挿入可能な開口面積が比較的大きい変形セルであり、その他は、基本セル121、124bより構成されているので、封止材ペーストを充填し易く、封止材の漏れやはみ出しが発生しにくく、良好に変形セルを封止することができる。
【0053】
また、外周壁128の長手方向に垂直な断面形状は、略円弧状と記載したが、具体的には、ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面において、凸部128aと凹部128bとからなる段差が設けられた外周壁となっており、凸部128a及び凹部128bの断面の形状は、R面取りが施された形状の曲線により構成されている。このR面取りの曲率半径は、0.3〜2.5mmが好ましい。
【0054】
ハニカム構造体100を構成するハニカム焼成体110、120は、炭化ケイ素又はケイ素含有炭化ケイ素からなる多孔質体であることが好ましい。
【0055】
次に、本実施形態に係るハニカム構造体の製造方法について説明する。なお、セラミック粉末として、炭化ケイ素を用いる場合について説明することとする。
(1)セラミック粉末とバインダとを含む湿潤混合物を押出成形することによってハニカム成形体を作製する成形工程を行う。
具体的には、まず、セラミック粉末として平均粒子径の異なる炭化ケイ素粉末と、有機バインダと液状の可塑剤と潤滑剤と水とを湿式混合機を用いて混合することにより、ハニカム成形体製造用の湿潤混合物を調製する。
続いて、上記湿潤混合物を押出成形機に投入する。上記湿潤混合物を押出成形機に投入し、押出成形することにより所定の形状のハニカム成形体を作製する。
【0056】
ここで、断面が略正方形のハニカム成形体や、断面が3つの線分と1つの略円弧とで囲まれ、この3つの線分のうちの2つの線分よりなる2つの角がそれぞれ90°と135°である形状のハニカム成形体を作製するためには、それぞれの形状に応じた押出成形用金型を使用する。
【0057】
(2)次に、ハニカム成形体を所定の長さに切断し、マイクロ波乾燥機、熱風乾燥機、誘電乾燥機、減圧乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機等を用いて乾燥させた後、所定のセルに封止材となる封止材ペーストを充填して上記セルを目封じする封止工程を行う。この際、変形セルも、内部に直径0.90mmの円が挿入可能なセルであるので、良好に封止作業を行うことができる。
なお、切断工程、乾燥工程、封止工程の条件は、従来からハニカム焼成体を作製する際に用いられている条件を適用することができる。
【0058】
(3)次に、ハニカム成形体中の有機物を脱脂炉中で加熱する脱脂工程を行い、焼成炉に搬送し、焼成工程を行ってハニカム焼成体を作製する。
なお、脱脂工程及び焼成工程の条件としては、従来からハニカム焼成体を作製する際に用いられている条件を適用することができる。
以上の工程によって、内方ハニカム焼成体と外方ハニカム焼成体とを製造することができる。
【0059】
(4)次に、各セルの所定の端部が封止された内方ハニカム焼成体及び外方ハニカム焼成体のそれぞれの所定の側面に、接着材ペーストを塗布して接着材ペースト層を形成し、この接着材ペースト層の上に、順次他のハニカム焼成体を積層する工程を繰り返して所定数のハニカム焼成体が結束されたセラミックブロックを作製する結束工程を行う。
ここで接着材ペーストとしては、例えば、無機バインダと有機バインダと無機粒子とからなるものを使用する。また、上記接着材ペーストはさらに無機繊維及び/又はウィスカを含んでいてもよい。
【0060】
(5)次に、略円柱状としたセラミックブロックの外周に、コート材ペーストを塗布し、乾燥、固化してコート層を形成するコート層形成工程を行う。
ここでコート材ペーストとしては、上記接着材ペーストと同様のペーストを使用する。なお、コート材ペーストとして異なる組成のペーストを使用してもよい。
なお、コート層は必ずしも設ける必要はなく、必要に応じて設ければよい。
以上の工程によって、本実施形態に係るハニカム構造体を製造することができる。
【0061】
以下、本実施形態に係るハニカム構造体の作用効果について列挙する。
(1)本実施形態に係るハニカム構造体では、外方ハニカム焼成体の外周セルは、長手方向に垂直な断面の形状が基本セルと異なる変形セルを含み、変形セルは、長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.90mmの円が挿入可能なセルである。
従って、封止材ペーストを充填し易く、封止材の漏れやはみ出しが発生しにくく、良好に変形セルを封止することができる。
また、本実施形態に係るハニカム構造体では、上記変形セルが全てセル壁と同じ材料で充填されたもの、又は、変性セルの全てが削除されたものではなく、上記変形セルは、フィルタを構成するセルとして機能するので、ハニカム構造体全体の開口率を高く保つことができ、PMを充分に捕集することができる。
【0062】
(2)本実施形態に係るハニカム構造体では、セラミックブロックの外周に変形セルが存在するので、外周セルが全て基本セルからなる場合と比較してセラミックブロックの外周の形状における突部がなだらかな形状となり、治具等の接触又は高温に晒された際等の応力集中に起因する凸角部への欠けが発生しにくくなる。
【0063】
(3)本実施形態に係るハニカム焼成体では、各セルのいずれか一方の端部が封止材で封止されている。そのため、本実施形態に係るハニカム構造体は、ディーゼルパティキュレートフィルタとして好適に使用することができる。
(4)本実施形態に係るハニカム構造体では、外周壁の長手方向に垂直な断面形状は、凸部と凹部とからなる段差が設けられ、上記凸部及び上記凹部の断面形状は、上記凸部及び上記凹部にR面取りが施された形状の曲線により構成されているので、治具等の接触又は高温に晒された際等に応力集中が発生しにくく、熱等により発生する応力を緩和することができ、上記凸部や上記凹部に欠け及び/又はクラックが発生するのを、効果的に防止することができる。
【0064】
以下、本発明の第一実施形態をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0065】
(実施例1)
(1)平均粒子径22μmを有する炭化ケイ素の粗粉末52.8重量%と、平均粒子径0.5μmの炭化ケイ素の微粉末22.6重量%とを混合し、得られた混合物に対して、アクリル樹脂2.1重量%、有機バインダ(メチルセルロース)4.6重量%、潤滑剤(日油社製 ユニルーブ)2.8重量%、グリセリン1.3重量%、及び、水13.8重量%を加えて混練して湿潤混合物を得た後、押出成形する成形工程を行った。
本工程では、図2(a)、(b)に示した内方ハニカム焼成体110と略同様の形状であって、セルの目封じをしていない生のハニカム成形体と、図3(a)、(b)に示した外方ハニカム焼成体120と略同様の形状であって、セルの目封じをしていない生のハニカム成形体とを作製した。
【0066】
(2)次いで、マイクロ波乾燥機を用いて上記生のハニカム成形体を乾燥させ、ハニカム成形体の乾燥体とした後、上記湿潤混合物と同様の組成のペーストを所定のセルに充填する充填工程を行った後、再び乾燥機を用いて乾燥させた。
【0067】
(3)乾燥させたハニカム成形体を400℃で脱脂する脱脂工程を行い、さらに、常圧のアルゴン雰囲気下2200℃、3時間の条件で焼成工程を行った。
これにより、気孔率が45%、平均気孔径が15μm、大きさが34.5mm×34.5mm×150mm、セルの数(セル密度)が300個/inch2、セル壁の厚さが0.25mm(10mil)、セルの幅が1.42mmの多孔質炭化ケイ素焼結体からなる内方ハニカム焼成体110と、気孔率、平均気孔径、セルの数(セル密度)、セル壁の厚さ及びセルの幅が内方ハニカム焼成体110と同一で、断面が3つの線分と1つの略円弧とで囲まれ、この3つの線分のうちの2つの線分よりなる2つの角がそれぞれ90°と135°である形状(線分120a=20.8mm、線分120b=35.0mm、線分120c=35.7mm)の外方ハニカム焼成体120とを製造した。このとき、変形セル124aは、長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.90mmの円が挿入可能なセルであり、直径0.90mmの円が挿入不可能なセルとなる部分は、予めセルとなる部分が湿潤混合物で充填されてハニカム焼成体の外周壁となるか、その部分が削除されて断面凹部となるように製造する。
【0068】
(4)内方ハニカム焼成体110、及び、外方ハニカム焼成体120の所定の側面に接着材ペーストを塗布し、この接着材ペーストを介して内方ハニカム焼成体110を4個と、外方ハニカム焼成体120を8個とを図1に示した配置になるように接着させ、さらに、180℃、20分で接着材ペーストを固化させることにより、接着材層の厚さが1mmで円柱状のセラミックブロック103を作製した。
ここで、接着材ペーストとしては、平均粒径0.6μmの炭化ケイ素粒子30.0重量%、シリカゾル21.4重量%(固形分30重量%)、カルボキシメチルセルロース8.0重量%、及び、水40.6重量%からなる接着材ペーストを使用した。
【0069】
(5)上記(4)の工程で使用した接着材ペーストをコート材ペーストとして用いて、セラミックブロック103の外周部にコート材ペースト層を形成した。その後、このコート材ペースト層を120℃で乾燥して、外周にコート層102が形成された直径143.8mm×長さ150mmの円柱状のハニカム構造体100を製造した。
【0070】
(実施例2)
外方ハニカム焼成体120を製造する際、変形セル124aを長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.95mmの円が挿入可能なセルとし、直径が0.95mmの円が挿入不可能なセルとなる部分は、全てのセルが湿潤混合物で充填されてハニカム焼成体の外周壁となるか、その部分が削除されて断面凹部となるように、押出成形用の金型の形状を変え、外方ハニカム焼成体120用のハニカム成形体を作製したほかは、実施例1と同様にしてハニカム構造体を製造した。
【0071】
(比較例1)
外方ハニカム焼成体120を製造する際、変形セル124aを長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.85mmの円が挿入可能なセルとし、直径が0.85mmの円が挿入不可能なセルとなる部分は、全てセルが湿潤混合物で充填されてハニカム焼成体の外周壁となるか、その部分が削除されて断面凹部となるように、押出成形用の金型の形状を変え、外方ハニカム焼成体120用のハニカム成形体を作製したほかは、実施例1と同様にしてハニカム構造体を製造した。
【0072】
(比較例2)
外方ハニカム焼成体120を製造する際、変形セル124aを長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.80mmの円が挿入可能なセルとし、直径が0.80mmの円が挿入不可能なセルとなる部分は、全てのセルが湿潤混合物で充填されてハニカム焼成体の外周壁となるか、その部分が削除されて断面凹部となるように、押出成形用の金型の形状を変え、外方ハニカム焼成体120用のハニカム成形体を作製したほかは、実施例1と同様にしてハニカム構造体を製造した。
【0073】
(封止不良の評価)
実施例及び比較例で作製した外方ハニカム焼成体を50個用いて光漏れ検査を行った。該光漏れ検査は、光漏れ検査機を用い、セル開口から光を当て、封止側から光が漏れているか否かを確認する。1つの外方ハニカム焼成体のセルのうち、1つでも光漏れがあった場合には、不良とし、封止不良率を算出した。その結果を表1及び図10に示す。
【0074】
【表1】
【0075】
表1の結果より明らかなように、実施例2では、封止不良のセルの割合が0%であったのに対し、実施例1では、2%と、わずかに封止不良のものが存在したが、許容できる不良割合であった。
一方、比較例1、2では、封止不良のものが、それぞれ8%、16%と大きく増加した。
【0076】
(第二実施形態)
以下、本発明のハニカム構造体の別の一実施形態である第二実施形態について図面を参照しながら説明する。
図5は、本発明の第二実施形態のハニカム構造体の断面図である。図6(a)は、本発明の第二実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体220の端面近傍を模式的に示す断面図であり、図6(b)は、本発明の第二実施形態のハニカム構造体を構成する別の外方ハニカム焼成体230の端面近傍を模式的に示す断面図である。
【0077】
本実施形態に係るハニカム構造体200では、図5に示すように、8個の外方ハニカム焼成体220及び8個の外方ハニカム焼成体230と、その内側に配置された9個の内方ハニカム焼成体210とが複数個ずつ接着材層201A〜201Dを介して結束されてセラミックブロック203を構成し、さらに、このセラミックブロック203の外周にコート層202が形成されている。
内方ハニカム焼成体210の断面の形状は略正方形である。
外方ハニカム焼成体220の断面は、3つの線分220a、220b、220cと1つの略円弧220dとで囲まれた形状をなしており、この3つの線分のうちの2つの線分よりなる2つの角(線分220aと線分220bとが成す角、及び、線分220bと線分220cとが成す角)がともに90°である。
外方ハニカム焼成体230の断面は、3つの線分230a、230b、230cと1つの略円弧230dとで囲まれた略扇形ユニットであり、この3つの線分のうちの2つの線分よりなる2つの角(線分230bと線分230cとが成す角、及び、線分230aと線分230bとが成す角)がそれぞれ90°と135°である。
また、ハニカム焼成体210、220、230は、多孔質炭化ケイ素焼結体又は多孔質ケイ素含有炭化珪素からなるものであることが望ましい。
【0078】
図6(a)に示すように、8個の外方ハニカム焼成体220は、セラミックブロック203の外周を構成する外周壁228を有し、外方ハニカム焼成体220のセル221、224(224a、224b)は、セラミックブロック203の外周を構成する外周壁228に接する外周セル224a、224bと、外周セル224a、224bより内側に位置する基本セル221とからなる。外方ハニカム焼成体220の外周セル224a、224bは、長手方向に垂直な断面の形状が基本セル221と同じ基本セル224bのほかに基本セル224bと形状の異なる変形セル224aを含み、変形セル224aは、長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.90mmの円が挿入可能なセルである。すなわち、直径0.90mmの円が挿入不可能なセルの場合には、セルを形成せず、その部分が完全にセル壁と同じ材料で充填され、ハニカム焼成体の外周壁228となるか、その部分が削除されて断面凹部となっている。この外方ハニカム焼成体220の内側に配置されているのが、内方ハニカム焼成体210である。なお、222は、封止材である。
【0079】
図6(b)に示す8個の外方ハニカム焼成体230も、外方ハニカム焼成体220と同様、セラミックブロック203の外周を構成する外周壁238を有し、外方ハニカム焼成体230のセル231、234(234a、234b)は、セラミックブロック203の外周を構成する外周壁238に接する外周セル234a、234bと、外周セル234a、234bより内側に位置する基本セル231とからなる。外方ハニカム焼成体230の外周セル234a、234bは、長手方向に垂直な断面の形状が基本セル231と同じ基本セル234bのほかに基本セル234bと形状の異なる変形セル234aを含み、変形セル234aは、長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.90mmの円が挿入可能なセルである。すなわち、直径0.90mmの円が挿入不可能なセルの場合には、セルを形成せず、その部分がセル壁と同じ材料で完全に充填され、ハニカム焼成体の外周壁238となるか、その部分が削除されて断面凹部となっている。なお、232は、封止材である。
【0080】
外周壁228、238の長手方向に垂直な断面形状は、凸部228a、238aと凹部228b、238bとからなる段差が設けられた外周壁となっており、凸部228a、238a及び凹部228b、238bの断面の形状は、R面取りが施された形状の曲線により構成されている。このR面取りの曲率半径は、0.3〜2.5mmである。
このハニカム構造体200においても、セルのいずれかの端部が封止材で封止されており、セル壁がPM等を捕集するためのフィルタとして機能する。
【0081】
次に、本実施形態に係るハニカム構造体の製造方法について説明する。
本実施形態におけるハニカム構造体の製造方法は、下記の点で異なる以外は、本発明の第一実施形態におけるハニカム構造体の製造方法と同一である。
即ち、本発明の第一実施形態に係る製造方法の(1)の成形工程で作製するハニカム成形体の形状が、セルのいずれか一方の端部が封止されていない以外は、図5に示した内方ハニカム焼成体210、及び、外方ハニカム焼成体220、230と略同一の形状である点、並びに、本発明の第一実施形態に係る製造方法の(4)の結束工程を行う際に、内方ハニカム焼成体210、及び、外方ハニカム焼成体220、230が、図5に示した場所に位置するように各ハニカム焼成体を結束する点以外は、本発明の第一実施形態におけるハニカム構造体の製造方法と同一の方法を用いることにより、本発明の本実施形態に係るハニカム構造体を製造することができる。
【0082】
本実施形態に係るハニカム構造体では、本発明の第一実施形態に係るハニカム構造体と同様の作用効果を享受することができる。
【0083】
以下、本発明の第二実施形態をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0084】
(実施例3)
(1)実施例1の(1)の成形工程と同様の方法を用いて、図5に示した内方ハニカム焼成体210、及び、外方ハニカム焼成体220、230と略同様の形状であって、セルの目封じをしていない生のハニカム成形体を作製した。
【0085】
(2)次いで、マイクロ波乾燥機を用いて上記生のハニカム成形体を乾燥させ、ハニカム成形体の乾燥体とした後、上記湿潤混合物と同様の組成のペーストを所定のセルに充填し、再び乾燥機を用いて乾燥させた。
【0086】
(3)乾燥させたハニカム成形体を400℃で脱脂する脱脂工程を行い、さらに、常圧のアルゴン雰囲気下2200℃、3時間の条件で焼成工程を行った。
これにより、気孔率が45%、平均気孔径が15μm、大きさが34.5mm×34.5mm×200mm、セルの数(セル密度)が300個/inch2、セル壁の厚さが0.25mm(10mil)、セルの幅が1.42mmの多孔質炭化ケイ素焼結体からなる内方ハニカム焼成体210と、気孔率、平均気孔径、セルの数(セル密度)、セル壁の厚さ及びセルの幅が内方ハニカム焼成体210と同一で、断面が3つの線分と1つの略円弧とで囲まれ、この3つの線分のうちの2つの線分よりなる2つの角がともに90°である形状(線分220a=45.6mm、線分220b=26.8mm、線分220c=41.8mm)の外方ハニカム焼成体220と、気孔率、平均気孔径、セルの数(セル密度)、セル壁の厚さ及びセルの幅が内方ハニカム焼成体210と同一で、断面が3つの線分と1つの略円弧とで囲まれ、この3つの線分のうちの2つの線分よりなる2つの角がそれぞれ90°と135°である形状(線分230a=24.9mm、線分230b=24.5mm、線分230c=41.8mm)の外方ハニカム焼成体230とを製造した。このとき、変形セル224a、234aは、長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.90mmの円が挿入可能なセルであり、直径0.90mmの円が挿入不可能なセルとなる部分は、予めセルとなる部分がセル壁と同じ材料で充填されてハニカム焼成体の外周壁となるか、その部分が削除されて断面凹部となるように製造する。
【0087】
(4)内方ハニカム焼成体210、及び、外方ハニカム焼成体220、230の所定の側面に接着材ペーストを塗布し、この接着材ペーストを介して内方ハニカム焼成体210を9個と、外方ハニカム焼成体220を8個と、外方ハニカム焼成体230を8個とを図5に示した配置になるように接着させ、さらに、180℃、20分で接着材ペーストを固化させることにより、接着材層の厚さが1mmで円柱状のセラミックブロック203を作製した。
ここで、接着材ペーストとしては、実施例1と同様の接着材ペーストを使用した。
【0088】
(5)上記(4)の工程で使用した接着材ペーストをコート材ペーストとして用いて、セラミックブロック203の外周部にコート材ペースト層を形成した。その後、このコート材ペースト層を120℃で乾燥して、外周にコート層202が形成された直径203.2mm×長さ200mmの円柱状のハニカム構造体200を製造した。
【0089】
(実施例4)
外方ハニカム焼成体220、230を製造する際、変形セル224a、234aを長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.95mmの円が挿入可能なセルとし、直径が0.95mmの円が挿入不可能なセルとなる部分は、全てセルが湿潤混合物で充填されてハニカム焼成体の外周壁となるか、その部分が削除されて断面凹部となるように、押出成形用の金型の形状を変え、外方ハニカム焼成体220、230用のハニカム成形体を作製したほかは、実施例3と同様にしてハニカム構造体を製造した。
【0090】
(比較例3)
外方ハニカム焼成体220、230を製造する際、変形セル224a、234aを長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.85mmの円が挿入可能なセルとし、直径が0.85mmの円が挿入不可能なセルとなる部分は、全てセルが湿潤混合物で充填されてハニカム焼成体の外周壁となるか、その部分が削除されて断面凹部となるように、押出成形用の金型の形状を変え、外方ハニカム焼成体220、230用のハニカム成形体を作製したほかは、実施例3と同様にしてハニカム構造体を製造した。
【0091】
(比較例4)
外方ハニカム焼成体220、230を製造する際、変形セル224a、234aを長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.80mmの円が挿入可能なセルとし、直径が0.80mmの円が挿入不可能なセルとなる部分は、全てセルが湿潤混合物で充填されてハニカム焼成体の外周壁となるか、その部分が削除されて断面凹部となるように、押出成形用の金型の形状を変え、外方ハニカム焼成体220、230用のハニカム成形体を作製したほかは、実施例3と同様にしてハニカム構造体を製造した。
【0092】
(封止不良の評価)
実施例3〜4及び比較例3〜4に係るハニカム構造体についても、実施例1〜2及び比較例1〜2で作製した外方ハニカム焼成体の場合と同様に封止不良が発生しているか否かを確認し、封止不良率を算出した。その結果を表2及び図10に示す。
【0093】
【表2】
【0094】
表2の結果より明らかなように、実施例4では、封止不良のセルの割合が0%であったのに対し、実施例3では、4%と、若干封止不良のものが存在したが、許容できる不良割合であった。
一方、比較例3、4では、封止不良のものが、それぞれ12%、18%と大きく増加した。
【0095】
図10は、実施例1〜4及び比較例1〜4における挿入可能な円の直径と封止不良率を図示するグラフである。
図10に示すように、変形セルを、長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.90mm又は0.95mmの円が挿入可能なセルとした実施例1〜実施例4の場合には、封止不良率が極めて小さく、問題がない程度の不良率であると考えられるのに対し、長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.85mm又は0.80mmの円が挿入可能なセルとした比較例1〜比較例4の場合には、封止不良率が充分に低いとは言えず、生産効率が落ちることがわかる。
【0096】
(第三実施形態)
図7(a)は、本発明の第三実施形態のハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体の端面近傍を模式的に示す断面図であり、図7(b)は、本発明の第三実施形態のハニカム構造体を構成する内方ハニカム焼成体の端面近傍を模式的に示す断面図である。
本発明の第三実施形態に係るハニカム構造体では、変形セルを除いた外周セル、及び、基本セルは、大容量セルと小容量セルとからなり、大容量セルの長手方向に垂直な断面の面積は、小容量セルの長手方向に垂直な断面の面積よりも大きいほかは、図2、3に示した外形形状と同様の形状のハニカム焼成体310とハニカム焼成体320とからなる。また、ハニカム構造体を構成するハニカム焼成体310、320の組み合わせ方も図1に示すハニカム構造体と同様である。
【0097】
すなわち、内方ハニカム焼成体310の断面の形状は略正方形であり、外方ハニカム焼成体320の断面は、3つの線分320a、320b、320cと1つの略円弧320dとで囲まれる形状をなしており、この3つの線分のうちの2つの線分よりなる2つの角(線分320bと線分320cとが成す角、及び、線分320aと線分320bとが成す角)がそれぞれ90°と135°である。
【0098】
図7(a)、(b)に示すように、外方ハニカム焼成体320は、セラミックブロックの外周を構成する外周壁328を有し、外方ハニカム焼成体320のセル321(321a、321b)、324(324a、324b、324c)は、セラミックブロックの外周を構成する外周壁328に接する外周セル324a、324b、324cと、外周セル324a、324b、324cより内側に位置する基本セル321a、321bとからなる。そして、基本セル321は、長手方向に垂直な断面の面積が小容量セル321bの長手方向に垂直な断面の面積よりも大きい大容量セル321aと、大容量セル321aより断面積の小さい小容量セル321bとからなる。
【0099】
また、外方ハニカム焼成体320の外周セル324a、324b、324cは、長手方向に垂直な断面の形状が基本セル321a、321bと同じ基本セル324a、324bのほかに基本セル324a、324bと形状の異なる変形セル324cを含み、変形セル324cは、長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.90mmの円が挿入可能なセルである。すなわち、直径0.90mmの円が挿入不可能なセルの場合には、セルを形成せず、その部分が完全にセル壁と同じ材料で充填され、ハニカム焼成体の外周壁328となるか、その部分が削除されて断面凹部となっている。
この外方ハニカム焼成体320の内側に配置されているのが、内方ハニカム焼成体310であり、大容量セル311aと小容量セル311bとからなる。なお、322は、封止材である。
【0100】
外周壁328の長手方向に垂直な断面形状は、凸部328aと凹部328bとからなる段差が設けられた外周壁となっており、凸部328a及び凹部328bの断面の形状は、R面取りが施された形状の曲線により構成されている。このR面取りの曲率半径は、0.3〜2.5mmである。
本発明の第三実施形態に係るハニカム構造体においても、セルのいずれかの端部が封止材で封止されており、セル壁がPM等を捕集するためのフィルタとして機能する。
本発明の第三実施形態に係るハニカム構造体は、本発明の第一実施形態と同様の効果を奏するほか、断面積が全て同じセルを有するハニカム構造体100と比べて、より大量のPMを捕集することができる。
【0101】
上記ハニカム構造体を構成するハニカム焼成体310、320は、炭化ケイ素又はケイ素含有炭化ケイ素からなる多孔質体であることが好ましい。
【0102】
(第四実施形態)
図8(a)〜(c)は、本発明の第四実施形態に係るハニカム構造体を模式的に示す図である。図8(a)は、本発明の第四実施形態のハニカム構造体400を模式的に示した断面図であり、図8(b)は、図8(a)に示すハニカム構造体を構成する外方ハニカム焼成体420の端面近傍を模式的に示す断面図であり、図8(c)は、図8(a)に示すハニカム構造体を構成する別の外方ハニカム焼成体430の端面近傍を模式的に示す断面図である。
【0103】
図8(a)〜(c)に示すハニカム構造体400では、図8(b)に示すような形状の8個の外方ハニカム焼成体420及び図8(c)に示すような形状の4個の外方ハニカム焼成体430と、その内側に配置された4個の内方ハニカム焼成体410とが接着材層401(401A〜401D)を介して結束されてセラミックブロック403を構成し、さらに、このセラミックブロック403の外周にコート層402が形成されている。
内方ハニカム焼成体410の断面の形状は略正方形である。
図8(b)に示すように、外方ハニカム焼成体420の断面は、3つの線分420a、420b、420cと1つの略円弧420dとで囲まれた形状をなしており、線分420aと線分420bとの角度、及び、線分420bと線分420cの角度は、いずれも90°であった。また、図8(c)に示すように、外方ハニカム焼成体430の断面は、2つの線分430a、430bと1つの略円弧430cとで囲まれた形状をなしており、線分430aと線分430bとの角度は、90°であった。
【0104】
図8(b)に示すように、外方ハニカム焼成体420は、セラミックブロック403の外周を構成する外周壁428を有し、外方ハニカム焼成体420のセル421、424(424a、424b)は、セラミックブロック403の外周を構成する外周壁428に接する外周セル424a、424bと、外周セル424a、424bより内側に位置する基本セル421とからなる。外方ハニカム焼成体420の外周セル424a、424bは、長手方向に垂直な断面の形状が基本セル421と同じ基本セル424bのほかに基本セル424bと形状の異なる変形セル424aを含み、変形セル424aは、長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.90mmの円が挿入可能なセルである。すなわち、直径0.90mmの円が挿入不可能なセルの場合には、セルを形成せず、その部分がセル壁と同じ材料で完全に充填され、ハニカム焼成体の外周壁428となるか、その部分が削除されて断面凹部となっている。
【0105】
また、図8(c)に示すように、外方ハニカム焼成体430は、セラミックブロック403の外周を構成する外周壁438を有し、外方ハニカム焼成体430のセル431、434(434a、434b)は、セラミックブロック403の外周を構成する外周壁438に接する外周セル434a、434bと、外周セル434a、434bより内側に位置する基本セル431とからなる。外方ハニカム焼成体430の外周セル434a、434bは、長手方向に垂直な断面の形状が基本セル431と同じ基本セル434bのほかに基本セル434bと形状の異なる変形セル434aを含み、変形セル434aは、長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.90mmの円が挿入可能なセルである。すなわち、直径0.90mmの円が挿入不可能なセルの場合には、セルを形成せず、その部分がセル壁と同じ材料で完全に充填され、ハニカム焼成体の外周壁438となるか、その部分が削除されて断面凹部となっている。
【0106】
ハニカム焼成体の外周壁428、438の長手方向に垂直な断面形状は、凸部428a、438aと凹部428b、438bからなる段差が設けられた外周壁となっており、凸部428a、438a及び凹部428b、438bの断面の形状は、R面取りが施された形状の曲線により構成されている。このR面取りの曲率半径は、0.3〜2.5mmである。
このハニカム構造体400においても、セルのいずれかの端部が封止材で封止されており、セル壁がPM等を捕集するためのフィルタとして機能する。
【0107】
ハニカム構造体400を構成するハニカム焼成体410、420、430は、炭化ケイ素又はケイ素含有炭化ケイ素からなる多孔質体であることが好ましい。
【0108】
(その他の実施形態)
本発明の実施形態に係るハニカム構造体の断面の形状は、略円形に限定されるものでなく、例えば、略楕円形、略長円形、又は、略レーストラック形等であってもよい。
上記本発明の実施形態においては、セラミックブロックの外周面にコート層が形成されているが、コート層は形成されていなくてもよい。
【0109】
また、本発明の実施形態に係るハニカム構造体において、内方ハニカム焼成体の個数は、複数個に限定されず、1個であってもよい。
図9は、本発明の他の実施形態に係るハニカム構造体の断面図である。
【0110】
図9に示したハニカム構造体700の構成は、内方ハニカム焼成体の個数が1個である以外は、本発明の第一実施形態に係るハニカム構造体100と同一である。
即ち、図9に示したハニカム構造体700では、図1に示したハニカム構造体100の接着材層101Aを介して結束された4個の内方ハニカム焼成体110に代えて、1個の内方ハニカム焼成体710を備えている。
内方ハニカム焼成体710は、内方ハニカム焼成体110と比べて、断面積が大きいものの、その機能は同一である。外方ハニカム焼成体720は、ハニカム構造体100を構成するハニカム焼成体120と同様である。
【0111】
ハニカム焼成体の外周壁の長手方向に垂直な断面形状は、凸部と凹部とからなる段差が設けられた外周壁となっており、凸部及び凹部の断面の形状は、面取りが施された形状となっていることが望ましい。
面取りの形状は、特に限定されず、R面取りであっても、C面取りであってもよいが、R面取りされた形状であることが望ましく、その曲率半径は、0.3〜2.5mmであることが望ましい。
【0112】
セラミックブロックの外周を構成する外周壁の厚さは、特に限定されるものではないが、内部に位置するハニカム焼成体(セラミックブロック)のセル壁の厚さよりも厚いことが望ましく、内部に位置するハニカム焼成体(セラミックブロック)のセル壁の厚さの1.3〜3.0倍であることがより望ましい。
【0113】
本発明の実施形態に係るハニカム構造体において、内方ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面積は、900〜2500mm2であることが望ましい。
内方ハニカム焼成体の断面積が上記範囲にあると、ハニカム構造体に再生処理を施した際に、ハニカム焼成体にハニカム焼成体の膨張又は収縮に起因するクラックが発生しにくくなるからである。
【0114】
本発明の実施形態に係るハニカム構造体において、変形セルを除いた外周セル及び基本セルは、図7に示したように、大容量セルと小容量セルとからなるものであってもよい。この場合、大容量セルと小容量セルとの断面形状は、特に限定されるものではないが、図7に示したように、大容量セルの断面形状が略八角形であり、小容量セルの断面形状が略四角形であってもよく、大容量セルの長手方向に垂直な断面の形状は略四角形であり、小容量セルの長手方向に垂直な断面の形状は略四角形であってもよい。また、セルの各辺の断面形状が曲線により構成されていてもよい。
本発明の実施形態に係るハニカム構造体では、小容量セルの長手方向に垂直な断面に対する大容量セルの長手方向に垂直な断面の面積比(大容量セル断面積/小容量セル断面積)は、1.01〜9.00であることが好ましい。
【0115】
本発明の実施形態に係るハニカム構造体は、セルの端部が封止されていなくてもよい。このようなハニカム構造体は、触媒担持体として使用することが可能である。
本発明の実施形態に係るセラミックブロックは、ケーキ形状のハニカム焼成体で構成されていてもよい。ケーキ形状のハニカム焼成体の種類は、1つであっても複数種類であってもよく、その個数は特に限定されない。
なお、ケーキ形状とは、円柱を中心軸を通るように、複数に切断した際の1つの柱状体をいい、複数のケーキ形状のハニカム焼成体を組み合わせると円柱状になる。
また、セラミックブロックは、1つのハニカム焼成体より構成されていてもよい。
セラミックブロックが1つのハニカム焼成体で構成される場合には、ハニカム焼成体は、コージェライト又はチタン酸アルミニウムからなるものであることが望ましい。1つのハニカム焼成体から構成されている場合にも、同様の効果が得られると考えられる。
【0116】
上記接着材ペースト及びコート材ペーストに含まれる無機バインダとしては、例えば、シリカゾル、アルミナゾル等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機バインダのなかでは、シリカゾルが望ましい。
【0117】
上記接着材ペースト及びコート材ペーストに含まれる無機粒子としては、例えば、炭化物、窒化物等からなる無機粒子を挙げることができ、具体的には、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素からなる無機粒子等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機粒子のなかでは、熱伝導性に優れる炭化ケイ素からなる無機粒子が望ましい。
【0118】
上記接着材ペースト及びコート材ペーストに含まれる無機繊維及び/又はウィスカとしては、例えば、シリカ−アルミナ、ムライト、アルミナ、シリカ等からなる無機繊維及び/又はウィスカ等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。無機繊維のなかでは、アルミナファイバが望ましい。
【0119】
上記ハニカム焼成体の平均気孔径は5〜30μmであることが望ましい。ハニカム焼成体からなるハニカム構造体をハニカムフィルタとして使用した場合、ハニカム焼成体の平均気孔径が5μm未満であると、パティキュレートが容易に目詰まりを起こすことがあり、一方、平均気孔径が30μmを超えると、パティキュレートが気孔を通り抜けてしまい、該パティキュレートを捕集することができず、フィルタとして機能することができないことがあるからである。
【0120】
なお、上記気孔率及び平均気孔径は、従来公知の方法である水銀圧入法により測定することができる。
【0121】
上記ハニカム焼成体の断面におけるセル密度は特に限定されないが、望ましい下限は、31.0個/cm2(200個/in2)、望ましい上限は、93個/cm2(600個/in2)、より望ましい下限は、38.8個/cm2(250個/in2)、より望ましい上限は、77.5個/cm2(500個/in2)である。
また、上記ハニカム焼成体のセル壁の厚さは、特に限定されるものではないが、0.1〜0.4mmであることが望ましい。
【0122】
上記ハニカム焼成体の構成材料の主成分は、炭化ケイ素に限定されるわけではなく、他のセラミック原料として、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、コージェライト、チタン酸アルミニウム等の酸化物セラミック等が挙げられる。
これらのなかで、複数のハニカム焼成体からなるハニカム構造体の場合、ハニカム焼成体の主成分は、非酸化物セラミックが好ましく、炭化ケイ素又はケイ素含有炭化ケイ素が特に好ましい。耐熱性、機械強度、熱伝導率等に優れるからである。
【0123】
上記湿潤混合物に混合される有機バインダとしては特に限定されず、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール等が挙げられる。これらのなかでは、メチルセルロースが望ましい。上記有機バインダの配合量は、通常、上記セラミック粉末100重量部に対して、1〜10重量部が望ましい。
上記湿潤混合物に混合される可塑剤は、特に限定されず、例えば、グリセリン等が挙げられる。
上記湿潤混合物に混合される潤滑剤は特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン系化合物等が挙げられる。具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンモノブチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル等が挙げられる。
なお、可塑剤、潤滑剤は、場合によっては、湿潤混合物に含まれていなくてもよい。
【0124】
また、上記湿潤混合物を調製する際には、分散媒液を使用してもよく、分散媒液としては、例えば、水、ベンゼン等の有機溶媒、メタノール等のアルコール等が挙げられる。
さらに、上記湿潤混合物中には、成形助剤が添加されていてもよい。
上記成形助剤としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等が挙げられる。
【0125】
さらに、上記湿潤混合物には、必要に応じて酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、球状アクリル粒子、グラファイト等の造孔剤を添加してもよい。
バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等が挙げられる。これらのなかでは、アルミナバルーンが望ましい。
【0126】
上記ハニカム構造体には、排ガスを浄化するための触媒を担持させてもよく、担持させる触媒としては、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属が望ましく、このなかでは、白金がより望ましい。また、その他の触媒として、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属、バリウム等のアルカリ土類金属を用いることもできる。これらの触媒は、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0127】
本発明の実施形態に係るハニカム構造体の製造方法における結束工程は、接着材ペーストを各ハニカム焼成体の側面に塗布する方法以外に、例えば、作製するセラミックブロック(又はハニカム焼成体の集合体)の形状と略同形状の型枠内に各ハニカム焼成体を仮固定した状態とし、接着材ペーストを各ハニカム焼成体間に注入する方法等によって行ってもよい。
【符号の説明】
【0128】
100、200、400、700 ハニカム構造体
101、101A〜101D、201A〜201D、401A〜401D、701B〜701D 接着材層
102、202、402、702 コート層
103、203、403、703 セラミックブロック
110、210、310、410、710 内方ハニカム焼成体
120、220、230、310、320、420、430、720 外方ハニカム焼成体
128、228、238、328、428、438 外周壁
111、121、124b、221、224b、231、234b、311a、311b、321a、321b、324a、324b、421、424b、431、434b セル
124a、224a、234a、324c、424a、434a 変形セル
112、122、222、232、312、322、422、432 封止材
113、123、223、233、313、323、423、433 セル壁
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、外周に外周壁が形成されたハニカム焼成体から構成されたセラミックブロックからなるハニカム構造体であって、
前記セルは、前記セラミックブロックの外周を構成するハニカム焼成体の外周壁に接する外周セルと、前記外周セルより内側に位置する基本セルとからなり、
前記外周セルは、前記長手方向に垂直な断面の形状が前記基本セルと異なる変形セルを含み、
前記変形セルは、前記長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.90mmの円が挿入可能なセルであることを特徴とするハニカム構造体。
【請求項2】
前記変形セルは、前記長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.95mmの円が挿入可能なセルである請求項1に記載のハニカム構造体。
【請求項3】
前記セラミックブロックの外周を構成する外周壁は、前記ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面形状が、その内部に直径0.90mmの円が挿入不可能な変形小セルの内部をセル壁と同じ材料で完全に充填した外周壁を含む請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
【請求項4】
前記セラミックブロックは、接着材層を介して複数個のハニカム焼成体が結束されてなる請求項1〜3のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項5】
前記セラミックブロックは、異なる形状を有する前記ハニカム焼成体が組み合わされるとともに、前記セラミックブロックの外周を構成する外周壁を有する外方ハニカム焼成体と前記外方ハニカム焼成体より内側に位置する内方ハニカム焼成体とから構成されている請求項4に記載のハニカム構造体。
【請求項6】
前記セラミックブロックの外周を構成するハニカム焼成体の外周壁の前記長手方向に垂直な断面形状は、凸部と凹部とからなる段差が設けられた外周壁となっており、
前記凸部及び/又は前記凹部は、前記凸部及び/又は前記凹部に面取りが施された形状の曲線により構成されている請求項1〜5のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項7】
前記凸部及び/又は前記凹部は、前記凸部及び/又は前記凹部にR面取りが施された形状となっており、前記R面取りの曲率半径は、0.3〜2.5mmである請求項6に記載のハニカム構造体。
【請求項8】
前記変形セルを除いた前記外周セルの前記長手方向に垂直な断面の形状、及び、前記基本セルの前記長手方向に垂直な断面の形状は、略四角形である請求項1〜7のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項9】
前記変形セルを除いた前記外周セル、及び、前記基本セルは、大容量セルと、小容量セルとからなり、
前記大容量セルの前記長手方向に垂直な断面の面積は、前記小容量セルの前記長手方向に垂直な断面の面積よりも大きい請求項1〜8のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項10】
前記大容量セルの前記長手方向に垂直な断面の形状は略四角形であり、前記小容量セルの前記長手方向に垂直な断面の形状は略四角形である請求項9に記載のハニカム構造体。
【請求項11】
前記大容量セルの前記長手方向に垂直な断面の形状は略八角形であり、前記小容量セルの前記長手方向に垂直な断面の形状は略四角形である請求項9に記載のハニカム構造体。
【請求項12】
前記大容量セル及び前記小容量セルの前記長手方向に垂直な断面においては、セルの各辺の長手方向に垂直な断面の形状が曲線により構成されている請求項9に記載のハニカム構造体。
【請求項13】
前記セラミックブロックの外周を構成するハニカム焼成体の外周壁の厚さは、ハニカム焼成体の内部に位置するセル壁の厚さよりも厚い請求項1〜12のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項14】
前記セラミックブロックの外周を構成するハニカム焼成体の外周壁の厚さは、内部に位置するハニカム焼成体のセル壁の厚さの1.3〜3.0倍である請求項13に記載のハニカム構造体。
【請求項15】
前記外方ハニカム焼成体の断面は、前記長手方向に垂直な断面の形状が3つの直線と前記セラミックブロックの外周の一部を構成する外周壁に囲まれた形状からなる略扇形であり、前記内方ハニカム焼成体の断面は、前記長手方向に垂直な断面の形状が略四角形からなる略四角形ユニットである請求項5〜14のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項16】
前記セルのそれぞれ一方の端部は、交互に封止されている請求項1〜15のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項17】
前記セラミックブロックの外周面には、コート層が形成されている請求項1〜16のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項1】
多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、外周に外周壁が形成されたハニカム焼成体から構成されたセラミックブロックからなるハニカム構造体であって、
前記セルは、前記セラミックブロックの外周を構成するハニカム焼成体の外周壁に接する外周セルと、前記外周セルより内側に位置する基本セルとからなり、
前記外周セルは、前記長手方向に垂直な断面の形状が前記基本セルと異なる変形セルを含み、
前記変形セルは、前記長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.90mmの円が挿入可能なセルであることを特徴とするハニカム構造体。
【請求項2】
前記変形セルは、前記長手方向に垂直な断面形状の内部に直径0.95mmの円が挿入可能なセルである請求項1に記載のハニカム構造体。
【請求項3】
前記セラミックブロックの外周を構成する外周壁は、前記ハニカム焼成体の長手方向に垂直な断面形状が、その内部に直径0.90mmの円が挿入不可能な変形小セルの内部をセル壁と同じ材料で完全に充填した外周壁を含む請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
【請求項4】
前記セラミックブロックは、接着材層を介して複数個のハニカム焼成体が結束されてなる請求項1〜3のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項5】
前記セラミックブロックは、異なる形状を有する前記ハニカム焼成体が組み合わされるとともに、前記セラミックブロックの外周を構成する外周壁を有する外方ハニカム焼成体と前記外方ハニカム焼成体より内側に位置する内方ハニカム焼成体とから構成されている請求項4に記載のハニカム構造体。
【請求項6】
前記セラミックブロックの外周を構成するハニカム焼成体の外周壁の前記長手方向に垂直な断面形状は、凸部と凹部とからなる段差が設けられた外周壁となっており、
前記凸部及び/又は前記凹部は、前記凸部及び/又は前記凹部に面取りが施された形状の曲線により構成されている請求項1〜5のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項7】
前記凸部及び/又は前記凹部は、前記凸部及び/又は前記凹部にR面取りが施された形状となっており、前記R面取りの曲率半径は、0.3〜2.5mmである請求項6に記載のハニカム構造体。
【請求項8】
前記変形セルを除いた前記外周セルの前記長手方向に垂直な断面の形状、及び、前記基本セルの前記長手方向に垂直な断面の形状は、略四角形である請求項1〜7のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項9】
前記変形セルを除いた前記外周セル、及び、前記基本セルは、大容量セルと、小容量セルとからなり、
前記大容量セルの前記長手方向に垂直な断面の面積は、前記小容量セルの前記長手方向に垂直な断面の面積よりも大きい請求項1〜8のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項10】
前記大容量セルの前記長手方向に垂直な断面の形状は略四角形であり、前記小容量セルの前記長手方向に垂直な断面の形状は略四角形である請求項9に記載のハニカム構造体。
【請求項11】
前記大容量セルの前記長手方向に垂直な断面の形状は略八角形であり、前記小容量セルの前記長手方向に垂直な断面の形状は略四角形である請求項9に記載のハニカム構造体。
【請求項12】
前記大容量セル及び前記小容量セルの前記長手方向に垂直な断面においては、セルの各辺の長手方向に垂直な断面の形状が曲線により構成されている請求項9に記載のハニカム構造体。
【請求項13】
前記セラミックブロックの外周を構成するハニカム焼成体の外周壁の厚さは、ハニカム焼成体の内部に位置するセル壁の厚さよりも厚い請求項1〜12のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項14】
前記セラミックブロックの外周を構成するハニカム焼成体の外周壁の厚さは、内部に位置するハニカム焼成体のセル壁の厚さの1.3〜3.0倍である請求項13に記載のハニカム構造体。
【請求項15】
前記外方ハニカム焼成体の断面は、前記長手方向に垂直な断面の形状が3つの直線と前記セラミックブロックの外周の一部を構成する外周壁に囲まれた形状からなる略扇形であり、前記内方ハニカム焼成体の断面は、前記長手方向に垂直な断面の形状が略四角形からなる略四角形ユニットである請求項5〜14のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項16】
前記セルのそれぞれ一方の端部は、交互に封止されている請求項1〜15のいずれかに記載のハニカム構造体。
【請求項17】
前記セラミックブロックの外周面には、コート層が形成されている請求項1〜16のいずれかに記載のハニカム構造体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−106222(P2012−106222A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11236(P2011−11236)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】
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