説明

ハニカム構造体

【課題】圧力損失を低減することが可能なハニカム構造体を提供する。
【解決手段】ハニカム構造体100は、隔壁120により仕切られた互いに略平行な複数の流路110a,110bを有しており、ハニカム構造体100の一端面100aにおいて流路110aの一端が封口部130により封口されており、ハニカム構造体100の他端面100bにおいて流路110bの一端が封口部130により封口されており、X線CT測定により取得される隔壁120の画像において、当該画像の解像度が1.5μm/pixelである場合に検出される連通孔の数をXとし、前記画像の解像度が2.5μm/pixelである場合に検出される連通孔の数をYとしたときに、Y/Xが0.58以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカム構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ハニカム構造体は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジン等の内燃機関から排気される排気ガスを浄化するための排ガスフィルタ、触媒担体、ビール等の飲食物の濾過に用いる濾過フィルタ、石油精製時に生じるガス成分(例えば一酸化炭素、二酸化炭素、窒素、酸素)を選択的に透過させるための選択透過フィルタなどのセラミックスフィルタとして用いられている。このようなハニカム構造体は、隔壁により仕切られた互いに略平行な複数の流路を有している(例えば、下記特許文献1)。ハニカム構造体は市販され、乗用車等に装着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−270755号公報
【特許文献2】特開2010−138770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のハニカム構造体では、被捕集物を含む流体が当該ハニカム構造体の一端側から流入して他端側から流出する場合において、ハニカム構造体に被捕集物が捕集されるに伴い圧力損失が増加することを充分に抑制することが困難である。そのため、ハニカム構造体に対しては、従来に比して圧力損失を低減することが求められている。
【0005】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、圧力損失を低減することが可能なハニカム構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は鋭意検討した結果、X線CTの測定結果に基づき算出される特定のパラメータを調整することでハニカム構造体における圧力損失を調整可能であることを見出した。さらに、本発明者は、X線CTの測定結果に基づき算出される上記パラメータが特定の範囲である場合に、圧力損失を充分に低減することができることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明に係るハニカム構造体は、隔壁により仕切られた互いに略平行な複数の流路を有するハニカム構造体であって、X線CT測定により取得される隔壁の画像において、当該画像の解像度が1.5μm/pixelである場合に検出される連通孔の数をXとし、前記画像の解像度が2.5μm/pixelである場合に検出される連通孔の数をYとしたときに、Y/Xが0.58以上である。
【0008】
本発明に係るハニカム構造体では、X線CT測定により取得される隔壁の画像に基づき得られるパラメータY/Xが0.58以上であることにより、従来に比して圧力損失を低減することが容易であり、被捕集物が連通孔内に堆積した場合においても、従来に比して圧力損失を低減することができる。
【0009】
本発明において上記効果が得られる原因は詳細には不明であるが、本発明者は以下のように推察している。但し、原因が以下の内容に限定されるものではない。
【0010】
すなわち、X線CT測定により取得される隔壁の画像の解像度が1.5μm/pixelである場合には、解像度が2.5μm/pixelである場合に比して解像度が高いことから、相対的に細い連通孔を検出し易い。一方、X線CT測定により取得される隔壁の画像の解像度が2.5μm/pixelである場合には、解像度が1.5μm/pixelである場合に比して解像度が低いことから、相対的に細い連通孔を検出し難い。そのため、解像度が1.5μm/pixelである場合には、解像度が2.5μm/pixelである場合では検出され難い相対的に細い連通孔を検出することができる。そして、解像度が1.5μm/pixelである場合に得られる連通孔の数Xは、解像度が2.5μm/pixelである場合においても検出される相対的に太い連通孔の数Yに加えて、解像度が2.5μm/pixelである場合では検出され難い相対的に細い連通孔の数を含むこととなる。したがって、Y/Xは、隔壁における相対的に太い連通孔の存在比率を示すこととなる。
【0011】
本発明においてY/Xが0.58以上であるとは、Y/Xが0.58未満である場合に比して、相対的に太い連通孔の存在比率が大きいことを意味している。相対的に太い連通孔の存在比率がこのように大きい場合には、被捕集物を含む流体が連通孔を容易に通過することが可能であると共に、被捕集物が捕集されるに伴い流体が連通孔を通過し難くなることを抑制可能であるため、圧力損失を低減することができる。
【0012】
隔壁の気孔率は、30〜70体積%であることが好ましい。隔壁の平均気孔径は、5〜25μmであることが好ましい。これらの場合、圧力損失を低減しつつ被捕集物の捕集効率を向上させることが容易となる。
【0013】
本発明に係るハニカム構造体の隔壁は、チタン酸アルミニウムを含有することが好ましい。この場合、ハニカム構造体の熱応力に対する耐久性を向上させることができる。
【0014】
本発明に係るハニカム構造体では、隔壁におけるチタン酸アルミニウムマグネシウムの含有量が85〜99質量%であり、アルミノケイ酸塩の含有量が1〜5質量%であり、酸化アルミニウムの含有量が5質量%以下であり、二酸化チタンの含有量が5質量%以下であることが好ましい。この場合、ハニカム構造体の熱応力に対する耐久性を向上させることができる。
【0015】
隔壁の平均厚みは、0.1〜0.5mmであることが好ましい。この場合、高い捕集効率と低い圧力損失とを更に高度に達成できる。
【0016】
ハニカム構造体における複数の流路のうちの一部の一端及び複数の流路のうちの残部の他端は、封口されていてもよい。この場合、ディーゼルエンジンやガソリンエンジン等の内燃機関から排出される排ガス中のすす等の微粒子(パティキュレート)を捕集することによって排ガスの浄化を達成するパティキュレートフィルタとしてハニカム構造体を更に好適に使用することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るハニカム構造体によれば、従来に比して圧力損失を低減することができる。このようなハニカム構造体は、排ガスフィルタ、濾過フィルタ又は選択透過フィルタ等のセラミックスフィルタとして好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るハニカム構造体を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1のII−II矢視図である。
【図3】図3は、圧力損失の測定方法及び捕集効率の測定方法を説明するための図面である。
【図4】図4は、X線CT測定により得られた画像を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な一実施形態について詳細に説明する。なお、寸法の比率は図面に示すものに限定されない。
【0020】
<ハニカム構造体>
図1は、本実施形態に係るハニカム構造体を示す斜視図であり、図2は、図1のII−II矢視図である。ハニカム構造体100は、図1,2に示すように、互いに略平行に配置された複数の流路110a,110bを有する円柱体である。流路110a,110bは、ハニカム構造体100の中心軸に略平行に伸びる隔壁120により仕切られている。ハニカム構造体100に形成された複数の流路のうちの一部を構成する流路110aの一端は、ハニカム構造体100の一端面100aにおいて封口部130により封口されており、流路110aの他端は、ハニカム構造体100の他端面100bにおいて開口している。一方、ハニカム構造体100に形成された複数の流路のうちの残部を構成する流路110bの一端は、一端面100aにおいて開口しており、流路110bの他端は、他端面100bにおいて封口部130により封口されている。ハニカム構造体100において、流路110bの一端はガス流入口として開口しており、流路110aの他端はガス流出口として開口している。
【0021】
ハニカム構造体100では、流路110aと流路110bとが交互に配置されて格子構造が形成されている。複数の流路110a,110bは、ハニカム構造体100の両端面に垂直であり、端面から見て正方形配置、すなわち、流路110a,110bの中心軸が、正方形の頂点にそれぞれ位置するように配置されている。流路110a,110bの断面形状は、例えば正方形である。
【0022】
流路110a,110bの長手方向におけるハニカム構造体100の長さは、例えば30〜300mmである。ハニカム構造体100が円柱体である場合、ハニカム構造体100の外径は、例えば10〜300mmである。また、流路110a,110bの長手方向に垂直な断面の内径(正方形の一辺の長さ)は、例えば0.5〜1.2mmである。
【0023】
隔壁120の平均厚み(セル壁厚)は、好ましくは0.1〜0.5mmであり、より好ましくは0.15〜0.40mmである。隔壁120の平均厚みが0.1mm未満であると、隔壁120内の連通孔が短く、被捕集物の捕集効率が充分に向上し難くなる傾向があると共に、ハニカム構造体100の強度が低下する傾向がある。隔壁120の平均厚みが0.5mmを超えると、隔壁120内の連通孔が長くなり、圧力損失を低減し難くなる傾向がある。なお、隔壁120の「平均厚み」とは、隣接する一対の流路を任意に10箇所選択した場合における、それぞれの流路間における隔壁120の厚みの平均値をいう。
【0024】
隔壁120の気孔率(開気孔率)は、圧力損失を低減しつつ被捕集物の捕集効率を向上させることが容易となる観点から、好ましくは30体積%以上であり、より好ましくは35体積%以上である。隔壁120の気孔率は、圧力損失を低減しつつ被捕集物の捕集効率を向上させることが容易となる観点から、好ましくは70体積%以下であり、より好ましくは60体積%以下である。隔壁120の平均気孔径(平均細孔直径)は、圧力損失を低減しつつ被捕集物の捕集効率を向上させることが容易となる観点から、好ましくは5μm以上であり、より好ましくは8μm以上である。隔壁120の平均気孔径は、圧力損失を低減しつつ被捕集物の捕集効率を向上させることが容易となる観点から、好ましくは25μm以下であり、より好ましくは20μm以下である。特に、気孔率が30〜70体積%であり且つ平均気孔径が5〜25μmであることが好ましい。隔壁120の気孔率及び平均気孔径は、原料の粒子径、孔形成剤の添加量、孔形成剤の種類、焼成条件により調整可能であり、水銀圧入法により測定することができる。
【0025】
隔壁120は、多孔質セラミックス焼結体によって形成されており、流体(例えば気体)が透過できるような構造を有している。具体的には、図2に示すように、流体が通過し得る多数の連通孔(流通経路)122が隔壁120内に形成されている。連通孔122は、多数の気孔が互いに連通して形成されており、大径気孔124と、大径気孔124間を結ぶ気孔126とを有している。気孔126は、相対的に太い気孔126aと、相対的に細い気孔126bとを有している。
【0026】
ここで、隔壁120内に存在する連通孔122の数は、以下のようにX線CT測定を用いて測定することができる。まず、ハニカム構造体100の隔壁120から測定サンプルを切り出す。次に、測定サンプルの3次元画像をX線CTスキャンにより取得する。続いて、取得した3次元画像を3次元定量解析し、一方向に配列された複数のボクセル単位から構成される断層(断層面)に3次元画像を分割する。各断層には、当該断層に存在する気孔が撮影されている。
【0027】
続いて、ボクセルにおいて気孔が占める割合に応じて、気孔の占有率が大きいボクセルと、気孔の占有率が小さいボクセルとに各ボクセルを選別する。そして、気孔の占有率が大きいボクセルが隣接する断層同士で重なっている場合に気孔が連通していると判定して、隣接する断層に撮影される気孔が連通しているか否かを判定する。このような操作を測定サンプルの表面から裏面にかけて行い、表面から裏面にかけて連通していると判定される細孔を「連通孔」として判定し、連通孔の数を算出する。なお、このようなX線CT測定の測定方法及び画像の解析方法は、特許文献2を参照することができる。
【0028】
本実施形態では、上記3次元定量解析を解像度(スケール)が高い場合と低い場合とでそれぞれ行う。解像度が高い場合には、相対的に太い連通孔と共に、相対的に細い連通孔が検出され易い。このように解像度が高い場合に得られる連通孔の数は、相対的に太い連通孔の数と、相対的に細い連通孔の数との合計を表す傾向がある。一方、解像度が低い場合には、相対的に太い連通孔は検出されるものの、相対的に細い連通孔が検出され難い。このように解像度が低い場合に得られる連通孔の数は、相対的に細い連通孔の数を含み難く、相対的に太い連通孔の数を表す傾向がある。そのため、解像度が高い場合に得られる連通孔の数に対する、解像度が低い場合に得られる連通孔の数の比率は、相対的に太い連通孔の存在比率を表すこととなる。
【0029】
なお、相対的に太い連通孔とは、連通孔122を構成する気孔の気孔径が大きく、上記の3次元定量解析において「連通孔」と判定され易い連通孔を意味し、相対的に細い連通孔とは、連通孔122を構成する気孔の気孔径が小さく、上記の3次元定量解析において「連通孔」と判定され難い連通孔を意味する。例えば、相対的に細い気孔126bを含まない連通孔122は、3次元定量解析において「連通孔」と判定され易く、相対的に細い気孔126bを含む連通孔122は、3次元定量解析において「連通孔」と判定され難い。
【0030】
本実施形態では、相対的に細い連通孔が観察され易いことから、高い解像度として1.5μm/pixelを採用する。また、本実施形態では、解像度が1.5μm/pixelである場合に得られる連通孔の数に対して充分に差別化される連通孔の数が得られ易いことから、低い解像度として2.5μm/pixelを採用する。
【0031】
解像度が1.5μm/pixelである場合に検出される連通孔の数をXとし、解像度が2.5μm/pixelである場合に検出される連通孔の数をYとしたときに、パラメータY/Xは、解像度1.5μm/pixel及び2.5μm/pixelのいずれにおいても検出され得る相対的に太い連通孔の存在比率を意味している。Y/Xは、0.58以上であり、好ましくは0.59以上であり、より好ましくは0.60以上である。Y/Xの上限値は、1.00である。連通孔の数X,Yは、原料の粒子径、孔形成剤の添加量、粒径の異なる2種類以上の孔形成剤の併用、焼成条件により調整可能である。例えば、孔形成剤の量を増加させること、粒子径の大きな孔形成剤を選択すること、又は、焼成温度を増加させることにより、パラメータY/Xが大きくなる傾向がある。
【0032】
本実施形態では、例えば、管電圧60kV、管電流50μA、画素数512×512pixel、視野サイズ0.8mmφ×0.8mmh(高さ)、解像度1.5μm/pixelの条件でX線CT測定により3次元画像を取得する。次に、画素数512×512pixel、視野サイズ0.8mmφ×0.8mmh、解像度1.5μm/pixelの条件で3次元定量解析し、連通孔の数Xを算出する。さらに、解析条件を変更し、画素数307×307pixel、視野サイズ0.8mmφ×0.8mmh、解像度2.5μm/pixelの条件で3次元定量解析し、連通孔の数Yを算出する。そして、連通孔の数X、Yに基づきパラメータY/Xを算出する。
【0033】
なお、パラメータY/Xを算出する方法は上記に限られるものではなく、例えば、解像度1.5μm/pixel及び2.5μm/pixelのいずれとも異なる解像度でX線CT測定により3次元画像を取得した後、解像度1.5μm/pixel及び2.5μm/pixelのそれぞれで3次元定量解析を行う手法を採用してもよい。また、解像度1.5μm/pixel及び2.5μm/pixelのそれぞれの3次元定量解析のために、それぞれX線CT測定を行って画像を取得する手法を採用してもよい。
【0034】
ハニカム構造体100は、例えば、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジン等の内燃機関からの排ガス中に含まれるすす等の微粒子を捕集するパティキュレートフィルタとして適する。微粒子の粒径は、好ましくは1nm〜1μmであり、より好ましくは1nm〜0.3μmである。
【0035】
例えば、ハニカム構造体100では、図2に示すように、微粒子を含有するガスGが、一端面100aから流路110bに供給された後、隔壁120内の連通孔122を通過して隣の流路110aに到達し、他端面100bから排出される。このとき、ガスG中の微粒子が連通孔122内に捕集されてガスGから除去されることにより、ハニカム構造体100はフィルタとして機能する。
【0036】
微粒子を捕集するフィルタとしてハニカム構造体100を使用した場合、隔壁120の表面や隔壁120の内部(連通孔122内)に微粒子が一旦堆積されると、堆積された微粒子と同一箇所に、新たな微粒子が優先的に積み重なるように堆積すると考えられている。この場合、ハニカム構造体100を再生燃焼させたときに、微粒子が大量に堆積した部分では発熱量が大きく熱的応力が集中する結果、隔壁120の熱破損や溶損を引き起こしてしまう可能性がある。このため、ハニカム構造体100は、ある程度の期間使用すると、微粒子が大量に堆積される前に再生燃焼が行われる。
【0037】
ハニカム構造体100の隔壁120は、種々の材料から形成することができるが、隔壁120は、特に、チタン酸アルミニウムを含有していることが好ましい。例えば、隔壁120は、主にチタン酸アルミニウム系結晶からなる多孔性のセラミックスを含有している。「主にチタン酸アルミニウム系結晶からなる」とは、チタン酸アルミニウム系セラミックス焼成体を構成する主結晶相がチタン酸アルミニウム系結晶相であることを意味し、チタン酸アルミニウム系結晶相は、例えば、チタン酸アルミニウム結晶相、チタン酸アルミニウムマグネシウム結晶相等であってよい。
【0038】
上記ハニカム構造体100の隔壁120がチタン酸アルミニウムを含有している場合、ハニカム構造体100の耐熱衝撃性や機械的強度を更に高くすることができる。このため、ハニカム構造体100中に大量に微粒子が堆積している状態で微粒子を再生燃焼させた場合でも、その際に発生する熱に起因する熱衝撃等によってハニカム構造体100が損傷することを抑制することができる。これにより、少量の微粒子が堆積する度に微粒子を再生燃焼させることを抑制できる。つまり、ハニカム構造体100を頻繁に再生燃焼させる必要がないことから、微粒子が大量に堆積するまで連続して使用することが可能となる。
【0039】
さらに、微粒子が連通孔122内に堆積して圧力損失が所定の値以上となるまで長期間継続してハニカム構造体100をフィルタとして使用した後に再生燃焼してハニカム構造体100を再利用することができる。これにより、メンテナンス性を向上させることができると共に、微粒子の捕集効率を更に向上させることができる。
【0040】
ハニカム構造体100では、例えば、ハニカム構造体100の熱応力に対する耐久性を更に向上させることができるため、隔壁120における各成分の含有量が下記のとおり調整されていることが好ましい。
チタン酸アルミニウムマグネシウム : 85〜99質量%
アルミノケイ酸塩 : 1〜5質量%
酸化アルミニウム : 5質量%以下(0〜5質量%)
二酸化チタン : 5質量%以下(0〜5質量%)
【0041】
ハニカム構造体100における隔壁120の組成は、例えば、組成式:Al2(1−x)MgTi(1+x)で表すことができるが、その組成は特に限定されない。隔壁120は、原料由来あるいは製造工程において不可避的に含まれる微量成分を含有し得る。xの値は、好ましくは0.03以上であり、より好ましくは0.03〜0.15であり、更に好ましくは0.03〜0.12である。
【0042】
ハニカム構造体100における隔壁120は、X線回折スペクトルにおいて、チタン酸アルミニウム又はチタン酸アルミニウムマグネシウムの結晶パターンのほか、アルミナ、チタニア等の結晶パターンを含んでいてもよい。
【0043】
ハニカム構造体100における隔壁120は、チタン酸アルミニウム系結晶相以外の相(結晶相)を含んでいてもよい。このようなチタン酸アルミニウム系結晶相以外の相(結晶相)としては、チタン酸アルミニウム系セラミックス焼成体の作製に用いる原料由来の相等を挙げることができる。原料由来の相とは、より具体的には、後述する製造方法に従いハニカム構造体100を製造する場合における、チタン酸アルミニウム系結晶相を形成することなく残存したアルミニウム源粉末、チタン源粉末及び/又はマグネシウム源粉末由来の相である。
【0044】
ハニカム構造体100における隔壁120は、原料混合物がケイ素源粉末を含む場合、ケイ素源粉末由来のガラス相を含んでいてもよい。ガラス相は、SiOが主要成分である非晶質相を指す。この場合、ガラス相の含有率は、5質量%以下であることが好ましく、2質量%以上であることが好ましい。ガラス相を5質量%以下含むことにより、パティキュレートフィルタ等のセラミックスフィルタに要求される細孔特性を充足するチタン酸アルミニウム系セラミックス焼成体が得られ易くなる。
【0045】
<ハニカム構造体の製造方法>
ハニカム構造体の製造方法は、通常、下記工程(a)、(b)及び(c)を有する。
(a)セラミックス粉末と孔形成剤を含む原料混合物を調製する。
(b)原料混合物を成形して成形体を得る。
(c)成形体を焼成してハニカム構造体を得る。
ハニカム構造体の製造方法では、工程(c)で得られるハニカム構造体においてY/Xが0.58以上となるように、工程(a)〜(c)において原料の粒子径、孔形成剤の添加量、孔形成剤の種類、焼成条件を調整する。
【0046】
(工程(a))
工程(a)では、セラミックス粉末と孔形成剤とを混合した後に混練して原料混合物を調製する。原料混合物には、セラミックス粉末と孔形成剤の他、種々の添加剤が混合されていてもよい。添加剤は、例えばバインダ、可塑剤、分散剤、溶媒である。
【0047】
以下、チタン酸アルミニウムを含むハニカム構造体の製造方法を一例として説明する。セラミックス粉末は、アルミニウム源粉末及びチタン源粉末を少なくとも含み、マグネシウム源粉末及びケイ素源粉末等を更に含んでもよい。
【0048】
(アルミニウム源粉末)
アルミニウム源粉末は、ハニカム構造体を構成するアルミニウム成分となる化合物の粉末である。アルミニウム源粉末としては、例えば、アルミナ(酸化アルミニウム)の粉末が挙げられる。アルミナの結晶型としては、γ型、δ型、θ型、α型等が挙げられ、不定形(アモルファス)であってもよい。アルミナの結晶型は、α型が好ましい。
【0049】
アルミニウム源粉末は、単独で空気中で焼成することによりアルミナに導かれる化合物の粉末であってもよい。かかる化合物としては、例えばアルミニウム塩、アルミニウムアルコキシド、水酸化アルミニウム、金属アルミニウム等が挙げられる。
【0050】
アルミニウム塩は、無機酸とのアルミニウム無機塩であってもよく、有機酸とのアルミニウム有機塩であってもよい。アルミニウム無機塩の具体例としては、例えば、硝酸アルミニウム、硝酸アンモニウムアルミニウム等のアルミニウム硝酸塩;炭酸アンモニウムアルミニウム等のアルミニウム炭酸塩などが挙げられる。アルミニウム有機塩としては、例えば、蓚酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム等が挙げられる。
【0051】
アルミニウムアルコキシドの具体例としては、例えば、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムエトキシド、アルミニウムsec−ブトキシド、アルミニウムtert−ブトキシド等が挙げられる。
【0052】
水酸化アルミニウムの結晶型としては、例えば、ギブサイト型、バイヤライト型、ノロソトランダイト型、ベーマイト型、擬ベーマイト型等が挙げられ、不定形(アモルファス)であってもよい。アモルファスの水酸化アルミニウムとしては、例えば、アルミニウム塩、アルミニウムアルコキシド等のような水溶性アルミニウム化合物の水溶液を加水分解して得られるアルミニウム加水分解物が挙げられる。
【0053】
アルミニウム源粉末は、1種又は2種以上のいずれでもよい。アルミニウム源粉末は、その原料由来あるいは製造工程において不可避的に含まれる微量成分を含有し得る。
【0054】
アルミニウム源粉末は、好ましくはアルミナ粉末であり、より好ましくはα型のアルミナ粉末である。
【0055】
アルミニウム源粉末において、レーザ回折法により測定される体積基準の累積百分率50%相当粒径(中心粒径、D50)は、好ましくは20〜60μmである。アルミニウム源粉末のD50をこの範囲内に調整することにより、優れた多孔性を示すチタン酸アルミニウム系セラミックス焼成体が得られると共に、焼成収縮率をより効果的に低減させることができる。アルミニウム源粉末のD50は、より好ましくは25〜60μmである。
【0056】
(チタン源粉末)
チタン源粉末は、ハニカム構造体を構成するチタン成分となる化合物の粉末であり、例えば酸化チタンの粉末である。酸化チタンは、例えば、酸化チタン(IV)、酸化チタン(III)、酸化チタン(II)であり、好ましくは酸化チタン(IV)である。酸化チタン(IV)の結晶型は、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型である。酸化チタンは不定形(アモルファス)であってもよい。酸化チタンは、より好ましくはアナターゼ型やルチル型の酸化チタン(IV)である。
【0057】
チタン源粉末は、単独で空気中で焼成することによりチタニア(酸化チタン)に導かれる化合物の粉末であってもよく、例えば、チタニウム塩、チタニウムアルコキシド、水酸化チタニウム、窒化チタン、硫化チタン、チタン金属である。
【0058】
チタニウム塩は、例えば三塩化チタン、四塩化チタン、硫化チタン(IV)、硫化チタン(VI)、硫酸チタン(IV)である。チタニウムアルコキシドは、例えばチタン(IV)エトキシド、チタン(IV)メトキシド、チタン(IV)t−ブトキシド、チタン(IV)イソブトキシド、チタン(IV)n−プロポキシド、チタン(IV)テトライソプロポキシド、及び、これらのキレート化物である。
【0059】
チタン源粉末は、1種又は2種以上のいずれでもよい。チタン源粉末は、その原料由来あるいは製造工程において不可避的に含まれる微量成分を含有し得る。
【0060】
チタン源粉末は、好ましくは酸化チタン粉末であり、より好ましくは酸化チタン(IV)粉末である。
【0061】
チタン源粉末において、レーザ回折法により測定される体積基準の累積百分率50%相当粒径(D50)は、好ましくは0.1〜25μmである。チタン源粉末のD50は、充分に低い焼成収縮率を達成するため、より好ましくは1〜20μmである。
【0062】
チタン源粉末は、バイモーダルな粒径分布を示すことがある。このようなバイモーダルな粒径分布を示すチタニウム源粉末を用いる場合、レーザ回折法により測定される粒径が大きい方のピークを形成する粒子の粒径は、好ましくは20〜50μmである。
【0063】
レーザ回折法により測定されるチタン源粉末のモード径は、通常0.1〜60μmである。
【0064】
原料混合物中におけるAl23(アルミナ)換算でのアルミニウム源粉末とTiO2(チタニア)換算でのチタン源粉末のモル比(アルミニウム源粉末:チタン源粉末)は、好ましくは35:65〜45:55であり、より好ましくは40:60〜45:55である。このような範囲内で、チタン源粉末をアルミニウム源粉末に対して過剰に用いることにより、原料混合物の成形体の焼成収縮率をより効果的に低減させることが可能となる。
【0065】
(マグネシウム源粉末)
ハニカム構造体の製造に使用する原料混合物は、マグネシウム源粉末を含有することができる。原料混合物がマグネシウム源粉末を含む場合、得られるチタン酸アルミニウム系セラミックス焼成体は、チタン酸アルミニウムマグネシウム結晶を含む焼成体である。マグネシウム源粉末は、マグネシア(酸化マグネシウム)の粉末のほか、単独で空気中で焼成することによりマグネシアに導かれる化合物の粉末である。このような化合物は、例えば、マグネシウム塩、マグネシウムアルコキシド、水酸化マグネシウム、窒化マグネシウム、金属マグネシウムである。
【0066】
マグネシウム塩は、例えば塩化マグネシウム、過塩素酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、ピロりん酸マグネシウム、蓚酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、サリチル酸マグネシウム、ミリスチン酸マグネシウム、グルコン酸マグネシウム、ジメタクリル酸マグネシウム、安息香酸マグネシウムである。
【0067】
マグネシウムアルコキシドは、例えばマグネシウムメトキシド、マグネシウムエトキシド等である。
【0068】
マグネシウム源粉末として、マグネシウム源とアルミニウム源とを兼ねた化合物の粉末を用いることができる。このような化合物は、例えば、マグネシアスピネル(MgAl24)である。
【0069】
マグネシウム源粉末として、マグネシウム源とアルミニウム源とを兼ねた化合物の粉末を用いる場合、アルミニウム源粉末のAl23(アルミナ)換算量、及び、マグネシウム源とアルミニウム源とを兼ねた化合物粉末に含まれるAl成分のAl23(アルミナ)換算量の合計量と、チタニウム源粉末のTiO2(チタニア)換算量とのモル比が、原料混合物中において上記範囲内となるように調整される。
【0070】
マグネシウム源粉末は、1種又は2種以上のいずれでもよい。マグネシウム源粉末は、その原料由来あるいは製造工程において不可避的に含まれる微量成分を含有し得る。
【0071】
マグネシウム源粉末において、レーザ回折法により測定される体積基準の累積百分率50%相当粒径(D50)は、好ましくは0.5〜30μmである。マグネシウム源粉末のD50は、成形体の焼成収縮率を低減する観点から、より好ましくは3〜20μmである。
【0072】
原料混合物中におけるMgO(マグネシア)換算でのマグネシウム源粉末の含有量は、Al(アルミナ)換算でのアルミニウム源粉末とTiO(チタニア)換算でのチタニウム源粉末との合計量に対して、モル比で、好ましくは0.03〜0.15であり、より好ましくは0.03〜0.12である。マグネシウム源粉末の含有量をこの範囲内に調整することにより、耐熱性がより向上された、大きい気孔径及び気孔率を有するチタン酸アルミニウム系セラミックス焼成体を比較的容易に得ることができる。
【0073】
(ケイ素源粉末)
原料混合物は、ケイ素源粉末を更に含有していてもよい。ケイ素源粉末は、シリコン成分となってチタン酸アルミニウム系セラミックス焼成体に含まれる化合物の粉末であり、ケイ素源粉末の併用により、耐熱性がより向上されたチタン酸アルミニウム系セラミックス焼成体を得ることが可能となる。ケイ素源粉末は、例えば、二酸化ケイ素、一酸化ケイ素等の酸化ケイ素(シリカ)の粉末である。
【0074】
ケイ素源粉末は、単独で空気中で焼成することによりシリカに導かれる化合物の粉末であってもよい。かかる化合物は、例えば、ケイ酸、炭化ケイ素、窒化ケイ素、硫化ケイ素、四塩化ケイ素、酢酸ケイ素、ケイ酸ナトリウム、オルトケイ酸ナトリウム、長石、ガラスフリットであり、好ましくは長石、ガラスフリットであり、工業的に入手が容易であると共に組成が安定している点で、より好ましくはガラスフリットである。ガラスフリットは、ガラスを粉砕して得られるフレーク又は粉末状のガラスをいう。ケイ素源粉末として、長石とガラスフリットとの混合物からなる粉末を用いることも好ましい。
【0075】
ガラスフリットを用いる場合、得られるチタン酸アルミニウム系セラミックス焼成体の耐熱分解性をより向上させるという観点から、ガラスフリットの屈伏点は、600℃以上であることが好ましい。本明細書において、ガラスフリットの屈伏点は、熱機械分析装置(TMA:Thermo Mechanical Analysis)を用いて、低温からガラスフリットの膨張を測定し、膨張が止まり、次に収縮が始まる温度(℃)と定義される。
【0076】
ガラスフリットを構成するガラスには、ケイ酸〔SiO2〕を主成分(全成分中50質量%以上)とする一般的なケイ酸ガラスを用いることができる。ガラスフリットを構成するガラスは、その他の含有成分として、一般的なケイ酸ガラスと同様、アルミナ〔Al23〕、酸化ナトリウム〔Na2O〕、酸化カリウム〔K2O〕、酸化カルシウム〔CaO〕、マグネシア〔MgO〕等を含んでいてもよい。また、ガラスフリットを構成するガラスは、ガラス自体の耐熱水性を向上させるために、ZrO2を含有していてもよい。
【0077】
ケイ素源粉末は、1種又は2種以上のいずれでもよい。ケイ素源粉末は、その原料由来あるいは製造工程において不可避的に含まれる微量成分を含有し得る。
【0078】
ケイ素源粉末において、レーザ回折法により測定される体積基準の累積百分率50%相当粒径(D50)は、好ましくは0.5〜30μmである。ケイ素源粉末のD50は、成形体の充填率をより向上させて機械的強度が更に高い焼成体を得るため、より好ましくは1〜20μmである。
【0079】
原料混合物がケイ素源粉末を含む場合、原料混合物中におけるケイ素源粉末の含有量は、Al(アルミナ)換算でのアルミニウム源粉末とTiO(チタニア)換算でのチタニウム源粉末との合計量100質量部に対して、SiO(シリカ)換算で、通常0.1〜10質量部であり、好ましくは0.1〜5質量部である。
【0080】
ハニカム構造体の製造では、上記マグネシアスピネル(MgAl24)等の複合酸化物のように、チタニウム、アルミニウム、ケイ素及びマグネシウムのうち、2つ以上の金属元素を成分とする化合物を原料粉末として用いることができる。このような化合物は、それぞれの金属源化合物を混合した原料と同じであると考えることができる。このような考えに基づき、原料混合物中におけるアルミニウム源、チタニウム源、マグネシウム源及びケイ素源の含有量が上記範囲内に調整される。
【0081】
原料混合物にはチタン酸アルミニウムやチタン酸アルミニウムマグネシウムが含まれていてもよい。例えば、原料混合物の構成成分としてチタン酸アルミニウムマグネシウムを使用する場合、チタン酸アルミニウムマグネシウムは、チタニウム源、アルミニウム源及びマグネシウム源を兼ね備えた原料混合物に相当する。
【0082】
チタン酸アルミニウムやチタン酸アルミニウムマグネシウムは、本製造方法により得られるハニカム構造体から調製してもよい。例えば、本製造方法により得られたハニカム構造体が破損した場合、破損したハニカム構造体やその破片等を粉砕して得られる粉末を使用することができる。粉砕して得られる粉末をチタン酸アルミニウムマグネシウム粉末とすることができる。
【0083】
(孔形成剤)
孔形成剤としては、工程(c)において成形体を焼成する焼成温度以下で消失する素材によって形成されたものを使用することができる。脱脂や焼成において、孔形成剤を含有する成形体が加熱されると、孔形成剤は燃焼等によって消滅する。これにより、孔形成剤が存在していた箇所に空間ができると共に、この空間同士の間に位置するセラミックス粉末が焼成の際に収縮することにより、流体を流すことができる連通孔をハニカム構造体の隔壁120内に形成することができる。
【0084】
ハニカム構造体の製造方法では、所定の連通孔を形成するために、以下に示す第1の孔形成剤(以下、「孔形成剤A」という)を使用することができる。孔形成剤Aは、例えば、トウモロコシ澱粉、大麦澱粉、小麦澱粉、タピオカ澱粉、豆澱粉、米澱粉、エンドウ澱粉、サンゴヤシ澱粉、カンナ澱粉である。
【0085】
孔形成剤AのDA50は、好ましくは5〜25μmであり、より好ましくは5〜20μmである。孔形成剤AのDA10は、好ましくは1〜15μmであり、より好ましくは5〜10μmである。孔形成剤AのDA90は、好ましくは25〜40μmであり、より好ましくは25〜30μmである。なお、DA10、DA50、DA90は、レーザ回折法により測定した粒子径分布において、粒子径の小さい粒子から粒子径の大きい粒子までそれらの質量を積算した累積質量の割合が各々10%、50%、90%となる粒子径を示す。
【0086】
原料混合物における孔形成剤Aの含有量は、セラミックス粉末100質量部に対して、好ましくは1〜25質量部であり、より好ましくは5〜10質量部である。孔形成剤Aの含有量がこの範囲であると、初期圧力損失を低く抑えつつ被捕集物(例えば微粒子)の漏れの発生を防ぐことが容易となる。孔形成剤Aの含有量がセラミックス粉末100質量部に対して1質量部より少ないと、隔壁120に形成される気孔が少なくなるため圧力損失が大きくなる傾向がある。一方、孔形成剤Aの含有量がセラミックス粉末100質量部に対して25質量部より多いと、隔壁120に形成される気孔の割合が大きくなりすぎ、被捕集物の漏れが発生し易くなる傾向がある。
【0087】
孔形成剤Aは、以下に示す第2の孔形成剤(以下、「孔形成剤B」という)等の孔形成剤と組み合わせて用いることができる。孔形成剤Bの粒子径は、孔形成剤Aの粒子径に比較して大きいことが好ましい。例えば、孔形成剤Aが小麦澱粉であるとき、孔形成剤Bはポテト澱粉(馬鈴薯デンプン)であることが好ましい。
【0088】
孔形成剤BのDB50は、好ましくは30〜50μmであり、より好ましくは35〜45μmである。孔形成剤BのDB10は、好ましくは10〜30μmであり、より好ましくは15〜25μmである。孔形成剤BのDB90は、好ましくは50〜100μmであり、より好ましくは60〜80μmである。なお、DB10、DB50、DB90は、レーザ回折法により測定した粒子径分布において、粒子径の小さい粒子から粒子径の大きい粒子までそれらの質量を積算した累積質量の割合が各々10%、50%、90%となる粒子径を示す。
【0089】
孔形成剤Bを使うことにより、平均気孔径を大きくすることができる。この場合、原料混合物における孔形成剤Bの含有量は、セラミックス粉末100質量部に対して、好ましくは1〜30質量部であり、より好ましくは5〜20質量部である。
【0090】
ハニカム構造体の製造では、原料混合物に、上述したセラミックス粉末と孔形成剤に加えて、バインダ、可塑剤、分散剤、溶媒等の有機成分(添加剤)が配合されていてもよい。
【0091】
バインダは、例えば、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシルメチルセルロース等のセルロース類;ポリビニルアルコール等のアルコール類;リグニンスルホン酸塩等の塩;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等のワックスである。原料混合物におけるバインダの含有量は、アルミニウム源粉末、チタン源粉末、マグネシウム源粉末及びケイ素源粉末の合計量100質量部に対して、通常20質量部以下であり、好ましくは15質量部以下である。
【0092】
可塑剤は、例えばグリセリン等のアルコール類;カプリル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、アラギン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸;ステアリン酸Al等のステアリン酸金属塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルである。原料混合物における可塑剤の含有量は、アルミニウム源粉末、チタン源粉末、マグネシウム源粉末及びケイ素源粉末の合計量100質量部に対して、通常0〜10質量部であり、好ましくは1〜5質量部である。
【0093】
分散剤は、例えば、硝酸、塩酸、硫酸等の無機酸;シュウ酸、クエン酸、酢酸、リンゴ酸、乳酸等の有機酸;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;ポリカルボン酸アンモニウムなどの界面活性剤である。原料混合物における分散剤の含有量は、アルミニウム源粉末、チタン源粉末、マグネシウム源粉末及びケイ素源粉末の合計量100質量部に対して、通常0〜20質量部であり、好ましくは2〜8質量部である。
【0094】
溶媒は、通常水であり、不純物が少ない点で、好ましくはイオン交換水である。原料混合物における溶媒の含有量は、アルミニウム源粉末、チタン源粉末、マグネシウム源粉末及びケイ素源粉末の合計量100質量部に対して、通常10〜100質量部、好ましくは20〜80質量部である。
【0095】
(工程(b))
工程(b)では、ハニカム構造を有する所定形状のセラミックス成形体を得る。工程(b)では、例えば、一軸押出機により原料混合物を混練しながらダイから押出す、いわゆる押出成形法を採用することができる。
【0096】
ダイから押出された成形体は、各流路(貫通孔)の一方の端部を封口してもよい。この場合、上記ハニカム構造体100を得ることができる。例えば、封口すべき流路に、上記原料混合物と同様の混合物を詰めてもよい。原料混合物に添加剤として可塑剤を添加した場合、可塑剤の多くは、ダイから原料混合物を押出す際に、原料混合物とダイとの間の摩擦を低減する潤滑剤としても機能させることができる。例えば、上述した各可塑剤であれば、潤滑剤として機能させることができる。
【0097】
(工程(c))
工程(c)では、成形体の焼成前に、成形体中(原料混合物中)に含まれる孔形成剤等を除去するための脱脂(仮焼)が行われてもよい。脱脂は、酸素濃度0.1%以下の雰囲気下で行われる。
【0098】
本明細書において酸素濃度の単位として用いられる「%」は、「体積%」を意味する。脱脂工程(昇温時)の酸素濃度を0.1%以下の濃度に管理することにより、有機物の発熱が抑えられ、脱脂後の割れを抑制することができる。脱脂においては、脱脂が酸素濃度0.1%以下の雰囲気中で行われることにより、孔形成剤等の有機成分の一部が除去され、残部が炭化されてセラミック成形体中に残存することが好ましい。このように、セラミックス成形体中に微量のカーボンが残存することで、成形体の強度が向上し、セラミックス成形体の焼成工程への仕込みが容易になる。このような雰囲気としては、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気や、一酸化炭素ガス、水素ガス等のような還元性ガス雰囲気、真空中等が挙げられる。また、水蒸気分圧を低くした雰囲気中で焼成を行なってもよく、炭と一緒に蒸し込んで酸素濃度を低減させてもよい。
【0099】
脱脂の最高温度は、好ましくは700〜1100℃であり、より好ましくは800〜1000℃である。脱脂の最高温度を従来の600〜700℃程度から、700〜1100℃に上昇させることで、粒成長によって、脱脂後のセラミックス成形体の強度が向上するため、セラミックス成形体の焼成への仕込みが容易になる。また、脱脂は、セラミックス成形体の割れを防止するために、最高温度に到達するまでの昇温速度を極力抑えることが好ましい。
【0100】
脱脂は、管状電気炉、箱型電気炉、トンネル炉、遠赤外線炉、マイクロ波加熱炉、シャフト炉、反射炉、ロータリー炉、ローラーハース炉、ガス燃焼炉等の通常の焼成に用いられるものと同様の炉を用いて行なわれる。脱脂は回分式で行なってもよいし、連続式で行なってもよい。また、脱脂は静置式で行なってもよいし、流動式で行なってもよい。
【0101】
脱脂に要する時間は、セラミックス成形体中に含まれる有機成分の一部が消失するのに充分な時間であればよく、好ましくは、セラミックス成形体中に含まれる有機成分の90〜99質量%が消失する時間である。具体的には、原料混合物の量、脱脂に用いる炉の形式、温度条件、雰囲気等により異なるが、最高温度でキープする時間は、通常1分〜10時間であり、好ましくは1〜7時間である。
【0102】
セラミックス成形体は、上記の脱脂後、焼成される。焼成温度は、通常1300℃以上であり、好ましくは1400℃以上である。また、焼成温度は、通常1650℃以下であり、好ましくは1550℃以下である。焼成温度までの昇温速度は特に限定されるものではないが、通常1〜500℃/時間である。ケイ素源粉末を用いる場合には、焼成工程の前に、1100〜1300℃の温度範囲で3時間以上保持する工程を設けることが好ましい。これにより、ケイ素源粉末の融解、拡散を促進させることができる。
【0103】
焼成は、酸素濃度1〜6%の雰囲気下で行われることが好ましい。酸素濃度を6%以下とすることによって脱脂で発生した残存炭化物の燃焼を抑制することができるため、焼成におけるセラミックス成形体の割れが生じにくくなる。また、適度な酸素が存在するため、最終的に得られるチタン酸アルミニウム系セラミックス成形体の有機成分を完全に除去することができる。酸素濃度は、得られるチタン酸アルミニウム系セラミックス焼成体中に有機成分に由来する炭化物(すす)が残存しないことから、1%以上が好ましい。原料混合物、すなわちアルミニウム源粉末、チタン源粉末、マグネシウム源粉末及びケイ素源粉末の種類や使用量比によっては、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス中で焼成してもよいし、一酸化炭素ガス、水素ガス等のような還元性ガス中で焼成してもよい。また、水蒸気分圧を低くした雰囲気中で焼成を行なってもよい。
【0104】
焼成は、通常、管状電気炉、箱型電気炉、トンネル炉、遠赤外線炉、マイクロ波加熱炉、シャフト炉、反射炉、ロータリー炉、ローラーハース炉、ガス燃焼炉等の従来の装置を用いて行なわれる。焼成は回分式で行なってもよいし、連続式で行なってもよい。また、焼成は静置式で行なってもよいし、流動式で行なってもよい。
【0105】
焼成時間は、セラミックス成形体がチタン酸アルミニウム系結晶に遷移するのに充分な時間であればよく、原料の量、焼成炉の形式、焼成温度、焼成雰囲気等により異なるが、通常は10分〜24時間である。
【0106】
以上の工程を順に行うことによって、チタン酸アルミニウム系セラミックス焼成体であるハニカム構造体を得ることができる。ハニカム構造体は、成形直後の成形体の形状をほぼ維持した形状を有するが、焼成後に研削加工等を行って、所望の形状に加工することもできる。
【実施例】
【0107】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0108】
<実施例1>
原料粉末として以下のものを用いた。
(1)アルミニウム源粉末
中心粒径(D50)が29μmの酸化アルミニウム粉末(α−アルミナ粉末):38.48質量部
(2)チタン源粉末
D50が1.0μmの酸化チタン粉末(ルチル型結晶):41.18質量部
(3)マグネシウム源粉末
D50が3.4μmの酸化マグネシウム粉末:2.75質量部
(4)ケイ素源粉末
D50が8.5μmのガラスフリット(屈伏点:642℃):3.29質量部
(5)孔形成剤(小麦粉デンプン粉末):6質量部
孔形成剤(馬鈴薯デンプン粉末):10質量部
【0109】
なお、原料粉末における体積基準の累積百分率50%相当粒径(D50)は、レーザ回折式粒度分布測定装置(日機装社製:Microtrac HRA(X−100))を用いて測定した。
【0110】
原料粉末の仕込み組成は、アルミナ〔Al〕、チタニア〔TiO〕、マグネシア〔MgO〕及びシリカ〔SiO〕換算のモル比で、〔Al〕/〔TiO〕/〔MgO〕/〔SiO〕=35.1%/51.3%/9.6%/4.0%であった。また、アルミニウム源粉末、チタニウム源粉末、マグネシウム源粉末及びケイ素源粉末の合計量中のケイ素源粉末の含有率は、4.0質量%であった。
【0111】
アルミニウム源粉末、チタン源粉末、マグネシウム源粉末、ケイ素源粉末、及び孔形成剤からなる混合物に、混合物100質量部に対して、結合剤(バインダ)としてメチルセルロース5.49質量部及びヒドロキシメチルセルロース2.35質量部と、潤滑剤としてグリセリン0.40質量部及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル4.64質量部とを加えた。さらに、分散媒として水を29.03質量部加えた後、混練押出機を用いて押し出し成形して、ハニカム形状のセラミックス成形体(セル密度300cpsi、セル壁厚0.3mm)を形成した。成形体は、直径25mm、高さ50mmの円柱体であって、高さ方向に多数の流路(断面形状:正方形、断面内径:0.6mm)を有するように形成した。
【0112】
バインダを除去する仮焼(脱脂)工程を含む焼成を大気雰囲気下で成形体に施し、ハニカム形状の多孔質焼成体(ハニカム構造体)を得た。焼成時の最高温度を1500℃とし、最高温度での保持時間を5時間とした。
【0113】
得られたハニカム構造体を乳鉢にて解砕して粉末を得た後、得られた粉末の回折スペクトルを粉末X線回折法により測定したところ、この粉末は、チタン酸アルミニウムマグネシウムの結晶ピークを示した。
【0114】
<実施例2>
小麦粉デンプン粉末(孔形成剤)の量を16質量部、馬鈴薯デンプン粉末(孔形成剤)の量を0質量部に変更した以外、実施例1と同じ操作を行ってハニカム構造体を得た。実施例1と同様に回折スペクトルを粉末X線回折法により測定したところ、粉末は、チタン酸アルミニウムマグネシウムの結晶ピークを示した。
【0115】
<比較例1>
市販のチタン酸アルミニウム系DPF(Diesel particulate filter)をハニカム構造体として用いた。
【0116】
<特性評価>
(1)AT化率
実施例1,2のハニカム構造体についてチタン酸アルミニウム化率(AT化率)を測定したところ、実施例1のAT化率は100%であり、実施例2のAT化率は100%であった。
【0117】
なお、AT化率は、実施例1,2のハニカム構造体を乳鉢にて解砕して得られる粉末の粉末X線回折スペクトルにおける2θ=27.4°の位置に現れるピーク(チタニア・ルチル相(110)面)の積分強度(I)と、2θ=33.7°の位置に現れるピーク〔チタン酸アルミニウムマグネシウム相(230)面〕の積分強度(IAT)とから、下記式(1)によりAT化率を算出した。
AT化率(%)=IAT/(I+IAT)×100 ・・・(1)
【0118】
(2)細孔分布
実施例1,2及び比較例1のハニカム構造体について、細孔分布を以下の条件で測定した。まず、0.4gのハニカム構造体を砕き、得られた約2mm角の小片を120℃、4時間、空気中で電気炉を用いて乾燥させた。そして、水銀圧入法により、0.005〜200.0μmの範囲で細孔直径を測定し、累積細孔容積Vtotal(ml/g)及び平均細孔直径(μm)を求めた。測定装置には、Micromeritics社製の「オートポアIII9420」を用いた。
【0119】
また、得られた累積細孔容積Vtotalより多孔質体(ハニカム構造体)の気孔率を下記式(2)により求めた。
気孔率(%)=100×(1−1/(1+Vtotal×D)) ・・・(2)
なお、式(2)中のDは、セラミックス体の密度(g/cm)を表し、一般的なチタン酸アルミニウムの密度3.7g/cmをDとして気孔率を算出した。
【0120】
(3)X線CT
実施例1,2及び比較例1のハニカム構造体の隔壁から試験片を切り出し、当該試験片を測定サンプルとしてX線CT測定を以下の測定条件で行った。なお、試験片のサイズは、1.0mm×2.0mm×0.3mmであった。
(測定条件)
a)使用装置:三次元計測X線CT装置 TDM1000−IS/SP(ヤマト科学製)
b)管電圧:60kV
c)管電流:50μA
d)画素数:512×512pixel
e)視野サイズ:0.8mmφ×0.8mmh(高さ)
f)解像度:1.5μm/pixel
【0121】
X線CT測定により取得された3次元画像を画素数512×512pixel、視野サイズ0.8mmφ×0.8mmh、解像度1.5μm/pixelの条件で3次元定量解析することにより連通孔の数X(本)を算出した。また、X線CT測定により取得された3次元画像を画素数307×307pixel、視野サイズ0.8mmφ×0.8mmh、解像度2.5μm/pixelの条件で3次元定量解析することにより連通孔の数Y(本)を算出した。3次元定量解析には、定量解析ソフトTRI/3D−BON(ラトックシステムエンジニアリング製)を使用した。そして、連通孔の数X(本)、及び、連通孔の数Y(本)に基づき、パラメータY/Xを算出した。
【0122】
(4)捕集効率(すす漏れ)
実施例1,2及び比較例1のハニカム構造体について、捕集効率(すす漏れ)を以下のとおり測定した。
【0123】
(中空片)
圧力損失測定に用いる中空片(図3(a)参照)をハニカム構造体から切り出した。中空片は、図3(a)に示すように、井桁状の断面を有する柱状の中空片であった。すなわち、ハニカム構造体が有する1つのセルと、そのセルの四方を囲むセル壁(つまり、隣接していたセル間を仕切るセル壁)とを含んだ形状に中空片を切り出した。中空片は、当該中空片の長さ方向に中空片を貫通する貫通穴(セル)を有している。セル壁の厚みは0.2〜0.4mmであり、貫通穴の断面形状は、縦横それぞれ0.5〜0.7mmの正方形であった。中空片の長さは、30〜45mmであった。
【0124】
(測定方法)
捕集効率測定では、まず、上記中空片の貫通穴の一方の開口端をエポキシ樹脂により封止して、内部に流路を有する試験片を作製した。次に、図3(b)に示すように、プラスチックケース内に試験片を配置した後、試験片における流路の開口端をカーボン発生器(DNP−2000 PALAS社製;カーボン粒子(スス)の平均粒径60nm)に接続し、漏れ試験を実施した。希釈器(MD−19−1E,Matter社製)、計測器(EEPS−3000,TSI社製)を用いて、カーボン発生器から発生したカーボン粒子が試験片の流路内を通過し始めてから180秒後のカーボン粒子の個数濃度を計測した。なお、試験片を通過した後のカーボン粒子の個数濃度が低いほど、パティキュレートフィルタとしての捕集性能が高いことを示している。
【0125】
(5)圧力損失
実施例1,2及び比較例1のハニカム構造体について、圧力損失を以下のとおり測定した。
【0126】
(圧力測定)
圧力測定では、まず、(4)捕集効率の測定と同様にカーボン粒子を堆積させた試験片を準備した。次に、図3(c)に示すように、流路の開口端を減圧弁や計量調節器を介して計装空気の供給源に接続した。そして、計装空気(圧力値:1MPa)を250ml/分、500ml/分、750ml/分、950ml/分の各流量値で試験片内へ流入させた時の圧力値と大気圧値の差分(差圧:ΔP(kPa))をマノメーターにより求めた。
【0127】
(評価方法)
圧力損失を示す指標として、以下のようにして算出される勾配Gを用いた。まず、各流量時におけるセル壁を通過するガス流速u(ms−1)を寸法面積より算出した。次に、ガス流速uに対する差圧値ΔP/uをプロットして直線を得た後、得られた直線の勾配G(kPa/(ms−1))を算出した。すなわち、勾配Gの値が低いほど試験片の前後の圧力損失が低く、フィルタ性能が高いことを表している。
【0128】
細孔分布、X線CT、捕集効率及び圧力損失の測定結果を表1に示す。また、図4として、X線CT測定により得られた画像を示す。なお、図4(a)は実施例1の試験片の画像であり、図4(b)は実施例2の試験片の画像であり、図4(c)は比較例1の試験片の画像である。
【0129】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明に係るハニカム構造体は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジン等の内燃機関から排気される排ガスを浄化するためのフィルタとして使用することができる。また、本発明に係るハニカム構造体は、焼却炉、石油精製設備又は外燃機関等から排出される排気ガスの後処理装置に使用することもできる。
【符号の説明】
【0131】
100…ハニカム構造体、110a,110b…流路、120…隔壁、122…連通孔。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
隔壁により仕切られた互いに略平行な複数の流路を有するハニカム構造体であって、
X線CT測定により取得される前記隔壁の画像において、当該画像の解像度が1.5μm/pixelである場合に検出される連通孔の数をXとし、前記画像の解像度が2.5μm/pixelである場合に検出される連通孔の数をYとしたときに、Y/Xが0.58以上である、ハニカム構造体。
【請求項2】
前記隔壁の気孔率が30〜70体積%である、請求項1に記載のハニカム構造体。
【請求項3】
前記隔壁の平均気孔径が5〜25μmである、請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
【請求項4】
前記隔壁がチタン酸アルミニウムを含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項5】
前記隔壁におけるチタン酸アルミニウムマグネシウムの含有量が85〜99質量%であり、アルミノケイ酸塩の含有量が1〜5質量%であり、酸化アルミニウムの含有量が5質量%以下であり、二酸化チタンの含有量が5質量%以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項6】
前記隔壁の平均厚みが0.1〜0.5mmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のハニカム構造体。
【請求項7】
前記複数の流路のうちの一部の一端及び前記複数の流路のうちの残部の他端が封口されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載のハニカム構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−214365(P2012−214365A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−53235(P2012−53235)
【出願日】平成24年3月9日(2012.3.9)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】