説明

ハロゲン化光学ポリマー組成物

【課題】本発明は以下の組成物を用いて作成したポリマー材料および光学装置を提供する。
【解決手段】本発明は、芳香族または複素環式芳香族部分と、それぞれが、芳香族または複素環式芳香族部分に−O−または−S−結合を介して結合している少なくとも2つのフッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分と、それぞれが、フッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分のうち1つに結合している少なくとも1つのエチレン性不飽和部分とを有する化合物を含むエネルギー硬化性組成物を提供する。本発明はまた、イソシアヌレート部分と、イソシアヌレート部分にイソシアヌレートの窒素で結合した3つのフッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分と、フッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分のうち1つに結合した少なくとも1つのエチレン性不飽和部分とを有する化合物を含むエネルギー硬化性組成物も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にポリマー材料に関し、特に、電気通信用装置の構築に有用なハロゲン化ポリマー材料に関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、本願明細書に援用され、米国特許法第120条による優先権の利益がここに請求された2002年2月4日出願の米国特許出願第10/067,669号「ハロゲン化光学ポリマー組成物(HALOGENATED OPTICAL POLYMER COMPOSITION)」の一部継続出願である。
【背景技術】
【0003】
光通信システムにおいて、メッセージはレーザーや発光ダイオードのような源により生成される光周波数で電磁搬送波により伝送される。かかる光通信システムは、従来の通信システムに比べていくつかの利点を与えるため着目されている。
【0004】
一つの地点から他の地点へ光周波数の波の経路を与える、または導くある好ましい装置は光導波路である。光導波路の操作は、光伝送媒体が低屈折率の外側媒体に囲まれる、またはその他境界が設けられているとき、外側媒体との境界に平行な内側媒体の軸に沿って導かれた光は、境界で大きく反射して、光伝送媒体中の光を捉えて、内側媒体の長手方向軸に沿って誘導効果を生成するという事実に基づくものである。かかる光導体構造を光伝送素子として組み込んで様々な光学装置を作成することができる。かかる装置としては、平面光スラブ導波路、チャネル光導波路、リブ導波路、光学カプラ、光学スプリッタ、光学スイッチ、光学フィルタ、アレイ導波路回折格子、導波路ブラッグ回折格子および可変減衰素子が挙げられる。特定周波数の光については、光導波路は、内側光導領域の寸法、および内側媒体と周囲の外側媒体の間の屈折率の差に応じて、単一光学モードまたは複数モードをサポートする。
【0005】
光導波路装置およびその他相互接続装置は、有機ポリマー材料から構築されていてよい。ガラスでできた平面導波路から構築された光学装置は、温度に比較的影響されないが、有機ポリマーでできた装置は温度により特性が大幅に変わる。これは、有機ポリマー材料は比較的高い熱光学係数(dn/dT)を有しているという事実によるものである。このように、有機ポリマーは、温度変化を受けると、屈折率がかなり変化する。この特性によって、有機ポリマーでできた光透過性素子を組み込んだ活性のある熱調整または制御可能な装置を作成することができる。熱調整可能な装置の一例は、熱光学効果により活性化される1×2スイッチング素子である。このように、入力導波路からの光は、2つの出力導波路間で抵抗発熱体により誘導される熱勾配の適用により切り替えてもよい。一般的に、加熱/冷却プロセスは、1ミリ秒から数ミリ秒のスパンで生じる。
【0006】
しかしながら、大半のポリマー材料は、電気通信用途で一般的に用いられる1500nmの波長範囲で強く吸収する炭素−水素結合を含んでおり、かかる材料からできた装置が許容できないほど高い挿入損失を有することになる。C−H結合をC−DまたはC−ハロゲン結合に置換することにより材料中のC−H結合の濃度を下げると、赤外波長での吸収損失を下げることができる。フッ素化ポリイミドおよび重水素またはフッ素化ポリメタクリレートから作成された平面導波路は、単一モードの損失が1300nmで0.10dB/cmと低くなったが、これらの材料から光学材料を作成するのは比較的難しい。例えば、これらの導波路を作成するプロセスには、扱い難く、散乱により導波路の損失が大きくなる可能性のある反応性イオンエッチングプロセスが含まれる。さらに、重水素化は、1500nmの波長範囲における損失を減少させるのには有効な手段ではない。フッ素化ポリイミドおよび重水素化またはフッ素化ポリメタクリレートは、1550nm近傍の電気通信ウィンドウにおける損失が約0.6dB/cmと高くなる。O−HおよびN−H結合はまた、1310nmおよび1550nm近傍の波長での損失に大きく寄与する。従って、O−HおよびN−H結合の濃度が最小の組成物が求められている。
【0007】
光ポリマーは、標準的なフォトリソグラフィー技術を用いてパターン化できることから光学相互接続用途について特に着目されてきた。フォトリソグラフィーには、材料を化学放射線のパターンに露光することによるフォトポリマー層の選択的重合が含まれる。化学放射線に露光される材料は重合されるが、露光されない材料は重合されないままである。パターン化層は、例えば、適切な溶剤による未露光、未重合材料の除去により現像される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,191,233号明細書
【特許文献2】米国特許第5,391,587号明細書
【特許文献3】米国特許第6,306,563号明細書
【特許文献4】米国特許出願第09/846,697号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一態様は、芳香族または複素環式芳香族部分と、それぞれが、芳香族または複素環式芳香族部分に−O−または−S−結合を介して結合している少なくとも2つのフッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分と、それぞれが、フッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分のうち1つに結合している少なくとも1つのエチレン性不飽和部分とを有する化合物を含むエネルギー硬化性組成物に関する。
【0010】
本発明の他の態様は、イソシアヌレート部分と、イソシアヌレート部分にイソシアヌレートの窒素で結合した3つのフッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分と、フッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分のうち1つに結合した少なくとも1つのエチレン性不飽和部分とを有する化合物を含むエネルギー硬化性組成物に関する。
【0011】
本発明の他の態様は、芳香族または複素環式芳香族部分と、それぞれが、芳香族または複素環式芳香族部分に−O−または−S−結合を介して結合している少なくとも2つのフッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分と、それぞれが、フッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分のうち1つに結合している少なくとも1つのエチレン性不飽和部分とを有するエネルギー硬化性化合物のポリマーまたはコポリマーを含むポリマー材料に関する。
【0012】
本発明の他の態様は、イソシアヌレート部分と、イソシアヌレート部分に前記イソシアヌレートの窒素で結合した3つのフッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分と、フッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分のうち1つに結合した少なくとも1つのエチレン性不飽和部分とを有するエネルギー硬化性化合物のポリマーまたはコポリマーを含むポリマー材料に関する。
【0013】
本発明の他の態様は、芳香族または複素環式芳香族部分と、それぞれが、芳香族または複素環式芳香族部分に−O−または−S−結合を介して結合している少なくとも2つのフッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分と、それぞれが、フッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分のうち1つに結合している少なくとも1つのエチレン性不飽和部分とを有するエネルギー硬化性化合物のポリマーまたはコポリマーを含むポリマー材料を含むポリマーコアを含む光学素子に関する。
【0014】
本発明の他の態様は、イソシアヌレート部分と、イソシアヌレート部分に前記イソシアヌレートの窒素で結合した3つのフッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分と、フッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分のうち1つに結合した少なくとも1つのエチレン性不飽和部分とを有するエネルギー硬化性化合物のポリマーまたはコポリマーを含むポリマーコアを含む光学素子に関する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の組成物および装置によれば、先行技術の組成物および装置に勝る数多くの利点が得られる。例えば、本発明の組成物だと、電気通信波長での光学損失が非常に低く、このことが平面導波路およびその他光学装置の製造に好適なものとさせている。本発明の組成物は、芳香族または複素環式芳香族部分を含まない類似の組成物よりも高い屈折率を有するため、光学装置の異なる層の屈折率の調整に有用である。本発明の組成物はまた、類似のカルボン酸エステル系組成物よりも高い加水分解安定性も有する。
【0016】
本発明の追加の特徴および利点は、後述する詳細な説明に規定されており、その一部は記載した説明および請求項および添付の図面に記載されたように本発明を実施することによる説明または認識から当業者には明白であろう。
【0017】
前述の説明および後述の詳細な説明の両方とも本発明の単なる例証に過ぎず、請求された本発明の性質および特徴を理解するための概要または枠組みを提供することを意図しているものと考えられる。
【0018】
添付の図面は、本発明を更に理解するためのものであり、本明細書に組み込まれその一部を構成するものである。図面は、本発明の原理および操作を説明するための説明と共に、本発明の1つ以上の実施形態を例証するものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の平面導波路光学要素の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、硬化させると、通信波長での光学損失の低いポリマー材料を与えるエネルギー硬化性組成物を提供する。本明細書において、エネルギー硬化性組成物は、熱と化学放射線のうち少なくとも1つにより硬化される組成物である。本発明の一実施形態において、エネルギー硬化性組成物は芳香族または複素環式芳香族部分と、それぞれが、芳香族または複素環式芳香族部分に−O−または−S−結合を介して結合している少なくとも2つのフッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分と、それぞれが、フッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分のうち1つに結合している少なくとも1つのエチレン性不飽和部分とを有する化合物を含む。本発明の組成物に用いるのに特に好適な化合物において、−O−または−S−結合は、芳香族または複素環式芳香族部分の芳香族原子に直接結合している。本発明の組成物に用いるのに望ましい化合物は、フッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分のそれぞれに結合したエチレン性不飽和部分を有している。電気通信波長における損失の低い化合物が得られることから、芳香族原子への直接結合は介在メチレン基による結合にとって好ましい。−O−または−S−結合はカルボン酸エステルの一部ではないのが好ましい。例えば、本発明のエネルギー硬化性組成物は式(I)
R−(Y−CH2−Rf−CH2−O−E)n (I)
(式中、Rは芳香族または複素環式芳香族部分であり、YはOまたはSであり、Rfはフッ素化アルキレン部分、フッ素化アリーレン部分またはフッ素化ポリエーテル部分を含んでおり、Eはエチレン性不飽和部分であり、nは約2〜約10の整数である)の化合物を含んでいてもよい。
【0021】
以下の実施例でより詳しく説明してあるが、本発明の−O−結合アクリレート(例えば、上式においてY=OおよびE=CO−CH=CH2)は、以下の反応スキームに従って、対応の芳香族または複素環式芳香族ハロゲン化物およびフッ素化アルキレンまたはポリエーテルジオールから2工程で合成される。
【0022】
【化1】

【0023】
芳香族または複素環式芳香族ハロゲン化物が、フッ素化アルキレンまたはポリエーテルジオールおよびn当量の塩基と反応すると、−O−結合アルコールが得られる。−O−結合アルコールはアクリレートでキャップされて本発明の−O−結合アクリレートが得られる。この代わりに、−O−結合アルコールは当業者に知られた方法を用いて他のエチレン性不飽和部分でキャップしてもよい。
【0024】
上式中のY=SおよびE=CO−CH=CH2を有する化合物は、以下の反応スキームに従って、対応の芳香族または複素環式芳香族ポリチオールとフッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテルジオールのアルキル塩から合成してもよい。
【0025】
【化2】

【0026】
フッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテルジオールはビス(テトラフルオロブタンスルホネート)へと変換されて、多官能性芳香族または複素環式芳香族ポリチオールのアルカリ塩と反応する。得られる−S−結合テトラフルオロブタンスルホネートをケン化して、−S−結合アルコールを与え、これをアクリレートでキャップすると本発明の−S−結合アクリレートが得られる。この代わりに、−S−結合アルコールは当業者に知られた方法を用いて他のエチレン性不飽和部分でキャップしてもよい。
【0027】
上述した化合物において、芳香族または複素環式芳香族部分(R)は所望の芳香族または複素環式芳香族部分であってよい。本発明に用いるのに望ましい芳香族または複素環式芳香族は最小数の水素原子を有している。特に望ましい芳香族または複素環式芳香族部分は水素原子を全く有していない。本発明に用いるのに好適な芳香族部分としては、以下のものが例示される。
【0028】
【化3】

【0029】
式中、各XはH、D、F、Cl、Br、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシおよびアリールオキシからなる群より独立して選択され、式中Y=OまたはSである。当業者であれば、その他の芳香族部分も本発明に用いてよいことが分かるであろう。
【0030】
好適な複素環式芳香族部分としては以下のものが例示される。
【0031】
【化4】

【0032】
式中、各XはH、D、F、Cl、Br、アルキル、アリール、ヘテロアリール、アルコキシおよびアリールオキシからなる群より独立して選択される当業者であれば、その他の複素環式芳香族部分も本発明に用いてよいことが分かるであろう。
【0033】
その他の好適な複素環式芳香族部分はシクロトリホスファゼン部分である。−O−結合シクロトリホスファゼン化合物は、例えば、以下の反応スキームに示すように、ヘキサアルコールシクロトリホスファゼンを好適なジオールおよび水素化ナトリウムと反応させることにより作成してもよい。−S−結合シクロトリホスファゼン化合物は、例えば、以下の反応スキームに示すように、ヘキサアルコールシクロトリホスファゼンを好適なジチオールおよび金属ナトリウムと反応させることにより作成してもよい。−O−結合および−S−結合アルコールは当業者に知られた方法を用いてエチレン性不飽和部分でキャップすることができる。
【0034】
【化5】

【0035】
上述した通り、芳香族または複素環式芳香族部分Rを、対応のハロゲン化物または硫化物塩により本発明の化合物に組み込む。例えば、芳香族部分オクタフルオロビフェニレンはデカフルオロビフェニルを用いて組み込んでもよい。ヘテロ芳香族1,3,5−トリアジン部分は、塩化シアヌルを用いて組み込んでもよい。1,5−チアジアゾイル部分は二カリウム1,5−ジメルカプトチアジアゾールを用いて組み込んでもよい。
【0036】
本発明の他の実施形態において、エネルギー硬化性組成物は、イソシアヌレート部分と、イソシアヌレート部分にイソシアヌレートの窒素で結合した3つのフッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分と、フッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分のうち1つに結合した少なくとも1つのエチレン性不飽和部分とを有する化合物を含む。本発明の組成物に用いるのに特に望ましい化合物は、フッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分のそれぞれに結合したエチレン性不飽和部分を有している。例えば、本発明のエネルギー硬化性組成物は式(II)の化合物を含んでいてもよい。
【0037】
【化6】

【0038】
式中、Rfはフッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分を含み、Eはエチレン性不飽和部分である。
【0039】
本願明細書に援用される米国特許公報(特許文献1)により詳細に記載してあるように、イソシアヌレートアルコールはシアヌル酸と本発明によるフッ素化アルキレンまたはポリエーテルジオールから以下の反応に従って合成してもよい。
【0040】
【化7】

【0041】
アルキレンまたはポリエーテルジオールのトリフェニルホスフィン/ジエチルアゾジカルボキシレートによる活性化およびシアヌル酸との反応の結果、シアヌル酸の窒素が求核置換されて、イソシアヌレートアルコールが得られる。イソシアヌレートアルコールは、当業者に知られた技術を用いてエチレン性不飽和部分でキャップされて、式(II)のイソシアヌレートが得られる。
【0042】
本発明の組成物において、フッ素化部分(Rf)は望ましいフッ素化アルキレンまたはアリーレン部分であってよい。本発明の一実施形態において、Rfは式−(CF2x−(式中、xは1〜約10の間である)を有している。上述した通り、フッ素化アルキレン部分は、対応のジオールにより式(I)および(II)の化合物に組み込まれる。このように、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサン−1,6−ジオールを用いて、フッ素化アルキレン部分−(CF24−を組み込んでもよい。同様に、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロオクタン−1,8−ジオールを用いて、フッ素化アルキレン部分−(CF26−を組み込んでもよい。本発明の他の実施形態において、Rfは式−(C64x−(式中、xは1〜約10の間である)を有している。同様に、2,3,5,6−テトラフルオロキシレン−α,α’−ジオールを用いて、フッ素化アリーレン部分−(C64)−を式(I)および(II)の化合物に組み込んでもよい。当業者であれば、その他のフッ素化ジオールを用いて異なるフッ素化アルキレンまたはアリーレン部分Rfを与えてもよいことが分かるであろう。
【0043】
本発明の組成物のフッ素化部分はまたフッ素化ポリエーテルであってもよい。本発明に用いるのに好適なフッ素化ポリエーテルRf部分としては、以下のものが例示される。
−CF2O−[(CF2CF2O)m(CF2O)n]−CF2−、
−CF(CF3)O(CF24O[CF(CF3)CF2O]pCF(CF3)−、
−CF2O−(CF2CF2O)m−CF2−、
−CF2CF2O−(CF2CF2CF2O)j−CF2CF2−、
−CF2CF2CF2O−(CF2CF2CF2CF2O)h−CF2CF2CF2−、
−CF2O−(CF2CF2O)m−(CF2CF2CF2CF2O)h−(CF2CF2O)k−CF2−および
−CF2O−(CF2CF2O)m−(CF2CF2CF2O)i−CF2CF2O−(CF2CF2CF2O)j−(CF2CF2O)kCF2
(式中、kおよびmは不規則分配パーフルオロエチレンオキシ主鎖反復置換基の数を示し、整数またはゼロとすることができ、iおよびjは不規則分配パーフルオロプロピレンオキシ主鎖反復置換基の数を示し、整数またはゼロとすることができ、hは不規則分配パーフルオロテトラメチレンオキシ主鎖反復置換基の数を示し、整数またはゼロとすることができ、nは不規則分配パーフルオロエチレンオキシおよびパーフルオロメチレンオキシ主鎖反復サブユニットの数を示し、整数またはゼロとすることができ、pは−CF(CF3)CF2O−主鎖反復サブユニットの数を示し、整数またはゼロとすることができる)
【0044】
これらのフッ素化ポリエーテルは、対応のジオールにより式(I)の化合物に組み込まれる。例えば、式HOCH2CF2O−[(CF2CF2O)m(CF2O)n]−CF2CH2OHのフッ素化ポリエーテルジオールは、ニュージャージー州ソロフェーレのオージモントU.S.A(Ausimont U.S.A.、Thorofare,NJ)よりフルオロリンク(FLUOROLINK)という商品名で入手可能である。フルオロリンク(FLUOROLINK)Dの分子量は約2000g/molであり、フルオロリンク(FLUOROLINK)D10は分子量は約1000g/molである。式HOCH2CF2O−(CF2CF2O)m−CF2CH2OHのフッ素化ポリエーテルジオールを用いて、式(I)の化合物のフッ素化ポリエーテル部分を与えてもよい。フッ素化トリエチレングリコール(m=1)およびフッ素化テトラエチレングリコール(m=2)はテキサス州ラウンドロックのエクスフロリサーチ社(Exfluor Research Corp.,Round Rock,TX)より入手可能である。hの平均値が約1.2の式HOCH2CF2CF2CF2O−(CF2CF2CF2CF2O)h−CF2CF2CF2CH2OHを有するフッ素化ポリ(テトラメチレングリコール)はエクスフロリサーチ社(Exfluor Research Corp)より入手可能である。当業者であれば分かるように、その他のフッ素化ポリエーテル部分(例えば、過フッ素化ポリ(プロピレングリコール))を対応のポリエーテルジオールより本発明の化合物に組み込んでもよい。当業者であれば、本発明に用いられるポリエーテル試料は分子量分布を有していてもよいため、上述した添字h、i、j、k、m、nおよびpの平均値は整数ではない、ということが分かるであろう。
【0045】
当業者であれば、本発明のエチレン性不飽和部分は以下の実施例に記載したアクリレートに限定されないということが分かるであろう。メタクリレート、ハロアクリレート、ハロメタクリレート、ビニル、アリルおよびマレイミドのような代替のエチレン性不飽和部分が本発明に用いられることが予想される。アルコールを代替のエチレン性不飽和部分でキャップする業界に認識された方法を用いてかかる化合物を形成してもよい。
【0046】
本発明の他の実施形態において、エネルギー硬化性組成物は、式(I)のオリゴマー同族体である化合物を含んでいてもよい。本発明のオリゴマー化合物には、芳香族または複素環式芳香族コアと、−O−または−S−結合を介してコアに結合したフッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分とが含まれる。1つ以上の追加の−R−Y−CH2−Rf−CH2−Y−部分は、−O−または−S−結合を介してフッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分に結合されている。末端部分−CH2−Rf−CH2−O−はエチレン性不飽和部分でキャップされている。例えば、本発明のオリゴマー化合物は下式を有している。
【0047】
【化8】

【0048】
式中、各Rは芳香族または複素環式部分であり、各YはOまたはSであり、各Rfはフッ素化アルキレン部分、フッ素化アリーレン部分またはフッ素化ポリエーテル部分を含み、各Eはエチレン性不飽和部分であり、各jおよびmは2、3または4であり、各式における添字nの合計は2、3または4である。当業者であれば、上式は、オリゴマー構造の例とすることのみを意図していることが分かるであろう。本発明のオリゴマーは様々な代替構造を有していてもよい。
【0049】
同様に、エネルギー硬化性組成物は、式(II)のオリゴマー同族体である化合物を含んでいてもよい。本発明のオリゴマー化合物には、イソシアヌレートコアと、イソシアヌレートの窒素を介してイソシアヌレートに結合したフッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分とが含まれる。1つ以上の追加の−イソシアヌレート−(CH2−Rf−CH2)−部分は、イソシアヌレートの窒素を介してフッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分に結合されている。末端部分−CH2−Rf−CH2−O−はエチレン性不飽和部分でキャップされている。例えば、本発明のオリゴマー化合物は下式を有している。
【0050】
【化9】

【0051】
式中、C333はイソシアヌレート核であり、各Rfはフッ素化アルキレン部分、フッ素化アリーレン部分またはフッ素化ポリエーテル部分であり、各Eはエチレン性不飽和部分であり、各添字n、n1およびn2は0、1、2または3であり、各式中の添字nの合計は3である。当業者であれば、上式は、オリゴマー構造の例とすることのみを意図していることが分かるであろう。本発明のオリゴマーは様々な代替構造を有していてもよい。
【0052】
本発明の化合物の構造は、主に、化合物を形成するのに用いる反応物質のモル比により決まる。例えば、1モルの塩化シアヌルの3モルのフッ素化ジオールの反応によれば単純なシアヌレートエステルアルコールが得られる。
【0053】
【化10】

【0054】
芳香族または複素環式芳香族化合物の相対量を増やすと鎖を伸張することができる。例えば、2モルの1,4−ジクロロベンゼンの3モルのフッ素化ジオールの反応によればオリゴマー−O−結合アルコールが得られる。
【0055】
【化11】

【0056】
混合モノマーおよびオリゴマーは、フッ素化ジオールまたは(ヘテロ)芳香族化合物の混合物を用いて形成してもよい。
【0057】
本発明のエチレン性不飽和−O−結合、−S−結合およびイソシアヌレート化合物の分子量は一般に約1,000g/mol〜約10,000g/molである。望ましい化合物の分子量は約2,000g/mol〜約6,000g/molである。かかる化合物はオリゴマー、マクロマーまたは巨大分子モノマーと見なしてもよい。分子量が1,000g/molを超える化合物は不揮発性であるため、平面導波路装置のような光学素子の製造に用いるプロセスにおいて望ましい。
【0058】
本発明のマクロマーは、ポリマー光学素子を作成するのに用いる従来の組成物に用いるモノマーより粘度がはるかに高い。一般に、本発明の組成物の粘度(ASTM1343−93に従ってギルモント(Gilmont)落下球粘度計を用いて25℃で求める)は少なくとも100センチポアズから数千センチポアズ(例えば、5,000センチポアズ)である。少なくとも100センチポイズの粘度は、本発明の組成物からの平面導波路装置の製造に特に望ましい。
【0059】
本発明のエネルギー硬化性組成物は、選択量の遊離基開始剤を含んでいてもよい。遊離基開始剤は、化学放射線に露光した際に遊離基種を生成する光開始剤とすることができる。アクリレートの重合を開始することが知られている光開始剤を用いることができる。光開始剤は、周囲温度で熱的に不活性であるのが望ましく、約60℃未満で不活性であるのが好ましい。好適な遊離基型の光開始剤は、これらに限られるものではないが、キノキサリン化合物、ビシナルポリケタールドニル化合物、アルファ−カルボニル、アシロインエーテル、トリアリールイミダゾリルダイマー、アルファ−炭化水素置換芳香族アシロイン、多核性キノンおよびs−トリアジンが挙げられる。
【0060】
好適な光開始剤としては、ベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン、フェナントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2,3−ジクロロナフトキノン、ベンジルジメチルケタールおよびその他芳香族ケトン、例えば、ベンゾイン、ベンゾインエーテル、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルおよびベンゾインフェニルエーテル、メチルベンゾイン、エチルベンゾインおよびその他ベンゾインが挙げられる。代表的な光開始剤は1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア(IRGACURE)184)、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾジメチルケタール(イルガキュア(IRGACURE)651)、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(ダロキュア(DAROCUR)1173)、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−プロパン−1−オン(ダロキュア(DAROCUR)2959)、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(イルガキュア(IRGACURE)907)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン(イルガキュア(IRGACURE)369)、ポリ{1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン}(エサキュア(ESACURE)KIP)および[4−(4−メチルフェニルチオ)−フェニル]フェニルメタノン(イギリス、ロンドンのグレートレークスファインケミカルズ(Great Lakes Fine Chemicals Limited of London, England)製クアンタキュア(QUANTACURE)BMS))である。最も望ましい光開始剤は、照射に際して黄変しない傾向にあるものである。かかる光開始剤としては、ベンゾジメチルケタール(イルガキュア(IRGACURE)651)、エチル2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィン(ルセリン(LUCERIN)TPO−L、BASFより入手可能)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(ニューヨーク州テリータウンのチバスペシャルティケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals of Tarrytown, NY)より入手可能なダロキュア(DAROCUR)1173)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(イルガキュア(IRGACURE)184)および1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン(ダロキュア(DAROCUR)2959)が挙げられる。3M製L−12043およびL−9367をはじめとする高フッ素化エネルギー硬化性組成物については、本願明細書に援用される米国特許公報(特許文献2)に記載された2−(1H,1H,2H,2H−ヘプタデカフルオロ−1−デコキシ)−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンのようなフッ素化光開始剤が必要である。
【0061】
本発明に用いられる開始剤はまた、熱に晒すと遊離基種を生成する選択量の熱開始剤を含んでいてもよい。好適な公知の熱開始剤としては、これらに限られるものではないが、置換または非置換有機過酸化物、アゾ化合物、ピナコール、チウラムおよびこれらの混合物が挙げられる。作用する有機過酸化物としては、これらに限られるものではないが、過酸化ベンゾイル、p−クロロ過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキシド、tert−ブチルパーベンゾエート、クメンヒドロパーオキシド、ジ−sec−ブチルパーオキシドおよび1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンが例示される。好適なアゾ化合物開始剤としては、これらに限られるものではないが、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、(1−フェニルエチル)アゾジフェニルメタン、ジメチル−2,2’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)および2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン)が挙げられる。当業者に知られた文献には光および熱開始剤の更なる例が記載されている。
【0062】
光または熱の遊離基生成開始剤は、適正な種類の十分なエネルギーに露光した際に組成物を重合するのに十分な選択量でエネルギー硬化性組成物に存在させる。例えば、光開始剤は、十分な化学放射線に露光した際に重合させるのに十分量で存在させる。開始剤は、全体の組成物の約0.01重量%〜約10重量%、より一般的には組成物の総重量に基づいて約0.1重量%〜約6重量%、好適には約0.5重量%〜約4重量%である。開始剤の混合物を用いてもよい。電子ビーム放射線に露光することにより硬化するとき等、ある特別な場合においては、遊離基は電子ビーム放射線の作用によりイン・サイチュで生成されるため、エネルギー硬化性組成物は遊離基開始剤は必要としない。
【0063】
組成物の目的および最終用途に応じて、その他の添加物をエネルギー硬化性組成物に添加してもよい。これらとしては、溶剤、酸化防止剤、光安定化剤、膨張剤、例えば、シリカ、チタニア、ガラススフェア等のフィラー(特に、粒度が約100nm未満のナノスケール規模のとき)、染料、遊離基スカベンジャー、コントラスト増強剤、ニトロンおよびUV吸収剤が例示される。酸化防止剤としては、ニューヨーク州テリータウンのチバスペシャルティケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals of Tarrytown,New York)製イルガノックス(IRGANOX)1010をはじめとするフェノール、特にヒンダードフェノール、硫化物、オルガノボロン化合物、有機リン化合物、チバスペシャルティケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals)よりN,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナマミド)が挙げられる。光開始剤および特にヒンダードアミン光開始剤としては、これらに限られるものではないが、デラウェア州ウィルミントンのサイテックインダストリーズ(Cytec Industries of Wilmington,Delaware)よりサイアソーブ(CYASORB)UV−3346という商品名で入手可能なポリ[(6−モルホリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)[2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]−ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]]が挙げられる。膨張剤化合物としては、ベイリーのモノマーとして知られたスパイラルモノマーのような材料が挙げられる。染料としては、メチレングリーン、メチレンブルー等が例示される。好適な遊離基スカベンジャーとしては、酸素、ヒンダードアミン光安定化剤、ヒンダードフェノール、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ遊離基(TEMPO)等が挙げられる。好適なコントラストエンハンサーとしては、ニトロンのようなその他の遊離基スカベンジャーが挙げられる。UV吸収剤としては、ベンゾトリアゾール、ヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられる。これらの添加剤はそれぞれ、組成物の総重量に基づいて約6%まで、通常は約0.1%〜約1%の量で含めてよい。
【0064】
本発明のエネルギー硬化性組成物は、本明細書に記載された−O−結合、−S−結合およびイソシアヌレート化合物以外のモノマーを含んでいてもよい。例えば、組成物は、米国特許公報(特許文献3)に記載されたフッ素化アクリレートのようなその他の低損失ハロゲン化モノマーを含んでいてもよい。組成物はまた、エトキシル化ビスフェノールAジアクリレートのような非ハロゲン化モノマーを含んでいてもよい。当業者であれば分かるように、本明細書に記載したモノマーおよびオリゴマーおよびその他モノマーの類似性およびその量を調整して、エネルギー硬化性組成物およびそれから作成したポリマー材料に所望の特性を与えてもよい。代替のモノマーの使用は、本発明の硬化ポリマー材料との相容性により厳しく制限される。通常、エネルギー硬化性組成物の全成分は、互いに混合された状態、最も望ましくは実質的に均一な混合物の状態にある。本発明のエネルギー硬化性組成物は、少なくとも約10重量%の本明細書に記載した(ヘテロ)芳香族−O−結合、(ヘテロ)芳香族−S−結合またはイソシアヌレート化合物を含んでいるのが好ましい。本発明のエネルギー硬化性組成物は、これらの化合物を実質的に10重量%を超えて(例えば、25%、50%、75%、99.5%)含んでいてもよい。
【0065】
本発明はまた、本明細書に記載した−O−結合、−S−結合の化合物およびイソシアヌレート化合物のポリマーまたはコポリマーであるポリマー材料も含む。本発明のエネルギー硬化性組成物は、好適な種類および量のエネルギーに露光することにより重合してもよい。例えば、熱開始剤を処方した組成物は、熱の適用により重合してもよい。開始剤温度は、熱開始剤に応じて異なるが、一般的に約60℃〜約200℃、70℃〜100℃の温度が好ましい。熱開始時間は、用いる温度および開始剤に応じて、数秒から数時間に及ぶ。
【0066】
光開始剤を処方した組成物は、電磁スペクトルの可視光、紫外線または赤外領域および電子ビーム、イオンまたはビーム、あるいはX線放射線と定義される化学放射線に露光することにより重合してもよい。化学放射線は、例えば、レーザーからのインコヒーレント光またはコヒーレント光の形態であってもよい。化学放射線源および露光手順、時間、波長および強度は、重合の所望の程度、材料の屈折率および当業者に知られたその他の因子に応じて大きく異なる。かかる従来の光重合プロセスおよびその操作パラメータは業界に周知である。化学放射線源および放射線波長は大きく異なり、従来の波長および源であれば何れも用いることができる。光化学励起は、処理前に通常成される放射線への露光(例えば、室内灯)によって、エネルギー硬化性組成物の早期の重合がなされないよう、比較的短波長(高エネルギー)放射線により実施されるのが好ましい。このように、紫外線または濃紫外線への露光が有用である。
【0067】
従来の源としては、処理のための所望の波長を選択するために、適正な光学フィルタを備えた高圧キセノンまたは水銀キセノンアーク灯が挙げられる。同様に、短波長コヒーレント放射線も本発明を実施するのに有用である。350nm付近のいくつかの波長でUVモードで操作されるアルゴンイオンレーザーが望ましい。また、257nmの波長付近で出力する倍周波数アルゴンイオンレーザーが極めて望ましい。電子ビームまたはイオンビーム励起を用いてもよい。あるいは、処理では、レーザーのような化学放射線の高強度源により開始される多光子プロセスを用いることができる。一般的な露光時間は、化学源に応じてコンマ数秒から数分まで変わる。部分硬化が望ましいときは、約50%〜90%の硬化レベルが好ましい。光重合温度は、通常、約10℃〜約60℃であるが、室温が好ましい。
【0068】
特定のエネルギー硬化組成物またはポリマー材料の相対的な利点をその構造に基づいて評価するには、特定の候補材料について、水素に対する光吸収結合のモル濃度を求めるのが有用である。C−H、N−HおよびO−H結合伸縮振動上音が、通信波長の吸収損失の主たる原因であるため、これらの結合濃度の減少によって材料の吸収損失が減じる。硫黄−水素結合の同様の上音は非常に弱く、1900nmより上で生じるため、吸収損失の大きな原因ではない。特定の化合物についての水素のモル濃度(CH)は、以下の等式に示されるように、1分子(H)当たりのC−H、N−HおよびO−H結合の数、化合物の分子量(Mw)および材料密度(ρ)から計算できる。
【0069】
【数1】

【0070】
当業者であれば、処方されたエネルギー硬化性組成物のCHは、各個々の構成成分のCH値の重量平均として計算してよいことが分かるであろう。CHと特定の材料の吸収損失または製造装置との厳密な関係はありそうもないが、この関係によって、光学損失値を下げるのにどの材料が有用なのかが最初に示される。ポリマー材料のこれらの計算を実施するときは、硬化フィルムの損失が最も着目されるため、化合物の硬化フィルムの密度を用いるのが最も適切である。しかしながら、かかるフィルムの密度を測定するのは難しいため、近似の誤差は小さいという認識から液体の密度を用いることができる。本発明の好適なエネルギー硬化性組成物およびポリマー材料のCHは約55M未満である。望ましいエネルギー硬化性組成物およびポリマー材料のCHは約30M未満である。特に望ましいエネルギー硬化性組成物およびポリマー材料のCHは約20M未満である。導波路用途について最も望ましい組成物およびポリマー材料のCHは約20M未満、さらには約10M未満である。当業者であれば分かるように、CHは、本明細書に記載した−O−結合、−S−結合およびイソシアヌレート化合物のRfおよびR部分を適正に選択することにより、そしてエネルギー硬化性組成物のその他のモノマーまたはオリゴマーを適正に選択することにより制御してもよい。高分子量で水素原子の少ないRfおよびR部分を有する化合物は、低CH値をエネルギー硬化性組成物、およびそれから形成されたポリマーに与える傾向がある。いくつかの例証の材料のCH値を以下の実施例に示してある。
【0071】
光学用途に好適な本発明のエネルギー硬化性組成物およびポリマー材料は、1550nmの波長で約0.5dB/cm未満の吸収損失を有している。望ましいエネルギー硬化性組成物およびポリマー材料は、1550nmの波長で約0.3dB/cm未満の吸収損失を有している。特に望ましいエネルギー硬化性組成物およびポリマー材料は約0.2dB/cm未満の吸収損失を有している。約0.15dB/cm、さらには0.1dB/cm未満の吸収損失を有するエネルギー硬化性組成物およびポリマー材料が極めて望ましい。本発明の代表的な硬化性組成物およびポリマー材料の吸収損失は以下の実施例に示してある。
【0072】
本発明の化合物、エネルギー硬化性組成物およびポリマー材料は、従来の化合物、組成物およびポリマー材料に勝る数多くの利点を与える。例えば、本発明の組成物だと、CHが非常に低いため、電気通信波長での光学損失が非常に低く、このことが平面導波路およびその他光学装置の製造に好適なものとさせている。本発明の組成物は、芳香族または複素環式芳香族部分を含まない類似の組成物よりも高い屈折率を有するため、光学装置の異なる層の屈折率の調整に有用である。本発明の組成物はまた、硬化ポリマー材料に高度の架橋を与える2つより多いエチレン性不飽和部分を有するマクロマーも与える。本発明の組成物はまた、類似のカルボン酸エステル系組成物よりも高い加水分解安定性も有する。
【0073】
本発明の組成物およびポリマーは、平面光学導波路のような光学素子の製造に特に有用である。ポリマー導波路の製造方法は、同出願人による同時係属出願である米国特許公報(特許文献4)に開示されている。導波路構造の一例を図1に示す。本発明の実施形態において、好適な基材2は、例えば、濃縮水酸化ナトリウム水溶液で厳密に化学的に清浄にする。基材2は、アクリレート−、チオール−、アミノ−またはイソシアネート−官能性クロロ−またはアルコキシシラン化合物で下塗りしてもよい。例えば、(3−アクリルオキシプロピル)トリクロロシランで処理してもよい。この後任意で、スピンコーティングにより、感光性接着促進タイ層組成物を適用する。これと後のスピンコーティング工程において、スピニングプロセス中に形成される端部ビードは、当業者に知られた方法(例えば、スピンの最後の数秒間、好適な溶剤でウェハ周囲を濯ぐ等)により除去してよい。タイ層は、極めて架橋性であるのが好ましく、エチレン性不飽和部分、チオール部分あるいはこの両方を含有している。用いる場合、タイ層組成物を十分な化学放射線に露光して、少なくともゲル点を超えるレベルまでタイ層を硬化させる。この代わりに、好適なタイ層はエポキシ、ポリアクリレートまたはポリ(ビニルエーテル)のようなその他のポリマーを含んでいてもよい。その後、感光性バッファー組成物層4をスピンコーティングにより適用する。バッファー組成物は、本発明に従って処方し、上述した通りに、硬化したときに、コア材料より約1%〜約3%低い屈折率を有するように処方される。バッファー組成物を、十分な化学放射線に露光させて、完全硬化には満たないが、ゲル点を超えるレベルまで部分硬化する。次に、感光性クラッド組成物6をスピンコーティングによりポリマーバッファー層の表面5に適用する。クラッド組成物は、本発明に従って処方し、上述した通りに、硬化したときに、コア材料より約0.3%〜約1.5%低い屈折率を有するように処方される。このように構成されたラミネートを、十分な化学放射線に露光させて、完全硬化には満たないが、ゲル点を超えるレベルまでクラッド組成物を部分硬化する。次に、本発明に従って処方した感光重合性コア組成物層を、スピンコーティングによりポリマークラッド層の表面7に適用する。コア組成物を画像状に十分な化学放射線に露光して、画像形成部分を少なくとも部分重合させ、コア組成物の少なくとも1つの画像形成されていない部分を形成する。例えば、フォトマスクを用いてもよい。このプロセスにおいて、フォトマスクは、コア組成物層上所定のレベルまで、通常は、コア組成物層上約20μm未満、さらにはコア組成物層上約5μm〜約20μmまで下げる。マスクからコア組成物層表面の距離は、例えば、所望の厚さの細線のようなスペーサを用いることにより制御してもよい。コア組成物を完全硬化には満たないがゲル点を超えるレベルまで部分硬化するための十分な化学放射線によるフォトマスクを通した露光によって、露光され部分重合されたコアの領域と、未露光の液体コア組成物の領域が得られる。
【0074】
この代わりに、レーザーにより生成する等、明確なビームである化学放射線によりコア組成物に画像形成してもよい。露光方法に関らず、未露光コア組成物は、好適な溶剤で濯ぐことにより現像して、露光された部分重合パターン化コア8を残してもよい。パターン化コアが、例えば、矩形または正方形断面の導波路構造を画定してもよい。次に、感光性オーバークラッド組成物10をスピンコーティングによりコアの表面9に適用する。オーバークラッド組成物は、パターン化コアフィーチャーの上部および側部をコートする。オーバークラッド組成物は、本発明に従って処方し、上述した通りに、硬化したときに、コア材料より約0.3%〜約1.5%低い屈折率を有するように処方される。この構造を十分な化学放射線に露光して、フィルムを完全に硬化する。最後に、構造を熱アニールして、全ての層を確実に完全に重合して、残渣の揮発性物質を除去する。
【0075】
本発明による導波路構造の一例の断面図を図3に示す。この構造には、式(I)の化合物のポリマーまたはコポリマーであるポリマー材料を含むポリマーパターン化コア8が含まれる。ポリマーパターン化コアは、少なくとも片側がポリマークラッド層6と、そして少なくとも片側がポリマーオーバークラッド層10と接在している。クラッド層は基材2の上に配置される。クラッド層は、基材に直接載せるか、または基材の上のバッファー層4に載せる。当業者であれば、ここに開示した組成物およびポリマーを用いて作成できる業界に認識された多くの変形導波路構造が本発明の範囲内で予想されることが分かるであろう。本発明の導波路構造の伝搬損失は、0.5dB/cm、0.3dB/cm、0.2dB/cm、0.15dB/cm、さらには0.1dB/cm未満である。
【0076】
当業者であれば分かるように、層の厚さおよび屈折率は導波路装置性能にとって重要である。層の屈折率は、本発明のエネルギー硬化性組成物を適正に処方することにより定義される。本発明の−O−結合、−S−結合およびイソシアヌレート化合物は、類似のジオールアクリレートよりも高い屈折率を有する傾向にある。以下の実施例により詳細に説明してあるように、当業者であれば、異なる相対量の式(I)および(II)の化合物およびその他エネルギー硬化性モノマーを用いて、選択した屈折率を備えたエネルギー硬化性組成物を処方することができる。通常、コアの屈折率は約1.30〜約1.7の範囲にある。バッファー、クラッドおよびオーバークラッド層の屈折率は、上述した通り、コアよりも低くなければならない。層の厚さは、スピン速度および時間、およびエネルギー硬化性組成物の粘度によりスピンコーティング工程で決まる。コア層の導波路の高さはスピンコーティング工程により決まり、導波路の幅はフォトマスクのフィーチャーの寸法により決まる。層の寸法および屈折率は、最終装置に所望の導波路特性を与える公知の方法論により選ばれる。本発明の実施形態において、単一モードの導波路は約7μm×7μmの寸法、1550nmでのコア屈折率が約1.323、アンダークラッド厚さが約2μm、アンダークラッドの1550nmでの屈折率が約1.316、バッファーの厚さが約10μm、バッファーの1550nmでの屈折率が約1.308、オーバークラッド厚さが約15μm、オーバークラッドの1550nmでの屈折率が約1.316である。
【実施例】
【0077】
(実施例1)
メカニカルスターラーと、滴下漏斗と、熱電対とを備えた三つ口フラスコで、250g(0.25モル)のフルオロリンク(FLUOROLINK)D10、15gの塩化シアヌル(0.082モル)、0.25gのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、300mLのトルエン、および300mLのエチルノナフルオロブチルエーテル(3MよりHFE−7200という商品名で入手可能)を混合した。反応混合物を氷で冷やし、40mLのトリエチルアミン(0.28モル)を攪拌しながら滴下して加えた。反応混合物の温度を添加中30℃未満に維持した。この反応混合物を一晩室温で攪拌した。
【0078】
反応混合物を再び氷で冷やし、25mLの塩化アクリロイル(0.31モル)を滴下して加えた。反応混合物の温度を添加中30℃未満に維持した。この反応混合物を3時間室温で攪拌した。
【0079】
反応混合物を再び氷で冷やし、35mLのトリエチルアミンを加えた。反応混合物を一晩室温で攪拌し、メタノールで3回洗い、ロータリエバポレーションにより濃縮し、0.2μmのフィルタに通過させた。NMRにより得られた無色の液体の分子構造が以下の通りであることが確認された。
【0080】
【化12】

【0081】
この化合物の1550nmの波長での液体損失は0.10dB/cmであった。この化合物のCHは約11Mであった。α,α−ジエトキシアセトフェノン(1wt%)を化合物の小さな試料に加えた。得られたエネルギー硬化性組成物を窒素でパージしながらUV光で300秒間硬化させた。硬化した試料の1550nmの波長での屈折率は1.323であった。
【0082】
(実施例2)
メカニカルスターラーと、滴下漏斗と、熱電対とを備えた三つ口フラスコで、51.3gのパーフルオロテトラエチレングリコール(0.125モル)、7.42gの塩化シアヌル(0.04モル)および100mLのアセトニトリルを混合した。反応混合物を氷で冷やし、40mLのトリエチルアミン(0.28モル)を攪拌しながら滴下して加えた。反応混合物の温度を添加中30℃未満に維持した。この反応混合物を1時間室温で攪拌した。
【0083】
BHT(0.1g)を反応混合物に加えた。反応混合物を再び氷で冷やし、11.5mLの塩化アクリロイル(0.141モル)を滴下して加えた。反応混合物の温度を添加中30℃未満に維持した。この反応混合物を一晩室温で攪拌した。
【0084】
反応混合物を、メタノールで3回洗い、ロータリエバポレーションにより濃縮し、0.2μmのフィルタに通過させた。NMRにより得られた無色の液体の分子構造が以下の通りであることが確認された。
【0085】
【化13】

【0086】
この化合物の1550nmの波長での液体損失は0.27dB/cmであった。この化合物のCHは約24Mであった。α,α−ジエトキシアセトフェノン(1wt%)を化合物の小さな試料に加えた。得られたエネルギー硬化性組成物を窒素でパージしながらUV光で300秒間硬化させた。硬化した試料の1550nmの波長での屈折率は1.368であった。
【0087】
(実施例3)
滴下漏斗と、マグネチックスターラーバーと、熱電対とを備えた三つ口フラスコで、10.84gのヘキサクロロベンゼン(0.038モル)と100mLのジメチルアセトアミドを混合した。反応混合物を磁気攪拌しながら、110℃で加熱した。ヘキサクロロベンゼンが完全に溶解したら、13.2gの炭酸カリウム(0.096モル)を加えた。混合物を4時間110℃で攪拌して、76.05gのフルオロリンク(Fluorolink)D10(0.076モル)を加えた。反応混合物を一晩110℃で攪拌して、冷やし、等量の水で洗った。ロータリーエバポレーションによる残渣の水の濃縮および除去によって、ナトリウムD線で1.338の屈折率の液体が得られた。この液体の赤外スペクトルは、1636cm−1に強い芳香族エーテルピークを示した。この液体は以下の構造を有する−O−結合アルコールであると考えられる。
【0088】
【化14】

【0089】
メカニカルスターラーと、滴下漏斗と、熱電対とを備えた三つ口フラスコで、53.1gの上記のジオール(0.024モル)、0.1gのBHT、11.6mLのトリエチルアミン(0.083モル)および100mLのエチルノナフルオロブチルエーテルを混合した。反応混合物を氷で冷やし、5.6mLの塩化アクリロイル(0.069モル)を滴下して加えた。反応混合物の温度を添加中30℃未満に維持した。この反応混合物を1時間室温で攪拌した。
【0090】
反応混合物を等量のメタノールで3回洗い、ロータリエバポレーションにより濃縮し、0.2μmのフィルタに通過させた。NMRにより得られた無色の液体の分子構造が以下の通りであることが確認された。
【0091】
【化15】

【0092】
この化合物の1550nmの波長での液体損失は0.15dB/cmであった。この化合物のCHは約10Mであった。α,α−ジエトキシアセトフェノン(1wt%)を化合物の小さな試料に加えた。得られたエネルギー硬化性組成物を窒素でパージしながらUV光で300秒間硬化させた。硬化した試料の1550nmの波長での屈折率は1.344であった。
【0093】
(実施例4)
メカニカルスターラーと、凝縮器と、熱電対とを備えた三つ口フラスコで、100g(0.1モル)のフルオロリンク(FLUOROLINK)D10、17gのデカフルオロビフェニル(0.05モル)、18gの炭酸カリウム(0.13モル)500mLのN,N−ジメチルアセトアミドを混合した。反応混合物を窒素下110℃で一晩攪拌した。反応混合物を冷やし、水で洗い、ロータリエバポレーションにより濃縮したところ、−O−結合アルコール中間体が得られた。
【0094】
メカニカルスターラーと、滴下漏斗と、熱電対とを備えた三つ口フラスコで、−O−結合アルコール中間体、9mLの塩化アクリロイル(0.11モル)、0.1gのBHTを混合した。この反応混合物を3時間70℃で攪拌した。反応混合物を氷で冷やし、15mLのトリエチルアミンを滴下して加えた。反応混合物の温度を添加中30℃未満に維持した。反応混合物を一晩室温で攪拌し、メタノールで3回洗い、ロータリエバポレーションにより濃縮し、0.2μmのフィルタに通過させた。NMRにより得られた無色の液体の分子構造が以下の通りであることが確認された。
【0095】
【化16】

【0096】
この化合物の1550nmの波長での液体損失は0.10dB/cmであった。この化合物のCHは約10Mであった。α,α−ジエトキシアセトフェノン(1wt%)を化合物の小さな試料に加えた。得られたエネルギー硬化性組成物を窒素でパージしながらUV光で300秒間硬化させた。硬化した試料の1550nmの波長での屈折率は1.340であった。
【0097】
(実施例5)
滴下漏斗と、メカニカルスターラーと、熱電対とを備えた三つ口フラスコで、93.9gのフルオロリンク(FLUOROLINK)D10(0.094モル)と37mLのノナフルオロブタンスルホニルフルオリドを混合した。混合物を氷で冷やし、32mLのトリエチルアミンを滴下して加えた。反応混合物の温度を添加中30℃未満に維持した。反応混合物を室温で1時間攪拌した後の赤外線分光分析によれば、フルオロリンク(FLUOROLINK)ヒドロキシルは完全に反応していた。試料をメタノールで1回洗い、ロータリーエバポレーションにより濃縮したところ、フルオロリンク(FLUOROLINK)D10ビス(ノナフルオロフルホネート)が得られた。
【0098】
凝縮器と、熱電対と、マグネチックスターラーバーとを備えた三つ口フラスコで、72.7gのフルオロリンク(FLUOROLINK)D10ビス(ノナフルオロスルホネート)、5.25gの二カリウム1,5−ジメルカプトチアジアゾール、100mLのジメチルスルホキシドを混合した。反応混合物を一晩100℃で磁気攪拌し、13mLの4M NaOHを加え、反応混合物を6時間100℃で磁気攪拌した。反応混合物を冷やし、10%硫酸溶液を加えることによりpHを3.5未満とした。反応混合物を水で2回洗い、ロータリエバポレーションにより濃縮したところ、−S−結合アルコールが得られた。
【0099】
滴下漏斗と、メカニカルスターラーと、熱電対とを備えた三つ口フラスコで、33gの−S−結合アルコール(0.015モル)、100mLのエチルノナフルオロブチルエーテル、0.05gのBHT、3.9mLの塩化アクリロイル(0.048モル)を混合した。
【0100】
反応混合物を氷で冷やし、7.3mLのトリエチルアミン(0.052モル)を滴下して加えた。反応混合物の温度を添加中30℃未満に維持した。反応混合物を1時間室温で攪拌し、メタノールで3回洗い、ロータリエバポレーションにより濃縮し、0.2μmのフィルタに通過させた。NMRによれば、得られた無色の液体は約40%のフルオロリンク(FLUOROLINK)D10ジアクリレートおよび60%の
【0101】
【化17】

【0102】
であることが確認された。
【0103】
この化合物の1550nmの波長での液体損失は0.25dB/cmであった。−S−結合化合物のCHは約11Mであった。フルオロリンク(FLUOROLINK)D10ジアクリレートのCHは約14Mであった。全体の組成物のCHは約12.3Mであった。α,α−ジエトキシアセトフェノン(1wt%)を化合物の小試料に加えた。得られたエネルギー硬化性組成物に窒素をパージしながらUV光で300秒間硬化させた。硬化した試料の1550nmの波長での屈折率は1.336であった。
【0104】
(実施例6)
メカニカルスターラーと凝縮器とを備えた三つ口フラスコで、100gのフッ素化テトラエチレングリコール(HOCH2CF2O(CF2CF2O)2CF2CH2OH、0.24モル)、40gのヘキサクロロベンゼン、5.6gの亜硫酸ナトリウム(0.068モル)、80gの炭酸カリウム(0.55モル)、0.10gのブチル化ヒドロキシトルエン、および300mLのジメチルスルホキシドを混合した。混合物を100℃まで加熱し、一晩磁気攪拌した。混合物を室温まで冷やし、脱イオン水で3回洗い、ロータリエバポレーションにより70℃で1時間真空下で濃縮して溶剤を除去した。得られた液体は以下の構造を有する−O−結合アルコールであると考えられる。
【0105】
【化18】

【0106】
実質的に溶剤を含まない混合物を200mLの3Mより入手可能なHFE7200フッ素化溶剤に溶解し、0.2ミクロンのフィルタを用いてろ過した。ろ過した混合物に40mLの塩化アクリロイル(0.47モル)を加えた。トリエチルアミン(64mL、0.46モル)を、氷浴を用いて温度を40℃〜50℃に維持しながら機械的攪拌により滴下して加えた。トリエチルアミンを添加したところ白色の沈殿物が形成された。混合物を4時間機械的に攪拌し、0.2ミクロンのフィルタを用いてろ過し、等量の水で3回洗った。混合物をロータリエバポレーションを用いて1時間真空下で70℃で濃縮したところ、上記で得られた−O−結合アルコールに対応するジアクリレートが得られた。
【0107】
この化合物の1550nmの波長での液体損失は0.21dB/cmであり、粘度は約55cPであった。α,α−ジエトキシアセトフェノン(1wt%)を化合物の小さな試料に加えた。得られたエネルギー硬化性組成物を窒素でパージしながらUV光で300秒間硬化させた。硬化した試料の1550nmの波長での屈折率は1.440であった。
【0108】
(実施例7)
コア、クラッドおよびバッファー組成物を下の表に従って処方した。
【0109】
【表1】

【0110】
過フッ素化エーテルジアクリレートの構造は次の通りである。CH2=CHCO2CH2CF2(CF2CF2O)m(CF2O)nCF2CH22CCH=CH2。分子量は約2100である。この材料は、ニュージャージー州レッドバンクのオージモントUSA(Ausimont USA,Red Bank,NJ)より入手可能なフルオロリンク(FLUOROLINK)Dのアクリル化により作成してもよい。
【0111】
酸化されていない4インチのシリコンウェハを、4Mの水酸化ナトリウム水溶液に1時間浸し、脱イオン水で12分間濯ぐことにより清浄にした。ウェハを窒素でブロー乾燥し、さらに120℃のホットプレート上で10分間乾燥させた。ウェハを冷やし、クリーンルーム綿棒を用いてニート(3−アクリルオキシプロピル)トリクロロシランで処理した。過剰のシランをエタノール洗浄によりウェハ表面から除去した後、クリーンルーム布で丁寧に拭き取って微粒子物質を除去した。ウェハをスピンコータでスピニングしながらエタノールで濯ぎ、120℃のホットプレート上で2分間乾燥した。
【0112】
コア、クラッドおよびバッファー組成物を0.1μmのテフロン(TEFLON)(登録商標)フィルタによりろ過し、10mLのピペッタに詰めた。ウェハをステンレス鋼スピンコータ(ミズーリ州ロラのブリューワーサイエンスのコスト有効度装置部門(Cost Effective Equipment division of Brewer Science,Inc.,Rolla,MO)より入手可能)のチャックの中心に置いた。約7mLのバッファー組成物をウェハ中心に分配し、ウェハをスパンしたところ、バッファー組成物の厚さ10μmの層が得られた。スピンプログラムは150rpmで30秒間、100rpm/秒で700rpmまで20秒間にわたって上げた。プログラムの700rpmの部分で、小さなノズルが、端部のビードを除去すべく上端部に沿って、そしてウェハの下端部に沿って、アセトンを分配した。
【0113】
ウェハを漏れのない真空パージチャンバーに移した。内部体積が3リットルのものを用いた。チャンバーは、アルミニウム壁、ヴィトン(VITON)o−リングおよび水晶窓で構成されており、空気と窒素のパージの両方の真空排気が可能であった。窒素の正圧を確実にするために用いられるボックス縁のクランプおよび逆止弁をパージ中に設けることができた。パージサイクル中も確実に空気が入らないようにした。同様に、チャンバーが確実に漏れないようにすることによって、真空サイクル中に空気を容易に排除することができる。一般に、標準ロータリベインメカニカルポンプによりチャンバーは0.2トルまで真空排気できる。プロセスの一貫性のために、標準パージサイクルを確立した。6トルのレベルに達するまで真空を30秒間適用した。その後、9.9L/分で窒素パージングを2分行った。タマラック(Tamarack)UV光源を用いて3°ディフューザを通してウェハに約10.9W/cm2で37秒間照射して、バッファー層を部分重合した。
【0114】
ウェハをスピンコータチャックの中心に再び置き、約7mLのクラッド組成物を適用し、ウェハをスパンしたところ、クラッド組成物の厚さ2μmの層が得られた。スピンプログラムは150rpmで30秒間、100rpm/秒で6000rpmまで50秒、そして100rpm/秒で700rpmまで20秒間にわたって上げた。プログラムの700rpmの部分で、小さなノズルが、端部のビードを除去すべく上端部に沿って、そしてウェハの下端部に沿って、アセトンを分配した。ウェハを真空パージチャンバーへ移した。6トルのレベルに達するまで真空を30秒間適用した。その後、9.9L/分で窒素パージングを2分行った。タマラック(Tamarack)UV光源を用いて3°ディフューザを通してウェハに約10.9W/cm2で40秒間照射して、クラッド層を部分重合した。
【0115】
ウェハをスピンコータチャックの中心に再び置き、約7mLのコア組成物を適用し、ウェハをスパンしたところ、コア組成物の厚さ6μmの層が得られた。スピンプログラムは150rpmで30秒間、100rpm/秒で4000rpmまで50秒、そして100rpm/秒で700rpmまで20秒間にわたって上げた。プログラムの700rpmの部分で、小さなノズルが、端部のビードを除去すべく上端部に沿って、そしてウェハの下端部に沿って、アセトンを分配した。5mLのシリンジを用いて、ガルデン(GALDEN)HT110過フッ素化エーテル溶剤(オージモント(Ausimont)USA)を用いて、ウェハの外側〜1cmからコア組成物を濯いだ。
【0116】
ウェハを真空パージボックスにおいて真空チャックに載せた。中心に直径5インチの孔があり、それに厚さ35mmのワイヤの5つの小さなループが取り付けられた厚さ25mmのプラスチックシートから作成されたハーネスをウェハに下げ、コア組成物のないウェハの端部1cmにワイヤのループを載せた。フォトマスクをウェハの上、定位置に下げ、ウェハを外れた高い角度で伸縮自在なプラスチックウェッジに載せた。フォトマスクは、導波路のコアを画定する透明領域を有している。ボックスを閉じ、真空をボックスに30秒間、または圧力が約6トルになるまで適用した。その後、9.9L/分で窒素パージングを2分行った。ウェッジは伸縮して、フォトマスクがハーネスの35mmのワイヤのループに載った。タマラック(Tamarack)UV光源を用いてディフューザなしでウェハに10.9W/cm2で100秒間露光した。フォトマスクにより露光されたコア層の領域は部分重合されたが、露光されなかったコア層の領域は実質的に重合されないままであった。ウェッジを元に戻し、フォトマスクを上げて、ウェハをボックスから外した。
【0117】
ウェハをスピンコータチャックの中心に再び置いて、1300rpmで60秒間スパンした。このスピンサイクルの最初の40秒間、ウェハをスクイズボトルを用いてガルデン(GALDEN)HT110溶剤で濯いで、未重合コア組成物を除去した。この現像工程の結果、コア層の部分重合領域のみがウェハに残った。
【0118】
ウェハをスピンコータチャックの中心に再び置いた。約7mLのクラッドをウェハ表面に適用し、ウェハをスパンしたところ、クラッド組成物の厚さ15μmの層が得られた。スピンプログラムは150rpmで30秒間、100rpm/秒で700rpmまで30秒間にわたって上げた。プログラムの700rpmの部分で、小さなノズルが、端部のビードを除去すべくウェハの下端部のみに沿って、アセトンを分配した。ウェハを真空パージチャンバーへ移した。6トルのレベルに達するまで真空を30秒間適用した。その後、9.9L/分で窒素パージングを2分行った。タマラック(Tamarack)UV光源を用いて3°ディフューザを通してウェハに約10.9W/cm2で500秒間照射して、クラッド層を部分重合した。
【0119】
このようにして製造された導波路の損失を、ニューポートオートアライン(Newport AUTOALIGN)システムでカットバック方法を用いて測定した。この例の方法により作成された長さ5.5cmまでの導波路の伝播損失は1550nmで約0.08dB/cmである。
【0120】
本発明に様々な修正および変形を、本発明の技術思想および範囲から逸脱することなく行えることは当業者に明白であろう。このように、本発明には添付の請求項の範囲およびその等価物により成される本発明の修正および変形が含まれるものとする。
以下に、本発明の好ましい態様を示す。
1. 下式
R−(Y−CH−Rf−CH−O−E)
(式中、
Rは芳香族または複素環式芳香族部分であり、
YはOまたはSであり、
Rfはフッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分を含み、
Eはエチレン性不飽和部分であり、
nは2、3または4である)
の化合物と、
それぞれが、前記芳香族または複素環式芳香族部分にエーテルまたはチオエーテルを介して結合した少なくとも2つのフッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分と、
それぞれが、前記フッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分のうち1つに結合している少なくとも1つのエチレン性不飽和部分と
を有する化合物
を含み、
1550nmの波長での吸収損失が0.5dB/cm未満であることを特徴とするエネルギー硬化性組成物。
2. 前記化合物が
【0121】
【化19】

【0122】
(式中、
各Rは芳香族または複素環式芳香族部分であり、
各YはOまたはSであり、
各Rfはフッ素化アルキレン部分、フッ素化アリーレン部分またはフッ素化ポリエーテル部分を含み、
各Eはエチレン性不飽和部分であり、
各jは1、2または3であり、
各mは1、2または3であり、
各添字nは0、1、2、3または4であり、
各式における添字nの合計は2、3または4である)
からなる群より選択される式を有していることを特徴とする1.に記載のエネルギー硬化性組成物。
3. 前記芳香族または複素環式芳香族部分が
【0123】
【化20】

【0124】
【化21】

【0125】
からなる群より選択されることを特徴とする1.に記載のエネルギー硬化性組成物。
4. 前記フッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分が
−(CF−、
−(C
−CFO−[(CFCFO)(CFO)]−CF−、
−CF(CF)O(CFO[CF(CF)CFO]CF(CF)−および
−CFO−(CFCFO)−CF−、
(式中、
xは1〜10の整数であり、
mおよびnは不規則分配パーフルオロエチレンオキシおよびパーフルオロメチレンオキシ主鎖反復サブユニットの数をそれぞれ示し、
pは−CF(CF)CFO−主鎖反復サブユニットの数を示す)
からなる群より選択されることを特徴とする1.に記載のエネルギー硬化性組成物。
5. 各エチレン性不飽和部分がアクリレート、メタクリレート、ハロアクリレート、ハロメタクリレート、ビニルエーテルおよびアリルエーテルからなる群より選択されることを特徴とする1.に記載のエネルギー硬化性組成物。
6. 55M未満のCを有することを特徴とする1.に記載のエネルギー硬化性組成物。
7. 20M未満のCを有することを特徴とする1.に記載のエネルギー硬化性組成物。
8. 10M未満のCを有することを特徴とする1.に記載のエネルギー硬化性組成物。
9. 吸収損失が1550nmで0.5dB/cm未満であることを特徴とする1.に記載のエネルギー硬化性組成物。
10. 吸収損失が1550nmで0.2dB/cm未満であることを特徴とする1.に記載のエネルギー硬化性組成物。
11. 吸収損失が1550nmで0.1dB/cm未満であることを特徴とする1.に記載のエネルギー硬化性組成物。
12. 開始剤をさらに含むことを特徴とする1.に記載のエネルギー硬化性組成物。
13. 前記化合物が少なくとも10重量%の量で存在していることを特徴とする1.に記載のエネルギー硬化性組成物。
14. イソシアヌレート部分と、
前記イソシアヌレート部分に前記イソシアヌレートの窒素で結合した3つのフッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分と、
前記フッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分のうち1つに結合した少なくとも1つのエチレン性不飽和部分と
を有する化合物を含むことを特徴とするエネルギー硬化性組成物。
15. 下式の化合物
【0126】
【化22】

【0127】
(式中、Rfはフッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分を含み、Eはエチレン性不飽和部分である)を含むことを特徴とする14.に記載のエネルギー硬化性組成物。
16. 前記化合物が
【0128】
【化23】

【0129】
(式中、Cはイソシアヌレート核であり、各Rfはフッ素化アルキレン部分、フッ素化アリーレン部分またはフッ素化ポリエーテル部分であり、各Eはエチレン性不飽和部分であり、各添字nは0、1、2または3であり、各式中の添字nの合計は3である)からなる群より選択される式を有していることを特徴とする14.に記載のエネルギー硬化性組成物。
17. 前記フッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分が
−(CF−、
−(C
−CFO−[(CFCFO)(CFO)]−CF−、
−CF(CF)O(CFO[CF(CF)CFO]CF(CF)−および
−CFO−(CFCFO)−CF−、
(式中、
xは1〜10の整数であり、
mおよびnは不規則分配パーフルオロエチレンオキシおよびパーフルオロメチレンオキシ主鎖反復サブユニットの数をそれぞれ示し、
pは−CF(CF)CFO−主鎖反復サブユニットの数を示す)
からなる群より選択されることを特徴とする14.に記載のエネルギー硬化性組成物。
18. 各エチレン性不飽和部分がアクリレート、メタクリレート、ハロアクリレート、ハロメタクリレート、ビニルエーテルおよびアリルエーテルからなる群より選択されることを特徴とする14.に記載のエネルギー硬化性組成物。
19. 55M未満のCを有することを特徴とする14.に記載のエネルギー硬化性組成物。
20. 20M未満のCを有することを特徴とする14.に記載のエネルギー硬化性組成物。
21. 10M未満のCを有することを特徴とする14.に記載のエネルギー硬化性組成物。
22. 前記化合物が少なくとも10重量%の量で存在していることを特徴とする14.に記載のエネルギー硬化性組成物。
23. 芳香族または複素環式芳香族部分と、
それぞれが、前記芳香族または複素環式芳香族部分にエーテルまたはチオエーテルを介して結合している少なくとも2つのフッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分と、
それぞれが、前記フッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分のうち1つに結合している少なくとも1つのエチレン性不飽和部分と
を有するエネルギー硬化性組成物のポリマーまたはコポリマーを含むことを特徴とするポリマー材料。
24. 前記エネルギー硬化性化合物が下式
R−(Y−CH−Rf−CH−O−E)
(式中、
Rは芳香族または複素環式芳香族部分であり、
YはOまたはSであり、
Rfはフッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分を含んでおり、
Eはエチレン性不飽和部分であり、
nは2、3または4である)
を有していることを特徴とする23.に記載のポリマー材料。
25. 前記芳香族または複素環式芳香族部分が
【0130】
【化24】

【0131】
【化25】

【0132】
からなる群より選択されることを特徴とする23.に記載のポリマー材料。
26. 前記フッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分が
−(CF−、
−(C
−CFO−[(CFCFO)(CFO)]−CF−、
−CF(CF)O(CFO[CF(CF)CFO]CF(CF)−および
−CFO−(CFCFO)−CF−、
(式中、
xは1〜10の整数であり、
mおよびnは不規則分配パーフルオロエチレンオキシおよびパーフルオロメチレンオキシ主鎖反復サブユニットの数をそれぞれ示し、
pは−CF(CF)CFO−主鎖反復サブユニットの数を示す)
からなる群より選択されることを特徴とする23.に記載のポリマー材料。
27. 55M未満のCを有することを特徴とする23.に記載のポリマー材料。
28. 20M未満のCを有することを特徴とする23.に記載のポリマー材料。
29. 10M未満のCを有することを特徴とする23.に記載のポリマー材料。
30. 吸収損失が1550nmで0.5dB/cm未満であることを特徴とする23.に記載のポリマー材料。
31. イソシアヌレート部分と、
前記イソシアヌレート部分に前記イソシアヌレートの窒素で結合した3つのフッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分と、
前記フッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分のうち1つに結合した少なくとも1つのエチレン性不飽和部分と
を有する化合物を含むエネルギー硬化性組成物のポリマーまたはコポリマーを含むことを特徴とするポリマー材料。
32. 前記エネルギー硬化性化合物が下式
【0133】
【化26】

【0134】
(式中、Rfはフッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分を含み、Eはエチレン性不飽和部分である)
を有していることを特徴とする31.に記載のポリマー材料。
33. 前記フッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分が
−(CF−、
−(C
−CFO−[(CFCFO)(CFO)]−CF−、
−CF(CF)O(CFO[CF(CF)CFO]CF(CF)−および
−CFO−(CFCFO)−CF−、
(式中、
xは1〜10の整数であり、
mおよびnは不規則分配パーフルオロエチレンオキシおよびパーフルオロメチレンオキシ主鎖反復サブユニットの数をそれぞれ示し、
pは−CF(CF)CFO−主鎖反復サブユニットの数を示す)
からなる群より選択されることを特徴とする31.に記載のポリマー材料。
34. 55M未満のCを有することを特徴とする31.に記載のポリマー材料。
35. 20M未満のCを有することを特徴とする31.に記載のポリマー材料。
36. 10M未満のCを有することを特徴とする31.に記載のポリマー材料。
37. 吸収損失が1550nmで0.5dB/cm未満であることを特徴とする31.に記載のポリマー材料。
38. 芳香族または複素環式芳香族部分と、
それぞれが、前記芳香族または複素環式芳香族部分にエーテルまたはチオエーテルを介して結合している少なくとも2つのフッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分と、
それぞれが、前記フッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分のうち1つに結合している少なくとも1つのエチレン性不飽和部分と
を有するエネルギー硬化性化合物のポリマーまたはコポリマーを含むポリマーコアを含むことを特徴とする光学素子。
39. 前記フッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分が
−(CF−、
−(C
−CFO−[(CFCFO)(CFO)]−CF−、
−CF(CF)O(CFO[CF(CF)CFO]CF(CF)−および
−CFO−(CFCFO)−CF−、
(式中、
xは1〜10の整数であり、
mおよびnは不規則分配パーフルオロエチレンオキシおよびパーフルオロメチレンオキシ主鎖反復サブユニットの数をそれぞれ示し、
pは−CF(CF)CFO−主鎖反復サブユニットの数を示す)
からなる群より選択されることを特徴とする38.に記載の光学素子。
40. 前記ポリマーコアが55M未満のCを有することを特徴とする38.に記載の光学素子。
41. 前記ポリマーコアの吸収損失が1550nmで0.5dB/cm未満であることを特徴とする38.に記載の光学素子。
42. イソシアヌレート部分と、
前記イソシアヌレート部分に前記イソシアヌレートの窒素で結合した3つのフッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分と、
前記フッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分のうち1つに結合した少なくとも1つのエチレン性不飽和部分と
を有するエネルギー硬化性化合物のポリマーまたはコポリマーを含むポリマーコアを含むことを特徴とする光学素子。
43. 前記フッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分が
−(CF−、
−(C
−CFO−[(CFCFO)(CFO)]−CF−、
−CF(CF)O(CFO[CF(CF)CFO]CF(CF)−および
−CFO−(CFCFO)−CF−、
(式中、
xは1〜10の整数であり、
mおよびnは不規則分配パーフルオロエチレンオキシおよびパーフルオロメチレンオキシ主鎖反復サブユニットの数をそれぞれ示し、
pは−CF(CF)CFO−主鎖反復サブユニットの数を示す)
からなる群より選択されることを特徴とする42.に記載の光学素子。
44. 前記ポリマーコアが55M未満のCを有することを特徴とする42.に記載の光学素子。
45. 前記ポリマーコアの吸収損失が1550nmで0.5dB/cm未満であることを特徴とする42.に記載の光学素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアヌレート部分と、
前記イソシアヌレート部分に前記イソシアヌレートの窒素で結合した3つのフッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分と、
前記フッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分のうち1つに結合した少なくとも1つのエチレン性不飽和部分と
を有する下式の化合物
【化1】

(式中、Rfはフッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分を含み、Eはエチレン性不飽和部分である)
を含むことを特徴とするエネルギー硬化性組成物。
【請求項2】
前記化合物が
【化2】

(式中、
333はイソシアヌレート核であり、
各Rfはフッ素化アルキレン部分、フッ素化アリーレン部分またはフッ素化ポリエーテル部分であり、
各Eはエチレン性不飽和部分であり、
各添字nは0、1、2または3であり、各式中の添字nの合計は3である)
からなる群より選択される式を有していることを特徴とする請求項1に記載のエネルギー硬化性組成物。
【請求項3】
前記フッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分が
−(CF2x−、
−(C64x−、
−CF2O−[(CF2CF2O)m(CF2O)n]−CF2−、
−CF(CF3)O(CF24O[CF(CF3)CF2O]pCF(CF3)−、
−CF2O−(CF2CF2O)m−CF2
−CF2CF2O−(CF2CF2CF2O)j−CF2CF2−、
−CF2CF2CF2O−(CF2CF2CF2CF2O)h−CF2CF2CF2−、
−CF2O−(CF2CF2O)m−(CF2CF2CF2CF2O)h−(CF2CF2O)k−CF2−および
−CF2O−(CF2CF2O)m−(CF2CF2CF2O)i−CF2CF2O−(CF2CF2CF2O)j−(CF2CF2O)kCF2
(式中、xは1〜約10の整数であり、
kおよびmは不規則分配パーフルオロエチレンオキシ主鎖反復置換基の数を示し、整数またはゼロとすることができ、
iおよびjは不規則分配パーフルオロプロピレンオキシ主鎖反復置換基の数を示し、整数またはゼロとすることができ、
hは不規則分配パーフルオロブチレンオキシ主鎖反復置換基の数を示し、整数またはゼロとすることができ、
nは不規則分配パーフルオロエチレンオキシおよびパーフルオロメチレンオキシ主鎖反復サブユニットの数を示し、整数またはゼロとすることができ、
pは−CF(CF3)CF2O−主鎖反復サブユニットの数を示し、整数またはゼロとすることができる)
からなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載のエネルギー硬化性組成物。
【請求項4】
各エチレン性不飽和部分がアクリレート、メタクリレート、ハロアクリレート、ハロメタクリレート、ビニルエーテルおよびアリルエーテルからなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載のエネルギー硬化性組成物。
【請求項5】
55M未満のCHを有することを特徴とする請求項1に記載のエネルギー硬化性組成物。
【請求項6】
20M未満のCHを有することを特徴とする請求項1に記載のエネルギー硬化性組成物。
【請求項7】
前記化合物が少なくとも10重量%の量で存在していることを特徴とする請求項1に記載のエネルギー硬化性組成物。
【請求項8】
イソシアヌレート部分と、
前記イソシアヌレート部分に前記イソシアヌレートの窒素で結合した3つのフッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分と、
前記フッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分のうち1つに結合した少なくとも1つのエチレン性不飽和部分と
を有する化合物を含むエネルギー硬化性組成物のポリマーまたはコポリマーを含むことを特徴とするポリマー材料。
【請求項9】
前記エネルギー硬化性化合物が下式
【化3】

(式中、Rfはフッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分を含み、Eはエチレン性不飽和部分である)
を有していることを特徴とする請求項8に記載のポリマー材料。
【請求項10】
前記フッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分が
−(CF2x−、
−(C64x−、
−CF2O−[(CF2CF2O)m(CF2O)n]−CF2−、
−CF(CF3)O(CF24O[CF(CF3)CF2O]pCF(CF3)−、
−CF2O−(CF2CF2O)m−CF2
−CF2CF2O−(CF2CF2CF2O)j−CF2CF2−、
−CF2CF2CF2O−(CF2CF2CF2CF2O)h−CF2CF2CF2−、
−CF2O−(CF2CF2O)m−(CF2CF2CF2CF2O)h−(CF2CF2O)k−CF2−および
−CF2O−(CF2CF2O)m−(CF2CF2CF2O)i−CF2CF2O−(CF2CF2CF2O)j−(CF2CF2O)kCF2
(式中、
xは1〜約10の整数であり、
kおよびmは不規則分配パーフルオロエチレンオキシ主鎖反復置換基の数を示し、整数またはゼロとすることができ、
iおよびjは不規則分配パーフルオロプロピレンオキシ主鎖反復置換基の数を示し、整数またはゼロとすることができ、
hは不規則分配パーフルオロブチレンオキシ主鎖反復置換基の数を示し、整数またはゼロとすることができ、
nは不規則分配パーフルオロエチレンオキシおよびパーフルオロメチレンオキシ主鎖反復サブユニットの数を示し、整数またはゼロとすることができ、
pは−CF(CF3)CF2O−主鎖反復サブユニットの数を示し、整数またはゼロとすることができる)
からなる群より選択されることを特徴とする請求項8に記載のポリマー材料。
【請求項11】
55M未満のCHを有することを特徴とする請求項8に記載のポリマー材料。
【請求項12】
20M未満のCHを有することを特徴とする請求項8に記載のポリマー材料。
【請求項13】
吸収損失が1550nmで0.5dB/cm未満であることを特徴とする請求項8に記載のポリマー材料。
【請求項14】
イソシアヌレート部分と、
前記イソシアヌレート部分に前記イソシアヌレートの窒素で結合した3つのフッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分と、
前記フッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分のうち1つに結合した少なくとも1つのエチレン性不飽和部分と
を有するエネルギー硬化性化合物のポリマーまたはコポリマーを含むポリマーコアを含むことを特徴とする光学素子。
【請求項15】
前記フッ素化アルキレン、アリーレンまたはポリエーテル部分が
−(CF2x−、
−(C64x−、
−CF2O−[(CF2CF2O)m(CF2O)n]−CF2−、
−CF(CF3)O(CF24O[CF(CF3)CF2O]pCF(CF3)−、
−CF2O−(CF2CF2O)m−CF2
−CF2CF2O−(CF2CF2CF2O)j−CF2CF2−、
−CF2CF2CF2O−(CF2CF2CF2CF2O)h−CF2CF2CF2−、
−CF2O−(CF2CF2O)m−(CF2CF2CF2CF2O)h−(CF2CF2O)k−CF2−および
−CF2O−(CF2CF2O)m−(CF2CF2CF2O)i−CF2CF2O−(CF2CF2CF2O)j−(CF2CF2O)kCF2
(式中、
xは1〜約10の整数であり、
kおよびmは不規則分配パーフルオロエチレンオキシ主鎖反復置換基の数を示し、整数またはゼロとすることができ、
iおよびjは不規則分配パーフルオロプロピレンオキシ主鎖反復置換基の数を示し、整数またはゼロとすることができ、
hは不規則分配パーフルオロブチレンオキシ主鎖反復置換基の数を示し、整数またはゼロとすることができ、
nは不規則分配パーフルオロエチレンオキシおよびパーフルオロメチレンオキシ主鎖反復サブユニットの数を示し、整数またはゼロとすることができ、
pは−CF(CF3)CF2O−主鎖反復サブユニットの数を示し、整数またはゼロとすることができる)
からなる群より選択されることを特徴とする請求項14に記載の光学素子。
【請求項16】
前記ポリマーコアが55M未満のCHを有することを特徴とする請求項14に記載の光学素子。
【請求項17】
前記ポリマーコアの吸収損失が1550nmで0.5dB/cm未満であることを特徴とする請求項14に記載の光学素子。

【図1】
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【公開番号】特開2010−18815(P2010−18815A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−245398(P2009−245398)
【出願日】平成21年10月26日(2009.10.26)
【分割の表示】特願2003−566581(P2003−566581)の分割
【原出願日】平成15年1月23日(2003.1.23)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】